JP2008003250A - ポジ型感光性樹脂組成物、薄膜パターンの製造方法及び半導体素子 - Google Patents

ポジ型感光性樹脂組成物、薄膜パターンの製造方法及び半導体素子 Download PDF

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秀 中村
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Abstract

【課題】例えばフォトマスク等を用いて選択的に露光され、かつ熱処理されたときに、未露光部において硬化反応を進行させることができ、かつ露光部において硬化反応の進行を十分に抑制することができ、パターン形状に優れた薄膜パターンを得ることができるポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた薄膜パターンの製造方法、半導体素子を提供する。
【解決手段】アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有するポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた薄膜パターンの製造方法1C、半導体素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、感光性を有するポジ型の感光性樹脂組成物に関し、より詳細には、アルカリ現像等により薄膜パターンを形成することが可能なポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた薄膜パターンの製造方法及び半導体素子に関する。
半導体などの電子デバイスの製造に際しては、パッシベーション膜やゲート絶縁膜などが、微細パターン形成法により構成されている。これらの膜を構成するのに、例えばアルコキシシランの縮合物などを含む感光性樹脂組成物が用いられている。
このような感光性樹脂組成物を用いて構成された膜の一例として、下記の特許文献1には、一般式(1)RSiOで表される単位組成1モルに対して、一般式(2)RSiO1.5で表される単位組成を1〜20モル含有するシリカ系被膜からなる光学材料が開示されている。シリカ系被膜からなる光学材料を得る際には、特定のシラン化合物を加水分解及び部分縮合させて得られたシロキサンポリマーを含む塗布液が用いられ、該塗布液には、硬化性を高めるための膜硬化剤等が含有される。
特許文献1では、膜硬化剤として酸及び塩基触媒を使用することができ、反応に用いた酸あるいは塩基を被膜にそのまま残存させることができるとされている。また、特許文献1には、熱によって酸、あるいは塩基を発生する化合物、および、光によって酸、あるいは塩基を発生する化合物を塗布液に添加することも可能である旨が記載されている。
また、特許文献1には、塗布液が光によって酸または塩基を発生する化合物を含有している場合のパターン形成法が、具体例に示されている。特許文献1では、所望のマスクを介して露光した後、加熱を行い、露光によって発生した酸または塩基性化合物の作用により露光部の高分子量化が未露光部より進行し、露光部と未露光部との現像液溶解度差が広がり、解像コントラストが向上するという効果が得られる旨が記載されている。
特開平07−258604号公報
従来より、微細パターンを形成するのに、上記特許文献1に記載のようなネガ型と呼ばれている感光性樹脂組成物が主に用いられている。特許文献1では、上述のように、パターン形成法の具体例が示されているが、該形成法は露光部においてシロキサンポリマーの架橋反応を進行させ、硬化させるものであり、ポジ型ではなくネガ型の感光性樹脂組成物を用いるものであった。
近年、微細パターンを形成するために、ネガ型の感光性樹脂組成物ではなく、ポジ型の感光性樹脂組成物の開発も強く要求されている。
ポジ型の感光性樹脂組成物を用いて微細パターンを形成する際には、ネガ型の感光性樹脂組成物と同様に、形成するパターンに応じて感光性樹脂組成物を露光する。露光の前または後に、必要に応じて熱処理等するなどして、未露光部の感光性樹脂組成物を硬化させ、パターン状の潜像を形成する。次に、感光性樹脂組成物を現像液で現像し、露光部の硬化していない感光性樹脂組成物を除去することにより、未露光部の感光性樹脂組成物からなる薄膜パターンを得ることができる。
ポジ型の感光性樹脂組成物では、特に露光部の感光性樹脂組成物が確実に現像液に溶解し得ることが強く求められていた。しかしながら、従来のポジ型の感光性樹脂組成物では、現像したときに、露光部の感光性樹脂組成物が現像液に十分に溶解しないことがあり、露光部においても感光性樹脂組成物が残存しがちであった。それによって、形成されたパターン膜では、パターン形状に劣りがちであった。
