JP2000126182A - 腫瘍診断方法 - Google Patents

腫瘍診断方法

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JP2000126182A
JP2000126182A JP30542098A JP30542098A JP2000126182A JP 2000126182 A JP2000126182 A JP 2000126182A JP 30542098 A JP30542098 A JP 30542098A JP 30542098 A JP30542098 A JP 30542098A JP 2000126182 A JP2000126182 A JP 2000126182A
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tumor
voxel
data
dimensional
probe
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JP30542098A
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Soyu Tei
相勇 程
Iwaki Akiyama
いわき 秋山
Koichi Ito
紘一 伊東
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Mitani Sangyo Co Ltd
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    • A61B8/4245Details of probe positioning or probe attachment to the patient involving determining the position of the probe, e.g. with respect to an external reference frame or to the patient
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波3次元画像から腫瘍(特に、乳腺腫
瘍)の領域を高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を再
現性良く自動抽出すること。 【解決手段】 超音波診断法などの可視化技術を用いて
3次元画像として抽出した(良性や悪性)腫瘍の表面積
Sと体積Vの比のパラメータS/V ratioを利用
したパラメータを定義して腫瘍表面形状の凹凸不整を定
量化し、生体のMRI画像や超音波画像等で構成される
3次元画像で表された組織間の境界を抽出して正常組織
の中から癌組織(特に、乳癌組織(乳腺悪性腫瘍))を
発見する病理診断支援システムに適応可能な腫瘍診断方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、患部の3次元的に
表示された腫瘍の立体表面の幾何学的な凹凸を定量的に
計測・評価し腫瘍の同定を支援する診断装置に関し、特
に、生体の磁気共鳴画像(Magnetic Reso
nance Imaging:MRI画像)や超音波画
像等の2次元断層画像から3次元画像で表された組織間
の境界を抽出して正常組織の中から癌組織(特に、乳癌
組織)を発見する病理診断支援システムに適応可能な腫
瘍診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年40台女性の死亡の主な原因の1つ
になっている乳癌を発見するための乳腺(被測定物体)
腫瘍の診断には、X線Mammographyや超音波
エコー法などが用いられている。
【0003】悪性腫瘍の特徴は、良性と比較すると凹凸
を伴う複雑な輪郭を有していることである。乳腺の画像
診断ではこのような幾何学的特徴がよく利用される。X
線Mammographyは、乳腺に対するX線の透過
像であり、比較的高い空間分解能が得られることから、
画像処理による腫瘍の抽出並びに評価のために、超音波
診断装置や医用MRIを用いて生体の3次元画像データ
を作成し、診断処理を行う技術がさかんに利用されるよ
うになってきている。
【0004】心臓やけい動脈を対象とする循環系疾患診
断では、血管内外壁の時間変化に伴う3次元的運動と同
部位の3次元的分布を高速に取得し、両者の空間的な因
果関係を定量的に把握できることが、診断精度を向上さ
せるうえで強く望まれている。
【0005】このような循環系疾患診断において、時間
軸上で変化する3次元像の構築をするために必要とする
原画像データは、一心拍中に複数のフェイズ(時相)を
持つ心全体にわたるマルチスライス(多断層)像であ
り、形態情報として、心および血管内腔領域、あるいは
血管外壁と他の組織との境界像、また機能像として、心
および血管内腔の血流の3次元的分布像の取得が必要と
される。
【0006】ここで、超音波エコー法によって生成され
る画像を用いた乳腺腫瘍の診断では、前述のMammo
graphyの場合と比較して有利な点がいくつかあ
る。
【0007】すなわち、 1. 超音波像は透過像ではなく超音波断層画像として
得られること、 2. 超音波プローブを体表面(乳腺表面)に接触させ
るだけで、容易に実時間で乳腺内部を観察できること、 3. 被検者に対する苦痛が少ないこと などである。
【0008】従って、検者が、超音波断層画像を画面上
で観察しながら、乳腺内部をくまなく走査することによ
って、高い精度での腫瘍の発見、並びに悪性腫瘍の判別
ができるようになることが期待できる。超音波エコー像
で表示される乳腺腫瘍の特徴は、良性及び悪性ともに正
常組織と比較して、そのエコー・レベル、すなわち画像
の輝度が低いことである。このことは、超音波断層画像
の輝度レベルの差を利用して両者(すなわち、良性腫瘍
及び悪性腫瘍)を判別することが難しいことを意味す
る。そこで、超音波断層画像における腫瘍の輪郭線の幾
何学的形状の不整が利用される従来技術が開示されてい
るが、良性腫瘍及び悪性腫瘍)と正常組織とを判別でき
るものの、超音波断層画像だけでは悪性腫瘍の特徴を把
握しにくいといった問題点がある。
【0009】このようなケースでは、腫瘍を3次元的に
表示すれば、幾何学的な表面形状を容易に観察すること
ができるため、より精度の高い診断が可能となると予想
される。このため、乳腺腫瘍の3次元的な形状をなるべ
く正確に収集する必要がある。
【0010】乳房が表在性臓器であり、非常に柔軟でデ
リケートなため、日常の乳腺診断において、検者が手で
持つ超音波プローブの位置と向きを微妙に調節しながら
乳房表面を走査することによって乳腺断層像を取得して
いる。
【0011】乳腺内部の超音波エコー像を3次元的に取
得する手法としては、超音波プローブを検者が手動で乳
腺表面を走査する方法(マニュアル走査)とメカニカル
に走査する方法(メカニカル走査)が開示されている。
【0012】従来この種の腫瘍診断方法としては、例え
ば、特開平5−123318号公報に示すようなものが
ある(第1従来技術、図33)。
【0013】すなわち第1従来技術の装置は、被検体内
の測定の対象となるデータ空間に超音波パルスを送波
し、該データ空間内から反射してくるエコー情報を基に
して、被検体内の画像表示を行う超音波画像表示装置で
あって、被検体内から反射してくるエコー情報を蓄える
メモリ部と、データ空間内において関心領域を任意に指
定する関心領域指定手段と、データ空間内において関心
領域に対する探索領域を任意に指定する探索領域指定手
段と、関心領域内のテクスチャー特徴量の抽出を行う関
心領域テクスチャーパターン抽出手段と、探索領域内の
テクスチャー特徴量の抽出を行う探索領域テクスチャー
パターン抽出手段と、関心領域テクスチャーパターン抽
出手段によって抽出された関心領域テクスチャーパター
ンと、探索領域テクスチャーパターン抽出手段によって
抽出された探索領域テクスチャーパターンとを比較する
テクスチャーパターン比較手段と、を含み、テクスチャ
ーパターン比較手段は、関心領域テクスチャーパターン
と探索領域テクスチャーパターンとの比較をファジー合
意を採って行い、関心領域テクスチャーパターンと探索
領域テクスチャーパターンの類似度を出力する構成とな
っている。
【0014】このような第1従来技術の装置において
は、データ空間内の探索領域のテクスチャーパターンと
関心領域のテクスチャーパターンとが比較される。そし
て、これらの比較において、これらの相違の判定がファ
ジー合意に基づいて行われる。そして、ファジー合意に
基づいた相違の判定が下されることによって、組織の正
常部位と異常部位の認定が行われ、これら正常部位と異
常部位との境界が認識設定されることによってデータ空
間内の異常な個所の表面抽出が行われる。
【0015】また、データ空間内において、直方体のX
方向とY方向とZ方向とにそれぞれ360°にわたって
探索するように三次元探索領域と三次元関心領域とをそ
れぞれ設定すると、直方体のすべての面に対してX方向
とY方向とZ方向のデータが採られることとなり、この
データを使用することにより組織状態に忠実に合致する
三次元画像表示が行えるようになる。
【0016】更に加えて、第1従来技術の装置では、医
師が画像に表れた組織の荒さ・ぼけ具合・粗密などの程
度を見ることによって組織の異常を発見できるというこ
とを考慮して、組織の荒さ・ぼけ具合・粗密などの程度
を表すテクスチャー特徴量を定義し、更にはその組織固
有のテクスチャー特徴量であるテクスチャーパターンを
定義して、測定対象となる組織のある部分(データ空
間)についてテクスチャーパターンを探索していくこと
によって異常部分の検出を行っている。
【0017】具体的には、データ空間の中に探索領域と
関心領域とを設定し、この探索領域のテクスチャーパタ
ーンと関心領域のテクスチャーパターンとを比較し、探
索領域のテクスチャーパターンと関心領域のテクスチャ
ーパターンの違いを検出することによってデータ空間内
の組織の異常を検出してその異常な個所の表面を抽出し
ている。なお、探索領域のテクスチャーパターンと関心
領域のテクスチャーパターンの比較に当たって、これら
の相違の判定はファジー合意に基づくようにしている。
また、三次元画像表示を行うに当たっては、データ空間
内において、直方体のX方向とY方向とZ方向とにそれ
ぞれ360°にわたって探索するようにして設定される
三次元探索領域と三次元関心領域とをそれぞれ用いて三
次元的に解析を実行している。
【0018】また、他の腫瘍診断方法としては、例え
ば、特開平5−123321号公報に示すようなものが
ある(第2従来技術、図33)。
【0019】すなわち第2従来技術の装置は、被検体内
の測定の対象となるデータ空間に超音波パルスを送波
し、データ空間内から反射してくるエコー情報を基にし
て、被検体内の画像表示を行うために、被検体内から反
射してくるエコー情報を蓄えるメモリ部と、データ空間
内において関心領域を任意に指定する関心領域指定手段
と、データ空間内において関心領域に対する探索領域を
任意に指定する探索領域指定手段と、関心領域内のテク
スチャー特徴量の抽出を行う関心領域テクスチャーパタ
ーン抽出手段と、探索領域内のテクスチャー特徴量の抽
出を行う探索領域テクスチャーパターン抽出手段と、関
心領域テクスチャーパターン抽出手段によって抽出され
た関心領域テクスチャーパターンと、探索領域テクスチ
ャーパターン抽出手段によって抽出された探索領域テク
スチャーパターンとを比較するテクスチャーパターン比
較手段とを備え、医師が画像に表れた組織の荒さ・ぼけ
具合・粗密などの程度を見ることによって組織の異常を
発見できるということを考慮して、組織の荒さ・ぼけ具
合・粗密などの程度を表すテクスチャー特徴量を定義
し、更にはその組織固有のテクスチャー特徴量であるテ
クスチャーパターンを定義して、測定対象となる組織の
ある部分(データ空間)についてテクスチャーパターン
を探索していくことによって異常部分の検出を実行して
いた。
【0020】具体的には、データ空間の中に探索領域と
関心領域とを設定し、この探索領域のテクスチャーパタ
ーンと関心領域のテクスチャーパターンとを比較し、探
索領域のテクスチャーパターンと関心領域のテクスチャ
ーパターンの違いを検出することによってデータ空間内
の組織の異常を検出してその異常な個所の表面を抽出し
ていた。なお、探索領域のテクスチャーパターンと関心
領域のテクスチャーパターンの比較に当たって、これら
の相違の判定はファジー合意に基づくようにしている。
また、三次元画像表示を行うに当たっては、データ空間
内において、直方体のX方向とY方向とZ方向とにそれ
ぞれ360度にわたって探索するようにして設定される
三次元探索領域と三次元関心領域とをそれぞれ用いて三
次元的に解析を実行していた。
【0021】以上のような構成の第2従来技術において
は、データ空間内の探索領域のテクスチャーパターンと
関心領域のテクスチャーパターンとが比較される。そし
て、これらの比較において、これらの相違の判定がファ
ジー合意に基づいて行われる。そして、ファジー合意に
基づいた相違の判定が下されることによって、組織の正
常部位と異常部位の認定が行われ、これら正常部位と異
常部位との境界が認識設定されることによってデータ空
間内の異常な個所の表面抽出が行われる。また、データ
空間内において、直方体のX方向とY方向とZ方向とに
それぞれ360度にわたって探索するように三次元探索
領域と三次元関心領域とをそれぞれ設定すると、直方体
のすべての面に対してX方向とY方向とZ方向のデータ
が採られることとなり、このデータを使用することによ
り組織状態に忠実に合致する三次元画像表示が行えるよ
うになることが開示されている。
【0022】また他の腫瘍診断方法としては、例えば、
特開平9−134434号公報に示すようなものがある
(第3従来技術)。
【0023】すなわち第3従来技術の方法は、画像の一
部分の中の多数の点に対し、画像の一部分の各点の周辺
の明暗度の分布から得られた特徴的な値により形成され
た成分のベクトルと呼ばれる組を定める段階と、所定の
タイプの癌に対応した画像の一部分の領域又は別の領域
に属するベクトルと関係した点の確率を定める分類シス
テムを用いる段階とから構成された論理構成となってい
る。
【0024】また他の腫瘍診断方法としては、例えば、
特願平4−110305号(第4従来技術、図34)に
示すようなものがある。
【0025】すなわち、第4従来技術の画像処理装置
は、MRIや超音波診断装置などから得られる2次元あ
るいは3次元の画像データの処理を行うのに適し、特
に、診断に有用な特徴情報を高速にかつ効率的に抽出す
ることが可能な画像処理装置であって、処理対象の2次
元画像空間の画素にそれぞれ1つずつのファジィ素子を
対応づけたファジィ素子のアレイ6A,…,6Aを用
い、個々の画素の値をファジィ推論によって決定するよ
うにしたもので、3次元画像データを処理する場合に
は、ピクセル単位のファジィ素子を、断層面数と、あら
かじめ規定された断層面内のピクセル数とを乗じた数だ
け少なくとも設け、各ファジィ素子を並列に動作させる
ことによって課題の解決を図るものである。
【0026】すなわち、第4従来技術の画像処理装置
は、2次元画像空間の各画素と対応づけた多数のファジ
イ素子のアレイ6A,…,6Aからなる画像処理部を備
え、ファジィ素子の各々が、入力された2次元画像デー
タについてあらかじめ規定されたルールおよびメンバシ
ップ関数に基づいてファジィ推論を同時並行的に実行
し、各々のファジィ素子が、対応づけられている画素の
値を決定している。
【0027】また、複数の断層面データを入力として3
次元画像処理を行う場合、第4従来技術の画像処理装置
は、少なくともあらかじめ規定された断層面数に各断層
面内のピクセル数を乗じた数のファジィ素子を有する画
像処理部を備え、画像処理部の各ファジィ素子が、あら
かじめ規定された、全てのピクセルについて独立なルー
ルとメンバシップ関数とを有し、3次元空間上の与えら
れた点について境界抽出等の特徴抽出処理を並列に実行
している。ここで画像処理部のファジィ素子の数を、さ
らに同時に抽出したい特徴の数を乗じて決定している。
また、各断層面データが順次的に入力されかつその入力
速度が、ファジィ素子の処理速度にくらべて遅い場合、
1つの断層面を処理するファジィ素子のブロック6A,
…,6Aを単位として、1つあるいは複数のブロック6
A,…,6Aで画像処理部を構成し、1つの特徴につい
て1つのブロック6A,…,6Aを使用して順次入力さ
れる断層面データを処理している。
【0028】ところで、超音波診断装置や医用MRIを
用いて生体の3次元画像データを作成し、診断処理を行
う場合、一般に、生体への超音波の送受波により取り込
まれたエコーデータに基づき形成される。例えば二次元
断層画像を形成する場合、二次元エコーデータ取り込み
領域内で取り込まれたエコーデータのレベルが画素値に
変換される。また、三次元超音波画像を形成する場合、
三次元エコーデータ取り込み領域内で取り込まれたエコ
ーデータを利用して、まず特定組織の輪郭抽出が三次元
的に行われ、その後、例えば組織表面が濃淡処理され、
これにより立体的な組織像が形成される。
【0029】二次元超音波画像内で特定組織の断面積を
演算する場合、あるいは三次元超音波画像の形成や特定
組織の体積を演算する場合等においては、組織の輪郭
(組織間の境界)を抽出する必要がある。
【0030】組織画像についての複数の特徴量を基礎と
して、組織境界の抽出を精度良く行う腫瘍診断方法とし
ては、例えば、特願平5−333617号(第5従来技
術、図35)に示すようなものがある。
【0031】第5従来技術の超音波画像処理装置は、超
音波画像を形成するためのエコーデータを処理する装置
であって、注目エコーデータを中心とする参照領域に含
まれる複数のエコーデータの平均値μを演算する平均値
演算部12Bと、参照領域に含まれる複数のエコーデー
タの分散値σを演算する分散値演算部14Bと、平均値
μ及び分散値σに基づいて組織差強調演算を行い、注目
エコーデータの新たな値を出力する組織差強調演算部
(不図示)と、組織差強調後の画像に対して境界抽出を
行う境界抽出部とを含んで構成され、注目エコーデータ
毎に組織差強調演算を行って超音波画像に対する組織差
強調処理を実行し、注目エコーデータを中心とする参照
領域内でエコーデータの平均値μ及び分散値σを求め、
それらの平均値μ及び分散値σに基づいて組織差強調演
算を求めていた。これにより、境界抽出精度を向上さ
せ、画像の平均値μ及び分散値σを総合勘案することに
より組織差を認識できる組織差強調処理をおこない、ま
た、組織差強調演算部をファジー推論部28Bで構成し
て組織差強調演算をファジー推論により実行し、組織差
強調演算のための繁雑なテーブルの作成を不要とし、か
つ膨大な規模のテーブルの作成を不要としていた。
【0032】また第5従来技術の超音波画像処理装置
は、ファジー推論部28Bの出力から組織分離度を演算
する分離度演算部52Bと、ファジー推論部28Bが有
するメンバーシップ関数を決定するためのパラメータを
設定する手段であって、パラメータを順次変更して得ら
れる複数の組織分離度に基づき、メンバーシップ関数を
最適化するパラメータ設定部54Bと、組織差強調後の
画像に対して境界抽出を行う境界抽出部とを設け、メン
バーシップ関数の最適化をフィードバックループにより
実行していた。また、ファジー推論部28Bに設けられ
るメンバーシップ関数の最適化をフィードバックループ
により達成し、メンバーシップ関数を決定するパラメー
タを順次変更しつつ組織分離度を演算し、その組織分離
度に基づき最適なパラメータを設定し、メンバーシップ
関数の最適化を実際の画像処理の前段階に行っておくこ
とにより、各種の組織に対応した最も適切な条件下で組
織差強調処理を実行していた。
【0033】このような第1従来技術〜第5従来技術で
は、乳腺内部の超音波エコー像を3次元的に取得する手
法として、超音波プローブを検者が手動で乳腺表面を走
査する方法(マニュアル走査)とメカニカルに走査する
方法(メカニカル走査)が一般的に用いられている。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
第1従来技術〜第5従来技術を実行するためにメカニカ
ル走査の場合を考えると、乳腺が非常に柔軟でデリケー
トな組織であるため、メカニカル走査においてメカニカ
ルに超音波プローブを走査すると乳腺組織を超音波プロ
ーブで圧迫してしまうため、再現性の高い腫瘍の形状
(超音波3次元画像)が得られない。
【0035】一方、前述の第1従来技術〜第5従来技術
を実行するためにマニュアル走査の場合でも同様に、熟
練した検者がマニュアル走査で乳房表面を走査する場合
は、乳房を圧迫することはなく、アーチファクトの少な
い、再現性の高い画像を得ることが重要である。すなわ
ち、熟練した検者が乳腺表面を手動(マニュアル)で走
査すれば、超音波プローブの位置や向きを検者側で微妙
に調節できるため、アーチファクトが少なく、かつ再現
性の高い超音波3次元画像を収集することができる。
【0036】更に加えて、このようなマニュアル走査を
実現するためには、超音波プローブの位置や姿勢をマニ
ュアル走査に対して実時間でトラッキングする必要があ
る。すなわち、超音波画像をマニュアル走査で3次元的
に収集する場合、ボクセル・データの変換が必要とされ
るため、断層画像とそれに対応する超音波プローブの位
置と向きのデータを記録する必要がある。また、画像デ
ータの収集を高速に行うために、超音波プローブを走査
しながら得られる超音波像と同時に超音波プローブの位
置と向きのデータを直接に計算機のメモリに転送するこ
とが重要となる。
【0037】そこで本発明は、このような従来の問題点
(第1課題)を解決することを課題としており、特に、
3次元位置センサを取り付けた超音波プローブを用いて
取得された超音波エコーから乳腺(被測定物体)を抽出
して、その3次元的な形状(3次元画像)から3次元的
な表面形状から腫瘍の良性、悪性の識別を行う乳癌診断
を行う画像システムに最適な腫瘍診断方法を実現するこ
とを第1の目的としている。
【0038】一方、腫瘍(特に、乳癌)の表面形状を3
次元的に表示及び評価するためには、取得した超音波ボ
クセル画像データから腫瘍の領域を抽出することが重要
となる。しかも、乳腺の超音波画像には、スペックル・
ノイズや音響陰影などのアーチファクト、境界部の欠
落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領域が存在するといっ
た超音波画像特有の難しさもある。
【0039】しかしながら、乳腺の超音波画像の前処理
として単純な閾値による2値化を実行する2値化や微分
オペレータなどの画像処理法を実行する第4従来技術や
第5従来技術では、乳腺の超音波画像に対する画像処理
2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理法を用い
ているため、後段で各種のファジー推論を行っても、根
元的に、期待するような抽出精度を実現することが難し
いと考えられる。
【0040】また、このような画像処理技術を用いて、
高い精度での腫瘍の発見、並びに悪性腫瘍の判断を実現
するためには、複雑な計算アルゴリズムや大規模なコン
ピュータリソースを必要としてしまうという問題点があ
った。
【0041】本発明は、このような従来の問題点(第2
課題)を解決することを課題としており、特に、3次元
LoG(Laplace of Gaussian)フ
ィルタを用いたメンバシップ関数の自動作成し、ファジ
イ推論並びに弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫
瘍”、”正常組織”及び両者の”境界”という3つのク
ラスに分類し、その結果に基づいて、腫瘍の3次元領域
の決定することにより、パーソナルコンピュータ(P
C)程度の計算能力をもった小規模なコンピュータリソ
ースで短時間(高速)に計算(画像処理)できるような
簡便なファジイ推論アルゴリズムを提供し、その結果、
超音波3次元画像から腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を
高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動
抽出できる腫瘍診断方法を実現することを第2の目的と
している。
【0042】ところで、乳腺腫瘍診断の最大の特徴は良
悪性の鑑別が絡んでくることであり、その中で1cm以
下の小さな癌の判別診断が最も重要である。良性腫瘍
は、その輪郭形状が円形ないし楕円形などのような”整
かつ平滑”である。一方、悪性腫瘍は輪郭形状が蟹形や
星形などのような”不整かつ凹凸性状”を呈する。
【0043】しかしながら、前述の第1従来技術から第
5従来技術のような通常の超音波検査技術では、断層画
像におけるこのような幾何学的な形状の特徴がよく用い
られるが、腫瘍がまだ小さいときは、断層画像の観察だ
けではその腫瘍が悪性のものなのか良性のものなのかを
把握しにくいケース(症例)が多数見受けられる。
【0044】また、前述の第1従来技術から第5従来技
術のような通常の超音波検査技術において用いられる唯
一の定量的な悪性腫瘍の評価法(発見方法)として、腫
瘍領域の縦横比(Depth width rati
o,または D/W ratio,S/V rati
o)、すなわち、腫瘍の最大の断層画像における縦径と
横径との比(長径と短径との比)が利用される場合もあ
る。
【0045】すなわち、このような腫瘍領域のS/V
ratioを用いる場合、癌ではS/V ratioが
良性腫瘍よりも大きな値を示すものの、決まった基準は
見受けられない。そこで一般的に、腫瘍領域のS/V
ratioの値が0.8以上の腫瘍を悪性、0.6以下
の腫瘍を良性、そして0.6〜0.8の間の腫瘍は要検
討の症例としている。
【0046】しかしながら、このような悪性腫瘍の評価
法は、腫瘍の最大の断層画像が的確に得られることを前
提としており、更に加えて、腫瘍がまだ小さい場合は、
良性腫瘍であっても腫瘍領域のS/V ratioが高
値を示す傾向があるという問題点がある。
【0047】本発明は、このような従来の問題点(第3
課題)を解決することを課題としており、特に、超音波
診断法などの可視化技術を用いて3次元画像として抽出
した(良性や悪性)腫瘍の表面積Sと体積Vの比のパラ
メータS/V ratioを利用したパラメータを定義
して腫瘍表面形状の凹凸不整を定量化し、生体のMRI
画像や超音波画像等で構成される3次元画像で表された
組織間の境界を抽出して正常組織の中から癌組織(特
に、乳癌組織(乳腺悪性腫瘍))を発見する病理診断支
援システムに適応可能な腫瘍診断方法を、パーソナルコ
ンピュータ(PC)程度の計算能力をもった小規模なコ
ンピュータリソースで短時間(高速)に計算(画像処
理)できるような簡便な腫瘍診断方法を提供し、その結
果、超音波3次元画像から腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領
域を高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く
自動抽出できる腫瘍診断方法を実現することを第3の目
的としている。
【0048】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
成された請求項1に記載の発明は、被測定物体の表面を
プローブを用いてスキャニングしながら当該被測定物体
を探針して内部構造や表面構造に関するボクセル・デー
タを生成する3次元画像取得過程と、当該3次元画像取
得過程に続いて、当該ボクセル・データの各々に対して
ファジイ推論処理及びデファジイ工程を実行して腫瘍と
推論されるボクセル・データを選び出して腫瘍領域の最
終決定を行う腫瘍抽出処理過程と、当該腫瘍抽出処理過
程に続いて、当該腫瘍と推論されるボクセル・データに
基づいて腫瘍表面形状の凹凸の度合いを判定する悪性腫
瘍自動識別過程とを備えている。ここで前記3次元画像
取得過程は、被測定物体の表面をプローブを用いてスキ
ャニングしながら当該被測定物体を探針して内部構造や
表面構造に関する探針データを生成するプローブ工程
と、前記プローブに取り付けられた状態で、スキャニン
グ中の当該プローブの空間的な位置及び/または姿勢を
測定して当該プローブの座標データを前記被測定物体の
探針動作に同期させて生成する3次元位置センス工程
と、前記探針データの収集を行う際に、当該探針データ
の収集と同期して前記プローブ座標データを収集するト
ラッキング工程と、前記探針データ及び当該探針データ
と同期した前記プローブ座標データを用いて、3次元画
像データを生成する3次元座標変換工程と、3次元画像
データに線形画像補間を行って、等方的なボクセル・デ
ータに変換すると共に、同一のボクセルについて2つ以
上の異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもって
当該ボクセルのボクセル・データとする3次元ボクセル
・データ発生工程とを有している。
【0049】前記腫瘍抽出処理過程は、前記ボクセル・
データの各々に対して、超音波画像上における腫瘍の領
域と周囲正常組織及び両者の境界に関する所定の統計量
の分布をファジイ推論に利用するメンバシップ関数の
[0,1]区分の確率分布として表現する特徴量演算工
程と、当該メンバシップ関数を備えたファジイ推論過程
に基づいて当該統計量の分布をまとめることによって腫
瘍の領域を自動抽出する工程を含むメンバシップ関数自
動生成工程と、当該生成されたメンバシップ関数及びフ
ァジイ・ルールを含んで構成される前記ファジイ推論過
程に基づいて、各ボクセルを、所定数のタイプの領域に
クラス分けするファジイ推論工程と、弛緩法に基づいた
非ファジイ化過程を各ボクセルに対して行う工程と、前
工程に続いて、各ボクセルを、”腫瘍”,”正常組織”
または”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最終決
定を行う工程とを含むデファジイ工程とを有している。
【0050】前記悪性腫瘍自動識別過程は、腫瘍表面形
状の凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積
(S)、体積(V)を利用した腫瘍形状判定パラメータ
(γ)を計算する腫瘍凹凸不整定量化工程と、当該計算
した腫瘍形状判定パラメータ(γ)が所定の閾値未満で
