JP2008003004A - 反応性物質の反応方法、その反応装置、及び基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】少量の検体でより多くの塩基配列の情報を獲得することができ、かつ、複数種の核酸プローブの中から適切なプローブへ標的核酸を付与することで反応検出を効率的に行いうる反応性物質の反応方法、その反応装置等を提供する。
【解決手段】検出用基板108上に第1の溶液(核酸プローブ)による検出用プローブパターンを形成し、第1の溶液における揮発物質の揮発後に、検出用プローブパターン上に第2の溶液(標的核酸)によるスポット状パターンの形成を行い、第1の溶液及び第2の溶液のハイブリダイゼーション反応を起こす。この際、該反応に寄与しない液滴噴射を行い、例えば両液によるパターンを所望の位置に形成させるための基準位置パターン113を設けることからなる。
【選択図】図14

Description

本発明は、反応性物質の反応方法、その反応装置、及び基板に関し、特に、DNAチップ、プロテイン(蛋白質)チップ等のバイオチップ(マイクロアレイ)を液体噴射原理によって製作する技術に関するものである。
近年、ゲノムプロジェクトの進展により、各生物の遺伝子構造が次々に明らかになってきており、この成果を生命現象の解析に結び付けるためにも、DNAの塩基配列の解読、及び遺伝子情報の機能解析が課題となっている。そこで、細胞内における全ての遺伝子の発現量を一度にモニタリングするためのシステムとして、DNAマイクロアレイが利用されている。
このDNAマイクロアレイを利用したモニタリングシステムでは、細胞や組織から抽出したmRNAやtotalRNAから逆転写反応を行ってプローブDNA(核酸プローブ)を調製し、スライドガラス等の基板上に高密度にスポッティングした後、蛍光色素で標識されたターゲットDNA(標的核酸)をハイブリダイズ(相補核酸鎖の相互作用)させ、蛍光パターンを観察することにより、遺伝子発現量を評価している。
当該アレイのサイズは、通常1cm2〜10cm2で、この領域に数千〜数万種のプローブDNAを高密度にスポッティングする必要があり、その製造手法として、固相上にプローブDNAを合成していく手法と、予め合成されたプローブDNAを固相上に固定する手法がある。プローブ精製の容易性等の観点から、後者の手法を用いるのが主流となっており、従来では、接触ピンやフォトマスクを用いる方式が用いられていた。
しかし、接触ピンによる方式では、ペン先をDNA溶液中に浸し、表面張力で溶液を掬い上げ、ペン先を固相上に打ち付けてその衝撃力でスポットするため、固相上へ供給される液滴の供給量が不安定なうえに、固相上のスポット形状が不規則になり、さらに接触ピンの洗浄が不十分な場合にはクロスコンタミネーションが生じうるという不都合がある。さらに、作業に長時間を要するため、効率的ではない。
また、フォトマスクによる方式では、一度に大量のプローブを固定することができるが、露光・現像工程に長時間を要し、さらにフォトマスクの作製に手間がかかるという欠点がある。
このため、最近では、インクジェットヘッド(微小液滴吐出ヘッド)を用いたプローブDNAの固相上へのスポッティング技術が開示されている。インクジェットヘッドを用いることにより、溶液吐出の高速性及び吐出制御の正確性に加えて、インクジェットヘッドの駆動信号を制御するだけで固相上へのプローブの配列パターンを容易に変更できるため、使用目的に応じた検査チップ等の作製が可能となり、利便性の点において格段に優れている。
例えば特許文献1では、マトリクス状に配置した各区画に検出用プローブを結合させた検出用基板を用いて、対象成分の核酸分子を含む検体試料の溶液複数種を各区画上に僅かな液量のアレイ状にスポットし、この微小液滴内でハイブリダイゼーション反応を行うことで、検体試料中の対象成分を検出する方法が開示されている。
また、例えば特許文献2では、固相表面上に形成されるたんぱく質を含むプローブからなるスポットの形状を、記号、文字、数字等の非円形にし、また位置情報を持たせることで、目的のスポットが容易に認識できるようにする技術が提案されている。
特開2002−65274号公報 特開2005−77182号公報
プローブアレイを用いて核酸の塩基配列決定を行う場合には、できる限り多種の核酸プローブを固相上に配置しておくことが好ましい。また、遺伝子の変異の検出を効率的に行う場合、それぞれの変異に対応した配列を有する核酸プローブを固相上に配置させるとともに、各変異が得られるように標的核酸を適切な核酸プローブへ付与できることが好ましい。ただし、噴射後の溶液のパターンを他の用途で有効活用する観点から、標的拡散の付与は反応に関与しない溶液噴射であることが望ましい。さらに、サンプル中の標的核酸の検出や、遺伝子の変異、欠損の検出に当たっては、被験者からのサンプルの採取、具体的には血液等の採取はできる限り少量にとめておくことが好ましく、よって少量の検体でできる限り多くの塩基配列の情報を獲得できることが求められる。
そこで、本発明は、上述のごとき実情に鑑み、少量の検体でより多くの塩基配列の情報を獲得することができ、かつ、複数種の核酸プローブの中から適切なプローブへ標的核酸を付与することで反応検出を効率的に行いうる反応性物質の反応方法、その反応装置等を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、反応性物質を含有する溶液を、基板保持手段に保持された基板にインクジェット原理による噴射する溶液噴射工程と、溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出工程と、前記基準位置検出工程により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段の保持位置及び前記溶液噴射工程による噴射位置とを相対的に移動させる移動工程とを有し、前記溶液噴射工程により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応方法であって、前記溶液噴射工程は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射工程と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射工程とを有し、該反応方法は、前記第1の溶液噴射工程により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射工程が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の反応性物質の反応方法において、前記第1の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第2の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の反応性物質の反応方法において、前記第1の溶液噴射工程は、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d≧√2・D1pとなるように溶液噴射を行い、前記第2の溶液噴射工程は、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d<D2pとなるように溶液噴射を行うことを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の反応性物質の反応方法において、前記第1の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第2の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1又は4に記載の反応性物質の反応方法において、前記第1の溶液噴射工程は、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d<D1pとなるように溶液噴射を行い、前記第2の溶液噴射工程は、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d≧√2・D2pとなるように溶液噴射を行うことを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の反応性物質の反応方法において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液のいずれか又は前記第1の溶液及び前記第2の溶液の両方を噴射付与することを特徴とする。
また、請求項7記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の反応性物質の反応方法において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液とは別の溶液を噴射付与することを特徴とする。
また、請求項8記載の発明は、反応性物質を含有する複数種類の溶液が付与される基板を保持する基板保持手段と、前記基板と相対する位置に配置されインクジェット原理による溶液噴射を行う溶液噴射手段と、溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出手段と、前記基準位置検出手段により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段と前記溶液噴射手段とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記溶液噴射手段により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応装置であって、前記溶液噴射手段は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射手段と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射手段とを有し、該反応装置は、前記第1の溶液噴射手段により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射手段が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うことを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の反応性物質の反応装置において、前記基準位置は、複数の前記基板それぞれに、前記反応に関与しない溶液噴射により書き込まれたパターンで決められた位置であり、前記検出手段により光学的に検出されるとともに、前記溶液噴射手段は、該検出情報に基づいて求められた付与位置に対して、前記第1の溶液及び第2の溶液を付与することを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項9記載の反応性物質の反応装置において、前記パターンは、複数の前記基板の識別情報を含むことを特徴とする。
