JP2002506875A - 第18p染色体関連障害の診断及び治療のための方法及び組成物 - Google Patents

第18p染色体関連障害の診断及び治療のための方法及び組成物

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リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトにおける双極性情動障害(BAD)に関連する遺伝子である、哺乳動物HKNG1遺伝子に関する。本発明は特に、精神分裂病、注意欠陥障害、分裂感情性障害、双極性情動障害または単極性情動障害を含む、HKNG1神経精神医学的障害の診断評価、遺伝子診断及び予後のための方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年3月16日出願の米国仮出願第60/078,044号、1998年6月5日
出願の米国仮出願第60/088,312号および1998年10月28日出願の米国仮出願第60/1
06,056号(これらの各出願は参照により全体を本明細書に組み入れる)の優先権
を合衆国法典第35巻第119条(e)(1)に基づいて主張する、1999年1月22日出願の米
国特許出願第09/236,134号の部分継続出願である。
【0002】1.序論 本発明は第1に、中枢神経系関連障害(例えば神経精神医学的障害、特に双極 性情動障害および精神分裂病)および近視関連障害に関連していることを本明細
書に示す、HKNG1遺伝子に関する。本発明は、HKNG1遺伝子の配列を含む組換えDN
A分子およびクローニングベクター、ならびにそのようなDNA分子およびクローニ
ングベクターを含むように遺伝子操作された宿主細胞および非ヒト宿主生物を包
含する。本発明はさらに、HKNG1遺伝子産物、およびそのようなHKNG1遺伝子産物
に対する抗体に関する。本発明はまた、HKNG1遺伝子および遺伝子産物を使用す る方法(薬剤スクリーニングアッセイを含む)、ならびにHKNG1仲介型障害(双 極性情動障害などのHKNG1仲介型神経精神医学的障害を含む)およびHKNG1仲介型
近視障害(早期発症常染色体性優性近視など)の治療のための診断および治療方
法に関する。
【0003】2.発明の背景 障害の臨床的発現を神経系の構造および/または機能における明白な欠陥と相 関させることができる精神障害は、ごく少数にすぎない。そのような障害の周知
の例としては、単一遺伝子の変異までトレースすることができ、線条のニューロ
ンが変性するハンチントン病、および黒質線条体経路におけるドパミン作動性ニ
ューロンが変性するパーキンソン病が挙げられる。しかし、精神障害の大部分は
恐らく、神経系の構造および機能において、細胞および/または分子レベルでの 微妙な、および/または検出不可能な変化と密接に関連している。この検出可能 な神経学的欠陥を欠くということが、「神経精神医学的」障害(精神分裂病、注
意欠陥障害、分裂感情性障害、双極性情動障害または単極性情動障害、など)を
解剖的または生化学的異常が一目瞭然である神経学的障害から区別する。したが
って、臨床医が神経精神医学的障害の症状を治す、または改善する適切な治療コ
ースを評価し、処方することを可能とするために、そのような障害の原因となる
欠陥および神経性異常の同定が必要とされている。
【0004】 神経精神医学的障害のうち、最もよく見られ、そして最も破壊的な可能性のあ
るものの1つは、双極性気分障害(BP)または躁うつ病としても知られている双
極性情動障害(BAD)である。この障害は、上昇した気分(躁病)とうつ病とい う重大なエピソード(episode)によって特徴付けられる(Goodwinら, 1990, Mani
c Depressive Illness, Oxford University Press, New York)。BADの最も重症
で臨床的にはっきり分かる形態は、米国において2〜3百万人の患者がいるBP-I
(重症双極性情動(気分)障害)、およびSAD-M(分裂感情性障害躁病型)であ る。これらは、大うつ病(睡眠、食事、性行為などの律動的行動における混乱を
伴う低下した気分、すなわちうつ病によって規定される)を伴う、または伴わな
い、躁病の少なくとも1つの完全なエピソードによって特徴付けられる。BP-Iは
、より広く定義される表現型である単極性大うつ性障害(MDD)等の単極性情動 障害を有する家族などの病因論的により異質性の症候群を有する家族にしばしば
共分離(co-segregate)する(FreimerおよびReus, 1992, The Molecular and G
enetic Basis of Neurological Disease, Rosenbergら(編), Butterworths, New
York, 第 951-965頁; McInnesおよびFreimer, 1995, Curr. Opin. Genet. Deve
lop., 5, 376-381)。 BP-IおよびSAD-Mは、代表的な面を見ていると相互に区別
することがしばしば困難であって、類似した臨床経過をたどり、そして家族研究
において共に分離する、重症の気分障害である(Rosenthalら, 1980, Arch. Gen
eral Psychiat. 37, 804-810; LevinsonおよびLevitt, 1987, Am. J. Psychiat.
144, 415-426; Goodwinら, 1990, Manic Depressive Illness, Oxford Univers
ity Press, New York)。したがって、罹病した患者を効果的に診断し、治療す るために、このような神経精神障害を区別する方法が必要とされている。
【0005】 現在、BADについては、典型的には米国精神医学協会の精神障害の診断及び統 計マニュアル(DSM) (American Psychiatric Association’s Diagnostic and St
atistical Manual of Mental Disorders)の最新版に記載されている基準を用い て患者が評価されている。BADであると診断された患者を治療するためにリチウ ム塩、カルバマゼピン、およびバルプロ酸を含む多数の薬剤が使用されてきたが
、現在利用可能な薬剤のいずれも効果が不十分である。例えば、薬剤治療はBP-I
であると診断された患者の約60-70%にしか効果がない。さらに、例えば特定のBP
-I患者において、どの薬剤による治療が効果的であるかを予測することは、現在
の所不可能である。一般に、診断後、患者はある薬剤が効果的であると判明する
まで、次から次へと薬剤を処方される。このため、効果的な薬剤治療を早期に処
方することは、極めて危険な躁病性のエピソードの回避、もし有効な治療が見出
されなかった場合の進行性悪化の危険、および現在の治療の実質的な副作用の危
険、を含むいくつかの理由により非常に重要である。
【0006】 BADにおける遺伝的要素の存在は、分離比分析および双子研究によって強く支 持されている(Bertelsonら, 1997, Br. J. Psychiat. 130, 330-351; Freimer およびReus, 1992, The Molecular and Genetic Basis of Neurological Diseas
e, Rosenbergら(編), Butterworths, New York, 第 951-965頁; Paulsら, 1992,
Arch. Gen. Psychiat. 49, 703-708)。しかし、BP-Iに関与しているかもしれ ない遺伝子の染色体上の位置を同定しようとする努力は、以下の点でがっかりす
る結果をもたらした。すなわち、X染色体および第11染色体上においてBP-Iとマ ーカーが連鎖するという報告は、もとの家系の再分析において独立して繰り返す
ことも、確認することもできなかった。このことは、BAD連鎖研究に関し、単一 遺伝子座におけるロッドスコアが極めて高い場合であっても偽陽性であり得るこ
とを示している(Baronら, 1987, Nature 326, 289-292; Egelandら, 1987, Nat
ure 325, 783-787; Kelsoeら, 1989, Nature 342, 238-243; Baronら, 1993, Na
ture Genet. 3, 49-55)。
【0007】 最近の研究は、BAD遺伝子が第18pおよび21q染色体上に位置する可能性を示唆 している。しかし、両方の場合とも提案された候補領域は十分に規定されておら
ず、またどちらの位置についても明白な支持は存在しない(Berrettiniら, 1994
, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 5918-5921; Murrayら, 1994, Science 265,
2049-2054; Paulsら, 1995, Am. J. Hum. Genet. 57, 636-643; Maierら, 1995
, Psych. Res. 59, 7-15; Straubら, 1994, Nature Genet. 8, 291-296)。
【0008】 BADのように複数の遺伝子によって引き起こされると考えられている、よく見 られる疾患の遺伝子マッピングは、表現型の典型的に不明確な定義によって、病
因論上の異質性によって、そして疾患特性の遺伝的伝播様式についての不確実性
によって複雑にされうる。神経精神医学的障害においては、遺伝子的に変化を受
けていない患者から、変化した(affected)遺伝子型を有すると思われる患者を区
別することにさらに大きい曖昧さが存在する。例えば、気分障害を構成する診断
分類である広いグループ分け(すなわち、BP-I, SAD-M, MDDおよび軽躁病及び大
うつ病を伴う双極性情動(気分)障害(BP-II))の1以上を含めることによってBAD
に冒された表現型を規定することができる。
【0009】 したがって精神医学的遺伝子学が直面する最も大きい困難の1つは、表現型名
の有効性に関する不確実性である。なぜなら、臨床診断は臨床観察および主観的
報告にのみ基づくものだからである。また、神経精神医学的障害などの複雑な特
徴については、その特徴を引き起こす遺伝子をマップすることは以下の理由によ
り困難である。すなわち、(1)神経精神医学的障害の表現型は、単一の遺伝子
座に起因する古典的なメンデルの劣性または優性遺伝のパターンを示さない;(
2)不完全な浸透がありうる。すなわち、素因を与える対立遺伝子を受け継いだ
個体が疾患を示さない場合がある;(3)表現型模写現象が起りうる。すなわち
、素因を与える対立遺伝子を受け継いでいない個体が環境的な原因またはランダ
ムな原因によって疾患を発症する場合がある;(4)遺伝子的異質性が存在しう
る。この場合、いくつかの遺伝子のうち任意のものにおける突然変異が同一の表
現型をもたらしうる。
【0010】 しかし、これらの困難にもかかわらず、双極性情動障害などの神経精神医学的
障害を引き起こすことに関与する遺伝子および遺伝子産物の染色体上の位置、配
列及び機能の同定は、そのような障害に冒された家族のメンバーの遺伝子カウン
セリング、診断及び治療にとって非常に重要である。
【0011】3.発明の概要 本発明は、第1に、中枢神経系関連障害およびプロセスに関連する新規な核酸
分子の発見、同定および特徴づけに関する。上記中枢神経系関連障害およびプロ
セスとは、例えば、精神分裂病、注意欠陥障害、分裂感情性障害、気分変調性障
害、大うつ性障害、および重症双極性情動(気分)障害(BP-I)、軽躁病及び大う
つ病を伴う双極性情動(気分)障害(BP-II)を含む双極性情動障害(BAD)、等のヒト
神経精神医学的障害である。本発明はさらに、そのような核酸分子またはそれら
の縮重(例えば、対立遺伝子または相同)変異型によってコードされるタンパク
質の発見、同定および特徴付けに関する。本発明はさらに、早期発症常染色体性
優性近視などのヒト近視に関連する新規な核酸分子の発見、同定および特徴づけ
、ならびにそのような核酸分子またはそれらの縮重変異型によってコードされる
タンパク質の発見、同定および特徴づけに関する。
【0012】 特に、本発明の核酸分子は、第1に、本明細書においてHKNG1と呼ぶ遺伝子に 対応する核酸配列を表わす。第6、8および14節に記載する実施例に示すように 、HKNG1遺伝子は例えば神経精神医学的障害、特にBADなどのヒトCNS関連障害に 関連している。HKNG1遺伝子は、精神分裂病などの他のヒト神経精神医学的障害 にも関連している。第14節に記載する実施例に示すように、HKNG1遺伝子は早期 発症常染色体性優性近視などのヒト近視にも関連している。
【0013】 HKNG1遺伝子内の突然変異とBADの症状を示す個体との陽性相関(第6および8節
に記載)に加えて、本発明はさらに本出願人らによる新規なHKNG1 cDNA配列の発
見に部分的に基づいている。本出願人らによるそのようなcDNA配列の発見は、HK
NG1ゲノム(すなわち、上流の非翻訳、イントロン/エキソン、および下流の非 翻訳)構造の解明、ならびに全長および選択的にスプライシングされたHKNG1変 異型、およびそのような変異型によってコードされるポリペプチドの発見をもた
らした。これらの発見は、第7および10節に記述する。本出願人らによるそのよ
うなcDNA配列の発見はまた、新規な哺乳動物(例えば、モルモットおよびウシ)
HKNG1配列の解明、ならびにそのような配列の新規な対立遺伝子変異型および多 型の発見をもたらした。これらの発見は、第10節に記述する。
【0014】 本発明は以下のヌクレオチド配列含む核酸分子を包含する:(a)ヒトHKNG1 遺伝子を含む、および/またはヒトHKNG1遺伝子産物(例えば、配列番号2;配 列番号4)をコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号1、3、5、6、
36および37)、ならびにそれらの対立遺伝子変異型、相同体およびオーソログ(
ortholog)[ここには非ヒトHKNG1遺伝子産物(例えば、配列番号39、41、43、4
5および49)をコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号38、40、42、44 および46-48)が含まれる];(b)1以上のHKNG1ドメインの全部または一部を コードする配列が削除または変更されているHKNG1遺伝子産物の突然変異体また はその断片をコードする、本明細書に開示する新規なHKNG1配列を含むヌクレオ チド配列;(c)異種ポリペプチドと融合させたHKNG1遺伝子産物(例えば、配 列番号2;配列番号4)またはその一部を含む融合タンパク質をコードするヌク
レオチド配列;および(d)BADまたは精神分裂病などのHKNG1仲介型障害を発症
するおそれがある、または発症している個体を同定し診断するための、または早
期発症常染色体性優性近視を発症するおそれがある、または発症している個体を
診断するための本発明の方法において、例えばプライマーとして使用することが
できる、HKNG1遺伝子内のヌクレオチド配列およびHKNG1遺伝子の両側に位置する
第18p染色体ヌクレオチド配列。上記(a)から(d)の核酸分子としては、限 定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、およびRNA配列が含まれる。
【0015】 本発明はまた、上に列挙した核酸分子の発現産物、すなわち上記のHKNG1核酸 分子によってコードされるペプチド、タンパク質、糖タンパク質および/または ポリペプチドを包含する。
【0016】 本発明の組成物は、小分子(小さい有機分子など)および巨大分子(抗体を含
む)、ならびにHKNG1遺伝子発現を阻害するため(例えば、アンチセンスおよび リボザイム分子、および遺伝子または調節配列置換構築物)、またはHKNG1遺伝 子発現を増強するため(例えば、HKNG1遺伝子を強力なプロモーター系の制御下 に置く発現構築物)に用いることができるヌクレオチド配列を含む、HKNG1遺伝 子産物のアゴニストおよびアンタゴニストをさらに含む。
【0017】 本発明の組成物は、本発明の核酸分子を含有するクローニングベクターおよび
発現ベクター、ならびに本発明の核酸分子を含有するように遺伝子操作された細
胞および/または本発明の核酸分子を発現するように遺伝子操作された細胞を含 む、そのような核酸分子によって形質転換された宿主をさらに含む。細胞および
細胞系に加えて、宿主にはトランスジェニック非ヒト動物(または、その子孫)
、特にHKNG1トランスジーンを発現するように遺伝子操作された非ヒト哺乳動物 、またはHKNG1を発現しないように遺伝子操作された「ノックアウト」非ヒト哺 乳動物が含まれる。
【0018】 本発明のトランスジェニック非ヒト動物としては、正常な野生型動物よりも高
レベルまたは低レベルでHKNG1トランスジーンを発現するように遺伝子操作され た動物が含まれる。本発明のトランスジェニック動物はまた、HKNG1仲介型障害 (例えばBADおよび精神分裂病などのHKNG1仲介型神経精神医学的障害)または近
視障害(早期発症常染色体性優性近視など)に関連するHKNG1トランスジーンの 突然変異体または多型を発現するように遺伝子操作された動物を含む。本発明の
トランスジェニック動物はさらに、このように遺伝子操作された動物の子孫をも
含む。
【0019】 本発明はさらに、被験者におけるHKNG1仲介型神経精神医学的障害およびHKNG1
仲介型近視障害などのHKNG1仲介型障害を治療する方法に関する。これらの方法 は、障害の症状が改善されるようにHKNG1遺伝子の発現および/またはHKNG1遺伝 子産物の合成または活性をモジュレートする化合物を投与することを含む。
【0020】 本発明はさらに、HKNG1遺伝子の突然変異またはHKNG1の発現もしくは活性レベ
ルの異常によってもたらされた、被験者におけるHKNG1仲介型神経精神医学的障 害およびHKNG1仲介型近視障害などのHKNG1仲介型障害を治療する方法に関する。
これらの方法は、損傷されていないHKNG1遺伝子産物が発現されて障害の症状が 改善されるように、被験者に損傷されていないHKNG1遺伝子産物をコードする核 酸分子を供給することを含む。
【0021】 本発明はさらに、HKNG1遺伝子の突然変異またはHKNG1の発現もしくは活性レベ
ルの異常によってもたらされた、被験者におけるHKNG1仲介型神経精神医学的障 害およびHKNG1仲介型近視障害などのHKNG1仲介型障害を治療する方法に関する。
これらの方法は、細胞が損傷されていないHKNG1遺伝子産物を発現して障害の症 状が改善されるように、被験者に損傷されていないHKNG1遺伝子産物をコードす る核酸分子を含む細胞を供給することを含む。
【0022】 本発明はまた、HKNG1遺伝子に関連するHKNG1仲介型障害(BADおよび精神分裂 病などの神経精神医学的障害および早期発症常染色体性優性近視などの近視障害
を含む)を治療するための医薬組成物および方法を包含する。
【0023】 さらに、本発明は第18p染色体領域のマッピングのため、およびHKNG1仲介型障
害(HKNG1仲介型神経精神医学的障害またはHKNG1仲介型近視障害など)の診断評
価、遺伝子診断および予後のために、HKNG1核酸配列、ヒトHKNG1遺伝子の両側に
位置する第18p染色体ヌクレオチド配列および/またはHKNG1遺伝子産物の配列を 用いる方法に向けられている。例えば、1つの実施形態において、本発明はHKNG
1仲介型障害の診断方法に関し、その方法は患者サンプル中のHKNG1遺伝子発現を
測定する、またはそのような障害を有することが疑われる動物(ヒトを含む)の
ゲノムにおけるHKNG1多型または突然変異を検出することを含む。1つの実施形 態においては、診断用のハイブリダイゼーションプローブとして、またはBAD、 精神分裂病などの神経精神医学的障害と相関するHKNG1遺伝子における突然変異 、対立遺伝子変異および調節性欠陥を同定するための診断用PCR分析のためのプ ライマーとして、HKNG1をコードする核酸分子を用いることができる。
【0024】 本発明はさらに、HKNG1遺伝子の発現および/またはHKNG1遺伝子産物の合成ま たは活性をモジュレートする化合物を同定する方法に関する。上記化合物には、
HKNG1仲介型障害(BADおよび精神分裂病などのHKNG1仲介型神経精神医学的障害 を含む)の症状を軽減または消滅させる治療用化合物が含まれる。特に、HKNG1 遺伝子産物と相互作用する(例えば、HKNG1の活性をモジュレートし、および/ま
たはHKNG1遺伝子産物に結合する)化合物を同定するために用いることができる 細胞および非細胞アッセイを記述する。そのような細胞に基づく本発明のアッセ
イは、HKNG1遺伝子を発現する細胞、細胞系、または遺伝子操作された細胞もし くは細胞系を用いる。
【0025】 1つの実施形態においては、そのような方法はHKNG1遺伝子を発現する細胞に 化合物を接触させ、HKNG1遺伝子発現、遺伝子産物発現または遺伝子産物活性の レベルを測定し、そしてこのレベルを該化合物の不存在下における該細胞のHKNG
1遺伝子発現、遺伝子産物発現または遺伝子産物活性のレベルと比較することを 含む。該化合物の存在下におけるレベルが該化合物の不存在下におけるレベルと
異なる場合に、HKNG1遺伝子の発現および/またはHKNG1遺伝子産物の合成または 活性をモジュレートする化合物を同定する。
【0026】 別の実施形態においては、そのような方法は、HKNG1遺伝子を発現し、かつ、 その転写が少なくとも部分的にはHKNG1発現または活性に依存するリポーター構 築物を含有する細胞に化合物を接触させることを含む。このような実施形態にお
いては、リポーターの転写レベルが測定され、該化合物の不存在下における該細
胞のリポーター転写レベルと比較される。該化合物の存在下におけるリポーター
転写レベルがその不存在下におけるレベルと異なる場合に、HKNG1の発現またはH
KNG1関連回路もしくはシグナル伝達に関与する遺伝子の発現をモジュレートする
化合物を同定する。
【0027】 さらに別の実施形態においては、そのような方法は神経精神医学的障害(例え
ば、BADまたは精神分裂病)などのHKNG1仲介型障害に関連するHKNG1トランスジ ーンまたは突然変異HKNG1トランスジーンを発現するトランスジェニック動物な どの宿主、またはHKNG1を発現しないノックアウト動物などの動物に化合物を投 与し、そしてHKNG1遺伝子発現、遺伝子産物発現、遺伝子産物活性、またはHKNG1
仲介型神経精神医学的障害(例えば、BADまたは精神分裂病)などHKNG1仲介型障
害の症状のレベルを測定することを含む。測定したレベルを該化合物に暴露しな
かった宿主におけるレベルと比較する。宿主を該化合物に暴露した時のレベルが
宿主をそれに暴露しなかった時のレベルと異なる場合に、哺乳動物HKNG1遺伝子 の発現および/または哺乳動物HKNG1遺伝子産物の合成または活性、および/また は神経精神医学的障害(例えば、BADまたは精神分裂病)などHKNG1仲介型障害の
症状をモジュレートする化合物を同定する。
【0028】 本発明はさらに、HKNG1仲介型障害を有する個体に投与するのに効果的な薬剤 を選択するための薬理ゲノム学および薬理遺伝学的方法に関する。このような方
法は、治療剤の安全性および効果に影響を及ぼしうる、HKNG1遺伝子における遺 伝子多型または、HKNG1遺伝子産物の例えば変更されたメチル化、示差的スプラ イシング、または翻訳後修飾によるHKNG1遺伝子発現における変異の検出に基づ いている。
【0029】 上に簡単に論じたように、本発明はヒト神経精神医学的障害、特に双極性情動
障害に関連しているヒト第18染色体の短腕の特定部分へのHKNG1遺伝子の遺伝子 マッピングおよび物理的マッピングに部分的に基づいている。これらの結果は第
6節に示す実施例に記述する。本発明はまた、第7節に示す実施例に記述するHK
NG1のヌクレオチド配列、アミノ酸配列および発現パターンの解明に基づいてい る。本発明はさらに、第8節に示す実施例に記述する、神経精神医学的障害(特
にBAD)と陽性に相関するHKNG1遺伝子内の特定の突然変異および/または多型の 同定に基づいている。これらの突然変異は、非罹病個体由来の対応する野生型核
酸には存在しない、BADに罹病した個体に見いだされた点突然変異、およびBADを
有する個体集団において共分離(cosegregation)を示す3つのマーカーの連鎖不 平衡を含む。この突然変異は、配列番号2のポリペプチドのHKNG1アミノ酸残基2
02、または配列番号4のポリペプチドのHKNG1アミノ酸残基184における野生型グ
ルタミン酸残基がリシン残基に置換された突然変異HKNG1遺伝子産物をもたらす 1塩基突然変異である。これらの突然変異は、図5A-5Bに詳細を示す精神分裂病
およびBAD患者に見出された突然変異をさらに含む。
【0030】3.1.定義 本明細書で使用する場合、以下の用語は共に示す略語を使用する。
【0031】 BAC、細菌人工染色体 BAD、双極性情動障害 BP、双極性気分障害 BP-I、重症双極性情動(気分)障害 BP-II、軽躁病及び大うつ病を伴う双極性情動(気分)障害 bp、塩基対 EST、発現配列タグ HKNG1、ホンコン新規遺伝子1(Hong Kong new gene 1) lod、可能性(odds)の対数 MDD、単極性大うつ性障害 ROS、反応性酸素種 RT-PCR、逆転写酵素PCR SSCP、1本鎖コンフォーメーション多型 SAD-M、分裂感情性障害躁病型 STS、配列タグ付けされた部位 YAC、酵母人工染色体 「HKNG1仲介型障害」には、臨床的に正常な個体に見られるレベルに対する、 及び/またはそのレベルが基準線、すなわち平均HKNG1レベルを示す集団に見ら れるレベルに対する、HKNG1遺伝子発現、遺伝子産物合成及び/または遺伝子産 物活性の異常レベルに関与する障害が含まれる。いかなる特定のメカニズムに拘
束されることを意図するものではないが、障害の症状が、例えばこうした異常レ
ベルによって直接的または間接的に引き起こされ得ることは理解されるべきであ
る。あるいはまた、こうした異常レベルが、(例えば、HKNG1の異常レベルが第 2の遺伝子内の突然変異によって引き起こされる障害の症状を抑制する場合のよ
うに、)障害の症状を直接的または間接的に改善し得ることは理解されるべきで
ある。
【0032】 HKNG1仲介型障害としては、例えば中枢神経系(CNS)障害が挙げられる。CNS 障害としては、限定されるものではないが、アルツハイマー病、老年痴呆、ハン
チントン病、筋萎縮性側索硬化症、及びパーキンソン病、並びにジル・ド・ラ・
ツレット症候群等の認知及び神経変性性障害、高血圧症及び睡眠障害等の自律神
経機能障害、及び神経精神医学的障害が挙げられる。神経精神医学的障害として
は、限定されるものではないが、精神分裂病、分裂感情性障害、注意欠陥障害、
気分変調性障害、大うつ性障害、躁病、強迫性障害、精神活性物質使用障害、不
安、恐慌性障害、並びに、重症双極性情動(気分)障害(BP-I)、軽躁病及び大
うつ病を伴う双極性情動(気分)障害(BP-II)等の双極性情動障害が挙げられ る。更に別のCNS関連障害としては、例えば、米国精神医学協会の精神障害の診 断及び統計マニュアル(DSM)(American Psychiatric Association's Diagnost
ic and Statistical manual of Mental Disorders; その最新版を参照により全 体として本明細書に組み入れる)に挙げられたものが含まれる。
【0033】 「HKNG1仲介型プロセス」としては、HKNG1遺伝子発現、遺伝子産物合成及び/
または遺伝子産物活性のレベルに直接的または間接的に依存するか、及び/また
は応答するプロセスが含まれる。こうしたプロセスとしては、限定されるもので
はないが、例えば疼痛、欲求、長期記憶及び短期記憶等の、発達プロセス、認知
プロセス、自律神経プロセス及び神経学的プロセスが挙げられ得る。
【0034】4.図面の簡単な説明 (図面の説明については下記参照)5.発明の詳細な説明 5.1.HKNG1遺伝子 本分節では、HKNG1核酸分子について記述する。別途記載しない限り、「HKNG1
核酸」という用語は本明細書に記述する配列を一まとめにして指す。
【0035】 HKNG1ポリペプチドの全長アミノ酸配列(配列番号2)をコードするヒトHKNG1
cDNA配列(配列番号1)を図1A-1Bに示す。ヒトHKNG1遺伝子は、図1A-1B および
配列番号2に示す495アミノ酸残基からなる分泌されたポリペプチドをコードす る。HKNG1のコード領域(配列番号2)に対応する部分のcDNAのヌクレオチド配 列を配列番号5に示す。
【0036】 本発明のHKNG1配列はまた、本明細書に記述するHKNG1配列のスプライス変異型
をも含む。例えば、ヒトHKNG1変異型遺伝子産物(すなわち、HKNG1-V1遺伝子産 物)をコードする、HKNG1-V1と呼ばれる選択的にスプライシングされたヒトHKNG
1 cDNA配列(配列番号3)を図2A-2Bに示す。ヒトHKNG1遺伝子のこのスプライス
変異型は、図2A-2B および配列番号4に示す477アミノ酸残基からなる分泌され たポリペプチドをコードする。HKNG1のコード領域(配列番号4)に対応する部 分のcDNAのヌクレオチド配列を配列番号6に示す。
【0037】 HKNG1△7と呼ばれる別の選択的にスプライシングされたヒトHKNG1 cDNA配列 (配列番号65)は、図18に示す第2のHKNG1変異型遺伝子産物(HKNG1△7遺伝子 産物)をコードする。ヒトHKNG1遺伝子のこのスプライス変異型は、図18に示す 変異型ポリペプチド(配列番号66)をコードする。
【0038】 ヒトHKNG1遺伝子のゲノム構造が解明された。図3A-3Bにこれを示す。図中、HK
NG1エキソンを太字で示し、また5’および3’非翻訳領域を下線で示す。HKNG1遺
伝子の野生型ゲノム配列を図3A-3Rおよび配列番号7に示す。
【0039】 上述のヒトHKNG1配列の非ヒト相同体またはオーソログ(例えば、哺乳動物オ ーソログ)もまた提供される。特に、モルモットHKNG1オ−ソログの全長アミノ 酸配列(配列番号39)をコードするモルモットcDNA配列(配列番号38)(本明細
書中gpHKNG1815と呼ぶ)を図7に示す。このモルモットcDNA配列は、図7および配
列番号39に示すように、466アミノ酸残基からなる遺伝子産物をコードする。
【0040】 gphkng 7b、gphkng 7cおよび gphkng 7d(それぞれ配列番号40、42および44)
と呼ばれるこのモルモットHKNG1オーソログの対立遺伝子変異型を図8〜10にそ れぞれ示す。図8〜10、配列番号41、43および45、および図14Bの配列アライメ ントに示すように、対立遺伝子変異型gphkng 7b、gphkng 7cおよび gphkng 7dの
各々は、16、92および93アミノ酸の欠失をそれぞれ含むモルモットgpHKNG1815
HKNG1遺伝子産物変異型をコードする。
【0041】 本明細書中bHKNG1、bhkng2 および bhkng3と呼ばれ、そしてそれぞれが同一の
ウシオーソログ産物をコードするウシHKNG1オーソログcDNA配列(配列番号46〜4
8)を図11〜13にそれぞれ示す。図11〜13および配列番号49に示すように、ウシH
KNG1対立遺伝子変異型は同一の遺伝子産物、すなわち465アミノ酸タンパク質を コードする。
【0042】 本発明のHKNG1遺伝子核酸分子は下記のものを含む:(a)HKNG1遺伝子産物(
例えば、配列番号2,4および66)をコードするヌクレオチド配列およびその断
片(例えば、配列番号1、3、5、6,7、36、37および65)、ならびに相同体
またはオーソログHKNG1遺伝子産物(例えば、配列番号39、41、43、45および49 )をコードする上記配列およびその断片の相同体、オーソログおよび対立遺伝子
変異型(例えば、配列番号38、40、42、44および46-48);(b)シグナル配列 ドメインまたは1以上のクラステリン(clusterin)ドメインをコードする核酸配列
を含むが、それらだけに限定されない、第5.2節に記述するHKNG1遺伝子産物の1 以上の機能性ドメインをコードするヌクレオチド配列;(c)上記(a)に記載
のHKNG1ヌクレオチド配列の上流非翻訳領域、イントロン領域および/または下 流非翻訳領域のHKNG1遺伝子配列またはその断片を含むヌクレオチド配列;(d )1以上のドメインの全部または一部が削除または変更されているHKNG1遺伝子産
物の突然変異体およびその断片をコードする、本明細書に開示された新規なHKNG
1配列を含むヌクレオチド配列;(e)異種ポリペプチドに融合させたHKNG1遺伝
子産物(例えば、配列番号2、4、39、41、43、45、49および65)またはその一
部を含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列;および(f)HKNG1遺 伝子内のヌクレオチド配列(例えば、プライマー)、およびBADまたは近視など のHKNG1仲介型障害を発症するおそれのある、またはそれを有する個体を同定す る本発明の方法の一部として用いることができる、HKNG1遺伝子の両側に位置す る第18p染色体ヌクレオチド配列。
【0043】 本発明のHKNG1ヌクレオチド配列は、1以上のエキソンまたはその断片が削除 された上記(a)から(f)のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を
さらに含む。1つの好ましい実施形態においては、本発明のHKNG1ヌクレオチド 配列は配列番号7のエキソン7またはその断片が削除された配列である。
【0044】 本発明のHKNG1ヌクレオチド配列はまた、上記(a)から(f)のHKNG1ヌクレ
オチド配列に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、また
はそれ以上のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。本発明
のHKNG1ヌクレオチド配列はさらに、上記(a)から(f)のHKNG1ヌクレオチド
配列によってコードされるポリペプチド(例えば、配列番号2、4、39、41、43
、45、49および66)に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、9
8%、またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌ
クレオチド配列を含む。
【0045】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するため
、最適な比較目的に合わせて配列を整列させる(例えば、第2のアミノ酸または
核酸配列との最適なアライメントのために、第1のアミノ酸または核酸配列の中
にギャップを入れることができる)。次に、対応するアミノ酸位置(position)ま
たは核酸位置(position)におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する
。第1の配列中のある位置が第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基
またはヌクレオチドで占められている場合、その位置で分子は同一である。2つ
の配列間の同一性パーセントとは、2つの配列によって共有される同一位置の数
の関数である(すなわち、%同一性=同一のオーバーラップする位置の数/位置
の総数 x 100%)。1つの実施形態においては、上記2つの配列は同じ長さである
【0046】 2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを用いても実
施することができる。2つの配列の比較に用いる数学的アルゴリズムの非限定的
な好ましい例は、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8
7:2264-2268であり、これはKarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. S
ci. USA 90:5873-5877に改変されている。このようなアルゴリズムは、Altschul
ら, (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLASTおよび XBLASTプログラムに組 み込まれている。NBLASTプログラム(スコア=100、ワードレングス(wordlength
)=12)を用いてBLASTヌクレオチド検索を実施して、本発明の核酸分子のヌクレ
オチド配列相同体を得ることができる。XBLASTプログラム(スコア=50、ワード
レングス=3)を用いてBLASTタンパク質検索を実施して、本発明のタンパク質分
子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較を目的としてギャップを入れ
たアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Nucleic Acids Res. 25:33
89-3402に記述されているようにGapped BLASTを用いることができる。または、P
SI-Blastを用いて、分子間の遠く離れた関係を検出する反復検索を実施すること
ができる(同文献)。BLAST、Gapped BLASTおよびPSI-Blastプログラムを用いる
場合は、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよび NBLAST)のデフォルト パラメーターを用いることができる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov参照)。配 列の比較に用いる数学的アルゴリズムのもう1つの好ましい非限定的な例は、Mye
rsおよびMiller, (1988) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。このようなア ルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGN
プログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するた めにALIGNプログラムを用いる場合は、PAM120 weight residue table、ギャップ
レングスペナルティ12、およびギャップペナルティ4を用いることができる。
【0047】 上記の技法に類似した技法を用いて、ギャップを入れて、または入れないで、
2つの配列間のパーセント同一性を決定することができる。パーセント同一性を
計算する際には、典型的には正確なマッチのみをカウントする。
【0048】 本発明のHKNG1ヌクレオチド配列は以下のものをさらに含む:(a)ストリン ジェントな条件下(例えば、6x塩化ナトリウム/酢酸ナトリウム(SSC)中、約45 ℃でフィルター結合DNAにハイブリダイズさせ、次に0.2xSSC/0.1%SDS中、約50-6
0℃で1回以上洗浄)で、または(b)高度にストリンジェントな条件下(例えば
、6x SSC中、約45℃でフィルター結合核酸にハイブリダイズさせ、次に0.1xSSC/
0.2%SDS中、約68℃で1回以上洗浄)で、または当業者に自明の他のハイブリダイ
ゼーション条件下(例えば、Ausubel F.M.ら(編)1989, Current Protocols in
Molecular Biology, Vol. 1, Green Publishing Associates, Inc.およびJohn
Wiley & Sons, Inc., New York, pp. 6.3.1-6.3.62.10.3参照)で、本発明のHKN
G1核酸分子にハイブリダイズする任意のヌクレオチド配列。好ましくは、上記(
a)および(b)のヌクレオチド配列にハイブリダイズするHKNG1核酸分子は、H
KNG1遺伝子産物をコードする核酸分子の相補体(complement)である。好ましい実
施形態においては、上記(a)および(b)のヌクレオチド配列を含む核酸分子
は遺伝子産物、例えば、HKNG1遺伝子産物に機能的に等価な遺伝子産物をコード する。