ある場合に当該腫瘍の表面が滑らかであると判定し、当
該閾値以上である場合に当該腫瘍の表面が凹凸の性状を
呈していると判定する形状判定工程と、当該表面が滑ら
かであると判定した腫瘍を良性腫瘍と診断し、当該表面
が凹凸の性状を呈していると判定した腫瘍を悪性腫瘍と
診断する腫瘍診断工程とを有している。
【0051】前記腫瘍形状判定パラメータは、 γ=(S3/V2)/κ,κ=定数 で定義されている。
【0052】請求項1に記載の3次元画像取得過程によ
れば、プローブ手段にはプローブ姿勢検出センサが取り
付けられているので、プローブ工程がスキャニング中の
プローブ手段の空間的な位置及び/または姿勢を測定す
れば、3次元位置センス工程が被測定物体の探針動作に
同期させたプローブ座標データを生成できる。また、プ
ローブ工程がプローブ手段を用いて被測定物体の表面を
スキャニングしながら被測定物体を探針して探針データ
を生成する際に、トラッキング工程は、この探針データ
の収集と同期してプローブ座標データを収集する。続い
て3次元座標変換工程が、探針データ及び探針データと
同期したプローブ座標データを用いて3次元画像データ
を生成する。続いて3次元ボクセル・データ発生工程
が、3次元画像データに線形画像補間を行って、等方的
なボクセル・データに変換する一方で、同一のボクセル
について2つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの
平均値をもってボクセルのボクセル・データとする。す
なわち、プローブ手段に取り付けたプローブ姿勢検出セ
ンサによって計測された位置データ(プローブ手段の座
標データ)を用いて、プローブ手段を任意に走査して得
られた一連の探針データをボクセル・データに変換でき
るようになる。
【0053】このような3次元画像取得過程は、非常に
柔軟でデリケートな組織構造を有する乳腺のような被測
定物体を探針してボクセル・データを作成するようなア
プリケーションに適している。すなわち、従来の熟練し
た検者が乳腺の表面を手動で走査してプローブ手段の位
置や向きを微妙に調節して探針データを収集していたマ
ニュアル走査(スキャニング)作業や、プローブ手段を
メカニカルに走査するメカニカル走査(スキャニング)
作業に代えて、プローブ手段に取り付けられたプローブ
姿勢検出センサがスキャニング中のプローブ手段の空間
的な位置及び/または姿勢を測定し、乳腺(被測定物
体)の探針動作に同期させたプローブ座標データを生成
し、トラッキング工程が、この探針データの収集(スキ
ャニング)と同期してプローブ座標データを収集するこ
とで、探針データと同時にプローブ手段の位置データ
(プローブ手段の座標データ)を取得し、取得された探
針データを、位置データとして利用して、従来のマニュ
アル走査やメカニカル走査と同様にアーチファクトの少
なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データに変換
できるようになる。
【0054】また、腫瘍抽出処理過程によれば、特徴量
演算工程が、ボクセル・データの各々に対して、2次元
超音波画像または3次元超音波画像上における腫瘍の領
域と周囲正常組織及び両者の境界に関する所定の統計量
の分布を、ファジイ推論に利用するメンバシップ関数の
[0,1]区分の確率分布として表現する工程を実行す
る。またメンバシップ関数自動生成工程が、メンバシッ
プ関数を備えたファジイ推論過程に基づいて、特徴量演
算工程で求めた統計量の分布をまとめて腫瘍の領域を自
動抽出する工程を実行する。これにより、ボクセル・デ
ータに対して3次元LoGフィルタをかけ、その出力の
正負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類
し、特徴量について、3つのクラスに属する”らしさ”
を示すメンバシップ関数を求めることができるようにな
る。1種の2次微分フィルタ、またはバンドパス・フィ
ルタであり、画像処理では対象の境界抽出においてよく
使われている簡便な3次元LoG(Laplace o
f Gaussian)フィルタを用いる結果、ボクセ
ル・データの境界の位置で2次微分がゼロとなり、また
はフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差(Z
ero crossing)が現れる。これらの出力の
ゼロ・クロッシング点を連結すると境界となる。従っ
て、3次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点
を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面と
なる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出
に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝
度の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセル
を3つのクラスに分類できるようになる。このような簡
便なクラス分類を実行することにより、PC程度の計算
能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシップ
関数の自動作成が可能となる。またファジイ推論工程
が、メンバシップ関数自動生成工程で求めたメンバシッ
プ関数自動生成工程を実行した際に生成されたメンバシ
ップ関数、及びファジイ・ルールを含んで構成されるフ
ァジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、所定数のタ
イプの領域にクラス分けする工程を実行する。デファジ
イ(Defuzzify)工程は、弛緩法に基づいた非
ファジイ化過程を各ボクセルに対して実行し、この工程
(非ファジイ化過程の工程)に続いて、各ボクセル
を、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれか
に分類して腫瘍領域の最終決定を行う工程を実行する。
このようなファジイ推論工程とデファジイ工程を設ける
ことにより、パーソナルコンピュータ(PC)程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるような簡便なファジ
イ推論と弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫瘍”、”正
常組織”及び両者の”境界”という3つのクラスに分類
できるようになる。その結果、PC程度の計算能力をも
った小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に
計算(画像処理)できるような、簡便な超音波3次元画
像から、スペックル・ノイズや音響陰影などのアーチフ
ァクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領
域を除去した腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度
で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動抽出でき
るようになる。
【0055】一方腫瘍抽出処理過程では、悪性腫瘍はそ
の表面形状が良性腫瘍のそれより凹凸不整のため、表面
積が同じ体積を有する良性腫瘍より大きいことを利用す
る。そこで表面形状の凹凸不整を定量化するために、抽
出した腫瘍の表面積と体積の比を利用したパラメータを
定義する。このために、腫瘍凹凸不整定量化工程を実行
することにより、腫瘍表面形状の凹凸の度合いを測る指
標として腫瘍の表面積、体積を利用した腫瘍形状判定パ
ラメータ(γ)を計算する。この腫瘍凹凸不整定量化工
程に続いて、球の場合で正規化した表面積と体積の比の
パラメータS/V ratioが悪性腫瘍が良性腫瘍よ
り高値を示すことに注目して、形状判定工程を実行する
ことにより、計算した腫瘍形状判定パラメータが所定の
閾値未満である場合に腫瘍の表面が滑らかであると判定
する一方、閾値以上である場合に腫瘍の表面が凹凸の性
状を呈していると判定する。形状判定工程に続いて腫瘍
診断工程を実行することにより、形状判定工程において
表面が滑らかであると判定した腫瘍を良性腫瘍と診断
し、表面が凹凸の性状を呈していると判定した腫瘍を悪
性腫瘍と診断する。
【0056】その結果、悪性腫瘍(癌)の特徴である腫
瘍表面の凹凸不整がある乳腺腫瘍の領域が良好に検出で
き、腫瘍表面の3次元表示画像から良悪性の幾何学的な
特徴を容易に観察することができるようになり、腫瘍の
良悪性の判別診断がより客観的に行えるようになる。
【0057】すなわち、乳腺腫瘍の自動抽出システム
(病理診断支援システム)によって得られる腫瘍の領域
を3次元的に表示し、そしてその表面の幾何学的な凹凸
を定量的に計測・評価することができるようになる。腫
瘍表面の3次元表示は、我々が物を見るときに生じてい
る光の陰影と同様な濃淡分布を腫瘍の表面につけること
のできるサーフェス・レンダリングを用いる。これによ
り、腫瘍表面形状の微妙な凹凸変化を観察することがで
きるようになり、検者と患者とで共通な認識に基づく理
解や判断ができるようになる。その結果、抽出した腫瘍
を3次元映像化するとともに腫瘍表面形状の幾何学的凹
凸を定量化することによって乳癌診断を支援できるよう
になる。
【0058】腫瘍形状判定パラメータγの算出は、コン
パクトで安価なPCのようなコンピュータリソースで高
速に自動的に実行でき、乳腺腫瘍の初期診断、集団検診
として有効な手段となる。
【0059】また請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍診断方法において、前記探針工程が、超音波
プローブからの超音波を用いて乳腺の表面をスキャニン
グしながら当該乳腺からの超音波エコーに基づくを探針
を行って取得された内部構造や表面構造に関する超音波
断層画像データを生成する探針工程である。前記3次元
位置検知工程が、前記超音波プローブに取り付けられた
状態で、乳腺の表面をスキャニング中の当該超音波プロ
ーブの空間的な位置及び/または姿勢を測定して当該超
音波プローブ座標データを前記乳腺の探針動作に同期さ
せて生成する。前記トラッキング工程が、前記超音波断
層画像データの収集を行う際に、当該超音波断層画像デ
ータの収集と同期して前記プローブ座標データを収集
し、前記3次元座標変換工程が、前記超音波断層画像デ
ータ及び当該超音波断層画像データと同期した前記プロ
ーブ座標データを用いて、3次元超音波画像データを生
成する。前記3次元ボクセル・データ発生工程が、3次
元超音波画像データに線形画像補間を行って、等方的な
ボクセル・データに変換すると共に、同一のボクセルに
ついて2つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの平
均値をもって当該ボクセルのボクセル・データとする。
【0060】請求項2に記載の3次元画像取得過程によ
れば、請求項1に記載の効果に加えて、プローブに取り
付けた交流磁界によるプローブ姿勢検出センサを制御す
るトラッキング工程は、自己(すなわち、プローブ姿勢
検出センサ)の空間的な位置データ(位置や姿勢に関す
る3次元座標のデータ13a=位置データ)を実時間で
測定してプローブ座標データとして出力する。このため
トラッキング工程は、超音波断層画像データの収集(探
針工程)と同期したプローブ座標データの収集ができ
る。これに応じて3次元座標変換工程が、超音波断層画
像データ及び超音波断層画像データと同期したプローブ
座標データを用いて3次元超音波画像データを生成し、
続いて3次元ボクセル・データ発生工程が、3次元超音
波画像データに線形画像補間を行って、等方的なボクセ
ル・データに変換する一方で、同一のボクセルについて
2つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの平均値を
もってボクセルのボクセル・データとする。すなわち、
プローブの位置や姿勢を実時間でトラッキングする必要
がある従来のマニュアル走査やメカニカル走査作業に代
えて、超音波断層画像(超音波断層画像データ)と同時
にプローブの位置データ(プローブ座標データ=位置デ
ータ)をプローブの位置の補正データとして用いること
で、トラッキング工程によって取得された超音波断層画
像(超音波断層画像データ)を、従来のマニュアル走査
と同様にアーチファクトの少なくかつ再現性の高い3次
元のボクセル・データに変換することができる。その結
果、メカニカルにプローブで乳腺を走査すると、組織を
圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が得られない恐れがあ
る非常に柔軟でデリケートな組織である乳腺のような被
測定物体に対しても高精度の超音波断層画像データを生
成できるようになる。
【0061】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データとすることにより、取得した超
音波断層画像(探針データ)を3次元座標変換した後
に、線形補間された等方的なボクセルの画像データ(ボ
クセル・データ)が生成できるようになる。
【0062】また請求項3に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍診断方法において、前記3次元座標変換工程
は、前記探針データと同期した前記プローブ座標データ
として、前記3次元位置検知工程の前記プローブ工程に
相対する方位角ψ、仰角θ及び横転角Фに基づく変換行
列T[aij],(i,j=1,2,3)を用い、前記探針デ
ータの座標(x,y,0)に対して当該変換行列T[a
ij]を掛け合わせて前記3次元画像データの座標
(x’,y’,z’)を生成する論理構成の腫瘍診断方
法である。
【0063】請求項3に記載の3次元画像取得過程によ
れば、請求項1に記載の効果に加えて、プローブ手段に
はトラッキング工程が制御するプローブ姿勢検出センサ
が取り付けられており、トラッキング工程は、このプロ
ーブ姿勢検出センサが生成する事故の空間的な位置デー
タ(位置や姿勢に関する3次元座標のデータ13a=位
置データ)を実時間で測定してプローブ座標データとし
て出力する。このためトラッキング工程は、探針データ
の収集と同期したプローブ座標データの収集ができる。
これに応じて3次元座標変換工程が、探針データ及び探
針データ(超音波断層画像データ)と同期したプローブ
座標データを用いて3次元画像データを生成するため
に、探針データの座標(x,y,0)に対して、変換行
列T[aij]を掛け合わせて前記3次元画像データの座
標(x’,y’,z’)を生成する。すなわち、プロー
ブの位置(x0,y0,z0)や姿勢(ψ,θ,Ф)を実
時間でトラッキングする必要がある従来のマニュアル走
査やメカニカル走査作業に代えて、超音波断層画像デー
タの座標(x,y,0)と同時にプローブのプローブ座
標データとしての変換行列T[aij]をプローブの位置
の補正データとして用いることで、プローブに取り付け
た交流磁界によるプローブ姿勢検出センサによって取得
された超音波断層画像データの座標(x,y,0)を、
従来のマニュアル走査と同様にアーチファクトの少なく
かつ再現性の高い3次元のボクセル・データの座標
(x’,y’,z’)に変換することができる。その結
果、メカニカルにプローブで乳腺を走査すると、組織を
圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が得られない恐れがあ
る非常に柔軟でデリケートな組織である乳腺のような被
測定物体に対しても高精度の超音波断層画像データの座
標(x,y,0)を生成できるようになる。
【0064】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データの座標(x’,y’,z’)と
することにより、取得した超音波断層画像(探針デー
タ)を3次元座標変換した後に、線形補間された等方的
なボクセルの画像データの座標(x’,y’,z’)が
生成できるようになる。
【0065】また請求項4に記載の発明は、請求項2に
記載の腫瘍診断方法ににおいて、前記3次元座標変換工
程における変換行列T[aij]における各々の行列要素
ij,(i,j=1,2,3)は、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−s
in(ψ)・cos(Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+s
in(ψ)・sin(Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・s
in(θ)・sin(Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−c
os(ψ)・sin(Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф) で定義されている論理構成の腫瘍診断方法である。
【0066】請求項4に記載の3次元画像取得過程によ
れば、請求項2に記載の効果に加えて、プローブの位置
や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、簡単な一
次線形関数(正弦関数sinや余弦関数cos、及びこ
れらの四則演算)で表現された変換行列T[aij]をプ
ローブの位置の補正データとして用いることで、プロー
ブに取り付けた交流磁界によるプローブ姿勢検出センサ
によって取得された超音波断層画像データの座標(x,
y,0)を、それほど高い計算能力を持ち合わせていな
いパーソナルコンピュータ(PC)のような小規模のハ
ードウェアを用いても、従来のマニュアル走査と同様に
アーチファクトの少なくかつ再現性の高い3次元のボク
セル・データの座標(x’,y’,z’)に変換するこ
とができる。その結果、メカニカルにプローブで乳腺を
走査すると、組織を圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が
得られない恐れがある非常に柔軟でデリケートな組織で
ある乳腺のような被測定物体に対しても高精度の超音波
断層画像データの座標(x,y,0)を小規模のハード
ウェアでも高速・低コストで生成できるようになる。
【0067】また請求項5に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍診断方法において、前記特徴量演算工程で用
いられる前記所定の統計量は、前記各ボクセルに対する
輝度平均値、前記各ボクセルに対する輝度の重心と幾何
学的な中心の距離、及び前記各ボクセルに対する輝度分
散を含み、当該輝度平均値は、 輝度平均値={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1(N:自
然数)であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
k)における輝度値を表し、Nは参照ボクセル・ボリュ
ームの大きさ、Σは総和記号で与えられ、当該各ボクセ
ルに対する輝度の重心(gx,gy,gz)は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)} で与えられ、当該各ボクセルに対する輝度の重心と幾何
学的な中心の距離は、 輝度の重心と幾何学的な中心の距離={(gx−cx2
+(gy−cy2+(g z−cz21/2 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
の大きさ、(gx,gy,gz)は、それぞれ参照ボク
セル・ボリュームにおける輝度の重心の座標、(cx,
cy,cz)は幾何学的な中心の座標で与えられ、当該
各ボクセルに対する輝度分散は、 輝度分散={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
の大きさ、uは輝度平均値で与えられる論理構成の腫瘍
診断方法である。
【0068】請求項5に記載の腫瘍抽出処理過程によれ
ば、請求項1に記載のの効果に加えて、輝度平均値が”
腫瘍”領域では小さく、”正常組織”の領域では大き
く、また、”境界”領域ではその中間の値をとると考え
られることから、前述の特徴量演算工程で用いられる所
定の統計量を、各ボクセルに対する輝度平均値{ΣΣΣ
f(i,j,k)}/N3(ただし、i,j,k=0,
1,2,…,N−1(N:自然数),f(i,j,k)
=ボクセル(i,j,k)における輝度値、Nは参照ボ
クセル・ボリュームの大きさ、Σ=総和演算)としてい
る。その結果、2値化や微分オペレータなどの従来の画
像処理上では腫瘍領域の自動抽出を行うのは難しいよう
な、輝度の低い”腫瘍”(tumor)、輝度の高い”
正常組織”(normal tissue)、そして両
者の”境界”(boundary)を識別できるように
なる。
【0069】また輝度の重心と幾何学的な中心の輝度の
重心と幾何学的な中心の距離の値が、”正常組織”の領
域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的な中心が
ほぼ一致するため小さくなると考えられ、”境界”の領
域では境界面を境に輝度が一方に偏っていることにより
大きな値になると考えられ、注目画素は”境界”であれ
ば距離が大きく、逆に”正常組織”であれば距離が小さ
い値となることから、前述の特徴量演算工程に用いられ
る所定の統計量を、少なくとも、各ボクセルに対する輝
度の重心と幾何学的な中心の距離とに基づいて決定して
いる。
【0070】ここで、各ボクセルに対する輝度の重心
(gx,gy,gz)は、以下の式で与えられる。
【0071】gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i
+1)}}/{ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)} また各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
距離は、以下の式で与えられる。
【0072】輝度の重心と幾何学的な中心の距離=
{(gx−cx2+(gy−cy2+(g z−cz21/2 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1、f
(i,j,k)=ボクセル(i,j,k)における輝度
値、N(自然数)=参照ボクセル・ボリュームの大き
さ、(gx,gy,gz)=それぞれ参照ボクセル・ボリ
ュームにおける輝度の重心の座標、(cx,cy,c
z)=幾何学的な中心の座標である。
【0073】また輝度の分布が、”腫瘍”の領域では小
さく、”正常組織”と”境界”では大きな値になること
を考慮して、前述の特徴量演算工程に用いられる所定の
統計量を、各ボクセルに対する輝度分散を含んで決定し
ている。
【0074】ここで、各ボクセルに対する輝度分散は、
以下の式で与えられる。
【0075】各ボクセルに対する輝度分散={ΣΣΣ
{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1,f
(i,j,k)=ボクセル(i,j,k)における輝度
値、N(自然数)=参照ボクセル・ボリュームの大き
さ、uは輝度平均値である。
【0076】また請求項6に記載の発明は、請求項5に
記載の腫瘍診断方法において、前記メンバシップ関数自
動生成工程は、被検者の皮下脂肪の厚さや周囲乳腺組織
の状態に起因して、乳腺超音波像上における輝度分布を
含む統計量に変化がある場合、前記ファジイ推論に利用
する当該メンバシップ関数を前記ボクセル毎に3次元ガ
ウシアン・ラプラスフィルタの出力に基づいて自動作成
する工程である、論理構成の請求項5に記載の腫瘍診断
方法である。
【0077】請求項6に記載の発明によれば、請求項5
に記載の効果に加えて、被検者の皮下脂肪の厚さや周囲
乳腺組織の状態に起因して、乳腺超音波像上における輝
度分布を含む統計量に変化がある場合、前述のメンバシ
ップ関数自動生成工程は、3次元ガウシアン・ラプラス
フィルタの出力に基づいて、ファジイ推論に利用するメ
ンバシップ関数をボクセル毎に自動作成する。すなわ
ち、1種の2次微分フィルタ、またはバンドパス・フィ
ルタであり、画像処理では対象の境界抽出においてよく
使われている簡便な3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タを用いる結果、ボクセル・データの境界の位置で2次
微分がゼロとなり、またはフィルタの出力が正負の変
化、すなわちゼロ交差(Zero crossing)
が現れる。これらの出力のゼロ・クロッシング点を連結
すると境界となる。従って、3次元ガウシアン・ラプラ
スフィルタ出力のゼロ・クロッシング点を結ぶと、それ
が抽出しようとする対象領域の境界面となる。そこで、
ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出に加えて、出力
の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝度の高い”正常
組織”となることを利用して、ボクセルを3つのクラス
に分類できるようになる。このような簡便なクラス分類
を実行することにより、PC程度の計算能力をもった小
規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に計算
(画像処理)できるようなメンバシップ関数の自動作成
が可能となる。
【0078】また請求項7に記載の発明は、請求項5に
記載の腫瘍診断方法において、前記メンバシップ関数自
動生成工程は、前記メンバシップ関数の作成に用いるボ
クセルを、 前記3次元ガウシアン・ラプラスフィルタg(r) g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・
exp{−r2/2σ2} rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏差で表さ
れる3次元LoGフィルタ出力から求める3次元LoG
フィルタ工程と、前記3次元LoGフィルタ出力のゼロ
・クロッシング点を結んで、抽出しようとする対象領域
の”境界”を抽出する境界抽出工程と、当該3次元Lo
Gフィルタ出力が正値を示すボクセルを輝度の低い”腫
瘍”に分類する腫瘍抽出工程と、当該3次元LoGフィ
ルタ出力が負値を示すボクセルを輝度の高い”正常組
織”に分類する正常組織抽出工程と、前記腫瘍抽出工程
において”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨張
・収縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在す
る”腫瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類され
たボクセルを除去し、前記”腫瘍”に分類されたボクセ
ルと他の輝度の低い閉領域が連結するような場合に両者
を分断する膨張・収縮処理工程と、前記膨張・収縮処理
工程の前後で共に”境界”に対して前記クラス分けが行
われたボクセルのみに対して前記特徴量演算工程を実行
して前記輝度平均値、前記輝度の重心と幾何学的な中心
の距離及び前記輝度分散の3つの特徴量を計算するボク
セル選別・特徴量計算工程と、前記ボクセル選別・特徴
量計算工程で求めた3つの特徴量の各々に対して、各々
の確率密度関数に応じた前記メンバシップ関数を求める
メンバシップ関数決定工程とを有する論理構成の腫瘍診
断方法である。
【0079】請求項7に記載の発明によれば、請求項5
に記載の効果に加えて、3次元LoGフィルタ工程は、
メンバシップ関数の作成に用いるボクセルを、以下の式
で表される3次元LoGフィルタ出力から求める。
【0080】 3次元ガウシアン・ラプラスフィルタg(r)= (R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・exp{−r2/2σ2} ただし、r=原点からの距離、σ=ガウシアンの標準偏
差 境界抽出工程は、3次元LoGフィルタ工程で求めた3
次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点を結ん
で、抽出しようとする対象領域の”境界”を抽出する。
【0081】腫瘍抽出工程は、3次元LoGフィルタ工
程で求めた3次元LoGフィルタ出力が正値を示すボク
セルを輝度の低い”腫瘍”に分類する。
【0082】正常組織抽出工程は、3次元LoGフィル
タ工程で求めた3次元LoGフィルタ出力が負値を示す
ボクセルを輝度の高い”正常組織”に分類する。
【0083】膨張・収縮処理工程は、腫瘍抽出工程にお
いて”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨張・収
縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在する”腫
瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類されたボク
セルを除去し、”腫瘍”に分類されたボクセルと他の輝
度の低い閉領域が連結するような場合に、両者を分断す
る。このような処理を設けることにより、クラス分けさ
れた”腫瘍”ボクセル、”正常組織”ボクセルすべてに
対して3つの特徴量を計算できるようになる。また、膨
張・収縮処理前後で共に”境界”とクラス分けされたボ
クセルのみに対して3つの特徴量を計算することで、”
境界”についての特徴量は他のクラスに比べてボクセル
数が少ない場合であっても、誤った”境界”ボクセルを
できる限り除外できるようになる。
【0084】ボクセル選別・特徴量計算工程は、膨張・
収縮処理工程の前後で共に”境界”に対してクラス分け
が行われたボクセルのみに対して特徴量演算工程を実行
して輝度平均値(第1の特徴量)、輝度の重心と幾何学
的な中心の距離(第2の特徴量)、輝度分散(第3の特
徴量)の3つの特徴量を計算する。
【0085】メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選
別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量(第1乃至第