また、請求項11記載の発明は、請求項8から10のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記基板の被溶液付与面は、前記基板保持手段と前記溶液噴射手段との相対的な移動により形成されるとともに、前記溶液噴射手段の溶液噴射口面を含む仮想平面の位置から離間し、前記基板保持手段は、前記仮想平面の位置を基準として、基板保持部分を前記基板の被溶液付与面より遠い位置としたことを特徴とする。
また、請求項12記載の発明は、請求項8から11のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記溶液噴射手段は、複数が一体化した構造をなし、各噴射口面が同じ平面状である仮想同一平面を構成するとともに、前記仮想同一平面に位置する前記噴射口面における各噴射口領域は互いに独立していることを特徴とする。
また、請求項13記載の発明は、請求項8から12のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記第1の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第2の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする。
また、請求項14記載の発明は、請求項8から12のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記第1の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第2の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする。
また、請求項15記載の発明は、請求項8から14のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液のいずれか又は前記第1の溶液及び前記第2の溶液の両方を噴射付与することを特徴とする。
また、請求項16記載の発明は、請求項8から14のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液とは別の溶液を噴射付与することを特徴とする。
また、請求項17記載の発明は、請求項8から16のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置に使用される基板において、前記基板は、前記溶液が噴射付与される面と、該噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面とを有し、前記溶液が噴射付与される面の表面粗さが前記端面の表面粗さより滑らかであることを特徴とする。
また、請求項18記載の発明は、請求項17に記載の基板において、前記溶液が噴射付与される面と、該噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面が形作るコーナー部を面取りした面取り面とを有し、前記面取り面の表面粗さが前記溶液が噴射付与される面の表面粗さより粗いことを特徴とする。
また、請求項19記載の発明は、請求項17又は18に記載の基板において、請求項8から16のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置によって反応が行われたことを特徴とする。
本発明によれば、少量の検体でより多くの塩基配列の情報を獲得することができ、かつ、複数種の核酸プローブの中から適切なプローブへ標的核酸を付与することで反応検出を効率的に行いうる反応性物質の反応方法、その反応装置等が実現される。
DNA(Deoxyribo Nucleic Acids :デオキシリボ核酸)チップ(DNAマイクロアレイともいう)とは、DNAの塩基の相補性を利用し、検査を行うためのものである。DNAとは、塩基、糖(デオキシリボース)及びリン酸が結合したもの(ヌクレオチド)がさらに結合し、最終的には2重らせん形となったものである。ここで、塩基はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類がある。なお、ここでいうDNAとは、逆転写酵素を用いてRNA(リボ核酸)に基づいて相補的に生成されたcDNA(complementary DNA)も含むものとする。
本発明は、これらDNAを基板上に付与しアレイ化してなる各種チップを製作するためのものである。その際、DNAを含む溶液を付与する場合に、インクジェット原理の溶液噴射手段を利用するものである。
<実施形態1>
まず、本発明の第1の実施形態である反応性物質の反応装置について説明する。図1及び図2を用いて、本実施形態の反応装置における液体噴射ヘッド100について説明する。なお、この例では噴射ノズル(噴射口、出口)1を7個示しているが、必ずしもこの数に限定されるものではない。
この液体噴射ヘッド100は、溶液56が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたもの(ピエゾ方式)である。ここで溶液はDNAを含む溶液であるが、それについて後に詳述する。
ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図1(a)に示すようにピエゾ素子46を歪ませると、流路45の容積が減少するとともに圧力波が発生し、その圧力波によって噴射ノズル1から液滴43が吐出する。図1(b)は、ピエゾ素子46の歪みがなくなって流路45の容積が増大した状態である。
ここで噴射ノズル1直前の流路45に導入される溶液56は、フィルター57を通過してきたものである。本実施形態ではこのように、フィルター57を噴射ヘッド内に設け、ノズル目詰まりの原因となる異物を除去する機能を噴射ノズル1の最近傍に持たせている。このようにすることにより、本実施形態の溶液中の異物粒子をトラップし、基板上にDNAアレイを良好に形成できるようにしている。
このようなフィルター57は、小型の簡易フィルターとすることによって、図2に示したように液体噴射ヘッド100内に組み込むことが可能となっている。そして、液体噴射ヘッド100そのものもコンパクト化を実現できている。このようなフィルター57は、例えばステンレスメッシュフィルターが好適に用いられ、その孔径(フィルターメッシュサイズ)は0.8μm〜2μmとされる。
次に、液体噴射ヘッド100の他の例について、図3を用いて説明する。この例は、サーマル方式(バブルジェット(登録商標)方式)の液体噴射ヘッド100の例であり、液滴噴射の原動力は、DNA溶液中で瞬時に発生する膜沸騰気泡の成長作用力である。また、ここで示した液体噴射ヘッドは、溶液が流れる流路端部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
ここでは、液体噴射ヘッド100のノズル数を4個とした例を示している。この液体噴射ヘッド100は、発熱体基板66と蓋基板67とを接合させることにより形成されており、発熱体基板66は、シリコン基板68上にウエハプロセスによって、個別電極69と共通電極70とエネルギー作用部である発熱体71とを形成することによって構成されている。
一方、蓋基板67には、機能性材料を含有する溶液が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される該溶液を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基板66と蓋基板67とを図3に示すように接合させることにより、流路及び共通液室が形成される。
なお、発熱体基板66と蓋基板67とを接合させた状態においては、流路の底面部に発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された溶液の一部を液滴として吐出させるためのノズル65が形成されている。ここではノズル形状は矩形であるが、これは丸形状あるいは半円形状であってもよい。
さらに、より高い噴射安定性を考慮して、端面(ノズル65の領域)に別途ノズルプレートを設け、所望のノズル径、ノズル形状(例えば丸形状)としてもよい。その場合のノズルプレートとしては、例えばNi等が用いられ、エレクトロフォーミング等の手法によって高精度なものが形成できる。あるいは、樹脂フィルム(基板)にエキシマレーザー加工によってノズル孔を穿孔したものを用いてもよい。
なお、蓋基板67には、供給手段(不図示)によって供給液室内に溶液を供給するための溶液流入口76が形成されている。
後述するが、本実施形態ではDNA溶液を非接触噴射し、DNAプローブを「ベタ塗り」形成(ある一定領域を全被覆)するプロセスもある。その際、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッド100を用いると大変効率的にDNAプローブを形成することができる。
なお、この例では4ノズルの液体噴射ヘッド100を示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほどDNAプローブの形成が効率的になることは言うまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば液体噴射ヘッド100も高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストとDNAチップの製作効率のバランス)を考えて決められる。
また後述するが、本実施形態では、1種類のDNA溶液を多数のノズルによって噴射するよりも、複数種類のDNA溶液をその溶液にあわせて用意し噴射するという方法が主たる使用法である。よって、複数個の噴射ヘッド100をDNA溶液にあわせて用意する場合も、装置全体のバランスを考えて噴射ヘッドの数が決められる。
図4は、このようにして製作されたマルチノズル型の液体噴射ヘッド100をノズル側から見た図を示している。本実施形態では、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッド100を図5に示すように、噴射するDNA溶液ごとに設け、キャリッジ搭載される。図6はその斜視図である。
図5、図6には、それぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッド100をA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dは、ノズル部分が液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに、液体噴射ヘッドごとに異なる種類のDNA溶液を噴射することができる。
