JP2004253973A - コンテンツ配信装置,コンテンツ受信端末,コンテンツ配信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求された場合に,各端末が取得するデータの冗長性を低く抑えつつ,配信する総データ量を小さくすることによりコンテンツを効率的に配信する。
【解決手段】コンテンツ要求のあった複数の端末について,端末群(Us∪{Ux})を順次選択し,その端末群に属する端末ごとの要求コンテンツのデータサイズと,その端末群に属する端末の全てが要求する全コンテンツの和集合の合計データサイズとの比である重複度(Sim(Us∪{Ux}))が,所定値(1/εmax,εmaxは端末における受信データの許容冗長度(要求データサイズに対する取得データサイズの比の許容最大値))を超えるような複数の端末グループに区分し(S02〜S08),該端末グループごとにそれに属する全ての端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを一括配信する。
【選択図】図5
【解決手段】コンテンツ要求のあった複数の端末について,端末群(Us∪{Ux})を順次選択し,その端末群に属する端末ごとの要求コンテンツのデータサイズと,その端末群に属する端末の全てが要求する全コンテンツの和集合の合計データサイズとの比である重複度(Sim(Us∪{Ux}))が,所定値(1/εmax,εmaxは端末における受信データの許容冗長度(要求データサイズに対する取得データサイズの比の許容最大値))を超えるような複数の端末グループに区分し(S02〜S08),該端末グループごとにそれに属する全ての端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを一括配信する。
【選択図】図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,通信エリア内に存在する複数の端末それぞれからの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置,及びそのコンテンツの配信を受けるコンテンツ受信端末,並びにコンテンツ配信方法に関し,特に無線によるコンテンツ配信に好適なコンテンツ配信装置,コンテンツ受信端末,及びコンテンツ配信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ユビキタスコンピューティングが推進される昨今,コンテンツ配信基地局やホットスポット等の基地局が各所に設置され,インターネット等の情報ネットワークに,いつでも,どこからでも無線によりアクセスして基地局から配信情報(コンテンツ)の配信を受けることができる環境が整備されつつある。このような基地局(無線コンテンツ配信装置)から移動する端末への無線によるコンテンツ配信では,基地局の通信可能エリア内での滞留時間が短い端末に対して音楽や画像等の比較的大容量のコンテンツを効率的に配信することが必要となる。
従来,様々なデータパケットが通信路を流れる状況において,各通信タスクに対して一定の通信速度(通信帯域)を保証するための技術が各種検討されている。例えば,REDやWFQ或いはCAC等のように,ルータが受信パケットを送出するにあたって,所定の待ち行列処理を行うことにより,通信効率の劣化防止や,通信タスクの重要度に応じた通信の効率化を行うものがある(非特許文献1参照)。ここで,RED(Random early detection)は,ルータに待ち行列として蓄積されたパケットがある長さを超えた場合に,待ち行列中のパケットをランダムに捨てることで,通信の混雑度を効率的に制御するものである(非特許文献2参照)。また,WFQ(Weighted Fair Queing)は,各通信タスクごとに待ち行列を用意し,各タスクの優先度に応じて各々の待ち行列から送出するパケットを選択することにより,各タスクに対する「公平さ」を実現しようとするものである(非特許文献3参照)。また,CAC(Call Admission Control)は,通信資源以上の接続要求が集中した場合に接続拒否を行うことにより,通信効率を確保するものである(非特許文献4参照)
。
また,同一情報を多数の通信相手に同時に送信する場合,マルチキャストと呼ばれる技術が有効である(非特許文献5参照)。これにより,同一情報の送信であれば,通信相手が多数存在する場合でも,一の通信相手に対するのとほぼ同等のデータ量で通信可能なため,通信効率が向上する。
【0003】
ところで,基地局から複数の端末に対して無線によりコンテンツを配信する場合,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求され,その要求に応じたコンテンツを配信することが考えられる。例えば,基地局に配信可能なコンテンツが複数登録されており,その中から各端末のユーザが配信を要求する1又は複数のコンテンツを指定するような場合である。このような場合,従来は,例えば端末の識別情報とその端末から要求を受けた全てのコンテンツとを一まとめにして送信する等により,要求のあった端末(ユーザ)それぞれに対し,その端末が要求したコンテンツを過不足なく送信することが行われていた。
ここで,一例として,基地局側にa〜gの7つのコンテンツが登録されており,通信エリア内にある3つの端末U1,U2,U3から要求されたコンテンツが,それぞれ{a,d,g,e},{b,d,g,f},{c,e,g,f}である場合を考える。
この場合,従来の方法では,基地局からは,端末U1を指定して{a,d,g,e}の4つ,端末U2を指定して{b,d,g,f}の4つ,端末U3を指定して{c,e,g,f}の4つを合わせた延べ12のコンテンツが配信される。そして,各端末U1,U2,U3では,自身(の識別情報)が指定されたコンテンツのみをそれぞれ取得する。
これにより,各端末は,基地局から配信される全てのコンテンツを取得する必要がなく,自身宛てのコンテンツのサイズ分のメモリ(記憶手段)及びそのサイズ分を取得できる通信能力(通信速度)を備えるだけでよい。
【0004】
【非特許文献1】
http://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/1999/notes/C8.PDF
【非特許文献2】
S.Floyd,V.Jacobsonm ”Random early detection gateways for congestion avoidance”,IEEE/ACM Transactions on Networking,vol.1,pp.397−413,August,1993
【非特許文献3】
A.K.Parekh,R.G.Gallager,”A generalized processor sharing approach to flow control in integrated services network: The single−node case”,IEEE/ACM Transactions on Networking,Vol.1,No.3,June 1993,pp.344−356
【非特許文献4】
A.I.Elwalid,D.Mitra,”Effective bandwidth of general Markovian traffic and admission control of high speed networks”,IEEE/ACM Transactions on Networking,Vol.1,June 1993,pp.329−343
【非特許文献5】
http://www.allied−telesis.co.jp/support/router/ar#manual/J876A2943D/docs/cmdcfg/ipmu.pdf
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,基地局(無線コンテンツ配信装置)に対して複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する場合,端末間で要求するコンテンツが重複する場合がある。前述した例では,コンテンツd,e,fは,それぞれ2つの端末から重複して要求され,コンテンツgは3つの端末から重複して要求されている。このような場合,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する方法では,複数の端末から重複して要求されたコンテンツが重複して送信されることとなり,配信データ全体の冗長性が高く(同一コンテンツの複数回配信が多く)通信効率が悪くなるという問題点があった。
この問題を解決するため,所定時間内に配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)し,これを全ての端末が一旦取得して,自身が要求したコンテンツのみを抽出する方法が考えられる。
これにより,通信全体(基地局側)から見れば,全端末への配信データについて冗長がなく,通信量を最小化できる。
しかしながら,この方法では,各端末は,他の端末全てが要求したコンテンツ全てを一旦取得する必要があり,各端末から見れば,非常に冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)の高いデータを取得しなければならなくなる。従って,各端末に大容量のメモリと非常に高速な通信能力が必要となるという問題が生じる。また,各端末が取得するデータ量が増えて各端末の通信時間が長くなると,通信エラーの発生頻度が増大し,再送制御等により通信効率が悪化するという問題も生じる。特に,モバイル通信のように通信環境が不安定な無線通信では,通信エラーが生じやすいので各端末の通信時間は短時間であること,即ち,各端末が取得するデータの冗長性が小さいことが望ましい。
また,前述した通信を効率化する従来の技術は,新たな端末の接続を制限したり,配信するコンテンツ(配信情報)に優先順位とつけたり,1つのコンテンツを複数端末に放送したりする技術であり,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求された場合に,それをいかに効率的に配信するかという課題に対応するものではない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求された場合に,各端末が取得するデータの冗長性を低く抑えつつ,配信する総データ量を小さくすることによりコンテンツを効率的に配信する無線コンテンツ配信装置,及びそのコンテンツの配信を受ける端末,並びにコンテンツ配信方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を受信し,これに応じたコンテンツを前記端末に配信する無線コンテンツ配信装置において,前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手段と,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを一括配信するコンテンツグループ配信手段と,を具備してなることを特徴とするコンテンツ配信装置として構成されるものである。
これにより,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する場合よりも配信データ全体の冗長性を低く(同一コンテンツの複数回配信を少なく)抑えることができるとともに,配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)する場合よりも各端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)を低く抑えることができ,バランスのよりコンテンツ配信の効率化を行うことが可能となる。
本発明は,前記端末との通信が,無線通信である場合に好適である。
【0007】
また,前記端末グループ化手段が,複数の前記端末間における要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報に基づいて前記端末グループへの区分を行うものが考えられる。
