JP2001143245A - 磁気記録媒体用基板、ならびにそれを用いた磁気記録媒体および磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体用基板、ならびにそれを用いた磁気記録媒体および磁気記録装置

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JP2001143245A
JP2001143245A JP32445099A JP32445099A JP2001143245A JP 2001143245 A JP2001143245 A JP 2001143245A JP 32445099 A JP32445099 A JP 32445099A JP 32445099 A JP32445099 A JP 32445099A JP 2001143245 A JP2001143245 A JP 2001143245A
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JP32445099A
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Koji Ikeda
浩司 池田
Toshiya Ito
俊哉 伊藤
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の成膜装置を用いても生産性が低下せ
ず、また下地膜の腐食の問題が生じない垂直磁気記録に
適した磁気記録媒体用基板、ならびにそれを用いた磁気
記録媒体および磁気記録装置を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体用基板が磁性を備え、その
キュリー点またはネール点が200℃以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハードディスク
などの磁気記録装置に用いられる磁気記録媒体用基板お
よび磁気記録媒体に関するものである。さらには、垂直
磁気記録方式により情報の読み書きを行う磁気記録媒体
用基板などに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、市販されているハードディスクの
情報記録は、長手磁気記録方式で行われている。長手磁
気記録方式では、室温程度の熱によって磁区が容易に回
転するため、記録密度が高くなると、書き込みができな
くなりまた書き込んだ情報が容易に失われることが指摘
されている。このような現象は、熱ゆらぎの問題として
知られている。それゆえ、長手磁気記録方式では、近い
将来において熱ゆらぎの問題により、高記録密度化に対
応できなくなることが懸念されている。そこで、長手磁
気記録方式よりも熱ゆらぎの問題に対するマージンが大
きい垂直磁気記録方式が実用化に向けて近年活発に検討
されている。
【0003】垂直磁気記録方式の膜構成としては、非磁
性基板上に垂直磁気記録層を成形した単層膜、非磁性基
板上に軟磁性層および垂直磁気記録層を順次積層した二
層膜、ならびに非磁性基板上に硬磁性層、軟磁性層およ
び垂直磁気記録層を順次積層した三層膜が知られてい
る。特に二層膜と三層膜は、単層膜より高記録密度化お
よび磁気モーメントの安定保持に適しており、実用化に
向けた検討が近年盛んに行われている。ここで、軟磁性
層は、垂直磁気記録層の裏面に生じる分極磁化を消失さ
せて記録、再生感度を大きくする機能を果たすものであ
る。また。硬磁性層は、外部磁界に弱い軟磁性層の磁化
を固定し安定化させる機能を果たすものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、二層膜では、
軟磁性層の膜厚が500nm以下になると記録・再生感度
が急激に低下するため(IEEE Trans. Magn.,Mag-20,99-
101(1984))、500nm〜1um程度の膜厚が必要であ
る。また、三層膜では、硬磁性層にサマリウムコバルト
(SmCo)などの腐食し易い材料が使われる(特開平10−
283624号公報)。これらの二層膜や三層膜は、通
常はスパッタリング法により成形される。
【0005】現在市販されている長手磁気記録方式の磁
気記録媒体は、ガラスやアルミなどの非磁性基板上に、
10〜14室の成膜チャンバーを有する静止対向型のマ
グネトロンスパッタ装置を用いて下地層と磁気記録層を
