JP2001348623A - 高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方法 - Google Patents

高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方法

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JP2001348623A
JP2001348623A JP2000170064A JP2000170064A JP2001348623A JP 2001348623 A JP2001348623 A JP 2001348623A JP 2000170064 A JP2000170064 A JP 2000170064A JP 2000170064 A JP2000170064 A JP 2000170064A JP 2001348623 A JP2001348623 A JP 2001348623A
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Hidetoshi Noda
英俊 野田
Koichi Ichikawa
孝一 市川
Shoichi Mutsukawa
庄一 六川
Satoshi Machida
智 町田
Hideaki Sato
秀明 佐藤
Takeshi Hashimoto
健 橋本
Yoshinori Watanabe
芳典 渡辺
Noboru Sakamoto
登 坂本
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高結晶水鉱石を多量に使用し、溶融焼結を適
切に制御し、通気性を良好に保持し、高品質低SiO2
焼結鉱を歩留、生産性共に高水準にて製造する。 【解決手段】 混合原料中の25%以上に、結晶水5.
0%以上の高結晶水鉱石4を用い、焼結鉱SiO2
4.6%、CaO/SiO2=1.0〜3.0、MgO
>0.5%製造する際、含MgO副原料としてマグネサ
イト9、ブルーサイト10を用い、蛇紋岩やドロマイト
のようなSiO2・MgO系やCaO・MgO系副原料
を用いずに高結晶水鉱石4と配合し、ねっか処理を施し
て含MgO副原料と高結晶水鉱石とを均一混合し、得ら
れた予備造粒物13aを残部原料と配合し擬似粒子を調
製し、これを焼結機装入原料27とする。予備造粒物1
3aを更に予備擬似粒子18にする工程を付加する。更
に残部原料も予備擬似粒子25として使用する。マグネ
サイト、ブルーサイト粒度1mm以下を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高炉製銑法にお
いて使用する焼結鉱原料として高結晶水鉱石を多量に使
用し、高生産率且つ高歩留で還元性、耐還元粉化性、強
度並びに高温性状等に優れた高品質の低SiO2焼結鉱
を安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉原料として使用される焼結鉱は、一
般に、次の方法により製造される。先ず、本船から荷揚
げされた鉄鉱石を銘柄ごとに粉鉱ヤードに山積みする。
この後、山積みされた各種粉鉱石、含CaO副原料、含
SiO2副原料、ダスト及び炭材等を予め設定している
割合でベッディング法により混合し、ブレンディング粉
とする。このブレンディング粉、石灰石及び/又は生石
灰、珪石及び/又は蛇紋岩、粉コークス及び/又は無煙
炭、並びに返し鉱と、場合によっては、更に単味の鉱石
等の各原料をそれぞれ別の配合槽に入れ、それぞれの配
合槽から各原料を所定量連続的に切り出す。そして切り
出された原料に適量の水分を添加して混合、造粒する。
【0003】このようにして造粒された擬似粒子形態の
焼結原料をホッパーより無端移動グレート式焼結機(ド
ワイトロイド式焼結機)のパレット上に連続的に500
〜700mm程度の高さの層厚に供給して、充填層の形
態の焼結原料層を形成する。次いで点火炉にて表層部中
の炭材に点火し、下方に向けて強制的に空気を吸引しな
がら焼結原料層中の炭材を燃焼させ、この燃焼熱によっ
て焼結原料層を構成する擬似粒子形態の焼結原料を焼
結、塊成化する。こうして焼成された焼結ケーキを冷却
後、破砕し、整粒して3〜5mm以上の粒子を成品焼結
鉱として高炉に装入する。破砕・整粒過程で発生した3
〜5mm以下の粉焼結鉱は、返鉱として再度焼結鉱原料
として使用される。
【0004】こうして製造される高炉用原料として使用
される焼結鉱の品質は、高炉操業における炉内荷下がり
状態の安定性や通気性及び通液性、還元効率及び高温性
状等に対して大きな影響を及ぼす。従って、焼結鉱の製
造においては、焼結鉱の高品質が要求され、厳しい品質
管理が行なわれると共に、またその製造コスト低減のた
めに、焼結鉱の成品歩留向上が要請され、更に、焼結鉱
製造ラインの効率化のため、生産性確保が要請される。
ここで、焼結鉱の成品歩留は、焼結ケーキの重量に対す
る「成品焼結鉱」重量の割合、即ち、成品焼結鉱/焼結
ケーキで表わされる。
【0005】一方、鉄鉱石の供給面において、近年特に
赤鉄鉱(Fe23、ヘマタイト)や磁鉄鉱(Fe34
マグネタイト)等の良質な鉄鉱石が減少し、これに伴い
ゲーサイト(Fe23・H2O)を多く含むピソライト
鉱石あるいはマラマンバ鉱石のように結晶水含有量が高
い、所謂高結晶水鉱石が増加している。結晶水の鉱石中
含有率は高いものでは10mass%程度に達する。こ
のような高結晶水鉱石を高炉用焼結鉱として大量に、有
利に使用する技術が強く要請されるに至った。
【0006】ところが、上述した高結晶水鉱石には、焼
結鉱製造原料として使用するに際し、下記問題がある。
【0007】第1の問題点は、高結晶水鉱石が有する元
来の多孔質性状のために、上述した原料配合後の混合・
造粒工程で通常よりも添加水分量を多く、しかも適正量
添加する必要がある。一般に、配合原料の混合・造粒工
程における水分添加は、バインダーとして過不足なく適
正量の水分が添加されることが要求される。配合原料中
の高結晶水鉱石に対しては、添加した水分の一部が当該
高結晶水鉱石が有する多孔質部分に吸収されるので、造
粒バインダーとして当初適正量添加された水分が不足す
る傾向が生ずる。そのために、原料への添加水分量を通
常よりも多くしなければならない。その結果、原料中の
含有水分量が上がり、焼成過程で多量の燃料が必要にな
る。従って、炭材を多量に添加しなければならなくな
り、焼成が不安定となる。そして、焼結鉱の歩留及び生
産性の低下をきたす。更に、高結晶水鉱石は吸水性がよ
いので当該高結晶水鉱石に対して添加水分を均一に添加
・混合することが困難である。
【0008】第2の問題点は、高結晶水鉱石は、約40
0〜500℃に加熱すると、結晶水が分解・脱水して気
孔や亀裂が発生し、多孔質となる。そのために高結晶水
鉱石は、焼結過程における反応性が高く、1200℃近
傍においてカルシウム・フェライトを主体とした低融点
融液が局部的に過剰に生成して、焼結過程での通気性悪
化や不均一な気孔残留を発生させ、その結果焼結鉱強度
を劣化させる。そのため成品焼結鉱の歩留を悪化させた
り、生産率の低下を招く。
【0009】即ち、焼結鉱の製造に当たり高結晶水鉱石
を多配合すると、焼結工程において結晶水を除去するた
めに多量の熱量を消費し、更に、この水分の分解・離脱
時に粗大気孔や亀裂が発生し、多孔質的な性状が付加さ
れる。次いで、1200℃程度の高温領域では、焼結原
料中のCaOとヘマタイトとの反応により生成するカル
シウム・フェライト(CaO・Fe23,CaO・2F
