JP2004118552A - 多目的意思決定プロセス支援方法とそのためのプログラム - Google Patents

多目的意思決定プロセス支援方法とそのためのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】多目的意思決定プロセスであるANP手法を支援し、効率よくかつ失敗の少ない意思決定を行うための方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】総合目的、代替案、評価基準、シナリオ、等の要素からなる階層構造を有する情報の入力を支援する(S101)。入力された情報に基づき、階層構造上で重要度の算出が必要な要素を抽出して対象要素とし、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算して超行列を作成する(S102)。超行列を分析して各代替案の総合的な重要度を求める(S103)。超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示する(S104)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータを利用して対象となる多目的意思決定問題の解決を図るための多目的意思決定プロセスを支援する方法とそのためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多様な意思決定や計画の優先順位付け等を行うための方法のうち、特に、主観的判断とシステムアプローチとをうまくミックスした手法としてAHP手法(Analytic Hierarchy Process:階層分析法)が存在している(例えば、非特許文献1参照。)。このAHP手法では、まず、対象となる問題の要素を、「総合目的(最終目標)」、「評価基準」、「代替案」の関係で把握して、階層構造を作り上げる。そして、総合目的に基づいて各評価基準の重要度を求め、次に、各評価基準に基づいて各代替案の評価を行い、最終的に総合的な代替案の評価値を求めるものである。
【0003】
また、このようなAHP手法を拡張した手法として、ANP手法(Analytic Network Process)が存在している(例えば、非特許文献1参照。)。このANP手法は、評価基準からみた代替案の評価だけでなく、代替案からみた評価基準の評価も加味することが必要であるような意思決定問題、すなわち、評価基準と代替案とがネットワークを形成するような意思決定問題を解決するための手法である。
【0004】
このANP手法では、評価基準、代替案だけでなく、シナリオ等の設定も行うことができ、さらに、シナリオの設定が、総合目的から一意的に決まらずに各代替案ごとに決定され、それらが異なっている場合も想定することができる。したがって、ANP手法は、多様な多目的意思決定問題の解決に有効に利用することができる。
【0005】
【非特許文献1】
木下栄蔵著「入門AHP」日科技連
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のようなANP手法を用いて多目的意思決定を行う際には、基本的なAHP手法を行う以上に数学的に高度な知識を要する上、結果の理解も容易ではない。そのため、初心者にとっては、非常に扱い難いものになっている。また、手順を間違えると誤った解を得てしまう可能性もある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために提案されたものであり、その目的は、多目的意思決定プロセスであるANP手法を支援し、効率よくかつ失敗の少ない意思決定を行うための方法およびプログラムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力情報から重要度の算出が必要な要素を自動的に求めて一対比較支援を行い、一対比較結果から各要素の重要度を計算して超行列を自動的に作成、分析し、得られる結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いて効率よくかつ失敗の少ない多目的意思決定を行うことができるようにしたものである。
【0009】
なお、本発明において重要な用語の定義は次の通りである。
「対象となる問題」は、意思決定プロセスの対象となる問題を示しており、多様な意思決定や計画の優先順位付け等、幾つかの候補の中から最良のものを選ぶという各種の問題を含む広い概念である。
「総合目的」、「代替案」、「評価基準」、「シナリオ」は、AHPにおいて対象となる問題の要素を把握する場合における要素の種類をそれぞれ表現する用語であり、意思決定技術の分野で一般的に使用されている用語である。
【0010】
「一対比較」は、AHPにおいて、階層図で表現される同じ層の要素全てについて行われる一対比較を意味しており、意思決定者の主観によってどちらが重要であるかを判断するものである。この用語もまた、意思決定技術の分野で一般的に使用されている。
【0011】
「重要度」は、AHPにおいて、一対比較結果または絶対評価結果として得られた数値から各要素の重要性を示す指標値として算出され、合計が1になるように正規化された数値データであり、通常は「ウェイト」と称される。この用語もまた、意思決定技術の分野で一般的に使用されている。
「整合性」は、AHPにおいて、一対比較した結果が首尾一貫した答えであるかどうかを意味しており、通常は、整合度(consistency index、C.I.)や整合比(Consistency ratio、C.R.)で判断する。これらの用語もまた、意思決定技術の分野で一般的に使用されている。
【0012】
「画像表示」は、棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ、ベクトルグラフ、立体グラフ、あるいはそれらの組み合わせ等、各種のグラフ形式による画像表示を含むが、一般的にグラフと称される表現に限らず、例えば、代替案を表現する平面画像や立体画像のサイズを変化させる等、代替案の評価結果を視覚的に容易に把握できるような全ての画像表現形式を含む広い概念である。
【0013】
「特定可能な表現形式」は、対象となる情報を一目で特定できるような視覚的に理解しやすい各種の表現形式を意味する広い概念であり、例えば、他の情報とは別のエリアに独立して表示する等の位置的に特定可能な表現形式、他の情報と同じエリア内で異なる寸法形状や色、点滅等で表示したり、あるいは、下線や枠、印等の付属情報により対象情報を強調する、等の画像的に特定可能な表現形式、等を含む。
【0014】
請求項1の発明は、コンピュータを利用して、対象となる問題を、少なくとも総合目的、代替案、評価基準、を含む要素として把握して階層化し、各要素の重要度を求めて各代替案の評価を行い、総合的な代替案の評価値を求める一連の多目的意思決定プロセスを支援する方法において、意思決定情報入力支援ステップ、超行列作成ステップ、超行列分析ステップ、結果出力ステップ、を含むことを特徴としている。
【0015】
ここで、意思決定情報入力支援ステップは、総合目的、代替案、評価基準、を含む要素からなる階層構造を有する情報の入力を支援するステップである。また、超行列作成ステップは、入力された情報に基づき、階層構造上で重要度の算出が必要な要素を抽出して対象要素とし、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算して超行列を作成するステップである。さらに、超行列分析ステップは、超行列を分析して各代替案の総合的な重要度を求めるステップであり、結果出力ステップは、超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示するステップである。
【0016】
請求項17の発明は、請求項1の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであり、コンピュータを利用して、対象となる問題を、少なくとも総合目的、代替案、評価基準、を含む要素として把握して階層化し、各要素の重要度を求めて各代替案の評価を行い、総合的な代替案の評価値を求める一連の多目的意思決定プロセスを支援するためのプログラムにおいて、請求項1の各ステップに対応する各機能として、意思決定情報入力支援機能、超行列作成機能、超行列分析機能、結果出力機能、をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の多目的意思決定プロセス支援方法において、意思決定情報入力支援ステップが、階層構造上で、総合目的、代替案、評価基準、以外の階層を構成する要素の入力を支援するステップを含む、ことを特徴としている。
【0018】
以上のような発明によれば、入力された情報に基づき、階層構造上で重要度の算出が必要な要素を自動的に求めて必要な一対比較の実施および結果の入力を支援することにより、意思決定者は、必要な全ての一対比較を効率よく実施してその結果を容易に入力することができる。そして、入力された一対比較結果に基づいて、各要素の重要度を自動的に計算して超行列を自動的に作成し、作成した超行列を自動的に分析して各代替案の総合的な重要度を求めることができるため、意思決定者が数学的に高度な知識を持たない場合でも、手順を間違える等の人為的ミスを生じることなく、適切な解を確実に得ることができる。
【0019】
したがって、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いて効率よくかつ失敗の少ない多目的意思決定を行うことができる。さらに、超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、画像表示から、代替案の最終的な評価結果等の各種の結果情報を視覚的に容易に理解することができる。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の多目的意思決定プロセス支援方法において、超行列作成ステップが次のようなステップを含むことを特徴としている。すなわち、超行列作成ステップはまず、入力された情報に基づき、超行列の雛形を作成し、作成した超行列の雛形を提示するステップを含む。超行列作成ステップはまた、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算するステップと、各対象要素について算出した重要度を超行列の雛形に記入して提示するステップ、を含む。
【0021】
この発明によれば、意思決定者は、自動的に作成された超行列の雛形により重要度の算出が必要な要素を容易に把握することができる。また、入力された一対比較結果に基づいて自動的に算出された重要度を、超行列の雛形中に自動的に記入することにより、意思決定者は、重要度の算出が必要な要素とその重要度の算出結果の両方を、同じ形式の超行列により確認できる。したがって、初心者であっても、重要度を記入した超行列の意味の理解が容易になる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、超行列作成ステップが指定要素選択ステップを含むことを特徴としている。ここで、指定要素選択ステップは、ユーザによって指定された要素を対象要素として選択するステップである。
【0023】
請求項5の発明は、請求項4の多目的意思決定プロセス支援方法において、指定要素選択ステップが、対象要素の候補を抽出して提示するステップと、提示された対象要素の候補の中からユーザによって指定された候補を対象要素として決定するステップ、を含むことを特徴としている。
【0024】
以上のような発明によれば、ユーザである意思決定者は、シナリオごとに考慮する評価基準を選択する等、一対比較を行う要素を自由に選択することができるため、より適切な意思決定が可能となる。特に、対象要素の候補を自動的に抽出して提示することにより、意思決定者は、提示された候補の中から一対比較を行う要素を容易に選択することができる。また、請求項3、4の発明を請求項2に記載の発明と組み合わせた場合には、超行列の雛形中で一対比較を行う要素を指定させることも可能である。
【0025】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、結果出力ステップが、超行列の分析前と分析後の情報に基づいて各種の結果情報を示すグラフを作成するステップ、を含むことを特徴としている。
【0026】
請求項7の発明は、請求項6の多目的意思決定プロセス支援方法において、結果出力ステップが、各種の結果情報として、代替案の総合的な評価結果、指定された要素に関する代替案の評価結果、指定された階層レベルでの代替案の評価結果、を含む結果情報の中から画像表示する情報を選択するステップ、を含むことを特徴としている。
【0027】
