JP2007526533A - 小売在庫予算最適化及び粗利益最大化のための方法及び装置 - Google Patents

Abstract

本発明は小売店舗及び売場全体にわたる最適な在庫割当てを決定するための方法及び装置を提供する。本発明の１つの側面に従うと、本発明の方法は小売企業の複数の商品売場及び（または）店舗の各々に対する、履歴的な投資利益率を入力することを含む。この投資利益率は、例えば、販売シーズン等の、事前の１つまたは複数の期間の各々における、各々の売場に割当てられた在庫の関数である投資粗利益（ＧＭＲＯＩ（gross margin return on investment））であってもよいし、または、その在庫に基づいてその売場によって達成された収益であってもよい。本発明の方法はさらに、（ＧＭＲＯＩ（投資粗利益）等の）履歴的な投資利益率における各売場間（または、各店舗間）のリスクの決定を含む。これは、例えば、複数の売場の、売場の各組の履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定されてもよい。さらに、本発明の方法は現在または未来の販売シーズン等の、現在または未来の期間に対する売場の各々への在庫予算の最適な割当てを決定することを含む。この最適化は１つまたは複数の制約条件の関数として、全体としての、これらの売場に対する（ＧＭＲＯＩが投資利益率の尺度として使用された場合の総利益ドル等の）総収益を最大化することによって決定される。そして、これらの複数の制約条件のうちの少なくとも１つは（ＧＭＲＯＩ等の）複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクの許容性である。この最適な割当ては、本発明の方法に従って、総括商品管理者または他の人員にレポート（または、報告書）として表示される。あるいは（または、上述の特徴に加えて）、最適な割当ては売場が在庫を取得するために使用するアカウントに資金供給するために使用されてもよい。

Description

本願は２００３年６月４日に出願された米国特許出願No.60/475,875「Applying Portfolio Management Ideas to Merchandising」の優先権を主張し、その内容は参照として本願に組み込まれる。

本発明はデジタルデータ処理に関連し、詳細に述べると、小売店または売場の間での在庫の最適な割当ての決定に関する。本発明は（制限ではないが）服飾取引、デパート取引、及び多様な商品を複数の売場及び（または）複数の地域で小売する他の商業に適用範囲を持つ。

小売は予想不可能な商売である。このことは、流行や他の移り気な外因が購買の決定を作用する場合に、特に、当てはまる。すなわち、例えば、１０代の若者の間で今月流行している衣類の物品は来月廃れる可能性があり、また、４ヶ月後に、４０代の人々の間で人気が高まるかもしれない。

これを補償するために、チェーン店や他の大型小売店は通常、総括商品管理者（ＧＭＭ（general merchandise manager））を雇用する。これらの管理者は多くの場合、総括的な販売促進の戦略の設定に対する責任を負い、価格設定、プロモーション、及びマーケティングが、例えば、需要の変化にも関わらずに、収支決算を改善することを確実する。ＧＭＭ（総括商品管理者）はまた、売場に対する在庫予算の割当てに対する責任を負い、販売シーズンを通して在庫が需要を満たし、好まれるものとして、需要を大きく超えないようにする。

これを達成するために、ＧＭＭまたはＣＦＯ（または、最高財務責任者）には総括的な在庫予算が与えられる。彼らは、例えば、取引量、利用可能な面積等による、各売場に対して必要な最低在庫投資等の制約条件を考慮するとともに、その予算に対する収益の最大化に対して責任を負う。多くの場合、売場に対する割当ては前年の数字に基づき、発生した在庫の超過または不足、価格の変化等を考慮するように変更される。また、それらは、ＧＭＭが明確な様式でリスクを考慮する範囲において、各売場が来シーズンどの程度の成績で運営されるかに対する直感に基づいて行われている。

本発明の目的はデジタルデータ処理の改善した方法を提供することであり、詳細に述べると、例えば、複数の小売売場及び（または）複数の地域の間の在庫の最適な割当てを決定するための方法を提供することである。

本発明のもう１つの目的は履歴的な小売データ及び通常の売場の制約条件を使用して実施することができる上述の方法を提供することである。

本発明のもう１つの目的は流行の服飾小売を含む、多様な範囲の小売環境に適用可能な上述の方法を提供することである。

上述及び本発明の他の目的は、小売店及び売場全体にわたる最適な在庫予算の割当てを決定するための方法及び装置を提供する本発明によって達成される。これらの割当ては、例えば、（総括商品管理者や他の人員等によって使用される）レポート（または、報告書）を作成するため、及び（または）在庫取得アカウント（または、在庫買取用口座）への資金供給のために使用することができる。

