JP2002206120A - 還元炉向けペレットとその製造方法、および、酸化金属の還元方法 - Google Patents
還元炉向けペレットとその製造方法、および、酸化金属の還元方法Info
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Abstract
トを製造する。このペレットを回転炉床式還元炉で使用
する際に、ペレットの崩壊や粉化を防止する。 【解決手段】 原料備蓄槽1から払い出した原料を混練
装置5で混練し、パン式造粒装置7で酸化金属と炭素を
含む粒子の細かい粉体(10μm以下の比率が20〜8
0質量%)を原料としてペレットを製造する。このペレ
ットは、ペレット篩装置9で分級した後に、ペレット乾
燥装置11で乾燥して、回転炉床式還元炉13にて焼成
還元する際に、原料ペレットの崩壊を防止することがで
きる。また、前述の操業方法を実現する設備を示すもの
である。
Description
化金属、および、金属の精錬業および加工業において発
生する金属酸化物を含むダストおよびスラジを還元する
際に、中間原料として製造されるペレットの造粒方法、
および、このペレットを回転炉床式の還元炉にて還元す
る方法に関するものである。
セスとしては各種のものがあるが、この内で、粉の金属
酸化物を原料として、球状のペレットを製造し、これを
高温で還元するプロセスがある。この種のプロセスの例
としては、シャフト式の水素ガス還元炉、ロータリーキ
ルン式還元炉、回転炉床式還元炉、その他がある。これ
らの内、シャフト式の水素ガス還元炉で使用するペレッ
トは、粉鉱石を造粒したものであり、還元剤は水素ガス
である。一方、ロータリーキルン式還元炉や回転炉床式
還元炉では、還元炉から熱を供給して、還元反応はペレ
ットに混在した炭素によって行う。つまり、ロータリー
キルン式還元炉や回転炉床式還元炉では、石炭やコーク
スなどの炭素と酸化金属粉を混合したペレットを使用す
る。これらのプロセスは、安価な石炭等を使用できるこ
とから、経済的な還元鉄製造方法として注目されてい
る。
さ30〜80mの回転する円筒からなる焼成炉である。
この円筒は鋼製で、耐火物で内張りしてある。炉内温度
は、原料供給部分で、300〜600℃、出口で110
0℃程度である。原料ペレットは、約6時間かけて加熱
されて、約1100℃になる。この温度で、ペレット中
の炭素と酸化金属が反応して、一酸化炭素と金属を生成
して、還元ペレットができる。還元ペレットは、キルン
から排出されて、冷却される。その後、電気炉や高炉の
原料として使用される。
井と側壁の下で、中央部を欠いた円盤状の耐火物の炉床
がレールの上を一定速度で回転する型式の焼成炉(以
下、回転炉と称す)である。回転炉の炉床直径は10〜
50メートルかつ、炉床幅は2〜6メートルである。炉
床は回転しながら、原料供給部、加熱帯、還元帯、製品
排出部を移動していく。原料ペレットは1000℃程度
と高温の原料供給部に投入される。その後、加熱帯で、
約1200℃以上まで加熱されたのちに、還元帯で、炭
素と酸化金属が反応して、還元金属が生成する。回転炉
床法では、加熱が迅速なために、反応は7〜20分で終
了する。還元ペレットは、炉内から排出されて冷却さ
れ、その後、電気炉や高炉の原料として使用される。
と酸化金属を主体とする粉体を原料ペレットにして、こ
れを加熱還元する。このペレットの製造には、パン式造
粒装置を用いる。一般的には、2種類以上の原料の粉体
を使用する。これは、酸化金属と炭素の比率を調整する
ためである。まず、原料の粉体を所定の比率で混合す
る。これをパン式造粒装置で造粒する。
径が2〜6mの回転するパンからなるものである。パン
は約45度傾斜しており、この中を、水分を含んだ粉体
が転動しながら、生成した核の周りを粉体がまぶされな
がら、ペレットが成長していく。十分に成長したペレッ
トは自重でパンから出てくる。
ットを乾燥せずに、炉内に供給する。これは、ロータリ
ーキルンの原料供給部分の温度は、約300℃であり、
含水状態でも、ペレットが爆裂しないためである。一
方、回転炉床式還元炉の場合は、ペレット供給部分の温
度が、1000℃以上あるため、水分を含んだままのペ
レットは、水分蒸発に起因する爆裂を起こすことから、
ペレットを乾燥して炉内に供給する。
が一般的であるが、金属の精錬工程や加工工程で発生す