23等)系融液が上記気孔や亀裂に侵入すると、鉄鉱
石の酸化鉄粒子同士が急速に分断されて、その一部がこ
の融液に溶け込み、即ち同化反応を起こし、融液の侵入
が速いために気孔や亀裂内のガスが融液中に残留する。
かくして、冷却後の焼結鉱は、多量の粒状ヘマタイト粒
子と、非晶質シリケートあるいはカルシウム・フェライ
トとが混在した結合層と多量の粗大気孔とが混在する組
織となる。
【0010】焼結鉱原料中に高結晶水鉱石を多配合する
と、このような多量の粒状ヘマタイト粒子と、多量の粗
大気孔との存在によって耐還元粉化性が劣化し、また多
量の粗大気孔の存在によって、焼結鉱の冷間強度は劣化
し、歩留は低下する。更に、同化反応が速いので、溶融
焼結反応において融液生成帯の空隙が急速に閉塞され
て、焼結機ベッド内における通気性が悪化し、その結果
コークス等炭材の燃焼遅れが発生し、焼結鉱の生産性が
低下する。そこで、従来、高結晶水鉱石の混合原料中の
鉄鉱石中に占める割合は20〜25mass%未満に制
限されることが多い。
【0011】以上のように、焼結鉱製造時の高結晶水鉱
石の多量配合操業における技術的課題は、造粒時の水分
多量添加による燃料コスト上昇と、焼結鉱の歩留及び生
産性低下の問題と、高結晶水鉱石の焼結ベッドにおける
溶融焼結反応制御の困難性の問題との2点に大別され
る。そして、上記第2の問題点に対しては多数の解決方
法の提案がなされているが、第1の問題点に対しては、
少数の提案がなされているに留まっている。そもそも、
第2の問題点解決のねらいは、第1の問題点が解決され
た状態、即ち、焼結鉱原料である擬似粒子が所定の粒径
を確保した状態を前提とし、かかる状態で焼結機へ装入
された場合に、焼結機パレット上の層状焼結鉱原料に対
して、溶融―焼結による焼成を均一且つ速やかに行なわ
せるために、当該原料層内部に均一且つ適切な通風性を
確保させる点にある。従って、高結晶水鉱石を多量に使
用して、安定した焼結機操業を実現するためには、第1
の問題点である焼結機装入時の擬似粒子径の確保の問題
を避けて通ることはできない。
【0012】このような状況下にあって、第1の問題点
に関連する擬似粒子の造粒性に関して、配合原料の混合
・造粒工程においてバインダーとして添加する水分の適
性量を決定し、制御する技術が提案されている。例え
ば、特開平11−61281号公報には、擬似粒子の形
成メカニズムをモデル化し、微粉鉱石が粗粒鉱石に吸着
して擬似粒子を形成するために下記制御をする。即ち、
微粉が粗粒へ付着する能力を有する下限の水分濃度値W
lmcを、当該銘柄鉱石の吸水率(吸水可能な最大水分濃
度)とその粒度構成とから算出して当該Wlmc以上にな
るように配合原料中の水分濃度を制御し、更に、擬似粒
子の粒度分布形状として、2〜10mmの範囲内の擬似
粒子の量が最大となるときの配合原料中の水分が得られ
るように、水分添加量を制御するというものである。当
該公報における開示技術においては、鉄鉱石として高結
晶水鉱石に限定されることなく、焼結用配合原料に対す
る造粒ミキサーにおける適切な水分添加量についてのか
かる提案がなされている(以下、「先行技術1」とい
う)。しかしながら、先行技術1では、添加された水分
を高結晶水鉱石粒子に均一に混合することは困難であ
る。
【0013】特開平10−60550号公報には、造粒
機から出てきた焼結原料の擬似粒子を整粒装置に通し、
その内所定の細粒物のみを対象としてこれにねっか処理
を施し、更に造粒して粗粒化を図り、こうして得られた
粗粒化物を再度上記整粒装置に戻すことにより、細粒物
を強固な粗粒に調製する方法が提案されている(以下、
「先行技術2」という)。
【0014】第2の問題点である溶融焼結反応を適切に
調節することにより、高結晶水鉱石を多配合しても、焼
結鉱品質を劣化させず、焼結鉱の歩留や生産性を維持し
つつ焼結鉱を製造しようとする方法に関し、下記技術が
提案されている。
【0015】例えば、特公昭58−55221号公報に
は、高結晶水含有のモナイト質鉱石に蛇紋岩を10重量
%添加し、ロッドミルで混合粉砕して鉄鉱石を破砕する
と共に、破砕された鉄鉱石の表面に蛇紋岩の微粒子を十
分付着せしめ、これを焼結原料鉱石の一部として配合使
用した例が記載されている(以下、先行技術3とい
う)。
【0016】特公平5−83620号公報には、下記技
術が提案されている。粗粒の高結晶水鉱石の周囲に、高
結晶水鉱石粉と蛇紋岩等の含MgO−SiO2系副原料
粉と適量の微粉コークス等の固体炭素粉とからなる被覆
層を形成させた予備擬似粒子を調製する。核である高結
晶水鉱石を主体するこの予備擬似粒子を、その他の残部
原料(これは原料配合のバランス上から高CaO/Si
2原料となる)と混合し、当該予備擬似粒子の表面に
付着させて擬似粒子を調製する。このように事前処理を
することにより、上記予備擬似粒子の外層部の構成要素
である高CaO/SiO2原料からは、1200℃近辺
においてCaO−Fe23系融液が生成する。このCa
O−Fe23系融液は、上記予備擬似粒子表層の被覆層
の構成要素である含MgO・SiO2系副原料と反応す
ると、この融液の融点は上昇して流動性が低下するの
で、当該融液は予備造粒物の内部へ侵入し難くなる。こ
うして、焼結過程における粗粒高結晶水鉱石と上記Ca
O−Fe23系融液との接触を抑制し、その間の高温に
おいて、核を構成する粗粒高結晶水鉱石の組織の緻密化
が粉コークスの燃焼により促進されて、融液による高結
晶水鉱石の同化反応を阻止する。このようにして、上述
した多量の粗大気孔の生成による耐還元粉化性の劣化を
防止し、焼結機ベッド内における通気性を確保して成品
焼結鉱の歩留向上及び焼結鉱の生産性維持を図るという
ものである(以下、先行技術4という)。
【0017】一方、焼結鉱の製造において、溶融同化性
の良好な高結晶水鉱石を多配合しても、焼結鉱中のスラ
グ成分組成を特定の範囲内に限定するだけの方法によ
り、焼結工程における局部的過溶融に起因して融液生成
帯の空隙が急速に閉塞され、その結果、焼結機ベッド内
における通気性悪化による炭材の燃焼遅れが発生して焼
結鉱の生産性が低下するのを抑制し、また成品焼結鉱の
歩留向上を図ろうとするものが、特開平8−23972
0号公報に開示されている。同公報の方法は、成品焼結
鉱中のスラグ成分が、SiO2:4.0〜4.8mas
s%、MgO:1.2〜2.4mass%、及びCa
O:6.0〜9.0mass%を満たすように原料及び
造滓材を調整するというものである(以下、先行技術5
という)。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】最近における鉄鉱石採
掘の動向の特徴は、ローブリバー鉱石やマラマンバ鉱石
等の高結晶水鉱石の採掘量が著しく増加しつつあること
である。従って、焼結鉱製造にこれらを大量に使用する
ための総合的技術を早急に開発することが要請される。
しかしながら、多量の高結晶水鉱石を焼結鉱原料として
工業的に使いこなすためには、前述した擬似粒子の造粒
性と焼結機ベッドにおける擬似粒子の溶融焼結性との二
つの問題点を解決しなければならないが、これまで上記
二つの技術的課題を同時に解決しようとする提案は見当
たらない。
【0019】そこで、この発明の課題の第一は、造粒バ
インダーの機能を有する添加水分が、吸水性のよい高結
晶水鉱石粒子と均一に混合された擬似粒子を調製する技
術を開発することであり、そしてその第二は、溶融焼結
反応が適切に制御された擬似粒子を調製する技術を開発
することである。
【0020】第二の課題については、その解決により、
