JP2000251736A - 電子源の製造方法および電子源および画像形成装置および帯電処理装置 - Google Patents

電子源の製造方法および電子源および画像形成装置および帯電処理装置

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JP2000251736A
JP2000251736A JP4865299A JP4865299A JP2000251736A JP 2000251736 A JP2000251736 A JP 2000251736A JP 4865299 A JP4865299 A JP 4865299A JP 4865299 A JP4865299 A JP 4865299A JP 2000251736 A JP2000251736 A JP 2000251736A
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Japan
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electron source
voltage
electron
discharge
grid electrode
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JP4865299A
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Tamaki Kobayashi
玉樹 小林
Keisuke Yamamoto
敬介 山本
Satoshi Mogi
聡史 茂木
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Canon Inc
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程中における異常放電を防止すると共
に、画像形成時における異常放電の低減を図った品質性
に優れた電子源の製造方法および電子源および画像形成
装置および帯電処理装置を提供する。 【解決手段】 X線照射装置1により発生したX線をカ
ソード基板2に照射し、同時に高圧電源5に電圧を印加
して、カソード基板2から放出された光電効果の結果生
ぜられる光電子を、グリッド電極6に捕獲することで、
高抵抗部分4において、電子の放出と電荷の補給のバラ
ンスを崩れさせて、正に帯電させることで、導電性部分
3との間で、電位差を生じさせ、電極形状等の異常があ
った場合には、その部分で沿面放電を発生させること
で、コンディショニングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出するた
めの電子源の製造方法、およびそのような製造方法によ
り製造される電子源、およびそのような電子源を備えた
画像形成装置、およびそのような電子源の製造方法の際
に帯電処理を施すための帯電処理装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、アノードとカソードからなる平板
型画像形成装置は広く研究、開発がなされており、使用
される電子源としては、例えば、電界放出素子や、表面
伝導型電子放出素子などにより構成されたものが挙げら
れる。
【0003】前者の電界放出素子を用いた一例として
は、アメリカ特許第4884010号が提案されてい
る。
【0004】また、後者の表面伝導型電子放出素子を用
いた一例としては、アメリカ特許第5066883号が
提案されている。
【0005】これらは、電子源の構造ならびに駆動の方
法等に違いは見られるものの、共通して見られる特徴
は、複数の電子放出素子で構成される電子源よりなるカ
ソードと、それに近接したアノードを有する点である。
【0006】このカソードとアノードとの距離は、概ね
数百μm〜数mm程度である。
【0007】アノードには、通常、電子を引き付ける為
に数キロボルト〜数十キロボルトの高い正電位が印加さ
れ、そのために、アノードとカソードの両電極間には強
電界が加わる事になる。
【0008】また、アノードには、通常、蛍光体が形成
されており、該蛍光体に電子が衝突する事により発光
し、画像が形成される。
【0009】故に、明るい画像を得るためには、電子の
エネルギーを大きくする事が必要であり、そのため、ア
ノードに印加される電圧は高い事が好ましい。
【0010】尚、本明細書では、アノードの形成された
基板の事をアノード基板、該アノード基板と対向して位
置するカソードの形成された基板のことをカソード基板
と略することにする。
【0011】さて、このような強電界の状況下では、ア
ノードとカソード基板間で異常放電が生ずる場合があ
る。
【0012】ここでいう異常放電とは、駆動に関わり、
