JP2002301081A - 超音波振動子駆動モータとそのモータを使用した超音波診断装置 - Google Patents

超音波振動子駆動モータとそのモータを使用した超音波診断装置

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JP2002301081A
JP2002301081A JP2001108171A JP2001108171A JP2002301081A JP 2002301081 A JP2002301081 A JP 2002301081A JP 2001108171 A JP2001108171 A JP 2001108171A JP 2001108171 A JP2001108171 A JP 2001108171A JP 2002301081 A JP2002301081 A JP 2002301081A
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JP
Japan
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ultrasonic
transformer
drive motor
signal
rotor
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Application number
JP2001108171A
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English (en)
Inventor
Hiroyoshi Toyoshima
弘祥 豊島
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウインドウケース内に超音波振動子搭載の駆
動モータを内蔵し、非接触信号手段がロータリトランス
である診断装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 超音波振動子の非接触信号手段がロータ
リトランスで構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波振動子駆動
モータとそれを使用した超音波診断装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】生体を対象とした超音波診断装置などに
用いる超音波プローブとしては、大別してリニア走査方
式とセクタ走査方式とがあり、セクタ走査方式には、主
として電子セクタ走査方式とメカニカルセクタ走査方式
とがある。このメカニカルセクタ走査型超音波プローブ
としては、医歯薬出版株式会社発行「超音波検査入門
(第2版)」54頁に記載された種類と方法が知られて
いる。また、このメカニカルセクタ走査型超音波プロー
ブとしては、(社)日本電子機械工業会編『改訂医用超
音波機器ハンドブック』(1997.1.20コロナ社
発行)91頁の表3.11にも記載されている。
【0003】従来、超音波プローブ(超音波探触子、超
音波診断用プローブともいう)は、たとえば、特開平7
−289550号公報や特開平9−28706号公報、
特開平9−168538号公報に記載されたもの等が知
られている。
【0004】特開平7−289550号公報に開示され
ている超音波プローブは、超音波振動子を超音波プロー
ブのケーブル軸(長手方向)方向に向かうように取り付
けることで、超音波ビームはケーブル軸方向に発射され
る。その超音波振動子に対向して音響ミラーを設けた超
音波送受信部と超音波振動子の取付台が一体で形成さ
れ、その超音波振動子の取付台に連結されたシャフトを
回転駆動する駆動モータがプローブに構成されている。
その取付台に連結されたシャフトは駆動モータの回転軸
でもある。駆動モータの回転によって、超音波送受信部
はシャフトを中心に回転し、超音波振動子のビームは音
響ミラーで反射されるので、超音波振動子の回転軸に対
して反射された面でのビーム軌跡面となる。音響ミラー
は45度の傾斜をもっているので、超音波ビーム軌跡面
はケーブル軸に対して直交している。細径の超音波プロ
ーブではケーブル軸に対して超音波ビーム軌跡面は直交
している従来装置がほとんどである。
【0005】駆動モータが超音波振動子に比べてハンド
ル部近傍側に構成されているために、シャフトで超音波
振動子の取付台を回転させるために回転軸に対して軸変
換の音響ミラーが必要であるうえに、ビーム軌跡面は超
音波プローブのハンドル軸方向に対して垂直な面である
超音波断層画像となっている。
【0006】駆動モータには直接超音波振動子は取り付
けられていなくて、駆動モータの軸の先の方にはロータ
リトランスが形成され、さらにその先に超音波振動子は
取り付けられている。ロータリトランスは銅箔をロール
状巻にして作成されているので、チャンネル数は1であ
る。1個の超音波振動子を駆動する超音波プローブであ
る。
【0007】特開平7−289550号公報に記載され
た超音波診断装置は2次元超音波断層画像が得られる
が、ハンドル部近傍の伝達機構部と先端部の駆動機構部
が複雑なものとなり、超音波画像の位置精度を向上させ
るのは十分でない。しかし、この超音波プローブは超音
波振動子と駆動動力部がシャフトで連結されていて、連
結がこじれやすいので、動力を駆動するためにも損失が
多くなるために駆動動力部が大きくなり、細径プローブ
であってもプローブ重量が重くなり診断作業性が低下す
るなどの課題がある。また、超音波媒体の封止容積が大
きくなるなど課題があった。
【0008】また、特開平9−58706号公報や特開
平9−168538号公報に開示されている超音波プロ
ーブはプローブ先端であって、中空の回転伝達部材の先
端部に超音波振動子を取り付けた構成で、その回転伝達
部材を手元部の駆動装置(駆動モータ)で回転駆動させ
る。超音波振動子の信号線は中空の回転伝達部材の中を
通して、手元操作部までもってきてロータリトランスで
信号伝達を行う構成である。従来例のように超音波振動
子とロータリトランス間が長く、さらに駆動モータは手
元操作部に構成されていて、プローブの先端部にはモー
タは存在していない。ロータリトランスのロータ側トラ
ンスは駆動装置のロータには接続されるのではなくて、
回転駆動軸に取り付けられている。
【0009】超音波振動子は円筒状のウインドウケース
の円筒部に面を向けて形成されているので、駆動モータ
の回転によって、超音波振動子のビームは回転軸に対し
た面でのビーム軌跡面となる。超音波ビーム軌跡面はケ
ーブル軸に対して直交している。
【0010】特開平9−58706号公報ではノイズの
低減のためにロータリトランスのロータ側トランスとス
テータ側トランスの間に絶縁性膜を介在させている。
【0011】特開平9−168538号公報ではノイズ
の低減のためにロータリトランスのロータ側トランスと
ステータ側トランスの間に静電シールド層を介在させて
いる。
【0012】超音波振動子の場合は使用周波数が高いた
めに、ロータリトランス部品でノイズ対策をするより
も、装置が組立やすく、ギャップが局部的に狭くなって
もロータリトランスが直接接触しないようにして、液中
でのゴミなどの発生を防止して、ロータリトランス寿命
を向上させることを重点においた超音波プローブがあ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のメカニカルセクタ走査型超音波プローブは2次元
の超音波断層画像が得られるものである。超音波振動子
のビーム軌跡面は駆動モータの回転軸に対して直交して
いるが、ケーブル軸にも直交している。そのために得ら
れる超音波画像は超音波プローブの円筒部のラジアル方
向面となり、ケーブル軸と平行な診断画像が得られな
い。
【0014】さらに、従来例の2次元断層画像は超音波
振動子のビーム軌跡面は超音波プローブのハンドル軸に
対して垂直な面であり、ハンドル軸に対して平行なビー
ム軌跡面でないために産婦人科や泌尿科など使用する体
腔内走査には十分な診断ができないなどの課題がある。
【0015】さらに、駆動モータは軸回転タイプであっ
て、駆動モータの本体から少し離れたシャフトの先端部
に取り付けられている。そのロータリトランスからは場
合によってはかなり離れた手元操作部に構成されるの
で、超音波振動子間までのリード線は長く引き回すこと
になり、ノイズを受けやすい。したがって、駆動モー
タ、超音波振動子、ロータリトランスを近くに構成し
て、ノイズを受けないようにする必要がある。
【0016】しかしコンパクトに2次元機構化するため
には、駆動モータと超音波振動子の位置関係で、駆動モ
ータの内部軸の範囲内に超音波振動子を構成するように
する必要があるが、従来例では超音波振動子は駆動モー
タの内部軸の範囲外に構成されているので、非常に大き
な超音波プローブとなり、実用上使用できないものとな
っている。
【0017】コンパクトに2次元機構化するためには、 (1)駆動モータと超音波振動子の位置関係で、駆動モ
ータの内部軸の範囲内に超音波振動子を構成する機構に
する必要がある。 (2)駆動モータ、超音波振動子、ロータリトランスを
ウインドウケース内に内包する。
【0018】超音波診断装置の場合使用する周波数が高
いので、密着巻になるのでその周波数に適したコイルの
巻状態が形成できず、コイル間に生じる浮游容量が多く
なり伝達特性が悪化するので、コイル配置を考慮してト
ランスのコイル溝に配置する必要がある。
【0019】数チャンネルのロータリトランスの場合は
チャンネル間のノイズ問題があり、ロータリトランスの
磁気回路で検討して、他チャンネルへの漏洩磁束を少な
くする必要がある。
【0020】本発明は、上記従来の問題を解決するため
になされたもので、超音波走査を2次元的に確保するこ
とができ、小型、軽量である走査可能な超音波振動子駆
動モータとそれを使用した2次元走査超音波診断装置を
提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 (1)超音波振動子のビーム軌跡面を超音波プローブの
長手方向に平行な面に形成できるように駆動モータの駆
動軸をハンドル軸に対して垂直になるように構成する。 (2)コンパクトに2次元機構化するため、超音波伝播
媒質を内包しウインドウケース内に、駆動モータと超音
波振動子とロータリトランスを構成させる。 (3)コンパクトに2次元機構化するため、駆動モータ
の駆動軸のロータ範囲内にビーム面を構成する。駆動モ
ータのロータケースに超音波振動子を取り付ける。 (4)コイル間の浮游容量を低減するために、トランス
