JP2006116949A - 液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出口を高密度化するとともに液体供給性能の向上を図り高粘度液の吐出をも可能とする。
【解決手段】液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室をそれぞれ変形する圧電素子と、前記圧電素子に関して前記圧力室とは反対側に形成され、前記複数の圧力室にそれぞれ液体を供給する共通液室と、前記圧電素子に駆動信号を供給する電気配線とを有し、前記共通液室は、流路が形成された薄板を積層することで形成された空間であり、前記電気配線は、前記積層された薄板が重なる部分の一部に前記圧電素子が配置される面に対して略垂直に立ち上がるように形成された開口部に形成する。
【選択図】 図8
【解決手段】液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室をそれぞれ変形する圧電素子と、前記圧電素子に関して前記圧力室とは反対側に形成され、前記複数の圧力室にそれぞれ液体を供給する共通液室と、前記圧電素子に駆動信号を供給する電気配線とを有し、前記共通液室は、流路が形成された薄板を積層することで形成された空間であり、前記電気配線は、前記積層された薄板が重なる部分の一部に前記圧電素子が配置される面に対して略垂直に立ち上がるように形成された開口部に形成する。
【選択図】 図8
Description
本発明は、液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置に係り、特に、液体を吐出する吐出口を高密度化するとともに、液体供給性能を向上させるために、液体を吐出する吐出圧力発生部と液体供給部を薄膜の積層構造で形成した液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置に関する。
従来より、画像形成装置として、多数のノズル(吐出口)を配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を有し 、このインクジェットヘッドと被記録媒体を相対的に移動させながら、ノズルから被記録媒体に向けてインクを吐出することにより、被記録媒体上に画像を記録するインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)が知られている。
このようなインクジェットプリンタは、インクタンクからインク供給路を介して圧力室にインクを供給し、画像データに応じた電気信号を圧電素子に付与して圧電素子を駆動することにより、圧力室の一部を構成する振動板を変形させて、圧力室の容積を減少させ、圧力室内のインクをノズルから液滴として吐出するようになっている。
このようにインクジェットプリンタにおいては、ノズルから吐出されたインクによって形成されるドットを組み合わせることによって被記録媒体上に1つの画像が形成される。近年、インクジェットプリンタにおいても写真プリント並みの高画質な画像を形成することが望まれている。これに対して、ノズル径を小さくしてノズルから吐出されるインク液滴を小さくするとともに、ノズルを高密度に配列して単位面積あたりの画素数を多くすることによって高画質を実現することが考えられている。
従来、ノズル配列を高密度化するとともに、インク供給能率を向上させ、プリント速度を高速化させる様々な提案がなされている。
例えば、圧力室の1面を形成する振動板に、インクを圧力室へ供給するインク供給路を設けるとともに、振動板の裏面にリザーバ(共通液室)を形成し、圧力室にリザーバよりインク供給路を介してインクを供給するようにして、ノズルの高密度化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
また例えば、圧力室のノズルが設けられた面とは反対側の面に圧電素子を設け、さらに圧電素子側にインク供給用のリザーバを配置し、また圧電素子には覆いを設け、ワイヤボンドや薄膜で電極を取り出すようにして、構造の簡素化を図るようにしたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
また例えば、圧力室に対して圧電アクチュエータをノズル面側に配置し、さらにアルミプラグが積層を貫通する構成を採用し、Siのフォトエッチングでインクジェットヘッドを形成することで、高密度化、低コスト化を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3等参照)。
また例えば、振動板に供給絞りを設け、圧電素子の圧力室とは反対側にインク供給部としてのインク供給タンクを設け、インク供給タンクから振動板を貫いて圧力室に連通するインク供給口を形成するとともに、インク供給部は、圧電素子に対し絶縁性の密閉カバーとして作用し、圧電素子の覆いやダンパ機能も備え、多ノズル化、低コスト化を図り、高
精度化を実現しようとしたものが知られている(例えば、特許文献4等参照)。
精度化を実現しようとしたものが知られている(例えば、特許文献4等参照)。
また例えば、インク供給層として、焼結ステンレス鋼などの多数の小さな内部接続された孔を有する多孔質材を用い、ここを通るインクの通過を可能とし、リフィル性を向上させ、高プリント速度、高信頼性を可能とし、多数の種類のインク調合性及び濾過性に優れたインクジェットヘッドを実現しようとしたものが知られている(例えば、特許文献5等参照)。
特開平9−226114号公報
特開2000−127379号公報
特開2000−289201号公報
特開2001−179973号公報
特表2003−512211号公報
しかしながら、圧電素子と、圧電素子を駆動するための駆動信号を供給する配線が形成された電装基板との間に共通インク室(共通液室)を設けて、圧力室からノズルまでの供給吐出流路を短くすることは高粘度液での高速印字や高密度配線実装に有効であるが、例えば上記特許文献1あるいは特許文献2に記載されたもののように、共通液室を圧力室に対し圧電素子側に配置した場合には、共通液室を圧電素子の電装面より外面に設けると、圧力室にインクを供給する供給流路が長くなり、特に高粘度液の場合には、リフィル性が低下し易く、さらに電装面をインク供給路が貫通するため、実装密度が低下し易いという問題がある。
また、例えば上記特許文献3に記載されたもののように、共通液室を圧力室に対してノズル側に設けた場合には、圧力室からノズルに至る吐出流路が長くなり、特に高粘度液において応答性が低下するという問題がある。
また一方、従来の圧力室やリザーバ(共通液室)をシリコンで形成する方法はコスト高で長尺化も難しいという問題がある。また、樹脂成形では加工形状や加工精度、剛性、あるいは線膨張率が不十分であるという問題がある。例えば、上記特許文献1のものは、プロセスがシリコンのフォトエッチングでありコスト高であり長尺化も難しく、またリザーバや信号回路接続についての詳細な記載がない。
また、上記特許文献2の構成では、リザーバが側面に配置されており、マトリクス型(2次元)のノズル配置には不向きである。
また、上記特許文献4に記載されたものは、インク供給部の具体的工法は示されておらず、図示された形状のものでは、特にマトリクス構造への適用が難しいという問題がある。
さらに、上記特許文献5に記載されたものでは、絶縁板の両面にバンプを形成し、弾性パッドで圧電素子を加圧して電極を取り出す構造を採用しているが、高密度化が難しく、接続も不安定になりやすいという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液体を吐出する吐出口を高密度化するとともに、液体供給性能を向上させ、高粘度液の吐出も可能とした液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室をそれぞれ変形する圧電素子と、前記圧電素子に関して前記圧力室とは反対側に形成され、前記複数の圧力室にそれぞれ液体を供給する共通液室と、前記圧電素子に駆動信号を供給する電気配線とを有し、前記共通液室は、流路が形成された薄板を積層することで形成された空間であり、前記電気配線は、前記積層された薄板が重なる部分の一部に前記圧電素子が配置される面に対して略垂直に立ち上がるように形成された開口部に形成することを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