なお、特許文献1には、膜硬化剤として酸及び塩基触媒や、酸、あるいは塩基を発生する化合物が塗布液に含有される旨が記載されているにすぎない。すなわち、特許文献1では、酸及び塩基触媒や、酸、あるいは塩基を発生する化合物を用いることで、硬化性が高め得ることが記載されているにすぎず、これらの化合物のどの種類をどのように組合せて用いるのかについては、特許文献1に特に記載されていない。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、例えばフォトマスク等を用いて選択的に露光され、かつ熱処理されたときに、未露光部において硬化反応を進行させることができ、かつ露光部において硬化反応の進行を十分に抑制することができ、パターン形状に優れた薄膜パターンを得ることができるポジ型感光性樹脂組成物、これを用いた薄膜パターンの製造方法、半導体素子を提供することにある。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有することを特徴とする。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物のある特定の局面では、塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とが、モル比(A)/(B)で0.5〜2.0の範囲で含有されている。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物の他の特定の局面では、アルコキシシランの縮合物100重量部に対して、塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とが、(A)と(B)との合計量で0.4〜30重量部の範囲で含有されている。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物のさらに他の特定の局面では、塩基発生剤(A)が、コバルトアミン錯体、o−アシルオキシム、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート及びアミンイミド化合物からなる群から選択した少なくとも1種の化合物からなる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物のさらに他の特定の局面では、熱酸発生剤(B)が、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩及びスルホン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種の化合物からなる。
本発明に係る薄膜パターンの製造方法では、基板上に、本発明に従って構成されたポジ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成する工程と、形成するパターンに応じて、光線または放射線で感光性樹脂組成物層を選択的に露光し、露光部において塩基発生剤(A)から塩基を発生させ、かつ感光性樹脂組成物層を熱処理し、露光部及び未露光部において熱酸発生剤(B)から酸を発生させ、それによって露光部において塩基発生剤(A)から発生した塩基と熱酸発生剤(B)から発生した酸とを中和させることによりパターン状の潜像を形成する工程と、パターン状の潜像を形成した後、潜像が形成された感光性樹脂組成物層を現像液で現像し、薄膜パターンを得る工程とを備えている。
本発明に係る半導体素子では、ゲート絶縁膜、パッシベーション膜及び層間絶縁膜からなる群から選択された少なくとも1種の膜を備えており、該膜が本発明に従って構成されたポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成された膜とされている。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有するので、例えばフォトマスクを用いて感光性樹脂組成物に光線もしくは放射線の照射することにより、露光部において塩基発生剤(A)から塩基を発生させることができ、さらに感光性樹脂組成物を熱処理することにより、露光部及び未露光部において熱酸発生剤(B)から酸を発生させることができる。
よって、露光部においては、塩基発生剤(A)から発生した塩基と熱酸発生剤(B)から発生した酸との中和反応が起こるので、感光性樹脂組成物の硬化反応が進行し難い。他方、未露光部においては、熱酸発生剤(B)から発生した酸により感光性樹脂組成物を十分に硬化させることができる。よって、露光及び熱処理した後に現像すると、露光部の感光性樹脂組成物を除去することができ、未露光部の感光性樹脂組成物からなるパターン形状に優れた薄膜パターンを得ることができる。
塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とを、モル比(A)/(B)で0.5〜2.0の範囲で含有する場合には、露光部において、露光により塩基発生剤(A)から発生した塩基と、熱処理により熱酸発生剤(B)から発生した酸とを適度に中和させることができる。よって、露光部において、感光性樹脂組成物の硬化がより一層進行し難いので、パターン形状により一層優れた薄膜パターンを得ることができる。
アルコキシシランの縮合物100重量部に対して、塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とを、(A)と(B)との合計量で0.4〜30重量部の範囲で含有する場合には、感光性樹脂組成物の硬化反応をより一層効率的に進行させることができる。さらに、得られた薄膜パターンにおいて、塩基発生剤(A)及び熱酸発生剤(B)に起因する残渣が生じ難い。
塩基発生剤(A)が、コバルトアミン錯体、o−アシルオキシム、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート及びアミンイミド化合物からなる群から選択した少なくとも1種の化合物からなる場合には、感光性樹脂組成物を露光することにより、塩基発生剤(A)から塩基をより一層効率的に発生させることができる。
熱酸発生剤(B)が、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩及びスルホン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種の化合物からなる場合には、感光性樹脂組成物を熱処理することにより、熱酸発生剤(B)から酸をより一層効率的に発生させることができる。
