JP2005039437A - 超音波スピーカ及び超音波スピーカの信号音再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生音の品質の向上を図る。
【解決手段】可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源10と、可聴周波数波発振源10から出力される信号波の可聴周波数帯を複数の周波数帯域に分離する周波数分離部12と、分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成する複数のキャリア波発振源14、16と、前記分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、前記複数のキャリア波発振源から出力されるキャリア波を前記分離された各信号波で変調する複数の変調器18、20と、変調器18、20から出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサ24とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】可聴周波数帯の信号波を生成する可聴周波数波発振源10と、可聴周波数波発振源10から出力される信号波の可聴周波数帯を複数の周波数帯域に分離する周波数分離部12と、分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成する複数のキャリア波発振源14、16と、前記分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、前記複数のキャリア波発振源から出力されるキャリア波を前記分離された各信号波で変調する複数の変調器18、20と、変調器18、20から出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサ24とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波に対する媒質(空気)の非線形性を用いて可聴周波数帯の信号音を再生させる超音波スピーカ及び超音波スピーカの信号音再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超音波に対する媒質(空気)の非線形性を利用した超音波スピーカが、通常のスピーカに比べてはるかに鋭い指向性を持つ可聴周波数帯の信号を再生し得ることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
従来の超音波スピーカの構成を図8に示す。超音波スピーカは、可聴周波数帯の信号を生成する可聴周波数波発振源81と、キャリア波を生成するキャリア波発振源82と、変調器83と、パワーアンプ84と、超音波トランスデューサ85とを有している。
【0003】
上記構成において、可聴周波数波発振源81より出力される信号によってキャリア波発振源82から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器83により変調し、パワーアンプ84で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ85を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ85により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が再生されるようになっている。
この場合、可聴周波数帯の再生信号の再生範囲は、超音波トランスデューサ85から放出軸方向へのビーム状の範囲となる。
【0004】
ここで、従来の超音波スピーカに使用されている超音波トランスデューサの構成を図9に示す。従来の超音波トランスデューサ(あるいは振動トランスデューサ)は、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図9に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号の超音波への変換と超音波の電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図9(A)に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック91および92と、コーン93と、ケース94と、リード95および96と、スクリーン97とから構成されている。
【0005】
圧電セラミック91および92は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード95とリード96が接続されている。
一方、図9(B)に示すユニモルフ型の超音波トランスデューサは、1枚の圧電セラミック101と、ケース102と、リード103および104と、内部配線105と、ガラス106とから構成されている。圧電セラミック101は、内部配線105を介してリード103が接続されるとともに、ケース102に接地されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−119293号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の超音波スピーカでは、超音波トランスデューサが圧電セラミックを用いた共振型である為、固定の共振周波数付近でしかキャリア信号周波数を変動させることができない為、入力信号(信号波)の周波数である可聴周波数帯の周波数によっては再生音の品質が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、広周波数帯域を発振できる超音波トランスデューサを用い、入力信号である可聴周波数帯の周波数に応じたキャリア信号周波数の制御を行うことにより再生音の品質の向上を図った超音波スピーカ及び超音波スピーカの信号音再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のポイントは、広周波数帯域の超音波を発振できる超音波トランスデューサを用いることで、キャリア波信号の周波数帯を制御することができるようにした点にある。