例えば,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報が,複数の前記端末を含む評価対象端末グループにおける,前記端末ごとの要求コンテンツのデータサイズと前記端末の全てが要求する全てのコンテンツの和集合についての合計データサイズとの比較に基づくもの等が考えられる。
これにより,例えば,任意に選択して構成した前記評価対象端末グループにおける全ての要求コンテンツの合計データサイズに対する前記端末ごとの要求コンテンツのデータサイズの比や差が,所定の許容範囲に収まっている場合にその評価対象端末グループを前記端末グループとする等のグループ化処理を行うことが可能となる。
もちろん,データサイズに限らず,例えば要求コンテンツの重複数が多い前記端末どうしを1つのグループにする等のグループ化処理も考えられる。このようなものも本発明の範囲である。
【0008】
また,前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報と全ての前記端末に配信するコンテンツの総配信データサイズに関する情報とに基づいて前記端末グループへの区分を行うものも考えられる。
これにより,前記要求コンテンツの重複度合い(又は非重複度合い)とコンテンツの総配信データサイズとのバランスを考慮したコンテンツ配信(端末のグループ化)を行うことが可能となる。
例えば,前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,前記コンテンツの総配信データサイズに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,の比較に基づいて前記端末グループへの区分を行うもの等である。
【0009】
また,前記コンテンツグループ配信手段が,前記コンテンツグループとともにそれに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報を一括配信するものが考えられる。
これにより,前記コンテンツグループを一括配信する前に,前記端末それぞれに対してこれから配信する前記コンテンツグループがいずれの前記端末宛てであるかを通知する等の手順を省くことができる。
【0010】
また,本発明は,前記コンテンツ配信装置により配信されるコンテンツを受信するコンテンツ受信端末として捉えたものであってもよい。
即ち,コンテンツ配信装置に対して1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これに応じて配信されるコンテンツを受信するコンテンツ受信端末において,前記コンテンツ配信装置から一括配信された1又は複数のコンテンツを含むコンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手段と,前記コンテンツ判別手段により前記コンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手段と,前記一時記憶手段に記憶された前記コンテンツグループから自己が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手段と,を具備してなることを特徴とするコンテンツ受信端末として構成されるものである。
【0011】
さらに,前記コンテンツ判別手段が,前記コンテンツグループとともに一括配信される該コンテンツグループに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報に基づいて,自己が要求したコンテンツ全てが前記コンテンツグループに含まれるか否かを判別するものもが考えられれる。
【0012】
また,本発明は,前記コンテンツ配信装置と前記コンテンツ受信端末との間のコンテンツ配信方法として捉えることもできる。
即ち,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これを受信したコンテンツ配信装置から要求されたコンテンツを前記複数の端末に配信するコンテンツ配信方法において,前記コンテンツ配信装置において前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手順と,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを前記コンテンツ配信装置から前記複数の端末に一括配信するコンテンツグループ配信手順と,前記端末において前記コンテンツグループに該端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手順と,前記コンテンツ判別手順により前記コンテンツグループに前記端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを前記端末に一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手順と,前記端末において,一時記憶された前記コンテンツグループから該端末自身が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手順と,を有してなることを特徴とするコンテンツ配信方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWの概略構成を表すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局と情報端末の概略構成を表すブロック図,図3は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける基地局と情報端末との間の通信手順及び通信データの概要を表す図,図4は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける各情報端末からのコンテンツ要求内容と基地局における配信管理情報の一例を表す図,図5は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局における端末グループ化処理の手順を表すフローチャート,図6は本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ化処理に用いるメンバシップ関数の一例を表す図,図7は本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ処理の手順を表すフローチャートである。
【0014】
本実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWは,図1に示すように,基地局1,携帯型の情報端末2,サーバ3を具備している。
前記サーバ3は,1又は複数のコンピュータから構成され,該コンピュータは,CPU及びその周辺装置,ハードディスク等の記憶装置,CRT及びキーボード等の入出力装置,通信インターフェース等を備えた一般的なコンピュータである。前記サーバ3には,各ユーザへの配信対象(ユーザが要求する情報)となる例えば,文字データ及びJPEG形式の画像データで構成されるニュース情報や,MPEG3形式の音楽データ,その他プログラム等のコンテンツが登録(記憶)されており,通信回線4によって接続された前記基地局1に対してコンテンツを提供するものである。
前記基地局1及び前記情報端末2は,SS(Spread Spectrum)無線を用いて,半径約50m程度の範囲で双方向通信を行う無線通信機能を有しており,前記情報端末2からコンテンツの要求を受信し,要求に応じたコンテンツを無線により配信する。配信するコンテンツは,前記情報端末2からの要求ごとに前記サーバ3から取得することや,定期的に前記サーバから取得して後述するデータ記憶部に記憶しておくこと等が考えられる。このように,前記サーバ3及び前記基地局1がコンテンツ配信装置の一例を構成している。
前記情報端末2は,コンテンツを要求するユーザによって携帯され,前記各基地局1の通信エリア内において,該基地局1との間で無線通信が可能である。
【0015】
次に,図2を用いて,前記基地局1及び前記情報端末2の概略構成について説明する。
(基地局1の構成)
前記基地局1は,図2に示すように,データ記憶部11,受信バッファ12,送受信ユニット13,通信制御部14,データ制御部15を具備している。
前記通信制御部14は,前記サーバ3との通信を制御する。
前記送受信ユニット13は,SS通信による前記情報端末2との無線通信を制御する。前記情報端末2との通信は,同一周波数帯上(例えば2400〜2500MHz)で,時間的に送信と受信とを切替えて通信を行う。即ち,通常は前記基地局1が送信状態,前記各情報端末2は受信状態とし,前記基地局1から時間を指定した所定の送信許可情報が含まれるデータが送信された場合にのみ,該指定時間に限り,前記基地局1が受信状態,前記各情報端末2が送信状態に切り替わるよう制御される。前記指定時間は,送受信されるデータの種類やデータ量等により随時決定される。
前記データ記憶部11は,例えばハードディスク等の記憶装置であり,前記各情報端末2に配信されるコンテンツ及びそれに関連する情報,その他配信管理に関する配信管理情報等のデータが格納される。
前記受信バッファ12は,前記送受信ユニット13により通信エリア内の前記各情報端末2から受信したデータを一時的に格納する記憶装置である。
前記データ制御部15は,前記基地局1の動作を制御するものであり,前記情報端末2や前記サーバ3との間で送受信される通信データ等に基づいて各種演算及び制御を行う。
【0016】
(情報端末2の構成)
前記情報端末2は,図2に示すように,送受信ユニット21,ワークメモリ22,データ保存メディア23,ROM24,MPU25,操作表示部26を具備している。ここで,前記データ保存メディア23としては,スマートメディアやコンパクトフラッシュ(サンディスク株式会社の登録商標)等の着脱可能な不揮発性メモリを用いることが望ましいが,例えば内蔵のフラッシュメモリやDRAM等を用いることも可能である。
前記送受信ユニット21は,前記基地局1の送受信ユニット13に対応して,無線通信を制御する。前記基地局1からの受信データに,時間を指定した前記送信許可情報が含まれる場合に,該指定時間の間のみデータ送信可能にし,それ以外の時間帯は常に受信状態(受信待ち状態を含む)に制御する。
前記ワークメモリ22は,前記送受信ユニット21を介して受信した前記基地局1から送信されるデータを一時的に格納するものである。
前記操作表示部26は,前記情報端末2の利用者による各種データ入力,及び前記データ保存メディア23に格納されるコンテンツの再生処理を行う。
前記MPU25は,前記ワークメモリにデータが入力された際に,前記ワークメモリ22内のデータから,自身が要求したコンテンツ等のデータを取得して前記データ保存メディア23に格納する処理や,受信データの内容に応じて,前記送受信ユニット21を介して前記基地局1に通知や要求を送信する処理等を,前記ROM24に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0017】
(基地局1〜情報端末2間の通信手順)
次に,図3を用いて,前記基地局1から前記情報端末2へのコンテンツの配信手順について説明する。
前記基地局1により,所定の周期で前記各情報端末2に対し,無線通信の同期をとるのに必要な例えば前記送信許可情報等が含まれる所定のヘッダー情報,及びコンテンツの配信要求を許可する旨を示す所定の要求許可コードを含む要求許可通知K1が送信される。無線通信で授受されるデータには,前記ヘッダー情報が必ず含まれるが,以下,これについては記載を省略する。
一方,通信エリア内の1又は複数の前記情報端末2において,前記要求許可通知K1が受信されると,ユーザにより予めコンテンツを要求する旨の入力がなされている場合には,情報要求通知T1が送信される。該情報要求通知T1には,コンテンツの配信要求であることを示す所定の情報要求コードと,要求する1又は複数のコンテンツそれぞれを識別するコンテンツIDとが含まれる。ここで,コンテンツIDを直接指定するのではなく,例えば,コンテンツのジャンル等の属性を指定し,指定された属性に対応するコンテンツが前記基地局1又は前記サーバ3(以下,基地局側という)で自動選択されるよう構成してもよい。このようなコンテンツIDの設定は,ユーザにより前記情報端末2の前記操作表示部26から予め入力される。
【0018】