3の特徴量)の各々に対して、各々の確率密度関数に応
じたメンバシップ関数を求める。
【0086】また請求項8に記載の発明は、請求項5に
記載の腫瘍診断方法において、前記メンバシップ関数決
定工程において、前記3つの特徴量の各々に対する確率
密度係数を、 PA(x)=x/σ2・exp{(−x2+σ2)/σ2
・I0(xs/σ2)、 ここで、I0(x)は第1種第0次の変形ベッセル関
数、で表現し、前記メンバシップ関数決定工程におい
て、前記輝度平均値に対するメンバシップ関数を、”腫
瘍”についてはレイリー分布で表現された確率密度関数
で近似すると共に、”正常組織”と”境界”については
ガウス分布で表現された確率密度関数で近似し、前記メ
ンバシップ関数決定工程において、前記輝度の重心と幾
何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数をレイリ
ー分布で表現された確率密度関数で近似し、前記メンバ
シップ関数決定工程において、前記輝度分散に対するメ
ンバシップ関数をレイリー分布で表現された確率密度関
数で近似する論理構成の腫瘍診断方法である。
【0087】請求項8に記載の発明によれば、請求項5
に記載の効果に加えて、メンバシップ関数決定工程は、
ボクセル選別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量
(第1乃至第3の特徴量)の各々に対して、各々の確率
密度関数に応じたメンバシップ関数を求める場合、3つ
の特徴量(第1乃至第3の特徴量)の各々に対する確率
密度係数を、以下の式で定義している。
【0088】PA(x)=x/σ2・exp{(−x2
σ2)/σ2}・I0(xs/σ2) ここで、I0(x)=第1種第0次の変形ベッセル関数
である。
【0089】このようなPA(x)は、Rician関
数とよばれている。Rician関数は、s=0のと
き、Rayleigh分布となり、s/σが大きくなる
とGaussianに近づく。
【0090】また超音波の反射源である散乱体が波長に
比べて小さく、散乱体がランダムに分布している場合で
はいわゆる画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度
変動はRayleigh分布となる。一方、波長に比べ
て大きな反射源や小さい反射源が混在する場合、Ric
ianはそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Ray
leigh分布からGaussianへと近づいていく
ことが示されている。一方、特徴量における輝度平均値
についての確率密度関数は、超音波の確率密度関数と近
似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域ではRa
yleigh分布となり、”境界”や”正常組織”では
サイズの大きな反射源の混在するGaussianとな
ることが予想できる。そこで、3つの特徴量(第1乃至
第3の特徴量)の各々に対する確率密度係数としてRi
cian関数を用いることにより、輝度平均値のメンバ
シップ関数については”腫瘍”をRayleigh分布
で近似し、その他の”正常組織”と”境界”をGaus
sianで近似できるようになる。
【0091】また特徴量における輝度の重心と幾何学的
な中心の距離については、”正常組織”及び”腫瘍”領
域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾向がある
ので、確率密度係数としてRician関数を用いるこ
とにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離のメンバ
シップ関数はRayleigh分布で近似できるように
なる。
【0092】同様の主旨で、特徴量における輝度分散に
ついては、確率密度係数としてRician関数を用い
ることにより、輝度分散vのメンバシップ関数はRay
leigh分布で近似できるようになる。
【0093】また確率密度係数は、Rician関数と
よばれている。Rician関数は、s=0のとき、R
ayleigh分布となり、s/σが大きくなるとGa
ussianに近づく。また超音波の反射源である散乱
体が波長に比べて小さく、散乱体がランダムに分布して
いる場合ではいわゆる画像にはスペックル・パターンが
現れ、輝度変動はRayleigh分布となる。一方、
波長に比べて大きな反射源や小さい反射源が混在する場
合、Ricianはそのピーク位置が原点から徐々に離
れ、Rayleigh分布からGaussianへと近
づいていくことが示されている。一方、特徴量における
輝度平均値についての確率密度関数は、超音波の確率密
度関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領
域ではRayleigh分布となり、”境界”や”正常
組織”ではサイズの大きな反射源の混在するGauss
ianとなることが予想できる。
【0094】このため、メンバシップ関数決定工程は、
ボクセル選別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量
(第1乃至第3の特徴量)の各々に対して、各々の確率
密度関数に応じたメンバシップ関数を求める場合、輝度
平均値に対するメンバシップ関数を、”腫瘍”について
はレイリー分布で表現された確率密度関数で近似し、”
正常組織”と”境界”についてはガウス分布で表現され
た確率密度関数で近似している。すなわち、第1特徴量
に対する確率密度係数としてRician関数を用いる
ことにより、輝度平均値のメンバシップ関数について
は”腫瘍”をRayleigh分布で近似し、その他
の”正常組織”と”境界”をGaussianで近似で
きるようになる。またメンバシップ関数決定工程は、輝
度の重心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ
関数をレイリー分布で表現された確率密度関数で近似し
ている。すなわち、特徴量における輝度の重心と幾何学
的な中心の距離については、”正常組織”及び”腫瘍”
領域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾向があ
るので、第2特徴量に対する確率密度係数としてRic
ian関数を用いることにより、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離のメンバシップ関数はRayleigh分
布で近似できるようになる。同様にメンバシップ関数決
定工程は、輝度分散に対するメンバシップ関数を、レイ
リー分布で表現された確率密度関数で近似している。す
なわち、第3特徴量に対する確率密度係数としてRic
ian関数を用いることにより、特徴量における輝度分
散については、輝度分散vのメンバシップ関数はRay
leigh分布で近似できるようになる。
【0095】また請求項9に記載の発明は、請求項5に
記載の腫瘍診断方法において、前記ファジイ推論工程
は、前記メンバシップ関数決定工程において生成した前
記輝度平均値に対するメンバシップ関数、前記輝度の重
心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数及
び前記輝度分散に対するメンバシップ関数と前記ファジ
イ・ルールを含んで構成される前記ファジイ推論過程に
基づいて、前記各ボクセルを、”腫瘍”のクラスに属す
るグレード,”正常組織”のクラスに属するグレー
ド、”境界”のクラスに属するグレードの3つのグレー
ドを用いて前記クラス分けを実行する工程を含み、当該
ファジイ・ルールは、前記輝度平均値をu、前記輝度の
重心と幾何学的な中心の距離をd、前記輝度分散をvと
したとき、if then else条件文形式で表さ
れたルール; R1: if (u is small) and
(d is medium) and (v is s
mall)then the voxel is ”t
umor”, R2: if (u is large) and
(d is medium) and (v is l
arge)then the voxel is ”n
ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
(d is large) and (v is me
dium)then the voxel is ”b
oundary” で表現される論理構成の腫瘍診断方法である。
【0096】請求項9に記載の発明によれば、請求項5
に記載の効果に加えて、ファジイ推論工程は、メンバシ
ップ関数決定工程において生成した3つのメンバシップ
関数とファジイ・ルールを含んで構成されるファジイ推
論過程に基づいて、各ボクセルを、”腫瘍”のクラスに
属するグレード,”正常組織”のクラスに属するグレー
ド、”境界”のクラスに属するグレードの3つのグレー
ドを用いてクラス分けを実行する工程を含んでいる。
【0097】ここで用いるファジイ・ルールは、輝度平
均値をu、輝度の重心と幾何学的な中心の距離をd、輝
度分散をvとしたとき、if then else条件
文形式で表された以下のルールとして定義されている。
【0098】R1: if (u is small)
and (d is medium) and (v
is small)then the voxel
is ”tumor”, R2: if (u is large) and
(d is medium) and (v is l
arge)then the voxel is ”n
ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
(d is large) and (v is me
dium)then the voxel is ”b
oundary”
【0099】また、ファジイ推論工程で用いられるメン
バシップ関数は、メンバシップ関数決定工程において生
成した輝度平均値に対するメンバシップ関数、輝度の重
心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数、
輝度分散に対するメンバシップ関数の3つを少なくとも
含んでいる。
【0100】また請求項10に記載の発明は、請求項5
に記載の腫瘍診断方法において、前記ファジイ推論工程
は、前記輝度平均値をu、前記輝度の重心と幾何学的な
中心の距離をd、前記輝度分散をvとしたとき、前記メ
ンバシップ関数決定工程において生成した前記輝度平均
値に対するメンバシップ関数、前記輝度の重心と幾何学
的な中心の距離に対するメンバシップ関数及び前記輝度
分散に対するメンバシップ関数に基づいて前記各ボクセ
ルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラスに属
するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn|u,μ
n|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの各々を
求める第1論理工程と、当該グレードμt|u,μt
d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,
μb|d,μb|vの各々の値を、前記ファジイ推論の機
構に入力して前記各ボクセルの”腫瘍”らしさを規定す
るアナログ値μt,”正常組織”らしさを規定するアナ
ログ値μnまたは”境界”らしさを規定するアナログ値
μbを求める第2論理工程とを含み、当該ファジイ推論
機構は、 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) ただし、min(a1,a2,a3)はa1,a2,a3の中
から最小値を選択する演算で表現される論理構成の請求
項5に記載の腫瘍診断方法である。
【0101】請求項10に記載の発明によれば、請求項
5に記載の効果に加えて、第1論理工程は、メンバシッ
プ関数決定工程で求めたメンバシップ関数に基づいて各
ボクセルにおける特徴量の各々に対応する3つのクラス
に属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn
u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの
各々を求める(輝度平均値=u、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離=d、輝度分散=v)。
【0102】ここで、グレードμt|u,μt|d,μt
|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,μb
d,μb|vの各々は、メンバシップ関数決定工程にお
いて生成した輝度平均値に対するメンバシップ関数、輝
度の重心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ
関数及び輝度分散に対するメンバシップ関数に基づいて
求められる。
【0103】第2論理工程は、グレードμt|u,μt
d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,
μb|d,μb|vの各々の値に基づいて、ファジイ推論
の機構に入力して各ボクセルの”腫瘍”らしさを規定す
るアナログ値μt,”正常組織”らしさを規定するアナ
ログ値μn、または”境界”らしさを規定するアナログ
値μbを求める。ここで、第2論理工程で用いられるフ
ァジイ推論機構を、次式で定義している。
【0104】 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) (ただし、min(a1,a2,a3)=a1,a2,a3
中から最小値を選択する演算)。
【0105】これにより、前述のif then el
se条件文形式で表されたルールにおける”if〜th
en”の条件文中の”and”論理演算は「ある事実の
起こりうる確率が、それぞれの条件のうちの最小の確率
となる」ことを意味する条件式をファジイ論理式で表現
できるようになる。
【0106】また請求項11に記載の発明は、請求項5
に記載の腫瘍診断方法において、前記デファジイ工程に
おける、前記弛緩法に基づいた前記非ファジイ化過程を
前記各ボクセルに対して行う工程は、前記前記各ボクセ
ルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラスに属
するグレードの画像{μt,μn,μb}から弛緩法に基
づく前記非ファジイ化過程処理を行って全ボクセル・デ
ータを3つの領域に前記クラス分けを実行する際に、
(1)注目するボクセルが”腫瘍”であれば、”正常組
織”に分類されたボクセルとは接しない、(2)注目す
るボクセルが”境界”であれば、必ず”腫瘍”と”正常
組織”のボクセルに接する、(3)注目するボクセル
が”正常組織”であれば、”腫瘍”に分類されたボクセ
ルとは接しないといった規則に基づいて、”腫瘍”と接
する”正常組織”を”境界”と定義する工程を含み、前
記デファジイ工程における、前記”腫瘍”,”正常組
織”または”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最
終決定を行う工程は、すべてのボクセルを、”腫瘍”の
グレードを示す画像μt、”正常組織”のグレードを示
す画像μn、または”境界”のグレードを示す画像μb
中で最大値をとるクラスに基づいてラベル付けするラベ
ル付け工程と、前工程に続いて、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”の領域のラベル
の数Nt、”正常組織”の領域のラベルの数Nn、及び”
境界”の領域のラベルの数Nbをそれぞれに計算するラ
ベル数計算工程と、当該ラベルの数(Nt,Nn,Nb
の各々を局所的な制約ルールに入力する処理を並列的に
反復する並列反復工程とを含み、前記局所的な制約ルー
ルは、if then else条件文形式で表された
ルール; R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ただし、記号↑はその値にある定数Cを加えること、記
号↓はその値から定数Cを減することを意味しているで
表現される論理構成の腫瘍診断方法である。
【0107】請求項11に記載の発明によれば、請求項
5に記載の効果に加えて、前述のデファジイ工程におけ
る、弛緩法に基づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに
対して行う工程は、各ボクセルにおける特徴量(輝度平
均値、輝度の重心と幾何学的な中心の距離、輝度分散)
の各々に対する3つのクラスに属するグレードの画像
{μt,μn,μb}から弛緩法に基づく非ファジイ化過
程処理を行って全ボクセル・データを3つの領域にクラ
ス分けを実行する際に、以下の規則に基づいて、”腫
瘍”と接する”正常組織”を”境界”と定義する。
【0108】規則(1)注目するボクセルが”腫瘍”で
あれば、”正常組織”に分類されたボクセルとは接しな
いと定義する。
【0109】規則(2)注目するボクセルが”境界”で
あれば、必ず”腫瘍”と”正常組織”のボクセルに接す
ると定義する。
【0110】規則(3)注目するボクセルが”正常組
織”であれば、”腫瘍”に分類されたボクセルとは接し
ない。これにより、3つの属性に関するグレードの画像
{μt,μn,μb}から弛緩法に基づくデファジイ(非
ファジイ化過程)処理によって全ボクセル・データを3
つの領域にクラス分けできるようになる。
【0111】また、”腫瘍”,”正常組織”または”境
界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最終決定を行う工
程として、ラベル付け工程、ラベル数計算工程、並列反
復工程が前述のデファジイ工程において実行される。
【0112】ここでラベル付け工程は、”腫瘍”のグレ
ードを示す画像μt、”正常組織”のグレードを示す画
像μn、または”境界”のグレードを示す画像μbの中で
最大値をとるクラスに基づいて、すべてのボクセルに対
するラベル付けを行う工程である。
【0113】またラベル数計算工程は、前述のラベル付
け工程に続いて、注目しているボクセル(注目ボクセ
ル)に連結する(連続して連なる)3×3×3(ボクセ
ル)の領域(3次元領域)内に存在する”腫瘍”の領域
のラベルの数Nt、”正常組織”の領域のラベルの数
n、及び”境界”の領域のラベルの数Nbをそれぞれ計
算する工程である。
【0114】また並列反復工程は、ラベル数計算工程で
算出したラベルの数(Nt,Nn,N b)の各々を局所的
な制約ルールに入力する処理を、3次元画像を構成する
ボクセルに対して並列的に反復する工程である。
【0115】これにより、すべてのボクセルは、”腫
瘍”、”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる。次に、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”、”正常組織”
及び”境界”の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,N
b}をそれぞれに計算し、局所的な制約ルールに入力す
る。更に、局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じ
た場合は、条件を満たすようにμt,μn,μbの値を徐
々に更新していく。この処理を並列的に反復することに
よって、最終的にボクセルを”腫瘍”、”正常組織”、
または”境界”に分類する。
【0116】また、並列反復工程で用いられる局所的な
制約ルールを、if then else条件文形式で
表された以下のルールで規定している。
【0117】 R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, (ただし、A↑はAの値にある定数Cを加えること(A
+C)を意味する演算子、A↓はAの値から定数Cを減
すること(A−C)を意味する演算子) 具体的には、各ボクセルについてR1〜R6は順番に処
理され、どれかが成立した場合には後のルールは無視さ
れる。また、このデファジイ処理は並列的に繰り返し行
われ、全ボクセル・データに対するμt,μn,μbの変
化量の合計がある閾値以下となったときに終了する。こ
の時点で、各ボクセルに対してμt,μn,μbの中で最
大の値をとる要素がそのボクセルの属性として決定され
る結果、最終的に各ボクセルに”腫瘍”、”正常組
織”、または”境界”のいずれかの要素を割り当てるこ
とになる。また、周囲ボクセルの持つ”腫瘍”、”正常
組織”及び”境界”のいずれかの要素を割り当ててい
る。従って、例えば、あるボクセルの”境界”に属する
グレードμbが初めは大きかったとしても、周囲に”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)に属するグレードの大き
いボクセルだけが存在する場合、そのボクセルの”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)であるグレードμt(あ
るいはμn)は反復処理によって大きく、”境界”と”
正常組織”(あるいは”腫瘍”)に属するグレードμb
とμn(あるいはμt)はより小さく変更されていく(R
3,R5参照)。逆に、あるボクセルの”境界”らしさ
のグレードμbが初めは小さかったとしても周囲に2つ
以上の”境界”、1つ以上の”腫瘍”と”正常組織”ら
しさのグレードの大きいボクセルがあれば、そのボクセ
ルの”境界”らしさのグレードはより大きな値に、”腫
瘍”と”正常組織”らしさのグレードはより小さな値に
更新されていく(R1参照)。
【0118】また請求項12に記載の発明は、請求項1
1に記載の腫瘍診断方法において、前記ラベル付け工程
は、前記局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じた
場合、”腫瘍”のグレードを示す画像、”正常組織”の
グレードを示す画像、または”境界”のグレードを示す
画像の値を条件を満たすように徐々に更新する更新工程
を含む論理構成の腫瘍診断方法である。
【0119】請求項12に記載の発明によれば、請求項
11に記載の効果に加えて、更新工程が前述のラベル付
け工程において実行される。
【0120】ここで更新工程は、並列反復工程実行時に
用いられる局所的な制約条件によって矛盾が生じた場
合、”腫瘍”のグレードを指示する画像、”正常組織”
のグレードを指示する画像、または”境界”のグレード
を指示する画像の値を、条件を満たすように徐々に更新
する工程である。
【0121】本発明におけるメンバシップ関数は、乳腺
超音波像のボクセル・データに対する3次元LoGフィ
ルタの出力、すなわち正・負値及びゼロ・クロッシング
の3つの領域について、本発明で用いた各特徴量、そし
て輝度の重心のずれのそれぞれのヒストグラムをRay
leigh分布とGaussianで近似することによ
って自動生成されている。そして、作成されたメンバシ
ップ関数とファジイ・ルールからなるファジイ推論機構
を用いて、ボクセル・データに関する3つのクラスに属
するグレードを表す画像を求め、そこから弛緩法の考え
方を利用したデファジイ処理によって腫瘍の領域を徐々
に修正しながら最終的に確定する。
【0122】ここで、すべてのボクセルは、”腫
瘍”、”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる。次に、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”、”正常組織”
及び”境界”の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,N
b}をそれぞれに計算し、局所的な制約ルールに入力す
る。更に、局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じ
た場合は、条件を満たすようにμt,μn,μbの値を徐
々に更新していく。この処理を並列的に反復することに
よって、最終的にボクセルを”腫瘍”、”正常組織”、
または”境界”に分類する。
【0123】また請求項13に記載の発明は、請求項1
に記載の腫瘍診断方法において、前記腫瘍凹凸不整定量
化工程は、前記腫瘍の形状が球のときに前記腫瘍形状判
定パラメータの値が1となるように前記κを正規化する
定数正規化工程と、前記腫瘍凹凸不整定量化工程は、最
終的に抽出された前記腫瘍を構成するボクセルの総和と
して前記腫瘍の体積を計算する腫瘍体積算定工程と、腫
瘍の輪郭としてラベリングされたボクセルに対して、隣
接する3つのボクセルの組み合わせを作る第1工程と、
当該第1工程に続いて、当該隣接する3つのボクセルの
組み合わせで形成される三角形の面積の総和を前記腫瘍
の表面積とする第2工程とを含む腫瘍表面積算定工程を
含む論理構成の腫瘍診断方法である。
【0124】請求項13に記載の腫瘍凹凸不整定量化工
程によれば、請求項1に記載の効果に加えて、乳腺腫瘍
の診断を支援するために、抽出された腫瘍に対して表面
形状を3次元表示するとともに、その幾何学的な凹凸を
評価する。抽出した腫瘍の表面積の3乗と体積の2乗と
の比S/V ratioをパラメータを利用して腫瘍の
表面形状の凹凸不整を定量化している。更に加えて、良
悪性の両者に対してこのS/V ratio(所定の閾
値)を用いて両者のグループ分けを行う。
【0125】このために請求項13に記載の腫瘍抽出処
理過程では、腫瘍凹凸不整定量化工程を実行することに
より、腫瘍表面形状の凹凸の度合いを測る指標として腫
瘍の表面積、体積を利用した腫瘍形状判定パラメータ
(γ=(S3/V2)/κ)を計算する。腫瘍の表面が滑
らかであればγは小さくなり、表面が凹凸の性状を呈す
ればγは大きな値になる。そこでこの腫瘍凹凸不整定量
化工程に続いて形状判定工程を実行することにより、計
算した腫瘍形状判定パラメータが所定の閾値(S/V
ratio)未満である場合に腫瘍の表面が滑らかであ
ると判定する一方、閾値(S/V ratio)以上で
ある場合に腫瘍の表面が凹凸の性状を呈していると判定
する。形状判定工程に続いて腫瘍診断工程を実行するこ
とにより、形状判定工程において表面が滑らかであると
判定した腫瘍を良性腫瘍と診断し、表面が凹凸の性状を
呈していると判定した腫瘍を悪性腫瘍と診断する。
【0126】腫瘍表面の3次元表示は、前述したよう
に、サーフェス・レンダリングなる陰影法によって行わ
れており、表面の3次元形状の微妙な凹凸変化を容易に
観察することができるようになる。
【0127】また、腫瘍凹凸不整定量化工程に腫瘍体積
算定工程を設けることにより、最終的に抽出された腫瘍
を構成するボクセルの総和として腫瘍の体積を計算す
る。この腫瘍の体積に応じて、腫瘍表面形状の凹凸の度
合いを測る指標として腫瘍の表面積、体積を利用した腫
瘍形状判定パラメータ(γ=(S3/V2)/κ)を計算
する。この腫瘍凹凸不整定量化工程に続いて前述の形状
判定工程を実行し、計算した腫瘍形状判定パラメータに
応じて腫瘍の表面の滑らかさや凹凸の性状を判定する。
形状判定工程に続いて腫瘍診断工程を実行し、形状判定
工程において表面判定結果に応じて腫瘍の良性/悪性を
診断する。
【0128】腫瘍体積算定工程は、ボクセルを基本単位
とする計算を行うので、コンパクトで安価なPCのよう
なコンピュータリソースで高速に自動的に実行でき、乳
腺腫瘍の初期診断、集団検診として有効な手段となる。
【0129】更に加えて、腫瘍凹凸不整定量化工程に腫
瘍体積算定工程を設けることにより、最終的に抽出され
た腫瘍を構成するボクセルの総和として腫瘍の体積を計
算する。更に加えて、腫瘍凹凸不整定量化工程に腫瘍表
面積算定工程を設け、第1工程を実行することにより、
腫瘍の輪郭としてラベリングされたボクセルに対して、
隣接する3つのボクセルの組み合わせを作成する。また
第1工程に続いて第2工程を実行することにより、隣接
する3つのボクセルの組み合わせで形成される三角形の
面積の総和を腫瘍の表面積として算出する。更に加え
て、この腫瘍の体積に応じて、腫瘍表面形状の凹凸の度
合いを測る指標として腫瘍の表面積、体積を利用した腫
瘍形状判定パラメータを計算する。この腫瘍凹凸不整定
量化工程に続いて前述の形状判定工程を実行し、計算し
た腫瘍形状判定パラメータに応じて腫瘍の表面の滑らか
さや凹凸の性状を判定する。形状判定工程に続いて腫瘍
診断工程を実行し、形状判定工程において表面判定結果
に応じて腫瘍の良性/悪性を診断する。
【0130】第1工程や第2工程を含む腫瘍表面積算定
工程は、ボクセルを基本単位とする計算を行うので、コ
ンパクトで安価なPCのようなコンピュータリソースで
高速に自動的に実行でき、乳腺腫瘍の初期診断、集団検
診として有効な手段となる。
【0131】
【発明の実施の形態】[本実施形態の技術背景]欧米に
おいて乳癌がすでに女性の癌による死亡原因の第1位に
ランクされている。日本での乳癌発生率は急上昇傾向に
あり、2001年に乳癌が女性癌の発生率の第1位にな
るとも予測されている。しかし、今のところ、乳癌を予
防する最善の方法というものはない。乳癌の早期発見・
早期治療が極めて重要となる。
【0132】乳癌に発生する腫瘍には大別して悪性腫瘍
(癌)と嚢胞や線維腺等の良性腫瘍がある。乳腺腫瘍診
断の最大特徴は、良悪性の識別、すなわち乳腺腫瘍の中
からの乳癌の判別診断が重要である。
【0133】日常の乳腺腫瘍の診断には視・触診の臨床
的診断法が基本的な方法と見なされるが、画像診断法と
して、X腺Mammographyと超音波診断が必須
であり、その他、医用共鳴画像(Magnetic R
esonance Inaging:MRI画像)や細
胞診などがある。MRIは装置が高価で大掛かりなた
め、今のところ、乳腺腫瘍診断における画像診断法とし
てX腺Mammographyと超音波検査がよく使わ
れている。
【0134】日常の乳癌の診断は、概略的に、次のよう
な手順で行われている。まず、視・触診で腫瘍の存在が
疑われるときは、次に画像診断、すなわち、X腺Mam
mographyあるいは超音波検査に移る。視・触診
とMammography、視・触診と超音波検査、あ
るいはこの三者を併用して乳腺腫瘍診断を行うことが多
い。しかし、これでもなお癌の確診のつかない場合は、
次のステップとして細胞診を行う。これらの診断法に
は、それぞれの長所と短所がある。すなわち、視・触診