多層成膜することにより製造されている。二層膜におけ
る1um程度もの軟磁性層(下地層)を成形するには、既
存のマグネトロンスパッタ装置では複数回の連続成膜が
必要となる。しかし、この場合は、成膜時間が長くなる
ので、磁気記録媒体の生産性が大幅に低下することにな
る。また、三層膜におけるSmCoなどの硬磁性層(下地
層)は、軟磁性膜ほどではないが150nm程度が必要で
あり、上記同様に生産性低下の原因となる(日本応用磁
気学会、Vol.21、No.S1(1997))。さ
らに、SmCoは腐食し易いため、記録保持の信頼性が低
い。
【0006】この発明は、このような従来技術に存在す
る問題に着目してなされたものである。その目的とする
ところは、既存の成膜装置を用いても生産性が低下せ
ず、また下地膜の腐食の問題が生じない垂直磁気記録に
適した磁気記録媒体用基板、ならびにそれを用いた磁気
記録媒体および磁気記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明の磁気記録媒体用基板は、キ
ュリー点またはネール点が200℃以上であるものであ
る。
【0008】請求項2に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項1に記載の発明において、表面近傍の面内
磁化方向が半径方向と平行であるものである。
【0009】請求項3に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項1または2に記載の発明において、ガラス
/結晶化ガラスからなる母材中に磁性体を含む結晶が存
在するものである。
【0010】請求項4に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項3に記載の発明において、ガラス/結晶化
ガラスからなる母材中に、バリウム(Ba)、ストロンチウ
ム(Sr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、リチ
ウム(Li)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、
イットリウム(Y)またはガリウム(Ga)の酸化物からなる
群の中から選ばれた少なくとも1種類を0〜30mol%、
Fe2OX(X=2〜3)を0.3〜50mol%含有するものであ
る。
【0011】請求項5に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項3または4に記載の発明において、ガラス
/結晶化ガラスからなる母材中に、フェライト系化合物
を含有する結晶相または微結晶相が存在するものであ
る。
【0012】請求項6に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項1または2に記載の発明において、有機物
の母材中に磁性体を含有するものである。
【0013】請求項7に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明におい
て、初透磁率が10〜10,000であるものである。
【0014】請求項8に記載の発明の磁気記録媒体用基
板は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明におい
て、保磁力が100〜10,000Oeであるものであ
る。
【0015】請求項9に記載の発明の磁気記録媒体は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用基
板上に垂直磁性記録層を設けたものである。
【0016】請求項10に記載の発明の磁気記録媒体
は、請求項7に記載の磁気記録媒体用基板上に、垂直磁
気記録層、保護膜および潤滑層を順次成形したものであ
る。
【0017】請求項11に記載の発明の磁気記録媒体
は、請求項8に記載の磁気記録媒体用基板上に、軟磁性
層、垂直磁気記録層、保護膜および潤滑層を順次成形し
たものである。
【0018】請求項12に記載の発明の磁気記録媒体
は、請求項9〜11のいずれか1項に記載の発明におい
て、基板と軟磁性層、基板と垂直磁気記録層または軟磁
性層と垂直磁気記録層の間に中間層を有するものであ
る。
【0019】請求項13に記載の発明の磁気記録媒体
は、請求項9〜12のいずれか1項に記載の発明におい
