JP2005057367A - 無線通信システム、無線端末及び無線基地局 - Google Patents
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Abstract
【課題】各無線端末に搭載されるメモリの容量を削減しつつ、各無線端末で高い情報配信サービス品質を維持する。
【解決手段】簡易無線端末2が、画像データの受信に関する簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段24と、該制御パラメータを送信するパラメータ送信手段21を具備する。前記無線基地局1が、制御パラメータを受信するパラメータ受信手段11と、前記画像データを保存しているデータ保存手段15と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段(12、17)と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段11を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】簡易無線端末2が、画像データの受信に関する簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段24と、該制御パラメータを送信するパラメータ送信手段21を具備する。前記無線基地局1が、制御パラメータを受信するパラメータ受信手段11と、前記画像データを保存しているデータ保存手段15と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段(12、17)と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段11を具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像データの無線通信を行う無線端末(例えば携帯端末)、無線基地局及び無線通信システムに関し、特に画像データの配信の際にタイミング的な拘束を受けるMPEG2 TS(Transport Stream)データの無線通信を行う無線通信システム、無線端末及び無線基地局に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、放送などのデジタル画像を取り扱ったサービスを提供するシステムが実現されつつある。そのようなサービスで用いられるデータ形式として、例えば、MPEG2トランスポートストリーム(MPEG2 TS)が挙げられる(例えば、特許文献1)。MPEG2 TSは、ネットワークを用いて、画像、音声、及びデータ等を伝送するためのものである。そのため、MPEG2 TSの符号器及び符号化器は、遠隔に配置される場合が多い。また、MPEG2 TSのデータを予め符号化してデータを送信する形態も考えられる。
【0003】
このような形態での利用においては、ネットワークでの伝送時間や伝送クロックにより画像データを構成する画像パケットを受信するタイミングが一定間隔でなくなることが多発する。すなわち、受信タイミングが時間的に揺らぐ、タイミングジッタ(timing jitter)が多発する。画像データの受信側では、このようなタイミングジッタに対処しつつ、MPEG2 TSデータの復号処理を行う必要がある。
【0004】
携帯端末を用いた情報配信サービスでは、携帯端末の高機能化に伴い、年々高度なサービスを提供することができるようになっている。そのため、例えば、動画配信は、近年の携帯端末の表示装置の高性能化に伴い、より高精細な画像を求めるニーズが高まっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−284759
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高精細な画像データ伝送を行うためには、画像データ伝送に必要となる帯域幅が大きくなることは避けられない。携帯端末では、帯域幅が大きくなることに伴って信号処理が増大し、信号処理及びタイミングジッタを抑制するために必要となるメモリ容量を増大せざるを得なくなる。その結果、携帯端末に内蔵するメモリのコストが高くなる。このように従来の画像データ伝送では、タイミングジッタ抑制のために画像データ復号側つまり端末側で大量のメモリを必要とする。
【0007】
また、無線伝送においては、無線部のエラーによってパケットロスが発生すると、再送処理が行われる。この再送処理により、タイミングジッタが発生することも多いため、再生処理によりタイミングジッタ発生が、再送処理を実行することによりさらに増加してしまうことになる。したがって、携帯端末がタイミングジッタを抑制するために必要とするメモリ容量がさらに増加してしまう。さらに、携帯端末が有するメモリの容量は、携帯端末ごとに異なる。また、携帯端末が有している無線部の構成もそれぞれ異なっている。このため、タイミングジッタが発生した場合にそのタイミングジッタを解消するためのタイミングジッタ解消能力は携帯端末ごとに異なる。タイミングジッタ解消能力が異なる携帯端末全てにおいて高い情報配信サービス品質を維持することは困難である。
【0008】
この発明は、上述した従来の技術に鑑み、各無線端末に搭載されるメモリの容量を削減しつつ、各無線端末で高い情報配信サービス品質を維持することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信システムは、簡易無線端末と、該簡易無線端末との間で無線通信を行いさらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記簡易無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の簡易無線端末は、画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で無線通信を行う簡易無線端末において、前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記無線基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の無線基地局は、画像データの受信に関する性能を示す制御パラメータを保存している簡易無線端末との間で無線通信を行い、さらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局において、前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線通信システムは、簡易無線通信及び無線電話通信のいずれかによる無線通信を実行する無線端末と、該無線端末との間で簡易無線通信を行い、さらに画像データを前記無線端末に送信する無線基地局と、前記無線端末との間で無線電話通信を行う電話基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記電話基地局に送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを前記電話基地局を介して受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線端末は、画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で簡易無線を行い、該無線基地局から画像データを受信し、電話基地局との間で無線電話通信を行う無線端末において、前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記無線電話により前記無線基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の無線通信システム、無線端末及び無線基地局について詳細に説明する。本実施形態では、無線基地局が無線端末に画像データを送信する場合に、送信側の無線基地局が、以下詳細に述べる動作を行うことによって、各無線端末に搭載されるメモリの容量を少なくしても、各無線端末で高い情報配信サービス品質を維持することができることを詳述する。
まず、第1の実施形態として、無線端末が無線基地局等の外部との無線通信を行う手段として無線LAN部のみを有している場合を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態に係るアクセスポイント(AP)1及び携帯端末(STA)2を図1を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線基地局(AP)と携帯端末のブロック図である。アクセスポイント1が携帯端末2に画像データを送信する。ここで、画像データは、例えばMPEGデータである。
アクセスポイント1は、無線LAN部11、バッファメモリ12、画像信号処理部13、チューナー14、画像データベース15、MPU(microprocessing unit)16、及び制御部17からなる。
無線LAN部11は、バスを介して画像信号処理部13から処理された画像データをリクエストがあった携帯端末2に向けて送信する。また、無線LAN部11は、携帯端末2から受信した画像データ要求信号を画像信号処理部13に出力する。さらに、無線LAN部11は、携帯端末2の性能(例えば、メモリ容量、データ転送レート)に関する情報を制御部17に出力する。携帯端末2の性能に関する情報は、他に、例えば、再送回数指定、優先度、データレートも含む。再送回数指定、優先度、データレート等は、携帯端末2の性能に依存して設定される。
【0016】
バッファメモリ12は、無線LAN部11に接続し、画像データを受信することによるタイミングジッタを吸収する。画像信号処理部13は、携帯端末2からの画像データ要求信号に応じて該当する画像を要求信号の発信元である携帯端末2に向けて送信するため、画像データを処理してバス(Bus)に出力する。チューナー14は、放送されている画像データを受信するためのものである。チューナー14は、例えばテレビ放送を受信する。
【0017】
画像データベース15は、チューナー14により取得した画像データ、ネットワークを介して、画像データを記憶しているサーバーから取得した画像データを記憶し、蓄積している。MPU16は、アクセスポイント1が備えている全ての装置部分、例えばメモリ、制御回路、演算回路を統括して制御するものである。
【0018】
制御部17は、携帯端末2からの画像データ要求信号に応じて、MPEG2 TS符号化された画像データを用意し、携帯端末2に送信する。アクセスポイント1が画像データを送信する際、制御部17は、携帯端末2が許容するタイミングジッタ量を携帯端末2の性能情報から推定する。さらに制御部17は、画像信号処理部13から無線LAN部11に画像データが到着するまでに生じているタイミングジッタを、バッファメモリ12を用いて除去するように指示を出す。この指示は、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量を超えないようにバッファメモリ12でタイミングジッタを除去するための指示であっても構わないし、バッファメモリ12への具体的な制御信号であっても構わない。
以上のような構成にすることで、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量までタイミングの揺らぎを抑えたMPEG2 TS画像データの伝送が可能となる。
【0019】
一方、携帯端末2は、無線LAN部21、デコーダ22、表示部23、及び、制御部24からなる。
無線LAN部21は、アクセスポイント1から送信された画像データを受信するためのものである。デコーダ22は、無線LAN部21が受信した画像データをデコードするためのものである。表示部23は、デコーダ22がデコードした画像データを表示するためのものである。
【0020】
制御部24は、携帯端末2の全体の処理を制御する。制御部24は、例えば携帯端末2のユーザの指示に応じてその指示に対応する画像データをアクセスポイント1に要求するように各部に指示する。この画像データの要求は、無線LAN部21から要求信号としてアクセスポイント1に送信される。その際、制御部24は要求信号に加えて、例えば、携帯端末2の性能情報もアクセスポイント1に送信するように指示する。無線LAN部21がこれらの情報を要求信号に付加してアクセスポイント1に送信する。また、無線LAN部21がこれらの情報を予めアクセスポイント1に送信しておいて、画像データの要求はその後に実行されてもよい。
【0021】
MPEG2 TS画像データの伝送においては、特開平9−284759に示されているように、受信側が送信側に同期することが求められる。つまり、受信側及び/又は送信側が、画像データが携帯端末2に到着するタイミングについて時間管理を行う必要がある。アクセスポイント1と携帯端末2の間で、ネットワークや簡易無線装置(例えば、無線LAN装置)などを介し、画像データが伝送される場合には、画像データが経由する装置において信号処理が行われたり、送信側の無線部において再送処理が行われたりするために、固有の遅延が発生する。この遅延が、タイミングジッタの原因となる。
【0022】
以下、タイミングジッタを吸収する方法について説明する。これまでに説明したように、画像データは、各々のパケットごとにタイミングのずれを有して携帯端末2に到着する。したがって、例え送信側のアクセスポイント1が周期的に情報を送り出したとしても、携帯端末2への到着時間には、揺らぎが生じる。この揺らぎの様子が図2に示されている。図2は、画像データが図1の携帯端末2に到着した時間の揺らぎを示す確率密度分布の例を示した図である。このように、画像データは、ある一定の遅延時間の範囲(図2のTW)を有して携帯端末2に到着する。このTWが小さいほど、携帯端末2は少ないメモリ容量でタイミングジッタを抑制することが可能になる。
【0023】