本発明に係る薄膜パターンの製造方法では、基板上に、本発明に従って構成されたポジ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成する工程と、形成するパターンに応じて、光線または放射線で感光性樹脂組成物層を選択的に露光し、露光部において塩基発生剤(A)から塩基を発生させ、かつ感光性樹脂組成物層を熱処理し、露光部及び未露光部において熱酸発生剤(B)から酸を発生させ、それによって露光部において塩基発生剤(A)から発生した塩基と熱酸発生剤(B)から発生した酸とを中和させることによりパターン状の潜像を形成する工程とを備えているので、露光部においてアルコキシシランの縮合物の架橋反応を十分に進行させずに、未露光部においてアルコキシシランの縮合物の架橋反応を十分に進行させることができ、パターン状の潜像を形成することができる。
さらに、本発明では、パターン状の潜像を形成した後、潜像が形成された感光性樹脂組成物層を現像液で現像し、薄膜パターンを得る工程をさらに備えているので、酸やアルカリ等の現像液を用いた現像により、露光部の感光性樹脂組成物層が除去され、未露光部の感光性樹脂組成物からなるパターン形状に優れた薄膜パターンを得ることができる。
本発明に係る半導体素子では、ゲート絶縁膜、パッシベーション膜及び層間絶縁膜からなる群から選択された少なくとも1種の膜を備えており、該膜が本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成された膜とされているため、膜の形状に優れている。
以下、本発明の詳細を説明する。
本願発明者らは、上記課題を達成するために、パターン形成に用いられるアルコキシシランの縮合物を含むポジ型感光性樹脂組成物について鋭意検討した結果、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有させることによって、感光性樹脂組成物を露光及び熱処理した後、現像することにより、露光部の感光性樹脂組成物が十分に除去されてパターン形状に優れた薄膜パターンを得られることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有する。
上記アルコキシシランの縮合物は、アルコキシシランを縮合させて得られた縮合物からなる。アルコキシシランの縮合物は、少なくとも1種含まれており、従って2種以上のアルコキシシランの縮合物が含まれていてもよい。
本発明では、下記式(1)で表されるアルコキシシランを縮合させて得られたアルコキシシランの縮合物を含有することが好ましい。
Si(X)(Y)(Z)4−p−q・・・式(1)
上述した式(1)中、Xは水素又は炭素数が1〜30である非加水分解性の有機基を表し、Yはアルコキシ基を表し、Zはアルコキシ基以外の加水分解性基を表し、pは0〜3の整数を表し、qは1〜4の整数を表し、p+q≦4である。pが2又は3であるとき、複数のXは同一であってもよく異なっていてもよい。qが2〜4であるとき、複数のYは同一であってもよく異なっていてもよい。p+q≦2であるとき、複数のZは同一であってもよく異なっていてもよい。
上記アルコキシ基Y及びアルコキシ基以外の加水分解性基Zは、通常、過剰の水の共存下、無触媒で、室温(25℃)〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、またはさらに縮合してシロキサン結合を形成することができる基である。
上記アルコキシ基Yとしては、特に限定されないが、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。
上記アルコキシ基以外の加水分解性基Zとしては、特に限定されないが、具体的には、塩素、臭素等のハロゲノ基、アミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基等が挙げられる。
上記非加水分解性の有機基Xとしては、特に限定されないが、加水分解を起こし難く、安定な疎水基である炭素数1〜30の有機基が挙げられる。安定な疎水基である炭素数1〜30の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ペンチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基及びエイコシル基等の炭素数1〜30のアルキル基、アルキル基のフッ素化物、塩素化物、臭素化物等のハロゲン化アルキル基(例えば、3−クロロプロピル基、6−クロロプロピル基、6−クロロヘキシル基および、6,6,6−トリフルオロヘキシル基等)、ハロゲン置換ベンジル基等の芳香族置換アルキル基(例えば、ベンジル基、4−クロロベンジル基及び4−ブロモベンジル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、メシチル基、ナフチル基等)、ビニル基やエポキシ基を含む有機基、アミノ基を含む有機基、チオール基を含む有機基等が挙げられる。