焼結鉱の製造工程において高結晶水鉱石を多量に使用し
ても、高炉用原料としての焼結鉱の品質水準を良好に確
保することにより高炉の安定操業に寄与すると共に、成
品焼結鉱の歩留を高水準に維持し、その生産性を高水準
に維持することを目的とする。この点においては、先行
技術3~先行技術5で提案されている高結晶水鉱石の多
配合条件下での焼結鉱製造技術の目的と一致している。
【0021】ところが、本発明者等は、焼結鉱製造にお
ける上記最近の鉄鉱石需給動向に鑑み、高結晶水鉱石を
多量に使用することを前提条件とし、(イ)「上述した
焼結鉱の品質、歩留及び生産性のいずれをも確保する」
ことに加え、更に、(ロ)「成品焼結鉱中のSiO2
有率をできるだけ低く抑えることにより、高炉操業にお
けるスラグ比の低減による燃料消費原単位の低減及びス
ラグ処理費用の削減、高炉装入物の通気性を一層改善す
ることによる高炉安定操業への寄与、並びに、高炉にお
ける低シリコン溶銑を製造するための操業条件の優位性
を確保する」ことを、この発明の目的に追加した。
【0022】この発明の上記目的に対して、先行技術3
及び先行技術4は、本発明者等が目指す上記(イ)項に
ついては有効であるが、上記(ロ)項については、焼結
鉱中のSiO2含有率を低く抑えるべき技術的開示がな
く、先行技術3には、焼結鉱中SiO2含有率について
の開示はなく、また先行技術4の実施例1〜3を参照し
ても、「焼結鉱中目標SiO2=5.1〜5.6mas
s%」の記載があるに留まり、SiO2含有率の低減手
段についての記載はなく、また、その低減を重視する記
述も見当たらない。
【0023】一方、先行技術5は、成品焼結鉱中のスラ
グ成分中、SiO2、MgO及びCaOの3成分の組成
を、上述した通りの範囲内に入るように、また、望まし
くは、更にAl23含有率:2.0mass%以上を満
たすように、焼結鉱製造原料及び造滓材を調整すること
により、本発明者等が目指す上記(イ)を満たすことが
可能であるとしている。また、上記(ロ)についても、
成品焼結鉱中のSiO 2含有率を、4.0〜4.8ma
ss%という低水準の範囲内に限定することを提案して
いる。
【0024】ところが、高結晶水鉱石を多量に使用する
ことを前提条件とした技術において、先行技術5におけ
る最大の特徴は、下記点にあると理解される。即ち、そ
れ以前の技術はCaO含有率とSiO2含有率が低下す
ると、焼成過程における溶融同化反応が進まず、また焼
結ベッドの通気性悪化により焼結鉱の生産性が悪化する
ので、CaO含有率とSiO2含有率とをペアで比較的
高い値に確保する必要があった。例えば、SiO2
5.4mass%且つCaO=10.0mass%程度
の成分組成が必要とされていた。ところが、先行技術5
の発明者等は、溶融同化性の良好な高結晶水鉱石が多配
合されるので、それまでよりもCaO含有率とSiO2
含有率とをペアで低めることにより、適切な溶融同化反
応量を得ることが可能であるとの着眼により、CaO含
有率とSiO2含有率、及び滓化性を下げるMgO含有
率を変化させた多数の実験を行ない、その結果より、C
aO=6.0〜9.0mass%且つSiO2=4.0
〜4.8mass%と限定することにより、焼成過程に
おける溶融同化反応を調節でき、また焼結ベッドの通気
性改善を図ることができ、焼結鉱の生産性が向上すると
している。
【0025】このように、先行技術5では、成品焼結鉱
中のSiO2含有率の下限値が4.0mass%に制限
されているので、本発明者等が目指す上記(ロ)項にお
ける目的である、成品焼結鉱中のSiO2含有率をでき
るだけ低く抑えることにより、高炉操業でスラグ比を低
減するための目的である、 (ロ)−1:高炉の燃料消費原単位を減らし、スラグ処
理費用を削減すること、 (ロ)−2:高炉装入物の通気性を一層よくして高炉の
安定操業に寄与すること、及び、 (ロ)−3:高炉における低シリコン操業を行ない易く
すること、を実現することは困難である。
【0026】従って、この発明の目的は、上述した従来
技術の現状に鑑み、焼結鉱製造における高結晶水鉱石の
多配合要請に応えるべく、下記技術開発をすることを目
的とした。即ち、高結晶水鉱石を多量に使用しても、焼
結機パレット上に充填された焼結原料層におけるカルシ
ウム・フェライト(CaO・Fe23,CaO・2Fe
23等)系融液の生成をできるだけ均一に且つ適量に調
節すると共に、高結晶水鉱石の組織の緻密化を図ること
により、ベッド内通気性を良好に保持する。その結果、
還元性、耐還元粉化性、冷間強度及び高温性状の焼結鉱
品質を良好に維持し、焼結鉱の歩留と生産性を高水準に
維持する。更に、このような焼結鉱を高炉原料とするこ
とにより、高炉におけるスラグ比の低下を図ることが可
能となり、それにより高炉の燃料消費原単位及びスラグ
処理費用の低減、高炉装入物の通気性の改善と高炉操業
の安定化、並びに高炉の低シリコン操業を行ない易くす
ること等に寄与し、そして、焼結鉱製造から溶銑製造工
程に至るコスト低減に寄与し得る、そのような高炉用高
品質焼結鉱の製造方法を提供することをこの発明の目的
とした。
【0027】
【課題を解決するための手段】先ず、上述したこの発明
の目的を達成するために不可欠な要件として、吸水性良
好な高結晶水鉱石を含む配合原料に対して、水分を均一
に混合添加しなければならないこと、しかも、高結晶水
鉱石の溶融焼結反応の支配要因として、この反応に関与
するスラグ成分組成が適切でなければならず、しかも造
滓剤が高結晶水鉱石の表面近傍にできるだけ均一に分布
していなければならないことに着眼した。前者に対して
は、高結晶水鉱石の吸水性が良好であることを利用し
て、水分湿潤状態で外力を作用させる処理により、水分
を均一に分布させることに効果的であること、そして、
後者に対しては、多量に吸水した高結晶水鉱石と造滓剤
とを単に混合するというのではなく、両者を捏ね合わせ
るという処理により、その均一混合を促進させること、
従って高結晶水鉱石の周囲近傍にMgO成分を均一分布
させることに効果的であることに着眼した。そして、焼
結鉱の生産性及び歩留の向上支配要因である原料の溶融
同化反応の調節、及びその反応融液の流動性の調節、並
びに焼結ベッド内における均一な通気性の確保に対して
は、適切なスラグ成分組成を選定することが重要である
こと、また、高炉スラグ比の低下支配要因である焼結鉱
中のSiO2含有率をできるだけ低めることが必要であ
ることに着眼した。更にその際、低コストを実現できる
方法も課題とした。
【0028】本発明者等は、上述した目的及び着眼のも
とに、鋭意研究を重ねた。その際、焼結鉱中の成分組成
として、SiO2含有率をできるだけ低めた所定含有率
以下にすることを前提とした。その結果、下記知見を得
た。
【0029】(1)水分湿潤状態の鉄鉱石粉に外力を作
用させて、水分を均一に分布させるには、ねっか処理を
施すことが適していること、更に、高結晶水鉱石と造滓
剤との均一混合を促進させ、高結晶水鉱石の周囲近傍に
MgO源添加物質やフリーCaO源物質を均一分布させ
るためにも、ねっか処理が効果的であること、そして、
(2)焼結鉱の高温性状を確保し、還元粉化性を確保す
ると共に溶融焼結時の生成融液の流動性を調節するため
に適切量のMgO含有率を選定し、且つその融液の生成
量を調節するために、CaO含有率及びSiO2含有率
のそれぞれを個別に制約するのではなく、SiO2含有
率を所定値以下に低めた状態においてCaO/SiO2
mass%比を適切な範囲内に選定することが、上述し
たこの発明の問題点を解決するために必要であるとの知