るダストやスラジを用いる場合もある。特に、鉄鋼製造
業で発生するダストやスラジには、亜鉛や鉛などの不純
物が混合しているが、これらは1200℃以上の還元反
応とともに、蒸発することから、不純物除去に有効な手
段である。
を還元するプロセスでは、安定的な操業の実現のために
は、原料ペレットの強度が高いことが重要である。例え
ば、縦型シャフト炉で、ペレット強度が不十分の場合
は、炉内に積層されているペレット間に、ペレットが崩
壊して発生した粉が入り、ガス流れを妨害する問題や集
塵機のダスト捕集量が多すぎる問題等がある。ロータリ
ーキルンの場合で、原料ペレット強度が不十分である場
合は、ペレットがキルン内で転動する際に崩壊して、こ
の時に発生した粉が耐火物に付着してダムリングを生成
する問題がある。この結果、ペレットがダムリングを乗
り越せず、キルン内部をペレットが流れなくなる。回転
炉床式還元炉の場合で、ペレット強度が不十分である場
合は、崩壊したペレットが炉床耐火物にビルトアップし
て、ペレットの敷き込みを不安定にするとともに、排出
スクリューのブレードを摩耗させる問題がある。
であれば、還元プロセスの操業が不安定になる。したが
って、安定した条件での高強度ペレット製造技術が求め
られていた。特に、炭素を含む粉体(粉の石炭、コーク
ス、チャーなどで、以降、炭素粉体と称す)を原料とす
るペレットでは、酸化金属粉のみで構成されるペレット
に比べて、強度が上がりづらい問題があったため、この
要望は切実であった。
ば、特開平11-193423の特許に記述されているように、
パン式造粒機での造粒時に、有機系バインダーを混合し
て、ペレットの強度を高める方法が提案されている。し
かしながら、粉体の粒度構成や成分などの原料条件、お
よび、造粒時の水分調整などの操業条件に関する技術に
ついて、十分な考慮がなされておらず、必ずしも、強度
の高いペレットを製造する方法ではなかった。また、ロ
ータリーキルン法や回転炉床法で使用するもので、粉コ
ークスなどが5%以上の比率で混在する粉原料から製造
したペレットは、特に、造粒の難しく、バインダー添加
で強度を確保できる場合もあるが、一般的には、バイン
ダー添加のみでは問題が解決されていなかった。
問題点は、ペレット強度のみではない。原料条件が悪い
場合は、パン式造粒機からのペレットの排出が不連続に
なる問題もある。つまり、原料の粒度構成が悪い場合や
水分調整が悪い場合は、造粒機内部でのペレット成長が
不安定となり、造粒機からペレットがほとんど排出され
ない時期と大量に排出される時期が交互に起きる。その
結果、造粒機の下流工程に連結している還元炉のペレッ
ト供給が不連続となり、さらに、還元反応が不安定とな
る問題が生ずる。また、この現象が起きている時のペレ
ットは強度が低くなることも重大な問題である。
む粉体を安定的に造粒することには、技術的に困難があ
り、これが還元炉の操業の不安定につながっていた。そ
の結果、還元炉の操業が不安定となり、効率的な金属製
造ができない問題があった。したがって、炭素粉体を含
む粉体を原料として、高強度のペレットを安定して製造
する新しい技術が求められていた。
点に鑑みなされたものであり、その要旨とするところ
は、 (1)金属酸化物を含み、かつ、炭素含有粉体を含む粉
体を、パン式造粒機で球形のペレットを製造するに際し
て、当該粉体が10μm以下の粒径の粒子を20〜80
%含んでいることを特徴とする還元炉向けペレット製造
方法。 (2)金属酸化物を含み、かつ、乾留処理を受けた炭素
含有粉体を5〜30質量%含む粉体を、パン式造粒機で
球形のペレットを製造するに際して、当該粉体が10μ
m以下の粒径の粒子を20〜80%含んでいる前記
(1)記載の還元炉向けペレット製造方法、 (3)金属酸化物を含み、かつ、粉石炭を10〜35質
量%含む粉体を、パン式造粒機で球形のペレットを製造
するに際して、当該粉体が10μm以下の粒径の粒子を
20〜80%含んでいる前記(1)記載の還元炉向けペ
レット製造方法。 (4)金属酸化物を含み、かつ、乾留処理を受けた炭素
含有粉体の質量比率の2倍と石炭の質量比率の合計が1
0〜60%である粉体を、パン式造粒機で球形のペレッ
トを製造するに際して、当該粉体が10μm以下の粒径
の粒子を20〜80%含んでいる前記(1)記載の還元
炉向けペレット製造方法。 (5)造粒時のバインダーとして、ベントナイトを0.