上記アルコキシシランの具体例としては、例えば、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、エチルジメチルメトキシシラン、メチルジエチルメトキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、エチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、tert−ブトキシトリメチルシラン、ブトキシトリメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、ジフェニルジエトキシラン、フェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、3−クロロポロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル−トリ−n−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル−トリ−n−プロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル−トリ−n−プロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリプロポキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリプロポキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリプロポキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリプロポキシシラン、エイコシルデシルトリメトキシシラン、エイコシルトリエトキシシラン、エイコシルトリプロポキシシラン、6−クロロヘキシルトリメトキシシラン、6,6,6−トリフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、4−クロロベンジルトリメトキシシラン、4−ブロモベンジルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、N−β−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラアセトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシランを縮合させて得られたアルコキシシランの縮合物がより好ましく用いられる。アルコキシシランの縮合物を構成するに際しては、少なくとも1種のアルコキシシランが用いられていればよく、従って2種以上のアルコキシシランが用いられていてもよい。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)を含有する。
上記塩基発生剤(A)としては、特に限定されないが、例えばコバルトアミン錯体、o−アシルオキシム、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート、アミンイミド化合物などを挙げられ、好ましく用いられる。具体的には、2−ニトロベンジルカルバメート、2,5−ジニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル−N−イソプロピルカルバメート等が挙げられ、より好ましく用いられる。これらの塩基発生剤(A)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
光線もしくは放射線の照射によって塩基が効率的に発生するので、塩基発生剤(A)として、カルバミン酸誘導体、カルバメート及びアミンイミド化合物からなる群から選択した少なくとも1種の化合物がより好ましく用いられる。
上記塩基発生剤(A)として、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生するアミンイミド化合物がさらに好適に用いられる。このようなアミンイミド化合物については、光線もしくは放射線が照射された際に塩基を発生する限り特に限定されない。このようなアミンイミド化合物としては、例えば、下記の一般式(2)または(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008003250
Figure 2008003250
上述した式(2)及び(3)において、R、R、Rは独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数7〜12のフェノキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基及び/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基及び/または電子吸引性基が置換したベンジル基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖上のアルキル基の他に、置換基を有するアルキル基、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等も含む。これらの置換基の中で、合成の簡便性、アミンイミドの溶解性等の点から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のシクロアルキル基、炭素数7〜12のフェノキシアルキル基が好ましい。また、Rは独立に炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基を表す。上記一般式(2)中のArは芳香族基であり、このようなアミンイミド化合物は、例えば特開2003−35949号に開示されているように、本願出願前において知られており、かつ一般的に入手可能である。上記一般式(3)中、Arは芳香族基である。