電子源から放出される正規の、或いは予想しうる或意味
で定常的な放出電流とは区別される、アノードとカソー
ドの短絡を生ずるような大電流を伴う放電を指す。
【0013】このような異常放電は、カソードとアノー
ド基板間が不十分な真空であったり、或いは、カソード
基板上の電極形状や高抵抗部分に異常電場をもたらせる
ような問題があった場合などに生じるものと考えられ
る。
【0014】このような異常放電が一度生ずると、アノ
ードとカソード基板間の作る静電容量の大きさにもよる
が、電流集中に起因する電極等の損傷や、ひどい場合に
は、異常放電部と配線を介して接続された素子の破壊を
生ずる真空中のアーク放電に至る場合がある。
【0015】このアーク放電は結果的に大電流をもたら
し、電流による多量のジュール熱により、異常放電部の
素子の破壊や、蒸発した粒子が他の素子や配線の短絡を
引き起こす場合がある。
【0016】また、電流集中により、カソードならびに
結線のための配線の電位を不安定化させ、その結果、配
線を介して接続された素子に損傷を与える場合もある。
【0017】このような、真空中での放電を抑制する試
みとしては、異常放電を生ずることなく高電界を印加出
来るように、即ち、アノードに印加可能な電圧を上昇さ
せ、これよりも低い所望の電圧で安定に動作させるため
に、「コンディショニング」と呼ばれる処理を施す方法
が一般的に知られている。
【0018】このコンディショニングとしては、一般に
陽陰極表面の状態を変化させる、具体的には電極形状等
を修正する目的で、使用に供する前に、予め高真空中で
高電界を印加する、或いは、低圧の水素ガス中でグロー
放電を行わせる処理を施す方法などが知られている。
【0019】例えば、「電気学会大学講座 高電圧工学
第二次改訂版」(財団法人 電気学会 編、オーム社
1981年11月10日発行)には、真空放電に関し
て、火花放電の開始電圧を上昇させる手段として記載さ
れている(39ページ11〜12行)。
【0020】尚、本明細書で用いられる異常放電とは、
上述の火花放電を含んだものである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0022】上述のように構成される平板型画像形成装
置においては、画素欠陥等を生ずる可能性のある異常放
電を生じない、或いは生じにくくする為の処理を施す事
が肝要であり、切望されてきた。
【0023】このような、異常放電を生じない、或いは
生じにくくする為の処理としては、例えば、製造工程中
に予めアノードとカソードの間に真空中で電界を印加す
る、或いは低圧の水素ガス中でグロー放電を行わせるコ
ンディショニングの処理が考えられる。
【0024】これにより、とりわけ画像形成時に陰極と
なるカソード基板に対して、異常放電抑制の効果が期待
出来る。
【0025】これは、上記のコンディショニングによ
り、カソード基板上の電極形状等の異常部分を変化さ
せ、実質的に修正する事が可能となるためではないかと
考えられる。
【0026】しかしながら、製造工程中にアノード基板
とカソード基板間に真空中で電界を印加する場合、製造
工程のいつ実施するかにもよるが、先述の異常放電によ
るダメージを生じてしまう可能性がある。
【0027】このダメージは、その後の製造工程に影響
を及ぼし、結果的に画素欠陥を生ずる場合もある。
【0028】また、低圧の水素ガス中でグロー放電を行
わせる処理においては、表面元素のスパッタリングや表
面状態の変質などが問題となる場合がある。
【0029】一般的に、カソード基板に形成された冷陰
極電子源は繊細な構造を有しており、そのため電子源の
特性や、後の製造工程に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0030】即ち、上述の方法でコンディショニングを
実施する場合には、画像形成時の異常放電の発生を抑制
する事は期待出来るものの、画素欠陥等による画像の品
位の低下や、歩留まりの低下など、新たな問題が生ずる
という問題があった。
【0031】そこで、上述のコンディショニングに変わ
る、画素欠陥等を引き起こすダメージを排除して、且
つ、画像形成時に画素欠陥等を招く異常放電を生じな
い、或いは生じにくくする新規のコンディショニング方
法が重要であり、切望されてきた。
【0032】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、製造
工程中における異常放電を防止すると共に、画像形成時
における異常放電の低減を図った品質性に優れた電子源
の製造方法および電子源および画像形成装置および帯電
処理装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、基板上に設けられた電極間の電子