5〜4質量%、または、コーンスターチを1質量%以下
の比率で、原料粉体に混合する前記(1)乃至(4)の
いずれかに記載の還元炉向けペレット製造方法。 (6)予め原料粉体の水分を測定しておき、当該水分測
定値から、パン式造粒機に入る前の粉体に添加する水分
量を制御することにより、パン式造粒機内に保持されて
いる粉体の水分を8〜13%の範囲の適正な値で造粒す
る前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の還元炉向け
ペレット製造方法。 (7)転炉ガスの非燃焼式集塵機で集められ、シクナー
沈殿物として集められたダストを15〜75質量%含
む、酸化金属と炭素を含む粉体を用いる前記(1)乃至
(6)のいずれかに記載の還元炉向けペレット製造方
法。 (8)製鉄電気炉から発生するガスに含まれるダストを
15〜75質量%含む、酸化金属と炭素を含む粉体を用
いる前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の還元炉向
けペレット製造方法。 (9)前記(1)乃至(8)のいずれかの方法で製造し
たペレットを回転炉床式還元炉、ロータリーキルン、又
は、縦型シャフト炉で、焼成還元することを特徴とする
酸化金属の還元方法。 (10)炭素原子モル数が、酸化鉄、酸化マンガン、酸
化ニッケル、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化などの1200〜
1400℃の範囲で炭素によって還元される金属酸化物
の酸素原子モル数の0.5〜1.5倍である原料を用い
て、前記(1)乃至(8)のいずれかの方法で製造した
ペレットを、含有水分を2質量%以下に乾燥した後に、
回転炉床式還元炉の炉内雰囲気温度が、900〜120
0℃の部分に供給して、1200℃以上の温度で5分間
以上、焼成還元することを特徴とする酸化金属の還元方
法。 (11)平均直径が8〜20mmのペレットを平均層数
が2.0以下の条件で炉床上に敷詰めて、焼成還元する
前記(10)記載の酸化金属の還元方法、および、 (12)5〜30質量%の炭素含有粉体を含む粉体と金
属酸化物を含み、かつ、当該粉体が10μm以下の粒径
の粒子を20〜80%含んでいるパン式造粒機で球形に
製造された還元炉向けペレットである。
タリーキルン、回転炉床などの粉原料をペレットにして
使用する還元炉で、炭素を含む粉体を原料とするペレッ
トの製造方法と、これらの還元炉でのペレットの還元方
法についての技術についてのものである。ただし、ここ
では、最もペレット強度を必要とする回転炉床法での例
で説明する。
還元プロセス全体略図を図1に示す。この設備は、主と
して、複数の原料備蓄ビン1、混練装置5、パン式造粒
装置7、ペレット篩装置9、ペレット乾燥装置11、お
よび、回転炉13からなるものである。なお、本明細書
では、ボールミル式の混練装置と廃熱利用の熱風式のペ
レット乾燥装置を設置した例を示す。
能、還元のための化学成分、その他の特性をコントロー
ルする目的から、2種類以上のものを用いる。粒径、化
学成分、含有水分、その他の粉体毎の特徴に従い、原料
備蓄ビン1に個別に入れていく。
めて、複数の原料を原料コンベア2上に切り出す。粒
径、化学成分、および、含有水分を主な調整項目とし
て、混合比率を決める。還元反応を適切に行うために、
酸化金属と炭素の比率を適切にする。また、水分は、混
練装置5やパン式造粒装置7での適正な水分よりも低め
になるように設定する。
化金属と化学結合している酸素(活性酸素)によって決
まる。つまり、鉄やニッケルなどの酸化物は、回転炉床
式還元炉13の炉内で、1200℃前後の温度で炭素に
より還元される。回転炉床法での還元では、酸化金属と