て、垂直磁気記録層または軟磁性層が中間層を有するも
のである。
【0020】請求項14に記載の発明の磁気記録装置
は、請求項9〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒
体を用いたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。この磁気記録媒体用基板(以下、単
に「基板」とする)は、キュリー点またはネール点が2
00℃以上であるものである。ここで、キュリー点と
は、強磁性またはフェリ磁性から常磁性への遷移が生ず
る温度をいう。また、ネール点とは、それ以下では磁気
モーメントが反平行になって反強磁性を示し、それ以上
では常磁性になる温度をいう。すなわち、この発明は、
基板自体が磁気記録装置の一般的な使用温度域において
確実に安定した磁気的特性を発揮することを特徴とす
る。このように基板が磁気的特性を備えることにより、
従来の二層膜における軟磁性層や三層膜における硬磁性
層の機能が基板自身により代替されることになる。その
結果、従来の厚い軟磁性層または硬磁性層の成膜が不要
になり、垂直磁気記録媒体の生産性が向上し、さらに硬
磁性層の腐食の問題もなくなる。
【0022】垂直磁気記録において情報記録の安定性が
担保されるためには、基板のキュリー点またはネール点
が一般的な使用温度域より高いことが必要である。キュ
リー点またはネール点が200℃以下である場合は、一
般的な使用温度域であっても基板の磁性そのものが失わ
れ、軟磁性層または硬磁性層の代替機能が発揮されなく
なる可能性がある。
【0023】キュリー点またはネール点が200℃以上
である基板は、その種類や成分を特に限定されるもので
はなく、フェリ磁性体、強磁性体または反強磁性体(以
下、これらを総称して単に「磁性体」とする)を含有す
る、あるいは磁性体からなるものが例示される。ここ
で、フェリ磁性体とは、フェリ磁性を示す物質であっ
て、例えばフェライトである。フェリ磁性とは、隣接イ
オンの磁気モーメントが非平行(通常,反平行)になる
が、このモーメントの大きさが異なるため、全体として
は有限の磁化を生ずるタイプの磁性をいう。また、強磁
性体とは、強磁性を示す物質であって、例えば鉄の種々
の変態、鋼、コバルト、ニッケルおよびそれらの合金な
どをいう。強磁性とは、ある種の金属、合金および遷移
元素(鉄系)、希土類元素、アクチニド元素などの化合物
においてみられる性質で、内部の磁気モーメントが自発
的に一定の方向を向き、真空の値よりかなり大きな透磁
率と磁気ヒステリシスをもたらす性質をいう。反強磁性
体とは、反強磁性的磁区からなる物質をいい、反強磁性
とは、ある種の金属、合金、遷移元素の塩などでみられ
る性質、原子の磁気モーメントが、交互に向きが変化す
るかまたは螺旋的に変化するように秩序だって並んでい
て、零磁場中で正味の全磁気モーメントは存在しないこ
とをいう。磁性体の具体例として、NiOやCr2O3が挙げら
れる。
【0024】基板の表面近傍の面内磁化方向は、基板の
半径方向と平行であることが好ましい。基板の表面近傍
において面内磁化方向を半径方向にすると、基板の面内
磁化方向が磁気ヘッドと相対的な移動方向と垂直になる
ので、透磁率に変動がなく高レベルの再生信号が一定し
て得られるようになる。また、垂直方向の外部磁場が媒
体に加えられても、再生信号の低下を防止することがで
きる(特開平5−67323号公報)。
【0025】上記の磁性体を含有する基板とは、例えば
ガラス/結晶化ガラス、セラミックスもしくは金属など
の無機物または樹脂などの有機物の母材中に、磁性体を
分散させ成形したもの、あるいは非磁性材料と磁性体を
混合して成形したものが挙げられる。また、磁性体から
なる基板とは、例えば磁性体を焼結または熔融固化した
ものが挙げられる。
【0026】基板が磁性体を含有する場合は、基板とし
て要求される剛性、硬度、表面平滑性および耐腐食性な
どの諸性質を磁気的特性と共に容易に充たすことができ
るガラス/結晶化ガラスが母材として好ましい。ガラス
/結晶化ガラスからなる基板は、市場で現実に広く採用
されており、基板に求められる磁気的特性以外の諸特性
を既に充たしている。そして、その製造技術も完成して
いることから、既存の技術や設備を利用して早期に量産
することが可能である。一方、フェライトなどのセラミ
ックスからなる基板は、粉体粒子の焼結体であるため、