放出部から電子を放出させる電子源の製造方法におい
て、前記電子放出部を含む高抵抗部分に帯電処理を施す
工程を有することを特徴とする。
【0034】したがって、高抵抗部分を帯電させること
によって、高抵抗部分と電極との間に電位差を生じさせ
て、電極形状などの異常部分に沿面放電を起こさせるこ
とによって、比較的小さい放電により、異常部分の修正
が可能となる。
【0035】前記基板と対向する位置にグリッド電極を
配置すると共に、前記電極を含む導電性部分の電位を規
定した状態で基板に向けてX線を照射しつつ、前記グリ
ッド電極に電圧を印加して、前記帯電処理を施すとよ
い。
【0036】したがって、X線の照射により、光電効果
によって発生する光電子をグリッド電極で捕獲すること
で、高抵抗部分を正に帯電させる。
【0037】前記グリッド電極に印加する電圧を制御す
る電圧制御手段を有するとよい。
【0038】したがって、電圧を制御することで、光電
子の捕獲量を制御して、高抵抗部分と電極との間の電位
差を制御することができる。
【0039】前記帯電処理を施した際に、帯電部分近傍
に沿面放電が生じた場合に、該放電を観測する観測手段
を有するとよい。
【0040】したがって、放電を観測することで、異常
部分の有無等を知ることができる。
【0041】前記観測手段によって、放電が観測されな
くなるまで帯電処理を施すとよい。
【0042】したがって、放電が生ずるような異常な部
分をなくすことができる。
【0043】また、本発明の電子源にあっては、上記の
製造方法により製造されることを特徴とする。
【0044】ここで、電極および電子放出部は、表面伝
導型電子放出素子により構成されるとよい。
【0045】また、本発明の画像形成装置にあっては、
上記の電子源と、該電子源に対向する位置に配置され
て、電子源から放出された電子が衝突されることにより
発光する発光体を有するアノードと、を備えたことを特
徴とする。
【0046】また、本発明の帯電処理装置にあっては、
電子源を収容する真空容器と、前記電子源と対向する位
置に配置されるグリッド電極と、該グリッド電極に電圧
を印加する電源と、前記電子源に向けてX線を照射する
X線照射手段と、を備えた帯電処理装置であって、前記
X線照射手段によって電子源にX線を照射して、光電効
果によって発生する光電子を、電圧が印加されたグリッ
ド電極により捕獲することによって、電子源に設けられ
た高抵抗部分に帯電処理を施すことを特徴とする。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0048】図1を参照して、本発明の実施の形態に係
る電子源の製造方法および電子源および帯電処理装置に
ついて説明する。
【0049】図1は本発明の実施の形態に係る帯電処理
装置とこの装置内に配置された電子源の構成を示す模式
図である。
【0050】図1中、1はX線照射装置を、2はカソー
ド基板を、3はカソード基板上に形成された電極ならび
に配線等の導電性部分を、4はカソード基板上の高抵抗
部分を、5は高圧電源を、6はグリッド電極を、10は
真空容器を各々示す。
【0051】なお、電子源は、概略、カソード基板2
と、カソード基板2上に形成された導電性部分3および
高抵抗部分4と、から構成されるものである。
【0052】X線照射装置1としては、例えば電子線を
金属等のターゲットに照射する事により生ずる特性X
線、或いは制動放射による連続X線などを利用するもの
などが使用可能である。
【0053】例えば、アルミニウムのターゲットに数k
eV程度以上の電子線を照射する事により、特性X線と
してのKα線(波長:0.83368nm)を生じさせ
ることが可能である。
【0054】なお、本発明の実施の形態に好適なX線の
波長は、後述する光電効果の結果齎される帯電を効果的
に行えるものが良く、通常軟X線と呼ばれる、数百pm
〜数十nm程度のものを利用可能である。
【0055】特に、その中でも5Åの波長を有するもの
が光電効果を発揮するのに好適であり、ターゲットを、
アルミニウムの他に、マグネシウム,シリコン,硫黄、
あるいはリンなどとすれば、そのようなX線を生じさせ
ることが可能となるが、シリコンや硫黄では酸化膜がで
きてしまうので、あまり適してはいない。
【0056】カソード基板2は、電子源ならびに結線の
ための配線等が形成されたもの、あるいはその製造途中
のものが使用可能である。
【0057】3はカソード基板上に形成された電極なら
びに配線等の導電性部分を、4はカソード基板上の高抵
抗部分を示し、図に模式的に示されているように、導電
性部分3が高抵抗部分4により隔てられた構造を有して
いれば、どのようなカソード基板であってもよい。
【0058】グリッド電極6は、X線の照射により生ず
る光電子を捕獲するために用いられるものであり、例え