これらの各液体噴射ヘッドA、B、C、Dは一体化されているので、そのノズル部分(噴射口領域)はほぼ同じ平面状にある。いうなれば、これらのノズル部分(噴射口領域)は仮想同一平面を構成している。今これが仮想ではなく、例えば共通の1枚のノズルプレートに複数個吐出口を形成したような噴射ヘッドユニットであったとすると、このノズルプレートを伝わって、隣接する噴射口から吐出する溶液で、異なる溶液同士が互いに混じり合うということが起こる。
本実施形態ではこれを避けるために、異なるDNA溶液を噴射する噴射口領域は、前記の仮想同一平面内に位置していても、互いに独立した構造となるように構成している。そして、その各DNA溶液は、例えばノズルの外側面を伝わって互いが混じらないようにしている。すなわち、各液体噴射ヘッドA、B、C、Dは、それぞれ別々に形成された噴射ヘッドを積層し,そのノズル面が隣接噴射ヘッドで微小段差ができるようになっている(図6では微小段差は単に線で示している)。つまり、ディスクリート構造になっている。
あるいは、図示しないが、このように積層する際に、各噴射ヘッドの間に離間部材を設けたり、物理的な空隙を設けたりして積層するように構成してもよい。
このような構成をとることにより、本実施形態においては、隣接する噴射口間において異なる溶液が噴射口の外側を伝って混じり合い、反応精度を低下させるということがなくなる。
なお、上記説明では液体噴射ヘッド100としてピエゾ方式とサーマル方式(バブルジェット(登録商標)方式)の例を挙げたが、任意の液滴を定量吐出できるものであれば他の方式でもよい。つまり、0.1pl〜数100pl程度の液滴を形成できるインクジェット原理のものであれば、これらの方式に限らず他の方式でもよい。
次に、このような液体噴射ヘッド100をDNA溶液噴射手段として用いた反応性物質の反応装置について、図7を参照しながら説明する。ここで、液体噴射ヘッド100は上記説明(図6)のような積層構造のものであるが、図3のようなものを積層せずに複数つなぎ合わせた構成(例えばラインヘッド構成)としてもよい。
Y方向駆動軸102には、Y方向駆動モータ103が接続されている。Y方向駆動モータ103は、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からY軸方向の駆動信号が供給されると、Y方向駆動軸102を回転させる。Y方向駆動軸102が回転させられると、液体噴射ヘッド100は、Y方向駆動軸102の方向に沿って移動する。X方向ガイド軸104は、基台106に対して動かないように固定されている。
作業台101は、製造すべき検出用基板108を複数枚設置させることができ、図7の例では、検出用基板108は、作業台101上に48枚(8×6)並べられている。また、作業台101には作業台駆動モータ105が備えられている。作業台駆動モータ105も、例えばステッピングモータ等である。制御手段107からX軸方向の駆動信号が供給されると、作業台101をX軸方向に移動させる。
すなわち、作業台101をX軸方向に駆動し、液体噴射ヘッド100をY軸方向に駆動させることで、液体噴射ヘッド100を複数個配置された検出用基板108上のいずれの場所にも自在に移動させることができる。また、検出用基板108に対する液体噴射ヘッド100の相対速度も、各軸方向の駆動機構によって駆動する作業台101と液体噴射ヘッド100の速度によって定まる。
制御手段107は、液体噴射ヘッド100の液滴吐出用の電圧を印加し、液滴吐出の制御を行う。また、Y方向駆動モータ103には、液体噴射ヘッド100のY軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。作業台駆動モータ105には、作業台101のX軸方向の移動を制御する駆動信号を送信する。
なお、本実施形態では、液体噴射ヘッド100はY軸方向にしか移動せず、X軸方向については作業台101が移動するようにした。これを逆にしてもよいし、また、液体噴射ヘッド100若しくは作業台101のどちらか一方、又は双方がX軸方向及びY軸方向の双方に移動できるようにしてもよい。
また、液体噴射ヘッド100をカートリッジ化し、駆動制御部分から着脱自在にすることで容易にヘッドを交換でき、DNA溶液を換えて噴射する場合に洗浄を行う必要がないので、時間等を節約することができる。さらに、他のDNA溶液と混じり合うこともなく、クロスコンタミネーションを防止することができる。
このような液体噴射ヘッド100は、前述のように、噴射付与する溶液に応じて(検出用プローブ溶液と検体溶液に応じて、あるいはプローブ用、検体用溶液の種類に応じて)、それぞれ別々の液体噴射ヘッド(A、B、C、D・・・等)となっており、液体噴射ヘッドごとに異なる種類の溶液を噴射することができる。そしてそれは、本発明の主たる目的である反応を行うために溶液噴射付与を行うという用途の他に使用することも可能であるが、それについては後述する。
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態である反応性物質の反応方法について説明する。本実施形態の反応方法は、塩基配列が既知であり、相対的に入手が容易なオリゴヌクレオチドを検出用プローブとして用い、限られた試料量の検体について、検出用プローブの前記オリゴヌクレオチドに対する結合性の有無、あるいは、その結合能の強弱を、そして、両者間での複合体形成の有無、あるいは、その効率を評価する際に、検出用プローブである各オリゴヌクレオチド一種当たりの評価に要する検体の消費量をより僅かな量とすることが可能な、新規な検出方法である。
より具体的には、検出用プローブのオリゴヌクレオチド複数種がマトリクス状に配置されてなるDNAプローブ・マトリクスを検出用基板に利用し、マトリクスの各区画に固着されている既知の塩基配列を有するDNAプローブに対して、ハイブリダイゼーションするか否かを検出して、多数の検体サンプルについて、その中に特定の塩基配列を有する核酸分子が含有されるか否かの検定を同時に行う場合、各DNAプローブ当たりに要する検体の消費量を低減した際にも、十分に高い検出感度を達成することが可能な核酸分子の検出方法の形態として好適に利用可能な、新規な検出方法である。
本実施形態では、検出用プローブとして、その塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを用いる。より具体的には、後述するが、このオリゴヌクレオチドを、グリセリン、尿素、チオジグリコール等を含む溶液に8%ほど含む溶液(第1の溶液)とするとともに、このオリゴヌクレオチドと結合能を有する対象成分(例えば核酸分子)を検出する際、表面に検出用プローブとなるオリゴヌクレオチドを固定した検出用基板を対象成分(例えば核酸分子)に含む溶液(第2の溶液)に浸し、ハイブリダイゼーション反応を行う。
なお、プローブのオリゴヌクレオチドと対象成分(例えば核酸分子)との複合体を形成し、然るべき標識を利用して該複合体を検出する手法が利用されるが、本実施形態では、対象成分(例えば核酸分子)を含む溶液(第2の溶液)に検出用基板を浸す代わりに、所定の区画にプローブのオリゴヌクレオチドを固定しておき、この区画上に対象成分(例えば核酸分子)を含む溶液(第2の溶液)をインクジェット原理の溶液噴射ヘッドにより、一定の液量を非接触でスポット状に付与し、かかる微小液滴内でハイブリダイゼーション反応を行うようにしている。
その結果得られる複合体を、顕微検出系等を利用してスポット位置を選択しつつ検出することにより、高い検出精度、また感度を得ているのである。本実施形態の手法を用いると、プローブのオリゴヌクレオチドに作用させる試料溶液(第2の溶液)は、各プローブのオリゴヌクレオチド当たり、スポットの微小液滴に用いる液量を要するのみであり、プローブのオリゴヌクレオチドが複数種あったとしても、その合計液量は、検出用基板全体を浸すに要する液量よりはるかに少量とすることができる。
加えて、検体試料ごとにそれぞれ一定の液量をスポット状に載せるため、隣接するスポット間で互いの液滴が混合を生じないように、スポット径とスポット間隔を選択することにより、一度に複数の検体試料に関して、本質的に同じ条件の下で各プローブのオリゴヌクレオチドに対して結合能を示す対象成分(例えば核酸分子)の有無を、同じ感度、精度で検出・評価できる。
したがって、各プローブのオリゴヌクレオチドを検出用基板上の所定の区画内に均一に固定し、その区画相互間で、プローブのオリゴヌクレオチド間の混合・汚染を生じないようにし、さらに、この区画複数を整然とマトリクス状に配置し、また、各区画内にスポットする検体試料複数に関して、そのスポットをも整然と並んだアレイ・マトリクス状に行うと、結果として、検出用プローブ多種に対し、検体試料多数に関して、一度にその検出操作を実施することも可能となる。
すなわち、本実施形態の検体試料中の対象成分の検出方法は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを検出用プローブとして用い、前記オリゴヌクレオチドに対する結合能を有する対象成分が液状の検体試料中に含有されるか否か、あるいは、その結合能の強弱を評価するため、オリゴヌクレオチドと対象成分との間で形成される複合体を検出する方法であって、検出用プローブとして用いる、前記塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドが、少なくとも一種以上あるものである。また、評価の対象となる検体試料が少なくとも二種以上であるものである。
このような1種以上の検出用プローブ用オリゴヌクレオチドが、所定の固相基板上、それぞれ所定の区画に予め結合してなる検出用基板を用い、検出用プローブ用オリゴヌクレオチドが予め結合されている各区画内に、2種以上の検体試料それぞれについて、スポット位置が規定のアレイ形状をなすように、スポットごとに所定の試料液量を複数個スポットする工程と、各検体試料に対する複数個のスポットについて、それぞれオリゴヌクレオチドと対象成分との間で形成される複合体の有無を検出する工程と、検出結果に基づき、オリゴヌクレオチドに対する結合能を有する対象成分が含有されるか否か、あるいは、その結合能の強弱を判定する工程とを含む検体試料中の対象成分の検出方法である。
その際、検出用基板上の所定区画に結合しているオリゴヌクレオチドの有する、既知の塩基配列の長さが2〜100塩基長であるとき、本実施形態の方法はより好適な検出方法となる。
なお、本実施形態の検出方法は、評価の対象となる液状の検体試料が、それぞれ塩基配列未知の核酸を少なくとも一種含む溶液であり、各検体試料について、オリゴヌクレオチドそれぞれとの間で複合体形成の有無を検出することにより、検体試料に含有される塩基配列未知の核酸中に、それぞれのオリゴヌクレオチドに対する結合能を有する対象成分として、オリゴヌクレオチドそれぞれの既知塩基配列に対し、相補性を有する塩基配列を有する核酸分子が含まれるか否かを、その評価の目的とする検出方法として実施すると好ましいものとなる。