これにより、ノズル高密度化及び高粘度液体の吐出を実現するための柱状の電気配線(エレキ柱)構造を有する液体吐出ヘッドが、薄板のプレート部材を積層して形成される積層構造で製造可能となり、高アスペクト比の立体物を容易に形成することができる。さらに、この積層板構造によって形成される共通液室の強度を向上させることが可能となる。
また、請求項2に示すように、前記流路が形成された薄板の少なくとも一部に液体の通過が可能な切り欠き構造が形成されたことを特徴とする。これにより、従来のいわゆる支流に相当する前記積層された梁状の部分の間の空間が連通して、これらの間に液体が流れることとなり、印字ヘッド全体に渡る共通液室として形成されることとなり、液体のより効率的な供給が可能となる。
また、請求項3に示すように、前記流路が形成された薄板の一部に液体の通過が可能なメッシュ構造を設けたことを特徴とする。これにより、積層板にフィルタ機能を付与することができ、この間を流れる液体中の異物等を除去することが可能となる。
また、請求項4に示すように、前記流路が形成された薄板の一部に薄肉中空構造を設けたことを特徴とする。これにより、積層板にダンパ機能を付与することができ、液体吐出時の逆流に伴うクロストークを低減することが可能となる。
また、請求項5に示すように、前記複数の薄板は、前記各薄板の流路が形成されることによって形成された梁部が、各薄板間で交差するように積層され、前記電気配線は、前記梁部が交差する部分に形成されることを特徴とする。これにより、前記切り欠き部を各積層間で一律同じ形状として設けた場合よりも、液体の流通性が向上し、印字ヘッド全体に渡る共通液室が形成され、液体の供給性が向上する。さらに、共通液室の強度を図るための部材の積層がリフィル効率を抑制することなく、強度向上とリフィル向上の両立を達成することができる。
また、請求項6に示すように、前記圧電素子に対し、該圧電素子に対応する部分が薄肉構造となった流路が形成された薄板を積層することを特徴とする。これにより、圧電素子の安価で剛性の高い保護構造が形成できるとともに、圧電素子の変位も拘束されず動作が安定する。
また、請求項7に示すように、前記薄板の一部に電気配線のための凹形状又は凸形状を設け、電気接続部材を接触させたことを特徴とする。
また、請求項8に示すように、前記積層された電気配線を前記圧電素子を実装する振動板に組み付ける前に、液体を充填して前記圧電素子の駆動検査を行うことを特徴とする。
これにより材料を無駄にすることがなく、製造コストを低減することができる。
また、請求項9に示すように、前記積層された流路が形成された薄板の一部にヒータを
設け、温度設定値を越えた場合は少なくとも前記吐出用の液体を前記共通液室に流して温度制御することを特徴とする。
設け、温度設定値を越えた場合は少なくとも前記吐出用の液体を前記共通液室に流して温度制御することを特徴とする。
これにより、均質な液体吐出ヘッドの温度制御を行うことができる。
また、同様に前記目的を達成するために、請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
これにより、高密度化された液体吐出ヘッドにより、高粘度液体の吐出も可能となり、より高画質な画像形成が可能となる。
以上説明したように、本発明に係る液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置によれば、ノズル高密度化及び高粘度液体の吐出を実現するための柱状の電気配線(エレキ柱)構造を有する液体吐出ヘッドが、薄板のプレート部材を積層して形成される積層構造で製造可能となり、さらに、この積層構造によって形成される共通液室の強度を向上させることが可能となる。
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドを有する画像形成装置としてのインクジェット記録装置の第1実施形態の概略を示す全体構成図である。
図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。 ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
図2に示すように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。
多孔質のペーパに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。
また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。
図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した共通流路から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。
図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端にインク供給口53が設けられている。
また、図4は他の印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。図4に示すように、複数の短尺ヘッド50’を2次元の千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、これらの複数の短尺ヘッド50’全体で印字媒体の全幅に対応する長さとなるようにして1つの長尺のフルラインヘッドを構成するようにしてもよい。
図5は、本実施形態の印字ヘッド50の一部を拡大して示す平面透視図である。
この後説明するように、本実施形態の印字ヘッド50は、各種プレート部材を多数積層することによって形成されている。
前述したように、印字ヘッド50には、ノズル51と供給口53を有する略正方形状の圧力室52が千鳥状の2次元マトリクス状に並んでいる。圧力室52のノズル51が形成される下面に対向する上面は共通電極を兼ねる振動板56で構成され、振動板56の上には圧力室52の形状に合わせて圧電体(ピエゾ)58が形成され、その上に個別電極57が形成されている。個別電極57から配線がノズル51側端部から圧力室52の外側に引き出され、電極接続部としての電極パッド59が形成されている。
この電極パッド59から、ピエゾ58に略垂直に立ち上がるように柱状の電気配線(エレキ柱)62が形成される。柱状の電気配線62を形成するために、横方向に複数の帯状の板を両端で連結した複数の梁部を有するように流路が形成された薄板状の第1の配線プレート60と、同様に縦方向に複数の帯状の板を両端で連結した複数の梁部を有するように流路が形成された薄板状の第2の配線プレート61とをそれぞれの各梁部を交互に直交させて格子状になるように積層する。このとき、各配線プレート60、61の細長い梁部が各圧力室52の間の部分に配置されるようにして積層する。第1の配線プレート60と第2の配線プレート61とが積層されて形成された梁部が重なって交差する部分63に電気配線62が形成される。
また、この第1の配線プレート60と第2の配線プレート61の各梁部が交差し重なった部分63には、圧力室52内の圧力発生状態を検出する圧力検出手段としてのセンサプレート(図5では図示省略、後述)から検出信号を取り出すための配線であるセンサ柱64が、電気配線62と同様に圧電体58に略垂直に立ち上がる柱状に形成される。
以上を詳しく説明するために、図5中の6−6線に沿った断面図を図6に示す。
図6に示すように、圧力室52は、下面端部にノズル51を有し、上面のノズル51側とは反対側の端部に供給口53を有し、供給口53には、インク吐出時における逆流を制限するための供給絞り53aが設けられている。