上記アミンイミド化合物は、光線もしくは放射線が照射された際に、1級もしくは2級アミンを発生する化合物に比べて、塩基発生効率が高い。従って、アミンイミド化合物を含むことが、露光時間の短縮、ひいては製造工程の短縮を図ることができるので、望ましい。
これらの感光剤である塩基発生剤(A)に加え、より感度を高めるために、さらに増感剤を加えてもよい。
上記増感剤としては、特に限定されず、具体的には、ベンゾフェノン、p,p′−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p′−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3′−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)及びコロネン等が挙げられ、好ましく用いられる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、上記光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)に加えて、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)をさらに含有する。
本発明の特徴は、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)に加えて、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)をさらに含有することにある。この構成によって、後に詳述するが、フォトマスクを介して感光性樹脂組成物層に光線もしくは放射線を照射し露光し、さらに熱処理することにより、パターン状の潜像を形成することができる。そして、パターン状の潜像を形成した後、現像液で現像し、露光部を除去することにより、パターン形状に優れた薄膜パターンを得ることができる。
上記熱酸発生剤(B)としては、特に限定されないが、例えばオニウム塩、例えば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩及びスルホン酸エステル等が挙げられ、好ましく用いられる。
上記熱酸発生剤(B)の例としては、ジアゾニウム塩(S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に明記)、アンモニウム塩(米国特許第4 069055号、同4069056号、同再発行27992号の各明細書および特開平4 −365049号公報に明記)、ホスホニウム塩(D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4069055号、同4069056号の各明細書に明記)、ヨードニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許104143号、米国特許第339049号、同410201号の各明細書、特開平2−150848号、同2−296514号の各公報に明記)、スルホニウム塩(J.V.Crivello et al, Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al, J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al, PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al, Macromorecules,14(5),1141 (1981)、J.V.Crivel.lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許370693号、同3902114号、同233567号、同297443号、同297442号、米国特許第4933377号、同161811号、同410201号、同339049号、同4760013号、同4734444号、同2833827号、独国特許第2904626号、同3604580号、同3604581号の各明細書に明記、セレノニウム塩(J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に明記)、およびアルソニウム塩(C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に明記) が挙げられる。オニウム塩の対アニオンの例としては、BF 、PF 、AsF およびSbF などが挙げられる。
これらの熱酸発生剤(B)は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
熱処理によって酸が効率的に発生するので、熱酸発生剤(B)として、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びスルホン酸エステルからなる群から選択した少なくとも1種の化合物がより好ましく用いられる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物では、アルコキシシランの縮合物100重量部に対して、塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とが、(A)と(B)との合計量で0.4〜30重量部の範囲で含有されていることが好ましい。より好ましくは、(A)と(B)との合計量で0.5〜20重量部の範囲である。
塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)との合計量が0.4重量部未満であると、感度が十分でないことがあり、薄膜パターンの形成が困難なことがある。塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)との合計量が30重量部を超えると、ポジ型感光性樹脂組成物を均一に塗布することが困難となり、さらに現像後に残渣が生じることがある。
塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)との配合量は、露光部において塩基発生剤(A)から発生した塩基と熱酸発生剤(B)から発生した酸とが中和するように適宜調整され得る。好ましくは、塩基発生剤(A)と熱酸発生剤(B)とが、塩基発生剤(A)の熱酸発生剤(B)に対するモル比(A)/(B)で0.5〜2.0の範囲で含有されていることが好ましい。より好ましくは、モル比(A)/(B)で0.6〜1.8の範囲である。
モル比(A)/(B)が2.0を超えると、塩基発生剤(A)から発生する塩基が多すぎて露光部において感光性樹脂組成物が硬化し易くなる。一方、モル比(A)/(B)が0.5未満であると、熱酸発生剤(B)から発生する酸が多すぎて露光部において感光性樹脂組成物が硬化し易くなる。
本発明においては、アルコキシシランの縮合物と、塩基発生剤(A)と、熱酸発生剤(B)とに加えて、適宜の溶剤がさらに添加され得る。溶剤を添加することにより、容易に塗布し得るポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
上記溶剤としては、アルコキシシランの縮合物を溶解し得る限り、特に限定されないが、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、テトラヒドロナフタレン、スクワランなどの飽和または不飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、ステアリン酸ブチルなどのエステル類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤の配合割合は、例えば基板上にポジ型感光性樹脂組成物を塗工し、感光性樹脂組成物層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。好ましくは、ポジ型感光性樹脂組成物の濃度は、固形分濃度で、0.5〜60重量%、より好ましくは、2〜40重量%程度とされる。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、他の添加剤をさらに添加してもよい。このような添加剤としては、充填剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤などが挙げられる。
本発明に係る薄膜パターンの製造方法は、例えば図1(a)に示すように、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層1を形成する工程と、次に、パターンに応じたフォトマスク3を用いて、感光性樹脂組成物層1を選択的に露光し、露光部の感光性樹脂組成物層1Aにおいて塩基発生剤(A)から塩基を発生させて、かつ露光部の感光性樹脂組成物層1A及び未露光部の感光性樹脂組成物層1Bを熱処理し、熱酸発生剤(B)から酸を発生させてパターン状の潜像を形成する工程(図1(b))と、潜像が形成された露光部の感光性樹脂組成物層1Aをアルカリ水溶液にて現像し、未露光部において感光性樹脂組成物層からなる薄膜パターンを得る工程(図1(c))とを備える。
ここで、現像とは、アルカリ水溶液に、潜像が形成された露光部及び未露光部の感光性樹脂組成物層1A,1Bを浸漬する操作の他、該感光性樹脂組成物層1A,1Bの表面をアルカリ水溶液で洗い流す操作、あるいはアルカリ水溶液を上記感光性樹脂組成物層1A,1B表面に噴射する操作など、アルカリ水溶液で感光性樹脂組成物層1A,1Bを処理する様々な操作を含むものとする。なお、現像液としては、アルカリ水溶液に限らず、酸性水溶液や各種溶媒を用いてもよい。溶媒としては、前述した各種溶剤が挙げられる。酸性水溶液としては、シュウ酸、ギ酸、酢酸等が挙げられる。
上記感光性樹脂組成物層を形成する工程は、特に限定されないが、例えば本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物を図1に示す基板2上に付与し、感光性樹脂組成物層1を形成する方法が挙げられる。この場合の具体的な方法としては、一般的な塗工方法を用いることができ、例えば、浸漬塗工、ロール塗工、バー塗工、刷毛塗工、スプレー塗工、スピン塗工、押出塗工、グラビア塗工などを使用することができる。ポジ型感光性樹脂組成物が塗工される基板としては、シリコン基板、ガラス基板、金属板、プラスチックス板などが用途に応じて用いられる。感光性樹脂組成物層の厚さは、用途によって異なるが、10nm〜10μmが目安となる。基板上に塗工された感光性樹脂組成物層は、感光性樹脂を溶解させるために溶剤を用いた場合、その溶剤を乾燥させるために加熱処理することが望ましい。加熱処理温度は、一般には40℃〜200℃であり、溶剤の沸点や蒸気圧に応じて適宜選択される。
感光性樹脂組成物層を基板上に形成し、該感光性樹脂組成物層をフォトマスクで被覆して光をパターン状に照射する。これにより、必要なパターン形状の潜像を形成することができる。フォトマスクとしては、市販されている一般的なものを用いればよい。