具体的には、評価の対象となる液状の検体試料がそれぞれ含む核酸中に、生体組織から抽出したmRNAのセットが含有されている際に、好適な検出方法である。同様に、評価の対象となる液状の検体試料がそれぞれ含む核酸中に、生体組織から抽出したmRNAのセットをもとに調製されたcDNAライブラリーが含有されている際にも、好適な検出方法である。その際、評価の対象となる液状の検体試料がそれぞれ含む核酸が、100〜5000塩基長の核酸であることが望ましい。
加えて、検出の対象成分として、核酸分子以外にも、例えば、評価の対象となる液状の検体試料が、それぞれ互いに異なる蛋白質少なくとも一種を含む溶液である際にも、本実施形態の検出方法は好適に利用できる。また、評価の対象となる液状の検体試料が、それぞれ互いに異なる化学物質少なくとも一種を含む溶液である際にも、本実施形態の検出方法は好適に利用できる。本実施形態の検出方法は、特には、評価の対象となる液状の検体試料が、それぞれ異なる生物種、組織、細胞からの抽出物である際に、その実用上の利点・効果が一層発揮される。
本実施形態の検出方法において、複数の対象成分の検出を実施する際には、検出用プローブに用いるオリゴヌクレオチドとして、それぞれ互いに異なる既知の塩基配列を有する複数種を用い、それぞれが結合される区画が基板上に複数個マトリクス状に配置されてなる検出用基板を用いることができる。
以下、本実施形態の実施例として、実際にDNAプローブアレイを形成するとともに、cDNAを付与し、ハイブリダイゼーション反応を行い、塩基配列の変異を検出する具体的な例を説明する。
1.基板洗浄
25.4mm×76.2mm(厚さ1.1mm)のガラス基板をラックに入れ、界面活性剤溶液中で20分間超音波洗浄を行い、その後、純水により界面活性剤を除去する。さらに、純水中で超音波処理を15分間行う。
次に、このガラス基板を1N水酸化ナトリウム溶液に30分間浸し、取り出し後、表面に付着する1N水酸化ナトリウム溶液を純水により洗い流す。
2.表面処理
前記した洗浄済みのガラス基板を、2%シランカップリング剤水溶液(信越化学工業社製 商品名KBM603)に室温で30分浸し、その後、窒素ガスを吹き付けて、水分を飛ばして乾燥させる。さらに、115℃のオーブンで1時間ベークし、ガラス基板表面に対するシランカップリング剤処理を完結させる。
次に、EMCS(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimide:Dojin社製)を3mg秤量し、ジメチルスルホキシド/エタノールの1:1溶液に溶解し(最終濃度0.3mg/ml)、前記シランカップリング剤処理を行ったガラス基板を、このEMCS溶液に2時間浸し、基板表面を被覆しているシランカップリング剤のアミノ基とEMCS溶液のカルボキシル基を反応させる。この反応に伴い、シランカップリング剤を介して、EMCSによる被覆がなされ、ガラス表面にはEMCS由来のマレイミド基が表面に存在する。EMCS溶液との反応を終えたガラス基板は、純水洗浄後、窒素ガスで乾燥させる。このマレイミド基を導入する表面処理を施したガラス基板を、後述するDNAとの結合反応に用いる。
3.ガラス基板固定用DNAの合成
ガラス基板上に固定するために、表1に示した塩基配列を有する64種のオリゴヌクレオチドを化学合成する。
表1に示した64種のDNAは、癌抑制遺伝子であるp53遺伝子の遺伝子産物(p53蛋白質)のアミノ酸配列248及び249番目に注目し、この2アミノ酸をコードする塩基配列をもとに、種々の塩基変異が加わった配列となるように選ばれる。具体的には、もととなる塩基配列CGGAGGの中で変異頻度が高いのは、248番目のアミノ酸をコードするCGGの1番目のCがTに、2番目のAがGに、そして248番目のアミノ酸をコードするAGGの3番目のGがTに、それぞれ変異している場合であることが知られている。そこで、この3カ所の塩基が種々に変異した塩基配列と結合可能な配列を有するように64種のプローブを設計すればよい。
実際にはプローブ全長を18merとし、その中央にこの変異を含む6塩基を位置させ、その前後に各塩基長6の共通な塩基配列を置く構造とする。より具体的には、5’末端からATGAACの共通塩基配列、続く変異を含む部分として塩基配列NNGAGN、さらに、3’末端側にCCCATCの共通塩基配列を有する配列5’ATGAACNNGAGNCCCATC3’に対する相補的な塩基配列とする。つまり、配列5’GATGGGNCTCNNGTTCAT3’で示されるプローブとする。なお、DNAプローブとするため、前記塩基配列中、Nと表記した部位は、4種のDNA核酸塩基であるA、G、C、Tの何れかを意味する。
Figure 2008003004
4.64種プローブ・マトリクスの作製
次に、グリセリン、尿素、およびチオジグリコールをそれぞれ最終濃度8%、アセチレノールEHを最終濃度1.2%含む8μMの溶液(第1の溶液)に、上記64種のDNAのそれぞれを調製する。そして。液体噴射ヘッドとして図1〜図6に示したようなインクジェット原理のものを利用し、液体噴射ヘッドに溶液を補給する溶液容器に異なるDNAプローブ溶液を充填し、溶液を噴射できるようにする。上記のようにDNAプローブ溶液は64種あるので、この液体噴射ヘッドも64個用意する。
このような64個の液体噴射ヘッドを用いて、計64種類のDNAプローブを各2mm角の区画に非接触で「べた塗り」形成し、図8に示すように、等間隔でマトリクス(8×8)状に配置した検出用基板とする。また、図9は、検出用基板上にマトリクス(8×8)状に配置した、64種DNAプローブの配置図を示す。
なお、ここで「べた塗り」状態とするには以下のようにすればよい。すなわち、今、オリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液(第1の溶液)による基板上における1滴のドット111の径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、図10に示すように、D1d≧√2・D1pとなるようにすれば、上下、左右、斜めの隣接ドットが重なり合ってこの溶液による非被覆部がなくなり、いわゆる「べた塗り」状態を得ることができる。具体的な数字を挙げると、仮に800dpiの印写密度で「べた塗り」を行うとした場合、D1p=31.75μmであるから、D1d≧44.9μmとすれば非被覆部がなくなり、いわゆる「べた塗り」が実現する。
なお、上記「べた塗り」条件の不等式は、その技術思想を示すものであり、実際に溶液を噴射付与した場合には、噴射溶液の質量のばらつき(5%以内)があり、基板上における1滴のドット111の径D1dも厳密にはばらつく。よって、単純に幾何学的に見た場合、そのばらつきによって、「べた塗り」が得られない場所も存在する可能性もあるが、実際には、隣接ドット間で溶液が多少相互に流れるので、上記不等式の条件で打ち込めば、噴射溶液の質量のばらつきが多少あっても「べた塗り」は実現する。
そして、このオリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液(第1の溶液)による「べた塗り」パターンが作成された後、該パターン中の揮発物質が揮発された(パターン乾燥後)基板上(パターン上)には、次のプローブのオリゴヌクレオチドに作用させる試料溶液(検体)、例えば核酸分子を含む溶液、cDNA溶液(第2の溶液)がドット状に付与される。
なお、ここでいう揮発、あるいは乾燥の意味であるが、常識の範囲で考えられる揮発や乾燥の意味である。例えば厳密にいえば、不揮発といわれる物質であっても、微視的(分子オーダー)にみれば揮発する。しかしながらここでは、通常の室温環境において、水のような液体が例えばガラス基板上に液滴の状態(ドーム状のドット)であったものが蒸発、乾燥して、ガラス基板面がぬれた状態ではなく、乾いた状態になるという常識的な乾燥の意味である。
5.64種のオリゴヌクレオチド結合基板表面(プローブ・マトリクス)へのcDNA溶液の供給
癌の組織から得られた64種のcDNAライブラリーから、PCR反応によりp53遺伝子断片を取得する。
具体的には、まず、バイオプシーで採取した各組織からCatrimox−14(Biotechnology社)を用いて、全RNAサンプルを分離・採取する。この全RNAサンプル溶液をもとに、First−Strand cDNA Synthesis Kit(Life Sciences社製)を用いて、cDNAライブラリーを調製する。このcDNAライブラリーに、p53遺伝子増幅用プライマーを加え、p53遺伝子断片をPCR増幅する。そして、このPCR増幅産物をテンプレートとして、標識された5’側のプライマーを用いて、片鎖のみを増幅するようなPCR反応(DNA合成反応)を行う。この再増幅により、標識されたp53遺伝子由来の一本鎖DNAを調製することができる。
次に、前記の標識されたプライマーとして、T3プロモーターを利用するオートシーケンサー用のプライマー(タカラバイオ株式会社製)を利用するため、まず末端にT3サイトを持ち、その下流にp53遺伝子部分が増幅可能であるような塩基配列を連結したプライマーを合成する。そして、このプライマーを用いてPCR反応を行い、p53遺伝子部分に、T3プロモーター部位が連結されたPCR増幅産物を得る。
この例は、p53遺伝子増幅用の5’末端プライマーに対して、その5’側にT3プロモーター部位を連結した、塩基配列のプライマー(T3−P53)を作製するものである。その塩基配列を下に示す。
5’AATTAACCCTCACTAAAGGGAACCTGAGGTTGGCTCTGACTGTACCACCATCC3’
配列中、5’末端側の下線部がT3ポリメラーゼ結合サイトである。一方、増幅用の3’末端プライマーには、市販の増幅キット、CLONTECH社の「Human p53Amplimer Set」中に添付される3’末端プライマーを用いる。PCR反応溶液には、「one shot LA PCR Mix」(タカラバイオ株式会社製)を用いる。
PCR反応における溶液組成は、例えば下記の比率である。
one shot LA PCR Mix 25μl
T3−P53primer(20μM) 1μl
3’primer(20μM) 1μl
cDNAライブラリー溶液 lμl
DW 22μl /50μ1
PCRサイクルは、例えば97℃で5分間熱変性後、97℃28秒、55℃28秒、72℃55秒のサイクルを29回行い、最後に70℃で5分間保持しする条件を用って、反応物を冷却後に5℃で一時保存すればよい。
反応後、ゲル電気泳動を行うことにより、300mer程度の分子量域にPCR産物が形成できる。このPCR産物をMicro Spin Column S200(Pharmacia社製)で精製して、T3プライマーが結合可能なp53遺伝子断片(T3−linked p53 DNA)を得ることができる。
このようにして得られるp53遺伝子断片を鋳型に、Rho−T3プライマー(タカラバイオ株式会社製)を用いてPCR反応により、一本鎖標識DNAを得ることができる。反応溶液の組成は、例えば下記の比率である。