前述したように、圧力室52の上面は、共通電極を兼ねる振動板56で形成され、その上にピエゾ58が形成され、ピエゾ58の上に個別電極57が形成されている。個別電極57は、その端部を圧力室52の外側へ配線を引き出して電極パッド59が形成されている。図では省略しているが、振動板56と電極パッド59との間には絶縁層が形成されている。
一方、圧力室52の下面には、圧力室52内の発生圧力を検出した不吐出検出を行うためのセンサプレート66が形成されている。そしてセンサプレート66の下側にはノズル51が形成されたノズルプレート65が接合されている。センサプレート66は、機械−電気変換素子としての圧電体で構成される。センサ柱64は、センサプレート66が圧力を受けて変形することによって生じる電圧変化を電気信号として取り出すための電気配線である。なお、図6では1本省略されているが、センサ柱64は、センサプレート66の機械−電気変換素子としての圧電体の表と裏から引き出され、各圧力室52毎に2本設置される。
各電極パッド59の上に、柱状の電気配線(エレキ柱)62がピエゾ58に略垂直に立設される。この柱状の電気配線62を形成するために、横方向に梁部が形成された第1の配線プレート60と、縦方向に梁部が形成された第2の配線プレート61が、各梁部が各圧力室52の間の部分に位置するようにして、各配線プレート60及び61が交互に直交するように積層され、格子状に形成される。この第1の配線プレート60と第2の配線プレート61が交差して重なった格子状の部分63に、柱状の電気配線62及びセンサ柱64が形成される。
積層された第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61の上には、電装基板としての多層フレキシブルケーブル68が配置され、各電気配線62及びセンサ柱64が接続している。
またこのとき、第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61はそれぞれ各圧力室52の間に梁部を配置して積層するため、圧力室52の上の部分には空間が形成され、この梁部の間に流路が形成された薄板(第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61)を積層することによって形成された空間は各圧力室52に供給するインクをプールする共通液室(リザーバ)70となる。共通液室70は、第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61を交互に積層したため、その梁部の間が流路となるように空いており、そこで全ての圧力室52の上の空間が繋がって印字ヘッド50全体にわたって1つの共通液室70を形成している。
なお、共通液室70は、インクが充填されるため、インクに接する部分には、すべて絶縁・保護膜が形成される。
図7(a)に第1の配線プレート60を、図7(b)に第2の配線プレート61をそれぞれ平面図で示す。図7(a)に示すように、第1の配線プレート60は、横方向に細長く帯状に形成された梁部の上に、電気配線62を形成するための孔60aが等間隔に並んで形成され、その電気配線用の孔60aの部分は孔60aの形状に合わせて、その外形寸法が膨らんだ形状となっている。また、電気配線用の孔60aの両側にはセンサ柱64を形成するための孔60bが形成されている。
また、図7(b)に示すように、第2の配線プレート61は、縦方向に細長く帯状に形成された梁部の上に、電気配線62を形成するための孔61aが等間隔に並んで形成され、その電気配線用の孔61aの両側にはセンサ柱64用の孔61bが形成されている。第2の配線プレート61は、この電気配線用の孔61aが形成される部分においてその両側
のセンサ柱用の孔61bも含むように十字状に形成されている。
のセンサ柱用の孔61bも含むように十字状に形成されている。
各配線プレート60、61ともその細長い帯状に形成され梁部はそれぞれ両端で連結されており、それぞれ1枚のプレートとして形成されている。第1の配線プレート60と第2の配線プレート61を、それぞれの電気配線用の孔60a及び61aを合わせて、それぞれの梁部が直交するように交互に積層することにより、それぞれが交差して重なった格子状の部分63(図6参照)に電気配線62及びセンサ柱64を形成するための、各プレートに垂直な空洞部(スルーホール)が形成される。
図8に、以上説明した各プレート部材を積層して形成した本実施形態の印字ヘッドを一部断面を含む斜視図として示す。
図8に示すように、印字ヘッド50は、一番下にノズル51が形成されたノズルプレート65が形成され、その上にセンサプレート66が形成され、その上に何枚かのプレート部材を積層して圧力室52が形成される。
圧力室52の上面は振動板56で、その上にピエゾ58、個別電極57が形成されている。振動板56上の、2次元マトリクス状に配列された各圧力室52の間の部分に、複数の梁部を有するように形成された第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61の細長い帯状に形成された梁部を交互に積層させ、振動板56上に共通液室70が形成される。共通液室70と圧力室52は、振動板56に形成された供給口53(供給絞り53a)によって連通する。
また、第1の配線プレート60及び第2の配線プレート61を積層して形成する際に、梁部が交差して重なって形成される格子状の部分63には、各配線プレート60、61に形成された電気配線用の孔60a、61aの部分が重なってピエゾ58に垂直な空洞部(スルーホール)が形成される。また、同様にセンサ柱用の孔60b、61bの部分が重なってピエゾ58に垂直な空洞部(スルーホール)が形成される。
これらの空洞部(スルーホール)にはメッキを施したり、導電材を装填することにより、ピエゾ58に垂直な柱状の電気配線(エレキ柱)62及びセンサ柱64が成形される。
また、一番上には多層フレキシブルケーブル68が形成され、電気配線62及びセンサ柱64が多層フレキシブルケーブル68内の各配線と接続している。電気配線62は、振動板56上の個別電極57から引き出された電極パッド59から多層フレキシブルケーブル68との間を接続するように、またセンサ柱64は圧力室52の底面をなすセンサプレート66と多層フレキシブルケーブル68の間を接続するように、それぞれピエゾ58(あるいはピエゾ58が形成される振動板56等)に略垂直となるように立設される。
このように、本実施形態においては、柱状の電気配線(エレキ柱)62を形成するための配線プレートの積層を格子状に配置するようにしたため、各圧力室52の上に形成された空間が、交互に格子を形成するように積層された各梁部の間が流路としてそれぞれ連通し、各空間の間をインクが流れるようになっており、これらの空間は印字ヘッド50全体に渡って繋がった共通液室を構成する。そして、この共通液室からインク供給口(供給絞り)53を介して直接圧力室52にインクを供給するようにすることで、インクの供給性能を向上させることが可能となる。さらに共通液室の強度を確保することも可能となる。
また、電気配線(エレキ柱)だけでなく、センシング部との通電を行うセンサ柱も薄板の積層構造で構成するようにしたため、多くの電極を小型高密度に実装することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9に、第2実施形態に係る印字ヘッドの平面透視図を示す。また、図9の印字ヘッドを矢印A方向から見た側面透視図を図10(a)に示し、図9の印字ヘッドを矢印B方向から見た側面透視図を図10(b)に示す。さらに、この印字ヘッドを構成する各プレート部材を分解して図11及び図12に示す。
本実施形態は、細長い梁部によって流路が形成された薄板を積層して柱状の電気配線(エレキ柱)を形成するとともに、積層の一部にはフィルタとしてのメッシュとダンパの働きをする空隙を有するフィルタ・ダンパ層を設け、積層された梁部によって形成される空間の間を連通させてインクが流れるようにして、印字ヘッド全体に渡って繋がった共通液室を構成するようにしたものである。