したがって、タイミングの揺らぎを抑えるためには、アクセスポイント1及び/又は携帯端末2がある大きさを持ったメモリを内蔵し、そのメモリに到着した画像データを一旦格納し、タイミングジッタを抑えて画像データを出力すればよい。つまり、携帯端末2が画像データのタイミングの揺らぎを抑えるために用いるメモリの量をSM(bit)、転送される画像のレート(MPEGのコーディングレート)をRM(bit/sec)、とした場合に、携帯端末が対処可能なタイミングジッタ量は、SM/RMとなる。すなわち、アクセスポイント1が、タイミングの揺らぎを、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量以下になるように調整すれば良い。
【0024】
図1では、無線LAN部21に接続されたメモリ(図示せず)が、画像データを一旦格納しタイミングジッタを抑えて画像データを出力する。さらに、送信側のアクセスポイント1もタイミングの揺らぎを抑える処理を行う。携帯端末2の性能情報に基づいて無線LANの送信側で遅延差をなくす処理を適用することで、携帯端末2で行う揺らぎを抑える処理を簡素化することが可能となる。
【0025】
図1に示したブロック図におけるタイミングジッタ抑制では、バッファメモリ12を用いた無線LAN部11が行うことのできる最大限の処理を行うことも可能である。また、本実施形態では、携帯端末2の性能情報を送信側であるアクセスポイント1に伝達することができるため、アクセスポイント1は携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じた処理を行うことが可能となる。さらに、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0026】
次に、携帯端末2が有している無線LAN部21のレイヤ構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1の無線LAN部21のレイヤ構成を示す図である。
無線LAN部21は、物理部、MAC(media access control)部、CONT部から構成される。物理部では、無線LAN部21の無線部の仕様に従った信号処理が行われ、MAC部では、無線LAN部21のMAC部の仕様に従った送受信手順の信号処理が行われる。CONT部では、無線LAN部21の制御と、無線LAN部21により送受信したデータをアプリケーションに受渡しをする。
【0027】
携帯端末2が有するメモリ(図示せず)の容量は、携帯端末2ごとに異なる。このメモリは、各種信号処理において必要となるリソースである。また、携帯端末2が有している無線LAN部21の構成もそれぞれ異なっている。このため、携帯端末2ごとにタイミングジッタ解消能力が異なる。本発明の実施の形態では、アプリケーションが、無線LAN部のCONT部やMAC部の情報にアクセスできるようになるため、携帯端末2ごとに異なったタイミングジッタ解消能力を有している状況においては、高い情報配信サービス品質の画像データ転送を実現することができる。
【0028】
以下では、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能の程度を送信側で把握して、このタイミングジッタ抑制性能に基づいて送信側でタイミングジッタの抑制を実行することによって、携帯端末2ごとに異なったタイミングジッタ耐性を有している状況において、高い情報配信サービス品質の画像データ伝送を実現することができることを詳細に説明する。特に、携帯端末2からどのようなパラメータを取得し、そのパラメータにしたがってタイミングジッタ抑制を行えばよいかを中心に説明する。本実施形態では、無線LAN部21のMAC部のパラメータを用いる。
【0029】
無線LAN部21のパラメータの例として、QoS(quality of service)を管理することができる無線LANの標準であるIEEE802.11eで定義されているアクションボディ(action body)、ヘッダ情報、TSPECエレメント(TSPEC element)が挙げられる。これらにはそれぞれ、例えば、バッファサイズ、再送ポリシー、平均データ転送レートに関するフィールドが定義されている。
【0030】
IEEE802.11e準拠の無線LANを介して携帯端末に画像データ伝送を行う場合、通信を確立するためにアソシエーションを行う必要がある。アソシエーションが完了した後、画像データ伝送を行う無線LAN部11は、携帯端末2の性能情報を把握することができる。
【0031】
図1に示したアクセスポイント1では、携帯端末2性能情報を取得する無線LAN部11が設けられている。無線LAN部11によって得られた信号に基づいて、無線LAN部11に接続されているバッファメモリ12を利用して、制御部17がタイミングジッタの抑制処理を指示する。
【0032】
バッファメモリ12を用いたタイミングジッタ抑制制御は、いくつかの制御方法が考えられる。例えば図7、図8、及び図10に示したフレームに含まれる情報の中から該当するフィールドの情報を引き出し、この情報に基づいて、タイミングジッタ抑制制御を行う方法が考えられる。
【0033】
第1のタイミングジッタ抑制制御として、アクセスポイント1が携帯端末2のバッファサイズを取得する場合を説明する。アクセスポイント1が携帯端末2のバッファサイズを取得するフレームを図4を参照して説明する。図4は、携帯端末2からアクセスポイント1へ送信されるADDGAレスポンス(ADDGA Response)のアクションボディのMACフレームの構成を示す図である。
図4に示したアクションボディには、リオーダリングバッファサイズ(Reordering Buffer Size)AB1にグループアクノレッジ(GroupAck)モードで通信を行う際の携帯端末2側のバッファサイズが示されている。アクションボディ中のバッファサイズは、受信側がバースト的に画像データを受信する際のバッファサイズを示しているため、アクセスポイント1が画像データを一括して携帯端末2に伝送する際のバッファサイズを意味している。画像データが一括して伝送されれば、画像データをまとめる際の遅延が生じることになり、画像データの受信タイミングに遅延が生じる。さらにグループアクノレッジモードでは、ひとかたまりの画像データに対して再送制御が行われるため、この画像データ分のバッファリングが行われる。このことが、受信タイミングのタイミングジッタの原因となる。本実施形態によれば、アクセスポイント1が携帯端末2側のMACの情報を送信側が把握することができるために、このパラメータに応じたタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。また、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0034】
ここで、アクションボディとは、アクションフレーム(Action frame)フォーマットの本体部分のことである。アクションフレームは、802.11e仕様のマネージメントフレームの一つであり、このフレームを基地局(本実施形態ではアクセスポイント1)と携帯端末2との間でやり取りすることで、無線LANネットワークのマネージメント制御のために必要な情報の受渡しが行われる。
【0035】
次に、本パラメータを用いたタイミングジッタ抑制制御手順について図5を参照して説明する。図5は、図4のADDGAレスポンスのアクションボディを利用してタイミングジッタを抑制するためのフロー図である。
まず、アクセスポイント1は携帯端末2からの画像データ要求信号に基づいて、携帯端末2に送信する画像データを決定する(ステップS1)。さらに、アクセスポイント1は、送信する画像のデータレート、VBR(Variable Bit Rate)/CBR(Constant Bit Rate)、などMPEGに関する情報を取得する。これによって画像の許容ジッタ量を把握する(ステップS2)。次に、アクセスポイント1は、携帯端末2が許容するタイミングジッタ量を把握するための処理を行う(ステップS3)。この時アクセスポイント1は、携帯端末2に向けてADDGAリクエスト(ADDGA Request)を送信する。携帯端末2は、アクセスポイント1が送信したADDGAリクエストに応答して、図4に示したADDGAレスポンスをアクセスポイント1に送出する。アクセスポイント1は、このADDGAレスポンスを取得して、携帯端末2のバッファサイズを把握する。アクセスポイント1は、この携帯端末2のバッファサイズに基づいて、画像の送信方法を決定する(ステップS4)。
【0036】
図5に示した手順によれば、送信側であるアクセスポイント1は、携帯端末2のメモリ容量を把握することができる。このメモリ容量は、携帯端末2が一括して受信可能な画像データ量を示している。
画像データが一括して伝送されれば、画像データをまとめる際の遅延が生じることになり、携帯端末2の画像データ受信タイミングに遅延が生じる。さらにGroupAckモードでは、ひとかたまりの画像データに対して再送制御が行われるため、この再送制御によっても、受信タイミングの揺れ(タイミングジッタ)が生じる。
【0037】
送信する画像データには、そのデータの種別に応じて、予め受信タイミングのタイミングジッタの許容量が決まっている。そのため、送信側であるアクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制制御を行う際の目標量を把握することができる。
携帯端末2の受信タイミングの揺れは、携帯端末2が、到着した画像データを一旦メモリに蓄積し、その後に一定間隔で出力することで小さくすることができる。携帯端末2が抑制することのできる受信タイミングの揺れの大きさは、画像データを一旦蓄積しておく携帯端末2のメモリの大きさによって決まる。
【0038】
携帯端末2は、自らが有しているメモリを用いて、そのメモリ容量の範囲内で最大限のタイミングジッタ抑制制御を行う。送信側は、前述のアクションフレームのやり取りを通じて、端末側のメモリ容量を把握し、端末側のタイミングジッタ抑制性能を把握する。その後、送信側は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制可能範囲内のタイミングジッタとなるように、例えば、最大再送回数、GroupAckモードで伝送する画像データのサイズを変更することにより、画像データの送信方法を変化させる。このような手順を経ることによって、タイミングジッタ抑制が達成される。
【0039】
ここで、ステップS2でアクセスポイント1が携帯端末2に送信するADDGAリクエストを図6を参照して説明する。図6は、ADDGAリクエストのアクションボディのMACフレームの構成を示す図である。
図6に示したように、ADDGAリクエストは送信バッファサイズ(Transmit Buffer Size)を含んでいる。送信バッファサイズは、送信側が送り出すバーストの最大数に相当するものである。ADDGAレスポンス中のリオーダリングバッファサイズは、ADDGAリクエスト中の送信バッファサイズの量に応じて決定される可能性がある。そのため、ADDGAリクエストフレーム中の送信バッファサイズに大き目の数字を代入し、その返答を観測することで、携帯端末2のバッファサイズを把握することが可能となる。
【0040】
次に、アクセスポイント1と携帯端末2との間で通信される図4及び図6に示したアクションボディについて図7を参照して説明する。図7は、図1のアクセスポイントと図1の携帯端末との間でやり取りされる、IEEE802.11e仕様のデータのシーケンス図である。図7は、グループアクノレッジのためのメッセージシーケンスである。このシーケンスは802.11eの仕様書に沿った内容である。
グループアクノレッジは、次の3つの状態がある。すなわち、(1)データの通信に入る前の初期設定のためのメッセージ通信(図7中の(a)Setup)、(2)データの通信とグループアクノレッジの返答(図7中の(b)Data&Group Ack)、(3)終了のためのメッセージ通信(図7中の(c)Tear Down)である。
【0041】
送信側(アクセスポイント1)は、図6に示したADDGAリクエストを受信側(携帯端末2)に送信し、受信側にグループアクノレッジモードでのデータ転送を行うことを伝える。受信側は、図4に示したADDGAレスポンスのリオーダリングバッファサイズを用いて、受信側が使用可能なバッファサイズを送信側に伝える。
【0042】
第2のタイミングジッタ抑制制御として、アクノレッジポリシーを利用する場合を説明する。QoSコントロールフィールド(QoS Control field)にあるアクノレッジポリシー(Ack policy)を利用して、情報伝送に要する時間の揺らぎの原因となる再送の有無を制御することできることを図8を参照して説明する。図8は、IEEE802.11e仕様のQoSコントロールフィールドの構成を示す図である。
【0043】
QoSコントロールフィールドとは、IEEE802.11eの仕様で追加された2バイトのフィールドであり、MACヘッダに付加されている。MACヘッダであるため、QAP(QoS対応AP)及びQSTA(QoS対応STA)であれば、その間で通信されるデータには、常にこのQoSコントロールフィールドが付加されている。
【0044】
QoSコントロールフィールドには、図8に示したように、アクノレッジポリシー情報が記載されている。アクノレッジポリシーは、図9に示すようにビット5及びビット6で指定されていて4通りのモードがある。図9は、図8のQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシー情報の内容を示す図である。図9に示したように、モードの種類は、ノーマルアクノレッジメント(Normal Acknowledgment)モード、予約モード、ノーアクノレッジメント(No Acknowledgment)モード、及びグループアクノレッジメント(Group Acknowledgment)モードがある。
ノーマルアクノレッジメントモードは、送信されてきた1つのパケットに対して1つのアクノレッジメントを返送するモードである。予約モードは、使用されない空きのモードであり、将来何らかの新たなモードとして使用される可能性がある。ノーアクノレッジメントモードは、送信されてきたパケットに対してアクノレッジメントを返送しないモードである。グループアクノレッジメントモードは、まとめて複数のパケットを受信し、そのパケット数分のアクノレッジメントをまとめて返送するモードである。
【0045】
