JP2001251218A - 同期保持回路 - Google Patents

同期保持回路

Info

Publication number
JP2001251218A
JP2001251218A JP2000062159A JP2000062159A JP2001251218A JP 2001251218 A JP2001251218 A JP 2001251218A JP 2000062159 A JP2000062159 A JP 2000062159A JP 2000062159 A JP2000062159 A JP 2000062159A JP 2001251218 A JP2001251218 A JP 2001251218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
value
comparator
synchronization
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000062159A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidenobu Fukumasa
英伸 福政
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2000062159A priority Critical patent/JP2001251218A/ja
Publication of JP2001251218A publication Critical patent/JP2001251218A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synchronisation In Digital Transmission Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単なデジタル回路を使用して、安定かつ高
速追従可能な位相保持回路を提供する。 【解決手段】 ベースバンドに落された受信信号に対し
て、乗算器12でEarly系列の拡散符号と受信信号
の乗算を求め、積分ダンプフィルタ14でEarly系
列の復調シンボルを得る。同様に、Late系列に対し
て、乗算器11および積分ダンプフィルタ13で逆拡散
を行う。絶対値検出器15,16で絶対値を求め、比較
器17でEarly系列とLate系列の復調シンボル
の絶対値を比較する。積分器19で判定信号18を一定
区間積分し、比較器20に出力すると同時にリセットす
る。比較器20で積分器19からの入力を閾値(T)と
比較し、「T」以上なら「+1」、「−T」以下なら
「−1」、それ以外なら「0」を出力する。クロック発
生器21でローカルの符号発生器22の位相を制御す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スペクトル拡散通
信を利用した受信器の同期保持回路に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、スペクトル拡散技術は符号分割多
元接続(CDMA:Code Division Mu
ltiple Access)を用いたデジタル移動通
信をはじめ、様々な分野に利用されるようになってきて
いる。このスペクトル拡散技術を用いた通信では、疑似
ランダムな符号系列(拡散符号)を用いて変調を行って
いるため、受信器における復調処理において、送信側と
同一の符号系列および同一の位相を用いて行う必要があ
る。すなわち、スペクトル拡散通信を行う場合には、拡
散符号の同期をとらなければならない。
【0003】この符号同期には、同期捕捉と同期保持の
2つの段階がある。同期捕捉とは、マッチドフィルタや
スライディング相関器を用いて、受信信号と拡散符号の
相関ピークを見つけることにより、同期位相を求めるた
めの作業である。また、同期保持とは、ある程度の精度
を有する位相差から、さらに精度の高い位相を見つける
こと、およびその位相を保持することをいう。
【0004】同期保持のプロセスでは、一般的に、DL
L(Delay Locked Loop)と呼ばれる
回路が用いられている。図14に、DLLの基本原理を
説明するための回路構成のブロック図を示す。
【0005】DLLでは、同期位相(Punctua
l)に対して、若干進んだ位相の系列(Early)と
若干遅れた位相の系列(Late)の2つの系列により
逆拡散を行う2つの回路を備えている。ここでは、この
2つの系列間の位相差を1チップ(拡散系列の1シンボ
ルの長さ)とする。この2つの逆拡散シンボルの絶対値
の差を求め、その値によって系列の位相を制御する。
【0006】なお、図14において、51,52は乗算
器、53,54は積分ダンプフィルタ、55,56は絶
対値検出器、57は比較器、58はループフィルタ、5