基板表面にボイド欠陥が発生し易く、基板として好まし
くない性質が生じるおそれがある。ボイド欠陥は、磁気
ヘッドと磁気記録媒体間の磁気的スペーシングの変動を
引き起こし、ボイド欠陥部で情報の読み書きをできなく
しまた出力を低下させるため、ノイズの発生源になる。
パーマロイやセンダストなどの金属からなる基板は、剛
性や硬度の点でガラス/結晶化ガラスに劣り、基板の高
速回転時においてフラッタリングが発生し易くまた耐衝
撃性が不十分である。
【0027】ガラス/結晶化ガラスからなる母材中に散
在する磁性体を含む結晶相または微結晶相としては、例
えばマグネタイトまたはバリウムフェライトなどのフェ
ライト系化合物などが挙げられる。
【0028】ここで、ガラス/結晶化ガラスのガラスと
は、熱処理により結晶化した際に磁性を有する微結晶が
析出したもの、または磁性を有する微結晶が非磁性の微
結晶と共に析出したものをいう。一方、ガラス/結晶化
ガラスの結晶化ガラスとは、ガラス/結晶化ガラスのガ
ラスをさらに熱処理しその結晶性を高めたもの、または
熔融状態のガラス原料を徐々に冷却して磁性結晶を必ず
含む結晶相を分散して析出させたものをいう。そして、
ガラス/結晶化ガラスとは、前記ガラスと結晶化ガラス
のいずれか一方またはこれらの混合である状態を指す。
【0029】一方、基板が磁性体からなる場合は、金属
系ではパーマロイやセンダストなどの粒子を定法により
焼結または熔融固化したものが例示される。また、剛性
や硬度などの基板としての要求特性を充たすために、前
記の粒子と共に非磁性な金属粒子を混合してもよい。し
かしこれらは、上述のように剛性や耐衝撃性の点であま
り好ましいものではない。パーマロイやセンダストのよ
うな鉄元素を多く含むものは、現在基板として一般に使
われているアルミ合金やガラスに比べ密度が2〜3倍も
あるため、ハードディスクの駆動部分に負担を掛け消費
電力を上昇させる。そのため、特に軽量性を重視される
携帯用途のハードディスクには不向きである。
【0030】また、セラミックス系では、フェライト系
の粒子などを定法により焼結したものが例示される。た
だし、セラミックス基板はボイド欠陥が発生し易いた
め、基板としてはあまり好ましくない。しかし、ボイド
欠陥を極力少なくする処理を施すことは可能である。例
えば、遠心成形法による処理またはこの処理の後にさら
にHIP処理を施して基板を成形する(特開平11−1
34630号公報)。あるいは、基板をHIP処理など
によって、セラミックス粒子の粒界間を隙間なく充たし
粒子間の結合力を強化するため、加熱成形時に流動性を
有する成分を添加して基板を形成するなどである。ここ
で、HIP処理とは、熱間静水圧処理の略であり、不活
性ガス圧力下で加熱し、材料の接合および欠陥を除去す
る処理法、または鋳造、焼結時のボイドを除去すること
により高強度材料が得られ、部材の接合、粉末の焼結、
疲労材やクリープ材の再生(リジュブネーション)にも利
用される処理方法をいう。
【0031】基板の母材がガラス/結晶化ガラスである
場合は、その製造方法は特に限定されるものではなく、
例えばフロート法など公知の方法により製造可能であ
る。この場合は、ガラス材料を完全に熔融した後、冷却
することによって、一旦、完全に非晶質なガラスを作製
する。つぎに、このガラスを熱処理して磁性体からなる
結晶相を析出させる。磁性体からなる結晶相としては、
マグネタイトのようなフェライト系などの酸化物材料が
好ましい。フェライト系などの酸化物からなる結晶相で
あれば、加熱処理を行う際に強い還元雰囲気下で焼成を
行う必要がなく、母材中にα−Feのような金属の結晶相
を析出させる場合と比較して製造設備や製造プロセスを
簡単にできるメリットがある。
【0032】フェライト系結晶を析出させるためには、
母材であるガラス/結晶化ガラスがFe2OX(X=2〜3)を
0.3〜50mol%含有することが好ましい。この含有率
が0.3mol%未満では、母材中のFe原子の濃度が低すぎ
て、磁性を有する結晶相を形成することが困難になる。
一方、50mol%を越えると、ガラス原料の熔融や、ガラ
ス/結晶化ガラスの成形、加工が困難になるなどの問題
が生じる。さらには、バリウム(Ba)、ストロンチウム(S
r)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、リチウム