図9は、図11、図12に示す全てのプレート部材を積層して構成された印字ヘッド150を上から透視した平面図であり、前述した第1実施形態と同様に、略正方形状の圧力室152が千鳥状の2次元マトリクス状に配列されている。
圧力室152は、供給口(供給絞り)153及びノズル151を有するとともに、各圧力室152毎に、個別電極157に駆動信号を供給するための柱状の電気配線(エレキ柱)162と不吐出検出を行うためのセンサプレート166の圧電体からの検出信号を送出するための電気配線のセンサ柱164が設けられている。
本実施形態においても、柱状の電気配線162及びセンサ柱164を形成するとともに、振動板156上に共通液室となる空間を形成するための配線プレート170が複数積層されるが、本実施形態の配線プレート170は図7に示す第1実施形態のものとは形状が異なっている。さらに、本実施形態では、後述するように配線プレート170を積層する間にフィルタ・ダンパ層が形成される。
以下、積層する各プレート部材とその積層方法について説明する。
まず、図10(a)あるいは(b)に示すように、ノズル151が形成されるノズルプレート165が一番下に積層される。ノズルプレート165を図11(a)に平面図で示す。ノズルプレート165は、例えば、ステンレスの薄板を半抜きプレス後に研磨したものや、ニッケル電鋳したもの、ポリイミドにエキシマレーザでアブレーション加工したものなどに撥液処理を施したものである。またノズル151はインク吐出側(外側)に行く程径が小さくなるように逆テーパ状に形成される。
図10に示すように、ノズルプレート165の上に圧力室152内の圧力を検出するためのセンサプレート166が形成される。センサプレート166を図11(b)に平面図で示す。センサプレート166としては例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)をステンレスに積層したものである。図11(b)に示すように、センサプレート166にはセンサ部166aが略圧力室152の形状に対応して形成され、ノズル151に対応する位置にノズル流路となる孔166bが設けられるとともに、センサ部166aの表裏からそれぞれ配線を引き出して接続部166cが2つ設けられている。
図10に示すように、センサプレート166の上には、圧力室152を形成する圧力室プレート167が積層される。圧力室プレート167としては、例えば、ステンレスを多段エッチングしたり、ステンレスを両面エッチングしたものを積層したりして形成する。
圧力室プレート167を図11(c)に平面図で示す。圧力室プレート167には、圧力室152及び供給絞り153となる開口、センサ柱164のための孔(スルーホール)167a及び接着する際の余剰な接着剤がはみ出して圧力室152や供給絞り153等を塞いだりしないように接着剤を逃がすための接着剤逃がし溝167b等が形成される。なお、スルーホール167aを接着剤逃がし溝として使用してもよい。
圧力室プレート167の接合は例えばエポキシ接着あるいは拡散接合等で行えばよい。また、圧力室プレート167に対しては、ポリイミド蒸着あるいは電着塗装などにより絶縁処理を行い、センサ柱用のスルーホール167aの内側に導電層を形成するために無電解銅メッキ等を施す。また、センサプレート166の接続部166cとの接続用に銀ペーストなどの充填材を充填しておく。
次に、図10に示すように、圧力室プレート167の上には、振動板156がエポキシ接着などで積層される。また図11(d)に示すように、振動板156の上には圧力室152に対応する位置にピエゾ(PZT)158が形成される。ピエゾ158は、焼成研磨したものにスパッタで共通電極を付けてから機械分離して使用する。また、図11(d)に示すように、振動板156には、供給絞り153用の孔156a、センサ柱164用の孔156bが形成され、さらにピエゾ158の上には個別電極157が形成され、これから電極パッド159が絶縁層の上に引き出されて形成される。
図10に示すように、ピエゾ158が形成された振動板156の上には、ピエゾカバー169が積層される。図11(e)にピエゾカバーの平面図を示す。ピエゾカバー169は、例えば、ステンレスの薄板をウエットエッチングで、特にピエゾ158の位置に対応する部分169aはハーフエッチングして半抜き構造とし、積層したときにピエゾ158を逃げるようにする。また、図11(e)に示すように、ピエゾカバー169には、供給口となる孔169b、電気配線用の孔169及びセンサ柱用の孔169dが形成される。また、圧力室プレート167と同様の絶縁処理を施し、孔の内側には導電層を形成して充填材を充填しておく。
なお、ピエゾ158の位置に対応する部分169aをハーフエッチングするのは、ピエゾ158を覆ってインクから保護するためと、インクから分離してピエゾ158の駆動を安定にするため、そしてダンピング特性を持たせてクロストークを軽減するためである。
次に図10に示すように、ピエゾカバー169の上には、柱状の電気配線162及センサ柱164用の空洞部を形成するとともに共通液室用の空間を形成する配線プレート(共通液室プレート)170が積層される。配線プレート170は、例えば、ステンレスの薄板をウエットエッチングして形成される。図12(a)に配線プレート170の平面図を示す。配線プレート170は、細長い帯状の梁部170aを多数並べてその両端(図の上下)を連結して1枚のプレートにしたものであり、梁部170aの間の空間171が積層したときに共通液室となる空間である。また配線プレート170には、各梁部170a上に電気配線用の孔(スルーホール)170bとセンサ柱用の孔(スルーホール)170cが形成されている。
次に図10に示すように、配線プレート170の上にフィルタ・ダンパプレート172を積層する。フィルタ・ダンパプレート172は、例えば、ステンレスの薄板をウエットエッチングして形成され、フィルタ・ダンパプレート172を2枚積層してフィルタ・ダンパ層が形成される。
フィルタ・ダンパ層は、2枚のフィルタ・ダンパプレート172の間にダンパとフィルタが形成されたものである。フィルタ・ダンパプレート172を図12(b)に平面図で
示す。図12(b)に示すように、フィルタ・ダンパプレート172には、供給絞り153に対応する位置に円弧状にダンパ173がハーフエッチングによって形成される。また、配線プレート170の各梁部170aに対応する位置にその梁部170aの両側の空間171を繋ぐように開口が形成されそこにフィルタ174が配置される。
示す。図12(b)に示すように、フィルタ・ダンパプレート172には、供給絞り153に対応する位置に円弧状にダンパ173がハーフエッチングによって形成される。また、配線プレート170の各梁部170aに対応する位置にその梁部170aの両側の空間171を繋ぐように開口が形成されそこにフィルタ174が配置される。
このフィルタ174が形成された開口部により各梁部170a間の空間171が連通して、印字ヘッド150全体に渡って繋がった共通液室が形成される。
フィルタ174は、例えばニッケル電鋳で形成され、2枚のフィルタ・ダンパプレート172でサンドイッチすることによって構成される。フィルタ174は、積層して形成された共通液室、すなわち図12(a)に示す梁部170a間の空間171の間をインクが流れる際に、異物を除去するためのものであり、メッシュサイズとしては、ノズル径以下が望ましく、10μm程度に設定している。なお、フィルタ・ダンパプレート172にも電気配線用の孔(スルーホール)172a及びセンサ柱用の孔(スルーホール)172bが形成されている。
図10に示すように、フィルタ・ダンパ層の上には再度配線プレート(共通液室プレート)175が積層され、配線プレート175の上には、積層プレート全体を温調制御するためのサーミスタ電極とヒータプレート176が積層される。ヒータプレート176は、例えば、ステンレスの薄板に抵抗層をパターニングして形成され、図11(d)に示すように、電気配線用の孔(スルーホール)176a及びセンサ柱用の孔(スルーホール)176bが形成されている。
次に図10に示すように、ヒータ層176の上には、ドライバICなどが実装されたバンプ付き多層フレキシブルケーブル168で構成される電装基板が積層される。
