JP2002105254A - エチレン共重合体組成物およびその用途ならびにプロピレン重合体組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

エチレン共重合体組成物およびその用途ならびにプロピレン重合体組成物およびそれからなる成形体

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JP2002105254A JP2000302526A JP2000302526A JP2002105254A JP 2002105254 A JP2002105254 A JP 2002105254A JP 2000302526 A JP2000302526 A JP 2000302526A JP 2000302526 A JP2000302526 A JP 2000302526A JP 2002105254 A JP2002105254 A JP 2002105254A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】改質剤として用いたときに、樹脂の剛性と、特
に低温での引張破断点伸びや耐衝撃性を改質できるとと
もに、かつ改質剤として使用する際にブロッキングなど
の問題が起こりにくく生産性、作業性に優れたエチレン
共重合体組成物を提供すること。 【解決手段】エチレン共重合体組成物は、エチレンと、
炭素原子数4〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフ
ィンとの共重合体であって、エチレン含量、密度、
[η]、ガラス転移温度、結晶化度、Tαβ/Tααお
よびB値が特定の範囲にあるエチレン・α-オレフィン
共重合体(A)と、エチレンと、炭素原子数3〜20の
直鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび環状オレフ
ィンからなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィ
ンとの共重合体であって、エチレン含量、密度、MFR
等が特定の範囲にあるエチレン共重合体(B)および
(C)とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリプロピレンなどの樹
脂の改質剤として有用なエチレン共重合体組成物ならび
にこのエチレン共重合体組成物を含むプロピレン重合体
組成物およびこの組成物からなる成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、ポリプロピレン樹脂の耐衝
撃性を向上させる目的で、ポリプロピレン樹脂にエチレ
ン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体な
どのエラストマーを改質剤として配合する手法がよく知
られている。しかしながら、ポリプロピレン樹脂にエラ
ストマーを配合すると、樹脂の剛性が低下してしまうた
め、エラストマーの配合量には制限があった。また、た
とえばポリプロピレン樹脂成形体などの樹脂成形体に
は、常温での耐衝撃性だけではなく、低温での耐衝撃性
が要求される場合がある。低温衝撃性は、常温での耐衝
撃性と必ずしも一致するものではなく、このような低温
衝撃性を高めるためには、改質剤として柔らかいゴムを
使うことが考えられるが、このような柔らかいゴムをポ
リプロピレン樹脂に配合すると成形体の剛性を損なうこ
とになり、上記と同じ問題を抱えることになる。
【0003】このため、剛性と耐衝撃性とのバランスが
高レベルで保持できるような改質剤が求められている。
一方、上記のような樹脂成形体には、実用に際して破壊
されないことが求められている。このため樹脂成形体に
は、高い剛性を維持したまま破断点強度・耐衝撃強度が
高いことが求められており、すなわち剛性と引張破断点
伸びとのバランスが高レベルであるような樹脂改質剤の
出現が求められていた。
【0004】特開平6−192500号公報には、ポリ
プロピレン重合体に特定の性状を有するエチレン・α-
オレフィン共重合体を配合することによって、剛性と耐
衝撃性の物性バランスのよい組成物を得ることが開示さ
れている。しかしながら、この組成物では、剛性と低温
衝撃強度、剛性と引張伸び特性のバランスに関して不充
分であり、改良が求められていた。
【0005】さらに、このように樹脂改質する際に、樹
脂改質剤の中には、混練時に、混練機の供給部、たとえ
ばホッパーなどでブロッキングを起こすものがあり、こ
のため生産性が悪化し、また、得られた改質物の物性が
一定しないなどの問題なることもあった。このため、ポ
リプロピレン樹脂などの樹脂の剛性を保ったまま、特に
引張破断点伸びや低温での耐衝撃性を改質し、しかも改
質剤を用いる際に、ブロッキングなどの問題が起こりに
くく、生産性・作業性にも優れた樹脂改質剤の出現が切
望されていた。
【0006】なお、本願出願人は、このような樹脂改質
剤として、特開平10−273563号公報にて、特定
の(A)エチレンと炭素原子数4〜20のα-オレフィ
ン共重合体と、特定の(B)エチレンと炭素原子数3〜
20のα-オレフィン共重合体または特定の(C)高密
度ポリエチレンとからなる組成物を提案している。しか
しながら、これらの組成物を用いて改質しても、必ずし
も耐衝撃性および曲げ弾性率のバランスに優れた樹脂組
成物を得られないことがあった。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、改質剤として用
いたときに、ポリプロピレン樹脂などの樹脂の剛性と、
特に低温での引張破断点伸びや耐衝撃性を改質できると
ともに、かつ改質剤として使用する際にブロッキングな
どの問題が起こりにくく生産性、作業性に優れたエチレ
ン共重合体組成物を提供することを目的としている。
【0008】また、本発明は、上記のようなエチレン共
重合体組成物を含むプロピレン重合体組成物およびそれ
からなる成形体を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るエチレン共重合体組成物
は、(A)エチレンと、炭素原子数4〜20の直鎖状ま
たは分岐状のα-オレフィンとの共重合体であって、
(i)エチレンから誘導される構成単位の含量が50〜
70モル%、炭素原子数4〜20の直鎖状または分岐状
のα-オレフィンから誘導される構成単位の含量が30
〜50モル%の範囲にあり、(ii)密度が0.863g
/cm3以下であり、(iii)135℃デカリン中で測定
される極限粘度[η]が0.1〜10.0dl/gの範
囲にあり、(iv)示差走査型熱量計で測定したガラス転
移温度が−60℃以下であって、結晶化度が1%以下で
あり、(v)13C-NMRスペクトルにおけるTααに
対するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.5以下
であり、(vi)下記一般式(1) B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1) (式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導され
る構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体
中のα-オレフィンから誘導される構成単位の含有モル
分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dya
d)連鎖に対するエチレン・α-オレフィン連鎖数の割合
であり、13C-NMRスペクトルにより求められる。)
から求められるB値が0.9〜1.5の範囲にあるエチ
レン・α-オレフィン共重合体と、(B)エチレンと、
炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフ
ィンおよび環状オレフィンからなる群より選ばれる少な
くとも1種のオレフィンとの共重合体であって、(i)
エチレンから誘導される構成単位の含量が80〜87モ
ル%、炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-
オレフィンおよび環状オレフィンから誘導される構成単
位の含量が13〜20モル%の範囲にあり(ii)密度が
0.860〜0.884g/cm3の範囲にあり、(ii
i)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフロー
レートが0.3〜50g/10分の範囲にあるエチレン共
重合体と、(C)エチレンと、炭素原子数3〜20の直
鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび環状オレフィ
ンからなる群より選ばれる少なくとも1種のオレフィン
との共重合体であって、(i)エチレンから誘導される
構成単位の含量が89〜99モル%、炭素原子数3〜2
0の直鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび環状オ
レフィンから誘導される構成単位の含量が1〜11モル
%の範囲にあり、(ii)密度が0.885〜0.930
g/cm3の範囲にあり、(iii)190℃、2.16k
g荷重におけるメルトフローレートが0.3〜50g/
10分の範囲にあり、(iv)示差走査型熱量計で測定した
吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm(℃))
と密度(d(g/cm3 ))とが、 Tm<400×d−250 で示される関係を満足するエチレン共重合体とからな
り、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を3
0〜70重量%、前記エチレン共重合体(B)を1〜6
9重量%、前記エチレン共重合体(C)を1〜69重量
%の割合で含有することを特徴としている。
【0010】本発明に係る樹脂改質剤は、上記エチレン
共重合体組成物からなることを特徴としている本発明に
係るプロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体
(D)と、前記エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)と、前記エチレン共重合体(B)と、前記エチレ
ン共重合体(C)とからなり、ロピレン系重合体(D)
を98〜60重量%の割合で含有し、エチレン・α-オ
レフィン共重合体(A)、エチレン共重合体(B)およ
びエチレン共重合体(C)を合計で2〜40重量%の割
合で含有し、かつエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)、エチレン共重合体(B)およびエチレン共重合
体(C)の合計量を100重量%としたときに、エチレ
ン・α-オレフィン共重合体(A)を30〜70重量
%、エチレン共重合体(B)を1〜69重量%およびエ
チレン共重合体(C)を1〜69重量%の割合で含有す
ることを特徴としている。
【0011】前記プロピレン重合体(D)は、230
℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが
0.01g/10分以上であることが好ましい。本発明に
係るプロピレン重合体組成物は、弾性率の温度依存性を
測定したときに、プロピレン重合体(D)のガラス転移
温度に起因する減衰率のピークと、エチレン共重合体組
成物(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチ
レン・α-オレフィン共重合体(B)とエチレン系共重
合体(C)との組成物)のガラス転移温度に起因する減
衰率のピークとが存在し、かつ両ピークが分離している
ことが好ましい。
【0012】本発明に係る成形体は、前記プロピレン重
合体組成物からなることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るエチレン共重
合体組成物およびその用途ならびにプロピレン重合体組
成物およびそれからなる成形体について具体的に説明す
る。 [エチレン共重合体組成物]本発明に係るエチレン共重
合体組成物は、エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)と、エチレン共重合体(B)と、エチレン共重合
体(C)とから形成されている。
【0014】まず本発明に係るエチレン共重合体組成物
を構成する各成分について説明する。エチレン・α−オレフィン共重合体(A) 本発明で用いられるエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、エチレンと炭素原子数4〜20の直鎖状また
は分岐状のα-オレフィンとの共重合体である。
【0015】この炭素原子数4〜20のα-オレフィン
として具体的には、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチ
ル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-ン1-オク
テン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1
-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オク
タデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらのう
ち、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましい。
【0016】(i)エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、エチレンから誘導される構成単位を50〜7
0モル%、好ましくは55〜68モル%、炭素原子数4
〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンから誘導
される構成単位を30〜50モル%、好ましくは32〜
45モル%の割合で含有する。各構成単位の含有割合が
上記範囲内にあると、耐ブロッキング性に優れた組成物
を得ることができる。
【0017】(ii)エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、密度が0.863g/cm3以下であり、好
ましくは0.855〜0.860g/cm3の範囲にあ
る。密度が上記範囲内にあると、耐ブロッキング性に優
れた組成物を得ることができる。 (iii)エチレン・α-オレフィン共重合体(A)は、1
35℃、デカリン中で測定される極限粘度[η]が0.