また、受信タイミングの揺れは、ノーアクノレッジメントモード、ノーマルアクノレッジメントモード、グループアクノレッジメントモードの順で大きくなる。そのため送信側は、アクノレッジポリシーによって想定されるタイミングジッタ発生量に応じて、データの送信方法を変化させることによってタイミングジッタ抑制を達成する。
【0046】
なお、ノーマルアクノレッジメントモードであれば、送信側は、受信誤りの発生確率を把握することができるため、実際に生じている受信タイミングの揺れを把握することができる。この受信誤りの発生確率を基に、画像データ転送中に送信側が、最大再送回数の変更によって送信方法を変更すれば、時々刻々変化する受信環境に応じて、最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。
また、グループアクノレッジメントモードで転送が行われている場合は、画像データ転送中に送信側がグループアクノレッジメントモードで伝送する画像データのサイズなどの変更によって送信方法を変更することにより、時々刻々変化する受信環境に応じて、最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。
【0047】
他に、優先度に関する情報を用いることによって、タイミングジッタの加わり方を概ね把握することができる。その結果、アクセスポイント1は印加されるタイミングジッタ量の予測量に応じた制御を行うことができる。優先度は、図8に示されているように、QoSコントロールフィールドのビット0からビット3に記述されるTID中に示されている。
【0048】
優先度とタイミングジッタの加わり方の関係は、以下の通りである。802.11eの仕様では、画像データ伝送の際に画像データ伝送の機会を獲得する割合に違いを設けることができるようになっている。画像データ伝送の際に画像データ伝送の機会を獲得する割合の度合いが優先度である。したがって、優先度の高い画像データは早期に伝送され、優先度の低い画像データは優先度の高い画像データよりも待たされて伝送されることになる。すなわち、優先度の低い画像データの方がタイミングジッタの影響を受け易いことになる。
【0049】
図8に示すように、優先度(priority)として、3ビット分の領域が定義されている。この優先度は、アクセスポイント1によって任意に設定可能である。このため、画像データを配信するアクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制性能の高い端末に対しては、優先度を下げる制御を行う。一方、タイミングジッタ許容量の大きい画像データを受信している端末に対しては、アクセスポイント1は優先度を下げる制御を行う。
【0050】
以上のようにして、無線LANシステムに、タイミングジッタ抑制性能の異なる端末が複数存在する場合や、タイミングジッタ許容量の異なる画像データを受信している端末が複数存在する場合において、システム全体として、最大のタイミングジッタ抑制効果を得る事ができる。
【0051】
第3のタイミングジッタ抑制制御として、TSPECエレメントを利用する場合を図10を参照して説明する。図10に示したTSPECエレメントには、通信対象の最小のデータレート(Minimum Data Rate)、平均のデータレート(Mean Data Rate)又は最大のデータレート(Peak Date Rate)や、バーストサイズの最大値(Maximum Burst Size)が示されている。これらのパラメータを利用することによって、携帯端末2に情報を送る際に最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。図10は、IEEE802.11e仕様のTSPECエレメントの構成を示す図である。
【0052】
TSPEC(traffic specification)は、IEEE802.11eの仕様で定義されていることを示している。TSPECは、追加された2バイトのフィールドであり、MACヘッダに付加されている。TSPECはMACヘッダであるため、QAP(QoS対応AP)及びQSTA(QoS対応STA)の間で通信されるデータには、常にこのQoSコントロールフィールドが付加されている。
【0053】
TSPECエレメントは、ADD TSアクションボディ及びDelete TSアクションボディに収容されている。これらアクションボディを含むアクションフレーム(Action Frame)は、基地局(801.11eの定義上は、基地局ではなくHC(Hybrid coordinator))と端末(802.11eの定義上は、QSTA)との間でやり取りされるマネージメントフレームである。基本的には、QoS情報を通信することに先立って、本マネージメントフレームのやり取りを行い、通信対象データのQoS情報を送信側と受信側の双方が把握する。
【0054】
携帯端末2では、自らが有しているメモリを用いて、そのメモリ容量の範囲内で最大限のタイミングジッタ抑制制御を行う。送信側は、TSPECエレメントを含む前述のアクションフレームのやり取りを通じて、伝送される画像データのQoS情報を把握し、携帯端末2で許容されるタイミングジッタ量を認識することができる。その後、送信側は、携帯端末2が抑制することのできるタイミングジッタ抑制可能範囲内のタイミングジッタとなるように、例えば最大再送回数、優先度、伝送する画像データのサイズを変更することによって、画像データの送信方法を変化させる。
【0055】
以上に示したように、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じてアクセスポイント1は画像データの送信方法を変化させる。したがって、携帯端末2に適してタイミングジッタを抑制することができる。また、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0056】
これまでの説明では、無線LANでの伝送に関する各種パラメータについて述べた。これらのパラメータは、併用することが可能である。図11を参照して、アクセスポイント1におけるデータ転送までの処理フローについて説明する。
アクセスポイント1では、携帯端末2からの画像データ転送要求に基づいて、送信データを決定し、送信データの準備を行う(ステップS11)。なお送信データが、アクセスポイント1に備えた画像データベース15に存在しない場合には、図1には図示していないネットワークとのインターフェースを介して、ネットワークから取得する。この準備作業を経て、アクセスポイント1は、送信データに関する情報を取得する。この情報は、例えば、MPEGの画像サイズ、VBR/CBRの区分、コーディングの平均伝送レートやピークレートなどを指す。
これらの情報から、アクセスポイント1は送信データの許容ジッタ量を把握する(ステップS12)。
【0057】
次にアクセスポイント1は、画像データを配信する相手となる携帯端末2が、グループアクノレッジモードで伝送可能か否かを判断する(ステップS13)。
グループアクノレッジモードで伝送可能でない場合は、ステップS16に進む。一方、グループアクノレッジモードで伝送可能な場合は、アクセスポイント1は前述したADDGAリクエストの送信及びADDGAレスポンスの受信を経て(ステップS14)、携帯端末2の情報(携帯端末2のメモリ量)を取得する(ステップS15)。
【0058】
ステップS16では、アクセスポイント1は、携帯端末2に対して画像データを送信する際の、無線LANのアクノレッジポリシー情報が取得可能か否かを判断する。アクノレッジポリシー情報が取得可能な場合は、前述したアクノレッジポリシーに関する情報を取得する(ステップS17)。一方、アクノレッジポリシー情報を取得することが不可能な場合は、ステップS18に進む。
【0059】
ステップS18では、アクセスポイント1は、TSPECエレメント情報が取得可能か否かを判断する。TSPECエレメント情報が取得可能な場合には、前述したTSPECエレメント情報を取得する(ステップS19)。一方、TSPECエレメント情報が取得不可能な場合は、ステップS20に進む。
【0060】
なお、ステップS15で取得される情報、ステップS17で取得されるアクノレッジポリシーに関する情報、ステップS19で取得されるTSPECエレメント情報の取得の順番は、任意で構わない。
【0061】
これらの情報を基に、アクセスポイント1は、画像伝送における伝送タイミングジッタの予測を行う(ステップS20)。この予測値が、携帯端末2が対処可能なタイミングジッタ量以内となるように、無線LAN伝送の優先度の決定、最大再送回数の決定を行う(ステップS21)。以上の手順を経た後、アクセスポイント1は、携帯端末2に対して画像データの送信を開始し(ステップS22)、画像データの送信が完了すると画像データの送信を終了する(ステップS23)。
【0062】
次に、第2の実施形態として、無線端末が無線基地局等の外部との無線通信を行う手段として無線LAN部に加えて電話部を有している場合を説明する。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、携帯端末が簡易通信を行うための無線LAN部21に加えて、電話通信を行うための電話部を有している場合の実施の形態について説明をする。図12は、本発明の第2の実施形態に係る無線基地局(AP 1)と無線基地局(BS
4)と携帯端末3のブロック図である。
本実施形態では、携帯端末3が外部との通信部として無線LAN部31に加え、電話部35を備えていること、及び、電話部35の基地局としての電話基地局(BS)4を備えていることが第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の携帯端末3は、無線LAN通信と携帯電話通信の2つの無線通信方式に対応することができる。
【0064】
携帯端末3は、無線LAN部31、デコーダ32、表示部33、制御部34、及び電話部35からなる。
電話部35は、無線LAN部31の簡易通信とは異なる電話無線通信を電話基地局4との間で行う。電話部35は、例えば、アクションボディ、ヘッダ情報、TSPECエレメント、携帯端末3の認証、及び携帯端末3に配信される画像データを指定した信号を電話基地局4に送信する。アクセスポイント1は、電話基地局4を介して携帯端末3との間で通信を行う。電話基地局4は簡易通信とは異なる電話無線通信のための基地局である。電話基地局4は、アクセスポイント1と、例えばネットワークで接続されている。
【0065】
デコーダ32は、無線LAN部31が受信した画像データをデコードすると共に、他に、電話部35が受信したデータをデコードする。無線LAN部31は、画像データを受信するために使用される。その他の、表示部33及び制御部34は第1の実施形態と同様である。
【0066】
アクセスポイント1は第1の実施形態と同様である。アクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制用のバッファメモリ12を備えている。さらに、アクセスポイント1は、携帯端末3からのMAC部のパラメータを解釈し、そのパラメータに応じてタイミングジッタ抑制のための制御を行う。
【0067】
以上により、携帯端末3は、事前に画像要求信号を、電話基地局4を介してアクセスポイント1に送信しておくことができるようになるため、例えばホットスポット(登録商標)において、瞬時に情報配信サービスを受けることができるようになる。
【0068】
次に、携帯端末3のレイヤ構成を図13を参照して説明する。図13は、2つの無線通信方式で通信可能な携帯端末3のレイヤ構成を示した図である。無線LAN部31及び電話部35は、それぞれ、物理部、MAC部、CONT部からなる。物理部は、無線LAN部31及び電話部35の仕様に従った信号処理が行われる。MAC部では、それぞれ無線LAN部31及び電話部35のMAC部の仕様に従った送受信手順の信号処理が行われる。CONT部では、無線LAN部31の制御又は電話部35の制御と、それぞれの無線通信方式により送受信した画像データをアプリケーションに受渡しをする。
【0069】
電話部35は、無線通信器としての型式認定の手続き上、厳格な検査をパスしている必要がある。さらに、電話部35による通信は、携帯電話サービス会社が有している権限において行うものである。したがって、電話部35の仕様は、携帯電話サービス会社が決定するものである。一方、無線LAN部31は、通信機としての型式認定の手続きが、電話部35よりも簡易である。さらに、無線LAN部31は、電波放射の際の仕様を満足していれば、特別なライセンスを必要とせずに無線通信に使用することができる。したがって、無線LAN部31の構成は、電話部35の構成に比べて、フレキシブルである。さらに、無線LAN部31は、MAC部のパラメータなどについても、その情報を取得したり、変更したりすることが容易に行える。
【0070】
携帯端末3では、制御部34は、無線LAN部31のドライバを介して、MAC部のパラメータ情報を取得することができる。そのパラメータ情報を電話部35を介して、電話基地局4に伝送する。これによって、画像データの伝送を行うアクセスポイント1に携帯端末3の情報を伝送することが可能となり、携帯端末3の性能に応じたタイミングジッタの抑制が可能となる。
【0071】
以上説明した2つの無線通信方式では、上述した型式認定手続のほかに、それぞれの無線通信方式で通信可能な領域(カバリッジと呼ぶ)の大きさが異なる。図14は、図12の無線LAN部と電話部それぞれの通信可能な領域(カバリッジ)を比較する図である。
電話部35は、音声信号程度を伝送可能な帯域を備え、広いエリアで利用可能なシステムである。これに対し、無線LAN部31は、ホットスポット(登録商標)の情報配信サービスのようにサービスエリアは狭いものの、高い信号伝送性能を備えている。
【0072】
次に、上述したアクセスポイント1及び携帯端末3を含む画像データの配信サービスを行うためのシステムによって、アクセスポイント1がタイミングジッタを抑制するための一連の動作を説明する。図15は、図12の無線基地局(AP1)、無線基地局(BS 4)、及び携帯端末(STA 3)の通信の様子を示す図である。
【0073】