見を得た。
【0030】(3)更に、このようにSiO2含有率を
低め、且つ適切量のMgO含有率を確保するためには、
MgO添加源として従来用いられている蛇紋岩等のMg
O・SiO2系副原料を使用したのでは、SiO2成分の
混入量が多くなるので、焼結鉱中のスラグを本発明者等
の目指す成分組成に調整することは困難である。そこで
本発明者等は、焼結鉱中MgO成分の添加源物質とし
て、MgO含有率が高く、特にSiO2含有率が低く、
そして、スラグ成分として有害な成分を実質的に含まな
いか、又は含んでいても実害のないもので、焼結鉱への
MgO添加源として適した物質を調査、試験した。その
結果、マグネサイト及びブルーサイトがこれに該当する
ことを見出した。即ち、マグネサイト及びブルースタイ
トはいずれも、主成分としてMgOの他に、炭酸マグネ
シウムMgCO3あるいは水酸化マグネシウムMg(O
H)2を多量に含み、SiO2、Al23、及びCaO等
の含有率は低い。従って、強熱残留分はMgOが主体
で、強熱減量(イグニッションロス)が全体の2分の1
から3分の1を占め、強熱減量分は焼結鉱の焼成過程に
おいて除去される。しかも、マグネサイト及びブルーサ
イトはいずれも従来のMgO源物質と比べて安価であ
り、埋蔵量も多く、需給も安定している。従って、マグ
ネサイトあるいはブルーサイトを焼結鉱中のMgO添加
源物質として使用し、しかも、蛇紋岩のようなSiO2
・MgO系副原料、及びドロマイトのようなCaO・M
gO系副原料のいずれをも用いなければ、上記問題点を
解決し得ることを知見した。
【0031】(4)また、上記低SiO2含有率という
条件下でMgO含有率を確保し、且つCaO/SiO2
mass%比を適切に選定するためには、MgO及びC
aO添加源として従来用いられているドロマイト等のC
aO・MgO系副原料を使用したり、あるいはこれを併
用したのでは、MgOと化学結合しているCaO成分の
添加量が多くなるので、例え焼結機装入原料中の全Ca
O成分の含有率が見かけ上は十分に確保されていても、
本発明者の目指す適切量のカルシウム・フェライト(C
aO・2Fe23)系融液の生成に必要なフリーCaO
の添加量が確保されなくなり、その融液生成量が過少と
なる。本発明者等は、このような問題を解決するために
は、MgO添加源としてブルーサイト、あるいはマグネ
サイトを選定することが極めて効果的であることを知見
した。
【0032】(5)次に、高結晶水鉱石の焼結機ベッド
内における溶融焼結反応の制御において、生成融液の流
動性を効率よく制御するためには、含MgO物質である
ブルーサイトあるいはマグネサイトの粒子が、高結晶水
鉱石を核としてその表面被覆層の一部を構成するために
効率よく付着するためには、当該含MgO物質の粒度が
適切に小さい方が望ましいことがわかった。即ち、マグ
ネサイト及びブルーサイトは、その粒度が1mm以下の
ものを用いれば一層望ましい。
【0033】(6)こうして、高結晶水鉱石の溶融焼結
反応におけるカルシウム・フェライト系融液の生成量及
びその流動性を適切に調節するためには、予め、高結晶
水鉱石を含MgO物質粒子を含む所定成分の被覆層で被
覆した造粒物を調製し、これと残部原料である通常鉱
石、含MgO副原料、含CaO副原料、返鉱等を配合
し、調湿・混合し、造粒して擬似粒子を調製することが
重要であることを知見した。なお、上記残部原料につい
ても予め造粒物に調製しておき、これを高結晶水鉱石と
配合し、調湿・混合し、造粒して擬似粒子を調製すれ
ば、焼結鉱の品質、歩留及び生産性は一層向上する。
【0034】この発明は、上記諸知見に基づきなされた
ものでり、その要旨は次の通りである。即ち、請求項1
記載の発明に係る高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造
方法は、その製造工程において、混合原料中の25ma
ss%以上に、結晶水を5.0mass%以上含む高結
晶水鉱石を用い、焼結鉱の成品中SiO2含有率が4.
6%以下、CaO含有率/SiO2含有率のmass%
比が1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.
5%を超える焼結鉱を製造するものであって、その際、
MgO添加副原料としてマグネサイト及びブルーサイト
の内の一方又は両方を用い、SiO2・MgO系副原料
及びCaO・MgO系副原料のいずれをも用いずに配合
し、こうして得られた配合原料を調湿し、ねっか処理を
施して上記含MgO副原料と上記高結晶水鉱石との均一
混合を促進させて造粒し、こうして得られた予備造粒物
を、当該焼結鉱製造用の残部原料と配合し、調湿・混合
し、造粒し、こうして得られた擬似粒子を焼結機に装入
することに特徴を有するものである。
【0035】請求項2記載の発明に係る高炉用高品質低
SiO2焼結鉱の製造方法は、請求項1記載の発明の工
程に、更に、上記ねっか処理を施された予備造粒物を造
粒機で造粒して予備擬似粒子を調製する工程を付加する
ことに特徴を有するものである。
【0036】請求項3記載の発明に係る高炉用高品質低
SiO2焼結鉱の製造方法は、請求項1又は2記載の発
明において、高結晶水鉱石を含んだ上記予備造粒物又は
予備擬似粒子と配合される上記焼結鉱製造用の残部原料
は、これを予め所定の割合で配合し、調湿・混合し、造
粒してもう一方の予備擬似粒子としたものを用いること
に特徴を有するものである。
【0037】請求項4記載の発明に係る高炉用高品質低
SiO2焼結鉱の製造方法は、請求項1、2又は3記載
の発明において、上記マグネサイト及びブルーサイト
は、その粒度が1mm以下のものを用いることに特徴を
有するものである。
【0038】請求項5記載の発明に係る高炉用高品質低
SiO2焼結鉱の製造方法は、請求項1〜4のいずれか
に記載の発明において、上記SiO2・MgO系副原料
は蛇紋岩であり、上記CaO・MgO系副原料はドロマ
イトであることに特徴を有するものである。
【0039】
【発明の実施の形態】次に、この発明の望ましい実施形
態の例を説明する。図1に、この発明における焼結鉱製
造工程の概略フローを示す。
【0040】主原料として通常鉱石1がベッディング2
により混合された混合粉3、ローブリバー鉱石やマラマ
ンバ鉱石等の高結晶水鉱石4、及び返鉱5を使用し、固
体燃料として粉コークス6を使用する。ここで、高結晶
水鉱石4とは、結晶水を5.0mass%以上含む鉄鉱
石を指す。そして副原料としては、CaO成分添加源の
石灰石7及び/又は生石灰8を、そしてMgO成分添加
源としてマグネサイト9とブルーサイト10の内少なく
とも一方を使用する。これら主原料、副原料及び固体燃
料等の原料を各原料配合槽11から所定の割合で切り出
し、調湿・混合し、造粒する。その方法は以下の通り行
なう。
【0041】先ず、混合粉3と高結晶水鉱石4との配合
原料(「混合原料」)中の25mass%以上に、高結
晶水鉱石4を用い、更に返鉱5、粉コークス6、石灰石
7及び/又は生石灰8、並びにマグネサイト9とブルー
サイト10の内少なくとも一方を、所定の割合で配合
し、水分12を添加してねっか処理装置13で調湿・ね
っか処理を施し、造粒物13aを調製する。次いで、更
にドラムミキサー14で造粒するか又はディスクぺレタ
イザー15で造粒し、適宜粉コークス16をコーティン
グミキサー17で外装して、高結晶水鉱石4を含む予備
擬似粒子18を調製する(ドラムミキサー14以降の上
記工程を「造粒ラインA」という)。なお、コーティン
グミキサー17を通さずにドラムミキサー14又はディ