一方,前記基地局1では,前記情報要求許可通知K1の送信後の所定時間の間に1又は複数の前記情報要求通知T1が受信されると,該情報要求通知T1が1つ(1つの前記情報端末2から)である場合には,要求された1又は複数のコンテンツを全て含む配信コンテンツK3が一括配信(放送)される。また,前記情報要求通知T1が複数受信(複数の前記情報端末2から受信)した場合には,後述する端末グループ化処理により前記情報要求通知T1を送信した前記情報端末2が複数の端末グループに区分され,該端末グループごとに,それに属する全ての前記情報端末2が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが含まれる前記配信コンテンツK3が一括配信(放送)される(前記コンテンツグループ配信手段に対応する処理,及び前記コンテンツグループ配信手順の一例)。
前記配信コンテンツK3には,図3に示すように,それがコンテンツの送信(配信)であることを示すコンテンツ送信コード,含まれるコンテンツそれぞれを識別する前記コンテンツIDのリスト,及びそれに対応するコンテンツが含まれる。前記情報端末2では,前記配信コンテンツK3を受信(前記コンテンツ送信コードにより識別)すると,自身が前記情報要求通知T1によって要求した全ての前記コンテンツIDが含まれるか否かをチェック(前記コンテンツ判別手段に対応する処理の一例)し,全て含まれる場合には,その配信コンテンツK3を前記ワークメモリ22(前記コンテンツグループ一時記憶手段の一例)に格納し,そこから自身が要求したコンテンツを抽出して前記データ保存メディア23に格納する(前記コンテンツ抽出取得手段に対応する処理の一例)。
前記基地局1からの送信データK1,K2は,いずれもエリア内の全ての前記情報端末2に向かって一括配信される。
【0019】
図4は,前記情報端末2それぞれからのコンテンツ要求内容と前記基地局1における配信管理情報の一例を表す図である。
以下,本発明を具体的に説明するために,7種類のコンテンツa〜gの配信が可能なある基地局1の通信可能エリアに3つの前記情報端末2(以下,端末U1,U2,U3という)が存在し,図4(a)に示すように,各端末U1,U2,U3それぞれから要求されたコンテンツのコンテンツIDが,それぞれ{a,d,g,e}=C(U1),{b,d,g,f}=C(U2),{c,e,g,f}=C(U3)である場合を考える。これを,集合として図示すると図4(b)のようになり,コンテンツd,e,fは,それぞれ2つの端末(U1とU2,U1とU3,U2とU3)から重複して要求され,コンテンツgは3つの端末U1,U2,U3から重複して要求されていることがわかる。以下,例えば「コンテンツa」のように表記した場合は,コンテンツID=aに対応するコンテンツを指すものとする。
このような要求を,前記基地局1では,図4(c)に示すように各端末U1,U2,U3ごとに,配信可能なコンテンツa〜gそれぞれについて要求を受けたか否か(1か0か)を表すフラグ情報を有する要求テーブルとして管理する。そして,前記要求テーブルの情報に基づいて,後述する端末グループ化処理を行い,図4(d)に示すように要求を行った複数の端末U1,U2,U3を複数の端末グループ(G1,G2,…)に区分し,該端末グループごとに,通信可能なコンテンツa〜gそれぞれについて一括送信を行うか否か(1か0か)を表すフラグ情報を有する配信テーブルを作成する。図4(d)の例では,端末U1とU2とを1つの端末グループG1とし,端末U3を他の端末グループG2として区分された場合の例である。この配信テーブルに従って,前記端末グループごとに,フラグ情報が「1」であるコンテンツを抽出すれば,その端末グループに属する全ての前記情報端末2が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを抽出することができる。
【0020】
次に,図5のフローチャートを用いて,図4に示した前記要求テーブルに基づいて前記配信テーブルを作成する端末グループ化処理の手順の一例(前記端末グループ化手段に対応する処理,及び前記端末グループ化手順の一例)について説明する。本処理は,前記基地局1の前記データ制御部15によって実行される。以下,S01,S02,…は処理手順(ステップ)の番号を表す。
まず,前記端末グループ格納用のワーク変数Usに初期値として空集合を設定する,及びグループ化処理の対象とする前記情報端末2の集合を表すワーク変数Uallに,コンテンツの要求を行った前記情報端末全てU={U1,U2,…}を設定する,並びに前記端末グループ格納用の変数である端末グループ群Gに初期値として空集合を設定する等の初期化処理(S01)が行われる。前記データ制御部15におけるデータ処理上は,前記情報端末U1,U2,…は,コンテンツの要求を受けた際に各情報端末それぞれに割り当てた番号や記号等,或いは前記情報端末それぞれから送信されるその情報端末の識別情報等で表されるものであるが,以下,便宜上このように表現するものとする。
さらに,ワーク変数Uallが空集合となるまで,以下に示すS03〜S07の処理が繰り返される。
まず,ワーク変数Uallが空集合でない場合(S02のNo側)には,変数Uallに含まれる前記情報端末の中で,要求しているコンテンツのデータサイズ(複数のコンテンツを要求している場合にはその複数のコンテンツの合計データサイズ(以下,|C(Uj)|のように表す)が最小である前記情報端末U0を選択し(S03),それをワーク変数Usの要素に追加する(S04)。以下,データサイズとは,対象とする複数のコンテンツに重複する(冗長な)コンテンツが含まれないように各データサイズを合計した値(冗長なコンテンツを除いたデータサイズ)を表すものとする。
図4に示した具体例の場合において,コンテンツcのデータサイズが100Kbit,その他のコンテンツa,b,d,e,f,gのデータサイズが10Kbitであるとすると,|C(U1)|=|C(U2)|=40Kbit,|C(U3)|=130Kbitとなる。従って,U0は,U1又はU2のいずれかとなり,ここでは,U0=U1とする。
【0021】
次に,ワーク変数Uallに含まれる前記情報端末のうち,U0を除く残りの前記情報端末Uxそれぞれについて,要求するコンテンツのデータサイズ|C(Ux)|が小さいものから順に次の端末追加処理を実行する(S05)。
図4に示した具体例では,まずUx=U2,次にUx=U3として,後述する端末追加処理を実行する。
(重複度)
ここで,前記端末追加処理について説明する前に,本無線コンテンツ配信システムWで用いる重複度Sim(x)という指標について説明する。
重複度とは,コンテンツ要求を行った複数の前記情報端末U1,U2,…を1組の端末グループとした場合に,その端末グループに属する全ての前記情報端末U1,U2,…が要求する全コンテンツの和集合となるコンテンツグループの合計データサイズに対し,各情報端末U1,U2,…それぞれが要求するコンテンツのデータサイズ|C(U1)|,|C(U2)|,…がどの程度近似しているか(即ち,コンテンツがどの程度重複しているか)を表す指標である(前記重複度合いの一例)。
具体的には,前記端末グループに属する情報端末U1,U2,…全ての要求コンテンツの合計データサイズ(|∪j=1,m{C(Uj)}|=|C(U1)∪C(U2)…∪C(Um)|,mは情報端末の数)に対する前記情報端末U1,U2,…ごとの要求コンテンツのデータサイズ|C(U1)|,|C(U2)|,…の比(|C(Uj)|/(|∪j=1,m{C(Uj)}|))のうち,最小値やその平均値等を前記重複度とする。即ち,前記情報端末U1,U2,…それぞれが全く同じコンテンツを要求している場合に前記重複度=1となり,それぞれ異なるコンテンツの要求が増えるほど前記重複度の値が小さくなる(>0)。ここでは,前記比(|C(Uj)|/|∪j=1,m{C(Uj)}|))のうちの最小値を前記重複度とする。以下,前記端末グループ(前記情報端末の集合)をGiとするとき,前記重複度をSim(Gi)で表すものとする。
例えば,図4に示した具体例において,端末U1とU3とを含む集合{U1,U3}を前記端末グループGiとした場合,要求コンテンツの合計データサイズが150Kbit(=10Kbit×5+100Kbit),各端末U1,U3の要求コンテンツのデータサイズがそれぞれ40Kbit,130Kbitであるので,前記重複度Sim(Gi)は,{(40/150),(130/150)}のうちの最小値で(40/150=0.267)となる。
ここで,前記重複度Sim(Gi)の逆数1/Sim(Gi)は,そのときの端末グループに属する全ての前記情報端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが一括配信された場合に,これを取得(受信)する前記情報端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い,即ち,非重複度合い)を表すことになる。以下,前記重複度の逆数のことを冗長度(前記非重複度合いの一例)と呼ぶことにする。前述したように前記重複度として最小値をとる場合には,その逆数は,前記コンテンツグループを取得する前記情報端末それぞれの冗長度のうち最も高い冗長度の値を表すことになる。従って,前記情報端末それぞれが要求したコンテンツと一括配信されてきたコンテンツ(コンテンツグループ)とが過不足なく一致している場合に前記冗長度=1となり,一括配信されてきたコンテンツに含まれる要求外のコンテンツが増えるごとに前記冗長度の値が大きくなる。
【0022】
(端末追加処理)
次に,前記端末追加処理(図5のS05)について説明する。
まず,ワーク変数Usの集合と前記情報端末Uxを要素とする集合との和集合Us∪{Ux}を前記端末グループとした場合の前記重複度Sim(Us∪{Ux})を求める。
次に,求めた前記重複度Sim(Us∪{Ux})が,予め設定した所定の許容冗長度εmax(>1)の逆数(1/εmax)よりも大きい場合(Sim(Us∪{Ux})>(1/εmax))にのみ,そのときの前記情報端末Uxを前記ワーク変数Ux(集合)の要素として追加する。
このような端末追加処理(ワーク変数Usへ前記情報端末の追加する処理)を,前述したように,ワーク変数Uallに含まれる前記情報端末のうち,U0を除く残りの前記情報端末Uxそれぞれについて,要求するコンテンツのデータサイズ|C(Ux)|が小さいものから順に実行する。
例えば,図4に示した具体例では,Uall={U1,U2,U3}であり,まず,前記情報端末U1(=U0)と前記情報端末U2(=1回目のUx)とをグループ化したときの前記重複度Sim({U1}∪{U2})が計算される。この場合,|C(U1)|/(|C(U1)∪C(U2)|)=|C(U2)|/(|C(U1)∪C(U2)|)=40/60≒0.667であり,前記重複度=0.667となる。ここで,前記許容冗長度εmax=2とすると,(1/εmax)=0.5となり,前記許容冗長度の条件を満足する(0.667>0.5)ので,Us={U1,U2}となる。
次に,Us(={U1,U2})とU3をグループ化したときの前記重複度Sim({U1,U2}∪{U3})が計算される。この場合,|C(U1)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=|C(U2)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=40/160=0.25,|C(U3)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=130/160≒0.813であり,これらの最小値をとると前記重複度=0.25となる。ここで,前記許容冗長度εmax=2であるので,該許容冗長度の条件(>0.5)を満足しないので,UsにU3は追加されず,Us={U1,U2}のままとなる。Uallの要素はこれで全てなので,最終的に,Us={U1,U2}となる。
これにより,ワーク変数Usには,前記情報端末U0(ワーク変数Uallに含まれる全情報端末のうち最も要求コンテンツのデータサイズが小さいもの)とともにグループ化してそのグループに属する全情報端末の要求コンテンツ全ての和集合(コンテンツグループ)を一括送信したときに,そのコンテンツグループを取得する前記情報端末における前記冗長度が前記許容冗長度εmaxよりも小さくなるような前記情報端末のみを構成要素とする集合が格納されることになる。この集合Usが前記端末グループである。