one shot LA PCR Mix 25μl
Rho−T3primer(10μM) 1μl
T3−linked p53 DNA 1μl
DW 23μl /50μl
反応サイクルは、例えば97℃で30秒、50℃で20秒、60℃で5分を25回繰り返す条件を用い、反応物を冷却後、5℃で一時保存すればよい。Micro Spin Column S200で精製後、ゲル電気泳動で、PCR反応により目的のローダミン標識一本鎖DNAが合成される。
このようにして得られる検体試料、すなわちp53遺伝子由来のローダミン標識一本鎖DNAの溶液に食塩を最終濃度1Mになるように加え、各cDNAライブラリー64種から調製される、p53遺伝子由来のローダミン標識一本鎖DNAの溶液は、例えば液体噴射ヘッドで、図8に示すような、各2mm角のプローブ固定領域に、8×8の二次元アレイ状に非接触でスポット付与される。液体噴射ヘッドとしては、前述のようなピエゾ方式のもの、あるいはサーマル方式のものが利用できる。なお、ピエゾ方式のものは熱を使わないため、サーマル方式のものよりも使用できる溶液の自由度が高い。
このような液体噴射ヘッド及びそれに溶液を補給するための溶液容器をそれぞれ64個用意し、異なるp53遺伝子由来のローダミン標識一本鎖DNA溶液を充填し、噴射、付与する。8×8の二次元アレイ状のスポットを,マトリクス(8×8)状に配置されている各DNAプローブを固定する区画上に形成する例を図11に模式的に示す.
ここで後述のハイブリダイゼーション反応を精度よく行うために、このような第2の溶液、すなわち各検体試料溶液が検体試料溶液に、それぞれ独立したドット状であって、隣接するドット間で、互いの液滴が混合を生じないようにするための条件を簡単に説明する。すなわち、今、この検体試料溶液(第2の溶液)による基板上(第1の溶液によるパターン上)における1滴のドット112の径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、図12に示すように、D2d<D2pとなるようにすれば、上下、左右、斜めの隣接ドットが互いに重なり合うことなく、完全に独立した状態でドット形成できる。
なお、上記説明では、先にオリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液(第1の溶液)による「べた塗り」パターンを作成し、乾燥させる。その後、オリゴヌクレオチドに作用させる検体試料溶液、例えば核酸分子を含む溶液(第2の溶液)をドット状に形成するが、第1の溶液と第2の溶液のパターン形成の順序を逆にしてもよい。すなわち、先に検体試料溶液、例えば核酸分子を含む溶液(第1の溶液と記す)による独立したドット状のパターンを形成し乾燥させた後、オリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液(第2の溶液と記す)による「べた塗り」パターンを作成し、その後、ハイブリダイゼーション反応を行うという方法である。
この場合は、先に説明した「べた塗り」パターン作成条件、あるいは独立したドット状パターン形成条件は次のようになる。すなわち、第1の溶液(この場合、検体試料溶液、例えば核酸分子を含む溶液)による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d<D1pとして、溶液噴射によって独立したドット状パターン形成する。その後、パターン中の揮発物質の揮発後(乾燥後)、第2の溶液(この場合、オリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液)の基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d≧√2・D2pとなるように、溶液噴射により非被覆領域がないようにすることができる。
6.ハイブリダイゼーション反応
次に、検体試料であるローダミン標識一本鎖DNA溶液計64種をスポットしたこの検出用基板を、40℃に設定した加湿チャンバー内に放置し、ハイブリダイゼーション反応を3時間行う。その後、検出用基板を100mMNaClを含む10mMリン酸緩衝液にて洗浄し、ハイブリッド体形成に関与しなかった検体試料を除去する。
ハイブリダイゼーション反応後、8×8の二次元アレイ状にスポットした検体試料を、蛍光標識ローダミンに適する、励起光、蛍光用のフィルター・セットを装着した蛍光顕微鏡を用いて観察する。
図13は、その結果を模式的に示したものである。図9に示す配置において、42番の正常な遺伝子の塩基配列に対応するプローブ上へのスポットに関しては、5カ所のスポットで蛍光強度が弱く(図では灰色ドットで示す)、1カ所のスポットで蛍光が観察されない(図ではブランクで示す)。また、10番目のプローブ領域において3カ所、41番目のプローブ領域において2カ所、46番のプローブ領域において1カ所、それぞれスポットが蛍光を発することが観察される(図では黒ドットで示す)。
これら変異のある塩基配列を有するプローブ領域において、ハイブリッド体形成に伴う蛍光が観測されるスポット位置は、上記42番目の本来の塩基配列を有するプローブ領域において、蛍光強度が弱いスポット位置と対応している。したがって、両者間でそのプローブの塩基配列を比較すると、42番目のプローブが有する本来の塩基配列CCTCCGに対して、10番目のプローブの塩基配列はACTCCG、41番目のプローブの塩基配列はCCTCCA、46番目のプローブの塩基配列はCCTCTGである。その相補的配列は、42番目のCGGAGGに対して、10番目ではCGGAGTとGがTに、41番目ではTGGAGGとCがTに、46番目ではCAGAGGとGがAに、それぞれ変異したものであることがわかる。すなわち、これら10番目、41番目、46番目のプローブとハイブリッド体形成する検体試料においては、それに含まれるp53遺伝子由来のcDNA断片は、前記の変異によって、42番目のプローブに対しては1塩基ミスマッチを起こしていることが確認できる。このような方法により、64種の検体試料全てについて、変異の有無、その種類を同時に検出することができる。
なお、上記説明はDNAチップの例をあげて詳述したが、本発明のシステムはこれに限定されるものではない。例えば、プロテイン(蛋白質)チップ、他の核酸(例えば、Ribo Nucleic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸等)チップ等、他のバイオ、ウィルス等の生体化学に関する分子(生体分子)のマイクロアレイ、物質検査のチップ等に利用することもできる。
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。実施形態1において、液体噴射ヘッドごとに異なる種類の溶液を噴射し、反応を行うため以外の用途にも使用することが可能であると前述した。また、例えば実施形態2では、図8に示したように、検出用基板108に第1の溶液による検出用プローブパターン形成を行い、その後、該溶液の揮発物質の揮発後に第2の溶液によるスポット状(ドット状)のパターン形成を行って反応を行うものである。その際、両液によるそれぞれのパターンが所望の位置に形成されるためには、両者に共通な何らかの位置決め基準となるものが必要である。
本実施形態はこの点に鑑み、例えば図14に示したように、この位置決めのための基準位置パターン113を設けたものである。この例では、直交する十字架形状のストライプ状のパターンとしているが、形状は必ずしもこのようなものに限定されるものではない。また、この例ではこのようなパターンを2個設けているが、必ずしも2個、あるいはそれ以上必要であるというわけではない。
要するに図に示したように、X方向とそれに直交するY方向によって定まる(X,Y)座標が2点決まれば検出用基板108の位置決めができ,前記(X,Y)座標のうちの1つを基準位置として液体噴射ヘッドによる噴射位置を決めてやればよい。この図の場合、基準位置パターン113はストライプ状となった面積を有するパターンであるため、各ストライプの左右の辺部分を位置決め座標として採用すれば、2つ以上の(X,Y)座標を読み取ることができるので、基準位置パターン113は1個でその機能を果たすことができる。もし、この基準位置パターン113を細い線状とした場合は、直交する2本の細い線の交点の(X,Y)座標を位置決め座標として採用するので、図14のように2つ設ければその機能を果たすことができる。
なお、このような基準位置パターン113は、本発明においては、前述のようなオリゴヌクレオチドを含む検出用プローブ溶液(第1の溶液)、あるいは核酸分子を含む溶液(第2の溶液)を噴射付与する噴射ヘッドを、この基準位置パターン113形成のために兼用することができる。このように、噴射ヘッドあるいは溶液をこの基準位置パターン113形成のために兼用するが、その基準位置パターン113形成の場所は、前述の第1及び第2の溶液のパターンによる反応が行われる領域とは離れ、反応領域に接触しない場所とされる。例えば、図14に示したような検出用基板108の隅の方に設ければよい。当然ではあるがこの場合は、同じ溶液を使用するものの、前述の反応には関与しない。単に基準位置パターン113を形成するという用途に使用するだけである。
なお、このような基準位置パターン113形成のための溶液は、前記第1あるいは第2の溶液をそれぞれ適宜選んで使用するが、両方の溶液を使用してもよい。両方の溶液を使用した場合、前述の反応に使用する溶液と同じ溶液を使用するわけであるから反応には関与しないとはいっても同様に反応は起こる。しかしながら、その反応結果を前述のように、蛍光顕微鏡を用いて観察するというこの反応の本来の目的には使用しない。単に基準位置パターン113を形成し、その後そのパターンを基準位置決めに使用するという、前述の反応とは全く関係のない用途に使用するだけである。
上記説明は、このような基準位置パターン113を形成するのに、実施形態1又は2で使用する第1あるいは第2の溶液、並びにそれらを噴射付与する液体噴射ヘッドを兼用する例であるが、これらの液体噴射ヘッドとは別に、このような基準位置パターン113を形成するのに専用の液体噴射ヘッドや後述する検出光学系によって検出しやすいように着色した溶液(インク)を準備してもよい。この場合、専用の液体噴射ヘッドを用意しなければならないが、パターン検出がしやすいというメリットがある。
このような基準位置パターン113の検出手段は、例えばCCDカメラとレンズを用いた検出光学系とされ、基板上の画像情報を光学的に検出し、取り込むことができる。また、図7に示した液体噴射ヘッド100の近傍に併設され、液体噴射ヘッド100と同様に、作業台101に搭載された検出用基板108と相対的な移動が可能となっている。
ここで、使用する着色した溶液であるが、通常はCCDカメラあるいは他の電子的な検出手段によってパターン検出するため、それらの検出手段で検出できれば、特に人間の可視領域で見える(検出できる)必要はないが、好ましくは、人間の目視によるパターンの有無の検出もできるように、人間の可視領域で見える(検出できる)色にするのがよい。