スクぺレタイザー15で処理して、予備擬似粒子18を
調製してもよい。この場合は、外装粉コークスの当量を
原料配合段階で増量添加する。更に、造粒ラインAを通
す工程を省略して、ねっか処理装置13で調製された予
備造粒物13aを、上記予備擬似粒子18とみなしても
よい。ねっか処理装置13としては、市販のアイリッヒ
ミキサー、レディゲミキサーあるいはこれらに準じた装
置を用いる。
【0042】なお、この発明において「混合原料」と
は、原料配合槽11から切り出された高結晶水鉱石4と
その他の主原料とから返鉱5を除いた原料の混合物を指
し、図1の実施形態の例に当てはめると、高結晶水鉱石
4と混合粉3とが混合された原料の混合物を指すことに
なる。
【0043】但し、造粒ラインAのような造粒機等の設
備を設置し、その使用が困難な場合には、原料ヤードで
高結晶水鉱石4にマグネサイト9及び/又はブルーサイ
ト10を配合して積み付けたり、高結晶水鉱石4を原料
ヤードから原料配合槽11まで搬送する間に、その搬送
ベルト上においてマグネサイト9及び/又はブルーサイ
ト10を配合する等の工程により、当該MgO源物質
9、10を高結晶水鉱石4粒子の近傍に配合することに
より得られた配合原料も、造粒ラインAで得られる予備
擬似粒子18の代替として、効果的に使用することがで
きる。従って、本発明における「混合原料」の中には、
こうして得られた配合原料も含むものとする。
【0044】一方、通常鉱石1を主体とする混合粉3、
返鉱5、粉コークス6、並びに石灰石7及び/又は生石
灰8を、所定の割合で配合し、水分19を添加してドラ
ムミキサー20で調湿・混合し、次いで更にドラムミキ
サー21で造粒するか又はディスクぺレタイザー22で
造粒し、適宜粉コークス23をコーティングミキサー2
4で外装して、通常鉱石1を含むもう一方の予備擬似粒
子25を調製する(ドラムミキサー20以降の上記工程
を「造粒ラインB」という)。なお、造粒ラインBにお
いても、コーティングミキサー24を通さずにドラムミ
キサー21又はディスクぺレタイザー22で処理して、
予備擬似粒子25を調製してもよい。この場合は、外装
粉コークスの当量を原料配合段階で増量添加する。ま
た、更に造粒ラインBの造粒工程は省略して、原料配合
槽11から切り出された所定の配合原料(図1に「C」
で示す)を、上記の通常鉱石1を含むもう一方の予備擬
似粒子25の代わりに用いてもよい。
【0045】上記造粒ラインA及びBのいずれにおいて
も、コーティングミキサー17、24における粉コーク
ス16、23の外装処理は、特に、焼結ベッド充填層に
おける粉コークスの燃焼性向上による生産性改善に効果
を発揮する。しかし、上述したように、外装粉コークス
の当量を原料配合段階で加算添加する方法をとれば、コ
スト低減になる。
【0046】次いで、高結晶水鉱石4を含む予備造粒物
13a、又は予備擬似粒子18と、通常鉱石1を主体と
して含む配合原料「C」、又はもう一方の予備擬似粒子
25とを所定の割合で配合し、ドラムミキサー26に装
入して調湿・混合し、擬似粒子を調製し、これを焼結機
装入原料27とする。
【0047】こうして調製された焼結機装入原料27を
火格子移動式焼結機28のパレットに層状に充填装入
し、次いで上層表面に点火し、その原料充填層を通して
空気あるいは酸素富化空気を下方に吸引し、粉コークス
を燃焼させて焼成を行ない、焼結鉱29を製造する。焼
成された焼結鉱ケーキを破砕・整粒し、3〜5mm以上
の焼結鉱成品30を得た後、これを高炉31へ原料とし
て搬送する。また、3〜5mm以下の焼結鉱は返鉱5と
して所定の原料配合槽11へリターンする。
【0048】図1に基づく焼結鉱製造工程において、原
料配合槽11からの各種原料の配合割合は、焼結鉱成品
30の成分組成が、SiO2含有率:4.6mass%
以下、CaO含有率/SiO2含有率:mass%比で
1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率:0.5m
ass%超を満たすように調整する。
【0049】上記成分組成の調整において、MgO添加
源としてマグネサイト及びブルーサイトの内の一方又は
両方を用い、含MgO・SiO2系副原料や含CaO・
MgO系副原料を用いないので、SiO2含有率を目標
値通り低めることが可能となり、しかも、CaO含有率
のうち、MgOと化学結合したCaOの混入を排除し、
フリーCaO量を確保することができる。
【0050】この発明において焼結鉱中のSiO2含有
率を、4.6mass%以下に制限する理由は次の通り
である。一般に、焼結鉱の還元性や高温性状を改善する
方法としては、焼結鉱中のスラグ量、従ってSiO2
有率を低減することが効果的であることが知られてい
る。但し、冷間強度、歩留及び還元粉化性は悪化すると
いう、互いに相反する関係にあり、両者を改善するため
には多くの困難を伴う。この発明においては、SiO2
成分は高炉内において、焼結鉱中のスラグ融液量を増大
させ、特に、還元性や高温性状に悪影響を与えるので、
また、高炉でのスラグ比低減のために、高炉におけるス
ラグ組成の制約、例えば焼結鉱中Al23含有率の上限
が特に低く設定されていない操業条件下では、できるだ
け低くすることが望ましい。
【0051】焼結鉱中SiO2含有率を減らす方法とし
て、一般に、SiO2含有率の低い鉄鉱石を使用して
調整する方法と、珪石や蛇紋岩等のSiO2含有副原
料を減らして調整する方法が行なわれている。前者
()の高品位鉄鉱石原料の使用によるSiO2含有率
の低下調整方法では、長期的に安定して焼結鉱を製造す
るのは困難であり、コスト高となるため、後者()の
方法が多く採用されている。しかしながら、後者()
の珪石や蛇紋岩等のSiO2含有副原料を減らす方法の
内、珪石を減らしてもMgO含有率を所定値以上に確保
しようとして蛇紋岩を所定量使用する限り、これからの
SiO2成分の混入が加わってSiO2成分を低く制限す
ることが困難である。また、このように、蛇紋岩等のM
gO・SiO2系副原料の配合を減らすと、焼結鉱中の
MgO含有率を確保することができなくなり、高炉炉内
における焼結鉱の高温性状が悪化する。また、高炉スラ
グの流動性確保の観点から、焼結鉱で不足したMgO成
分を高炉で補填しなければならず、結局、高炉に蛇紋岩
等の副原料を投入しなければならないことになるため、
高炉スラグ比を減らすことができない。
【0052】従って、製鉄所内リサイクル原料の使用に
起源するSiO2の混入は容認し、その他のSiO2混入
源となる造滓剤は使用せずに、所定の品質水準を満たす
ことが必要である。ここで所定の品質水準は、焼結機及
び高炉操業条件によって差はあるが、概ね、JIS還元
率RIが70%程度以上、還元粉化指数RDIが40%
以下、そしてタンブラー強度TIが70%以上の高水準
を確保することを目標として、SiO2含有率を4.6
%以下に制限した。このように、焼結鉱中SiO2含有
率を低減することにより、ファイヤライト(2FeO・
SiO2 )のような難還元性物質の発生を抑制し、還
元性を向上させる効果もある。
【0053】一方、焼結鉱成品中のSiO2含有率の下
限値は、鉱石、返鉱、粉コークス及び上述した製鉄所内
リサイクル原料の使用等に起源する、原料供給上及び製
鉄所の工程上・経済性から不可避的に混入するSiO2
分から決まる水準とする。かかる観点から各工場毎に相
違するが、本発明におけるように、MgO添加源として
マグネサイトあるいはブルーサイトを用いた場合に、例
えば3.5mass%前後がSiO2含有率の実用的な
下限値となる。