本発明の１つの側面に従うと、本発明の方法は小売企業の複数の商品売場及び（または）店舗の各々に対する、履歴的な投資利益率（または、投資収益）を入力することを含む。この投資利益率は、例えば、販売シーズン等の、事前の１つまたは複数の期間の各々における、各々の売場に割当てられた在庫の関数である投資粗利益率（ＧＭＲＯＩ（gross margin return on investment））であってもよいし、または、その在庫に基づいてその売場によって達成された金銭的な収益であってもよい。

本発明の方法はさらに、（ＧＭＲＯＩ（投資粗利益率）等の）履歴的な投資利益率における各売場間（または、各店舗間）のリスクの決定を含む。これは、例えば、複数の売場の、売場の各組の履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定されてもよい。

さらに、本発明の方法は現在または未来の販売シーズン等の、現在または未来の期間に対する売場の各々への在庫予算の最適な割当てを決定することを含む。この最適化は１つまたは複数の制約条件の関数として、全体としての、これらの売場に対する（ＧＭＲＯＩが投資利益率の尺度として使用された場合の粗利益ドル等の）総収益を最大化することによって決定される。そして、これらの複数の制約条件のうちの少なくとも１つは複数の売場に対する、全体としての、（ＧＭＲＯＩ等の）投資利益率におけるリスクの許容性である。この最適な割当ては、本発明の方法に従って、総括商品管理者または他の人員にレポート（または、報告書）として表示されてもよい。あるいは（または、上述の特徴に加えて）、割当ては（例えば、アカウント及び（または）銀行インターフェースモジュールを介して）売場が在庫を取得するために使用するアカウント（または、口座）に資金供給するために使用されてもよい。

本発明の関連する側面は、最適な割当てがデジタルデータプロセッサー上のマイクロソフトエクセルのソルバープログラム（Solver program）等の、最適化ツールを実行することによって決定される上述の方法を含む。

本発明のさらなる関連する側面は、複数の売場に対する、全体としての、ＧＭＲＯＩにおけるリスクが、（ｉ）売場の各々への在庫予算の候補割当て、及び（ii）複数の売場の、売場の各組の履歴的ＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定される上述の方法を含む。

本発明の他の側面は、最適な割当てが、（ＧＭＲＯＩ等の）複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクの許容性だけでなく、（ｉ）これらの複数の売場に対する、全体としての最大予算、（ii）１つまたは複数の売場への在庫予算の最小割当て、及び（iii）在庫に対して必要な最大な空間のうちの１つまたは複数を含む制約条件の関数として決定される上述の方法を含む。

本発明のもう１つの側面は少なくとも最適化ステップがデジタルデータプロセッサー上で実施される、上述された在庫予算の最適な割当てのための方法を含む。

本発明の上述及び他の側面は付随する図面及び下記の詳細な説明から明らかになるだろう。

図１は本発明が実施される環境を図示している。ここで、この環境は国際的、全国的、または地域規模の小売企業であってもよい。図示されている実施例において、小売店１０は（図示されていない他の構成要素とともに）小売売場１２−１８、「バックオフィス」データ格納２０、及び在庫予算最適化ワークステーション２２を備える。これらの構成要素は、図示されているように、通信のためにローカルエリアネットワーク２４を介して相互に接続されている。

売場１２−１８は（制限ではないが）、例えば、服飾、家庭用品、宝石、家具、化粧品、電気製品等の、通常の（または、非通常の）小売売場を表している。通常、これらの売場は個々の在庫及び在庫予算を有している。さらに、売場は通常、値段、価格形成、及び（または）需要の異なりにより、それらの商品の販売または貸し出し（以降、包括的に「販売」と呼ぶ）から異なった収益を上げる。