表面に同心円上にコイル溝が形成され、このコイル溝に
はコイルを隙間をもって等間隔に配置させる。 (5)クロストークを低減するために、2本のコイル溝
の間のトランス表面側に凹溝を設けた。 (6)クロストークを低減するために、2本のコイル溝
の間のトランス表面側に凹溝を設け、凹溝にショートコ
イルを配置する。 (7)クロストークを低減するために、2本のコイル溝
の間のトランス裏面側に凹溝を設ける。
【0022】本発明による電子−機械走査式の2次元走
査用超音波振動子駆動モータによって、超音波伝播媒質
を内包しウインドウケース内に、駆動モータの駆動軸と
超音波振動子の回転軸を同一軸で構成した超音波振動子
駆動モータを構成させ、機構部を小型軽量させ、超音波
伝播媒質の封止範囲を狭くでき、全体的な超音波プロー
ブの重量を軽くできるうえに、駆動モータの駆動軸と超
音波振動子の回転軸が同一軸であるので、駆動モータの
位置情報が超音波振動子の位置情報に採用でき、精度の
よい装置であり、ハンドル軸に対して平行なビーム軌跡
面で画質のよい超音波断層画像が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、超音波透過性を有する窓材からなるウインドウケー
スを具備し、超音波振動子と上記超音波振動子を駆動さ
せる駆動モータとを超音波伝播媒質でウインドウケース
内に内包した超音波プローブにおいて、超音波振動子を
駆動モータのロータフレームの外周部に取り付け、前記
駆動モータの駆動軸を中心に超音波振動子を回転させ、
超音波プローブの長手方向に直交するように駆動モータ
の駆動軸が超音波プローブのウインドウケース内に構成
され、前記超音波プローブの長手方向と平行に超音波振
動子の超音波ビームの軌跡面が構成され、回転側の超音
波振動子との信号伝達手段としてロータリトランスを用
いたことを特徴とする超音波振動子駆動モータとしたも
のであり、電子−機械走査式の2次元走査用超音波振動
子駆動モータによって、超音波伝播媒質を内包しウイン
ドウケース内に、駆動モータの駆動軸と超音波振動子の
回転軸を同一軸で構成した超音波振動子駆動モータを構
成させ、機構部を小型軽量にして、超音波伝播媒質の封
止範囲を狭くでき、全体的な超音波プローブの重量を軽
くできるうえに、駆動モータの駆動軸と超音波振動子の
回転軸が同一軸であるので、駆動モータの位置情報が超
音波振動子の位置情報に採用でき、精度のよい装置であ
り、ケーブル軸に対して平行なビーム軌跡面を得ること
ができるという作用を有する。
【0024】請求項2に記載の発明は、回転側の超音波
振動子との信号伝達手段としてのロータリトランスは円
板型であって、同心円上にコイル溝が形成され、このコ
イル溝にはコイルが隙間をもって等間隔に配置されたこ
とを特徴とする請求項1に記載の超音波振動子駆動モー
タとしたものであり、コイル密着状態での浮遊容量の増
加にともなう伝達特性の低下がなくなり、超音波診断装
置などの高い周波数の場合コイル間に隙間を設けること
で、共振周波数を上げることができ、伝達特性を低下さ
せないロータリトランスができるという作用を有する。
【0025】請求項3に記載の発明は、ロータケースに
取り付けられた超音波振動子は2つであって、回転側の
超音波振動子との信号伝達手段としてのロータリトラン
スは円板型であって、同心円上に信号用のコイル溝が2
本形成され、この2本のコイル溝の間のトランス表面側
に凹溝を設けたことを特徴する請求項1に記載の超音波
振動子駆動モータとしたものであり、中間の溝によって
磁気抵抗を増やすことができるために、主の磁束に影響
をほとんど及ぼさずに漏れ磁束の磁気回路の磁気抵抗を
増すことができる。そのために漏洩磁束が低減されるの
で、クロストークが低減できるという作用を有する。
【0026】請求項4に記載の発明は、ロータケースに
取り付けられた超音波振動子は2つであって、回転側の
超音波振動子との信号伝達手段としてのロータリトラン
スは円板型であって、同心円上に信号用のコイル溝が2
本形成され、この2本のコイル溝の間のトランス表面側
に凹溝を設け、凹溝にショートコイルを配置したことを
特徴とする請求項1に記載の超音波振動子駆動モータと
したものであり、中間の溝によって漏れ磁束の磁気抵抗
を増やすことができるうえに、その溝にショ−トリング
コイルを配置することで、さらに漏れ磁束の磁気抵抗が
増すことになる。主の磁束に影響をほとんど及ぼさずに
漏れ磁束の磁気回路の磁気抵抗を増すことができる。そ
のために漏洩磁束が低減されるので、クロストークが低
減できるという作用を有する。
【0027】請求項5に記載の発明は、ロータケースに
取り付けられた超音波振動子は2つであって、回転側の
超音波振動子との信号伝達手段としてのロータリトラン
スは円板型であって、同心円上に信号用のコイル溝が2
本形成され、この2本のコイル溝の間のトランス裏面側
に凹溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載の超音
波振動子駆動モータとしたものであり、トランスの裏面
の凹溝によって、チャンネル間の漏れの磁気抵抗を増や
すことができるために、そのために漏洩磁束が低減され
るので、クロストークが低減できるという作用を有す
る。
【0028】請求項6に記載の発明は、請求項1から請
求項5のいずれか1項に記載の超音波振動子駆動モータ
を備えた超音波診断装置というものであり、電子−機械
走査式の2次元走査用超音波振動子駆動モータによっ
て、超音波伝播媒質を内包しウインドウケース内に、駆
動モータの駆動軸と超音波振動子の回転軸を同一軸で構
成した超音波振動子駆動モータを構成させ、機構部を小
型軽量にして、超音波伝播媒質の封止範囲を狭くでき、
全体的な超音波プローブの重量を軽くできるうえに、駆
動モータの駆動軸と超音波振動子の回転軸が同一軸であ
るので、駆動モータの位置情報が超音波振動子の位置情
報に採用でき、精度のよい装置であり、ケーブル軸に対
して平行なビーム軌跡面で画質のよい超音波断層画像を
得ることができるという作用を有する。
【0029】
【実施例】以下本発明の実施例について、図面を参照し
て説明する。
【0030】(実施例1)図1は本発明の一実施例にお
けるメカニカルセクタ走査型超音波プローブを使用した
超音波診断装置の全体を示す概略ブロック図である。
【0031】実施例の超音波診断装置は超音波プローブ
と本体システム部から構成される。超音波プローブの先
端には超音波振動子1、2を回転駆動させる駆動モータ
3が構成されている。その駆動モータには超音波振動子
とともに回転する駆動ロータ4が構成され、駆動ロータ
4を支持するベース5(ベースハウジングやハウジング
ともいう)が内蔵され、超音波プローブのハンドル部6
には駆動モータの位置検出信号の中継調整基板7と超音
波伝播媒質の容積調整機構8とが構成されている。
【0032】超音波振動子1、2は駆動ロータ4の回転
部の外周部に取り付けられている。そのため超音波振動
子1、2の回転軸と駆動モータ3の駆動軸とは同一の軸
となる。駆動軸に対して超音波振動子1、2のビームは
ラジアル方向に放射させる。その駆動ロータ4が回転す
ることで超音波振動子1、2のビーム軌跡は面を形成
し、その軌跡面は駆動軸に対して直交した面となる。
【0033】駆動ロータ4の回転位置情報を知ること
は、駆動ロータ4に取り付けられた超音波振動子1、2
の位置情報を知ることになる。駆動ロータ4の回転位置
は1回転の基準となる基準位置手段と相対位置情報手段
を併用して駆動ロータ4の回転位置情報を知ることがで
きる。基準位置手段として磁性材のピン9(Z相ピンと
もいう)とMR素子10(Z相MR素子ともいう)で構
成されていて、そのMR素子10はZ相MR素子として
他のMR素子と区別している。Z相MR素子10では磁
性材のピン9が1つであるために、Z相MR素子10で
は駆動ロータ4の1回転に1パルスの信号が検出でき
る。そのために駆動ロータ4の基準位置を知ることがで
きる。そのZ相MR信号は信号レベルが小さいので、ノ
イズを受けないためモータの近くの中継アンプ基板11
で信号増幅されて、プローブ先端からハンドル部6へ引
き回される。
【0034】相対位置情報手段として磁気式エンコーダ
12が組み込まれ、その磁気式エンコーダ12は駆動ロ
ータ4側にエンコーダマグネット13とベース5側にM
R素子14(AB相MR素子ともいう)で構成されてい
る。MR素子14はAB相MR素子として別のMR素子
と区別される。AB相MR素子14はA相、B相の2チ
ャンネルの信号が得られるMR素子であって、A相とB
相の位相差は90度のものである。A相とB相との位相
差が90度であるために駆動ロータ4の回転方向をその
位相差から求めることができる。エンコーダマグネット
13の外周には多極の磁極が着磁されていて、その磁極
数に相当した数の信号をAB相MR素子14から得る。
たとえば、エンコーダマグネット13は300極の磁極
であるので、AB相MR信号も300パルスとなるの
で、駆動モータの位置情報としては1回転あたり300
の分解精度の信号が得られる。エンコーダマグネット1
3は回転着磁がなされているために、磁極間の角度精度
は非常に高い。そのAB相信号もモータの近傍の中継ア
ンプ基板11で一旦増幅して、さらに正弦波波形の信号
を矩形波処理する中継調整基板7に配線し、長い配線処
理をして超音波診断装置本体まで接続される。
【0035】この駆動モータ3は回転数300r/mi
nから1800r/minまで数段階に切り換えて回転
駆動する。たとえば、エンコーダマグネット13が30
0極の磁極である場合、AB相MR信号もそれぞれ30
0パルスとなるので、そのままのパルス数でも使用でき
るが、超音波振動子1、2の回転角度位置の分解精度を
上げるために、A相B相を4逓倍すれば、1回転あたり
1200パルスとなり、元信号に比べて4倍の分解精度
となる。その駆動モータ3の駆動軸と超音波振動子の回
転軸が同一軸であるので、ばらつきもなく回転角度精度
の良好なものとなり、画像もその信号をトリガーに使用
する場合はかなり画質の良い超音波診断画像となる。
【0036】超音波振動子1、2からの信号を駆動モー
タ3の外部に取り出すためにロータリトランス15が構
成されている。ロータリトランス15はロータ側トラン
ス16とステータ側トランス17で構成され、ロータ側
トランス16は駆動ロータ4側のロータ端部に構成さ
れ、ロータ側トランス16の信号線は超音波振動子1、
2に接続される。ステータ側トランス17はベース5側
に固定され、ステータ側トランス17の信号線は本体の
回路側へ接続される。ロータリトランス15は信号を非
接触で伝達することができるので、接触型のスリップリ