【0049】 機能的に等価なHKNG1遺伝子産物には、同一または異なる種に存在する天然に 存在するHKNG1遺伝子産物が含まれる。1つの実施形態においては、非ヒト種に おけるHKNG1遺伝子配列は、その中にヒトHKNG1が存在するヒト第18p染色体の領 域にシンテニック(syntenic)な染色体領域に位置する。機能的な等価なHKNG1遺 伝子産物は、HKNG1遺伝子産物の生物学的活性の少なくとも1つを保持し、およ び/またはHKNG1遺伝子産物に対する抗体(ポリクローナルまたはモノクローナ ル)によって認識され、それらに結合する遺伝子産物をも含む。
【0050】 本発明の核酸分子のなかに、高度なストリンジェント条件下またはストリンジ
ェント条件下で上記のHKNG1核酸分子にハイブリダイズするデオキシオリゴヌク レオチド(以後「オリゴ」と称する)がある。一般に、長さが14から70ヌクレオ
チドのプローブについては融解温度Tmは下記の式を用いて計算される: Tm (℃) = 81.5 + 16.6 (log[一価カチオン(モル)] + 0.41 (% G+C) - (500/N
) ここでNはプローブの長さを示す。ホルムアミドを含む溶液中でハイブリダイゼ ーションが実施される場合は、融解温度は下記の式により計算される: Tm (℃) = 81.5 + 16.6 (log[一価カチオン(モル)] + 0.41 (% G+C) - (0.61%
ホルムアミド) - (500/N) ここでNはプローブの長さを示す。一般に、ハイブリダイゼーションはTmより約2
0-25℃下で(DNA-DNAハイブリッドの場合),またはTmより10-15℃下で(RNA-DN
Aハイブリッドの場合)実施される。
【0051】 高度にストリンジェントな条件の具体例としては、6xSSC/0.05%リン酸ナトリ ウム中、37℃(約14塩基オリゴに対して)、48℃(約17塩基オリゴに対して)、
55℃(約20塩基オリゴに対して),および60℃(約23塩基オリゴに対して)での
洗浄を挙げることができる。
【0052】 これらの核酸分子は、例えばHKNG1遺伝子調節に有用なアンチセンス分子をコ ードする、または該分子として作用することができる。および/または、HKNG1 遺伝子核酸配列の増幅におけるプライマーをコードする,または該プライマーと
して作用することができる。さらに、そのような配列はHKNG1遺伝子調節に有用 なリボザイムおよび/または三重らせん配列の一部として用いることができる。
さらに、そのような分子は、例えばHKNG1関連障害(BADなどの神経精神医学的障
害、等)に関与する特定のHKNG1対立遺伝子を検出する診断法の構成要素として 用いることができる。
【0053】 HKNG1核酸分子の断片は、長さが少なくとも10ヌクレオチドであることができ る。別の実施形態においては、これらの断片は長さが約20、30、40、50、60、70 、80、90、100、200、300、400、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4
000、4500、5000個またはそれ以上の連続したヌクレオチドであることができる 。または、このような断片は、HKNG1遺伝子産物の少なくとも10、20、30、40、5
0、100、150、200、250、300、350、400、450個またはそれ以上の連続したアミ ノ酸残基をコードする配列を含むことができる。HKNG1核酸分子の断片とは、HKN
G1のエキソンまたはイントロンを指すこともできる。さらに、HKNG1遺伝子産物 のドメイン(例えば、クラスタリンドメインなど)をコードするHKNG1コード領 域の一部を指すこともできる。
【0054】 本発明のHKNG1ヌクレオチド配列は、例えば、標準的配列決定法および本明細 書に提供する配列によって容易に得ることができる。
【0055】 当業者によって認められるであろうが、HKNG1遺伝子のDNA配列多型は各生物の
集団内(例えば、ヒト集団内)に存在する。このような多型は、天然の対立遺伝
子変化(variation)によって、例えば、1集団内の個体間に存在しうる。そのよう
な多型は、アミノ酸配列の変化をもたらす多型を含む。対立遺伝子とは、特定の
遺伝子座において二者択一的に存在する一群の遺伝子の1つである。
【0056】 本明細書においては、「対立遺伝子変異型」という用語は、特定の遺伝子座に
存在するヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列によってコードされる遺伝
子産物を指す。そのような天然の対立遺伝子変化は、特定の遺伝子のヌクレオチ
ド配列に典型的には1-5%の変化(variance)をもたらす。異なる複数の個体におけ
る興味のある遺伝子を配列決定することによって、別の対立遺伝子を同定するこ
とが可能である。これは、種々の個体における同一遺伝子座を同定するハイブリ ダイゼーションプローブを用いることによって容易に実施することができる。本
明細書に用いる「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、本発明のポリ
ペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を意味する
。これらの用語はさらに、上流および/またはエキソン/イントロン配列および
構造を含む核酸分子をも含む。
【0057】 HKNG1対立遺伝子変異型については、そのような核酸変化およびそれによって 生じるアミノ酸多型、またはHKNG1遺伝子の天然の対立遺伝子変化の結果である 変化の任意及びすべてのものは、本発明の範囲内にあるものとする。そのような
対立遺伝子変異型としては、限定するものではないが、HKNG1遺伝子産物の機能的
活性を変更しない対立遺伝子変異型が挙げられる。変異型としては、限定するも
のではないが、図5A-Bに要約される多型を含む変異型、及び図1A-1B及び配列番 号2に示すHKNG1ポリペプチドのアミノ酸残基202または配列番号4に示すポリペ
プチドのHKNG1アミノ酸残基184にリシンへの置換を含む全長HKNG1ポリペプチド をコードする変異型が挙げられる。
【0058】 ヒトHKNG1遺伝子のさらなる対立遺伝子変異型ならびに他の種(例えば、モル モット、ウシ、マウス)由来の相同体およびオーソログのクローニングについて
は、本明細書に開示する単離されたHKNG1遺伝子配列を標識し、これを用いてcDN
Aライブラリーをスクリーニングすることができる。上記ライブラリーは、興味 のある生物(例えば、モルモット、ウシ、マウス)に由来する適切な細胞または
組織(例えば、脳または網膜組織)から得たmRNAから構築する。使用するハイブ
リダイゼーション条件は、cDNAライブラリーが標識化配列の由来する生物と異な
る種類の生物に由来する場合は、一般により低いストリンジェンシーの条件でな
ければならない。そしてこれらの条件は、例えば、標的および参照生物の相対的 血縁度(relative relatedness)に基づいて通常の方法で決定することができる。
【0059】 または、標識化断片を用いて、興味のある生物由来のゲノムライブラリーを、
ここでも適切なストリンジェンシー条件を用いてスクリーニングすることができ
る。適切なストリンジェンシー条件は、上記のように、当業者に周知であり、そ して上記ライブラリーおよび標識化配列が由来する特定の生物に依存して予測可
能に変動する。そのような条件に関する指針としては、例えば、Sambrookら, 198
9, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Pr
ess, N.Y.; およびAusubelら,1989-1999, Current Protocols in Molecular Bio
logy, Green Publishing Associates, Inc.および Wiley Interscience, N.Y.を
参照されたい。これらは両方とも参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
【0060】 さらに、本明細書に開示するHKNG1遺伝子産物内のアミノ酸配列に基づいて設 計された2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを用いてPCRを実施す ることによって、例えばヒト核酸から、HKNG1対立遺伝子変異型を単離すること ができる。PCR反応の鋳型は、例えば、野生型または突然変異HKNG1対立遺伝子を
発現することが公知である、または疑われるヒトまたは非ヒト細胞系または組織
(例えば、BADを有する個体に由来する脳細胞を含む脳細胞)から調製したmRNA の逆転写によって得られるcDNAであってよい。1つの実施形態においては、HKNG1
仲介型障害を有する個体から対立遺伝子変異型が単離される。そのような変異型
を下記の実施例に記述する。
【0061】 上記PCR産物をサブクローン化し、配列決定して、増幅された配列がHKNG1遺伝
子核酸配列を表わすことを確かめることができる。次に、PCR断片を用いて種々 の方法により全長cDNAクローンを単離することができる。例えば、増幅された断
片を標識し、それを用いてバクテリオファージcDNAライブラリーをスクリーニン
グすることができる。または、標識化断片を用いてゲノムライブラリーのスクリ
ーニングによりゲノムクローンを単離することができる。
【0062】 PCR技術を用いて全長cDNA配列を単離することも可能である。例えば、標準的 な方法にしたがって、適切な細胞または組織供給源(すなわち、HKNG1遺伝子を 発現することが公知である、または疑われる供給源;例えば、生検または剖検か
ら得た脳組織サンプルなど)RNAを調製することができる。第1鎖合成のプライ ミングのために上記増幅断片の5’最末端に特異的なオリゴヌクレオチドプライ マーを用いて、上記RNAの逆転写反応を実施する。次に、標準的なターミナルト ランスフェラーゼ反応を用いて、得られたRNA/DNAハイブリッドにグアニンで「 尾をつける(tailed)」。該ハイブリッドをRNAase Hで消化してもよい。そして次
に、ポリ-Cプライマーを用いて第2鎖の合成をプライミングすることができる。
このようにして、増幅断片の上流にあるcDNA配列を容易に単離することができる
。用いることができるクローニング戦略の総論としては、例えば、Sambrookら, 1
989 (前出)またはAusubelら(前出)を参照されたい。
【0063】 例えば当業者に周知の技法であるPCRを用いることによって、HKNG1遺伝子の対
立遺伝子突然変異体、変異型などのcDNAを単離することができる。この場合、cD
NA第1鎖は、突然変異HKNG1対立遺伝子を担持していると推定される個体の、そ のような遺伝子を発現することが知られている又は疑われる組織から単離された
mRNAにオリゴ-dTオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、そして逆転写酵素 を用いて新しい鎖を伸張させることによって合成することができる。次に、正常
遺伝子の5’末端に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを用いて、cD
NAの第2鎖を合成する。次にこれらの2つのプライマーを用いて生成物をPCRに よって増幅し、適切なベクター中にクローン化し、そして当業者に周知の方法に
よってDNA配列分析にかける。突然変異HKNG1対立遺伝子のDNA配列を正常なHKNG1
対立遺伝子の配列と比較することによって、突然変異HKNG1遺伝子産物の機能の 喪失または変更に関与する突然変異を突きとめることができる。
【0064】 または、突然変異HKNG1対立遺伝子を担持することが疑われる、または知られて
いる個体から得たDNAを用いて、ゲノムライブラリーを構築することができる。 または、突然変異HKNG1対立遺伝子を発現することが知られている、または疑われ る組織由来のRNAを用いて、cDNAライブラリーを構築することができる。次に、 損傷されていないHKNG1遺伝子またはその任意の適切な断片を標識し、ライブラ リー中の対応する突然変異HKNG1対立遺伝子を同定するプローブとして用いるこ とができる。次に、突然変異HKNG1対立遺伝子配列を含有するクローンを精製し 、当業者に周知の方法による配列分析にかけることができる。
【0065】 さらに、例えば突然変異HKNG1対立遺伝子を担持していると疑われる又は知ら れている個体の、そのような遺伝子を発現することが知られている又は疑われる
組織から単離されたmRNAから合成したcDNAを用いて、発現ライブラリーを構築す
ることができる。このようにして、突然変異が推定される組織によって作られた
遺伝子産物を発現させ、そして正常なHKNG1遺伝子産物に対して生成させた抗体と
組み合わせて標準的抗体スクリーニング技法を用いて、第5.3節に記述するよう にスクリーニングすることができる。(スクリーニング技法については、例えば
、HarlowおよびLane(編), 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Sp
ring Harbor Press, Cold Spring Harborを参照されたい。) HKNG1突然変異が変更された機能を有する遺伝子産物の発現をもたらす場合( 例えば、ミスセンスまたはフレームシフト突然変異の結果)は、抗HKNG1遺伝子 産物ポリクローナル抗体のセットはその突然変異HKNG1遺伝子産物と交差反応す ると思われる。そのような標識化抗体との反応によって検出されるライブラリー
クローンを精製し、当業者に周知の方法による配列分析にかけることができる。
【0066】 PCR増幅技法を用いてHKNG1の突然変異および多型をさらに検出することができ
る。プライマーを通常の方法で設計し、プロモーター調節領域を含む全HKNG1配 列のオーバーラップする領域を増幅することができる。1つの実施形態において
は、コード領域の突然変異を走査することができるように、プライマーはエキソ
ン-イントロン境界をカバーするように設計される。HKNG1のエキソンを分析する
ためのプライマーの具体例を第5.6節の表1に示す。
【0067】 本発明はまた、好ましくはDNA分子である、これまでに記述したヌクレオチド 配列の相補体である核酸分子を含む。
【0068】 特定の実施形態においては、本発明の核酸分子は異種配列(例えば、クローニ
ングベクターまたは発現ベクター)を含有しない核酸配列を含む核酸分子の一部
として存在する。他の実施形態においては、本発明の核酸分子はベクター配列(
例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)をさらに含む。
【0069】5.2.HKNG1遺伝子のタンパク質産物 HKNG1遺伝子産物またはそのペプチド断片は、種々の用途のために調製するこ とができる。例えば、そのような遺伝子産物またはそのペプチド断片は、抗体の
生成のために、診断アッセイにおいて、またはHKNG1仲介型障害(例えば、BADの ような神経精神医学的障害)の調節に関与する他の細胞または細胞外遺伝子産物
を同定するために用いることができる。
【0070】 本発明のHKNG1遺伝子産物は、限定するものではないが、ヒトHKNG1遺伝子産物
を含む。例えば、図1A-1B、2A-2B、17および18に示すアミノ酸配列(すなわち 、配列番号2、4、51および55)を含むポリペプチドである。本発明のHKNG1遺 伝子産物はまた、非ヒト(例えば、ウシまたはモルモットなどの哺乳動物)HKNG
1遺伝子産物を含む。これらは図7から13に示すアミノ酸配列(すなわち、配列番
号39、41、43、45および49)を含むポリペプチドを含むが、それらだけに限定さ
れない。
【0071】 本明細書中で時々「HKNG1タンパク質」または「HKNG1ポリペプチド」と呼ばれ
るHKNG1遺伝子産物は、図1A-1B、2A-2B、7-13、17および18に示すHKNG1遺伝子 配列によってコードされる遺伝子産物、ならびに本明細書に記述する方法によっ
て同定することができるHKNG1の他のヒト対立遺伝子変異型および非ヒト変異型 によってコードされる遺伝子産物を含む。このようなHKNG1遺伝子産物変異型の なかに、図5A および 5Bに示す多型によってコードされるHKNG1アミノ酸残基を 含む遺伝子産物がある。このような遺伝子産物変異型はまた、アミノ酸残基Lys2
02がグルタミン酸残基に突然変異している、図1(配列番号2)に示すHKNG1遺 伝子産物の変異型をも含む。このような遺伝子産物変異型はまた、アミノ酸残基
Lys184がグルタミン酸残基に突然変異している、図2(配列番号4)に示すHKNG
1遺伝子産物の変異型をも含む。
【0072】 さらに、HKNG1遺伝子産物は、機能的に等価な遺伝子産物を表わすタンパク質 を含むことができる。機能的に等価な遺伝子産物は、例えば、上記第5.1節に記 述されているHKNG1核酸分子の1つによってコードされる遺伝子産物を含むこと ができる。好ましい実施形態においては、そのような機能的に等価なHKNG1遺伝 子産物は天然に存在する遺伝子産物である。機能的に等価なHKNG1遺伝子産物は また、上記のHKNG1遺伝子産物の生物学的活性の少なくとも1つを保持し、およ び/またはHKNG1遺伝子産物に対する抗体(ポリクローナルまたはモノクローナ ル)によって認識され、それらに結合する遺伝子産物をも含む。
【0073】 等価なHKNG1遺伝子産物は、内部欠失を含む欠失、融合タンパク質を生じる付 加を含む付加、または上記第5.1節に記述されたHKNG1遺伝子配列によってコード
されるアミノ酸配列の内部またはその近隣のアミノ酸残基の置換を含みうる。一
般に、欠失は単一アミノ酸残基の欠失、または連続もしくは不連続の約2、3、
4、5、10、または20個以下のアミノ酸残基の欠失である。一般に、融合タンパ ク質を生じる付加以外の付加または置換は、単一アミノ酸残基の付加または置換
、または連続もしくは不連続の約2、3、4、5、10、または20個以下のアミノ
酸残基の付加または置換である。これらの改変は、好ましくは、図1A-1B、2A-2
B、7-13、または17に示す遺伝子産物と同一の活性を有するHKNG1遺伝子産物を生
じるという点で、「サイレント(silent)」な変化をもたらす。
【0074】 アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、およ び/または両親媒性における類似性に基づいて行うことができる。例えば、非極
性(疎水性)アミノ酸はアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン
、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを含む。極性中性アミ
ノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン 、およびグルタミンを含む。正に荷電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、
リシン、およびヒスチジンを含む。負に荷電した(酸性)アミノ酸は、アスパラ
ギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0075】 または、機能の変更が望まれる場合、付加、欠失、または非同類置換は変更( 活性の低下を含む)されたHKNG1遺伝子産物をもたらすことができる。このよう な変更は、例えば、HKNG1遺伝子産物の1以上の生物学的機能を変更することがで きる。さらに、このような変更は、選択された宿主細胞における発現、増殖(sca
le up)、等により適したHKNG1遺伝子産物を生じるように選択することができる
。例えば、ジスルフィド架橋を除去するために、システイン残基を欠失させるか
、または他のアミノ酸残基に置換することができる。
【0076】 別の例としては、BADなどのHKNG1仲介型神経精神医学的障害に関連するHKNG1 遺伝子産物の変異型に対応する、変更されたHKNG1遺伝子産物を作製することが できる。このような変更されたHKNG1遺伝子産物には、限定するものではないが 、図1A-1B(配列番号2)のHKNG1アミノ酸残基202または図2A-2B(配列番号4)
のアミノ酸残基184の野生型グルタミン酸残基がシステイン残基に置換されたHKN
G1タンパク質またはペプチドが含まれる。
【0077】 HKNG1タンパク質断片および/またはHKNG1ペプチドは、少なくともエピトープ
断片(HKNG1タンパク質に対する抗体によって認識される)を表わすのに必要な だけ多数の連続したアミノ酸残基を含む。例えば、そのようなタンパク質断片ま
たはペプチドは、全長HKNG1タンパク質由来の少なくとも約8個の連続したHKNG1 アミノ酸残基を含む。別の実施形態においては、本発明のHKNG1タンパク質断片 およびペプチドは、HKNG1タンパク質の約10、20、30、40、50、100、150、200、
250、300、350、400、450個またはそれ以上の連続したアミノ酸残基を含むこと ができる。
【0078】 HKNG1タンパク質の1以上のドメインに対応するペプチドおよび/またはタン パク質、ならびにHKNG1タンパク質またはその一部(末端切断型HKNG1タンパク質
またはペプチドまたはHKNG1タンパク質の1ドメイン、等)が関係のないタンパ ク質に融合している融合タンパク質もまた、本発明の範囲内に含まれる。そのよ
うなタンパク質およびペプチドは、上記第5.1節に開示するHKNG1ヌクレオチド配
列に基づいて、および/または同節に開示するHKNG1アミノ酸配列に基づいて設 計することができる。融合タンパク質は、限定するものではないが、HKNG1タンパ
ク質またはペプチドを安定化させ、in vivoにおける半減期を伸ばすIgFc融合物 ;または融合タンパク質を細胞膜に固定することを可能とする任意のアミノ酸配
列との融合物;またはマーカー機能を提供する酵素、蛍光タンパク質、発光タン
パク質、またはフラッグ(flag)エピトープタンパク質もしくはペプチドとの融合 物を含む。
【0079】 HKNG1タンパク質、すなわち上記のHKNG1タンパク質配列は、HKNG1遺伝子産物 を分泌に向かわせるシグナル配列を含むドメインを含むことができる。本明細書
に用いられるシグナル配列という用語は、分泌および膜結合タンパク質のN末端 に存在し、そしてアラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロ リン、チロシン、トリプトファン、またはバリンなどの疎水性アミノ酸残基を少
なくとも約70%含有する、長さが少なくとも約15または20アミノ酸残基であるペ プチドを含む。好ましい実施形態においては、シグナル配列は少なくとも約10か
ら40アミノ酸残基を、好ましくは約19-34アミノ酸残基を含有し、そして疎水性 残基を少なくとも約60-80%、好ましくは65-75%、そしてより好ましくは少なくと
も約70%含む。シグナル配列は、その配列を含有するタンパク質を脂質二重層へ 導く役割を果たす。
【0080】 1つの実施形態においては、HKNG1タンパク質は配列番号2のアミノ酸残基1か ら49のあたりにシグナル配列を含有する。別の実施形態においては、HKNG1タン パク質は配列番号2のアミノ酸残基30から49のあたりにシグナル配列を含有する 。さらに別の実施形態においては、HKNG1タンパク質は配列番号4のアミノ酸残 基1から31のあたりにシグナル配列を含有する。さらに別の実施形態においては
、HKNG1タンパク質は配列番号4のアミノ酸残基12から31のあたりにシグナル配 列を含有する。シグナル配列は成熟タンパク質のプロセシングの間に開裂される
【0081】 本明細書のポリペプチドのシグナル配列は、分泌タンパク質または他の興味の
あるタンパク質の分泌および単離を容易にするために用いることができる。典型
的には、シグナル配列は、一般に分泌中に1以上の開裂現象によって成熟タンパ
ク質から開裂される疎水性アミノ酸残基のコアによって特徴付けられる。このよ
うなシグナルペプチドは、成熟タンパク質が分泌経路を通る際に該タンパク質か
らのシグナル配列の開裂を可能とするプロセシング部位を含む。したがって、本
発明はシグナル配列を有する上記のHKNG1ポリペプチド(すなわち、「未成熟」 ポリペプチド)、ならびにHKNG1シグナル配列自体およびシグナル配列をもたな いHKNG1ポリペプチド(すなわち、「成熟」HKNG1開裂産物)に関する。本発明の
HKNG1ポリペプチドは、上記の特徴を有する任意のシグナル配列および成熟HKNG1
ポリペプチド配列を含有するポリペプチドをさらに含み得ることが理解されるべ
きである。
【0082】 1つの実施形態においては、本発明のシグナル配列をコードする核酸配列を発
現ベクター内で興味のあるタンパク質(普通は分泌されないタンパク質、または
分泌させないと単離が困難であるタンパク質、等)に機能しうる形で連結するこ
とができる。このシグナル配列は、発現ベクターが導入されている真核生物宿主
などからの上記タンパク質の分泌を導き、そして該シグナル配列は後に、または 同時に開裂される。次に、当技術分野で承認されている方法によって、上記タン
パク質を細胞外培地から容易に精製することができる。または、精製を容易にす
る配列(例えば、GSTドメインを有する配列)を用いてシグナル配列を興味のあ るタンパク質に連結することができる。
【0083】 上記のHKNG1タンパク質配列はまた、クラステリン(clusterin)ドメインを含む
1以上のドメイン、すなわち配列番号2のアミノ酸残基134から160またはアミノ
酸残基334から362に対応するドメイン、または配列番号39のアミノ酸残基105-13
1またはアミノ酸残基305-333に対応するドメイン、または配列番号49のアミノ酸
残基105-131またはアミノ酸残基304-333に対応するドメインと同一であるか又は
実質的に相同である(すなわち、65%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上同 一である)ドメインを含むことができる。好ましくは、このようなドメインは、
配列番号2、39または49のクラステリンドメインの保存されたシステイン残基に
対応する位置にシステイン残基を含む。
【0084】 特に、上記のHKNG1タンパク質配列はまた、保存されたシステインドメインを 含む1以上のドメインを含むことができる。このようなドメインは、例えば、配 列番号2のCys134、Cys145、Cys148、Cys158およびCys160;またはCys334、Cys34
4、Cys351、Cys354およびCys362に対応するシステインドメインと一致する。別 の実施形態においては、保存されたシステインドメインは、Cys105、Cys116、Cy
s119、Cys124およびCys131;またはCys305、Cys315、Cys322、Cys325およびCys3
33を含む配列番号39の1以上のドメインに一致する。さらに別の実施形態におい ては、保存されたシステインドメインは、Cys105、Cys116、Cys119、Cys124およ
びCys131;またはCys314、Cys321、Cys324およびCys332を含む配列番号49の1以 上のドメインに一致する。
【0085】 最後に、本発明のHKNG1タンパク質はまた、HKNG1cDNA配列の1以上のエキソン
によってコードされるドメインまたはその断片が削除されたHKNG1タンパク質配 列を含む。特に好ましい1つの実施形態においては、本発明のHKNG1タンパク質は
配列番号7のエキソン7によってコードされるドメインに対応するドメインまた
はその断片が削除されたタンパク質である。
【0086】 本発明のHKNG1ポリペプチドはさらに、グリコシル化、アセチル化、およびミ リストイル化を含むが、それらだけに限定されない翻訳後修飾を含むことができ
る。
【0087】 HKNG1遺伝子産物、そのペプチド断片およびその融合タンパク質は、当技術分 野で周知の技法を用いて、組換えDNA技術により作製することができる。したが って、HKNG1遺伝子配列を含む核酸を発現させることにより本発明のHKNG1遺伝子
産物、ポリペプチド、ペプチド、融合ペプチド、および融合ポリペプチドを調製 する方法を本明細書に記述する。当業者に周知の方法を用いて、HKNG1遺伝子産 物コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクタ
ーを構築することができる。これらの方法には、例えば、in vitro組換えDNA技 法、合成技法およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。例えば、前出のSambrook ら (1989)および前出のAusubelら(1989)に記述されている技法を参照されたい。
または、例えば合成機を用いて、HKNG1遺伝子産物配列をコードすることができ るRNAを化学的に合成することができる。例えば、Oligonucleotide Synthesis,
1984, Gait (編), IRL Press, Oxfordに記述されている技法を参照されたい。
【0088】 種々の宿主-発現ベクター系を用いて本発明のHKNG1遺伝子産物コード配列を発
現することができる。このような宿主-発現ベクター系とは、興味のあるコード配
列がそれによって生成され、次いで精製されるビヒクルであるが、適切なヌクレ
オチドコード配列によって形質転換またはトランスフェクションされた場合に本
発明のHKNG1遺伝子産物をin situに示す細胞でもある。これらの系は以下のもの
を含むが、それらだけに限定されない。すなわち、HKNG1遺伝子産物コード配列 を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発 現ベクターによって形質転換された細菌[例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(B.
subtilis)];HKNG1遺伝子産物コード配列を含有する組換え酵母発現ベクター によって形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia)などの微生物 ;HKNG1遺伝子産物コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば 、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;HKNG1遺伝子産物コード配列を 含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフォルニアモザイクウイル
ス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させた、または上記コード配 列を含有するプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)によって形質転
換された植物細胞系;または、哺乳動物細胞ゲノムに由来するプロモーター(例
えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロ
モーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5K
プロモーター)を含有する組換え発現構築物を担持する哺乳動物細胞系(例えば
、COS、CHO、BHK、293、3T3)である。
【0089】 細菌系においては、発現されるHKNG1遺伝子産物の意図される用途によって、 多数の発現ベクターを都合よく選択することができる。例えば、HKNG1遺伝子産 物の医薬組成物を生産するため、またはHKNG1遺伝子産物に対する抗体を産生さ せるためにそのようなタンパク質を大量に生産する場合は、容易に精製される融
合タンパク質産物の高レベル発現を導くベクターが望ましいであろう。そのよう
なベクターは、下記のものを含むが、それらだけに限定されない。すなわち、融
合タンパク質が産生されるように、HKNG1遺伝子産物コード配列をlacZコード領 域に読み枠を合わせてベクター中に個々に連結することができる大腸菌発現ベク
ターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO J. 2:1791);pINベクター(Inouye および
Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van HeekおよびSchuster,
1989, J. Biol. Chem. 264:5503-5509);などである。pGEXベクターもまた、グ
ルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として外来ポリ ペプチドを発現するのに用いることができる。一般に、そのような融合タンパク
質は可溶性で、グルタチオン-アガロースビーズに吸着させ、次に遊離グルタチ オンの存在下で溶出することにより容易に精製することができる。上記pGEXベク
ターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出されうるように、 トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ開裂部位を含むように設計されている。
【0090】 昆虫系においては、外来遺伝子を発現するためのベクターとしてAutographa c
alifornica核多角体病ウイルス(AcNPV)を用いることができる。このウイルス はSpodoptera frugiperda細胞中で増殖する。HKNG1遺伝子産物コード配列をこの
ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローン化し、
そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置 くことができる。HKNG1遺伝子産物コード配列をうまく挿入すると、ポリヘドリ ン遺伝子の不活性化、および閉鎖されていない(non-occluded)組換えウイルス(
すなわち、ポリヘドリン遺伝子によってコードされるタンパク質性コートを欠く
ウイルス)の生成がもたらされる。次に、これらの組換えウイルスを用いてSpod
optera frugiperda細胞を感染させ、上記挿入遺伝子をその中で発現させる。(例
えば、Smithら, 1983, J. Virol. 46:584; Smith, 米国特許第4,215,051号を参 照されたい。) 哺乳動物宿主細胞においては、ウイルスに基づく多数の発現系を用いることが
できる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合は、興味のあるHKNG1 遺伝子産物コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プ
ロモーターおよび三部分リーダー配列)に連結することができる。次に、このキ
メラ遺伝子をin vitro または in vivo組換えによりアデノウイルスゲノムに挿 入する。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1または E3)への挿入は 、感染した宿主中で生存可能であり、かつHKNG1遺伝子産物を発現することがで きる組換えウイルスをもたらす。(例えば、LoganおよびShenk, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 81:3655-3659を参照されたい。)挿入されたHKNG1遺伝子産物コ ード配列の効率的な翻訳のためには、特定の開始シグナルもまた必要とされる場
合がある。このようなシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。それ 自身の開始コドンおよび隣接配列を含む全HKNG1遺伝子を適切な発現ベクターに 挿入する場合は、付加的な翻訳制御シグナルは必要ないであろう。しかし、HKNG
1遺伝子産物コード配列の一部のみを挿入する場合は、外因性翻訳制御シグナル (おそらくATG開始コドンを含む)を供給しなければならない。さらに、全イン サートの翻訳を確実にするために、該開始コドンは所望のコード配列の読み枠と
合わせなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは
、天然および合成両方を含む種々の起源のものであることができる。発現効率は
、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター、等を含めることに
よって増強することができる(Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516
-544)。
【0091】 さらに、挿入配列の発現をモジュレートする、または遺伝子産物を所望の特定
の様式によって修飾し、プロセシングする宿主細胞株を選択することができる。
タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング
(例えば、開裂)は、該タンパク質の機能にとって重大でありうる。異なる宿主
細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための
特徴的で特異的な作用機構を有する。発現された外来タンパク質の正確な修飾お
よびプロセシングを確実にするために、適切な細胞系または宿主系を選択するこ
とができる。この目的のためには、一次転写生成物の適切なプロセシング、およ
び遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機械を有する真核宿主
細胞を用いることができる。そのような哺乳動物宿主細胞は、限定するものでは
ないが、CHO、VERO、BKH、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、およびWI38を含む。
【0092】 組換えタンパク質の長期高収量生産のためには、安定した発現が好ましい。例
えば、HKNG1遺伝子産物を安定に発現する細胞系を作製することができる。ウイ ルスの複製起源を含む発現ベクターを用いるよりも、適切な発現制御エレメント
(プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位
、など)および選択マーカーによって制御されるDNAを用いて宿主細胞を形質転 換することができる。外来DNAを導入した後、遺伝子操作した細胞を富化培地中 で1〜2日間増殖させてよい。その後、細胞を選択培地に移す。組換えプラスミ
ド中の選択マーカーは選択に対する耐性を付与し、そして細胞が該プラスミドを その染色体内に安定に組み込んで増殖し、フォーカスを形成することを可能とす る。次に、このフォーカスをクローン化して細胞系に増殖させることができる。
この方法は、HKNG1遺伝子産物を発現する細胞系を作製するのに好都合に使用す ることができる。このようにして作製された細胞系は、HKNG1遺伝子産物の内因 性活性に影響を及ぼす化合物のスクリーニングおよび評価に特に有用でありうる
【0093】 下記のものを含むが、それらだけに限定されない多数の選択マーカー系を用い
ることができる。すなわち、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら
, 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェ
ラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:20
26)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら, 1980, Cell
22:817)遺伝子をtk-、hgprt-またはaprt-細胞にそれぞれ用いることができる 。また、下記の遺伝子については、選択の基礎として代謝拮抗物質耐性を用いる
ことができる。すなわち、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr (Wig
lerら, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:3567; O’Hareら, 1981, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するg
pt(MulliganおよびBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミ
ノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberre-Garapinら, 1981, J.