以下の説明は概略、単一店舗の「企業」内の商品売場の間の在庫予算割当てについてのものであるが、本発明は国際的、全国的、または他の規模等の、大規模な小売企業の店舗（または、売場）の間の在庫予算割当てに対しても同様に適用することができる。上述したように、これらの店舗は個々の在庫及び在庫予算を有する。そして、上述したように、店舗は通常、それらの対応する在庫または商品の販売から異なった金銭的な収益を上げる。このような環境において、「小売売場」１２−１８はこれらの店舗（または、他の小売アウトレット）及び（または）それらを構成する売場の一部または全てを表している。この関連で、本願の詳細な説明及び請求の範囲において、用語「小売場所」を用語「売場」の代わりに使用することができる。同様に、用語「場所間」を用語「売場間」等の代わりに使用することができる。

図面において、各売場は１つまたは複数の相互に接続された販売場所（ＰＯＳ（point of sale））端末１２ａ−１８ｃによって表されている。これらは在庫の追跡及び管理、並びに、販売時における小売店の常連客からの金銭の徴収のために備えられている。ＰＯＳ端末は図示された実施例において、これらの目的のために使用されるが、他の実施例において、これらの機能がこの分野で周知の（自動化された、または自動化されていない）他の機構で実施されてもよいことは理解されなければならない。

バックオフィスデータ格納２０は、年度または販売シーズン等の、事前の期間中の小売売場１２−１８からの販売情報、及びそれらの在庫予算に関する情報のレポジトリーを表している。これは、例えば、付加的に企業全体の金銭上の追跡及び管理等を含む一般的なバックオフィス管理機能の一部であってもよい。図示されている実施例において、店舗２０はサーバー及び（または）データベース管理システム２０ｅを介してネットワーク２４に接続されている格納装置２０ａ−２０ｄを備える。図示された実施例において、在庫からの販売に関する情報はルーター／モデム１２ｄ，１４ｄ，１６ｄ，１８ｄ及びネットワーク２４を介して各売場のＰＯＳ端末から店舗２０に通信される。しかしながら、他の実施例においては、他の手段によって情報が通信されてもよい。もちろん、いくつかの実施例において、データ格納２０は他の複数の情報源、及び（または）分散型情報源に収容されてもよいし、またはそれらから取得されてもよい。

在庫予算最適化ワークステーション２２はパソコン、ワークステーション、メインフレーム、または商業上入手可能な他のデジタルデータ処理システムを備え、最適な在庫割当てを決定し、それらの割当て及び（または）在庫取得アカウントをレポートするために、ここで説明される内容に従ってプログラムされる。ワークステーション２２はネットワーク化された（または、ネットワーク化されていない）、商業上入手可能な（中央処理ユニット、動的格納装置、入力／出力制御等を備える）プロセッサー区分２２ａ、モニター、キーボード及びユーザー入力／出力装置２２ｂ、並びにプリンターまたは他の出力装置２２ｃを含む。

本発明は少なくとも部分的に、従来無関係であると考えられていた金融的ポートフォリオ最適化（financial portfolio optimization）の理論を適用することによって小売商品在庫投資決定をなすことができるという発見に基づいている。これは小売商品在庫投資の分野またはポートフォリオ管理の分野の通常の技術者によって従来認識されなかった類似点を利用する。本願の発明人は、従来共通点の無いと考えられてきた、これら２つ分野における問題がいくつかの共通性を持ち、ポートフォリオ最適化の理論からの観念を使用することによって、売場１２−１８に対する（例えば、レポートの目的、及び（または）在庫アカウントの資金供給の目的のための）小売商品在庫投資決定を最適化するために本発明に従って動作するワークステーション２２または他のデジタルデータ処理装置を適用することができることを発見した。

最も顕著なことは、後で詳細に説明されるように、ワークステーション２２が商品在庫投資決定の問題を各売場１２−１８による在庫「投資」利益率（または、在庫投資収益）だけではなく、これらの「投資」に関連するリスクを反映するような様式でモデル化することである。そのようなモデルに基づいて、全ての売場の間の在庫投資決定を最適化することによって、総括商品管理者（ＧＭＭ）、ＣＦＯ、または他の小売決定責任者（以降、包括的に「総括商品管理者」または「ＧＭＭ」と呼ぶ）はそれらの投資利益率を最大にしながら、それらの在庫割当て決定に関連するリスクを認識し、それらを管理する能力を有することができる。

各計画期間の開始時に、ＧＭＭには複数の売場に割当てられる予算が与えられる。彼らは、例えば、取引量の考慮、利用可能な面積等による、各売場に対して必要な最小在庫投資等の制約条件を考慮するとともに、その予算に対する収益の最大化に対して責任を負う。