【0023】
以上のようにして前記端末追加処理が終了すると,ワーク変数Uall(集合)の要素(前記情報端末)から,前記許容冗長度εmaxを満足するグループ化が行われた前記情報端末の集合であるワーク変数Usの要素(前記情報端末)を除去し(S06),さらに,前記端末グループ群Gの要素として,ワーク変数Us(前記端末グループ)を追加するとともに,ワーク変数Usを空集合に初期化した(S07)後,新たに設定されたワーク変数Uallについて前述したS02〜S07の処理が繰り返される。
そして,ワーク変数Uallが空集合となったときに(S02のYes側),そのときの端末グループ群G(端末のグループ化結果)から前記配信テーブル(図4(d))が作成作成(S09)された後,処理が終了する。
これにより,前記配信テーブルには,前記許容冗長度εmaxの条件(前記重複度>(1/εmax))を満足するグループ化が行われた前記情報端末の集合,即ち前記端末グループの集合が設定される。
【0024】
以上のようにして作成された前記配信テーブルに従って,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記情報端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが,前記基地局1の前記送受信ユニット13(前記コンテンツグループ配信手段の一例)によって一括配信される。
図4に示した具体例では,まず,コンテンツグループ{a,b,d,e,f,g}が一括配信され,次に,コンテンツグループ{c,e,f,g}が一括配信される。この場合,1回目の一括配信における前記冗長度(最大値)=(|C(U1)∪C(U2)|)/|C(U1)|=60/40=1.5,2回目の一括送信における前記冗長度=|C(U3)|/|C(U3)|=130/130=1となる。また,配信するコンテンツの総配信データサイズは,60+130=190Kbitとなる。
これに対し,全ての前記情報端末からの要求コンテンツ全ての和集合となる全コンテンツを集約して一括配信した場合(以下,全データ一括配信時という),コンテンツの総配信データサイズは160Kbitとなり,通信全体から見れば効率がよい。
しかしながら,前記情報端末から見た場合,前記冗長度=|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|/|C(U1)|=160/40=4となり,前記情報端末は,自身が要求したコンテンツのデータサイズの4倍のデータサイズのコンテンツ(コンテンツグループ)を取得しなければならなくなる。
一方,前記情報端末それぞれに対して過不足なく(冗長なく)要求コンテンツを個別に配信した場合(以下,個別配信時という)には,前記情報端末から見れば,いずれの前記情報端末においても前記冗長度=1となり効率的である。
しかしながら,コンテンツの総配信データサイズは40+40+130=210Kbitとなり,通信全体から見れば効率が悪くなる。
従って,本発明により,通信全体(配信するコンテンツの総データ量)からみた場合と,各情報端末から見た場合それぞれについてバランスのとれた通信効率の向上を図ることが可能となる。
【0025】
【実施例】
前述した実施の形態では,前記許容冗長度εmaxを予め定めた値(例えば=2等)としたが,前記情報端末2それぞれからの要求コンテンツに応じた適切な値に自動設定することも考えられる。その実施例について以下に説明する。
本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムは,前記許容冗長度εmaxを自動計算する以外は,前述した実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWと同じである。
まず,図6(a),(b)に示すように,前記許容冗長度εmaxと,全ての前記情報端末2に配信するコンテンツの総配信データサイズの大きさを表す指標である総データ量指数Sallとのそれぞれを入力とするメンバシップ関数を予め設定する。これは,例えば,前記基地局1の前記データ記憶部11等に記憶させておく。
前記総データ量指数Sallは,評価対象におけるコンテンツの総配信データサイズが,前記全データ一括配信時の総配信データサイズS_MINと同じ場合に0(ゼロ),前記個別配信時の総配信データサイズS_MAXと同じ場合に1とし,その間を線形補間した値である。即ち,Sall=(総配信データサイズ−S_MIN)/(S_MAX−S_MIN)である。ここで,S_MAX=S_MINの場合は,全ての前記情報端末からの要求コンテンツが同じであることを意味し,グループ化を行う必要がないので考慮しない。
各メンバシップ関数の出力(メンバシップ値μ1,μ2)(図6(a),(b)の縦軸)は,各入力εmax,Sallに対応する好ましさを0〜1で表すものである。これは,ファジィ演算で一般的に用いられるメンバシップ関数と同様である。もちろん,好ましさは0〜1ではなく,各メンバシップ関数それぞれについて任意の値(範囲)で設定してもよい。
図6の例では,前記許容冗長度εmaxについては,1≦εmax≦1.5であれば最も好ましい(メンバシップ値=1)とし,それよりも前記許容冗長度εmaxが上昇するごとにメンバシップ値が下がり,εmax≧2であれば最も好ましくない(メンバシップ値=0)としている。また,前記総データ量指数Sallについては,Sall=0であれば最も好ましい(メンバシップ値=1)とし,それよりも前記総データ量指数Sallが上昇するごとにメンバシップ値が下がり,前記総データ量指数Sall=1であれば最も好ましくない(メンバシップ値=0)としている。
【0026】
次に,図7のフローチャートを用いて,前記基地局1の前記データ制御部15により実行される端末グループ化処理について説明する。
まず,前記許容冗長度εmaxに初期値を設定する(S10)。ここでは,初期値として1(最小値)を設定する。
次に,前記許容冗長度εmaxに微小な所定の加算値Δを加算し(S11),加算後の前記許容冗長度εmaxを用いて,図5に示した手順による前記端末グループ化処理を実行し,前記端末グループ群Gを求める(S12)。
次に,前記端末グループ群Gについてのコンテンツの総配信データサイズを求める(S13)。
さらに,現在の前記許容冗長度εmaxとそのメンバシップ関数(図6(a))とに基づくメンバシップ値μ1,及びS13で求められた総配信データサイズから求まる前記総データ量指数Sallとそのメンバシップ関数(図6(b))とに基づくメンバシップ値μ2を求める(S14)。
次に,求められた各メンバシップ値μ1,μ2を比較し(S15),μ2>(μ1+k)(kは定数,例えばk=0)であれば,そのときの前記端末グループ群Gに従って前記配信テーブルを生成(出力)し(S16),そうでなければS11へ戻って前述した処理を繰り返す。
これにより,初期段階では前記個別配信時に近い状態の前記端末グループ群Gが設定されるが,徐々に前記全データ一括配信時の状態に近づくよう前記端末グループ群Gが設定され,最終的に,前記個別配信時と前記全データ一括配信時との中間的な状態の前記端末グループ群Gが設定されることになる。
このような端末グループ化処理によれば,前記許容冗長度εmaxが,コンテンツの総配信データサイズとのバランスが計られながら設定され,よりバランスよくコンテンツデータ配信を効率化することができる。
また,前述した実施の形態及び実施例では,前記基地局1から前記情報端末2に対して無線によりコンテンツを配信する場合を示しているが,有線通信によりコンテンツ配信を行うものも考えられる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,コンテンツ要求を行う複数の端末をそれぞれ1又は複数の端末からなる複数の端末グループに区分し,区分した端末グループごとにコンテンツグループの一括配信を行うので,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する場合よりも配信データ全体の冗長性を低く(同一コンテンツの複数回配信を少なく)抑えることができるとともに,配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)する場合よりも各端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)を低く抑えることができ,バランスのよりコンテンツ配信の効率化を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWの概略構成を表すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局と情報端末の概略構成を表すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける基地局と情報端末との間の通信手順及び通信データの概要を表す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける各情報端末からのコンテンツ要求内容と基地局における配信管理情報の一例を表す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局における端末グループ化処理の手順を表すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ化処理に用いるメンバシップ関数の一例を表す図。
【図7】本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
1…基地局
2…情報端末
3…サーバ
4…通信回線
11…データ記憶部
12…受信バッファ
13,21…送受信ユニット
14…通信制御部
15…データ制御部
22…ワークメモリ
23…データ保存メディア
24…ROM
25…MPU
26…操作表示部
K1…情報要求許可通知
K2…配信コンテンツ
T1…情報要求通知(配信要求)
S01,S02,,,…ステップ(処理手順)
【発明の属する技術分野】
本発明は,通信エリア内に存在する複数の端末それぞれからの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信装置,及びそのコンテンツの配信を受けるコンテンツ受信端末,並びにコンテンツ配信方法に関し,特に無線によるコンテンツ配信に好適なコンテンツ配信装置,コンテンツ受信端末,及びコンテンツ配信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ユビキタスコンピューティングが推進される昨今,コンテンツ配信基地局やホットスポット等の基地局が各所に設置され,インターネット等の情報ネットワークに,いつでも,どこからでも無線によりアクセスして基地局から配信情報(コンテンツ)の配信を受けることができる環境が整備されつつある。このような基地局(無線コンテンツ配信装置)から移動する端末への無線によるコンテンツ配信では,基地局の通信可能エリア内での滞留時間が短い端末に対して音楽や画像等の比較的大容量のコンテンツを効率的に配信することが必要となる。
従来,様々なデータパケットが通信路を流れる状況において,各通信タスクに対して一定の通信速度(通信帯域)を保証するための技術が各種検討されている。例えば,REDやWFQ或いはCAC等のように,ルータが受信パケットを送出するにあたって,所定の待ち行列処理を行うことにより,通信効率の劣化防止や,通信タスクの重要度に応じた通信の効率化を行うものがある(非特許文献1参照)。ここで,RED(Random early detection)は,ルータに待ち行列として蓄積されたパケットがある長さを超えた場合に,待ち行列中のパケットをランダムに捨てることで,通信の混雑度を効率的に制御するものである(非特許文献2参照)。また,WFQ(Weighted Fair Queing)は,各通信タスクごとに待ち行列を用意し,各タスクの優先度に応じて各々の待ち行列から送出するパケットを選択することにより,各タスクに対する「公平さ」を実現しようとするものである(非特許文献3参照)。また,CAC(Call Admission Control)は,通信資源以上の接続要求が集中した場合に接続拒否を行うことにより,通信効率を確保するものである(非特許文献4参照)