1〜10.0dl/g、好ましくは1〜8dl/g、よ
り好ましくは2〜7dl/gの範囲にある。極限粘度
[η]が上記範囲内にあると、表面硬度に優れた組成物
を得ることができる。
【0018】(iv)エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラ
ス転移温度が−60℃以下、好ましくは−80〜−60
℃であり、結晶化度が1%以下、好ましくは0〜0.5
%以下である。ガラス転移温度および結晶化度が上記範
囲内にあると、低温衝撃性に優れた組成物を得ることが
できる。
【0019】(v)エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、13C-NMRスペクトルにおけるTααに対
するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.5以下、
好ましくは、0.2以下、より好ましくは0.01未満
である。ここで13C-NMRスペクトルにおけるTαα
およびTαβは、炭素原子数4以上のα-オレフィンか
ら誘導される構成単位中のCH2のピーク強度であり、
下記に示すように第3級炭素に対する位置が異なる2種
類のCH2を意味している。
【0020】
【化1】
【0021】このようなTαβ/Tαα強度比は、下記
のようにして求められる。エチレン・α-オレフィン共
重合体(A)の13C−NMRスペクトルを、たとえば日
本電子(株)製JEOL-GX270 NMR測定装置を用いて測
定する。測定は、試料濃度5重量%になるように調整さ
れたヘキサクロロブタジエン/d6-ベンゼン=2/1
(体積比)の混合溶液を用いて、67.8MHz、25
℃、d6-ベンゼン(128ppm)基準で行う。測定さ
れた13C-NMRスペクトルを、リンデマンアダムスの
提案(Analysis Chemistry43, p1245(1971))、J.C.Rand
all (Review Macromolecular Chemistry Physics, C29,
201(1989)) に従って解析して、Tαβ/Tαα強度比
を求める。
【0022】(vi)エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)は、下記一般式(1)で表されるB値が、0.9
〜1.5、好ましくは1.0〜1.2の範囲にある。 B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1) (式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導され
る構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体
中のα-オレフィンから誘導される構成単位の含有モル
分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dya
d)連鎖に対するエチレン・α-オレフィン連鎖数の割合
であり、13C-NMRスペクトルにより求められる。) このB値は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)
中のエチレンと炭素原子数4〜20のα-オレフィンと
の分布状態を表す指標であり、J.C.Randall(Macromolec
ules, 15, 353(1982))、J.Ray(Macromolecules, 10, 77
3(1977)) らの報告に基づいて求めることができる。
【0023】上記B値が大きいほど、エチレンまたはα
-オレフィンのブロック的連鎖が短くなり、エチレンお
よびα-オレフィンの分布が一様であり、共重合ゴムの
組成分布が狭いことを示している。なおB値が1.0よ
りも小さくなるほどエチレン・α-オレフィン共重合体
の組成分布は広くなり、取扱性が低下することがある。
【0024】エチレン・α-オレフィン共重合体(A)
の製造方法 このようなエチレン・α-オレフィン共重合体(A)
は、メタロセン系触媒の存在下にエチレンと炭素原子数
4〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンとを共
重合させることによって製造することができる。このよ
うなメタロセン系触媒は、(a)メタロセン化合物と、
(b)有機アルミニウムオキシ化合物および/または
(c)メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形
成する化合物(以下「イオン化イオン性化合物」という
ことがある。)とから形成されていてもよく、さらにメ
タロセン化合物(a)、有機アルミニウムオキシ化合物
(b)および/またはイオン化イオン性化合物(c)と
ともに有機アルミニウム化合物(d)とから形成されて
いてもよい。
【0025】以下にこれらの各成分について説明する。(a)メタロセン化合物 本発明で用いられるメタロセン系触媒を形成するメタロ
セン化合物(a)は、周期表第4族から選ばれる遷移金
属のメタロセン化合物であり、具体的には下記一般式
(2)で表される。
【0026】MLx …(2) 一般式(2)において、Mは周期表第4族から選ばれる
遷移金属を示し、Mで示される遷移金属の具体的なもの
としては、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムなど
が挙げられる。xは遷移金属Mの原子価を満たす数であ
る。
【0027】Lは遷移金属Mに配位する配位子であり、
これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタ
ジエニル骨格を有する配位子である。このシクロペンタ
ジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよ
い。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとして
は、たとえばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペ
ンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-ま
たはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec
-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシク
ロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエ
ニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチル
ベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシ
クロアルキル置換シクロペンタジエニル基;インデニル
基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル
基などが挙げられる。
【0028】上記シクロペンタジエニル骨格を有する基
は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置
換されていてもよい。一般式(2)で表される化合物が
配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を
2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタ
ジエニル骨格を有する基同士が、エチレン、プロピレン
などのアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメ
チレンなどの置換アルキレン基;シリレン基またはジメ
チルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニ
ルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合し
ていてもよい。
【0029】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配
位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、
アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−
SO3a)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R
aはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル
基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール
基、アルキル基で置換されたアリール基などである。)
などが挙げられる。
【0030】炭素原子数1〜12の炭化水素基として
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基および
アラルキル基などが挙げられる。具体的には、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチ
ル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル
基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基な
どのアリール基;ベンジル基、ネオフィル基などのアラ
ルキル基などが挙げられる。
【0031】アルコキシ基としては、メトキシ基、エト
キシ基、n-プロポキシ基などが挙げられる。アリーロキ
シ基としては、フェノキシ基などが挙げられる。スルホ
ン酸含有基(-SO3a)としては、メタンスルホナト
基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロメタンスル
ホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基などが挙げら
れる。
【0032】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素が挙げられる。前記一般式(2)で表される
メタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4で
ある場合、より具体的に、下記一般式(3)で表され
る。 R2 k 3 l 4 m 5 n M …(3) (一般式(3)中、Mは一般式(2)と同じ遷移金属で
あり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配
位子)であり、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシ
クロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基
(配位子)であり、kは1以上の整数、k+l+m+n
=4である。) このようなメタロセン化合物(a)としては、例えばビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(n-プロピルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ヘキ
シルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリド、ビス(メチル-n-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ジメチ
ル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジク
ロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジブロミド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムメトキシクロリド、ビス(n-ブチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブ
トキシクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムエトキシド、ビス(n-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、ビス(n-
ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベ
ンジルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジベンジル、ビス(n-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイド
ライドクロリドなどが挙げられる。なお、上記例示にお
いて、シクロペンタジエニル環の二置換体は、1,2-およ
び1,3-置換体を含む。
【0033】上記のようなジルコニウム化合物におい
て、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム
金属に置き換えたメタロセン化合物(a)を例示するこ
とができる。さらにメタロセン化合物(a)として、前
記一般式(3)中の、R2、R3、R 4およびR5の少なく
とも2個、たとえばR2およびR3がシクロペンタジエニ
ル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2
個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基
または置換シリレン基などを介して結合されているブリ
ッジタイプのメタロセン化合物を挙げることもできる。
このときR4およびR5は、互いに同一でも異なっていて
もよく、一般式(2)中で説明したシクロペンタジエニ
ル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0034】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物(a)としては、エチレンビス(インデニル)ジメ
チルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジ
エニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフ
ェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジル
コニウムジクロリド、および下記一般式(4)で表され
る特開平4-268307号記載のメタロセン化合物が
挙げられる。
【0035】
【化2】
【0036】上記一般式(4)において、M1は周期表
第4族の金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニ
ウム、ハフニウムなどが挙げられる。一般式(4)にお
いて、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていても
よく、水素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜
3のアルキル基;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜
3のアルコキシ基;炭素原子数6〜10、好ましくは6
〜8のアリール基;炭素原子数6〜10、好ましくは6
〜8のアリールオキシ基;炭素原子数2〜10、好まし
くは2〜4のアルケニル基;炭素原子数7〜40、好ま
しくは7〜10のアリールアルキル基;炭素原子数7〜
40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基;炭素
原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケ
ニル基;またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子から
選ばれる。
【0037】一般式(4)において、R3およびR4は、
水素原子;ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素
原子または臭素原子;ハロゲン化されていてもよい炭素
原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基;炭素
原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基;−N
(R102、−SR10、−OSi(R103、−Si(R
103または−P(R102基である。上記R10はハロゲ
ン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好
ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜1
0、好ましくは6〜8のアリール基から選ばれる。R3
およびR4は互いに同じでも異なっていてもよく、特に
水素原子であることが好ましい。
【0038】一般式(4)において、R5およびR6は、
水素原子を除くR3およびR4で例示した基と同様のもの
が挙げられる。R5およびR6は、互いに同じでも異なっ
ていてもよく、好ましくは同じである。R5およびR6
しては、炭素原子数1〜4のアルキル基またはハロゲン
置換アルキル基が好ましく、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびイ
ソブチル基またはトリフルオロメチル基などであり、特
にメチル基が好ましい。
【0039】一般式(4)において、R7
【0040】
【化3】
【0041】−B(R11)−、−Al(R11)−、−G
e−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO2
−N(R11)−、=CO、−P(R11)−または−P
(O)(R11)−である。一般式(4)において、
11、R12およびR13は、水素原子;ハロゲン原子;炭
素原子数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、さ
らに好ましくはメチル基;炭素原子数1〜10のフルオ
ロアルキル基、好ましくはCF3基;炭素原子数6〜1
0、好ましくは6〜8のアリール基;炭素原子数6〜1
0のフルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフ
ェニル基;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4のア
ルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基;炭素原子数2
〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素原子数
7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;
炭素原子数8〜40、好ましくは8〜12のアリールア
ルケニル基;または炭素原子数7〜40、好ましくは7
〜12のアルキルアリール基から選ばれる。
【0042】「R11とR12」または「R11とR13」と
は、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を
形成してもよい。R11、R12およびR13は互いに同じで
も異なっていてもよい。上記M2はケイ素、ゲルマニウ
ムまたは錫であり、好ましくはケイ素またはゲルマニウ
ムである。
【0043】上記R7は、−C(R11)(R12)−、−Si
(R11)(R12)−、−Ge(R11)(R12)−、−O−、−S
−、=SO、−P(R11)−または−P(O)(R11)−であ
ることが好ましい。一般式(4)において、R8および
9としては上記R11と同じものが挙げられる。R8およ
びR9は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0044】一般式(4)において、mおよびnはそれ
ぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m
+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
mおよびnは互いに同じであっても異なっていてもよ
い。また、前記一般式(3)で表されるメタロセン化合
物(a)としては、rac-エチレン(2-メチル-1-インデニ
ル)2-ジルコニウム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレ
ン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライ
ドなどが挙げられる。
【0045】これらのような一般式(3)で表されるメ
タロセン化合物(a)は、公知の方法にて製造すること
ができる(たとえば、特開平4-268307号公報参
照)。さらにまた、一般式(3)で表されるメタロセン
化合物(a)として、下記一般式(5)で表されるメタ
ロセン化合物を挙げることもできる。
【0046】
【化4】
【0047】一般式(5)において、Mは周期表第4族
の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコ
ニウム、ハフニウムなどである。一般式(5)におい
て、R1およびR2は、互いに同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭
化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素
基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含
有基またはリン含有基を示し、 具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲ
ン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシ
ル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ア
イコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル
基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアル
ケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピ
ルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメ
チルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、
プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフ
チル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール
基などの炭素原子数1〜20の炭化水素基;前記炭化水
素基にハロゲン原子が置換した炭素原子数1〜20のハ
ロゲン化炭化水素基;メチルシリル、フェニルシリルな
どのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェ
ニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシ
リル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシ
クロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフ
ェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシ
リル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリ
ル、トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリ
ルのシリルエーテル、トリメチルシリルメチルなどのケ
イ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどの
ケイ素置換アリール基、などのケイ素含有基;ヒドロオ
キシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシな
どのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジ
メチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、
フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールア
ルコキシ基などの酸素含有基;前記酸素含有基の酸素が
イオウに置換した置換基などのイオウ含有基;アミノ
基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、
ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシル
アミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフ
ェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メ
チルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアル
キルアリールアミノ基などの窒素含有基;ジメチルフォ
スフィノ、ジフェニルフォスフィノ等のフォスフィノ基
などのリン含有基などが挙げられる。
【0048】これらのうち、炭化水素基が好ましく、特
にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3の
アルキル基が好ましい。一般式(5)において、R3
4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素
原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。これら
は、前記R1およびR2と同様のものが挙げられる。これ
らのうち、水素、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素
基であることが好ましい。
【0049】またR3とR4、R4とR5、R5とR6のうち
少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族
環を形成していてもよく、芳香族環を含む配位子として
は、下記一般式(6)〜(8)で表されるものが挙げら
れる。
【0050】
【化5】
【0051】このような一般式(5)で表されるメタロ
セン化合物(a)は、R3、R4、R 5およびR6のうち
(芳香族環を形成する基以外の基は)炭化水素基または
ハロゲン化炭化水素基が2種以上ある場合には、これら
が互いに結合して環状になっていてもよい。なおR6
芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であること
が好ましい。
【0052】一般式(5)において、X1およびX2は、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン
化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。
ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素
原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の
具体的なものとしては、前記R1およびR2で例示したも
のと同様のものが挙げられる。
【0053】またイオウ含有基としては、前記R1、R2
と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロ
メタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベン
ジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリ
メチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼ
ンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、
ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォ
ネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネ
ート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネ
ート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフル
オロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が
挙げられる。
【0054】一般式(5)において、Yは、炭素原子数
1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2
価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−
CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR7−、−
P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7−または−Al
7−(ただし、R7は水素原子、前記R1、R2と同様の
ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素
原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。)を示
す。
【0055】このようなYとして具体的には、メチレ
ン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-
エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,
2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアル
キレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチ
レンなどのアリールアルキレン基などの炭素原子数1〜
20の2価の炭化水素基;クロロメチレンなどの上記炭
素原子数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した
ハロゲン化炭化水素基;メチルシリレン、ジメチルシリ
レン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ
(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレ
ン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ
(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレ
ンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレ
ン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレ
ン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジ
シリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシ
リレン基などの2価のケイ素含有基;上記2価のケイ素
含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマ
ニウム含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズ
に置換した2価のスズ含有基置換基などが挙げられる。
【0056】これらのうち、2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが
好ましく、さらに2価のケイ素含有基が好ましく、特に
アルキルシリレン基、アルキルアリールシリレン基、ア
リールシリレン基が好ましい。このような一般式(5)
で表される化合物では、R3、R4、R5およびR6のう
ち、R3を含む2個の基が炭素原子数1〜20のアルキ
ル基であることが好ましく、特に、R3とR5、またはR
3とR6がアルキル基であることが好ましい。このアルキ
ル基は、2級または3級アルキル基であることが好まし
く、このようなアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含
有基で置換されていてもよい。
【0057】ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、前
記R1、R2で例示した置換基が挙げられる。さらに
3、R4、R5およびR6の中で、アルキル基以外の基
は、水素原子であることが好ましい。炭素原子数1〜2
0のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロ
ピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-
ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、ドデシルアイコシル基、ノルボルニル基、アダマン
チル基などの鎖状アルキル基および環状アルキル基;ベ
ンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ト
リルメチル基などのアリールアルキル基などが挙げら
れ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0058】また、R3、R4、R5およびR6は、これら
から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の
単環あるいは多環を形成していてもよい。このようなメ
タロセン化合物(a)として、具体的には、rac-ジメチ
ルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニ
ウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-ト
リメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-
ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニ
ル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0059】上記のような化合物においてジルコニウム
金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換したメ
タロセン化合物(a)を用いることもできる。上記メタ
ロセン化合物(a)は、通常ラセミ体として用いられる
が、R型またはS型を用いることもできる。また、一般
式(5)で表されるメタロセン化合物(a)として、R
3がフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、アン
トラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、アセナ
フチル基、フェナレニル基(ペリナフテニル基)、アセ
アントリレニル基などの炭素原子数6〜16のアリール
基であるメタロセン化合物(a)も好ましく使用するこ
とができる。これらのアリール基は、前記R1と同様の
ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または
炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換され
ていてもよい。このうち、特にフェニル基、ナフチル基
が好ましい。
【0060】このようなメタロセン化合物として、具体
的には、rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス(2-メチル-4−フェニル-1-インデニル)ジル
コニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-
メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-
4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロ
リド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-ア
ントラセニル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド
などが挙げられる。
【0061】また上記化合物において、ジルコニウム金
属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた
遷移金属化合物を用いることもできる。また、下記一般
式(9)で表される遷移金属化合物を用いることもでき
る。
【0062】
【化6】
【0063】一般式(9)において、Mは周期表第4族
の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジル
コニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニ
ウムである。一般式(9)において、R1は、互いに同
一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が
炭素原子数が11〜20のアリール基、炭素原子数が1
2〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40
のアリールアルケニル基、炭素原子数が12〜40のア
ルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、あるい
はR1で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基
が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複
数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場
合、R1により形成される環はR1が結合する炭素原子を
含んで全体として炭素原子数が4〜20である。
【0064】R1で示される基のうち隣接する少なくと
も2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単
数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成した例と
しては、縮合したフェニル基、縮合したシクロヘキシル
基、縮合したシクロペンタジエニル基、縮合したジヒド
ロシクロペンタジエニル基、縮合したインデニル基、縮
合したテトラヒドロインデニル、縮合したフルオレニル
基、縮合したテトラヒドロフルオレニル基、縮合したオ
クタヒドロフルオレニル基などが挙げられる。
【0065】なお、これらの基は、鎖状アルキル基、環
状アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換アルキル
基、アリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有
基またはリン含有基で置換されていてもよい。アリール
基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アル
キルアリール基および芳香族環、脂肪族環を形成してい
るR1以外のR1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数が1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0066】炭素原子数が11〜20のアリール基とし
ては、ビフェニリル、アントリル、フェナントリルなど
が挙げられ、炭素原子数が12〜40のアリールアルキ
ル基としては、フェナントリルメチル、フェナントリル
エチル、フェナントリルプロピルなどが挙げられ、炭素
原子数13〜40のアリールアルケニル基としては、ビ
ニルフェナントリルなどが挙げられ、炭素原子数が12
〜40のアルキルアリール基としては、メチルフェナン
トリル、エチルフェナントリル、プロピルフェナントリ
ルなどが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、炭素原子数が1〜1
0のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、
ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル
などが挙げられる。
【0067】ケイ素含有基としては、メチルシリル、フ
ェニルシリル、ジメチルシリル、ジエチルシリル、ジフ
ェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、
トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリ
フェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフ
ェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリル
などの基が挙げられる。
【0068】なお、上記のようなアルキル基、アリール
基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アル
キルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。一
般式(9)において、R2は、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1
〜10のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール
基、炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数
が7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40
のアリールアルケニル基、炭素原子数が7〜40のアル
キルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含
有基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0069】また、R2で示される基のうち隣接する少
なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子ととも
に、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成し
ていてもよい。この場合、R2により形成される環はR2
が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4
〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR 2
以外のR2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が
1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。
【0070】なお、R2で示される2個の基が、単数ま