9はクロック発生器、60は符号発生器、61は遅延器
をそれぞれ示す。また、乗算器51と積分ダンプフィル
タ53と絶対値検出器55とにより、遅れ位相系列(L
ate)の回路を構成し、乗算器52と積分ダンプフィ
ルタ54と絶対値検出器56とにより、進み位相系列
(Early)の回路を構成している。
【0007】図14に示すDLLは、アナログ方式のD
LLであるが、回路を小型化するとともに、消費電力を
省力化するためには、DLLをデジタル回路で構成し、
しかもなるべく少ないビット数で実現することが必要に
なる。このような要望に応えるための技術として、デジ
タル回路により構成されたDLLが、特開平11−23
4168号公報(拡散信号に対する相関処理の同期追従
回路)に示されている。
【0008】この「拡散信号に対する相関処理の同期追
従回路」(以下、方式1と称する)は、図15に示すよ
うに、2つの相関値を比較した結果を2値信号として生
成することを特徴としている。これにより、比較結果に
基づいて位相制御信号を生成するためのループフィルタ
を、単純な構成からなるアップダウンカウンタとするこ
とが可能となり、回路構成が極めて簡単となる。
【0009】この方式1では、さらにアップダウンカウ
ンタの値が更新される毎に閾値との比較を行ない、位相
制御信号を発生するか否かを決定する。そして、アップ
ダウンカウンタの値が閾値に達すると、位相制御信号を
発生し、アップダウンカウンタの値をゼロにリセットす
る。
【0010】なお、図15において、71,72は乗算
器、73,74は積分ダンプフィルタ、75,76は絶
対値検出器、77は比較器、78はアップダウンカウン
タ、79は比較器、80はクロック発生器、81は符号
発生器、82は遅延器をそれぞれ示す。また、乗算器7
1と積分ダンプフィルタ73と絶対値検出器75とによ
り遅れ位相系列(Late)の回路を構成し、乗算器7
2と積分ダンプフィルタ74と絶対値検出器76とによ
り、進み位相系列(Early)の回路を構成してい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たアナログ方式のDLLおよび方式1では、追従速度と
安定性の関係から、S/N比の小さい環境において十分
な特性を得ることが難しいという問題があった。特に、
マルチパスチャネルにおいて、複数の隣接したパスがあ
る場合には、目的のパスの相関値に、隣接するパスの相
関サイドローブが干渉して、比較器に定常的な誤差が生
じる場合がある。このため、DLLの安定性を確保する
ことが困難になるという問題があった。
【0012】また、図14に示すアナログ方式のDLL
では、常時、比較器における比較結果に基づいて位相制
御を実行するため、特に、S/N比の小さい環境におい
ては、誤った方向に位相制御を実行する危険性があり、
安定性を損なうおそれがあるという問題があった。
【0013】本発明は、上述した事情に鑑み提案された
もので、回路構成が単純であり、フェージング環境下に
おける安定性や引き込み特性を改善することが可能な、
スペクトル拡散通信を利用した受信器の同期保持回路を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る同期保持回
路は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備
えている。
【0015】すなわち、本発明に係るスペクトル拡散通
信を利用した受信器の同期保持回路は、受信信号に対し
てそれぞれ異なる2つの位相における逆拡散出力を得る
ための逆拡散器と、該2つの逆拡散器における逆拡散出
力の絶対値を比較するための比較器と、該比較器におけ
る比較結果を時間軸における判定閾値である一定時間だ
け区間積分して集計するための積分器と、該積分器にお
ける積分結果を積分値の閾値と比較し、時間軸における
判定閾値とその時間区間における積分値の閾値の両者を
用いて拡散符号発生器の位相を制御するための信号を発
生する手段とを備え、拡散符号の位相同期を保持するこ
とを特徴とするものである。
【0016】また、前記同期保持回路において、前記2
つの逆拡散器は、互いに1チップの位相差があることを
特徴とするものである。
【0017】また、前記同期保持回路において、前記2
つの逆拡散器は、互いに2チップの位相差があることを
特徴とするものである。
【0018】また、本発明に係るスペクトル拡散通信を
利用した受信器の同期保持回路は、受信信号に対してそ
れぞれ異なる、進み、遅れ、基準の3つの位相における
逆拡散出力を得るための逆拡散器と、前記進み位相およ
び前記遅れ位相の2つの逆拡散器が出力する電力の絶対
値を比較するための比較器と、該比較器における比較結
果を時間軸における判定閾値である一定時間だけ区間積
分して集計するための積分器と、該積分器における積分
結果を積分値の閾値と比較し、時間軸における判定閾値