このようにして、図11及び図12に示すようなプレート部材を積層することにより、図9及び図10に示すような印字ヘッド150が形成される。
このようにして、図11及び図12に示すようなプレート部材を積層することにより、図9及び図10に示すような印字ヘッド150が形成される。
次に、以上説明した図11、12に示すような各プレート部材を積層して印字ヘッド150を組み立てる手順を説明する。
まず、圧力室からノズルに至る流路を、複数のプレート部材を積層接合して形成する。すなわち、ノズルプレート165、センサプレート166、圧力室プレート167及び振動板156をエポキシ接着剤等を用いて接合する。これにより、天面を振動板156で形成され、底面をセンサプレート166で形成され、供給口(供給絞り)153とノズル151を有する圧力室152が形成される。
なお、圧力室152の平面形状は今まで述べたもののように正方形に限定されるものではない。例えば、図13に示すように、T1のように正方形のものの他に、T2のような平行四辺形のものや、T3のように菱形のような平面形状を有するものでもよい。
次に、上で形成された積層流路に対しピエゾ158を接着する。すなわち、上で形成された流路の一番上に積層された振動板156の上にピエゾ158を貼り付けて絶縁処理を施し、金スパッタ等によりその上に電極パターニングを行い個別電極157を形成する。
次に、ピエゾ158に対してピエゾカバー169をエポキシ接着等により接合する。前述したように、ピエゾカバー169は、ピエゾ158に対応する部分は、ハーフエッチングによりピエゾ158を逃げるように加工されている。
次に、ノズルプレート165に対し、エキシマレーザなどによるアブレーション加工でノズル151を吐出側から加工する。このとき、吐出側がくびれるようにテーパ状に加工するのが望ましい。ノズルプレート165のノズル151を積層後に加工するのは、接着時の目詰まりを防止し、加工精度を向上させるためである。
このようにノズル151からピエゾカバー169までを形成したところでピエゾ158が正しく駆動することができるかを治具を用いて検査を行う。
この治具を用いた検査方法を図14を用いて説明する。図14に示すように、検査治具180は、インク供給用の筒状のダクト180aと、検査用のプローブ180b、180cを有する。検査治具180は、筒状ダクト180aを供給口(供給絞り)153に当て、またプローブ180bをピエゾ158の電極パッド159に当てて、プローブ180cをセンサプレート166の電極部に当てる。
そして、筒状ダクト180aから供給絞り153を介して圧力室152にインクを充填し、プローブ180bから駆動信号を送りピエゾ158を駆動する。その結果圧力室152に発生する圧力をセンサプレート166に当てたプローブ180cによって検出し、駆動状態を判定する。
検出結果が良好であれば、さらに続けて組立て工程を続行し、検出結果が不良であれば、ノズルプレート165からピエゾカバー169まで積層された積層流路に対して、以下電気配線及びインク供給系の接続を行う。
すなわち、次にピエゾ158の電極パッド159から振動板156(ピエゾ158)に対して垂直に立ち上がる電気配線(エレキ柱)162及びセンサ柱164を形成するとともに、共通液室となる空間171を形成する。ピエゾカバー169上に配線プレート(共通液室プレート)170、フィルタ・ダンパプレート172及び配線プレート(共通液室プレート)175、ヒータプレート176をエポキシ接着剤又は拡散接合などで積層し、また圧力室プレート167と同様の絶縁処理を施し、孔の内側には導電層を形成して充填材を充填する。
また、このとき電極パッド159と接続する部分に導電性接着剤を塗布してもよい。これにより、共通液室となる空間が形成される。さらに、その上に電装基板であるフレキシブルケーブル168をヒートプレス機によりハンダ融着によって接続する。
そして、ここで再度ピエゾ158及びセンサプレート166への導通を治具を用いて検査する。
ここでは図15に示すように積層したプレートに充填材を充填してピエゾやセンシング部から電極を取り出す構造を説明したが、第二の方法として、図16に示すように球体などの電気接続部材を使用することも可能である。すなわち、ハンダメッキなどを施した電気接続部材を孔に入れ、レーザなどを照射してハンダを溶融して接続するものである。
図16は、球体接続法を示すものであり、図16(a)中の符号Cで示す円内の部分を図16(b)に拡大して示す。
図16(b)に示すように、電極部分の一部を前記孔の中心から例えばΔだけオフセットするような凹状に形成すれば、接続部材を安定して孔の側面に接触させることが可能となり、またレーザ照射時も電極部分が接続部材の影にならず、ハンダの溶融が確実に行える。
また、配線プレート170の一部をプレスなどで凸状に形成すれば、ピエゾカバー169の絶縁や導電処理が不要となり、接続部材の小型化も可能となる。
治具を用いた検査が良好であれば、最後に共通液室にインクを供給する供給口を接着し、組み立てた積層基板をハウジングに組み、フレキシブルケーブルを固定して印字ヘッド150の組立てが完了する。
このように、本実施形態によれば、ピエゾやセンシング部の電気配線を薄板の積層構造で構成するようにしたため、アスペクト比(厚み/穴径)が高く高密度の立体物を容易に形成することができる。また、柱状の電気配線(エレキ柱)及び吐出流路を主にステンレスのエッチングで形成するようにしたため、安価で吐出部との線膨張差の少ない構造物を容易に製造可能となる。またピエゾカバーをハーフエッチング等で半抜き状に形成したため、安価で信頼性の高いピエゾの保護構造が容易に形成可能となる。
また、ステンレスのシールド効果により吐出検出信号の耐ノイズ性が向上する。さらに、熱伝導率が樹脂などより良好なため、ヘッドの温調時のローカリティが軽減される。また、拡散接合やろう付けなどの金属接合を用いれば一層の高剛性、高品質、高信頼化を図ることも可能となる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図17に、第3実施形態に係る印字ヘッドの平面透視図を示す。また、図17の印字ヘッドを矢印A方向から見た側面透視図を図18(a)に示し、図17の印字ヘッドを矢印B方向から見た側面透視図を図18(b)に示す。
本実施形態の印字ヘッドは、前述した第2実施形態と同様に、梁部を有する薄板(配線プレート乃至共通液室プレート)を積層して、柱状の電気配線(エレキ柱)を形成するとともに、積層の一部をハーフエッチングにより連通構造として、積層された梁部の間の空間を連通させてインクを流すようにして共通液室を構成するようにしたものである。
図17に示すように、供給絞り253とノズル251を有する圧力室252が千鳥状の2次元マトリクス状に配列されている。また圧力室252を変形させるためのピエゾ258を駆動する個別電極257から圧力室252の外側へ引き出されて電極パッド259が形成されている。この電極パッド259から、ピエゾ258が形成された面に略垂直となるように立設される電気配線(エレキ柱)262が、積層された配線プレート270によって形成される。また、圧力室252の底面に設けられたセンサプレート266(図18参照)から検出信号を取り出すためのセンサ柱264も、この積層された配線プレート270によって形成される。
なお、配線プレート270を構成する各梁部270aは、破線で示すハーフエッチングされた連通部277を有し、この連通部277によって各梁部270a間の従来インク供給のための支流であった空間271同士が連通する。
このように各梁部270a間の空間271が連通部277によって連通することにより、各空間271の間にインクが流れ、この印字ヘッド250全体に渡ってすべて連通した空間271が共通液室を構成する。
図18(a)、(b)に示すように、本実施形態の印字ヘッド250においても、前述した第2実施形態と同様に、下からノズルプレート265、センサプレート266、圧力