以上のような発明によれば、超行列の分析前と分析後の情報に基づいて詳細な結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、画像表示から詳細な結果情報を視覚的に容易に理解することができる。そして、超行列の分析前と分析後の情報に基づく詳細な結果情報としては、指定された要素に関する重要度の評価結果、指定された階層レベルでの代替案の評価結果、等を画像表示することにより、代替案の総合的な評価結果だけを画像表示する場合に比べて、意思決定者は多様な観点における多様な結果情報を得ることができる。したがって、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いてより適切な多目的意思決定を行うことができる。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、超行列作成ステップが、一対比較支援ステップ、重要度計算補正ステップ、集団意思決定支援ステップ、一対比較結果記録ステップ、を含むことを特徴としている。ここで、一対比較支援ステップは、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算するステップである。また、重要度計算補正ステップは、一対比較結果についての整合性の有無を判断し、整合性がないと判定した場合に、一対比較結果を補正して重要度を再計算、補正するステップである。さらに、集団意思決定支援ステップは、複数の意思決定者の一対比較結果を集計し、その集計結果から重要度を計算するステップであり、一対比較結果記録ステップは、一対比較結果を記録し、再利用可能にするステップである。
【0029】
この発明によれば、一対比較結果に整合性がない場合には、それを補正して重要度を再計算、補正することができるため、整合性を確保することができ、それによって結果の信頼性を高めることができる。また、複数の意思決定者の一対比較結果を集計し、その集計結果から重要度を自動的に計算することにより、集団意思決定を効率よく行うことができる。さらに、一対比較結果を記録して再利用可能とすることにより、過去のデータを利用して繰り返し作業を効率よく行うことができる。
【0030】
請求項9の発明は、請求項8の多目的意思決定プロセス支援方法において、重要度計算補正ステップが、一対比較結果に整合性がないと判定した場合に、一対比較結果のうち、整合性を得るために補正の必要な値を特定可能な表現形式で表示してその値の補正を支援するステップ、を含むことを特徴としている。
この発明によれば、一対比較結果に整合性がない場合に、補正の必要な値を特定可能な表現形式で明示することにより、意思決定者は、その値を一目で確認して必要な補正を容易に効率よく行うことができる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の多目的意思決定プロセス支援方法において、重要度計算補正ステップが、一対比較結果に整合性がないと判定した場合に、一対比較結果のうち、整合性を得るために補正の必要な値を、回答不明の場合と同じ値に補正するステップ、を含むことを特徴としている。
この発明によれば、一対比較結果に整合性がない場合に、意思決定者の判断を必要とすることなしに、補正の必要な値を回答不明の場合と同じ値に自動的に補正して、そのまま重要度の再計算に移行することができる。
【0032】
請求項11の発明は、請求項8乃至請求項10のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、一対比較支援ステップが、記録された一対比較結果を提示して一対比較結果の入力を支援するステップ、を含むことを特徴としている。
この発明によれば、記録された一対比較結果を提示することにより、意思決定者は、その一対比較結果を利用して一対比較結果の入力を容易に効率よく行うことができる。
【0033】
請求項12の発明は、請求項8乃至請求項11のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、集団意思決定支援ステップが、集計表登録ステップ、集計表変更支援ステップ、指定情報表示支援ステップ、重要度計算ステップ、を含むことを特徴としている。ここで、集計表登録ステップは、各対象要素の重要度を算出するために必要な個々の意思決定者の一対比較結果を集計表に登録するステップであり、集計表変更支援ステップは、集計表に登録された一対比較結果の変更を支援するステップである。また、指定情報表示支援ステップは、集計表に登録された一対比較結果に対応する意思決定者の中からの、任意の意思決定者の指定を支援し、指定された意思決定者の一対比較結果を特定可能な表現形式で表示するステップである。さらに、重要度計算ステップは、集計表に登録された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算するステップである。
【0034】
請求項13の発明は、請求項12の多目的意思決定プロセス支援方法において、指定情報表示支援ステップが、指定された意思決定者の一対比較結果から集計表を作成、表示するステップ、を含むことを特徴としている。
請求項14の発明は、請求項12または請求項13の多目的意思決定プロセス支援方法において、指定情報表示支援ステップが、同じ集計表中で、指定された意思決定者の一対比較結果を、他の意思決定者の一対比較結果とは異なる表現形式で表示するステップ、を含むことを特徴としている。
【0035】
以上のような発明によれば、複数の意思決定者の一対比較結果に基づいて集団意思決定を行う場合に、それらの一対比較を行った意思決定者の一人あるいは集計表に対する意思決定を行う別の意思決定者である集計表意思決定者は、複数の意思決定者の一対比較結果を集計表に登録したり、登録された一対比較結果を適宜変更したりすることができる。また、各評価基準や各代替案の重要度は、集計表に登録された一対比較結果に基づいて自動的に計算される。
【0036】
特に、集計表意思決定者により、一対比較を行った意思決定者の中から任意の意思決定者が指定された場合には、指定された意思決定者グループごとの一対比較結果を独立の集計表で明示したり、また、同じ集計表中で異なる表現形式で明示する等の、特定可能な表現形式で明示することにより、集計表意思決定者は、特定の意思決定者グループの一対比較結果を一目で確認できる。したがって、その確認内容に基づいて、意思決定者の数が少ない場合でも、個々の意思決定者の総意により近いと思われるような、より適切な集団意思決定を容易に効率よく行うことができる。
【0037】
請求項15の発明は、請求項12乃至請求項14のいずれかの多目的意思決定プロセス支援方法において、重要度計算ステップが、集計表に登録された一対比較結果の票数に基づき、複数の手法の中から選択された手法により一対比較マトリクスを作成するステップと、一対比較マトリクスから重要度を算出するステップ、を含むことを特徴としている。ここで、複数の手法は、幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法、多数決で票数の多い値を採用して一対比較マトリクスを作成する手法、多数決を考慮した幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法、を含む。
【0038】
請求項16の発明は、請求項15の多目的意思決定プロセス支援方法において、多数決を考慮した幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法が、集計表に登録された一対比較結果の票数について補正を行うステップと、補正された集計表中の一対比較結果に基づき、その幾何平均をとって一対比較マトリクスを作成するステップ、を含むことを特徴としている。なお、票数についての補正としては、少数側の票を削除または同程度に重要の票に変更する少数意見補正、多数派の票を定数倍する多数意見補正、のいずれかの補正を選択的に行う。
【0039】
以上のような発明によれば、意思決定者の数やその他の条件に応じて、適切な手法を選択して一対比較マトリクスを作成することができるため、個々の意思決定者の総意により近いと思われるような、より適切な集団意思決定を行うことができる。特に、多数決を考慮した幾何平均を用いることにより、意思決定者の数が少なく、かつ、一対比較結果が二分しているような場合でも、より適切な集団意思決定を容易に効率よく行うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下には、本発明の実施形態を図面に沿って具体的に説明する。ただし、ここで記載する実施形態は、本発明を何ら限定するものではなく、本発明の一態様を例示するものにすぎない。
【0041】
本発明は、典型的には、コンピュータをソフトウェアで制御することにより実現される。この場合のソフトウェアは、コンピュータのハードウェアを物理的に活用することで本発明の作用効果を実現するものであり、また、従来技術を適用可能な部分には好適な従来技術が適用される。さらに、本発明を実現するハードウェアやソフトウェアの具体的な種類や構成、ソフトウェアで処理する範囲などは自由に変更可能であり、例えば、本発明を実現するプログラムは本発明の一態様である。
【0042】
[1.多目的意思決定プロセス支援処理]
図1は、本発明を適用した多目的意思決定プロセス支援処理の概要を示すフローチャートである。この処理は、演算処理部、入出力部、記憶部を基本的に備えたコンピュータにおいて、演算処理部により、入出力部と記憶部を制御すると共に、データの計算や分析を行うことによって実行される。
【0043】
また、支援用のデータとして、記憶部には、支援用のデータとして、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10、入力情報データベースD11、過去の一対比較のログを格納したログデータベースD12が予め格納されている。なお、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10は、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報を格納したデータベースであり、多目的意思決定プロセスの各段階において、意思決定を誘導するために提示される。また、入力情報データベースD11は、過去の入力データ、過去のデータに基づく評価基準等の要素の候補や、各要素の候補を目的と分野によって分類したテンプレート情報、等を登録したデータベースである。
【0044】
多目的意思決定プロセス支援に当たってはまず、意思決定者に対して、対象となる問題の要素を意思決定情報として入力させるための支援を行い、入力結果を表示して、意思決定者に確認させる(S101)。すなわち、コンピュータの演算処理部により、入出力部を制御して、意思決定を行う「総合目的(最終目標、課題)」、問題を解決するための選択肢の一つである「代替案」、代替案を評価するための「評価基準」を入力させるための入力支援画面を表示する。演算処理部はさらに、これらの要素以外の代替案を評価するための「シナリオ」等の要素についても、意思決定者が必要に応じて階層的に入力できるように支援する。
【0045】
なお、評価基準等の各要素の入力に当たっては、入力情報データベースD11に登録された過去のデータに基づく各要素の候補や、各要素の候補を目的と分野によって分類したテンプレート情報等を支援情報として提示して、各要素の抽出、入力を支援する。また、ANPには、シナリオ等の要素が、総合目的から一意的に決められずに各代替案ごとに決定されるフィードバック型と、シナリオ等の要素が総合目的から一意的に決められるシリーズ型とがあるため、意思決定情報の入力時には、フィードバック型かシリーズ型かについての選択を意思決定者に行わせる。
【0046】
演算処理部は、意思決定者の入力操作に応じて入出力部により入力された情報を、記憶部の入力情報データベースD11に格納する。なお、本明細書中においては、説明の簡略化の観点から、「意思決定者の入力操作に応じてコンピュータの入出力部により何らかの情報が入力されること」を、「意思決定者による入力」等と表現している。
【0047】
また、入力された結果を確認させるための支援としては、演算表示部により、入出力部を制御して、入力された、最終目標、評価基準、代替案、シナリオ、等の各階層の要素間を線で結び、階層図を作成、表示して、意思決定者に確認させる。意思決定者が、入出力部により、表示された階層図を確認して、入力の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S102のYES)には、選択に応じたステップに移動する。
【0048】
すなわち、初回の作業あるいは全く新規の作業等の場合には、後続のステップで得られたデータがないため、ステップS101に戻ることになるが、繰り返し作業や過去の作業データを修正する作業等である場合には、後続のステップに移動することも可能である。また、意思決定者が入力終了を選択した場合(S102のNO)には、次のステップS103に進む。
【0049】
ステップS103においては、入力された情報に基づき、演算処理部により、入出力部と記憶部を制御して、階層構造上で重要度の算出が必要な要素を抽出して対象要素とし、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算して超行列を作成、表示して、意思決定者に確認させる。図2は、このようなステップS103の処理、すなわち、「超行列作成処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0050】