再生信号の品質という面において、信号源からの出力である入力信号の可聴周波数帯の周波数とキャリア波信号の周波数とは、ある依存関係がある。
【0010】
すなわち、可聴周波数帯の入力信号が低い周波数の場合にはキャリア波の周波数が高くなると波形に乱れが発生し、逆に可聴周波数帯の入力信号が高い周波数の場合にはキャリア波の周波数が低くなると波形に乱れが発生するという相関がある。
本発明は、このような新たな知見に基づいてなされたものであり、波形に乱れが発生しないような最適なキャリア波の周波数帯を選択して処理することにより、再生音の品質の向上が図れる。
【0011】
すなわち、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調信号により広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを駆動することにより可聴波周波数帯の信号音を再生させる超音波スピーカの信号音再生方法であって、前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波の周波数帯域に応じて前記信号音である再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を選択し、該キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調し、該変調信号で前記超音波トランスデューサを駆動することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波スピーカの信号音再生方法において、前記キャリア波を選択する際に、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、キャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号波で変調する変調手段と、前記変調手段から出力される変調信号により駆動され該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、可聴波周波数帯の信号音である再生信号出力する超音波スピーカであって、前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであり、前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される信号波の周波数帯域に応じて前記再生信号に歪が生じない周波数のキャリア波を前記変調手段に供給することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の超音波スピーカにおいて、前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、信号源から出力される信号波の可聴周波数帯を複数の周波数帯域に分離する周波数分離手段と、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成する複数のキャリア波供給手段と、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、前記複数のキャリア供給手段から出力されるキャリア波を前記分離された各信号波で変調する複数の変調手段と、前記変調手段から出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の超音波スピーカにおいて、前記複数のキャリア波供給手段の各々は、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して、前記周波数分離手段から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図1に示す。同図において、超音波スピーカは可聴周波数波発振源10と、周波数分離部12と、2つのキャリア波発振源14、16と、2つの変調器18、20と、パワーアンプ22と、超音波トランスデューサ24とを有している。
【0018】
可聴周波数波発振源10は可聴周波数帯の信号波を生成する機能を有する。
また、周波数分離部12は、可聴周波数波発振源10から出力される可聴周波数帯の信号波を複数の周波数帯に分離する機能を有している。本実施形態では、可聴周波数帯を低周波帯と高周波帯の2つの周波数帯に分離する場合について示しているが、これに限らず、3以上の周波数帯域に分離するようにしてもよい。
【0019】
周波数分離部12は、フィルタ等で構成される。例えば、1kHzをカットオフ周波数とするローパスフィルタとハイパスフィルタとで構成し、可聴周波数波発振源10から出力される可聴周波数帯の信号波を1kHzの周波数を境に低い周波数帯(1kHz未満)の信号波(低周波信号)と高い周波数帯(1kHz以上)の信号波(高周波信号)とに分離する。可聴周波数波発振源10は本発明の信号源に、周波数分離部12は本発明の周波数分離手段に、それぞれ相当する。
【0020】