たは複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成され
る基にはフルオレニル基が下記のような構造となる態様
も含まれる。
【0071】
【化7】
【0072】炭素原子数が1〜10のアルキル基および
ハロゲン原子としては、前記と同様の基および原子が例
示できる。炭素原子数が6〜20のアリール基として
は、フェニル、ビフェニリル、α-またはβ-ナフチル、
アントリル、フェナントリルなどが挙げられ、炭素原子
数が7〜40のアリールアルキル基としては、ベンジ
ル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェナントリ
ルメチル、フェナントリルエチル、フェナントリルプロ
ピルなどが挙げられ、炭素原子数8〜40のアリールア
ルケニル基としては、スチリル、ビニルフェナントリル
などが挙げられ、炭素原子数が7〜40のアルキルアリ
ール基としては、トリル、ジメチルフェニル、トリメチ
ルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、メチ
ルナフチル、メチルフェナントリル、エチルフェナント
リル、プロピルフェナントリルなどが挙げられ、炭素原
子数が2〜10のアルケニル基としては、ビニル、プロ
ペニル、シクロヘキセニルなどが挙げられ、ケイ素含有
基としては、前記と同様の基が挙げられ、酸素含有基と
しては、ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポ
キシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチ
ルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどの
アリロキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシな
どのアリールアルコキシ基などが挙げられ、イオウ含有
基としては、前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した
置換基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタ
ンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジル
スルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチ
ルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンス
ルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペン
タフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネー
ト基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネー
ト、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネー
ト、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオ
ロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙
げられ、窒素含有基としては、アミノ基、メチルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミ
ノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのア
ルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、
ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルア
ミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールア
ミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、ジメチル
フォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどが挙げられ
る。
【0073】これらのうちR2は、水素原子またはアル
キル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチ
ル、エチル、プロピルの炭素原子数が1〜3の炭化水素
基であることが好ましい。このような置換基としてR2
を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フ
ルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,
7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数が1〜
5のアルキル基が挙げられる。
【0074】また、上述したR1とR2は、互いに同一で
も異なっていてもよい。一般式(9)において、R3
よびR4は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記
と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜1
0のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアリール基、
炭素原子数が2〜10のアルケニル基、炭素原子数が7
〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のア
リールアルケニル基、炭素原子数が7〜40のアルキル
アリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有
基、窒素含有基またはリン含有基である。
【0075】これらのうち、R3およびR4は、少なくと
も一方が炭素原子数が1〜3のアルキル基であることが
好ましい。一般式(9)において、X1およびX2は、互
いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン
原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数
が1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオ
ウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形
成された共役ジエン残基であり、具体的には、ハロゲン
原子、酸素含有基、イオウ含有基および窒素含有基とし
ては、前記と同様の原子または基を例示することができ
る。
【0076】炭素原子数が1〜20の炭化水素基として
は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シ
クロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシ
ル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基;ビ
ニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル
基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなど
のアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフ
ェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピ
ルフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチ
ル、アントリル、フェナントリル、ベンジルフェニル、
ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリ
レニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニ
リルなどのアリール基などが挙げられ、炭素原子数が1
〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素原子
数が1〜20の炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙
げられる。
【0077】X1とX2とから形成された共役ジエン残基
としては、η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、η4-
1,3-ブタジエン、η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエ
ン、η4-1-フェニル-1,3-ペンタジエン、η4-3-メチル-
1,3-ペンタジエン、η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)
-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、η4-2,4-
ヘキサジエン、イソプレンなどが挙げられる。
【0078】X1とX2とから形成された共役ジエン残基
としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェ
ニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの
残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数が1
〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。これらの
うち、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素
基またはイオウ含有基であることが好ましい。
【0079】一般式(9)において、Yは、炭素原子数
が1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数が1〜20
の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、
2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O
−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR
5 −、−P(R5)−、−P(O)(R5)−、−BR5
または−AlR5−(ただし、R5は水素原子、ハロゲン
原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数
が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。)を示し、
具体的には、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレ
ン、ジメチル-1,2- エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-
テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘ
キシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジ
フェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基な
どの炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基;クロロ
メチレンなどの上記炭素原子数が1〜20の2価の炭化
水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;メチル
シリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ
(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、
ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレ
ン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ
(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレ
ン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、
テトラメチル-1,2-ジシリレン、テトラフェニル-1,2-
ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリー
ルジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ
素含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニ
ウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;上記2価の
ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有
基などが挙げられる。
【0080】これらの2価の基のうちでも、一般式
(9)で表される−Y−の最短連結部が1個または2個
の原子で構成されているものが好ましい。また、R
5は、前記と同様のハロゲン原子、炭素原子数が1〜2
0の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭
化水素基である。これらのうちYは、炭素原子数が1〜
5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価
のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケ
イ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレ
ン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレン
であることが特に好ましい。
【0081】また、上記したようなジルコニウム化合物
において、ジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウ
ムに置き換えた化合物を挙げることもできる。なお、上
記したジルコニウム化合物のうち、例えばジメチルシリ
レン(2,7-ジメチル-4,5-(2-メチル-ベンゾ)-1-イン
デニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリドの構造式は以下に示したものである。
【0082】
【化8】
【0083】また、ジメチルシリレン(2,6-ジメチル-
4,5-(1-メチル-ベンゾ)-1-インデニル)(2,7-ジ-t-
ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの構
造式は以下に示したものである。
【0084】
【化9】
【0085】これらの触媒は、本出願人に係る出願であ
る特願平8−187563号(特開平9−235313
号公報参照)により合成できる。また本発明では、メタ
ロセン化合物(a)として、下記一般式(10)で表され
る化合物を用いることもできる。 LaMX2 …(10) 一般式(10)において、Mは周期表第4族またはラン
タニド系列の金属である。
【0086】Laは非局在化π結合基の誘導体であり、
金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与している基であ
る。一般式(10)において、Xはそれぞれ独立に水
素、ハロゲン、20以下の炭素を含有する炭化水素基、
20以下のケイ素を含有する、シリル基または20以下
のルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0087】一般式(10)で表される化合物の中で
は、下記一般式(11)で表される化合物が好ましい。
【0088】
【化10】
【0089】一般式(11)において、Mはチタン、ジ
ルコニウムまたはハフニウム、Xは一般式(10)と同
様である。CpはMにπ結合しているシクロペンタジエ
ニル基である。一般式(11)において、Zは酸素、イ
オウ、ホウ素または周期表第4族の元素(たとえばケイ
素、ゲルマニウムまたは錫)、Yは窒素、リン、酸素ま
たはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形
成してもよい。
【0090】このような一般式(11)で表される化合
物としては、(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル
5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリ
ド、((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロ
ペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリ
ドなどが挙げられる。また上記メタロセン化合物におい
て、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置換した
化合物を挙げることもできる。
【0091】一般式(10)または(11)で表される
メタロセン化合物(a)としては、中心の金属原子がジ
ルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタジエ
ニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物が好
ましく用いられる。なお前記一般式(4)または(5)
で表されるメタロセン化合物(a)では、中心の金属原
子がチタンであることが好ましい。
【0092】本発明では、メタロセン化合物(a)は単
独であるいは2種以上組合せて用いられる。またメタロ
セン化合物(a)は、炭化水素またはハロゲン化炭化水
素などに希釈して用いてもよい。さらにメタロセン化合
物(a)は、担体と接触させて用いることもできる。用
いられる担体は、無機あるいは有機の化合物であって、
粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μm
の顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このう
ち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的に
はSiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B2
3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれら
の混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al23
SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr
23、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができ
る。これらの中でSiO2およびAl23からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが
好ましい。
【0093】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2
Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、
硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつか
えない。このような担体はその種類および製法により性
状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、比
表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜
700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3
gであることが望ましい。該担体は、必要に応じて10
0〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成し
て用いられる。
【0094】さらに、担体としては、粒径が10〜30
0μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体
を挙げることができる。これら有機化合物としては、エ
チレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン
などの炭素原子数2〜14のα-オレフィンを主成分と
して生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキ
サン、スチレンを主成分として生成される重合体もしく
は共重合体を例示することができる。
【0095】有機アルミニウムオキシ化合物(b) 有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、公知のアルミ
ノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物(b)であってもよい。この
ような公知のアルミノオキサンは、具体的には下記一般
式(12)または(13)で表される。
【0096】
【化11】
【0097】(一般式(12)および(13)におい
て、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基な
どの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル
基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ま
しくは5〜40の整数である。) 一般式(12)または(13)において、アルミノオキ
サンは一般式(OAl(R1))で表されるアルキルオ
キシアルミニウム単位および一般式(OAl(R2))
で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、
1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することが
でき、R1およびR2は相異なる基を表す。)からなる混
合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていて
もよい。
【0098】なお有機アルミニウムオキシ化合物(b)
は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を
含有していてもよい。上記のようなアルミノオキサン
は、例えば下記のような方法によって調製することがで
きる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させて炭化水素の溶液として回収する方
法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を
作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリア
ルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジ
メチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機ス
ズ酸化物を反応させる方法。
【0099】なお、このアルミノオキサンは、少量の有
機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のア
ルミノオキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アル
ミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解し
てもよい。アルミノオキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチル
アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピル
アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-
ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ト
リsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニ
ウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミ
ニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミ
ニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシクロヘ
キシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム
などのトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチルアル
ミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ
エチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウ
ムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;ジ
エチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミ
ニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイ
ドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチル
アルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウム
アルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシドなど
のジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げら
れる。
【0100】これらのうち、トリアルキルアルミニウム
およびトリアルキルアルミニウムが特に好ましい。ま
た、この有機アルミニウム化合物として、一般式(1
4) (i-C49)xAly(C510)z …(14) (x、y、zは正の数であり、z≧2xである)で表わ
されるイソプレニルアルミニウムを用いることもでき
る。
【0101】上記のような有機アルミニウム化合物は、
単独であるいは組合せて用いられる。アルミノオキサン
の調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水
素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪
族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロ
オクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記
芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハ
ロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水
素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。
これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0102】また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウ
ムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成
分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、
特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶
性あるいは難溶性である。このような有機アルミニウム
オキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリ
グラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ
化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、撹拌下6
0℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製
フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行い、フィルタ
ー上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを
用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の
存在量(xミリモル)を測定することにより求められる
(x%)。
【0103】イオン化イオン性化合物(c) イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イ
オン性化合物と称される場合もある)(c)としては、
ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボ
ラン化合物を例示することができる。ルイス酸として
は、Mg含有ルイス酸、Al含有ルイス酸、B含有ルイ
ス酸などが挙げられ、このうちB含有ルイス酸が好まし
い。B含有ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素原
子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有
していてもよいフェニル基またはフッ素原子を示す。)
で表される化合物であり、具体的には、トリフルオロボ
ロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニ
ル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロ
ン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリ
ル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-
ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0104】イオン性化合物は、カチオン性化合物とア
ニオン性化合物とからなる塩であり、アニオンは前記メ
タロセン化合物(a)と反応することによりメタロセン
化合物(a)をカチオン化し、イオン対を形成すること
により遷移金属カチオン種を安定化させる働きがある。
このようなアニオンとしては、有機ホウ素化合物アニオ
ン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アルミニウムアニオ
ンなどがあり、比較的嵩高で遷移金属カチオン種を安定
化させるものが好ましい。カチオンとしては、金属カチ
オン、有機金属カチオン、カルボニウムカチオン、トリ
ピウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウム
カチオン、ホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオ
ンなどが挙げられる。さらに詳しくは、トリフェニルカ
ルベニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオ
ン、N,N-ジメチルアンモニウムカチオン、フェロセニウ
ムカチオンなどである。
【0105】このようなイオン性化合物として具体的に
は、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモ
ニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などのトリア
ルキル置換アンモニウム塩、トリエチルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素などのトリアルキル置換ア
ンモニウム塩、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシル
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などのジアルキ
ルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0106】また、ホウ素原子を含有するイオン性化合
物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ートなどを挙げることもできる。前記ボラン化合物とし
ては、デカボラン(14);ビス〔トリ(n-ブチル)ア
ンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)ア
ンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)ア
ンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレー
ト)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオン塩な
どが挙げられる。
【0107】前記カルボラン化合物としては、4-カルバ
ノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(1
3)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウ
ンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッ
ケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩など
が挙げられる。上記のようなイオン化イオン性化合物
(c)は、単独であるいは2種以上組合せて用いられ
る。また有機アルミニウムオキシ化合物(b)およびイ
オン化イオン性化合物(c)は、前記担体化合物に担持
させて用いることもできる。
【0108】またメタロセン系触媒を調製するに際して
は、有機アルミニウムオキシ化合物(b)またはイオン
化イオン性化合物(c)とともに、必要に応じて有機ア
ルミニウム化合物(d)を用いてもよい。有機アルミニウム化合物(d) 必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物(d)
としては、例えば下記一般式(15)で表される有機ア
ルミニウム化合物を例示することができる。
【0109】R1 nAlX3-n …(15) (式(15)中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素
基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、n
は1〜3である。) 上記一般式(15)において、R1は炭素原子数1〜1
2の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基
またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エ
チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基など
である。
【0110】このような有機アルミニウム化合物(d)
としては、具体的に、以下のような化合物が挙げられ
る。トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチル
ヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウ
ム;イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミ
ニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリ
ド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアル
ミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド;メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセス
キクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニ
ウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、
エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニ
ウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどの
アルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウ
ムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライ
ドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0111】また有機アルミニウム化合物(d)とし
て、下記一般式(16)で表される化合物を挙げること
もできる。 R1 nAlY3-n …(16) (式(16)中、R1 は上記と同様であり、Yは−OR
2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−
SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基であり、nは1〜
2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル
基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル
基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル
基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチ
ルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エ
チル基などである。)このような有機アルミニウム化合
物として具体的には、以下のような化合物が挙げられ
る。 (1)R1 nAl(OR2)3-n で表される化合物、例えば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウ
ムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドな
ど、(2)R1 nAl(OSiR3 3)3-nで表される化合
物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2
l(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiEt3)な
ど;(3)R1 nAl(OAlR4 2)3-nで表される化合
物、例えばEt2AlOAlEt 2 、(iso-Bu)2Al
OAl(iso-Bu)2 など;(4) R1 nAl(NR5 2)3-n
で表される化合物、例えばMe2AlNEt2 、Et2
lNHMe、Me2AlNHEt、Et2AlN(SiM
3)2、(iso-Bu) 2AlN(SiMe3)2 など;
(5)R1 nAl(SiR6 3)3-n で表される化合物、例え
ば(iso-Bu)2AlSiMe3 など;(6)R1 nAl
(N(R7)AlR8 2)3-n で表される化合物、例えばEt2
AlN(Me)AlEt2 、(iso-Bu)2AlN(Et)
Al(iso-Bu)2 など。
【0112】上記一般式(15)および(16)で表さ
れる有機アルミニウム化合物の中では、一般式R13
l、R1 nAl(OR2)3-n 、R1 nAl(OAlR4 2)3-n
で表わされる化合物が好ましく、特にRがイソアルキル
基であり、n=2である化合物が好ましい。エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の共重合 本発明では、上記のようなメタロセン化合物(a)と、
有機アルミニウムオキシ化合物(b)および/またはイ
オン化イオン性化合物(c)と、必要に応じて有機アル
ミニウム化合物(d)とから形成される触媒の存在下
に、エチレンと、炭素原子数4〜20の直鎖状または分
岐状のα-オレフィンとを、通常液相で共重合させる。
この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α-オレ
フィンを溶媒として用いてもよい。
【0113】この共重合は、バッチ式、半連続式、連続
式のいずれの方法においても行うことができる。共重合
をバッチ法で実施するに際しては、前記触媒成分は以下
のような濃度で用いられる。メタロセン化合物(a)と
有機アルミニウムオキシ化合物(b)またはイオン化イ
オン性化合物(c)とからなるメタロセン系触媒が用い
られる場合には、重合系内のメタロセン化合物(a)の
濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リット
ル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミ
リモル/リットルである。また有機アルミニウムオキシ
化合物(b)は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移
金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金
属)で、1〜10000、好ましくは10〜5000の
量で供給される。
【0114】イオン化イオン性化合物(c)の場合は、
重合系内のメタロセン化合物(a)に対するイオン化イ
オン性化合物(c)のモル比(イオン化イオン性化合物
(c)/メタロセン化合物(a))で、0.5〜20、
好ましくは1〜10の量で供給される。また有機アルミ
ニウム化合物を用いる場合には、通常約0〜5ミリモル
/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル
/リットルとなるような量で用いられる。
【0115】共重合反応は、通常、反応温度が−20〜
+150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましく
は0〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(8
0kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超
えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以
下の条件下に行われる。エチレンおよび炭素原子数4〜
20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンは、上記特
定組成のエチレン・α-オレフィン共重合体(A)が得
られるような量で重合系に供給される。共重合に際して
