JP2003105555A - 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

Info

Publication number
JP2003105555A
JP2003105555A JP2002214589A JP2002214589A JP2003105555A JP 2003105555 A JP2003105555 A JP 2003105555A JP 2002214589 A JP2002214589 A JP 2002214589A JP 2002214589 A JP2002214589 A JP 2002214589A JP 2003105555 A JP2003105555 A JP 2003105555A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
water
film
resin
surface treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002214589A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhisa Okai
和久 岡井
Akira Matsuzaki
晃 松崎
Naoto Yoshimi
直人 吉見
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Masaaki Yamashita
正明 山下
Hisato Noro
寿人 野呂
Jiro Nakamichi
治郎 仲道
Kaoru Sato
馨 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2002214589A priority Critical patent/JP2003105555A/ja
Publication of JP2003105555A publication Critical patent/JP2003105555A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面処理皮膜中にクロムを含まず、しかも優
れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 防食に有効なバリア層とめっき金属との
反応層を、二層皮膜としてではなく単層皮膜内に実現さ
せることにより高度の耐食性が得られるようにした表面
処理鋼板であり、亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼
板の表面に、(a)水分散性樹脂および/または水溶性
樹脂と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸
および/またはヘキサフルオロ金属酸とを含有する表面
処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された表
面処理皮膜を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材用途に最適な表面処理鋼板であって、特に表面処理鋼
板の製造時および表面処理皮膜中にクロムを全く含まな
い環境適応型表面処理鋼板及びその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用
鋼板には、従来から亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウ
ム系めっき鋼板の表面に、耐食性(耐白錆性、耐赤錆
性)を向上させる目的でクロム酸、重クロム酸またはそ
の塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理が
施された鋼板が幅広く用いられている。このクロメート
処理は耐食性に優れ且つ比較的簡単に行うことができる
経済的な処理方法である。
【0003】クロメート処理は公害規制物質である6価
クロムを使用するものであるが、この6価クロムは処理
工程においてクローズドシステムで処理され、完全に還
元・回収されて自然界には放出されていないこと、ま
た、有機皮膜によるシーリング作用によってクロメート
皮膜中からのクロム溶出もほぼゼロにできることから、
実質的には6価クロムによって環境や人体が汚染される
ことはない。しかしながら、最近の地球環境問題から、
6価クロムを含めた重金属の使用を自主的に削減しよう
とする動きが高まりつつある。また、廃棄製品のシュレ
ッダーダストを投棄した場合に環境を汚染しないように
するため、製品中にできるだけ重金属を含ませない若し
くはこれを削減しようとする動きも始まっている。
【0004】このようなことから、亜鉛系めっき鋼板の
白錆の発生を防止するために、クロメート処理によらな
い処理技術、所謂クロムフリー技術が数多く提案されて
いる。例えば、無機化合物、有機化合物、有機高分子材
料、あるいはこれらを組み合わせた溶液を用い、浸漬、
塗布、電解処理などの方法により薄膜を生成させる方法
がある。
【0005】具体的には、以下のような方法を挙げるこ
とができる。 (1) タンニン酸などの多価フェノールカルボン酸とシラ
ンカップリング剤を配合した処理液に浸漬しまたは処理
液を塗布することにより皮膜を形成する方法(例えば、
特開平7−216268号公報、特許第2968959
号公報) (2) 有機樹脂にタンニン酸などの多価フェノールカルボ
ン酸またはリン酸化合物を配合した処理液を用いて皮膜
を形成する方法(例えば、特開平8-325760号公
報、特開2000−34578号公報、特開2000−
199076号公報、特開2000−248380号公
報) (3) 有機樹脂とシランカップリング剤を配合した処理液
を塗布する方法(例えば、特開平10−80664号公
報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の方法として
は、多価フェノールカルボン酸とシランカップリング
剤、さらには金属イオンを配合した水溶液で処理する方
法があり、その一つとして特開平7−216268号公
報に示される方法が挙げられる。しかし、この処理方法
では良好な密着性は得られるものの、十分な耐食性が得
られないという欠点がある。
【0007】上記(2)の方法としては、例えば特開平8-
325760号公報に多価フェノールカルボン酸、有機
樹脂および金属イオンを配合した処理液で処理を行う方
法が開示されている。また、特開2000−34578
号公報には有機樹脂とリン酸化合物を添加した処理液に
浸漬しまたは処理液を塗布した後、乾燥する方法が開示
されている。しかし、これらの処理液によって形成され
る保護皮膜は耐食性の改善にはある程度は寄与するもの
の、クロメート処理を施した場合のような高度の耐食性
は得ることができない。
【0008】また、上記(3)の方法としては、特開平1
0−80664号公報に有機樹脂とシランカップリング
剤を配合した処理液を塗布することにより皮膜を形成さ
せる方法が開示されているが、この処理液では不活性な
金属表面に対してシランカップリング剤が十分な効果を
発揮できず、このため得られる密着性や耐食性は十分な
ものではない。したがって本発明の目的は、このような
従来技術の課題を解決し、表面処理皮膜中にクロムなど
の重金属を含まず、しかも優れた耐食性が得られる表面
処理鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、めっき鋼板の腐食を抑制するための腐
食抑制の原理について以下のような検討を行った。表面
処理皮膜を形成した亜鉛系めっき鋼板の腐食は以下の過
程で進む。 (1) 表面処理皮膜中に腐食因子(酸素、水、塩素イオン
など)が浸入し、これらがめっき皮膜/表面処理皮膜界
面に拡散する。 (2) めっき皮膜/表面処理皮膜界面において、以下のよ
うな酸化還元反応により亜鉛が溶解する。 カソード反応:2HO+O+4e → 4OH アノード反応:2Zn → 2Zn2++4e
【0010】したがって、亜鉛系めっき鋼板の耐食性向
上には、上記(1)、(2)の両方の反応の進行を抑制するこ
とが不可欠であり、そのためには、 腐食因子の拡散障壁となる高度なバリア層(主とし
て上記カソード反応を抑制する作用をする) めっき皮膜表層を不活性化するめっき金属との反応
層(主として上記アノード反応を抑制する作用をする) を有する皮膜構成とすること、さらに好ましくは、上記
反応層に欠損が生じた場合に自己補修作用が働くような
皮膜構成とすることが最も効果的である。
【0011】本発明者は、このような皮膜構成を、従来
技術のようにバリア層形成成分と反応層形成成分とを個
別にコーティングすることにより形成した二層皮膜では
なく、1回のコーティングにより形成した単層皮膜内に
実現させること、具体的には、皮膜上部に上記のバリ
ア層(後述する有機樹脂マトリックス層)を、皮膜下部
に上記の反応層(後述する非晶質化合物層)をそれぞ
れ構成させること、さらに好ましくは皮膜内に自己補修
作用を生じさせる物質を析出させることにより、これら
の相乗効果によって顕著な耐食性向上効果が得られるこ
とを見い出した。このような単層皮膜を擬似二層皮膜と
定義すると、この擬似二層皮膜を構成するバリア層と反
応層との間には、従来型の2回コーティングにより形成
された二層皮膜間のような明確な界面は存在しない。む
しろ両者を傾斜組成化することにより、従来型の単層コ
ーティングでは得られない高度の耐食性向上効果を発揮
できるものと考えられる。
【0012】本発明者らが鋭意検討を行った結果、上記
のような擬似二層皮膜は水分散性樹脂または水溶性樹脂
に、シランカップリング剤と特定の酸成分(リン酸及び
/又はヘキサフルオロ金属酸)を配合した表面処理組成
物を亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の
表面に塗布し、乾燥させることにより得られることが判
った。
【0013】シランカップリング剤はこれまでにも無機
化合物と有機化合物との密着性を向上させる作用を有す
ることが知られており、めっき金属と水分散性樹脂また
は水溶性樹脂との密着性を高めることが可能である。こ
のようなシランカップリング剤の既知の作用効果に対し
て、本発明では、表面処理組成物に含まれる酸成分がめ
っき皮膜表面をエッチングによって活性化し、シランカ
ップリング剤がこの活性化されためっき金属と皮膜形成
樹脂の両方と化学結合することで、めっき金属と皮膜形
成樹脂との極めて優れた密着性が得られるものと考えら
れる。つまり、表面処理組成物中にシランカップリング
剤と特定の酸成分とを複合添加することにより、シラン
カップリング剤を単独添加した場合に比べ、めっき金属
と皮膜形成樹脂との密着性が格段に高められ、これが耐
食性の向上に寄与するものと考えられる。
【0014】本発明において上述した皮膜構成の擬似二
層皮膜が形成されるメカニズムは必ずしも明らかではな
いが、表面処理組成物中の酸成分とめっき皮膜表面との
反応が皮膜形成に関与している可能性がある。また一方
において、シランカップリング剤が関与した以下のよう
な作用も考えられる。すなわち、水溶液中で加水分解し
たシランップリング剤がシラノール基(Si−OH)を
有しているため、酸成分により活性化されためっき金属
表面に対するシランップリング剤の水素結合的な吸着作
用が促進され、めっき金属表面にシランップリング剤が
濃化し、その後、乾燥することにより脱水縮合反応が起
きて強固な化学結合となり、これにより皮膜下部の反応
層が形成されるとともに、皮膜上部に濃化した水分散性
樹脂および/または水溶性樹脂によりバリア層が形成さ
れる、というメカニズムによる可能性もある。また、以
上述べたような作用が複合的に生じている可能性もあ
る。また、以上のような皮膜の形成過程において、溶解
した亜鉛などのめっき金属と酸成分との反応生成物(化
合物)が皮膜中に析出するものと考えられる。
【0015】このような擬似二層皮膜の防食機構につい
ても必ずしも明らかではないが、個々の防食機構として
は、上記のバリア層が腐食因子(酸素、水、塩素イオ
ンなど)の透過を抑制して腐食の要因となるカソード反
応を効果的に抑制すること、また、上記の反応層がめ
っき皮膜表層を不活性化して腐食の要因となるアノード
反応を効果的に抑制すること、さらに、皮膜中に析出し
た析出化合物が腐食環境下で溶解して酸成分(リン酸イ
オンなど)が生成し、この酸成分がめっき皮膜から溶出
した亜鉛イオンなどの金属イオンを捕捉(金属イオンと
結合して不溶性化合物を形成)する自己補修作用が得ら
れること、さらには、シランカップリング剤が酸成分に
よって活性化されためっき金属面と強固に結合し、めっ
き金属の溶解を抑制するとともに、皮膜形成樹脂とも結
合することにより、密着性の高い緻密な皮膜が形成でき
ること、等が考えられ、これらによる複合的な防食機構
により、極めて優れた耐食性(耐白錆性)が得られるも
のと考えられる。
【0016】また、この表面処理組成物中に水溶性リン
酸塩や非クロム系防錆添加剤を配合することにより、さ
らに優れた耐食性が得られることが判った。これは水溶
性リン酸塩も上記と同様に、その難溶性皮膜が腐食因子
へのバリア性を発揮するとともに、溶出しためっき金属
イオンをリン酸成分が捕捉し、めっき金属イオンととも
に沈殿性生物を形成することが考えられる。また、非ク
ロム系防錆添加剤は、腐食の起点で保護皮膜を形成する
ためにさらなる優れた防食性能が得られる。実際には、
これらの複合的な硬化により非常に優れた防食性能が得
られる。
【0017】本発明は、このような知見に基づきなされ
たもので、その特徴は以下のとおりである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板
の表面に、(a)水分散性樹脂および/または水溶性樹
脂と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸お