ＧＭＭによってなされるこれら考察を通常の投資ポートフォリオ管理者によってなされるものと比較することにより、小売決定責任者が明白な様式で、特に、量的な様式でリスクを考慮していないこと、さらに明確に言うと、売場レベルでの購買決定に関連するリスクがどのように全体的な小売在庫投資に対する全体的なリスクになるかを量的な様式で考慮していないことは明白である。すなわち、従来の小売決定責任者はリスクを不明確な、直感的な様式で考慮している。この質的な評価は通常、売場レベルで行われ、全体的な店舗または企業レベルでは行われない。

しかしながら、本願の発明人は小売の性質、例えば、（流行の服飾等の）特定のセクターの移り気な性質を考慮したとき、売場及び店舗／企業の両方のレベルにおける、在庫投資に関連するリスクの量的な評価が在庫予算の最適な割当てを促進することができることに気付いた。

これを達成するために、金融的な（または、財務的な）分野への類推を用いることにより、単一の小売売場の在庫への予算（または、「投資」）を割当てることのリスクを売場の時間に対する百分率の収益の標準偏差として定義できる。ここで「収益」はその売場による商品または在庫の販売による金銭的な差し引きとして定義される。この収益は以下において、「総括商品投資利益率」またはＧＭＲＯＩ（general merchandise return on investment）として参照される。ここで、以下で記述されるＧＭＲＯＩが「投資利益率」を評価するための１つの様式に過ぎないことは理解されなければならない。すなわち、それらの代わりに（または、それらに加えて）投資利益率のための他の測定基準が使用されてもよいことは当業者にとって明白であるだろう。

例えば、宝石売場の過去３年に対する四半期の百分率の収益（ＧＭＲＯＩ）が全ての四半期で８０％であった場合、（収益は一定であるので）その売場に関連するリスクはゼロである。一方、四半期の収益が９８％、６４％、１４２％、１５３％、１３６％、１０１％、１１１％、１４７％、７２％、８５％、１３０％、及び１０６％であった場合、平均収益は１１２％であり、リスク（すなわち、標準偏差）は８１％である。これが意味することは、概ね３分の２の確立で、宝石売場の四半期収益は平均収益１１２％の８１％以内に入るということである。より簡単に述べると、比較的安定したＧＭＲＯＩを有する売場は、ある年に高いＧＭＲＯＩを有し、翌年、劣悪なＧＭＲＯＩを有する売場に比べて、低いＧＭＲＯＩリスクを有する。

次に、全体としての在庫予算のリスク、すなわち、店舗または企業内の複数の小売売場に関連するリスクの計算の場合、売場間の共分散が関与してくる。これは、全体的なリスクを多様化によって減少することがきること、または、全体的な株券ポートフォリオのリスクが個々の株券のリスクの合計より少ないという金融界への類似による概念を数量化したものである。

本願の発明者は、組をなす共分散（pair-wise covariance）の使用が全体としての小売在庫予算のリスクの計算するための１つの方法であることを発見した。売場の特定の組が高い正の共分散を有する場合、それは履歴的にみて、それらのＧＭＲＯＩが一緒に上昇または下降しやすいことを意味する。売場の組が高い負の共分散を有する場合、一方が良好なときに、他方は劣悪になりやすく、また逆も同様となる。これらの組をなす履歴的なＧＭＲＯＩ共分散を使用することにより、図示された実施例は全体としての、すなわち、全ての売場にわたる、小売在庫予算のＧＭＲＯＩリスクを決定する。

図２は小売業者のＧＭＲＯＩリスク及び他の制約条件を考慮しながら、商品在庫投資のポートフォリオの予想される収益を最適化し、それによって、現在または未来の販売期間に対する在庫予算の割当てを最適化するときにワークステーション２２によって実行されるステップを示しているフローチャートである。

ステップ３０において、ワークステーションは予算の最適化のための入力を受信する。これらはユーザーによって、キーボード２２ｂを操作して、データ格納２０上のファイルをロードすることによって、ダウンロードによって、売場１２−１８から直接取得することによって、または他の方法によって入力することができる。図示された実施例において、これらは事前の計画期間に対する、（予算最適化が実施される）売場のＧＭＲＯＩ；現在の（または、未来の）、（予算最適化が実施される）販売期間に対する全ての売場にわたる在庫に対する利用可能な全予算；及び、各小売売場に対する平均空間量（すなわち、１０００ドルの在庫毎に必要な面積）を含む。