この検出光学系によって読み取られた座標情報は、コンピュータに送られる。そして、その基準位置から、上記のような第1の溶液による検出用プローブパターン形成のための噴射位置、あるいは第2の溶液によるスポット状(ドット状)のパターン形成を行うための噴射位置が計算され、その情報に基づいて、液滴噴射付与によるパターン形成が行われる。
ところで、本発明の基準位置パターン形成手段は、他に図15に示したように、複数の基板(検出用基板108)ごとの識別パターンである識別符号(番号)114の形成手段としても利用できる。図15に127BD...という識別符号(番号)114を示したが、このような符号、パターン等も、上記反応領域とは別のところに液体噴射原理で簡単に形成でき、大量に扱う基板の識別に有効である。
例えば、コンピュータからの指示によって基準位置パターン形成手段(液体噴射ヘッド)を稼動させ、製造番号や製造年月日等を簡単に付与できる。通常このような識別符号等は、あとからこの基板に専用の刻印機で刻印したり、シール等を貼ったりすることによって行われるが、本発明では、上記のような反応を行う手段と同様の手段によってコンピュータ指示によって簡単に行うことができる。
<実施形態4>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。実施形態1においては、図7に示したように、作業台101に設置された検出用基板108と液体噴射ヘッド100とが相対的な移動を行いながら溶液を噴射し、反応後の検出基板を製作する。その際、液体噴射ヘッド100が、作業台101や検出用基板108に接触したりすると装置の故障、破損を招くことがある。本実施形態では、このような故障や破損を防止しようとするものである。
図16を参照しながら詳細に説明する。図16は、図7の液体噴射ヘッド100や作業台101の上下(ここではZ方向)の位置関係を示すため、それらを水平方向から見た図を示している。ここで、液体噴射ヘッド100は、検出用基板108を保持、搭載した作業台101と相対的な移動を行う。ここでいう相対的な移動とは、作業台101に設置された検出用基板108を固定しておき、液体噴射ヘッド100が、図7に示したようなX、Y方向に移動したり、あるいは逆に液体噴射ヘッド100を固定しておき、作業台101に設置された検出用基板108をX,Y方向に移動してもよい。さらには、両者とも移動してもよい。いずれにしろそれらは相対的な移動であり、そしてその移動は水平方向(図7のX,Y方向)に対して平行移動である。
よって、その相対的な平行移動に伴い、例えば、液体噴射ヘッド100の溶液噴射口(ノズル)面を含む仮想平面が存在する。ここで、この溶液噴射口面を含む仮想平面は、図に向かって垂直方向に広がった平面であり、図16にその仮想平面の位置115を示す(この場合、高さ方向、すなわちZ方向での位置を示す)。
この溶液噴射口面を含む仮想平面の位置115は、液体噴射ヘッド100の溶液噴射口(ノズル)面が移動する位置である。よって、その位置にはどのような障害物も存在してはならない。すなわち、検出用基板108の被溶液付与面116は、この溶液噴射口面を含む仮想平面の位置115から少なくとも0.5mm以上、最大5mm程度まで離すようにして、液体噴射ヘッド100が平行移動しながら溶液噴射を行う。あるいは、基板保持手段に保持された基板側が平行移動しながら、液体噴射ヘッド100による溶液噴射を行う。
また、基板保持手段である作業台101の基板保持部分117は、この溶液噴射口面を含む仮想平面の位置115を基準として、基板の被溶液付与面116より遠い位置とする。なお、この基板保持部分117を基板の被溶液付与面116より遠くする距離は、わずかでよく、例えば0.1mm〜1mmとすればよい。
このような配置、構造とすることにより、本発明においては、液体噴射ヘッド100と基板保持手段に保持された検出用基板108とが相対的な平行移動をしながら溶液噴射を行う際に、液体噴射ヘッド100あるいはその基板保持手段等にぶつかって、装置や液体噴射ヘッド100等を破損するという事故が回避される。
<実施形態5>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本発明の実施形態において、検出用基板108は、例えば図8に示したようなパイレックス(登録商標)ガラス、青板ガラス等のガラス基板が好適に使用される。そして、検出用プローブ溶液、あるいは核酸分子を含む溶液、さらには基準パターン形成用溶液等のドット状パターン、あるいはライン状パターン、符号等のパターンを良好に形成するために、その溶液が噴射付与される面はなめらかな面とされる。
具体的には、その面は、ガラス基板製作時に研摩工程を取り入れ、0.1μm以下の表面性状に仕上がられるか、あるいはフロートガラス等のようにガラス基板製造時に得られる滑らかな表面性状とすべきである。表面がいわゆる擦りガラス状になっていてガラス基板が不透明になったようなもの(表面粗さ0.3μm以上)であっては決してならない。それは、そのような擦りガラス状になっていると、この面に前述のような溶液を噴射付与してドットパターンを形成する場合に、毛管現象により、その表面の粗さに起因する微小クラック部分に溶液が浸透していき、良好な丸いパターンが得られず、輪郭がギザギザになったパターンになってしまうからである。同様に、基準位置決めパターンを形成する場合も良好な輪郭のパターンが得られず、その結果、基準位置決め精度も低下する。
しかしながら、前述のような滑らか表面性状にしておけばそのような不具合はなく、良好なドットパターンが得られ、反応後の蛍光顕微鏡等による検出精度も向上し、また基準位置決め精度も向上する。
一方で、本発明の検出用基板108は、不必要な領域においては、その表面性状を必要以上になめらかにする必要はない。
図17は、図8の断面A−Aを示したものである。検出用基板108について、溶液が噴射付与される面118の表面性状は前述のように滑らかである必要があるが、この溶液が噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面119は、そこに溶液付与を行うわけではないので、溶液が噴射付与される面118のように何らかの加工を行ってその表面性状を確保するといったことは不要である。
よって、本発明においては、このような端面119は特別な加工をすることなく、例えば単に切り出し加工を行ったらそのままの状態とするか、あるいは後加工を行うにしても、溶液が噴射付与される面118のような滑らかな状態になるまでのコストアップとなるような加工は行わず、簡単に表面に研削加工を施す程度にとどめておくようにしている。
このように本実施形態では、溶液が噴射付与される面118は、その必要性から積極的に端面119より滑らかにして良好なパターン形成を行うようにし、一方で端面119は、基板製作コストを下げるためにその加工は行わない、若しくはたとえ行ったとしても、溶液が噴射付与される面118のような滑らかさを追求するコストアップとなる加工ではなく、簡単な加工にとどめておくようにしている。
図18も同様に図8の断面A−Aを示したものである。この例では、検出用基板108は、溶液が噴射付与される面118と、この溶液が噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面119が形作るコーナー部を面取りした面取り面120とを有した構成としている。そして、このような面取り面120の領域の加工方法としては、#100番〜#2000番のカーボランダム、エメリー等の研摩材を使用したり、あるいはそれらをバインダーで固めた砥石(グラインダー)により簡単に面を落としたり(面取りする)することができる。
また、面取りされた加工部分の表面粗さについては、溶液が噴射付与される面118のそれより粗いようにしている。これは、溶液が噴射付与される面118は前述のように良好なパターン形成を行う必要があるのに対して、この面取りする部分はそのような精密パターンを形成する領域ではないので、必要以上に表面の加工精度を高くする必要がないからである。むしろ、溶液が噴射付与される面118よりも表面粗さを粗くし、加工コストを下げることが望ましい。
本実施形態では、この面取り部の表面粗さは0.3μm〜5μmとし、加工コスト低減を実現している。さらに、このように面取り面120を設けることにより、作業者が鋭利なコーナー部分で手を切ったりするという不慮の事故を回避するようにしている。
前記した説明は、溶液が噴射付与される面118と、この溶液が噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面119が形作るコーナー部を面取りするという説明であるが、図18に示すように、検出用基板108の裏面とそれに対してほぼ垂直の端面119が形作るコーナー部においても面取り面120を設けることが望ましい。
なお、上述してきた実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
上記の実施形態によれば、反応性物質を含有する溶液を、基板保持手段に保持された基板にインクジェット原理による噴射する溶液噴射工程と、溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出工程と、前記基準位置検出工程により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段の保持位置及び前記溶液噴射工程による噴射位置とを相対的に移動させる移動工程とを有し、前記溶液噴射工程により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応方法であって、前記溶液噴射工程は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射工程と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射工程とを有し、該反応方法は、前記第1の溶液噴射工程により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射工程が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うように構成したので、少量の検体を高密度に配列させてなる新規な反応方法が実現できた。