JP2002043645A - 圧電部材 - Google Patents

圧電部材

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JP2002043645A
JP2002043645A JP2000230274A JP2000230274A JP2002043645A JP 2002043645 A JP2002043645 A JP 2002043645A JP 2000230274 A JP2000230274 A JP 2000230274A JP 2000230274 A JP2000230274 A JP 2000230274A JP 2002043645 A JP2002043645 A JP 2002043645A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】研削や研磨等の加工によって加工表面にできる
加工傷やマイクロクラック等の発生を抑えるとともに、
加工圧力や加工熱による分極の度合いが低下することを
防止し、圧電セラミック体が持つ本来の圧電特性を発揮
することができる圧電部材を提供する。 【解決手段】圧電セラミック体2の各表面に研削や研磨
等の加工を施してなり、対向する加工表面に電極3,3
を備え、該電極3,3間に分極処理を施した圧電部材1
において、上記分極方向に対して垂直な表面である上下
の表面2a,2aをそれぞれX線回折にて測定した時の
正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折の
ピーク強度Bとの比(A/B)が1.5以下、上記分極
方向と平行な表面である側部の表面2bをX線回折にて
測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶
200回折のピーク強度Aとの比(B/A)が1.5以
下となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電ブザー、圧電
センサー、加速度センサー、発振子、共振子、着火素
子、超音波振動子、インクジェット記録ヘッドや超音波
モーター等に用いられる圧電アクチュエータ、振動ジャ
イロ等を構成する圧電部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電ブザー、圧電センサー、加速
度センサー、発振子、共振子、着火素子、超音波振動
子、インクジェット記録ヘッドや超音波モーター等に用
いられる圧電アクチュエータ、振動ジャイロ等には、例
えば板厚方向に分極処理された板状の圧電セラミック体
の上下面に電極を形成した圧電部材が用いられている。
【0003】このような圧電部材は、板状の圧電セラミ
ック体に研削や研磨等の加工を施して所定の寸法形状と
した後、圧電セラミック体の上下面に印刷法、イオンプ
レーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、PV
D法、CVD法、メッキ法等の膜形成手段にて電極をそ
れぞれ被着し、次いで上下の電極間に通電して圧電セラ
ミック体を板厚方向に分極処理することにより製作され
ていた。また、上記圧電部材を複数個積層して構成した
積層型の圧電部材も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧電部
材を製作するにあたり、板状の圧電セラミック体の上下
面や側面に研削や研磨等の加工を施すと、加工圧力や加
工熱が作用することによって圧電セラミック体の上下面
や側面を構成する結晶に歪みが発生し、分極処理によっ
てある一定方向に歪んでいた結晶軸が伸縮し、この結晶
軸の伸縮によって分極の度合いが小さくなり、電気機械
結合係数が低下するため、電気的エネルギーから機械的
エネルギーへの変換効率あるいは逆のエネルギー変換効
率が悪いといった課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、研削加工や研磨加工を施した少なくとも一つ
の加工表面を有する圧電セラミック体の対向する表面に
それぞれ電極を備え、上記電極間に分極処理を施した圧
電部材において、上記加工表面が分極方向に対して垂直
な表面である時には、上記加工表面をX線回折にて測定
した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶00
2回折のピーク強度Bとの比(A/B)を1.5以下と
し、上記加工表面が分極方向に平行な表面である時に
は、上記加工表面をX線回折にて測定した時の正方晶0
02回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強
度Aとの比(B/A)を1.5以下としたことを特徴と