とその時間区間における積分値の閾値の両者を用いて拡
散符号発生器の位相を制御するための信号を発生する手
段と、前記進み位相、前記遅れ位相、前記基準位相の3
つの逆拡散器が出力する電力の絶対値を比較するための
第2の比較器と、前記基準位相の逆拡散器が出力する電
力の絶対値が、前記進み位相または前記遅れ位相の逆拡
散器のうちいずれか一方が出力する電力の絶対値よりも
小さくなった場合に、強制的に拡散符号発生器の位相を
制御するための信号を発生する手段とを備え、拡散符号
の位相同期を保持することを特徴とするものである。
【0019】また、前記同期保持回路において、前記3
つの逆拡散器は、互いに0.5チップの位相差があるこ
とを特徴とするものである。
【0020】また、前記同期保持回路において、前記3
つの逆拡散器は、互いに1チップの位相差があることを
特徴とするものである。
【0021】上述した構成からなる本発明に係る同期保
持回路では、比較器出力を積分する期間を固定とする。
すなわち、時間軸における判定閾値と、その時間区間に
おける積分値の閾値である振幅閾値(または電力閾値)
の両者を利用している。
【0022】一方、上述した方式1では、比較器からア
ップダウンカウンタヘの入力がある毎に判定閾値との比
較を行ない、その結果によって位相制御信号を発生して
いた。
【0023】本発明に係る同期保持回路では、比較器出
力を一定区間平均することにより、頻繁に位相制御信号
が発生して位相が安定しないという現象の発生を防止す
ることができる。また、一定期間内の積分値が閾値に達
しない場合には、その時点で積分値をリセットする。こ
れにより、マルチパスの影響などにより定常的な誤差が
生じた場合であっても、これが蓄積されて位相制御信号
が発生するという不都合が生じ難くなる。
【0024】このように、本発明に係る同期保持回路で
は、積分期間を固定化し、一定区間毎に比較器出力の積
分値を判定してリセットすることにより、DLLが安定
して動作することとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明に
係る同期保持回路の実施形態を説明する。
【0026】<第1の実施形態>図1は、本発明の第1
の実施形態に係る同期保持回路の回路構成を示すブロッ
ク図である。本発明の第1の実施形態に係る同期保持回
路は、図1に示すように、乗算器12により、Earl
y系列の拡散符号と受信信号の乗算値を求め、積分ダン
プフィルタ14により、Early系列の復調シンボル
を得る。同様に、乗算器11により、Late系列の拡
散符号と受信信号の乗算値を求め、積分ダンプフィルタ
13により、Lateの復調シンボルを得る。
【0027】次に、絶対値検出器15,16により、各
系列における復調シンボルの絶対値を求め、比較器17
により、Early系列とLate系列の復調シンボル
の絶対値を比較して、いずれが大きいかを判定する。こ
の比較器17による判定結果である判定信号18は、1
ビット信号となる(「+1」または「−1」とする)。
【0028】次に、積分器19により、判定信号18を
時間軸における判定閾値である一定区間積分して、比較
器20に出力するとともに、積分値をリセットする。比
較器20では、積分器19からの入力値を振幅閾値
(T)と比較し、入力値が「T」以上である場合には
「+1」を出力し、入力値が「−T」以下である場合に
は「−1」を出力し、入力値がそれ以外の値ならば
「0」を出力する。
【0029】比較器20の後段にあるクロック発生器2
1では、定常的に符号発生器22を制御するためのクロ
ックを発生しているが、発生する符号の位相を一定位相
進めるか、遅らせるか、あるはそのままかの制御を、比
較器20からの入力に基づいて行うようになっている。
この位相シフトは、1チップより小さい量で行うことが
望ましい。しかし、位相制御量を細かくするためには、
入力信号を高いサンプリング周波数でサンプルする必要
があるために、消費電力の上昇を招くという問題もあ
る。このため、一般的には、1チップの4分の1〜8分
の1程度の位相シフトを行うようにすれば、消費電力の
上昇は問題にならないと思われる。なお、図1におい
て、23は遅延器を示す。
【0030】図2を用いて、比較器17および積分器1
9の動作を説明する。図2において、横軸tは経過時
間、縦軸Sは絶対値検出器15,16の出力を示してい
る。また、実線EはEarly位相の絶対値検出器1
6、実線LはLate位相の絶対値検出器15の出力を
それぞれ示す。なお、実線Pは第2の実施形態の説明に
用いるものであり、ここでは説明を行わない。
【0031】以下、t=T0において、DLLが正しい
位相に設定されているものとして説明を行う。図2に示
すように、時間経過に従って、パスの移動やクロックず
れによる位相ずれが生じる。ここでは、入力信号の位相
が進む方向にずれていると仮定する。この場合、Ear
ly位相の相関値が大きくなり、Late位相の相関値