炭素が一酸化炭素を形成する条件での還元反応が中心で
ある。したがって、炭素とこれらの酸化鉄を含む酸化物
の比率は、炭素の原子モル数が、これら酸化物中の活性
酸素の原子モル数に対する比率は1.0を中心基準とし
て、0.5〜1.5として配合することが望ましい。な
お、この際の炭素分の混合比率は、5〜25%程度であ
る。
ス、チャー、ピッチなどを用いる。石炭の場合は、固体
炭素と揮発分に含まれる炭素を含有している。固体炭素
は有効に還元反応に寄与するが、揮発分中の炭素は、還
元反応が始まる前に揮発してしまうため、還元には有効
に利用されない。したがって、余分な石炭の炭素分が必
要で、原料粉体への混合比率が多くなる。
の時に、粉体を軽度に破砕すると、造粒工程でのペレッ
トの生産が安定し、ペレット強度が向上することから、
ボールミルなどの破砕機能を持つ混練装置が望ましい。
混練装置5は、その機種とサイズにおいて適正な粉体水
分がある。ボールミルの場合は、水分が約6〜9%の範
囲であることが望ましい。
ベア6にて、パン式造粒装置7に送られる。ここでは、
約45%の傾斜した中華鍋型のパンで、粉体を転動し
て、生成核の周りに、粉をまぶして数mm〜30mm程
度のペレットを製造する。還元炉向けのペレットに要求
される強度は、圧潰強度が2×105N/m2以上、含水状
態の50cm落下強度が7回以上、乾燥状態の50cm落下
強度が3回以上である。
ットを製造するためには、まず、原料の粒径分布が適切
であることが重要である。例えば、従来の造粒技術で
も、74μm以下の粒子が60%以上存在していること
などが、要求されていた条件であった。しかし、本発明
で扱う原料粉体のように、炭素粉体を含む場合は、従来
技術での造粒では、安定した造粒操業と高強度のペレッ
ト製造ができなかった。つまり、炭素粉体は水となじみ
が悪く、ペレット中での粉体間の結合を弱くする。炭素
粉体は周りの粒子との結合が悪い結果、粒度構成がほぼ
同一の場合でも、炭素粉体を含むペレットは相対的に強
度が低い。炭素粉体の比率が高くなるほど、ペレット強
度が低下することも確認した。従来の造粒方法では、炭
素粉体がコークスやチャ−のように乾留されたものが5
%の混合率を超える場合は、高強度のものが製造できな
かった。また、石炭の場合は、この限界値が10%であ
った。
ペレット中の炭素粉体の周りには空隙が多いことを見出
した。その結果、圧潰強度が低かった。そこで、本発明
者らは、この空隙を埋めることが重要であるとの認識
で、10μm以下の粒子を原料粉体に混合して、造粒し
たところ、比較的粒径の大きな炭素粉体の周りを小さな
粒子が囲い、ペレットが緻密になり、ペレット強度が向
上した。
0μm以下の粒子が20%以上存在すると、還元炉向け
のペレットに要求される強度が実現できることが分かっ
た。また、パン式造粒装置7の中でのペレット径が均一
化されて、パン式造粒装置7からのペレット排出も一定
速度となって、造粒操業が安定した。一方、粉体中の1
0μm以下の粒子が80%以上となると、パン式造粒装
置7の内部でのペレット成長が遅くなり、密度の低いペ
レットしか製造できなくなる。これは、細かい粒子が多
すぎることにより、かえって、緻密化が阻害された結果
であった。つまり、緻密で高強度のペレットを製造する
には、粗い粒子と細かい粒子が適正な比率で混在してい
ることが重要であり、10μm以下の粒子が20〜80
%の範囲であることが重要な条件であった。
極端に多い場合は、細かい粒子を混合して、ペレット強
度を向上する効果も低下する。乾留処理された炭素粉体
の場合は、30%の混合比率を越えると、10μm以下
の粒子比率が適正でも、ペレット強度が要求値を超えな
かった。また、石炭の場合は、35%の混合比率を越え