また、この反応に関与しない溶液噴射を行うようにしたので、その噴射後の溶液によるパターンをいろいろな用途に使うことができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記第1の溶液は塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液とし、第2の溶液は核酸分子を含む溶液とし、ハイブリダイゼーション反応を起こすようにしたので、上記効果に加え、第2の溶液(検体)中に、第1の溶液(検出用プローブ)との結合能を有する成分が含有されるか否かが簡単に検出できるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d≧√2・D1pとし、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d<D2pとなるように溶液噴射を行うようにしたので、上記効果に加え、第2の溶液(検体)によるドットを互いに接触することなく、確実に分離独立した形で形成でき、精度の高い反応、検出が得られるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記第1の溶液は核酸分子を含む溶液とし、第2の溶液は塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液とし、ハイブリダイゼーション反応を起こすようにしたので、上記効果に加え、第1の溶液(検体)中に、第2の溶液(検出用プローブ)との結合能を有する成分が含有されるか否かが簡単に検出できるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d<D1pとし、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d≧√2・D2pとなるように溶液噴射を行うようにしたので、上記効果に加え、第1の溶液(検体)によるドットを互いに接触することなく、確実に分離独立した形で形成でき、精度の高い反応、検出が得られるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1若しくは第2の溶液のいずれか又は両方を噴射付与するようにしたので、上記効果に加え、基板上に識別のための記号やパターン等特別な手段を新たに用いることなく、容易に形成することができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応方法において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1若しくは第2の溶液とは別の溶液を噴射付与するようにしたので、上記効果に加え、基板上に識別のための記号やパターン等を専用の見やすい溶液を用いて行うことができ、基板の識別等が見やすく簡単にできるようになった。
また、上記の実施形態によれば、反応性物質を含有する複数種類の溶液が付与される基板を保持する基板保持手段と、前記基板と相対する位置に配置されインクジェット原理による溶液噴射を行う溶液噴射手段と、溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出手段と、前記基準位置検出手段により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段と前記溶液噴射手段とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記溶液噴射手段により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応装置であって、前記溶液噴射手段は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射手段と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射手段とを有し、該反応装置は、前記第1の溶液噴射手段により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射手段が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うように構成したので、少量の検体を高密度に配列させてなる新規な反応装置が実現できた。また、これらの反応に関与しない溶液噴射を、前記反応を行う領域とは別のところに行うようにしたので、その噴射後の溶液によるパターンをいろいろな用途に使うことができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記基準位置は、前記複数の基板それぞれに前記溶液噴射によって書き込まれたパターンで決められた位置であり、前記検出手段によって光学的に検出されるとともに、その検出情報に基づいて決められた付与位置に、前記第1及び第2の溶液を付与するようにしたので、上記効果に加え、第1及び第2の溶液を噴射付与する位置を高精度に決めることができ、反応をより確実に行うことができるようになった。また、その基準位置を決めるパターンは、本発明の反応装置によって形成されるので、予めそのようなパターンが形成された高価な基板を用いる必要がない。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記反応に関与しない溶液噴射によって形成されるパターンは、前記複数の基板の識別情報を含むようにしたので、上記効果に加え、複数個の基板を使用してもそれらの区別を容易にすることができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記基板の被溶液付与面は、前記基板保持手段と噴射手段との相対的な移動によって形成されるとともに前記噴射手段の溶液噴射口面を含む仮想平面の位置から離し、かつ、前記複数の基板を保持する基板保持手段は、前記仮想平面の位置を基準として、その保持部分を前記基板の被溶液付与面より遠い位置とするようにしたので、上記効果に加え、両者の相対的な移動中に噴射ヘッドの先端部が、基板あるいは基板保持手段にぶつかって高価なノズル部分を破損したり、基板そのものを破損したりするという事故が回避される。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記第1の溶液は塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液とし、第2の溶液は核酸分子を含む溶液とし、ハイブリダイゼーション反応を起こすようにしたので、上記効果に加え、第2の溶液(検体)中に、第1の溶液(検出用プローブ)との結合能を有する成分が含有されるか否かが簡単に検出できるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記第1の溶液は核酸分子を含む溶液とし、第2の溶液は塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液とし、ハイブリダイゼーション反応を起こすようにしたので、上記効果に加え、第1の溶液(検体)中に、第2の溶液(検出用プローブ)との結合能を有する成分が含有されるか否かが簡単に検出できるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1若しくは第2の溶液のいずれか又は両方を噴射付与するようにしたので、上記効果に加え、特別な溶液を準備することなく所望のパターン形成ができるとともに、その噴射後の溶液によるパターンをいろいろな用途に使うことができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1若しくは第2の溶液とは別の溶液を噴射付与するようにしたので、上記効果に加え、目的に応じた溶液を用いて所望のパターン形成ができるとともに、その噴射後の溶液によるパターンをいろいろな用途に使うことができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置において、前記溶液を噴射するインクジェット原理による複数の噴射手段は一体化され、各複数個の噴射口面は仮想同一平面を構成するとともに、異なる溶液を噴射する噴射口領域は、前記仮想同一平面内に位置していても互いに独立した構造であるようにしたので、隣接する噴射口間において異なる溶液が噴射口の外側を伝って混じり合い、反応精度を低下させるということが回避される。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置に使用される基板において、該基板は前記溶液が噴射付与される面と、その面に対してほぼ垂直の端面を有し、前記溶液が噴射付与される面の表面粗さが前記端面のそれより滑らかであるようにしたので、上記効果に加え、反応領域における溶液のドット形状が均一性の優れた丸い形状となり、その後の蛍光顕微鏡等による検出精度が向上した。また、このような滑らかな面であるので、基準位置決めパターンもそのパターン形状が滑らかかつ高精度に形成でき、より高精度な基準位置決めを行うことができるようになった。さらに、溶液が噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面部分は、溶液が噴射付与される面の表面粗さほど滑らかにしないので、基板製作コストの低減を図ることができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、このような反応装置に使用される基板において、前記溶液が噴射付与される面と、その面に対してほぼ垂直の端面が形作るコーナー部を面取りした面取り面を有し、該面取り面の表面粗さが前記溶液が噴射付与される面のそれより粗いようにしたので、上記効果に加え、作業者が鋭利なコーナー部分で手を切ったりするという不慮の事故を回避できるようになった。また、溶液が噴射付与される面に対して面取り面は、溶液が噴射付与される面の表面粗さほど滑らかにしないので、基板製作コストの低減を図ることができるようになった。
また、上記の実施形態によれば、本発明の液体噴射原理による反応装置によって検体中に検出用プローブとの結合能を有する成分が含有されるか否かを検出できるので、他のフォトマスクを何十枚も使用して同様な検出を行うものに比べて、非常に安価に反応検査を行うことができるようになった。