よび/またはヘキサフルオロ金属酸を含有する表面処理
組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚
が0.02〜5μmの表面処理皮膜を有することを特徴
とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0018】[2] 上記[1]の表面処理鋼板において、表
面処理組成物が、シランカップリング剤を水分散性樹脂
および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対し
て1〜300重量部、リン酸および/またはヘキサフル
オロ金属酸を水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の
固形分100重量部に対して0.1〜80重量部含有す
ることを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。 [3] 上記[1]または[2]の表面処理鋼板において、表面処
理組成物がさらに、水溶性リン酸塩を、水分散性樹脂お
よび/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して
固形分で0.1〜60重量部含有することを特徴とする
耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0019】[4] 上記[3]の表面処理鋼板において、表
面処理組成物が水溶性リン酸塩として、カチオン成分と
成分のモル比[カチオン]/[P]が
0.4〜1.0であって、且つカチオン種がMn、M
g、Al、Niの中から選ばれる1種以上である水溶性
リン酸塩を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた
表面処理鋼板。 [5] 上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、
表面処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、水
分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重
量部に対して固形分で0.1〜50重量部含有すること
を特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0020】[6] 上記[5]の表面処理鋼板において、表
面処理組成物が非クロム系防錆添加剤として、下記(e
1)〜(e5)の群の中から選ばれる1つ以上の防錆添加
剤を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処
理鋼板。 (e1)酸化ケイ素 (e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物 (e3)難溶性リン酸化合物 (e4)モリブデン酸化合物 (e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の、S原子を含有する有機化合物 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの表面処理鋼板において、
表面処理組成物がさらに、固形潤滑剤を、水分散性樹脂
および/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対し
て固形分で1〜50重量部含有することを特徴とする耐
白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0021】[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの表面処理鋼
板において、表面処理組成物が、シランカップリング剤
として、反応性官能基としてアミノ基を有するシランカ
ップリング剤の少なくとも1種を含有することを特徴と
する耐白錆性に優れた表面処理鋼板。 [9] 上記[1]〜[8]のいずれかの表面処理鋼板において、
表面処理組成物が、ヘキサフルオロ金属酸としてTi、
Si、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキ
サフルオロ金属酸の少なくとも1種を含有することを特
徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0022】[10] 上記[5]〜[9]のいずれかの表面処理
鋼板において、表面処理組成物が、(c)の成分として
リン酸を含有し、さらに水溶性リン酸塩として第一リン
酸アルミニウムを含有し、非クロム系防錆添加剤として
カルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴とす
る耐白錆性に優れた表面処理鋼板。 [11] 上記[1]〜[10]のいずれかの表面処理鋼板の皮膜厚
を0.02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上
層に、さらに皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有
機樹脂皮膜を有し、該有機樹脂皮膜と前記表面処理皮膜
の合計の皮膜厚が5μm以下であることを特徴とする耐
白錆性に優れた表面処理鋼板。
【0023】[12] 上記[1]〜[10]のいずれかに記載の表
面処理鋼板の製造方法であって、亜鉛系めっき鋼板又は
アルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)水分散性樹
脂および/または水溶性樹脂と、(b)シランカップリ
ング剤と、(c)リン酸および/またはヘキサフルオロ
金属酸を含有し、pHが0.5〜6に調製された表面処
理組成物を塗布し、水洗することなく50℃〜300℃
の到達板温で加熱乾燥し、皮膜厚が0.02〜5μmの
表面処理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優
れた表面処理鋼板の製造方法。 [13] 上記[12]の製造方法により得られた表面処理鋼板
の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満とした表面処理
皮膜の上層に、皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の
有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と合計した皮膜厚
が5μm以下となるように形成することを特徴とする耐
白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細とその限定理
由を説明する。本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜
鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっ
き鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr
合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−C
o合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、
Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合
金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Z
n−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金め
っき鋼板など)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−A
l−Mgめっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%M
g合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金め
っき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜
中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合め
っき鋼板(例えば、Zn−SiO分散めっき鋼板)な
どを用いることができる。
【0025】また、上記のようなめっきのうち、同種又
は異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用
いることもできる。また、本発明の表面処理鋼板のベー
スとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニ
ウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用い
ることができる。また、めっき鋼板としては、鋼板面に
予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のよ
うな各種めっきを施したものであってもよい。
【0026】めっき方法としては、電解法(水溶液中で
の電解または非水溶媒中での電解)、溶融法および気相
法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもで
きる。さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき
皮膜中に1〜2000ppm程度のNi,Co,Feの
微量元素を析出させたり、或いはめっき皮膜表面にN
i,Co,Feを含むアルカリ性水溶液又は酸性水溶液
による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させる
ようにしてもよい。
【0027】次に、上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミ
ニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜及
びこの皮膜形成用の表面処理組成物について説明する。
本発明の表面処理鋼板において亜鉛系めっき鋼板又はア
ルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮
膜は、(a)水分散性樹脂および/または水溶性樹脂
と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸およ
び/またはヘキサフルオロ金属酸を含有する表面処理組
成物を塗布し、乾燥することにより形成された表面処理
皮膜である。この表面処理皮膜はCrは全く含まない。
【0028】まず、上記(a)の成分である水分散性樹
脂または水溶性樹脂について説明する。適用できる有機
樹脂種としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリヒドロキ
シポリエーテル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、エチレ
ン−アクリル酸共重合体樹脂、アルキッド樹脂、ポリブ
タジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポ
リアミン樹脂、ポリフェニレン樹脂類及びこれらの樹脂
の2種以上の混合物若しくは付加重合物などが挙げられ
る。
【0029】(1)エポキシ樹脂 エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ノボラックなどをグリシジルエーテル化したエ
ポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイ
ド、エチレンオキサイド又はポリアルキレングリコール
を付加し、グリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、さ
らには脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリ
エーテル系エポキシ樹脂などを用いることができる。こ
れらエポキシ樹脂は、特に低温での硬化を必要とする場
合には、数平均分子量1500以上のものが望ましい。
なお、上記エポキシ樹脂は単独又は異なる種類のものを
混合して使用することもできる。
【0030】変性エポキシ樹脂としては、上記エポキシ
樹脂中のエポキシ基又はビドロキシル基に各種変性剤を
反応させた樹脂が挙げられる。例えば、乾性油脂肪酸中
のカルボキシル基を反応させたエポキシエステル樹脂、
アクリル酸、メタクリル酸などで変性したエポキシアク
リレート樹脂、イソシアネート化合物を反応させたウレ
タン変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂にイソシアネート
化合物を反応させたウレタン変性エポキシ樹脂にアルカ
ノールアミンを付加したアミン付加ウレタン変性エポキ
シ樹脂などを挙げることができる。
【0031】上記ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、
単核型若しくは2核型の2価フェノール又は単核型と2
核型との混合2価フェノールを、アルカリ触媒の存在下
にほぼ等モル量のエピハロヒドリンと重縮合させて得ら
れる重合体である。単核型2価フェノールの代表例とし
てはレゾルシン、ハイドロキノン、カテコールが挙げら
れ、2核型フェノールの代表例としてはビスフェノール
Aが挙げられ、これらは単独で使用しても或いは2種以
上を併用してもよい。
【0032】(2)ウレタン樹脂 ウレタン樹脂としては、例えば、油変性ポリウレタン樹
脂、アルキド系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリ
ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカー
ボネート系ポリウレタン樹脂などを挙げることができ
る。 (3)アルキド樹脂 アルキド樹脂としは、例えば、油変性アルキド樹脂、ロ
ジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、
スチレン化アルキド樹脂、シリコン変性アルキド樹脂、
アクリル変性アルキド樹脂、オイルフリーアルキド樹
脂、高分子量オイルフリーアルキド樹脂などを挙げるこ
とができる。
【0033】(4)アクリル系樹脂 アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸及び
その共重合体、ポリアクリル酸エステル及びその共重合
体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ポリ
メタクリル酸エステル及びその共重合体、ウレタン−ア
クリル酸共重合体(又はウレタン変性アクリル樹脂)、
スチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられ、さらに
これらの樹脂を他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂などによって変性させた樹脂を用いてもよ
い。
【0034】(5)エチレン樹脂(ポリオレフィン樹
脂) エチレン樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸
共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、カルボキ
シル変性ポリオレフィン樹脂などのエチレン系共重合
体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン系
アイオノマーなどが挙げられ、さらに、これらの樹脂を
他のアルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂など
によって変性させた樹脂を用いてもよい。 (6)アクリルシリコン樹脂 アクリルシリコン樹脂としては、例えば、主剤としてア
クリル系共重合体の側鎖又は末端に加水分解性アルコキ
シシリル基を含み、これに硬化剤を添加したものなどが
挙げられる。これらのアクリルシリコン樹脂を用いた場
合、優れた耐候性が期待できる。
【0035】(7)フッ素樹脂 フッ素樹脂としては、フルオロオレフィン系共重合体が
あり、これには例えば、モノマーとしてアルキルビニル
エーテル、シンクロアルキルビニルエーテル、カルボン
酸変性ビニルエステル、ヒドロキシアルキルアリルエー
テル、テトラフルオロプロピルビニルエーテルなどと、
フッ素モノマー(フルオロオレフィン)とを共重合させ
た共重合体がある。これらフッ素樹脂を用いた場合に
は、優れた耐候性と優れた疎水性が期待できる。 (8)フェノール樹脂 ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹
脂、多価フェノールカルボン酸(タンニン酸)、ポリビ
ニールフェノール誘導体などを用いることができる。
【0036】また、樹脂の乾燥温度の低温化を狙いとし
て、樹脂粒子のコア部分とシェル部分とで異なる樹脂種
類、又は異なるガラス転移温度の樹脂からなるコア・シ
ェル型水分散性樹脂を用いることができる。また、自己
架橋性を有する水分散性樹脂を用い、例えば、樹脂粒子
にアルコキシシラン基を付与することによって、樹脂の
加熱乾燥時にアルコキシシランの加水分解によるシラノ
ール基の生成と樹脂粒子間のシラノール基の脱水縮合反
応を利用した粒子間架橋を利用することができる。ま
た、表面処理皮膜に使用する樹脂としては、有機樹脂を
シランカップリング剤を介してシリカと複合化させた有
機複合シリケートも好適である。
【0037】本発明では表面処理皮膜の耐食性や加工性
の向上を狙いとして、特に熱硬化性樹脂を用いることが
望ましい。この場合、尿素樹脂(ブチル化尿素樹脂な
ど)、メラミン樹脂(ブチル化メラミン樹脂)、ブチル
化尿素・メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミ
ノ樹脂、ブロックイソシアネート、オキサゾリン化合
物、フェノール樹脂などの硬化剤を配合することができ
る。
【0038】以上述べた有機樹脂の中で、耐食性、加工
性、塗装性を考慮すると、エポキシ樹脂、エチレン系樹
脂が好ましく、特に、酵素などの腐食因子に対して優れ
た遮断性を有する熱硬化性のエポキシ樹脂や変性エポキ
シ樹脂が特に好適である。これらの熱硬化性樹脂として
は、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性変性エポキシ樹
脂、エポキシ基含有モノマーと共重合したアクリル系共
重合体樹脂、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、
エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、及びこれらの樹
脂の付加物もしくは縮合物などが挙げられ、これらのエ
ポキシ基含有樹脂の1種を単独で、または2種以上混合
して用いることができる。
【0039】次に、上記(b)の成分であるシランカッ
プリング剤について説明する。このシランカップリング
剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエ
トキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,
4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメト
キシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエト
キシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシア
ネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシ
シリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピ
ルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノ
エチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを
挙げることができ、これらの1種を単独でまたは2種以
上を混合して使用することができる。
【0040】本発明において、表面処理組成物が特定の
酸成分とともにシランカップリング剤を含むことにより
耐白錆性が向上するには、先に述べたような理由が考え
られる。また、上記シランカップリング剤のなかでも、
上記(a)の水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と
反応性が高い官能基を有するという観点から、特に反応
性官能基としてアミノ基を有すシランカップリング剤が
好ましい。このようなシランカップリング剤としては、
例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシランなどが挙げられ、具体的には、信越化
学(株)製のKBM−903、KBE−903、KBM
−603、KBE−602、KBE−603(いずれも
商品名)などを用いることができる。
【0041】シランカップリング剤の配合量は、上記
(a)の成分である水分散性樹脂および/または水溶性
樹脂の固形分100重量部に対して1〜300重量部、
好ましくは5〜100重量部、さらに好ましくは15〜
50重量部とするのが適当である。シランカップリング
剤の配合量が1重量部未満では耐食性が劣り、一方、3
00重量部を超えると十分な皮膜が形成できないため、
水分散性樹脂および/または水溶性樹脂との密着性とバ
リア性を高める効果が発揮できず、耐食性が低下する。
【0042】次に、上記(c)の成分であるリン酸およ
び/またはヘキサフルオロ金属酸は、不活性なめっき金
属表面に作用してめっき金属表面を活性化させる作用を
有する。このリン酸とヘキサフルオロ金属酸はそれぞれ
単独で用いてもよいし、併用してもよい。ヘキサフルオ
ロ金属酸の種類は特に限定されないが、先に述べた擬似
二層皮膜の反応層を効果的に形成させるという観点か
ら、特にフッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、けいフッ
酸などのようなTi、Si、Zrの中から選ばれる1種
以上の元素を含むヘキサフルオロ金属酸が好ましく、こ
れらの1種または2種以上を用いることができる。
【0043】リン酸および/またはヘキサフルオロ金属
酸の配合量は、上記(a)の成分である水分散性樹脂お
よび/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対し
て、合計で0.1〜80重量部、好ましくは1〜60重
量部、さらに好ましくは5〜50重量部とするのが適当
である。リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸の
配合量が0.1重量部未満では耐食性が劣り、一方、8
0重量部を超えると皮膜形成後の外観ムラが生じやす
い。
【0044】表面処理組成物には、耐食性向上を目的と
して、必要に応じて水溶性リン酸塩を配合することがで
きる。この水溶性リン酸塩としては、例えば、オルトリ
ン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの金属
塩の1種又は2種以上を用いることができる。また、有
機リン酸の塩(例えば、フィチン酸、フィチン酸塩、ホ
スホン酸、ホスホン酸塩およびこれらの金属塩)の1種
以上を添加してもよい。また、それらのなかでも第一リ
ン酸塩が表面処理組成物の安定性などの面から好適であ
る。皮膜中でのリン酸塩の存在形態も特別な限定はな
く、また、結晶若しくは非結晶であるか否かも問わな
い。また、皮膜中でのリン酸塩のイオン性、溶解度につ
いても特別な制約はない。水溶性リン酸塩を配合するこ
とにより耐食性が向上する理由は、水溶性リン酸塩が皮
膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成するためであると
考えられる。
【0045】先に述べたようにシランカップリング剤は
活性化されためっき金属と皮膜形成樹脂の両方と化学結
合することで、めっき金属と皮膜形成樹脂との優れた密
着性と耐食性が得られるが、めっき金属表面には不可避
的に不活性な部分が存在し、このような不活性なサイト
では上記化学結合が生じにくく防錆効果を十分発揮でき
ない。水溶性リン酸塩はこのようなめっき皮膜の部分に
対して、皮膜形成時に緻密な難溶性化合物を形成する。
すなわち、水溶性リン酸塩のリン酸イオンによるめっき
皮膜の溶解に伴いめっき皮膜/表面処理組成物界面でp
Hが上昇し、その結果、水溶性リン酸塩の沈殿物皮膜が
形成され、これが耐食性の向上に寄与する。
【0046】また、特に優れた耐食性を得るというの観
点からは、水溶性リン酸塩のカチオン種としてはAl、
Mn、Ni、Mgが特に望ましく、これらの中から選ば
れる1種以上の元素を含む水溶性リン酸塩を用いること
が好ましい。このような水溶性リン酸塩としては、例え
ば、第一リン酸アルミニウム、第一リン酸マンガン、第
一リン酸ニッケル、第一リン酸マグネシウムが挙げら
れ、これらのうちでも特に第一リン酸アルミニウムが最
も好ましい。また、そのカチオン成分とP成分の
モル比[カチオン]/[P]は0.4〜1.0で
あることが好ましい。モル比[カチオン]/[P
]が0.4未満では可溶性のリン酸によって皮膜
の難溶性が損なわれ、耐食性が低下するので好ましくな
い。一方、1.0を超えると処理液安定性が著しく失わ
れるので好ましくない。
【0047】この水溶性リン酸塩の配合量は、上記
(a)の成分である水分散性樹脂および/または水溶性
樹脂の固形分100重量部に対して、固形分で0.1〜
60重量部、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好
ましくは1〜30重量部とするのが適当である。水溶性
リン酸塩の配合量が0.1重量部未満では耐食性の向上
効果が十分でなく、一方、60重量部を超えると処理液
のpHが低下するため反応性が強くなり、外観ムラを生
じやすくなる。
【0048】表面処理組成物には、耐食性向上を目的と
して、必要に応じて非クロム系防錆添加剤を配合するこ
とができる。表面処理組成物中にこのような非クロム系
防錆添加剤を配合することにより、特に優れた防食性能
(自己補修性)を得ることができる。この非クロム系防
錆添加剤は、特に下記(e1)〜(e5)の群の中から選
ばれる1つ以上を用いることが好ましい。 (e1)酸化ケイ素 (e2)カルシウム又はカルシウム化合物 (e3)難溶性リン酸化合物 (e4)モリブデン酸化合物 (e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の、S原子を含有する有機化合物 これら(e1)〜(e5)の非クロム系防錆添加剤の詳細
及び防食機構は以下の通りである。
【0049】まず、上記(e1)の成分としては微粒子
シリカであるコロイダルシリカや乾式シリカを使用する
ことができるが、耐食性の観点からは特に、カルシウム
をその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカを
使用するのが望ましい。コロイダルシリカとしては、例
えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、3
0、40、C、S(いずれも商品名)を用いることがで