。
また,同一情報を多数の通信相手に同時に送信する場合,マルチキャストと呼ばれる技術が有効である(非特許文献5参照)。これにより,同一情報の送信であれば,通信相手が多数存在する場合でも,一の通信相手に対するのとほぼ同等のデータ量で通信可能なため,通信効率が向上する。
【0003】
ところで,基地局から複数の端末に対して無線によりコンテンツを配信する場合,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求され,その要求に応じたコンテンツを配信することが考えられる。例えば,基地局に配信可能なコンテンツが複数登録されており,その中から各端末のユーザが配信を要求する1又は複数のコンテンツを指定するような場合である。このような場合,従来は,例えば端末の識別情報とその端末から要求を受けた全てのコンテンツとを一まとめにして送信する等により,要求のあった端末(ユーザ)それぞれに対し,その端末が要求したコンテンツを過不足なく送信することが行われていた。
ここで,一例として,基地局側にa〜gの7つのコンテンツが登録されており,通信エリア内にある3つの端末U1,U2,U3から要求されたコンテンツが,それぞれ{a,d,g,e},{b,d,g,f},{c,e,g,f}である場合を考える。
この場合,従来の方法では,基地局からは,端末U1を指定して{a,d,g,e}の4つ,端末U2を指定して{b,d,g,f}の4つ,端末U3を指定して{c,e,g,f}の4つを合わせた延べ12のコンテンツが配信される。そして,各端末U1,U2,U3では,自身(の識別情報)が指定されたコンテンツのみをそれぞれ取得する。
これにより,各端末は,基地局から配信される全てのコンテンツを取得する必要がなく,自身宛てのコンテンツのサイズ分のメモリ(記憶手段)及びそのサイズ分を取得できる通信能力(通信速度)を備えるだけでよい。
【0004】
【非特許文献1】
http://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/1999/notes/C8.PDF
【非特許文献2】
S.Floyd,V.Jacobsonm ”Random early detection gateways for congestion avoidance”,IEEE/ACM Transactions on Networking,vol.1,pp.397−413,August,1993
【非特許文献3】
A.K.Parekh,R.G.Gallager,”A generalized processor sharing approach to flow control in integrated services network: The single−node case”,IEEE/ACM Transactions on Networking,Vol.1,No.3,June 1993,pp.344−356
【非特許文献4】
A.I.Elwalid,D.Mitra,”Effective bandwidth of general Markovian traffic and admission control of high speed networks”,IEEE/ACM Transactions on Networking,Vol.1,June 1993,pp.329−343
【非特許文献5】
http://www.allied−telesis.co.jp/support/router/ar#manual/J876A2943D/docs/cmdcfg/ipmu.pdf
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,基地局(無線コンテンツ配信装置)に対して複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する場合,端末間で要求するコンテンツが重複する場合がある。前述した例では,コンテンツd,e,fは,それぞれ2つの端末から重複して要求され,コンテンツgは3つの端末から重複して要求されている。このような場合,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する方法では,複数の端末から重複して要求されたコンテンツが重複して送信されることとなり,配信データ全体の冗長性が高く(同一コンテンツの複数回配信が多く)通信効率が悪くなるという問題点があった。
この問題を解決するため,所定時間内に配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)し,これを全ての端末が一旦取得して,自身が要求したコンテンツのみを抽出する方法が考えられる。
これにより,通信全体(基地局側)から見れば,全端末への配信データについて冗長がなく,通信量を最小化できる。
しかしながら,この方法では,各端末は,他の端末全てが要求したコンテンツ全てを一旦取得する必要があり,各端末から見れば,非常に冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)の高いデータを取得しなければならなくなる。従って,各端末に大容量のメモリと非常に高速な通信能力が必要となるという問題が生じる。また,各端末が取得するデータ量が増えて各端末の通信時間が長くなると,通信エラーの発生頻度が増大し,再送制御等により通信効率が悪化するという問題も生じる。特に,モバイル通信のように通信環境が不安定な無線通信では,通信エラーが生じやすいので各端末の通信時間は短時間であること,即ち,各端末が取得するデータの冗長性が小さいことが望ましい。
また,前述した通信を効率化する従来の技術は,新たな端末の接続を制限したり,配信するコンテンツ(配信情報)に優先順位とつけたり,1つのコンテンツを複数端末に放送したりする技術であり,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求された場合に,それをいかに効率的に配信するかという課題に対応するものではない。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツが要求された場合に,各端末が取得するデータの冗長性を低く抑えつつ,配信する総データ量を小さくすることによりコンテンツを効率的に配信する無線コンテンツ配信装置,及びそのコンテンツの配信を受ける端末,並びにコンテンツ配信方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を受信し,これに応じたコンテンツを前記端末に配信する無線コンテンツ配信装置において,前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手段と,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを一括配信するコンテンツグループ配信手段と,を具備してなることを特徴とするコンテンツ配信装置として構成されるものである。
これにより,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する場合よりも配信データ全体の冗長性を低く(同一コンテンツの複数回配信を少なく)抑えることができるとともに,配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)する場合よりも各端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)を低く抑えることができ,バランスのよりコンテンツ配信の効率化を行うことが可能となる。
本発明は,前記端末との通信が,無線通信である場合に好適である。
【0007】
また,前記端末グループ化手段が,複数の前記端末間における要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報に基づいて前記端末グループへの区分を行うものが考えられる。
例えば,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報が,複数の前記端末を含む評価対象端末グループにおける,前記端末ごとの要求コンテンツのデータサイズと前記端末の全てが要求する全てのコンテンツの和集合についての合計データサイズとの比較に基づくもの等が考えられる。
これにより,例えば,任意に選択して構成した前記評価対象端末グループにおける全ての要求コンテンツの合計データサイズに対する前記端末ごとの要求コンテンツのデータサイズの比や差が,所定の許容範囲に収まっている場合にその評価対象端末グループを前記端末グループとする等のグループ化処理を行うことが可能となる。
もちろん,データサイズに限らず,例えば要求コンテンツの重複数が多い前記端末どうしを1つのグループにする等のグループ化処理も考えられる。このようなものも本発明の範囲である。
【0008】
また,前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報と全ての前記端末に配信するコンテンツの総配信データサイズに関する情報とに基づいて前記端末グループへの区分を行うものも考えられる。
これにより,前記要求コンテンツの重複度合い(又は非重複度合い)とコンテンツの総配信データサイズとのバランスを考慮したコンテンツ配信(端末のグループ化)を行うことが可能となる。
例えば,前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,前記コンテンツの総配信データサイズに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,の比較に基づいて前記端末グループへの区分を行うもの等である。
【0009】
また,前記コンテンツグループ配信手段が,前記コンテンツグループとともにそれに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報を一括配信するものが考えられる。
これにより,前記コンテンツグループを一括配信する前に,前記端末それぞれに対してこれから配信する前記コンテンツグループがいずれの前記端末宛てであるかを通知する等の手順を省くことができる。
【0010】
また,本発明は,前記コンテンツ配信装置により配信されるコンテンツを受信するコンテンツ受信端末として捉えたものであってもよい。
即ち,コンテンツ配信装置に対して1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これに応じて配信されるコンテンツを受信するコンテンツ受信端末において,前記コンテンツ配信装置から一括配信された1又は複数のコンテンツを含むコンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手段と,前記コンテンツ判別手段により前記コンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手段と,前記一時記憶手段に記憶された前記コンテンツグループから自己が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手段と,を具備してなることを特徴とするコンテンツ受信端末として構成されるものである。
【0011】
さらに,前記コンテンツ判別手段が,前記コンテンツグループとともに一括配信される該コンテンツグループに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報に基づいて,自己が要求したコンテンツ全てが前記コンテンツグループに含まれるか否かを判別するものもが考えられれる。
【0012】
また,本発明は,前記コンテンツ配信装置と前記コンテンツ受信端末との間のコンテンツ配信方法として捉えることもできる。