が小さくなってくる。
【0032】ところが、通信路の状態が比較的安定して
おり、また通信器のAFC(自動周波数制御機構)が動
作している場合には、位相は緩やかに変動すると考えら
れる。経過時間が小さい時、すなわちt=T0の近辺で
は、Early位相とLate位相の相関値の差が小さ
いために、比較器出力の誤り率(実際の位相ずれの方向
と判定信号が誤る確率)は高くなる。このため、時間軸
における判定閾値を設けずに、積分値の閾値のみで制御
を行う方式1では、不適切な制御を行う可能性がある。
【0033】これに対して、時間軸における閾値を設け
る第1の実施形態に係る同期保持回路の場合には、ある
一定区間積分を行った時点で判定を行うため、不適切な
制御を行う可能性が極めて低くなる。また、時間軸にお
ける閾値で積分値をリセットするため、その時点である
程度位相がずれていれば(例えばt=T1の位置)、E
arly位相とLate位相の相関値にある程度の差が
あるので、雑音の影響を受けずに正確な制御を行うこと
が可能となる。
【0034】時間軸における判定閾値の大きさは、電波
の伝搬環境条件および送信側と受信側における周波数誤
差/安定度に依存して規定される。例えば、時間軸にお
ける判定閾値は、シンボル時間長の整数倍、または適用
システムにより規定されている複数のシンボルから構成
されたフレーム時間長とする。このように、時間軸にお
ける判定閾値を規定することにより、シンボルタイミン
グ信号またはフレームタイミング信号を利用して、比較
器20におけるタイミング信号およびリセット信号を生
成することができる。
【0035】<第2の実施形態>次に、本発明の第2の
実施形態に係る同期保持回路について説明する。図3
は、本発明の第2の実施形態に係る同期保持回路の回路
構成を示すブロック図である。なお、上述した第1の実
施形態に係る同期保持回路と同様の機能を有する構成部
分には、同一の符号を付して説明を行う。
【0036】本発明の第2の実施形態に係る同期保持回
路では、図3に示すように、Early系列とLate
系列に加えて、Punctual系列の復調シンボルを
求めている。すなわち、乗算器30により、Punct
ual系列の拡散符号と受信信号の乗算を求め、積分ダ
ンプフィルタ31により、Punctual系列の復調
シンボル38を得る。
【0037】次に、絶対値検出器15,16,32によ
り、各系列における復調シンボルの絶対値を求め、比較
器17により、Early系列とLate系列の復調シ
ンボルの絶対値を比較して、いずれが大きいかを判定す
る。同時に、Early系列、Late系列、Punc
tual系列の復調シンボルの絶対値35,36,37
が比較器33に入力され、それぞれの振幅(または電
力)の比較が比較器33により行われる。
【0038】ここで、Early系列、Late系列、
Punctual系列の復調シンボルの絶対値35,3
6,37は、それぞれの相関値に対応している。また、
Early系列、Late系列の位相は、Punctu
al系列の位相に対して、それぞれ0.5チップまたは
1チップだけ、進み位相あるいは遅れ位相となってい
る。なお、図3において、34は遅延器を示す。
【0039】図2を用いて、比較器33の動作を説明す
る。図2において、横軸tは経過時間、縦軸Sは絶対値
検出器15,16,32の出力を示している。また、実
線EはEarly位相の絶対値検出器16の出力、実線
LはLate位相の絶対値検出器15の出力、実線Pは
Punctual位相の絶対値検出器32の出力をそれ
ぞれ示す。
【0040】図2に示すように、送信側と受信側におけ
る周波数誤差等の原因により、時間経過とともにPun
ctual系列の相関値37(実線P)は減少し、送信
側と受信側における周波数誤差(位相の進みまたは遅
れ)に依存して、Early位相の相関値35(実線
E)またはLate位相の相関値36(実線L)は、増
加または減少する。なお、図2においては、Early
位相の相関値35(実線E)は増加し、Late位相の
相関値36(実線L)は減少していく場合を示してい
る。
【0041】DLLが理想的に動作した場合には、Pu
nctual位相の相関値は、時間経過とともに減少せ
ずに、同期時間時点t=T0における相関値の最大近傍
の値を維持する。一方、Early位相およびLate
位相の相関値は、ほぼ同一の値を維持する。比較器33
は、Punctual位相の相関値37(実線P)とE
arly位相の相関値35(実線E)を比較するととも
に、Punctual位相の相関値37(実線P)とL
ate位相の相関値36(実線L)を比較する。
【0042】上述した第1の実施形態に係る同期保持回
路では、時間軸における判定閾値である一定区間積分時
間をt=T1とすれば、比較器33では、Punctu
al位相の相関値37(実線P)は、Early位相お
よびLate位相の相関値35(実線E),36(実線