例として、事前の期間に対する売場のＧＭＲＯＩは、図３の表５０に示されているように、各売場に対する、事前の１２回の四半期ＧＭＲＯＩであってもよい。もちろん、四半期以外の期間に対するＧＭＲＯＩが使用されてもよいし、（計算の目的に対して、各売場に対する期間に対し、同一の数が使用されることが望まれるが）１２回以外の異なった期間の数が使用されてもよい。さらに、表中に示され、ここで説明されている特定の売場が単に例としてのものであることは理解されなければならない。

ステップ３２のおいて、ワークステーションは予算最適化の決定で使用される制約条件を受信する。通常、これらはユーザーによって、キーボード２２ｂを操作して、データ格納２０上のファイルをロードすることによって、ダウンロードによって、売場１２−１８から直接取得することによって、または他の方法によって入力される。図示された実施例において、制約条件は全体としての売場に対するＧＭＲＯＩにおけるリスクの許容性、すなわち、全ての小売売場１２−１８にわたる予算全体の投資においてＧＭＭが受け入れるリスクを含む。制約条件はまた、各売場に対する最小の在庫予算（例えば、取引量の考察や他の考察に基づいた在庫における最小の投資）、及び小売に対する利用可能な全面積を含む。また、他の実施例においては、それ以上、または以下の制約条件が利用されてもよい。

ステップ３４において、ワークステーションは、売場間のリスクの決定の手段として、売場の各組に対する履歴的なＧＭＲＯＩ共分散を決定する。そのような共分散はこの分野で周知の多様な様式で決定することができるが、図示されている実施例において、それらは以下の関係を使用して計算される。

ここで、
Ｃｏｖ（Ｘ,Ｙ）は小売売場ＸとＹの組に対する履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散であり、
ｎは売場Ｘ及びＹの各々に対して与えられた、事前の履歴的ＧＭＲＯＩの数であり、
μ_x及びμ_yは売場Ｘ及びＹの各々に対して与えられた、履歴的ＧＭＲＯＩの平均ＧＭＲＯＩである。

図４は上述の関係に従って表５０の数値から決定された売場間のリスクの表６０である。すなわち、表６０は組をなす共分散の表である。

ステップ３６において、ワークステーション２２は最小の総括的予算（または、全予算）、最小の小売面積、及び、売場取引量の最小値を満足するために必要な最小なリスクを決定する。図示された実施例において、この関連で、最小の総括的予算は取引量の考察に基づいた売場に対する在庫の最小投資の総計である。同様に、最小の小売面積は、各売場に対する製品、取引量の考察に基づいたその売場の最小投資、及びその売場の平均空間量の総計（または、総体的結果）である。売場の取引量の最小値を満足するために必要なリスクを決定するために、図示された実施例のワークステーション２２は（i）売場に対する在庫における最小投資を含む配列、及び（ii）表６０によって表される、組をなす共分散行列の行列乗算を実施する。結果として生ずる行列は最小投資の配列の転置行列によって乗算される。ワークステーション２２は次に、売場の取引量の最小値を満足するために必要なリスクを与えるために結果としての値の平方根を計算する。ここで、最小の総括的予算、小売面積、及び売場の取引量の最小値を満足するために必要なリスクが他の方法で決定されてもよいことは当業者にとって理解されなければならない。

ステップ３８において、ワークステーション２２は制約条件を考慮しながら、複数の売場の間の利用可能な全予算の最適な割当てを決定するために、この例において、マイクロソフトエクセルのソルバープログラム（Solver program）である、二次のプログラミング問題を解くことができる汎用最適化ツールを起動する。ここで、以下に説明される最大化を決定するために、上述のツールの代わりに（または、上述のツールに加えて）、他の最適化ツールが使用されてもよいことは当業者にとって明白であるだろう。しかしながら、ワークステーション２２が決定を行うためにエクセルの表計算シート内のソルバーツールを実行する実施例において、これは以下の内容を特定することを必要とする。