Mol. Biol. 150:1);およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(
Santerreら, 1984, Gene 30:147)遺伝子である。
【0094】 または、挿入された調節エレメントが内因性HKNG1遺伝子と機能しうる形で連 結するように、安定な細胞系またはクローン化微生物のゲノム内に異種DNA調節 エレメントを操縦することによって、該細胞系もしくは微生物内における内因性
HKNG1遺伝子の発現特性を改変することができる。例えば、通常は「転写的にサ イレント(silent)である」内因性HKNG1遺伝子(すなわち、細胞系または微生物 中に通常は発現されないか、または非常に低いレベルでのみ発現されるHKNG1遺 伝子)を、該細胞系または微生物中で通常発現される遺伝子産物の発現を増強す
ることができる調節エレメントを挿入することによって、活性化することができ
る。または、広範な細胞型で作用する無差別の(promiscuous)調節エレメント を挿入することによって、転写的にサイレントな内因性HKNG1遺伝子を活性化す ることができる。
【0095】 当業者に周知であり、そして例えばChappelの米国特許第5,272,071号;1991年
5月16日に公開されたPCT公開WO/91/06667に記述されている、標的相同組換えな
どの技法を用いて、異種調節エレメントを内因性HKNG1遺伝子と機能しうる形で 連結されるように、安定な細胞系またはクローン化微生物に挿入することができ
る。
【0096】 または、任意の融合タンパク質を、発現される融合タンパク質に特異的な抗体
を用いて容易に精製することができる。例えば、Janknechtらが記述する系は、 ヒト細胞系中で発現された非変性融合タンパク質の容易な精製を可能とする(Ja
nknechtら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972-8976)。この系におい
ては、興味のある遺伝子は、該遺伝子のオープンリーディングフレームが6個の
ヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに翻訳的に融合するようにワクシニア組
換えプラスミド中にサブクローン化される。組換えワクシニアウイルスに感染し
た細胞由来の抽出物をNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムにロードし、そして イミダゾール含有バッファーを用いてヒスチジンタグの付いたタンパク質を選択
的に溶出する。
【0097】 HKNG1遺伝子産物はトランスジェニック動物中で発現させることもできる。マ ウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、マイクロピッグ(micro-pig)、ヤギ 、ヒツジ、ウシおよび非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、サルおよびチンパンジー)
を含むが、これらだけに限定されない任意の種の動物を用いてHKNG1トランスジ ェニック動物を作製することができる。本明細書に用いる「トランスジェニック
」という用語は、異なる種に由来するHKNG1遺伝子配列を発現する動物(例えば 、ヒトHKNG1遺伝子配列を発現するマウス)、ならびに内因性(すなわち同一種 の)HKNG1遺伝子配列を過剰発現するように遺伝子操作された動物、または内因 性HKNG1遺伝子配列をもはや発現しないように遺伝子操作された動物(すなわち 、「ノックアウト」動物)、およびそれらの子孫をいう。
【0098】 HKNG1トランスジーンを動物に導入してトランスジェニック動物の創始系列(fo
under lines)を作製するためには、当技術分野で公知の任意の技法を用いること
ができる。そのような技法は、限定するものではないが、前核へのマイクロイン
ジェクション(HoppeおよびWagner, 1989, 米国特許第4,873,191号);生殖系列
へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(Van der Puttenら, 1985, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 82:6148-6152);胚幹細胞を用いた遺伝子ターゲッティング(Tho
mpsonら, 1989, Cell 56:313-321);胚のエレクトロポレーション(Lo, 1983,
Mol. Cell Biol. 3:1803-1814);および精子媒介遺伝子導入(Lavitranoら, 19
89, Cell 57:717-723)を含む。(このような技法の総論については、Gordon, 1
989, トランスジェニック動物, Intl. Rev. Cytol. 115, 171-229を参照された い。) HKNG1トランスジーンを含有するトランスジェニック動物クローンを作製する ためには、当技術分野で公知の任意の技法を用いることができる。例えば、静止
へ誘導した培養胚、胎児または成体細胞に由来する核を徐核された卵母細胞に導
入する核導入が挙げられる(Campbellら, 1996, Nature 380:64-66; Wilmutら,
Nature 385:810-813)。
【0099】 本発明は、全細胞にHKNG1トランスジーンを担持するトランスジェニック動物 、ならびに該トランスジーンをある細胞には担持するが全細胞には担持しない動
物、すなわちモザイク動物を提供する。トランスジーンは単一のトランスジーン
として、または、例えば頭と頭が連結したタンデムもしくは頭と尾が連結したタ
ンデムの形でコンカテマーとして組み込まれうる。Laskoらの教示(Laskoら, 19
92, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232-6236)などに従って、特定の細胞型 にトランスジーンを選択的に導入し、そしてそこで活性化することも可能である
。このような細胞型特異的活性化に必要とされる調節配列は興味のある特定の細
胞型に依存し、そしてそれらは当業者には明らかである。HKNG1トランスジーンを
内因性HKNG1遺伝子の染色体部位に組み込むことが望まれる場合は、遺伝子ターゲ
ッティングが好ましい。すなわち、そのような技法を用いる場合は、染色体配列
との相同組換えによってトランスジーンを組み込み、そして内因性HKNG1遺伝子 のヌクレオチド配列の機能を破壊するために、内因性HKNG1遺伝子に相同なヌク レオチド配列を含有するベクターを設計する。Guらの教示(Guら, 1994, Scienc
e 265, 103-106)などに従って、上記トランスジーンを特定の細胞型に選択的に
導入し、その結果その細胞型においてのみ内因性HKNG1遺伝子を不活性化するこ ともできる。このような細胞型特異的不活性化に必要とされる調節配列は興味の
ある特定の細胞型に依存し、そしてそれらは当業者には明らかである。
【0100】 いったんトランスジェニック動物が作製されたならば、標準的な技法を用いて
組換えHKNG1遺伝子の発現をアッセイすることができる。最初のスクリーニング をサザンブロット分析またはPCR技法により実施して動物組織を分析し、トランス
ジーンの組み込みが起ったかどうかをアッセイすることができる。トランスジェ
ニック動物の組織におけるトランスジーンのmRNA発現レベルもまた、該動物から
得た組織サンプルのノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーション分 析およびRT-PCR(逆転写酵素PCR)を含むがそれらだけに限定されない技法を用 いてアッセイすることができる。HKNG1遺伝子を発現する組織のサンプルもまた、
HKNG1トランスジーン産物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的に評価するこ とができる。
【0101】 HKNG1タンパク質は、例えば、CNS関連障害(神経精神医学的障害など)を治療
するために用いることができる。そのようなHKNG1遺伝子産物には、限定するも のではないが、HKNG1遺伝子産物、特に1以上の疎水性ドメインを欠失するよう に改変されたHKNG1遺伝子産物の1以上のドメインに対応するペプチドまたはポ リペプチドなどの可溶性誘導体が含まれる。または、HKNG1に関連する神経精神 医学的障害を治療するために、HKNG1タンパク質に対する抗体、またはHKNG1遺伝
子産物を模倣した抗イディオタイプ抗体(Fabフラグメントを含む)、アンタゴ ニストまたはアゴニストを用いることができる。さらに別のアプローチにおいて
は、そのようなHKNG1遺伝子産物をコードするヌクレオチド構築物を用いて、宿 主細胞をそのような遺伝子産物をin vivoで発現するように遺伝子操作すること ができる。これらの遺伝子操作された細胞は体内の「バイオリアクター」として
機能し、HKNG1遺伝子産物、HKNG1ペプチド、可溶性HKNG1ポリペプチドの連続的 供給物をデリバリーすることができる。
【0102】5.3.HKNG1遺伝子産物に対する抗体 1以上のHKNG1遺伝子産物エピトープ、またはHKNG1遺伝子産物の保存された変
異型もしくはペプチド断片のエピトープを特異的に認識することができる抗体の
産生方法を本節に記述する。さらに、本発明にはHKNG1の突然変異形態を特異的 に認識する抗体が包含される。「特異的に結合する」および「特異的に認識する
」という用語は、非HKNG1(すなわちランダムな)エピトープに結合するよりも 高い親和性でHKNG1遺伝子産物エピトープに結合する抗体をいう。
【0103】 このような抗体には、限定するものではないが、第12節に記述するポリクロー
ナルおよびモノクローナル抗体を含むポリクローナル抗体、モノクローナル抗体
(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、1本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2
ラグメント、Fab発現ライブラリーによって作製されたフラグメント、抗イディ オタイプ(抗Id)抗体、および上記のうち任意のもののエピトープ結合フラグメ
ントが含まれる。このような抗体は、例えば、生物学的サンプル中のHKNG1遺伝 子産物の検出に用いることができる。そしてそれゆえ、これらの抗体はHKNG1遺 伝子産物の異常なレベル、および/または該遺伝子産物の異常な形態の存在につ いて患者を試験する診断または予後技法の一部として用いることができる。これ
らの抗体は、例えば、第5.8節に記述する、HKNG1遺伝子産物レベルおよび/また
は活性に及ぼす試験化合物の効果を評価するための化合物スクリーニング法と共
に用いることもできる。さらにこのような抗体は、第5.9.2節に記述する、例え ば正常細胞および遺伝子操作したHKNG1発現細胞を患者に導入する前に評価する ための遺伝子療法技法と共に用いることもできる。
【0104】 抗HKNG1遺伝子産物抗体はさらに、異常なHKNG1遺伝子産物活性を阻害する方法
に用いることができる。したがって、そのような抗体はBADまたは精神分裂病な どのHKNG1仲介型神経精神医学的障害の治療方法の一部として用いることができ る。
【0105】 HKNG1遺伝子産物に対する抗体を産生するためには、HKNG1遺伝子産物またはそ
の一部を注射することによって種々の動物を免疫感作することができる。このよ
うな宿主動物としては、限定するものではないが、2〜3例を挙げるならばマウス
およびラットが挙げられる。免疫応答を増強させるため、宿主の種によって種々
のアジュバントを用いることができる。アジュバントとしては、限定するもので
はないが、フロイント(完全および不完全)アジュバント、水酸化アルミニウム
などのミネラルゲル、リソレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオールなどの
界面活性物質、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、スカシ貝ヘモシ
アニン、ジニトロフェノール、およびBCG(カルメット-ゲラン杆菌)、Coryneba
cterium parvumなどの有用な可能性があるヒトアジュバントが含まれる。
【0106】 ポリクローナル抗体とは、HKNG1遺伝子産物などの抗原、またはその抗原性機 能性誘導体で免疫感作した宿主動物の血清に由来する抗体分子の不均質集団であ
る。ポリクローナル抗体を産生するためには、上記アジュバントを補充したHKNG
1遺伝子産物を注射することによって上記のような宿主動物を免疫感作すること ができる。
【0107】 特定抗原に対する抗体の均質集団であるモノクローナル抗体は、培養下の連続
細胞系による抗体分子の産生を提供する任意の技法によって得ることができる。
そのような技法には以下のものが含まれるが、それらだけに限定されない。すな わち、Kohlerおよび Milsteinのハイブリドーマ技法(1975, Nature 256:495-497
;および米国特許第4,376,110号)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosborら, 19
83, Immunology Today 4:72; Coleら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:
2026-2030)、およびEVB-ハイブリドーマ技法(Coleら, 1985, Monoclonal Anti
bodies And Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁)である。このよう
な抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびそれらの任意のサブクラスを含む任 意の免疫グロブリンクラスのものであってよい。本発明mAbを産生するハイブリ ドーマは、in vitroまたは in vivoで培養することができる。in vivoにおける 高力値mAbの産生は、ハイブリドーマのin vivo培養を現時点で好ましい産生方法
としている。
【0108】 さらに、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子を適切な生物
学的活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングすることによ
って「キメラ抗体」(Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 865
1-6855; Neubergerら, 1984, Nature 312: 604-608; Takedaら, 1985, Nature 3
14:452-454)を産生するために開発された技法を用いることができる。キメラ抗
体とは、異なる部分が異なる動物種に由来する抗体分子のことである。例えば、
マウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子など である。(例えば、Cabillyらの米国特許第4,816,567号およびBossらの米国特許
第4,816,397号を参照されたい。これらは参照によりその全体を本明細書に組み 入れる。) さらに、ヒト化抗体を賛成するための技法が開発された。(例えば、Queenの 米国特許第5,585,089号を参照されたい。これは参照によりその全体を本明細書 に組み入れる。)免疫グロブリンのL鎖またはH鎖の可変領域は、相補性決定領域
(CDR)と呼ばれる3つの超可変領域によって中断される1つの「フレームワーク(
framework)」領域からなる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は正確に規定 されている(「免疫学的に興味のあるタンパク質の配列」、Kabat, E.ら、U.S.
Department of Health and Human Services (1983)を参照されたい。)要約する
と、ヒト化抗体とは、非ヒト種由来の1以上のCDRおよびヒト免疫グロブリン分 子由来のフレームワーク領域を有する該非ヒト種由来の抗体分子である。
【0109】 または、1本鎖抗体(米国特許第4,946,778号; Bird, 1988, Science 242: 42
3-426; Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; およびWa
rdら, 1989, Nature 334: 544-546)を産生するために記述された技法を、HKNG1
遺伝子産物に対する1本鎖抗体を産生するために適合させることができる。1本鎖
抗体は、Fv領域のL鎖およびH鎖フラグメントをアミノ酸架橋により連結し、1本 鎖ポリペプチドをもたらすことにより形成される。
【0110】 特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技法によって作製す
ることができる。例えば、そのようなフラグメントは限定するものではないが以
下のものを含む。すなわち、抗体分子のペプシン消化によって作製することがで
きるF(ab’)2フラグメント、およびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を
還元することによって作製することができるFabフラグメントを含む。または、 所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速で容易な同定を可 能とするため、Fab発現ライブラリーを構築することができる(Huseら, 1989, Sc
ience 246: 1275-1281)。
【0111】5.4.HKNG1遺伝子配列、遺伝子産物および抗体の用途 本分節には、HKNG1遺伝子配列、HKNG1遺伝子産物(そのペプチド断片および融
合タンパク質を含む)ならびにHKNG1遺伝子産物に対する抗体およびそのペプチ ド断片の種々の用途を記述する。そのような用途は、例えば、第18p染色体のマ ッピング、第5.5節に記述する、CNS関連障害を含むHKNG1仲介型障害(例えば、B
ADまたは精神分裂病などの神経精神医学的障害)の予後評価および診断評価、HK
NG1関連プロセスのモジュレーション、およびこのような障害に対する素因を有 する被験者の同定を含む。
【0112】 さらにそのような用途は、第5.9節に記述する、BADまたは精神分裂病などのHK
NG1仲介型障害の治療方法、および第5.8節に記述する、HKNG1遺伝子の発現およ び/またはHKNG1遺伝子産物の合成または活性をモジュレートする化合物の同定 方法を含む。そのような化合物は、例えば、気分調節などのプロセスおよびHKNG
1仲介型障害(例えば、BADまたは精神分裂病などの神経精神医学的障害)に関与
する他の細胞性生成物を含みうる。これらの化合物は、例えば、HKNG1仲介型障 害の改善、およびHKNG1仲介型プロセスのモジュレーションに用いることができる
【0113】 HKNG1遺伝子配列、HKNG1遺伝子産物(そのペプチド断片および融合タンパク質
を含む)ならびにHKNG1遺伝子産物に対する抗体および/またはそのペプチド断 片の用途は、早期発症常染色体性優性近視などのHKNG1仲介型近視障害の予後評 価および診断評価、HKNG1仲介型近視障害の治療方法、およびHKNG1遺伝子の発現
および/またはHKNG1遺伝子産物の合成または活性をモジュレートする化合物で あって、それゆえ早期発症常染色体性優性近視などのHKNG1仲介型近視の改善に 使用できるであろう化合物の同定方法をも含む。実際、このような方法は以下の 第5.5、5.8および 5.9節に記述する、HKNG1仲介型障害の診断および治療方法と 実質的に同一である。
【0114】5.5. HKNG1仲介型障害の診断 神経精神医学的障害などのHKNG1仲介型障害の診断評価および予後評価のため
、およびそのような障害に対する素因を有する被験者を同定するために種々の方 法を用いることができる。
【0115】 そのような方法は、例えば、第5.1節に記述したHKNG1遺伝子ヌクレオチド配列
、および第5.3節に記述したHKNG1遺伝子産物に対する抗体(そのペプチド断片を 含む)等の試薬を用いることができる。具体的には、例えば以下の目的のために そのような試薬を用いることができる: (1)HKNG1遺伝子突然変異の存在の検出、または野生型HKNG1の発現レベルと比
較して過剰または過少なHKNG1遺伝子発現の検出; (2)野生型HKNG1遺伝子産物の量と比較して、HKNG1遺伝子産物の過剰量または
過少量の検出;および (3)野生型HKNG1遺伝子産物活性レベルと比較して、HKNG1遺伝子産物活性の不 十分なレベルの検出。
【0116】 例えば上記第5.1節および下記第5.6節に記載のHKNG1突然変異/多型の検出技 法を用いてHKNG1仲介型神経精神医学的障害を診断するために、HKNG1遺伝子ヌ クレオチド配列を用いることができる。
【0117】 複数の異なる遺伝子座における突然変異は、神経精神医学的障害に関連する表
現型をもたらしうる。理想的には、そのような神経精神医学的障害を有する患者 の治療は、該障害を媒介する突然変異を含む特定の遺伝子座を標的として設計さ
れる。遺伝子多型は、薬剤効果における差異と関連づけられている。したがって
、HKNG1遺伝子、タンパク質または該遺伝子の両側に位置する領域における変化 の同定を、治療剤による治療を最適化する薬理遺伝学的方法に利用することがで
きる。
【0118】 したがって、本発明の1つの実施形態においては、HKNG1遺伝子における変化 、すなわち多型、またはそのような多型を含む遺伝子によってコードされるタン
パク質は、薬剤の効果,耐性または毒性と関係づけられ、そして治療剤による治
療を最適化する薬理ゲノム学的方法に用いることができる。上記治療剤による治
療は、本明細書に記述する障害、例えば精神分裂病およびBADなどのHKNG1仲介型 障害の1つに対する治療を含む。そのような多型は、例えば、薬効試験において 特定の薬剤療法に応答する又はしない個体の患者サブ集団を同定することによっ
て、薬剤耐性試験における有害現象(adverse events)の発生を減少させることに
より薬剤の設計をさらに精密にするために用いることができる。上記サブ集団は
薬剤応答性または非応答性と関連づけられるHKNG1多型を有する。本発明の薬理 ゲノム学的方法はまた、薬剤設計のための新しい薬剤標的を同定し、また既存の 薬剤の使用を最適化する、例えば薬剤に対する応答速度を増大させ、および/ま たは非レスポンダー(例えば、薬剤治療への非応答性または劣った応答性と関連
づけられる特定のHKNG1多型を有する個体)を同定して、ある種の薬剤治療から除
外する、またはある種の薬剤治療の望ましくない副作用を減少させ、および/ま
たはそのような副作用を極めてこうむりやすい個体(例えば、薬剤治療に対する
望ましくない副作用と関係づけられる特定のHKNG1多型を有する個体)を同定し 、該治療から除外するための手段を提供する。
【0119】 本発明の1つの実施形態においては、HKNG1遺伝子配列もしくはその両側に位 置する配列における多型、またはHKNG1遺伝子発現もしくは活性における変化、例
えば、HKNG1遺伝子産物の変更されたメチル化、示差的スプライシング、または 翻訳後修飾などによる変化を利用して、HKNG1仲介型障害に由来する疾患または 病態を有する個体を同定し、そしてその結果、最も効果的で安全な薬剤治療を明
確にすることができる。本明細書に記述するようなアッセイを用いて、HKNG1遺 伝子発現または活性におけるそのような多型または変化を同定することができる
。HKNG1遺伝子における、または障害を引き起こす対立遺伝子と連鎖不平衡にあ るHKNG1の両側に位置する配列における多型、またはHKNG1遺伝子発現における変
化が個体において一旦同定されたならば、この個体に適切な薬剤治療を処方する
ことができる。
【0120】 HKNG1遺伝子の突然変異または多型を検出するために、ゲノム核酸の出発供給 源として、核をもつ任意の細胞を用いることができる。HKNG1遺伝子発現またはH
KNG1遺伝子産物を検出するために、HKNG1遺伝子がその中で発現されている任意 の細胞型または組織を用いることができる。
【0121】 核酸に基づく検出技法を下記の第5.6節に記述する。ペプチド検出技法を下記 の第5.7節に記述する。
【0122】 本明細書に記述する方法は、例えば、あらかじめパッケージされた診断キット
を用いて実施することができる。したがって、本発明は生物学的サンプル(すな
わち試験サンプル)中の本発明のポリペプチドまたは核酸の存在を検出するため
のキットを包含する。このようなキットは、例えば、障害を引き起こす対立遺伝
子、または本発明のポリペプチドの不十分な発現もしくは活性に関連する障害(
例えば、BADまたは精神分裂病などの神経精神医学的障害を含むCNS障害)を被験
者が有するかどうか、またはそれを発症するおそれがあるかどうかを決定するの に用いることができる。例えば、このキットは生物学的サンプル中の本発明のポ
リペプチドまたはmRNAまたはDNAまたはHKNG1遺伝子配列(例えば、上記ポリペプ
チドをコードする)を検出することができる標識化化合物または試薬を含むこと
ができる。このキットは、サンプル中の上記ポリペプチドまたはmRNAの量(例え
ば、該ポリペプチドと結合する抗体、または該ポリペプチドをコードするDNAま たはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を測定するための手段をさら
に含むことができる。このキットはまた、上記ポリペプチドまたはこれをコード
するmRNAの量が正常レベルよりも高い又は低い場合、または上記DNAが障害を引き
起こすHKNG1対立遺伝子の存在と相関している場合、被験者は上記ポリペプチド の不十分な発現と関係づけられる障害を有するか、またはそれを発症するおそれ があるとみなすように、という使用説明書を含むことができる。
【0123】 抗体に基づくキットについては、該キットは例えば以下のものを含むことがで
きる:(1)本発明のポリペプチドに結合する第1の抗体(例えば、固相支持体
に結合している);および場合により(2)上記ポリペプチドまたは第1の抗体
に結合する、そして検出可能な作用物質とコンジュゲートを形成している第2の
異なる抗体。
【0124】 オリゴヌクレオチドに基づくキットについては、該キットは例えば以下のもの
を含むことができる:(1)本発明のポリペプチドをコードする核酸配列にハイ
ブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、検出可能に標識されたオリゴヌク
レオチド)または(2)表1に示すプライマーのような、本発明のポリペプチド
をコードする核酸分子を増幅するのに有用なプライマー対。
【0125】 該キットはまた、例えば1以上の緩衝化剤、保存剤、またはタンパク質安定化 剤を含むことができる。該キットは、検出可能な作用物質(例えば、酵素または
基質)の検出に必要な構成要素を含むことができる。該キットはまた、アッセイ
して試験サンプルと比較することができる対照サンプルまたは一連の対照サンプ
ルを含むことができる。キットの各構成要素は、通常個別の容器に封入されてお り、そして種々の容器のすべては使用説明書と共に1つのパッケージに収められ
ている。この説明書は、被験者がHKNG1仲介型障害を引き起こす対立遺伝子と相
関する多型、および/またはHKNG1 mRNA、ポリペプチドまたは活性の不十分なレ ベルと関連づけられる障害を有するか、またはそれを発症するおそれがあるかど うかを考察するための説明書である。
【0126】5.6. HKNG1核酸分子の検出 HKNG1遺伝子特異的突然変異または多型(HKNG1遺伝子フランキング多型を含む)
の存在のスクリーニングのために、および、HKNG1核酸配列レベルを検出及び/ま
たはアッセイするために種々の方法を用いることができる。
【0127】 HKNG1遺伝子内またはこの遺伝子に隣接する(フランキング)突然変異または多 型は、多数の方法を利用して検出することができる。そのようなアッセイ法の出
発点として任意の有核細胞由来の核酸を使用することができ、核酸は当業者に公
知の標準的な核酸製造法に従って単離することができる。
【0128】 HKNG1核酸配列は、点突然変異、挿入、欠失、逆位、転座及び染色体転移を含 む、HKNG1遺伝子構造に関する異常を検出するための生物サンプルのハイブリダ イゼーションアッセイや増幅アッセイに用いることができる。そのようなアッセ
イ法としては、限定されるものではないが、サザン解析、1本鎖コンフォーメー ション多型解析(SSCP)及びPCR解析がある。
【0129】 HKNG1遺伝子特異的突然変異または多型を検出する診断法は、例えば、サンプ ルから得られる核酸(例えば患者サンプルまたはその他適当な細胞源から得られ る核酸)と、上記第5.1節に記載したような組換えDNA分子、クローニングされた 遺伝子もしくはその縮重変異体を含む1またはそれ以上の標識核酸試薬とを、HKN
G1遺伝子内またはこれに隣接する(フランキング)相補性配列に対するこれら試薬
の特異的アニーリングのために好適な条件下で接触させてインキュベーションす
ることを含んでもよい。本発明の診断法はさらに、HKNG1遺伝子の単一ヌクレオ チド突然変異または多型を検出するために、核酸を接触させてインキュベーショ
ンすることを包含する。HKNG1遺伝子内のこれら核酸試薬配列またはHKNG1遺伝子
に隣接する(フランキング)第18p染色体ヌクレオチド配列は、好ましくは長さ15 〜30ヌクレオチドである。
【0130】 インキュベーション後、アニーリングしなかった核酸をすべて、核酸:HKNG1 分子ハイブリッドから除く。次にハイブリダイズした核酸の存在が(そのような
分子が存在する場合には)検出される。目的とする細胞型由来もしくは組織由来
の核酸は、そうした検出手段を用いて、例えばメンブランのような固体支持体、
またはマイクロタイターもしくはポリスチレンビーズ等のプラスチック表面に固
定することができる。この場合、第5.1節に記載したタイプのアニーリングして いない標識核酸試薬はインキュベーション後簡単に除かれる。当業者に公知の標
準的な手法を用いて、残っているアニーリングした標識HKNG1核酸試薬の検出を 行う。HKNG1遺伝子突然変異が存在するかどうかを決定するため、核酸試薬がア ニーリングしたHKNG1遺伝子配列を、正常なHKNG1遺伝子配列から推定されるアニ
ーリングパターンと比較できる。
【0131】 好ましい態様によれば、HKNG1突然変異または多型は、支持体または「遺伝子 チップ」(例えば、Croninら、Human Mutation 7:244-255参照)に固定化されたHK
NG1核酸配列のマイクロアッセイを用いて検出できる。
【0132】 あるいはまた、患者サンプルもしくはその他適当な細胞源においてHKNG1遺伝 子特異的核酸分子(またはHKNG1フランキング配列)を検出する診断法は、例えばP
CR(Mullis, 1987, 米国特許第4,683,202号に記載の実験態様)によりこれらを増 幅した後、例えば、上記のような当業者に公知の手法を用いて増幅した分子を解
析する段階を含んでなる方法であってもよい。病気を引き起こすHKNG1対立遺伝 子と連鎖不均衡にあるHKNG1遺伝子の突然変異または多型が存在するかどうかを 決定するために、得られた増幅配列を、増幅された核酸がHKNG1遺伝子の正常な コピーのみを含んでいる場合に予想される配列と比較できる。
【0133】 なかでも、そのような増幅関連診断スクリーニング解析に好ましいHKNG1核酸 配列は、HKNG1エキソン配列を増幅するオリゴヌクレオチドプライマーである。 従ってそのようなオリゴヌクレオチドプライマーの配列は、全体のエキソン、す
なわちコード領域を以下に述べるように解析できるように、好ましくはHKNG1イ ントロンから誘導される。HKNG1エキソンの増幅に有用なプライマー対は、隣接 するイントロン由来のものであることが望ましい。適当なプライマー対を、11個
の各HKNG1エキソンを増幅するように選択し得る。HKNG1エキソンの増幅用プライ
マーは、図3A-3Rに示すHKNG1のエキソン及びイントロン配列を利用して、当業者
にとって常套の手順に従い設計できる。
【0134】 限定されるものではないが1例を挙げれば、下記表1はプライマー及びプライマ
ー対を掲記するものであるが、これらは、1〜11までの各ヒトHKNG1エキソンを増
幅するのに利用できる。この表では、プライマー対は各エキソンについて掲記さ
れているが、各エキソンについてのプライマー対は、増幅されるべきエキソン上
流にあるイントロン配列由来の順方向プライマー、及び増幅されるエキソンの下
流に位置するイントロン配列由来の逆方向プライマーからなる。長さ約300塩基 対より大きいエキソン、すなわちエキソン4及び7については、2個のプライマー 対が記載されている(4a、4b、7a及び7bと表示)。従って、各プライマー対は、個
々のHKNG1エキソン(またはその一部)を増幅する標準PCR反応の一部として利用で
きる。プライマー配列は5'から3'方向に記載されている。
【0135】
【表1】
【0136】 上記の各プライマー対は、約300塩基対の増幅配列を作るのに用いることがで きる。これは特に、SSCPゲル電気泳動の手法を使って配列解析を行う場合に望ま
しい。そのような手法は約300塩基対以下の配列を用いると好適に機能するから である。
【0137】 そのような増幅関連解析に好ましいさらに別のHKNG1核酸配列は、図3A-3Rに記
載のHKNG1配列とは異なるHKNG1多型の存在を検出し得る配列である。そのような
多型としては、BADや精神分裂病のようなHKNG1仲介神経精神医学的障害に関連す
る突然変異を提示するものが含まれる。例えば、下記の第8節に示す実施例にお いて同定された一塩基突然変異(single base mutation)からは、図1A-1B(配列番
号2)に示すHKNG1アミノ酸配列の202位、または図2A-2B(配列番号4)に示すHKNG1 アミノ酸配列の184位にある野性型グルタミン酸残基の代わりに、リジン残基を 置換してなる突然変異HKNG1遺伝子産物が得られる。そのような多型はまたHKNG1
仲介神経精神医学的障害の存在と相関するもの、例えば、病因となるHKNG1対立 遺伝子と連鎖不均衡である多型を含む。
【0138】 増幅方法は当業者に公知であり、上記表1に掲記したようなプライマーに関連 した常套手段を用いて利用できる。一般に、ハイブリダイゼーションの条件は下
記の通りであってよい。一般に長さ14〜70ヌクレオチドのプローブについては、
その融点TMは一般に下記式を用いて計算する。
【0139】 Tm(℃)=81.5+16.6 (log[1価カチオン])+0.41(%G+C)−(500/N) 式中、Nはプローブの長さである。ホルムアミド含有溶液中でハイブリダイゼー ションを行う場合、融点は以下の式を用いて計算される。
【0140】 Tm(℃)=81.5+16.6 (log[1価カチオン])+0.41(%G+C)−(0.61%ホルムアミド)−(
500/N) 式中、Nはプローブの長さである。
【0141】 さらに、公知の遺伝子型決定法を用いてHKNG1遺伝子突然変異をもつ個体を同 定することができる。そのような方法としては、例えば、使用した特定の制限酵
素の認識部位の1つに配列変異を含む制限断片長の多型(RFLPs)を使用する方法が
ある。
【0142】 さらに、制限酵素部位間の様々な数の短いタンデム型反復DNA配列の存在を利 用するDNA多型を解析する改良法が記載されており、これはHKNG1遺伝子特異的突
然変異の同定に利用することができる。例えば、Weber(米国特許第5,075,217号)
は、(dC-dA)n-(dG-dT)nの短いタンデム型反復ブロックにおける長さ多型に基づ くDNAマーカーを記載している。(dC-dA)n-(dG-dT)nブロックの平均的な分離は30
,000-60,000 塩基対だと推定されている。非常に近い間隔にあるマーカーは高頻
度共遺伝(high frequency co-inheritance)を示すが、そのようなマーカーは、 例えばHKNG1遺伝子内の突然変異のような遺伝子突然変異の同定及びHKNG1突然変
異に関連する疾病や障害の診断に極めて有用である。
【0143】 さらにCaskeyら(米国特許第5,364,759号)には、短いトリ及びテトラヌクレオ チド反復配列を検出するDNAプロファイリングアッセイが記載されている。この 方法は、HKNG1遺伝子等の目的とするDNAを抽出し、抽出したDNAを増幅し、反復 配列を標識して個体のDNA遺伝子型マップを生成するものである。
【0144】 その他当分野に公知の方法を使用して単一ヌクレオチド多型(single nucleoti
de polymorphism, SNPs)を同定してもよく、この多型としては、2個の対立遺伝 子を有し、その両方が集団において相当高頻度で存在する2対立遺伝子性SNPまた
は2対立遺伝子性マーカーがある。SNPを検出する常法としては、例えば、通常の
ドットブロット分析、1本鎖コンフォーメーション多型(SSCP)解析(例えば、Orit
aら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766-2770)、変性濃度勾配ゲル電 気泳動法(DGGE)、異種二重鎖 (heterodulex)分析、ミスマッチ開裂検出、及びそ
の他当分野に公知の常法(例えば、Sheffieldら、1989,Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 86:5855-5892; Grompe, 1993, Nature Genetics 5:111-117)がある。その他
、SNPを検出しマッピングする好ましい方法としては、標的DNAのSNP部位を単一 ヌクレオチドプライマー伸長反応により検出するマイクロシーケンシング法もあ
る(例えば、Goeletら、PCT国際公開公報第WO92/15712号; Mundy, 米国特許第4,6
56,127号; Vary and Diamond, 米国特許第4,851,331号; Cohenら、PCT国際公開 公報第WO91/02087号; Cheeら、PCT国際公開公報第WO95/11995号; Landegrenら、
1988, Science 241:1077-1080; Nicersonら、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.