本実施形態では、周波数分離部12により可聴周波数帯の信号波を2つの周波数帯域に分離したために、キャリア波発振源及び変調器はそれぞれ、2つずつ設けているが、周波数分離部12により分離される周波数帯域がさらに増加するようにした場合には、分離される周波数帯域の数に応じた数のキャリア波発振源及び変調器を設ける必要が有る。
キャリア波発振源14、16は、周波数分離部12により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成し、それぞれ、変調器18、20に供給する。
変調器18、20は、それぞれ、キャリア波発振源14、16から出力されるキャリア波を周波数分離部12を介して出力される信号波でAM変調し、変調信号を出力する。キャリア波発振源14、16は本発明のキャリア波供給手段に、変調器18、20は本発明の変調手段に、それぞれ相当する。
【0021】
キャリア波発振源14の出力は変調器18により周波数分離部12から出力される低周波信号(1kHz未満)により変調され、キャリア波発振源16の出力は、変調器20により周波数分離部12より出力される高周波信号(1kHz以上)により変調される。そこで、再生信号に歪が発生しないようにキャリア波発振源14は、低い周波数帯域の信号波に対応して低い周波数のキャリア波(例えば、30kHzのキャリア波)を生成し、キャリア波発振源16は高い周波数帯域の信号波に対応して高い周波数のキャリア波(50kHzのキャリア波)を生成するようになっている。
【0022】
超音波トランスデューサ24は、変調器18、20からパワーアンプ22を介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。この超音波トランスデューサ24は、例えば、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサである。超音波トランスデューサ24は、広周波数帯域の音響信号を発振できるものであれば、静電型のものでなくてもよい。
【0023】
超音波トランスデューサ24の具体的構成を図2に示す。図2に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフクレート樹脂)等の誘電体31(絶縁体)を用いている。誘電体31に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極32がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極33が誘電体31の下面部に接触するように設けられている。この下電極33は、リード52が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板35に固定されている。
【0024】
また、上電極32は、リード53が接続されており、このリード53は直流バイアス電源50に接続されている。この直流バイアス電源50により上電極32には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極32が下電極33側に吸着されるようになっている。51は交流信号源であり、図1におけるパワーアンプ22の出力(AC50〜150Vp−p)に相当する。
誘電体31および上電極32ならびにベース板35は、メタルリング36、37、および38、ならびにメッシュ39とともに、ケース30によってかしめられてる。
【0025】
下電極33の誘電体31側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極33と誘電体31との間の空隙となるので、上電極32および下電極33間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極33の表面を手作業でヤスリで荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、超音波トランスデューサの周波数特性が図3において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
【0026】
上記構成の超音波トランスデューサ24では、上電極32に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極31と下電極33との間に変調信号(パワーアンプ22の出力)が印加されるようになっている。因みに、図3に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、中心周波数に対して±5kHzで最大音圧に対して−30dBである。これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である。
【0027】
上記構成からなる本発明の実施形態に係る超音波スピーカの動作について説明する。可聴周波数波発振源10より可聴周波数帯の信号波が出力されると、周波数分離部12において、入力された可聴周波数帯の信号波を1kHzの周波数を境に低い周波数帯(1kHz未満)の信号波(低周波信号)と高い周波数帯(1kHz以上)の信号波(高周波信号)とに分離し、低周波信号を変調器18に、高周波信号を変調器20に出力する。
【0028】
一方、キャリア波発振源14は、低い周波数帯域(1kHz未満)の信号波に対応して低い周波数のキャリア波(例えば、30kHzのキャリア波)を生成し、変調器18に出力する。
また、キャリア波発振源16は高い周波数帯域の信号波に対応して高い周波数帯域(1kHz以上)のキャリア波(50kHzのキャリア波)を生成し、変調器20に出力する。
【0029】