ると、ペレット強度が要求値を超えなかった。したがっ
て、本発明での原料中の炭素粉体の比率は、乾留処理さ
れた炭素粉体の場合で5〜30%、石炭の場合で10〜
35%の範囲である。また、乾留処理された炭素粉体と
石炭を混合して使用する場合は、乾留処理された炭素粉
体の比率の2倍と石炭の比率の合計が10〜60%の範
囲である。
としては、色々な方法があるが、10μm以下の粒子比
率の高い粉体の混合比率を調整することが最も容易であ
る。このような粉体としては、転炉ガスの非燃焼式集塵
機経由で、シクナー沈殿物として集められたダスト(転
炉ダスト)を用いることが良い。転炉ダストは、10μ
m以下の粒子を80〜90%含んでおり、微粒子源とし
て望ましい。また、70%以上と鉄分の含有率も高いこ
とから、還元後に、鉄分比率が高い良質の還元ペレット
が製造できる効果もある。転炉ダストの混合比率は、1
5〜75%が良い。また、製鉄電気炉から発生するガス
に含まれるダスト(電炉ダスト)も同様の効果があり、混
合比率は、15〜75%が良い。ただし、電炉ダストは
鉄分比率が少ないことから、高鉄比率の還元ペレット製
造の効果はない。
度のペレットを製造するためには、原料粉体の粒径分布
以外にも、含有水分が適正である必要がある。したがっ
て、パン式造粒装置7では原料水分をきめ細かく制御す
る必要がある。水分が低すぎると、ペレット成長が遅
く、緻密で強度の高いペレットを製造できない。また、
水分が多すぎると、成長を始めた小径のペレット同士が
くっ付いて、異常な形状で、強度が極端に低いペレット
ができる。この状態では、また、ペレットが造粒装置か
ら安定して出てこなくなり、間欠的なペレット排出が行
われるようになる。この結果、下流工程であるペレット
乾燥装置11や回転炉13の時間当たりの処理量が短時
間で変動して、プロセス操業全体が不安定となる。
適正な水分値を求めたところ、粉体の種類や粒径により
異なるが、8〜13%の間に適正な値があることを見出
した。ただし、粉体の種類と粒径が同一の間は、水分の
変動幅を2%以下としないと、前述した問題が生じて、
造粒が不安定となる。したがって、混練工程で造粒に適
切な水分に調整することは重要である。混練工程での適
正水分が造粒工程の水分値よりも低い場合は、混練工程
と造粒工程の間に、図1には示されていないが、水分添
加装置で、水分を適正範囲に調整する。
合がある。このような場合にはバインダーを混合するこ
とが有効な方法である。本発明者らは、高温の炉内でペ
レットを還元する際に障害となるガスや水分を出さない
バインダーは、ベントナイトとコーンスターチであるこ
とを見出した。これらのバインダーの適正な混合率は、
ベントナイトで0.5〜4%、コーンスターチで1%以
下であった。この比率以上のバインダーを混合すると、
水分が多い場合と同じで、成長過程の小径ペレット同士
がくっ付く現象が起き、造粒操作の安定性とペレット強
度に問題が生ずる。
ば、気孔率が32%以下の緻密なペレットを製造するこ
とができる。この結果、圧潰強度2×105N/m2以上
で、水分を含んだ状態で50cm落下強度7〜10回、乾
燥した状態で、50cm落下強度3〜6回のペレットを製
造できる。これは、還元炉での使用条件を満足するもの
である。
分級して、粉と大粒径のペレットを排除した後に、これ
を乾燥して、回転炉13で、焼成還元する。乾燥したペ
レットは、回転炉の炉内雰囲気温度が900〜1200
℃の部分に供給される。気孔率が32%以下と緻密なペ
レットをこのような高温雰囲気に供給すると、内部の水
分蒸発による爆裂の危険があるため、水分を2%以下と
することが重要である。
12で、回転炉13に送られて、ここで焼成還元され