は、乳腺腫瘍臨床診断における基本的かつ重要な診断法
であるが、腫瘍がまだ小さい、あるいは乳房の深部にあ
る場合は、診断が困難となる。
【0135】X腺Mammographyは、乳腺組織
のX腺エネルギーに対する吸収力の差によって映像化す
る技術であり、高い分解能の画像が得られるが、30歳
以下の若年層の場合は、dense breastのた
め、X腺Mammographyによる腫瘍の抽出は困
難である。さらに、X腺による被曝の心配もある。
【0136】超音波画像は、容易に無侵襲かつリアルタ
イムで得られるというメリットを有するが、スペックル
・ノイズなど、超音波の波動性の強さに起因した屈折、
回折現象や干渉現象によって著しく劣化したものとなっ
ているものが多い。また、臨床診断においては、検者が
連続的に画面に表れる腫瘍部位の断層画像(超音波断層
画像データ121a)を観察しながら、腫瘍の幾何学的
な特徴を推測し、その輪郭が滑らかか不整かなどに対す
る理解と評価によって良悪性を鑑別している。これは、
検者の経験や専門知識などによるところが大きい。ま
た、断層像だけでは腫瘍の表面形状を把握しにくい場合
がある。
【0137】細胞診は、信頼性が高いが、侵襲性の検査
であり、被検者に苦痛を与える問題がある。
【0138】従って、乳癌の発生率が急上昇傾向にある
現状では、以下のような機能を持つ乳腺腫瘍診断支援シ
ステムの開発が望まれる。
【0139】すなわち、(1)腫瘍がまだ小さいときに
早期発見ができること。(2)被検者に被曝の危険を与
えることなく安全に診断ができること。(3)腫瘍の表
面形状を3次元的に表示することができること。特に、
その表面形状の凹凸不整を定量的に評価することができ
ること。(4)無侵襲、非観血であり、被検者に苦痛を
与えないこと。(5)システムの安全性及び信頼性が高
いこと。
【0140】X線Mammographyあるいは超音
波検査による乳腺腫瘍の診断は、乳腺のX線像あるいは
超音波深層画像における腫瘍の形状、すなわち、良性腫
瘍はその輪郭が滑らか、悪性腫瘍(癌)は凹凸不整など
といった形状診断によって行われている。これまでに、
こういった画像上に表れる腫瘍の形状的な情報を利用し
て乳房X線画像から乳癌を自動認識する研究がいくつか
行われている。D.Brzakovicらは、X線Ma
mmographyから実験的に選んだ閾値による2値
化処理により腫瘍領域の候補を選び、次いで抽出された
腫瘍候補領域の面積、形状、エッジ部分の濃度変化など
のパラメータにより良悪性を評価している。また、キム
(C.Kimme)ら、及びウェイ(D.Wei)らに
よって乳房X線像における局所的テクスチャ解析による
腫瘍の評価法も開示されている。これらの方法の基本的
な特徴は、まず、乳腺のX線画像に対して2値化、また
は通常のエッジ検出処理を行って腫瘍の候補領域を抽出
し、そして抽出された腫瘍候補領域の2次元的な形状や
テクスチャなどを評価することによって癌の診断を行う
ものである。X線間MammographyはX線の乳
腺に対する透過像であり、比較的高い分解能が得られる
ことから、画像処理による腫瘍の抽出が容易にできる利
点がある。しかし、3次元的な腫瘍領域に対して2次元
の情報だけを利用しての腫瘍の良悪性の判別診断は十分
であるとは言い難い。特に、腫瘍がまだ小さいときに、
その2次元の輪郭形状からの良悪性の鑑別は困難となる
場合がある。
【0141】一方、超音波検査による乳腺腫瘍の診断で
は、X線Mammographyと比較して有利な点が
いくつかある。すなわち、超音波画像は透過像ではなく
断層画像(超音波断層画像データ121a)として得ら
れること、超音波式プローブ121を体表面に接触させ
るだけで、容易に実時間で乳腺内部を観察できること、
被検者に対する苦痛が少ないこと、そして被曝の危険性
がなく安全であることなどである。また、3次元的に腫
瘍部位に関する断層画像(超音波断層画像データ121
a)を取得し、さらに3次元処理を施すことによって腫
瘍領域を抽出することができれば、腫瘍表面の3次元表
示や表面形状の定量的計測及び評価が可能と予想される
ため、より高い精度での良悪性の判別診断が期待でき
る。
【0142】超音波画像は生体部位の断層画像(超音波
断層画像データ121a)として、パルス・エコー法に
基づく超音波診断装置によって得られる。パルス・エコ
ー法の原理は、魚群探知機やレーダと同じである。この
原理による超音波診断装置は、疾患部位の断層画像(超
音波断層画像データ121a)を容易に無侵襲、かつリ
アルタイムで得られるというメリットのため、臨床分野
で広く普及している。
【0143】超音波による画像診断は、検者が手で持つ
超音波式プローブ121を疾患部位の内部をくまなく走
査しながら、画面上に表される超音波画像を観察して、
みずからの専門知識と経験を用いて頭の中で疾患部位に
関する3次元的な形状の再構築や評価などを行っている
のが現状である。これは、検者の経験や専門知識による
ところが大きい。また個人差によって異なった理解や評
価結果になることがあると考えられる。従って、疾患部
位を3次元表示することによって共通な認識に基づく客
観的な理解や判断、そして3次元計測並びに評価をする
ことにより定量的診断を行うことのできる腫瘍診断方法
の開発が望まれる。
【0144】対象とする生体部位の3次元表示及びその
体積や3次元的形状の評価を行うためには、あらかじめ
その対象部位を抽出することが不可欠である。これまで
に、MRIやX線CTなどの医用画像に対して微分オペ
レータや2値化処理など従来の画像処理法を用いた境界
自動抽出に関する研究は、数多く行われている。ところ
が、超音波画像では、スペックルと呼ばれる班紋状のノ
イズや音響陰影などのアーチファクトのため、MRIや
X線CTなどの他の医用画像に対して行うのと同じよう
な境界抽出法を適用することは困難である。超音波を用
いて循環器領域における左心室の体積を評価する目的
で、対象を2次元の左心室超音波画像に限定し、その内
膜、または外膜境界の抽出に関する研究が行われてい
る。J.Fengらによって開示された方法は、左心室
の中心点から放射方向に検索して内膜を検出し、そして
各放射方向における左心室外膜の輝度変化の先験的な知
識をファジイ推論によってまとめることによって外膜境
界点の範囲を求め、そこから抽出された内膜点を用いて
外膜点を決定するものである。左心室の場合は、心内膜
境界におけるコントラストが高く、内膜境界の候補点が
比較的容易に求められる。また、心外膜における輝度の
変化及び心壁厚さに関する先験的な知識を用いられるた
め、良好な心外膜境界の候補点を抽出できている。
【0145】胎児の膀胱を対象として、その体積の計測
を目的とした境界の自動抽出法が大橋らによって開示さ
れている。この腫瘍診断方法は、まず超音波式プローブ
121をメカニカルに走査して3次元的に取得された超
音波画像に対して、ニューラル・ネットワークによって
膀胱を抽出し、そしてバブル・フィリング法によって膀
胱の体積を計測しようとするものである。この方法で
は、小ボリュームにおけるボクセルの輝度ヒストグラム
の分布から各ボクセルを輝度の低い尿の”液体”、輝度
の高い周囲”軟部組織”、そして輝度変化の激しい両者
の”境界”という3つのクラスに分類することによって
処理を簡素化している。尿の”液体”の輝度値が周囲”
軟部組織”の輝度よりはるかに低いため、”境界”にお
ける輝度のコントラストが高く、比較的容易に抽出する
ことができる。胎児の膀胱の体積が計測されれば、その
変化から胎児の排尿量を計算することが可能となり、胎
児の健康状態を把握することができる。
【0146】超音波画像で表示される乳腺腫瘍の特徴
は、良性及び悪性ともに正常組織と比較して、そのエコ
ー・レベル、すなわち画像の輝度が低いことである。こ
のことは、両者の輝度レベルの差を利用して両者を判別
することが難しいことを意味する。そこで、超音波画像
における腫瘍輪郭線の幾何学的形状の不整が利用される
が、断層画像(超音波断層画像データ121a)だけで
は複雑な形状を有する悪性腫瘍の特徴を把握しにくい場
合がある。このような場合では、直観的に腫瘍表面形状
を3次元的に表示することが望まれる。さらに、腫瘍の
表面形状の幾何学的な凹凸の定量的な計測並びに評価を
行えば、より定量的、精度の高い乳癌判別診断が可能と
なると予想される。
【0147】乳腺腫瘍の表面を3次元的に表示並びに評
価するためには、あらかじめ腫瘍の領域を抽出すること
が必要である。しかし、超音波画像における乳腺腫瘍は
正常組織と比較して輝度が低いが、境界におけるコント
ラストが胎児や心臓など場合より低いため、また超音波
像については、音響陰影などの顕著なアーチファクト、
及び筋層など腫瘍以外の比較的低輝度の組織が存在する
ため、2値化処理など従来の画像処理法では腫瘍の抽出
を行うのは難しい。また、乳腺腫瘍が、胎児や心臓及び
膀胱などよりかなり小さい、また乳房が表在性臓器部位
であり非常にデリケートな組織のため、腫瘍部位に関す
る超音波画像を3次元的に収集するのは難しい側面があ
る。従って、今のところ、実際に超音波3次元画像を用
いて乳腺腫瘍の自動抽出を行うような方法はまだ開発さ
れていない。
【0148】[乳腺腫瘍とその診断]乳房は、乳腺組織
と脂肪及びそれらを支える結合組織からなっている。乳
腺組織(Mammary Gland)は、乳管・腺胞
などの上皮系組織と間質・脂肪組織などの間葉系組織に
よってなっており、クーパー靭帯(Cooper’sL
igaments)によって固定されている。
【0149】乳腺に発生する腫瘍は大別して二種類に分
けられる。すなわち、嚢胞(Cyst)や線維腺腫(F
ibroadenoma)などのような良性腫瘍(Be
nign Tumor)と、転移能力を持ち隣接する組
織に浸潤する悪性腫瘍(癌)(Malignant T
umor)である。乳腺腫瘍診断の大きな特徴は、常に
良悪性の鑑別が中心となる。すなわち、1cm以下の悪
性腫瘍(癌)をいかに正確に発見するかということと、
比較的大きな腫瘍の場合はいかに良悪性を鑑別できるか
ということである。
【0150】乳癌の発生率、死亡率は年々高くなってき
ており、乳癌を予防する最善の方法のない現状では、早
期発見・早期治療が、乳癌による犠牲者の減少につなが
ると期待される。
【0151】日常の乳腺腫瘍診断は、概略的に次のよう
な手順で行われる。まず、視診(Visual Ins
pection)・触診(Palpation)による
乳癌の臨床診断を行う。視・触診で腫瘍の存在が疑われ
るときは、次に、画像診断、すなわちX線CT Mam
mographyあるいは超音波検査(Sonogra
phy)に移る。画像診断は、通常画像上に表される乳
腺腫瘍領域の形態情報に基づいて診断を行う方法があ
る。すなわち、乳腺腫瘍領域が周囲の正常組織に比べ
て、X線Mammography上において明るい輝度
値を示し、超音波画像上では暗い輝度値を示している。
また、良性腫瘍が、画像上に平滑、整、円形あるいは楕
円形などのような規則的な形状を示すのに対して、悪性
腫瘍は凹凸、不整、星や蟹のような不規則的な形状を示
している。しかし、腫瘍がまだ小さい、形状的にはあい
まいであるなどのときは、2次元の画像上に表れる輪郭
の形状からは癌の確診がつかない場合がある。このよう
な場合は、次のステップとして穿刺吸引細胞診(Fin
e Noodle Aspiration Cytol
ogy)を行う。しかし、これでもなお良悪性の判別が
つかないときは生検の適応となる。乳癌の確診が確定す
れば、遠隔転移の有無を調べたり、乳癌としての入院治
療(手術)となる。
【0152】これらの診断法には、次のような特徴が挙
げられる。
【0153】すなわち、(1)視・触診は、乳腺腫瘍臨
床診断の基本的かつ重要な方法であるが、腫瘍がまだ小
さい、あるいは乳房の深部に存在する場合は、診断が困
難となる場合がある。(2)X線Mammograph
yは、乳腺組織のX線に対する透過性の差を利用して腫
瘍を映像化する技術であり、透過性に差が顕著な組織の
場合は良好な画像が得られるが、dense brea
stのような透過性の差のない組織では腫瘍の抽出は困
難である。また、撮影時の乳房圧迫による痛みや、X線
による被曝の心配などの問題もある。(3)超音波検査
は、乳腺組織のインピーダンスが超音波に対する反射や
散乱などのエコー強度を映像化する技術であり、組織の
密度差が大きければそのインピーダンスの境界での反射
は強く透過は小さくなり、密度差が小さければ反射が小
さく透過は大きくなることで、乳腺組織の透過性に差の
ないところでの腫瘍の映像化が可能である。また、超音
波検査は、無侵襲、リアルタイムかつ被曝の危険性はな
く安全であることなどの利点を有する。しかし、超音波
による画像診断は、連続的に画面上に表れる腫瘍部位の
2次元的な断層画像(超音波断層画像データ121a)
を観察しながら診断を行っており、2次元の断層像だけ
では腫瘍の幾何学的な形状を把握しにくい場合がある。
このような場合は、腫瘍表面の3次元表示及びその幾何
学的な凹凸に対する定量的な評価が望まれる。腫瘍の表
面形状を3次元的に表示し、さらにその凹凸を定量的に
評価できれば、より高い精度での診断が可能と予想され
る。(4)細胞診、及び生検は、侵襲性の検査であり、
被検者に苦痛を与える。
【0154】日常の診断において、視・触診とX線Ma
mmography、視・触診と超音波検査、あるいは
この三者の併用で乳腺腫瘍診断を行う場合が多い。特
に、近年高周波の探触子の開発によって解像力の向上を
遂げた超音波検査は、乳腺腫瘍診断に不可欠なものとな
っている。
【0155】[本実施形態の目的]乳癌は女性の癌によ
る脂肪の主な原因の一つである。日本でも、ごく近い将
来、乳癌が女性癌の発生率の第1位を示すと予測されて
おり、乳癌の早期発見・早期治療の必要性がますます高
まってきている。
【0156】日常の乳腺腫瘍の画像診断にX線Mamm
ographyと超音波検査がある。これらの画像診断
は、画像上に表れる乳腺腫瘍領域の輪郭形状の特徴を利
用して行われている。すなわち、良性腫瘍と比較すると
乳癌はその輪郭が凹凸不整を呈することである。X線M
ammographyはX線の乳腺に対する透過像であ
り、高い分解能の画像が得られることから、これまでに
2値化処理などによって腫瘍の領域を抽出し、そして2
次元像における腫瘍領域の面積と輪郭形状などのパラメ
タを用いて乳癌を判別する方法が開示されている。しか
し、X線像を用いた乳癌の判別法は2次元的な輪郭形状
に対する評価に過ぎないため、腫瘍がまだ小さいときに
は乳癌の判別診断が困難となる場合がある。一方、超音
波検査は、乳腺を断層画像(超音波断層画像データ12
1a)として容易に無侵襲、安全かつリアルタイムで観
察することができる利点を有する。特に、近年において
高周波の探触子の開発によって画質と分解能が向上し、
5mm以下の腫瘍の発見も可能になっている。超音波検
査は、検者が画面上に表れる腫瘍部位の断層画像(超音
波断層画像データ121a)を観察しながら、腫瘍表面
形状の凹凸などを推測して良悪性の鑑別を行っているの
が現状である。
【0157】これには、(1)検者の経験や専門知識な
どによるところが大きい。理解の個人差により診断の客
観性を欠く場合がある、(2)断面だけでは腫瘍の輪郭
形状を把握しにくい場合があり、良悪性の鑑別診断は微
妙となる場合がある、(3)症状によっては鑑別にいた
るまでに断層画像(超音波断層画像データ121a)を
繰り返して観察する必要があり、診断時間が長い、
(4)良悪性の判別診断は、腫瘍の輪郭形状の凹凸不整
の度合いに対する定性的な推測に大きく依存しており、
定量的な評価に至っていない、などの問題点がある。
【0158】従って、乳腺腫瘍の表面形状を3次元的に
表示し、さらにその幾何学的な凹凸を定量的に評価する
ことが望まれる。腫瘍表面の高品位名3次元画像を提供
できれば、乳癌表面の微細な凹凸変化を観察し易くな
り、共通な認識に基づく客観的な判別診断が期待でき
る、といった問題点がある。
【0159】すなわち、乳腺腫瘍の3次元表示及び表面
形状の凹凸に対する評価を行うためには、あらかじめ腫
瘍の領域を抽出することが不可欠である。しかしなが
ら、超音波画像はスペックル・ノイズ、境界部の欠落や
画質劣化したものが多く、また取得される腫瘍の断層画
像(超音波断層画像データ121a)は被検者の皮下脂
肪の厚さや周囲組織の状態などによって変化し、画像の
輝度平均値などの統計量が一定でないため、X線像に対
する2値化など従来の画像処理法と同じような方法では
乳腺腫瘍の領域を安定に自動抽出することは難しい。
【0160】そこで、本実施形態では、乳腺腫瘍の3次
元的な形状を利用して乳腺腫瘍診断を行うために、3次
元超音波画像データ15bから腫瘍の自動抽出を行っ
て、その形状を評価する乳腺腫瘍診断支援システムの開
発を目的としている。乳癌検診システム50は、超音波
式プローブ121に取り付けた交流磁界位置センサ13
1によって計測された位置データ(x0,y0,z0
ψ,θ,Ф)を用いて、超音波式プローブ121を任意
に走査して得られた一連の断層画像(超音波断層画像デ
ータ121a)をボクセル・データ16aに変換し、3
次元画像処理を用いて乳腺腫瘍領域を抽出する。
【0161】乳腺腫瘍の超音波画像は、超音波像固有の
スペックル・ノイズ、境界部の欠落や画像劣化の問題点
の他に、画像の輝度平均値などの統計量が被検者の皮下
脂肪の厚さや周囲の組織の状態などによって変化するた
め、2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理法で
は腫瘍領域の自動抽出が難しい。医師による腫瘍の境界
の判断では、腫瘍内部エコー分布の均一性や境界エコー
の強さなどが考慮されている。
【0162】ファジイ推論はザデー(L.A.Zade
h)によって1965年に開示されて以来、工業制御の
分野や画像情報処理の分野などで広く応用されている。
ロー(T.Law)らはファジイ推論を用いて画像フィ
ルタリング、エッジ検出及びエッジ追跡腫瘍診断方法を
開示した。この方法は、エッジを抽出するために、まず
画像全体に対して隣接する2つの局所領域間の画素の輝
度差、対称性及び勾配方向の特徴を用いてファジイ・ル
ールによりGaussian平滑化する。そして、各画
素の局所的な勾配、対称及び直線性の度合いを用いてそ
の画素のedgeness、cornerness及び
triplenessのそれぞれを算出し、そこから高
いメンバシップ度合いを持つ画素が追跡され、さらに画
素間の直線性と近接性などを用いてエッジが決定され
る。この方法は、3段階のファジイ処理より構成され、
通常のエッジ検出法、LoG(Laplace of
Gaussian)とCannyのそれより比較的平滑
なエッジの抽出ができるが、乳腺超音波像のようにスペ
ックル・ノイズ、画質劣化、境界部の欠落、脂肪層や乳
管などが混在して、さらに画素輝度の分布が均一でない
像から3次元的な腫瘍領域の境界面を抽出するのは、エ
ッジだけを扱う処理の点で不向きであると考えられる。
また、超音波画像から組織境界の抽出にファジイ推論を
用いる方法として、対象を2次元の左心室エコー像に限
定し、その外膜境界を抽出する方法がJ.Fengらに
よって開示されている。この方法は、まず左心室の中心
点から放射方向に検索された2次元LoGフィルタ出力
のゼロ・クロッシング点を用いて左心室の内膜の境界点
を決定する。そして各放射方向における左心室外膜の輝
度変化の先験的な知識を利用してメンバシップ関数{μ
t,μn,μb}を作成し、さらにファジイ推論を用いて
外膜境界点の範囲を求め、そこから左心室壁の厚さ(H
eart Wall Thickness)や隣接する
候補点の距離関係を用いて外膜点を決定するものであ
る。左心室の場合は、心内膜境界におけるコントラスト
が高く、内膜境界の候補点が比較的容易に決められる。
また、心外膜における輝度の変化及び心壁厚さに関する
先験的な知識を用いられるため、良好な心外膜境界の候
補点を抽出できる。
【0163】乳癌検診システム50では、乳腺腫瘍の存
在が判定された乳房に対して腫瘍の良性悪性の判別を行
うために、ファジイ推論と弛緩法を用いたデファジイ・
ルールによる超音波3次元像のボクセル・データ16a
から腫瘍の領域を精度よく安定に自動抽出できる腫瘍診
断方法を開示する。腫瘍診断方法における抽出処理ステ
ップとしては、まず画像の輝度分布などの統計量の変化
に対応するためにファジイ推論に利用するメンバシップ
関数{μt,μn,μb}を画像ごとに3次元LoGフィ
ルタの出力より自動生成する。次に生成されたメンバシ
ップ関数{μt,μn,μb}とファジイ・ルールからな
るファジイ推論により各ボクセルが”腫瘍”、”正常組
織”及び”境界”である”らしさ”の度合いを計算し、
そして弛緩法の考え方に基づいたデファジイによって各
ボクセルを”腫瘍”、”正常組織”あるいは”境界”の
いずれかに分類して”腫瘍”の領域の最終決定を行う。
【0164】ファジイ推論を用いる場合は、処理の対象
となるものの特徴を表す特徴量とそれらの分布となるメ
ンバシップ関数{μt,μn,μb}、またファジイ推論
に用いるファジイ・ルールの構築や、推論結果からの腫
瘍の最終決定処理となるデファジイ(非ファジイ化)に
ついてそれぞれ定義することが必須である。特に、乳腺
腫瘍のような画像の輝度平均などの統計量が被検者の皮
下脂肪の厚さや周囲の組織の状態などによって変化し、
そういった変化に対応するためにメンバシップ関数{μ
t,μn,μb}を画素ごとに自動的に生成することが重
要となる。
【0165】腫瘍診断方法において、各ボクセルを”腫
瘍”、”正常組織”及び両者の”境界”の3つのクラス
に分類する。その理由は以下の通りである。すなわち、
(1)腫瘍の領域を抽出する意味で、腫瘍の境界のみを
抽出すれば十分であるが、超音波画像のようなスペック
ル・ノイズなど、境界の欠落の多い画像では、境界のみ
を扱う処理では腫瘍の領域に関する閉曲面の境界を得る
ことが難しい。(2)乳腺腫瘍の超音波画像には腫瘍の
領域の他に乳腺組織や脂肪層などの領域が数多く含まれ
ており、それらのすべての領域を分類するとなるとルー
ルが複雑になってしない、ルールの簡素化が必要とな
る。また、腫瘍診断方法では、ファジイ推論の結果から
各ボクセルを3つのクラス{t,n,b}のいずれかに
決定するために、弛緩法を用いたデファジイ機構を構築
する。腫瘍診断方法で参照する小ボクセル・ボリューム
における局所的な処理によって得られるファジイ推論結
果の3つのクラスのグレード{t,n,b}には、ノイ
ズや境界部の欠落などの影響であいまいさとともに誤り
の部分が存在するため、それらを修正する必要がある。
そのために、3つのクラスの局所的制約関係、すなわ
ち、(1)”腫瘍”と”正常組織”の両者は接しない。
(2)一方、”境界”は必ず”腫瘍”と”正常組織”の
両者と接する。といったルールを並列的反復処理のでき
る弛緩法によって適用することによって、全体として整
合性のとれたクラス分類が期待できると考えるからであ
る。
【0166】本実施形態では交流磁界による3次元位置
センサ(プローブ姿勢検出センサ)131を超音波式プ
ローブ121に取り付け、断層画像(超音波断層画像デ
ータ121a)と同時に超音波式プローブ121の位置
と向きの位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф)を
取得する。取得された断層画像(超音波断層画像データ
121a)は位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф)を利用して3次元のボクセル・データ16aに変換
される。
【0167】腫瘍診断方法におけるすべての処理は、3
次元空間上のボクセル・データ16aを用いて行われ
る。腫瘍診断方法のターゲットは腫瘍の3次元領域の抽
出にあり、2次元の参照領域よりも3次元ボクセル・デ
ータ16aを用いて求めた特徴量の方が安定性と信頼性
が高いからである。
【0168】最後に、乳癌検診システム50では、腫瘍
の良悪性の判別診断を支援するために、抽出された”腫
瘍”の領域に対して、その表面形状を3次元表示すると
共に、幾何学的な凹凸を定量化するためのパラメータの
1つに表面積と体積の比を用いる。腫瘍の表面形状をサ
ーフェス・レンダリングによる高品位の3次元像として
提供することで乳癌表面の凹凸不整をより客観的に把握
できるようになり、そして凹凸の度合いを定量化するこ
とにより乳癌の定量診断が期待される。腫瘍の表面の幾
何学的な凹凸性状について、同じ体積を持つ腫瘍の場合
は、乳癌の表面積が良性腫瘍のそれより大きいと考えら
れる。従って、球の表面で正規化した腫瘍の表面積と体
積の比(Surface3/Volume2 rati
o、orS/V ratio)を用いれば、表面が滑ら
かな良性腫瘍(S/V ratioが小)と表面が激し
い凹凸の性状を呈する悪性腫瘍(S/V ratioが
大)を区別することが期待できる。
【0169】このように、ファジイ推論を用いて、3次
元的に収集された乳腺腫瘍の超音波画像から腫瘍の領域
を安定に自動抽出し、そして抽出した腫瘍を3次元的に
表示するとともにその表面形状の凹凸を評価する乳癌診
断システムを開発することによって、乳腺診断の分野に
大きく貢献することが本実施形態の目的である。
【0170】[乳癌検診システム50の概要]超音波画
像(超音波断層画像データ121a)における乳腺腫瘍
は正常組織と比較して輝度が低いため、輝度値の高低に
よって腫瘍を抽出する。しかし、超音波像については、
音響陰影などの顕著なアーチファクト、筋層などの比較
的低輝度の組織などが存在するため、単純な2値化処理
などのクラスタリングでは腫瘍の抽出を行うことは難し
い。
【0171】本実施形態で開示する乳腺腫瘍の自動抽出
腫瘍診断方法は、超音波3次元像、すなわちすべてのボ
クセル・データ16aに対して、”腫瘍”、”正常組
織”及びそれらの”境界”という3つのクラスに属す
る”らしさ”を求め、そこから、3次元空間上の矛盾を
徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領域を決定すると
いうものである。このアルゴリズムは大きく分けて3段
階の処理よりなる。
【0172】第1段階[3次元画像取得過程]では、3
次元座標検出器(プローブ姿勢検出センサ)131を取
り付けた超音波式プローブ121によって3次元的に超
音波画像(超音波断層画像データ121a)を取得す
る。
【0173】第2段階[腫瘍抽出過程]では、ファジイ
推論に利用するメンバシップ関数{μt,μn,μb}を
自動的に作成し、求められたメンバシップ関数{μt
μn,μb}を用いてファジイ推論及び弛緩法による腫瘍
領域の決定を行う。
【0174】第3段階[悪性腫瘍自動識別過程]では、
乳腺301のMRI画像や超音波画像等の2次元断層画
像(超音波断層画像データ121a)から3次元画像の
データ(超音波断層画像データ121a)の一形態であ
るボクセル・データ16aに基づいて、組織間の境界を
抽出して正常組織の中から乳癌組織を発見する。
【0175】乳房は表在性の臓器であり、乳腺腫瘍の多
くは皮膚の近くにあることが多い。また、腫瘍の早期発
見・早期治療は極めて重要であることから、1cm以下
の腫瘍をいかに早期に発見するかということと、比較的
大きな腫瘍でもその良悪性の鑑別が正確に行えるかが重
要となる。従って、本実施形態における処理対象が胎児
や心臓などに比べてかなり小さいこと、また表在性臓器
であることから、超音波式プローブ121と体表面との
接触が極めてデリケートとなる。そのため、手動による
直線走査や扇状走査では精度が不足し、メカニカル走査
では接触を保てないなどの問題がある。そこで本実施形
態では、超音波式プローブ121に交流磁界を利用した
3次元位置センサを取り付け、検者が超音波画像(超音
波断層画像データ121a)を見ながら腫瘍全体を網羅
するように手動で走査しながら断層画像(超音波断層画
像データ121a)とそのときの3次元座標データを計
算機に取得する。取得した画像について3次元座標を参
照しながら、3次元補間によって1組の等方的なボクセ
ル・データ16aの超音波3次元画像を構築することと
した。
【0176】超音波画像(超音波断層画像データ121
a)は生体内部からのエコーの強度から映像化するた
め、取得される断層画像(超音波断層画像データ121
a)は被検者の皮下脂肪の厚さや周囲組織の状態などに
よって変化し、被検者によって画像の輝度平均値、分散
などの画像の統計量が一定でない。そのため、各自超音
波診断装置のゲインやSTC(Sensitivity
Time Control, or TGC:Tim
e Gain Compensation)などの設定
を変えながら画像診断を行う。従って、安定かつ良好に
腫瘍の領域を自動抽出するために、このような画像の変
化に対応する必要がある。
【0177】本実施形態では、3次元LoG(Lapl
ace of Gaussian)フィルタを用いて、
画像ごとにメンバシップ関数{μt,μn,μb}を自動
的に作成し、システム環境に依存せず腫瘍の領域を安定
に抽出できることを目指す。この方法は、超音波画像
(超音波断層画像データ121a)の3次元LoGフィ
ルタの出力を用いてクラス分けされた”腫瘍”、”正常
組織”とその”境界”ボクセルのヒストグラムから、各
特徴量、すなわち小ボリュームにおける輝度平均、輝度
分散及び輝度の重心から小ボリュームの幾何学的中心ま
での距離のメンバシップ関数{μt,μn,μb}をRa
yleigh分布とGaussianで近似することに
よって自動生成するものである。
【0178】そして、自動生成したメンバシップ関数
{μt,μn,μb}を利用して、ファジイ推論による腫
瘍領域の抽出を行う。まず、ファジイ推論によって3つ
のクラスのグレード{t,n,b}を表す画像を作成す
る。すなわち、輝度の低い”腫瘍”、輝度の高い周辺
の”正常組織”そして両者の”境界”である。次に、弛
緩法によってデファジイを行い、すべてのボクセルを3
つのクラスに分ける。さらに、誤ってクラス分けされた
ボクセルについて、いくつかの先験的情報を利用して修
正を加えていき、最終的に腫瘍の3次元的な領域を決定
する。
【0179】最後に、抽出された腫瘍をサーフェス・レ
ンダリングによって3次元表示すると共に、抽出した表
面積の3乗と体積の2乗の比を用いて表面形状の凹凸を
定量化する。本実施形態を悪性16症例と良性11症例
に対して適用した結果、良悪性の腫瘍を安定かつ良好に
抽出することができた。また、表面形状の凹凸の評価に
よって、本実施形態による方法は良悪性の判別診断を支
援できることと期待される。