する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0007】図1は本発明の圧電部材の一例を示す図
で、(a)はその一部を破断した斜視図、(b)は断面
図である。
【0008】この圧電部材1は、円板状をした圧電セラ
ミック体2の上下の表面2a,2aに電極3,3を形成
したもので、各電極3,3を形成する上下の表面2a,
2aには平滑かつ平坦な表面とするために研削加工や研
磨加工を施するとともに、圧電セラミック体2の側部の
表面2bには所定の形状とするために研削加工や研磨加
工を施してあり、上下の電極3,3間の板厚方向に分極
処理を施してある。そして、上下の電極3,3間にパル
ス電圧を印加すると、圧電セラミック体2には板厚方向
に伸縮する振動と放射方向に伸縮する振動が発生するた
め、例えば、圧電ブザー、超音波振動子、インクジェッ
ト記録ヘッドや超音波モータ等に用いられる圧電アクチ
ュエータ、振動ジャイロとして用いることができ、ま
た、上記圧電部材1に外力が作用すると、圧電セラミッ
ク体2内に電流が流れ、上下の電極3,3間にて電気的
変化を検出することができるため、例えば、圧電センサ
ーや加速度センサーとして用いることができる。
【0009】このような圧電セラミック体2の材質とし
ては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウ
ムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PN
N系)等を主成分とする圧電セラミックスを用いること
ができ、また、圧電セラミック板2の上下の表面2a,
2aに形成する電極3,3の材質としては、金、銀、
銅、白金、ニッケル、クロム、アルミニウム、スズ、パ
ラジウム等の金属あるいはこれらの合金を用いることが
できる。
【0010】そして、本発明の圧電部材1は、研削や研
磨等の加工を施した圧電セラミック体2の上下面2a,
2aをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200
回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度B
との比(A/B)が1.5以下であり、また、研削や研
磨等の加工を施した圧電セラミック体2の側面2bをX
線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度
Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)
が1.5以下であることを特徴とし、好ましくはいずれ
の加工表面におけるピーク強度比も1.0以下、さらに
好ましくはいずれの加工表面におけるピーク強度比も
0.9以下であることが良い。
【0011】即ち、本件発明者は圧電部材1の開発にあ
たり、分極処理を施した圧電セラミック体2に研削や研
磨等の加工を施すと、加工前後において電気機械結合係
数等の圧電特性が低下し、また、研削や研磨等の加工を
施した後に分極処理を施しても圧電セラミック体2が持
つ本来の電気機械結合係数を得ることができないことを
知見した。
【0012】この現象は、分極処理前の圧電セラミック
スを構成する結晶粒子は自発分極がランダムに配列され
た分域構造を持ち、自発分極のベクトル総和がゼロで、
焼結された圧電セラミック全体では等方性を呈している
のであるが、分極処理を施すために板厚方向に直流電界
をかけると、各結晶粒子の分域が一定の方向に揃って歪
みを生じ、直流電界をかけることを止めても電界方向に
残留分域が存在して極性を示し、圧電性を示すようにな
る。
【0013】しかしながら、分極処理した圧電セラミッ
ク体2に研削や研磨等の加工を施し、大きな加工圧力が
作用したり、加工熱が発生すると、加工表面に存在する
結晶に歪みが発生して結晶軸が伸縮するため、予め分極
処理により発生していたある一定方向の歪みが解消され
て分極の度合いが小さくなるために加工前後で電気機械
結合係数等の圧電特性が低下することに起因するものと
思われる。
【0014】また、研削や研磨等の加工を施した後に分
極処理を施しても本来の電気機械結合係数等の圧電特性
が得られないのは、加工によって加工表面に加工傷やマ
イクロクラックが発生すると、その後に分極処理を施す
ための直流電界をかけても、加工傷やマイクロクラック
が発生した結晶粒内の各分域が一定の方向に揃わないた
め、本来の圧電特性を発揮できないものと思われる。
【0015】そこで、圧電セラミック体2が持つ本来の
圧電特性が得られるようにするため種々研究を重ねたと
ころ、電気機械結合係数等の圧電特性と圧電セラミック
体2の加工表面に存在する結晶のX線回折強度との間に
は相関があり、加工表面が分極方向に対して垂直な表面
(圧電セラミック体2の上下の表面2a,2a)である
時には、その加工表面をそれぞれX線回折にて測定した