【0054】次に、この発明において、CaO含有率/
SiO2含有率のmass%比、即ち塩基度を、1.0
〜3.0の範囲内に限定する理由は、焼結鉱の強度を確
保するため、及び高炉装入物としての実用的な範囲であ
る1.0〜3.0の間に設定したものである。ここで留
意すべき点は、焼結鉱中CaOの添加源として、ドロマ
イトのようなCaO・MgO系副原料を用いた場合に
は、このCaO成分はフリーCaOとしての作用効果を
発揮しないので、CaO含有率を単独に所定範囲内に限
定するというだけでは、この発明の課題を解決すること
は困難であることである。即ち、この発明においては、
SiO2含有率を4.6mass%以下に限定した上
で、しかも塩基度(CaO含有率/SiO2含有率のm
ass%比)を1.0〜3.0の範囲内に制限すること
に意義がある。
【0055】更に、この発明において、焼結鉱成品中の
MgO含有率を0.5mass%超に制限するのは、次
の理由による。即ち、高炉内における高温性状を確保
し、特に耐還元粉化性を良好にするためには、焼結鉱成
品中に所定含有率以上のMgO成分を確保することが重
要である。その際、MgO含有率が0.5%以下では、
MgOの上記作用効果が、焼結鉱成品中の他成分組成の
変動を考慮すると、必ずしも十分には発揮されないの
で、焼結鉱成品中のMgO含有率を0.5mass%超
に制限する必要がある。
【0056】一方、図1で説明したねっか処理装置13
を経由するライン、即ち、高結晶水鉱石4を含む予備擬
似粒子18を調製する造粒ライン、又は予備造粒物13
aを調製するまでのライン中の、混合粉3と高結晶水鉱
石4との配合原料(「混合原料」)中には、MgOが焼
結鉱成品中の含有率に換算した値でほぼ0.5mass
%超含有されていないと、焼結機装入原料27となった
後の高結晶水鉱石は、焼結機ベッド内における上述した
「溶融焼結反応の制御」が困難となり、局部的過溶融部
分と未焼部分とが発生する。ねっか処理装置13を経由
するラインで造粒された予備擬似粒子18又は予備造粒
物13aの構成要素である高結晶水鉱石4の周囲ないし
その近傍には、当該予備擬似粒子18又は予備造粒物1
3aが、もう一方の予備擬似粒子25と混合造粒され
て、あるいは擬似粒子化が行なわれていない所定の配合
原料(図1中の「C」)と混合造粒されて焼結機装入原
料27になった後でも、所定量のMgOが分布してお
り、このMgOが高結晶水鉱石の「溶融焼結反応の制
御」に寄与しているものと考えられる。そして、これに
対して、通常鉱石1を主体として含む、「造粒ライン
B」で造粒されるもう一方の予備擬似粒子25中には、
あるいは、通常鉱石1を主体として含み、擬似粒子化さ
れない所定の配合原料「C」中には、MgO源物質が添
加されなくても、これらが「造粒ラインA」で造粒され
た予備擬似粒子18と、ドラムミキサー26において適
切に混合され擬似粒子化されるので、焼結機装入原料2
7となって焼結機に装入されると、ベッド内における上
記「溶融焼結反応の制御」が支障なく行なわれる。
【0057】但し、上記において、「造粒ラインB」で
造粒された予備擬似粒子25あるいは所定の配合原料
「C」において、通常鉱石を主体として含むという場合
の高結晶水鉱石4の当該予備擬似粒子25あるいは配合
原料「C」中に占める高結晶水鉱石の割合は、約20m
ass%以下であり、望ましくは約10mass%以下
であるのがよい。その理由は、本発明者等の操業実績に
よれば、かかる条件であれば、溶融焼結反応上、並びに
焼結鉱の品質、歩留及び生産性確保上、支障ないからで
ある。
【0058】以上の通り、焼結鉱成品中のMgO含有率
は、高温性状、耐還元粉化性を良好に保持するための必
要条件として、0.5mass%超を確保することが重
要であり、一方、高結晶水鉱石を25mass%以上含
む混合原料の「溶融焼結反応の制御」上からも、当該混
合原料中にはMgO含有率が焼結鉱成品換算値で0.5
mass%超を必要とする。従って、図1に例示した焼
結鉱製造フローのように、(イ)高結晶水鉱石4が25
mass%以上を占める混合原料を用いた予備擬似粒子
18、又は予備造粒物13aと、(ロ)通常鉱石を主体
として含む、即ち高結晶水鉱石を20mass%程度以
下、望ましくは10mass%程度以下含む混合原料
(但し、高結晶水鉱石が0の場合は、本明細書では単に
原料という)から調製されるもう一方の予備擬似粒子1
8、又は所定の配合原料「C」と、を用いて調製される
擬似粒子である焼結機装入原料27の焼成においては、
焼結鉱成品中の含有率換算値でMgO成分が0.5ma
ss%超となるように、原料を配合すればよいことがわ
かる。
【0059】MgO源添加物質の上限値については、M
gO含有率を2.0mass%程度まで増加させると、
焼結過程において焼結原料中のスラグの滓化が悪化し、
焼結鉱生産率が低下する。MgO含有率は1.5mas
s%程度確保されればその作用、効果は十分発揮され
る。また、MgO添加剤のコスト低減上、それは少ない
方が有利である。従って、MgO成分添加のメリットと
デメリットとのバランスから、その含有率の上限はその
ときの周辺条件により適宜制限すべきである。
【0060】以上より、焼結鉱成品中のMgO含有率
が、0.5mass%超となるように原料配合を行な
い、望ましくはその上限値が2.0mass%、更に望
ましくは1.5mass%となるように設定するのがよ
い。
【0061】なお、マグネサイト9及びブルーサイト1
0の粒子径は、焼結用鉱石等残部原料及び副原料と同じ
程度であれば、混合、造粒工程でその粒子分散が一層均
一となり、MgO添加の作用が一層十分に発揮され、特
に還元粉化性等の品質改善効果が大きくなる。その観点
から、その粒度が1mm以下であることが望ましい。一
方、粒径が10mm程度以上のマグネサイト及びブルー
サイトは他の工業成品として使用されているが、それよ
り細粒のものは有効利用先がないので、本発明の焼結鉱
製造で使用すれば一層望ましい。
【0062】粉コークスの配合割合は、造粒方法及び添
加方法により適正範囲は変化するが、生産率及び歩留維
持の観点、並びに還元性及び還元粉化性向上のために、
過溶融防止の観点から、凡そ35〜45kg/t−成品
が適当である。
【0063】
【実施例】次に、この発明を実施例によって更に詳細に
説明する。図1に示した焼結鉱製造フローに従い、下記
焼結鉱の製造試験を行なった。試験は、本発明範囲内の
方法である実施例1〜16、並びに、本発明範囲外の方
法である従来例1〜3及び比較例1〜11によりそれぞ
れ焼結鉱を製造した。表1に、試験で用いた原料の成分
組成を示し、表2、表3及び表4のそれぞれに、実施
例、従来例及び比較例における原料配合を示す。また表
5に、実施例1〜11、15、16、並びに比較例3〜
8及び比較例11で使用したマグネサイト及びブルーサ
イトの粒度分布を示し、更に、同表には鉄鉱石として通
常鉱石のみを含む混合粉−A及び混合粉−Bの粒度分布
を併記した。なお、実施例12〜14において使用した
マグネサイト及びブルーサイトの粒度は1mm以下とし
た。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】高結晶水鉱石の内、マラマンバは結晶水含
有率約7mass%で、比較的SiO2含有率が低い鉱
石であり、ローブリバーは結晶水含有率約10mass
%である。混合粉−A及び混合粉−Bにはいずれも通常
鉱石のみを用い、結晶水含有率は3mass%以下の通
常鉱石を使用した。
【0070】(1)試験方法 [実施例1〜16]図1の焼結鉱製造フローにおいて、