ングに比べて駆動モータに作用する負荷が非常に小さい
ために、小型駆動モータの場合には使用されることが多
い。
【0037】超音波振動子1(または2)から放射した
超音波は超音波振動子1(または2)の中央に放射状に
進み生体組織内に入射する。組織内に入射した超音波の
一部は組織内において反射した後、前記超音波振動子1
(または2)で受信され電気信号に変換されて、ロータ
リトランス15を通って駆動モータの外部に取り出され
て、システム本体内の増幅器に送られる。
【0038】超音波振動子1、2からの信号の周波数特
性がそれぞれ異なるように構成されていて、周波数の高
い方の超音波振動子を高周波振動子、周波数の低い方を
低周波振動子といって区別する。
【0039】駆動ロータ4を支承するベース5はプロー
ブ本体の取付台に固定されている。またベース5には駆
動ロータ4を支承する支持部とプローブ本体の取付台に
固定される支持部から構成された、一体部材もので形成
されている。ベース剛性を高めて、駆動モータの支持剛
性を強くしている。
【0040】駆動ロータ4とベース5と中継アンプ基板
11は超音波プローブの先端部に構成されていて、全体
が超音波透過性を有する窓材からなるウインドウケース
18内の超音波伝播媒質に内包されている。ウインドウ
ケース18内の超音波伝播媒質は気泡が含まれないよう
に減圧して、脱気したうえで、封止される。封止された
超音波伝播媒質が環境によって膨張したりしても、媒質
の圧力が緩和されるように超音波伝播媒質の容積調整機
構8が設けられている。この超音波伝播媒質の容積調整
機構8はゴム系の弾力性のある袋で構成されている。そ
の容積調整機構8と中継調整基板7は超音波プローブの
ハンドル部6に構成されている。
【0041】次にシステム本体37(本体装置)内の送
受信回路部分について説明する。駆動モータ3を駆動す
るための駆動回路36はシステム本体37内に構成され
ている。超音波振動子の周波数特性の異なる2つの振動
子に対して、高周波用と低周波用と信号線が異なる。図
1では、異なった信号線で記載してあるが、超音波振動
子1、2を説明する都合上、高周波振動子を超音波振動
子1とし、低周波振動子を超音波振動子2であるとす
る。
【0042】超音波を生体内に送信する場合には、まず
パルス発生器19によって超音波パルスの繰り返し周期
を決定するレートパルスが出力され、超音波周波数の決
まったパルス振動子駆動回路20に送られる。この振動
子駆動回路20では周波数に相当する超音波振動子に駆
動信号を周波数に相当した方のロータリトランス15を
介して、相当した超音波振動子1(または2)に供給駆
動されて超音波を発生するため駆動パルスが形成され
る。その駆動パルスによって超音波振動子1(または
2)から生体内に放射される。
【0043】高周波用送信信号の場合は高周波振動子1
から、低周波用送信信号の場合は低周波振動子2から生
体内に放射された超音波は生体内組織にて反射される。
その反射超音波を超音波エコーという。送信時に用いた
超音波振動子1(または2)によって受信され、この超
音波エコーの反射強度に相当な微弱な受信信号はシステ
ム本体37内の増幅器(高周波の場合は増幅器21a、
低周波の場合は増幅器21b)にて増幅されたのちBモ
ード用信号処理回路に送られる。Bモード信号処理回路
において振動子出力は対数増幅器(高周波の場合は対数
増幅器22a、低周波の場合は対数増幅器22b)で対
数圧縮し、包絡線検波用の検波回路(高周波の場合は検
波回路23a、低周波の場合は検波回路23b)にて検
波され、ゲイン補正用のゲイン設定器(高周波の場合は
ゲイン設定器24a、低周波の場合はゲイン設定器24
b)をゲイン制御用コントローラ25で制御されてゲイ
ン補正され、合成回路26で信号合成されて、A/D変
換器27にてA/D変換され、高速画像DSP28で画
像処理される。DSP28で処理された座像は一旦画像
メモリ29にストアされる。駆動時の複数の画像も画像
メモリ29にストアされ、高速画像DSP28を用いて
信号処理され、その信号をデジタル・スキャン・コンバ
ータ(DSC)30を介してTV走査用フォーマットに
対応した画像データに変換され、テレビモニタ31にて
2次元超音波断層画像として表示される。本体装置37
には、装置全体の回路を統括するホストCPU32があ
り、画像データやメモリや駆動モータの駆動回路などを
総合的に監視、処理命令などしている。ホストCPU3
2は本体装置への外部入力操作にともなう入力による、
プローブとしての処理を統括していることになる。
【0044】図2に超音波プローブの外観斜視図を示
す。図2において、6はハンドル部を示し、中継調整基
板が内蔵されている。33は超音波プローブの先端部で
あり、超音波透過性を有する窓材からなるウインドウケ
ース18が先端に取り付けられていて、その超音波プロ
ーブの先端部33は駆動モータと超音波振動子などが内
蔵されている。超音波プローブはケーブル34の先に構
成されたコネクタ35でシステム本体に接続されてい
る。先端部33は体腔内に挿入しやすいように円筒形状
のなめらかな流線形状をしている。このケーブル34
は、超音波振動子と超音波診断装置本体とを接続する入
出力線(I/O線)と駆動モータを駆動制御するための
電気制御線とエンコーダなどの信号線と衝撃検出用の信
号線などを超音波診断装置本体と接続するケーブル34
であって、被覆により保護され、かつシールドが施され
ている。ケーブル34は超音波振動子側と超音波診断装
置本体側の両端で接地されている。図2ではケーブル3
4は長いので、途中省略して表現している。
【0045】図3、図4は本実施例におけるヘキサ巻の
円筒形状の巻線を使用したスロットレスのコア付きモー
タの断面図である。このスロットレスのコア付きモータ
はサーボ制御のブラシレスモータであって、センサレス
駆動タイプのアウターロータ回転タイプある。この実施
例のモータは超音波振動子駆動モータであって、超音波
診断装置のプローブ先端の部に搭載のモータ例である。
説明のために図3、図4にはウインドウケース18やハ
ンドル部6などケーシング類は省略してある。
【0046】図3、図4においてそのコア38は固定側
であって、駆動マグネット39の付いているロータフレ
ーム40が回転側である。ロータフレーム40は小判形
状をしていて、内側には半円状の駆動マグネット39が
2個対向して取り付けられている。ロータフレーム40
の小判形状でフラットになった外周面には超音波振動子
41、42(図1の符号1、2に該当する)が取り付け
られている。そのためロータフレーム40がシャフト4
3(駆動軸ともいう)を中心に回転すると、そのロータ
フレーム40に搭載の超音波振動子41、42もシャフ
ト43を中心に回転する。ロータフレーム40は軸受4
4、45で回転支承されている。軸受44はロータフレ
ーム40に設けられた軸受ボス部46に取り付けられて
いる。もう一方の軸受45はロータ側板47に取り付け
られ、そのロータ側板47はロータフレーム40に嵌合
挿入して装着される。
【0047】モータを制御するために、ロータ側板47
にはエンコーダマグネット13が取り付けられていて、
エンコーダマグネット13表面に多数の等間隔に磁極が
着磁されている。エンコーダマグネット13の外周に対
向するように磁気抵抗素子(MR素子、AB相MR素子
ともいう)14が磁性材の取付台48に取り付けられ
て、その取付台48をベースハウジング49に取り付け
ることで、エンコーダマグネット13の外周と微少な隙
間を設けてAB相MR素子14を配置固定する。
【0048】また駆動ロータの回転位置情報を知るため
の相対位置情報手段として磁気式エンコーダが組み込ま
れている。その磁気式エンコーダは駆動ロータ側にエン
コーダマグネット13とベースハウジング49側にAB
相MR素子14とで構成されている。エンコーダマグネ
ット13の材料はプラスチックマグネットであり、ベー
ス樹脂として12ナイロン系を使用している。
【0049】駆動マグネット39の漏洩磁束の影響をエ
ンコーダ出力に受けないために、エンコーダマグネット
13とAB相MR素子14との隙間を非常に狭く設定し
ている。その隙間が狭いために、エンコーダマグネット
13の膨潤や切削振れや組立振れなどの影響を少なくす
る必要がある。ロータ側板47にエンコーダマグネット
13を接着固定した状態で組加工して部品による振れを
小さくしている。また、エンコーダマグネット13のプ
ラスチックマグネットでのフェライトの含有量を大きく
した材料を使用している。つまりエンコーダマグネット
13については、超音波伝播媒質中で使用されるので膨
潤影響を考慮して、79%以上磁性材を含有したものを
使用している。
【0050】相対位置情報手段として磁気式エンコーダ
が組み込まれ、その磁気式エンコーダの位置検出素子は
AB相MR素子14である。そのAB相MR素子14は
A相、B相の2チャンネルの信号が得られるMR素子で
あって、A相とB相の位相差は90度のものである。A
相とB相との位相差が90度であるために、駆動ロータ
の回転方向をその位相差から求めることができる。その
ために、ロータフレーム40に取り付けた超音波振動子
41、42の回転位置情報を知ることができる。回転着
磁機で多極に着磁されたエンコーダマグネット13の外
周とAB相MR素子14は対向配置されている隙間は5
0μm程度であり、超音波伝播媒質中に駆動するので、
大きなゴミがあればその隙間に入り込んだりするので、
オイル洗浄したうえで組み込みがなされる。そのエンコ
ーダマグネット13の磁極数に相当した数の信号をAB
相MR素子14から検出し、モータの制御信号として駆
動モータを制御させる。
【0051】たとえば、エンコーダマグネット13は3
00極である場合、AB相MR信号も300パルスとな
るので、駆動ロータの位置情報としては1回転あたり3
00パルスの分解精度の信号が得られる。A相とB相と
も300パルスであって、90度の位相差をもっている
ので、A相、B相の信号を4逓倍すれば、1回転あたり
1200の分解精度の信号が得られる。エンコーダマグ
ネット13は回転着磁がなされるために、磁極間の角度
精度は非常に高いので、4逓倍してもかなり角度精度の
よい位置情報が得られる。
【0052】そのAB相MR素子14の信号は可撓性基
板(AB相FPCともいう、図示せず)を通って駆動ロ
ータの近傍の中継アンプ基板11で一旦増幅して、さら
に正弦波波形の信号を矩形波処理する中継調整基板に配
線し、そこからケーブルを使用した長い配線処理をして
超音波診断装置本体まで接続される。
【0053】駆動モータには基準位置情報を知るための
基準位置手段として磁性材のZ相ピン9がSUM24L