は、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
【0116】上記のようにしてエチレンと、炭素原子数
4〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンとを共
重合させると、通常エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)を含む重合液として得られる。この重合液は、常
法により処理され、エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)が得られる。エチレン共重合体(B) 本発明で用いられるエチレン共重合体(B)は、エチレ
ンと、炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-
オレフィンおよび環状オレフィンからなる群より選ばれ
る少なくとも1種のオレフィンとの共重合体である。
【0117】炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状
のα-オレフィンとしては、具体的に、プロペン、1-ブ
テン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3
-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-
1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペ
ンテン、4-エチル-1-ヘキセン1-オクテン、3-エチル-1-
ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テト
ラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコ
センなどが挙げられる。これらのうち、プロペン、1-ブ
テン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン
が好ましく使用される。
【0118】環状オレフィンとしては、下記一般式(1
7)または(18)で表される環状オレフィンが挙げら
れる。
【0119】
【化12】
【0120】上記一般式(17)において、nは0また
は1であり、mは0または正の整数であり、kは0また
は1である。なおkが1の場合には、kを用いて表され
る環は6員環となり、kが0の場合にはこの環は5員環
となる。R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ
独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であ
る。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子である。
【0121】さらに上記一般式(17)において、R15
とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16
18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそ
れぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の
基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成さ
れた単環または多環が二重結合を有していてもよい。
【0122】
【化13】
【0123】上記一般式(18)において、pおよびq
はそれぞれ独立に、0または正の整数であり、rおよび
sはそれぞれ独立に、0、1または2である。また、R
21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
炭化水素基またはアルコキシ基である。ここでハロゲン
原子は、上記一般式(17)中のハロゲン原子と同じで
ある。また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜
20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキ
ル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的
には、炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基お
よびオクタデシル基などが挙げられる。これらアルキル
基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0124】シクロアルキル基としては、シクロヘキシ
ル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール
基、アラルキル基などが挙げられ、具体的には、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエ
チル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
ここで、R29およびR30が結合している炭素原子と、R
33が結合している炭素原子またはR31が結合している炭
素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレ
ン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個
の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合に
は、R29とR33とが、または、R30とR31とが互いに共
同して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH
2-)またはプロピレン基(-CH2CH2CH2-)の内のいずれ
かのアルキレン基を形成している。
【0125】さらに、r=s=0のとき、R35とR32
たはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。上記のような一般式(1
7)または(18)で表される環状オレフィンとして
は、具体的には、ビシクロ-2-ヘプテン誘導体(ビシク
ロヘプト-2-エン誘導体)、トリシクロ-3-デセン誘導
体、トリシクロ-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ-3-
ドデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ペンタデセン誘導
体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシク
ロ-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ-3-ヘキサデセ
ン誘導体、ペンタシクロ-4-ヘキサデセン誘導体、ヘキ
サシクロ-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイ
コセン誘導体、ヘプタシクロ-4-エイコセン誘導体、ヘ
プタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ-5-
ドコセン誘導体、ノナシクロ-5-ペンタコセン誘導体、
ノナシクロ-6-ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエ
ン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テト
ラヒドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,1
0a-ヘキサヒドロアントラセン誘導体などが挙げられ
る。
【0126】(i)エチレン共重合体(B)は、エチレ
ンから誘導される構成単位の含量が80〜87モル%で
あり、82〜85モル%であることが好ましく、炭素原
子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンお
よび環状オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレ
フィンから誘導される構成単位の含量が13〜20モル
%であり、さらには15〜18モル%であることが好ま
しい。エチレン単位含量およびオレフィン単位含量が上
記範囲内にあると、対ブロッキング性に優れた組成物を
得ることができる。
【0127】(ii)エチレン共重合体(B)は、密度が
0.860〜0.884g/cm3、好ましくは0.8
60〜0.880g/cm3、さらに好ましくは0.8
65〜0.875g/cm3の範囲にある。エチレン共
重合体(B)の密度が、このような範囲にあると、樹脂
改質剤として、たとえばポリプロピレンなどの樹脂に配
合したときに剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた組成
物を得ることできる。この範囲を越えると、衝撃強度が
低下することがあり、また、樹脂組成物が硬くなること
がある。 (iii)エチレン共重合体(B)の190℃、2.16
kg荷重におけるメルトフローレートは、0.3〜50
g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にあ
る。メルトフローレートが上記範囲内にあると、流動性
に優れた組成物を得ることができる。
【0128】エチレン共重合体(B)の製造方法 このようなエチレン共重合体(B)は、バナジウム系触
媒、メタロセン系触媒等、いずれを用いてもよく特に限
定されるものではないが、例えば前述のメタロセン系触
媒の存在下にエチレンと、炭素原子数3〜20の直鎖状
または分岐状のα-オレフィンおよび環状オレフィンと
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物とを共
重合させることによって製造することができる。好まし
いメタロセン系触媒としては、たとえば、以下のような
化合物が挙げられる。
【0129】ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-プロピルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(n-
ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ビス(メチル-n-プロピルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(メチル-n
-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(ジメチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジブロミド、ビス(n-ブチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエ
トキシクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムブトキシクロリド、ビス(n-ブチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシド、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチル
クロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジメチル、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムベンジルクロリド、ビス(n-ブチルシ
クロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス
(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニ
ルクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジ
ルコニウムハイドライドクロリドなど。なお、上記例示
において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-お
よび1,3-置換体を含む。また本発明では、上記のような
ジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チ
タン金属またはハフニウム金属に置き換えたメタロセン
化合物を用いることができる。
【0130】エチレン共重合体(C) 本発明で用いられるエチレン共重合体(C)は、エチレ
ンと、炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-
オレフィンまたは環状オレフィンからなる群から選ばれ
る少なくとも1つ化合物との共重合体である。α-オレ
フィンとして具体的には、上記エチレン共重合体(B)
の項で例示したようなα-オレフィンなどが挙げられ
る。これらのうち、プロペン、1-ブテン、1-ヘキセン、
4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンが好ましく使用され
る。
【0131】環状オレフィンとしては、上記一般式(1
7)または(18)で表される環状オレフィンが挙げら
れる。 (i)エチレン共重合体(C)は、エチレンから誘導さ
れる構成単位の含量が89〜99モル%であり、さらに
は90〜98モル%であることが好ましく、炭素原子数
3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび
環状オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
のオレフィンから誘導される構成単位の含量が1〜11
モル%であり、さらには2〜12モル%であることが好
ましい。エチレン単位含量およびオレフィン単位含量が
上記範囲内にあると、対ブロッキング性に優れた組成物
を得ることができる。
【0132】(ii)エチレン共重合体(C)の密度は、
0.885〜0.93g/cm3、好ましくは0.89
0〜0.925g/cm3、さらに好ましくは0.89
5〜0.920g/cm3の範囲にある。エチレン共重
合体(C)密度が、このような範囲にあると、樹脂改質
剤として、たとえばポリプロピレンなどの樹脂に配合し
たときに剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた組成物を
得ることできる。この範囲を越えると、衝撃強度が低下
することがあり、また、樹脂組成物が硬くなることがあ
る。 (iii)エチレン共重合体(C)の190℃、2.16
kg荷重におけるメルトフローレートは、0.3〜50
g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にあ
る。メルトフローレートが上記範囲内にあると、流動性
に優れた組成物を得ることができる。 (iv)エチレン共重合体(C)は、示差走査型熱量計
(DSC)で測定した吸熱曲線における最大ピーク位置
の温度(Tm(℃))と密度(d(g/cm3))と
が、 Tm<400×d−250 好ましくは、Tm<450×d−297 より好ましくは、Tm<500×d−344 特に好ましくは、Tm<550×d−391 で示される関係を満足している。エチレン共重合体
(C)Tmと密度とが、このような関係を満たすと、樹
脂改質剤として、たとえばポリプロピレンなどの樹脂に
配合したときに剛性と耐衝撃性とのバランスに優れた組
成物を得ることができる。この範囲を超えると、耐撃強
度が低下することがあり、また、樹脂組成物が硬くなる
ことがある。
【0133】さらにエチレン共重合体(C)は、室温に
おける溶融張力(MT(g))と、190℃、2.16
kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR(g/
10分))とが、 MT≦2.2×MFR−0.84 で示される関係を満足していることが望ましい。MTと
MFRとがこのような関係を満たすと、樹脂改質剤とし
てたとえばポリプロピレンなどの樹脂に配合したとき
に、剛性と耐衝撃性に優れとともに、外観(ウェルド、
フローマーク等)にも優れた組成物が得られる。
【0134】さらにエチレン共重合体(C)は、室温に
おけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度
(d(g/cm3))とが、 MFR≦10g/10分のとき、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1 好ましくは、W<60×exp(−100(d−0.88))+
0.1 より好ましくは、W<40×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 で示される関係を満たし、 MFR>10g/10分のとき、 W<80×(MFR−9)0.26×exp(−100(d−0.8
8))+0.1 で示される関係を満たしていることがより好ましい。
【0135】エチレン共重合体(C)の製造方法 このようなエチレン共重合体(C)は、バナジウム系触
媒、メタロセン系触媒等、いずれを用いてもよく特に限
定されるものではないが、例えば前述のメタロセン系触
媒の存在下にエチレンと、炭素原子数3〜20の直鎖状
または分岐状のα-オレフィンおよび環状オレフィンと
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物とを共
重合させることによって製造することができる。好まし
いメタロセン系触媒としては、たとえば、上記エチレン
共重合体(B)の製造方法の項で例示したような化合物
が挙げられる。
【0136】組成物 本発明に係るエチレン共重合体組成物は、エチレン・α
-オレフィン共重合体(A)を30〜70重量%、好ま
しくは30〜60重量%、より好ましくは30〜50重
量%、エチレン共重合体(B)を1〜69重量%、好ま
しくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量
%、エチレン共重合体(C)を1〜69重量%、好まし
くは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%
とからなる。(なお、エチレン・α−オレフィン共重合
体(A)とエチレン共重合体(B)とエチレン共重合体
(C)との合計は100重量%である。) エチレン共重合体組成物は、エチレン・α-オレフィン
共重合体(A)と、エチレン共重合体(B)と、エチレ
ン共重合体(C)とを例えば、バンバリーミキサー、ニ
ーダー、インターミックスなどのインターナルミキサー
類による混合法などの従来公知の方法で混練することに
より製造することができる。
【0137】このような本発明のエチレン共重合体組成
物は、熱可塑性樹脂の耐衝撃性および剛性の改質剤とし
て有用である。このような熱可塑性樹脂としては、ポリ
オレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールなどを例示
することができる。なお、極性基含有熱可塑性樹脂を改
質する場合には、本発明に係るエチレン共重合体組成物
を不飽和カルボン酸によりグラフト変性してもよい。
【0138】本発明に係るエチレン共重合体組成物を改
質剤として用いて、ポリプロピレンなどの樹脂を改質す
るには、上記エチレン共重合体組成物から、押出成形ま
たは射出成形などにより、ペレットを成形し、このペレ
ットを改質しようとする樹脂に溶融ブレンドすればよ
い。本発明に係るエチレン共重合体組成物を改質剤とし
て用いる際には、押し出し機などの連続的に混練・排出
する装置を使用することが好ましい。混練は排出しよう
とする樹脂の融点または軟化点以上、かつ400℃以下
で行うことが望ましい。
【0139】本発明に係るエチレン共重合体組成物を改
質剤として用いると、ポリプロピレン樹脂などの樹脂の
剛性を保ったまま、特に低温での耐衝撃性や引張伸び強
度を改質することができる。樹脂の改質方法 本発明に係るエチレン共重合体組成物を用いて樹脂を改
質するには、前記エチレン共重合体組成物からなるペレ
ットを改質しようとする樹脂と溶融ブレンドすればよ
い。このような改質方法によれば、熱可塑性樹脂の改質
に際して、ブロッキングなどが起こることなく、剛性と
破断点強度・耐衝撃強度のバランスに優れた樹脂組成物
を得ることが可能であり、このため、このような改質方
法は、改質熱可塑性樹脂の生産性および操作性に優れ
る。
【0140】[プロピレン重合体組成物]本発明に係る
プロピレン重合体組成物は、プロピレン重合体(D)
と、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)と、前記
エチレン系共重合体(C)とからなる組成物である。プロピレン重合体(D) プロピレン重合体(D)は、プロピレンの単独重合体、
またはプロピレンとエチレンまたは炭素原子数が4〜2
0のα-オレフィンとの共重合体である。炭素原子数が
4〜20のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペン
テン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテ
ン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサ
デセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられ
る。これらのα-オレフィンは1種単独でまたは2種以
上組合わせて用いることができる。これらのα-オレフ
ィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよ
く、また、ブロック共重合体を形成してもよい。
【0141】本発明では、プロピレン単独重合体、エチ
レン含量が2〜40モル%の結晶性プロピレン・エチレ
ンブロック共重合体、エチレン含量が0.5〜10モル
%の結晶性プロピレン・エチレンランダム共重合体が好
ましい。プロピレン重合体(D)の密度は、通常0.8
85〜0.910g/cm3、好ましくは0.890〜0.