S.A. 87:8923-8927; Pastinenら、1997, Genome Res. 7:606-614; Pastinenら、
1996, Clin. Chem. 42:1391-1397; Jalankoら、1992, Clin. Chem. 38:39-43; S
humakerら、1996, Hum. Mutation 7:346-354; Caskeyら、PCT国際公開公報第WO9
5/00669号)。
【0145】 HKNG1遺伝子発現のレベルもアッセイすることができる。例えば、脳などの、H
KNG1遺伝子を発現することが知られているか発現すると考えられている細胞型も
しくは組織由来のRNAは、上記のようなハイブリダイゼーションまたはPCR技術を
利用して単離・試験することができる。単離される細胞は細胞培養由来でもまた
患者由来であってもよい。細胞に基づく遺伝子治療技術の一部として用いられる
細胞を、あるいは、HKNG1遺伝子発現に対する化合物の効果を試験するための細 胞を評価することにおいて、培養液から得られる細胞の解析は、必要とされるス
テップであり得る。そのような解析を行えば、定量的観点及び定性的観点の両方
から、HKNG1遺伝子発現の活性化もしくは不活性化を含む、HKNG1遺伝子の発現パ
ターンを明らかとし得るであろう。
【0146】 そのような検出手段の1態様によれば、cDNA分子は目的とするRNA分子から合成
される(例えば、RNA分子のcDNAへの逆転写により)。次いで、cDNA内の配列をPCR
増幅反応などの核酸増幅反応の鋳型として使用する。この方法の逆転写ステップ
及び核酸増幅ステップで合成開始剤(例えば、プライマー)として使用する核酸試
薬は、第5.1節に記載したHKNG1遺伝子核酸試薬のなかから選択する。そのような
核酸試薬の好ましい長さは少なくとも9〜30ヌクレオチドである。増幅産物を検 出するため、放射性もしくは非放射性標識ヌクレオチドを使用して核酸増幅を行
ってもよい。あるいは、標準臭化エチジウム染色により、またはその他適当な核
酸染色法の利用により可視化するために十分な量、増幅産物を作製し得る。
【0147】 さらにそのようなHKNG1遺伝子発現アッセイは「in situ」で、すなわち、生検
もしくは切除により得られた患者組織の組織切片(固定化及び/または凍結)に直 接適用できる。この場合は核酸精製は不要である。第5.1節に記載のような核酸 試薬は、そのようなin situ法のプローブ及び/またはプライマーとして使用し得
る(例えば、Nuovo, G.J., 1992, "PCR In Situ Hybridization: Protocols And
Applications", Raven Press, NY参照)。
【0148】 さらに、十分な量の適当な細胞が得られる場合には、標準ノーザン解析を行っ
てHKNG1遺伝子のmRNA発現レベルを測定することができる。
【0149】 5.7. HKNG1遺伝子産物の検出 上記の第5.3節で考察した、損傷を受けていない、または変異HKNG1遺伝子産物
または保存された変異体またはそのペプチド断片に対する抗体はまた、HKNG1仲 介型障害、たとえば、BADまたは精神分裂病のような神経精神医学的障害の診断 および予後診断に用いられる。このような方法を用いて、HKNG1遺伝子産物の合 成または発現レベルの異常、またはHKNG1遺伝子産物の構造、一過性発現、およ び/または身体における位置の異常を検出することができる。本明細書に記載さ れた抗体およびイムノアッセイ法は、たとえば、HKNG1仲介型障害の治療の有効 性を検定するための重要なin vitroの適用法を有する。下記の抗体または抗体の
フラグメントを用いて、治療に有効である可能性のある化合物をin vitroでスク
リーニングして、HKNG1遺伝子発現およびHKNG1遺伝子産物の産生に対するその効
果を決定することができる。それらの化合物は、BADまたは精神分裂病のようなH
KNG1仲介型障害に対する有益な効果を有する。
【0150】 in vitroでのイムノアッセイを用いて、たとえば、HKNG1仲介型障害、たとえ ば、BADまたは精神分裂病のような神経精神医学的障害の、細胞を基礎とする遺 伝子治療の有効性を評価することもできる。in vitroでHKNG1遺伝子産物に対す る抗体を用いて、たとえば、HKNG1遺伝子産物を産生するように遺伝子操作され た細胞において達成されるHKNG1遺伝子の発現レベルを決定することができる。 細胞内HKNG1遺伝子産物の場合、このような評価は、好ましくは細胞溶解物また は抽出物を用いておこなわれる。このような分析によって、in vivoでの治療有 効性を達成するために必要な形質転換した細胞の数の決定、および遺伝子置換プ
ロトコールの最適化が可能になる。
【0151】 分析される組織または細胞型には、一般的に、HKNG1遺伝子を発現することが 知られているか、または疑われている物が含まれる。本明細書で用いられるタン
パク質単離法は、たとえば、HarlowおよびLane (1988, 「抗体:研究室マニュア
ル」(“Antibodies: A Laboratory Manual”)、Cold Spring Harbor Laboratory
Press, Cold Spring Harbor, New York)に記載された方法である。単離された 細胞は、細胞培養または患者に由来する物であってよい。培養から得られた細胞
の分析は、細胞を基礎とした遺伝子治療技術の一部として用いられる細胞の評価
において、あるいはまた、HKNG1遺伝子の発現に対する化合物の効果を試験する ために、必要な段階である。
【0152】 HKNG1遺伝子産物、保存された変異体またはそのペプチド断片の検出のための 好ましい診断法には、たとえば、HKNG1遺伝子産物または保存された変異体また はペプチド断片がその抗HKNG1遺伝子産物特異的抗体との相互作用によって検出 されるイムノアッセイが含まれる。
【0153】 たとえば、上記の第5.3節に記載したような、抗体または抗体のフラグメント を用いて、HKNG1遺伝子産物または保存された変異体またはそのペプチド断片の 存在を定量的または定性的に検出することができる。たとえば、蛍光標識した抗
体(本節中、下記参照)を用い、光学顕微鏡、フローサイトメトリー、または蛍
光定量法による検出と組み合わせた免疫蛍光法技術によって、これを達成するこ
とができる。このような技術は、細胞表面に発現されるHKNG1遺伝子産物に特に 好ましい。
【0154】 さらに、本発明において有用な抗体(またはそのフラグメント)を組織学的に
用いて、免疫蛍光法または免疫電子顕微鏡によって、HKNG1遺伝子産物、保存さ れた変異体またはそのペプチド断片をin situにおいて検出することができる。i
n situにおける検出は、患者から組織標本を取り出し、そこにrTsポリペプチド に結合する標識された抗体を適用することによっておこなわれる。抗体(または
フラグメント)は、好ましくは、標識された抗体(またはフラグメント)を生体
サンプル上に薄く塗ることによって適用する。このような方法を用いることによ
って、HKNG1遺伝子産物、保存された変異体またはペプチド断片の存在ばかりで なく、試験した組織におけるその分布をも決定することが可能である。本発明を
用いる際に、さまざまな組織学的方法(染色法のような)のいずれでも、HKNG1 遺伝子産物のin situにおける検出を達成するために変更して用いることができ ることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0155】 HKNG1遺伝子産物、保存された変異体、またはそのペプチド断片のイムノアッ セイは、典型的には、生物由来の液体、組織抽出物、新しく収集した細胞、また
は細胞の溶解物のようなサンプルを、HKNG1遺伝子産物、保存された変異体また はそのペプチド断片を同定することができる検出可能な標識抗体の存在下でイン
キュベートすること、および、結合した抗体を当業者に公知の多くの技術のいず
れかによって検出することを含む。
【0156】 生体サンプルを、細胞、細胞粒子または可溶性タンパク質を固定化することが
可能なニトロセルロースなどの固相支持体または担体に接触させ、その上に固定
化することができる。次いで、支持体を適当な緩衝液で洗浄した後、検出可能な
標識HKNG1遺伝子産物特異的抗体で処理する。次に、固相支持体を再度緩衝液で 洗浄して結合していない抗体を除去する。次いで、固体支持体に結合した標識の
量を通常の手段により検出する。
【0157】 「固相支持体または担体」は、抗原または抗体を結合することができる支持体
であれば何でもよい。公知の支持体または担体には、ガラス、ポリスチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然のま
たは修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑れい岩、および磁鉄鉱が含
まれる。担体の性質は、ある程度まで可溶性であるか、または本発明の目的のた
めに不溶性であるかのいずれであってもよい。支持体の材料は、結合した分子が
抗原または抗体に結合することができる限り、実質的にどのような構造的形状を
有していてもよい。すなわち、支持体の形状は、ビーズのような球面、または試
験管の内側表面あるいは棒の外側表面のような円筒状であってよい。あるいは、
表面はシート、試験紙等のように平坦であってもよい。好ましい支持体としては
、ポリスチレンビーズが挙げられる。抗体または抗原を結合するのに適した他の
多くの担体は、当業者に公知であり、または日常的な実験を用いてこれを確かめ
ることができる。
【0158】 HKNG1遺伝子産物特異的抗体を検出可能に標識する方法の一つは、これをエン ザイムイムノアッセイ(EIA)に用いるような酵素に結合させることである(Voller
, A.,「酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)」(“The Enzyme Linked Immunosorbent
Assay(ELISA)”)、1978, Diagnostic Horizons 2:1-7, Microbiological Assoc
iates Quarterly Publication, Walkersville, MD; Voller, A.ら、1978, J. Cl
in. Pathol. 31:507-520; Butler, J. E., 1981, Meth. Enzymol. 73:482-523;
Maggio, E.(編)、1980、エンザイムイムノアッセイ(Enzyme Immunoassay)、CR
C Press, Boca Raton, FL; Isikawa, E.ら、(編)、1981、エンザイムイムノア
ッセイ(Enzyme Immunoassay)、化学書院、東京)。抗体に結合した酵素は、たと
えば分光光度法、蛍光定量法または可視的手段によって検出することができる化
学基を生成するような様式で、適当な基質、好ましくはクロモゲン基質と反応す
る。抗体を検出可能に標識するために用いることができる酵素には、リンゴ酸デ
ヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-5-ステロイドイソメラーゼ 、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、ト リオースリン酸イソメラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシ ダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デ ヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが含まれ
るが、これらに限定されない。検出は、酵素に対してクロモゲン基質を用いた比
色法によっておこなうことができる。検出はまた、同様に調製した標準と比べて
、基質の酵素反応の程度を可視的に比較することによってもおこなうことができ
る。
【0159】 また、検出は他のさまざまなイムノアッセイ法のいずれかを用いておこなって
もよい。たとえば、抗体または抗体フラグメントを放射性標識することによって
、ラジオイムノアッセイ(RIA)を使用してHKNG1遺伝子産物を検出することが可能
である(たとえば、Weintraub, B., ラジオイムノアッセイの原理、ラジオリガ ンドアッセイ技術の第7トレーニングコース(Principles of Radioimmunoassays
, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques)、The Endocrin
e Society, March, 1986を参照されたい)。放射性同位元素はガンマカウンター
またはシンチレーションカウンターの使用またはオートラジオグラフィーのよう
な手段によって検出することができる。
【0160】 また、抗体を蛍光性化合物で標識することも可能である。蛍光標識された抗体
に適当な波長の光を当てると蛍光によってその存在が検出できる。最も広く用い
られる蛍光標識化合物の中には、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン
、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒドお
よびフルオレサミンがある。
【0161】 抗体はまた、152Euまたは他のランタノイド系列の金属のような蛍光放射金属 を用いて検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリア
ミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属をキレート
化する基を用いて抗体につけることができる。
【0162】 抗体を化学発光化合物に結合させることによって、それを検出可能に標識する
ことができる。化学発光タグをつけた抗体の存在を、化学反応が進行する間に生
じる発光の存在を検出することにより測定する。特に有用な化学発光標識化合物
の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマティック(theromatic)アクリジニ
ウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである
【0163】 同様に、生物発光化合物を用いて、本発明の抗体を標識することもできる。生
物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効力を増加させるような生物系にお
いて見られる化学発光の一種である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在
を検出することによって測定される。標識の目的で用いられる重要な生物発光化
合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。
【0164】 5.8. HKNG1遺伝子活性をモジュレートする化合物のスクリーニングアッセイ 以下のアッセイは、HKNG1遺伝子産物に結合する化合物、HKNG1遺伝子産物と相
互作用するタンパク質またはタンパク質の一部に結合する化合物、HKNG1遺伝子 産物とタンパク質の相互作用をモジュレート、たとえば妨害する化合物、および
HKNG1遺伝子の活性をモジュレートする化合物(すなわち、HKNG1遺伝子発現レベ
ルをモジュレートする、および/または、HKNG1遺伝子産物の活性レベルをモジュ
レートする)を同定するために設計されたものである。さらに、HKNG1遺伝子の 調節配列(たとえば、プロモーター配列、たとえば、Platt, 1994, J. Biol. Ch
em. 269, 28558-28562を参照されたい)に結合し、HKNG1遺伝子発現レベルをモ ジュレートすることができる化合物を同定するアッセイを使用してもよい。この
ような化合物には、血液脳関門を通り、適当な細胞に到達し、および/または、 この中に入って、HKNG1遺伝子またはHKNG1調節経路に関連する他のいくつかの遺
伝子の発現に影響を与えることができるような有機小分子が含まれるが、これら
に限定されない。
【0165】 このようなタンパク質の同定の方法は、下記の第5.8.2節に記載する。このよ うなタンパク質は、気分の制御および/または調節に関与していると思われる。
さらに、これらの化合物の中には、HKNG1遺伝子発現レベルおよび/またはHKNG1
遺伝子産物の活性レベルに影響を与え、下記の第5.9節に記載するように、HKNG1
仲介型障害、たとえば、双極性情動障害および精神分裂病のような神経精神医学
的障害の治療に用いることができる化合物が含まれる。
【0166】 化合物には、ペプチド、たとえば、Igをつけた融合ペプチドを含むがこれに限
定されない可溶性ペプチド、ランダムペプチドライブラリーのメンバー(たとえ
ば、Lanら、1991, Nature 354:82-84; Houghtenら、1991, Nature 354:84-86を 参照されたい)、およびD-および/またはL-配置アミノ酸からなるコンビナトリ アルケミストリーで誘導された分子ライブラリーのメンバー、ホスホペプチド(
ランダムまたは部分的な変性(degenerate)誘導型ホスホペプチドライブラリーの
メンバーを含むが、これらに限定されない。たとえば、Songyangら、1993、Cell
72:767-778を参照されたい)、抗体(ポリクローナル、モノクローナル、ヒト 化、抗イディオタイプ、キメラまたは一本鎖抗体、並びにFAb、F(ab')2、および
FAb発現ライブラリーフラグメント、およびそのエピトープ結合フラグメントを 含むが、これらに限定されない)、および有機または無機小分子が含まれるが、
これらに限定されない。
【0167】 さらに、このような化合物は、特に、HKNG1仲介型障害、たとえば、双極性情 動障害または精神分裂病のような神経精神医学的障害の症状を改善することが知
られている薬剤、または薬剤のクラス若しくはファミリーのメンバーからなる。
【0168】 このような化合物には、抗うつ薬のファミリー、たとえば、リチウム塩、カル
バマゼピン、バルプロ酸、リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)、p-クロロフェニ ルアラニン、p-プロピルドパセタミド(p-propyldopacetamide)ジチオカルバミン
酸誘導体(たとえば、FLA 63)、抗不安薬(たとえば、ジアゼパム)、モノアミ
ンオキシダーゼ(MAO)阻害剤(たとえば、イプロニアジド(iproniazid)、クロル ジリン、フェネルジンおよびイソカルボキシアジド)、生体アミン取り込み遮断
剤(たとえば、デシプラミン、イミプラミン、およびアミトリプチリンのような
三環系抗うつ薬)、セロトニン再取り込み阻害剤(たとえば、フルオキセチン)
、抗精神病薬(たとえば、フェノチアジン誘導体(たとえば、クロルプロマジン
(トラジン(thorazine))、およびトリフルオプロマジン(trifluopromazine)) 、ブチロフェノン(たとえば、ハロペリドール(ハルドール))、チオキサンテ
ン誘導体(たとえば、クロルプロチキセン)およびジベンゾジアゼピン(たとえ
ば、クロザピン))、ベンゾジアゼピン、ドパミン作用性アゴニストおよびアン
タゴニスト(たとえば、L-DOPA、コカイン、アンフェタミン、α-メチルチロシ ン、レセルピン、テトラベナジン(tetrabenazine)、ベンゾトロピン、パルジリ ン)、ノルアドレナリン作用性アゴニストおよびアンタゴニスト(たとえば、ク
ロニジン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、トロポロン)が含まれる。
【0169】 本明細書に記載したもののようなアッセイによって同定された化合物は、たと
えば、HKNG1遺伝子産物の生物学的機能を作り出すため、および、双極性情動障 害および精神分裂病のようなHKNG1仲介型神経精神医学的障害を改善するために 有用でありうる。たとえば、第5.8.1-5.8.3節に記載された技術によって同定さ れた化合物の有効性を試験するアッセイについては、下記の第5.8.4節で論じる 。
【0170】 5.8.1. HKNG1遺伝子産物に結合する化合物のin vitroでのスクリーニングアッ セイ 本発明のHKNG1遺伝子産物に結合することができる化合物を同定するためにin
vitro系を設計する。同定された化合物は、たとえば、損傷を受けていないおよ び/または変異体HKNG1遺伝子産物の活性をモジュレートするのに有用であり、H
KNG1遺伝子産物の生物学的機能を作り出すのに有用であり、正常なHKNG1遺伝子 産物相互作用を分断させる化合物を同定するためのスクリーニングに利用するこ
とができ、またはそれ自体がそのような相互作用を分断しうる。
【0171】 HKNG1遺伝子産物に結合する化合物を同定するために用いるアッセイの原理は 、HKNG1遺伝子産物と試験化合物の反応混合物を、この二つの成分が相互作用し て結合させるのに十分な条件と時間で調製し、これによって、反応混合物から取
り出し、および/または検出することができるような複合体を形成させることか らなる。これらのアッセイはさまざまな方法で実施することができる。たとえば
、このようなアッセイを実施する一つの方法は、HKNG1遺伝子産物または試験物 質を固体支持体上に固定させて、反応が終わった時に固体支持体上に形成された
HKNG1遺伝子産物/試験化合物複合体を検出することを含む。このような方法の 一つの実施形態において、HKNG1遺伝子産物を固体支持体上に固定し、固定して いない試験化合物を直接または間接的に標識することができる。
【0172】 実施にあたって、固体支持体としてマイクロタイタープレートを利用すると好
都合である。固定する成分は、非共有結合または共有結合によって固定化される
。非共有結合は、固体表面にタンパク質溶液を単に被覆して乾燥させることによ
っておこないうる。あるいは、固定化すべきタンパク質に特異的な固定化された
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を、タンパク質を固体表面に固定するため
に用いてもよい。表面はあらかじめ調製して保存しておいてもよい。
【0173】 アッセイを実施するために、固定された成分を含む被覆された表面に固定化さ
れていない成分を加える。反応が終了した後に、形成された複合体がすべて固体
表面上に固定化されて残るような条件下で、未反応の成分を(たとえば、洗浄に
よって)取り除く。固体表面に固定された複合体の検出は、さまざまな方法で実
施することができる。固定化されない成分をあらかじめ標識していた場合には、
表面上に固定化された標識の検出により複合体が形成されたことが示される。固
定化されない成分があらかじめ標識されていない場合には、表面上に固定された
複合体を検出するために、間接的標識を用いることができる。たとえば、あらか
じめ標識していない成分に特異的な標識抗体を用いる(その抗体も、直接標識し
てもよいし、標識した抗Ig抗体を用いて間接的に標識してもよい)。
【0174】 あるいは、反応を液相でおこない、反応生成物を未反応の成分から分離し、複
合体を検出することもできる。複合体の検出には、たとえば、溶液中に形成され
たすべての複合体を固定するためのHKNG1遺伝子産物または試験化合物に特異的 な固定化された抗体、および固定された複合体を検出するための、潜在的な複合
体の他の成分に特異的な標識抗体を用いる。
【0175】 5.8.2 HKNG1遺伝子産物と相互作用するタンパク質のアッセイ タンパク質-タンパク質相互作用を検出するのに適した方法であればいずれの 方法でも、HKNG1遺伝子産物-タンパク質相互作用の同定に用いることができる。
【0176】 用いられてきた伝統的な方法の中には、同時免疫沈降、架橋、および勾配また
はクロマトグラフィーカラムによる同時精製がある。これらのような方法を使用
すると、HKNG1遺伝子産物と相互作用する、細胞内タンパク質を含むタンパク質 の同定が可能である。単離すれば、このようなタンパク質は同定することができ
、また標準的な技術と組み合わせて、このタンパク質が相互作用するタンパク質
を同定するために用いることができる。たとえば、HKNG1遺伝子産物と相互作用 するタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部分は、当業者に公知の技術を用
いて、たとえば、Edman分解技術によって確定することができる(たとえば、Cre
ighton, 1983, 「タンパク質:構造および分子原理」(“Proteins: Structures
and Molecular Principles”)、W. H. Freeman & Co., N. Y., pp.34-49を参照 されたい)。得られたアミノ酸配列は、そのようなタンパク質をコードする遺伝
子配列をスクリーニングするために用いることができるオリゴヌクレオチド混合
物の生成の指標として用いることができる。スクリーニングは、たとえば、標準
的なハイブリダイゼーションまたはPCR技術によっておこなうことができる。オ リゴヌクレオチド混合物の生成およびスクリーニングのための技術は公知である
(たとえば、Ausubel、前掲、および1990、「PCRプロトコル:方法および応用の
指針」(“PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications”)、Innisら
編、Academic Press, Inc., New Yorkを参照されたい)。
【0177】 さらに、HKNG1遺伝子産物と相互作用するタンパク質をコードする遺伝子を同 時に同定する方法を用いてもよい。これらの方法には、たとえば、Xgt11ライブ ラリーを抗体で調べる公知の技術と同様の方法で、HKNG1遺伝子産物を用いて、 標識したHKNG1遺伝子産物で発現ライブラリーを調べることが含まれる。
【0178】 in vivoでのタンパク質相互作用を検出する一つの方法である、2-ハイブリッ ド系について詳細に記載するが、これは説明のみを目的とするもので限定を意図
するものではない。このシステムの一つの形は、文献に記載されており(Chienら
、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:9578-9582)、Clontech(Palo Alto, C
A)より市販製品を入手可能である。
【0179】 簡単に述べると、このような系を使用して、二つのハイブリッドタンパク質を
コードするプラスミドを構築する。一つはHKNG1遺伝子産物に融合した転写アク チベータータンパク質のDNA結合ドメインからなり、もう一つは、cDNAライブラ リーの一部としてこのプラスミドに組み込まれたcDNAによってコードされる未知
のタンパク質に融合した転写アクチベータータンパク質の活性化ドメインからな
る。DNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNAライブラリーを、その調節性領 域が転写アクチベーターの結合部位を含むレポーター遺伝子(たとえば、HBSま たはlacZ)を含む酵母Saccharomyces cerevisiae株に形質転換する。どちらのハ イブリッドタンパク質も、単独ではレポーター遺伝子の転写を活性化できない。
DNA結合ドメインハイブリッドは、活性化機能を示さないので活性化できず、活 性化ドメインハイブリッドは、アクチベーターの結合部位に位置することができ
ないので活性化できない。二つのハイブリッドタンパク質の相互作用が機能的ア
クチベータータンパク質を再構成し、レポーター遺伝子を発現させ、これがレポ
ーター遺伝子産物のアッセイによって検出される。
【0180】 前記2-ハイブリッド系または関連する方法論は、「餌」遺伝子産物と相互作用
するタンパク質について、活性化ドメインライブラリーをスクリーニングするた
めに用いられる。例として、限定を意図するものではないが、HKNG1遺伝子産物 を餌遺伝子産物として用いる。ゲノム配列またはcDNA配列全体を、活性化ドメイ
ンをコードするDNAに融合する。このライブラリー、および、DNA結合ドメインに
融合した餌HKNG1遺伝子産物のハイブリッドをコードするプラスミドを、酵母レ ポーター株に共形質転換し、得られた形質転換体を、レポーター遺伝子を発現す
るものについてスクリーニングした。たとえば、HKNG1遺伝子のオープンリーデ ィングフレームのような餌HKNG1遺伝子配列を、 GAL-4タンパク質のDNA結合ドメ
インをコードするDNAに、翻訳により融合するように、ベクター中にクローニン グすることができる。これらのコロニーを精製して、レポーター遺伝子発現に関
与するライブラリープラスミドを単離する。次いで、DNA配列決定を、ライブラ リープラスミドによりコードされたタンパク質を同定するために用いる。
【0181】 餌HKNG1遺伝子産物と相互作用するタンパク質の検出をおこなう細胞系のcDNA ライブラリーは、当業者が通常おこなう方法を用いて作ることができる。本明細
書に記載した特定のシステムによれば、たとえば、GAL4の転写活性化ドメインに
翻訳により融合するように、cDNA断片をベクターにインサートすることができる
。このようなライブラリーは、GAL4活性化配列を含むプロモーターにより駆動さ
れるlacZ遺伝子を含む酵母株に、餌HKNG1遺伝子-GAL4融合プラスミドと共形質転
換することができる。餌HKNG1遺伝子産物と相互作用する、GAL4転写活性化ドメ インに融合された、cDNAにコードされたタンパク質は、活性なGAL4タンパク質を
再構成し、それによってHIS3遺伝子の発現を駆動する。HIS3を発現するコロニー
は、ヒスチジン欠乏の半固体寒天をベースとした培地を含むペトリ皿上での該コ
ロニーの増殖によって検出できる。次いで、これらの株からcDNAを精製し、当業
者が通常おこなう技術を用いて、餌HKNG1遺伝子産物と相互作用するタンパク質 を産生および単離するために用いる。
【0182】 5.8.3 HKNG1遺伝子産物と高分子との相互作用を妨害または強化する化合物の アッセイ HKNG1遺伝子産物は、タンパク質のような細胞内高分子を含む1つかそれ以上の
高分子とin vivoで相互作用することがある。このような高分子には、上記5.8.1
項から5.8.2項に記載の方法にて同定される、核酸分子やそのタンパク質があげ られるが、これに限られるものではない。ここで検討するにあたり、ここでいう
高分子は、「結合パートナー」と称する。結合パートナーに結合するHKNG1遺伝
子産物を破壊する化合物は、HKNG1遺伝子産物、特に変異型HKNG1遺伝子産物の 活性の調節に有用であると考えられる。このような化合物には、例えば上記5.8.