【0180】[乳癌検診システム50]本発明の腫瘍診
断方法は、乳腺301のMRI画像や超音波画像等の2
次元断層画像(超音波断層画像データ121a)から3
次元画像で表された組織間の境界を抽出して正常組織の
中から癌組織、特に乳癌組織を発見する病理診断支援シ
ステムに適応可能な腫瘍診断方法である。以下の説明で
は、このような腫瘍診断方法の最適実施形態として乳癌
検診システム50を想定することにする。
【0181】図1は、本発明の乳癌検診システム50の
基本構成を示すブロック図である。初めに、図面に基づ
き、本発明の腫瘍抽出過程を実行する乳癌検診システム
50の前処理である3次元画像取得過程、及びこれを実
行する装置(パーソナルコンピュータ(PC))の一実
施形態を説明する。図1は、PCの基本構成を示すブロ
ック図ある。
【0182】[3次元画像取得過程]初めに、3次元位
置センサ(プローブ姿勢検出センサ)13(交流磁界位
置センサ131)を取り付けたプローブ12(超音波式
プローブ121)を用いて取得された超音波エコー(=
探針データ12a)から乳腺301(被測定物体30)
を抽出して、その3次元的な表面形状から腫瘍の良性、
悪性の識別を行う乳癌診断を行う超音波画像を用いた乳
癌検診システム50における立体超音波画像を生成する
システムに最適なPC及び3次元画像取得過程について
説明を行うことにする。
【0183】乳癌検診システム50は、PCで受け取っ
た乳腺腫瘍の3次元領域(3次元イメージ)の形状にお
ける幾何学的な凹凸を評価することによって乳癌の判別
診断を行うものである。このような乳腺腫瘍の抽出を行
う乳癌検診システム50に必要とされる3次元処理で
は、腫瘍部位に関するボクセル・データ16aが不可欠
である。
【0184】前述したように、スキャナなどによりメカ
ニカルに(機械操作によって)超音波式プローブ121
を走査する場合、表在性の乳房を圧迫して再現性の高い
腫瘍の形状が得られないといった問題点があった。
【0185】そのため従来は、乳房が表在性臓器であり
非常に柔軟でデリケートであることに配慮して、日常の
乳腺301の診断において、検者が手で持つ超音波式プ
ローブ121の位置(x0,y0,z0)と向きを微妙に
調節しながら乳房表面をスキャニング(マニュアル走
査)することによって乳腺301の断層像を取得してい
る。
【0186】このように、熟練した検者がマニュアル走
査で乳房表面を走査する場合は、乳房を圧迫することは
なく、アーチファクトの少ない、再現性の高い画像を得
ることができる。
【0187】しかしながら、超音波画像(超音波断層画
像データ121a)をマニュアル走査で3次元的に収集
する場合、超音波式プローブ121の位置(x0,y0
0)と向きを用いて断層画像(超音波断層画像データ
121a)をボクセル・データ16aに変換する必要が
あるといった問題点もある。
【0188】また、このようなボクセル・データ16a
の変換を必要とする場合、断層画像(超音波断層画像デ
ータ121a)とそれに対応する超音波式プローブ12
1の位置(x0,y0,z0)と向きのデータ(方位角
ψ、仰角θ、横転角Ф)を記録する必要がある。また、
画像データの収集を高速に行うために、超音波式プロー
ブ121を走査しながら得られる超音波像と同時に超音
波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)と向きの
データ(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を直接にPCの
メモリに転送することが重要となる。
【0189】このため、実用的にも臨床上も、操作性が
高い、違和感のない、かつ高速にデータを収集できるシ
ステムが要求されていた。
【0190】本実施形態は、このような要求を満たす装
置であって、乳腺腫瘍の3次元領域(3次元イメージ)
をプログラム(後述する3次元画像取得過程のプログラ
ムコードを含む)によって自動抽出し、そして腫瘍表面
を3次元表示(立体イメージとして表示)して乳癌の判
別診断(乳癌検診システム50)を支援する3次元画像
取得過程である。
【0191】図1に示すPCは、後述する、乳癌検診シ
ステム50の前処理である3次元画像取得過程を記述し
たプログラムコード、乳癌検診システム50の後処理で
ある腫瘍抽出過程(乳腺腫瘍の自動抽出アルゴリズム)
を記述したプログラムコード、及び乳癌検診システム5
0の後処理である悪性腫瘍自動識別過程(乳腺腫瘍の自
動識別アルゴリズム)を記述したプログラムコードを物
理的に実行するハードウェアである。
【0192】このようなPCを中心とする乳癌検診シス
テム50は、乳腺腫瘍の3次元領域(3次元イメージ)
をプログラム(後述する3次元画像取得過程のプログラ
ムコードを含む)によって自動抽出し、そして腫瘍表面
を3次元表示(立体イメージとして表示)して乳癌の判
別診断(乳癌検診システム50)を支援する3次元超音
波画像データ収集機能を有している。
【0193】図1に示す乳癌検診システム50は、超音
波式プローブ121(プローブ手段12)、交流磁界位
置センサ131(3次元位置センス手段(プローブ姿勢
検出センサ)13)、PC(トラッキング手段14、3
次元座標変換手段15,3次元ボクセル・データ発生手
段16)を中心とするハードウェア構成となっている。
【0194】プローブ手段12は、被測定物体30の表
面をスキャニングしながら被測定物体30を探針して内
部構造や表面構造に関する探針データ12aを生成す
る。
【0195】本実施形態では、乳腺301の表面を超音
波を用いてスキャニングしながら乳腺301からの超音
波エコーに基づくを探針を行って取得された内部構造や
表面構造に関する超音波断層画像データ121aを生成
する超音波式プローブ121をプローブ手段12として
用いている。
【0196】3次元位置センス手段(プローブ姿勢検出
センサ)13は、プローブ手段12に取り付けられた状
態で、スキャニング中のプローブ手段12の空間的な位
置や姿勢を測定してプローブ手段12の座標データを被
測定物体30の探針動作に同期させて生成する機能を有
している。
【0197】本実施形態では、3次元位置センス手段
(プローブ姿勢検出センサ)13として、自己の空間的
な位置や姿勢に関する3次元座標(x0,y0,z0)及
び自己の傾斜方向を角度(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф)で表した位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф)を実時間で測定してプローブ座標データ13aとし
て出力する位置センサであるトラッキング手段が制御す
る交流磁界位置センサ131を用いている。
【0198】交流磁界位置センサ131は、自己の空間
的な位置や姿勢に関する3次元座標(x0,y0,z0
及び自己の傾斜方向を角度(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф)で表した位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф)を実時間で測定してプローブ座標データ13aとし
て出力する位置センサである。すなわち、交流磁界位置
センサ131は、超音波式プローブ121に取り付けら
れた状態で、乳腺301の表面のスキャニング中の超音
波式プローブ121の空間的な位置や姿勢を測定して超
音波式プローブ121の座標データ(x0,y0,z0
を乳腺301の探針動作に同期させて生成する。
【0199】これにより、乳癌検診システム50(P
C)が、超音波断層画像データ121aの収集を行う際
に、超音波断層画像データ121aの収集と同期してプ
ローブ座標データ13aを収集し、超音波断層画像デー
タ121a及び超音波断層画像データ121aと同期し
たプローブ座標データ13aを用いて、3次元超音波画
像データ15bを生成し、3次元超音波画像データ15
bに線形画像補間を行って、等方的なボクセル・データ
16aに変換するため、同一のボクセルについて2つ以
上の異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもって
ボクセルのボクセル・データ16aとすることができ
る。
【0200】すなわち、超音波式プローブ121の位置
や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、超音波断
層画像(超音波断層画像データ121a)と同時に超音
波式プローブ121の位置データ(x0,y0,z0
ψ,θ,Ф)(プローブ座標データ13a=位置データ
(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф))を超音波式プローブ
121の位置の補正データとして用いることで、超音波
式プローブ121に取り付けた交流磁界による交流磁界
位置センサ131によって取得された超音波断層画像
(超音波断層画像データ121a)を、従来のマニュア
ル走査と同様にアーチファクトの少なくかつ再現性の高
い3次元のボクセル・データ16aに変換することがで
きる。その結果、メカニカルに超音波式プローブ121
で乳腺301を走査すると、組織を圧迫して再現性の高
い腫瘍の形状が得られない恐れがある非常に柔軟でデリ
ケートな組織である乳腺301のような被測定物体30
に対しても高精度の超音波断層画像データ121aを生
成できるようになる。
【0201】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aとすることにより、取得
した超音波断層画像(超音波断層画像データ121a)
(探針データ12a)を3次元座標変換した後に、線形
補間された等方的なボクセルの画像データ(ボクセル・
データ16a)が生成できるようになる。
【0202】トラッキング手段14は、探針データ12
aの収集を行う際に、探針データ12aの収集と同期し
てプローブ座標データ13aを収集する機能を有し、具
体的には、PCによって実現することができる。
【0203】3次元座標変換手段15は、探針データ1
2a及び探針データ12aと同期したプローブ座標デー
タ13aを用いて、3次元画像データ15aを生成する
機能を有している。
【0204】3次元ボクセル・データ発生手段16は、
3次元画像データ15aに線形画像補間を行って、等方
的なボクセル・データ16aに変換すると共に、同一の
ボクセルについて2つ以上の異なる値が対応する場合は
これらの平均値をもってボクセルのボクセル・データ1
6aとする機能を有し、具体的には、後述するPCによ
って実現することができる。具体的には、乳癌検診シス
テム50(PC)は、探針データ12aの収集を行う際
に、探針データ12aの収集と同期してプローブ座標デ
ータ13aを収集する。またPCは、探針データ12a
及び探針データ12aと同期したプローブ座標データ1
3aを用いて、3次元画像データ15aを生成する。ま
たPCは、3次元画像データ15aに線形画像補間を行
って、等方的なボクセル・データ16aに変換するた
め、同一のボクセルについて2つ以上の異なる値が対応
する場合はこれらの平均値をもってボクセルのボクセル
・データ16aとする。
【0205】本実施形態の3次元座標変換手段15は、
探針データ12aと同期したプローブ座標データ13a
として、3次元位置センス手段(プローブ姿勢検出セン
サ)13のプローブ手段12に相対する方位角ψ、仰角
θ及び横転角Фに基づく変換行列T[aij],(i,j=
1,2,3)を用い、探針データ12aの座標(x,y,
0)に対して変換行列T[aij]を掛け合わせて3次元
画像データ15aの座標(x’,y’,z’)を生成す
る機能を有している。
【0206】すなわち、超音波式プローブ121には交
流磁界位置センサ131が取り付けられており、この交
流磁界位置センサ131は、自己(すなわち、交流磁界
位置センサ131)の空間的な位置データ(x0,y0
0,ψ,θ,Ф)(位置や姿勢に関する3次元座標の
データ13a=位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф))を実時間で測定してプローブ座標データ13aと
して出力する。このためPCは、探針データ12a(超
音波断層画像データ121a)の収集と同期したプロー
ブ座標データ13aの収集ができる。これに応じてPC
が、探針データ12a(超音波断層画像データ121
a)及び探針データ12a(超音波断層画像データ12
1a)と同期したプローブ座標データ13aを用いて3
次元画像データ15aを生成するために、探針データ1
2a(超音波断層画像データ121a)の座標(x,
y,0)に対して、変換行列T[aij]を掛け合わせて
3次元画像データ15aの座標(x’,y’,z’)を
生成する。これにより、超音波式プローブ121の位置
(x0,y0,z0)や姿勢(ψ,θ,Ф)を実時間でト
ラッキングする必要がある従来のマニュアル走査やメカ
ニカル走査作業に代えて、超音波断層画像データ121
aの座標(x,y,0)と同時に超音波式プローブ12
1のプローブ座標データ13aとしての変換行列T[a
ij]を超音波式プローブ121の位置の補正データとし
て用いることで、超音波式プローブ121に取り付けた
交流磁界による交流磁界位置センサ131によって取得
された超音波断層画像データ121aの座標(x,y,
0)を、従来のマニュアル走査と同様にアーチファクト
の少なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ1
6aの座標(x’,y’,z’)に変換することができ
る。
【0207】その結果、メカニカルに超音波式プローブ
121で乳腺301を走査すると、組織を圧迫して再現
性の高い腫瘍の形状が得られない恐れがある非常に柔軟
でデリケートな組織である乳腺301のような被測定物
体30に対しても高精度の超音波断層画像データ121
aの座標(x,y,0)を生成できるようになる。
【0208】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aの座標(x’,y’,
z’)とすることにより、取得した超音波断層画像(超
音波断層画像データ121a)(探針データ12a)を
3次元座標変換した後に、線形補間された等方的なボク
セルの画像データの座標(x’,y’,z’)が生成で
きるようになる。
【0209】ここで、前述の変換行列T[aij]におけ
る各々の行列要素aijは、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−sin(ψ)・cos( Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin( Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin(θ)・sin( Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−cos(ψ)・sin( Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф)…式(1−1)〜式(1−9) で定義されている。
【0210】すなわち、超音波式プローブ121の位置
や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、簡単な一
次線形関数で表現された変換行列T[aij]を超音波式
プローブ121の位置の補正データとして用いること
で、超音波式プローブ121に取り付けた交流磁界によ
る交流磁界位置センサ131によって取得された超音波
断層画像データ121aの座標(x,y,0)を、それ
ほど高い計算能力を持ち合わせていないパーソナルコン
ピュータ(PC)のような小規模のハードウェアを用い
ても、従来のマニュアル走査と同様にアーチファクトの
少なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ16
aの座標(x’,y’,z’)に変換することができ
る。その結果、メカニカルに超音波式プローブ121で
乳腺301を走査すると、組織を圧迫して再現性の高い
腫瘍の形状が得られない恐れがある非常に柔軟でデリケ
ートな組織である乳腺301のような被測定物体30に
対しても高精度の超音波断層画像データ121aの座標
(x,y,0)を小規模のハードウェアでも高速・低コ
ストで生成できるようになる。
【0211】更に具体的に、図1の乳癌検診システム5
0のハードウェア基本構成を説明する。
【0212】本実施形態では、超音波式プローブ121
に交流磁界位置センサ131を取り付けて、超音波式プ
ローブ121をトラッキングしながら、超音波診断装置
20からのビデオ信号をA/D変換した後、PCI B
us(PeripheralComponent In
terconnect bus)を経由して、同時にそ
のときの超音波式プローブ121の3次元位置(x0
0,z0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф)を、RS232Cを経由して出力し、乳癌検診シス
テム50のメモリ(Frame Graber)やPC
のメモリに直接に転送するようなシステムを構築した。
【0213】ここで、小型(本実施形態では、外形寸法
=約2.8×2.2×1.5cm3)・軽量(17.0
Kg)の交流磁界位置センサ131を超音波式プローブ
121に取り付けることにより、熟練した検者が日常診
断のときと同じように乳房表面をマニュアル走査で走査
することができる。また、超音波画像(探針データ12
a=超音波断層画像データ121a)がPCIバスを経
由して直接にPCでアクセスできるメモリ(不図示)に
転送されるため、画像データ(超音波断層画像データ1
21a)の収集の高速化を図ることができる。
【0214】以下に、乳癌検診システム50のシステム
の具体的な構成を説明する。
【0215】超音波診断装置20としては、例えば、ア
ロカ(Aloka)社製のSSD−2000(商品名)
を流用することができる。超音波式プローブ121は、
周波数7.5MHzの凹型電子走査方式を用いている。
凹型を用いた理由は、乳腺の形状をなるべく変えずに画
像を取得するためである。この超音波式プローブ121
を用いて、通常はdepth range=5cmの設
定で超音波画像を取得しており、各画素の大きさが0.
014×0.014cm2となる。また、プローブの先
端に交流磁界位置センサ131を取り付けており、超音
波式プローブ121の位置と向きを実時間でトラッキン
グすることができる。
【0216】また超音波式プローブ121には、交流磁
界位置センサ131(例えば、Polhemus社製
Fastrak tracking system(商
品名))が取り付けてあり、超音波式プローブ121の
位置と向き(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф(単位は[度
(又はrad)]))をトラッキングしながら検者が任
意に幹部の超音波断層画像(超音波断層画像データ12
1a)(探針データ12a)を取得できるようになって
いる。
【0217】プローブ・トラッキング・システム(Po
lhemus社製Fastraktracking s
ystem(商品名))。このシステムは、交流磁界位
置センサ131、トランスミッタ及びシステム電子制御
部の3つからなり、交流磁界位置センサ131が超音波
式プローブ121に取り付けられており、ベッドの直下
に配置したトランスミッタから発した交流磁界を検出
し、そして、システム電子制御部で交流磁界位置センサ
131のトランスミッタの配置に対する位置と向きの位
置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф)が計算され
る。得られる位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф)がRS232Cを経由して実時間で計算機に転送さ
れる。
【0218】すなわち、交流磁界位置センサ131で超
音波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)及び角
度(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を計測しながら、超
音波診断装置20で観測している超音波断層画像(超音
波断層画像データ121a)(探針データ)データをP
C(DEC社製Pentium(商品名) 166MH
z、RAM 192MB)のメモリ(不図示)に直接取
り込む。
【0219】本実施形態では、画像の取り込みを、PC
I Bus Frame Grabber(Data
Translation社製、DT3155(商品
名))を用いて、転送速度15フレーム/秒で実行して
いる。PCI Frame Grabberは画像ボー
ドとしてPCのPCIバスに実装されており、画像ボー
ドが、外部のビデオ信号をA/D変換後PCIバスを経
由して実時間でPCのメモリ(DRAM)に取り込め
る。PCに取り込める画像の量はPCのメモリの容量に
依存しており、メモリが大きければ大きいほど多くの超
音波断層画像データ121aがPCに取り込める。
【0220】PCとしては、具体的には、DEC社製P
C(CPU=Pentium166MHz、DRAM1
92MB、OS(Operating System)
=Windows95(商標))を用いている。
【0221】これにより乳癌検診システム50では、超
音波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)と姿勢
(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)をトラッキングしなが
ら検者が任意に患部の断層画像(超音波断層画像データ
121a)を取得できるようになっている。
【0222】前述のFastrack トラッキング・
システムは、隔地にある物体の位置と向きとを交流磁界
を利用して計測するために用いられるものである。Fa
strack トラッキング・システムは、まずトラン
スミッタ(Transmitter)に設置される3つ
の定置コイルから磁界を発生させ、これらの磁界を3つ
のリモート・センシング用の受信コイルからなるセンサ
によって受信し、所定の計算アルゴリズムによりセンサ
のトランスミッタに相対する3次元的な位置(x0
0,z0)と姿勢(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を算
出する。
【0223】従って、超音波式プローブ121に取り付
けた交流磁界位置センサ131は、超音波式プローブ1
21のカレント位置(スキャニング位置)の3次元座標
(x 0,y0,z0)及びその向きを角度(方位角ψ、仰
角θ、横転角Ф)で表した位置データ(x0,y0
0,ψ,θ,Ф)(x,y,z,ψ,θ,φ)を実時
間で測定して、RS232Cを用いてPCに出力するこ
とができる。
【0224】ここで、計測される座標は、交流磁界のト
ランスミッタ(不図示)を配置する向きによって決ま
る。超音波式プローブ121におけるトランスミッタの
参照座標系は、天地方向をZ方向、患部から検者に向か
う方向をX方向としている。
【0225】なお、超音波式プローブ121のトランス
ミッタは、患部のほぼ直下に配置されていることが望ま
しい。Fastrackトラッキング・システムの3次
元空間座標系については、図2を参照されたい。
【0226】交流磁界位置センサ131で超音波式プロ
ーブ121の位置(x0,y0,z0)及び向きの角度
(ψ,θ,Ф)を計測しながら、超音波診断装置20で
観測している断層画像(超音波断層画像データ121
a)データをPC(DEC社製Pentium 166
MHz、192MB)のメモリに直接取り込む。画像の
取り込みはPCI Bus Frame Grabbe
r(Data Translation社製 DT31
55)を用いて、超音波式プローブ121の位置
(x0,y0,z0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角
θ、横転角Ф)とともに実測転送速度15フレーム/秒
を実現した。
【0227】次に、ボクセル・データ16aの作成プロ
セスを説明する。
【0228】図3は、図1の乳癌検診システム50で実
行される3次元画像取得過程の一実施形態を説明するフ
ローチャートである。
【0229】3次元画像取得過程で実行される3次元画
像取得過程は、組織間の境界を抽出して正常組織の中か
ら癌組織を発見する癌診断処理の前処理として、乳腺3
01のMRI画像や超音波画像等の2次元断層画像(超
音波断層画像データ121a)から3次元画像データを
生成する過程であり、前述のPCで実行可能なプログラ
ムコードによって記述されている。これらのプログラム
コードは、PC内の記憶装置(例えば、EEPROM等
の半導体記憶デバイス、磁気ディスク等の磁気記憶手
段、MO等の磁気光記憶手段)に保持され、適時読み出
されて実行されても良いし、また、フロッピーディスク
等にプログラムコードとして保持された状態でPCに読
み込んで実行されても良いし、あるいは、ネットワーク
を経由してネットワーク機器からダウンロードされて実
行されても良い。
【0230】図3に示す本発明の3次元画像取得過程
(ボクセル・データ16aの作製プロセス)は、探針工
程(ステップS1)、3次元位置探知工程(ステップS
2),3次元座標変換工程(ステップS3)、3次元ボ
クセル・データ発生工程(ステップS4)で構成されて
いる。
【0231】探針工程(ステップS1)は、超音波式プ
ローブ121が中心となって実行する工程であって、被
測定物体30の表面をスキャニングしながら被測定物体
30を探針して内部構造や表面構造に関する超音波断層
画像データ121a(探針データ12aの一形態)を生
成する機能を有している。
【0232】3次元位置探知工程(ステップS2)は、
トラッキング手段14が制御する交流磁界位置センサ1
31が中心となって実行する工程であって、超音波式プ
ローブ121に取り付けられた状態で、スキャニング中
の超音波式プローブ121の空間的な位置や姿勢を測定
して超音波式プローブ121の座標データを被測定物体
30の探針動作に同期させて生成する機能を有してい
る。
【0233】トラッキング手段14は、トラッキング手
段14(PC)が中心となって実行する工程であって、
超音波断層画像データ121aの収集を行う際に、超音
波断層画像データ121aの収集と同期してプローブ座
標データ13aを収集する機能を有している。
【0234】3次元座標変換工程(ステップS3)は、
3次元座標変換手段15(PC)が中心となって実行す
る工程であって、超音波断層画像データ121a及び超
音波断層画像データ121aと同期したプローブ座標デ
ータ13aを用いて、3次元超音波画像データ15b
(3次元画像データ15aの一形態)を生成する機能を
有している。
【0235】3次元ボクセル・データ発生工程(ステッ
プS4)は、3次元ボクセル・データ発生手段16(P
C)が中心となって実行する工程であって、3次元超音
波画像データ15bに線形画像補間を行って、等方的な
ボクセル・データ16aに変換すると共に、同一のボク
セルについて2つ以上の異なる値が対応する場合はこれ
らの平均値をもってボクセルのボクセル・データ16a
としている機能を有している。
【0236】本実施形態の3次元画像取得過程では、ま
ず初めに、探針工程(ステップS1)が、超音波超音波
式プローブ121からの超音波を用いて乳腺301の表
面をスキャニングしながら乳腺301からの超音波エコ
ーに基づくを探針を行って取得された内部構造や表面構
造に関する超音波断層画像データ121aを生成する。
【0237】探針工程(ステップS1)に続いて、3次
元位置探知工程(ステップS2)は、超音波超音波式プ
ローブ121に取り付けられた状態で、乳腺301の表
面のスキャニング中の超音波超音波式プローブ121の
空間的な位置や姿勢を測定して超音波プローブ座標デー
タ13aを乳腺301の探針動作に同期させて生成す
る。
【0238】3次元位置探知工程(ステップS2)に続
いて、トラッキング手段14が、超音波断層画像データ
121aの収集を行う際に、超音波断層画像データ12
1aの収集と同期してプローブ座標データ13aを収集
する。
【0239】続いて、3次元座標変換工程(ステップS
3)が、超音波断層画像データ121a及び超音波断層
画像データ121aと同期したプローブ座標データ13
aを用いて、3次元超音波画像データ15bを生成す
る。
【0240】ここで3次元座標変換工程(ステップS
3)は、超音波断層画像データ121aと同期したプロ
ーブ座標データ13aとして、3次元位置探知工程(ス
テップS2)の超音波式プローブ121に相対する方位
角ψ、仰角θ及び横転角Фに基づく変換行列T
[aij],(i,j=1,2,3)を用い、超音波断層画像
データ121aの座標(x,y,0)に対して前述の変
換行列T[aij]を掛け合わせて(行列の積演算を行っ
て)3次元超音波画像データ15bの座標(x’,
y’,z’)を生成している。
【0241】3次元座標変換工程(ステップS3)に続
いて、3次元ボクセル・データ発生工程(ステップS
4)が、3次元超音波画像データ15bに線形画像補間
を行って、等方的なボクセル・データ16aに変換する
と共に、同一のボクセルについて2つ以上の異なる値が
対応する場合はこれらの平均値をもってボクセルのボク
セル・データ16aとしている。
【0242】更に具体的に、図1の3次元画像取得手段
10、及びここで実行される3次元画像取得過程を説明
する。
【0243】本実施形態では、超音波式プローブ121
にトラッキング手段14が制御する交流磁界位置センサ
131を取り付けて、超音波式プローブ121をトラッ
キング(スキャニング)しながら、超音波診断装置20
からのビデオ信号をA/D変換した後、PCI Bus
(Peripheral Component Int
erconnect bus)を経由して、同時にその
ときの超音波式プローブ121の3次元位置(x0
0,z0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф、(単位は[度(又はrad)]))を、RS232
Cを経由して出力し、PCのメモリに直接に転送するよ
うなシステムを構築した。
【0244】ここで、小型(外形寸法=約2.8×2.