き、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル
(株)製のAEROSIL R971、R812、R8
11、R974、R202、R805、130、20
0、300、300CF(いずれも商品名)を用いるこ
とができる。また、カルシウムイオン交換シリカとして
は、W.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C303、
SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5
(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSH
IELDEX、SHIELDEX SY710(いずれ
も商品名)などを用いることができる。これらシリカ
は、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物
の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に
形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
【0050】また、上記(e2)、(e3)の成分は沈殿
作用によって特に優れた防食性能(自己補修性)を発現
する。上記(e2)の成分であるカルシウム化合物は、
カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩
のいずれでもよく、これらの1種または2種以上を使用
できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はな
く、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む
単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウ
ム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム
以外のカチオンを含む複塩を使用してももよい。この
(e2)の成分は、腐食環境下においてめっき金属であ
る亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解
し、これがカソード反応により生成したOHと緻密で
難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制
する。また、上記のようなシリカとともに配合された場
合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を
電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶
性の保護皮膜が生成して腐食が封鎖し、腐食反応を抑制
する。
【0051】また、上記(e3)である難溶性リン酸化
合物としては、難溶性リン酸塩を用いることができる。
この難溶性リン酸塩は単塩、複塩などの全ての種類の塩
を含む。また、それを構成する金属カチオンに限定はな
く、難溶性のリン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸
カルシウム、リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カ
チオンでもよい。また、リン酸イオンの骨格や縮合度な
どにも限定はなく、正塩、二水素塩、一水素塩または亜
リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩はオルトリン
酸塩の他、ポリリン酸塩などの全ての縮合リン酸塩を含
む。この難溶性リン化合物は、腐食によって溶出しため
っき金属の亜鉛やアルミニウムが、加水分解により解離
したリン酸イオンと錯形成反応により緻密で且つ難溶性
の保護皮膜を生成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑
制する。
【0052】また、上記(e4)のモリブデン酸化合物
としては、例えば、モリブデン酸塩を用いることができ
る。このモリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定は
なく、例えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸
塩、メタモリブデン酸塩などが挙げられる。また、単
塩、複塩などの全ての塩を含み、複塩としてはリン酸モ
リブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン酸化合物は
不動態化効果によって自己補修性を発現する。すなわ
ち、腐食環境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密
な酸化物を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応
を抑制する。
【0053】また、上記(e5)の有機化合物として
は、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
すなわち、トリアゾール類としては、1,2,4−トリ
アゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3
−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ
−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−
ベンゾトリアゾールなどが、またチオール類としては、
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、
2−メルカプトベンツイミダゾールなどが、またチアジ
アゾール類としては、5−アミノ−2−メルカプト−
1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−
1,3,4−チアジアゾールなどが、またチアゾール類
としては、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾー
ル、2−メルカプトベンゾチアゾール類などが、またチ
ウラム類としては、テトラエチルチウラムジスルフィド
などが、それぞれ挙げられる。これらの有機化合物は吸
着効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食
によって溶出した亜鉛やアルミニウムがこれらの有機化
合物が有する硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を
形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制す
る。
【0054】非クロム系防錆添加剤の配合量は、上記
(a)の成分である水分散性樹脂および/または水溶性
樹脂の固形分100重量部に対して、固形分で0.1〜
50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好
ましくは1〜20重量部とするのが適当である。この非
クロム系防錆添加剤の配合量が0.1重量部未満では、
耐アルカリ脱脂後の耐食性向上効果が十分に得られず、
一方、50重量部を超えると塗装性及び加工性が低下す
るだけでなく、耐食性も低下するので好ましくない。な
お、上記(e1)〜(e5)の防錆添加剤を2種以上複合
添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用
が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特
に、上記(e1)の成分としてカルシウムイオン交換シ
リカを用い、且つこれに(e3)、(e4)、(e5)の
成分の1種以上、特に好ましくは(e3)〜(e5)の成
分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得ら
れる。
【0055】表面処理組成物には、皮膜の加工性を向上
させる目的で、必要に応じて固形潤滑剤を配合すること
ができる。この固形潤滑剤としては、以下のようなもの
が挙げられる。 (1) ポリオレフィンワックス,パラフィンワックス:例
えば、ポリエチレンワックス、合成パラフィン、天然パ
ラフィン、マイクロワックス、塩素化炭化水素など (2) フッ素樹脂微粒子:例えば、ポリフルオロエチレン
樹脂(ポリ4フッ化エチレン樹脂等)、ポリフッ化ビニ
ル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂など
【0056】この他にも、脂肪酸アミド系化合物(例え
ば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレ
ンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、
オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレンビス脂
肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウ
ム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物(例え
ば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど)、グ
ラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレン
グリコール、アルカリ金属硫酸塩などを用いてもよい。
【0057】以上の固形潤滑剤のなかでも、特にポリエ
チレンワックス、フッ素樹脂系化合物(なかでも、ポリ
4フッ化エチレン樹脂微粒子)が好適である。ポリエチ
レンワックスとしては、ヘキスト社製のセリダスト96
15A、3715、3620、3910(いずれも商品
名)、三洋化成(株)製のサンワックス131−P、1
61−P(いずれも商品名)、三井石油化学(株)製の
ケミパールW−100、W−200、W−500、W−
800、W−950(いずれも商品名)などを用いるこ
とができる。
【0058】フッ素樹脂微粒子としては、テトラフルオ
ロエチレン微粒子が特に好ましく、ダイキン工業(株)
製のルブロンL−2、L−5(いずれも商品名)、三井
・デュポン社製のMP1100、1200(いずれも商
品名)、旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のフ
ルオンディスパージョンAD1、AD2、フルオンL1
40J、L150J、L155J(いずれも商品名)な
どが好適である。
【0059】また、これらのなかで、ポリオレフィンワ
ックスとテトラフルオロエチレンの併用により特に優れ
た潤滑効果が期待できる。固形潤滑剤の配合量は、上記
(a)の成分である水分散性樹脂および/または水溶性
樹脂の固形分100重量部に対して、固形分で1〜50
重量部、好ましくは3〜30重量部とするのが適当であ
る。上記(a)の成分である潤滑剤の配合量が1重量部
未満では潤滑効果が乏しく、一方80重量部を超えると
塗装性が低下する。
【0060】また、表面処理皮膜(および表面処理組成
物)中には、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例
えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタ
ン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブ
デン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムな
ど)、有機リン酸およびその塩(例えば、フィチン酸、
フィチン酸塩、ホスホン酸、ホスホン酸塩、及びこれら
の金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩な
ど)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジンおよびそ
の誘導体、チオール化合物、チオカルバミン酸塩など)
などの1種または2種以上を添加できる。
【0061】さらに必要に応じて、表面処理皮膜(およ
び表面処理組成物)中には添加剤として、有機着色顔料
(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機
顔料など)、着色染料(例えば、水溶性アゾ系金属染料
など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、導電性
顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金
属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、
カップリング剤(例えば、チタンカップリング剤な
ど)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種又は2種
以上を添加することができる。
【0062】以上のような成分を含む表面処理組成物に
より形成される表面処理皮膜は、乾燥膜厚が0.02〜
5μm、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは
0.3〜3μm、さらに好ましく0.5〜2μmとす
る。乾燥膜厚が0.02μm未満では耐食性が不十分で
あり、一方、5μmを超えると導電性や加工性が低下す
る。また、以上述べた表面処理皮膜の上層には、第2層
皮膜として有機樹脂皮膜を形成することができる。この
場合、第2層皮膜である有機樹脂皮膜の皮膜厚を0.0
2μm以上5μm未満、好ましくは0.05μm以上5