即ち,複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これを受信したコンテンツ配信装置から要求されたコンテンツを前記複数の端末に配信するコンテンツ配信方法において,前記コンテンツ配信装置において前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手順と,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを前記コンテンツ配信装置から前記複数の端末に一括配信するコンテンツグループ配信手順と,前記端末において前記コンテンツグループに該端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手順と,前記コンテンツ判別手順により前記コンテンツグループに前記端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを前記端末に一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手順と,前記端末において,一時記憶された前記コンテンツグループから該端末自身が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手順と,を有してなることを特徴とするコンテンツ配信方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWの概略構成を表すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局と情報端末の概略構成を表すブロック図,図3は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける基地局と情報端末との間の通信手順及び通信データの概要を表す図,図4は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける各情報端末からのコンテンツ要求内容と基地局における配信管理情報の一例を表す図,図5は本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局における端末グループ化処理の手順を表すフローチャート,図6は本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ化処理に用いるメンバシップ関数の一例を表す図,図7は本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ処理の手順を表すフローチャートである。
【0014】
本実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWは,図1に示すように,基地局1,携帯型の情報端末2,サーバ3を具備している。
前記サーバ3は,1又は複数のコンピュータから構成され,該コンピュータは,CPU及びその周辺装置,ハードディスク等の記憶装置,CRT及びキーボード等の入出力装置,通信インターフェース等を備えた一般的なコンピュータである。前記サーバ3には,各ユーザへの配信対象(ユーザが要求する情報)となる例えば,文字データ及びJPEG形式の画像データで構成されるニュース情報や,MPEG3形式の音楽データ,その他プログラム等のコンテンツが登録(記憶)されており,通信回線4によって接続された前記基地局1に対してコンテンツを提供するものである。
前記基地局1及び前記情報端末2は,SS(Spread Spectrum)無線を用いて,半径約50m程度の範囲で双方向通信を行う無線通信機能を有しており,前記情報端末2からコンテンツの要求を受信し,要求に応じたコンテンツを無線により配信する。配信するコンテンツは,前記情報端末2からの要求ごとに前記サーバ3から取得することや,定期的に前記サーバから取得して後述するデータ記憶部に記憶しておくこと等が考えられる。このように,前記サーバ3及び前記基地局1がコンテンツ配信装置の一例を構成している。
前記情報端末2は,コンテンツを要求するユーザによって携帯され,前記各基地局1の通信エリア内において,該基地局1との間で無線通信が可能である。
【0015】
次に,図2を用いて,前記基地局1及び前記情報端末2の概略構成について説明する。
(基地局1の構成)
前記基地局1は,図2に示すように,データ記憶部11,受信バッファ12,送受信ユニット13,通信制御部14,データ制御部15を具備している。
前記通信制御部14は,前記サーバ3との通信を制御する。
前記送受信ユニット13は,SS通信による前記情報端末2との無線通信を制御する。前記情報端末2との通信は,同一周波数帯上(例えば2400〜2500MHz)で,時間的に送信と受信とを切替えて通信を行う。即ち,通常は前記基地局1が送信状態,前記各情報端末2は受信状態とし,前記基地局1から時間を指定した所定の送信許可情報が含まれるデータが送信された場合にのみ,該指定時間に限り,前記基地局1が受信状態,前記各情報端末2が送信状態に切り替わるよう制御される。前記指定時間は,送受信されるデータの種類やデータ量等により随時決定される。
前記データ記憶部11は,例えばハードディスク等の記憶装置であり,前記各情報端末2に配信されるコンテンツ及びそれに関連する情報,その他配信管理に関する配信管理情報等のデータが格納される。
前記受信バッファ12は,前記送受信ユニット13により通信エリア内の前記各情報端末2から受信したデータを一時的に格納する記憶装置である。
前記データ制御部15は,前記基地局1の動作を制御するものであり,前記情報端末2や前記サーバ3との間で送受信される通信データ等に基づいて各種演算及び制御を行う。
【0016】
(情報端末2の構成)
前記情報端末2は,図2に示すように,送受信ユニット21,ワークメモリ22,データ保存メディア23,ROM24,MPU25,操作表示部26を具備している。ここで,前記データ保存メディア23としては,スマートメディアやコンパクトフラッシュ(サンディスク株式会社の登録商標)等の着脱可能な不揮発性メモリを用いることが望ましいが,例えば内蔵のフラッシュメモリやDRAM等を用いることも可能である。
前記送受信ユニット21は,前記基地局1の送受信ユニット13に対応して,無線通信を制御する。前記基地局1からの受信データに,時間を指定した前記送信許可情報が含まれる場合に,該指定時間の間のみデータ送信可能にし,それ以外の時間帯は常に受信状態(受信待ち状態を含む)に制御する。
前記ワークメモリ22は,前記送受信ユニット21を介して受信した前記基地局1から送信されるデータを一時的に格納するものである。
前記操作表示部26は,前記情報端末2の利用者による各種データ入力,及び前記データ保存メディア23に格納されるコンテンツの再生処理を行う。
前記MPU25は,前記ワークメモリにデータが入力された際に,前記ワークメモリ22内のデータから,自身が要求したコンテンツ等のデータを取得して前記データ保存メディア23に格納する処理や,受信データの内容に応じて,前記送受信ユニット21を介して前記基地局1に通知や要求を送信する処理等を,前記ROM24に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0017】
(基地局1〜情報端末2間の通信手順)
次に,図3を用いて,前記基地局1から前記情報端末2へのコンテンツの配信手順について説明する。
前記基地局1により,所定の周期で前記各情報端末2に対し,無線通信の同期をとるのに必要な例えば前記送信許可情報等が含まれる所定のヘッダー情報,及びコンテンツの配信要求を許可する旨を示す所定の要求許可コードを含む要求許可通知K1が送信される。無線通信で授受されるデータには,前記ヘッダー情報が必ず含まれるが,以下,これについては記載を省略する。
一方,通信エリア内の1又は複数の前記情報端末2において,前記要求許可通知K1が受信されると,ユーザにより予めコンテンツを要求する旨の入力がなされている場合には,情報要求通知T1が送信される。該情報要求通知T1には,コンテンツの配信要求であることを示す所定の情報要求コードと,要求する1又は複数のコンテンツそれぞれを識別するコンテンツIDとが含まれる。ここで,コンテンツIDを直接指定するのではなく,例えば,コンテンツのジャンル等の属性を指定し,指定された属性に対応するコンテンツが前記基地局1又は前記サーバ3(以下,基地局側という)で自動選択されるよう構成してもよい。このようなコンテンツIDの設定は,ユーザにより前記情報端末2の前記操作表示部26から予め入力される。
【0018】
一方,前記基地局1では,前記情報要求許可通知K1の送信後の所定時間の間に1又は複数の前記情報要求通知T1が受信されると,該情報要求通知T1が1つ(1つの前記情報端末2から)である場合には,要求された1又は複数のコンテンツを全て含む配信コンテンツK3が一括配信(放送)される。また,前記情報要求通知T1が複数受信(複数の前記情報端末2から受信)した場合には,後述する端末グループ化処理により前記情報要求通知T1を送信した前記情報端末2が複数の端末グループに区分され,該端末グループごとに,それに属する全ての前記情報端末2が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが含まれる前記配信コンテンツK3が一括配信(放送)される(前記コンテンツグループ配信手段に対応する処理,及び前記コンテンツグループ配信手順の一例)。
前記配信コンテンツK3には,図3に示すように,それがコンテンツの送信(配信)であることを示すコンテンツ送信コード,含まれるコンテンツそれぞれを識別する前記コンテンツIDのリスト,及びそれに対応するコンテンツが含まれる。前記情報端末2では,前記配信コンテンツK3を受信(前記コンテンツ送信コードにより識別)すると,自身が前記情報要求通知T1によって要求した全ての前記コンテンツIDが含まれるか否かをチェック(前記コンテンツ判別手段に対応する処理の一例)し,全て含まれる場合には,その配信コンテンツK3を前記ワークメモリ22(前記コンテンツグループ一時記憶手段の一例)に格納し,そこから自身が要求したコンテンツを抽出して前記データ保存メディア23に格納する(前記コンテンツ抽出取得手段に対応する処理の一例)。
前記基地局1からの送信データK1,K2は,いずれもエリア内の全ての前記情報端末2に向かって一括配信される。
【0019】
図4は,前記情報端末2それぞれからのコンテンツ要求内容と前記基地局1における配信管理情報の一例を表す図である。
以下,本発明を具体的に説明するために,7種類のコンテンツa〜gの配信が可能なある基地局1の通信可能エリアに3つの前記情報端末2(以下,端末U1,U2,U3という)が存在し,図4(a)に示すように,各端末U1,U2,U3それぞれから要求されたコンテンツのコンテンツIDが,それぞれ{a,d,g,e}=C(U1),{b,d,g,f}=C(U2),{c,e,g,f}=C(U3)である場合を考える。これを,集合として図示すると図4(b)のようになり,コンテンツd,e,fは,それぞれ2つの端末(U1とU2,U1とU3,U2とU3)から重複して要求され,コンテンツgは3つの端末U1,U2,U3から重複して要求されていることがわかる。以下,例えば「コンテンツa」のように表記した場合は,コンテンツID=aに対応するコンテンツを指すものとする。
このような要求を,前記基地局1では,図4(c)に示すように各端末U1,U2,U3ごとに,配信可能なコンテンツa〜gそれぞれについて要求を受けたか否か(1か0か)を表すフラグ情報を有する要求テーブルとして管理する。そして,前記要求テーブルの情報に基づいて,後述する端末グループ化処理を行い,図4(d)に示すように要求を行った複数の端末U1,U2,U3を複数の端末グループ(G1,G2,…)に区分し,該端末グループごとに,通信可能なコンテンツa〜gそれぞれについて一括送信を行うか否か(1か0か)を表すフラグ情報を有する配信テーブルを作成する。図4(d)の例では,端末U1とU2とを1つの端末グループG1とし,端末U3を他の端末グループG2として区分された場合の例である。この配信テーブルに従って,前記端末グループごとに,フラグ情報が「1」であるコンテンツを抽出すれば,その端末グループに属する全ての前記情報端末2が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを抽出することができる。
【0020】