ばメッシュ状のような、X線の照射をあまり阻害しない
構造のものを使用する事が可能である。
【0059】真空容器10は、X線が減衰しにくく、か
つグリッド電極6とカソード基板2の距離に比べて電子
の平均自由工程が長くなる程度の圧力を実現できるもの
であれば特に限定されるものではない。
【0060】次に、製造工程の実施方法について具体的
に述べる。
【0061】まず、カソード基板2を導電性部分3の電
位を規定できるように設置する。
【0062】図1においてはグランド電位である。
【0063】続いてX線照射装置1及び、グリッド電極
6をカソード基板2と対抗させて配置し、その際に、グ
リッド電極6に高電圧を印加できるように高圧電源5を
結線して設置する。
【0064】配置が完了した後に、真空容器10の内部
を排気し、続いて帯電処理を施す。
【0065】すなわち、X線照射装置1により発生した
X線をカソード基板2に照射し、同時に高圧電源5に電
圧を印加する。
【0066】このように高圧電源5に正の電圧を印加す
ることにより、カソード基板2から放出された光電効果
の結果生ぜられる光電子は、グリッド電極6に捕獲され
る。
【0067】このとき、カソード基板2上の導電性部分
3と高抵抗部分4の両方から光電子は放出されるが、導
電性部分2では電子が放出されても直ちにグランド電位
から電荷が補給されるので帯電する事はないが、高抵抗
部分4から光電子が放出されると、電子の放出と電荷の
補給のバランスが崩れ、結果的に正に帯電する事にな
る。
【0068】この帯電により高抵抗部分4の電位は、導
電性部分3の電位、即ち、グランド電位よりも上昇し、
電位差を生ずる事になる。
【0069】このように高抵抗部分4に帯電させていく
と、上述の電位差は大きくなり、その近傍に電極形状等
の異常があった場合には、その部分で沿面放電を生ずる
場合がある。
【0070】この沿面放電は、電極形状等の異常の結果
生ずる異常電場によってもたらされ、該沿面放電時に
は、帯電により高抵抗部分4に蓄積されていた電荷が放
電電流として主に流れることになる。
【0071】この放電電流は、先述した画像形成時等の
真空中で生ずる異常放電と比較してかなり小さなもので
あり、カソード基板2に形成された導電性部分3に致命
的なダメージを与えることなく電極形状等の異常を修正
することが可能であり、すなわち、本実施の形態では、
この放電電流によりコンディショニングするものであ
り、電極形状等の異常を修正することで、沿面電圧の開
始電圧、すなわち、沿面耐圧を向上させて、結果的にア
ノードとカソード間で生ずる異常放電の開始電圧を向上
させ、ひいては画像形成時の異常放電を抑制するもので
ある。
【0072】この修正に関しては、再度上述の帯電の操
作を行った場合に沿面放電の有無を調べることで修正さ
れたか否かを調べることが可能となる。
【0073】このように、たとえば所望の帯電量に対し
て、沿面放電がなくなるまで処理することにより、画像
形成時の異常放電を抑制することが可能となる。
【0074】尚、X線照射装置1による一度に照射可能
な面積が、カソード基板2の面積と比べて小さな場合に
は、処理を場所ごとに複数回に分けたり、或いは帯電装
置1のカソード基板2に対する相対位置を徐々に移動さ
せるように実施してもよい。
【0075】さらに、上述の帯電処理を終えた際には、
必要に応じて除電の操作を行ってもよい。
【0076】上述の説明から理解されるように、本発明
の実施の形態においては、カソード基板上で生ずる沿面
放電を利用する事により、カソード基板に形成された導
電性部分に致命的なダメージを与えることなく電極形状
等の異常を修正する事が可能となり、ひいては異常放電
を抑制した画像形成装置を提供することが可能となる。
【0077】
【実施例】以下、上述の実施の形態で説明した処理を行
う工程を製造工程に含む製造方法によって製造された電
子源およびこの電子源を具備した画像形成装置の具体的
な実施例について説明する。
【0078】(実施例1)本実施例では、電子源の製造
工程において、上述の図1に模式的に示した構成で帯電
処理を行った。
【0079】処理を行うカソード基板としては、表面伝
導型電子放出素子がマトリクス配置された電子源により
構成されているものを使用した。
【0080】この電子源の形成されたカソード基板の模
式図を図3に示す。
【0081】図3において、12はx方向配線、13は
y方向配線、15は表面伝導型電子放出素子である。
【0082】図1における導電性部分3は、x方向配線
12、y方向配線13、表面伝導型電子放出素子15の
導電性部分等に対応し、高抵抗部分4はこれらの形成さ
れていない領域や、x、y方向配線が交差する部位など
で電気的に絶縁を保つように形成される層間絶縁部(不
図示)に対応する。
【0083】本実施例においては、y方向120素子