時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回
折のピーク強度Bとの比(A/B)が大きくなるほど電
気機械結合係数の値が小さくなり、また、加工表面が分
極方向と平行な表面(圧電セラミック体2の側部の表面
2b)である時には、その加工表面をX線回折にて測定
した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶20
0回折のピーク強度Aとの比(B/A)が大きくなるほ
ど電気機械結合係数の値が小さくなることを知見し、電
気機械結合係数の低下を抑える最適な条件について実験
を繰り返したところ、加工表面が分極方向に対して垂直
な表面(圧電セラミック体2の上下の表面2a,2a)
である時には、その加工表面をX線回折にて測定した時
の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折
のピーク強度Bとの比(A/B)を1.5以下とし、ま
た、加工表面が分極方向と平行な表面(圧電セラミック
体2の側部の表面2b)である時には、その加工表面を
X線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強
度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/
A)を1.5以下とすれば良いことを見出し、本発明に
至った。
【0016】なお、正方晶200回折のピーク強度Aと
正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)ある
いは正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回
折のピーク強度Aとの比(B/A)を測定するにあたっ
ては、理学製のRINT1400V型のX線回折を行
い、X線源をCu、X線源の管電圧を50kV、管電流
を200mAとして2軸の縦型ゴニオメータにてステッ
プ幅を0.020°とし、回折角度40°〜50°の範
囲に現れる正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶0
02回折のピーク強度Bを測定することにより算出すれ
ば良い。
【0017】また、X線回折装置を用いれば、測定物の
表面から30μm程度の深度までの結晶状態を確認する
ことができるため、圧電セラミック体2の上下面2a,
2aに形成する電極3,3の厚さが30μm未満であれ
ば、電極3,3上から直接測定することもでき、この場
合、事前に電極3,3単独での回折角度40°〜50°
の範囲におけるピーク強度を確認しておき、この電極
3,3単独のピーク強度を除く補正を行えば良い。
【0018】ただし、X線回折のピーク強度比を上述し
た範囲とするには、研削や研磨等の加工を施した圧電セ
ラミック体2の上下の表面2a,2a及び側部の表面2
bを、算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高
さ(Ry)で3.0μm以下の平滑面とすることが必要
である。
【0019】即ち、圧電セラミック体2の各表面2a,
2a,2bにおける表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で
0.3μmを超えるか、あるいは最大高さ(Ry)が
3.0μmを超えると、各表面2a,2a,2bには大
きな加工傷やマイクロクラックが存在し、この加工傷や
マイクロクラックの発生により、分極処理を施しても加
工傷やマイクロクラックが存在する領域の結晶の歪みを
ある一定方向に揃わせることができず、また、予め分極
処理を施している場合には、各表面2a,2a,2bに
おいてある一定方向に揃っていた歪みが解消されて分極
の度合いが低下するため、いずれの場合においても圧電
セラミック体2が持つ本来の圧電特性を発揮させること
ができないからである。
【0020】ところで、図1に示す圧電部材1を製造す
るには、まず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マ
グネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸
鉛(PNN系)等を主成分とする圧電セラミック体2を
用意する。そして、この圧電セラミック体2を所定の寸
法となるように研削や研磨等の加工を施して円板状とす
る。例えば、平面研削盤や両面ラップ盤等を用いて厚み
加工を行い、円筒研削盤やダイシングソー等を用いて外
辺の加工を行うことにより、圧電セラミック体2の上下
の表面2a,2a及び側部の表面2bの表面粗さを算術
平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)