紫外線や可視光線などの光線、もしくは放射線を照射するための光源としては、特に限定されないが、超高圧水銀灯、Deep UV ランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。これらの光源は、塩基発生剤(A)または増感剤の感光波長に応じて適宜選択される。光の照射エネルギーは、所望とする膜厚や塩基発生剤(A)または増感剤の種類にもよるが、一般に、10〜1000mJ/cmの範囲である。10mJ/cmよりも小さいと、アルコキシシランの縮合物が十分に感光しない。また、1000mJ/cmより大きいと露光時間が長くなるおそれがあり、薄膜パターンの時間あたりの製造効率が低下するおそれがある。
本発明では、上記溶剤を乾燥させる加熱処理工程により感光性樹脂組成物層が熱処理されるか、もしくは露光前または後あるいは露光と同時に、感光性樹脂組成物層が熱処理される。好ましくは、露光した後に感光性組成物層が熱処理される。感光性樹脂組成物を熱処理することにより、熱酸発生剤(B)から酸が発生する。
熱処理の温度としては、使用する熱酸発生剤(B)に応じて適宜選択され得るが、好ましくは、150〜350℃の範囲である。
パターン形状に光照射された感光性樹脂組成物層の露光部分では、露光により塩基発生剤(A)から生じた塩基と、熱処理により熱酸発生剤(B)から生じた酸との中和反応が起こり、アルコキシシランの縮合物の架橋が進行し難い。一方、未露光部では、熱処理により熱酸発生剤(B)から生じた酸の作用により、アルコキシシランの縮合物の架橋が進行する。そのため、未露光部分では架橋が進行した結果、現像液に不溶となる。
露光後の感光性樹脂組成物層を現像液を用いて現像することにより、感光性樹脂組成物層の露光部分が現像液に溶解して除去され、未露光部分が基板上に残る。その結果、薄膜パターン1Cが形成される。この薄膜パターンは、露光部分が除去されることから、ポジ型パターンといわれるものである。すなわち、このポジ型感光性樹脂組成物は、露光部分で塩基発生剤から発生した塩基が熱酸発生剤から発生した酸と中和することによって、露光部分において塩基発生剤(A)から発生した塩基が作用するのを防止するものである。
現像液としては、防爆設備が不要であり、腐蝕等による設備負担も少ないので、アルカリ水溶液が好ましく用いられる。例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、珪酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液が挙げられる。現像に要する時間は、感光性樹脂組成物層の厚みや溶剤の種類にもよるが、効率良く現像でき製造効率が高められるため、10秒〜5分の範囲が好ましい。現像後に得られた薄膜パターンは、蒸留水で洗浄され、薄膜上に残存しているアルカリ水溶液を除去することが好ましい。
なお、本発明に係る感光性樹脂組成物は、様々な装置において、膜パターンを形成するのに好適に用いられるが、電子機器の絶縁保護膜に上記膜パターンが好適に用いられる。電子機器の絶縁保護膜として、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて構成された膜パターンを用いることにより、得られた絶縁保護膜の形状安定性を効果的に高めることができる。このような電子機器の絶縁保護膜の例としては、例えば、液晶表示素子において、薄膜トランジスタ(TFT)を保護するためのTFT保護膜や、カラーフィルタにおいてフィルタを保護する保護膜などが挙げられる。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、半導体素子の層間絶縁膜、あるいはパッシベーション膜を構成するのにより好適に用いられる。
図2は、本発明に係る感光性樹脂組成物からなるパッシベーション膜および層間絶縁膜を備える半導体素子を模式的に示す正面断面図である。
図2に示す半導体素子11では、基板12の上表面の中央にゲート電極13が設けられている。ゲート電極13を覆うように、基板12の上表面にゲート絶縁膜14が形成されている。ゲート絶縁膜14上に、ソース電極15とドレイン電極16とが設けられている。ソース電極15の一部及びドレイン電極16の一部を覆うように、ゲート絶縁膜14上に半導体層17が形成されている。さらに、ソース電極15及びドレイン電極16の半導体層17により覆われていない部分と半導体層17とを覆うように、パッシベーション膜18が形成されている。半導体素子11では、上記ゲート絶縁膜14及びパッシベーション膜18が、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いて形成された膜である。
感光性樹脂組成物を用いて形成された膜は、様々な用途に用いられる。ここで、「感光性樹脂組成物を用いて形成された膜」とは、熱や光線若しくは放射線などのエネルギーを感光性樹脂組成物に与えて架橋構造を導入して得られた膜であることを意味する。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、例えば、有機EL素子のTFT保護膜、ICチップの層間保護膜、センサの絶縁層などの様々な電子機器用絶縁保護膜としても広く用いられ得る。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(使用した材料)
〔アルコキシシランの縮合物〕