μm未満とするとともに、第1層皮膜である上記表面処
理皮膜の膜厚を0.02μm以上5μm未満、好ましく
は0.05μm以上5μm未満とし、且つ両皮膜の合計
が5μmを超えないようにすることが好ましい。
【0063】次に、以上述べた表面処理皮膜の具体的な
皮膜構造について説明する。本発明において亜鉛系めっ
き鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成さ
れる表面処理皮膜の皮膜構造は、P、Znまたは/およ
びAl、およびOを含有する非晶質化合物層と、その上
層の有機樹脂をマトリックスとする有機樹脂マトリック
ス層とからなるもので、好ましくは皮膜(非晶質化合物
層または/および有機樹脂マトリックス層)中に、P、
Znまたは/およびAl、およびOを含む析出化合物、
さらに好ましくはP、Znまたは/およびAl、Siお
よびOを含む析出化合物を含有したものである。この表
面処理皮膜はCrを全く含まない。
【0064】亜鉛系めっき鋼板などの下地めっき鋼板
に、クロムフリー皮膜によって優れた耐食性(耐白錆
性)を付与するためは、先に述べたように、 有機樹脂によって腐食因子の拡散障壁となる高度な
バリア層を形成し、カソード反応を抑制する。 表面処理組成物とめっき皮膜表層との反応によって
めっき皮膜表層に緻密な不活性層(反応層)を形成し、
この不活性層によるめっき皮膜表面の不活性化作用によ
ってアノード反応を抑制する。ことが効果的であり、さ
らに好ましくは、 上記不活性層の欠損部分(若しくは破損部分)と反
応してこれを修復し、その部分から溶出しようとする亜
鉛イオンなどの金属イオンを捕捉・難溶化する自己補修
物質を有する(すなわち、自己補修性を有する)。こと
が効果的である。
【0065】本発明の表面処理鋼板が有する上記表面処
理皮膜によれば、上層側の有機樹脂マトリックス層によ
って高度のバリア性(上記の作用)が付与されるとと
もに、下層側の非晶質化合物層によってめっき皮膜表層
の不活性化作用(上記の作用)が付与され、さらに、
好ましくは皮膜中に含有する析出化合物により自己補修
性(上記の作用)が付与され、これらの複合的な作用
により表面処理鋼板に高度な耐食性が付与されることに
なる。上記非晶質化合物層は、表面処理組成物とめっき
皮膜表層とが反応することにより生成した非晶質化合物
の濃化層ないし皮膜であり、めっき皮膜成分であるZ
n,Alに由来するZnまたは/およびAlを含む化合
物からなるものである。めっき鋼板が亜鉛系めっき鋼板
である場合、上記非晶質化合物の組成上の特徴は、Zn
とPを等モル含むこと、より具体的には、ZnとPのモ
ル比[Zn]/[P]が0.9〜1.4である点にあ
る。この化合物は第二リン酸塩系の化合物(例えば、Z
nHPO・2HO)であると推定される。
【0066】このような非晶質化合物層が形成されるこ
とにより優れた耐白錆性が得られるのは、すでに述べた
ように、この非晶質化合物層がめっき層表層を不活性化
することにより、腐食因子が上層側のバリア層(有機樹
脂マトリックス層)を突き抜けてめっき皮膜の表面に至
っても、白錆の発生に関わるアノード反応が抑制される
ためであると考えられる。この非晶質化合物層の層厚
は、耐食性の点から10nm以上であることが好まし
い。非晶質化合物層を積極的に形成させるためには、表
面処理組成物を塗布した後の加熱処理を誘導加熱方式
(誘導加熱炉)で行うことが好ましい。これは、誘導加
熱方式による加熱では、鋼板側から加熱されるためめっ
き皮膜と表面処理組成物との反応が促進され、非晶質化
合物層の生成に有利な条件となるからである。
【0067】表面処理皮膜は、通常、表面処理組成物に
含まれるシランカップリング剤に由来するシラン化合物
を含有している。なお、このシラン化合物は、シランカ
ップリング剤としての組成で含有されている場合も含
む。また、表面処理皮膜により高度な耐白錆性を付与す
るためには、表面処理皮膜が特定の析出化合物を含有す
ることが好ましい。この析出化合物は、P、Znまたは
/およびAl、及びOを含む非晶質の析出化合物であ
り、さらにこの析出化合物がSiを含むことにより、耐
白錆性の向上効果がより高められる。この析出化合物中
に含まれるZn,Alはめっき皮膜成分であるZn,A
lに由来するものであり、また、Siは表面処理組成物
に含まれるシランカップリング剤に由来するものであ
る。
【0068】上記析出化合物は、めっき皮膜から溶解し
ためっき金属と表面処理組成物中の主として酸成分との
反応生成物(化合物)であると考えられ、表面処理組成
物中に適量の酸成分(リン酸など)を含ませることによ
り皮膜中に生成(析出)させることができる。また、上
記析出物のうち、Siを含有する析出化合物は、表面処
理組成物中のシランカップリング剤成分が化合物中に取
り込まれたものであり、このような析出化合物も表面処
理組成物中のシランカップリング剤の添加量を適正化
(添加量を比較的多目にする)することにより皮膜中に
生成(析出)させることができる。
【0069】表面処理皮膜中に上記析出化合物が含有さ
れることにより耐白錆性が向上する理由は必ずしも明ら
かではないが、析出化合物から溶出したリン酸イオンな
どの酸成分が、腐食過程でめっき皮膜から溶出した亜鉛
イオンなどの金属イオンと結合して不溶性化合物が生成
され、安定な沈殿保護皮膜を形成して腐食を抑制する
(自己補修性を発揮する)ためであると推定される。ま
た、析出化合物にSiが含まれることによって、より優
れた耐白錆性が得られる理由も必ずしも明らかではない
が、Siの含有によって腐食環境下での析出化合物の溶
解性が高まること、析出化合物中のSiが非晶質化合物
層に取り込まれることにより、腐食過程でめっき皮膜か
ら溶出する亜鉛イオンなどの金属イオンとの反応生成物
がより安定になること、などの要因が考えられる。めっ
き鋼板が亜鉛系めっき鋼板である場合、通常、表面処理
皮膜が含有する析出化合物はZnとPを等モル含むもの
である。より具体的には、ZnとPのモル比[Zn]/
[P]が0.9〜1.4であり、この化合物は第二リン
酸塩系の化合物(例えば、ZnHPO・2HO)で
あると推定される。
【0070】一方、表面処理皮膜中にZnとPのモル比
[Zn]/[P]が1.0未満である析出化合物を析出さ
せた場合には、ZnとPを等モル含む析出化合物を析出
させた場合に較べて耐白錆性がより向上する。このモル
比[Zn]/[P]が1.0未満の析出化合物は、水に
可溶な第一リン酸塩(例えば、Zn(HPO
O)主体の化合物であると推定される。このような
化合物を析出させることによって特に優れた耐白錆性が
得られる理由は必ずしも明らかではないが、この析出化
合物が、非晶質化合物層の欠損部分から溶出しようとす
る亜鉛イオン等の金属イオンと反応して、難溶性の第二
リン酸塩(例えば、第二リン酸亜鉛)を形成すること
で、自己補修物質としての高度の機能を果たすためであ
ると推定される。
【0071】以上述べた表面処理皮膜の膜厚は、先に述
べたように、0.02〜5μm、好ましくは0.05〜
5μm、より好ましくは0.3〜3μm、さらに好まし
くは0.5〜2μmである。また、表面処理皮膜中に
は、先に述べたように非クロム系防錆添加剤、固形潤滑
剤などを含有させることができる。また、表面処理皮膜
を形成するための表面処理組成物は、上述したような化
合物層(非晶質化合物層)や析出化合物を生成させるた
め水溶媒系のものである必要があり、したがって、有機
樹脂も水分散性樹脂または/および水溶性樹脂が用いら
れる。
【0072】次に、上述した表面処理皮膜の皮膜組成の
測定方法の詳細について説明する。現在広く用いられて
いる透過電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分析装置に
より求めた皮膜断面の局所的な組成の定量値は、断面試
料の作成方法、データの測定条件、データ処理法、定量
補正計算法などによって変わってしまうのが実態であ
る。これは、透過電子顕微鏡で観察可能な未知試料に
適した元素分析用標準試料を逐次準備することが実質的
に不可能であるため、標準試料を用いない理論計算に基
づく定量計算を採用せざるを得ず、そのための計算モデ
ルが多様である、Na以下の軽元素に対するNa以上
の重元素の相対濃度の定量計算方法が世界的にも確立さ
れていない、などの理由によるものである。こうした状
況に加えて、断面試料の形状や断面試料の支持台などに
起因する、測定対象部分以外からの特性X線の取り扱い
方も定量結果を大きく左右する。
【0073】そこで、本発明では、上記皮膜組成の測定
に以下のような方法を用いた。まず、透過電子顕微鏡用
の断面試料の作成には、日立製作所社製の収束イオンビ
ーム加工装置(Focused Ion Beam: FIB)FB200
0Aに付設したマイクロサンプリング機構を用いた。な
お、FIB加工に先立って、断面試料を作成する表面処
理鋼板の試料片の表面には、イオンビーム照射によるダ
メージからこれを保護するため、Cの保護膜を200n
m前後フラッシュ蒸着し、その上にさらにAuの保護膜
を約100nmスパッタコーティングした。FIB加工
装置に導入した供試材の断面試料切り出し部分の表面に
は、FIB加工装置の化学気相蒸着(CVD)機構を用
いてさらにC保護膜を500nm前後被覆した上で、断
面試料の切り出し加工を行った。マイクロサンプリング
機構を用いて取り出した断面試料は、Mo製の半月板状
特殊メッシュの直線部分にCVD機構を利用して固定し
た上で、透過電子顕微鏡観察に適する膜厚まで仕上げ
た。このようにして作成した断面試料の組成分析には、
電界放出型電子銃を搭載したPhilips社製の透過電子顕
微鏡CM20FEGと、これに付設したSuper-UTW型
検出器を備えたEDAX社製のエネルギー分散型X線分析装
置Phoenixを用いた。なお、顕微鏡像観察ならびに元素
分析時の加速電圧はいずれも200kVとした。
【0074】非晶質化合物層および析出化合物の組成
は、これらの位置から収集したスペクトルデータからバ
ックグラウンド除去・ピーク分離・定量補正計算を行っ
て求めた。その際、バックグラウンド処理を自動で行う
と軽元素域での正味の強度(ネット強度)が適切に計算
されない場合があるため、ピークが出現しないエネルギ
ー位置をマニュアルで指定し、これを結ぶマニュアルバ
ックグラウンド方式で処理(除去)した。ピーク分離で
は、断面試料の支持台として使用するMoメッシュやA
uの保護層に起因するMoとAu、FIB加工に起因す
るGaなどの特性X線も考慮した。定量計算はいずれも
化成処理皮膜に含まれる各元素のK系列の特性X線を用
いて行った。なお、補正計算は薄膜近似で行い、補正因
子(いわゆるKAB因子)にはZaluzecのモデルを使用
した。表面処理皮膜の非晶質化合物層および析出化合物
のZnとPのモル比は、このようにして求めたZnとP
の原子濃度の比として求めることができる。
【0075】次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法に
ついて説明する。亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム
系めっき鋼板の表面に上記表面処理皮膜を形成するに
は、上述した組成を有する表面処理組成物(処理液)を
乾燥皮膜厚が上記範囲となるようにめっき鋼板面に塗布
し、水洗することなく加熱乾燥させる。表面処理組成物
(処理液)はpH0.5〜6、好ましくは2〜4に調整
することが望ましい。表面処理組成物のpHが0.5未
満では処理液の反応性が強すぎるため外観ムラが生じ、
一方、pHが6を超えると処理液の反応性が低くなり、
めっき金属と皮膜との結合が不十分となり耐食性が低下
する。
【0076】表面処理組成物をめっき鋼板面に形成する
方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法のいずれで
もよい。塗布処理方法としては、ロールコーター(3ロ
ール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダ
イコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズ
コーターなどによる塗布処理または浸漬処理、スプレー
処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量
の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能
である。
【0077】表面処理組成物をコーティングした後は、
水洗することなく加熱乾燥を行う。加熱乾燥手段として
は、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉
などを用いることができる。加熱乾燥は到達板温で30
〜300℃、好ましくは50〜300℃、より好ましく
は60〜250℃の範囲で行うことが望ましい。この加
熱乾燥温度が50℃未満では皮膜中に水分が多量に残
り、耐食性が不十分となる。また、300℃を超えると
非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じ耐食性
が低下する。また、上記のようにして形成された表面処
理皮膜の上層に第2層皮膜として有機樹脂皮膜を形成す
る場合には、第2層皮膜用の処理組成物を上述した膜厚
となるよう上記表面処理皮膜面に塗布し、加熱乾燥させ
る。処理組成物の塗布や加熱乾燥は、上述した表面処理
皮膜の形成に用いた方法に準じて行えばよい。
【0078】したがって、本発明の製造方法およびその
好ましい実施形態は以下のとおりである。 [1] 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の
表面に、(a)水分散性樹脂および/または水溶性樹脂
と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸およ
び/またはヘキサフルオロ金属酸を含有し、pHが0.