910g/cm3、より好ましくは0.895〜0.91
0g/cm3の範囲にあることが望ましい。
【0142】プロピレン重合体(D)の屈折率は、通常
1.490〜1.510、好ましくは1.495〜1.51
0、より好ましくは1.500〜1.510の範囲にあ
る。プロピレン重合体(D)は、230℃、2.16k
g荷重で測定したMFRが0.01g/10分以上、好ま
しくは0.5〜200g/10分、さらに好ましくは1〜
200g/10分の範囲にあることが望ましい。
【0143】プロピレン重合体(D)のMFRが0.0
1g/10分以上であると、重合体自身の剛性を保ったま
ま、特に破断点強度や低温での耐衝撃性が改質された組
成物を得ることができる。このような特性を有するプロ
ピレン重合体(D)は、種々の方法により製造すること
ができるが、たとえば、固体状チタン触媒成分と有機金
属化合物触媒成分とから形成される触媒、もしくはこれ
ら両成分および電子供与体から形成される高活性チタン
触媒、またはメタロセン化合物とアルミノキサンとから
形成される触媒、またはこれらの触媒を混合した触媒を
用いて製造することができる。また、プロピレン重合体
(D)がブロック共重合体である場合には、多段重合時
に、各段ごとに前記触媒から選ばれる異なった触媒を用
いて製造することもできる。
【0144】組成物 本発明に係るプロピレン重合体組成物は、プロピレン重
合体(D)を、98〜60重量%、好ましくは95〜6
5重量%、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)、
エチレン共重合体(B)およびエチレン共重合体(C)
を合計量で、2〜40重量%、好ましくは5〜35重量
%の割合で含有する。
【0145】また、本発明に係るプロピレン重合体組成
物は、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)、エチ
レン共重合体(B)およびエチレン共重合体(C)の合
計量を100重量%としたときに、エチレン・α-オレ
フィン共重合体(A)を30〜70重量%、好ましくは
30〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%、
エチレン共重合体(B)を1〜69重量%、好ましくは
5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、エ
チレン共重合体(C)を1〜69重量%、好ましくは5
〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、の割
合で含有するこのようなプロピレン重合体組成物は、弾
性率の温度依存性を3℃毎に測定しプロットしたとき、
プロピレン重合体(D)のガラス転移温度に起因する減
衰率(tan δ)のピークと、エチレン共重合体組成物
(エチレン・α-オレフィン共重合体(A)とエチレン
共重合体(B)とエチレン共重合体(C)との組成物)
のガラス転移温度に起因する減衰率(tan δ)のピーク
とが存在し、かつ両ピークが分離している、すなわちエ
チレン・α-オレフィン共重合体(A)に由来するピー
ク、エチレン共重合体(B)に由来するピーク、エチレ
ン共重合体(C)に由来するピークがいずれもプロピレ
ン重合体(D)に由来するピークと分離していることが
好ましい。なお、明確に2つのピークが現れる場合、す
なわち2つのピークの最高点同士の間に鞍部が存在する
場合を「分離している」と判定する。このような「分離
している」2つのピークを有するプロピレン系重合体組
成物は、耐衝撃性および剛性がともに優れている。
【0146】なお、このような明確に2つのピークが現
れずに、ピークが「融合している」場合、このようなプ
ロピレン重合体組成物は、耐衝撃性および剛性が低下す
ることがある。このようなプロピレン重合体(D)を用
いると、剛性と引張破断点伸びおよび/または低温衝撃
性のバランスが優れ、しかも流動性に優れたプロピレン
系重合体組成物を得ることができる。
【0147】プロピレン重合体組成物の調製 本発明に係るプロピレン樹脂組成物の調製法としては特
に制限はなく、前記プロピレン重合体(D)、エチレン
・α-オレフィン共重合体(A)、エチレン共重合体
(B)およびエチレン共重合体(C)を一括して混練す
ることが可能であり、また、プロピレン系重合体(D)
と、前記したエチレン共重合体組成物とを、バンバリー
ミキサー、ニーダー、インターミックスなどのインター
ナルミキサー類による混合法等等の従来公知の方法で混
練することにより製造することができる。本発明では、
後者のほうが作業性の点から好ましい。
【0148】なお、本発明に係るプロピレン重合体組成
物の調製では、本発明の目的を損なわない範囲内で、ス
チレン系熱可塑性エラストマーを入れてもよい。スチレ
ン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン類と共役
ジエン化合物のブロック共重合体が挙げられる。このス
チレン類としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-
メチルスチレン、p-t-ブチルスチレンまどのアルキルス
チレン、p-メトキシスチレン、ビニルナフタレンおよび
これらの組合せなどが挙げられる。これらのうち、スチ
レンが好ましい。
【0149】共役ジエン化合物としては、ブタジエン、
イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニ
ルブタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-
ジエチル-1,3-オクタジエンおよびこれらの組合せなど
が挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレン
が好ましい。このようなスチレン系熱可塑性エラストマ
ーとしては、具体的に、スチレン・ブタジエンジブロッ
ク共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロ
ック共重合体、スチレン・イソプレンジブロック共重合
体、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重
合体、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体の水素
添加物、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック
共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレンジブロッ
ク共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチ
レントリブロック共重合体の水素添加物を挙げることが
できる。
【0150】本発明では、スチレン系化合物から導かれ
る構成単位と共役ジエン化合物から導かれる構成単位の
重量比が、10/90〜65/35、好ましくは20/
80〜50/50であるスチレン系熱可塑性エラストマ
ーを用いることが望ましい。なお、このスチレン系熱可
塑性エラストマーの分子構造は、直鎖状、分岐状、放射
状またはこれらの組合せなどいずれであってもよい。ま
た、本発明では、上記エチレン・α-オレフィン共重合
体(A)、エチレン共重合体(B)、エチレン共重合体
(C)およびプロピレン重合体(D)以外に、核剤、酸
化防止剤、塩酸吸収剤、軟化剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、滑剤、老化防止剤、加工助剤、耐熱安定剤、耐候安
定剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害
防止剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋
剤、過酸化物などの流れ性改良剤、ウェルド強度改良
剤、防曇剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない
範囲で配合することができる。また、タルク、ガラス繊
維などの公知の無機充填剤を配合しても良い。この場
合、無機充填剤は、プロピレン重合体組成物100重量
部に対して、1〜40重量部配合されていることが好ま
しい。
【0151】本発明に係るプロピレン重合体組成物は、
押出成形、射出成形、インフレーション成形、カレンダ
ー成形などの成形方法により、フィルム、シート、パイ
プなどの各種成形体に成形することができる。得られた
成形体は、歪み回復性などにも優れている。
【0152】
【発明の効果】本発明のエチレン共重合体組成物は、特
定のエチレン・α-オレフィン共重合体と、特定のエチ
レン共重合体とからなるため、熱可塑性樹脂、特にポリ
プロピレンの改質剤として使用すると、樹脂の剛性と破
断点強度・耐衝撃強度のバランスを向上させることが可
能であり、さらに改質の際に、ブロッキングなどをおこ
さないため、作業性がよい。
【0153】本発明に係る樹脂の改質方法では、上記の
ようなエチレン・α-オレフィン共重合体組成物を改質
剤として用いているので、熱可塑性樹脂の改質に際し
て、ブロッキングなどが起こりにくく、操作性、改質熱
可塑性樹脂の生産性に優れる。本発明のプロピレン重合
体組成物は、特定のエチレン・α-オレフィン共重合体
と特定のエチレン共重合体とを含有しているため、樹脂
の剛性と破断点強度・耐衝撃強度のバランスに優れる。
【0154】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。なお、各樹脂成分の物性は以下のようにし
て評価した。 [密度]190℃、2.16kg荷重におけるMFR測
定後のストランドを、120℃で1時間熱処理し、1時
間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管法により測
定した。 [α-オレフィン含量、Tαβ/Tαα、B値]13C−
NMRスペクトルによって決定した。 [極限粘度[η]]135℃、デカリン中で測定した。 [Mw/Mn]GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)を用い、オルトジクロロベンゼン溶媒で、
140℃で測定した。 [MFR10/MFR2]ASTM D-1238に準拠
し、190℃における10kg荷重でのMFR10と、
2.16kg荷重でのMFR2とを測定し、比を算出し
た。この比が大きいと、ポリマーの溶融時の流動性が優
れていることを示し、すなわち加工性が高い。 [ガラス転移温度]常温から30℃/分で200℃まで
昇温した後、5分間保持し、10℃/分で−150℃ま
で降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線か
ら求めた。 [結晶化度]DSC測定時の吸熱ピークから、単位重さ
当たりの融解熱量を求め、これをポリエチレンの結晶の
融解熱量70cal/gで除して求めた。 [溶融張力(MT)]溶融したポリマーを一定速度で延
伸したときの応力を測定することにより決定される。重
合体の造粒ペレットを測定試料とし、東洋精機製作所
製、MT測定器を用い、樹脂温度190℃、押出速度1
5mm/分、巻き取り速度10〜20m/分、ノズル径
2.09mmφ、ノズル長さ8mmの条件で測定した。 [MFR]ASTM D-1238に準拠し、所定の温度
における2.16kg荷重でのMFRを測定した。 [軟化点(Tm)]DSCの吸熱曲線を求め、最大ピー
ク位置の温度をTmとする。測定は、試料をアルミパン
に詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で
5分間保持したのち、20℃/分で室温まで降温し、つ
いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。
【0155】
【製造例】充分窒素置換した容量2リットルの撹拌機付
きステンレス製オートクレーブに、23℃でヘキサン8
45mlを挿入した。このオートクレーブに、撹拌機を
回し、かつ氷水で冷却しながら1-ブテンを155ミリリ
ットル挿入した。次に、オートクレーブを内温60℃ま
で加熱し、さらに、全圧が8kgとなるようにエチレン
で加圧した。オートクレーブの内圧が8kgになったと
ころで、トリイソブチルアルミニウムの1.0ミリモル
/mlデカン溶液を1.0ml窒素で圧入した。続い
て、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl
換算で0.3ミリモル、rac-ジメチルシリレン-ビス[1-
(2-メチル-4-フェニル-インデニル)]ジルコニウムジク
ロリドを0.001ミリモルの量で含むトルエン溶液
0.3mlのトルエン溶液を、窒素でオートクレーブに
圧入し、重合を開始した。