次に,図5のフローチャートを用いて,図4に示した前記要求テーブルに基づいて前記配信テーブルを作成する端末グループ化処理の手順の一例(前記端末グループ化手段に対応する処理,及び前記端末グループ化手順の一例)について説明する。本処理は,前記基地局1の前記データ制御部15によって実行される。以下,S01,S02,…は処理手順(ステップ)の番号を表す。
まず,前記端末グループ格納用のワーク変数Usに初期値として空集合を設定する,及びグループ化処理の対象とする前記情報端末2の集合を表すワーク変数Uallに,コンテンツの要求を行った前記情報端末全てU={U1,U2,…}を設定する,並びに前記端末グループ格納用の変数である端末グループ群Gに初期値として空集合を設定する等の初期化処理(S01)が行われる。前記データ制御部15におけるデータ処理上は,前記情報端末U1,U2,…は,コンテンツの要求を受けた際に各情報端末それぞれに割り当てた番号や記号等,或いは前記情報端末それぞれから送信されるその情報端末の識別情報等で表されるものであるが,以下,便宜上このように表現するものとする。
さらに,ワーク変数Uallが空集合となるまで,以下に示すS03〜S07の処理が繰り返される。
まず,ワーク変数Uallが空集合でない場合(S02のNo側)には,変数Uallに含まれる前記情報端末の中で,要求しているコンテンツのデータサイズ(複数のコンテンツを要求している場合にはその複数のコンテンツの合計データサイズ(以下,|C(Uj)|のように表す)が最小である前記情報端末U0を選択し(S03),それをワーク変数Usの要素に追加する(S04)。以下,データサイズとは,対象とする複数のコンテンツに重複する(冗長な)コンテンツが含まれないように各データサイズを合計した値(冗長なコンテンツを除いたデータサイズ)を表すものとする。
図4に示した具体例の場合において,コンテンツcのデータサイズが100Kbit,その他のコンテンツa,b,d,e,f,gのデータサイズが10Kbitであるとすると,|C(U1)|=|C(U2)|=40Kbit,|C(U3)|=130Kbitとなる。従って,U0は,U1又はU2のいずれかとなり,ここでは,U0=U1とする。
【0021】
次に,ワーク変数Uallに含まれる前記情報端末のうち,U0を除く残りの前記情報端末Uxそれぞれについて,要求するコンテンツのデータサイズ|C(Ux)|が小さいものから順に次の端末追加処理を実行する(S05)。
図4に示した具体例では,まずUx=U2,次にUx=U3として,後述する端末追加処理を実行する。
(重複度)
ここで,前記端末追加処理について説明する前に,本無線コンテンツ配信システムWで用いる重複度Sim(x)という指標について説明する。
重複度とは,コンテンツ要求を行った複数の前記情報端末U1,U2,…を1組の端末グループとした場合に,その端末グループに属する全ての前記情報端末U1,U2,…が要求する全コンテンツの和集合となるコンテンツグループの合計データサイズに対し,各情報端末U1,U2,…それぞれが要求するコンテンツのデータサイズ|C(U1)|,|C(U2)|,…がどの程度近似しているか(即ち,コンテンツがどの程度重複しているか)を表す指標である(前記重複度合いの一例)。
具体的には,前記端末グループに属する情報端末U1,U2,…全ての要求コンテンツの合計データサイズ(|∪j=1,m{C(Uj)}|=|C(U1)∪C(U2)…∪C(Um)|,mは情報端末の数)に対する前記情報端末U1,U2,…ごとの要求コンテンツのデータサイズ|C(U1)|,|C(U2)|,…の比(|C(Uj)|/(|∪j=1,m{C(Uj)}|))のうち,最小値やその平均値等を前記重複度とする。即ち,前記情報端末U1,U2,…それぞれが全く同じコンテンツを要求している場合に前記重複度=1となり,それぞれ異なるコンテンツの要求が増えるほど前記重複度の値が小さくなる(>0)。ここでは,前記比(|C(Uj)|/|∪j=1,m{C(Uj)}|))のうちの最小値を前記重複度とする。以下,前記端末グループ(前記情報端末の集合)をGiとするとき,前記重複度をSim(Gi)で表すものとする。
例えば,図4に示した具体例において,端末U1とU3とを含む集合{U1,U3}を前記端末グループGiとした場合,要求コンテンツの合計データサイズが150Kbit(=10Kbit×5+100Kbit),各端末U1,U3の要求コンテンツのデータサイズがそれぞれ40Kbit,130Kbitであるので,前記重複度Sim(Gi)は,{(40/150),(130/150)}のうちの最小値で(40/150=0.267)となる。
ここで,前記重複度Sim(Gi)の逆数1/Sim(Gi)は,そのときの端末グループに属する全ての前記情報端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが一括配信された場合に,これを取得(受信)する前記情報端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い,即ち,非重複度合い)を表すことになる。以下,前記重複度の逆数のことを冗長度(前記非重複度合いの一例)と呼ぶことにする。前述したように前記重複度として最小値をとる場合には,その逆数は,前記コンテンツグループを取得する前記情報端末それぞれの冗長度のうち最も高い冗長度の値を表すことになる。従って,前記情報端末それぞれが要求したコンテンツと一括配信されてきたコンテンツ(コンテンツグループ)とが過不足なく一致している場合に前記冗長度=1となり,一括配信されてきたコンテンツに含まれる要求外のコンテンツが増えるごとに前記冗長度の値が大きくなる。
【0022】
(端末追加処理)
次に,前記端末追加処理(図5のS05)について説明する。
まず,ワーク変数Usの集合と前記情報端末Uxを要素とする集合との和集合Us∪{Ux}を前記端末グループとした場合の前記重複度Sim(Us∪{Ux})を求める。
次に,求めた前記重複度Sim(Us∪{Ux})が,予め設定した所定の許容冗長度εmax(>1)の逆数(1/εmax)よりも大きい場合(Sim(Us∪{Ux})>(1/εmax))にのみ,そのときの前記情報端末Uxを前記ワーク変数Ux(集合)の要素として追加する。
このような端末追加処理(ワーク変数Usへ前記情報端末の追加する処理)を,前述したように,ワーク変数Uallに含まれる前記情報端末のうち,U0を除く残りの前記情報端末Uxそれぞれについて,要求するコンテンツのデータサイズ|C(Ux)|が小さいものから順に実行する。
例えば,図4に示した具体例では,Uall={U1,U2,U3}であり,まず,前記情報端末U1(=U0)と前記情報端末U2(=1回目のUx)とをグループ化したときの前記重複度Sim({U1}∪{U2})が計算される。この場合,|C(U1)|/(|C(U1)∪C(U2)|)=|C(U2)|/(|C(U1)∪C(U2)|)=40/60≒0.667であり,前記重複度=0.667となる。ここで,前記許容冗長度εmax=2とすると,(1/εmax)=0.5となり,前記許容冗長度の条件を満足する(0.667>0.5)ので,Us={U1,U2}となる。
次に,Us(={U1,U2})とU3をグループ化したときの前記重複度Sim({U1,U2}∪{U3})が計算される。この場合,|C(U1)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=|C(U2)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=40/160=0.25,|C(U3)|/(|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|)=130/160≒0.813であり,これらの最小値をとると前記重複度=0.25となる。ここで,前記許容冗長度εmax=2であるので,該許容冗長度の条件(>0.5)を満足しないので,UsにU3は追加されず,Us={U1,U2}のままとなる。Uallの要素はこれで全てなので,最終的に,Us={U1,U2}となる。
これにより,ワーク変数Usには,前記情報端末U0(ワーク変数Uallに含まれる全情報端末のうち最も要求コンテンツのデータサイズが小さいもの)とともにグループ化してそのグループに属する全情報端末の要求コンテンツ全ての和集合(コンテンツグループ)を一括送信したときに,そのコンテンツグループを取得する前記情報端末における前記冗長度が前記許容冗長度εmaxよりも小さくなるような前記情報端末のみを構成要素とする集合が格納されることになる。この集合Usが前記端末グループである。
【0023】
以上のようにして前記端末追加処理が終了すると,ワーク変数Uall(集合)の要素(前記情報端末)から,前記許容冗長度εmaxを満足するグループ化が行われた前記情報端末の集合であるワーク変数Usの要素(前記情報端末)を除去し(S06),さらに,前記端末グループ群Gの要素として,ワーク変数Us(前記端末グループ)を追加するとともに,ワーク変数Usを空集合に初期化した(S07)後,新たに設定されたワーク変数Uallについて前述したS02〜S07の処理が繰り返される。
そして,ワーク変数Uallが空集合となったときに(S02のYes側),そのときの端末グループ群G(端末のグループ化結果)から前記配信テーブル(図4(d))が作成作成(S09)された後,処理が終了する。
これにより,前記配信テーブルには,前記許容冗長度εmaxの条件(前記重複度>(1/εmax))を満足するグループ化が行われた前記情報端末の集合,即ち前記端末グループの集合が設定される。
【0024】
以上のようにして作成された前記配信テーブルに従って,前記端末グループごとに,それに属する全ての前記情報端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループが,前記基地局1の前記送受信ユニット13(前記コンテンツグループ配信手段の一例)によって一括配信される。
図4に示した具体例では,まず,コンテンツグループ{a,b,d,e,f,g}が一括配信され,次に,コンテンツグループ{c,e,f,g}が一括配信される。この場合,1回目の一括配信における前記冗長度(最大値)=(|C(U1)∪C(U2)|)/|C(U1)|=60/40=1.5,2回目の一括送信における前記冗長度=|C(U3)|/|C(U3)|=130/130=1となる。また,配信するコンテンツの総配信データサイズは,60+130=190Kbitとなる。
これに対し,全ての前記情報端末からの要求コンテンツ全ての和集合となる全コンテンツを集約して一括配信した場合(以下,全データ一括配信時という),コンテンツの総配信データサイズは160Kbitとなり,通信全体から見れば効率がよい。
しかしながら,前記情報端末から見た場合,前記冗長度=|C(U1)∪C(U2)∪C(U3)|/|C(U1)|=160/40=4となり,前記情報端末は,自身が要求したコンテンツのデータサイズの4倍のデータサイズのコンテンツ(コンテンツグループ)を取得しなければならなくなる。
一方,前記情報端末それぞれに対して過不足なく(冗長なく)要求コンテンツを個別に配信した場合(以下,個別配信時という)には,前記情報端末から見れば,いずれの前記情報端末においても前記冗長度=1となり効率的である。
しかしながら,コンテンツの総配信データサイズは40+40+130=210Kbitとなり,通信全体から見れば効率が悪くなる。
従って,本発明により,通信全体(配信するコンテンツの総データ量)からみた場合と,各情報端末から見た場合それぞれについてバランスのとれた通信効率の向上を図ることが可能となる。
【0025】
【実施例】
前述した実施の形態では,前記許容冗長度εmaxを予め定めた値(例えば=2等)としたが,前記情報端末2それぞれからの要求コンテンツに応じた適切な値に自動設定することも考えられる。その実施例について以下に説明する。
本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムは,前記許容冗長度εmaxを自動計算する以外は,前述した実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWと同じである。
まず,図6(a),(b)に示すように,前記許容冗長度εmaxと,全ての前記情報端末2に配信するコンテンツの総配信データサイズの大きさを表す指標である総データ量指数Sallとのそれぞれを入力とするメンバシップ関数を予め設定する。これは,例えば,前記基地局1の前記データ記憶部11等に記憶させておく。