(n=120)、x方向40素子(m=40)からな
り、表面伝導型電子放出素子によりなる電子源部分のす
べての領域を一度に処理可能なX線照射装置を用いた。
【0084】尚、X線照射装置より照射されるX線は、
主にアルミニウムのKα線である。
【0085】また、グリッド電極6としては、3mmメ
ッシュ(Ni製)のものを使用し、グリッド電極6とカ
ソード基板2の距離は5mmとした。
【0086】以下に、製造工程を順に説明する。
【0087】1)図3に模式的に示されるカソード基板
2のx方向配線12およびy方向配線13をグランド電
位に設置し、該電位を基準電位とする高圧電源5を介し
てグリッド電極6と接続する。また、X線照射装置1を
グリッド電極6の上方に設置する。
【0088】2)真空容器10の内部を排気する。本実
施例では真空容器10内の圧力が1×10-3Paよりも
低くなるまで排気した。
【0089】3)X線照射装置1よりX線を発生し、同
時に高圧電源5により4kVの電圧をグリッド電極6に
印加した。この状態で約10分間保持して、高抵抗部分
4を十分に帯電させた。
【0090】4)X線の照射を停止するとともに高圧電
源5の出力を切り、真空容器10の内部を大気圧にもど
した。
【0091】5)カソード基板2を、除電ブロアーを用
いて除電した後取り出した。
【0092】6)カソード基板2については、電子源を
完成させるためのその他の工程を実施し、最終的には図
4に示す画像表示部(画像形成装置の主要部)を製造し
た。
【0093】図4において、図1及び図3と同じ部位に
は、同じ記号を示してある。
【0094】図中、16はカソード基板2を支えるリア
プレート、17はガラス基体、18は蛍光体、19はメ
タルバック、20はアノード基板(主に、ガラス基体1
7,蛍光体18およびメタルバック19により構成され
る)とカソード基板2を固定する支持枠である。
【0095】尚、表面伝導型電子放出素子15には対向
する素子電極が設けられており、該素子電極間に15V
程度の電圧を印加する事により、該電極間に素子電流I
fが流れ、同時に電子放出が行われるものである。
【0096】尚、上述の画像表示部とは別に、比較例と
して、上述の帯電処理の工程を実施せず、即ち本発明を
適用することなく、画像表示部を製造して本実施例と比
較する。
【0097】すなわち、実施例1の画像表示部と比較例
の画像表示部の相違は、カソード基板に対して帯電処理
を実施したか否かの違いのみである。
【0098】さて、上述のように、本実施例の製造方法
により製造した実施例1の画像表示部、及び比較例の画
像表示部の特性を評価するために、以下の評価実験を行
った。
【0099】まず、実施例1の画像表示部の特性を評価
するために、カソード基板2のx方向配線12、具体的
にはDox1,Dox2,・・・・Dox(m−1),
Doxm及び、y方向配線13、具体的にはDoy1,
Doy2,・・・・Doy(n−1),Doynをグラ
ンドに接続した状態で、アノードに印加する電圧を10
kVから毎秒20Vのレートで15kVまで昇圧した
後、1時間保持して異常放電の有無を測定した。
【0100】その結果一度も異常放電が生ずる事が無か
った。
【0101】続いて、アノードに12kVの高電圧を印
加し、カソード基板2のx方向配線12、具体的にはD
ox1,Dox2,・・・・Dox(m−1),Dox
m及び、y方向配線13、具体的にはDoy1,Doy
2,・・・・Doy(n−1),Doynに接続された
不図示のドライバーユニットを駆動する事により、画像
を表示させた。
【0102】その結果、異常放電を生ずることなく、
又、画素欠陥も見られず、良好な画像が表示された。
【0103】続いて、比較例の画像表示部に対して、上
述の実施例1と同等の評価実験を行った。
【0104】実施例1と同様に、カソード基板2のx方
向配線12、具体的にはDox1,Dox2,・・・・
Dox(m−1),Doxm及び、y方向配線13、具
体的にはDoy1,Doy2,・・・・Doy(n−
1),Doynをグランドに接続した状態で、アノード
に印加する電圧を10kVから毎秒20Vのレートで昇
圧していったところ、10.8kVで異常放電が生じ
た。
【0105】その後も昇圧を続けたところ、11.7k
Vで再度異常放電が生じたので昇圧を中止した。
【0106】次に、アノードに12kVの高電圧を印加
し、カソード基板2のx方向配線12、具体的にはDo
x1,Dox2,・・・・Dox(m−1),Doxm
及び、y方向配線13、具体的にはDoy1,Doy
2,・・・・Doy(n−1),Doynに接続された
不図示のドライバーユニットを駆動する事により、画像
を表示させたところ、上述の異常放電に関わる画素欠陥
が見られた。
【0107】また、画像を評価している間にも異常放電