る。還元されたペレットは、炉内から排出されて、還元
ペレット冷却装置14で冷却されて、還元ペレットコン
ベア15経由で、還元ペレット備蓄槽16に蓄えられ
る。燃焼排ガスは、排気ダクト17から、熱交換器18
に送られて、ここで空気を加熱する。この空気はペレッ
トの乾燥の熱源として用いられる。その後、燃焼排ガス
は集塵機19で除塵されて、煙突20から大気に放散さ
れる。
は、天井22と炉壁23の下に、車輪27上を移動する
回転式の炉床25がある構造である。ペレット28は炉
床25上に静置されて、炉内を一周する。炉内では、バ
ーナー24から燃料ガスを炊き、火炎26の熱により、
ガスの最高温度を1200〜1400℃の間の適正な温
度とする。ペレット28は、当初、ガスの酸化度が高
く、900〜1200℃の炉内部分(加熱帯)に入り、
加熱される。その後、ガス酸化度が低く、高温の部分
(還元帯)で、ペレットは還元される。
に還元する温度は1200℃以上であることから、焼成
温度は1200℃以上が良く、還元時間は最低5分であ
る。回転炉13の熱伝達は、ペレット上部の高温ガスの
輻射と炉床26からの伝熱である。したがって、ペレッ
ト積層数が2までは、上下どちらかからの直接熱伝達を
受けるが、ペレット積層数が2以上の場合は、中間のペ
レットが直接に伝熱を受けなく、還元反応が延長する。
したがって、ペレットの平均層数は2.0以下が望まし
い。このような回転炉13の内での熱伝達の形態と速度
を考慮すると、ペレット平均径は8〜20mmが良い。
ペレット平均径が8mm以下では、炉床面積当たりの生
産性が低下し、また、ペレット平均径が20mm以上の
場合は、ペレット内部の熱伝達遅れにより、5分程度の
反応時間では、中心部分の還元反応が終了しない。
炉内から、排出されて、還元ペレット冷却装置14で冷
却される。その後に、高炉や電炉で使用される。
回転炉床法だけでなく、ロータリーキルン法による還
元、炉高さの低い縦型シャフト炉での還元にも使用でき
る。ロータリーキルン法では、高強度のペレットの製造
によるキルン内部のダムリング生成防止の効果があり、
また、縦型シャフト炉では、粉の発生による炉内ガス通
気の障害防止の効果がある。
いた実施例の操業結果を示す。この設備は、毎時15ト
ンの高炉向け還元鉄ペレットを製造するものである。原
料は、ペレットフィードの粉鉱石、転炉ガスダスト、お
よび、コークス粉であった。
(Fe2O3)が89%で、平均粒径が68μm、10μ
m以下の粒子の比率が13%のものであった。また、転
炉ガスダストは、酸化第一鉄(FeO)が34%、金属
鉄が43%で、平均粒径が6μm、10μm以下の粒子
の比率が81%のものであった。集塵コークス粉は、炭
素が83%で、平均粒径が89μm、10μm以下の粒
子の比率が8%のものであった。
0%、転炉ガスダストを37%、および、コークス粉を
23%の比率で混合して、原料搬送コンベア2の上に切
り出した。この混合物の10μm以下の粒子比率は36
%であった。また、炭素と酸化鉄と結合している酸素と
の原子モル比率は0.86であった。この混合物の構成
は、本発明の配合の通りであった。
とから、約9%の水分となるように、事前に散水して加
水した後、造粒安定化の目的で、パン式造粒装置7で、
約1%の水分を散水する。この方法により、パン式造粒
装置7での適正水分比率である9.5〜11%とする。
なお、本実施例では、バインダーとして、ベントナイト
を粉体質量の1.4%添加した。造粒されたペレット
は、平均径が13.4mmで、平均圧潰強度2.9×1
05N/m2の強度の強いペレットであった。また、このペ
レットの50cm落下強度は、含水状態で9回、乾燥状態
で4回であった。
した。この間に、還元前に壊れたペレットは全体の7.