5〜6に調製された表面処理組成物を塗布し、水洗する
ことなく50℃〜300℃の到達板温で加熱乾燥し、皮
膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を形成すること
を特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方
法。
【0079】[2] 上記[1]の製造方法において、表面処
理組成物が、シランカップリング剤を水分散性樹脂およ
び/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して1
〜300重量部、リン酸および/またはヘキサフルオロ
金属酸を水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形
分100重量部に対して0.1〜80重量部含有するこ
とを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方
法。 [3] 上記[1]または[2]の製造方法において、表面処理組
成物がさらに、水溶性リン酸塩を、水分散性樹脂および
/または水溶性樹脂の固形分100重量部に対して固形
分で0.1〜60重量部含有することを特徴とする耐白
錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0080】[4] 上記[3]の製造方法において、表面処
理組成物が水溶性リン酸塩として、カチオン成分とP
成分のモル比[カチオン]/[P]が0.4
〜1.0であって、且つカチオン種がMn、Mg、A
l、Niの中から選ばれる1種以上である水溶性リン酸
塩を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処
理鋼板の製造方法。 [5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、表面
処理組成物がさらに、非クロム系防錆添加剤を、水分散
性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量部
に対して固形分で0.1〜50重量部含有することを特
徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0081】[6] 上記[5]の製造方法において、表面処
理組成物が非クロム系防錆添加剤として、下記(e1)
〜(e4)の群の中から選ばれる1つ以上の防錆添加剤
を含有することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理
鋼板の製造方法。 (e1)酸化ケイ素 (e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物 (e3)難溶性リン酸化合物 (e4)モリブデン酸化合物 (e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
上の、S原子を含有する有機化合物
【0082】[7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法に
おいて、表面処理組成物がさらに、固形潤滑剤を、水分
散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分100重量
部に対して固形分で1〜50重量部含有することを特徴
とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 [8] 上記[1]〜[7]のいずれかの製造方法において、表面
処理組成物が、シランカップリング剤として、反応性官
能基としてアミノ基を有するシランカップリング剤の少
なくとも1種を含有することを特徴とする耐白錆性に優
れた表面処理鋼板の製造方法。 [9] 上記[1]〜[8]のいずれかの製造方法において、表面
処理組成物が、ヘキサフルオロ金属酸としてTi、S
i、Zrの中から選ばれる1種以上の元素を含むヘキサ
フルオロ金属酸の少なくとも1種を含有することを特徴
とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0083】[10] 上記[5]〜[9]のいずれかの製造方法
において、表面処理組成物が、非クロム系防錆添加剤と
してカルシウムイオン交換シリカを含有することを特徴
とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 [11] 上記[1]〜[10]のいずれかの製造方法において、皮
膜厚が0.05〜5μmの表面処理皮膜を形成すること
を特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方
法。 [12] 上記[1]〜[10]のいずれかの製造方法により得られ
た表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm未満
とした表面処理皮膜の上層に、皮膜厚が0.02μm以
上5μm未満の有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と
合計した皮膜厚が5μm以下となるように形成すること
を特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方
法。 [13] 上記[11]の製造方法により得られた表面処理鋼板
の皮膜厚を0.05μm以上5μm未満とした表面処理
皮膜の上層に、皮膜厚が0.05μm以上5μm未満の
有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜厚と合計した皮膜厚
が5μm以下となるように形成することを特徴とする耐
白錆性に優れた表面処理鋼板の製造方法。
【0084】なお、上述した表面処理皮膜はめっき鋼板
の片面、両面のいずれに形成してもよく、めっき鋼板表
裏面の皮膜形態の組み合わせとしては、例えば、単層皮
膜(表面処理皮膜)/無処理、二層皮膜(表面処理皮膜
+有機樹脂皮膜)/無処理、単層皮膜(表面処理皮膜)
/二層皮膜(表面処理皮膜+有機樹脂皮膜)、二層皮膜
(表面処理皮膜+有機樹脂皮膜)/二層皮膜(表面処理
皮膜+有機樹脂皮膜)など、任意の形態とすることがで
きる。
【0085】
【実施例】[実施例1]表面処理組成物用の樹脂組成物
として表2に示す水分散性樹脂を用い、これにシランカ
ップリング剤(表3)、リン酸またはヘキサフルオロ金
属酸(表4)、水溶性リン酸塩(表5)、非クロム系防
錆添加剤(表6)、固形潤滑剤(表7)を適宜配合し、
塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間
攪拌し、表面処理組成物を調製した。
【0086】冷延鋼板をベースとした家電、建材、自動
車部品用のめっき鋼板である、表1に示すめっき鋼板を
処理原板として用いた。なお、鋼板の板厚は評価の目的
に応じて所定の板厚のものを採用した。このめっき鋼板
の表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥した後、上記表面
処理組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で
加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、表面処理組成物の固形分
(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速
度など)により調整した。得られた表面処理鋼板の皮膜
組成と品質性能(皮膜外観、耐白錆性、導電性、塗料密
着性)を評価した結果を表8〜表19に示す。なお、品
質性能の評価は以下のようにして行った。
【0087】(1)皮膜外観 各サンプルについて、皮膜外観の均一性(ムラの有り無
し)を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。 ○ :ムラが全く無い均一な外観 △ :ムラが若干目立つ外観 × :ムラが目立つ外観 (2)耐白錆性 各サンプルについて、塩水噴霧試験(JIS−Z−23
71)を施し、72時間経過後の白錆面積率で評価し
た。評価基準は以下の通りである。 ◎ :白錆面積率5%未満 ○ :白錆面積率5%以上、10%未満 ○−:白錆面積率10%以上、25%未満 △ :白錆面積率25%以上、50%未満 × :白錆面積率50%以上
【0088】(3)導電性 JIS C 2550により層間絶縁抵抗値を測定した。
評価基準は以下の通りである。 ○ :3Ω・cm/枚未満 △ :3〜5Ω・cm/枚 × :5Ω・cm/枚超え (4)塗料密着性 各サンプルについて、メラミン系の焼付塗料を塗装(膜
厚30μm)した後、沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁
盤目(10×10個,1mm間隔)のカットを入れて接
着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を
測定した。評価基準は以下の通りである。 ◎:剥離なし ○:剥離面積率5%未満 △:剥離面積率5%以上、20%未満 ×:剥離面積率20%以上
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【表7】
【0096】なお、表8〜表19中に記載の*1〜*8
は以下の内容を指す。 *1:表1に記載のNo.(めっき鋼板) *2:表2に記載のNo.(水分散性樹脂) *3:表3に記載のNo.(シランカップリング剤) *4:表4に記載のNo.(リン酸および/またはヘキ
サフルオロ金属酸) *5:表5に記載のNo.(水溶性リン酸塩) *6:表6に記載のNo.(防錆添加剤) *7:表7に記載のNo.(固形潤滑剤) *8:水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分
100重量部に対する重量部
【0097】
【表8】
【0098】
【表9】
【0099】
【表10】
【0100】
【表11】
【0101】
【表12】
【0102】
【表13】
【0103】
【表14】
【0104】
【表15】
【0105】
【表16】
【0106】
【表17】
【0107】
【表18】
【0108】
【表19】
【0109】[実施例2]本発明例1〜3では、表2のN
o.1のエポキシ系樹脂に対して、表3のNo.1のシ
ランカップリング剤とリン酸を配合した表面処理組成物
を用いた。また、比較例では表2のNo.1のエポキシ
系樹脂のみからなる表面処理組成物を用いた。これら表
面処理組成物を、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥し
た表1のNo.1のめっき鋼板にロールコーターにより
塗布し、140℃で加熱乾燥して0.5μmの膜厚の表
面処理皮膜を形成させた。
【0110】得られた表面処理鋼板に対して塩水噴霧試
験(JIS Z 2371)を実施し、白錆面積発生率が
5%になるまでの時間に基づき、耐白錆性を下記の評価
基準で評価した。その結果を、表面処理組成物の構成と
ともに表20に示す。 ◎ :120時間以上 ○ :72時間以上、120時間未満 ○−:48時間以上、72時間未満 △ :24時間以上、48時間未満 × :24時間未満
【0111】本発明例1〜3及び比較例の表面処理鋼板
の皮膜構造を調査した結果を以下に示す。なお、試料の
作成および測定などは先に述べた条件で行った。 ・比較例 図1に比較例の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真(明
視野像)を示す。比較例の表面処理皮膜は有機樹脂のバ
リア層のみからなるものであるため、表20に示される
ように耐白錆性は不十分である。
【0112】・本発明例1 図2に本発明例1の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真
(明視野像)を示す。これによれば、下層部分がP、Z
nおよびOを含み且つZnとPを等モル含んだ化合物層
(非晶質化合物層)、上層部分が有機樹脂マトリックス
層からなる表面処理皮膜が形成されていることが判る。
電子回折パターンによると、上記化合物層は非晶質状で
ある。表20に示されるように、本発明例1は白錆発生
時間にして比較例の3倍以上の耐食性を有している。
【0113】・本発明例2 図3に本発明例2の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真
(明視野像)を示す。これによれば、本発明例1と同様
に、表面処理皮膜の下層部分にはP、ZnおよびOを含
み且つZnとPを等モル含んだ化合物層(非晶質化合物
層)が形成されている。さらに、この本発明例2では、
表面処理皮膜中にP、ZnおよびOを含む化合物が析出
している。電子回折パターンによると、上記化合物層お
よび析出化合物は非晶質状である。表20に示されるよ
うに、本発明例2は白錆発生時間にして比較例の4倍以
上の耐食性を有している。
【0114】・本発明例3 図4に本発明例3の表面処理皮膜断面の電子顕微鏡写真
(明視野像)を示す。これによれば、本発明例1,2と
同様に、表面処理皮膜の下層部分にはP、ZnおよびO
を含み且つZnとPを等モル含んだ化合物層(非晶質化
合物層)が形成されている。さらに、この本発明例3で
は、表面処理皮膜中にZn、P、SiおよびOを含む化
合物が析出している。また、これらの析出化合物は、Z
nとPのモル比[Zn]/[P]が1.0未満であっ
た。電子回折パターンによると、上記化合物層および析
出化合物は非晶質状である。表20に示されるように、
本発明例3は白錆発生時間にして比較例の7倍以上の耐
食性を有している。
【0115】
【表20】
【0116】なお、表20中に記載の*1〜*4は以下
の内容を指す。 *1:表2に記載のNo.(水分散性樹脂) *2:表3に記載のNo.(シランカップリング剤) *3:表4に記載のNo.(リン酸および/またはヘキ
サフルオロ金属酸) *4:樹脂の固形分100重量部に対する重量部
【発明の効果】以上述べたように本発明の表面処理鋼板
は、皮膜中にクロムを含まないにもかかわらず非常に優
れた耐食性を有し、また皮膜外観や塗料密着性について
も優れた特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例の表面処理皮膜断面組織の電子顕微鏡拡
大写真
【図2】本発明例1の表面処理皮膜断面組織の電子顕微
鏡拡大写真
【図3】本発明例2の表面処理皮膜断面組織の電子顕微
鏡拡大写真
【図4】本発明例3の表面処理皮膜断面組織の電子顕微
鏡拡大写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉見 直人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 窪田 隆広 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 野呂 寿人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 仲道 治郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 馨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA02 AA08 AA09 AA11 AA12 BA03 BB01 BB08 CA13 CA23 CA26 CA27 CA29 CA37 CA38 DA02 DA03 DA06 DA11 EA11 EB11 4K044 AA02 AA06 AB02 BA02 BA04 BA06 BA10 BA14 BA17 BA19 BA20 BA21 BB04 BB05 BC02 BC09 CA11 CA15 CA17 CA53 CA62