変調器18では、キャリア波発信源14から出力されたキャリア波を周波数分離部12より出力された低周波信号でAM変調し、該変調信号をパワーアンプ22に出力する。変調器20では、キャリア波発信源16から出力されたキャリア波を周波数分離部12より出力された高周波信号でAM変調し、変調信号をパワーアンプ22に出力する。パワーアンプ22により増幅された変調信号は、超音波トランスデューサ24の上電極32と下電極33との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射される。
【0030】
ここで、媒質(空気)の非線形効果について簡単に述べておくと、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播において、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生することが知られている。放射する超音波帯域の信号(キャリア波と呼ぶ)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が自己復調する形で形成されてくることも知られている。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの効果について図4乃至図7を参照して説明する。図4及び図5は、500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHz(図4),60kHz(図5)とした場合の変調信号(図4(A),図5(A))、伝搬波(図4(B),図5(B))、及び再生信号(図4(C),図5(C))の各波形を示している。これらの図から明らかなように、可聴周波数帯の信号波のうち低周波信号(500Hz)については、本発明に係る超音波スピーカのようにキャリア波の周波数を比較的低い周波数(30kHz)にした場合には再生信号(図4(C))に歪が生じないが、キャリア波の周波数を高い周波数(60kHz)にした場合には再生信号(図5(C))に歪が発生することが判る。
【0032】
また、図6及び図7は、5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を50kHz(図6),30kHz(図7)とした場合の変調信号(図6(A),図7(A))、伝搬波(図6(B),図7(B))、及び再生信号(図6(C),図7(C))の各波形を示している。これらの図から明らかなように、可聴周波数帯の信号波のうち高周波信号(5kHz)については、本発明に係る超音波スピーカのようにキャリア波の周波数を比較的高い周波数(50kHz)にした場合には再生信号(図6(C))に歪が生じないが、キャリア波の周波数を比較的低い周波数(30kHz)にした場合には再生信号(図7(C))に歪が発生することが判る。
【0033】
本実施形態によれば、信号源から出力される可聴周波数帯の信号波の周波数帯域に応じて信号音である再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を選択し、該キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調し、該変調信号で広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを駆動するようにしたので、再生音の品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した本発明の実施形態に係る超音波スピーカにおける超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。
【図3】図2に示した超音波トランスデューサの周波数特性を示す特性図。
【図4】500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHzとした場合の変調信号(図4(A))、伝搬波(図4(B)))、及び再生信号(図4(C))の各波形を示す波形図。
【図5】500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を60kHzとした場合の変調信号(図5(A))、伝搬波(図5(B))、及び再生信号(図5(C))の各波形を示す波形図。
【図6】5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を50kHzとした場合の変調信号(図6(A))、伝搬波(図6(B))、及び再生信号(図6(C))の各波形を示す波形図。
【図7】5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHzとした場合の変調信号(図7(A))、伝搬波(図7(B))、及び再生信号(図7(C))の各波形を示す波形図。
【図8】従来の超音波スピーカの構成を示すブロック図。
【図9】共振型の超音波トランスデューサの構成例を示す図。
【符号の説明】
10…可聴周波数波発振源
12…周波数分離部
14、16…キャリア波発振源
18、20…変調器
22…パワーアンプ
24…超音波トランスデューサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波に対する媒質(空気)の非線形性を用いて可聴周波数帯の信号音を再生させる超音波スピーカ及び超音波スピーカの信号音再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、超音波に対する媒質(空気)の非線形性を利用した超音波スピーカが、通常のスピーカに比べてはるかに鋭い指向性を持つ可聴周波数帯の信号を再生し得ることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