この図2に示すように、まず、演算処理部は、入力されて記憶部に格納された情報に基づき、ANPで分析を行うための超行列の雛形を自動的に作成し、入出力部により表示すると共に、その作成した超行列の雛形中において所定の抽出条件により要素を抽出して対象要素の候補として入出力部により表示することにより、意思決定者に重要度の算出が必要な対象要素を指定させる(S201)。
【0051】
ここで、超行列の雛形の作成に当たっては、予め選択されているフィードバック型かシリーズ型かの情報によりそれぞれに適した超行列を作成する。すなわち、フィードバック型の場合は、総合目的の要素を除く、全要素の数の正方行列を作成し、シリーズ型の場合は、総合目的も含めた全要素の数の正方行列を作成する。なお、行列の要素の値は、シリーズ型における要素「代替案」の行列の対角要素を「1」とし(単位行列)、それ以外は「0」として設定する。
【0052】
また、演算処理部は、超行列の雛形中における所定の抽出条件による要素の抽出に当たっては、記憶部に格納された入力情報に基づき、「階層構造上で親子関係になっている要素に関して、超行列における親の要素に相当する列で、その子の要素の行となる要素を抽出する」、を抽出条件として該当する要素を抽出する。そして、抽出された各要素に重要度の入力を促す入力指示情報を付加する。
【0053】
この場合、各要素に付加された入力指示情報は、「親の要素からみた場合における子の要素の重要度」の入力を促す位置を示し、この入力指示情報を付加された各要素は、重要度を入力する対象要素の候補として表示されたことになる。このような対象要素の候補の表示に対し、意思決定者は、対象要素を自由に選択することができる。すなわち、意思決定者は、表示された対象要素の候補の全てを対象要素として指定することも可能であるが、候補の一部を対象から除外して残りを対象要素として指定することも可能である。そして、意思決定者が入出力部により対象要素を指定した場合(S202のYES)には、次のステップS203に進む。
【0054】
ステップS203において、演算処理部は、入出力部と記憶部を制御して、指定された各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援する入力支援画面を表示し、入出力部により入力されて記憶部に格納された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算し、その結果を入出力部により表示して、意思決定者に確認させる。なお、このようなステップS203の処理、すなわち、「一対比較・重要度計算処理」の詳細については後述する。
【0055】
演算処理部は、対象要素のうち、重要度が算出されていない要素が残っている限り(S204のNO)、一対比較・重要度計算処理(ステップS203)を繰り返す。そして、全ての対象要素について重要度が算出された時点(S204のYES)で、超行列を作成し、入出力部により表示して、意思決定者に確認させる(S205)。意思決定者が、表示された超行列を確認して、さらに、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S206のYES)には、選択に応じたステップに移動する。これに対し、表示された超行列の決定を選択した場合(S206のNO)には、超行列作成処理を終了し、多目的意思決定プロセス支援処理のメインの処理(図1)に戻る。
【0056】
ステップS103の超行列作成処理を終了してメインの処理に戻ると、演算処理部は、ステップS104に進む。意思決定者が、入出力部により、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S104のYES)には、選択に応じたステップに移動する。また、意思決定者が超行列分析を選択した場合(S104のNO)には、次のステップS105に進む。
【0057】
ステップS105において、演算処理部は、超行列を分析して各代替案の総合的な重要度(総合評価値)を求め、分析結果を表示して、意思決定者に確認させる(S105)。ここで、超行列の分析方法は、超行列を無限回掛け合わせた収束計算を行うものであるが、フィードバック型かシリーズ型かによって具体的な計算方法は異なる。
【0058】
まず、フィードバック型の場合における超行列の分析方法の一例を示す。各代替案からみた場合のシナリオの重みをwとし、各シナリオからみた場合の各評価基準の重みをwとし、各評価基準からみた各代替案の重みをwとすると、超行列Wは、次のように表現できる。
【数1】
Figure 2004118552
【0059】
この超行列は、次のような極限行列W*に収束する。
【数2】
Figure 2004118552
【0060】
ここで、w*は、各代替案からみた場合の最終的な各シナリオの重みであり、w*は、各シナリオからみた場合の最終的な各評価基準の重みであり、w*は、各評価基準からみた場合の最終的な各代替案の重みである。
【0061】
次に、シリーズ型の場合における超行列の分析方法の一例を示す。総合目的からみたシナリオの重みをwとし、各シナリオからみた各評価基準の重みをwとし、各評価基準からみた各代替案の重みをwとすると、超行列Wは、次のように表現できる。なお、Iは単位行列を意味する。
【数3】
Figure 2004118552
【0062】
この超行列は、次のような極限行列W*に収束する。
【数4】
Figure 2004118552
【0063】
ここで、w・w・wは、総合目的からみた各代替案の総合評価値であり、w・wは、各シナリオからみた各代替案の評価値である。
【0064】
このような超行列の分析結果の表示に対して、意思決定者が、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S106のYES)には、選択に応じたステップに移動する。また、意思決定者が結果出力を選択した場合(S106のNO)には、演算処理部は次のステップS107に進む。ステップS107においては、超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報をグラフ表示して、意思決定者に確認させる。図3は、このようなステップS107の処理、すなわち、「結果出力処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0065】
この図3に示すように、結果出力処理において、演算処理部は、意思決定者の選択内容に応じた結果情報を選択してグラフを作成し、入出力部により表示する。まず、意思決定者が代替案の総合評価結果を選択した場合(S301のYES)には、超行列の分析後の情報に基づき、代替案の総合評価結果のグラフを作成、表示する(S302)。例えば、3つの代替案「代替案a1」〜「代替案a3」が設定されている場合には、「代替案a1」〜「代替案a3」の各々の総合的な重要度を示すグラフを作成、表示する。
【0066】
また、意思決定者が分析前の超行列と分析後の超行列のいずれかにおけるいずれかの列の要素を指定した場合(S303のYES)には、指定された分析前または分析後の情報に基づき、その指定された要素に関する代替案の評価結果のグラフを作成、表示する(S304)。この場合、重要度がゼロの要素は省いて表示する。例えば、3つの代替案「代替案a1」〜「代替案a3」と、2つのシナリオ「シナリオs1」、「シナリオs2」が設定されており、分析後の超行列における「シナリオs2」が指定された場合には、「シナリオs2」からみた場合の「代替案a1」〜「代替案a3」の各々の重要度を示すグラフを作成、表示する。
【0067】
また、意思決定者が、階層構造上の代替案以外のいずれかの階層レベルを指定した場合(S305のYES)には、超行列の分析前と分析後の情報に基づき、その指定された階層レベルにおける代替案の評価結果のグラフを作成、表示する(S306)。例えば、3つの代替案「代替案a1」〜「代替案a3」と、2つのシナリオ「シナリオs1」、「シナリオs2」が設定されており、分析後の超行列における階層レベル「シナリオ」が指定された場合には、「代替案a1」〜「代替案a3」の各々の重要度を、個々のシナリオ毎に詳細に分割して示すグラフを作成、表示する。なお、具体的なグラフの作成方法は、フィードバック型かシリーズ型かによっても異なり、指定される階層レベルによっても異なる。
【0068】
このような各種の結果情報の表示に対して、意思決定者が、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S307のYES)には、演算処理部は、選択に応じたステップに移動する。これに対し、結果出力の終了を選択した場合(S307のNO)には、結果出力処理を終了し、多目的意思決定プロセス支援処理のメインの処理(図1)に戻る。ステップS107の結果出力処理を終了してメインの処理に戻ると、ステップS108に進む。意思決定者が、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S108のYES)には、選択に応じたステップに移動する。
【0069】
なお、以上のような多目的意思決定プロセス支援の一連のステップS101〜S107は、意思決定者が各段階の作業の継続や見直しを随時行う限り(S108のYES)何度も繰り返されるが、最終的に、意思決定者が多目的意思決定プロセス作業の終了を選択した時点(S108のNO)で、多目的意思決定プロセス支援処理を終了する。
【0070】
また、以上のような一連の多目的意思決定プロセス支援処理における各ステップでは、意思決定者に対するそれぞれの支援内容に応じて、意思決定を誘導するための情報が提示される。この場合に提示される情報は、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10に登録された、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報、あるいは確認を促すためのメッセージ等である。
【0071】
[2.一対比較・重要度計算処理]
図4は、図2に示す一対比較・重要度計算処理(S203)のサブルーチンを示すフローチャートである。この図4に示すように、まず、個人の意思決定を行う場合(S401のNO)には、演算処理部は、入出力部を制御して、意思決定者による代替案、評価基準、シナリオ等の対象要素の一対比較を支援する入力支援画面を表示し、一対比較結果を入力させるとともに、入力結果を表示して、意思決定者に確認させる(S402)。この一対比較支援に当たっては、ログD12に含まれる過去の一対比較結果を支援情報として適宜提示して、一対比較結果の入力を支援すると共に、入力された一対比較結果に関する情報を新たなログとして記録する。
【0072】
意思決定者が、表示された一対比較結果を確認して、一対比較の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S403のYES)には、選択に応じたステップに移動する。これに対し、意思決定者が重要度計算を選択した場合(S403のNO)には、演算処理部は、一対比較結果に基づいて、対象要素の重要度を計算し、入出力部により表示して、意思決定者に確認させる(S404)。この重要度計算においては、一対比較結果のマトリクスの固有値問題を、べき乗法、最小二乗法、各種平均法(幾何平均法、調和平均法等)等のいずれかの方法で解くことにより、重要度を算出する。
【0073】
次に、演算処理部は、一対比較結果の整合度から、整合性の有無を判断し、整合性がないと判定した場合(S405のNO)には、入出力部により整合性がないことを表示して、一対比較結果の補正用の入力を支援する(S406)。この場合、補正用の入力は、意思決定者による補正データの入力だけでなく、自動補正を行う場合の補正確認の入力を含む。いずれの場合でも、意思決定者からの補正用の入力に基づき、一対比較結果を補正して重要度を再計算、補正し、補正結果を表示して、意思決定者に確認させる(S407)。
【0074】
また、整合性を判定して重要度計算補正を行う方法としては、例えば、一対比較をした結果の整合性のチェックを行い、チェックに引っ掛かったところの値を回答不明(0)にして重要度計算を行う方法や、一対比較マトリクスの1行目の値はそのまま採用し、2行目以下は、対角線を除いてすべて回答不明(0)にして重要度計算を行う方法、等が適用可能である。
【0075】
意思決定者が、表示された対象要素の重要度を確認して、さらに、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S408のYES)には、演算処理部は選択に応じたステップに移動する。これに対し、表示された対象要素の重要度の決定を選択した場合(S408のNO)には、一対比較・重要度計算処理を終了し、多目的意思決定プロセス支援のメインの処理(図1)に戻る。
【0076】
なお、以上のような一連の一対比較・重要度計算処理中における各ステップでは、意思決定者に対するそれぞれの支援内容に応じて、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10に登録された、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報、あるいは確認を促すためのメッセージ等を提示して、意思決定者の意思決定を誘導する。