【0156】その後30分間、オートクレーブを内温6
0℃になるように温度調整し、かつ圧力が8kgとなる
ように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始30
分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿
入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧し
た。反応溶液に2リットルのアセトンを撹拌しながら注
いだ。
【0157】得られた溶媒を含むゴム鞠状の重合体を1
30℃、13時間、600torrで乾燥したところ、1-ブ
テンを39mmol含むエチレン・1-ブテン共重合体4
7gが得られた。得られたエチレン・1-ブテン共重合体
(A-1)の基本特性を表1に示す。また、共重合体の組
成が、表1に示すようになるように、モノマーの種類、
仕込み量を変えたこと以外は同様にして、エチレン・α
-オレフィン共重合体(A-2)〜(A-4)、エチレン共重合体
(B-1)〜(B-2)、およびエチレン共重合体(C-1)〜
(C-2)を得た。
【0158】得られた共重合体(A-2)〜(A-4)、(B-
1)〜(B-2)、および(C-1)〜C-2)の基本特性を表1
に示す。
【0159】
【表1】
【0160】
【実施例1】エチレン・1-ブテン共重合体(A-1)50
重量%と、エチレン・1-ブテン共重合体(B-1)20重
量%と、エチレン・1-ブテン共重合体(C-1)30重量
%とを一軸押出機(サーモ20mmφ)を用いて、20
0℃で溶融混練し、ペレット化してエチレン共重合体組
成物(E)を得た。
【0161】得られたエチレン共重合体組成物(E)の
ペレットについて、ペレットブロッキング試験を行いブ
ロッキング性の評価を行った。結果を表2に示す。 [ペレットブロッキング試験]ポリエチレン製の袋にペ
レットを入れ、35℃に設定したオーブン内にて、10
0g/cm2荷重下で、72時間放置したのち、取り出
しペレットのブロッキング状態を以下のように評価し
た。
【0162】 ◎:ほとんどブロッキングなし ○:手で簡単にほぐすことができる △:手で押してほぐすことができる ×:ペレットが融着し、ベール状になる
【0163】
【実施例2〜5】表2に示すような配合で、実施例1と
同様にしてエチレン共重合体組成物(F)ないし(I)
を調製し、実施例1と同様にしてペレットブロッキング
試験を行った。いずれもペレットブロッキングは起こり
にくく、作業性は良好であった。結果を表2に示す。
【0164】
【比較例1〜2】表2に示すような配合で、実施例1と
同様にエチレン共重合体組成物(J)および(K)を調
製し、ペレットブロッキング試験を行った。いずれもペ
レットブロッキングが発生し、作業性が悪かった。結果
を表2に示す。
【0165】
【表2】
【0166】
【実施例6】実施例1で得られたエチレン共重合体組成
物(E)30重量%と、ホモポリプロピレン(D)(M
FR:45g/10分)70重量%とに、安定剤としてス
テアリン酸カルシウムを0.1重量%、イルガノックス1
010を0.1重量%、イルガノックス168を0.1重量%加
え、二軸押出機を用いて200℃で溶融混練し、ペレタ
イザーにてペレット化した。
【0167】得られたペレットを射出成形機を用いて、
230℃にて射出成形し、下記に示す評価方法で、破断
点強度、曲げ弾性率、耐衝撃強度、粘弾性を測定した。
結果を表3に示す。 [破断点強度(TS)]ASTM D 638に準拠して
室温で測定した。 [曲げ弾性率(FM)]ASTM D 790に準拠し
て、所定条件で射出成形した厚さ2mmの試験片を用い
て、スパン間32mm、曲げ速度5m/分の条件下で測
定した。 [耐衝撃強度(IZ)]ASTM D 256に準拠し
て、厚さ3mmの試験片(後ノッチ)を用いて、−30
℃で測定した。 [粘弾性]レオメトリックス社製のRDSIIを用いて6
2.5rad/secの周波数で−80〜50℃までの動的粘
弾性の温度依存性を測定し、ポリプロピレン重合体
(D)のガラス転移温度に起因する減衰率(tanδ)の
ピークと、エチレン・α-オレフィン共重合体組成物の
ガラス転移温度に起因する減衰率(tanδ)のピークと
が分離しているか融合しているか判断した。
【0168】
【実施例7】実施例2で得られたエチレン共重合体組成
物(F)を使用したこと以外は実施例6と同様にして成
形体を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果を
表3に示す。
【0169】
【実施例8】実施例3で得られたエチレン共重合体組成
物(G)を使用したこと以外は実施例6と同様にして成
形体を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果を
表3に示す。
【0170】
【実施例9】実施例4で得られたエチレン共重合体組成
物(H)を使用したこと以外は実施例6と同様にして成
形体を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果を
表3に示す。
【0171】
【実施例10】実施例5で得られたエチレン共重合体組
成物(I)を使用したこと以外は実施例6と同様にして
成形体を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果
を表3に示す。
【0172】
【比較例3】比較例1で得られたエチレン共重合体組成
物(J)を使用したこと以外は実施例6と同様にして成
形体を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果を
表3に示す。
【0173】
【比較例4】比較例2で得られたエチレン共重合体組成
物(K)を使用した以外は実施例6と同様にして成形体
を作製し、実施例6と同様の評価を行った。結果を表3
に示す。表3から明らかなように、実施例6〜10で得
られたプロピレン重合体組成物は、得られた成形体は、
破断点強度、曲げ弾性率および耐衝撃性のバランスに優
れていた。
【0174】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧 本 和 幸 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA15 AA15X AA20 AA21X AA82 AA84 AA88 AA89 BA01 BB05 BB06 BB09 BC01 BC07 4J002 BB05W BB05X BB05Y BB10X BB10Y BB12W BB124 BB14W BB144

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンと、炭素原子数4〜20の
    直鎖状または分岐状のα-オレフィンとの共重合体であ
    って、(i)エチレンから誘導される構成単位の含量が
    50〜70モル%、炭素原子数4〜20の直鎖状または
    分岐状のα-オレフィンから誘導される構成単位の含量
    が30〜50モル%の範囲にあり、(ii)密度が0.8
    63g/cm3以下であり、(iii)135℃デカリン中
    で測定される極限粘度[η]が0.1〜10.0dl/
    gの範囲にあり、(iv)示差走査型熱量計で測定したガ
    ラス転移温度が−60℃以下であって、結晶化度が1%
    以下であり、(v)13C-NMRスペクトルにおけるT
    ααに対するTαβの強度比(Tαβ/Tαα)が0.
    5以下であり、(vi)下記一般式(1) B値=[POE]/(2・[PE][PO]) …(1) (式中、[PE]は共重合体中のエチレンから誘導され
    る構成単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体
    中のα-オレフィンから誘導される構成単位の含有モル
    分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dya
    d)連鎖に対するエチレン・α-オレフィン連鎖数の割合
    である。)から求められるB値が0.9〜1.5の範囲
    にあるエチレン・α-オレフィン共重合体と、(B)エ
    チレンと、炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状の
    α-オレフィンおよび環状オレフィンからなる群より選
    ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体であっ
    て、(i)エチレンから誘導される構成単位の含量が8
    0〜87モル%、炭素原子数3〜20の直鎖状または分
    岐状のα-オレフィンおよび環状オレフィンから誘導さ
    れる構成単位の含量が13〜20モル%の範囲にあり、
    (ii)密度が0.860〜0.884g/cm3の範囲
    にあり、(iii)190℃、2.16kg荷重における
    メルトフローレートが0.3〜50g/10分の範囲にあ
    るエチレン共重合体と、(C)エチレンと、炭素原子数
    3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンおよび
    環状オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種
    のオレフィンとの共重合体であって、(i)エチレンか
    ら誘導される構成単位の含量が89〜99モル%、炭素
    原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα-オレフィン
    および環状オレフィンから誘導される構成単位の含量が
    1〜11モル%の範囲にあり、(ii)密度が0.885
    〜0.930g/cm3の範囲にあり、(iii)190
    ℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが
    0.3〜50g/10分の範囲にあり、(iv)示差走査型
    熱量計で測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温
    度(Tm(℃))と密度(d(g/cm3 ))とが、 Tm<400×d−250 で示される関係を満足するエチレン共重合体とからな
    り、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)を30〜
    70重量%、エチレン共重合体(B)を1〜69重量
    %、エチレン共重合体(C)を1〜69重量%の割合で
    含有することを特徴とするエチレン共重合体組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のエチレン共重合体組成物
    からなることを特徴とする樹脂改質剤。
  3. 【請求項3】プロピレン重合体(D)と、 請求項1に記載のエチレン・α-オレフィン共重合体
    (A)と、 請求項1に記載のエチレン共重合体(B)と、 請求項1に記載のエチレン共重合体(C)とからなり、 プロピレン重合体(D)を98〜60重量%の割合で含
    有し、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)、エチ
    レン共重合体(B)およびエチレン共重合体(C)を合
    計で2〜40重量%の割合で含有し、かつエチレン・α
    -オレフィン共重合体(A)、エチレン共重合体(B)
    およびエチレン共重合体(C)の合計量を100重量%
    としたときに、エチレン・α-オレフィン共重合体
    (A)を30〜70重量%、エチレン共重合体(B)を
    1〜69重量%、エチレン共重合体(C)を1〜69重
    量%の割合で含有することを特徴とするプロピレン重合
    体組成物。
  4. 【請求項4】前記プロピレン重合体(D)が、230
    ℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが
    0.01g/10分以上である請求項3に記載のプロピレ
    ン重合体組成物。
  5. 【請求項5】弾性率の温度依存性を測定したとき、プロ
    ピレン重合体(D)のガラス転移温度に起因する減衰率
    のピークと、前記エチレン共重合体組成物のガラス転移
    温度に起因する減衰率のピークとが存在し、かつ両ピー
    クが分離している請求項3または4に記載のプロピレン
    重合体組成物。
  6. 【請求項6】請求項3ないし5のいずれかに記載のプロ
    ピレン重合体組成物からなることを特徴とする成形体。
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