従来の超音波スピーカの構成を図8に示す。超音波スピーカは、可聴周波数帯の信号を生成する可聴周波数波発振源81と、キャリア波を生成するキャリア波発振源82と、変調器83と、パワーアンプ84と、超音波トランスデューサ85とを有している。
【0003】
上記構成において、可聴周波数波発振源81より出力される信号によってキャリア波発振源82から出力される超音波周波数帯のキャリア波を変調器83により変調し、パワーアンプ84で増幅した変調信号により超音波トランスデューサ85を駆動する。この結果、上記変調信号が超音波トランスデューサ85により有限振幅レベルの音波に変換され、この音波は媒質中(空気中)に放射されて媒質(空気)の非線形効果によって元の可聴周波数帯の信号音が再生されるようになっている。
この場合、可聴周波数帯の再生信号の再生範囲は、超音波トランスデューサ85から放出軸方向へのビーム状の範囲となる。
【0004】
ここで、従来の超音波スピーカに使用されている超音波トランスデューサの構成を図9に示す。従来の超音波トランスデューサ(あるいは振動トランスデューサ)は、振動素子として圧電セラミックを用いた共振型がほとんどである。図9に示す超音波トランスデューサは、振動素子として圧電セラミックを用いて電気信号の超音波への変換と超音波の電気信号への変換(超音波の送信と受信)の両方を行う。図9(A)に示すバイモルフ型の超音波トランスデューサは、2枚の圧電セラミック91および92と、コーン93と、ケース94と、リード95および96と、スクリーン97とから構成されている。
【0005】
圧電セラミック91および92は、互いに貼り合わされていて、その貼り合わせ面と反対側の面にそれぞれリード95とリード96が接続されている。
一方、図9(B)に示すユニモルフ型の超音波トランスデューサは、1枚の圧電セラミック101と、ケース102と、リード103および104と、内部配線105と、ガラス106とから構成されている。圧電セラミック101は、内部配線105を介してリード103が接続されるとともに、ケース102に接地されている。
共振型の超音波トランスデューサは、圧電セラミックの共振現象を利用しているので、超音波の送信および受信の特性がその共振周波数周辺の比較的狭い周波数帯域で良好となる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−119293号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の超音波スピーカでは、超音波トランスデューサが圧電セラミックを用いた共振型である為、固定の共振周波数付近でしかキャリア信号周波数を変動させることができない為、入力信号(信号波)の周波数である可聴周波数帯の周波数によっては再生音の品質が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、広周波数帯域を発振できる超音波トランスデューサを用い、入力信号である可聴周波数帯の周波数に応じたキャリア信号周波数の制御を行うことにより再生音の品質の向上を図った超音波スピーカ及び超音波スピーカの信号音再生方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のポイントは、広周波数帯域の超音波を発振できる超音波トランスデューサを用いることで、キャリア波信号の周波数帯を制御することができるようにした点にある。
再生信号の品質という面において、信号源からの出力である入力信号の可聴周波数帯の周波数とキャリア波信号の周波数とは、ある依存関係がある。
【0010】
すなわち、可聴周波数帯の入力信号が低い周波数の場合にはキャリア波の周波数が高くなると波形に乱れが発生し、逆に可聴周波数帯の入力信号が高い周波数の場合にはキャリア波の周波数が低くなると波形に乱れが発生するという相関がある。
本発明は、このような新たな知見に基づいてなされたものであり、波形に乱れが発生しないような最適なキャリア波の周波数帯を選択して処理することにより、再生音の品質の向上が図れる。
【0011】
すなわち、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調信号により広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを駆動することにより可聴波周波数帯の信号音を再生させる超音波スピーカの信号音再生方法であって、前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波の周波数帯域に応じて前記信号音である再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を選択し、該キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調し、該変調信号で前記超音波トランスデューサを駆動することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波スピーカの信号音再生方法において、前記キャリア波を選択する際に、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、キャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、前記キャリア波を前記信号波で変調する変調手段と、前記変調手段から出力される変調信号により駆動され該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、可聴波周波数帯の信号音である再生信号出力する超音波スピーカであって、前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであり、前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される信号波の周波数帯域に応じて前記再生信号に歪が生じない周波数のキャリア波を前記変調手段に供給することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の超音波スピーカにおいて、前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、信号源から出力される信号波の可聴周波数帯を複数の周波数帯域に分離する周波数分離手段と、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成する複数のキャリア波供給手段と、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、前記複数のキャリア供給手段から出力されるキャリア波を前記分離された各信号波で変調する複数の変調手段と、前記変調手段から出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の超音波スピーカにおいて、前記複数のキャリア波供給手段の各々は、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して、前記周波数分離手段から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を図1に示す。同図において、超音波スピーカは可聴周波数波発振源10と、周波数分離部12と、2つのキャリア波発振源14、16と、2つの変調器18、20と、パワーアンプ22と、超音波トランスデューサ24とを有している。
【0018】
可聴周波数波発振源10は可聴周波数帯の信号波を生成する機能を有する。
また、周波数分離部12は、可聴周波数波発振源10から出力される可聴周波数帯の信号波を複数の周波数帯に分離する機能を有している。本実施形態では、可聴周波数帯を低周波帯と高周波帯の2つの周波数帯に分離する場合について示しているが、これに限らず、3以上の周波数帯域に分離するようにしてもよい。
【0019】
周波数分離部12は、フィルタ等で構成される。例えば、1kHzをカットオフ周波数とするローパスフィルタとハイパスフィルタとで構成し、可聴周波数波発振源10から出力される可聴周波数帯の信号波を1kHzの周波数を境に低い周波数帯(1kHz未満)の信号波(低周波信号)と高い周波数帯(1kHz以上)の信号波(高周波信号)とに分離する。可聴周波数波発振源10は本発明の信号源に、周波数分離部12は本発明の周波数分離手段に、それぞれ相当する。
【0020】
本実施形態では、周波数分離部12により可聴周波数帯の信号波を2つの周波数帯域に分離したために、キャリア波発振源及び変調器はそれぞれ、2つずつ設けているが、周波数分離部12により分離される周波数帯域がさらに増加するようにした場合には、分離される周波数帯域の数に応じた数のキャリア波発振源及び変調器を設ける必要が有る。
キャリア波発振源14、16は、周波数分離部12により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成し、それぞれ、変調器18、20に供給する。
変調器18、20は、それぞれ、キャリア波発振源14、16から出力されるキャリア波を周波数分離部12を介して出力される信号波でAM変調し、変調信号を出力する。キャリア波発振源14、16は本発明のキャリア波供給手段に、変調器18、20は本発明の変調手段に、それぞれ相当する。
【0021】
キャリア波発振源14の出力は変調器18により周波数分離部12から出力される低周波信号(1kHz未満)により変調され、キャリア波発振源16の出力は、変調器20により周波数分離部12より出力される高周波信号(1kHz以上)により変調される。そこで、再生信号に歪が発生しないようにキャリア波発振源14は、低い周波数帯域の信号波に対応して低い周波数のキャリア波(例えば、30kHzのキャリア波)を生成し、キャリア波発振源16は高い周波数帯域の信号波に対応して高い周波数のキャリア波(50kHzのキャリア波)を生成するようになっている。
【0022】
超音波トランスデューサ24は、変調器18、20からパワーアンプ22を介して出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射し、可聴周波数帯の信号音(再生信号)を再生する機能を有する。この超音波トランスデューサ24は、例えば、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサである。超音波トランスデューサ24は、広周波数帯域の音響信号を発振できるものであれば、静電型のものでなくてもよい。
【0023】
超音波トランスデューサ24の具体的構成を図2に示す。図2に示す静電型の超音波トランスデューサは、振動体として3〜10μm程度の厚さのPET(ポリエチレンテレフクレート樹脂)等の誘電体31(絶縁体)を用いている。誘電体31に対しては、アルミ等の金属箔として形成される上電極32がその上面部に蒸着等の処理によって一体形成されるとともに、真鍮で形成された下電極33が誘電体31の下面部に接触するように設けられている。この下電極33は、リード52が接続されるとともに、ベークライト等からなるベース板35に固定されている。
【0024】
また、上電極32は、リード53が接続されており、このリード53は直流バイアス電源50に接続されている。この直流バイアス電源50により上電極32には50〜150V程度の上電極吸着用の直流バイアス電圧が常時、印加され上電極32が下電極33側に吸着されるようになっている。51は交流信号源であり、図1におけるパワーアンプ22の出力(AC50〜150Vp−p)に相当する。