5%であった。12分間、最高1320℃の温度で、還
元されたペレットの4mmオーバーの粒比率は92%
で、金属化率は92%と良好であった。
を行った結果を示す。設備は図1のものを用いたが、操
業方法は、従来のままのものである。原料としては、前
出のペレットフィード粉鉱石74%と集塵コークス粉2
6%の混合物を用いた。この時の10μm以下の粒子比
率は12%で、また、炭素と酸化鉄と結合している酸素
との原子モル比率は1.0であった。
造粒装置7で、ペレットにした。操業方法は、実施例と
同じであった。この結果、平均径が12.8mmのペレ
ットを得たが、平均圧潰強度が1.3×105N/m2であ
り、強度が低かった。また、このペレットの50cm落下
強度は、含水状態で5回、乾燥状態で1回であった。
燥、および、還元した。その結果、還元前に壊れたペレ
ットは全体の19.8%と多かった。還元ペレットの4
mmオーバーの粒比率は78%と少なく、かつ、金属化
率は78%と低かった。このように、操作や搬送中に壊
れるペレットの比率が多く、また、炉床25上で粉化し
た比率も多かったため、粉が炉内や排出後に再酸化され
て、金属化率も大幅に低下していた。
施例では、処理途中で壊れるペレットが少なく、かつ、
製品の還元ペレットの粒比率と金属化率が高い操業が行
えた。一方、比較例では、これらの成績が悪かった。
の使用に耐える強度の高い原料ペレットを製造できる。
このペレットを壊すことなく、ロータリーキルンや回転
炉床式還元炉までの還元炉で焼成還元することができ
る。回転炉床法でこのペレットを使用することにより、
効率良く還元金属を製造できる。
ロー図であり、原料準備工程から還元工程を示すもので
ある。
Claims (12)
- 【請求項1】 金属酸化物を含み、かつ、炭素含有粉体
を含む粉体を、パン式造粒機で球形のペレットを製造す
るに際して、当該粉体が10μm以下の粒径の粒子を2
0〜80%含んでいることを特徴とする還元炉向けペレ
ット製造方法。 - 【請求項2】 金属酸化物を含み、かつ、乾留処理を受
けた炭素含有粉体を5〜30質量%含む粉体を、パン式
造粒機で球形のペレットを製造するに際して、当該粉体
が10μm以下の粒径の粒子を20〜80%含んでいる
ことを特徴とする請求項1記載の還元炉向けペレット製
造方法。 - 【請求項3】 金属酸化物を含み、かつ、粉石炭を10
〜35質量%含む混合粉体を、パン式造粒機で球形のペ
レットを製造するに際して、当該粉体が10μm以下の
粒径の粒子を20〜80%含んでいることを特徴とする
請求項1記載の還元炉向けペレット製造方法。 - 【請求項4】 金属酸化物を含み、かつ、乾留処理を受
けた炭素含有粉体の質量比率の2倍と石炭の質量比率の
合計が10〜60%である粉体を、パン式造粒機で球形
のペレットを製造するに際して、当該粉体が10μm以
下の粒径の粒子を20〜80%含んでいることを特徴と
する請求項1記載の還元炉向けペレット製造方法。 - 【請求項5】 造粒時のバインダーとして、ベントナイ
トを0.5〜4質量%、または、コーンスターチを1質
量%以下の比率で、原料粉体に混合することを特徴とす
る請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の還元炉向け
ペレット製造方法。 - 【請求項6】 予め原料粉体の水分を測定しておき、当
該水分測定値から、パン式造粒機に入る前の粉体に添加
する水分量を制御することにより、パン式造粒機内に保
持されている粉体の水分を8〜13%の範囲の適正な値
で造粒することを特徴とする請求項1乃至請求項5のい
ずれかに記載の還元炉向けペレット製造方法。 - 【請求項7】 転炉ガスの非燃焼式集塵機で集められ、
シクナー沈殿物として集められたダストを15〜75質
量%含む、酸化金属と炭素を含む粉体を用いることを特
徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の還元
炉向けペレット製造方法。 - 【請求項8】 製鉄電気炉から発生するガスに含まれる
ダストを15〜75質量%含む、酸化金属と炭素を含む
粉体を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6の
いずれかに記載の還元炉向けペレット製造方法。 - 【請求項9】 請求項1乃至請求項8のいずれかの方法
で製造したペレットを回転炉床式還元炉、ロータリーキ
ルン、又は、縦型シャフト炉で、焼成還元することを特
徴とする酸化金属の還元方法。 - 【請求項10】 炭素原子モル数が、1200〜140
0℃の範囲で炭素によって還元される金属酸化物の酸素
原子モル数の0.5〜1.5倍である原料を用いて、請
求項1乃至請求項8のいずれかの方法で製造したペレッ
トを、含有水分を2質量%以下に乾燥した後に、回転炉
床式還元炉の炉内雰囲気温度が、900〜1200℃の
部分に供給して、1200℃以上の温度で5分間以上、
焼成還元することを特徴とする酸化金属の還元方法。 - 【請求項11】 平均直径が8〜20mmのペレットを
平均層数が2.0以下の条件で炉床上に敷き詰めて、焼
成還元することを特徴とする請求項7記載の酸化金属の
還元方法。 - 【請求項12】 5〜30質量%の炭素含有粉体を含む
粉体と金属酸化物を含み、かつ、当該粉体が10μm以
下の粒径の粒子を20〜80%含んでいるパン式造粒機
で球形に製造された還元炉向けペレット。
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