で3.0μm以下とする。そして、圧電セラミック体2
の上下の表面2a,2aに、金、銀、銅、ニッケル、白
金、ニッケル、クロム、アルミニウム、スズ、パラジウ
ム等の金属あるいはこれらの合金を、印刷法、イオンプ
レーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、PV
D法、CVD法、メッキ法等の周知の薄膜形成手段によ
り被着して電極3,3を形成し、しかる後、両電極3,
3間に直流電界をかけて円板状をした圧電セラミック体
2の板厚方向に分極処理を施すことにより得ることがで
きるのであるが、厚み加工を施すにあたり、平面研削盤
を用いる場合には、番手が#600(砥粒の粒径20〜
30μm)〜#3000(砥粒の粒径2〜6μm)のダ
イヤモンド砥石を、また、両面ラップ盤を用いる場合に
は、番手が#1000(砥粒の粒径8〜20μm)〜#
4000(砥粒の粒径2〜4μm)のメッシュで分級さ
れたSiCやAl23、ダイヤモンド等の砥粒を、円筒
研削盤やダイシングソーにて外辺の加工を施す場合に
は、粒径4〜20μm程度のダイヤモンド砥粒を固着し
たダイヤモンドホイールやダイヤモンドブレードをそれ
ぞれ用い、かつ加工速度を15mm/sec以下、好ま
しくは5mm/sec程度として加工することが必要で
ある。
【0021】即ち、厚み加工におけるダイヤモンド砥石
の番手が#600(砥粒の粒径20〜30μm)未満で
あったり、砥粒が#1000(砥粒の粒径8〜20μ
m)未満であったり、外辺加工におけるダイヤモンド砥
粒の粒径が20μmを超えると、圧電セラミック板2の
表面2a,2a,2bを算術平均粗さ(Ra)で0.3
μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とするこ
とができず、表面2a,2a,2bに大きな加工傷やマ
イクロクラックが多数発生するからであり、厚み加工に
おけるダイヤモンド砥石の番手が#3000(砥粒の粒
径2〜6μm)を超えたり、砥粒が#4000(砥粒の
粒径2〜4μm)を超えたり、外辺加工におけるダイヤ
モンド砥粒の粒径が4μm未満であると、表面2a,2
a,2bを上述した表面粗さとすることができたとして
も加工に時間がかかり過ぎて作業効率が悪いからであ
る。また、これらの加工速度が15mm/secを超え
ると、圧電セラミック体2に大きな加工圧力が作用する
とともに、高い加工熱が発生するため、分極の度合いが
低下することを防止することができなくなるからであ
る。
【0022】その為、平面研削盤に用いるダイヤモンド
砥石の番手は#600(砥粒の粒径20〜30μm)〜
#3000(砥粒の粒径2〜6μm)、両面ラップ盤に
用いる砥粒の番手は#1000(砥粒の粒径8〜20μ
m)〜#4000(砥粒の粒径2〜4μm)、円筒研削
盤やダイシングソーに用いるダイヤモンドホイールやダ
イヤモンドブレードに固着されたダイヤモント゛砥粒の粒
径は4〜20μmの範囲のものを用いるとともに、加工
速度15mm/sec以下の条件にて加工すれば良い。
【0023】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は図1に示す圧電部材1に限定されるもので
はなく、例えば、図1の圧電セラミック体2のうち、電
極3,3を形成する上下の表面2a,2aにのみ研削や
研磨等の加工を施し、側部の表面2bが焼成したままの
表面である時には、圧電セラミック体2の上下の表面2
a,2aをX線回折により測定し、上記表面2a,2a
は分極方向に対して垂直な表面であることから、正方晶
200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク
強度Bとの比(A/B)を1.5以下とし、その表面粗
さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ
(Ry)で3.0μm以下の平滑面とすれば良く、ま
た、圧電セラミック体2のうち、側部の表面2bにのみ
研削や研磨等の加工を施し、上下の表面2a,2aが焼
成したままの表面である時には、圧電セラミック体2の
側部の表面2bをX線回折により測定し、上記表面2b
は分極方向と平行な表面であることから、正方晶200
回折のピーク強度Aとの比(B/A)を1.5以下と
し、その表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm
以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下の平滑面とす
れば良い。
【0024】また、図1では、一つの圧電セラミック体
2の対向する表面に電極3,3を形成した圧電部材1に
ついて説明したが、上記圧電部材1を複数個積み重ねて
形成した積層型の圧電部材にも適用することができ、本
発明の要旨を逸脱しない範囲であれば改良や変更できる