(Li)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、イッ
トリウム(Y)またはガリウム(Ga)の酸化物からなる群の
中から選ばれた少なくとも1種類を0〜30mol%含有し
てもよい。これらの酸化物が適宜添加されることによ
り、母材中に各種の磁性結晶が選択的に析出し、基板の
磁気的特性が任意の値に容易に制御されるようになる。
なお、母材中に析出する磁性体を含む結晶は、フェライ
ト系化合物に限定されるものではない。
【0033】このガラス/結晶化ガラスの熱処理条件を
制御することによって、所望の磁気的特性と基板として
求められる剛性、硬度、表面平滑性および耐腐食性など
の性能とを共に充たす基板を確実に製造することができ
る。
【0034】一方、有機物の母材中に磁性体が散在する
場合は、成形加工が容易であるというメリットがある。
樹脂などの有機物は、剛性や硬度の点で他の母材に劣る
が、剛性や硬度に優れるフェライトセラミックスなどの
磁性粒子をその内部に分散内在できれば、基板自体の剛
性や硬度が大幅に改善する。
【0035】このように基板自体が磁性を備えることに
より、従来の二層膜における軟磁性層を省いて、直接基
板上に垂直磁気記録層を成膜することが可能となる。あ
るいは、従来の三層膜における硬磁性層を省いて、直接
基板上に軟磁性層および垂直磁気記録層を成膜すること
が可能となる。これは基板の磁性が二層膜における軟磁
性層、三層膜における硬磁性層と同様の働きをするため
である。
【0036】基板の磁性が二層膜における軟磁性層と同
様の働きをする場合は、基板の初透磁率が10〜10,
000であることが望ましい。初透磁率が10未満であ
る場合は、記録時の磁気ヘッド磁界への追従性が不十分
となるため磁気記録が困難になる可能性がある。一方、
初透磁率が10,000を越えると、基板が外部電磁場
により容易に磁化され易くなり、これがノイズ源となる
可能性がある。なお、初透磁率が前記範囲内に収まるよ
うに、飽和磁化は10〜2,000emu/cc、保磁力は
0.1〜300Oeであることが望ましい。
【0037】また、基板の磁性が三層膜における硬磁性
層と同様の働きをする場合は、基板の保磁力は100〜
10,000Oeであることが望ましい。基板の保磁力が
100Oe未満の場合は、基板自体が数十Oe程度の外部磁
場により磁化され易くなるため、外部磁場に弱い軟磁性
層の磁化を固定することができず、ひいては垂直磁気記
録層の磁化を安定化することができなくなる。一方、1
0,000Oeを越えると、保磁力が磁気ヘッドの磁化能
力以上になるため、磁気ヘッドによる磁化が起こらなく
なる。なお、磁性を有する基板の上に形成される軟磁性
層や垂直磁気記録層のように磁気記録媒体の磁気特性を
決定している膜の構成と、基板の磁気的特性の関係は前
記した2つの例に限定されるものではない。
【0038】基板と垂直磁気記録層の間、基板と軟磁性
層との間または軟磁性層と垂直磁気記録層の間には、中
間層が存在してもよい。あるいは、垂直磁気記録層また
は軟磁性層自体が中間層を有してもよい。中間層は、そ
の種類を特に限定されないが、クロム(Cr)、コバルト(C
o)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、炭
素(C)またはケイ素(Si)の少なくとも1種類の元素を含
有するものであることが好ましい。これらの中間層が存
在することにより、軟磁性層や垂直磁気記録層の結晶軸
の配向を制御することで、磁気記録媒体の磁気記録特性
が容易に向上する。
【0039】なお、実生産において磁気記録媒体は、垂
直磁気記録層の上に保護層および潤滑層を順次設けられ
る。
【0040】磁気記録媒体は、定法によりハードディス
クなどの磁気記録装置に組み込まれる。したがって、新
たな設備を設置することなく、記録密度の高い磁気記録
装置を安価に提供することができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例および比較例によりこの発明を
さらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0042】(実施例1)組成がモル比で、酸化鉄(II
I)(Fe2O3)が19.5%、酸化カルシウム(CaO)が40.
25%、二酸化ケイ素(SiO2)が40.25%、三酸化二
ホウ素(B2O3)が3.35%、五酸化二リン(P2O5)が1.