2項で記載したようなペプチドなどの分子があげられるが、これに限られるもの ではない。
【0183】 HKNG1遺伝子産物と1つまたは複数の結合パートナーとの間の相互作用を妨害 または強化する化合物の同定に用いるアッセイ系では基本的に、HKNG1遺伝子産
物およびその結合パートナーを含む反応混合物の調製を、各種条件下で、かつ二
者が相互作用し、結合し、やがて複合体を形成するのに十分な時間をかけて行う
。抑制活性について化合物を試験するには、試験化合物の存在下ならびに不在下
で反応混合物を調製する。試験化合物は、予め反応混合物中に含まれていてもよ
いし、あるいはHKNG1遺伝子産物とその結合パートナーの添加後に加えても良い
。対照反応混合物は、試験化合物ぬきでインキュベートするか、または複合体の
形成をブロックしないことが知られる化合物とインキュベートする。その後、HK
NG1遺伝子産物とその結合パートナーとの間の複合体形成を全て検出する。試験 化合物を含む反応混合物中ではなく、対照反応中に複合体が形成されれば、これ
はこの化合物がHKNG1遺伝子産物とその結合パートナーとの相互作用を妨げるこ
とを示唆する。さらに、試験化合物および正常なHKNG1遺伝子産物を含む反応混
合物内での複合体形成はまた、試験化合物および変異型HKNG1遺伝子産物を含む 反応混合物内での複合体形成と比較してもよい。この比較は、正常なHKNG1遺伝 子産物ではなく、変異型の相互作用を破壊する化合物を同定したい場合に重要に
なる。
【0184】 活性を強化する化合物を試験するには、試験化合物の存在下と不在下にて反応
混合物を調製する。試験化合物は、予め反応混合物中に含まれていてもよいし、
あるいはHKNG1遺伝子産物とその結合パートナーの添加後に加えても良い。対照
反応混合物は、試験化合物ぬきでインキュベートするか、または複合体の形成を
ブロックしないことが分かっている化合物とインキュベートする。その後、HKNG
1遺伝子産物とその結合パートナーとの間の複合体形成を全て検出する。対照反 応中ではなく、試験化合物を含む反応混合物中で複合体形成が増加すれば、この
ことはこの化合物がHKNG1遺伝子産物とその結合パートナーとの相互作用を増強
、強化することを示す。さらに、試験化合物および正常なHKNG1遺伝子産物を含
む反応混合物内での複合体形成はまた、試験化合物および変異型HKNG1遺伝子産 物を含む反応混合物内での複合体形成と比較してもよい。この比較は、正常なHK
NG1遺伝子産物ではなく、変異型の相互作用を強化する化合物を同定したい場合 に重要になる。
【0185】 また別の実施形態においては、HKNG1遺伝子産物、結合パートナー、ならびに 結合パートナーに結合するHKNG1遺伝子産物を破壊または増強する第三の物質を 含む、反応混合物を用いて上記アッセイを行ってもよい。この反応混合物は、上
記のように試験化合物の存在下と不在下で調製し、インキュベートし、その後HK
NG1遺伝子産物とその結合パートナーとの間の複合体形成を全て検出する。この
実施形態において、対照反応中ではなく、試験化合物を含む反応混合物中で複合
体が形成されれば、これは試験化合物が、結合パートナーに結合するHKNG1遺伝
子産物を破壊する第二の化合物の能力を妨害することを示す。
【0186】 HKNG1遺伝子産物と結合パートナーとの間の相互作用を妨害または強化する化
合物のアッセイは、不均質または均質方式にて実施できる。不均質型アッセイ(
heterogenous assay)では、HKNG1遺伝子産物またはその結合パートナーのどち
らかを固形支持体に固着させ、反応の終わりに固形支持体上に形成された複合体
を検出する。均質型アッセイ(homogenous assay)では、反応全体を液相で行う
。また別のやり方では、反応物を順序を変えて添加し、被試験化合物についてい
ろいろな情報を得る。例えば、HKNG1遺伝子産物とその結合パートナーとの間の
相互作用を妨害または強化する試験化合物は、例えば競合によって、試験物質の
存在下で反応を行い、同定できる。この反応は、例えばHKNG1遺伝子産物と相互 作用性細胞内結合パートナーの添加前または添加と同時に試験化合物を反応混合
物に加えて行う。また別に、あらかじめ形成されている複合体、例えば複合体由
来成分の1つを置き換える、より高い結合定数をもつ化合物を破壊する試験化合 物は、複合体形成後に反応混合物に添加して試験できる。各種の方式を以下に述
べる。
【0187】 不均質型アッセイ系では、HKNG1遺伝子産物または相互作用性結合パートナー
のどちらかを固体表面に固着させる一方、固着しない種を直接または間接的に標
識する。実際に、微量定量プレートを使用すると便利である。固着した種は、非
共有または共有結合で固定化してよい。固体表面をHKNG1遺伝子産物または結合
パートナーの溶液で覆えば、簡単に非共有結合を達成できる。また別に、固着す
る種に特異的な固定化抗体を用いて該種を固体表面に固着させてもよい。この表
面は、前もって調製して保存することもできる。
【0188】 アッセイするには、固定化した種の結合パートナーは、試験化合物を含むかま
たは含まない被覆表面に暴露する。反応完了後、未反応成分を除去(例えば洗浄
により)すると、形成された複合体は全て固体表面上に固定化されて残る。固体
表面に固着した複合体は、いろいろな方法で検出できる。非固定化種をあらかじ
め標識する場合、表面に固定化された標識が検出されたら、これは複合体の形成
を示す。非固定化種を前もって標識しない場合、間接的な標識を利用して、例え
ば当初は非固定化であった種(抗体は順に直接的にまたは間接的に、標識をした
抗Ig抗体で標識してよい)に特異的な標識抗体を用いることで、表面に固着した
複合体を検出できる。反応成分添加の順序によっては、複合体形成を抑制するか
、またはあらかじめ形成された複合体を破壊する試験化合物を検出できる。
【0189】 また別な方法では、反応を、試験化合物、未反応成分から分離した反応産物お
よび、例えば、溶液中に形成された複合体を全て固着するための結合成分の1つ に特異的な固定化抗体や、固着した複合体を検出するためにもう一方の結合パー
トナーに特異的な標識抗体を用いて検出する、複合体の存在下または不在下の液
相でも行える。ここでもやはり、反応物の液相への添加順によっては、複合体形
成を阻害するかまたは、前もって調製された複合体を破壊する試験化合物を同定
できる。
【0190】 本発明のまた別の実施例においては、均質型アッセイを利用できる。このアプ
ローチでは、HKNG1遺伝子産物とその相互作用性結合パートナーとの予め形成さ
れ複合体を、調製できる。ここでHKNG1遺伝子産物かその結合パートナーのどち らかを標識するが、この標識が生成するシグナルは複合体形成によって消滅する
(例えば、イムノアッセイにこのアプローチを用いる、Rubensteinによる米国特
許No.4,109,496を参照)。予め形成された複合体由来の種の一つと競合またはこ
れを置換する試験物質を添加すると、バックグラウンドを上回るシグナルが生成
される。こうして、HKNG1遺伝子産物/結合パートナーとの相互作用を破壊する
試験物質を同定できる。
【0191】 本発明のまた別の実施形態においては、その全長タンパク質の一方かまたは両
方の代わりに、HKNG1産物および/またはその結合パートナー(結合パートナー
がタンパク質である場合)の結合ドメインに対応するペプチド断片を用いて、同
じ技術を採用できる。当業界において通常実施されている方法ならいくつでも利
用し、結合部位を同定ならびに単離できる。こうした方法には、タンパク質の1 つをコードする遺伝子の突然変異誘発や、共免疫沈降アッセイにおける結合破壊
のスクリーニングがあげられるが、これに限られるものではない。次いで、複合
体中の第二の種をコードする遺伝子の調節変異(compensating mutation)を選 択する。各タンパク質をコードする遺伝子の配列を分析することにより、相互作
用性結合に関わるタンパク質の領域に対応する変異が明らかになる。また別の方
法では、上記本項に記載した方法を用いて固体表面にタンパク質を1つ固着させ 、例えばトリプシンのようなタンパク質分解酵素であらかじめ処理した、標識結
合パートナーと相互作用させ、結合させることができる。洗浄後、結合ドメイン
を含む短い標識ペプチドが固形材料と結合して残るので、これを単離し、アミノ
酸配列決定により同定できる。また、このセグメントをコードする遺伝子をタン
パク質のペプチド断片を発現するように操作したら、次にこれを結合活性につい
て試験したり、精製または合成できる。
【0192】 例えば、これに限るものではないが、本項に上記したように、GST-HKNG1融合 タンパク質を作成して固形材料にHKNG1遺伝子産物を固着し、これをグルタチオ ンアガロースビードに結合させることもできる。結合パートナーは35Sのような 放射性同位元素で標識可能であり、トリプシンのようなタンパク質分解酵素で切
断する。次いで切断産物を固着されたGST-HKNG1融合タンパク質に加え、結合さ せることもできる。未結合ペプチドを洗い流した後、結合パートナーが結合する
ドメインに相当する、標識され結合された物質を溶出、精製し、既知の方法にて
アミノ酸配列を分析できる。こうして同定したペプチドは合成的にか、または組
換えDNA技術を利用して生産できる。
【0193】 5.8.4 HKNG1仲介型障害を改善する化合物を同定するアッセイ 化合物としては、5.8.1項から5.8.4項に記載のアッセイ方法を使って同定した
結合化合物があげられるが、これに限るものではない。こうした化合物を、HKNG
1仲介型障害の症状を改善する能力について試験できる。HKNG1仲介型障害として
は、例えば中枢神経系に関係する疾患である、精神分裂病や双極性感情(気分)
病を含む神経精神障害があげられる。双極性感情(気分)病には、重症双極性感
情(気分)病(BP-I)、軽躁病と大うつ病を伴う双極性感情(気分)病(BP-II )、および近視が含まれる。
【0194】 本明細書に記載のアッセイにより、HKNG1遺伝子発現か、またはHKNG1遺伝子
産物活性レベルに作用して、HKNG1活性に影響する化合物を同定できることは特
筆に値する。例えば、HKNG1遺伝子および/またはHKNG1遺伝子産物が関わる経 路のまた別のステップに関与する化合物を同定できるし、また、この経路に作用
して、HKNG1仲介型障害の発症に及ぼすHKNG1の影響をモジュレートすることも できる。例えばこの疾患の治療手段の1つとしてこの化合物を使用できる。
【0195】 以下に、例えばBADまたは精神分裂病を含む神経精神障害のような、HKNG1仲介
型障害の症状を改善するなどの能力を発揮する化合物を同定するための、細胞に
基づくアッセイならびに動物モデルに基づくアッセイについて記載する。
【0196】 まず、細胞に基づく系は、HKNG1仲介型障害の症状を改善するよう作用する化 合物の同定に利用できる。このような細胞系には、HKNG1遺伝子を発現する細胞 株のような、組換えまたは非組換え細胞を含めることができる。
【0197】 このような細胞系を用いる場合、例えばBADまたは精神分裂病を含む神経精神 障害のような、HKNG1仲介型障害の症状を改善する能力を発揮すると期待される 化合物に、HKNG1を発現する細胞を暴露する。この時の化合物の濃度ならびに暴 露時間は、暴露した細胞にて症状の改善をきたすのに十分なものとする。暴露後
、細胞をアッセイしてHKNG1遺伝子発現における変性を測定することができる。
具体的には、細胞溶解物をHKNG1 mRNA転写物(例;ノーザン分析法)について
か、または細胞が発現するHKNG1遺伝子産物についてアッセイする。このときHK
NG1遺伝子の発現をモジュレートする化合物が、有望な治療用化合物である。
【0198】 また、例えば神経精神障害のような、HKNG1仲介型障害のための動物に基づく 系またはモデルでは、例えばヒトまたは変化した形のHKNG1遺伝子を含むトラン
スジェニックマウスを、こうした障害の症状を改善できる化合物の同定に利用し
てもよい。こうした動物モデルは、薬物、医薬品、療法および介入を同定するた
めの試験物質として利用してよい。例えば、動物モデルを、症状改善能力の発揮
が期待される化合物に暴露する。この時、化合物の濃度と暴露時間は、HKNG1仲 介型障害の症状を改善するのに十分なものとする。動物の暴露に対する応答を、
障害の症状の反転を評価することによってモニターできる。
【0199】 介入に関しては、HKNG1仲介型障害の症状のどの側面でも反転させる療法は全 てこうした疾患のヒトの治療介入候補と考えるべきである。試験薬剤の服用量は
下記5.10.1項に記すように、用量-応答曲線を作成することによって決定しうる 。
【0200】 5.9 HKNG1仲介型障害の治療用化合物および方法 BADあるいは精神分裂病のような、HKNG1の仲介による神経精神障害などの、H
KNG1仲介型障害を治療する可能性のある方法と組成物を以下に記載する。例えば
こうした方法では、哺乳類のHKNG1遺伝子の発現および/または哺乳類のHKNG1
遺伝子産物(例えば組換えHKNG1遺伝子産物)の合成もしくは活性をモジュレー
トする化合物を投与し、障害の症状を改善する。
【0201】 あるいはHKNG1遺伝子変異に起因するHKNG1仲介型障害の例では、このような 方法は、損なわれていないHKNG1遺伝子産物をコードする核酸分子を被験体に供
給し、損なわれていないHKING1遺伝子産物を発現させ、障害の症状を改善する ことを含むことができる。
【0202】 またあるいはHKNG1遺伝子変異に起因するHKNG1仲介型障害の例では、このよ うな方法は、損なわれていないHKNG1遺伝子産物をコードする核酸分子を被験体
に供給し、損なわれていないHKING1遺伝子産物を発現させ、障害の症状を改善 することを含むことができる。
【0203】 正常なHKNG1遺伝子産物の機能の喪失がHKNG1仲介型障害の発症に結びつくケ ースでは、HKNG1遺伝子産物活性を増し、不完全なレベルのHKNG1遺伝子の発現
および/またはHKNG1遺伝子産物活性を呈する個体が、無症候性になるのを助長
する。HKNG1の発現や合成を増す方法としては、以下に記載の5.9.2項の方法が 挙げられる。
【0204】 あるいは、HKNG1の仲介による神経精神障害の症状は、HKNG1遺伝子発現およ び/またはHKNG1遺伝子産物活性レベルを低下させる化合物を投与することによ
って、改善できる。HKNG1遺伝子産物合成または発現レベルを抑制または低減さ
せる方法としては、5.9.1項に記載の方法があげられる。
【0205】 治療方法の具体例において投与する化合物は、BADまたは精神分裂病などの神 経精神障害のような、ここに記載の障害の症状を改善する化合物、特に薬物から
成る。このような化合物には、リチウム塩、カルバマゼピン、バルプロ酸、リゼ
ルグ酸ジエチルアミド(LSD)、p−クロロフェニルアラニン、例えばFLA 63な どのp−プロピルドーパアセトアミドジチオカルバメート誘導体のような抗うつ
薬群;ジアゼパムのような抗不安薬;イプロニアジド、クロルジリン(clorgyli
ne)、フェネルジンおよびイソカルボキサジドのような、モノアミンオキシダー
ゼ(MAO)抑制薬;デシプラミン、イミプラミンおよびアミトリプチリンなどの 三環系抗うつ薬;フルオキセチン(fluoxetine)のようなセロトニン再取込み抑
制薬;フェノチアジン誘導体(例;クロルプロマジン(ソラジン(thorazine) )やトリフルオプロマジン)、ブチロフェノン(例;ハロペリドール(ハルドー
ル))、チオキサンテン誘導体(例;クロルプロチキセン)、およびジベンゾジ
アゼピン(例;クロザピン)などの抗精神病薬;ベンゾジアゼピン;L-DOPA、コ
カイン、アンフェタミン、α‐メチル−チロシン、レゼルピン、テトラベナジン
、ベンゾトロピン、パルジリンなどのドパミン作用性アゴニストおよびアンタゴ
ニスト;クロニジン、フェノキシベンザミン、フェントラミン、トロポロンなど
のノルアドレナリンアゴニストおよびアンタゴニストがあげられる。
【0206】 また別の実施形態において、BADまたは精神分裂病などのHKNG1による神経精 神障害のような、本明細書に記載の障害の症状は、HKNG1タンパク質療法によっ て改善可能である。このHKNG1タンパク質療法では、例えば上記5.2項に記載のHK
NG1タンパク質、融合タンパク質、およびペプチド配列を使って、そのレベルお よび/またはHKNG1活性のレベルを増したりあるいは減らしたり、あるいはHKNG
1遺伝子または遺伝子産物と相互作用するタンパク質またはタンパク質断片(例
;ペプチド)の投与によってその活性を抑制または強化する療法が行われる。
【0207】 こうしたタンパク質療法としては、機能性HKNG1タンパク質または機能性HKNG
1ドメインに相当するHKNG1タンパク質の断片(例;ペプチド)の投与があげら
れる。
【0208】 ある実施形態では、HKNG1断片または機能性HKNG1結合ドメインに相当するペ
プチドを個体に投与し、ペプチドを例えばHKNG1レセプターのようなHKNG1結合
タンパク質に結合させる。この断片またはペプチドは個体の体内で競合によって
HKNG1活性を抑制するよう作用する結果、HKNG1の結合タンパク質への結合を抑
制し、本明細書に記載の障害の症状を改善するために使用できる。また別の例で
は、この断片またはペプチドが個体の体内でHKNG1の機能をin vivoで模倣する ことによってHKNG1活性を強化する結果、本明細書に記載の障害の症状が改善さ
れる。
【0209】 本発明の方法で使用できるタンパク質およびペプチドとしては、合成(例えば
、組換または化学的合成)タンパク質およびペプチド、ならびに天然タンパク質
およびペプチドがあげられる。タンパク質とペプチドは、天然と非天然(例;D-
アミノ酸残基)両方のアミノ酸残基および/または一つかそれ以上の非ペプチド
結合(例えば、イミノ、エステル、ヒドラジン、セミカルバジド、アゾ結合)を
含んでよい。タンパク質またはペプチドはまた、例えば、ペプチドの安定性、生
物学的利用性、および/または抑制活性が増強されるような、アミノおよび/ま
たはカルボキシ末端に存在する化学基(例;官能基)をさらに含んでよい。例示
的な官能基としては、疎水性基(例;カルボベンゾキシル、ダンシル、t−ブチ
ルオキシカルボニル基)、アセチル基、9−フルオレニルメトキシ−カルボニル
基、およびペプチド基を含む高分子担体基(例;脂質−脂肪酸コンジュゲート、
ポリエチレングリコール、または炭水化物)があげられる。
【0210】5.9.1 阻害性アンチセンス、リボザイムおよび三重らせん法 別の実施形態においては、HKNG1仲介型神経精神医学的障害の症状は、HKNG1遺
伝子発現のレベルを減少させるために、公知のアンチセンス、遺伝子「ノックア
ウト」、リボザイムおよび/または三重らせん法と組み合わせてHKNG1遺伝子配 列を使うことにより、HKNG1遺伝子発現および/またはHKNG1遺伝子産物活性のレ
ベルを減少させることにより改善され得る。HKNG1遺伝子の活性、発現または合 成をモジュレートする能力(BADまたは精神分裂病等のHKNG1仲介型神経精神医学
的障害の症状を改善する能力を含む)を示し得る化合物のうちで対象となる化合
物は、アンチセンス分子、リボザイム分子、および三重らせん分子である。その
ような分子は、悪化していない標的遺伝子の活性、または好適な場合には変異し
た標的遺伝子の活性の何れかを、減少させるかまたは抑制するために設計され得
る。このような分子を作製し使用する技術は当業者に公知である。
【0211】 アンチセンスRNAおよびDNA分子は、標的としたmRNAにハイブリダイズし、タン
パク質の翻訳を妨害することによってmRNAの翻訳を直接的に阻止するように作用
する。アンチセンス法は、標的遺伝子のmRNAに相補的なオリゴヌクレオチドの設
計を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは相補的な標的遺伝子のmRNA転写物
に結合し、翻訳を妨害する。絶対的な相補性が好ましいが、必ずしも必要ではな
い。
【0212】 RNAの一部分に「相補的」である配列とは、本明細書においては、RNAにハイブ
リダイズして安定な二重鎖を形成し得るのに十分な相補性を有する配列を意味す
る。従って、二本鎖アンチセンス核酸の場合には、二重鎖DNAの一本鎖を試験す ることができ、または三重鎖形成をアッセイすることもできる。ハイブリダイズ
するための能力は、相補性の程度とアンチセンス核酸の長さの両方に依存するで
あろう。一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなるほど、RNAにおける塩基の ミスマッチ(核酸に含まれていても、なお核酸が安定な二重鎖(場合によっては
三重鎖)を形成し得るようなミスマッチ)は多くなる。当業者は、ハイブリダイ
ズした複合体の融点を決定する標準的な手順を使用して、許容し得るミスマッチ
の程度を確認し得る。
【0213】 一つの実施形態においては、HKNG1遺伝子の非コード領域に相補的であるオリ ゴヌクレオチドを、内因性HKNG1 mRNAの翻訳を抑制するためのアンチセンス法で
使用できる。アンチセンス核酸は少なくとも長さにおいては6ヌクレオチドでな けれはならず、好ましくは長さが6から約50ヌクレオチドの範囲にあるオリゴヌ クレオチドである。特定の態様においては、オリゴヌクレオチドは少なくとも10
ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、または
少なくとも50ヌクレオチドである。
【0214】 標的配列の選択に関係なく、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を
抑制する能力を定量するためのin vitroでの研究を最初に行うことが好ましい。
これらの研究は、アンチセンス遺伝子抑制と、オリゴヌクレオチドの非特異的生
物学的作用を区別する対照を利用することが望ましい。これらの研究では、標的
RNAまたは標的タンパク質のレベルを、内部対照RNAまたは内部対照タンパク質の
レベルと比較することもまた好ましい。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチ
ドを使用して得られる結果を対照オリゴヌクレオチドを使用して得られた結果を
比較することを想定している。対照オリゴヌクレオチドは試験オリゴヌクレオチ
ドとほぼ同じ長さであり、かつ、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、標
的配列との特異的ハイブリダイゼーションを妨害するためにのみ必要であるアン
チセンス配列と異なっていることが好ましい。
【0215】 オリゴヌクレオチドはDNAまたはRNAまたはキメラ混合物または誘導体またはそ
れらの改変体、一本鎖または二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは塩基
部分、糖部分、またはリン酸バックボーンで、例えば分子の安定性、ハイブリダ
イゼーション等を改善するために改変されていても良い。オリゴヌクレオチドは
、ペプチド(in vivoで宿主細胞受容体をターゲッティングするため等)または 細胞膜を通過しての輸送を容易にする物質(例えばLetsingerら、1989, Proc. N
atl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553-6556;Lemaitreら、1987, Proc. Natl. Acad.
Sci. U.S.A. 84:648-652;PCT国際公開公報第WO88/09810号、1988年12月15日公表
を参照されたい)または血液-脳関門(PCT国際公開公報第WO89/10134号、1988年4
月25日公表を参照されたい)、ハイブリダイゼーションに誘発される切断物質( 例えばKrolら、1988, BioTechniques 6:958-976を参照されたい)または仲介(in
tercalating)物質(例えばZon, 1988, Pharm. Res. 5:539-549を参照されたい) 等の他の付加基を含んでも良い。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、ペ
プチド、ハイブリダイゼーションに誘発される架橋物質、輸送物質、ハイブリダ
イゼーションに誘発される切断物質等の別の分子とコンジュゲートされていても
良い。
【0216】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル
、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセ
チルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチ
ルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、 ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン(queosine)、イノシン、N
6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチ
ルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチ
ルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル 、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5 ’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6
-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトシン(wybutoxo
sine)、プソイドウラシル(pseudouracil)、キューオシン(queosine)、2-チオシ トシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチ ルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v
)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシ ル、(acp3)w、および2,6-ジアミノプリンを含むがこれに限定されない群から選 択される少なくとも1つの改変塩基部分を含んでいても良い。
【0217】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2-フルオロアラビノ
ース、キシルロースおよびヘキソースを含むがこれに限定されない群から選択さ
れる少なくとも1つの改変糖部分を含んでも良い。
【0218】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホ
ロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミドチオエート、ホスホロア
ミデート、ホスホロジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエ
ステルおよびホルムアセタールまたはこれらの類似体からなる群より選択される
少なくとも1つの改変されたリン酸バックボーンを有する。
【0219】 さらに別の実施形態においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、αアノ
マーであるオリゴヌクレオチドである。αアノマーオリゴヌクレオチドは相補的
なRNAと特定の二本鎖ハイブリッドを形成するが、通常のβユニットとは対照的 に、鎖が互いに並行に伸びている(Gautierら、1987, Nucl. Acids Res. 15:6625
-6641)。オリゴヌクレオチドは2’-O-メチルリボヌクレオチドであるか(Inoueら
、1987, Nucl. Acids Res. 15:6131-6148)、またはキメラRNA-DNA類似体である(
Inoueら、1987, FEBS Lett. 215:327-330)。
【0220】 本発明のオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の標準的な方法で、例えば
自動DNA合成器(Biosearch、Applied Biosystemsより市販されているもの等)を
使用して合成し得る。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Stei
nらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209)によって合成でき、メチルホスホ ネートオリゴヌクレオチドは制御された多孔性のガラスポリマー支持体(Sarinら
、1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:7448-7451)等を使用して調製可能 である。
【0221】 標的遺伝子のコード領域配列に相補的であるアンチセンスヌクレオチドを使用
することができるが、転写されるが翻訳されない領域に相補的なものが最も好ま
しい。
【0222】 アンチセンス分子は、標的遺伝子をin vivoで発現する細胞に送達されなけれ ばならない。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞へ送達するためのいくつかの方法
が開発されている。例えば、アンチセンス分子は組織部位に直接注入でき、また
、所望の細胞を標的とするように設計された改変アンチセンス分子(例えば、標
的細胞表面に発現されるレセプターに特異的に結合するペプチド、または標的細
胞表面に発現される抗原に特異的に結合する抗体に結合されたアンチセンス分子
)は全身的に投与できる。
【0223】 内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分な、アンチセンスの細胞内での濃度をも
たらすための好ましい方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なpol II
Iまたはpol IIプロモーターの制御下に置かれている組換えDNA構築物を利用する
ものである。このような構築物を患者の体内の標的細胞をトランスフェクトする
ために使用することにより、内因性標的遺伝子転写物と相補的塩基対を形成する
十分量の一本鎖RNAの転写がもたらされ、それによって標的遺伝子mRNAの翻訳が 妨害されるであろう。例えば、ベクターは、細胞に取り込まれアンチセンスRNA の転写を指令するように導入し得る。そのようなベクターは、転写され所望のア
ンチセンスRNAを産生可能である限り、エピソームのままであってもよく、また は染色体に組み込まれても良い。そのようなベクターを、当技術分野で標準であ
る組換えDNA技術により構築し得る。ベクターは、哺乳動物細胞中の複製および 発現のために使用されるプラスミド、ウイルス、または当技術分野で公知である
他のベクターであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動 物細胞、好ましくはヒト細胞中で機能することが当技術分野で知られている何れ
のプロモーターによるものであってもよい。そのようなプロモーターは誘導性で
あっても構成的であってもよい。そのようなプロモーターには、これらに限定さ
れるわけではないが、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, 1981
, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復配列に含まれるプ
ロモーター(Yamamotoら、1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼ プロモーター(Wangerら、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)
、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982, Nature 296:39-42)等
が含まれる。プラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターの任意の型を 使用して、組織部位に直接導入し得る組換えDNA構築物を調製できる。あるいは 、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを使用できる。この場合、別
の経路からの投与(全身的投与等)を実施し得る。
【0224】 標的遺伝子のmRNA転写物を触媒的に切断するように設計されたリボザイム分子
はまた、標的遺伝子のmRNAの翻訳(そしてそれ故に標的遺伝子産物の発現)を妨
害するために使用できる。(PCT国際公開公報第WO90/11364号、1990年10月4日公
表;Sarverら、1990, Science 247, 1222-1225を参照されたい)。
【0225】 リボザイムとは、RNAの特異的切断を触媒する能力を有する酵素的RNA分子であ
る。(総説に関しては、Rossi, 1994, Current Biology 4:469-471を参照された
い)。リボザイムの作用機構は、リボザイム分子の相補的標的RNAへの配列特異 的ハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレオリチック(endonucleol
ytic)切断事象を含む。リボザイム分子の組成物は、標的遺伝子mRNAに相補的な1
以上の配列を含まなければならず、かつmRNA切断をもたらす公知の触媒配列を含
まなければならない。この配列に関しては、例えば、参照により全体として本明
細書に取り込まれる米国特許第5,093,246号を参照されたい。