実施例1〜10については、高結晶水鉱石4を含む原料
にねっか処理を施した後、ドラムミキサー14で造粒
し、コーティングミキサー17で粉コークス16を外装
して調製された予備擬似粒子18と、残部原料である通
常鉱石1の混合粉3を含む配合原料「C」とを、ドラム
ミキサー26で調湿、混合及び造粒をして調製された擬
似粒子を焼結機装入原料27とした。なお、MgO源物
質のマグネサイト及びブルーサイトは、実施例1〜7及
び9、10については全量ねっか処理ラインの原料に配
合し、実施例8についてはねっか処理ラインの原料と配
合原料「C」との両方に分けて配合し、また、生石灰、
石灰石、粉コークス及び返鉱は、実施例1〜8について
は全量ねっか処理ラインの原料に配合し、実施例9、1
0についてはねっか処理ラインの原料と配合原料「C」
との両方に分けて配合した。図1の焼結鉱製造フローに
おいて、実施例11については、高結晶水鉱石4を含む
原料にねっか処理を施した後、ドラムミキサー14及び
コーティングミキサー17で処理して調製された予備擬
似粒子18と、残部原料である通常鉱石1の混合粉3を
含む配合原料を、造粒ラインBで造粒して調製された予
備擬似粒子25とを、ドラムミキサー26で調湿、混合
及び造粒をして調製された擬似粒子を焼結機装入原料2
7とした。実施例12〜14は、実施例1〜7の工程に
準じたが、使用したマグネサイト及びブルーサイトを1
mm以下の粒度のもの、即ち、より望ましい粒度のもの
を用いた。そして、実施例15、16は、高結晶水鉱石
4を含む原料にねっか処理を施して調製された予備造粒
物13aと、残部原料である通常鉱石1の混合粉3を含
む配合原料「C」とを、ドラムミキサー26で調湿、混
合及び造粒をして調製された擬似粒子を焼結機装入原料
27とした。
【0071】上記実施例の工程における原料配合につい
ては、実施例1〜16の全てにおいて、混合粉3全量と
高結晶水鉱石4全量との合計量中に占める高結晶水鉱石
4の割合は、35mass%で一定とした。
【0072】また、高結晶水鉱石4に対するMgO添加
源物質として用いたマグネサイト及び/又はブルーサイ
トの量は、焼結鉱成品30でのMgOの目標含有率を、
実施例7においては1.0mass%に、その他の実施
例においては全て1.5mass%に設定した。但し、
実施例8のみにおいては、添加全MgO量の約40%
を、通常鉱石のみを含む配合原料「C」に対しても添加
してある。
【0073】次に、SiO2含有率については、焼結鉱
成品30での目標値を4.0mass%と4.5mas
s%との2水準に、そして塩基度(mass%CaO/
mass%SiO2)については、同じく焼結鉱成品3
0での目標値を全ての実施例において2.0に設定した
原料配合を行なった。
【0074】[従来例1〜3]従来例1〜3において
は、図1の焼結鉱製造フローに、ドロマイト及び蛇紋岩
の原料配合槽11を付加して設け、「混合原料」中の高
結晶水鉱石4の割合を、本発明の下限値25mass%
よりも低い20mass%に抑えた原料に、MgO添加
源物質としてドロマイト又は/及び蛇紋岩を配合し、ね
っか処理装置13を通さず、造粒ラインAに通して焼結
機装入原料27を調製し、焼結鉱を製造した。原料配合
においては、焼結鉱成品30でのMgOの目標含有率を
1.0又は1.5mass%に、SiO2の目標含有率
を4.5又は4.0mass%に、そして塩基度目標値
を2.0に設定して行なった。
【0075】[比較例1〜11]比較例1〜11につい
ては、図1の焼結鉱製造フローに、ドロマイト及び蛇紋
岩の原料配合槽11を付加して設け、ねっか処理装置1
3は通さずに造粒ラインAに所定の原料を流した。この
内比較例1〜8は、高結晶水鉱石4を含む「混合原料」
の造粒ラインAのみを用い、「混合原料」中の高結晶水
鉱石4の割合を35mass%にし、これにMgO添加
源物質としてドロマイト又は蛇紋岩を用いた場合(比較
例1及び2)と、マグネサイト9及び/又はブルーサイ
ト10を用いた場合(比較例3〜8)とに分けられ、焼
結鉱成分の内、SiO2含有率、MgO含有率又は塩基
度の目標値を適宜変化させた原料配合のものである。一
方、比較例9及び10は、高結晶水鉱石4を含む「混合
原料」の造粒ラインAと、通常鉱石1を含む原料の造粒
ラインBとを用いて分割造粒をしたが、MgO源添加物
質としてSiO2・MgO系又はCaO・MgO系副原
料である蛇紋岩又はドロマイトを用いた場合である。ま
た、比較例11も、比較例9及び10と同様の分割造粒
をしたが、マグネサイトとブルーサイトとによるMgO
添加を、高結晶水鉱石4を含む「混合原料」と、通常鉱
石1を含む原料との両方に分割し、高結晶水鉱石4を含
む「混合原料」には本発明条件の下限値0.5mass
%よりも少ない0.24mass%を添加し、通常鉱石
1を含む原料には1.24mass%を添加した。
【0076】上記配合条件で焼結鉱を製造した。そし
て、各焼結鉱成品の化学成分を分析すると共に、焼結鉱
製造の操業成績を調査し、焼結鉱の品質試験を行なっ
た。表6、表7及び表8のそれぞれに、実施例、従来例
及び比較例で製造された焼結鉱成品の化学成分組成及び
塩基度(C/S≡CaOmass%/SiO2mass
%)を示す。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】また、図2、図3及び図4のそれぞれに、
実施例、従来例及び比較例で製造された焼結鉱の品質試
験結果及び操業成績を示す。焼結鉱の品質評価は、冷間
強度をJIS法タンブラー強度TIで、還元性をJIS
還元率RIで、そして還元粉化性を日本鉄鋼協会製銑部
会法の還元粉化指数RDIで評価した。
【0081】以下、上記試験で得られた焼結鉱製造にお
ける焼結鉱成品の分析結果、焼結鉱成品の品質及び焼結
操業成績の特徴について述べる。
【0082】(1)実施例1〜16 実施例においてはいずれも、「混合原料」中に高結晶水
鉱石4を25mass%以上含み、ねっか処理を施され
た予備造粒物13a、又はねっか処理を施された後、更
に造粒処理を施された予備擬似粒子18と、原料中に通
常鉱石1を含んだ残部原料である配合原料「C」、又は
原料中に通常鉱石1を含んだ残部原料に造粒処理を施さ
れた予備擬似粒子25と、から擬似粒子を造粒し、得ら
れた焼結機装入原料27を焼結機で焼成した。製造され
たすべての焼結鉱成品は、SiO 2含有率が4.0〜
4.5mass%、MgO含有率が1.5又は1.0a
ss%、塩基度が2.0であった。そして、焼結鉱成品
の冷間強度はタンブラー強度TIで71.6%以上、還
元性はJIS RIで74.2%以上、そして、耐還元
粉化性は還元粉化指数RDIで36.5%以下であり、
いずれも目標値を満たすものであった。また、焼結鉱の
成品歩留は80.5%以上、生産率は1.66t/m2
h以上であり優れていた。
【0083】(2)従来例1〜3、比較例1〜11 ●従来例1〜3においては、高結晶水鉱石の配合割合が
20wt%と比較的低いので、MgO添加源物質として
蛇紋岩、あるいはドロマイトを用いることにより、焼結
鉱成品中SiO2含有率を4.6mass%以下と低く
することができ、MgO含有率1.0又は1.5mas
s%水準の原料配合を行なっており、低SiO2焼結鉱
製造操業により、成品品質及び操業成績が良好に維持さ
れている。
【0084】●これに対して、比較例1〜8においては
いずれも、造粒ラインAのみを用い、高結晶水鉱石4を
含む配合原料を残部原料と分割して予備擬似粒子を調製
する方法をとっていないので、高結晶水鉱石4の周囲近