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系
    めっき鋼板の表面に、 (a)水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、 (b)シランカップリング剤と、 (c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸を含
    有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形
    成された皮膜厚が0.02〜5μmの表面処理皮膜を有
    することを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 表面処理組成物が、シランカップリング
    剤を水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分1
    00重量部に対して1〜300重量部、リン酸および/
    またはヘキサフルオロ金属酸を水分散性樹脂および/ま
    たは水溶性樹脂の固形分100重量部に対して0.1〜
    80重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の
    耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 表面処理組成物がさらに、水溶性リン酸
    塩を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分
    100重量部に対して固形分で0.1〜60重量部含有
    することを特徴とする請求項1または2に記載の耐白錆
    性に優れた表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】 表面処理組成物が水溶性リン酸塩とし
    て、カチオン成分とP 成分のモル比[カチオン]
    /[P]が0.4〜1.0であって、且つカチオ
    ン種がMn、Mg、Al、Niの中から選ばれる1種以
    上である水溶性リン酸塩を含有することを特徴とする請
    求項3に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】 表面処理組成物がさらに、非クロム系防
    錆添加剤を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の
    固形分100重量部に対して固形分で0.1〜50重量
    部含有することを特徴とする請求項1、2、3または4
    に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  6. 【請求項6】 表面処理組成物が非クロム系防錆添加剤
    として、下記(e1)〜(e5)の群の中から選ばれる1
    つ以上の防錆添加剤を含有することを特徴とする請求項
    5に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。 (e1)酸化ケイ素 (e2)カルシウムおよび/またはカルシウム化合物 (e3)難溶性リン酸化合物 (e4)モリブデン酸化合物 (e5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール
    類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以
    上の、S原子を含有する有機化合物
  7. 【請求項7】 表面処理組成物がさらに、固形潤滑剤
    を、水分散性樹脂および/または水溶性樹脂の固形分1
    00重量部に対して固形分で1〜50重量部含有するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記
    載の耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  8. 【請求項8】 表面処理組成物が、シランカップリング
    剤として、反応性官能基としてアミノ基を有するシラン
    カップリング剤の少なくとも1種を含有することを特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の
    耐白錆性に優れた表面処理鋼板。
  9. 【請求項9】 表面処理組成物が、ヘキサフルオロ金属
    酸としてTi、Si、Zrの中から選ばれる1種以上の
    元素を含むヘキサフルオロ金属酸の少なくとも1種を含
    有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7または8に記載の耐白錆性に優れた表面処理鋼
    板。
  10. 【請求項10】 表面処理組成物が、非クロム系防錆添
    加剤としてカルシウムイオン交換シリカを含有すること
    を特徴とする請求項5、6、7、8または9に記載の耐
    白錆性に優れた表面処理鋼板。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9または10に記載の表面処理鋼板の皮膜厚を0.
    02μm以上5μm未満とした表面処理皮膜の上層に、
    さらに皮膜厚が0.02μm以上5μm未満の有機樹脂
    皮膜を有し、該有機樹脂皮膜と前記表面処理皮膜の合計
    の皮膜厚が5μm以下であることを特徴とする耐白錆性
    に優れた表面処理鋼板。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9または10に記載の表面処理鋼板の製造方法であ
    って、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板
    の表面に、 (a)水分散性樹脂および/または水溶性樹脂と、 (b)シランカップリング剤と、 (c)リン酸および/またはヘキサフルオロ金属酸 を含有し、pHが0.5〜6に調製された表面処理組成
    物を塗布し、水洗することなく50℃〜300℃の到達
    板温で加熱乾燥し、皮膜厚が0.02〜5μmの表面処
    理皮膜を形成することを特徴とする耐白錆性に優れた表
    面処理鋼板の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の製造方法により得
    られた表面処理鋼板の皮膜厚を0.02μm以上5μm
    未満とした表面処理皮膜の上層に、皮膜厚が0.02μ
    m以上5μm未満の有機樹脂皮膜を、前記表面処理皮膜
    厚と合計した皮膜厚が5μm以下となるように形成する
    ことを特徴とする耐白錆性に優れた表面処理鋼板の製造
    方法。
JP2002214589A 2001-07-23 2002-07-23 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 Pending JP2003105555A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002214589A JP2003105555A (ja) 2001-07-23 2002-07-23 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001220921 2001-07-23
JP2001-220921 2001-07-23
JP2002214589A JP2003105555A (ja) 2001-07-23 2002-07-23 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003105555A true JP2003105555A (ja) 2003-04-09

Family

ID=26619073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002214589A Pending JP2003105555A (ja) 2001-07-23 2002-07-23 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003105555A (ja)

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105554A (ja) * 2001-07-23 2003-04-09 Nkk Corp 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005120469A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料表面処理用組成物および表面処理方法
JP2005206888A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nippon Parkerizing Co Ltd 耐食性および上塗り塗装性に優れるリン酸亜鉛系処理材用後処理組成物、後処理方法ならびに後処理されたリン酸亜鉛系処理材
JP2005325427A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Jfe Steel Kk 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2006016676A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 表面処理鋼板及び表面処理薬剤並びに表面処理方法
JP2006213958A (ja) * 2005-02-02 2006-08-17 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料表面処理用組成物及び処理方法
JP2006257491A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Jfe Steel Kk 耐食性と外観色調に優れた表面処理鋼板の製造方法
JP2006281710A (ja) * 2005-04-04 2006-10-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 塗膜密着性に優れた塗装鋼板、及びその製造方法
WO2007144951A1 (ja) 2006-06-15 2007-12-21 Nippon Steel Corporation 被覆鋼板
WO2008062618A1 (fr) * 2006-11-21 2008-05-29 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Traitement de surface aqueux pour des matériaux métalliques prêts à l'emploi écologiques, matériaux métalliques traités en surface et matériaux métalliques prêts à l'emploi écologiques
JP2008208393A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Jfe Steel Kk 耐食性および連続高速プレス成形後の表面外観に優れる表面処理亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
US7476445B2 (en) 2006-10-02 2009-01-13 Nippon Steel Corporation Surface-treated metal sheet
JP2009242815A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Jfe Steel Corp 表面処理鋼板およびその製造方法
JP2010053413A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Kansai Paint Co Ltd 表面処理組成物
WO2011158513A1 (ja) * 2010-06-18 2011-12-22 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
WO2011158516A1 (ja) * 2010-06-18 2011-12-22 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
JP2012052163A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Nisshin Steel Co Ltd 表面処理液、表面処理鋼板およびその製造方法
JP2012092421A (ja) * 2010-09-30 2012-05-17 Nisshin Steel Co Ltd 化成処理Al系めっき鋼板およびその製造方法
WO2013038644A1 (ja) * 2011-09-14 2013-03-21 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
WO2013038643A1 (ja) * 2011-09-13 2013-03-21 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
CN105860826A (zh) * 2015-01-19 2016-08-17 深圳市堃琦鑫华股份有限公司 一种表面处理剂及粘结膜
US10125424B2 (en) 2012-08-29 2018-11-13 Ppg Industries Ohio, Inc. Zirconium pretreatment compositions containing molybdenum, associated methods for treating metal substrates, and related coated metal substrates
US10400337B2 (en) 2012-08-29 2019-09-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Zirconium pretreatment compositions containing lithium, associated methods for treating metal substrates, and related coated metal substrates
JP2022524623A (ja) * 2019-03-20 2022-05-09 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 電気メッキされたニッケル・亜鉛含有の保護層とケイ素含有のシーリング層とを有するスパークプラグハウジング、ならびにこのようなハウジングを有するスパークプラグ、およびこのようなハウジングの製造方法
CN114606485A (zh) * 2022-04-07 2022-06-10 东莞市精诚环保科技有限公司 一种高性能镁合金的钝化剂及其制备工艺与应用
US11518960B2 (en) 2016-08-24 2022-12-06 Ppg Industries Ohio, Inc. Alkaline molybdenum cation and phosphonate-containing cleaning composition