室プレート267、その上にピエゾ258及び個別電極257が形成される振動板256、ピエゾカバー269、配線プレート(共通液室プレート)270、ヒータ層276及び電装基板としての多層フレキシブルケーブル268が積層される。
室プレート267、その上にピエゾ258及び個別電極257が形成される振動板256、ピエゾカバー269、配線プレート(共通液室プレート)270、ヒータ層276及び電装基板としての多層フレキシブルケーブル268が積層される。
特に図18(b)に示すように、各配線プレート270には、ハーフエッチングされた連通部277が形成されており、これにより各配線プレート270の梁部270a間の空間271(図18(a)参照)が連通する。
図19に、本実施形態における配線プレート(共通液室プレート)270の平面図を示す。図19に示すように、本実施形態の配線プレート270は、前述した図7(a)に示す配線プレート60と同様であり、細長く帯状に形成された複数の梁部270aがその両端で連結されて1枚のプレートを形成している。各梁部270a上には、電気配線用の孔270bとセンサ柱用の孔270cが形成されている。
また、本実施形態においては、この他に各梁部270a間の空間271を連通させてインクを流すための連通部277がハーフエッチングによって形成されている。図18に示すように、本実施形態においては、このような配線プレート270を4枚積層することによって、柱状の電気配線(エレキ柱)262、センサ柱264及び共通液室としての空間271を形成している。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図20に、第4実施形態に係る印字ヘッドの平面透視図を示す。また、図20の印字ヘッドを矢印A方向から見た側面透視図を図21(a)に示し、図20の印字ヘッドを矢印B方向から見た側面透視図を図21(b)に示す。
本実施形態の印字ヘッドは、2種類の梁部を有する薄板(配線プレート乃至共通液室プレート)を積層して、柱状の電気配線(エレキ柱)を形成するものであるが、本実施形態においては、2種類の梁部を有する薄板の一方の一部をハーフエッチングして、積層したときの供給絞り上の位置に空隙を設けて、吐出時の圧力を緩衝するダンパ機能を付与するようにしたものである。
図20に示すように、供給絞り353とノズル351を有する圧力室352が千鳥状の2次元マトリクス状に配列されている。また圧力室352を変形させるためのピエゾ358に駆動信号を供給するための電気配線(エレキ柱)362が、積層された配線プレート370及び371によって形成される。また、圧力室352の底面に設けられたセンサプレート366(図21参照)から検出信号を取り出すためのセンサ柱364も、この積層された配線プレート370及び371によって形成される。
図22及び図23に、それぞれ本実施形態で用いる2種類の配線プレート370及び371を平面図で示す。
図22に示す配線プレート370は、前述した図7(a)に示す配線プレート60と同様であり、細長く帯状に形成された複数の梁部370aがその両端で連結されて1枚のプレートを形成している。各梁部370a上には、電気配線用の孔370bとセンサ柱用の孔370cが形成されている。
また、図23に示す配線プレート371は、図22に示す配線プレート370とは直交する方向に梁部371aが形成され、その両端で連結されて1枚のプレートを形成している。そして、図22に示す配線プレート370と積層したときに対応する位置に電気配線
用の孔371aとセンサ柱用の孔371bが形成されている。さらに、この配線プレート371には、各梁部371bの各電気配線用の孔371cの間に円形状にハーフエッチンにより空隙377が形成されている。この空隙377が形成される位置は、各プレート部材を積層して印字ヘッド350を形成したときに、供給絞り353に対応する位置であり、この空隙377部は、供給絞り353を介して吐出時の圧力を緩衝するダンパの機能を果たす。
用の孔371aとセンサ柱用の孔371bが形成されている。さらに、この配線プレート371には、各梁部371bの各電気配線用の孔371cの間に円形状にハーフエッチンにより空隙377が形成されている。この空隙377が形成される位置は、各プレート部材を積層して印字ヘッド350を形成したときに、供給絞り353に対応する位置であり、この空隙377部は、供給絞り353を介して吐出時の圧力を緩衝するダンパの機能を果たす。
図21(a)、(b)に示すように、本実施形態の印字ヘッド350においても、前述した第3実施形態と同様に、下からノズルプレート365、センサプレート366、圧力室プレート367、その上にピエゾ358及び個別電極357が形成される振動板356、ピエゾカバー369、配線プレート(共通液室プレート)370及び371、ヒータ層376及び電装基板としての多層フレキシブルケーブル368が積層される。
特に図21(a)、(b)に示すように、配線プレート370及び371については、2枚の配線プレート370と1枚の配線プレート370により、2枚の配線プレート371をサンドイッチするように積層される。
ここで積層する2枚の配線プレート371は、その1枚のみが図23に示すようにハーフエッチングされた空隙377を有し、他の1枚は平板状であり、これらを積層することで図21(a)または(b)に示すような空隙377が形成される。
このように、本実施形態では、積層の一部を半抜き(ハーフエッチング)して、ダンパ機能を付与したため、インク吐出時におけるインクの逆流に伴うクロストークを軽減することができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図24に、第5実施形態に係る印字ヘッドの平面透視図を示す。また、図24の印字ヘッドを矢印A方向から見た側面透視図を図25(a)に示し、図24の印字ヘッドを矢印B方向から見た側面透視図を図25(b)に示す。また、図26に、本実施形態で積層される配線プレートの平面図を示し、図27に、本実施形態で積層されるメッシュプレートの平面図を示す。
本実施形態は、図26に示すような配線プレートを積層する、前述した第3実施形態における積層中に、図27に示すようなメッシュプレートを入れてフィルタ機能を付与するようにしたものである。
図24に示すように、供給絞り453とノズル451を有する圧力室452が千鳥状の2次元マトリクス状に配列されている。また圧力室452を変形させるためのピエゾ458に駆動信号を供給するための電気配線(エレキ柱)462が、積層された配線プレート470によって形成される。また、圧力室452の底面に設けられたセンサプレート466(図25参照)から検出信号を取り出すためのセンサ柱464も、この積層された配線プレート470によって形成される。
本実施形態で積層される配線プレート470は図26に示すように、図19に示す前述した第3実施形態のものと同様である。すなわち、両端を連結された複数の梁部470aによって1枚のプレートとして形成され、各梁部470aには、電気配線用の孔470b、センサ柱用の孔470c及びハーフエッチングによる連通部477が形成されている。
本実施形態はこのような配線プレート470中に図27に示すようなメッシュプレート
480を入れて積層したものである。メッシュプレート480は、図27に示すように、電気配線用の孔480bとセンサ柱用の孔480cの他に多数のメッシュ状の孔480aが形成され、これによりフィルタ機能を有している。
480を入れて積層したものである。メッシュプレート480は、図27に示すように、電気配線用の孔480bとセンサ柱用の孔480cの他に多数のメッシュ状の孔480aが形成され、これによりフィルタ機能を有している。
図25(a)、(b)に示すように、本実施形態の印字ヘッド450においても、前述した第4実施形態と同様に、下からノズルプレート465、センサプレート466、圧力室プレート467、その上にピエゾ458が形成される振動板456、ピエゾカバー469、配線プレート(共通液室プレート)470及びメッシュプレート480、ヒータ層476及び電装基板としての多層フレキシブルケーブル468が積層される。