ことは言う迄もない。
【0025】
【実施例】(実施例1)ここで、図1の圧電部材1を製
作するにあたり、圧電セラミック体2に研削加工を施し
て各加工表面における表面粗さと、各加工表面のピーク
強度比を異ならせた時の研削加工前後における電気機械
結合係数の低下率を測定する実験を行った。
【0026】具体的には、圧電セラミック体2を製作す
るため、原料粉末として、Pb34、ZrO2、Ti
2、SrCO3、BaCO3、ZnO、Sb23、Ni
O、TeO2、Nb25を用意し、それぞれの金属元素
のモル比率が、Pb:0.94、Zr:0.47、T
i:0.45、Sr:0.04、Ba:0.02、Z
n:0.025、Sb:0.05、Ni:0.002
5、Te:0.0025となるように秤量したものに溶
媒として水を加え、ボールミルにて20時間湿式混合し
た。次にこの混合物を乾燥し、800℃の温度で3時間
熱処理を加えて仮焼粉体を製作し、この仮焼粉体に水と
ZrO2製のボールを加えてボールミルにて20時間、
湿式混合粉砕し、さらに有機バインダーを添加、混練し
た後乾燥させて造粒粉を作製し、1.5×108N/m2
の成形圧で、φ20mm×2mmの円板状体に成形して
脱脂処理した後、1240℃前後の温度で焼成すること
により、φ16mm×1.6mmの円板状をした圧電セ
ラミック体2を作製した。
【0027】次に、得られた圧電セラミック体2の上下
面に、銀とガラス成分からなる分極用の電極層を焼付け
によって形成し、80℃のシリコンオイル中で直流電圧
を30分印加し、3.0kV/mmの電界にて分極処理
を行った後、150℃恒温の中で2hrのエージング処
理を行った。
【0028】次いで、分極用の電極層を取り除いた後、
圧電セラミック体2の厚み加工と外辺の加工を行った。
ここでは、φ15mm×0.5mmの寸法とするため、
番手が#400(砥粒の粒径30〜40μm)、#60
0(砥粒の粒径20〜30μm)、#1000(砥粒の
粒径8〜20μm)、#2000(砥粒の粒径4〜8μ
m)、#3000(砥粒の粒径2〜6μm)、#400
0(砥粒の粒径2〜4μm)の6種類のSiC砥粒を用
いて両面ラップ盤にて厚み加工を施し、また、粒径範囲
が30〜40μm、20〜30μm、8〜20μm、4
〜6μm、2〜6μmのダイヤモンド砥粒をそれぞれ固
着したダイヤモンドホイールを用いて円筒研削盤にて外
辺の加工を行った。
【0029】そして、得られた圧電セラミック体2の上
下の表面2a,2a及び側部の表面2bの表面粗さを、
小坂研究所製のサーフコーダーSE−2300と呼ばれ
る表面粗さ測定器を用い、JISB0601−1994
に準拠して各加工表面2a,2a,2bの算術平均粗さ
(Ra)と最大高さ(Ry)を各々測定するとともに、
圧電セラミック体2の上下の表面2a,2aにおける正
方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピ
ーク強度Bとの比(A/B)、及び圧電セラミック体2
の側部の表面2bにおける正方晶002回折のピーク強
度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/
A)を、理学製のRINT1400V型のX線回折装置
を行い、X線源をCu、X線源の管電圧を50kV、管
電流を200mAとして2軸の縦型ゴニオメータにてス
テップ幅を0.020°とし、回折角度40°から50
°の範囲に現れる正方晶200回折のピーク強度Aと正
方晶002回折のピーク強度Bをそれぞれ測定した後、
その比率を算出することにより求めた。
【0030】しかる後、加工を施した圧電セラミック体
2の上下の表面2a,2aに銀とガラス成分からなる銀
ペーストを塗布し、焼付けによって電極層を形成するこ
とにより試料としての圧電部材1を製作し、各試料を形
成する円板状をした圧電セラミック体2の放射方向の振
動における電気機械結合係数Kpを日本電子工業学会規
格EMAS−6100に準拠して行った。
【0031】また、上述した試料と同一組成、同一条件
にて焼成することにより、焼成したままの寸法がφ15
mm×0.5mmである圧電セラミック体2を製作し、
この圧電セラミック体2の上下の表面に銀とガラス成分
とからなる電極層を焼付けによって形成した後、同様の
条件にて分極処理したものを基準試料として用意し、こ
の基準試料を形成する円板状をした圧電セラミック体2
の放射方向の振動における電気機械結合係数Kpを日本
電子工業学会規格EMAS−6100に準拠して行い、
該基準試料の電気機械結合係数Kpに対する上記各試料
の電気機械結合係数Kpの比率を、加工前後における電
気機械結係数Kpの低下率として測定し、この低下率が
5%未満であるものを優れたものと評価した。
【0032】結果は表1に示す通りである。
【0033】
【表1】
【0034】この結果、表1に示すように、試料No.