【0077】
また、集団意思決定を行う場合(S401のYES)には、集団意思決定支援処理を行う(S409)。以下には、この集団位置決定支援処理の詳細について説明する。
【0078】
[3.集団意思決定支援処理]
図5は、図4に示す集団意思決定支援処理(S409)のサブルーチンを示すフローチャートである。この図5に示すように、集団意思決定支援に当たって、演算処理部はまず、各意思決定者による評価基準、代替案、シナリオ等の対象要素の一対比較を支援し、一対比較結果を入力させるとともに、入力結果を表示して、各意思決定者に確認させる(S501)。このステップS501は、図4に示すステップS402〜S408に対応する一連の支援、すなわち、重要度の計算・表示やその補正支援を含む広義の意味での一対比較支援を、各意思決定者に対してそれぞれ行うものである。演算処理部は、各意思決定者から得られた一対比較結果を、集計表に登録し、記憶部に格納する(S502)。
【0079】
なお、この集団意思決定支援処理においては、一般的に、一対比較を行う複数の意思決定者と、集計表に対する意思決定を行う意思決定者とが、アンケートに対する回答者とアンケート依頼側等のように、別の意思決定者である場合が多いと予想される。そのため、以下には、両者を明確に区別するために、一対比較を行う複数の意思決定者を「回答者」、集計表に対する意思決定を行う意思決定者を「作業者」と称する。
【0080】
次に、演算処理部は、記憶部に格納された集計表を入出力部により作業者に対して表示し、集計表のデータに関する各種の作業を支援する(S503)。すなわち、集計表に登録された一対比較結果に対応する回答者の中から、任意の回答者の指定を支援したり、支援集計表に登録された一対比較結果の変更を支援する。作業者から、回答者が指定された場合(S504のYES)には、演算処理部は、入出力部を制御して、その指定された回答者グループの一対比較結果を、他の一対比較結果とは異なる色で色分け表示する(S505)。
【0081】
そして、指定された回答者グループについて、ログ表示が要求されている場合(S506のYES)には、演算処理部は、入出力部を制御して、その指定された回答者グループの各回答者の一対比較結果のログを表示する(S507)。さらに、指定された回答者グループについて、集計表が要求されている場合(S508のYES)には、演算処理部は、その指定された回答者グループの各回答者の一対比較結果から集計表を作成し、入出力部により表示する(S509)。また、作業者が集計表中の一対比較結果に対して、削除、数値変更等の各種の変更を行った場合(S510のYES)には、演算処理部は、その変更内容を集計表に反映させる(S511)。
【0082】
作業者が、表示内容を確認して、さらに集計表作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S512のYES)には、演算処理部は選択に応じたステップに移動する。これに対し、作業者が重要度計算を選択した場合(S512のNO)には、指定された集計表中の一対比較結果に基づいて、評価基準や代替案の重要度を計算、表示する(S513)。この場合の重要度計算方法としては、「幾何平均法」、「多数決法」、および本発明において提案する「多数決を考慮した幾何平均法」等が適用可能である。これらの計算方法は、状況によって使い分けることができる。
【0083】
まず、多数決法においては、最大票数の一対比較値を抽出し、最大票数が複数ある場合は、一対比較値の中間値を抽出することにより、値を決定する。また、幾何平均法においては、各値について票数で幾何平均をとる。そして、「多数決を考慮した幾何平均手法」においては、集計表中の一対比較結果の票数に基づいて集計表の右側と左側の大小判定を行い、集計結果を補正する。この場合の集計表補正としては、少数側の票を削除、少数側の票を同程度に重要(重要度1)に変更、多数側の票を定数倍する、等の補正が選択的に行われる。
【0084】
作業者が、表示された評価基準や代替案の重要度を確認して、さらに、集計表作業の継続や見直し、あるいは一対比較データの取得等、各種の作業の継続または見直しを選択した場合(S514のYES)には、選択に応じたステップに移動する。これに対し、作業者が集団意思決定に関する作業の終了を確認した時点(S514のNO)で、集団意思決定支援処理を終了し、多目的意思決定プロセス支援のメインの処理(図1)に戻る。
【0085】
なお、以上のような一連の集団意思決定支援処理中における各ステップでは、回答者や作業者等の意思決定者に対するそれぞれの支援内容に応じて、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10に登録された、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報、あるいは確認を促すためのメッセージ等を提示して、意思決定者の意思決定を誘導する。
【0086】
[4.多目的意思決定プロセス支援処理の具体例]
以下には、上述したような多目的意思決定プロセス支援処理の具体例として、車選びの場合について説明する。
【0087】
[4−1.意思決定情報入力支援]
意思決定者に対し、意思決定情報の入力支援を行う(S101)ことにより、意思決定者は、意思決定を行おうとする問題の分析を行い、意思決定情報として、総合目的、代替案、評価基準、シナリオ、等の要素の入力を行う。この例の場合、総合目的には「車選び」、代替案には、車選びの候補に挙がっている「A車」、「B車」、「C車」を入力する。そして、どの代替案を選択するのかを決めるための評価項目を、評価基準として入力する。ここでは、「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」を評価基準として入力する。
【0088】
そして、評価基準の重みが総合目的から一意的に決まらないような場合には、さらに別の階層として、シナリオを考える。ここでは、シナリオとして、「S1:毎日車を使用する」、「S2:週末だけ車を使用する」を入力する。なお、シナリオ以外にも重みを決定付ける要素を階層的に入力していくことができるが、説明の簡略化の観点からここでは、別の要素の入力は行わないものとする。
【0089】
この意思決定情報の入力支援に当たっては、入力情報DB11に登録された各種の情報、すなわち、過去の入力データ、過去のデータに基づく評価基準等の要素の候補や、各要素の候補を目的と分野によって分類したテンプレート情報、等を支援情報として提示して、意思決定者による要素の抽出、入力を積極的に支援する。また、前述したように、ANPにはフィードバック型とシリーズ型があるため、意思決定情報の入力時には、フィードバック型かシリーズ型かについての選択を意思決定者に行わせる。
【0090】
そして、以上のような意思決定情報の入力が終わると、入力された、最終目標、評価基準、代替案、シナリオ、等の各階層の要素間を線で結び、階層図を作成、表示して、意思決定者に確認させる。図6は、この車選びの例において、フィードバック型の場合に作成された階層図の一例を示している。意思決定者が、表示された階層図を確認して問題がないと判断し、入力終了を選択した場合(S102のNO)には、超行列作成処理(S103)に進む。
【0091】
なお、意思決定者が、階層図の内容に満足できず、意思決定情報の入力の継続または見直しを選択した場合(S102のYES)には、意思決定者に対し、意思決定情報入力支援を継続あるいは繰り返し行う(S101)。また、後段の作業を行った後の繰り返しの入力作業である場合や、過去の作業データを修正する作業等である場合には、意思決定者は、入力終了時だけでなく、入力途中においても、別の作業の見直しを適宜選択可能である。意思決定者によって別の作業の見直しが選択された場合(S102のYES)には、意思決定者に対して、その選択に応じた支援を行う。
【0092】
[4−2.超行列作成処理]
超行列作成処理(S103)においてはまず、入力された情報に基づき、ANPで分析を行うための超行列の雛形を自動的に作成、表示すると共に、その作成した超行列の雛形中において所定の位置の要素を抽出して対象要素の候補として表示することにより、意思決定者に重要度の算出が必要な対象要素を指定させる(S201)。前述したように、超行列の雛形の作成に当たっては、入力情報として予め選択されているフィードバック型かシリーズ型かの情報に応じて、それぞれに適した超行列を作成する。
【0093】
この車選びの例で、総合目的の要素を除く要素の数は9であるため、フィードバック型の場合における超行列の雛形としては、次のような、行列の要素の値が全て「0」に設定された9行9列の正方行列が作成される。
【0094】
【数5】
Figure 2004118552
【0095】
また、この車選びの例で、総合目的も含めた全要素の数は10であるため、シリーズ型の場合における超行列の雛形としては、次のような、要素「代替案」の行列の対角要素のみが「1」に設定され(単位行列)、それ以外は「0」に設定された10行10列の正方行列が作成される。
【0096】
【数6】
Figure 2004118552
【0097】
これらの超行列の雛形においては、入力情報に基づき、階層構造上で親子関係になっている要素に関して、超行列における親の要素に相当する列で、その子の要素の行となる各要素が抽出されており、抽出された各要素に重要度の入力を促す入力指示情報として下線が付加されている。例えば、評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」、の各列については、代替案「A車」、「B車」、「C車」の各行の各要素に下線が付加されており、シナリオ「S1」、「S2」、の各列については、評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」、の各行の各要素に下線が付加されている。
【0098】
これらの超行列の雛形中において下線を付加された各要素は、重要度を入力する対象要素の候補であり、意思決定者は、下線を付加された各要素に対して入力を促されることになる。この場合、意思決定者は、下線を付加された各要素に対して値を直接入力して超行列を作成することもできるが、本実施形態の超行列作成処理においては、対象要素を指定することにより(S202のYES)、対象要素に対して一対比較・重要度計算処理を行うことで必要な値を取得し、超行列を自動的に作成できるようになっている(S203〜S205)。
【0099】
すなわち、意思決定者は、表示された対象要素の候補の全てを対象要素として指定することも可能であるが、候補の一部を対象から除外して残りを対象要素として指定する等、対象要素を自由に選択、指定することができ、指定した対象要素に対して一対比較・重要度計算処理を行うことができる。例えば、シナリオ「S1」では評価基準「使いやすさ」を考慮しないのであれば、シナリオ「S1」の列の要素の中から「使いやすさ」を除外し、残りの要素「値段」、「性能」、「維持費」だけを対象要素として一対比較を行うことができる。
【0100】
このように、超行列作成処理(S103)においては、超行列の雛形中で意思決定者が対象要素を指定すると(S202のYES)、超行列中の列ごとに対象要素に対して一対比較・重要度計算処理を行うことで必要な値を取得し、超行列を自動的に作成する(S203〜S205)。例えば、上記のフィードバック型の例において、シナリオ「S1」の列に対しては、シナリオ「S1」からみた場合の、評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」間における一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果から重要度の値を自動的に計算し、超行列中の対応する箇所に記入する。他の列に対しても同様に一対比較を支援して重要度の値を計算し、超行列中の対応する箇所に記入することができる。
【0101】
なお、このような一対比較の実施は、意思決定者が超行列の雛形中における列の要素の名称を順次選択して一対比較支援画面を順次表示させることにより、意思決定者が希望する順序で自由に行っていくことができる。また、意思決定者が列の要素の名称を選択する際に、対象要素を変更することも可能である。また、意思決定者が列の要素の名称を選択しない場合や、自動選択を指定した場合等には、超行列の雛形中の列順で自動的に一対比較支援画面を順次表示させて一対比較を促すことも可能である。
【0102】
[4−3.一対比較・重要度計算処理]
一対比較・重要度計算処理において、評価基準、代替案、シナリオ等の対象要素の重要度を取得するために、一対比較による個人の意思決定を行う場合(S401のNO)には、意思決定者による対象要素の一対比較を支援し、一対比較結果を入力させる(S402)。この一対比較は、超行列の雛形中の各列について、2つの要素の組み合わせを順次取り出し、どちらがどれくらい重要なのかを選択(入力)するものである。この場合、一対比較結果の入力は、意思決定者が値を直接入力することも可能であるし、一対の要素と重要性の尺度の選択肢を画面表示して、画面上で選択させることも可能である。
【0103】