前記総データ量指数Sallは,評価対象におけるコンテンツの総配信データサイズが,前記全データ一括配信時の総配信データサイズS_MINと同じ場合に0(ゼロ),前記個別配信時の総配信データサイズS_MAXと同じ場合に1とし,その間を線形補間した値である。即ち,Sall=(総配信データサイズ−S_MIN)/(S_MAX−S_MIN)である。ここで,S_MAX=S_MINの場合は,全ての前記情報端末からの要求コンテンツが同じであることを意味し,グループ化を行う必要がないので考慮しない。
各メンバシップ関数の出力(メンバシップ値μ1,μ2)(図6(a),(b)の縦軸)は,各入力εmax,Sallに対応する好ましさを0〜1で表すものである。これは,ファジィ演算で一般的に用いられるメンバシップ関数と同様である。もちろん,好ましさは0〜1ではなく,各メンバシップ関数それぞれについて任意の値(範囲)で設定してもよい。
図6の例では,前記許容冗長度εmaxについては,1≦εmax≦1.5であれば最も好ましい(メンバシップ値=1)とし,それよりも前記許容冗長度εmaxが上昇するごとにメンバシップ値が下がり,εmax≧2であれば最も好ましくない(メンバシップ値=0)としている。また,前記総データ量指数Sallについては,Sall=0であれば最も好ましい(メンバシップ値=1)とし,それよりも前記総データ量指数Sallが上昇するごとにメンバシップ値が下がり,前記総データ量指数Sall=1であれば最も好ましくない(メンバシップ値=0)としている。
【0026】
次に,図7のフローチャートを用いて,前記基地局1の前記データ制御部15により実行される端末グループ化処理について説明する。
まず,前記許容冗長度εmaxに初期値を設定する(S10)。ここでは,初期値として1(最小値)を設定する。
次に,前記許容冗長度εmaxに微小な所定の加算値Δを加算し(S11),加算後の前記許容冗長度εmaxを用いて,図5に示した手順による前記端末グループ化処理を実行し,前記端末グループ群Gを求める(S12)。
次に,前記端末グループ群Gについてのコンテンツの総配信データサイズを求める(S13)。
さらに,現在の前記許容冗長度εmaxとそのメンバシップ関数(図6(a))とに基づくメンバシップ値μ1,及びS13で求められた総配信データサイズから求まる前記総データ量指数Sallとそのメンバシップ関数(図6(b))とに基づくメンバシップ値μ2を求める(S14)。
次に,求められた各メンバシップ値μ1,μ2を比較し(S15),μ2>(μ1+k)(kは定数,例えばk=0)であれば,そのときの前記端末グループ群Gに従って前記配信テーブルを生成(出力)し(S16),そうでなければS11へ戻って前述した処理を繰り返す。
これにより,初期段階では前記個別配信時に近い状態の前記端末グループ群Gが設定されるが,徐々に前記全データ一括配信時の状態に近づくよう前記端末グループ群Gが設定され,最終的に,前記個別配信時と前記全データ一括配信時との中間的な状態の前記端末グループ群Gが設定されることになる。
このような端末グループ化処理によれば,前記許容冗長度εmaxが,コンテンツの総配信データサイズとのバランスが計られながら設定され,よりバランスよくコンテンツデータ配信を効率化することができる。
また,前述した実施の形態及び実施例では,前記基地局1から前記情報端末2に対して無線によりコンテンツを配信する場合を示しているが,有線通信によりコンテンツ配信を行うものも考えられる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,コンテンツ要求を行う複数の端末をそれぞれ1又は複数の端末からなる複数の端末グループに区分し,区分した端末グループごとにコンテンツグループの一括配信を行うので,従来のように端末ごとに個別にコンテンツを配信する場合よりも配信データ全体の冗長性を低く(同一コンテンツの複数回配信を少なく)抑えることができるとともに,配信要求を受けた全てのコンテンツの和集合となるコンテンツ群を一括して配信(放送)する場合よりも各端末から見た取得データの冗長性(要求したデータ量に対する取得するデータ量の冗長度合い)を低く抑えることができ,バランスのよりコンテンツ配信の効率化を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWの概略構成を表すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局と情報端末の概略構成を表すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける基地局と情報端末との間の通信手順及び通信データの概要を表す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWにおける各情報端末からのコンテンツ要求内容と基地局における配信管理情報の一例を表す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線コンテンツ配信システムWを構成する基地局における端末グループ化処理の手順を表すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ化処理に用いるメンバシップ関数の一例を表す図。
【図7】本発明の実施例に係る無線コンテンツ配信システムにおける端末グループ処理の手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
1…基地局
2…情報端末
3…サーバ
4…通信回線
11…データ記憶部
12…受信バッファ
13,21…送受信ユニット
14…通信制御部
15…データ制御部
22…ワークメモリ
23…データ保存メディア
24…ROM
25…MPU
26…操作表示部
K1…情報要求許可通知
K2…配信コンテンツ
T1…情報要求通知(配信要求)
S01,S02,,,…ステップ(処理手順)
Claims (10)
- 複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を受信し,これに応じたコンテンツを前記端末に配信する無線コンテンツ配信装置において,
前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手段と,
前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを一括配信するコンテンツグループ配信手段と,
を具備してなることを特徴とするコンテンツ配信装置。 - 前記端末との通信が,無線通信である請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
- 前記端末グループ化手段が,複数の前記端末間における要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報に基づいて前記端末グループへの区分を行うものである請求項1又は2のいずれかに記載のコンテンツ配信装置。
- 前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報が,複数の前記端末を含む評価対象端末グループにおける,前記端末ごとの要求コンテンツのデータサイズと前記端末の全てが要求する全てのコンテンツの和集合についての合計データサイズとの比較に基づくものである請求項3に記載のコンテンツ配信装置。
- 前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報と全ての前記端末に配信するコンテンツの総配信データサイズに関する情報とに基づいて前記端末グループへの区分を行うものである請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ配信装置。
- 前記端末グループ化手段が,前記要求コンテンツの重複度合い又は非重複度合いに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,前記コンテンツの総配信データサイズに関する情報を入力とする所定のメンバシップ関数を用いて求められるメンバシップ値と,の比較に基づいて前記端末グループへの区分を行うものである請求項5に記載のコンテンツ配信装置。
- 前記コンテンツグループ配信手段が,前記コンテンツグループとともにそれに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報を一括配信するものである請求項1〜6のいずれかに記載のコンテンツ配信装置。
- コンテンツ配信装置に対して1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これに応じて配信されるコンテンツを受信するコンテンツ受信端末において,
前記コンテンツ配信装置から一括配信された1又は複数のコンテンツを含むコンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手段と,
前記コンテンツ判別手段により前記コンテンツグループに自己が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手段と,
前記一時記憶手段に記憶された前記コンテンツグループから自己が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手段と,
を具備してなることを特徴とするコンテンツ受信端末。 - 前記コンテンツ判別手段が,前記コンテンツグループとともに一括配信される該コンテンツグループに含まれるコンテンツそれぞれの識別情報に基づいて,自己が要求したコンテンツ全てが前記コンテンツグループに含まれるか否かを判別するものである請求項8に記載のコンテンツ受信端末。
- 複数の端末それぞれから1又は複数のコンテンツを要求する配信要求を送信し,これを受信したコンテンツ配信装置から要求されたコンテンツを前記複数の端末に配信するコンテンツ配信方法において,
前記コンテンツ配信装置において前記複数の端末をそれぞれ1又は複数の前記端末からなる複数の端末グループに区分する端末グループ化手順と,
前記端末グループごとに,それに属する全ての前記端末が要求する全てのコンテンツの和集合となるコンテンツグループを前記コンテンツ配信装置から前記複数の端末に一括配信するコンテンツグループ配信手順と,
前記端末において前記コンテンツグループに該端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれるか否かを判別するコンテンツ判別手順と,
前記コンテンツ判別手順により前記コンテンツグループに前記端末自身が要求したコンテンツ全てが含まれると判別された場合に,該コンテンツグループを前記端末に一時記憶するコンテンツグループ一時記憶手順と,
前記端末において,一時記憶された前記コンテンツグループから該端末自身が要求したコンテンツを抽出して取得するコンテンツ抽出取得手順と,
を有してなることを特徴とするコンテンツ配信方法。
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JP (1) | JP2004253973A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007122593A (ja) * | 2005-10-31 | 2007-05-17 | Canon Inc | 画像処理装置、方法、及びプログラム |
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2003
- 2003-02-19 JP JP2003040927A patent/JP2004253973A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007122593A (ja) * | 2005-10-31 | 2007-05-17 | Canon Inc | 画像処理装置、方法、及びプログラム |
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