誘電体31および上電極32ならびにベース板35は、メタルリング36、37、および38、ならびにメッシュ39とともに、ケース30によってかしめられてる。
【0025】
下電極33の誘電体31側の面には不均一な形状を有する数十〜数百μm程度の微小な溝が複数形成されている。この微小な溝は、下電極33と誘電体31との間の空隙となるので、上電極32および下電極33間の静電容量の分布が微小に変化する。このランダムな微小な溝は、下電極33の表面を手作業でヤスリで荒らすことで形成されている。静電方式の超音波トランスデューサでは、このようにして空隙の大きさや深さの異なる無数のコンデンサを形成することによって、超音波トランスデューサの周波数特性が図3において曲線Q1に示すように広帯域となっている。
【0026】
上記構成の超音波トランスデューサ24では、上電極32に直流バイアス電圧が印加された状態で上電極31と下電極33との間に変調信号(パワーアンプ22の出力)が印加されるようになっている。因みに、図3に曲線Q2で示すように共振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、中心周波数(圧電セラミックの共振周波数)が例えば、40kHzであり、中心周波数に対して±5kHzで最大音圧に対して−30dBである。これに対して、上記構成の広帯域発振型の超音波トランスデューサの周波数特性は、40kHzから100kHz付近まで平坦で、100kHzで最大音圧に比して±6dB程度である。
【0027】
上記構成からなる本発明の実施形態に係る超音波スピーカの動作について説明する。可聴周波数波発振源10より可聴周波数帯の信号波が出力されると、周波数分離部12において、入力された可聴周波数帯の信号波を1kHzの周波数を境に低い周波数帯(1kHz未満)の信号波(低周波信号)と高い周波数帯(1kHz以上)の信号波(高周波信号)とに分離し、低周波信号を変調器18に、高周波信号を変調器20に出力する。
【0028】
一方、キャリア波発振源14は、低い周波数帯域(1kHz未満)の信号波に対応して低い周波数のキャリア波(例えば、30kHzのキャリア波)を生成し、変調器18に出力する。
また、キャリア波発振源16は高い周波数帯域の信号波に対応して高い周波数帯域(1kHz以上)のキャリア波(50kHzのキャリア波)を生成し、変調器20に出力する。
【0029】
変調器18では、キャリア波発信源14から出力されたキャリア波を周波数分離部12より出力された低周波信号でAM変調し、該変調信号をパワーアンプ22に出力する。変調器20では、キャリア波発信源16から出力されたキャリア波を周波数分離部12より出力された高周波信号でAM変調し、変調信号をパワーアンプ22に出力する。パワーアンプ22により増幅された変調信号は、超音波トランスデューサ24の上電極32と下電極33との間に印加され、該変調信号は、有限振幅レベルの音波(音響信号)に変換され、媒質(空気中)に放射される。
【0030】
ここで、媒質(空気)の非線形効果について簡単に述べておくと、超音波トランスデューサにより媒質中(空気中)に放射された超音波の伝播において、その伝播に伴い音圧の高い部分では音速が高くなり、音圧の低い部分では音速は遅くなる。この結果、波形の歪みが発生することが知られている。放射する超音波帯域の信号(キャリア波と呼ぶ)を可聴周波数帯の信号で変調(AM変調)しておいた場合には、上記波形歪みの結果により、変調時に用いた可聴周波数帯の信号波が自己復調する形で形成されてくることも知られている。その際、再生信号の広がりは超音波の特性からビーム状となり、通常のスピーカとは全く異なる特定方向のみに音が再生される。
【0031】
次に、本発明の実施形態に係る超音波スピーカの効果について図4乃至図7を参照して説明する。図4及び図5は、500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHz(図4),60kHz(図5)とした場合の変調信号(図4(A),図5(A))、伝搬波(図4(B),図5(B))、及び再生信号(図4(C),図5(C))の各波形を示している。これらの図から明らかなように、可聴周波数帯の信号波のうち低周波信号(500Hz)については、本発明に係る超音波スピーカのようにキャリア波の周波数を比較的低い周波数(30kHz)にした場合には再生信号(図4(C))に歪が生じないが、キャリア波の周波数を高い周波数(60kHz)にした場合には再生信号(図5(C))に歪が発生することが判る。
【0032】
また、図6及び図7は、5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を50kHz(図6),30kHz(図7)とした場合の変調信号(図6(A),図7(A))、伝搬波(図6(B),図7(B))、及び再生信号(図6(C),図7(C))の各波形を示している。これらの図から明らかなように、可聴周波数帯の信号波のうち高周波信号(5kHz)については、本発明に係る超音波スピーカのようにキャリア波の周波数を比較的高い周波数(50kHz)にした場合には再生信号(図6(C))に歪が生じないが、キャリア波の周波数を比較的低い周波数(30kHz)にした場合には再生信号(図7(C))に歪が発生することが判る。
【0033】