【0226】 部位特異的認識配列においてmRNAを切断するリボザイムは、標的遺伝子のmRNA
を破壊するために使用できるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。
ハンマーヘッドリボザイムは、mRNAを、標的mRNAと相補的塩基対を形成するフラ
ンキング領域によって指示される位置で切断する。唯一必要であることは、標的
mRNAが、2塩基の配列「5’-UG-3’」を有することである。ハンマーヘッドリボ ザイムの構築および作製は当技術分野で公知であり、Myers, 1995, Molecular B
iology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers
, New York(特に833ページの図4を参照)、および、HaseloffおよびGerlach, 1
988, Nature, 334:585-591(参照により全体として本明細書中に組み込む)中に
十分に記載されている。
【0227】 好ましくは、リボザイムは、切断認識部位が標的遺伝子mRNAの5’末端の近傍 に位置するように、すなわち効率を増加させ、また非機能性mRNA転写物の細胞内
の蓄積を最少化するように遺伝子操作されている。
【0228】 本発明のリボザイムはまた、せん毛虫(Tetrahymena thermophila)において天 然に産生されるもの(IVSまたはL-19 IVS RNAとして知られている)、およびThoma
s Cechおよび共同研究者によって広く記述されているもの(Zaugら、1984, Scien
ce, 224:574-578; ZaugおよびCech, 1986, Science, 231:470-475; Zaugら、198
6, Nature, 324:429-433; University Patents Inc.の国際公開公報第WO88/0430
0号; BeenおよびCech, 1986, Cell, 47:207-216)等のRNAエンドリボヌクレアー ゼ(以降「Cech型リボザイム」とする)を含むものである。Cech型リボザイムは、
標的RNA配列にハイブリダイズしその後標的RNAを切断する8塩基対の活性部位を 有する。本発明は、標的遺伝子中に存在する8塩基対活性部位配列を標的とする これらのCech型リボザイムを包含する。
【0229】 アンチセンス法の場合のように、リボザイムは改変オリゴヌクレオチドで(改
良された安定性、ターゲッティング等のために)構成され得、かつin vivoで標 的遺伝子を発現する細胞に送達されなければならない。好ましい送達方法は、強
力で構成的なpol IIIプロモーターまたはpol IIプロモーターの制御下でリボザ イムを「コードする」DNA構築物を、内因性標的遺伝子メッセージを破壊し翻訳 を阻止するために十分な量のリボザイムをトランスフェクトされた細胞が産生す
るように使用することを含む。なぜならリボザイムはアンチセンス分子とは異な
り、触媒的であり、効率のためにはより低い細胞内濃度が求められるからである
【0230】 内因性標的遺伝子発現はまた、標的遺伝子またはそのプロモーターを標的相同
性組換えを使って、不活性化すなわち「ノックアウト」することにより減退させ
得る(例えば、Smithiesら、1985, Nature 317:230-234; ThomasおよびCapecchi
, 1987, Cell 51:503-512; Thompsonら、1989, Cell 5:313-321を参照;これら の各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、内因性標的遺伝
子(標的遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に相同性であるDNAが 隣接している変異体非機能性標的遺伝子(または完全に関連のないDNA配列)を 、選択マーカーおよび/または陰性選択マーカーを用いるかまたは用いないで、
in vivoで標的遺伝子を発現する細胞をトランスフェクトするために使用できる 。標的相同性組換えを介したDNA構築物の挿入により、標的遺伝子の不活性化が もたらされる。そのような方法は、ES(胚性幹)細胞に対する改変を用いて不活性
化標的遺伝子を有する動物子孫を作製することが可能な農業分野では特に有用で
ある(例えば、ThomasおよびCapecchi, 1987およびThompson,1989,前出を参照さ れたい)。しかしながら、この方法は、組換えDNA構築物が好適なウイルスベクタ
ーを使用してin vivoの必要な部位にターゲッティングするかまたは直接投与さ れる場合にのみ、ヒトにおいて応用し得る。
【0231】 別の方法としては、内因性標的遺伝子発現は、標的遺伝子の調節領域(すなわ ち標的遺伝子プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリ ボヌクレオチド配列をターゲッティングし、標的遺伝子の転写を妨害する三重ら
せん構造を体内の標的細胞中で形成させることにより減少させることができる。
(一般的には、Helene, 1991, Anticancer Drug Des., 6(6):569-584; Heleneら
、1992, Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:27-36;およびMaher, 1992, Bioassays 14(
12):807-815を参照されたい)。
【0232】 転写の抑制のための三重らせん形成に用いられる核酸分子は、一本鎖でありか
つデオキシヌクレオチドで構成されていなければならない。これらのオリゴヌク
レオチドの塩基組成は、Hoogsteen塩基対形成規則を介して三重らせん形成を促 進するように設計されていなければならず、二重鎖の一つの鎖にプリンまたはピ
リミジンの何れかのかなり大きなストレッチが存在することを一般に必要とする
ものである。ヌクレオチド配列はピリミジンに基づくものであり得、三重らせん
をなしている3本の結合鎖を横切るTATおよびCGC+トリプレットをもたらすもので
ある。ピリミジンに富む分子は、二重鎖の一本鎖のプリンに富む領域に対し、そ
の鎖と平行な方向で塩基の相補性を提供する。さらに、例えば、G残基のストレ ッチを含むプリンに富む核酸分子が選択され得る。これらの分子はGCペアに富み
プリン残基の大部分が標的二重鎖の一つの一本鎖に位置するDNA二重鎖と共に三 重らせんを形成し、三重鎖中の3本の鎖を横切るGGCトリプレットをもたらすであ
ろう。
【0233】 あるいは、三重らせん形成のために標的となり得る潜在配列は、所謂「スイッ
チバック」核酸分子を作製することにより増加させ得る。スイッチバック分子は
、5’-3’、3’-5’の様式を交互に有して、二重鎖の一方の鎖と塩基対を形成し
次にもう一方の鎖と塩基対を形成するように合成される。そのため二重鎖の一つ
の鎖にプリンまたはピリミジンのかなり大きなストレッチがあることを必要とし
ない。
【0234】 本明細書に記載されたアンチセンス、リボザイムおよび/または三重らせん分 子が変異遺伝子の発現を抑制するために用いられる場合には、その技術が、正常
標的遺伝子の対立遺伝子によって産生されたmRNAの転写(三重らせん)および/ または翻訳(アンチセンス、リボザイム)を非常に効果的に標的とするかまたは
阻止するため、存在する正常標的遺伝子産物の濃度が正常な表現型のために必要
であるよりも低くなり得る可能性が生じる。それ故このような場合には、標的遺
伝子活性の実質的に正常なレベルを確実に維持するために、正常な標的遺伝子活
性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードし発現する核酸分子を導入し得る。導
入には、どのようなアンチセンス治療、リボザイム治療または三重らせん治療に
も感受性である配列を含まない5.9.2節(後述)に記載された遺伝子療法等が用 いられる遺伝子療法を介する。他には、標的遺伝子が細胞外タンパク質をコード
している場合には、標的遺伝子活性の必要なレベルを維持するために、正常標的
遺伝子タンパク質を共投与することが好ましい場合があり得る。
【0235】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイムおよび三重らせん分子は、上
述のとおり、DNAおよびRNA分子を合成するための、当技術分野で公知である任意
の方法によって調製され得る。これらの方法には、オリゴデオキシヌクレオチド
およびオリゴリボヌクレオチドの化学合成のための当技術分野で公知の技術、例
えば、固相ホスホアミダイト(phosphoramidite)の化学合成が含まれる。他には 、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよびin vi
vo転写によって作製され得る。そのようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼ
プロモーター等の好適なRNAポリメラーゼプロモーターを取り込んでいる幅広く 多様なベクター中に取り込まれ得る。他には、使用されたプロモーターに依存し
てアンチセンスRNAを構成的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物 を、細胞系に安定に導入し得る。
【0236】5.9.2.遺伝子置換治療 上述の第5.1節に記載のHKNG1遺伝子の核酸配列を用いて、組換えHKNG1核酸
配列を細胞に導入し、レシピエント細胞で該配列を発現させうる。このような方
法を用いて、例えば、細胞を作製したり、またはHKNG1仲介型神経精神医学的障 害を治療しうる。このような治療は、遺伝子置換治療の形態でありうる。特に、
限定するわけではないが、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクタ
ーおよびレトロウイルスベクターなどのベクター、ならびにDNAを細胞中に導入 する、リポソームなどの他の粒子を用いて、正常なHKNG1遺伝子機能を示すHKNG1
遺伝子産物の産生を導く正常HKNG1遺伝子または該HKNG1遺伝子の一部の1つ以上 のコピーを患者の適切な細胞中に挿入しうる。
【0237】 HKNG1遺伝子は脳内で発現されるため、このような遺伝子置換治療法は、HKNG1
遺伝子配列を患者の脳の細胞型に送達できなけらばならない。従って、一つの実
施形態において、当業者に公知の方法(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT
出願公開WO89/10134を参照のこと)を用いて、HKNG1遺伝子配列が血液脳関門を 容易に横切って脳内の細胞に送達されるようにしうる。血液脳関門を横切ること
のできる送達に関して、例えば上述のものなどのウイルスベクターが好ましい。
【0238】 他の実施形態において、送達法には、例えば、前記HKNG1遺伝子配列が発現さ れる細胞部位へのHKNG1遺伝子配列の定位送達などによる、直接投与が含まれる 。
【0239】 HKNG1遺伝子発現および/またはHKNG1遺伝子産物活性の全体のレベルを上昇さ
せるために使用しうる更なる方法には、上述の第5.2節に記載の標的化相同的
組換え法を使用して、異種DNA調節エレメントを挿入し、挿入された調節エレメ ントが問題の内因性HKNG1遺伝子と機能的に結合することにより、細胞または微 生物中の内因性HKNG1遺伝子の発現特性を改変することが含まれる。従って、標 的化相同的組換え法を使用して、内因性HKNG1遺伝子の転写を活性化、すなわち 「転写的にサイレント」(正常に発現されないか、または非常に低レベルで正常
に発現される)にしうるか、あるいは内因性HKNG1遺伝子の発現を強化、すなわ ち正常に発現させうる。
【0240】 更に、HKNG1遺伝子発現および/またはHKNG1遺伝子産物活性の全体のレベルを
、患者のHKNG1仲介型神経精神医学的障害の症候を改善するのに十分な部位に、 および十分な数で、適切なHKNG1発現細胞(好ましくは自己細胞)を導入するこ とにより上昇させてもよい。そのような細胞は、組換え体または非組換え体のい
ずれであってもよい。
【0241】 患者においてHKNG1遺伝子発現の全体のレベルを上昇させるために投与されう る細胞には、HKNG1遺伝子を発現する正常細胞、好ましくは脳細胞がある。ある いは、細胞(好ましくは自己細胞)を操作して、HKNG1遺伝子配列を発現させる ことができ、続いて患者のHKNG1仲介型神経精神医学的障害の症候を改善するの に適切な部位に導入してもよい。他には、非損傷HKNG1遺伝子を発現する細胞お よびMHC(主要組織適合性)に合う個体由来の細胞を使用することができ、例えば 脳細胞が含まれうる。該HKNG1遺伝子配列の発現は、適切な遺伝子調節配列によ り制御され、そのような発現が必要な細胞型でおこなわれる。そのような遺伝子
調節配列は当業者に公知である。そのような細胞に基づく遺伝子治療法は当業者
に公知であり、例えばAnderson、米国特許第5,399,349号を参照されたい。
【0242】 投与すべき細胞が非自己細胞である場合、導入された細胞に対する宿主の免疫
応答が生じるのを妨げる公知技術を使用して、該細胞を投与しうる。例えば、隣
接する細胞外環境と成分を交換させるが、導入細胞が宿主の免疫系により認識さ
れないようにする被包性形態に該細胞を導入しうる。
【0243】 更に、上述の第5.8節に記載の技術などにより同定されたものなどの化合物
は、HKNG1遺伝子産物活性をモジュレートする能力があり、当業者に公知の標準 法を用いて投与しうる。投与すべき化合物が脳細胞との相互作用に関与する場合
には、投与方法には血液脳関門を横切らせる公知の方法が含まれるべきである。
【0244】5.10.医薬調製および投与方法 HKNG1遺伝子発現または遺伝子産物活性に影響を及ぼすために化合物を決定し 、該化合物を、HKNG1仲介型障害を治療または改善するために、あるいは本明細 書に記載されるHKNG1が関係する過程をモジュレートするために治療上有効な量 で患者に投与しうる。治療上有効な量とは、該障害の症候を改善するのに十分な
化合物量を意味する。
【0245】5.10.1.有効量 前記化合物の毒性および治療有効性を、細胞培養物または実験動物において、
例えば、LD50(集団の50%を死に至らせる用量)およびED50(集団の50%におい
て治療上有効な用量)を決定するための、医薬学的標準法により決定しうる。毒
性作用と治療効果の間の用量比は、治療指数となり、それはLD50/ED50比で示し
うる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用
してもよいが、このような化合物が罹患組織の部位を標的化するデリバリーシス
テムを設計する際に注意し、非罹患細胞への潜在的ダメージを最小化し、それに
より副作用を低減させるようにすべきである。
【0246】 細胞培養アッセイおよび動物試験より得られるデータを、ヒトで使用するため
の用量範囲を明確にするのに使用しうる。そのような化合物の用量は、好ましく
は、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む、循環濃度の範囲内にある。該用
量は、使用される投与剤形および用いられる投与経路に依りこの範囲内で変化し
うる。本発明の方法で用いられる任意の化合物では、治療上有効な量を、最初に
細胞培養アッセイより評価しうる。動物モデル中で用量を明確にし、細胞培養物
で決定したように、IC50(すなわち、症候の最高抑制の半分を達成する被験化合
物の濃度)を含む、循環血漿濃度範囲を決定しうる。そのような情報を用いて、
ヒトにおいて有効な用量をさらに正確に決定しうる。血漿中のレベルを、例えば
高速液体クロマトグラフィーで測定しうる。
【0247】 本明細書で定義するように、抗体、タンパク質またはポリペプチドの治療上有
効な量(すなわち有効な用量)の範囲は、体重1kg当り、約0.001〜30mg、好まし
くは約0.01〜25mg、より好ましくは約0.1〜20mg、および、より更に好ましくは 約1〜10mg、2〜9mg、3〜8mg、4〜7mgまたは5〜6mgである。
【0248】 当業者であれば、被験者を有効に治療するのに必要な用量に、限定するもので
はないが、疾患または障害の重篤度、過去の治療、健康状態および/または被験
者の年齢、ならびに他に患っている疾患などの、特定の要因が影響しうることを
理解されよう。更に、治療上有効な量のタンパク質、ポリペプチドまたは抗体を
用いる被験者の治療には、一回の治療、あるいは、好ましくは連続治療が含まれ
うる。好ましい例としては、体重1kg当り約0.1〜20mgの範囲で、週に1回、約1〜
10週間、好ましくは2〜8週間、より好ましくは3〜7週間、より更に好ましくは約
4、5または6週間、抗体、タンパク質またはポリペプチドで被験者を治療する。 治療に用いられる抗体、タンパク質またはポリペプチドの有効量は、特定の治療
過程を通じて増加または減少しうる。用量の変更を行うことができ、それは本明
細書で記載される診断アッセイの結果から明らかになりうる。
【0249】5.10.2.製剤および使用 本発明に従って用いられる医薬組成物を、1種またはそれ以上の生理学的に許 容可能な担体または賦形剤を用いて、従来の方法で製剤しうる。
【0250】 従って、前記化合物、ならびにその生理学的に許容可能な塩および溶媒を、吸
引もしくは吸入(口または鼻のいずれかから)または経口、舌下、非経口直腸あ
るいは局所投与による投与用に製剤しうる。
【0251】 経口投与では、前記医薬組成物は、例えば、結合剤(予めゲル化させたトウモ
ロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースなど)、充填剤(ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウ
ムなど)、潤沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカなど)、崩
壊剤(ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウムなど)、ある
いは湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などの、製薬上許容可能な賦形剤と
共に従来の方法で調製される錠剤またはカプセル剤などの剤形をとることができ
る。錠剤を当技術分野に公知の方法で覆ってもよい。経口投与用の液体製剤は、
例えば液剤、シロップ剤または懸濁剤などの剤形をとることができ、あるいは使
用前に水または他の適切な溶剤と構成するための乾燥生成物として存在しうる。
そのような液体調製品を、懸濁化剤(ソルビトールシロップ、セルロース誘導体
または水素添加食用脂など)、乳化剤(レシチンまたはアカシアなど)、非水性
溶剤(アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分留(fractionate
d)植物油など)、および保存剤(メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベン ゾエートまたはソルビン酸など)などの、製薬上許容可能な添加剤と共に従来の
方法で調製しうる。該調製品はまた、適切に、バッファー塩、矯味剤、着色剤お
よび甘味剤を含んでもよい。
【0252】 経口投与用の調製品を適切に製剤し、活性化合物の制御放出を与えうる。
【0253】 舌下投与用には、前記組成物は、従来の方法で製剤される、錠剤またはトロー
チ剤の剤形をとりうる。
【0254】 吸引投与では、本発明に従って使用する化合物を、適切な噴射剤(ジクロロジ
フルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、
二酸化炭素または他の適切な気体など)を使用して、加圧パックまたは噴霧器か
ら、エーロゾルスプレー製剤の剤形で都合よく送達する。加圧エーロゾルの場合
には、用量単位は、計量された量を送達する弁を備えさせることにより決定しう
る。吸引または吸入で使用される、ゼラチンなどのカプセルおよび薬包を、該化
合物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベースを含
有させて製剤しうる。
【0255】 前記化合物を、ボーラス注射または持続的注入などの注入による非経口投与用
に製剤しうる。注入用の製剤を、保存剤を添加して、アンプルまたは多用量容器
などの単位投与剤形中に入れうる。該組成物は、油性または水性溶剤中で、懸濁
剤、溶剤または乳剤などの剤形をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/
または分散剤などの製剤用物質を含みうる。あるいは、その活性成分は、使用前
に発熱性物質を含まない無菌水などの適切な溶剤と構成するための粉末剤形であ
ってもよい。
【0256】 前記化合物を、例えば従来の座剤ベース(ココアバターまたは他のグリセリド
など)を含む、座剤または停留浣腸などの直腸用組成物に製剤することもできる
【0257】 特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を、治療の必要な部位に局所的に投
与することが望ましい。これは、限定するものではないが、例えば、外科手術中
の局所注入、外科手術後に創傷包帯と合わせて局所的に塗布することにより、注
射、カテーテル装置、座剤、またはインプラント(シアル酸様膜(sialastic mem
brane)などの膜または繊維を含む、多孔性、無孔性またはゼラチン状素材であり
うる)によって、達成しうる。一つの実施形態において、悪性腫瘍または新生物
組織もしくは前新生物組織の部位(またはその以前の部位)に直接注入して投与
しうる。
【0258】 局所適用には、前記化合物を、担体と組み合わせて、所望の活性に基づく有効
量を送達しうる。
【0259】 以下で説明するいくつかの眼科障害(近視など)の治療用の局所用製剤は、緩
衝化生理食塩水、鉱油、植物油(トウモロコシ油もしくはナンキンマメ油など)
、ワセリン、Miglyol 182、アルコール溶液、またはリポソームもしくはリポソ ーム様生成物などの、眼科学的に許容可能な賦形剤中の、有効量の前記化合物か
らなる。これらの組成物はいずれも、該化合物に有害な作用を及ぼさない、保存
剤、抗酸化剤、抗生物質、免疫抑制剤、および生物学的または医薬学的に有効な
他の薬剤も含みうる。
【0260】 前述の製剤に加え、前記化合物をデポ調製品として製剤してもよい。このよう
な長時間作用性製剤を、埋め込み(例えば皮下または筋肉内に)あるいは筋注に
より投与しうる。従って、例えば前記化合物を、適切な重合体もしくは疎水性物
質(例えば許容可能な油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に、あるい
は難溶性の誘導体(例えば難溶性の塩)として、製剤しうる。
【0261】 所望であれば、前記組成物を、その活性成分を含有する1種以上の単位投与剤 形を含みうるパックまたはディスペンサーデバイス中に入れうる。例えば該パッ
クは、ブリスターパックのように、金属箔またはプラスチック箔を含みうる。該
パックまたはディスペンサーデバイスは、投与の指示に伴いうる。
【0262】6.実施例:第18染色体のHKNG1遺伝子は神経精神医学的障害BADに関係する 本節で示す実施例においては、神経精神医学的障害BADに関係する、ヒト第18 染色体の短腕上の、約27kbの狭いインターバルを明確にする試験を記載している
。該インターバルは、本明細書でHKNG1遺伝子と呼ぶ遺伝子中に存在することが 示されている。
【0263】6.1.材料および方法 6.1.1.連鎖不平衡 連鎖不平衡(LD)試験を、神経精神医学的障害(BP−I)患者の集団サンプル からのDNAを用いて実施した。該集団サンプルおよびLD法は、Escamillaら、1996
、Am J. Med. Genet. 67:244-253に記載されたものである。本発明のLD試験は、
以下に記載する物理的マッピング法により同定された更なる集団サンプルコレク
ションおよび更なる物理的マーカーを利用した。
【0264】6.1.2.酵母人工染色体(YAC)マッピング 物理的マッピングについては、ヒトの配列を含む酵母人工染色体(YAC)を、 公に入手可能な地図に基づいて、分析される領域にマッピングした(Cohenら、1
993、C. R. Acad. Sci. 316:1484-1488)。続いて、遺伝的に明確にされた候補 領域を囲む、データベースから得ることのできる非多型STSおよびマイクロサテ ライトマーカーを用いて、基準短タグ配列(STS)含有マッピングを実施して、 該YACを整列させ、コンティグを再構築した。
【0265】6.1.3.細菌人工染色体(BAC)マッピング ヒト第18染色体の短腕からのSTSを用いて、ヒトBACライブラリー(Research G
enetics, Huntsville, AL)をスクリーニングした。BACの末端をクローン化する
か、または直接配列決定した。該末端配列を用いて、隣りの重複BACを増幅した 。各BACから、更にマイクロサテライトを同定した。特に、ランダムに切断され たライブラリーを、明確にされた遺伝的インターバル内の重複BACから調製した 。BAC DNAをネブライザー(CIS-US Inc., Bedford, MA)で切断した。600〜1,00
0bpの大きさの断片をサブライブラリー作製に用いた。サブライブラリーからの マイクロサテライト配列を、対応するマイクロサテライトプローブにより同定し
た。このような反復配列のまわりの配列を入手し、ゲノムDNA用のPCRプライマー
の開発を可能にした。
【0266】6.1.4.放射線ハイブリッド(RH)マッピング 標準的なRHマッピング法を、Stanford G3 RHマッピングパネル(Research Gen
etics, Huntsville, AL)で実施して、分析しようとする領域内の全てのマイク ロサテライトマーカーおよび非多型STSを整列させた。
【0267】6.1.5.サンプルの配列決定 ランダムに切断されたライブラリーを、明確にされた遺伝的領域内の全てのBA
Cから作製した。ベクタープライマーを用いて、BADのインターバルを含有する約
340kbの領域内の約9,000個のサブクローンを配列決定し、該領域の8倍の配列範 囲を達成した。全ての配列を、品質評価し、ベクター配列を除去し、および反復
配列をマスクする自動配列分析パイプラインに通してプロセッシングした。続い
て、得られた配列を、BLASTアルゴリズム(Altschulら、1990、J. Molec. Biol.
, 215:403-410)を用いて公知のDNAおよびタンパク質データベースと比較した。
【0268】 全ての配列を、Sequencher 3.0(Gene Code Corp.)ならびにPHREDおよびPHRA
P(Phill Green, Washington University)を使用して、340kbの単一DNA断片に コンティグした。
【0269】6.2.結果 双極性情動障害(BAD)のヒト遺伝子に関わる遺伝的領域は、ヒト第18染色体 の長腕(18q)および短腕(18p)の部分にマッピングされたことがすでに報告さ
れている(Freimerら、1996、Neuropsychiat. Genet. 67:254-263;Freimerら、
1996、Nature Genetics 12:436-441;McInnisら、Proc. Natl. Acad. Scie. U.
S. A. 93:13060-13065)。
【0270】YAC、BACおよびRH法を用いる、高分解能物理的マッピング 連鎖およびLDマッピングに必要な遺伝的マーカーの正確な整列を示すために、
ならびに、より微細なマッピングのための新規マイクロサテライトマーカー開発
を導くために、YAC、BACおよびRH法を用いて、18pの候補領域の高分解能物理的 マッピングを行った。
【0271】 このような物理的マッピングでは、最初にYACを、分析する第18染色体領域に マッピングした。マッピングされたYACコンティグをフレームワークとして用い て、18p領域にまたがる公に入手可能なマーカーからの領域もまたマッピングし 、BACでコンティグした。コンティグされたBACからのサブライブラリーを構築し
、そこからマイクロサテライトマーカー配列を同定し、配列決定した。
【0272】 正確な物理的地図の成果を保証するために、放射線ハイブリッド(RH)マッピ
ング法を分析しようとする領域に独立して行った。RHを用いて、該領域内の全て
のマイクロサテライトマーカーおよび非多型STSを整列させた。従って、最終的 に構築された高分解能物理的地図を、RHマッピングおよびSTS含有マッピングか らのデータを用いて入手した。
【0273】連鎖不平衡 遺伝子配列を同定しようとする前に、更に神経精神医学的障害の領域を狭める
ために試験を行った。特に、連鎖不平衡(LD)分析を、上述の第6.1節に記載
の集団サンプルおよび方法を使用して行った。該上述の方法とは、以下に記載す
る物理的マッピング法により同定された更なる物理的マーカーを利用していたも
のである。
【0274】 最初のLD分析により、BAD障害に関係するインターバルが18pの340bp領域に狭 められた。この新しく同定された神経精神医学的障害領域内のBACクローンを分 析して、該領域内の特定の遺伝子を同定した。サンプルの配列決定、cDNA選択お
よび転写マッピング分析を組み合わせて用いて、試験的転写ユニットに配列を配
置した、すなわち、この目的のゲノム領域内の遺伝子のコード配列を試験的に描
いた。
【0275】 続くLD分析により、更に18pのBAD領域が約27kbの狭いインターバルに狭められ
た。これを、更なるマーカーを使用して、罹患個体で最も共有されるハプロタイ
プを同定することにより行った。18pの候補領域全体の統計的分析により、27kb のハプロタイプは、コスタリカの罹患個体において頻度が有意に上昇した(LOD =2.2、p=0.0005)ことが示された。
【0276】 この新しく同定された狭いインターバルが、上述のように同定された1種の転 写ユニット内に完全にマッピングされることが見出された。この転写ユニットに
対応する遺伝子を本明細書においてHKNG1遺伝子と呼ぶ。従って、本節で示され たマッピング分析の結果は、ヒト第18染色体のHKNG1遺伝子が、神経精神医学的 障害BADに関係していることを示す。
【0277】 BADインターバルの分析により、連鎖不平衡試験で同定された27kbのBAD障害関
連染色体インターバルが、GS4642または杆体光受容体タンパク質(RPP)遺伝子 と呼ばれる配列を含有する約60kbのゲノム領域内に含まれることが示された(Sh
imizu-Matsumoto, A.ら、1997、Invest. Ophtalmol. Vis. Sci. 38:2576-2585)
【0278】 7.実施例:HKNG1遺伝子の配列および特性評価 上記の第6節に提示された実施例で示したように、HKNG1遺伝子は神経精神医 学的障害BADに関与する。この節に提示される結果は、該HKNG1遺伝子とその遺伝
子産物をさらに特徴付けるものである。特に、さらなるcDNAクローンの単離なら
びにゲノム配列およびcDNA配列の分析により、完全長HKNG1アミノ酸配列およびH
KNG1ゲノムのイントロン/エキソン構造が共に明らかにされた。特に、これらの
分析により同定されたHKNG1遺伝子のヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列は、 本実施例において判明した新規なHKNG1タンパク質コード配列を含む新規なHKNG1
エキソン配列を開示する。さらに、ヒト組織、特に神経組織におけるHKNG1の発 現を、ノーザンハイブリダイゼーションおよびin situハイブリダイゼーション 分析により特性評価する。本実施例に提示される結果は、BADなどの神経精神医 学的障害を仲介する遺伝子であるHKNG1遺伝子と一致する。
【0279】 7.1.材料および方法 HKNG1 cDNAクローンの単離:ヒト脳および腎臓cDNAライブラリーのハイブリダ
イゼーションを、標準的な技法により実施し、完全長HKNG1 cDNAクローンを同定
した。さらに、下記の第7.2節に記載の如く、スプライス変異体から誘導されるH
KNG1 cDNAを単離した。
【0280】 ノーザンブロット分析:標準的なRNA単離法およびノーザンブロット法を行っ た。用いたHKNG1プローブは、完全長HKNG1 cDNA配列(配列番号1)の塩基対1367 〜1578の相補配列に対応する。Clontechの複数組織ノーザンブロットを用いた。
特に、ClontechのヒトI、ヒトII、ヒトIII、ヒト胎児II、ヒト脳II、およびヒト
脳IIIロットを、この研究に用いた。
【0281】 in situハイブリダイゼーション分析:標準的なin situハイブリダイゼーショ
ン技法を用いた。用いたHKNG1プローブは、完全長HKNG1 cDNA配列(配列番号1) の塩基対910〜1422の相補配列に対応する。in situハイブリダイゼーション分析
用の脳は、McLean Hospital (The Harvard Brain Tissue Resource Center, Bel
mont, MA 02178)より入手した。
【0282】 他の技法:下記の第7.2節に記載された残りの技法は、標準的な技法または上 記の第6.1節に記載の技法により実施した。
【0283】 7.2.結果 7.2.1.HKNG1のヌクレオチドおよびアミノ酸配列 上記の如く、ヒト脳cDNAライブラリーをスクリーニングして、このライブラリ
ーからHKNG1の完全長クローンを単離した。単離したcDNA配列と、公共データベ ースの配列とを比較することにより、GS4642、または桿体光受容器タンパク質(R
PP)遺伝子(GenBank 受託番号D63813;Shimizu-Matsumoto, A.ら、1997、Invest.