やSUYなどの磁性材のロータフレーム40の外周部に
取り付けられている。このZ相ピン9は円筒形状した部
分をロータフレーム40の外周に設けられた円筒の穴に
挿入して取り付けられ、駆動回転方向に対して先端部鋭
角になるようにカット面50が両方に設けられている。
このZ相ピン9への磁束は駆動マグネット39から得て
いる。Z相ピン9を検出するZ相MR素子10が磁性材
の取付台51を介してベースハウジング49に取り付け
られている。Z相MR素子10の信号は可撓性基板(ま
たは、Z相FPCともいう、図示せず)を通って中継ア
ンプ基板11に接続され、中継アンプ基板11から超音
波プローブのハンドル部にある中継調整基板に接続され
て、その中継調整基板からシールドケーブルを通ってコ
ネクタを介して超音波診断装置本体側へ接続される。
【0054】磁性材のZ相ピン9とZ相MR素子10で
構成されている基準位置手段は、磁性材のZ相ピン9が
1つであるために、Z相MR素子10では駆動ロータの
1回転に1パルスの信号が検出される。そのZ相MR信
号は信号レベルが小さいので、モータの近くの中継アン
プ基板11で信号増幅される。その増幅後のZ相信号は
中継調整基板のコンパレータ回路で矩形処理される。矩
形処理された信号は0−5Vの矩形波信号であり、外部
からのノイズの影響を受けにくい。Z相MR素子10か
らすぐの信号は外部ノイズの影響を受けやすいので、中
継アンプ基板11をベースハウジング49の近くに配置
して、増幅するようにしている。Z相コンパレータ信号
の立ち上がり位置を駆動ロータの基準位置にすれば、駆
動モータの回転基準位置になり、さらには超音波振動子
41、42の回転基準位置にもなる。このZ相信号によ
り基準位置を元に、超音波振動子41、42の位置を決
めておけば、超音波振動子の回転位置の基準を個々の超
音波プローブ間に相違なく決定することができる。
【0055】超音波振動子41、42への送受信信号を
駆動ロータの外部に取り出すために、ロータリトランス
15が構成されている。ロータリトランス15にはロー
タ側トランス16がロータフレーム40に取り付けら
れ、ステータ側トランス15がベースハウジング49側
に取り付けられている。ロータリトランス15は2ch
構成であるので、トランス対向面にはリング状の溝が2
本それぞれのトランスに形成されていて、そのリング状
の溝には巻線が数ターン平面上に配置されている。ロー
タ側トランス16の巻線は溝の下にあけられた穴52を
通ってロータフレーム40側に引き出されてロータ側ト
ランスの裏面に貼られたFPCに接続される。また、超
音波振動子のリード線もロータ側トランス裏面に貼られ
たFPCに接続し、ロータ側トランス16の巻線を超音
波振動子に導通接続する。ステータ側トランス17もロ
ータ側トランス16の巻線に対向する位置にリング状の
溝を設け、その溝に巻線を数ターン巻配置し、その巻線
の端はステータ側のリング状の溝の奥に設けた穴53に
通して、ステータ側トランスの裏側のFPCに接続す
る。そのFPCからはシールド線などを使用して超音波
診断装置本体側へ接続する。
【0056】本実施例では超音波振動子は2個使用して
いる。符号では41、42である。さらに、2種類の超
音波振動子を搭載することができるので、1つの超音波
プローブで2つの距離分解能の異なったものとして扱え
るなどの長所がある。
【0057】一般に距離分解能は周波数が高いと向上す
るが、周波数が高くなると超音波の減衰が大きくなるた
めに、深度の深い部分で診断ができなくなるので、1つ
の超音波プローブで振動数の異なる超音波振動子を切り
換えて使用することができるために、より便利な超音波
診断が可能となる。
【0058】また、ロータフレーム40に取り付けた超
音波振動子41、42はシャフト43に対して180度
離れた位置に取り付けられる、一方の超音波振動子から
放射した超音波がもう一方の超音波振動子でも受信さ
れ、超音波の受信信号にノイズとして入らないように、
180度の対で2個の超音波振動子を取り付けている。
送信された超音波振動子はその反射信号を受信するが、
反射信号をもう一方の超音波振動子で受信すると、その
信号はノイズとなるために、複数個の超音波振動子を使
用する場合は相受信は同一の超音波振動子で行い、他の
超音波振動子には受信信号がのらないようにする必要が
ある。
【0059】ロータリトランス15の場合ではクロスト
ークができるだけ小さくなるようにロータリトランス1
5の材質や磁性材のリングなどを溝の中に入れている。
クロストークは画像のノイズとなるので、充分な配慮が
必要となる。
【0060】超音波振動子はリード線が2本出ていて、
1本は電気グランド(GND)であり、もう1本は信号
線である。本実施例の超音波プローブでは駆動ロータに
超音波振動子が2個取り付けられているので、4本のリ
ード線があるが、電気グランドは共通として取り扱うた
めに3本のリード線として処理できる。超音波振動子は
180度離れているので、電気グランドの線同士を容易
に接続することはできないのでロータ側トランス16の
裏側に設けたFPCを介して接続している。そのFPC
には4箇所にランドがあって超音波振動子のリード線を
半田付け接続する。
【0061】2個の超音波振動子のためにロータリトラ
ンスの溝に配置した巻線のうち外周の巻線は周波数の低
い超音波振動子に構成するように接続する。
【0062】超音波診断装置本体からI/O線(超音波
信号の送受信線)を介して送られた電気信号により超音
波振動子は超音波を放射し、被検体から反射される超音
波を受波し電荷量の変化を生じる。この超音波振動子の
電気的変化はI/O線を介して超音波診断装置本体に伝
達される。I/O線に流れる電気信号は2kHz〜12
kHzの範囲の周波数信号であるために不要輻射の主た
るノイズ源となる。本実施例では液封止の箇所はI/O
線一部を可撓性基板で構成して、そのほかはシールド線
を使用している。I/O線はシールドしているため、不
要輻射対策の効果を有するが、ロータリトランスの近傍
はシールドをすることができない。使用する周波数の電
極の位置を検討することで、不要輻射を低減させてい
る。すなわち、そのリング状の溝の外周側から内部に向
かうにしたがって超音波振動子の周波数が高くなるよう
に構成する。
【0063】超音波伝播媒質中で回転駆動される駆動モ
ータの位置情報信号ラインはエンコーダからの超音波振
動子の走査位置を知るための信号ラインであり、超音波
信号の送受信部からノイズが入ると、位置情報が不安定
となり、駆動モータの制御が不安定になる。モータの制
御を安定にさせるためにもI/O部は電気シールドし
て、ノイズの影響を及ぼさないようにしている。
【0064】駆動マグネット39に対向するように円筒
状のコア38がシャフト43に固定されている。そのコ
ア38は絶縁されていて、コア38の外周部には円筒状
の巻線54が取り付けられている。その巻線54は円筒
状のヘキサ巻の巻線である。
【0065】コア38は円筒状のコアであるので、スロ
ットのあるコアと区別され、スロットレスコアと呼ばれ
ている。このスロットレスコア38には、絶縁膜55が
膜状に施されている。実施例ではこの絶縁膜55はエポ
キシ樹脂の電着塗装膜で、巻線54とコア38との電気
絶縁を目的にしたものであるので、膜厚が厚い方がいい
けども、膜厚が厚いと巻線54とコア38の間に隙間が
生じ効率が低下することになるので、膜厚はできるだけ
薄くするような工程を採用している。絶縁膜はスプレー
塗装によっても膜形成が可能である。絶縁膜55を形成
した電着塗装膜、真空蒸着膜について説明する。
【0066】電着塗装膜は絶縁性の優れた膜であって、
工業的には比較的に容易に膜形成できるうえに、電着塗
装膜は耐環境性が優れているために空気以外の環境たと
えば油などの環境下でも、モータ使用が可能となる。絶
縁に絶縁テープをする場合は油などの環境下では粘着剤
が特性劣化するために使用できないが、電着塗装膜では
油などの環境でも問題なく使用できる。
【0067】コアに電着塗装を施す工程の例を以下に説
明する。
【0068】浴槽に水溶性または水分散型塗料を入れ、
コアを浴槽に侵漬し、導電性のコアの塗装する箇所に電
極を取り付け、浴槽に付属する対極との間に通電する
と、電荷をもった樹脂粒子は電気泳動によってコアに移
動して析出する。これを水洗して焼き付ける。
【0069】浴の組成や温度、通電条件を適正な水準に
管理すると、塗膜厚の調整が容易でばらつきの少ない電
着塗装膜ができ、10μmで公差±5μmでも管理でき
る。コアは外周部にも電着塗装膜がつくので、電着塗装
膜を管理すれば、モータ組立特性上問題にはならない。
薄い電着塗装膜の場合、電着塗装膜でコアと巻線との絶
縁をもたせるためには、コアエッジ部のエッジカバー率
があまり高くないので絶縁膜の強度には注意が必要であ
る。
【0070】また、電着塗装膜ではなく、蒸着重合薄膜
を施すこともある。その蒸着重合薄膜は対環境特性が優
れているので、油の中や水の中などに使用される場合に
は採用される膜である。その蒸着重合薄膜について、説
明をする。蒸着重合法は、物理的な真空蒸着法を基に熱
エネルギーによりモノマーを蒸発、活性化させ、基材上
でモノマーを重合させることにより高分子薄膜を作製す
る方法である。この方法は高分子薄膜が単純な装置で製
作できるので本願のモータコアの絶縁や電子部品材料へ
応用ができる。モータのコアの絶縁膜に高分子薄膜を工
業的に処理するためには、膜厚の制御性、均一性、大面
積化、処理速度の高速化、膜性能の再現性などの条件を
満足する方法が要求される。
【0071】この蒸着重合法は次のような特徴がある。 (1)無媒体、無溶媒で重合できること。 (2)真空中であるので不純物の混入がさけられ高純度
の薄膜ができること。 (3)薄膜が容易に得られること。 (4)分子配列の制御が可能であるので薄膜制御性がよ
い。 (5)ドライプロセスである。 (6)薄膜の電気特性は溶液法で作製した膜と同等であ
る。 (7)難加工性高分子の薄膜法として最適である。 (8)マスク蒸着が可能であるため膜のパターン形成が
簡単にできる。
【0072】モータのコアの場合は形状が複雑であった
りするので、全方向同時蒸着重合法が用いられる。この
全方向同時蒸着重合法は、基材や真空槽壁をモノマー分
子の蒸発温度以上に加熱しておき、この中に2種類のモ
ノマーを同時に導入し、両者が基材上で反応して蒸気圧
の低い二量体や三量体となり基材上に付着し、さらに反
応して高分子の薄膜を成長させる。モノマー分子が真空
槽全面化から蒸発するので、複雑な基材にも均一に薄膜
が形成できる。
【0073】またモータのコアに使用される薄膜には、
ポリアミド、ポリアゾメチル、ポリ尿素、ポリオキサジ