Cited By (44)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105554A (ja) * 2001-07-23 2003-04-09 Nkk Corp 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005120469A (ja) * 2003-09-26 2005-05-12 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料表面処理用組成物および表面処理方法
JP2005206888A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Nippon Parkerizing Co Ltd 耐食性および上塗り塗装性に優れるリン酸亜鉛系処理材用後処理組成物、後処理方法ならびに後処理されたリン酸亜鉛系処理材
JP4534592B2 (ja) * 2004-05-17 2010-09-01 Jfeスチール株式会社 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005325427A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Jfe Steel Kk 溶接可能な自動車用高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2006016676A (ja) * 2004-07-05 2006-01-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 表面処理鋼板及び表面処理薬剤並びに表面処理方法
JP4590952B2 (ja) * 2004-07-05 2010-12-01 住友金属工業株式会社 表面処理鋼板及び表面処理薬剤並びに表面処理方法
JP2006213958A (ja) * 2005-02-02 2006-08-17 Nippon Parkerizing Co Ltd 金属材料表面処理用組成物及び処理方法
JP2006257491A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 Jfe Steel Kk 耐食性と外観色調に優れた表面処理鋼板の製造方法
JP2006281710A (ja) * 2005-04-04 2006-10-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 塗膜密着性に優れた塗装鋼板、及びその製造方法
US8241742B2 (en) 2006-06-15 2012-08-14 Nippon Steel Corporation Coated steel sheet comprising a composite coat containing compounded resin particles
WO2007144951A1 (ja) 2006-06-15 2007-12-21 Nippon Steel Corporation 被覆鋼板
US7476445B2 (en) 2006-10-02 2009-01-13 Nippon Steel Corporation Surface-treated metal sheet
WO2008062618A1 (fr) * 2006-11-21 2008-05-29 Nihon Parkerizing Co., Ltd. Traitement de surface aqueux pour des matériaux métalliques prêts à l'emploi écologiques, matériaux métalliques traités en surface et matériaux métalliques prêts à l'emploi écologiques
JP2008208393A (ja) * 2007-02-23 2008-09-11 Jfe Steel Kk 耐食性および連続高速プレス成形後の表面外観に優れる表面処理亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法
JP2009242815A (ja) * 2008-03-28 2009-10-22 Jfe Steel Corp 表面処理鋼板およびその製造方法
JP2010053413A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Kansai Paint Co Ltd 表面処理組成物
JP5328981B2 (ja) * 2010-06-18 2013-10-30 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
US8895153B2 (en) 2010-06-18 2014-11-25 Nisshin Steel Co., Ltd. Chemical conversion coated plated steel sheet and method for producing same
WO2011158513A1 (ja) * 2010-06-18 2011-12-22 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
WO2011158516A1 (ja) * 2010-06-18 2011-12-22 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
US9890461B2 (en) 2010-06-18 2018-02-13 Nisshin Steel Co., Ltd. Chemical conversion coated plated steel sheet and method for producing same
TWI490114B (zh) * 2010-06-18 2015-07-01 Nisshin Steel Co Ltd 化學轉化處理鍍鋼板及其製造方法
US9260786B2 (en) 2010-06-18 2016-02-16 Nisshin Steel Co., Ltd. Chemical conversion coated plated steel sheet and method for producing same
TWI500500B (zh) * 2010-06-18 2015-09-21 Nisshin Steel Co Ltd 化學轉化鍍鋼板及其製造方法
CN103069047A (zh) * 2010-06-18 2013-04-24 日新制钢株式会社 化成处理镀层钢板及其制造方法
CN103069048A (zh) * 2010-06-18 2013-04-24 日新制钢株式会社 化成处理镀层钢板及其制造方法
JP5328980B2 (ja) * 2010-06-18 2013-10-30 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
JP2012052163A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Nisshin Steel Co Ltd 表面処理液、表面処理鋼板およびその製造方法
JP2012092421A (ja) * 2010-09-30 2012-05-17 Nisshin Steel Co Ltd 化成処理Al系めっき鋼板およびその製造方法
WO2013038643A1 (ja) * 2011-09-13 2013-03-21 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
JP2013060624A (ja) * 2011-09-13 2013-04-04 Nisshin Steel Co Ltd 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
WO2013038644A1 (ja) * 2011-09-14 2013-03-21 日新製鋼株式会社 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
JP2013060641A (ja) * 2011-09-14 2013-04-04 Nisshin Steel Co Ltd 化成処理めっき鋼板およびその製造方法
US10920324B2 (en) 2012-08-29 2021-02-16 Ppg Industries Ohio, Inc. Zirconium pretreatment compositions containing molybdenum, associated methods for treating metal substrates, and related coated metal substrates
US10125424B2 (en) 2012-08-29 2018-11-13 Ppg Industries Ohio, Inc. Zirconium pretreatment compositions containing molybdenum, associated methods for treating metal substrates, and related coated metal substrates
US10400337B2 (en) 2012-08-29 2019-09-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Zirconium pretreatment compositions containing lithium, associated methods for treating metal substrates, and related coated metal substrates
CN105860826A (zh) * 2015-01-19 2016-08-17 深圳市堃琦鑫华股份有限公司 一种表面处理剂及粘结膜
US11518960B2 (en) 2016-08-24 2022-12-06 Ppg Industries Ohio, Inc. Alkaline molybdenum cation and phosphonate-containing cleaning composition
JP2022524623A (ja) * 2019-03-20 2022-05-09 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 電気メッキされたニッケル・亜鉛含有の保護層とケイ素含有のシーリング層とを有するスパークプラグハウジング、ならびにこのようなハウジングを有するスパークプラグ、およびこのようなハウジングの製造方法
JP7256893B2 (ja) 2019-03-20 2023-04-12 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 電気メッキされたニッケル・亜鉛含有の保護層とケイ素含有のシーリング層とを有するスパークプラグハウジング、ならびにこのようなハウジングを有するスパークプラグ、およびこのようなハウジングの製造方法
US11979003B2 (en) 2019-03-20 2024-05-07 Robert Bosch Gmbh Spark plug housing having a galvanic nickel and zinc-containing protective layer and a silicon-containing sealing layer, spark plug having said housing, and method for producing said housing
CN114606485A (zh) * 2022-04-07 2022-06-10 东莞市精诚环保科技有限公司 一种高性能镁合金的钝化剂及其制备工艺与应用
CN114606485B (zh) * 2022-04-07 2023-11-28 东莞市精诚环保科技有限公司 一种高性能镁合金的钝化剂及其制备工艺与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003105555A (ja) 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
KR100776811B1 (ko) 내백청성이 우수한 표면처리 강판 및 그 제조 방법
US9127366B2 (en) Zinc-based metal coated steel sheet
EP1050603A1 (en) Surface treated steel sheet having excellent corrosion resistance and method for producing the same
EP1291453A1 (en) Organic coating covered steel sheet
JP3911965B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2003105554A (ja) 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP4844128B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板およびその製造方法
JP4935103B2 (ja) 表面処理鋼板
JP3903740B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3480396B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP4110750B2 (ja) 耐食性と導電性に優れた有機被覆鋼板
JP4099218B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP2005206947A (ja) 耐白錆性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JP4517737B2 (ja) 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP2000000519A (ja) 耐白錆性に優れた表面処理鋼板
JP2002363768A (ja) 高温多湿環境下での耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4123702B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3412537B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3412540B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4419533B2 (ja) 耐食性、導電性および皮膜外観に優れた表面処理鋼板
JP3911966B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4923607B2 (ja) 表面処理鋼板
JPH115062A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3412541B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050721

A977 Report on retrieval

Effective date: 20061204

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061219

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070417