65%であるガラスを熔融法により作成した。その後、
外径65mm、厚さ0.635mmのドーナツ状に切り出
し、研磨、加工し成形した。つぎに、このガラス基板を
還元雰囲気下1,050℃で数時間熱処理を行い、他の
結晶相と共に磁性を有する結晶としてマグネタイト(Fe
3O4、キュリー点585℃)をガラス中に析出させた。
また、熱処理と同時に、基板の内径よりも内側と外径よ
りも外側とに同心円状の電磁石を配置して、基板の半径
方向に磁場を印加して磁化処理を行った。
【0043】この結晶化ガラスの初透磁率、飽和磁化お
よび保磁力を測定したところ、初透磁率が30、飽和磁
化が90emu/cc、保磁力が120Oeであった。また、半
径方向と円周方向について各々VSMを用いたヒステリ
シス測定を行ったところ、半径方向の方が円周方向より
も角形比がより大きい値を示し、基板の半径方向に対し
て容易磁化軸を持つことが確認された。
【0044】(実施例2)ガラス組成がモルパーセント
(mol%)で、Fe2O3が19.5%、CaOが40.25%、Si
O2が40.25%であるガラスを熔融法により作成し
た。その後、直径65mm、厚さ0.635mmのドーナツ
状に切り出し、研磨、加工し成形した。つぎに、このガ
ラス基板を強還元雰囲気下950℃で数時間熱処理する
ことにより、他の結晶相と共に磁性を有する結晶として
α−Fe(キュリー点769℃)をガラス中に析出させ
た。この結晶化ガラスの初透磁率、飽和磁化および保磁
力を測定したところ、初透磁率が60、飽和磁化が15
0emu/cc、保磁力が114Oeであった。
【0045】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、つぎのような効果を奏する。請求項1に記載の
発明によれば、キュリー点またはネール点が200℃以
上であるので、基板が磁気記録装置の一般的な使用温度
域において確実に安定した磁気的特性を維持できる。
【0046】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加えて、表面近傍の面内磁化方向
が半径方向と平行であるので、高レベルの再生信号が一
定して得られ、また再生信号の低下を防止することがで
きる。
【0047】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
または2に記載の発明の効果に加えて、ガラス/結晶化
ガラスからなる母材中に磁性体を含む結晶が存在するの
で、基板として要求される剛性、硬度、表面平滑性およ
び耐腐食性などの諸性質を磁気的特性と共に容易に充た
すことができる。また、既存の技術や設備を利用して早
期に量産することができる。
【0048】請求項4に記載の発明によれば、請求項3
に記載の発明の効果に加えて、ガラス/結晶化ガラスか
らなる母材中に、各種酸化物を0〜30mol%およびFe2O
X(X=2〜3)を0.3〜50mol%含有するので、母材中に
各種の磁性結晶を選択的に析出させ、基板の磁気的特性
を任意の値に容易に制御できる。
【0049】請求項5に記載の発明によれば、請求項3
または4に記載の発明の効果に加えて、ガラス/結晶化
ガラスからなる母材中にフェライト系などの酸化物から
なる磁性体を含有する結晶または微結晶相が存在するの
で、加熱処理を行う際に強い還元雰囲気下で焼成を行う
必要がなく、母材中にα−Feのような金属からなる結晶
相を析出させる場合と比較して基板の製造設備や製造プ
ロセスを簡便にできる。
【0050】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
または2に記載の発明の効果に加えて、有機物の母材中
に磁性体を含有するので、成形加工を容易に行うことが
できる。
【0051】請求項7に記載の発明によれば、請求項1
〜6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、初透
磁率が10〜10,000であるので、軟磁性層を設け
ることなく、記録時の磁気ヘッド磁界への追従性を高
め、かつ外部電磁場による軟磁性層の機能を有する基板
の磁化を効果的に防止してノイズの発生を抑制すること
ができる。
【0052】請求項8に記載の発明によれば、請求項1
〜6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、保磁
力が100〜10,000Oeであるので、硬磁性層を設
けることなく、垂直磁気記録層の外部磁場による不要な
磁気記録消去を防止し、かつ磁気ヘッドによる磁化を確
実に起こすことができる。
【0053】請求項9に記載の発明によれば、請求項1
〜8のいずれか1項に記載の基板上に少なくとも垂直磁
気記録層を設けた磁気記録媒体であるので、垂直磁気記
録方式による情報の読み書きを行うことができる。
【0054】請求項10に記載の発明によれば、請求項
7に記載の基板上に垂直磁気記録層、保護膜および潤滑
層を順次成形したものであるので、軟磁性層を設けるこ
となく、記録時の磁気ヘッド磁界への追従性を高め、か
つ外部電磁場による基板の磁化を効果的に防止してノイ
ズの発生を抑制することができる。
【0055】請求項11に記載の発明によれば、請求項
8に記載の基板上に、軟磁性層、垂直磁気記録層、保護
膜および潤滑層を順次成形したものであるので、硬磁性
層が存在しなくても、垂直磁気記録層の外部磁場による
不要な磁気記録消去を防止し、かつ磁気ヘッドによる磁
化を効果的に起こす磁気記録媒体を提供することができ
る。
【0056】請求項12に記載の発明によれば、請求項