が観測された。
【0108】これらの結果より、比較例の画像表示部の
異常放電を開始するアノードの電圧が12kVよりも低
く、アノードの電圧が12kVの条件で異常放電を生ず
ることなく駆動することが困難である事が分かる。
【0109】比較例の結果と、実施例1の画像表示部で
異常放電が生じなかったことから、本実施例により製造
された画像表示部が、異常放電の抑制に効果がある事が
理解される。
【0110】これは、実施例1のカソード基板に対して
帯電処理を実施したことにより、電極形状等の異常部分
を修正し、結果的に異常放電を生ずることなくアノード
に印加可能な電圧を向上させる事が出来たためである。
【0111】また、上述の帯電処理により画素欠陥等を
生じる事も無く、ダメージを抑制した状態で実施可能で
ある。
【0112】(実施例2)本実施例では、上記実施例1
で行った帯電処理に対応する工程を、図2に模式的に示
された構成の帯電処理装置で実施したものである。
【0113】図2においては、図1と同じ部位には同じ
符号を付している。
【0114】図2中、7は電流計であり、8は放電検知
手段である。
【0115】放電検知手段8は、電流計7から電流変化
の信号を検出するものであり、具体的には、沿面放電発
生時に流れる電流を検知するものである。
【0116】また、放電検知手段8は高圧電源5へのフ
ィードバック回路(不図示)をもち、高圧電源5の出力
電圧を制御可能になっている。
【0117】本実施例においては高圧電源5の出力電圧
を4kVから毎分200Vのレートで7kVまで昇圧し
て実施した。
【0118】その際に、放電検知手段8により放電が観
測された場合には、出力電圧を100V下げるように制
御した。
【0119】そして、高圧電源5の出力電圧が7kVに
到達した時点で処理を終了した。
【0120】以下に製造方法を順に説明する。
【0121】1)図3に模式的に示されるカソード基板
2のx方向配線12およびy方向配線13を、電流計7
を介してグランド電位に設置し、続いてグランド電位を
基準電位とする高圧電源5をグリッド電極6と接続し
た。また、X線照射装置1をグリッド電極6の上方に設
置した。
【0122】2)真空容器10の内部を排気する。本実
施例では真空容器10内の圧力が1×10-3Paよりも
低くなるまで排気した。
【0123】3)X線照射装置1よりX線を発生し、同
時に高圧電源5により4kVから毎分200Vのレート
で7kVまで昇圧させて、グリッド電極6に電圧を印加
した。この状態で約10分間保持して、高抵抗部分4を
十分に帯電させた。その際に、放電検知手段8により放
電が観測された場合には、高圧電源5の出力電圧を10
0V下げるように制御した。高圧電源5の出力電圧が7
kVに到達した時点で処理を終了した。本実施例におい
ては、7回の放電が観測された。
【0124】4)X線の照射を停止するとともに高圧電
源5の出力を切り、真空容器10の内部を大気圧にもど
した。
【0125】5)カソード基板2を、除電ブロアーを用
いて除電した後取り出した。
【0126】6)カソード基板2については、電子源を
完成させるためのその他の工程を実施し、最終的には図
4に示す画像表示部を製造した。
【0127】さて、上述のように、本実施例の製造方法
により製造した電子源を具備する画像形成装置の特性を
評価するために、以下の評価実験を行った。
【0128】まず、アノードに14kVの高電圧を印加
し、カソード基板2のx方向配線12、具体的にはDo
x1,Dox2,・・・・Dox(m−1),Doxm
及び、y方向配線13、具体的にはDoy1,Doy
2,・・・・Doy(n−1),Doynに接続された
不図示のドライバーユニットを駆動する事により、画像
を表示させた。
【0129】その結果、画素欠陥も見られず、良好な画
像が表示された。
【0130】続いてこの状態で、様々な画像を表示させ
ながら、300時間の耐久試験を行った。
【0131】その結果、異常放電を一度も生ずる事はな
く、良好な画像を保持していた。
【0132】このことから、本実施例の電子源の製造方
法により製造される電子源が、異常放電の抑制に有効で
ある事が示された。
【0133】尚、本実施例においては、放電を観測する
手段として、導電性部分に流れる電流変化を観測するも
のであったが、このほかにも放電により生ずる発光を検
出するものであってもよい。
【0134】たとえば、光電子増倍管を用いることも可
能である。
【0135】このように、放電を観測する手段を設ける
ことにより、異常放電を招く電極形状の異状等の発生数
を測定することが可能となり、たとえば、複数のカソー
ド間でこの発生数を比較することにより、ばらつき等を
監視することも可能である。
【0136】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、