携帯端末3(STA)は、電話部35と無線LAN部31を備えている。携帯端末3は、画像データの配信サービスを介して画像データの配信を受ける際、電話部35を介して、携帯端末3の性能に関する情報を配信サーバー7に送信する。この情報に対応するものは、携帯端末3のバッファメモリサイズやQoSパラメータである。QoSパラメータは、携帯電話機を介して文字情報を伝送するのと同様の機構で携帯端末3から配信サーバー7に送信される。したがって、このような情報配信サービス形態では、電話部35による電話通信のサービス会社と無線LAN部31を用いて情報提供を行うサービス会社が同じである必要はない。
【0074】
なお、図中及び上記の説明においては、例えば認証や課金のことについて触れていないが、画像データ配信サービス等において行われる処理手順を経た後に、認証や課金等の通信が行われる。
【0075】
配信サーバー7は、携帯端末3から受け取った画像提供要求に基づき、携帯端末3に画像データを配信するべく準備を行う。まずは、画像データベース5にアクセスし、さらに、必要であれば画像データを、携帯端末3に伝送するために適した伝送レートのMPEG2 TSに変換するようにエンコーダ6に指示を行う。配信サーバー7は、携帯端末3から、画像提供要求と共に携帯端末3の性能情報を電話通信によって受け取っているために、携帯端末3がどの程度の性能を有しているかを把握している。そのため、この性能に応じた伝送レートへの変換を指示することができる。
【0076】
配信サーバー7は、画像データを配信する準備を行うと同時に、アクセスポイント1に対して、携帯端末3の性能情報を伝達する。アクセスポイント1が携帯端末3に画像データを配信する。アクセスポイント1には、画像データのタイミングジッタを吸収するためのバッファメモリ12が備えられている。携帯端末3の制御部34は、配信サーバー7から受け取った携帯端末3の性能情報に基づいて、携帯端末3が許容することのできるタイミングジッタ量を把握する。さらに携帯端末3の制御部34は、無線LAN部31に画像データが送信されてから受信するまでの間に生じているタイミングジッタを、無線LAN部31に接続されたメモリ30を用いて除去するように指示する。
【0077】
アクセスポイント1が画像データを携帯端末3に伝送する際には、携帯端末3が内蔵しているメモリ30が対処することが可能なタイミングジッタを抑制した後に、携帯端末3に対して伝送を行う。なお、画像データは、携帯端末3の無線LAN部31のプロトコル仕様にしたがって伝送される。
【0078】
ところで、アクセスポイント1が画像データを伝送する際、前述した無線LAN部31のMAC部のパラメータを用いて、無線LAN部31を用いた信号伝送プロトコルを利用したタイミングジッタ抑制を行うこともできる。例えば、アクセスポイント1がQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシーを用いれば、情報伝送に要する時間の揺らぎの原因となる再送の有無を制御することできる。また、アクセスポイント1がQoSコントロールフィールドのTIDに示された優先度に関する情報を参照することによって、タイミングジッタの加わり方を概ね把握することができるため、印加されるタイミングジッタ量の予測量に応じた制御を行うことができる。
【0079】
以上に説明した実施形態によれば、携帯端末3のメモリ容量を低減しつつ、品質の高い通信を可能にすることができる。また、アクセスポイント1は、携帯端末3のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末3との同期を実現することができる。
【0080】
次に、図15に示した携帯端末3とアクセスポイント1間の動作を説明する。図16は、本実施形態の第1の動作手順を示し、図17は本実施形態の第2の動作手順を示す。図16では、アクセスポイント1が画像データベース5からデータを受け取った後に、携帯端末3に対して、タイミング制御を行いながら伝送する場合を示している。これに対し図17では、アクセスポイント1が画像データベース5から送られてきたデータを携帯端末3に転送する作業を同時に行う場合を示している。
図16によれば、携帯端末3は、送信データを決定し(ステップS31)、携帯電話を介して、画像配信サービスを行うサービス提供者(配信サーバー7)に対して、画像データの送信要求と端末のバッファサイズなどの情報を伝える(ステップS32、ステップS33)。配信サーバー7では、携帯端末3より配信を指示された画像をどの画像データベース5から取得するかを決定し、ネットワーク8を介して、送信データに関する情報の要求を行う(ステップS35)。画像データベース5は、画像の準備を行い(ステップS36)、送信データに関する情報を配信サーバー7に回答する(ステップS37)。
【0081】
また、配信サーバー7は、アクセスポイント1に対して、携帯端末3のバッファサイズや、送信するデータの情報を通知する(ステップS38)。アクセスポイント1では、画像データ伝送の準備を行う(ステップS39)。アクセスポイント1は、ネットワーク8を介して配信サーバー7に画像データ伝送の準備が完了した旨を通知する(ステップS40)。しかし、このステップS40は省略することも可能である。
【0082】
配信サーバー7は、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この指示を受けて画像データをネットワーク8を介してアクセスポイント1に配信する(ステップS42)。アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43、ステップS44)。この時、携帯端末との通信の過程で前述したようなQoS情報を得ることも可能である。
【0083】
次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。このデータ伝送の方法の決定とは、APでのタイミングジッタ抑圧制御の決定、無線LANにおけるデータ転送の優先度の決定、無線LANの最大再送回数の設定などを指す。アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0084】
次に図17で示した動作を説明する。図16と同様なステップは図16と同様な符号を付しその詳細な説明を省略する。
ステップS31からステップS39までは図16と同様である。図17では、アクセスポイント1が画像データ伝送の準備を行った(ステップS39)後、アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43、ステップS44)。次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。
【0085】
アクセスポイント1は、ネットワーク8を介して配信サーバー7に画像データ伝送の準備が完了した旨を通知する(ステップS40)。図16の場合と同様にステップS40は省略可能である。配信サーバー7は、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この指示を受けて画像データをネットワーク8を介してアクセスポイント1に配信する(ステップS42)。その後、アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0086】
図18は、本実施の形態の第3の動作手順を示している。図18は、図16、図17と異なり、エンコーダに対してMPEG2 TSのデータレートの変更を指示する処理を含んでいる。
ステップS31からステップS39までは図16と同様である。図18では、アクセスポイント1が画像データ伝送の準備を行う(ステップS39)と同時に、アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43)。この時、携帯端末との通信の過程で前述したようなQoS情報を得ることも可能である。
【0087】
次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。このデータ伝送の方法の決定とは、APでのタイミングジッタ抑圧制御の決定、無線LANにおけるデータ転送の優先度の決定、無線LANの最大再送回数の設定などを指す。
【0088】
アクセスポイント1は、さらに、携帯端末3の受信能力や、タイミングジッタ抑圧能力に応じて、エンコードレートを変更するための処理を行う。まず、アクセスポイント1は、配信サーバー7に対して、MPEGデータ品質の変更を要求する(ステップS51)。これに応じて、配信サーバー7は、エンコーダ6に対して、MPEGデータ品質の変更を指示し(ステップS52)、さらに、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この要求に従って、画像データをエンコーダ6に伝送する(ステップS53)。エンコーダ6では、MPEGデータの品質の変更を行い(ステップS54)、変更後のデータをアクセスポイント1に配信する(ステップS55)。アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0089】
以上説明した実施の形態によれば、携帯端末の能力に応じた画像伝送が可能となる。また、携帯端末ごとに異なるタイミングジッタ抑圧耐性を有している状況において、高品質の情報配信サービスを提供することが可能となる。
【0090】
また、本発明は上記実施の形態には限定されず、種々の変更が可能である。上記、実施の形態では、電話部35として携帯電話方式を想定したが、データ通信速度が低速であっても広範囲のサービスエリアを有する無線方式であればなんでもよい。例えば、電話部35としてPHS(Personal Handy Phone System)を採用してもよい。また、上記の実施の形態では、簡易無線装置としたが、データ通信速度が高速な無線方式であればなんでもよい。例えば、無線LAN部31は、IEEE802.11bや11gの無線LAN、IrDA(赤外線通信)、又は、現時点で標準化がなされていないUWB(Ultra Wide−Band)などの無線PAN(Personal Aria Network)を採用してもよい。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、無線端末のメモリ容量を低減しつつ、品質の高い通信を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局(AP)と携帯端末のブロック図。
【図2】画像データが図1の携帯端末に到着した時間の揺らぎを示す確率密度分布の例を示した図。
【図3】図1の無線LAN部のレイヤ構成を示す図。
【図4】図1の携帯端末から図1の無線基地局へ送信されるADDGAレスポンスのアクションボディのMACフレームの構成を示す図。
【図5】図4のADDGAレスポンスのアクションボディを利用してタイミングジッタを抑制するためのフロー図。
【図6】図1の無線基地局から図1の携帯端末へ送信されるADDGA RequestのアクションボディのMACフレームの構成を示す図。
【図7】図1の無線基地局と図1の携帯端末との間でやり取りされる、IEEE802.11e仕様のデータのシーケンス図。
【図8】IEEE802.11e仕様のQoSコントロールフィールドの構成を示す図。
【図9】図8のQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシー情報の内容を示す図。
【図10】IEEE802.11e仕様のTSPECエレメントの構成を示す図。
【図11】図1のアクセスポイントにおける処理を示すフロー図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る無線基地局(AP)と無線基地局(BS)と携帯端末のブロック図。
【図13】図12の携帯端末のレイヤ構成を示す図。
【図14】図12の無線LAN部と電話部それぞれの通信可能な領域(カバリッジ)を比較する図。
【図15】図12の無線基地局(AP)、無線基地局(BS)、及び携帯端末の通信の様子を示す図。
【図16】本実施形態の第1の動作手順を示すフロー図。
【図17】本実施形態の第2の動作手順を示すフロー図。
【図18】本実施形態の第3の動作手順を示すフロー図。
【符号の説明】
1・・・アクセスポイント、2、3・・・携帯端末、4・・・電話基地局、5、15・・・画像データベース、6・・・エンコーダ、7・・・配信サーバー、11、21、31・・・無線LAN部、12・・・バッファメモリ、13・・・画像信号処理部、14・・・チューナー、16・・・MPU、17・・・制御部、22、32・・・デコーダ、23、33・・・表示部、24、34・・・制御部、30・・・メモリ、35・・・電話部
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像データの無線通信を行う無線端末(例えば携帯端末)、無線基地局及び無線通信システムに関し、特に画像データの配信の際にタイミング的な拘束を受けるMPEG2 TS(Transport Stream)データの無線通信を行う無線通信システム、無線端末及び無線基地局に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、放送などのデジタル画像を取り扱ったサービスを提供するシステムが実現されつつある。そのようなサービスで用いられるデータ形式として、例えば、MPEG2トランスポートストリーム(MPEG2 TS)が挙げられる(例えば、特許文献1)。MPEG2 TSは、ネットワークを用いて、画像、音声、及びデータ等を伝送するためのものである。そのため、MPEG2 TSの符号器及び符号化器は、遠隔に配置される場合が多い。また、MPEG2 TSのデータを予め符号化してデータを送信する形態も考えられる。
【0003】
このような形態での利用においては、ネットワークでの伝送時間や伝送クロックにより画像データを構成する画像パケットを受信するタイミングが一定間隔でなくなることが多発する。すなわち、受信タイミングが時間的に揺らぐ、タイミングジッタ(timing jitter)が多発する。画像データの受信側では、このようなタイミングジッタに対処しつつ、MPEG2 TSデータの復号処理を行う必要がある。
【0004】
携帯端末を用いた情報配信サービスでは、携帯端末の高機能化に伴い、年々高度なサービスを提供することができるようになっている。そのため、例えば、動画配信は、近年の携帯端末の表示装置の高性能化に伴い、より高精細な画像を求めるニーズが高まっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−284759