2×1.5cm3)・軽量(17.0Kg)のトラッキン
グ手段14が制御する交流磁界位置センサ131を超音
波式プローブ121に取り付けることにより、熟練した
検者が日常診断のときと同じように乳房表面をマニュア
ル走査で走査することができる。また、超音波画像(探
針データ12a=超音波断層画像データ121a)がP
CIバス(Peripheral Component
Interconnect bus)を経由して直接
にPCでアクセスできるメモリ(不図示)に転送される
ため、画像データ(超音波断層画像データ121a)の
収集の高速化を図ることができる。
【0245】次に、ボクセル・データ16aの作成プロ
セスを更に詳しく説明する。
【0246】本プロセスでは、トラッキング手段14が
制御する交流磁界位置センサ131で超音波式プローブ
121の位置及び向きの角度を計測しながら、超音波診
断装置20で観測している断層画像(超音波断層画像デ
ータ121a)データをPC(DEC社製Pentiu
m 166MHz、192MB)のメモリに直接取り込
む。画像の取り込みはPCI Bus Frame G
rabber(Data Translation社製
DT3155)を用いて、超音波式プローブ121の
位置(x0,y0,z0)と向きのデータ(方位角ψ、仰
角θ、横転角Ф)とともに実測転送速度15フレーム/
秒を実現した。
【0247】次に、ボクセル・データ16aの作成プロ
セスを説明する。本3次元画像取得手段10において、
乳腺腫瘍の領域の抽出は3次元的な処理によって行われ
るため、腫瘍部位に関する等法的なボクセル・データ1
6aの画像データが必要とされる。そのため、まず取得
した断層画像(超音波断層画像データ121a)群に対
して3次元座標変換を行い、そして線形補間によってボ
クセル・データ16aに変換する。
【0248】本PCにおいて、乳腺腫瘍の領域の抽出は
3次元的な処理によって行われるため、腫瘍部位に関す
る等法的なボクセル・データ16aの画像データが必要
とされる。そのため、まず取得した断層画像(超音波断
層画像データ121a)群に対して3次元座標変換を行
い、そして線形補間によってボクセル・データ16aに
変換する。
【0249】今、交流磁界位置センサ131のトランス
ミッタ(超音波式プローブ121)に相対する位置(X
軸方向、Y軸方向並びにZ軸方向)、交流磁界を利用し
た交流磁界位置センサ131のトランスミッタ(前記プ
ローブ)に相対する向き(方位角(Azimuth)
ψ、仰角(Elevation)θ、横転角(Rol
l)Ф)とする(ステップS1、ステップS2)。取得
された超音波断層画像(超音波断層画像データ121
a)(超音波断層画像データ121a(探針データ12
a))の座標(x,y,0)を行列P、3次元変換後の
座標(x’,y’,z’)を行列Q、超音波式プローブ
121のカレント座標位置と向きを示すプローブ座標デ
ータ13aの座標(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф)にお
ける(x0,y0,z0)を行列Rとしたとき、変換行列
T[aij]を用いた行列演算(行列の積演算)を行っ
て、取得された超音波断層画像(超音波断層画像データ
121a)(超音波断層画像データ121a(探針デー
タ12a))の座標(x,y,0)から3次元変換後の
座標(x’,y’,z’)を求めている(ステップS
3)。
【0250】すなわち、Qt=TPt+Rtで与えられ
る。ここで、行列Qt,Pt,Rtの各々は、行列Q,
P,Rの各々に対する転置行列を意味している。
【0251】ここで、変換行列T[aij]は、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−sin(ψ)・cos( Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin( Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin(θ)・sin( Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−cos(ψ)・sin( Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф)…式(1−10)〜式(1−18) で与えられる。
【0252】このようにして取得された超音波画像につ
いて、超音波式プローブ121の位置(x0,y0
0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)
を利用した3次元座標変換を行うことによって、ボクセ
ル・データ16aを取得している(ステップS4)。
【0253】ところで、超音波式プローブ121の走査
方法によっては、取得されたボクセル・データ16aの
中にその輝度値が与えられていないボクセル・データ1
6aが存在したり、また同一のボクセル・データ16a
について2つ以上の異なる輝度値が対応する場合があ
る。
【0254】そこで本実施形態では、特に、輝度値が与
えられていないボクセル・データ16aが存在した場
合、画像の輝度補間(Image Brightnes
s Interpolation)を用いてそのボクセ
ル・データ16aの輝度値を求めることにしている。
【0255】また同一のボクセル・データ16aについ
て2つ以上の異なる輝度値が対応する場合には、これら
の輝度値の平均輝度値をもって、そのボクセル・データ
16aを代表する輝度値としている。
【0256】次に、画像補間の一実施形態を説明する。
【0257】次に、画像補間の一実施形態を説明する。
本実施形態における画像補間としては、基本的に次のよ
うな3つの方法が挙げられる。すなわち、 1. 最近隣内挿法(Nearest Neighbo
r Interpolation)、 2. 線形内挿法(Linear Interpola
tion)、そして、 3. 3次コンボリューション内挿法(Cubic C
onvolutionInterpolation)で
ある。
【0258】最近隣内挿法NNIは、内挿したい画素に
最も近い画素の輝度値を求める画像データとする方法で
あるが、処理が簡単である反面、本実施形態で扱う腫瘍
画像データのようなグレイ・スケールの変化が緩やかな
場合には向かない。
【0259】線形内挿法LIは、内挿したい画素の周囲
の4画素の輝度値を用いて、内挿画素間の座標距離の比
例によって輝度値の算出を行う内挿方法であるが、処理
が簡単であるとともに平均化のために画素間の平滑化の
効果もある。
【0260】一方、3次コンボリューション内挿法CC
Iは、内挿したい画素の周囲の16画素を用いて、3次
畳み込み関数によって内挿する方法であるが、画像の平
滑化と同時に鮮鋭化の効果もある。従って、この方法
は、超音波画像のようなスペックル・ノイズやアーチフ
ァクトなどが多く存在するような画像には向かない。
【0261】本実施形態では、線形補間法(線形内挿法
LIの一形態)を3次元空間処理に拡張してボクセル・
データ16aの補間を行っている。
【0262】すなわち、本PCにおいては、等方的なボ
クセル・データ16aの画像データが必要となるため、
取得した超音波断層画像(超音波断層画像データ121
a)(探針データ)を3次元座標変換後に線形補間によ
ってボクセル・データ16aに変換している。
【0263】具体的には、まず、内挿したいボクセル・
データ16aを中心に、X軸方向、Y軸方向並びにZ軸
方向の3つの方向において、それぞれ最近傍とする輝度
値をもつ6つのボクセル・データ16aを求めて線形補
間処理を行っている。この線形補間処理は、処理速度が
高速であるとともに、腫瘍画像のグレイ・スケールの滑
らか性が保てるといった利点がある。
【0264】図4は、図1の3次元画像取得過程で取得
されるボクセル・データの作成結果の1例であり、同図
(a)は、乳腺腫瘍の超音波断層画像(超音波断層画像
データ121a)であり、同図(b)は、ボクセル・デ
ータ中のzx平面の一断面図である。ここで、断面の中
央に見られる輝度値の低い領域が腫瘍の領域である。ま
たその周囲には脂肪層や正常な乳腺組織が示される。
【0265】以上説明したように、乳癌検診システム5
0の前処理である3次元画像取得過程によれば、超音波
式プローブ121には3次元位置センサ(プローブ姿勢
検出センサ)が取り付けられているので、スキャニング
中の超音波式プローブ121の空間的な位置や姿勢を測
定すれば、被測定物体30の探針動作に同期させたプロ
ーブ座標データ13aを生成できる。また、超音波式プ
ローブ121を用いて被測定物体30の表面をスキャニ
ングしながら被測定物体30を探針して探針データ12
aを生成する際に、PCは、この探針データ12aの収
集と同期してプローブ座標データ13aを収集する。続
いてPCが、探針データ12a及び探針データ12aと
同期したプローブ座標データ13aを用いて3次元画像
データ15aを生成する。続いてPCが、3次元画像デ
ータ15aに線形画像補間を行って、等方的なボクセル
・データ16aに変換する一方で、同一のボクセルにつ
いて2つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの平均
値をもってボクセルのボクセル・データ16aとしてい
る。すなわち、超音波式プローブ121に取り付けた交
流磁界位置センサ131によって計測された位置データ
(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф)(超音波式プローブ1
21の座標データ)を用いて、超音波式プローブ121
を任意に走査して得られた一連の探針データ12aをボ
クセル・データ16aに変換できるようになる。
【0266】このようなPCは、非常に柔軟でデリケー
トな組織構造を有する乳腺301のような被測定物体3
0を探針してボクセル・データ16aを作成するような
アプリケーションに適している。すなわち、従来の熟練
した検者が乳腺301の表面を手動で走査して超音波式
プローブ121の位置や向きを微妙に調節して探針デー
タ12aを収集していたマニュアル走査(スキャニン
グ)作業や、超音波式プローブ121をメカニカルに走
査するメカニカル走査(スキャニング)作業に代えて、
超音波式プローブ121に取り付けられた交流磁界位置
センサ131がスキャニング中の超音波式プローブ12
1の空間的な位置や姿勢を測定し、乳腺301(被測定
物体30)の探針動作に同期させたプローブ座標データ
13aを生成し、PCが、この探針データ12aの収集
(スキャニング)と同期してプローブ座標データ13a
を収集することで、探針データ12aと同時に超音波式
プローブ121の位置データ(x0,y0,z0,ψ,
θ,Ф)(超音波式プローブ121の座標データ)を取
得し、取得された探針データ12aを、位置データ(x
0,y0,z0,ψ,θ,Ф)として利用して、従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査と同様にアーチファクト
の少なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ1
6aに変換できるようになる。
【0267】[腫瘍抽出過程]次に、図面に基づき、乳
癌検診システム50の後処理である腫瘍抽出過程(乳腺
腫瘍の自動抽出アルゴリズム)の一実施形態を説明す
る。
【0268】以下の説明では、ファジイ推論を用いた3
次元ボクセル・データ16aからの腫瘍(特に、乳腺腫
瘍)の自動抽出アルゴリズムについて述べる。まず、良
好な乳腺腫瘍の領域を安定に自動抽出するために、3次
元LoG(Laplaceof Gaussian)フ
ィルタを用いたメンバシップ関数{μt,μn,μb}の
自動作成処理について述べる。次に、ファジイ推論並び
に弛緩法を用いた、各ボクセルを”腫瘍”,”正常組
織”及び両者の”境界”という3つのクラスへの分類、
腫瘍の3次元領域の決定について述べる。
【0269】乳癌の診断には、視・触診や穿刺吸引細胞
診などの他に、X線Mammographyや超音波検
査などの画像診断がよく利用されている。悪性腫瘍
(癌)の特徴は、良性と比較すると凹凸を伴う複雑な輪
郭を有していることである。画像診断ではこのような幾
何学的特徴がよく利用される。X線Mammograp
hyはX線の乳腺301に対する透過像であり、比較的
高い分解能が得られることから、画像処理による腫瘍の
抽出並びに評価方法がいくつか提案されている。
【0270】一方、超音波検査による乳腺腫瘍の診断
は、超音波式プローブ121を乳房表面に接触させるだ
けで、容易に実時間で乳腺301の内部を観察できるこ
と、被検者に対する苦痛が少ないこと、そして、被曝の
心配がなく安全であること、dense breast
の場合でも腫瘍の抽出が可能であることなどから、日常
の診断に不可欠なものになっている。乳腺301の超音
波検査は、検者が乳腺301の内部をくまなく走査して
断層画像(超音波断層画像データ121a)を観察する
ことによって、腫瘍の発見、悪性腫瘍(癌)の鑑別を行
っている。超音波断層像で表示される乳腺腫瘍の特徴
は、良性及び悪性ともに正常組織と比較して、そのエコ
ー・レベル、すなわち画像の輝度の輝度が低いことであ
る。このことは、画像の輝度レベルの差を利用して両者
を判別することが難しいことを意味する。そこで、断層
画像(超音波断層画像データ121a)における腫瘍輪
郭線の幾何学的形状の不整が利用されるが、断層画像
(超音波断層画像データ121a)だけでは悪性腫瘍
(癌)の幾何学的特徴を把握しにくい場合がある。この
ような場合では、腫瘍の表面形状を3次元的に表示すれ
ば、幾何学的な表面形状を容易に観察することができる
ため、より精度の高い診断が可能となると予想される。
【0271】腫瘍の表面形状を3次元的に表示並びに評
価するためには、取得した複数枚の超音波断層画像(超
音波断層画像データ121a)群から腫瘍の領域を抽出
することが重要である。ところが、乳腺301の超音波
像では、スペックル・ノイズや音響陰影などのアーチフ
ァクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領
域が存在するため、2値化や微分オペレータなどの従来
の画像処理法では実現できない。
【0272】このような技術背景のもとで、本実施形態
の腫瘍抽出過程における腫瘍の抽出処理はすべて3次元
空間上で行われており、注目ボクセル近傍の参照ボクセ
ル領域から求めた画像の輝度平均値などの統計量が2次
元の参照領域からのものより信頼性が高いため、より良
好な腫瘍の抽出が期待できる。
【0273】乳癌検診システム50の前処理である3次
元画像取得過程に続いて実行される本実施形態の腫瘍抽
出過程では、乳腺腫瘍に対する有効性を確認するため
に、周波数7.5MHzの凹型電子スキャン方式の超音
波診断装置を用いて乳腺腫瘍の抽出を行った。悪性腫瘍
(癌)と良性腫瘍(線維腺腫)の症例に対して適用した
結果は、医師がトレースした輪郭と一致しており、本実
施形態の腫瘍抽出過程の有効性を示唆するものであっ
た。また、抽出された腫瘍をサーフェス・レンダリング
によって3次元表示したところ、表面形状の違いを観察
することができた。
【0274】超音波画像における乳腺腫瘍の領域は、正
常組織と比較して輝度が低いため、輝度値の高低によっ
て腫瘍の抽出を行う。しかし、超音波像については、音
響陰影などの顕著なアーチファクト、筋層などの比較的
低輝度の領域などが存在するため、単純な2値化では腫
瘍の抽出を行うことは難しい。
【0275】図5は、図1の乳癌検診システム50で実
行される腫瘍抽出過程のアルゴリズムを説明するための
ブロック図である。本実施形態の腫瘍抽出過程は、ファ
ジイ推論(Fuzzy Reasoning)の考え方
を用いて、3次元ボクセル・データ16a、すなわちす
べてのボクセル・データに対して、まず”腫瘍”,”正
常組織”、及びそれらの”境界”という3つのクラスに
属する”らしさ”を求め、そしてそこから、3次元空間
上の矛盾を徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領域を
決定するというものである。
【0276】このアルゴリズムは、図5のように大きく
分けて2段階の処理(第1段階と第2段階)よりなり、
前述のPCで実行可能なプログラムコードによって記述
されている。これらのプログラムコードは、PC内の記
憶装置(例えば、EEPROM等の半導体記憶デバイ
ス、磁気ディスク等の磁気記憶手段、MO等の磁気光記
憶手段)に保持され、適時読み出されて実行されても良
いし、また、フロッピーディスク等にプログラムコード
として保持された状態でPCに読み込んで実行されても
良いし、あるいは、ネットワークを経由してネットワー
ク機器からダウンロードされて実行されても良い。
【0277】まず、第1段階は、特徴量演算工程、メン
バシップ関数{μt,μn,μb}自動生成工程を中心と
する論理構成になっており、3次元LoG(Lapla
ceof Gaussian)フィルタの出力からファ
ジイ推論に利用するメンバシップ関数{μt,μn
μb}(Membership Function)の
自動作成を行う。第1段階に続く第2段階は、ファジイ
推論工程、デファジイ工程を中心とする論理構成になっ
ており、求められたメンバシップ関数{μt,μn
μb}を用いてファジイ・ルール(Fuzzy Rul
e)並びに弛緩法(Relaxation Metho
d)に基づくデファジイ(Defuzzify)処理に
よる腫瘍領域の決定を行う。
【0278】これらの処理は、乳癌検診システム50を
構成するPCなどのCPUで実行可能なプログラムコー
ドで記述されている。本実施形態では、超音波画像とし
て3次元のボクセル・データ16aを用いている。
【0279】次に、本実施形態で用いる特徴量の定義を
述べる。
【0280】乳腺301の腫瘍抽出過程を簡素化するた
めに、乳腺腫瘍の超音波画像を3つのタイプの領域にク
ラス分けする。すなわち、輝度の低い”腫瘍”(tum
or)、輝度の高い”正常組織”(normal ti
ssue)、そして両者の”境界”(boundar
y)である。乳腺腫瘍は良悪性ともに正常組織と比較し
て輝度が低い、またその周囲の正常組織によって囲まれ
ている。
【0281】日常の診断において、まずこのような特徴
を利用して”腫瘍”の領域を抽出し、そして良性の平滑
・整である輪郭に対して悪性の凹凸・不整であるような
形状的な特徴を用いて良悪性の鑑別を行っている。
【0282】しかし、乳腺301の超音波像は、超音波
像固有のスペックル・ノイズ境界部の欠落や画質劣化の
問題点の他に、画像の輝度平均などの統計量が被検者の
皮下脂肪の厚さや周囲の組織の状態などによって変化す
るため、2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理
上では腫瘍領域の自動抽出を行うのは難しい。医師によ
る腫瘍の境界の判断では、腫瘍内部エコー分布の均一性
や境界エコーの強さなどが考慮されている。
【0283】腫瘍の超音波像について、”腫瘍”は”正
常組織”より輝度が低い、またその輝度の分布も小さ
い。”境界”における輝度の重心が”境界”を境に”正
常組織”の方に大きく偏っており、また、”正常組織”
の輝度重心がほぼ参照領域の幾何学的な中心と一致す
る。本実施形態では、これらの表現を、次の3つの統計
量{u,d,v}によって定量化する。いずれも同一の
大きさの参照ボクセル・ボリューム(gx,gy,gz
について求める。
【0284】以下に、本実施形態の腫瘍抽出過程の各処
理を詳述する。
【0285】第1段階における特徴量演算工程は、ボク
セル・データ16aの各々に対して、3次元ボクセル・
データ16a上における腫瘍の領域と周囲正常組織及び
両者の境界に関する所定の統計量の分布をファジイ推論
に利用するメンバシップ関数{μt,μn,μb}の
[0,1]区分の確率分布として表現する工程である。
【0286】ここで、特徴量演算工程で用いられる所定
の統計量は、各ボクセルに対する輝度平均値u、各ボク
セルに対する輝度の重心(gx,gy,gz)、幾何学的
な中心の距離d、各ボクセルに対する輝度分散vの4つ
のパラメータを含んでいる。
【0287】輝度平均値uは、 輝度平均値u={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ……式(2−1) で定義されている。
【0288】ただし、i,j,k=0,1,2,…,N
−1(N:自然数)であり、f(i,j,k)はボクセ
ル(i,j,k)における輝度値を表し、Nは参照ボク
セル・ボリューム(gx,gy,gz)の大きさ、Σは総
和演算を意味する。
【0289】すなわち、輝度平均値uが”腫瘍”領域で
は小さく、”正常組織”の領域では大きく、また、”境
界”領域ではその中間の値をとると考えられることか
ら、第1段階における特徴量演算工程で用いられる所定
の統計量を、各ボクセルに対する輝度平均値uを式(2
−1)で定義している。その結果、2値化や微分オペレ
ータなどの従来の画像処理上では腫瘍領域の自動抽出を
行うのは難しいような、輝度の低い”腫瘍”(tumo
r、以下添字はt)、輝度の高い”正常組織”(nor
mal tissue、以下添字はn)、そして両者
の”境界”(boundary、以下添字はb)を識別
できるようになる。
【0290】各ボクセルに対する輝度の重心(gx
y,gz)は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)}, gz={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)} ……式(2−2)〜式(2−4) で与えられる。
【0291】各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的
な中心の距離dは、 d={(gx−cx2+(gy−cy2+(gz−cz21/2 ……式(2−5) で与えられる。
【0292】ただし、i,j,k=0,1,2,…,N
−1であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
k)における輝度値を表し、N(自然数)は参照ボクセ
ル・ボリュームの大きさを意味する。
【0293】すなわち、輝度の重心と幾何学的な中心の
輝度の重心と幾何学的な中心の距離dの値が、”正常組
織”の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的
な中心がほぼ一致するため小さくなると考えられ、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられ、注目画素は”境
界”であれば距離が大きく、逆に”正常組織”であれば
距離が小さい値となることから、式(2−2)〜式(2
−4)、及び式(2−5)を適用し、第1段階における
特徴量演算工程に用いられる所定の統計量を、少なくと
も、各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
距離dとに基づいて決定している。
【0294】各ボクセルに対する輝度分散vは、 v={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ……式(2−6) ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
(gx,gy,gz)の大きさで与えられる。
【0295】ここで、輝度の分布が、”腫瘍”の領域で
は小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値になる
ことを考慮して、第1段階における特徴量演算工程に用
いられる所定の統計量には、各ボクセルに対する輝度分
散vが含まれていることに注目して式(2−6)を適用
している。
【0296】輝度平均uは、”腫瘍”領域では小さ
く、”正常組織”の領域では大きいと考えられる。ま
た、”境界”領域ではその中間の値をとると考えられ
る。
【0297】一方、輝度の重心と幾何学的な中心の輝度
の重心と幾何学的な中心の距離dの値は、”正常組織”
の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的な中
心がほぼ一致するため小さくなると思われるが、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられる。なお、”腫瘍”
の領域では輝度の低い部分と輝度のやや高い雑音的な部
分が混在することがあるので、dの値は”正常組織”の
d値とオーバーラップする部分があるが、”境界”のd
値より小さい傾向がある。
【0298】一方、輝度の分布vは、”腫瘍”の領域で
は小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値になる
と考えられる。図6は輝度の重心と幾何学的な中心の輝
度の重心と幾何学的な中心の距離dの概念図を2次元的
に示すものである。すなわち、注目画素は”境界”であ
ればdが大きく、逆に”正常組織”であればdが小さい
値となる。
【0299】本実施形態の腫瘍抽出過程の第1段階で
は、メンバシップ関数{μt,μn,μ b}の自動作成を
行う。メンバシップ関数{μt,μn,μb}を取得した
3次元ボクセル・データ16a毎に作成することによ
り、システム環境に依存せず腫瘍の領域を安定に抽出で
きることが期待される。メンバシップ関数{μt,μn
μb}は、ボクセル・データに対する3次元LoG(L
aplace of Gaussian)フィルタの出
力、すなわち0より大きい。ゼロ・クロッシング点及び
0より小さい3つの領域における各特徴量分布のヒスト
グラムから計算される。図7にメンバシップ関数
{μt,μn,μb}の作成の手順(フロー)を示す。
【0300】図7に示すように、第1段階におけるメン
バシップ関数{μt,μn,μb}自動生成工程は、3次
元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィル
タ)によるメンバシップ関数{μt,μn,μb}の自動
作成処理であって、特徴量演算工程に続いて、メンバシ
ップ関数{μt,μn,μb}を備えたファジイ推論工程
に基づいて統計量の分布をまとめることによって腫瘍の
領域を自動抽出する処理である。
【0301】メンバシップ関数{μt,μn,μb}の作
成に用いるボクセルは、次式で表される3次元ガウシア
ン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)g
(r)(後述する式(2−9))の出力から求める。
【0302】LoGフィルタは1種の2次微分フィル
タ、またはバンドパス・フィルタであり、画像処理では
対象の境界抽出においてよく使われている。このフィル
タを用いると、境界の位置で2次微分がゼロとなり、ま
たはフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差
(Zero crossing)が現れる。これらの出
力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界となる。従
って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元L
oGフィルタ)の出力のゼロ・クロッシング点を結ぶ
と、それが抽出しようとする対象領域の境界面となる。
【0303】本実施形態の腫瘍抽出過程では、ゼロ・ク
ロッシングによる”境界”抽出に加えて、出力の正値が
輝度の低い”腫瘍”、負値が輝度の高い”正常組織”と
なることを利用して、ボクセルを3つのクラスに分類す
る。
【0304】各ボクセルの”腫瘍”,”正常組織”、及
び”境界”の3つのクラスに属するグレードμt,μn
μbは第1段階で計算されたメンバシップ関数{μt,μ
n,μb}と後述する式(2−7)のようなファジイ・ル
ールから計算される。
【0305】そこでファジイ推論工程は、ファジイ推論
によるグレードの計算を実行し、メンバシップ関数決定
工程において生成した輝度平均値uに対するメンバシッ
プ関数{μt,μn,μb}|u、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離dに対するメンバシップ関数{μt,μn
μb}|d及び輝度分散vに対するメンバシップ関数
{μt,μn,μb}|vとファジイ・ルールを含んで構
成されるファジイ推論過程に基づいて、各ボクセル
を、”腫瘍”のクラスR1に属するグレードt,”正常
組織”のクラスR2に属するグレードn,”境界”のク
ラスR3に属するグレードbの3つのグレード{t,
n,b}を用いてクラス分けを実行する処理である。
【0306】ここでファジイ・ルールは、if the
n else条件文形式で表されたルールで記述されて
いる。ファジイ・ルール(式(2−7))を以下に示
す。
【0307】 R1: if (u is small) and (d is medi um) and (v is small) then the voxel is ”tumor”, R2: if (u is large) and (d is medi um) and (v is large) then the voxel is ”normal tiss ue”, R3: if (u is medium) and (d is lar ge) and (v is medium) then the voxel is ”boundary” … 式(2−7) また、ファジイ推論工程で用いられるメンバシップ関数
{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt
μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)は、メンバ
シップ関数決定工程において生成した輝度平均値uに対
するメンバシップ関数{μt,μn,μb}|u、輝度の
重心と幾何学的な中心の距離dに対するメンバシップ関
数{μt,μn,μb}|d、輝度分散vに対するメンバ
シップ関数{μt,μn,μb}|vの3つを少なくとも
含んでいる。
【0308】またファジイ推論工程では、第1論理工程
と第2論理工程とを実行する。
【0309】第1論理工程は、メンバシップ関数決定工
程において生成した輝度平均値uに対するメンバシップ
関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u、輝度
の重心と幾何学的な中心の距離dに対するメンバシップ
関数{μt,μn,μb}|d及び輝度分散vに対するメ
ンバシップ関数{μt,μn,μb}|v)に基づいて各
ボクセルにおける特徴量の各々{u,d,v}に対する
3つのクラスに属するグレードμt|u,μt|d,μt
|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,μb
d,μb|vの各々を求める処理である。
【0310】第2論理工程は、グレードμt|u,μt
d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,
μb|d,μb|vの各々の値に基づいて、ファジイ推論
の機構に入力して各ボクセルの”腫瘍”らしさを規定す
るアナログ値μt,”正常組織”らしさを規定するアナ
ログ値μnまたは”境界”らしさを規定するアナログ値
μbを求める処理である。
【0311】ファジイ推論機構は、式(2−8)で表さ
れる。
【0312】 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) …式(2−8) ただし、min(a1|a2|a3|a4)はa1,a2,a
3,a4の中から最小値を選択する演算で表現される。
【0313】図16(a),(b),(c)は、図9
(a)に示された悪性腫瘍(画像サイズ:128×12
8×128ボクセル)のボクセル・データ16aに対し
て本ファジイ推論機構を適用して得られた”腫瘍”,”
正常組織”,”境界”という3つのクラスに対するグレ
ードを表す画像{μt,μn,μb}である。輝度の高い
領域がそれぞれのグレードの高いことを示している。
【0314】これにより、式(2−7)に示したif
then else条件文形式で表されたルールにおけ
る”if〜then”の条件文中の”and”論理演算
は「ある事実の起こりうる確率が、それぞれの条件のう
ちの最小の確率となる」ことを意味する条件式をファジ
イ論理式で表現できるようになる。
【0315】メンバシップ関数{μt,μn,μb}自動
生成工程は、被検者の皮下脂肪の厚さや周囲乳腺301
組織の状態に起因して、乳腺301超音波像上における
輝度分布を含む統計量が変化がある場合、ファジイ推論