・ソルバー（または、他の最適化ツールによって）最大化される測定基準または尺度を定義するセル。図示された実施例において、このセルは各売場に対する製品、その売場の履歴的ＧＭＲＯＩの平均及び、その売場の予算割当ての候補（すなわち、ステップ４０におけるソルバーの実行中にソルバーによって決定される、その売場に対する割当て）の総計（または、総体的結果）に基づいた、予想される粗利益を規定する。

・各売場の予算割当ての候補を定義するセルの配列。この配列は、上述されたように、ステップ４０においてソルバーの実行中にソルバーによって操作される。この配列は以下において、決定ベクトルまたはｄｖとして参照される。

・ソルバーによって作成された候補予算の各組に対する在庫における全投資を定義するセル。図示された実施例において、これは投資を候補予算割当ての合計、すなわち、ベクトルｄｖの数値の合計として規定する。これはソルバーによる粗利益の最大化に対する制約条件、特に、合計額がステップ３０の利用可能な全予算入力以下になることを制限する制約条件を規定するときに使用される。

・ソルバーによって作成された候補予算の各組に対して必要な全小売空間を定義するセル。図示された実施例において、これはその空間を、各売場に対する、製品、その売場の候補予算割当て、及びステップ３０での、その売場の平均空間量の入力の総計（または、総体的結果）として規定する。このセルはソルバーによる粗利益の最大化に対する制約条件、特に、合計額がステップ３２の利用可能な全面積入力以下になることを制限する制約条件を規定するときに使用される。

・ソルバーによって作成された候補予算割当ての各組に基づいて、全体としての、売場に対する投資の全リスクを定義するセル。図示された実施例において、これは（i）配列ｄｖと表６０によって表されている行列の行列乗算を実施すること、（ii）結果として生ずる行列をｄｖの転置行列で乗算すること、（iii）ステップ（ii）の結果の平方根を計算することを含む計算におけるそのリスクを規定する。このセルで表されるこの量はソルバーによる粗利益の最大化に対する制約条件、特に、この量が、ステップ３２で入力された、全体としての、売場に対するＧＭＲＯＩのリスクの許容性以下になることを制限する制約条件を規定するときに使用される。

ステップ３８の一部として、情報はまた、特定の売場の候補予算割当てがステップ３２で入力された各売場に対する最小在庫予算を超えることを確実にするために、ソルバーによる粗利益の最大化に対する制約条件を規定することを含む。

ステップ４０において、ステップ３８で規定された制約条件を考慮しながら粗利益を最大にするために最適化ツールが実行される。有効な解の組が存在すると仮定した場合、これは、規定された制約条件が与えられたときの、全体としての、売場に対して達成することができる最大粗利益の見積もりの結果となる。同時に、これはこの最大粗利益を達成する候補予算割当ての組の結果となる。

ステップ４２において、この情報は、現在または来期の個々の売場に対する予算割当てを決定するときにＧＭＭ、ＣＦＯ、または他の決定責任者によって使用されるためのレポート（または、報告書）として出力されてもよい。それはまた、その割当てから達成される、見積もられた粗利益をレポート（または、報告）するために使用されてもよい。あるいは（または、付加的に）、最大粗利益に関連する候補予算割当ての組は、（制限ではないが）例として図１に示されている、ワークステーション２２に接続されたアカウント及び（または）銀行インターフェースモジュール２２ｄを起動してもよい。そして、アカウント及び（または）銀行インターフェースモジュールは（例えば、電子商取引、電子通信、または図面に示されているようなアカウント及び（または）銀行システムとの他の通信を介して）自動的または半自動的に、各々の売場が在庫取得の処理のために使用する実際の、または仮想の銀行アカウント（または、銀行口座）に資金供給する。

図５を参照すると、ステップ４２で生成されるタイプのレポートが示されており、それはステップ４０で決定された情報、並びに上述の決定で使用される入力及び制約条件を組み合わせている。

この図面を参照すると、ステップ３０で作成された入力はセル７２（現在または未来の販売期間に対する全ての売場にわたる在庫に対する利用可能な全予算）及びセル７４（各小売売場に対する平均空間量）によって示されている。事前の計画期間に対する売場のＧＭＲＯＩは、上述したように、他の画面（図示せず）を介して、ファイルから直接的に、または他の手段を介して入力される。同様に、ステップ３２で入力された制約条件はセル７６（全体としての売場に対するＧＭＲＯＩのリスクの許容性）、セル７８（各売場に対する最小在庫予算）、及びセル８０（小売に対する利用可能な全面積）によって示されている。