AHP手法においては、通常は、重要性の尺度として、1,3,5,7,9の奇数値を使って一対比較を行う。重要でない場合は、1/3,1/5,1/7,1/9と逆数を使用する。また、2,4,6,8の偶数値は補完的に使用する。この場合、重要性の尺度となる数値の意味は、例えば、次の表1のように定義できる。
【表1】
Figure 2004118552
【0104】
ここで、一対比較を行う際に、1,3,5,7,9の奇数値のみで実施するか、偶数値も含めた1,2,3,4,5,6,7,8,9の値で実施するか、さらに、1〜9の間の連続的な実数値で実施するか、の選択も可能とすることで、様々な状況に対応できる。図7は、このように一対比較の値を選択させるための画面表示の一例を示している。この図7の(A)に示すように、1,3,5,7,9,のような段階的な値の選択は、ラジオボタン等を使用して容易に実施可能であり、図7の(B)に示すように、連続的な実数値の選択については、スクロールバー等を使用して感覚的な値の設定が可能である。
【0105】
図7に示すような一対比較画面を使用した場合の、意思決定者による一対比較結果の確認は、図7に示すような個々の一対比較画面上での入力および確認を順次行うだけでもよいが、全ての一対比較画面の入力および確認を終了した時点で、一対比較結果の一覧を表示して意思決定者に確認させてもよい。いずれの場合でも、意思決定者が、一対比較結果に問題がないと判断し、一対比較終了を選択した場合(S403のNO)には、一対比較結果に基づく対象要素の重要度計算を行う(S404)。
【0106】
なお、対象要素の一対比較作業の終了時に、意思決定者が一対比較の継続または見直しを選択した場合(S403のYES)には、意思決定者に対し、対象要素の一対比較支援を継続あるいは繰り返し行う(S402)。また、一対比較作業の終了時あるいは作業途中に、意思決定者によって別の作業の見直しが選択された場合(S403のYES)には、意思決定者に対して、その選択に応じた支援を行い、重要度計算が選択された場合には、次のステップS404に進む。
【0107】
ステップS404においては、意思決定者から取得した一対比較結果に基づいて、対象要素の重要度を計算、表示して、意思決定者に確認させる(S404)。この場合、重要度は、前述したように、一対比較結果のマトリクスの固有値問題を、べき乗法、最小二乗法、各種平均法(幾何平均法、調和平均法等)等の方法で解くことにより、算出できる。
【0108】
また、この際、一対比較した結果が首尾一貫した答えであるかどうかを整合度(consistency index、C.I.)や整合比(Consistency ratio、C.R.)で判断し、所定の値より大きければ、整合性がないと判定して(S405のNO)、警告を発する。このような整合性判断に使用する値としては、一般的には、0.1〜0.15の値が目安になっており、それ以下ならば整合性があると判断できる。判断に使用する値の設定も変更することができるようになっている。
【0109】
例えば、次の表2は、シナリオ「S1」または「S2」からみた場合の評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」の重要性についてそれぞれ一対比較を行った場合における一対比較結果として得られた一対比較マトリクスとその固有ベクトルを計算したウェイトの一例を示している。
【表2】
Figure 2004118552
【0110】
この結果より、使いやすさ>性能>維持費>値段、の順に重要度が高くなっていることと、整合度指数C.I.が0.15より小さいので、一対比較結果の整合性が取れていることがわかる。
【0111】
また、一対比較の際には、比較することができずどうしても回答できない場合に「質問に答えない」という選択も可能で、その場合には、ハーカー法を使って重要度を算出することができる。ハーカー法では、一対比較結果のマトリクスにおける回答のないところの値を「0」にして、各行ごとにその行に「0」のある場合は、その「0」の数分だけ対角要素に1を加えたマトリクスに変換し、そのマトリクスの固有値を解いて重要度を算出する。
【0112】
例えば、値段と性能の比較で、「質問に答えない」を選択したときの結果は、次の表3に示すようになる。
【表3】
Figure 2004118552
【0113】
また、整合性が悪いと判定された場合に、どの一対比較結果に問題があるのかを判定して出力することが可能である。そのための判定方法としては、ウェイトを計算して、それがw1,w2,w3,w4となった場合に、wi/wjを(ij)成分とする行列を作り、元の一対比較マトリクスと各成分の比較を行う方法が存在している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0114】
そこで、比較する要素の値が2倍以上違う場合は、整合性がないと判定して、その箇所の値の補正を行い、重要度の再計算、補正を実施する。この場合、整合性がない箇所の値の補正については、意思決定者による補正と、自動補正の両方が可能である。
【0115】
整合性のない箇所の値の補正を意思決定者が行う場合には、その補正すべき箇所を表示して値の補正を支援する。表示する際には、wi/wjの値に近づけるために、一対比較した結果の値を上げればよいか下げればよいのかも表示して、意思決定者に対する積極的な補正支援を行う。これにより、意思決定者は、その表示を見ながら必要な値の補正を容易に行うことができる。
【0116】
例えば、次の表4に示すような一対比較結果が得られた場合は、整合度指数C.I.が0.15より大きく、一対比較結果の整合性がとれていないことがわかる。
【表4】
Figure 2004118552
【0117】
この場合、ウェイトから、wi/wjを(ij)成分とする行列を作成すると、次の表5に示すようになり、これを一対比較マトリクスと比較することにより、値段と性能、値段と維持費、性能と維持費の一対比較結果の整合性が取れていないことを表示する。その際に、値を下げたほうが良いのか、上げたほうが良いのについての支援表示も行う。
【表5】
Figure 2004118552
【0118】
また、整合性のない箇所の値の補正を自動的に行って重要度計算補正を行う1つの方法として、一対比較結果の整合性がないと判定した時点(S405のNO)で、そのまま一対比較結果の該当箇所の値を回答不明(「質問に答えない」の選択)として、ハーカー法を使用して値の補正を行い、重要度を再計算、補正してもよい。この場合には、意思決定者が一対比較結果を見直す必要なしに、補正確認を行うだけで、重要度を自動的に補正することができる(S406、S407)。
【0119】
以下の表6は、表4の例で整合性のチェックに引っ掛かったところを回答不明にして、重要度の再計算、補正を行った場合の結果を示している。
【表6】
Figure 2004118552
【0120】
また、整合性のない箇所の値の補正を自動的に行って重要度計算補正を行う別の方法としては、一対比較マトリクスの1行目の値はそのまま採用し、2行目以下は、対角線を除いてすべて回答不明(0)にして、重要度の再計算、補正を行う方法も適用可能である。
【0121】
以下の表7は、表4の例についてこの方法を適用した場合の結果を示している。
【表7】
Figure 2004118552
【0122】
表6、表7に示すように表示された重要度を確認した意思決定者が、その重要度に問題がないと判断し、一対比較・重要度計算の終了を選択した場合(S408のNO)には、一対比較・重要度計算処理を終了する。なお、重要度の表示を確認した意思決定者が、作業の継続や見直しを選択した場合(S408のYES)には、選択に応じた支援処理を継続あるいは繰り返し行う。
【0123】
[4−4.集団意思決定支援処理]
意思決定者が一人でない場合には、集団の意見をまとめて意思決定を行う必要がある。集団での意思決定をAHPで行う方法にはいくつかの種類があるが、ここでは、前述したように、個々の回答者が一対比較を行った結果を集計表に登録して重要度を算出する。
【0124】
個々の回答者による一対比較支援(S501)の手順に関しては、一対比較支援について前述した通りであるが、集団意思決定支援処理においては、個々の回答者による一対比較結果を、集計表に登録する(S502)。具体的には、それぞれの一対比較に関して、どの値に票が入ったのかを順次記録していく。例えば、「同じくらい重要(1)」が選択されている場合には、値「1」のところに1票を追加する。なお、一対比較の際あるいは登録の際には、ログを記録する。
【0125】
この場合、集計表に対する意思決定者である作業者に対して、集計表を表示することにより、集計表に登録された一対比較結果に対応する回答者の中から、任意の回答者の指定を支援したり、支援集計表に登録された一対比較結果の変更を支援する(S503)。この支援により、作業者は、集計表に一度登録した結果についても、1票単位で値を削除したり、変更したりすることができる。さらに、作業者は、回答者を指定する(S504のYES)ことにより、その指定した回答者グループの一対比較結果に関する情報を表示させることができる。このような回答者の指定による情報の表示は、一対比較や登録の際に記録したログを利用して行う。
【0126】
この指定により、指定された回答者グループの一対比較結果は、他の一対比較結果とは異なる色で色分け表示される(S505)ため、作業者は、その回答者グループの一対比較結果を、一目で感覚的に把握し、容易に確認することができる。また、作業者は、指定した回答者グループについて、ログ表示を要求して(S506のYES)、ログを表示させる(S507)こともできる。
【0127】
作業者はさらに、指定した回答者グループについて、集計表を要求して(S508のYES)、その指定した回答者グループの一対比較結果から集計表を作成、表示させる(S509)こともできる。そしてまた、指定した回答者グループの集計表から重要度計算を行わせ、その結果を表示させる(S513)こともできる。この場合には、グループごとに重要度付けにどのような違いがあるのかの確認等も行える。
【0128】
なお、この集計表作業において、作業者が作業の継続または見直しを選択した場合(S512のYES)には、意思決定者である作業者に対し、集計表作業支援を継続あるいは繰り返し行う(S503〜S511)。また、集計表作業の終了時あるいは作業途中に、作業者によって別の作業の見直しが選択された場合(S512のYES)には、作業者に対して、その選択に応じた支援を行う。
【0129】
[4−5.集団意思決定支援処理における重要度計算]
集団意思決定支援処理においては、作業者からの要求に応じて、前述したように、集計表を変更したり、指定した回答者グループの集計表を表示したりするが、元の集計表、変更された集計表、あるいは、指定された回答者の集計表のいずれについても、その集計表中の一対比較結果に基づいて、評価基準、代替案、シナリオ等の対象要素の重要度を計算、表示して、作業者に確認させる(S513)。
【0130】
評価基準、代替案、シナリオ等の対象要素の重要度の表示を確認した作業者が、その重要度に問題がないと判断し、その重要度の決定を選択した場合(S514のNO)には、集団意思決定支援処理を終了する。なお、重要度の表示を確認した作業者が、作業の継続や見直しを選択した場合(S514のYES)には、集団意思決定支援処理を継続あるいは繰り返し行う(S501〜S514)。また、集団意思決定作業の終了時あるいは作業途中に、作業者によって別の作業の見直しが選択された場合(S512のYES、S514のYES)には、作業者に対して、その選択に応じた支援を行う。
【0131】
なお、この集団意思決定支援処理における具体的な重要度計算方法について、次の表8に示す集計表を例として説明する。
【表8】
Figure 2004118552
【0132】
この表8に示す集計表において、重要性の尺度の下に表示されている各数字は、「同程度に重要(1)」を中心として、一対比較の対象となる左右の項目のうち、どちらがどれくらい重要なのかについて各回答者が一対比較を行った値の票の数を意味している。例えば、1行目の「20」という数字は、「値段」と「性能」を一対比較した結果、「性能」のほうが「やや重要(3)」であると答えた人が、20人いたことを意味している。
【0133】
また、「同程度に重要(1)」より右側の列は、右側の項目の方が重要であることを意味しているが、これらの右側の列を一対比較マトリクスで表記する場合には、重要性の尺度を示す値をそれぞれ逆数で表現する。例えば、20票入っている「性能」のほうが「やや重要(3)」であるという値は、一対比較の値としては「1/3」となる。これに対し、「同程度に重要(1)」より左側の値はそのままの値である。
【0134】
このような集計表からの重要度の計算方法としては、『幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法』、『多数決で票の多い値を採用して一対比較マトリクスを作成する手法』、『多数決を考慮した幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法』、等から選択した手法により一対比較マトリクスを作成し、作成した一対比較マトリクスから重要度を算出する。
【0135】