アゾール、ポリウレタン、ポリエステルなどに加えて、
ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ベンゾシクロブテ
ン、フッ素化アモルファスカーボン、有機ガラス、パリ
レンなどが使用される。
【0074】真空での蒸着重合法による薄膜であるの
で、コアの角部のカバーコート率は良好であるので、巻
線とコアとの絶縁が確実にできる。
【0075】コア38は絶縁されていて、コア38の外
周部には円筒状の巻線54が取り付けられている。その
巻線54は円筒状のヘキサ巻の巻線である。巻線54の
タップはコア38の端面に設けられたフレキシブル基板
56を介してリード線57に接続され、そのリード線5
7はシャフト43の溝を通ってロータの外に引き出され
る。そのシャフト43の溝、巻線については後述する。
【0076】駆動モータの回転部はシャフト43を中心
に回転し、ロータフーム40の外周部に超音波振動子4
1、42が取り付けられている。その超音波振動子4
1、42は、トランスデューサとも呼ばれて、超音波プ
ローブの中核をなす部品である。超音波振動子41、4
2の先端には音響レンズ58がついている。屈折の現象
を有効に利用するのが音響レンズ58であって、超音波
は液体中よりも固体中での音速が早いために振動子表面
には凹型の音響レンズで超音波ビームを集束させてい
る。凹型の音響レンズ以外も平面型音響レンズや凸型音
響レンズを貼り付けられた超音波振動子が使用される。
【0077】超音波振動子41、42のビームは駆動モ
ータのシャフト43に対して直交してラジアル方向にス
キャンされる。そのためにビームの軌跡面はシャフト4
3に直交しているが、ハンドル部の軸に対しては平行な
面となっている。したがってハンドル部の軸に対しては
平行な面となるビーム軌跡面の超音波断層画像が得られ
る。超音波振動子41、42は駆動モータで回転される
のでその時の超音波振動子のビーム軌跡面がシャフト4
3に対して直交する面である。図4からわかるように、
超音波振動子から超音波を送受信して得られる超音波振
動子配列方向の超音波断層画像取得領域は360度の全
周ではなくベースハウジング49に妨げられて、ある範
囲の超音波画像しか得られない。図4では角度αで示さ
れる範囲となる。その範囲では超音波振動子で走査でき
る超音波走査可能領域を表す。実際の超音波診断装置で
は反射の問題などを考慮して幾何学的な角度よりも少し
小さな設定となっている。本実施例の場合では角度αは
220度となっている。
【0078】ベースハウジング49は金属粉末射出成形
法(Metal Injection Molding
=MIM)によって金属焼結金属から形成されている。
MIMは、R.E.Wiechがウィテック・プロセス
を開発し、1972年に実用化された技術で、3次元的
な複雑な形状の部品を精度良く生産できることから、機
械加工、ダイカスト、精密鋳造、粉末冶金に次ぐ第五世
代の金属加工法として注目を集めている工法であって、
寸法公差的には一般公差で10mm以下で±0.05m
m、特別公差で±0.03mm程度であり、金属加工精
度に匹敵するうえに、他の金属ダイキャストなどでは得
られない精度である。本実施例のベースハウジング49
は3次元的な複雑な形状であるうえに、駆動モータを支
承するために支持剛性が必要であるうえに、超音波振動
子の回転軸の位置寸法が安定であることも重要な要件で
あり、MIMを採用して製作をした。
【0079】MIMで製作するために次のポイントで金
型形状、製品成形条件などを検討した。 (1)部品の厚みができるだけ、均一な厚みになるよう
にする。 (2)円弧形状が多い形状であっても離形を優先にす
る。 (3)支柱部と支持部を設けた形状とする。 (4)焼結後の2次加工箇所をできるだけ少なくする。 (5)抜きテーパを0にする箇所を設け精度向上をはか
る。 (6)軽量であること。
【0080】以上のような観点で、製品形状と金型製品
形状を設計した。
【0081】また、MIMは、加熱溶融された熱可塑性
の物質を高圧・高速で金型内へ射出し冷却することで部
品を生産するプラスチック成形方法に類似したものであ
り、金属の素材を微粒粉末(金属粉末)に粉砕し、その
金属粉末とバインダーとなる樹脂あるいはワックスなど
の流動性を付与させる有機系物質を混練し、得られた素
材を加熱して溶融し、造粒し、プラスチックと同様に射
出成形をする。その後、得られた成形体を熱分解方式な
どで脱脂した後、焼結を行うことで金属部品を生産する
方法である。
【0082】ベースハウジング49の材料には、強度が
必要であり、超音波伝播媒体に対して物性が安定であり
材料として、ステンレス鋼であるSUS630、SUS
303、SUS304、SUS304L、SUS31
6、SUS316L等、非鉄系材料WC−Co、W−C
u−Ni、W−Fe−Ni、Tiなどが使用できる材料
として選定できる。
【0083】その中の一例として平均粉末粒子径が10
μmの微細粉末であるSUS630のステンレス鋼粉末
を用いた。
【0084】一方、バインダーとしては、たとえば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ア
クリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、液
晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド等の各種熱可塑
性樹脂や、各種ワックス、パラフィン等のうちの1種ま
たは2種以上を混合して用いた。
【0085】ベースハウジング49のバインダーの一例
としてアクリル樹脂とポリスチレン等を配合し、添加量
を変えながら実験した結果、寸法の低下が見られず成形
体を焼結することができる添加量は35〜55vol%
であり、ベースハウジング49は添加量45vol%程
度にして製作した。
【0086】金属粉末とバインダーの混練物には、ベー
スハウジング49のブランク形状でMR素子取付部やス
テータ側トランス取付部は抜きテーパのないストレート
部を成形体に求めるために、可塑剤、潤滑剤などの添加
物を微量添加している。
【0087】材料としてSUS630を使用しているの
で、剛性を上げるために、熱処理をしている。ブランク
形状が変形しないように熱処理をする必要がある。
【0088】実施例の巻線はヘキサ巻の円筒状巻線であ
る。この巻線はコアレスモータに使用されている巻線で
あって、この巻線を円筒状のコアの外周に挿入にて使用
する構成をとっている。このヘキサ巻の巻線は以下のよ
うな方法で製作される。ヘキサ巻線工程は巻回作業、テ
ープ仮固定作業、平プレス作業、カーリング作業、アニ
ール作業という内容になっている。
【0089】巻回作業を3相巻線で説明する。ヘキサ巻
をする場合、六角形の巻枠に整列に巻線を巻回する。図
5に参考図を示す。
【0090】 巻線の巻はじめ端59を巻枠の一箇所
に固定する。
【0091】 つぎに、第一相の巻線部60を巻はじ
め端の際から巻始める。
【0092】 第一相の巻線部60の端までいくと、
巻枠61の開き角の箇所の角部に端子部62を形成す
る。
【0093】 続いて、第二相の巻線部63を第一相
の巻線部60の際から巻線開始し、所定数巻回して、第
二相の巻線部63を作成する。
【0094】 第二相の巻線部63の端に、巻線端子
部側の巻枠61の開き角の箇所と同じ側の角部に端子部
64を形成する。
【0095】 つぎに、第三相の巻線部65を第二相
の巻線部63の際から巻線開始し、所定巻数を巻回して
第三相の巻線部65を作成する。
【0096】 さらに、その巻線の巻終わり端末線6
6はコイルボビンから切断する。
【0097】次にテープ仮固定作業について説明する。
巻枠に巻回した状態で、巻崩れ防止のためにテープで仮
固定する。その状態で、その六角形の巻枠から抜き取
る。
【0098】次に、平プレス作業について説明する。巻
枠から抜き取った巻線の六角形の一対対向面を巻枠軸方
向に倒して、平板状にする。その際の一対の対向面とは
前記のテープが貼られている面であるように、倒す面を
決める。図6に参考図を示す。
【0099】さらに、カーリング作業について説明す
る。その平板状にした巻線をカーリング棒(成形棒、棒
ともいう)に巻き付ける。その際カーリング成形した外
周にテープを巻き付ける。このテープを巻き付けること
で、カーリング棒から取り出した時に、カーリング成形
後の巻線の成形外径が安定に保たれるうえに、ばらつき
が小さなものになる。また、次工程でのアニール作業で
の作業性が向上するうえに、作業上での断線などの不具
合の発生がなくなる。
【0100】次に、アニール作業について説明する。カ
ーリング成形した状態の巻線は、加熱して成形を強固な
ものにする。巻線は自己融着線を使用しているので、加
熱することで巻線同士が融着するので巻き崩れしない。
前工程で使用したテープ関係で、さらに強度的にも強固
なものになる。
【0101】以上の工程によって図7に示すような円筒
状の巻線ができあがる。
【0102】図3、図4から、駆動モータのモータリー
ド線57はシャフト43の溝から外部に引き出されて、
モータリード線57は駆動モータが3相であることか
ら、3本であり、その個々のモータリード線は所定の中
継アンプ基板11に半田接続される。中継アンプ基板1
1に接続されたモータリード線57は一般にU相、V
相、W相として区別されている。さらにモータ巻線へ電
力を供給する線は超音波プローブのハンドル部の中継調
整基板を通って超音波装置本体側へ接続される。モータ
リード線57はモータの駆動電流が流れるために、リー
ド線抵抗が小さなものを使用している。すなわち、導体
を太くしている。
【0103】シャフト43の溝にリード線を通して外部
に引き出すことで、シャフト43の強度が低下する。し
たがって、取り扱いの不注意で超音波プローブを落下さ
せてしまう場合、モータに作用する衝撃荷重によって、
回転位置精度の検出部の構成精度が劣化したり、駆動軸
が変形したりすることがないように、シャフトの溝形状
について、有限要素解析を使用して、製作できる溝形状
を検討した。モータ部をできるだけ軽量にすることは当
然であるが、シャフトの溝形状でも耐衝撃性を向上させ
る必要がある。
【0104】超音波プローブの先端に駆動モータを搭載
する場合、その超音波プローブが経膣内への挿入タイプ
であれば、ウインドウケースの大きさは1インチ程度で
あるために、駆動モータのシャフト径はφ2mm以下で
ある。あまり大きいと駆動モータが構成できない。
【0105】図8に示すシャフト径をφ1.5の場合
で、リード線はφ0.32mmである例をもとに、解