傍にMgO源物質粒子をできるだけ均一に多量に分布さ
せることができない。しかも、比較例1では焼結鉱成品
中SiO2含有率が5.0mass%と本発明の上限値
4.6mass%を超えているので還元性に劣り、比較
例2ではMgO源としてドロマイトを使用しているので
フリーCaO量が不足し、その結果生産率及び焼結鉱成
品の冷間強度に劣り、比較例3では焼結鉱成品の塩基度
が0.8で本発明条件の下限値1.0よりも低いので焼
結鉱成品の冷間強度及び生産率に劣り、そして比較例4
ではMgO添加量が不足しているので焼結鉱成品の耐還
元粉化性に劣っている。比較例5〜8では、焼結鉱成品
品質、歩留及び生産率において特に劣ってはいないが、
実施例1〜14の各特性の水準と比較すると、これには
僅かながら及ばない。
【0085】●比較例9〜11においてはいずれも、高
結晶水鉱石4を分割造粒しているが、比較例9ではMg
O源物質として蛇紋岩を使用したので、焼結鉱成品中S
iO2含有率を低く抑制できず、その結果焼結鉱成品の
還元性に若干劣り、比較例10ではMgO源物質として
ドロマイトを使用したので、フリーCaO量を十分に確
保できず、その結果焼結鉱成品の冷間強度及び生産率に
若干劣り、そして比較例11では高結晶水鉱石4を含ん
だ混合原料に対するMgO成分の添加量が、本発明条件
の下限値0.5mass%よりも低い0.24mass
%であったので、生産性及び歩留において実施例の水準
に及ばなかった。
【0086】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
高炉用焼結鉱の配合原料として、高結晶水鉱石を多量に
使用した場合でも、MgO含有率を確保するために、蛇
紋岩で代表されるSiO2・MgO系副原料や、ドロマ
イト及び軽焼ドロマイトで代表されるCaO・MgO系
副原料を添加せずに、マグネサイトあるいはブルーサイ
トを用いて、SiO2含有率が4.6%以下でSiO2
CaOがmass%比で1.0〜3.0の範囲内で、且
つMgO含有率が0.5%超えの低シリカ焼結鉱を製造
することができる。この焼結鉱の使用により、高炉操業
でのスラグ中MgOの成分調整が不要であり、一方、焼
結工程での生産率及び成品歩留を従来の良好な水準に維
持しつつ、焼結鉱中SiO2含有率を低めて、還元性、
還元粉化性及び高温性状に優れた焼結鉱を安価に安定し
て製造できるようになる。その結果、高炉の燃料比及び
スラグ比の低減、あるいはまた、高微粉炭吹込み操業な
どの達成が可能となる。このような高炉用高品質低Si
2焼結鉱の製造方法を提供することができ、工業上有
用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を説明する焼結鉱製造工程
の概略フロー図である。
【図2】実施例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【図3】従来例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【図4】比較例で製造された焼結鉱の品質試験結果及び
操業成績を示すグラフである。
【符号の説明】
1 通常鉱石 2 ベッディング 3 混合粉 4 高結晶水鉱石 5 返鉱 6 コークス粉 7 石灰石 8 生石灰 9 マグネサイト 10 ブルーサイト 11 原料配合槽 12 水分 13 ねっか処理装置 13a 予備造粒物 14 ドラムミキサー 15 ディスクペレタイザー 16 粉コークス 17 コーティングミキサー 18 予備擬似粒子(高結晶水鉱石を含む) 19 水分 20 ドラムミキサー 21 ドラムミキサー 22 ディスクぺレタイザー 23 粉コークス 24 コーティングミキサー 25 予備擬似粒子(通常鉱石を含む) 26 ドラムミキサー 27 焼結機装入原料 28 火格子移動式焼結機 29 焼結鉱 30 焼結鉱成品 31 高炉
フロントページの続き (72)発明者 六川 庄一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 町田 智 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 佐藤 秀明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 橋本 健 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 芳典 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 坂本 登 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA05 CA33 CA34 CA35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉への装入原料である焼結鉱を製造す
    る工程において、混合原料中の25mass%以上に、
    結晶水を5.0mass%以上含む高結晶水鉱石を用
    い、前記焼結鉱の成品中SiO2含有率が4.6mas
    s%以下、CaO含有率/SiO2含有率がmass%
    比で1.0〜3.0の範囲内、且つMgO含有率が0.
    5mass%を超える焼結鉱を製造するに際して、 前記高結晶水鉱石と含MgO副原料とを、当該含MgO
    副原料としてマグネサイト及びブルーサイトの内の一方
    又は両方を用い、SiO2・MgO系副原料及びCaO
    ・MgO系副原料のいずれをも用いずに配合し、こうし
    て得られた配合原料を調湿し、ねっか処理を施して前記
    含MgO副原料と前記高結晶水鉱石との均一混合を促進
    させて造粒し、こうして得られた予備造粒物を、当該焼
    結鉱製造用の残部原料と配合し、調湿・混合し、造粒
    し、こうして得られた擬似粒子を焼結機に装入すること
    を特徴とする、高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の工程に、更に、前記ねっ
    か処理を施された前記予備造粒物を造粒機で造粒して予
    備擬似粒子を調製する工程を付加することを特徴とす
    る、請求項1記載の高炉用高品質低SiO2焼結鉱の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記高結晶水鉱石を含有する前記予備造
    粒物又は予備擬似粒子と配合される前記焼結鉱製造用の
    残部原料は、これを予め所定の割合で配合し、調湿・混
    合し、造粒してもう一方の予備擬似粒子としたものを用
    いることを特徴とする、請求項1又は2記載の高炉用高
    品質低SiO2焼結鉱の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記マグネサイト及びブルーサイトは、
    その粒度が1mm以下のものを用いることを特徴とす
    る、請求項1、2又は3記載の高炉用高品質低SiO2
    焼結鉱の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記SiO2・MgO系副原料は蛇紋岩
    であり、そして前記CaO・MgO系副原料はドロマイ
    トである、請求項1〜4のいずれかに記載の高炉用高品
    質低SiO2焼結鉱の製造方法。
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