図５は付加的に、ステップ３６で作成された決定の結果を示している。これらはセル８２−８６によって示されており、それぞれ、最小包括的予算、小売面積、及び売場の最小取引量を満足するために必要なリスクを表示している。同様に、それはステップ３８との関連で利用されるセル、すなわち、セル８８（最大化される粗利益の測定基準を定義するセル）、セル９０（各々売場の候補予算割当てを規定するセルの配列ｄｖ）、セル９２（候補予算割当ての各組に対する在庫における全投資を定義するセル）、セル９４（作成された候補予算割当ての各組に対して必要な全小売空間を定義するセル）、及びセル９６（候補予算割当ての各組に基づいて、全体としての、売場に対する投資の全リスクを定義するセル）を特定している。

前述の内容に基づいた、最適化された金融（または、財務）の付加的な組はセル９８に示されている。これらの項目の最終行は「リスク調整収益（Risk-Adjusted Return）」とラベル付けされており、金融的ポートフォリオ管理で使用されるシャープ比（Sharpe Ratio）と等価のものである。

ここで、図５がステップ４０で生成された数値と共に作成することができる多様なレポート（または、報告書）の１つを表しているものに過ぎないことは当業者にとって理解されなければならない。さらに、適当なワークステーション２２は、例えば、格納２０に維持されているタイプ等の、店舗／企業レコード（または、店舗／企業記録）を更新するために、このステップで決定された最適予算割当てを利用することができる。

ここまで本発明の目的を達成するための方法が説明されてきた。しかしながら、これらは本発明の実施例の一部に過ぎず、多様な変更を取り入れた他の実施例も本発明の範囲に含まれる。例えば、上述の１つまたは複数のステップはデジタルデータプロセッサー以外の手段によって実施することもできる。さらに、本発明に従って動作するシステムが店舗／企業の将来にわたる複数の計画期間に対する予算を最適化するために使用することができることは理解されなければならない。

図１は本発明が実施されるタイプのデータデータ処理システムを図示している。 本発明の１つの実施例に従った最適化システムで実行されるステップを表しているフローチャートである。 本発明に従ったシステムへの入力として使用されるＧＭＲＯＩの表を図示している。 本発明の１つの実施例に従ったシステムの実行中に生成される共分散の表を図示している。 本発明に従ったシステムによって生成されたレポート（または、報告書）を図示している。

符号の説明

１０ 小売店
１２−１８ 売場
１２ａ−１８ｃ ＰＯＳ端末
１２ｄ−１８ｄ モデム
２０ バックオフィスデータ格納
２０ａ−２０ｄ 格納装置
２０ｅ データベース管理システム
２２ ワークステーション
２２ 在庫予算最適化ワークステーション
２２ａ プロセッサー
２２ｂ ユーザー入力／出力装置（キーボード及びモニター）
２２ｃ 出力装置
２２ｄ アカウント／銀行インターフェースモジュール
２４ ネットワーク

Claims (16)