析、評価を実施した。ただし、変形の量を比較するため
に、解析の荷重1000mNをシャフト先端に作用させ
た変位量をもって判断した。荷重方向を90度角度差の
ある方向とし、F1、F2方向とした。
【0106】まず、解析の基準となる形状として溝形状
のない実軸のシャフトでの変位量を1として溝形状のシ
ャフトの変位量の比を求めた。
【0107】図8は中央部の円形な袋になった穴68が
端面からあけられ、巻線への導通する線を駆動軸に挿入
する長穴69と連通した溝形状であるシャフトを示す。
図8(a)はシャフトの斜視図であって、図8(b)は
溝形状での荷重の方向を表す図である。
【0108】図8は中央部の円形な穴68が開けられて
いて、シャフト67の外周に長穴69が開けられ、その
長穴69は中央部の穴68との開口口となっている。円
形の穴68は袋状の穴である。リード線は中央部の円形
の穴68の中を通して外部に引き出している。そのため
には、長穴69の開口口からリード線を挿入する。この
溝形状での変位量比は1.32倍(F1方向)、1.2
2倍(F2方向)である。このシャフト67の駆動モー
タに2500Gの衝撃を加えてもシャフト67の変形に
よる特性の変化が見られていない。かなり実軸に近い値
であるので、衝撃による特性変化が見られなかったと思
われる。
【0109】図3に見られるようにロータリトランス側
のシャフトの先端にはスリ割り加工がほどこされてスリ
ット溝が形成される。図8にもそのスリ割り加工があ
る。
【0110】駆動モータがセンサレス駆動モータであ
り、駆動のためにAB相MR信号とZ相信号からモータ
のコイルの相に通電させる基準信号を作り出すことで、
このセンサレスモータの駆動を行っている。巻線の相の
位置が正確に決定できないので、巻線を回転させて相の
通電位置調整をする必要がある。その調整のためにシャ
フトにスリ割り加工をしている。駆動電流が最小になる
位置にシャフトを回転固定すればいいので、そのスリッ
ト溝(またはスリ割り)をドライバーなどで回転調整す
る。
【0111】図3、図4によれば、シャフトを中心にし
て内側から、コア、絶縁膜、巻線、空気の隙間、マグネ
ット、ロータフレームのような構成である。すなわち、
スロットレスのコア付きモータの構成となっている。
【0112】図9はロータリトランスの原理説明図であ
る。ステータ側トランス71とロータ側トランス72が
エアギャップ73をもって構成されている。ロータ側ト
ランス72は超音波振動子につながっている。ステータ
側トランス71はシステム本体につながる。ロータフレ
ームの回転部から固定部(またはその逆)に電気信号を
伝達する場合、スリップリングかロータリトランスが用
いられる。ブラシ付きモータなどに使用されているブラ
シをスリップリングに応用しても原理的には可能である
が、数mVという弱電気信号と数MHzという高い周波
数を取り扱うのでノイズの問題と摺動することによる摩
耗寿命や摺動負荷などの改善が必要となり、超音波診断
装置用に特別な仕様のものを開発する必要がある。摺動
による摩耗によって寿命などが制約を受けることや駆動
モータが小型になれば発生するトルクも小さくなり摺動
ロスがあると有効なトルクが小さくなるなどの問題か
ら、ロータリトランスを採用した。ロータリトランスに
は平板型と同軸型がある。
【0113】2チャンネルのロータリトランスの例であ
るのでトランス表面には凹状のコイル溝74a、75
a、74b、75bがそれぞれ2つ形成されている。コ
イル溝は対向した溝同士で信号の伝達を行うために、溝
の同軸半径長さが異ならないように設計する。図9にあ
らわした磁気回路のような系となる。ステータ側とロー
タ側のコイル溝に配置するコイル数を違えて、伝達効率
を改善する場合もあるので、図9においてはステータ側
トランスの方がコイル数を多くなるように表現してい
る。一般的にはステータ側のトランスのコイルの数を多
くしている。通常は2倍である。しかし、小型の超音波
プローブの場合は設計的にスペースもないので、対向す
るコイルの仕様は同じにしていることが多い。
【0114】図9に示されるロータリトランスは平板型
である。図のように円板状のトランスはフェライトコア
に同心状に2つの円形溝が形成されそれぞれの溝中にコ
イルを巻き、そのコイルの端を外部に引き出し、素子や
回路に接続している。このような構造がロータリトラン
スであり、ロータ・ステータ間のコイルに発生する磁界
をフェライト材を介して、効率よく非接触で電気信号の
伝達を行う手段がロータリトランスである。図には磁気
回路の状態を表しているが、この磁気回路の性能は大部
分はロータ側トランスとステータ側トランスの間のエア
ギャップの精度によって左右される。駆動モータをプロ
ーブ先端に内包するタイプの経膣用超音波プローブで
は、このエアギャップは100μm程度に調整固定され
る。
【0115】ロータリトランスは図10のような電気的
回路図となる。この図は超音波振動子1個あたりの回路
図であり、チャンネル数に応じて複数個の回路から構成
される。ロータリトランスは仕様項目の中で、結合係数
は1次側と2次側の間の磁束結合比を表して、計算の場
合は結合係数は1として扱うが、実際には0.9〜0.
96程度で使用される。すなわち、ロータ側トランスと
ステータ側トランスの電力は結合係数が仮に1とすると
同一であることになる。送信時の信号レベルに比べて、
受信レベルの信号は微弱になるので、ステータ側のコイ
ル巻数を多くして、信号の品質を向上させる。トランス
のコイルインダクタンスをロータ側をL1、ステータ側
をL2とした。
【0116】ロータリトランスに使用される平面コイル
は、扁平渦巻きコイル、単層円筒形コイル、多層円筒巻
コイルのいずれかである。実施例における平面コイルは
扁平渦巻きコイルである。図11に示すような扁平渦巻
きコイルのインダクタンスは次式であらわされる。
【0117】
【数1】
【0118】したがって、インダクタンスを大きくする
のは、巻数を増やすか、コイル溝の位置半径を大きくと
ればいいので、多チャンネルのロータリトランスの場合
は使用周波数の高い方を内側になるようにすることで、
決められたスペースにチャンネル数の溝を形成すること
ができる。
【0119】ロータリトランスのコイル溝に配置するコ
イルは図12に示すような巻枠で製作される。巻枠は円
筒巻枠75の両側に巻枠ガイド76が構成されていて、
その巻枠ガイド76を案内にして、コイルは円筒巻枠7
5に導かれていく。円筒巻枠75に密着した状態で巻き
始められる。2層目のコイルも1層目のコイルに密着し
て巻回される。順次、コイルは密着状態で巻回されるの
で、出来上がったコイルは密着した状態でトランスのコ
イル溝に配置される。
【0120】密着状態のコイルの場合、隣のコイル影響
で伝達特性に影響が発生する場合がある。超音波診断装
置を表皮部などの診断にも使用する場合があるために、
超音波振動子の振動周波数の高いものが必要になってき
ているが、ロータリトランスのコイル溝に配置するコイ
ルは密着巻状態であると共振周波数を高くできないため
に、使用周波数ではインダクタンスが極端に小さくなっ
てしまい、信号の伝達ができない。使用周波数にあわせ
て、コイルの配置間隔を好適にしておく必要がある。線
間距離の目標としては次のように考える。
【0121】図13は2本の半径rの導体が距離sだけ
離れて平行に置かれている模式図である。半径rの導体
の置かれている空間は誘電率εの一様な空間とすると、
導体間に生じる単位長さ当りの浮遊容量Cは次式であ
る。
【0122】
【数2】
【0123】(数2)は、具体例として、ε=8.85
×10-12(F/m)で、r=0.1mm、r=0.2
mmの場合で、間隔sと浮遊容量Cの関係を図に表す
と、図14に示される。図から、線間の浮遊容量Cは巻
線間の距離によって大きく変化する。密着巻の場合はコ
イル半径r=0.1mmの場合はs=0.2となり、r
=0.2mmの場合はs=0.4になる。その密着状態
での浮遊容量Cが(数2)では無限大となるが、実際に
はかなり大きな値となる。したがって、密着状態では共
振周波数を上げることができないので、高周波数の場合
には伝達特性が低下することが想定される。
【0124】図から、線間距離を大きくとる方が浮遊容
量が小さくなるが、あまり大きすぎても効果が期待でき
なくなる。さらには、トランスが大きなものになり、ス
ペースの限定されたトランスでは問題となってくる。実
験などの結果から、コイルが1本分空けた程度のものま
では超音波診断装置のロータリトランスには効果があ
る。
【0125】図3で示すように超音波振動子41、42
への送受信信号を駆動ロータの外部に取り出すために、
ロータリトランス15が構成されている。ロータリトラ
ンス15はロータ側トランス16がロータフレーム40
に取り付けられ、ステータ側トランス15がベースハウ
ジング49側に取り付けられている。
【0126】超音波振動子が2個搭載されているのでロ
ータリトランス15は2ch構成であるので、トランス
対向面にはリング状の溝が2本それぞれのトランスに形
成されている。図15はロータ側トランスの斜視図を示
す。ロータ側トランス16の表面に同心円状にコイル用
溝(またはコイル溝)77、78が形成され、そのコイ
ル用溝77、78には、溝に適した半径のコイルが装着
される。
【0127】図16はロータ側トランスを取り付けたロ
ータフレームの断面図を示す。コイル79は非磁性材で
ある接着材にて溝に固定し、ロータ側トランス16のコ
イル79の端末線は溝の下にあけられた穴52を通って
溝面とは逆面に引き出され、トランスの裏側に貼られた
フレキシブルプリント基板80に半田付け接続される。
そのフレキシブルプリント基板80を介して、ロータフ
レーム40側の超音波振動子に接続される。そのフレキ
シブルプリント基板80の厚み相当分を逃げるためにロ
ータフレーム40のトランス取付面には逃げ部81が形
成されている。さらにコイル79の半田接続部はロータ
フレーム40と接触しないように大きな逃げ82を設け
ている。フレキシブルプリント基板80に超音波振動子
からでたリード線を半田接続するランド部をロータフレ
ーム40の端面部に設けている。この箇所には、ロータ
側トランスを位置決め規制するロータフレームのインロ
ー部83が支障のないように取り除かれている。ロータ
側トランスはロータフレームのインロー部83に規制さ
れて取り付けられているために、回転軸を中心にして同
軸に取り付けられている。そのために伝達特性の減衰も
なく伝達できる。
【0128】図17に示すようにステータ側トランス1
7もロータ側トランス16と同様に2chの構成になっ
ている。ステータ側トランス17のトランス対向面に