特に図25(a)、(b)に示すように、3枚の配線プレート470を積層する際、その中にメッシュプレート480をサンドイッチするように積層する。このように、多数のメッシュ状の孔480aを有するメッシュプレート480を間に入れて積層したため、このメッシュ状の孔480aがフィルタの機能を果たすこととなる。
このように、積層の一部をメッシュ状に構成してフィルタ機能を付与したため、高粘度液に対しても、損失の少ない効率的な濾過が可能となる。
以上説明した各実施形態においては、積層の一部にヒータ層を設けてヘッドの温調を行うようにしているが、単にヒータ層を設けただけでは、連続プリント等においてピエゾの発熱が大きい場合には、ヘッドを約40℃の適温に温調できない可能性がある。そこで、インク供給系を循環供給系にして、循環するインクをヘッドの冷却に使用することが考えられる。
以下、インク供給系について説明する。
なお、上で説明した印字ヘッド50、150、250、350、450いずれについても同様であるので、印字ヘッド50で代表して説明することとする。
図28に、印字ヘッド50をインクジェット記録装置10に取り付ける方法を分解斜視図で示す。
印字ヘッド50をインクジェット記録装置10に取り付けるには、図28に示すように、ヘッドブロック80ごと取り付ける。
印字ヘッド50をホルダ81に嵌め込んだ後、アタッチメント82を挟み、連結板83によって固定する。連結板83には、インク供給タンク(図示省略)から印字ヘッド50にインクを供給するための供給管84が設けられている。印字ヘッド50を連結板83によって固定することにより印字ヘッド50の主供給口85と供給管84とが連結される。
このとき、供給管84と主供給口85とはインク漏れ防止用のゴムパッキン86を介して連結される。なお、図示を省略したが、アタッチメント82及び連結板83は図の手前側にも取り付けられている。
図29は、本実施形態に係る印字ヘッド50のインク供給系を示す平面透視図である。図29に示すように、印字ヘッド50は、図示を省略したインク供給タンクからインクを供給する主流路87、主流路87から枝分かれした2つの供給管84、供給管84と連通する主供給口85及びバルブB1、B2などからなるインク供給系を備えている。
図29に示した印字ヘッド50には、前述した第1実施形態の印字ヘッド50を例とし
て示した。すなわち、互いに略直交する梁部が形成された配線プレート60、61を交互に格子状に積層して、その格子の升目の中に圧力室52が形成され、圧力室52の上の空間70は、格子状に積層された各梁部の間の隙間で連通し、全体が繋がって1つの共通液室を形成している。この共通液室中に積層された各交差する部分の中に、柱状の電気配線(エレキ柱)62が形成される。
て示した。すなわち、互いに略直交する梁部が形成された配線プレート60、61を交互に格子状に積層して、その格子の升目の中に圧力室52が形成され、圧力室52の上の空間70は、格子状に積層された各梁部の間の隙間で連通し、全体が繋がって1つの共通液室を形成している。この共通液室中に積層された各交差する部分の中に、柱状の電気配線(エレキ柱)62が形成される。
また、前述した他の実施形態の印字ヘッドにおいても、複数の梁部が形成された配線プレートが積層され、この積層中に柱状の電気配線(エレキ柱)が形成されるとともに、配線プレート中にフィルタを有する開口部や、ハーフエッチングによる連通部等が設けられ、各梁部が壁状に積層されて仕切られた空間同士が連通し、その間にインクが流れるように形成され、結局全体が1つに繋がって共通液室として構成される。
図29に示すように、主流路87から分かれた供給管84は、印字ヘッド50の長手方向左右両端からそれぞれ2つずつ印字ヘッド50に導かれ、印字ヘッド50の四隅に形成された各主供給口85に連通している。主供給口85から印字ヘッド50内に供給されたインクは、全体が繋がった共通液室内を充填し、各圧力室52毎に設けられた供給絞り53を介して圧力室52内に供給される。
供給管84には、弁手段としてのバルブB1、B2が印字ヘッド50に対してそれぞれ対角の位置に配置されている。図29に示す例では、図の右下側の供給管84にバルブB1が取り付けられ、また図の左上側の供給管84にバルブB2が取り付けられている。
このように構成されたインク供給系によれば、供給系の終端部すなわち流路の行き止まりとなる部分が存在しないため、インクの停留が発生せず、インクが澱まずにスムーズに流れ易くなっている。
図30は、このような印字ヘッド50が組み込まれたインクジェット記録装置10のインク供給系の構成を示す概要図である。
図30に示すように、インクジェット記録装置10は、インク供給タンク100と印字ヘッド50の間にサブタンク102、ポンプP1、P2、バッファタンク104、106及び印字ヘッド50のメンテナンスユニット110等を備えている。
インク供給タンク100は、インクを印字ヘッド50に供給するための基タンクであり、例えば図1に示すインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク100の形態には、インク残量が少なくなった場合に図示しない補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式等があるが、使用用途に応じてインク種類を変える場合には、後者のカートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコードやICチップなどで識別してインク種類に応じた吐出制御をすることが好ましい。
サブタンク102は、インク供給タンク100から供給されるインクを集め、インク内の気泡を可能な限り除去するものである。サブタンク102に代えて、またはこれと併用して、異物や気泡を除去するフィルタを設けた構成としてもよい。なお、サブタンク102には、インクの有無を検知するセンサが設けられていることが好ましい。
バッファタンク104、106は、サブタンク102と印字ヘッド50間において、印字ヘッド50の近傍または印字ヘッド50と一体的に設けられている。これらのバッファ104、106は、ポンプP1、P2を駆動させることによって流路内のインク圧力に生じる脈動(内圧変動)を吸収し、印字ヘッド50内の圧力を適切な一定の値に維持するダンパ効果を得るためのものである。
また、印字反ヘッド50の近傍には、ノズル51の乾燥防止またはノズル51近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ116と、ノズル面88の清掃手段としてのクリーニングブレード118などからなるメンテナンスユニット110が設けられている。
メンテナンスユニット110は、図示しない移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ116は、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源オフ時や画像形成待機時にキャップ116を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50のノズル面88に密着させることにより、印字ヘッド50のノズル面88をキャップ116で覆うようになっている。
クリーニングブレード118は、例えばゴム等の弾性部材で構成されており、図示しないブレード移動機構(ワイパー)により印字ヘッド50のノズル面88の下面に摺動可能に設けられている。ノズル面88にインク液滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード118をノズル面88に摺動させることでノズル面88表面を拭き取り、ノズル面88を清掃する。なお、ブレード機構による清掃時には、クリーニングブレード118によるノズル51への異物混入防止のため、清掃後に予備吐出を行うことが好ましい。
このようなインク供給系によるインク供給について以下説明する。
まず、インクジェット記録装置10の立ち上げ時など、初回の電源オン時においては、バルブB1、B2は開いたままであり、この状態でポンプP1、P2を共に給液として駆動させ、サブタンク102及びバッファタンク104、106におけるインクが所定の液位となるまでサブタンク102及びバッファタンク104、106にインクを充填する。なお、サブタンク102への充填は図示しない別のポンプを用いてもよい。