L)よりも大きな相関値を持つと判定される。Earl
y位相の相関値35(実線E)とLate位相の相関値
36(実線L)の差信号は、t=T0の付近では小さく
なり、2つの相関絶対値の差で判断する従来の方式1で
は、雑音等の影響により比較結果の信頼性が減少する。
すなわち、DLLの安定性が損なわれるおそれがある。
したがって、上述した第1の実施形態に係る同期保持回
路で説明したように、時間軸における判定閾値とその時
間区間における積分値の閾値、すなわち振幅閾値(また
は電力閾値)の両者を利用する方法は、DLLの安定性
を確保する上で有効な手段となる。
【0043】しかし、通信路の状態が急激に変化した場
合や、何らかの原因で送信局と受信局の周波数が大きく
ずれた際に、時間軸における判定閾値が位相ずれの速度
に比較して長くなる場合には、時間軸における判定閾値
がT3−T0となるような状態となり、Early位相
の相関値35(実線E)がPunctual位相の相関
値37(実線P)よりも大きくなる。これは、位相が1
/4チップ以上ずれた状態であり、このような状態では
制御が追従できなくなる。また、このような状態は、上
述した第1の実施形態に係る同期保持回路に限らず、図
14に示すアナログ方式のDLLや、図15に示す方式
1のDLLにおいても同様に起こり得る。
【0044】このように、比較器33においてPunc
tual位相の相関値37(実線P)がEarly位相
の相関値35(実線E)またはLate位相の相関値3
6(実線L)のいずれかよりも小さくなった場合には
(図2のt=T2)、比較器33により、強制的にクロ
ック発生器21により発生する符号の位相を、一定位相
だけ進めるか、あるいは遅らせるための制御信号39を
生成する。
【0045】t=T3と設定した場合のように、Ear
ly位相の相関値35(実線E)またはLate位相の
相関値36(実線L)が、Punctual位相の相関
値37(実線P)よりも大きくなる現象は、時間軸にお
ける判定閾値を長くした場合以外に、送信側と受信側に
おける周波数誤差が大きい場合にも生じる。したがっ
て、本発明の第2の実施形態に係る同期保持回路のよう
に、時間軸における判定閾値を設けると同時に、比較器
33によりEarly位相の相関値35(実線E)、L
ate位相の相関値36(実線L)、Punctual
位相の相関値37(実線P)を比較することにより、同
期外れを防止することが可能となり、安定して動作する
DLLを構成することができる。
【0046】以下、上述した構成からなる本発明に係る
同期保持回路の効果を、シミュレーション結果に基づい
て説明する。方式1および本発明の第1の実施形態に係
る同期保持回路(以下、方式2と称する)について、D
LLの位相保持特性と引き込み特性を求めた。評価に
は、セルラシステムのフォワードリンクを想定したシミ
ュレーションモデルを用いた。シミュレーションは、以
下の表1に示す条件に基づいて行った。
【0047】
【表1】
【0048】拡散率が256、シンボルレートが15k
spsの共通パイロットシンボルを用いてDLLを制御
し、方式2の積分区間を1フレーム(10msec)と
した。すなわち、150シンボルの積分で判定を行って
いる。信号の構成は、共通パイロットチャネルと個別チ
ャネルのみとし、個別チャネルは、以下の表2に示す構
成とした。
【0049】
【表2】
【0050】<DLL位相保持特性>閾値(T)を変化
させて、DLLの位相の変化の様子を求め、頻度分布を
求めた。DLLの初期値はパス位置とし、パスは移動し
ないものとした。シミュレーションによる測定時間は、
1000フレーム分である。
【0051】位相保持特性を図4〜図7に示す。また、
位相が±1/2チップ以上ずれる確率を表3および表4
に示す。
【0052】
【表3】
【表4】
【0053】<DLL引き込み特性>次に、DLLの位
相引き込み特性を求めた。すなわち、閾値(T)を変化
させて、DLLの位相がパス位置に収束するまでの時間
を求めた。DLLの初期値は、パス位置から+1/2チ
ップまたは−1/2チップずれた位置とし、パスは移動
しないものとした。シミュレーションによる測定時間
は、400フレーム分である。
【0054】引き込み特性を図8〜図13に示す。ま
た、同期引き込みに失敗した確率を表5および表6に示
す。
【0055】
【表5】
【表6】
【0056】図4〜図13および表3〜表6から明らか
なように、本発明に係る同期保持回路は、従来の方式と
比較して以下に説明するような優れた効果を奏すること
がわかる。
【0057】閾値を小さめに設定した場合、すなわち方
式1で閾値を30とした場合と、方式2で閾値を60と
した場合を比較すると、安定性においては若干方式2の
方が優れているが、引き込み速度は方式1の方が高速に
なる。これに対して、閾値を大きめに設定した場合、す
なわち方式1で閾値を300とした場合と、方式2で閾