前述したように、本明細書中では、一対比較マトリクスの手法に応じて、各計算方法を、「幾何平均法」、「多数決法」、「多数決を考慮した幾何平均法」と称している。なお、どの計算方法を利用するかは状況に応じて判断する必要があるが、この判断は、自動的に行っても作業者が行ってもよい。すなわち、予め選択条件を設定して自動的に計算方法を選択してもよいが、それぞれの計算方法と特徴を作業者に明示して選択の支援を行ってもよい。以下には、これらの計算方法の詳細について順次説明する。
【0136】
[4−5−1.多数決法]
集団意思決定支援処理における重要度計算方法として「多数決法」を選択した場合には、最も回答数が多い値を一対比較値として採用する。表8の例において、「値段」と「性能」の一対比較結果については、「性能」のほうが「やや重要(3)」が、20票と最も票の数が多いので採用される。また、票の数が最大のものが二項目以上ある場合は、それらの値の中間値(平均値)を採用する。この場合、一対比較結果の値そのもので平均をとるのではなく、左が絶対的に重要を「1」、同程度が重要を「9」、右が絶対的に重要(1/9)を「17」と、数直線上に左側から数字を割り振って平均をとった後、元の値に変換する。
【0137】
例えば、表8の例において、「性能」と「維持費」の一対比較結果については、「性能」のほうから見て「5」、「3」、「2」、が10票ずつ、と最大の票のものが複数ある。この場合には、「性能」のほうから見て、「5」、「3」、「2」、の中間値を求めると「3.3」(一対比較マトリクス上も「3.3」)となるため、この値を一対比較値として採用することになる。
【0138】
[4−5−2.幾何平均法]
集団意思決定支援処理における重要度計算方法として「幾何平均法」を採用した場合に、表8の例において、「値段」と「性能」の一対比較結果については、それぞれの値で幾何平均をとり、「性能」のほうから見て「1.3」(一対比較マトリクス上は「1/1.3」)の値が一対比較値として採用される。この値は、次の式により得られる。
【数7】
Figure 2004118552
【0139】
回答者が多い場合は、「多数決法」を使って意見をまとめることもできるが、回答者が少数の場合は、2票でも最大として値が採用される可能性もあり、「幾何平均法」を採用して意見をまとめた方がよい。しかし、重要度付けで同程度に重要を挟んで意見が二分したような場合、幾何平均をとると1に近づいていってしまいウェイトが均等になってしまうこともある。このような場合には、本発明で提案する「多数決を考慮した幾何平均法」が適している。
【0140】
[4−5−3.多数決を考慮した幾何平均法の第1の方法]
「多数決を考慮した幾何平均法」としてはいくつかの方法が可能であるが、第1の方法は、「同程度に重要」を挟んで右側と左側とどちらの票が多いかで判断を行い、票の少ない側のデータを削除して削除した票の数を「同程度に重要」にして加算するかまたは少ない側のデータを完全に削除し、その後、幾何平均をとってその値を採用する方法である(少数意見の補正)。
【0141】
この方法においてはまた、右側と左側との票の数が同程度の場合には、右側と左側の値の総和を比較して(ただし、左側は、一対比較マトリクス上の値の逆数の和として計算する)、総和の少ない側のデータを削除して「同程度に重要」に加算するかまたは少ない側のデータを完全に削除し、その後、幾何平均をとる。さらに、総和も等しい場合は、「同程度に重要(1)」の値を採用する。
【0142】
表8の例において、少数意見の票を「同程度に重要」に加算する場合に、例えば、「値段」と「性能」の一対比較結果については、「値段」側の票が15票、「性能」側の票が28票と、「性能」側の票の数が多いため、「値段」側の票(15票)を「同程度に重要」に加えて幾何平均をとり、「性能」のほうからみて「1.73」(一対比較マトリクス上は「1/1.73」)の値が一対比較値として採用される。
【0143】
以上のように、少数意見の票を「同程度に重要」に加算して集計表を補正した場合の結果は、次の表9に示すようになる。
【表9】
Figure 2004118552
【0144】
また、表8の例において、少数意見の票を切り捨てて集計表を補正した場合の結果は、次の表10に示すようになる。
【表10】
Figure 2004118552
【0145】
[4−5−4.多数決を考慮した幾何平均法の第2の方法]
「多数決を考慮した幾何平均法」の第2の方法は、「同程度に重要」を挟んで右側と左側とどちらの票が多いかで判断を行い、票が多い側の票の数を定数倍(例えば2倍)して、その後、幾何平均をとってその値を採用する方法である(多数意見の補正)。
【0146】
この方法においてはまた、右側と左側との票の数が同程度の場合には、右側と左側の値の総和を比較して(ただし、左側は、一対比較マトリクス上の値の逆数の和として計算する)、総和の多い側の票の数を定数倍して幾何平均をとる。さらに、総和も等しい場合は、「同程度に重要(1)」の値を採用する。
【0147】
表8の例について、多数意見の票を定数倍する場合に、例えば、「値段」と「性能」の一対比較結果については、「性能」側の票の数が多いため、「性能」側の票をそれぞれ2倍して幾何平均をとり、「性能」のほうからみて「1.68」(一対比較マトリクス上は「1/1.68」)の値が採用される。このような多数意見の補正のやり方は、少数意見の票も考慮したものとなっているため、少数意見を反映させる場合に好適である。
【0148】
以上のように、多数意見の票を2倍して集計表を補正した場合の結果は、次の表11に示すようになる。
【表11】
Figure 2004118552
【0149】
[4−6.ログの記録、再利用]
また、本実施形態においては、一対比較結果をログデータベースD12に記録することにより、必要な際には記録したログデータベースD12から一対比較結果を入力情報として取り込むことができる。ログを記録する際には、次の表12に示すように、一対比較を行ったそれぞれの要素名とその値、回答者を記録する。
【0150】
【表12】
Figure 2004118552
このような形でログを記録することにより、項目の見直しを行った後、要素名から過去に一対比較を実施した値を読み込むことができ、繰り返し作業を有効に行うことができる。集団で意思決定を行う際にも、誰がどのような一対比較結果を出したのか等について、ログから一目で確認することができる。
【0151】
[4−7.超行列分析処理]
評価基準、代替案、シナリオ等の全ての対象要素について重要度が求められ、超行列が作成させると、その超行列を分析して、代替案の総合評価値を求める(S105)。前述した通り、超行列の分析方法は、超行列を無限回掛け合わせた収束計算を行うものであり、フィードバック型かシリーズ型かによって具体的な計算方法が異なる。
【0152】
まず、車選びの例において、フィードバック型で評価を行った場合に、それぞれの要素の重要度を求めた結果、例えば、次のような超行列Wが作成されたものと想定する。
【数8】
Figure 2004118552
【0153】
この超行列Wを分析して、前述したような極限行列に収束させると、次の結果が得られる。
【数9】
Figure 2004118552
【0154】
この結果より、最終的な代替案の評価結果は、B車(0.412)>A車(0.345)>C車(0.243)となる。また、評価基準の重みは、維持費(0.320)>使いやすさ(0.315)>性能(0.207)>値段(0.158)、シナリオの重みは、S2(0.523)>S1(0.477)となる。
【0155】
一方、車選びの例でシリーズ型で評価を行った場合の、それぞれの要素の重要度を求めた結果、例えば、次のような超行列Wが作成されたものと想定する。
【数10】
Figure 2004118552
【0156】
同様にこの超行列Wを分析して、前述したような極限行列に収束させると、次の結果が得られる。
【数11】
Figure 2004118552
【0157】
この結果より、最終的な代替案の評価結果は、B車(0.415)>A車(0.341)>C車(0.244)となる。またシナリオS1からみた代替案の評価結果は、B車(0.472)>C車(0.283)>A車(0.245)、シナリオS2からみた代替案評価結果は、A車(0.437)>B車(0.358)>C車(0.206)となる。
【0158】
[4−8.結果出力処理]
ANPでは、超行列を分析することにより上記のように代替案の評価を行うことができるが、初心者にとって超行列の結果を見て評価結果を理解することは難しい。そこで、本実施形態においては、意思決定者であるユーザが求める結果情報をグラフ表示して支援を行う。グラフ表示する結果情報は、「代替案の総合評価結果」、「指定された要素に関する代替案の評価結果」、「指定された階層レベルでの代替案の評価結果」、等の中から意思決定者が自由に選択することができる。
【0159】
車選びの例において、フィードバック型で評価を行った場合における数9の「代替案の総合評価結果」、すなわち、A車「0.345」、B車「0.412」、C車「0.243」、という重要度は、例えば、図8に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0160】
また、「指定された要素に関する代替案の評価結果」では、意思決定者により分析前、分析後のどちらの超行列のどの列の要素で表示するかが指定された場合に、その要素に関する代替案の重要度を0でない値に関して表示する。車選びの例において、シリーズ型で評価を行った場合の、数11に示す分析後の超行列におけるシナリオ「S2」が指定された場合における「S2に関する代替案の評価結果」、すなわち、A車「0.437」、B車「0.358」、C車「0.206」、という重要度は、例えば、図9に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0161】
一方、「指定された階層レベルでの代替案の評価結果」としては、階層情報に基づいた上位レベルもしくは下位レベルでの詳細な評価結果のグラフを超行列の分析前と分析後の情報を基に作成する。上位レベル詳細は、総合目的の次の階層(車選びの例の場合はシナリオに相当する)ごとに代替案の評価結果を区切って表示する。下位レベル詳細は、代替案の一つ上の階層(車選びの事例の場合は、評価基準に相当する)ごとに代替案の評価結果を区切って表示する。このような「指定された階層レベルでの代替案の評価結果」のグラフの作成の仕方は、前述したように、フィードバック型かシリーズ型かによっても異なり、上位レベルか下位レベルで詳細表示するかによっても異なる。
【0162】
まず、車選びの例において、フィードバック型で評価を行った場合における数8に示す分析前の超行列と数9に示す分析後の超行列の情報から、上位レベル詳細、すなわち、シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果を作成する場合には、シナリオ「S1(毎日)」、「S2(週末)」ごとに代替案のウェイトを詳細に分割して、次の式に示すようにして詳細な評価結果を求める。
【0163】
【数12】
Figure 2004118552
【0164】
この式においては、シナリオ「S1」、「S2」それぞれにおける代替案のウェイトを数8に示す分析前の超行列の値を基に計算し、さらに数9に示す分析後の超行列からシナリオ「S1」、「S2」のウェイトである「0.477」、「0.523」を先に計算したシナリオ「S1」、「S2」ごとの代替案のウェイトに掛け合わせて「シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果」を算出している。なお、実際の計算には小数第4位以下も使用しているが、便宜上、小数第3位までを表示している。
【0165】
この式から、A車のウェイトは、0.117(S1)+0.228(S2)、B車のウェイトは、0.225(S1)+0.187(S2)、C車のウェイトは、0.135(S1)+0.108(S2)、となる。したがって、数8に示す分析前の超行列と数9に示す分析後の超行列の情報からこのようにして得られた「シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果」は、例えば、図10に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0166】
また、車選びの例において、フィードバック型で評価を行った場合における数8に示す分析前の超行列と数9に示す分析後の超行列の情報から、下位レベル詳細、すなわち、評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果を作成する場合には、評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」、ごとに代替案のウェイトを詳細に分割し、次の式に示すようにして詳細な評価結果を求める。
【0167】
【数13】
Figure 2004118552
【0168】
この式に関して説明すれば、評価基準それぞれにおける代替案のウェイトは、数8に示す分析前の超行列で算出されているので、それに数9に示す分析後の超行列から各評価基準のウェイトである「0.158」、「0.207」、「0.315」、「0.320」を掛け合わせて「評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果」を算出している。なお、実際の計算には小数第4位以下も使用しているが、便宜上、小数第3位までを表示している。