ついで、印字ヘッド50内にインクを確実に充填させるためバルブB1を開いたままとし、バルブB2を閉じ、ポンプP1を送液に、またポンプP2を吸液になるように駆動してインクを循環させる。
そして、所定時間経過後、バルブB1を閉じ、バルブB2を開き、前と同様にポンプP1を送液に、またポンプP2を吸液になるように駆動してインクを循環させる。これにより、印字ヘッド50内にはインクが充填され、予備吐出しなくても気泡はスムーズに排出される。さらに、バルブB1、B2のうちの開いているバルブを閉じ、バルブB1、B2の双方を閉じた状態として、ポンプP1を送液に、またポンプP2を吸液になるように駆動してインクを循環させる。
ついで、バルブB1、B2双方を開放した状態とし、前と同様にポンプP1、P2を駆動してインクを循環しながら予備吐出を行い、ノズル51から気泡を含むインクを排出する。これにより、圧力室52における気泡を含むインクをノズル51から吐出することができる。また、バルブB1、B2双方を開放した状態としていることから、排出されたインクのリフィルもスムーズに行うことができる。
また、ポンプP1を送液に駆動したまま、ポンプP2を停止するなど、ポンプP1、P2の少なくともいずれか一方を駆動させてインクを加圧しつつ供給する。これにより、圧力室52内の気泡を含むインクをノズル51から確実に排出することができる。バルブB
1、B2は開放状態とされているので、印字ヘッド50にインクをスムーズに供給することができる。
1、B2は開放状態とされているので、印字ヘッド50にインクをスムーズに供給することができる。
これらの後、ポンプP1、P2は停止させる。なお、ノズル51の回復処理において、ノズル51から排出されたインクはキャップ116に打滴されて回収され、回収タンク120を介してサブタンク102に戻されるようになっている。
図29において、主供給口85を介して供給管84から印字ヘッド50にインクが供給され、印字ヘッド50にインクが充填される。このようなインク充填によって、インク循環を行うため、インクを確実に充填/置換できる。さらに、圧力室52やノズル51にインクが充填し、ノズル51から予備吐出が行われ、圧力室52のノズル51から気泡を含むインクを確実に排出することができる。
また、画像形成時においては、バルブB1、B2を開放状態とし、この状態で印字ヘッド50のピエゾ58を駆動させて、ノズル51からインクの吐出を行う。このとき、ポンプP1、P2は駆動しない。印字ヘッド50の共通液室に供給管84が連結されており、共通液室から供給絞り53を介して直接圧力室52にインクを供給できるため、高速かつ連続でのインク吐出動作時にもインクを安定して供給することができる。
また、このようにインク供給系をインク循環系として構成したため、連続プリント等によってピエゾ58の発熱が大きい場合にも、循環するインクによって印字ヘッド50を冷却することができる。
また、ピエゾ58に、吐出しない程度の電圧を印加することにより、一層均質な印字ヘッド50の温度制御を行うことができる。
なお、例えば図11(c)に示したように、プレート部材を接合して積層する際の接着の安定化のために、接着溝が設けられているが、信号取り出し用のスルーホールを接着剤の逃がし溝として使用するようにしてもよい。この場合、最初に接着剤を塗って、貼り合わせ、そのままスルーホールを吸引して余剰接着剤を取り出し、その後加熱する事で接着剤を硬化させる。そして、他のスルーホールと同じように絶縁処理してメッキを行い導電性を持たせるような構造とするようにしてもよい。
また、上で説明した例においては、ステンレスの薄板を積層して印字ヘッドを構成したが、積層構造の一部は、樹脂やシリコンあるいはセラミック等で形成してもよい。
以上、本発明の液体吐出ヘッド及びこれを備えた画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、51a…ノズル流路、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電体(ピエゾ)、59…電極パッド、60、61…配線プレート、62…電気配線(エレキ柱)、64…センサ柱、65…ノズルプレート、66…センサプレート、68…電装基板(フレキシブルケーブル)、70…共通液室
Claims (10)
- 液体を吐出する複数の吐出口と、
前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、
前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室をそれぞれ変形する圧電素子と、
前記圧電素子に関して前記圧力室とは反対側に形成され、前記複数の圧力室にそれぞれ液体を供給する共通液室と、
前記圧電素子に駆動信号を供給する電気配線とを有し、
前記共通液室は、流路が形成された薄板を積層することで形成された空間であり、前記電気配線は、前記積層された薄板が重なる部分の一部に前記圧電素子が配置される面に対して略垂直に立ち上がるように形成された開口部に形成することを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記流路が形成された薄板の少なくとも一部に液体の通過が可能な切り欠き構造が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記流路が形成された薄板の一部に液体の通過が可能なメッシュ構造を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記流路が形成された薄板の一部に薄肉中空構造を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記複数の薄板は、前記各薄板の流路が形成されることによって形成された梁部が、各薄板間で交差するように積層され、前記電気配線は、前記梁部が交差する部分に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧電素子に対し、該圧電素子に対応する部分が薄肉構造となった流路が形成された薄板を積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記薄板の一部に電気配線のための凹形状又は凸形状を設け、電気接続部材を接触させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記積層された電気配線を前記圧電素子を実装する振動板に組み付ける前に、液体を充填して前記圧電素子の駆動検査を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記積層された流路が形成された薄板の一部にヒータを設け、温度設定値を越えた場合は少なくとも前記吐出用の液体を前記共通液室に流して温度制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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JP2013059915A (ja) * | 2011-09-13 | 2013-04-04 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッド |
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JP2020196202A (ja) * | 2019-06-03 | 2020-12-10 | ブラザー工業株式会社 | 液体吐出ヘッド |
-
2005
- 2005-09-15 JP JP2005268559A patent/JP2006116949A/ja active Pending
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