値を100とした場合を比較すると、引き込みの速さも
安定性も方式2の方が優れていることがわかる。したが
って、閾値を大きめに設定して、引き込み特性よりも安
定性を重視する場合には、特に本発明に係る同期保持回
路である方式2が適していることがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る同期保持回路によれば、比
較器出力を一定区間平均することにより、頻繁に位相制
御信号が発生して位相が安定しないという現象の発生を
防止することができる。また、一定期間内の積分値が閾
値に達しない場合には、その時点で積分値をリセットす
ることにより、マルチパスの影響などにより定常的な誤
差が生じた場合であっても、これが蓄積されて位相制御
信号が発生するという不都合が生じ難くなる。こうし
て、積分期間を固定化し、一定区間毎に比較器出力の積
分値を判定してリセットすることにより、DLLが安定
して動作する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る同期保持回路の
回路構成を示すブロック図である。
【図2】時間経過に対する各相関値の推移を示す説明図
である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る同期保持回路の
回路構成を示すブロック図である。
【図4】閾値を30とした際における方式1の位相特性
を示す説明図である。
【図5】閾値を300とした際における方式1の位相特
性を示す説明図である。
【図6】閾値を60とした際における方式2の位相特性
を示す説明図である。
【図7】閾値を100とした際における方式2の位相特
性を示す説明図である。
【図8】閾値を30とした際における方式1の引き込み
特性を示す説明図である。
【図9】閾値を300とした際における方式1の引き込
み特性を示す説明図である。
【図10】閾値を60とした際における方式2の引き込
み特性を示す説明図である。
【図11】閾値を100とした際における方式2の引き
込み特性を示す説明図である。
【図12】方式1の引き込み時間の累積確率を示す説明
図である。
【図13】方式2の引き込み時間の累積確率を示す説明
図である。
【図14】従来のアナログ方式のDLLの回路構成を示
すブロック図である。
【図15】従来のデジタル方式のDLLの回路構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
11,12,30 乗算器 13,14,31 積分ダンプフィルタ 15,16,32 絶対値検出器 17,33 比較器 18 比較器の判定信号 19 積分器 20 比較器 21 クロック発生器 22 符号発生器 23,34 遅延器 35 Early系列の復調シンボルの絶対値 36 Late系列の復調シンボルの絶対値 37 Punctual系列の復調シンボルの絶対値 38 Punctual系列の復調シンボル 39 制御信号 51,52 乗算器 53,54 積分ダンプフィルタ 55,56 絶対値検出器 57 比較器 58 ループフィルタ 59 クロック発生器 60 符号発生器 61 遅延器 71,72 乗算器 73,74 積分ダンプフィルタ 75,76 絶対値検出器 77 比較器 78 アップダウンカウンタ 79 比較器 80 クロック発生器 81 符号発生器 82 遅延器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スペクトル拡散通信を利用した受信器の
    同期保持回路において、 受信信号に対してそれぞれ異なる2つの位相における逆
    拡散出力を得るための逆拡散器と、 該2つの逆拡散器における逆拡散出力の絶対値を比較す
    るための比較器と、 該比較器における比較結果を時間軸における判定閾値で
    ある一定時間だけ区間積分して集計するための積分器
    と、 該積分器における積分結果を積分値の閾値と比較し、時
    間軸における判定閾値とその時間区間における積分値の
    閾値の両者を用いて拡散符号発生器の位相を制御するた
    めの信号を発生する手段とを備え、 拡散符号の位相同期を保持することを特徴とする同期保
    持回路。
  2. 【請求項2】 スペクトル拡散通信を利用した受信器の
    同期保持回路において、 受信信号に対してそれぞれ異なる、進み、遅れ、基準の
    3つの位相における逆拡散出力を得るための逆拡散器
    と、 前記進み位相および前記遅れ位相の2つの逆拡散器が出
    力する電力の絶対値を比較するための比較器と、 該比較器における比較結果を時間軸における判定閾値で
    ある一定時間だけ区間積分して集計するための積分器
    と、 該積分器における積分結果を積分値の閾値と比較し、時
    間軸における判定閾値とその時間区間における積分値の
    閾値の両者を用いて拡散符号発生器の位相を制御するた