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高精細な画像データ伝送を行うためには、画像データ伝送に必要となる帯域幅が大きくなることは避けられない。携帯端末では、帯域幅が大きくなることに伴って信号処理が増大し、信号処理及びタイミングジッタを抑制するために必要となるメモリ容量を増大せざるを得なくなる。その結果、携帯端末に内蔵するメモリのコストが高くなる。このように従来の画像データ伝送では、タイミングジッタ抑制のために画像データ復号側つまり端末側で大量のメモリを必要とする。
【0007】
また、無線伝送においては、無線部のエラーによってパケットロスが発生すると、再送処理が行われる。この再送処理により、タイミングジッタが発生することも多いため、再生処理によりタイミングジッタ発生が、再送処理を実行することによりさらに増加してしまうことになる。したがって、携帯端末がタイミングジッタを抑制するために必要とするメモリ容量がさらに増加してしまう。さらに、携帯端末が有するメモリの容量は、携帯端末ごとに異なる。また、携帯端末が有している無線部の構成もそれぞれ異なっている。このため、タイミングジッタが発生した場合にそのタイミングジッタを解消するためのタイミングジッタ解消能力は携帯端末ごとに異なる。タイミングジッタ解消能力が異なる携帯端末全てにおいて高い情報配信サービス品質を維持することは困難である。
【0008】
この発明は、上述した従来の技術に鑑み、各無線端末に搭載されるメモリの容量を削減しつつ、各無線端末で高い情報配信サービス品質を維持することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信システムは、簡易無線端末と、該簡易無線端末との間で無線通信を行いさらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記簡易無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の簡易無線端末は、画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で無線通信を行う簡易無線端末において、前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記無線基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の無線基地局は、画像データの受信に関する性能を示す制御パラメータを保存している簡易無線端末との間で無線通信を行い、さらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局において、前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線通信システムは、簡易無線通信及び無線電話通信のいずれかによる無線通信を実行する無線端末と、該無線端末との間で簡易無線通信を行い、さらに画像データを前記無線端末に送信する無線基地局と、前記無線端末との間で無線電話通信を行う電話基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記電話基地局に送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを前記電話基地局を介して受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線端末は、画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で簡易無線を行い、該無線基地局から画像データを受信し、電話基地局との間で無線電話通信を行う無線端末において、前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記無線電話により前記無線基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の無線通信システム、無線端末及び無線基地局について詳細に説明する。本実施形態では、無線基地局が無線端末に画像データを送信する場合に、送信側の無線基地局が、以下詳細に述べる動作を行うことによって、各無線端末に搭載されるメモリの容量を少なくしても、各無線端末で高い情報配信サービス品質を維持することができることを詳述する。
まず、第1の実施形態として、無線端末が無線基地局等の外部との無線通信を行う手段として無線LAN部のみを有している場合を説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態に係るアクセスポイント(AP)1及び携帯端末(STA)2を図1を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線基地局(AP)と携帯端末のブロック図である。アクセスポイント1が携帯端末2に画像データを送信する。ここで、画像データは、例えばMPEGデータである。
アクセスポイント1は、無線LAN部11、バッファメモリ12、画像信号処理部13、チューナー14、画像データベース15、MPU(microprocessing unit)16、及び制御部17からなる。
無線LAN部11は、バスを介して画像信号処理部13から処理された画像データをリクエストがあった携帯端末2に向けて送信する。また、無線LAN部11は、携帯端末2から受信した画像データ要求信号を画像信号処理部13に出力する。さらに、無線LAN部11は、携帯端末2の性能(例えば、メモリ容量、データ転送レート)に関する情報を制御部17に出力する。携帯端末2の性能に関する情報は、他に、例えば、再送回数指定、優先度、データレートも含む。再送回数指定、優先度、データレート等は、携帯端末2の性能に依存して設定される。
【0016】
バッファメモリ12は、無線LAN部11に接続し、画像データを受信することによるタイミングジッタを吸収する。画像信号処理部13は、携帯端末2からの画像データ要求信号に応じて該当する画像を要求信号の発信元である携帯端末2に向けて送信するため、画像データを処理してバス(Bus)に出力する。チューナー14は、放送されている画像データを受信するためのものである。チューナー14は、例えばテレビ放送を受信する。
【0017】
画像データベース15は、チューナー14により取得した画像データ、ネットワークを介して、画像データを記憶しているサーバーから取得した画像データを記憶し、蓄積している。MPU16は、アクセスポイント1が備えている全ての装置部分、例えばメモリ、制御回路、演算回路を統括して制御するものである。
【0018】
制御部17は、携帯端末2からの画像データ要求信号に応じて、MPEG2 TS符号化された画像データを用意し、携帯端末2に送信する。アクセスポイント1が画像データを送信する際、制御部17は、携帯端末2が許容するタイミングジッタ量を携帯端末2の性能情報から推定する。さらに制御部17は、画像信号処理部13から無線LAN部11に画像データが到着するまでに生じているタイミングジッタを、バッファメモリ12を用いて除去するように指示を出す。この指示は、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量を超えないようにバッファメモリ12でタイミングジッタを除去するための指示であっても構わないし、バッファメモリ12への具体的な制御信号であっても構わない。
以上のような構成にすることで、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量までタイミングの揺らぎを抑えたMPEG2 TS画像データの伝送が可能となる。
【0019】
一方、携帯端末2は、無線LAN部21、デコーダ22、表示部23、及び、制御部24からなる。
無線LAN部21は、アクセスポイント1から送信された画像データを受信するためのものである。デコーダ22は、無線LAN部21が受信した画像データをデコードするためのものである。表示部23は、デコーダ22がデコードした画像データを表示するためのものである。
【0020】
制御部24は、携帯端末2の全体の処理を制御する。制御部24は、例えば携帯端末2のユーザの指示に応じてその指示に対応する画像データをアクセスポイント1に要求するように各部に指示する。この画像データの要求は、無線LAN部21から要求信号としてアクセスポイント1に送信される。その際、制御部24は要求信号に加えて、例えば、携帯端末2の性能情報もアクセスポイント1に送信するように指示する。無線LAN部21がこれらの情報を要求信号に付加してアクセスポイント1に送信する。また、無線LAN部21がこれらの情報を予めアクセスポイント1に送信しておいて、画像データの要求はその後に実行されてもよい。
【0021】
MPEG2 TS画像データの伝送においては、特開平9−284759に示されているように、受信側が送信側に同期することが求められる。つまり、受信側及び/又は送信側が、画像データが携帯端末2に到着するタイミングについて時間管理を行う必要がある。アクセスポイント1と携帯端末2の間で、ネットワークや簡易無線装置(例えば、無線LAN装置)などを介し、画像データが伝送される場合には、画像データが経由する装置において信号処理が行われたり、送信側の無線部において再送処理が行われたりするために、固有の遅延が発生する。この遅延が、タイミングジッタの原因となる。
【0022】
以下、タイミングジッタを吸収する方法について説明する。これまでに説明したように、画像データは、各々のパケットごとにタイミングのずれを有して携帯端末2に到着する。したがって、例え送信側のアクセスポイント1が周期的に情報を送り出したとしても、携帯端末2への到着時間には、揺らぎが生じる。この揺らぎの様子が図2に示されている。図2は、画像データが図1の携帯端末2に到着した時間の揺らぎを示す確率密度分布の例を示した図である。このように、画像データは、ある一定の遅延時間の範囲(図2のTW)を有して携帯端末2に到着する。このTWが小さいほど、携帯端末2は少ないメモリ容量でタイミングジッタを抑制することが可能になる。
【0023】
したがって、タイミングの揺らぎを抑えるためには、アクセスポイント1及び/又は携帯端末2がある大きさを持ったメモリを内蔵し、そのメモリに到着した画像データを一旦格納し、タイミングジッタを抑えて画像データを出力すればよい。つまり、携帯端末2が画像データのタイミングの揺らぎを抑えるために用いるメモリの量をSM(bit)、転送される画像のレート(MPEGのコーディングレート)をRM(bit/sec)、とした場合に、携帯端末が対処可能なタイミングジッタ量は、SM/RMとなる。すなわち、アクセスポイント1が、タイミングの揺らぎを、携帯端末2が処理可能な許容タイミングジッタ量以下になるように調整すれば良い。
【0024】
図1では、無線LAN部21に接続されたメモリ(図示せず)が、画像データを一旦格納しタイミングジッタを抑えて画像データを出力する。さらに、送信側のアクセスポイント1もタイミングの揺らぎを抑える処理を行う。携帯端末2の性能情報に基づいて無線LANの送信側で遅延差をなくす処理を適用することで、携帯端末2で行う揺らぎを抑える処理を簡素化することが可能となる。
【0025】
図1に示したブロック図におけるタイミングジッタ抑制では、バッファメモリ12を用いた無線LAN部11が行うことのできる最大限の処理を行うことも可能である。また、本実施形態では、携帯端末2の性能情報を送信側であるアクセスポイント1に伝達することができるため、アクセスポイント1は携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じた処理を行うことが可能となる。さらに、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0026】
次に、携帯端末2が有している無線LAN部21のレイヤ構成について、図3を参照して説明する。図3は、図1の無線LAN部21のレイヤ構成を示す図である。
無線LAN部21は、物理部、MAC(media access control)部、CONT部から構成される。物理部では、無線LAN部21の無線部の仕様に従った信号処理が行われ、MAC部では、無線LAN部21のMAC部の仕様に従った送受信手順の信号処理が行われる。CONT部では、無線LAN部21の制御と、無線LAN部21により送受信したデータをアプリケーションに受渡しをする。
【0027】
携帯端末2が有するメモリ(図示せず)の容量は、携帯端末2ごとに異なる。このメモリは、各種信号処理において必要となるリソースである。また、携帯端末2が有している無線LAN部21の構成もそれぞれ異なっている。このため、携帯端末2ごとにタイミングジッタ解消能力が異なる。本発明の実施の形態では、アプリケーションが、無線LAN部のCONT部やMAC部の情報にアクセスできるようになるため、携帯端末2ごとに異なったタイミングジッタ解消能力を有している状況においては、高い情報配信サービス品質の画像データ転送を実現することができる。
【0028】
以下では、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能の程度を送信側で把握して、このタイミングジッタ抑制性能に基づいて送信側でタイミングジッタの抑制を実行することによって、携帯端末2ごとに異なったタイミングジッタ耐性を有している状況において、高い情報配信サービス品質の画像データ伝送を実現することができることを詳細に説明する。特に、携帯端末2からどのようなパラメータを取得し、そのパラメータにしたがってタイミングジッタ抑制を行えばよいかを中心に説明する。本実施形態では、無線LAN部21のMAC部のパラメータを用いる。
【0029】
無線LAN部21のパラメータの例として、QoS(quality of service)を管理することができる無線LANの標準であるIEEE802.11eで定義されているアクションボディ(action body)、ヘッダ情報、TSPECエレメント(TSPEC element)が挙げられる。これらにはそれぞれ、例えば、バッファサイズ、再送ポリシー、平均データ転送レートに関するフィールドが定義されている。