9〜11のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、
基板と軟磁性層、基板と垂直磁気記録層または軟磁性層
と垂直磁気記録層の間に中間層を設けるので、磁気記録
媒体の磁気記録特性を向上させることができる。
【0057】請求項13に記載の発明によれば、請求項
9〜12のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、
垂直磁気記録層または軟磁性層が中間層を設けるので、
磁気記録媒体の磁気記録特性を効果的に向上させること
ができる。
【0058】請求項14に記載の発明によれば、請求項
9〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体を用いる
ので、磁気記録の高密度化と高速化を体現する磁気記録
装置を安価に提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA11 BB01 CC04 CC09 CC10 DA05 DB01 DC03 DD03 DE01 DE02 DE03 DE04 DF01 EA01 EA02 EA03 EA04 EB01 EC01 ED01 ED02 ED03 ED04 EE05 EF01 EF02 EF03 EF04 EG01 EG02 EG03 EG04 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FJ02 FJ03 FJ04 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH04 HH05 HH06 HH07 HH09 HH10 HH11 HH12 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM27 NN33 QQ05 5D006 BB01 BB07 CA03 CA06 CB04 CB06 CB07 5E049 AB04 AB09 AC00 BA08 DB04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キュリー点またはネール点が200℃以
    上である磁気記録媒体用基板。
  2. 【請求項2】 表面近傍の面内磁化方向が半径方向と平
    行である請求項1に記載の磁気記録媒体用基板。
  3. 【請求項3】 ガラス/結晶化ガラスからなる母材中に
    磁性体を含む結晶が存在する請求項1または2に記載の
    磁気記録媒体用基板。
  4. 【請求項4】 ガラス/結晶化ガラスからなる母材中
    に、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、マンガン(M
    n)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、リチウム(Li)、銅(Cu)、
    マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)ま
    たはガリウム(Ga)の酸化物からなる群の中から選ばれた
    少なくとも1種類を0〜30mol%、Fe2OX(X=2〜3)を
    0.3〜50mol%含有する請求項3に記載の磁気記録媒
    体用基板。
  5. 【請求項5】 ガラス/結晶化ガラスからなる母材中
    に、フェライト系化合物を含有する結晶相または微結晶
    相が存在する請求項3または4に記載の磁気記録媒体用
    基板。
  6. 【請求項6】 有機物の母材中に磁性体を含有する請求
    項1または2に記載の磁気記録媒体用基板。
  7. 【請求項7】 初透磁率が10〜10,000である請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用基
    板。
  8. 【請求項8】 保磁力が100〜10,000Oeである
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用基
    板。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体用基板上に少なくとも垂直磁性記録層を設け
    た磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載の磁気記録媒体用基板
    上に、垂直磁気記録層、保護膜および潤滑層を順次成形
    した磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の磁気記録媒体用基板
    上に、軟磁性層、垂直磁気記録層、保護膜および潤滑層
    を順次成形した磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 基板と軟磁性層、基板と垂直磁気記録
    層または軟磁性層と垂直磁気記録層の間に中間層を有す
    る請求項9〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒
    体。
  13. 【請求項13】 垂直磁気記録層または軟磁性層が中間
    層を有する請求項9〜12のいずれか1項に記載の磁気
    記録媒体。
  14. 【請求項14】 請求項9〜13のいずれか1項に記載
    の磁気記録媒体を用いた磁気記録装置。
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