14〜37は、圧電セラミック体2の各表面における表
面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下で、か
つ最大高さ(Ry)で3.0μm以下とし、かつ加工表
面が分極方向に対して垂直な表面(圧電セラミック体の
上下面2a,2a)である時には、その加工表面をX線
回折にて測定したときの正方晶200回折のピーク強度
Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)
を1.5以下とし、また、加工表面が分極方向に対して
平行な表面(圧電セラミック体2の側面2b)である時
には、その加工表面をX線回折にて測定したときの正方
晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピー
ク強度Aとの比(B/A)を1.5以下としてあること
から、各加工表面には大きな加工傷やマイクロクラック
が殆どなく、加工前後における電気機械結合係数Kpの
低下率を5%未満に抑えることができ、優れていた。
【0035】特に、試料No.26,29〜32,35
〜37のように、各加工表面におけるピーク強度の比を
1.0以下とすることにより、加工前後における電気機
械結合係数Kpの低下率を2%未満に抑えることがで
き、さらに試料No.35〜37のように、各加工表面
におけるピーク強度の比を0.9以下とすることによ
り、加工前後における電気機械結合係数Kpの低下率を
1%未満とすることができ、圧電セラミック体2が持つ
本来の電気機械結合係数が得られることが判る。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、研削加
工や研磨加工を施した少なくとも一つの加工表面を有す
る圧電セラミック体の対向する表面にそれぞれ電極を備
え、上記電極間に分極処理を施した圧電部材において、
上記加工表面が分極方向に対して垂直な表面である時に
は、上記加工表面をX線回折にて測定した時の正方晶2
00回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強
度Bとの比(A/B)を1.5以下とし、上記加工表面
が分極方向に平行な表面である時には、上記加工表面を
X線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強
度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/
A)を1.5以下としたことによって、研削や研磨等の
加工によって圧電セラミック体が本来有する電気機械結
合係数等の圧電特性が低下することを防止し、電気的エ
ネルギーと機械的エネルギーとの間の変換効率を向上さ
せることができる。
【0037】その為、本発明の圧電部材を、圧電ブザ
ー、インクジェット記録ヘッドや超音波モーター等に用
いられる圧電アクチュエータ等に用いれば、大きな変位
量が得られ、また、圧電センサーや加速度センサー等に
用いれば、小さな変化に対しても感度良く検出すること
ができ、さらに発振子や共振子に用いれば、一定の共振
周波数特性を有した製品が安定して得られるといった効
果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電部材の一例を示す図で、
(a)はその一部を破断した斜視図、(b)は断面図で
ある。
【符号の説明】
1:圧電部材 2:圧電セラミック体 2a:圧電セラミック体の上下の表面 2b:圧電セラミック体の側部の表面 3:電極

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】研削加工や研磨加工を施した少なくとも一
    つの加工表面を有する圧電セラミック体の対向する表面
    にそれぞれ電極を備え、上記電極間に分極処理を施した
    圧電部材において、上記加工表面が分極方向に対して垂
    直な表面である時には、上記加工表面をX線回折にて測
    定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶0
    02回折のピーク強度Bとの比(A/B)が1.5以下
    であり、上記加工表面が分極方向に平行な表面である時
    には、上記加工表面をX線回折にて測定した時の正方晶
    002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク
    強度Aとの比(B/A)が1.5以下であることを特徴
    とする圧電部材。
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