冷却管をつけた100mlのフラスコにフェニルトリエトキシシラン5g、トリエトキシシラン10g、シュウ酸0.5g、水5ml及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50mlを加えた。半円形型のメカニカルスターラーを用いて溶液を撹拌し、マントルヒーターで70℃・6時間反応させた。次いでエバポレーターを用いて水との縮合反応で生成したエタノールと残留水とを除去した。反応終了後、フラスコを室温になるまで放置し、アルコキシシランの縮合物を調製した。
〔光塩基発生剤(A)〕
(A1)カルバメート系化合物(CAS No.119137−03−0、ミドリ化学社製、商品名:NBC−101、λmax:254nm)
(A2)カルバメート系化合物(CAS No.196599−80−1、ミドリ化学社製、商品名:ANC−101、λmax:280.5nm)
〔熱酸発生剤(B)〕
(B1)シクロヘキシル−p−トルエンスルホネート
(B2)シクロヘキシル−2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート
(実施例及び比較例の感光性樹脂組成物の調製)
上記アルコキシシランの縮合物と、上記塩基発生剤(A)と、上記熱酸発生剤(B)とを下記表1に示す配合割合で混合した後、溶剤であるテトラヒドロフラン500重量部に溶解させ、感光性樹脂組成物を調製した。
(実施例及び比較例の評価)
基材として、表層にアルミニウムが蒸着されたガラス基板を用い、このガラス基板上に実施例及び比較例の各感光性樹脂組成物を回転数1500rpmでスピン塗工した。塗工後、80℃の熱風オーブンで乾燥させ塗膜を形成した。
次に、所定のパターンを有するフォトマスクを介して低圧水銀灯を用い、塗膜に254nmの波長の紫外線を、照射エネルギーが500mJ/cmとなるように100mW/cmの紫外線照度で5秒間照射した。
次に、塗膜を150℃の熱風オーブンで5分間熱処理した。その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液に、塗膜を浸漬して現像し、薄膜パターンを形成した。
上記のようにして得られた薄膜パターンについて、パターン形状を下記評価基準で評価した。
〔パターン形状の評価基準〕
○:良好なパターンを形成
△:部分的にしかパターンが形成されず
×:パターンが形成されず
結果を下記表1に示す。
Figure 2008003250
(a)〜(c)は、本発明に係るポジ感光性樹脂組成物を用いて薄膜パターンを形成する方法を説明するための各工程の断面図。 本発明に係るポジ感光性樹脂組成物からなるパッシベーション膜および層間絶縁膜を備える半導体素子を示す正面断面図。
符号の説明
1…感光性樹脂組成物層
1A…感光性樹脂組成物層
1B…感光性樹脂組成物層
1C…薄膜パターン
2…基板
3…フォトマスク
11…半導体素子
12…基板
13…ゲート電極
14…ゲート絶縁膜
15…ソース電極
16…ドレイン電極
17…半導体層
18…パッシベーション膜

Claims (7)

  1. アルコキシシランの縮合物と、光線もしくは放射線の照射により塩基を発生する塩基発生剤(A)と、熱の作用により酸を発生する熱酸発生剤(B)とを含有することを特徴とする、ポジ型感光性樹脂組成物。
  2. 前記塩基発生剤(A)と前記熱酸発生剤(B)とを、モル比(A)/(B)で0.5〜2.0の範囲で含有する、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  3. 前記アルコキシシランの縮合物100重量部に対して、前記塩基発生剤(A)と前記熱酸発生剤(B)とを、(A)と(B)との合計量で0.4〜30重量部の範囲で含有する、請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 前記塩基発生剤(A)が、コバルトアミン錯体、o−アシルオキシム、カルバミン酸誘導体、ホルムアミド誘導体、第4級アンモニウム塩、トシルアミン、カルバメート及びアミンイミド化合物からなる群から選択した少なくとも1種の化合物からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 前記熱酸発生剤(B)が、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩およびスルホン酸エステルからなる群からから選択された少なくとも1種の化合物からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 基板上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成する工程と、
    形成するパターンに応じて、光線または放射線で前記感光性樹脂組成物層を選択的に露光し、露光部において前記塩基発生剤(A)から塩基を発生させ、かつ前記感光性樹脂組成物層を熱処理し、露光部及び未露光部において前記熱酸発生剤(B)から酸を発生させ、それによって露光部において前記塩基発生剤(A)から発生した塩基と前記熱酸発生剤(B)から発生した酸とを中和させることによりパターン状の潜像を形成する工程と、
    前記パターン状の潜像を形成した後、潜像が形成された前記感光性樹脂組成物層を現像液で現像し、薄膜パターンを得る工程とを備えることを特徴とする、薄膜パターンの製造方法。
  7. ゲート絶縁膜、パッシベーション膜及び層間絶縁膜からなる群から選択された少なくとも1種の膜を備え、該膜が請求項1〜5のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成された膜であることを特徴とする、半導体素子。
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