に利用するメンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)をボクセル毎に3次元ガウシ
アン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)の出
力に基づいて自動作成する処理である。
【0316】すなわち、1種の2次微分フィルタ、また
はバンドパス・フィルタであり、画像処理では対象の境
界抽出においてよく使われている簡便な3次元ガウシア
ン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)を用い
る結果、ボクセル・データの境界の位置で2次微分がゼ
ロとなり、またはフィルタの出力が正負の変化、すなわ
ちゼロ交差(Zero crossing)が現れる。
これらの出力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界
となる。従って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ
(3次元LoGフィルタ)出力のゼロ・クロッシング点
を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面と
なる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出
に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝
度の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセル
を3つのクラスに分類できるようになる。このような簡
便なクラス分類を実行することにより、PC程度の計算
能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシップ
関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μ
t,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)の自動作
成が可能となる。
【0317】またメンバシップ関数{μt,μn,μb
自動生成工程は、メンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)の作成に用いるボクセルを、
3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフ
ィルタ)g(r)で表される3次元ガウシアン・ラプラ
スフィルタ(3次元LoGフィルタ)出力から求める3
次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィ
ルタ)処理と、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ
(3次元LoGフィルタ)出力のゼロ・クロッシング点
を結んで、抽出しようとする対象領域の”境界”を抽出
する境界抽出処理と、3次元ガウシアン・ラプラスフィ
ルタ(3次元LoGフィルタ)出力が正値を示すボクセ
ルを輝度の低い”腫瘍”に分類する腫瘍抽出過程と、3
次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィ
ルタ)出力が負値を示すボクセルを輝度の高い”正常組
織”に分類する正常組織抽出処理と、腫瘍抽出過程にお
いて”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨張・収
縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在する”腫
瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類されたボク
セルを除去し、”腫瘍”に分類されたボクセルと他の輝
度の低い閉領域が連結するような場合に両者を分断する
膨張・収縮処理と、膨張・収縮処理の前後で共に”境
界”に対してクラス分けが行われたボクセルのみに対し
て特徴量演算工程を実行して輝度平均値u、輝度の重心
と幾何学的な中心の距離d及び輝度分散vの3つの特徴
量{u,d,v}を計算するボクセル選別・特徴量計算
処理と、ボクセル選別・特徴量計算処理で求めた3つの
特徴量{u,d,v}の各々に対して、各々の確率密度
関数に応じたメンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)を求めるメンバシップ関数決
定工程とを実行する。
【0318】ここで3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タ(3次元LoGフィルタ)g(r)は、式(2−9)
で表される。
【0319】 g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・exp{−r2/2σ2 } …式(2−9) ただし、rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏
差で定義されている。
【0320】図8は、球によって腫瘍をモデル化したシ
ミュレーション・ファントムに3次元ガウシアン・ラプ
ラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)をかけた出力の
中心を通るプロファイルを示したものである。輝度の低
い球の内部は正値、輝度の高い球の外部は負値となって
いることが分かる。なお、この場合の標準偏差はσ=5
である。
【0321】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)によるクラス分けでは、式(2−
9)における分散σ2によって抽出される領域が変化す
る。分散が小さければ、細かい変動に敏感になるが、雑
音の影響を受けやすい。分散が大きければ、細かい変動
に影響されないが、抽出される領域は大雑把なものとな
る。自動抽出するためには、適正なσ2を検討する必要
がある。
【0322】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)処理を実空間でのコンボリューシ
ョンで行うと、処理時間が膨大になってしまうという実
用的な問題がある。そこで、本実施形態の腫瘍抽出過程
では、FETを用いることで処理の高速化を図る。
【0323】このような3次元ガウシアン・ラプラスフ
ィルタ(3次元LoGフィルタ)処理を設けることによ
り、クラス分けされた”腫瘍”ボクセル、”正常組織”
ボクセルすべてに対して3つの特徴量{u,d,v}を
計算できるようになる。また、膨張・収縮処理前後でと
もに”境界”とクラス分けされたボクセルのみに対して
3つの特徴量{u,d,v}を計算することで、”境
界”についての特徴量は他のクラスに比べてボクセル数
が少ない場合であっても、誤った”境界”ボクセルをで
きる限り除外できるようになる。
【0324】ボクセル選別・特徴量計算処理は、膨張・
収縮処理の前後で共に”境界”に対してクラス分けが行
われたボクセルのみに対して特徴量演算工程を実行して
輝度平均値u(第1の特徴量)、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離d(第2の特徴量)、輝度分散v(第3の
特徴量)の3つの特徴量{u,d,v}を計算する。
【0325】メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選
別・特徴量計算処理で求めた3つの特徴量{u,d,
v}の各々に対して、各々の確率密度関数に応じたメン
バシップ関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|
u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)
を求める。
【0326】本実施形態の腫瘍抽出過程で定義される特
徴量輝度平均値、輝度の重心と幾何学的な中心の距離及
び輝度分散について、”腫瘍”,”正常組織”及び”境
界”の3つのクラスに属する”らしさ”を示すメンバシ
ップ関数{μt,μn,μb}を求める必要がある。そこ
で、前述したように、ボクセル・データに対して3次元
ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィル
タ)をかけ、その出力の正負及びゼロ・クロッシング点
から3つの領域に分類する。
【0327】しかし、ここで得られたボクセルの領域に
は誤って分類されたボクセルが含まれるため、”腫瘍”
と分類されたボクセルに対して、膨張・収縮(Dila
tion & Erosion)処理を行って、正常組
織内部に孤立的に存在する”腫瘍”ボクセルや”境界”
ボクセルを除去し、また、”腫瘍”と他の輝度の低い閉
領域が連結するような場合に両者を分断する。このため
に、本実施形態では、Rician関数PA(x)によ
るメンバシップ関数{μt,μn,μb}の近似を実行し
ている。
【0328】図9(a)は悪性腫瘍(画像サイズ:12
8×128×128ボクセル)のボクセル・データ16
aにおけるzx平面の1断面を示している。中心に見ら
れる輝度の低い領域が腫瘍(癌)、周囲の輝度の高い部
分が正常組織である。図9(b)はそれに対するσ=5
の3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoG
フィルタ)の出力を示している。図9(b)の中の黒い
領域が”腫瘍”領域であり、グレイの領域が”正常組
織”、また、白い線がゼロ・クロッシング点である”境
界”である。図9(b)に示されるように3次元ガウシ
アン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)によ
って出力された”腫瘍”の領域の内部に腫瘍ではないが
輝度の低い領域がはいっており、”腫瘍”領域自身も”
正常組織”に浸食して分類されていることが分かる。図
9(c)は、”腫瘍”の領域のすべてに対して膨張・収
縮処理工程を行った後の画像である。図9(b)と図9
(c)を比較すると、ボリュームの小さい領域や正常組
織への浸食が除去されていることが分かる。
【0329】このような処理によってクラス分けされ
た”腫瘍”ボクセル、”正常組織”ボクセルのすべてに
対して3つの特徴量を計算する。”境界”についての特
徴量は他のクラスに比べてボクセル数が少ないので、誤
った”境界”ボクセルはできる限り除外する必要があ
る。そこで膨張・収縮処理前後でともに”境界”とクラ
ス分けされたボクセルのみに対して3つの特徴量を計算
する。
【0330】メンバシップ関数{μt,μn,μb}とし
ては、クラス分けされたボクセルから計算された特徴量
の確率密度係数を利用するというのがひとつの考え方で
あるが、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元
LoGフィルタ)によるクラス分けは不十分であり、誤
ってクラス分けされたボクセルが含まれていることを考
慮する必要がある。
【0331】図10は、Rician関数のグラフであ
る。超音波像の輝度の確率密度係数は、次式で表される
Rician関数PA(x)で表されることが知られて
いる。そこで本実施形態では、メンバシップ関数決定工
程における3つの特徴量{u,d,v}の諸量に対する
確率密度係数をRician関数PA(x)で定義して
いる。ここでRician関数PA(x)は、式(2−
10)で与えられる。
【0332】 PA(x)=x/σ2・exp{(−x2+σ2)/σ2}・I0(xs/σ2) …式(2−10) ここで、I0(x)は第1種第0次の変形ベッセル関数
である。
【0333】Rician関数PA(x)は、s=0の
とき、Rayleigh(レーリー)分布関数(図1
0)となり、s/σが大きくなるとGaussian
(ガウス)分布関数に近づく(図10参照)。超音波の
反射源である散乱体が波長に比べて小さく、散乱体がラ
ンダムに分布している場合ではいわゆる画像にはスペッ
クル・パターンが現れ、輝度変動は次式で示されるRa
yleigh分布関数となる。一方、波長に比べて大き
な反射源や小さい反射源が混在する場合、Rician
はそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Raylei
gh分布関数からGaussian関数へと近づいてい
くことが示されている。
【0334】一方、特徴量{u,d,v}における輝度
平均値uについての確率密度関数は、超音波の確率密度
関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域
ではRayleigh分布関数となり、”境界”や”正
常組織”ではサイズの大きな反射源の混在するGaus
sian関数(ガウス分布関数)となることが予想でき
る。
【0335】そこで、3つの特徴量{u,d,v}の諸
量に対する確率密度係数としてRician関数P
A(x)を用いることにより、輝度平均値uのメンバシ
ップ関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)につ
いては”腫瘍”をRayleigh分布関数で近似し、
その他の”正常組織”と”境界”をGaussian関
数で近似できるようになる。
【0336】図11は”腫瘍”,”正常組織”,”境
界”に属するボクセルについての輝度平均値のヒストグ
ラム及び近似されたメンバシップ関数{μt,μn
μb}を示す。同図より、両者はよく一致していること
が分かる。
【0337】図12は、特徴量における輝度の重心と幾
何学的な中心の距離dのヒストグラムである。特徴量
{u,d,v}における輝度の重心と幾何学的な中心の
距離dについては、”正常組織”及び”腫瘍”領域では
小さく、”境界”領域では大きくなる傾向がある。図1
2に示した輝度の重心と幾何学的な中心の距離dのヒス
トグラムから分かるようにいずれについてもGauss
ianよりもRayleigh分布の方が近似はよい。
そこで、特徴量d(輝度の重心と幾何学的な中心の距
離)のメンバシップ関数{μt,μn,μb}はRayl
eigh分布で近似する(図14参照)。
【0338】特徴量{u,d,v}における輝度分散v
については、図13にそのヒストグラムを示す。同図の
ようにRayleigh分布の方が近似はよい。そこ
で、輝度分散vのメンバシップ関数{μt,μn,μb
はRayleigh分布で近似する。
【0339】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)の出力によってクラス分けされた
ボクセルからヒストグラムを計算すると、誤って分類さ
れたボクセルの影響で、それぞれで仮定したRayle
igh分布やGaussianと異なった分布をとるよ
うになる。その一例として、特徴量d(輝度の重心と幾
何学的な中心の距離)の”境界”について求められたヒ
ストグラムと近似された。
【0340】このように、確率密度係数としてRici
an関数PA(x)を用いることにより、輝度の重心と
幾何学的な中心の距離dのメンバシップ関数{μt
μn,μ b}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)はRayleig
h分布関数で近似できるようになる。
【0341】同様の主旨で、特徴量{u,d,v}にお
ける輝度分散vについては、確率密度係数としてRic
ian関数PA(x)を用いることにより、輝度分散v
のメンバシップ関数{μt,μn,μb}({μt,μn
μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn
μb}|v)はRayleigh分布関数で近似できる
ようになる。
【0342】そこで本実施形態では、輝度平均値uに対
するメンバシップ関数{μt,μn,μb}({μt
μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt
μn,μb}|v)を、”腫瘍”についてはRaylei
gh分布関数で表現された確率密度関数で近似する。
【0343】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動は次式
で示されるRayleigh分布関数となる。一方、波
長に比べて大きな反射源や小さい反射源が混在する場
合、Ricianはそのピーク位置が原点から徐々に離
れ、Rayleigh分布関数からGaussian関
数へと近づいていくことが示されている。
【0344】一方、特徴量{u,d,v}における輝度
平均値uについての確率密度関数は、超音波の確率密度
関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域
ではRayleigh分布関数となり、”境界”や”正
常組織”ではサイズの大きな反射源の混在するGaus
sian関数となることが予想できる。このため、メン
バシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴量計算処
理で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各々に対し
て、各々の確率密度関数に応じたメンバシップ関数{μ
t,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝
度平均値uに対するメンバシップ関数{μ t,μn
μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|
d,{μt,μn,μb}|v)を、”腫瘍”については
Rayleigh分布関数で表現された確率密度関数で
近似し、”正常組織”と”境界”についてはガウス分布
で表現された確率密度関数で近似している。
【0345】すなわち、第1特徴量に対する確率密度係
数としてRician関数PA(x)を用いることによ
り、輝度平均値uのメンバシップ関数{μt,μn
μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|
d,{μt,μn,μb}|v)については”腫瘍”をR
ayleigh分布関数で近似し、その他の”正常組
織”と”境界”をGaussian関数で近似できるよ
うになる。このようにRayleigh分布あるいはG
aussianでメンバシップ関数{μt,μn,μb
を近似することによって、誤って分類されているボクセ
ルの影響を軽減できると考えられる。
【0346】また、輝度の重心と幾何学的な中心の距離
dに対するメンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)をRayleigh分布関数
で表現された確率密度関数で近似することにしている。
【0347】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動は次式
で示されるRayleigh分布関数となる。
【0348】一方、波長に比べて大きな反射源や小さい
反射源が混在する場合、Ricianはそのピーク位置
が原点から徐々に離れ、Rayleigh分布関数から
Gaussian関数へと近づいていくことが示されて
いる。一方、特徴量{u,d,v}における輝度平均値
uについての確率密度関数は、超音波の確率密度関数と
近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域ではR
ayleigh分布関数となり、”境界”や”正常組
織”ではサイズの大きな反射源の混在するGaussi
an関数となることが予想できる。このため、メンバシ
ップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴量計算処理で
求めた3つの特徴量{u,d,v}の各々に対して、各
々の確率密度関数に応じたメンバシップ関数{μt
μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝
度の重心と幾何学的な中心の距離dに対するメンバシッ
プ関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μ n,μb}|v)をR
ayleigh分布関数で表現された確率密度関数で近
似している。
【0349】すなわち、第2特徴量に対する確率密度係
数としてRician関数PA(x)を用いることによ
り、特徴量{u,d,v}における輝度の重心と幾何学
的な中心の距離dについては、”正常組織”及び”腫
瘍”領域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾向
があるので、確率密度係数としてRician関数PA
(x)を用いることにより、輝度の重心と幾何学的な中
心の距離dのメンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)はRayleigh分布関数
で近似できるようになる。
【0350】また輝度分散vに対するメンバシップ関数
{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt
μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)をRayl
eigh分布関数で表現された確率密度関数で近似する
ことにしている。
【0351】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動は次式
で示されるRayleigh分布関数となる。一方、波
長に比べて大きな反射源や小さい反射源が混在する場
合、Ricianはそのピーク位置が原点から徐々に離
れ、Rayleigh分布関数からGaussian関
数へと近づいていくことが示されている。
【0352】一方、特徴量{u,d,v}における輝度
平均値uについての確率密度関数は、超音波の確率密度
関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域
ではRayleigh分布関数となり、”境界”や”正
常組織”ではサイズの大きな反射源の混在するGaus
sian関数となることが予想できる。このため、メン
バシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴量計算処
理で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各々に対し
て、各々の確率密度関数に応じたメンバシップ関数{μ
t,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝
度分散vに対するメンバシップ関数{μt,μn,μb
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)を、Rayleigh分布関
数で表現された確率密度関数で近似している。
【0353】すなわち、第3特徴量に対する確率密度係
数としてRician関数PA(x)を用いることによ
り、特徴量{u,d,v}における輝度分散vについて
は、確率密度係数としてRician関数PA(x)を
用いることにより、輝度分散vのメンバシップ関数{μ
t,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)をRayleig
h分布関数で近似できるようになる。
【0354】次に、本実施形態の腫瘍抽出過程の第2段
階の各処理を詳述する。
【0355】第2段階では前節で求めたメンバシップ関
数{μt,μn,μb}を利用して、ファジイ推論による
腫瘍領域の抽出を行う。図15は、メンバシップ関数
{μt,μn,μb}を利用してファジイ推論による腫瘍
領域の抽出を行う第2段階の処理フローである。
【0356】まず、ファジイ推論によって3つのクラス
のグレード{t,n,b}を表す画像を作成する。すな
わち、輝度の低い”腫瘍”(tumor)、輝度の高い
周辺の”正常組織”(normal tissue)、
そして、両者の”境界”(boundary)である。
次に、弛緩法によってデファジイを行い、すべてのボク
セルを3つのクラスに分ける。以下に、各処理における
処理を説明する。
【0357】第2段階におけるファジイ推論工程は、自
動抽出する処理に続いて、生成されたメンバシップ関数
{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt
μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)及びファジ
イ・ルールを含んで構成されるファジイ推論過程に基づ
いて、各ボクセルを、所定数のタイプの領域にクラス分
けする処理である。
【0358】ここで、ファジイ推論工程は、各ボクセル
が、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”である”ら
しさ”の度合いを求め、この求めた”らしさ”の度合い
に応じたクラス分けを実行する。
【0359】すなわち、3次元ガウシアン・ラプラスフ
ィルタ(3次元LoGフィルタ)をかけ、その出力の正
負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類さ
れたボクセルには、誤って分類されたボクセルが含まれ
る可能性がある。そこで、このようなファジイ推論工程
を設けることにより、”腫瘍”と分類されたボクセルに
対して、膨張・収縮処理を行って、正常組織内部に孤立
的に存在する”腫瘍”ボクセルや”境界”ボクセルを除
去し、また、”腫瘍”と他の輝度の低い閉領域が連結す
るような場合に両者を分断する。これにより、3次元空
間上の矛盾を徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領域
を決定する処理を実行できるようになる。
【0360】次に、これらの3つの属性に関するグレー
ド{t,n,b}の画像{μt,μn,μb}から弛緩法
に基づくデファジイ(非ファジイ化)処理によって全ボ
クセル・データを3つの領域にクラス分けする。本実施
形態では、腫瘍と接する”正常組織”を”境界”と定義
する。
【0361】そのため、第2段階において、ファジイ推
論工程に続くデファジイ工程は、ファジイ推論工程に続
いて、弛緩法によるクラス分類する処理であって、弛緩
法に基づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに対して行
う処理と、前処理に続いて、各ボクセルを、”腫
瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類し
て腫瘍領域の最終決定を行う処理とを含んで構成されて
いる。
【0362】ここでデファジイ工程における、弛緩法
(Relaxation Method)に基づいた非
ファジイ化過程を各ボクセルに対して行う処理は、各ボ
クセルにおける特徴量の各々{u,d,v}に対する3
つのクラスに属するグレードの画像{μt,μn,μb
から弛緩法に基づく非ファジイ化過程処理を行って全ボ
クセル・データを3つの領域にクラス分けを実行する際
に、以下の規則(1)〜(3)に基づいて、”腫瘍”と
接する”正常組織”を”境界”と定義する。
【0363】規則(1) 注目するボクセルが”腫瘍”であれば、”正常組織”に
分類されたボクセルとは接しないと定義する。
【0364】規則(2) 注目するボクセルが”境界”であれば、必ず”腫瘍”
と”正常組織”のボクセルに接すると定義する。
【0365】規則(3) 注目するボクセルが”正常組織”であれば、”腫瘍”に
分類されたボクセルとは接しない。これにより、3つの
属性に関するグレード{t,n,b}の画像{μt
μn,μb}から弛緩法に基づくデファジイ(非ファジイ
化過程)処理によって全ボクセル・データを3つの領域
にクラス分けできるようになる。
【0366】更に詳しく、デファジイ工程を説明する。
【0367】図17にデファジイ工程のフローを示す。
デファジイ工程における、”腫瘍”,”正常組織”また
は”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最終決定を
行う工程は、ラベル付け工程(ステップS1,S2,S
7)、ラベル数計算工程(ステップS3,S4,S
5)、並列反復工程(ステップS6→S7→S8→S9
→S2→…)を含んでいる。
【0368】ここでラベル付け工程(ステップS1,S
2,S7)は、”腫瘍”のグレード{t}を示す画像
μt、”正常組織”のグレード{n}を示す画像μn、ま
たは”境界”のグレード{b}を示す画像μbの中で最大
値をとるクラスに基づいて、すべてのボクセルに対する
ラベル付けを行う工程である。
【0369】またラベル付け工程(ステップS1,S
2,S7)は、局所的な制約条件(ステップS6)によ
って生じる矛盾が生じた場合、”腫瘍”のグレード
{t}を示す画像、”正常組織”のグレード{n}を示す
画像、または”境界”のグレード{b}を示す画像の値
を条件を満たすように徐々に更新する更新工程(ステッ
プS7)を含んでいる。
【0370】ここで更新工程(ステップS7)は、並列
反復工程(ステップS6→S7→S8→S9→S2→
…)実行時に用いられる局所的な制約条件(ステップS
6)によって矛盾が生じた場合、”腫瘍”のグレード
{t}を指示する画像、”正常組織”のグレード{n}を
指示する画像、または”境界”のグレード{b}を指示
する画像の値を、条件を満たすように徐々に更新する工
程である。
【0371】本実施形態の腫瘍抽出過過におけるメンバ
シップ関数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|
u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)
は、乳腺超音波像のボクセル・データ16aに対する3
次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィ
ルタ)の出力、すなわち正・負値及びゼロ・クロッシン
グの3つの領域について、本実施形態の腫瘍抽出過過で
用いた各特徴量、そして輝度の重心のずれのそれぞれの
ヒストグラムをRayleigh分布関数とGauss
ian関数で近似することによって自動生成されている
(ステップS1)。そして、作成されたメンバシップ関
数{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)とフ
ァジイ・ルールからなるファジイ推論機構を用いて、ボ
クセル・データ16aに関する3つのクラスに属するグ
レードを表す画像を求め、そこから弛緩法の考え方を利
用したデファジイ処理によって腫瘍の領域を徐々に修正
しながら最終的に確定する。
【0372】ここで、すべてのボクセルは、”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる(ステップS2)。次に、注目
ボクセルに連結する3×3×3の領域内における”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”の3つの領域のラベル
の数{Nt,Nn,Nb}をそれぞれに計算し(ステップ
S4)、局所的な制約ルールに入力する(ステップS
6)。
【0373】更に、局所的な制約条件(ステップS6)
によって生じる矛盾が生じた場合は、条件を満たすよう
にμt,μn,μbの値を徐々に更新していく。この処理
を並列的(ステップS2→…S9→S2…)に反復する
ことによって、最終的にボクセルを”腫瘍”,”正常組
織”、または”境界”に分類する(ステップS11)。
【0374】またラベル数計算工程(ステップS3,S
4,S5)は、前述のラベル付け工程(ステップS1,
S2,S7)に続いて、注目しているボクセル(注目ボ
クセル)に連結する(連続して連なる)3×3×3(ボ
クセル)の領域(3次元領域)内に存在する”腫瘍”の
領域のラベルの数Nt、”正常組織”の領域のラベルの
数Nn、及び”境界”の領域のラベルの数Nbをそれぞれ
計算する工程である。
【0375】また並列反復工程(ステップS6→S7→
S8→S9→S2→…)は、ラベル数計算工程(ステッ
プS3,S4,S5)で算出したラベルの数(Nt
n,N b)の各々を局所的な制約ルールに入力する処理
(ステップS5→S6)を、3次元画像を構成するボク
セルに対して並列的に反復する工程である。
【0376】これにより、すべてのボクセルは、”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる(ステップS10,S11)。
【0377】次に、注目ボクセルに連結する3×3×3
の領域内における”腫瘍”,”正常組織”及び”境界”