製造工程中における異常放電を防止すると共に、画像形
成時における異常放電の低減を図ることができ、品質性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る帯電処理装置とこの
装置内に配置された電子源の構成を示す模式図である。
【図2】実施例2に係る帯電処理装置とこの装置内に配
置された電子源の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子源(カソード基
板)の概略構成斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子源を具備する画
像形成装置の主要部の概略構成図である。
【符号の説明】
1 X線照射装置 2 カソード基板 3 導電性部分 4 高抵抗部分 5 高圧電源 6 グリッド電極 7 電流計 8 放電観測手段 12 x方向配線 13 y方向配線 15 表面伝導型電子放出素子 16 リアプレート 17 ガラス基体 18 蛍光体 19 メタルバック 20 支持枠
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂木 聡史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C012 VV08 5C036 EE09 EG15 EH04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に設けられた電極間の電子放出部か
    ら電子を放出させる電子源の製造方法において、 前記電子放出部を含む高抵抗部分に帯電処理を施す工程
    を有することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】前記基板と対向する位置にグリッド電極を
    配置すると共に、 前記電極を含む導電性部分の電位を規定した状態で基板
    に向けてX線を照射しつつ、前記グリッド電極に電圧を
    印加して、前記帯電処理を施すことを特徴とする請求項
    1に記載の電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】前記グリッド電極に印加する電圧を制御す
    る電圧制御手段を有することを特徴とする請求項2に記
    載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】前記帯電処理を施した際に、帯電部分近傍
    に沿面放電が生じた場合に、該放電を観測する観測手段
    を有することを特徴とする請求項1,2または3に記載
    の電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】前記観測手段によって、放電が観測されな
    くなるまで帯電処理を施すことを特徴とする請求項4に
    記載の電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一つの電子源の製
    造方法により製造されることを特徴とする電子源。
  7. 【請求項7】電極および電子放出部は、表面伝導型電子
    放出素子により構成されることを特徴とする請求項6に
    記載の電子源。
  8. 【請求項8】請求項6または7に記載の電子源と、 該電子源に対向する位置に配置されて、電子源から放出
    された電子が衝突されることにより発光する発光体を有
    するアノードと、を備えたことを特徴とする画像形成装
    置。
  9. 【請求項9】電子源を収容する真空容器と、 前記電子源と対向する位置に配置されるグリッド電極
    と、 該グリッド電極に電圧を印加する電源と、 前記電子源に向けてX線を照射するX線照射手段と、を
    備えた帯電処理装置であって、 前記X線照射手段によって電子源にX線を照射して、光
    電効果によって発生する光電子を、電圧が印加されたグ
    リッド電極により捕獲することによって、電子源に設け
    られた高抵抗部分に帯電処理を施すことを特徴とする帯
    電処理装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002343254A (ja) * 2001-05-15 2002-11-29 Sony Corp 冷陰極電界電子放出表示装置のコンディショニング方法
WO2004013886A1 (ja) * 2002-08-05 2004-02-12 Kabushiki Kaisha Toshiba 画像表示装置の製造方法および製造装置

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