本実施形態によれば、信号源から出力される可聴周波数帯の信号波の周波数帯域に応じて信号音である再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を選択し、該キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調し、該変調信号で広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを駆動するようにしたので、再生音の品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波スピーカの構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した本発明の実施形態に係る超音波スピーカにおける超音波トランスデューサの具体的構成を示す図。
【図3】図2に示した超音波トランスデューサの周波数特性を示す特性図。
【図4】500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHzとした場合の変調信号(図4(A))、伝搬波(図4(B)))、及び再生信号(図4(C))の各波形を示す波形図。
【図5】500Hzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を60kHzとした場合の変調信号(図5(A))、伝搬波(図5(B))、及び再生信号(図5(C))の各波形を示す波形図。
【図6】5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を50kHzとした場合の変調信号(図6(A))、伝搬波(図6(B))、及び再生信号(図6(C))の各波形を示す波形図。
【図7】5kHzの可聴周波数帯信号に対してキャリア波の周波数を30kHzとした場合の変調信号(図7(A))、伝搬波(図7(B))、及び再生信号(図7(C))の各波形を示す波形図。
【図8】従来の超音波スピーカの構成を示すブロック図。
【図9】共振型の超音波トランスデューサの構成例を示す図。
【符号の説明】
10…可聴周波数波発振源
12…周波数分離部
14、16…キャリア波発振源
18、20…変調器
22…パワーアンプ
24…超音波トランスデューサ
Claims (6)
- 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源から出力される信号波によりキャリア波を変調し、該変調信号により広周波数帯域の音響信号を発振できる超音波トランスデューサを駆動することにより可聴波周波数帯の信号音を再生させる超音波スピーカの信号音再生方法であって、
前記信号源から出力される可聴周波数帯の信号波の周波数帯域に応じて前記信号音である再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を選択し、該キャリア波を前記可聴周波数帯の信号波により変調し、該変調信号で前記超音波トランスデューサを駆動することを特徴とする超音波スピーカの信号音再生方法。 - 前記キャリア波を選択する際に、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を選択することを特徴とする請求項1に記載の超音波スピーカの信号音再生方法。
- 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、
キャリア波を生成し、出力するキャリア波供給手段と、
前記キャリア波を前記信号波で変調する変調手段と、
前記変調手段から出力される変調信号により駆動され該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、可聴波周波数帯の信号音である再生信号を出力する超音波スピーカであって、
前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであり、
前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される信号波の周波数帯域に応じて前記再生信号に歪が生じない周波数のキャリア波を前記変調手段に供給することを特徴とする超音波スピーカ。 - 前記キャリア波供給手段は、前記信号源から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、前記信号源から出力される高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする請求項3に記載の超音波スピーカ。
- 可聴周波数帯の信号波を生成する信号源と、
信号源から出力される信号波の可聴周波数帯を複数の周波数帯域に分離する周波数分離手段と、
前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、再生信号に歪が発生しない周波数のキャリア波を生成する複数のキャリア波供給手段と、
前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して設けられ、前記複数のキャリア供給手段から出力されるキャリア波を前記分離された各信号波で変調する複数の変調手段と、
前記変調手段から出力される変調信号により駆動され、該変調信号を有限振幅レベルの音波に変換して媒質中に放射する超音波トランスデューサとを有し、
前記超音波トランスデューサは、広周波数帯域の音響信号を発振できる静電型トランスデューサであることを特徴とする超音波スピーカ。 - 前記複数のキャリア波供給手段の各々は、前記周波数分離手段により分離された信号波の各周波数帯域に対応して、前記周波数分離手段から出力される低い周波数帯域の信号波に対しては低い周波数のキャリア波を、高い周波数帯域の信号波に対しては高い周波数のキャリア波を供給することを特徴とする請求項5に記載の超音波スピーカ。
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