本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドの液滴噴射原理を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドの構成を示した断面図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドの構成を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドの構成を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドユニットの構成を示した側面図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴噴射ヘッドユニットの構成を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る反応装置の構成を示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板のDNAプローブの配置を模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の作製条件を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る反応方法におけるスポット状アレイのパターンを模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る反応方法におけるスポット状アレイの作製条件を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る反応方法におけるスポット状アレイのパターンのハイブリダイゼーション反応後を模式的に示した図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の構成を示した図である。 本発明の実施形態に係る反応装置における液滴ヘッドユニット及び基板保持部分を側面から見た図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の断面図である。 本発明の実施形態に係る反応方法における検出用基板の断面図である。
符号の説明
1 噴射ノズル(噴射口、吐出口)
43 液滴
45 流路
46 ピエゾ素子
56 溶液
57 フィルタ
65 ノズル
66 発熱体基板
67 蓋基板
68 シリコン基板
69 個別電極
70 共通電極
71 発熱体
74 溝
75 凹部領域
76 溶液流入口
100 液体噴射ヘッド
101 作業台
102 Y方向駆動軸
103 Y方向駆動モータ
104 X方向ガイド軸
105 作業台駆動モータ
106 基台
107 制御手段
108 検出用基板
109 方向検出部
110 第1の溶液によるパターン
111 検出用プローブ溶液(第1の溶液)による基板上における1滴のドット
112 検体試料溶液(第2の溶液)による基板上における1滴のドット
113 基準位置パターン
114 識別パターン(識別符号or番号)
115 溶液噴射口面を含む仮想平面の位置
116 被溶液付与面
117 基板保持部分
118 溶液が噴射付与される面
119 溶液が噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面
120 面取り面

Claims (19)

  1. 反応性物質を含有する溶液を、基板保持手段に保持された基板にインクジェット原理による噴射する溶液噴射工程と、
    溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出工程と、
    前記基準位置検出工程により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段の保持位置及び前記溶液噴射工程による噴射位置とを相対的に移動させる移動工程とを有し、前記溶液噴射工程により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応方法であって、
    前記溶液噴射工程は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射工程と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射工程とを有し、
    該反応方法は、前記第1の溶液噴射工程により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射工程が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うことを特徴とする反応性物質の反応方法。
  2. 前記第1の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第2の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする請求項1に記載の反応性物質の反応方法。
  3. 前記第1の溶液噴射工程は、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d≧√2・D1pとなるように溶液噴射を行い、
    前記第2の溶液噴射工程は、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d<D2pとなるように溶液噴射を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の反応性物質の反応方法。
  4. 前記第1の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第2の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする請求項1に記載の反応性物質の反応方法。
  5. 前記第1の溶液噴射工程は、前記第1の溶液による基板上における1滴のドット径をD1d、隣接するドットの中心間距離をD1pとするとき、D1d<D1pとなるように溶液噴射を行い、
    前記第2の溶液噴射工程は、前記第2の溶液による基板上における1滴のドット径をD2d、隣接するドットの中心間距離をD2pとするとき、D2d≧√2・D2pとなるように溶液噴射を行うことを特徴とする請求項1又は4に記載の反応性物質の反応方法。
  6. 前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液のいずれか又は前記第1の溶液及び前記第2の溶液の両方を噴射付与することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の反応性物質の反応方法。
  7. 前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液とは別の溶液を噴射付与することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の反応性物質の反応方法。
  8. 反応性物質を含有する複数種類の溶液が付与される基板を保持する基板保持手段と、
    前記基板と相対する位置に配置されインクジェット原理による溶液噴射を行う溶液噴射手段と、
    溶液噴射位置を決定するための基準位置を検出する基準位置検出手段と、
    前記基準位置検出手段により検出された基準位置及びコンピュータからの情報に基づいて、前記基板保持手段と前記溶液噴射手段とを相対的に移動させる移動手段とを備え、前記溶液噴射手段により前記基板上に非接触に前記溶液を付与する反応性物質の反応装置であって、
    前記溶液噴射手段は、第1の溶液を噴射する第1の溶液噴射手段と、第2の溶液を噴射する第2の溶液噴射手段とを有し、
    該反応装置は、前記第1の溶液噴射手段により噴射された第1の溶液の揮発物質が揮発した後、前記第2の噴射手段が第2の溶液を噴射して第1の溶液と第2の溶液とを反応させるとともに、該反応が行われる領域とは別の領域において前記反応に関与しない溶液噴射を行うことを特徴とする反応性物質の反応装置。
  9. 前記基準位置は、複数の前記基板それぞれに、前記反応に関与しない溶液噴射により書き込まれたパターンで決められた位置であり、前記検出手段により光学的に検出されるとともに、
    前記溶液噴射手段は、該検出情報に基づいて求められた付与位置に対して、前記第1の溶液及び第2の溶液を付与することを特徴とする請求項8に記載の反応性物質の反応装置。
  10. 前記パターンは、複数の前記基板の識別情報を含むことを特徴とする請求項9に記載の反応性物質の反応装置。
  11. 前記基板の被溶液付与面は、前記基板保持手段と前記溶液噴射手段との相対的な移動により形成されるとともに、前記溶液噴射手段の溶液噴射口面を含む仮想平面の位置から離間し、
    前記基板保持手段は、前記仮想平面の位置を基準として、基板保持部分を前記基板の被溶液付与面より遠い位置としたことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  12. 前記溶液噴射手段は、複数が一体化した構造をなし、各噴射口面が同じ平面状である仮想同一平面を構成するとともに、前記仮想同一平面に位置する前記噴射口面における各噴射口領域は互いに独立していることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  13. 前記第1の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第2の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  14. 前記第1の溶液は、核酸分子を含む溶液であり、前記第2の溶液は、塩基配列が既知のオリゴヌクレオチドを含む溶液であり、前記第1の溶液と前記第2の溶液とを用いてハイブリダイゼーション反応を起こすことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  15. 前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液のいずれか又は前記第1の溶液及び前記第2の溶液の両方を噴射付与することを特徴とする請求項8から14のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  16. 前記反応に関与しない溶液噴射は、前記第1の溶液若しくは前記第2の溶液とは別の溶液を噴射付与することを特徴とする請求項8から14のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置。
  17. 請求項8から16のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置に使用される基板において、
    前記基板は、前記溶液が噴射付与される面と、該噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面とを有し、前記溶液が噴射付与される面の表面粗さが前記端面の表面粗さより滑らかであることを特徴とする基板。
  18. 前記溶液が噴射付与される面と、該噴射付与される面に対してほぼ垂直の端面が形作るコーナー部を面取りした面取り面とを有し、前記面取り面の表面粗さが前記溶液が噴射付与される面の表面粗さより粗いことを特徴とする請求項17に記載の基板。
  19. 請求項8から16のいずれか1項に記載の反応性物質の反応装置によって反応が行われたことを特徴とする請求項17又は18に記載の基板。
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