Ophthalmol. Vis. Sci. 38:2576-2585)として以前に同定された1個のクローン を同定した。Shimizu-Matsumotoらは、GS4642を完全長cDNA配列であると解釈し ているが、単離されたHKNG1 cDNAは、同定されたGS4642クローンの5'末端側に 約200 bp伸長している。
【0284】 重要なことには、本明細書において単離されたHKNG1クローンは、Shimizu-Mat
sumotoらにより記載されたアミノ酸配列とは反対に、完全長HKNG1アミノ酸配列 が、完全長RPP(配列番号64)として以前に同定された配列のN末端に29個のアミ
ノ酸残基をさらに含有するということを示している。完全長HKNG1ヌクレオチド 配列(配列番号1)およびこの配列によりコードされる完全長HKNG1ポリペプチド(
配列番号2)の演繹されるアミノ酸配列を、図1A〜1Bに示す。
【0285】 完全長HKNG1ポリペプチドは、2つのクラステリン類似ドメインを含有するこ とがわかった:クラステリン類似ドメイン1は、アミノ酸残基134〜アミノ酸残 基160に対応し、クラステリン類似ドメイン2は、アミノ酸残基334〜アミノ酸残
基362に対応する。かかるクラステリンドメインは、典型的には5個の共有システ
イン残基により特徴付けられる。クラステリンドメイン1においては、これらの
共有システイン残基は、Cys134、Cys145、Cys148、Cys158、およびCys160に対応
する。クラステリンドメイン2における共有システイン残基は、残基Cys334、Cy
s344、Cys351、Cys354、およびCys362に対応する。
【0286】 完全長HKNG1 cDNA配列を、ランダム切断ライブラリー配列決定により完成させ
たゲノムコンティグと比較した。Sequencher 3.0での2つの配列の整列およびア ラインメントが終わる保存的スプライシング部位の観察により、エキソン−イン
トロンの境界を手動で同定した。この配列比較により、完全長HKNG1 cDNAクロー
ンの単離によって見出された付加的なcDNA配列が、実際に3個のHKNG1エキソン 内に属することが示された。
【0287】 本明細書に記載されたHKNG1 cDNAの単離および分析に先立ち、9個のエキソン
が、対応するゲノム配列内に存在することが予想された。しかし、本明細書に見
出されるように、HKNG1遺伝子は、対照的に、実際には13個のエキソンを含有 し、その新規なcDNAは、新規エキソン1、エキソン2および以前にはエキソン1
と称された配列の5'側に伸長した配列に対応する配列を含有する。さらなるエキ
ソン2'および2''を含むスプライス変異体も存在し、下記の第9節で考察する。
HKNG1遺伝子のゲノム配列およびイントロン/エキソン構造を、図3A〜3Rに示す 。
【0288】 該cDNA配列とゲノム配列との完全なアラインメントおよび付加的な、新規に見
出されたエキソンの各々に隣接する期待されるスプライシング部位の観察により
、エキソンの破壊を確認した。
【0289】 HKNG1ヌクレオチド配列を用いて、cDNAクローンの部分配列のデータベースを 検索した。この検索により、ヒトHKNG1配列に対して類似性を有するIMAGEクロー
ンR61493から誘導された部分cDNA配列が同定された。IMAGEクローンR61493は、c
DNAインサート、Lafmid BAベクターバックボーン、cDNAライブラリーの構築に用
いたオリゴdTプライマーおよびHindIIIアダプターを起源とするDNAから取得、構
成された。Lafmid BAベクターのヌクレオチド配列は、URL http://image.rzpd.d
e/lafmida_seq.htmlで入手可能であり、オリゴdTプライマーおよびHindIIIアダ プターの説明は、受託番号R61493に対応するGENBANKの記録で入手可能である。
【0290】 該cDNAインサートの配列により、該インサートが、選択的にスプライシングさ
れたHKNG1 mRNA変異体から誘導されたことが示され、本明細書においては、HKNG
1‐V1と呼ぶ。特に、このHKNG1変異体は、完全長の13個のエキソンを有するHKNG
1配列のエキソン3を欠失している。このHKNG1変異体のヌクレオチド配列(配列 番号3)を、図2A〜Bに示す。HKNG1変異体によりコードされるアミノ酸配列(配列
番号3)も、図2A〜Bに示す。
【0291】 従って、本発明の核酸は、異種配列(例えば、Lafmid BAなどのクローニングベ
クター配列、オリゴdTプライマー、およびHindIIIアダプター)の非存在下でHKNG
1-V1のヌクレオチド配列を含むか、またはHKNG1-V1によりコードされるポリペプ
チドをコードする核酸分子を含むことが好ましい。
【0292】 7.2.2.HKNG1遺伝子発現 種々のヒト組織において、ノーザンブロット分析によりHKNG1遺伝子発現を調 べた。胎児の脳、肺および腎臓、ならびに成人の脳、腎臓、膵臓、前立腺、精巣
、卵巣、胃、甲状腺、脊髄、リンパ節および気管において、約2 kbの転写物が検
出された。気管においては、約1.5 kbの転写物も認められた。さらに、試験した
全ての成人の神経領域(すなわち、小脳、大脳皮質、髄質、脊髄、後頭極、前頭 葉、側頭、被殻、扁桃、尾状核、脳梁、海馬、全脳、黒質、視床下核、および視
床)において、約5 kbのより大きい転写物が検出された。再び、このことは、発 現が網膜に限定されていると報告された(Shimizu-Matsumoto, A.ら、1997、Inve
st. Ophthalmal. Vis. Sci. 38:2576-2585)、以前のRPP遺伝子のノーザンブロッ
ト分析とは全く対照的である。
【0293】 HKNG1の組織分布の分析を、in situハイブリダイゼーション分析によって拡張
した。特に、正常なヒトの脳組織におけるHKNG1 mRNAの分布を分析した。この分
析の結果を、図4に示す。図4に要約されているように、HKNG1は、脳全体にわた って発現しており、その転写物は神経細胞型および灰白質細胞型に局在化してい
る。
【0294】 最後に、組換え細胞におけるHKNG1の発現は、HKNG1遺伝子が分泌されたポリペ
プチドをコードすることを示している。
【0295】 8.HKNG1内のミスセンス変異はBADに相関する 上記の第6節に提示された実施例は、BAD障害が、ヒトの第18染色体の短腕のHK
NG1遺伝子内に完全に含まれる区間にマッピングされることを示している。上記 の第7節に提示された実施例により、HKNG1遺伝子および遺伝子産物が特性評価さ
れる。本実施例に提示される結果は、BAD障害を示す個体のHKNG1対立遺伝子のコ
ード領域内の突然変異を同定することにより、これらの研究をさらに特徴付ける
【0296】 従って、本実施例に記載された結果は、非野生型HKNG1ポリペプチドをコード する突然変異と、神経精神医学的障害であるBADの出現との間の正の相関を実証 している。上記の第6節に提示された結果と合わせると、本実施例に提示される 結果により、HKNG1は、BADなどの神経精神医学的障害を仲介する遺伝子であると
同定される。
【0297】 8.1.材料および方法 各エキソン(上記の表1を参照されたい)に隣接するPCRプライマー対を作製し 、それを用いて、BADに冒された個体および正常な個体から単離されたゲノムDNA
をPCR増幅した。SSCPゲル電気泳動またはDNA配列決定により、増幅したPCR産物 を分析した。BADに冒された個体および対照の個体のDNA配列およびSSCPパターン
を比較し、変異をさらに分析した。
【0298】 8.2.結果 HKNG1遺伝子が神経精神医学的障害、特にBADを仲介することをより明確に示す
ために、BADと相関するHKNG1突然変異を同定することができるか否かを探索する
ための試験を行った。
【0299】 先ず、コスタリカ人集団の3人の冒された個体と、1人の正常な個体から単離
した染色体を用いて、HKNG1遺伝子の全ての11個のエキソンについて、エキソン 走査を実施し、上記の第6節で考察したLD試験のために用いた。この分析では、B
ADと相関する明らかな突然変異は認められなかった。
【0300】 次に、同じ集団の3人の冒された個体と、1人の正常な個体の全ての変異体に
ついて、sscpおよび/または配列決定を行うことにより、27 kbのBAD区間内のHK
NG1イントロンおよび3'非翻訳領域を走査した。27 kbのゲノム区間のほぼ3分の
2を走査したところ、約60個の変異体が同定された。これを、上記の如く、ハプ
ロタイプ共有およびLD分析により遺伝子型を決定、分析して、双極性情動障害に
相関する変異体を同定することができる。図5は、この試験により同定された、 選択された変異体を列挙したものである。
【0301】 しかし、コスタリカの一般的な集団由来の染色体DNAを用いたエキソン走査に より、上記のLD分析により同定された共通の疾患を有するハプロタイプを共有し
ないBADに冒された1個体におけるHKNG1のミスセンス変異を同定した。特に、BA
Dに冒された一般的な集団の129個体由来のHKNG1核酸のエキソン1〜11について、
エキソン走査を行った。
【0302】 この分析により、非双極性情動障害の個体においては認められないエキソン7 のコード領域において、点突然変異が同定された。特に、配列番号1のヌクレオ
チド残基604(または配列番号3のヌクレオチド残基550)に対応するグアニンが、
アデニンに変異していた。この変異HKNG1対立遺伝子から発現されるHKNG1タンパ
ク質は、配列番号2のアミノ酸残基202(または配列番号4のアミノ酸残基184)で
、野生型のグルタミン酸残基がリシン残基に置換されている。
【0303】 HKNG1野生型配列と比較したさらなるHKNG1多型、従って、HKNG1対立遺伝子が 、合衆国の混合した民族の精神分裂病患者のコレクションおよびサンフランシス
コ地域のBADコレクション内のHKNG1対立遺伝子の配列分析により同定された。こ
れらの変異体を、それぞれ図5Aおよび図5Bに示す。統計解析により、合衆国の混
合した民族の精神分裂病患者のコレクションならびにサンフランシスコのBADお よびコスタリカ人のBADサンプルにおける変異体の方が、242人の対照のコレクシ
ョンにおける変異体よりも有意に多い(p<0.05)ことが示された。
【0304】 9.実施例:さらなるHKNG1スプライス変異体の同定 本実施例では、ヒト遺伝子HKNG1の3つの新規なスプライス変異体の単離およ び同定について説明する。先ず、ヒト網膜cDNAライブラリーから新規なHKNG1ク ローンを単離した。このクローンは、完全長HKNG1 cDNA配列のエキソン7を完全 に欠失しており、本明細書においてはHKNG1Δ7と呼ぶことにする。完全長HKNG1 配列からのエキソン7の欠失は即座にフレームシフトを誘導するので、クローンH
KNG1Δ7は、トランケートされた形態のHKNG1タンパク質をコードすることになる
。HKNG1Δ7 cDNA配列(配列番号65)を、それがコードするHKNG1Δ7遺伝子産物 の推定アミノ酸配列(配列番号66)とともに、図18に示す。
【0305】 本明細書においてHKNG1-V2およびHKNG1-V3と呼ぶ2つの他の新規スプライス変
異体を、RT-PCR分析を用いて単離、同定して、さらなるHKNG1配列を単離した。 以下のプライマー配列を用いた: 5'‐AGTTGCGTCCCTCTCTGTTG‐3' (配列番号67) 5'‐GCTTCATGTTCCCGCTGTTA‐3' (配列番号68) これらのスプライス変異体は、完全長HKNG1配列(配列番号1)のエキソン2お よび3の間にさらなるエキソンを含んでいた。
【0306】 HKNG1-V2から誘導されたRT-PCR産物は、「エキソン2'」と呼ぶ新規なエキソ ンを含み、一方、HKNG1-V3から誘導されたRT-PCR産物は、「エキソン2''」と呼
ぶ新規なエキソンを含む。これらの新規なエキソンの配列を、下記の表2に示す
。新規なエキソン2'を含有するHKNG1-V2のRT-PCR産物のヌクレオチド配列を、 図6A(配列番号36)に示し、また、新規なエキソン2''を含有するHKNG1-V3のRT
-PCR産物のヌクレオチド配列を、図6B(配列番号37)に示す。エキソン2'およ び2''の双方とも、HKNG1 cDNAの5'非翻訳領域の一部である。
【0307】
【表2】
【0308】 10.実施例:HKNG1オーソログ体(ortholog)の同定 本実施例では、ヒトHKNG1のオーソログ体である他の哺乳動物種の遺伝子の単 離および特性評価について説明する。特に、モルモットおよびウシHKNG1配列の 双方を記載する。
【0309】 10.1.モルモットHKNG1オーソログ体 gphkng1815と呼ぶモルモットHKNG1オーソログ体を、RT-PCRを用いて単離した 。そのcDNA配列(配列番号38)および推定アミノ酸配列(配列番号39)を、図7 に示す。gphkng1815のヌクレオチドおよび予想アミノ酸配列はともに、ヒトHKNG
1のヌクレオチドおよびアミノ酸配列に類似している。特に、プログラムALIGNv2
.0により、標準的なパラメーター(スコアリングマトリックス:PAM120、GAPペナ
ルティー:‐12/‐4)を用いて71.5%のヌクレオチド配列同一性および62.8%の アミノ酸配列同一性が同定された。
【0310】 ヒトHKNG1ポリペプチドと同様、予想されるgphkng1815ポリペプチドも、2つ のクラステリン(clusterin)類似ドメインを含有し、それぞれ、アミノ酸残基105
〜131(クラステリン(clusterin)類似ドメイン1)、およびアミノ酸残基305〜333
(クラステリン(clusterin)類似ドメイン2)に対応する。これらのドメインはと もに、クラステリン(clusterin)ドメインに典型的に関連する5個の保存されたシ
ステイン残基を含有する。特に、これらの保存されたシステインは、gphkng1815
ポリペプチド配列のCys105、Cys116、Cys119、Cys124およびCys131(クラステリ ン(clusterin)ドメイン1)、ならびにCys305、Cys315、Cys322、Cys325およびCy
s333(クラステリン(clusterin)ドメイン2)に対応する。
【0311】 それぞれgphkng 7b、gphkng 7c、およびgphkng 7dと呼ぶgphkng1815の3つの 対立遺伝子変異体もRT-PCRにより同定された。それらのヌクレオチド[配列番号 40(gphkng 7b)、配列番号42(gphkng 7c)、および配列番号44(gphkng 7d)]
ならびにアミノ酸[配列番号41(gphkng 7b)、配列番号43(gphkng 7c)、およ び配列番号45(gphkng 7d)]配列を、それぞれ図8〜10に示す。これらの3つの 対立遺伝子変異体の各々は、ヒトHKNG1のエキソン7に相同な領域内に欠失を含む
。しかし、該対立遺伝子変異体は、該遺伝子のオープンリーディングフレームを
保持し、各対立遺伝子変異体は、gphkng1815と比較して、それぞれ16、92および
93アミノ酸残基の欠失を含む。
【0312】 gphkng1815、gphkng 7b、gphkng 7c、およびgphkng 7dの推定アミノ酸配列の アラインメントを、図14に示す。下記の第10.2節に記載するヒトHKNG1遺伝子産 物、モルモットHKNG1オーソログ体gphkng1815、およびウシHKNG1オーソログ体の
推定アミノ酸配列のアラインメントを、図16に示す。
【0313】 10.2.ウシHKNG1オーソログ体 完全長ヒトHKNG1 cDNA配列(配列番号1)の塩基対910〜1422の相補配列に対応 するヌクレオチド配列をプローブとして用いて、プールしたウシ網膜組織から作
製したcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、HKNG1のウシオーソ ログ体をもクローニングした。bhkng1、bhkng2、およびbhkng3と呼ぶ3つの異な
るウシcDNA種(それぞれ、配列番号46〜48)を単離した。これらの対立遺伝子
変異体の各々は、いくつかの単一ヌクレオチド多型(SNP)を含む。該SNPはいずれ
も、推定アミノ酸配列に変化をもたらさない。従って、3つのウシcDNAは全て、
同じ予想アミノ酸配列(配列番号49)をコードする。これらのSNPは、該配列が 単離されたプールしたcDNAライブラリーの天然の対立遺伝子変異を明らかに反映
している。3つのウシHKNG1対立遺伝子変異体の各々を、それらがコードする予 想アミノ酸配列とともに、それぞれ図11〜13に示す。
【0314】 推定ウシHKNG1ポリペプチドも、2つのクラステリン(clusterin)類似ドメイン
を含み、配列番号49のアミノ酸残基105〜131およびアミノ酸残基304〜332に、
それぞれ対応している。クラステリン(clusterin)ドメイン1は、この型のドメ インに典型的に関連する5個の共有システインアミノ酸残基、すなわちCys105、
Cys116、Cys119、Cys124、およびCys131を含む。ウシHKNG1ポリペプチドのクラ ステリン(clusterin)ドメイン2は、4個の保存されたシステイン残基、すなわ ちCys314、Cys321、Cys324、およびCys332を含む。
【0315】 11. ヒトHKNG1遺伝子産物の発現 この実施例では、発現ベクターの構築および組換えヒトHKNG1配列の首尾良い 発現について記載する。発現ベクターに関しては、天然型HKNG1および種々のHKN
G1融合タンパク質の両方について記載する。
【0316】 11.1. ヒトHKNG1:FLAGの発現 ヒトHKNG1をflagエピトープでタグ付けしたタンパク質(HKNG1:flag)ベクタ ーをPCR後、HEK 293T細胞内で発現させるためのベクターに連結することによっ て構築した。全長HKNG1 cDNA配列の全長オープンリーディングフレーム(配列番
号5)を、以下のプライマー配列を用いてPCR増幅した。
【0317】 5'プライマー 5'-TTTTTCTGAATTCGCCACCATGAAAATTAAAGCAGAGAAAAACG-3'(配列番 号52) 3'プライマー 5'-TTTTTGTCGACTTATCACTTGTCGTCGTCGTCCTTGTAGTCCCAGGTTTTAA AA
TGTTCCTTAAAATGC-3'(配列番号53) 5'プライマーは上流開始メチオニンの上流にKozak配列を組み込んでおり、また 上流開始メチオニンを含む。そして、3'プライマーはflagエピトープDYKDDDDK( 配列番号50)をコードするヌクレオチド配列、それに続く終結コドンを含む。
【0318】 配列決定したDNA構築物を150mmのプレート上で、リポフェクトアミン(GIBCO/B
RL)を製造元のプロトコールに従って用いて、HEK 293T細胞中に一過性にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiME
M, GIBCO/BRL)を回収してスピンし、残留する単層の細胞を2mLの細胞溶解バ ッファー[50mM Tris pH 8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDS(製造元の指示
に従って希釈した「完全な」プロテアーゼ反応混液(Boehringer Mannheim)を含
む)]を用いて細胞溶解した。不溶物質はSDS-PAGEサンプルを調製する前にペレ ット化した。
【0319】 ならし培地を、4〜20%の濃度勾配ゲル上におけるSDS-PAGEによって分離した後
、PVDF膜(Novex)上にエレクトロブロットした。そして、M2抗-flagポリクロー ナル抗体(1:500 ,Sigma)、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジ
ュゲート形成させたヒツジ抗-マウス抗体(1:5000,Amersham)をプローブとし て用い、化学発光試薬(Renaissance, Dupont)を用いて現像し、オートラジオグ
ラフィーフィルム(Biomax MR2 フィルム、 Kodak)に暴露した。flagの免疫反 応性は、SDS-PAGEによって、Multimark分子量マーカー(Novex)で測定すると、60
kDaと95kDaの間に移動した2重線のバンドとして現われ、HKNG1: flagタンパク 質の分泌を示した。この2重線のバンドは、SDS-PAGEにおいて異なる移動度を有
する少なくとも2種の異なる種の存在を示す。このような2重線は、最も一般的
には、グリコシル化および/またはタンパク質分解などのタンパク質に対する翻 訳後改変にともなって生じる。製造元の指示に従ってPNGase F(Oxford Glycosci
ences)で処理すると、移動度の増加した単一バンドが生じたが、これはもとの2
本のバンドがN結合型炭水化物を含むことを示している。還元剤不在下で泳動を 行うと、免疫反応性バンドの相対的な移動度は、同じマーカーと比較すると100k
Daより大きかった。これはHKNG1: flag融合タンパク質が、ジスルフィド結合し たダイマーまたはより高次のオリゴマーであり得ることを示唆している。
【0320】 11.2. ヒトHKNG1-V1:FLAGの発現 ヒトHKNG1-V1 をflagエピトープでタグ付けしたタンパク質(HKNG1-V1:flag )ベクターも、PCR後に発現ベクターpMET stop中に連結することによって構築し
た。HKNG1-V1 cDNA配列の全長オープンリーディングフレーム(配列番号6)を以
下のプライマー配列を用いてPCR増幅した。
【0321】 5'プライマー 5'-TTTTTCTGAATTCACCATGAGGACCTGGGACTACAGTAAC-3'(配列番号54
) 3'プライマー 5'-TTTTTGTCGACTTATCACTTGTCGTCGTCGTCCTTGTAGTCCCAGGTTTTAAAAT
GTTCCTTAAAATGC-3'(配列番号53) 5'プライマーは上流開始メチオニンの上流にKozak配列を組み込んでおり、また 上流開始メチオニンを含む。3'プライマーは、flagエピトープDYKDDDDK(配列番 号50)をコードするヌクレオチド配列、それに続く終結コドンを含む。
【0322】 配列決定したDNA構築物を150mmのプレート上で、リポフェクトアミン(GIBCO/B
RL)を製造元のプロトコールに従って用いて、HEK 293T細胞中に一過性にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiME
M, GIBCO/BRL)を回収してスピンし、残留する単層の細胞を2mLの細胞溶解バ ッファー[50mM Tris pH 8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDS(製造元の指示
に従って希釈した「完全な」プロテアーゼ反応混液(Boehringer Mannheim)を含
む)]を用いて細胞溶解した。不溶物質はSDS-PAGEサンプルを調製する前にペレ ット化した。
【0323】 ならし培地を、4〜20%の濃度勾配ゲル上におけるSDS-PAGEによって分離した後
で、PVDF膜(Novex)上にエレクトロブロットした。そして、M2抗-flagポリクロ ーナル抗体(1:500 ,Sigma)、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコン
ジュゲート形成させたヒツジ抗-マウス抗体(1:5000,Amersham)をプローブと して用い、化学発光試薬(Renaissance, Dupont)を用いて現像し、オートラジオ
グラフィーフィルム(Biomax MR2 フィルム、 Kodak)に暴露した。flagの免疫 反応性は、SDS-PAGEによって、Multimark分子量マーカー(Novex)で測定すると、
60kDと95kDの間に移動する2重線のバンドとして現われ、HKNG1:flagタンパク質
の分泌を示した。還元剤不在下で泳動を行うと、免疫反応性バンドの相対的な移
動度は、同じマーカーと比較すると100kDaより大きかった。これはHKNG1-V1:fl
ag融合タンパク質が、ジスルフィド結合したダイマーまたはより高次のオリゴマ
ーであり得ることを示唆している。
【0324】 11.3. ヒトHKNG1:Fcの発現 ヒトHKNG1/hIgG1Fc融合タンパク質ベクターをPCRにより構築した。全長HKNG1
cDNAの全長オープンリーディングフレーム(配列番号5)を以下のプライマー配列
を用いてPCR増幅した。
【0325】 5'プライマー 5'-TTTTTCTCTCGAGACCATGAAAATTAAAGCAGAGAAAAACG-3'(配列番号5
5) 3'プライマー 5'-TTTTTGGATCCGCTGCTGCCCAGGTTTTAAAATGTTCCTTAAAATGC-3'(配 列番号56) 5'プライマーは、終結コドンの前のアミノ酸残基に対して上流にあるメチオニン
の前にKozak配列を組み込んだ。3'PCRプライマーはHKNG1とヒトIgG1 Fcドメイン
の結合部に3つのアラニンからなるリンカーを含み、これは残基DPEで始まる。一
過性発現のために、ヒトIgG1 Fcドメインのゲノム配列をPCR産物とともにpCDM8 ベクター(Invitrogen, Carlsbad CA)中に連結した。
【0326】 配列決定したDNA構築物を150mmのプレート上で、リポフェクトアミン(GIBCO/B
RL)を製造元のプロトコールに従って用いて、HEK 293T細胞中に一過性にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiME
M, GIBCO/BRL)を回収してスピンし、残留する単層の細胞を2mLの細胞溶解バ ッファー[50mM Tris pH 8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDS(製造元の指示
に従って希釈した「完全な」プロテアーゼ反応混液(Boehringer Mannheim)を含
む)]を用いて細胞溶解した。不溶物質はSDS-PAGEサンプルを調製する前にペレ ット化した。
【0327】 ならし培地を、4〜20%の濃度勾配ゲル上におけるSDS-PAGEによって分離した後
で、PVDF膜(Novex)上にエレクトロブロットした。そして、M2抗-Fcポリクロー ナル抗体(1:500, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.)、続いて西 洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲート形成させたヒツジ抗-マウス抗
体(1:5000,Amersham)をプローブとして用い、化学発光試薬(Renaissance, D
upont)を用いて現像し、オートラジオグラフィーフィルム(Biomax MR2 フィル
ム、 Kodak)に暴露した。ヒトIgG1 Fcの免疫反応性は、SDS-PAGEによってMultim
ark分子量マーカー(Novex)の標準品の148kDaと60kDaの間に移動する2重線のバ ンドとして現われ、HKNG1:Fc融合タンパク質の分泌を示した。
【0328】 11.4. ヒトHKNG1-V1/Fcの発現 ヒトHKNG1-V1/hIgG1Fc融合タンパク質(HKNG1-V1:Fc)ベクターもPCRによって
構築した。HKNG1-V1 cDNAの全長オープンリーディングフレーム(配列番号6)を 以下のプライマー配列を用いてPCR増幅した。
【0329】 5'プライマー 5'-TTTTTCTCTCGAGACCATGAGGACCTGGGACTACAGTAAC-3'(配列番号57) 3'プライマー 5'-TTTTTGGATCCGCTGCTGCCCAGGTTTTAAAATGTTCCTTAAAATGC-3'(配列
番号56) 5'プライマーは、終結コドンの前にあるアミノ酸残基に対して上流のメチオニン
の前にKozak配列を組み込んだ。3'PCRプライマーは、HKNG1-V1とヒトIgG1 Fcド メインの結合部に3つのアラニンからなるリンカーを含み、これは残基DPEで始ま
る。一過性発現のために、ヒトIgG1 Fcドメインのゲノム配列をPCR産物とともに
pCDM8ベクター中に連結した。
【0330】 配列決定したDNA構築物を150mmのプレート上で、リポフェクトアミン(GIBCO/B
RL)を製造元のプロトコールに従って用いて、HEK 293T細胞中に一過性にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiME
M, GIBCO/BRL)を回収してスピンし、残留する単層の細胞を2mLの細胞溶解バ ッファー[50mM Tris pH 8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDS(製造元の指示
に従って希釈した「完全な」プロテアーゼ反応混液(Boehringer Mannheim)を含
む)]を用いて細胞溶解した。不溶物質はSDS-PAGEサンプルを調製する前にペレ ット化した。
【0331】 ならし培地を、4〜20%の濃度勾配ゲル上におけるSDS-PAGEによって分離した後
で、PVDF膜(Novex)上にエレクトロブロットした。そして、抗-ヒトFcポリクロ ーナル抗体(1:500, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.)、続いて 西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲート形成させたヒツジ抗-マウス
抗体(1:5000,Amersham)をプローブとして用い、化学発光試薬(Renaissance,
Dupont)を用いて現像し、オートラジオグラフィーフィルム(Biomax MR2 フィ
ルム、 Kodak)に暴露した。ヒトIgG1 Fcの免疫反応性は、SDS-PAGEによってMult
imark分子量マーカー(Novex)標準品の148kDaと60kDaの間に移動し、およそ125kD
aと150kDaの間の中央に位置する2重線のバンドとして現われ、HKNG1シグナルペ
プチドによって媒介される分泌を示した。
【0332】 11.5. ヒトHKNG1Δ7:Fcの発現 ヒトHKNG1Δ7:hIgG1Fc融合タンパク質ベクターもまたPCRによって構築した。
HKNG1Δ7スプライシング変異体の配列を、全長HKNG1 cDNA配列(配列番号1)の
エキソン1から6までを鋳型とし、以下のプライマー配列を用いてPCR増幅した。
【0333】 5'プライマー 5'-TTTTTCTGAATTCACCATGAAGCCGCCACTCTTGGTG-3'(配列番号58) 3'プライマー 5'-TTTTTGGATCCGCTGCGGCCTCCGTGGTCAGGAGCTTATTTTTCACAGAGGACCA
GCTAG-3'(配列番号59) 5'プライマーは上流開始メチオニンの上流にKozak配列を組み込んでおり、また 上流開始メチオニンを含む。3'プライマーは、エキソン8の最初の17個の(コー ド)ヌクレオチド及びそれに続く3つのアラニンからなるリンカーをコードする ヌクレオチドを含んでいた。
【0334】 一過性発現のため、ヒトIgG1 Fcドメインのゲノム配列をPCR産物とともにpCDM
8ベクター中に連結した。
【0335】 配列決定したDNA構築物を150mmのプレート上で、リポフェクトアミン(GIBCO/B
RL)を製造元のプロトコールに従って用いて、HEK 293T細胞中に一過性にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiME
M, GIBCO/BRL)を回収してスピンし、残留する単層の細胞を2mLの細胞溶解バ ッファー[50mM Tris pH 8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDS(製造元の指示
に従って希釈した「完全な」プロテアーゼ反応混液(Boehringer Mannheim)を含
む)]を用いて細胞溶解した。不溶物質はSDS-PAGEサンプルを調製する前にペレ ット化した。
【0336】 ならし培地を、4〜20%の濃度勾配ゲル上におけるSDS-PAGEによって分離した後
で、PVDF膜(Novex)上にエレクトロブロットした。そして、抗-ヒトFcポリクロ ーナル抗体(1:500, Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.)、続いて 西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲート形成させたヒツジ抗-マウス
抗体(1:5000,Amersham)をプローブとして用い、化学発光試薬(Renaissance,
Dupont)を用いて現像し、オートラジオグラフィーフィルム(Biomax MR2 フィ
ルム、 Kodak)に暴露した。ヒトIgG1 Fcの免疫反応性は、SDS-PAGEにより、Mult
imark分子量マーカー(Novex)と比較すると42kDaと60 kDaの間に移動し、Mark 12
分子量マーカー(Novex)と比較するとおよそ36.5 kDaと55.4 kDaの間の中央に位 置する1本のバンドとして現われた。
【0337】 11.6. 天然ヒトHKNG1の発現 ヒトHKNG1発現ベクターは、ヒトHKNG1 cDNA配列(配列番号1)のPCR増幅と、
それに続く発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen, Carlsbad CA)中へのライゲーシ ョンにより、構築された。HKNG1 cDNA配列の完全なオープンリーディングフレー
ム(配列番号5)は、以下のプライマー配列を用いてPCR増幅された: 5'プライマー 5'-TTTTTCTCTCGAGGACTACAGGACACAGCTAAATCC-3'(配列番号60) 3'プライマー 5'-TTTTTGGATCCTTATCACCAGGTTTTAAAATGTTCCTTAAAATGC-3'(配 列番号61)。
【0338】 5'プライマーは、上流開始メチオニンの上流にKozak配列を組み込んでおり、ま た上流開始メチオニンを含む。3'プライマーには、縦に並んだ一対の終止コドン
を含めた。
【0339】 配列決定したDNA構築物は、リポフェクトアミン(GIBCO/BRL)を用いて、メーカ
ーのプロトコールに従い、150mmプレート中のHEK 293T細胞中へ一時的にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiMEM
, GIBCO/BRL)を回収し、スピンダウンし、残った単層の細胞を2mlの溶解バッフ
ァー[50mM Tris pH8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDSを、メーカーの指示 に従って希釈した「完全」プロテアーゼ反応混合液(Boehringer Mannheim)と混合
したもの]を用いて溶解させた。SDS-PAGE試料の調製に先立ち、不溶性物質をペ レット化した。
【0340】 4〜20%濃度勾配ゲル上のSDS-PAGEによる分離後、ならし培地をPVDF膜(Novex
)上にエレクトロブロットし、抗HKNG1ポリクローナル抗体(84番, 1:500)を用い てプローブし、次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヒツジ抗マウス抗体(
1:5000, Amersham)を使用し、化学発光試薬(Renaissance, Dupont)を用いて発光
させ、さらにオートラジオグラフィーフィルム(Biomax MR2フィルム, Kodak)に 対し露光した。HKNG1の免疫反応性は、SDS-PAGEにより、Multimark分子量マーカ
ー(Novex)による測定で60kDaと95kDaの間に移動した二重のバンドとして見出さ れた。
【0341】 11.7. 天然ヒトHKNG1-V1の発現 ヒトHKNG1-V1発現ベクターもまた、ヒトHKNG1-V1 cDNA配列(配列番号3)のP
CR増幅と、それに続く発現ベクターpcDNA3.1中へのライゲーションにより、構築
された。HKNG1 cDNA配列の完全なオープンリーディングフレーム(配列番号6)
は、以下のプライマー配列を用いてPCR増幅させた: 5'プライマー 5'-TTTTTCTGAATTCACCATGAAGCCGCCACTCTTGGTG-3'(配列番号62 ) 5'プライマー 5'-TTTTTCTCTCGAGACCATGAGGACCTGGGACTACAGTAAC-3'(配列番号
63) 3'プライマー 5'-TTTTTGGATCCTTATCACCAGGTTTTAAAATGTTCCTTAAAATGC-3'(配 列番号61)。
【0342】 5'プライマーは、上流開始メチオニンの上流にKozak配列を組み込んでおり、ま た上流開始メチオニンを含む。3'プライマーには、縦に並んだ一対の終止コドン
を含めた。
【0343】 配列決定したDNA構築物は、リポフェクトアミン(GIBCO/BRL)を用いて、メーカ
ーのプロトコールに従い、150mmプレート中のHEK 293T細胞中へ一時的にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiMEM
, GIBCO/BRL)を回収し、スピンダウンし、残った単層の細胞を2mlの溶解バッフ
ァー[50mM Tris pH8.0, 150mM NaCl, 1% NP-40, 0.05% SDSを、メーカーの指示 に従って希釈した「完全」プロテアーゼ反応混合液(Boehringer Mannheim)と混合
したもの]を用いて溶解させた。SDS-PAGE試料の調製に先立ち、不溶性物質をペ レット化した。
【0344】 4〜20%濃度勾配ゲル上でのSDS-PAGEによる分離後、ならし培地をPVDF膜(Nov
ex)上にエレクトロブロットし、M2 抗HKNG1ポリクローナル抗体(84番, 1:500)を
用いてプローブし、次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヒツジ抗マウス 抗体(1:5000, Amersham)を使用し、化学発光試薬(Renaissance, Dupont)を用い て発光させ、さらにオートラジオグラフィーフィルム(Biomax MR2フィルム, Kod
ak)に対し露光した。HKNGの免疫反応性は、SDS-PAGEにより、Multimark分子量マ
ーカー(Novex)による測定で70kDaと95kDaの間に移動した二重のバンドとして見 出され、そのことは分泌がHKNG1シグナルペプチドによって媒介されることを示 している。
【0345】 11.8. ヒトHKNG:AP 融合タンパク質の発現 また、ヒトHKNG1 アルカリホスファターゼC末端融合タンパク質(HKNG1:AP)、 ヒトHKNG1-V1 アルカリホスファターゼC末端融合タンパク質(HKNG1-V1:AP)、お よびヒトHKNG1 アルカリホスファターゼN末端融合タンパク質(AP:HKNG1)に対す る発現ベクターも構築した。
【0346】 ヒトHKNG1:APに対する発現ベクターは、PCR増幅し、次いでHEK 293T細胞での 発現に適したベクター中にライゲーションすることにより、構築された。ヒトHK