は、ロータ側の溝と対向する半径位置に2本のコイル用
溝84、85が形成され、そのコイル用溝84、85に
は、溝に適した半径のコイル86が装着されている。コ
イル86は非磁性材である接着材にてコイル用溝に固定
し、ステータ側トランス16のコイルの端末線は溝の下
にあけられた穴53を通ってステータ側トランスの裏側
に引き出され、トランスの裏側に貼られたフレキシブル
プリント基板87に半田付け接続される。そのフレキシ
ブルプリント基板87を介して、プローブの本体側へと
接続される。ステータ側トランス17の裏側のフレキシ
ブルプリント基板87は、ベースハウジングの支柱部に
支障がない位置でシールド線に半田接続され、超音波診
断装置本体側へ接続する。
【0129】ステータ側トランスとロータ側トランスの
エアギャップを均一に保つために、ロータ側トランスは
ロータフレームのインロー部を係合しつつ、トランスの
外周側の箇所をロータフレームに固定して、駆動軸に対
して面振れが小さくなるように組み立てる。そのために
ロータ側トランスは表裏面の平行度を厳しく規定してい
る。ステータ側トランスは駆動軸に対して、面ぶれが小
さくなるようにするために、図3に示すような軸ブシュ
を用いている。すなわち、軸ブシュにステータ側トラン
スを接着固定させて、ステータ側トランス面を基準とし
て、軸と嵌合する穴を組加工して仕上げることで、軸に
対するステータ側トランス面の面振れを小さく抑えてい
る。
【0130】(表1)に、超音波診断装置の超音波プロ
ーブに使用するロータリトランスのトランス材料の特性
を示す。
【0131】
【表1】
【0132】超音波診断装置の使用周波数は1MHz〜
10MHzであり、家電製品に比べて周波数が高い。し
たがって、使用するトランスの材料は初透磁率μiの周
波数特性が使用周波数の範囲でフラットな材料が良いこ
とから、初透磁率は比較的小さな材料を使用する必要が
ある。超音波診断装置のロータリトランスの初透磁率は
650以下のものが好適である。
【0133】また、図3、図4からロータフレーム40
に取り付けた超音波振動子41、42はシャフト43に
対して180度離れた位置に取り付けられる、一方の超
音波振動子から放射した超音波がもう一方の超音波振動
子でも受信され、超音波の受信信号にノイズとして入ら
ないように、180度の対で2個の超音波振動子を取り
付けている。送信された超音波振動子はその反射信号を
受信するが、反射信号をもう一方の超音波振動子で受信
すると、その信号はノイズとなるために、複数個の超音
波振動子を使用する場合は送受信は同一の超音波振動子
で行い、他の超音波振動子には受信信号がのらないよう
にベースハウジングの内壁には吸音材が塗られている。
ベースハウジングと超音波振動子の角度の関係から、吸
音材を塗らなくてもノイズの発生が少ないようにベース
ハウジングの内部の部材を構成している。
【0134】超音波振動子はリード線が2本出ていて、
1本は電気グランド(GND)であり、もう1本は信号
線である。本実施例の超音波プローブでは駆動ロータに
超音波振動子が2個取り付けられているので、4本のリ
ード線があるが、電気グランドは共通として取り扱うた
めに3本のリード線として処理できる。超音波振動子は
180度離れているので、電気グランドの線同士を容易
に接続することはできないのでロータ側トランス16の
裏側に設けたフレキシブルプリント基板を介して接続し
ている。そのフレキシブルプリント基板には4箇所にラ
ンドがあって超音波振動子のリード線を半田付け接続す
る。
【0135】2個の超音波振動子のためにロータリトラ
ンスの溝に配置した巻線のうち外周の巻線は周波数の低
い超音波振動子に構成するように接続する。
【0136】図3、4に示すロータリトランスを、(表
1)に示される材料から作成した時のロータリトランス
の特性を図18〜図20に示す。
【0137】図18はステータ側組み合わせインダクタ
ンスの周波数特性である。使用周波帯域でインダクタン
スはフラットであることが望ましいので、コイルのター
ン数やコアの溝位置などを設計する。この特性図からわ
かるように、周波数1MHz〜10MHzの範囲はイン
ダクタンスはフラットである。インダクタンスはチャン
ネルごとに測定されている。以下のようなショート条件
のもとに測定される。ch1を測定するときはch2の
ステータ側をショートする。またch2を測定するとき
はch1のステータ側をショートする。
【0138】図19はステータ側の漏洩インダクタンス
の周波数特性である。周波数が低いところが漏洩インダ
クタンスが大きく、周波数が大きくなるにしたがって小
さくなり、0.1MHzぐらいのところで一定となる。
それ以上周波数が大きくなっても漏洩インダクタンスは
ほとんど変わらない。30MHz以上になると漏洩イン
ダクタンスの値は大きくなる測定結果が得られる。超音
波診断装置に使用される周波数帯域では漏洩インダクタ
ンスは小さくほぼ一定である。この測定は組み合わせイ
ンダクタンスの測定chのロータ側をショートして測定
する。
【0139】図20はクロストークの周波数特性を表
す。一般にクロストークはロータリトランスでは−20
dB程度である。図のクロストークも−20dBであ
り、問題のないレベルになっている。ロータリトランス
の場合ではクロストークができるだけ小さくなるように
ロータリトランスの材質や磁性材のリングなどを溝の中
に入れている。クロストークは画像のノイズとなるの
で、充分な配慮が必要となる。
【0140】クロストークを低減するためにロータリト
ランスに以下のような手段を講じる場合がある。寸法的
に余裕があれば、5dB程度の改善がなされる。だた
し、ロータリトランス自体高価なものになってくる。
【0141】(実施例2)図21に実施例2におけるロ
ータリトランスの片方のトランスの断面を示す。ロータ
リトランスのクロストークを低減するために、2チャン
ネルのコイル溝の中間に溝を設けて、ショートリングコ
イルを設ける。
【0142】円板状のトランスはロータ側トランスとス
テータ側トランスは同様な仕様であるので、片方のトラ
ンスにて以下説明する。
【0143】ステータ側トランス88は中心にブシュを
取り付けるための貫通孔89が開いた円板状に形成され
ている。トランスの表面にはコイル用溝90、91、9
2が同心円状に3つ形成され、3つの溝にはそれぞれコ
イル93、94、95が装着されるようになっている。
そのうちの2つ93、95は異なるチャンネルの信号に
対応する電流が流れるようになっている。真ん中の溝9
1はショートリング溝であって、その溝にはコイル94
が装着されている。このショ−トリングコイル94によ
って漏洩磁束が低減されるので、クロストークが低減で
きる。
【0144】(実施例3)円板状のトランスはロータ側
トランスとステータ側トランスは同様な仕様であるの
で、片方のトランスにて以下に説明する。図22に実施
例3におけるロータリトランスのステータ側トランスの
断面を示す。
【0145】ロータリトランスのクロストークを低減す
るために、2チャンネルのコイル溝の中間に溝を設けて
いる。
【0146】ステータ側トランス96は中心にブシュを
取り付けるための貫通孔97が開いた円板状に形成され
ている。トランスの表面にはコイル用溝98、99が同
心円状に2つ形成され、2つの溝の間に別の凹形状の溝
100が形成される。コイル用溝98、99はそれぞれ
コイル101、102が装着されるようになっている。
そのコイル101、102は異なるチャンネルの信号に
対応する電流が流れるようになっている。真ん中の凹溝
100は磁気抵抗を増やすために、トランスに凹溝を設
けている。その凹溝100によって漏洩磁束が低減され
るので、クロストークが低減できる。
【0147】(実施例4)実施例2の場合はショートリ
ング溝にコイルを装着するものであったが、コイルを装
着するにはそのショートリング溝は大きいものであるこ
とが多く、小型のロータリトランスの場合には支障があ
るので、本実施例ではトランス103の溝面と逆の裏面
側に、軸の周りを回る凹溝104を設ける。この凹溝1
04はトランス表面の2つのコイル用溝105、106
の間に形成される半径位置に構成される。そのために1
ch側のコイルから2ch側のコイルへ漏洩し2ch側
のコイルと鎖交する漏洩磁束は以下のことで減少する。
つまり、その凹溝を貫通するときは空気の磁気抵抗とな
るので全体の磁気抵抗が増す、また凹部を迂回する場合
は磁路が長くなるので凹溝のないときよりも磁気抵抗は
増すことで、漏洩磁束が減少する。したがって、クロス
トークが防止できるので、トランスの結合度が向上す
る。
【0148】本実施例では超音波振動子は2個使用して
いる。2種類の超音波振動子を搭載することができるの
で、1つの超音波プローブで2つの距離分解能の異なっ
たものとして扱えるなどの長所がある。
【0149】一般に距離分解能は周波数が高いと向上す
るが、周波数が高くなると超音波の減衰が大きくなるた
めに、深度の深い部分で診断ができなくなるので、1つ
の超音波プローブで振動数の異なる超音波振動子を切り
換えて使用することができるためにより便利な超音波診
断が可能となる。
【0150】駆動モータを回転させると、駆動軸を中心
として走査するので、駆動軸に直交した超音波振動子の
ビーム軌跡面で超音波断層画像が得られる。その超音波
断層画像は2次元画像である。このように、本実施例で
は2次元走査用超音波プローブが可能となる。たとえ
ば、220度範囲の超音波断層画像が得られるという従
来にない測定範囲の広いものを得ることができる。ま
た、2次元走査用超音波プローブを体腔内に挿入して使
用する場合には、挿入部先端に超音波振動子を配置する
ことができるので、より挿入部を小型化、軽量化するこ
とができるという利点を有する。
【0151】このように、本実施例における2次元走査
用超音波プローブは軽量で小型でプローブ先端部に駆動
部の主な機構部が内蔵されている。超音波振動子による
と、広角な範囲の超音波断層画像が得られる。
【0152】本実施例の2次元走査用超音波プローブに
よる2次元的スキャンが可能であり、超音波振動子が固
定された駆動モータの回転にともなって、駆動モータ側
のエンコーダから回転角度信号が超音波診断装置に伝送
され、2次元の超音波断層画像が得られる。駆動ロータ
を支承したベースをプローブの取付部にしっかり取り付
けることで、耐衝撃性が向上することになる。
【0153】
【発明の効果】上記実施例の記載から明らかなように、
請求項1記載の発明によれば、電子−機械走査式の2次
元走査用超音波振動子駆動モータによって、超音波伝播
媒質を内包しウインドウケース内に、駆動モータの駆動