    めの信号を発生する手段と、 前記進み位相、前記遅れ位相、前記基準位相の3つの逆
    拡散器が出力する電力の絶対値を比較するための第2の
    比較器と、 前記基準位相の逆拡散器が出力する電力の絶対値が、前
    記進み位相または前記遅れ位相の逆拡散器のうちいずれ
    か一方が出力する電力の絶対値よりも小さくなった場合
    に、強制的に拡散符号発生器の位相を制御するための信
    号を発生する手段とを備え、 拡散符号の位相同期を保持することを特徴とする同期保
    持回路。
  3. 【請求項3】 前記2つの逆拡散器は、互いに1チップ
    の位相差があることを特徴とする請求項1記載の同期保
    持回路。
  4. 【請求項4】 前記2つの逆拡散器は、互いに2チップ
    の位相差があることを特徴とする請求項1記載の同期保
    持回路。
  5. 【請求項5】 前記3つの逆拡散器は、互いに0.5チ
    ップの位相差があることを特徴とする請求項2記載の同
    期保持回路。
  6. 【請求項6】 前記3つの逆拡散器は、互いに1チップ
    の位相差があることを特徴とする請求項2記載の同期保
    持回路。
JP2000062159A 2000-03-07 2000-03-07 同期保持回路 Pending JP2001251218A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000062159A JP2001251218A (ja) 2000-03-07 2000-03-07 同期保持回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000062159A JP2001251218A (ja) 2000-03-07 2000-03-07 同期保持回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001251218A true JP2001251218A (ja) 2001-09-14

Family

ID=18582204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000062159A Pending JP2001251218A (ja) 2000-03-07 2000-03-07 同期保持回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001251218A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1433266B1 (en) Code tracking loop with automatic power normalization
US6134260A (en) Method and apparatus for frequency acquisition and tracking for DS-SS CDMA receivers
KR20010013556A (ko) 동기화장치, 동기화방법 및 동기화장치를 구비한통신시스템
CA2483561C (en) Simple and robust digital code tracking loop for wireless communication systems
US7130329B2 (en) Apparatus and method for radio frequency tracking and acquisition
US7072428B2 (en) Method and apparatus for synchronization
US7889781B2 (en) Maximum energy delay locked loop for cluster path processing in a wireless device
US6775341B2 (en) Time recovery circuit and method for synchronizing timing of a signal in a receiver to timing of the signal in a transmitter
JP2001251218A (ja) 同期保持回路
JP3581067B2 (ja) Afc機能の有るcdma受信機
JP3683092B2 (ja) 拡散信号に対する相関処理の同期追従回路
EP1638216B1 (en) Code tracking loop with automatic power normalization
KR19980026495A (ko) 다중 경로 페이딩 환경하에서의 의사잡음 부호 추적 방법
KR20050086638A (ko) 디지털 통신 수신기의 미세 동기 방법 및 장치
JPH1198109A (ja) 移動無線受信装置