【0030】
IEEE802.11e準拠の無線LANを介して携帯端末に画像データ伝送を行う場合、通信を確立するためにアソシエーションを行う必要がある。アソシエーションが完了した後、画像データ伝送を行う無線LAN部11は、携帯端末2の性能情報を把握することができる。
【0031】
図1に示したアクセスポイント1では、携帯端末2性能情報を取得する無線LAN部11が設けられている。無線LAN部11によって得られた信号に基づいて、無線LAN部11に接続されているバッファメモリ12を利用して、制御部17がタイミングジッタの抑制処理を指示する。
【0032】
バッファメモリ12を用いたタイミングジッタ抑制制御は、いくつかの制御方法が考えられる。例えば図7、図8、及び図10に示したフレームに含まれる情報の中から該当するフィールドの情報を引き出し、この情報に基づいて、タイミングジッタ抑制制御を行う方法が考えられる。
【0033】
第1のタイミングジッタ抑制制御として、アクセスポイント1が携帯端末2のバッファサイズを取得する場合を説明する。アクセスポイント1が携帯端末2のバッファサイズを取得するフレームを図4を参照して説明する。図4は、携帯端末2からアクセスポイント1へ送信されるADDGAレスポンス(ADDGA Response)のアクションボディのMACフレームの構成を示す図である。
図4に示したアクションボディには、リオーダリングバッファサイズ(Reordering Buffer Size)AB1にグループアクノレッジ(GroupAck)モードで通信を行う際の携帯端末2側のバッファサイズが示されている。アクションボディ中のバッファサイズは、受信側がバースト的に画像データを受信する際のバッファサイズを示しているため、アクセスポイント1が画像データを一括して携帯端末2に伝送する際のバッファサイズを意味している。画像データが一括して伝送されれば、画像データをまとめる際の遅延が生じることになり、画像データの受信タイミングに遅延が生じる。さらにグループアクノレッジモードでは、ひとかたまりの画像データに対して再送制御が行われるため、この画像データ分のバッファリングが行われる。このことが、受信タイミングのタイミングジッタの原因となる。本実施形態によれば、アクセスポイント1が携帯端末2側のMACの情報を送信側が把握することができるために、このパラメータに応じたタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。また、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0034】
ここで、アクションボディとは、アクションフレーム(Action frame)フォーマットの本体部分のことである。アクションフレームは、802.11e仕様のマネージメントフレームの一つであり、このフレームを基地局(本実施形態ではアクセスポイント1)と携帯端末2との間でやり取りすることで、無線LANネットワークのマネージメント制御のために必要な情報の受渡しが行われる。
【0035】
次に、本パラメータを用いたタイミングジッタ抑制制御手順について図5を参照して説明する。図5は、図4のADDGAレスポンスのアクションボディを利用してタイミングジッタを抑制するためのフロー図である。
まず、アクセスポイント1は携帯端末2からの画像データ要求信号に基づいて、携帯端末2に送信する画像データを決定する(ステップS1)。さらに、アクセスポイント1は、送信する画像のデータレート、VBR(Variable Bit Rate)/CBR(Constant Bit Rate)、などMPEGに関する情報を取得する。これによって画像の許容ジッタ量を把握する(ステップS2)。次に、アクセスポイント1は、携帯端末2が許容するタイミングジッタ量を把握するための処理を行う(ステップS3)。この時アクセスポイント1は、携帯端末2に向けてADDGAリクエスト(ADDGA Request)を送信する。携帯端末2は、アクセスポイント1が送信したADDGAリクエストに応答して、図4に示したADDGAレスポンスをアクセスポイント1に送出する。アクセスポイント1は、このADDGAレスポンスを取得して、携帯端末2のバッファサイズを把握する。アクセスポイント1は、この携帯端末2のバッファサイズに基づいて、画像の送信方法を決定する(ステップS4)。
【0036】
図5に示した手順によれば、送信側であるアクセスポイント1は、携帯端末2のメモリ容量を把握することができる。このメモリ容量は、携帯端末2が一括して受信可能な画像データ量を示している。
画像データが一括して伝送されれば、画像データをまとめる際の遅延が生じることになり、携帯端末2の画像データ受信タイミングに遅延が生じる。さらにGroupAckモードでは、ひとかたまりの画像データに対して再送制御が行われるため、この再送制御によっても、受信タイミングの揺れ(タイミングジッタ)が生じる。
【0037】
送信する画像データには、そのデータの種別に応じて、予め受信タイミングのタイミングジッタの許容量が決まっている。そのため、送信側であるアクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制制御を行う際の目標量を把握することができる。
携帯端末2の受信タイミングの揺れは、携帯端末2が、到着した画像データを一旦メモリに蓄積し、その後に一定間隔で出力することで小さくすることができる。携帯端末2が抑制することのできる受信タイミングの揺れの大きさは、画像データを一旦蓄積しておく携帯端末2のメモリの大きさによって決まる。
【0038】
携帯端末2は、自らが有しているメモリを用いて、そのメモリ容量の範囲内で最大限のタイミングジッタ抑制制御を行う。送信側は、前述のアクションフレームのやり取りを通じて、端末側のメモリ容量を把握し、端末側のタイミングジッタ抑制性能を把握する。その後、送信側は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制可能範囲内のタイミングジッタとなるように、例えば、最大再送回数、GroupAckモードで伝送する画像データのサイズを変更することにより、画像データの送信方法を変化させる。このような手順を経ることによって、タイミングジッタ抑制が達成される。
【0039】
ここで、ステップS2でアクセスポイント1が携帯端末2に送信するADDGAリクエストを図6を参照して説明する。図6は、ADDGAリクエストのアクションボディのMACフレームの構成を示す図である。
図6に示したように、ADDGAリクエストは送信バッファサイズ(Transmit Buffer Size)を含んでいる。送信バッファサイズは、送信側が送り出すバーストの最大数に相当するものである。ADDGAレスポンス中のリオーダリングバッファサイズは、ADDGAリクエスト中の送信バッファサイズの量に応じて決定される可能性がある。そのため、ADDGAリクエストフレーム中の送信バッファサイズに大き目の数字を代入し、その返答を観測することで、携帯端末2のバッファサイズを把握することが可能となる。
【0040】
次に、アクセスポイント1と携帯端末2との間で通信される図4及び図6に示したアクションボディについて図7を参照して説明する。図7は、図1のアクセスポイントと図1の携帯端末との間でやり取りされる、IEEE802.11e仕様のデータのシーケンス図である。図7は、グループアクノレッジのためのメッセージシーケンスである。このシーケンスは802.11eの仕様書に沿った内容である。
グループアクノレッジは、次の3つの状態がある。すなわち、(1)データの通信に入る前の初期設定のためのメッセージ通信(図7中の(a)Setup)、(2)データの通信とグループアクノレッジの返答(図7中の(b)Data&Group Ack)、(3)終了のためのメッセージ通信(図7中の(c)Tear Down)である。
【0041】
送信側(アクセスポイント1)は、図6に示したADDGAリクエストを受信側(携帯端末2)に送信し、受信側にグループアクノレッジモードでのデータ転送を行うことを伝える。受信側は、図4に示したADDGAレスポンスのリオーダリングバッファサイズを用いて、受信側が使用可能なバッファサイズを送信側に伝える。
【0042】
第2のタイミングジッタ抑制制御として、アクノレッジポリシーを利用する場合を説明する。QoSコントロールフィールド(QoS Control field)にあるアクノレッジポリシー(Ack policy)を利用して、情報伝送に要する時間の揺らぎの原因となる再送の有無を制御することできることを図8を参照して説明する。図8は、IEEE802.11e仕様のQoSコントロールフィールドの構成を示す図である。
【0043】
QoSコントロールフィールドとは、IEEE802.11eの仕様で追加された2バイトのフィールドであり、MACヘッダに付加されている。MACヘッダであるため、QAP(QoS対応AP)及びQSTA(QoS対応STA)であれば、その間で通信されるデータには、常にこのQoSコントロールフィールドが付加されている。
【0044】
QoSコントロールフィールドには、図8に示したように、アクノレッジポリシー情報が記載されている。アクノレッジポリシーは、図9に示すようにビット5及びビット6で指定されていて4通りのモードがある。図9は、図8のQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシー情報の内容を示す図である。図9に示したように、モードの種類は、ノーマルアクノレッジメント(Normal Acknowledgment)モード、予約モード、ノーアクノレッジメント(No Acknowledgment)モード、及びグループアクノレッジメント(Group Acknowledgment)モードがある。
ノーマルアクノレッジメントモードは、送信されてきた1つのパケットに対して1つのアクノレッジメントを返送するモードである。予約モードは、使用されない空きのモードであり、将来何らかの新たなモードとして使用される可能性がある。ノーアクノレッジメントモードは、送信されてきたパケットに対してアクノレッジメントを返送しないモードである。グループアクノレッジメントモードは、まとめて複数のパケットを受信し、そのパケット数分のアクノレッジメントをまとめて返送するモードである。
【0045】
また、受信タイミングの揺れは、ノーアクノレッジメントモード、ノーマルアクノレッジメントモード、グループアクノレッジメントモードの順で大きくなる。そのため送信側は、アクノレッジポリシーによって想定されるタイミングジッタ発生量に応じて、データの送信方法を変化させることによってタイミングジッタ抑制を達成する。
【0046】
なお、ノーマルアクノレッジメントモードであれば、送信側は、受信誤りの発生確率を把握することができるため、実際に生じている受信タイミングの揺れを把握することができる。この受信誤りの発生確率を基に、画像データ転送中に送信側が、最大再送回数の変更によって送信方法を変更すれば、時々刻々変化する受信環境に応じて、最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。
また、グループアクノレッジメントモードで転送が行われている場合は、画像データ転送中に送信側がグループアクノレッジメントモードで伝送する画像データのサイズなどの変更によって送信方法を変更することにより、時々刻々変化する受信環境に応じて、最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。
【0047】
他に、優先度に関する情報を用いることによって、タイミングジッタの加わり方を概ね把握することができる。その結果、アクセスポイント1は印加されるタイミングジッタ量の予測量に応じた制御を行うことができる。優先度は、図8に示されているように、QoSコントロールフィールドのビット0からビット3に記述されるTID中に示されている。
【0048】
優先度とタイミングジッタの加わり方の関係は、以下の通りである。802.11eの仕様では、画像データ伝送の際に画像データ伝送の機会を獲得する割合に違いを設けることができるようになっている。画像データ伝送の際に画像データ伝送の機会を獲得する割合の度合いが優先度である。したがって、優先度の高い画像データは早期に伝送され、優先度の低い画像データは優先度の高い画像データよりも待たされて伝送されることになる。すなわち、優先度の低い画像データの方がタイミングジッタの影響を受け易いことになる。
【0049】
図8に示すように、優先度(priority)として、3ビット分の領域が定義されている。この優先度は、アクセスポイント1によって任意に設定可能である。このため、画像データを配信するアクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制性能の高い端末に対しては、優先度を下げる制御を行う。一方、タイミングジッタ許容量の大きい画像データを受信している端末に対しては、アクセスポイント1は優先度を下げる制御を行う。
【0050】
以上のようにして、無線LANシステムに、タイミングジッタ抑制性能の異なる端末が複数存在する場合や、タイミングジッタ許容量の異なる画像データを受信している端末が複数存在する場合において、システム全体として、最大のタイミングジッタ抑制効果を得る事ができる。
【0051】
第3のタイミングジッタ抑制制御として、TSPECエレメントを利用する場合を図10を参照して説明する。図10に示したTSPECエレメントには、通信対象の最小のデータレート(Minimum Data Rate)、平均のデータレート(Mean Data Rate)又は最大のデータレート(Peak Date Rate)や、バーストサイズの最大値(Maximum Burst Size)が示されている。これらのパラメータを利用することによって、携帯端末2に情報を送る際に最適なタイミングジッタ抑制制御を行うことが可能となる。図10は、IEEE802.11e仕様のTSPECエレメントの構成を示す図である。
【0052】
TSPEC(traffic specification)は、IEEE802.11eの仕様で定義されていることを示している。TSPECは、追加された2バイトのフィールドであり、MACヘッダに付加されている。TSPECはMACヘッダであるため、QAP(QoS対応AP)及びQSTA(QoS対応STA)の間で通信されるデータには、常にこのQoSコントロールフィールドが付加されている。