軸と超音波振動子の回転軸を同一軸で構成した超音波振
動子駆動モータを構成させ、機構部を小型軽量にして、
超音波伝播媒質の封止範囲を狭くでき、全体的な超音波
プローブの重量を軽くできるうえに、駆動モータの駆動
軸と超音波振動子の回転軸が同一軸であるので、駆動モ
ータの位置情報が超音波振動子の位置情報に採用でき、
精度のよい装置であり、ケーブル軸に対して平行なビー
ム軌跡面を得ることができる。ロータフレームの外周に
取り付けられた超音波振動子の信号伝達手段をロータリ
トランスにすることで、ロータリトランスは非接触の信
号伝達が可能であるためにロータリトランスを回転させ
るトルクがほとんど無視できる程度であり、摺動タイプ
のスリップリングに比べて負荷が小さくなり、駆動モー
タも小型にすることができる。また非接触であるため
に、摺動による摩耗によって寿命などが制約を受けるこ
とがない。小型で軽量な超音波振動子を駆動する駆動モ
ータができ、その駆動モータを超音波プローブの先端部
に内蔵することができる。さらに駆動ロータがベースの
支柱部に安定して支承できるので、ロータ位置がガタつ
かない。そのために超音波振動子の位置が安定し、ビー
ムの軌跡が同じ位置となり、送受信が安定するために画
像が鮮明になる。さらにビーム軌跡面はケーブル軸に対
して平行な面である走査面となる超音波断層画像を得る
ことができるという有利な効果が得られる。
【0154】また、請求項2記載の発明によれば、コイ
ル密着状態での浮遊容量の増加にともなう伝達特性の低
下がなくなり、超音波診断装置などの高い周波数の場合
コイル間に隙間を設けることで、共振周波数を上げるこ
とができ、伝達特性を低下させないロータリトランスが
できるということが得られるものである。
【0155】また、請求項3〜5記載の発明によれば、
トランスのコイル溝の中間位置に凹溝を設けてその凹溝
によって、チャンネル間の漏れの磁気抵抗を増やし、漏
洩磁束が低減されて、クロストークが低減することがで
きる。ショートリングコイルの凹溝に配置するとさらに
効果が増す。
【0156】また、請求項6記載の発明によれば、電子
−機械走査式の2次元走査用超音波振動子駆動モータに
よって、超音波伝播媒質を内包しウインドウケース内
に、駆動モータの駆動軸と超音波振動子の回転軸を同一
軸で構成した超音波振動子駆動モータを構成させ、機構
部を小型軽量にして、超音波伝播媒質の封止範囲を狭く
でき、全体的な超音波プローブの重量を軽くできるうえ
に、駆動モータの駆動軸と超音波振動子の回転軸が同一
軸であるので、駆動モータの位置情報が超音波振動子の
位置情報に採用でき、精度のよい装置であり、ケーブル
軸に対して平行なビーム軌跡面で画質のよい超音波断層
画像を得ることができる。駆動モータと超音波振動子の
位置関係で、駆動モータの内部軸の範囲内に超音波振動
子を構成する機構となっているのでコンパクトにウイン
ドウケース内に構成できる2次元超音波画像用走査する
機構を内蔵することができる。超音波を走査するための
駆動モータを小型、軽量に作製でき、駆動モータをウイ
ンドウケースに内蔵した超音波プローブを提供でき、そ
のプローブを用いて超音波診断ができ、診断の便宜性を
向上させることができる超音波診断装置が提供できる。
また、超音波振動子のビーム軌跡面はケーブル軸に対し
て同一方向を向いていて、駆動モータ軸はケーブル軸と
は垂直な関係であり、ビーム軌跡面はケーブル軸に対し
て平行な面である走査面となる超音波断層画像を得るこ
とができる。2次元駆動部の駆動モータをウインドウケ
ースに中に内蔵できるので、小型で軽量な超音波プロー
ブができ、それを使用した超音波診断ができ、診断の便
宜性を向上させることができる。超音波振動子の位置が
安定し、ビームの軌跡が安定で通常の診断画像を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によるメカニカルセクタ走査
型超音波プローブを使用した超音波診断装置の全体を示
す概略ブロック図
【図2】本発明の実施例1による超音波プローブの外観
斜視図
【図3】本発明の実施例1による超音波振動子駆動モー
タの構造図
【図4】本発明の実施例1による超音波振動子駆動モー
タの構造図
【図5】ヘキサ巻の説明図のための参考図
【図6】(a)(b)はヘキサ巻の説明のための参考図
【図7】円筒の巻線の説明図
【図8】(a)(b)はシャフトの説明図
【図9】トランスの説明図
【図10】トランスの電気的回路図
【図11】渦巻きの説明図
【図12】巻枠の説明図
【図13】2本の導体の模式図
【図14】2本の導体間の距離と容量の関係図
【図15】ロータ側トランスの斜視図
【図16】ロータフレームに取付状態でのロータ側トラ
ンスの説明図
【図17】ステータ側トランスの説明図
【図18】トランスのインダクタンス特性図
【図19】トランスの漏洩特性図
【図20】トランスのクロストーク特性図
【図21】本発明の実施例2によるトランスの説明図
【図22】本発明の実施例3によるトランスの説明図
【図23】本発明の実施例4によるトランスの説明図
【符号の説明】
1、2、41、42 超音波振動子 3 駆動モータ 4 駆動ロータ 5 ベース 6 ハンドル部 7 中継調整基板 8 超音波伝播媒質の容積調整機構 9 磁性材のピン 10 MR素子(Z相) 11 中継アンプ基板 12 磁気式エンコーダ 13 エンコーダマグネット 14 MR素子(AB相) 15 ロータリトランス 16 ロータ側トランス 17 ステータ側トランス 18 ウインドウケース 19 パルス発生器 20 振動子駆動回路 21a、21b 増幅器 22a、22b 対数増幅器 23a、23b 検波回路 24a、24b ゲイン設定器 25 ゲイン制御用コントローラ 26 合成回路 27 A/D 28 DSP 29 画像メモリ 30 DSC 31 テレビモニタ 32 ホストCPU 33 先端部 34 ケーブル 35 コネクタ 36 駆動モータ駆動回路 37 システム本体(本体装置) 38 コア 39 駆動マグネット 40 ロータフレーム 43、67 シャフト 44、45 軸受 46 軸受ボス部 47 ロータ側板 48、51 取付台 49 ベースハウジング 50 傾斜面(カット面) 52、53 穴 54 巻線 55 絶縁膜 56 フレキシブル基板 57 リード線 58 音響レンズ 59 巻はじめ端 60 第一相の巻線部 61 巻枠 62、64 端子部 63 第二相の巻線部 65 第三相の巻線部 66 巻終わり端末線 68 穴(丸穴) 69 穴(長穴) 70 スリット 71、88、96、103 ステータ側トランス 72 ロータ側トランス 73 エアギャップ 74a、75a ステータ側コイル溝 74b、75b ロータ側コイル溝 75 円筒巻枠 76 巻枠ガイド 77、78、90、91、92、98、99、105、
106 コイル溝 79、86、93、94、95、101、102 コイ
ル 80、87 フレキシブルプリント基板 81 逃げ部 82 逃げ 83 インロー部 84、85 コイル用溝 89、97 貫通孔 100、104 凹溝 F1、F2 荷重方向 R1 内半径 R2 外半径 N 総巻数 a (R1/R2)の関数 ε 誘電率 s 導体の間隔 r 導体半径 C 浮游容量 L、L1、L2 インダクタンス α 角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C301 AA02 BB02 BB28 BB30 CC02 EE04 EE15 EE16 FF01 FF07 GA12 GB29 GC01 GC15 GC22 GC24 GC28 GD16 HH04 HH47 HH49 HH52 JA12 JA14 JB03 JB11 JC14 LL03 LL04 5D019 BB02 FF04 5H621 BB07 GA11 GB03 JK07 JK13 JK17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波透過性を有する窓材からなるウイ
    ンドウケースを具備し、超音波振動子と上記超音波振動
    子を駆動させる駆動モータとを超音波伝播媒質でウイン
    ドウケース内に内包した超音波プローブにおいて、 超音波振動子を駆動モータのロータフレームの外周部に
    取り付け、前記駆動モータの駆動軸を中心に超音波振動
    子を回転させ、 超音波プローブの長手方向に直交するように駆動モータ
    の駆動軸が超音波プローブのウインドウケース内に構成
    され、 前記超音波プローブの長手方向と平行に超音波振動子の
    超音波ビームの軌跡面が構成され、 回転側の前記超音波振動子との信号伝達手段としてロー
    タリトランスを用いたことを特徴とする超音波振動子駆
    動モータ。
  2. 【請求項2】 回転側の超音波振動子との信号伝達手段
    としてのロータリトランスは円板型であって、同心円上
    にコイル溝が形成され、このコイル溝にはコイルが隙間
    をもって等間隔に配置されたことを特徴とする請求項1
    に記載の超音波振動子駆動モータ。
  3. 【請求項3】 ロータケースに取り付けられた超音波振
    動子は2つであって、回転側の超音波振動子との信号伝
    達手段としてのロータリトランスは円板型であって、同
    心円上に信号用のコイル溝が2本形成され、この2本の
    コイル溝の間のトランス表面側に凹溝を設けたことを特
    徴とする請求項1に記載の超音波振動子駆動モータ。
  4. 【請求項4】 ロータケースに取り付けられた超音波振
    動子は2つであって、回転側の超音波振動子との信号伝
    達手段としてのロータリトランスは円板型であって、同
    心円上に信号用のコイル溝が2本形成され、この2本の
    コイル溝の間のトランス表面側に凹溝を設け、凹溝にシ
    ョートコイルを配置したことを特徴とする請求項1に記
    載の超音波振動子駆動モータ。
  5. 【請求項5】 ロータケースに取り付けられた超音波振
    動子は2つであって、回転側の超音波振動子との信号伝
    達手段としてのロータリトランスは円板型であって、同
    心円上に信号用のコイル溝が2本形成され、この2本の
    コイル溝の間のトランス裏面側に凹溝を設けたことを特
    徴とする請求項1に記載の超音波振動子駆動モータ。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれか1項に
    記載の超音波振動子駆動モータを備えた超音波診断装
    置。
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