NG1の完全長オープンリーディングフレーム(配列番号5)を、EcoRI制限部位、
およびそれに続く上流開始メチオニンより前にあるKozak配列を組み込んだ5'プ ライマーを用いてPCR増幅した。3'プライマーには、HKNG1の最終コドンの直後に
XhoI制限部位を含めた。したがって、該構築物のオープンリーディングフレーム
は、HKNG1シグナルペプチドおよび完全HKNG1配列とそれに続くヒト胎盤アルカリ
ホスファターゼの完全配列を含む。
【0347】 ヒトHKNG1-V1:APに対する発現ベクターを、PCR増幅と、それに続くpMEAP3ベク
ター中へのライゲーションにより構築した。ヒトHKNG1-V1の完全長オープンリー
ディングフレーム(配列番号6)を、EcoRI制限部位、およびそれに続く上流開 始メチオニンより前にあるKozak配列を組み込んだ5'プライマーを用いてPCR増幅
した。3'プライマーは、HKNG1-V1の最終コドンの直後にXhoI制限部位を含めた。
したがって、該構築物のオープンリーディングフレームは、HKNG1-V1シグナルお
よび完全長HKNG1-V1配列とそれに続くヒト胎盤アルカリホスファターゼの完全配
列を含む。
【0348】 ヒトAP:HKNG1に対する発現ベクターを、PCR増幅と、それに続くAP-Tag3ベクタ
ー(Cheng および Flanagan, 1994, Cell 79:157-168に報告されたもの)中への
ライゲーションにより構築した。ヒトHKNG1の完全長オープンリーディングフレ ーム(配列番号5)を、成熟HKNGタンパク質の最初のアミノ酸(すなわちAPT) をコードするヌクレオチドより前にBamHI制限部位を組み込んだ5'プライマー、 およびHKNG1の終止コドンの直後にXhoI制限部位を含む 3'プライマーを用いて、
PCR増幅した。したがって、完成した構築物のオープンリーディングフレームは 、APシグナルペプチドおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの完全配列を、完
全HKNG1配列の前に含む。
【0349】 配列決定したDNA構築物は、リポフェクトアミン(GIBCO/BRL)を用いて、メーカ
ーのプロトコールに従い、150mmプレート中のHEK 293T細胞中へ一時的にトラン スフェクトした。トランスフェクションの72時間後、無血清ならし培地(OptiMEM
, GIBCO/BRL)を回収し、スピンダウンし、濾過した。酵素アッセイキット(Phosp
ha-Light, Tropix)を用い、メーカーの指示に従って、ならし培地中のアルカリ ホスファターゼ活性を定量化した。アルカリホスファターゼ融合タンパク質濃度
が2nMを下回ることが測定された場合は、30kDa遮断膜を用いて遠心分離により ならし培地を濃縮した。濃縮前後のならし培地試料を、SDS-PAGE、ならびにそれ
に続く抗ヒトアルカリホスファターゼ抗体(1:250, Genzyme)を用いたウェスタン
ブロットおよび化学発光検出により分析した。HKNG1:AP、HKNG1-V1:AP、およびA
P:HKNG1トランスフェクション物の濃縮した上清中に、14kDaの位置のバンドが観
察された。ならし培地試料は10%ウシ胎児血清を含むように調整され、4℃で保
存された。
【0350】 11.9. FLAGタグ付けHKNG1タンパク質の精製 上記小節12.1および12.2に記載の分泌型flagタグ付けタンパク質を、M2 抗fla
g抗体に対するflagエピトープの親和性を利用した一段階精製スキームによって 単離した。ならし培地を、M2-ビオチン(Sigma)/ストレプトアビジンPorosカラム
(2.1×30mm, PE Biosystems)に通過させた。次に該カラムをPBS, pH7.4によって
洗浄し、flagタグ付けタンパク質を200mM グリシン, pH3.0を用いて溶出させた 。画分は1.0M Tris pH8.0により中性化した。次いでバックグラウンドよりも高 い280nm吸光度を有する溶出画分をSDS-PAGEゲル上、およびウェスタンブロット により分析した。flagタグ付けタンパク質を含有する画分をプールし、8000 MWC
O透析チューブ中において、経常攪拌を行いながら4LのPBS,pH7.4(4℃)に対して
2回交換分の透析を実施した。次に、その緩衝化交換物質を濾過滅菌し(0.2μm,
Millipore)、-80℃で凍結した。
【0351】 11.10. HKNG1 Fc融合タンパク質の精製 上記小節12.3〜12.5に記載の分泌型Fc融合タンパク質を、プロテイン Aに対す
るヒトIgG1 Fcドメインの親和性を利用した一段階精製スキームによって単離し た。ならし培地を、POROS A カラム(4.6×100mm, PerSeptive Biosystems)に通 過させた。次に該カラムをPBS, pH7.4によって洗浄し、200mM グリシン, pH3.0 を用いて溶出させた。画分は1.0M Tris pH8.0により中性化した。処理過程を通 じて、7ml/分の定常流速を維持した。バックグラウンドよりも高い280nm吸光度
を有する溶出画分を、SDS-PAGEゲル上、およびウェスタンブロットにより分析し
た。Fc融合タンパク質を含有する画分をプールし、8000 MWCO透析チューブ中に おいて、経常攪拌を行いながら4LのPBS,pH7.4(4℃)に対して2回交換分の透析 を実施した。次に、その緩衝化交換物質を濾過滅菌し(0.2μm, Millipore)、-80
℃で凍結した。
【0352】 12. 抗HKNG1抗体の産生 本節に示した実施例では、HKNG1タンパク質に対抗して誘導されるポリクロー ナル抗体およびモノクローナル抗体の産生および特性付けを記載する。
【0353】 12.1 ポリクローナル抗体の産生 ポリクローナル抗血清をウサギ中で下記の表3に示した3つのポリペプチドそ
れぞれに対抗して生じさせた。各ペプチドは、HKNG1アミノ酸配列(配列番号2)か
ら標準的な技術(特に、Harlow & Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manua
l, Cold Spring Harbor Laboratory Press参照。その内容は参照により本明細書
に組み込まれる)を用いて誘導した。各ペプチドは、HKNG1-V1ポリペプチド配列(
配列番号4)にも表現されている。次いで、抗血清をペプチド免疫原を用いてアフ
ィニティ精製した。
【0354】
【表3】
【0355】 12.2 モノクローナル抗体の生産 モノクローナル抗体をマウス中で標準的な技術(Harlow & Lane、前掲、を参照
)を用いて上記の11.3節に記載したHKNG-Fc融合タンパク質に対抗して生じさせた
。ウェルを、ELISAによってHKNG-Fc融合タンパク質への結合についてスクリーニ
ングした。Fcタンパク質と反応しているウェルを、ELISAによって関係のないFc 融合タンパク質への結合について同定し、廃棄した。HKNG-Fc特異的ウェルを、 そのHKNG-Fcを免疫沈降させる能力について試験し、標準的な技術(Harlow & Lan
e、前掲)によってアイソタイプ分析にかけ、8個のウェルをサブクローニング用 に選別した。サブクローン化モノクローナル抗体のアイソタイプを確認した。そ
れらを下記の表4に示す。
【0356】 下記の12.3節で論じたウェスタンブロッティング、免疫沈降および免疫染色デ
ータに基づいて、2つのモノクローナル抗体(3D17および4N6)を大量生産用に選 別した。
【0357】
【表4】
【0358】 12.3 組換えHKNGタンパク質のウェスタンブロッティングおよび免疫沈降 上記の12.1節および12.2節に記載したポリクローナル抗血清および8つのモノ
クローナル抗体全てを、ウェスタンブロットにおいてその組換えHKNG1タンパク 質を認識する能力について標準的な技術を用いて試験した(特に、Harlow & Lane
, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory P
ress)。ポリクローナル抗血清84および85ならびにモノクローナル抗体3D17およ び4N6は、ウェスタンブロットにおいて試験された成熟(すなわち分泌)組換えHKN
Gタンパク質の全ての形態(すなわちHKNG1:Fc、HKNG1:flag、AP:HKNG1、および天
然HKNG1)を認識することが可能であった。
【0359】 表5に、ポリクローナル抗血清84および85との免疫沈降物のウェスタンブロッ ティングによって評価した、各モノクローナル抗体の組換えHKNG1を免疫沈降さ せる能力を示す。ポリクローナル抗血清はどれも組換えHKNG1タンパク質を免疫 沈降させることができなかった。8つのモノクローナル抗体は全てHKNG1:Fcを免
疫沈降させた。その他の組換えHKNG1タンパク質の免疫沈降は様々であった。
【0360】
【表5】
【0361】 13. HKNG N-末端およびジスルフィド結合構造の確認 本節に記載した実験は、成熟分泌ヒトHKNGタンパク質のN-末端を同定するデー
タを提供する。また、この実験は、成熟分泌タンパク質のシステインアミノ酸残
基間のジスルフィド結合を同定するデータも提供する。
【0362】 特に、成熟分泌HKNG:flag、HKNG、およびHKNG:Fc組換えタンパク質を、上記の
11節に記載されたようにして産生し、精製した。成熟組換えタンパク質をトリプ
シンで消化し、エレクトロスプレーイオン化タンデムマス分光測定法を組合せた
逆相液体クロマトグラフィー(LC/MS/MS)を用いてトリプシン断片を同定し、配列
決定した。試験した成熟分泌タンパク質は全てN-末端がAPTWKDKTであることがは
っきりと確認された。これは、HKNG1アミノ酸配列(図1、配列番号2)のアラニン5
0またはHKNG1-V1アミノ酸配列(図2、配列番号4)のアラニン32から始まるアミノ 酸配列に一致している。したがって、HKNG1およびHKNG1-V1のcDNA配列は別個の アミノ酸配列をコードするが、ヒトHKNG1遺伝子のこれらの2つのスプライス変 異体によって産生された成熟分泌タンパク質は同一である。なぜなら、HKNG1-V1
(すなわちエキソン3の欠失)を生じさせる選択的スプライシングがタンパク質加 水分解により切断されたシグナルペプチドのアミノ酸配列に影響を及ぼすからで
ある。成熟分泌HKNG1タンパク質のアミノ酸配列を図17(配列番号51)に示す。
【0363】 また、成熟分泌HKNGタンパク質は、Shimizu-Matsumoら(1997, Invest. Ophtha
lmal. Vis. Sci. 38:2576-2585)によって開示されたRPPアミノ酸配列とも異なる
ものである。特に、Shimizu-Matsumoら(前掲)の図3に開示されたRPPアミノ酸配 列のアミノ酸残基1〜20は、HKNG1-V1の切断シグナルペプチドに一致している。H
KNG1遺伝子産物の成熟分泌形態のアミノ酸配列を図17(配列番号51)に示す。
【0364】 成熟分泌HKNGタンパク質における13システイン残基のうちの8残基についての ジスルフィド結合も、非還元タンパク質のトリプシン消化から回収したペプチド
のLC/MS/MSにより同定された。特に、システインの下記のジスルフィド結合対を
同定した(番号は、図1、配列番号2に示したHKNG1タンパク質を参照されたい): Cys135−Cys145; Cys148−Cys153; Cys160−Cys334;および Cys354−Cys362。
【0365】 14. 実施例:HKNG mRNAおよびタンパク質発現の局在化 本実施例は、HKNG遺伝子産物がヒト脳および網膜組織で発現することを示す実
験を記載するものである。特に、全長HKNG1 cDNA配列(配列番号1)の塩基対910-1
422の相補配列に相当するプローブを用いて標準技術によって行ったin situハイ
ブリダイゼーション実験により、New England Eye Bankから入手した眼のヒト網
膜の光受容層(外核層)中のHKNGメッセンジャーRNAを検出した。
【0366】 上記の12節に記載したポリクローナル抗血清および8つのモノクローナル抗体
全てをヒト網膜の免疫染色について試験した。ポリクローナル抗血清85ならびに
モノクローナル抗体1F24、4N6および4O16は、網膜の光受容層および隣接層にお いてHKNGタンパク質の免疫染色を示した。ポリクローナル抗血清を用いたこれら
の組織における免疫染色を、他の2つのペプチド免疫原(すなわち84および86)で はなく、85ペプチド免疫原によってブロックして、免疫染色が光受容層で発現し
たHKNGタンパク質によるものであることを確認した。
【0367】 次いで、同一の抗体を用いて、ヒトおよびサル脳の切片における免疫染色によ
ってHKNGタンパク質を局在化させた。HKNGタンパク質が、前頭皮質の皮質ニュー
ロンにおいて観察された。IV〜V層の錐体ニューロンの大部分は、HKNGタンパク 質に対して免疫反応性であった。ニューロンのサブ集団もI〜III層で標識された
。HKNG免疫反応性は、海馬の錐体細胞層および線条の少数のニューロンでも観察
された。
【0368】 これらのデータは、HKNGが、確かに、BADなどの神経精神医学的障害を媒介す る遺伝子であるという事実をサポートするものである。さらに、HKNGがヒト網膜
組織でも発現するという事実は、この遺伝子が近視状態においても役割を果たす
ということを示唆している。特に、Youngら(1998, American Journal of Human
Genetics 63:109-119)は、ヒト染色体18pのテロメア領域における一次性(primar
y)近視および二次性 (secondary)黄斑変性および網膜剥離の強い連鎖(LOD=9.59)
を報告している。緻密なマッピング分析によってこの候補領域は、マーカーD18S
59およびD18S1138が隣接した7.6cMハプロタイプに限定されている(Youngら、前 掲)。しかしながら、マーカーD18S59はHKNG遺伝子内にある。この事実は、HKNG が網膜において高レベルで発現するという知見と組合せると、HKNG1遺伝子がヒ ト近視状態および/またはその他の眼関連疾患、例えば一次性近視、二次性黄斑
変性および網膜剥離などの原因でもあるということを強く示唆するものである。
【0369】 15. HKNG1 cDNA配列の未熟タンパク質産物 本節は、全長HKNG1 cDNAと選択的にスプライシングされたHKNG1-V1 cDNAの両 方によってコードされる2つの推定イニシエーターメチオニンのどちらが未熟HK
NG1タンパク質の合成に用いられるかを決定するために行った実験を記載する。 この結果は、両方のイニシエーターメチオニンが種々のレベルで使用されること
を示しており、3つの異なる形態の未熟HKNG1タンパク質(本明細書では未熟タ ンパク質形態1(IPF1)、未熟タンパク質形態2(IPF2)、および未熟タンパク質形態
3(IPF3)と称される)の産生がもたらされた。
【0370】 図1(配列番号1)に示した全長HKNG1 cDNA配列および図2(配列番号3)に示した選
択的にスプライシングされたHKNG1-V1 cDNA配列は、その予測したイニシエータ ーメチオニンの近傍にメチオニンを有する予測タンパク質をコードする。全長HK
NG1 cDNA配列によってコードされるこの予測タンパク質配列は、図1(配列番号2)
に示したアミノ酸配列のアミノ酸残基番号30の位置に第2のメチオニンを有する 。したがって、図1は、全長HKNG1 cDNAが図1に示したHKNG1タンパク質の第1の未
熟形態(本明細書ではIPF1と称される)をコードすることを示しているが、全長HK
NG1 cDNAはさらに第2の未熟タンパク質形態(本明細書ではIPF2と称される)もコ ードし得るものであり、その配列(配列番号64)は、図17に示したタンパク質アラ
インメントの第3列目に示されている。IPF2は、IPF1タンパク質配列のメチオニ ン30から開始され、Shimizu-Matsumotoら(1997, Invest. Ophthalmol. Vis. Sci
. 38:2576-2585)により教示されたRPPポリペプチド配列と同一である。同様に、
選択的にスプライシングされたHKNG1-V1 cDNA配列は、図2(配列番号4)に示した 予測未熟タンパク質形態(本明細書ではIPF3と称される)をコードする。しかしな
がら、HKNG1-V1 cDNAは、IPF3タンパク質配列のメチオニン12から開始される、I
PF2と同一の別の未熟タンパク質形態もコードし得る。図17に、3つの未熟HKNG1
タンパク質配列、IPF1(2段目)、IPF2(3段目)、およびIPF3(下段)のアラインメン
トを示す。上記の13節で説明したように、上記の11節に示したHKNG1構築物を発 現している細胞から分泌された成熟HKNG1遺伝子産物は、実際は、それを産生す る未熟HKNG1タンパク質にかかわらず、同一の切断産物(配列番号51)である。し たがって、成熟分泌HKNG1タンパク質のアラインメントも図17(上段)に示す。
【0371】 改変型HKNG1:flagおよびHKNG1-V1:flag発現ベクターはそれぞれ12.1節および1
2.2節に記載したようにして構築した。しかしながら、全長HKNG1のヌクレオチド
配列は、標準的な部位特異的突然変異誘発技術を用いて、上流メチオニン(すな わち、配列番号2のmet 1)と下流メチオニン(すなわち、配列番号2のmet 30)の間
にさらなる塩基対が導入されるように改変した。HKNG1-V1のヌクレオチド配列も
同様に、標準的な部位特異的突然変異誘発技術を用いて、その上流メチオニン( すなわち、配列番号4のmet 1)と下流メチオニン(すなわち、配列番号4のmet 12)
の間にさらなる塩基対が導入されるように改変した。よって、両方の改変型構築
物において、C-末端flagエピトープタグはもはや上流メチオニンと同一のリーデ
ィングフレームには存在せず、下流メチオニンを有するフレーム内にある。した
がって、構築物の第1のメチオニンにおける排他的な翻訳開始は、非flag免疫反 応性タンパク質の産生をもたらすだろう。しかしながら、構築物の第2メチオニ ンにおける排他的な翻訳開始は、flag免疫反応性タンパク質の産生をもたらすだ
ろう。
【0372】 非改変型HKNG1:flag、非改変型HKNG1-V1:flag、改変型HKNG1:flagおよび改変 型HKNG1-V1:flag構築物を細胞にトランスフェクトし、生じた遺伝子産物を採取 し、PVDF膜上にブロットし、M2抗flagポリクローナル抗体を用いてプローブし、
上記の12.1節および12.2節に記載の方法にしたがって展開した。
【0373】 flag免疫反応性は4つのサンプル全てで検出された。非改変型HKNG1:flagおよ
びHKNG1-V1:flag発現ベクターにより、上記の12.1節および12.2節で検出された レベルと一致した量の成熟分泌HKNG1:flagタンパク質が生じた。さらに、改変型
HKNG1:flag構築物について検出されたflag免疫反応性バンドの強度は、非改変型
HKNG1:flag構築物について検出されたバンドの強度と区別できなかったが、これ
は、全長HKNG1 cDNAによって産生された未熟HKNG1タンパク質は主としてIPF2で あり、一方IPF1は相対的に少ない量で全長HKNG1 cDNAにより産生されるというこ
とを示すものである。
【0374】 改変型HKNG1-V1:flag構築物のflag免疫反応性バンドは、非改変型HKNG1-V1:fl
ag構築物のバンドに比べて強度が劇的に低下していた。よって、HKNG1-V1は、未
熟HKNG1タンパク質IPF3を主に産生し、一方未熟HKNG1タンパク質IPF2は、相対的
に少ない量でHKNG1-V1によって産生される。これらの結果を下記の表6に要約す る。
【0375】
【表6】
【0376】 したがって、本発明のHKNG1遺伝子産物は、未熟タンパク質形態IPF1およびIPF
3に対応する遺伝子産物を含む。しかしながら、好ましくは、本発明のHKNG1遺伝
子産物はIPF2配列(配列番号64)からなるアミノ酸配列を含まない。
【0377】 16. 引用参考文献 本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態によって範囲が限定されるもの
ではない。そのような実施形態は、本発明の個々の態様の一つの説明を意図する
ものであり、機能的に等価な方法および構成要素は本発明の範囲に含まれる。実
際に、本明細書に示し且つ記載したものに加えて、本発明の種々の改変が前述の
説明および添付の図面から当業者には明らかになるだろう。
【0378】 本明細書中に挙げた刊行物、特許および特許出願は全て、個々の刊行物または
特許出願それぞれが、参照により組み込まれることが明確且つ個別に示されてい
るのと同程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A-1B。ヒトHKNG1 cDNAのヌクレオチド配列(配列番号1)を下の列に示す 。上の列はヒトHKNG1 cDNA配列によってコードされるヒトHKNG1ポリペプチドの 全長アミノ酸配列(配列番号2)を示す。配列番号2をコードするヌクレオチド
配列は、配列番号5に対応する。
【図2】 図2A-2B。HKGN1-V1と呼ばれる選択的にスプライシングされたヒトHKNG1 変異 型のヌクレオチド配列(配列番号3)を下の列に示す。この選択的にスプライシ
ングされたcDNA 変異型によってコードされるヒトHKNG1遺伝子産物の誘導された
アミノ酸配列(配列番号4)を上の列に示す。配列番号4をコードするヌクレオ
チド配列は、配列番号6に対応する。
【図3】 図3A-3R。ヒトHKNG1遺伝子のゲノム配列である(配列番号7)。エキソンを太
字で、また3’および5’UTR(非翻訳領域)を下線で示す。
【図4】 図4。正常なヒト脳組織におけるHKNG1 mRNA分布のin situハイブリダイゼーシ
ョン分析の要約である。
【図5】 図5A-B。HKNG1野生型配列と比較したHKNG1多型を示す。これらの多型は、米国
の民族が混ざり合った精神分裂病患者の集団(図5A)およびサンフランシスコBA
D集団(the San Francisco BAD collection)(図5B)から単離された。
【図6】 図6A-B。HKNG1-V2(図6A;配列番号36)およびHKNG1-V3(図6B;配列番号37)
のRT-PCR産物のヌクレオチド配列を示す。
【図7】 図7。モルモットHKNG1オーソログgphkng1815のcDNA配列(配列番号38)および
推定されるアミノ酸配列(配列番号39)を示す。
【図8】 図8。モルモットHKNG1オーソログgphkng1815の対立遺伝子変異型であるgphkng
7bのcDNA配列(配列番号40)および推定されるアミノ酸配列(配列番号41)を 示す。
【図9】 図9。モルモットHKNG1オーソログgphkng1815の対立遺伝子変異型であるgphkng
7cのcDNA配列(配列番号42)および推定されるアミノ酸配列(配列番号43)を 示す。
【図10】 図10。モルモットHKNG1オーソログgphkng1815の対立遺伝子変異型であるgphkn
g 7dのcDNA配列(配列番号44)および推定されるアミノ酸配列(配列番号45)を
示す。
【図11】 図11。ウシHKNG1オーソログの対立遺伝子変異型であるbhkng1のcDNA配列(配 列番号46)および推定されるアミノ酸配列(配列番号49)を示す。
【図12】 図12。ウシHKNG1オーソログの対立遺伝子変異型であるbhkng2のcDNA配列(配 列番号47)および推定されるアミノ酸配列(配列番号49)を示す。
【図13】 図13。ウシHKNG1オーソログの対立遺伝子変異型であるbhkng3のcDNA配列(配 列番号48)および推定されるアミノ酸配列(配列番号49)を示す。
【図14】 図14A-14B。gphkng1815 、gphkng 7b、gphkng 7cおよびgphkng 7dのモルモッ トHKNG1 cDNA 配列(配列番号14)および推定されるアミノ酸配列(配列番号14
)のアライメントを示す。
【図15】 図15。ウシHKNG1対立遺伝子変異型bhkng1、bhkng2、およびbhkng3のcDNA配列 のアライメントを示す。
【図16】 図16。ヒト(hkng aa)、ウシ(bhkng1 aa)およびモルモット(gphkng1815 aa)
HKNG1アミノ酸配列のアライメントを示す。
【図17】 図17。ヒトHKNG1タンパク質配列のアライメントを示す。最上列:成熟分泌HKN
G1タンパク質配列(配列番号51);第2列:未成熟HKNG1タンパク質形1(IPF1;
配列番号2);第3列:未成熟HKNG1タンパク質形2(IPF2; 配列番号64);最
下列:未成熟HKNG1タンパク質形3(IPF3; 配列番号4)。
【図18】 図18。ヒトHKNG1スプライス変異型HKNG1△7cDNAのヌクレオチド配列(配列番
号65)を下の列に示す。上の列は、ヒトHKNG1△7cDNA配列によってコードされ るヒトHKNG1△7ポリペプチドの全長アミノ酸配列(配列番号66)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/19 4H045 1/21 1/21 5/10 C12P 21/06 15/01 C12Q 1/68 A 15/09 ZNA C12N 5/00 A C12P 21/06 15/00 X C12Q 1/68 ZNAA (31)優先権主張番号 60/106,056 (32)優先日 平成10年10月28日(1998.10.28) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 09/236,134 (32)優先日 平成11年1月22日(1999.1.22) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (72)発明者 チェン、ホン アメリカ合衆国 02146 マサチューセッ ツ州、ブルックリン、アスピンワル アベ ニュー ナンバー2 46 (72)発明者 フレイマー、ネルソン、ビー. アメリカ合衆国 94131 カリフォルニア 州、サンフランシスコ、29ティーエイチ ストリート 630 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA03 CA04 DA03 EA04 FA18 GA13 GA18 HA14 HA15 4B063 QA01 QA07 QA08 QA18 QA19 QQ08 QQ61 QQ79 QR02 QR33 QR48 QR51 QR56 QR58 QR60 QR77 QR80 QS05 QS16 QS33 QS36 QX02 4B064 AG01 AG26 AG27 CA10 CA19 CA20 CC24 CE06 CE12 DA01 DA13 4B065 AA93X AA93Y AB01 BA05 BD17 CA24 CA46 4C084 AA07 AA17 NA14 ZA181 ZC781 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 BA41 CA40 CA45 DA75 DA76 EA50 FA74 GA10 GA26 【要約の続き】

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、または (h)配列番号66のアミノ酸配列 を含むHKNG1遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸 分子。
  2. 【請求項2】 上記単離された核酸分子が、 (a)配列番号1のヌクレオチド配列、 (b)配列番号3のヌクレオチド配列、 (c)配列番号7のヌクレオチド配列、 (d)配列番号34のヌクレオチド配列、または (e)配列番号35のヌクレオチド配列 を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 上記単離された核酸分子が、 (a)配列番号38のヌクレオチド配列、 (b)配列番号40のヌクレオチド配列、 (c)配列番号42のヌクレオチド配列、または (d)配列番号44のヌクレオチド配列 を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 上記単離された核酸分子が、 (a)配列番号46のヌクレオチド配列、 (b)配列番号47のヌクレオチド配列、または (c)配列番号48のヌクレオチド配列 を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 配列番号51のアミノ酸配列を有する成熟HKNG1タンパク質 をコードするヌクレオチド配列からなる単離された核酸分子。
  6. 【請求項6】 0.1×SSC/0.1% SDS中、68℃における洗浄を含む、高度にス
    トリンジェントな条件下で請求項1から5のいずれか1項に記載の核酸分子の相
    補体(complement)にハイブリダイズする、単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 0.2×SSC/0.1% SDS中、50-65℃における洗浄を含む、スト リンジェントな条件下で請求項1から5のいずれか1項に記載の核酸分子の相補
    体にハイブリダイズする、単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 上記単離された核酸分子が機能的に等価なHKNG1遺伝子産物 をコードする、請求項6または7に記載の単離された核酸分子。
  9. 【請求項9】 請求項1から5のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を
    含有するベクター。
  10. 【請求項10】 宿主細胞における請求項1から5のいずれか1項に記載の
    ヌクレオチド配列の発現を制御する調節性ヌクレオチド配列と機能的に連結した
    該ヌクレオチド配列を含有する発現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項1から5のいずれか1項に記載のヌクレオチド配列
    を含有するように遺伝子操作された宿主細胞。
  12. 【請求項12】 宿主細胞における請求項1から5のいずれか1項に記載の
    ヌクレオチド配列の発現を制御する調節性ヌクレオチド配列と機能的に連結した
    該ヌクレオチド配列を発現するように遺伝子操作された該宿主細胞。
  13. 【請求項13】 (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、または (h)配列番号66のアミノ酸配列 を有するHKNG1遺伝子産物のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 配列番号51のアミノ酸配列を有する成熟HKNG1遺伝子産 物からなる単離されたポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項6または7に記載の単離された核酸分子によってコ
    ードされるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 請求項13または14に記載のHKNG1遺伝子産物に選択的 に結合する抗体。
  17. 【請求項17】 個体におけるHKNG1遺伝子の発現をモジュレートする化合 物を個体に投与することを含む、該個体におけるHKNG1仲介型障害を治療する方 法。
  18. 【請求項18】 上記化合物が、個体におけるHKNG1遺伝子の発現を阻害ま たは増強するものであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 上記化合物が小分子であることを特徴とする、請求項17
    に記載の方法。
  20. 【請求項20】 HKNG1仲介型障害が神経精神医学的障害であることを特徴 とする、請求項17に記載の方法。
  21. 【請求項21】 上記神経精神医学的障害が双極性情動障害または精神分裂
    病であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
  22. 【請求項22】 上記HKNG1遺伝子が、 (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、 (h)配列番号51のアミノ酸配列、 (i)配列番号64のアミノ酸配列、または (j)配列番号66のアミノ酸配列 を含むHKNG1遺伝子産物をコードすることを特徴とする、請求項17に記載の方 法。
  23. 【請求項23】 上記個体が哺乳動物であることを特徴とする、請求項17
    に記載の方法。
  24. 【請求項24】 上記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項23
    に記載の方法。
  25. 【請求項25】 個体におけるHKNG1遺伝子産物の発現または活性をモジュ レートする化合物を個体に投与することを含む、該個体におけるHKNG1仲介型障 害を治療する方法。
  26. 【請求項26】 上記化合物が、個体におけるHKNG1遺伝子産物の発現また は活性を阻害または増強するものであることを特徴とする、請求項25に記載の
    方法。
  27. 【請求項27】 上記化合物が小分子であることを特徴とする、請求項25
    に記載の方法。
  28. 【請求項28】 上記HKNG1仲介型障害が神経精神医学的障害であることを 特徴とする、請求項25に記載の方法。
  29. 【請求項29】 上記神経精神医学的障害が双極性情動障害または精神分裂
    病であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 上記HKNG1遺伝子産物が (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、 (h)配列番号51のアミノ酸配列、 (i)配列番号64のアミノ酸配列、または (j)配列番号66のアミノ酸配列 を含む、請求項25に記載の方法。
  31. 【請求項31】 上記個体が哺乳動物であることを特徴とする、請求項25
    に記載の方法。
  32. 【請求項32】 上記哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項31
    に記載の方法。
  33. 【請求項33】 HKNG1遺伝子の発現をモジュレートする化合物を同定する 方法であって、 (a)HKNG1遺伝子を発現する細胞に試験化合物を接触させ、 (b)該細胞におけるHKNG1遺伝子発現のレベルを測定し、 (c)該試験化合物の存在下における該細胞のHKNG1遺伝子発現レベルを、該試 験化合物の不存在下における該細胞のHKNG1遺伝子発現レベルと比較する、 ことを含み、該試験化合物の存在下における該細胞のHKNG1遺伝子発現レベルが 該試験化合物の不存在下における該細胞のHKNG1遺伝子発現レベルと異なる場合 に、HKNG1遺伝子の発現をモジュレートする化合物を同定することを特徴とする 、上記方法。
  34. 【請求項34】 上記HKNG1遺伝子が、 (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、 (h)配列番号51のアミノ酸配列、 (i)配列番号64のアミノ酸配列、または (j)配列番号66のアミノ酸配列 を含むHKNG1遺伝子産物をコードすることを特徴とする、請求項33に記載の方 法。
  35. 【請求項35】 上記HKNG1遺伝子が (a)配列番号1のヌクレオチド配列、 (b)配列番号3のヌクレオチド配列、 (c)配列番号5のヌクレオチド配列、 (d)配列番号6のヌクレオチド配列、 (e)配列番号34のヌクレオチド配列、 (f)配列番号35のヌクレオチド配列、 (g)配列番号38のヌクレオチド配列、 (h)配列番号40のヌクレオチド配列、 (i)配列番号42のヌクレオチド配列、 (j)配列番号44のヌクレオチド配列、 (k)配列番号46のヌクレオチド配列、 (l)配列番号47のヌクレオチド配列、 (m)配列番号48のヌクレオチド配列、または (n)配列番号65のヌクレオチド配列 を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 HKNG1遺伝子産物の発現または活性をモジュレートする化 合物を同定する方法であって、 (a)HKNG1遺伝子産物を発現する細胞に試験化合物を接触させ、 (b)該細胞におけるHKNG1遺伝子産物の発現または活性のレベルを測定し、 (c)該試験化合物の存在下における該細胞のHKNG1遺伝子産物の発現または活 性のレベルを、該試験化合物の不存在下における該細胞のHKNG1遺伝子産物の発 現または活性のレベルと比較する、 ことを含み、該試験化合物の存在下における該細胞のHKNG1遺伝子産物の発現ま たは活性のレベルが該試験化合物の不存在下における該細胞のHKNG1遺伝子産物 の発現または活性のレベルと異なる場合に、HKNG1遺伝子産物の発現または活性 をモジュレートする化合物を同定することを特徴とする、上記方法。
  37. 【請求項37】 上記HKNG1遺伝子産物が、 (a)配列番号2のアミノ酸配列、 (b)配列番号4のアミノ酸配列、 (c)配列番号39のアミノ酸配列、 (d)配列番号41のアミノ酸配列、 (e)配列番号43のアミノ酸配列、 (f)配列番号45のアミノ酸配列、 (g)配列番号49のアミノ酸配列、 (h)配列番号51のアミノ酸配列、または (i)配列番号64のアミノ酸配列 を含む、請求項36に記載の方法。
  38. 【請求項38】 HKNG1仲介型障害に関連するHKNG1対立遺伝子と相関する多
    型の存在または不存在を検出する段階を含む、該障害を有するか、またはその発
    症のおそれのある個体を同定する方法であって、該多型の存在によって、該個体
    がHKNG1仲介型障害を有するか、またはその発症のおそれがあることが示される 、上記方法。
  39. 【請求項39】 突然変異によって、配列番号2または4のアミノ酸配列と
    異なるアミノ酸配列を含むタンパク質の産生が生じる、請求項38に記載の方法
  40. 【請求項40】 突然変異によって、配列番号2のアミノ酸残基202におい てグルタミン酸のリシンへの置換が生じる、請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 突然変異によって、配列番号4のアミノ酸残基184におい てグルタミン酸のリシンへの置換が生じる、請求項39に記載の方法。
  42. 【請求項42】 配列番号2に示されるポリペプチド配列をコードするヌク
    レオチド配列の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を
    含むcDNAを調製し、配列決定することによって、ヒトHKNG1遺伝子のコード領域 の配列を解析する段階を含むことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
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