【0169】
この式から、A車のウェイトは、0.017(値段)+0.036(性能)+0.059(使いやすさ)+0.234(維持費)、B車のウェイトは、0.101(値段)+0.021(性能)+0.230(使いやすさ)+0.060(維持費)、C車のウェイトは、0.041(値段)+0.151(性能)+0.026(使いやすさ)+0.026(維持費)、となる。したがって、数8に示す分析前の超行列と数9に示す分析後の超行列の情報からこのようにして得られた「評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果」は、例えば、図11に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0170】
一方、車選びの例において、シリーズ型で評価を行った場合における数10に示す分析前の超行列と数11に示す分析後の超行列の情報から、上位レベル詳細、すなわち、シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果を作成する場合には、シナリオ「S1(毎日)」、「S2(週末)」ごとに代替案のウェイトを詳細に分割して、次の式に示すようにして詳細な評価結果を求める。
【0171】
【数14】
Figure 2004118552
【0172】
この式に関して説明すれば、シナリオそれぞれにおける代替案のウェイトは、数11に示す分析後の超行列で算出されているので、それに数10に示す分析前の超行列に記入されているシナリオのウェイトである「0.5」、「0.5」を掛け合わせて「シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果」を算出している。なお、実際の計算には小数第4位以下も使用しているが、便宜上、小数第3位までを表示している。
【0173】
この式から、A車のウェイトは、0.123(S1)+0.218(S2)、B車のウェイトは、0.236(S1)+0.179(S2)、C車のウェイトは、0.142(S1)+0.103(S2)、となる。したがって、数10に示す分析前の超行列と数11に示す分析後の超行列の情報からこのようにして得られた「シナリオの階層レベルでの詳細な評価結果」は、例えば、図12に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0174】
また、車選びの例において、シリーズ型で評価を行った場合における数10に示す分析前の超行列と数11に示す分析後の超行列の情報から、下位レベル詳細、すなわち、評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果を作成する場合には、評価基準「値段」、「性能」、「使いやすさ」、「維持費」、ごとに代替案のウェイトを詳細に分割し、次の式に示すようにして詳細な評価結果を求める。
【0175】
【数15】
Figure 2004118552
【0176】
この式に関して説明すれば、評価基準それぞれにおける代替案のウェイトは、数11に示す分析後の超行列で算出されているので、それに数10に示す分析前の超行列を基に評価基準のウェイトを算出(シナリオごとの評価基準のウェイトにシナリオの重みを掛け合わせる)したものを掛け合わせて「評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果」を算出している。なお、実際の計算には小数第4位以下も使用しているが、便宜上、小数第3位までを表示している。
【0177】
この式から、A車のウェイトは、0.016(値段)+0.036(性能)+0.061(使いやすさ)+0.227(維持費)、B車のウェイトは、0.098(値段)+0.022(性能)+0.237(使いやすさ)+0.059(維持費)、C車のウェイトは、0.040(値段)+0.153(性能)+0.026(使いやすさ)+0.025(維持費)、となる。したがって、数10に示す分析前の超行列と数11に示す分析後の超行列の情報からこのようにして得られた「評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果」は、例えば、図13に示すような棒グラフでグラフ表示される。
【0178】
以上のように、意思決定者は、希望する各種の結果情報のグラフ表示を自由に確認することができる。そして、このような結果出力処理の後、意思決定者が、作業の継続または見直し、あるいは他の作業の見直し、を選択した場合(S108のYES)には、選択に応じたステップに移動するが、最終的に、意思決定者が多目的意思決定プロセス作業の終了を選択した時点(S108のNO)で、多目的意思決定プロセス支援処理を終了する。
【0179】
[4−9.意思決定の誘導]
なお、前述したように、一連の多目的意思決定プロセス支援処理における各ステップでは、意思決定者に対するそれぞれの支援内容に応じて、意思決定を誘導するための情報として、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10に登録された、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報、あるいは確認を促すためのメッセージ等を提示する。例えば、全ての入力を終え、評価結果が出力されているときに、「あなたの主観とあっていますか?違っていれば評価基準を見直してください」等のメッセージを表示する。
【0180】
これにより、次に行うべき作業やそのノウハウ等を意思決定者に明示することができるため、意思決定者がANP手法に詳しくない場合でも意思決定を容易に行うことができる。なお、このような、意思決定者に対する情報提示による支援は、「支援」と明示したステップに限らず、重要度や評価結果の表示等、各種の表示を行う場合にも、支援情報を提示するものであり、それにより、意思決定者の各段階での意思決定を十分に支援することができる。
【0181】
[5.実施形態の作用・効果]
以上のような本実施形態の多目的意思決定プロセス支援処理によれば、次のような作用・効果が得られる。
【0182】
まず、意思決定者により入力された情報に基づき、階層構造上で重要度の算出が必要な要素を自動的に求めて必要な一対比較の実施および結果の入力を支援することにより、意思決定者は、必要な全ての一対比較を効率よく実施してその結果を容易に入力することができる。そして、入力された一対比較結果に基づいて、各要素の重要度を自動的に計算して超行列を自動的に作成し、作成した超行列を自動的に分析して各代替案の総合的な重要度を求めることができるため、意思決定者が数学的に高度な知識を持たない場合でも、手順を間違える等の人為的ミスを生じることなく、適切な解を確実に得ることができる。
【0183】
したがって、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いて効率よくかつ失敗の少ない多目的意思決定を行うことができる。さらに、超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、画像表示から、代替案の最終的な評価結果等の各種の結果情報を視覚的に容易に理解することができる。
【0184】
また、意思決定者により入力された情報に基づき、超行列の雛形を自動的に作成、表示することにより、意思決定者は、その超行列の雛形により重要度の算出が必要な要素を容易に把握することができる。また、入力された一対比較結果に基づいて自動的に算出された重要度を、超行列の雛形中に自動的に記入することにより、意思決定者は、重要度の算出が必要な要素とその重要度の算出結果の両方を、同じ形式の超行列により確認できる。したがって、ANP手法の初心者であっても、重要度を記入した超行列の意味の理解が容易になる。
【0185】
また、ユーザである意思決定者は、シナリオごとに考慮する評価基準を選択する等、一対比較を行う要素を自由に選択することができるため、より適切な意思決定が可能となる。特に、対象要素の候補を自動的に抽出して超行列の雛形中で一対比較を行う要素を指定させることにより、意思決定者は、超行列の雛形中で提示された候補の中から一対比較を行う要素を容易に選択することができる。
【0186】
なお、前述した車選びの例においては、自動的に抽出した対象要素の候補に重要度の入力を促す入力指示情報として下線を付加したが、入力指示情報は下線に限らず、対象要素の候補を他の要素から特定可能な各種の表現形式が自由に選択可能である。例えば、下線と同様に、枠、印等の付属情報により対象要素の候補を強調する表現形式、超行列の雛形中で対象要素の候補を他の要素とは異なる寸法形状や色、点滅等で表示する表現形式、対象要素の候補を、超行列の雛形とは別のエリアに独立して表示する表現形式、あるいは、それらの表現形式の組み合わせ、等が考えられる。
【0187】
また、超行列の分析前と分析後の情報に基づいて詳細な結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、画像表示から詳細な結果情報を視覚的に容易に理解することができる。そして、超行列の分析前と分析後の情報に基づく詳細な結果情報としては、指定された要素に関する重要度の評価結果、指定された階層レベルでの代替案の評価結果、等を画像表示することにより、代替案の総合的な評価結果だけを画像表示する場合に比べて、意思決定者は多様な観点における多様な結果情報を得ることができる。したがって、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いてより適切な多目的意思決定を行うことができる。
【0188】
なお、前述した車選びの例においては、評価結果を棒グラフで示す場合について説明したが、本発明における画像表示は、棒グラフに限定されるものではなく、円グラフ、折れ線グラフ、ベクトルグラフ、立体グラフ、あるいはそれらの組み合わせ等、各種のグラフ形式を使用可能である。さらに、一般的にグラフと称される表現に限らず、例えば、代替案を表現する平面画像や立体画像のサイズを変化させる等、代替案の評価結果を視覚的に容易に把握できるような全ての画像表現形式を使用可能である。
【0189】
また、一対比較結果に整合性がない場合には、それを補正して重要度を再計算、補正することができるため、整合性を確保することができ、それによって結果の信頼性を高めることができる。そして、補正の必要な値を特定可能な表現形式で明示して補正支援を行うようにした場合には、意思決定者は、その値を一目で確認して必要な補正を容易に効率よく行うことができる。また、補正の必要な値を回答不明の場合と同じ値に自動的に補正するようにした場合には、意思決定者の判断を必要とすることなしに、そのまま重要度の再計算に移行することができる。
【0190】
また、一対比較結果や集計表のログを記録して再利用可能とすることにより、過去のデータを利用して繰り返し作業を効率よく行うことができる。特に、一対比較を実施する際に、記録された一対比較結果を意思決定者に提示することにより、意思決定者はその一対比較結果を利用して一対比較結果の入力を容易に効率よく行うことができる。
【0191】
さらに、一連の多目的意思決定プロセス支援処理における各ステップでは、それぞれの支援内容や表示内容に応じて、手順・内容・ノウハウ情報データベースD10に予め登録した、作業の手順、内容に関する情報、およびノウハウ等の技術に関する情報、あるいは確認を促すためのメッセージ等を提示することにより、意思決定者がANP手法に詳しくない場合であっても、意思決定を容易に効率よく行うことができる。
【0192】
また、本実施形態の集団意思決定支援処理によれば、複数の意思決定者の一対比較結果に基づいて集団意思決定を行う場合に、集計表に対する意思決定を行う作業者は、複数の回答者の一対比較結果を集計表に登録したり、登録された一対比較結果を適宜変更したりすることができる。そして、各評価基準や各代替案の重要度は、集計表に登録された一対比較結果に基づいて自動的に計算される。
【0193】
また、作業者により、一対比較を行った回答者の中から任意の回答者が指定された場合には、指定された回答者グループごとの一対比較結果を独立の集計表で明示したり、また、同じ集計表中で異なる表現形式で明示する等の、特定可能な表現形式で明示することにより、作業者は、特定の回答者グループの一対比較結果を一目で確認できる。したがって、作業者は、その確認内容に基づいて、回答者の数が少ない場合でも、個々の回答者の総意により近いと思われるような、より適切な集団意思決定を容易に効率よく行うことができる。
【0194】
さらに、本実施形態の集団意思決定支援処理によれば、回答者の数やその他の条件に応じて、適切な手法を選択して一対比較マトリクスを作成することができるため、個々の意思決定者の総意により近いと思われるような、より適切な集団意思決定を行うことができる。特に、多数決を考慮した幾何平均法を用いることにより、回答者の数が少なく、かつ、一対比較結果が二分しているような場合でも、個々の回答者の総意により近いと思われるような、より適切な集団意思決定を容易に効率よく行うことができる。