【0053】
TSPECエレメントは、ADD TSアクションボディ及びDelete TSアクションボディに収容されている。これらアクションボディを含むアクションフレーム(Action Frame)は、基地局(801.11eの定義上は、基地局ではなくHC(Hybrid coordinator))と端末(802.11eの定義上は、QSTA)との間でやり取りされるマネージメントフレームである。基本的には、QoS情報を通信することに先立って、本マネージメントフレームのやり取りを行い、通信対象データのQoS情報を送信側と受信側の双方が把握する。
【0054】
携帯端末2では、自らが有しているメモリを用いて、そのメモリ容量の範囲内で最大限のタイミングジッタ抑制制御を行う。送信側は、TSPECエレメントを含む前述のアクションフレームのやり取りを通じて、伝送される画像データのQoS情報を把握し、携帯端末2で許容されるタイミングジッタ量を認識することができる。その後、送信側は、携帯端末2が抑制することのできるタイミングジッタ抑制可能範囲内のタイミングジッタとなるように、例えば最大再送回数、優先度、伝送する画像データのサイズを変更することによって、画像データの送信方法を変化させる。
【0055】
以上に示したように、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じてアクセスポイント1は画像データの送信方法を変化させる。したがって、携帯端末2に適してタイミングジッタを抑制することができる。また、アクセスポイント1は、携帯端末2のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末2との同期を実現することができる。
【0056】
これまでの説明では、無線LANでの伝送に関する各種パラメータについて述べた。これらのパラメータは、併用することが可能である。図11を参照して、アクセスポイント1におけるデータ転送までの処理フローについて説明する。
アクセスポイント1では、携帯端末2からの画像データ転送要求に基づいて、送信データを決定し、送信データの準備を行う(ステップS11)。なお送信データが、アクセスポイント1に備えた画像データベース15に存在しない場合には、図1には図示していないネットワークとのインターフェースを介して、ネットワークから取得する。この準備作業を経て、アクセスポイント1は、送信データに関する情報を取得する。この情報は、例えば、MPEGの画像サイズ、VBR/CBRの区分、コーディングの平均伝送レートやピークレートなどを指す。
これらの情報から、アクセスポイント1は送信データの許容ジッタ量を把握する(ステップS12)。
【0057】
次にアクセスポイント1は、画像データを配信する相手となる携帯端末2が、グループアクノレッジモードで伝送可能か否かを判断する(ステップS13)。
グループアクノレッジモードで伝送可能でない場合は、ステップS16に進む。一方、グループアクノレッジモードで伝送可能な場合は、アクセスポイント1は前述したADDGAリクエストの送信及びADDGAレスポンスの受信を経て(ステップS14)、携帯端末2の情報(携帯端末2のメモリ量)を取得する(ステップS15)。
【0058】
ステップS16では、アクセスポイント1は、携帯端末2に対して画像データを送信する際の、無線LANのアクノレッジポリシー情報が取得可能か否かを判断する。アクノレッジポリシー情報が取得可能な場合は、前述したアクノレッジポリシーに関する情報を取得する(ステップS17)。一方、アクノレッジポリシー情報を取得することが不可能な場合は、ステップS18に進む。
【0059】
ステップS18では、アクセスポイント1は、TSPECエレメント情報が取得可能か否かを判断する。TSPECエレメント情報が取得可能な場合には、前述したTSPECエレメント情報を取得する(ステップS19)。一方、TSPECエレメント情報が取得不可能な場合は、ステップS20に進む。
【0060】
なお、ステップS15で取得される情報、ステップS17で取得されるアクノレッジポリシーに関する情報、ステップS19で取得されるTSPECエレメント情報の取得の順番は、任意で構わない。
【0061】
これらの情報を基に、アクセスポイント1は、画像伝送における伝送タイミングジッタの予測を行う(ステップS20)。この予測値が、携帯端末2が対処可能なタイミングジッタ量以内となるように、無線LAN伝送の優先度の決定、最大再送回数の決定を行う(ステップS21)。以上の手順を経た後、アクセスポイント1は、携帯端末2に対して画像データの送信を開始し(ステップS22)、画像データの送信が完了すると画像データの送信を終了する(ステップS23)。
【0062】
次に、第2の実施形態として、無線端末が無線基地局等の外部との無線通信を行う手段として無線LAN部に加えて電話部を有している場合を説明する。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、携帯端末が簡易通信を行うための無線LAN部21に加えて、電話通信を行うための電話部を有している場合の実施の形態について説明をする。図12は、本発明の第2の実施形態に係る無線基地局(AP 1)と無線基地局(BS
4)と携帯端末3のブロック図である。
本実施形態では、携帯端末3が外部との通信部として無線LAN部31に加え、電話部35を備えていること、及び、電話部35の基地局としての電話基地局(BS)4を備えていることが第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の携帯端末3は、無線LAN通信と携帯電話通信の2つの無線通信方式に対応することができる。
【0064】
携帯端末3は、無線LAN部31、デコーダ32、表示部33、制御部34、及び電話部35からなる。
電話部35は、無線LAN部31の簡易通信とは異なる電話無線通信を電話基地局4との間で行う。電話部35は、例えば、アクションボディ、ヘッダ情報、TSPECエレメント、携帯端末3の認証、及び携帯端末3に配信される画像データを指定した信号を電話基地局4に送信する。アクセスポイント1は、電話基地局4を介して携帯端末3との間で通信を行う。電話基地局4は簡易通信とは異なる電話無線通信のための基地局である。電話基地局4は、アクセスポイント1と、例えばネットワークで接続されている。
【0065】
デコーダ32は、無線LAN部31が受信した画像データをデコードすると共に、他に、電話部35が受信したデータをデコードする。無線LAN部31は、画像データを受信するために使用される。その他の、表示部33及び制御部34は第1の実施形態と同様である。
【0066】
アクセスポイント1は第1の実施形態と同様である。アクセスポイント1は、タイミングジッタ抑制用のバッファメモリ12を備えている。さらに、アクセスポイント1は、携帯端末3からのMAC部のパラメータを解釈し、そのパラメータに応じてタイミングジッタ抑制のための制御を行う。
【0067】
以上により、携帯端末3は、事前に画像要求信号を、電話基地局4を介してアクセスポイント1に送信しておくことができるようになるため、例えばホットスポット(登録商標)において、瞬時に情報配信サービスを受けることができるようになる。
【0068】
次に、携帯端末3のレイヤ構成を図13を参照して説明する。図13は、2つの無線通信方式で通信可能な携帯端末3のレイヤ構成を示した図である。無線LAN部31及び電話部35は、それぞれ、物理部、MAC部、CONT部からなる。物理部は、無線LAN部31及び電話部35の仕様に従った信号処理が行われる。MAC部では、それぞれ無線LAN部31及び電話部35のMAC部の仕様に従った送受信手順の信号処理が行われる。CONT部では、無線LAN部31の制御又は電話部35の制御と、それぞれの無線通信方式により送受信した画像データをアプリケーションに受渡しをする。
【0069】
電話部35は、無線通信器としての型式認定の手続き上、厳格な検査をパスしている必要がある。さらに、電話部35による通信は、携帯電話サービス会社が有している権限において行うものである。したがって、電話部35の仕様は、携帯電話サービス会社が決定するものである。一方、無線LAN部31は、通信機としての型式認定の手続きが、電話部35よりも簡易である。さらに、無線LAN部31は、電波放射の際の仕様を満足していれば、特別なライセンスを必要とせずに無線通信に使用することができる。したがって、無線LAN部31の構成は、電話部35の構成に比べて、フレキシブルである。さらに、無線LAN部31は、MAC部のパラメータなどについても、その情報を取得したり、変更したりすることが容易に行える。
【0070】
携帯端末3では、制御部34は、無線LAN部31のドライバを介して、MAC部のパラメータ情報を取得することができる。そのパラメータ情報を電話部35を介して、電話基地局4に伝送する。これによって、画像データの伝送を行うアクセスポイント1に携帯端末3の情報を伝送することが可能となり、携帯端末3の性能に応じたタイミングジッタの抑制が可能となる。
【0071】
以上説明した2つの無線通信方式では、上述した型式認定手続のほかに、それぞれの無線通信方式で通信可能な領域(カバリッジと呼ぶ)の大きさが異なる。図14は、図12の無線LAN部と電話部それぞれの通信可能な領域(カバリッジ)を比較する図である。
電話部35は、音声信号程度を伝送可能な帯域を備え、広いエリアで利用可能なシステムである。これに対し、無線LAN部31は、ホットスポット(登録商標)の情報配信サービスのようにサービスエリアは狭いものの、高い信号伝送性能を備えている。
【0072】
次に、上述したアクセスポイント1及び携帯端末3を含む画像データの配信サービスを行うためのシステムによって、アクセスポイント1がタイミングジッタを抑制するための一連の動作を説明する。図15は、図12の無線基地局(AP1)、無線基地局(BS 4)、及び携帯端末(STA 3)の通信の様子を示す図である。
【0073】
携帯端末3(STA)は、電話部35と無線LAN部31を備えている。携帯端末3は、画像データの配信サービスを介して画像データの配信を受ける際、電話部35を介して、携帯端末3の性能に関する情報を配信サーバー7に送信する。この情報に対応するものは、携帯端末3のバッファメモリサイズやQoSパラメータである。QoSパラメータは、携帯電話機を介して文字情報を伝送するのと同様の機構で携帯端末3から配信サーバー7に送信される。したがって、このような情報配信サービス形態では、電話部35による電話通信のサービス会社と無線LAN部31を用いて情報提供を行うサービス会社が同じである必要はない。
【0074】
なお、図中及び上記の説明においては、例えば認証や課金のことについて触れていないが、画像データ配信サービス等において行われる処理手順を経た後に、認証や課金等の通信が行われる。
【0075】
配信サーバー7は、携帯端末3から受け取った画像提供要求に基づき、携帯端末3に画像データを配信するべく準備を行う。まずは、画像データベース5にアクセスし、さらに、必要であれば画像データを、携帯端末3に伝送するために適した伝送レートのMPEG2 TSに変換するようにエンコーダ6に指示を行う。配信サーバー7は、携帯端末3から、画像提供要求と共に携帯端末3の性能情報を電話通信によって受け取っているために、携帯端末3がどの程度の性能を有しているかを把握している。そのため、この性能に応じた伝送レートへの変換を指示することができる。
【0076】
配信サーバー7は、画像データを配信する準備を行うと同時に、アクセスポイント1に対して、携帯端末3の性能情報を伝達する。アクセスポイント1が携帯端末3に画像データを配信する。アクセスポイント1には、画像データのタイミングジッタを吸収するためのバッファメモリ12が備えられている。携帯端末3の制御部34は、配信サーバー7から受け取った携帯端末3の性能情報に基づいて、携帯端末3が許容することのできるタイミングジッタ量を把握する。さらに携帯端末3の制御部34は、無線LAN部31に画像データが送信されてから受信するまでの間に生じているタイミングジッタを、無線LAN部31に接続されたメモリ30を用いて除去するように指示する。
【0077】
アクセスポイント1が画像データを携帯端末3に伝送する際には、携帯端末3が内蔵しているメモリ30が対処することが可能なタイミングジッタを抑制した後に、携帯端末3に対して伝送を行う。なお、画像データは、携帯端末3の無線LAN部31のプロトコル仕様にしたがって伝送される。
【0078】
ところで、アクセスポイント1が画像データを伝送する際、前述した無線LAN部31のMAC部のパラメータを用いて、無線LAN部31を用いた信号伝送プロトコルを利用したタイミングジッタ抑制を行うこともできる。例えば、アクセスポイント1がQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシーを用いれば、情報伝送に要する時間の揺らぎの原因となる再送の有無を制御することできる。また、アクセスポイント1がQoSコントロールフィールドのTIDに示された優先度に関する情報を参照することによって、タイミングジッタの加わり方を概ね把握することができるため、印加されるタイミングジッタ量の予測量に応じた制御を行うことができる。
【0079】
以上に説明した実施形態によれば、携帯端末3のメモリ容量を低減しつつ、品質の高い通信を可能にすることができる。また、アクセスポイント1は、携帯端末3のタイミングジッタ抑制性能に応じて通信処理を実行するので、携帯端末3との同期を実現することができる。
【0080】
次に、図15に示した携帯端末3とアクセスポイント1間の動作を説明する。図16は、本実施形態の第1の動作手順を示し、図17は本実施形態の第2の動作手順を示す。図16では、アクセスポイント1が画像データベース5からデータを受け取った後に、携帯端末3に対して、タイミング制御を行いながら伝送する場合を示している。これに対し図17では、アクセスポイント1が画像データベース5から送られてきたデータを携帯端末3に転送する作業を同時に行う場合を示している。