1. 小売企業の複数の商品売場及び（または）店舗の各々への在庫予算の割当てを最適化するための方法であって：
   Ａ．小売企業の商品売場及び（または）店舗（以降、「売場」と呼ぶ）の各々による履歴的な投資利益率を個々に入力すること；
   Ｂ．複数の売場に対する履歴的な投資利益率における売場間のリスクを決定すること；
   Ｃ．複数の売場に対する、全体としの、全投資利益率を最大化することによって現在または未来の期間に対するこれらの売場の少なくとも１つに対する在庫予算の最適な割当てを決定することであって、そこにおいて、そのような最大化が１つまたは複数の制約条件であって、少なくとも１つの制約条件が複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクの許容性である制約条件の関数である、在庫予算の最適な割当てを決定すること；
   Ｄ．（i）前記最適な割当てを総括商品管理者または他の人員へのレポートに表示すること、及び（ii）売場が在庫を取得するために使用される１つまたは複数のアカウントに資金供給することのいずれかによって、ステップ（Ｃ）で決定された最適な割当てを利用することを含む方法。
2. ステップ（Ｃ）をデジタルデータプロセッサーで実行することを含む、請求項１に記載の方法。
3. ステップ（Ｃ）の前記最大化するステップが前記デジタルデータプロセッサー上で最適化ツールを実行することを含む、請求項２に記載の方法。
4. ステップ（Ａ）が複数の売場の各々による履歴的な投資利益率として、複数の売場の各々の履歴的な投資粗利益（ＧＭＲＯＩ）を入力することを含み、そこにおいて、各売場の前記履歴的なＧＭＲＯＩが（i）事前の１つまたは複数の期間の各々における、その売場に割当てられた在庫、及び（ii）その売場によって得られた粗利益の関数として決定される、請求項１に記載の方法。
5. ステップ（Ｂ）が複数の売場に対する履歴的な投資利益率における売場間のリスクを前記複数の売場の、売場の各組の履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定することを含む、請求項４に記載の方法。
6. ステップ（Ｃ）が複数の売場に対する、全体としての、ＧＭＲＯＩのリスクを決定することを含む、請求項４に記載の方法。
7. ステップ（Ｃ）が複数の売場のＧＭＲＯＩのリスクを（i）それらの売場の在庫予算の候補割当て、及び（ii）前記複数の売場の、売場の各組の履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定することを含む、請求項４に記載の方法。
8. ステップ（Ｃ）が複数の売場に対する、全体としての、粗利益を（i）これらの複数の売場に対する、全体としての、最大予算、（ii）１つまたは複数の売場への在庫予算の最小割当て、及び（iii）在庫に対して必要な最大空間を考慮しながら最大化することを含む、請求項４に記載の方法。
9. ステップ（Ｃ）が複数の売場に対する収益率を（i）これらの複数の売場に対する、全体としての、最大予算、（ii）１つまたは複数の売場への在庫予算の最小割当て、及び（iii）在庫に対して必要な最大空間を考慮しながら最大化することを含む、請求項１に記載の方法。
10. 在庫から販売を行う小売企業の複数の商品売場及び（または）店舗の各々への在庫予算の割当てを最適化するための方法であって、デジタルデータプロセッサー上で：
    Ａ．複数の売場を有する小売企業の商品売場及び（または）店舗（以降、「売場」と呼ぶ）の各組の履歴的な投資利益率の間の共分散を決定すること；
    Ｂ．複数の売場に対する、全体としの、投資利益率を最大化することによってこれらの売場の各々に対する在庫予算の最適な割当てを、１つまたは複数の制約条件であって、少なくとも１つの制約条件が複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクの許容性である制約条件を考慮しながら決定すること；
    Ｃ．（i）前記最適な割当てを総括商品管理者または他の人員へのレポートに表示すること、及び（ii）売場が在庫を取得するために使用される１つまたは複数のアカウントに資金供給することのいずれかによって、ステップ（Ｂ）で決定された最適な割当てを利用することのステップを実行することを含む方法。
11. ステップ（Ｂ）が複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクを（i）在庫予算の候補割当て、及び（ii）複数の売場の、売場の各組の履歴的な投資利益率の間の共分散の関数として決定することを含む、請求項１０に記載の方法。
12. ステップ（Ａ）−（Ｃ）をデジタルデータプロセッサー上で実行することを含む、請求項１１に記載の方法。
13. ステップ（Ａ）が複数の売場の、売場の各組の履歴的な投資利益率の間の共分散として、複数の売場の、売場の各組の履歴的な投資粗利益（ＧＭＲＯＩ）の間の共分散を決定することであって、そこにおいて、各売場の前記履歴的なＧＭＲＯＩが（i）事前の１つまたは複数の期間の各々における、その売場に割当てられた在庫、及び（ii）その売場によって得られた粗利益の関数として決定される、請求項１１に記載の方法。
14. ステップ（Ｂ）が複数の売場に対する、全体としての、投資利益率におけるリスクを（i）在庫予算の候補割当て、及び（ii）複数の売場の、売場の各組の履歴的なＧＭＲＯＩの間の共分散の関数として決定することを含む、請求項１３に記載の方法。
15. ステップ（Ｂ）の前記最大化するステップが前記デジタルデータプロセッサー上で最適化ツールを実行することを含む、請求項１０に記載の方法。
16. ステップ（Ｂ）が複数の売場に対する投資利益率を（i）複数の売場に対する、全体としての、最大予算、（ii）１つまたは複数の売場への在庫予算の最小割当て、及び（iii）在庫に対して必要な最大空間を考慮しながら最大化することを含む、請求項１０に記載の方法。

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