【0195】
[6.他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。
【0196】
例えば、図1〜図5に示した処理手順は、一例にすぎず、多目的意思決定プロセスの各段階において同様な支援を行うことができる限り、具体的な処理手順は自由に変更可能である。また、本発明で使用する具体的な支援画面の形式や、データの具体的な種類やデータ構造等は、自由に選択可能である。さらに、各種のデータの出力形式としては、基本的には画面表示を用いるが、画面表示内容や各種のデータをプリンタや各種の記録媒体等に出力したり、音声出力による支援を加えること等も考えられる。
【0197】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入力情報から重要度の算出が必要な要素を自動的に求めて一対比較支援を行い、一対比較結果から各要素の重要度を計算して超行列を自動的に作成、分析し、得られる結果情報を画像表示することにより、意思決定者がANP手法の初心者であっても、ANP手法を用いて効率よくかつ失敗の少ない多目的意思決定を行うことができる。したがって、多目的意思決定プロセスであるANP手法を支援し、効率よくかつ失敗の少ない意思決定を行うための方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した多目的意思決定プロセス支援処理の概要をデータの流れと共に示すフローチャート。
【図2】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理における超行列作成処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図3】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理における結果出力処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図4】図2に示す超行列作成処理における一対比較・重要度計算処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図5】図4に示す一対比較・重要度計算処理における集団意思決定支援処理のサブルーチンを示すフローチャート。
【図6】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理により、車選びの例において作成された階層図。
【図7】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、一対比較の値を選択させるための画面表示の一例を示す説明図。
【図8】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、フィードバック型で評価を行った場合における代替案の総合評価結果の一例を示すグラフ。
【図9】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、シリーズ型で評価を行った場合における代替案の総合評価結果の一例を示すグラフ。
【図10】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、フィードバック型で評価を行った場合におけるシナリオの階層レベルでの詳細な評価結果の一例を示すグラフ。
【図11】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、フィードバック型で評価を行った場合における評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果の一例を示すグラフ。
【図12】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、シリーズ型で評価を行った場合におけるシナリオの階層レベルでの詳細な評価結果の一例を示すグラフ。
【図13】図1に示す多目的意思決定プロセス支援処理において、シリーズ型で評価を行った場合における評価基準の階層レベルでの詳細な評価結果の一例を示すグラフ。

Claims (17)

  1. コンピュータを利用して、対象となる問題を、少なくとも総合目的、代替案、評価基準、を含む要素として把握して階層化し、各要素の重要度を求めて各代替案の評価を行い、総合的な代替案の評価値を求める一連の多目的意思決定プロセスを支援する方法において、
    総合目的、代替案、評価基準、を含む要素からなる階層構造を有する情報の入力を支援する意思決定情報入力支援ステップと、
    前記入力された情報に基づき、前記階層構造上で重要度の算出が必要な要素を抽出して対象要素とし、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算して超行列を作成する超行列作成ステップと、
    前記超行列を分析して各代替案の総合的な重要度を求める超行列分析ステップと、
    前記超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示する結果出力ステップと、
    を含むことを特徴とする多目的意思決定プロセス支援方法。
  2. 前記意思決定情報入力支援ステップは、
    前記階層構造上で、前記総合目的、代替案、評価基準、以外の階層を構成する要素の入力を支援するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  3. 前記超行列作成ステップは、
    前記入力された情報に基づき、前記超行列の雛形を作成し、作成した超行列の雛形を提示するステップと、
    前記各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算するステップと、
    前記各対象要素について算出した重要度を前記超行列の雛形に記入して提示するステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  4. 前記超行列作成ステップは、ユーザによって指定された要素を前記対象要素として選択する指定要素選択ステップを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  5. 前記指定要素選択ステップは、
    前記対象要素の候補を抽出して提示するステップと、
    前記提示された対象要素の候補の中からユーザによって指定された候補を前記対象要素として決定するステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項4に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  6. 前記結果出力ステップは、前記超行列の分析前と分析後の情報に基づいて前記各種の結果情報を示すグラフを作成するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  7. 前記結果出力ステップは、前記各種の結果情報として、代替案の総合的な評価結果、指定された要素に関する代替案の評価結果、指定された階層レベルでの代替案の評価結果、を含む結果情報の中から画像表示する情報を選択するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項6に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  8. 前記超行列作成ステップは、
    前記各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算する一対比較支援ステップと、
    一対比較結果についての整合性の有無を判断し、整合性がないと判定した場合に、一対比較結果を補正して重要度を再計算、補正する重要度計算補正ステップと、
    複数の意思決定者の一対比較結果を集計し、その集計結果から重要度を計算する集団意思決定支援ステップと、
    一対比較結果を記録し、再利用可能にする一対比較結果記録ステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  9. 前記重要度計算補正ステップは、
    一対比較結果に整合性がないと判定した場合に、一対比較結果のうち、整合性を得るために補正の必要な値を特定可能な表現形式で表示してその値の補正を支援するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項8に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  10. 前記重要度計算補正ステップは、
    一対比較結果に整合性がないと判定した場合に、一対比較結果のうち、整合性を得るために補正の必要な値を、回答不明の場合と同じ値に補正するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  11. 前記一対比較支援ステップは、
    記録された一対比較結果を提示して一対比較結果の入力を支援するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  12. 前記集団意思決定支援ステップは、
    前記各対象要素の重要度を算出するために必要な個々の意思決定者の一対比較結果を集計表に登録する集計表登録ステップと、
    集計表に登録された一対比較結果の変更を支援する集計表変更支援ステップと、
    集計表に登録された一対比較結果に対応する意思決定者の中からの、任意の意思決定者の指定を支援し、指定された意思決定者の一対比較結果を特定可能な表現形式で表示する指定情報表示支援ステップと、
    集計表に登録された一対比較結果に基づいて前記各対象要素の重要度を計算する重要度計算ステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  13. 前記指定情報表示支援ステップは、
    指定された意思決定者の一対比較結果から集計表を作成、表示するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項12に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  14. 前記指定情報表示支援ステップは、
    同じ集計表中で、指定された意思決定者の一対比較結果を、他の意思決定者の一対比較結果とは異なる表現形式で表示するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  15. 前記重要度計算ステップは、
    集計表に登録された一対比較結果の票数に基づき、幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法、多数決で票数の多い値を採用して一対比較マトリクスを作成する手法、多数決を考慮した幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法、を含む複数の手法の中から選択された手法により一対比較マトリクスを作成するステップと、
    一対比較マトリクスから重要度を算出するステップを含む、
    ことを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  16. 前記多数決を考慮した幾何平均を用いて一対比較マトリクスを作成する手法は、
    集計表に登録された一対比較結果の票数について、少数側の票を削除または同程度に重要の票に変更する少数意見補正、多数派の票を定数倍する多数意見補正、のいずれかの補正を選択的に行うステップと、
    補正された集計表中の一対比較結果に基づき、その幾何平均をとって一対比較マトリクスを作成するステップとを含む、
    ことを特徴とする請求項15に記載の多目的意思決定プロセス支援方法。
  17. コンピュータを利用して、対象となる問題を、少なくとも総合目的、代替案、評価基準、を含む要素として把握して階層化し、各要素の重要度を求めて各代替案の評価を行い、総合的な代替案の評価値を求める一連の多目的意思決定プロセスを支援するためのプログラムにおいて、
    総合目的、代替案、評価基準、を含む要素からなる階層構造を有する情報の入力を支援する意思決定情報入力支援機能と、
    前記入力された情報に基づき、前記階層構造上で重要度の算出が必要な要素を抽出して対象要素とし、各対象要素の重要度を算出するために必要な一対比較の実施および結果の入力を支援し、入力された一対比較結果に基づいて各対象要素の重要度を計算して超行列を作成する超行列作成機能と、
    前記超行列を分析して各代替案の総合的な重要度を求める超行列分析機能と、前記超行列の分析に基づいて得られる各種の結果情報を画像表示する結果出力機能と、
    をコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。
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