図16によれば、携帯端末3は、送信データを決定し(ステップS31)、携帯電話を介して、画像配信サービスを行うサービス提供者(配信サーバー7)に対して、画像データの送信要求と端末のバッファサイズなどの情報を伝える(ステップS32、ステップS33)。配信サーバー7では、携帯端末3より配信を指示された画像をどの画像データベース5から取得するかを決定し、ネットワーク8を介して、送信データに関する情報の要求を行う(ステップS35)。画像データベース5は、画像の準備を行い(ステップS36)、送信データに関する情報を配信サーバー7に回答する(ステップS37)。
【0081】
また、配信サーバー7は、アクセスポイント1に対して、携帯端末3のバッファサイズや、送信するデータの情報を通知する(ステップS38)。アクセスポイント1では、画像データ伝送の準備を行う(ステップS39)。アクセスポイント1は、ネットワーク8を介して配信サーバー7に画像データ伝送の準備が完了した旨を通知する(ステップS40)。しかし、このステップS40は省略することも可能である。
【0082】
配信サーバー7は、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この指示を受けて画像データをネットワーク8を介してアクセスポイント1に配信する(ステップS42)。アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43、ステップS44)。この時、携帯端末との通信の過程で前述したようなQoS情報を得ることも可能である。
【0083】
次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。このデータ伝送の方法の決定とは、APでのタイミングジッタ抑圧制御の決定、無線LANにおけるデータ転送の優先度の決定、無線LANの最大再送回数の設定などを指す。アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0084】
次に図17で示した動作を説明する。図16と同様なステップは図16と同様な符号を付しその詳細な説明を省略する。
ステップS31からステップS39までは図16と同様である。図17では、アクセスポイント1が画像データ伝送の準備を行った(ステップS39)後、アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43、ステップS44)。次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。
【0085】
アクセスポイント1は、ネットワーク8を介して配信サーバー7に画像データ伝送の準備が完了した旨を通知する(ステップS40)。図16の場合と同様にステップS40は省略可能である。配信サーバー7は、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この指示を受けて画像データをネットワーク8を介してアクセスポイント1に配信する(ステップS42)。その後、アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0086】
図18は、本実施の形態の第3の動作手順を示している。図18は、図16、図17と異なり、エンコーダに対してMPEG2 TSのデータレートの変更を指示する処理を含んでいる。
ステップS31からステップS39までは図16と同様である。図18では、アクセスポイント1が画像データ伝送の準備を行う(ステップS39)と同時に、アクセスポイント1は、無線LANを介して、携帯端末3との通信を確立する初期設定(アソシエーション)を行う(ステップS43)。この時、携帯端末との通信の過程で前述したようなQoS情報を得ることも可能である。
【0087】
次にアクセスポイント1は、携帯端末3のバッファサイズや、携帯端末3との通信の過程で取得したQoS情報を用いて、データ伝送の方法を決定する(ステップS45)。このデータ伝送の方法の決定とは、APでのタイミングジッタ抑圧制御の決定、無線LANにおけるデータ転送の優先度の決定、無線LANの最大再送回数の設定などを指す。
【0088】
アクセスポイント1は、さらに、携帯端末3の受信能力や、タイミングジッタ抑圧能力に応じて、エンコードレートを変更するための処理を行う。まず、アクセスポイント1は、配信サーバー7に対して、MPEGデータ品質の変更を要求する(ステップS51)。これに応じて、配信サーバー7は、エンコーダ6に対して、MPEGデータ品質の変更を指示し(ステップS52)、さらに、画像データベース5に対して画像の配信を指示する(ステップS41)。画像データベース5は、この要求に従って、画像データをエンコーダ6に伝送する(ステップS53)。エンコーダ6では、MPEGデータの品質の変更を行い(ステップS54)、変更後のデータをアクセスポイント1に配信する(ステップS55)。アクセスポイント1は、このデータを、無線LANを介して携帯端末に配信する(ステップS46)。
【0089】
以上説明した実施の形態によれば、携帯端末の能力に応じた画像伝送が可能となる。また、携帯端末ごとに異なるタイミングジッタ抑圧耐性を有している状況において、高品質の情報配信サービスを提供することが可能となる。
【0090】
また、本発明は上記実施の形態には限定されず、種々の変更が可能である。上記、実施の形態では、電話部35として携帯電話方式を想定したが、データ通信速度が低速であっても広範囲のサービスエリアを有する無線方式であればなんでもよい。例えば、電話部35としてPHS(Personal Handy Phone System)を採用してもよい。また、上記の実施の形態では、簡易無線装置としたが、データ通信速度が高速な無線方式であればなんでもよい。例えば、無線LAN部31は、IEEE802.11bや11gの無線LAN、IrDA(赤外線通信)、又は、現時点で標準化がなされていないUWB(Ultra Wide−Band)などの無線PAN(Personal Aria Network)を採用してもよい。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、無線端末のメモリ容量を低減しつつ、品質の高い通信を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局(AP)と携帯端末のブロック図。
【図2】画像データが図1の携帯端末に到着した時間の揺らぎを示す確率密度分布の例を示した図。
【図3】図1の無線LAN部のレイヤ構成を示す図。
【図4】図1の携帯端末から図1の無線基地局へ送信されるADDGAレスポンスのアクションボディのMACフレームの構成を示す図。
【図5】図4のADDGAレスポンスのアクションボディを利用してタイミングジッタを抑制するためのフロー図。
【図6】図1の無線基地局から図1の携帯端末へ送信されるADDGA RequestのアクションボディのMACフレームの構成を示す図。
【図7】図1の無線基地局と図1の携帯端末との間でやり取りされる、IEEE802.11e仕様のデータのシーケンス図。
【図8】IEEE802.11e仕様のQoSコントロールフィールドの構成を示す図。
【図9】図8のQoSコントロールフィールドのアクノレッジポリシー情報の内容を示す図。
【図10】IEEE802.11e仕様のTSPECエレメントの構成を示す図。
【図11】図1のアクセスポイントにおける処理を示すフロー図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る無線基地局(AP)と無線基地局(BS)と携帯端末のブロック図。
【図13】図12の携帯端末のレイヤ構成を示す図。
【図14】図12の無線LAN部と電話部それぞれの通信可能な領域(カバリッジ)を比較する図。
【図15】図12の無線基地局(AP)、無線基地局(BS)、及び携帯端末の通信の様子を示す図。
【図16】本実施形態の第1の動作手順を示すフロー図。
【図17】本実施形態の第2の動作手順を示すフロー図。
【図18】本実施形態の第3の動作手順を示すフロー図。
【符号の説明】
1・・・アクセスポイント、2、3・・・携帯端末、4・・・電話基地局、5、15・・・画像データベース、6・・・エンコーダ、7・・・配信サーバー、11、21、31・・・無線LAN部、12・・・バッファメモリ、13・・・画像信号処理部、14・・・チューナー、16・・・MPU、17・・・制御部、22、32・・・デコーダ、23、33・・・表示部、24、34・・・制御部、30・・・メモリ、35・・・電話部
Claims (10)
- 簡易無線端末と、該簡易無線端末との間で無線通信を行いさらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記簡易無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする無線通信システム。 - 前記変化手段は、
前記制御パラメータに基づいて前記画像データを抽出する速度を設定する設定手段と、
該速度に基づいて、前記画像データを抽出する抽出手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。 - 前記パラメータ保存手段は、制御パラメータとしてADDGAQoSアクションフレーム(ADDGA QoS Action frame)に記述されているリオーダリングバッファサイズ(Reordering Buffer Size)を保存していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
- 前記パラメータ保存手段は、制御パラメータとしてMACヘッダ(media access control header)に記述されているQoSコントロールフィールド(QoS Control field)を保存していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
- 前記パラメータ保存手段は、制御パラメータとしてTSPECエレメント(traffic specification element)に記述されている最小のデータレート(Minimum Data Rate)、平均のデータレート(Mean Data Rate)最大のデータレート(Peak Date Rate)、及びバーストサイズの最大値(Maximum Burst Size)を保存していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
- 前記簡易無線端末は、IEEE802.11b準拠の無線LAN(local area network)通信、IEEE802.11g準拠の無線LAN通信、赤外線通信、及び、無線PAN(Personal Aria Network)通信のいずれかによって通信することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の無線通信システム。
- 画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で無線通信を行う簡易無線端末において、
前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、
該制御パラメータを前記無線基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする簡易無線端末。 - 画像データの受信に関する性能を示す制御パラメータを保存している簡易無線端末との間で無線通信を行い、さらに画像データを前記簡易無線端末に送信する無線基地局において、
前記制御パラメータを受信するパラメータ受信手段と、
前記画像データを保存しているデータ保存手段と、
該画像データを前記簡易無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、
該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする無線基地局。 - 簡易無線通信及び無線電話通信のいずれかによる無線通信を実行する無線端末と、該無線端末との間で簡易無線通信を行い、さらに画像データを前記無線端末に送信する無線基地局と、前記無線端末との間で無線電話通信を行う電話基地局を具備する無線通信システムにおいて、
前記無線端末は、前記画像データの受信に関する前記簡易無線装置の性能を示す制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、該制御パラメータを前記無線電話通信により送信するパラメータ送信手段を具備し、
前記無線基地局は、前記制御パラメータを前記電話基地局を介して受信するパラメータ受信手段と、前記画像データを保存しているデータ保存手段と、該画像データを前記無線端末に送信する際に、前記制御パラメータに基づいて、該画像データの送信速度を変化させる変化手段と、該送信速度で前記画像データを送信するデータ送信手段を具備することを特徴とする無線通信システム。 - 画像データを保存して、該画像データを受信する端末の受信性能を示す制御パラメータに基づいて該画像データの送信速度を変化させる無線基地局との間で簡易無線を行い、該無線基地局から画像データを受信し、無線電話基地局との間で無線電話通信を行う無線端末において、
前記制御パラメータを保存しているパラメータ保存手段と、
該制御パラメータを前記無線電話基地局に送信するパラメータ送信手段を具備することを特徴とする無線端末。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007288550A (ja) * | 2006-04-18 | 2007-11-01 | Nakayo Telecommun Inc | 無線lanシステム |
WO2010037275A1 (zh) * | 2008-09-23 | 2010-04-08 | Wang Shuiping | 一种移动终端射频信号转发系统及其转发方法 |
JP2010512121A (ja) * | 2006-12-05 | 2010-04-15 | クゥアルコム・インコーポレイテッド | ワイヤレス通信デバイス性能データを要求して、データを最適ファイルサイズで提供する方法および装置 |
-
2003
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