の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,Nb}をそれぞ
れに計算し(ステップS5)、局所的な制約ルールに入
力する。更に、局所的な制約条件(ステップS6)によ
って生じる矛盾が生じた場合は、条件を満たすようにμ
t,μn,μbの値を徐々に更新していく。この処理を並
列的に反復することによって、最終的にボクセルを”腫
瘍”,”正常組織”、または”境界”に分類する。
【0378】また並列反復工程(ステップS6→S7→
S8→S9→S2→…)で用いられる局所的な制約ルー
ルを、if then else条件文形式で表された
以下のルール(式(2−11))で規定している。
【0379】 R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ……式(2−11) (ただし、A↑はAの値にある定数Cを加えること(A
+C)を意味する演算子、A↓はAの値から定数Cを減
すること(A−C)を意味する演算子) また、R4及びR5中の定数12は、注目ボクセルに連
結する3×3×3の領域においてNnとNtの差がかなり
大きいことを意味する数値であり、この値そのものはデ
ファジイ結果を人間が見て最適となるよう、試行錯誤的
に求めたものである。本実施形態の腫瘍抽出過過の適用
処理では、(2−11)式における記号↑↓の増減定数
C=0.25としており、値が1.0を超えたときには
1.0に、また0.0より小さくなったときには0.0
にしている。
【0380】具体的には、各ボクセルについてR1〜R
6は順番に処理され、どれかが成立した場合には後のル
ールは無視される。また、このデファジイ処理は並列的
に繰り返し行われ、全ボクセル・データ16aに対する
μt,μn,μbの変化量の合計がある閾値以下となった
ときに終了する。この時点で、各ボクセルに対して
μ t,μn,μbの中で最大の値をとる要素がそのボクセ
ルの属性として決定される結果、最終的に各ボクセル
に”腫瘍”,”正常組織”、または”境界”のいずれか
の要素を割り当てることになる。
【0381】また、周囲ボクセルの持つ”腫瘍”,”正
常組織”及び”境界”のいずれかの要素を割り当ててい
る。従って、例えば、あるボクセルの”境界”に属する
グレードμbが初めは大きかったとしても、周囲に”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)に属するグレードの大き
いボクセルだけが存在する場合、そのボクセルの”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)であるグレードμt(あ
るいはμn)は反復処理によって大きく、”境界”と”
正常組織”(あるいは”腫瘍”)に属するグレードμb
とμn(あるいはμt)はより小さく変更されていく(R
3,R5参照)。
【0382】逆に、あるボクセルの”境界”らしさのグ
レードμbが初めは小さかったとしても周囲に2つ以上
の”境界”、1つ以上の”腫瘍”らしさのグレードμt
と”境界”らしさのグレードμbと”正常組織”らしさ
のグレードμnの大きいボクセルがあれば、そのボクセ
ルの”境界”らしさのグレードμbはより大きな値
に、”腫瘍”らしさのグレードμtと”境界”らしさの
グレードμbと”正常組織”らしさのグレードμnはより
小さな値に更新されていく(R1参照)。
【0383】3つのクラスに分類されたボクセル・デー
タ16aに対して、ボクセルの連結性によって腫瘍領域
のみを抽出する。本実施形態の腫瘍抽出過過で処理する
ボクセル・データ16aのROI(Region of
interest)に存在する腫瘍領域が”正常組
織”によって囲まれている閉領域であり、また、その領
域の中に誤ったクラスに分類されている”正常組織”を
含む場合がある。そこで、対象となるROIにおける腫
瘍の領域が次のようなルールで決定される。
【0384】すなわち、処理(1)ボクセル・データ1
6aの全体が”正常組織”によって囲まれると仮定し
て、その外回りの”正常組織”の任意の1つのボクセル
から出発し、ある1つの”腫瘍”のボクセルを探索す
る。
【0385】処理(2)探索された1つの”腫瘍”のボ
クセルに連結している”腫瘍”ボクセルをすべて探索し
て、それらのボクセルを”腫瘍1”とラベル付けする。
【0386】処理(3)処理を処理(1)に戻して、”
腫瘍1”,”腫瘍2”…,”腫瘍n”のように腫瘍の領
域をラベリングする。この処理を終了すれば、次の処理
に移る。
【0387】処理(4)ラベリングされた”腫瘍k”
(k=1,2,3…,n)について、ボリュームの大き
さが大から小までの順にならべて、球と仮定する場合そ
の直径が2mm以下のものをノイズとして切り捨て、残
された”腫瘍”の中で重心がROIの中央に一番近いも
のを最終的に”腫瘍”として決定する。
【0388】図18(a)は、図16(a),(b),
(c)に示された3つの属性に関するグレード{t,
n,b}の画像{μt,μn,μb}をデファジイするこ
と(デファジイ工程を実行すること)によってクラス分
けされた画像である。輝度の最も高い領域が”境界”、
暗い領域が”腫瘍”、そして中間の輝度の領域が”正常
組織”である。図18(b)はボクセル連結性によって
最終的に決定された腫瘍の領域の境界とボクセル・デー
タ16aの断面とを重ねた画像である。また、図18
(c)は本実施形態の腫瘍抽出過過により抽出した腫瘍
の表面形状の3次元像である。腫瘍表面の3次元表示像
は、抽出した境界の各ボクセルを中心とする近傍の5×
5×5のボクセルを用いて、最小2乗法によって近似さ
れた平面にランバート・シェーディングなる陰影手法を
適用したものである。同図を観察すると、悪性腫瘍表面
の不整の様子が良好に表示されていることが分かる。
【0389】小型(約2.8×2.2×1.5cm3
・軽量(17.0g)の交流磁界位置センサ131を超
音波超音波式プローブ121に取り付けることにより、
検者が日常の診断と同じように手動で超音波式プローブ
121を走査しながら、3次元超音波画像データ15b
を収集することができた。悪性腫瘍16例、良性腫瘍
(線維腺腫)11例に適用したところ、いずれも良好な
腫瘍の抽出ができており、本手法の有効性が示唆され
た。
【0390】以上、本実施形態の腫瘍抽出過程を要約す
ると、特徴量演算工程が、3次元のボクセルの各々に対
して、3次元ボクセル・データ16a上における腫瘍の
領域と周囲正常組織及び両者の境界に関する所定の統計
量の分布を、ファジイ推論に利用するメンバシップ関数
{μt,μn,μb}({μt,μn,μb}|u,{μt
μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)の[0,
1]区分の確率分布として表現する処理を実行する。ま
たメンバシップ関数{μt,μn,μb}自動生成工程
が、メンバシップ関数{μt,μn,μb}({μt
μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt
μn,μb}|v)を備えたファジイ推論過程に基づい
て、特徴量演算工程で求めた統計量の分布をまとめて腫
瘍の領域を自動抽出する処理を実行する。これにより、
ボクセル・データに対して3次元ガウシアン・ラプラス
フィルタ(3次元LoGフィルタ)をかけ、その出力の
正負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類
し、特徴量について、3つのクラスに属する”らしさ”
を示すメンバシップ関数{μt,μn,μb}({μt,μ
n,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn
μb}|v)を求めることができるようになる。1種の
2次微分フィルタ、またはバンドパス・フィルタであ
り、画像処理では対象の境界抽出においてよく使われて
いる簡便な3次元LoG(Laplace of Ga
ussian関数)フィルタを用いる結果、ボクセル・
データの境界の位置で2次微分がゼロとなり、またはフ
ィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差(Zer
o crossing)が現れる。これらの出力のゼロ
・クロッシング点を連結すると境界となる。従って、3
次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィ
ルタ)出力のゼロ・クロッシング点を結ぶと、それが抽
出しようとする対象領域の境界面となる。そこで、ゼロ
・クロッシングによる”境界”抽出に加えて、出力の正
値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝度の高い”正常組
織”となることを利用して、ボクセルを3つのクラスに
分類できるようになる。このような簡便なクラス分類を
実行することにより、PC程度の計算能力をもった小規
模なコンピュータリソースで短時間(高速)に計算(画
像処理)できるようなメンバシップ関数{μt,μn,μ
b}({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|
d,{μt,μn,μb}|v)の自動作成が可能とな
る。またファジイ推論工程が、メンバシップ関数
{μt,μn,μb}自動生成工程で求めたメンバシップ
関数{μt,μn,μb}自動生成工程を実行した際に生
成されたメンバシップ関数{μt,μn,μb}({μt
μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt
μn,μb}|v)、及びファジイ・ルールを含んで構成
されるファジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、所
定数のタイプの領域にクラス分けする処理を実行する。
デファジイ(Defuzzify)処理は、弛緩法に基
づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに対して実行し、
この処理(非ファジイ化過程の処理)に続いて、各ボク
セルを、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいず
れかに分類して腫瘍領域の最終決定を行う処理を実行す
る。このようなファジイ推論工程とデファジイ工程を設
けることにより、パーソナルコンピュータ(PC)程度
の計算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短
時間(高速)に計算(画像処理)できるような簡便なフ
ァジイ推論と弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫
瘍”,”正常組織”及び両者の”境界”という3つのク
ラスに分類できるようになる。その結果、PC程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるような、簡便な超音
波3次元画像から、スペックル・ノイズや音響陰影など
のアーチファクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の
低輝度の領域を除去した腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域
(文中の”腫瘍”)を高い精度で発見でき、悪性腫瘍
(癌)の判断を再現性良く自動抽出できるようになる。
【0391】[悪性腫瘍自動識別過程]次に、図面に基
づき、乳癌検診システム50の後処理である悪性腫瘍自
動識別過程(乳腺腫瘍の自動識別アルゴリズム)の一実
施形態を説明する。図19は、本実施形態の悪性腫瘍自
動識別過程の処理フローである。
【0392】本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程は、乳
癌検診システム50の後処理である腫瘍抽出過程に続く
プロセスであって、乳腺301のMRI画像や超音波画
像等の2次元断層画像(超音波断層画像データ121
a)から3次元画像のデータの一形態であるボクセル・
データ16aに基づいて、組織間の境界を抽出して正常
組織の中から乳癌組織を発見する病理診断支援システム
に適応可能な手法であって、腫瘍凹凸不整定量化工程
(ステップP10)、腫瘍診断工程(ステップP20)
を中心とする論理構成になっており、前述したような乳
癌検診システム50を構成するPCなどのCPUで実行
可能なプログラムコードで記述されている。
【0393】悪性腫瘍自動識別過程のプログラムコード
は、PC内の記憶装置(例えば、EEPROM等の半導
体記憶デバイス、磁気ディスク等の磁気記憶手段、MO
等の磁気光記憶手段)に保持され、適時読み出されて実
行されても良いし、また、フロッピーディスク等にプロ
グラムコードとして保持された状態でPCに読み込んで
実行されても良いし、あるいは、ネットワークを経由し
てネットワーク機器からダウンロードされて実行されて
も良い。
【0394】本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程では、
前述の乳腺腫瘍の自動抽出法によって得られる腫瘍の領
域を3次元的に表示し、そしてその表面の幾何学的な凹
凸を定量的に計測・評価する。腫瘍表面の3次元表示
は、我々が物を見るときに生じている光の陰影と同様な
濃淡分布を腫瘍の表面につけることのできるサーフェス
・レンダリングを用いて行われる。それによって、腫瘍
表面形状の微妙な凹凸変化を観察することができるよう
になり、共通な認識に基づく理解や判断ができるように
なる。
【0395】乳腺腫瘍診断の最大の特徴は、良性または
悪性の鑑別が絡んでくることであり、その中で1cm以
下の小さな乳癌の判別診断が最も重要である。また良性
腫瘍(線維腺腫)は、その輪郭形状が円形ないし楕円形
などのような”整かつ平滑”である。
【0396】一方悪性腫瘍(癌)は輪郭形状が蟹形や星
形などのような”不整かつ凹凸性状”を呈する。通常の
超音波検査技術では、断層画像(超音波断層画像データ
121a)におけるこのような幾何学的な形状の特徴が
よく用いられるが、腫瘍がまだ小さいときは、断層画像
(超音波断層画像データ121a)の観察だけではその
腫瘍が悪性のものなのか良性のものなのかを把握しにく
い場合がある。
【0397】そこで本実施形態では、悪性腫瘍(癌)は
その表面形状が良性腫瘍(線維腺腫)のそれより凹凸不
整のため、表面積が同じ体積を有する良性腫瘍(線維腺
腫)より大きいことを利用する。そこで表面形状の凹凸
不整を定量化(ステップP10)するために、抽出した
腫瘍の表面積と体積の比を利用したパラメータ(腫瘍形
状判定パラメータγ)を定義する(ステップP13)。
球体の場合で正規化(ステップP14)した表面積と体
積の比の腫瘍形状判定パラメータγ(=Surface
3/Volume2ratio,S/V ratio)
は、悪性腫瘍(癌)が良性腫瘍(線維腺腫)より高値を
示すことになる。
【0398】このために腫瘍凹凸不整定量化工程(ステ
ップP10)は、図19に示すように、腫瘍表面形状の
凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積S(ステッ
プP11)、体積V(ステップP12)を利用した腫瘍
形状判定パラメータγを計算する(ステップP13)論
理構成となっている。
【0399】ここで腫瘍形状判定パラメータγは、 γ=(S3/V2)/κ,κ=定数 …式(3−1) で定義されている。定数κは、腫瘍の形状が球のときγ
が1となるように正規化(ステップP14)するための
ものであって、具体的には、36/πとしている(ステ
ップP14)。
【0400】乳癌検診システム50における乳腺腫瘍の
診断を支援するために、抽出された腫瘍に対して表面形
状を3次元表示するとともに、その幾何学的な凹凸を評
価する。抽出した腫瘍の表面積の3乗と体積の2乗との
比であるS/V ratioをパラメータとして利用し
て腫瘍の表面形状の凹凸不整を定量化している。更に加
えて、良悪性の両者に対してこのS/V ratio
(所定の閾値)を用いて両者のグループ分け(ステップ
P21)を行う。
【0401】具体的には、この腫瘍形状判定パラメータ
γを臨床応用によって抽出した悪性腫瘍(癌)16例、
良性腫瘍(線維腺腫)11例の結果に適用した評価結
果、及び良悪性の両者に基づいて、この腫瘍形状判定パ
ラメータγをS/V ratio≒4(=所定の閾値)
に設定している(ステップP21)。
【0402】このために腫瘍凹凸不整定量化工程(ステ
ップP10)を実行することにより、腫瘍表面形状の凹
凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積、体積を利用
した腫瘍形状判定パラメータγ(γ=(S3/V2)/
κ)を計算する。腫瘍の表面が滑らかであれば腫瘍形状
判定パラメータγは小さくなり、表面が凹凸の性状を呈
すれば腫瘍形状判定パラメータγは大きな値になる。
【0403】そこで、図19に示すように、この腫瘍凹
凸不整定量化工程(ステップP10)に続いて形状判定
工程(ステップP21)を実行することにより、計算し
た腫瘍形状判定パラメータγが所定の(S/V rat
io)未満である場合に腫瘍の表面が滑らかであると判
定する(ステップP23)一方、閾値(S/V rat
io)以上である場合に腫瘍の表面が凹凸の性状を呈し
ていると判定する(ステップP22)。
【0404】また、図19に示すように、形状判定工程
(ステップP21)を実行することにより、表面が滑ら
かであると判定した腫瘍を良性腫瘍(線維腺腫)と診断
し、表面が凹凸の性状を呈していると判定した腫瘍を悪
性腫瘍(癌)と診断する。
【0405】乳癌検診システム50における腫瘍表面の
3次元表示は、前述したように、サーフェス・レンダリ
ングなる陰影法によって行われており、表面の3次元形
状の微妙な凹凸変化を容易に観察することができるよう
になる。
【0406】腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップP1
0)は、図19に示すように、最終的に抽出された腫瘍
を構成するボクセルの総和として腫瘍の体積を計算する
腫瘍体積算定工程(ステップP12)を実行している。
【0407】算出した腫瘍の体積に応じて、腫瘍表面形
状の凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積、体積
を利用した腫瘍形状判定パラメータγ(γ=(S3
2)/κ)を計算する(ステップP13)。この腫瘍
凹凸不整定量化工程(ステップP10)に続いて前述の
形状判定工程(ステップP21)を実行し、計算した腫
瘍形状判定パラメータγに応じて腫瘍の表面の滑らかさ
や凹凸の性状を判定する(ステップP21)。形状判定
工程(ステップP21)に続いて腫瘍診断工程(ステッ
プP20)を実行し、表面判定結果に応じて腫瘍が良性
なのか、悪性なのかを診断する(ステップP21→P2
2、またはP21→P23)。
【0408】腫瘍体積算定工程(ステップP12)は、
ボクセルを基本単位とする計算を行うので、コンパクト
で安価なPCのようなコンピュータリソースで高速に自
動的に実行でき、乳腺腫瘍の初期診断、集団検診として
有効な乳癌検診システム50を構築できる。
【0409】また腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップP
10)は、図19に示すように、第1工程(ステップP
111)と第2工程(ステップP112)とを基本構成
とする腫瘍表面積算定工程(ステップP11)を実行し
ている。
【0410】腫瘍表面積算定工程(ステップP11)
は、腫瘍の輪郭としてラベリングされたボクセルに対し
て、隣接する3つのボクセルの組み合わせを作ると共
に、この3つの組み合わせで形成される三角形の面積の
総和を表面積とする工程である。
【0411】すなわち、腫瘍凹凸不整定量化工程(ステ
ップP10)に腫瘍体積算定工程(ステップP12)を
設けることにより、最終的に抽出された腫瘍を構成する
ボクセルの総和として腫瘍の体積を計算する。更に加え
て、腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップP10)に腫瘍
表面積算定工程(ステップP11)を設けることによ
り、腫瘍の輪郭としてラベリングされたボクセルに対し
て、隣接する3つのボクセルの組み合わせを作成する。
また第1工程(ステップP111)に続いて第2工程
(ステップP112)を実行することにより、隣接する
3つのボクセルの組み合わせで形成される三角形の面積
の総和を腫瘍の表面積として算出する(ステップP1
1)。更に加えて、この腫瘍の体積に応じて、腫瘍表面
形状の凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積、体
積を利用した腫瘍形状判定パラメータγを計算する(ス
テップP13)。この腫瘍凹凸不整定量化工程(ステッ
プP10)に続いて前述の形状判定工程(ステップP2
1)を実行し、計算した腫瘍形状判定パラメータγに応
じて腫瘍の表面の滑らかさや凹凸の性状を判定する(ス
テップP21)。形状判定工程(ステップP21)の結
果に応じて、ステップP22,P23を実行し、表面判
定結果に応じて腫瘍が良性なのか、悪性なのかを診断す
る。
【0412】第1工程(ステップP111)や第2工程
(ステップP112)を含むこのような腫瘍表面積算定
工程(ステップP11)は、ボクセルを基本単位とする
計算を行うので、コンパクトで安価なPCのようなコン
ピュータリソースで高速に自動的に実行でき、乳腺腫瘍
の初期診断、集団検診として有効な乳癌検診システム5
0を構築できる。
【0413】腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップP1
0)に続く腫瘍診断工程(ステップP20)は、図19
に示すように、腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップP1
0)が計算した腫瘍形状判定パラメータγが所定の閾値
未満である場合(ステップP21の<)に腫瘍の表面が
滑らかであると判定し、閾値以上である場合(ステップ
P21の≧)に腫瘍の表面が凹凸の性状を呈していると
判定する論理構成となっている。
【0414】腫瘍診断工程(ステップP20)は、形状
判定工程(ステップP21)の結果に応じて、表面が滑
らかであると判定した腫瘍を良性腫瘍(線維腺腫)と診
断し(ステップP23)、表面が凹凸の性状を呈してい
ると判定した腫瘍を悪性腫瘍(癌)と診断(ステップP
22)する論理構成となっている。
【0415】本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程では、
乳腺腫瘍の診断を支援するために、抽出された腫瘍に対
して表面形状を3次元表示するとともに、その幾何学的
な凹凸を評価した。腫瘍表面の3次元表示は、サーフェ
ス・レンダリングなる陰影法によって行われており、表
面の3次元形状の微妙な凹凸変化を容易に観察すること
ができた。また、抽出した腫瘍の表面積の3乗と体積の
2乗との比(S/Vratio)の腫瘍形状判定パラメ
ータγを利用して腫瘍の表面形状の凹凸不整を定量化
(ステップP10)した。
【0416】この腫瘍形状判定パラメータγを本臨床応
用によって抽出した悪性腫瘍(癌)16例、良性腫瘍
(線維腺腫)11例の結果に適用した評価結果、及び良
悪性の両者に対してこの腫瘍形状判定パラメータγはS
/V ratio≒4で両者のグループ分け(ステップ
P21)ができたことを以下に示す。
【0417】図20は、本実施形態の悪性腫瘍自動識別
過程の有効性を検証するための各種のケースを示してい
る。本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程の有効性を検証
するために、臨床応用データとして、図20に示される
悪性16例(図中のケース(1)〜ケース(16))、
良性11例(図中のケース(17)〜ケース(27))
が用いられた(悪性・良性の判定は、図中「症状」欄に
記載されている)。図20に示されたように、被検者の
年齢構成(図中「年齢」)は25歳〜77歳である。ま
た、腫瘍の大きさ(図中「大きさ[cm]」)は0.5
cm〜1.8cmである。
【0418】図20に示されている臨床データへの適用
結果は、いずれも良好に抽出することができたが、その
うちの悪性5例、良性5例についてそれぞれ図21〜図
25と、図26〜図30に示す。
【0419】図21〜図30の各々の図(a)は、ボク
セル・データ16aのzx平面についての1断面の断層
画像(超音波断層画像データ121a)と抽出された腫
瘍の境界を重ねて表示した画像である。図21〜図30
の各々の図(a)より良好な腫瘍の領域が検出されてい
ることが分かる。
【0420】図21〜図30の各々の図(b)はサーフ
ェス・レンダリングなる陰影手法による腫瘍表面形状の
3次元表示像である。
【0421】図21(b)〜図25(b)より、悪性腫
瘍(癌)の特徴である腫瘍表面の凹凸不整としてよく認
識され、癌の周囲への浸潤の様子がよく観察される。
【0422】また、図26〜図30の各々の図(b)よ
り、良性腫瘍(線維腺腫)の特徴である腫瘍の表面が平
滑であることが明瞭に抽出されていることが分かる。こ
のように、本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程によって
乳腺腫瘍の領域が良好に検出され、腫瘍表面の3次元表
示画像から良悪性の幾何学的な特徴を容易に観察するこ
とができるようになり、腫瘍の良悪性の判別診断がより
客観的に行えることとなった。
【0423】図31は、式(3−1)を腫瘍抽出過程で
抽出された腫瘍に適用して計算した結果を示している。
前述したように、腫瘍の表面が滑らかであれば腫瘍形状
判定パラメータγは小さくなり、表面が凹凸の性状を呈
すれば腫瘍形状判定パラメータγは大きな値になる。式
(3−1)を前述の腫瘍抽出過程で抽出された腫瘍に適
用して計算した結果を図31に示す。
【0424】図32は、算出した腫瘍形状判定パラメー
タと求めた腫瘍の体積の関係を示している。算出した腫
瘍形状判定パラメータγ腫瘍形状判定パラメータγと求
めた腫瘍の体積の関係を図32に示す。それによると、
良性(線維腺腫)と悪性(癌)に対してこの腫瘍形状判
定パラメータγは顕著に異なる値(悪性の腫瘍形状判定
パラメータγ≧4、良性の腫瘍形状判定パラメータγ<
4)を示しており、腫瘍形状判定パラメータγ≒4で良
悪性がグループ分け(ステップP21)される。このよ
うに、本腫瘍形状判定パラメータγによって腫瘍の良悪
性の定量的判別ができていることが分かる。
【0425】以上要約すれば、腫瘍凹凸不整定量化工程
(ステップP10)を実行することにより、腫瘍表面形
状の凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表面積、体積
を利用した腫瘍形状判定パラメータγを計算する(ステ
ップP13)。この腫瘍凹凸不整定量化工程(ステップ
P10)に続いて、球の場合で正規化(ステップP1
4)した表面積と体積の比のパラメータS/V rat
ioが悪性腫瘍(癌)が良性腫瘍(線維腺腫)より高値
を示すことに注目して、腫瘍診断工程(ステップP2
0)を実行することにより、計算した腫瘍形状判定パラ
メータγが所定の閾値未満である場合(ステップP21
の<)に腫瘍の表面が滑らかであると判定する一方、閾
値以上である場合(ステップP21の≧)に腫瘍の表面
が凹凸の性状を呈していると判定する(ステップP2
1)。腫瘍診断工程(ステップP20)を実行すること
により、表面が滑らかであると判定した腫瘍を良性腫瘍
(線維腺腫)と診断し(ステップP23)、表面が凹凸
の性状を呈していると判定した腫瘍を悪性腫瘍(癌)と
診断する(ステップP22)。
【0426】その結果、悪性腫瘍(乳癌)の特徴である
腫瘍表面の凹凸不整がある乳腺腫瘍の領域が良好に検出
でき、腫瘍表面の3次元表示画像から良悪性の幾何学的
な特徴を容易に観察することができるようになり、腫瘍
の良悪性の判別診断がより客観的に行えるようになる。
【0427】すなわち、乳腺腫瘍の自動抽出システム
(病理診断支援システム)によって得られる腫瘍の領域
を3次元的に表示し、そしてその表面の幾何学的な凹凸
を定量的に計測・評価することができるようになる。乳
癌検診システム50における腫瘍表面の3次元表示は、
我々が物を見るときに生じている光の陰影と同様な濃淡
分布を腫瘍の表面につけることのできるサーフェス・レ
ンダリングを用いる。これにより、腫瘍表面形状の微妙
な凹凸変化を観察することができるようになり、検者と
患者とで共通な認識に基づく理解や判断ができるように
なる。その結果、抽出した腫瘍を3次元映像化するとと
もに腫瘍表面形状の幾何学的凹凸を定量化(ステップP
10)することによって乳乳癌診断を支援できるように
なる。
【0428】腫瘍形状判定パラメータγの算出は、コン
パクトで安価なPCのようなコンピュータリソースで高
速に自動的に実行でき、乳腺腫瘍の初期診断、集団検診
として有効な乳癌検診システム50を構築できる。
【0429】
【発明の効果】請求項1に記載の第1課題を主として解
決するための3次元画像取得過程によれば、プローブ手
段には3次元位置センス手段(プローブ姿勢検出セン
サ)が取り付けられているので、プローブ工程がスキャ
ニング中のプローブ手段の空間的な位置及び/または姿
勢を測定して3次元位置センス工程が被測定物体の探針
動作に同期させたプローブ座標データを生成できる。す
なわち、プローブ手段に取り付けた3次元位置センス手
段(プローブ姿勢検出センサ)によって計測された位置
データ(プローブ手段の座標データ)を用いて、プロー
ブ手段を任意に走査して得られた一連の探針データをボ
クセル・データ16aに変換できるようになる。このよ
うな3次元画像取得過程は、非常に柔軟でデリケートな
組織構造を有する乳腺のような被測定物体を探針してボ
クセル・データ16aを作成するようなアプリケーショ
ンに適している。すなわち、3次元位置センス手段(プ
ローブ姿勢検出センサ)を取り付けたプローブ手段を用
いて取得されたエコーから乳腺(被測定物体)を抽出し
て、その3次元的な形状(3次元画像)から3次元的な
表面形状から主要の良性、悪性の識別を行う乳癌診断を
行う画像システムに最適な腫瘍診断方法を実現する前述
の第1の目的を達成することができる。
【0430】また、第2課題を主として解決するための
腫瘍抽出処理過程によれば、ボクセル・データ16aに
対して3次元LoGフィルタをかけ、その出力の正負及
びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類し、特
徴量について、3つのクラスに属する”らしさ”を示す
メンバシップ関数を求めることができるようになる。ま
た、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出に加えて、
出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝度の高い”
正常組織”となることを利用して、ボクセルを3つのク
ラスに分類できるようになる。このような簡便なクラス
分類を実行することにより、PC程度の計算能力をもっ
た小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に計
算(画像処理)できるようなメンバシップ関数の自動作
成が可能となる。またファジイ推論工程とデファジイ工
程を設けることにより、パーソナルコンピュータ(P
C)程度の計算能力をもった小規模なコンピュータリソ
ースで短時間(高速)に計算(画像処理)できるような
簡便なファジイ推論と弛緩法を用いて、各ボクセルを”
腫瘍”、”正常組織”及び両者の”境界”という3つの
クラスに分類できるようになる。その結果、PC程度の
計算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時
間(高速)に計算(画像処理)できるような、簡便な超
音波3次元画像から、スペックル・ノイズや音響陰影な
どのアーチファクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外
の低輝度の領域を除去した腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領
域を高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く
自動抽出できるようになる。すなわち、3次元LoG
(Laplace of Gaussian)フィルタ
を用いたメンバシップ関数の自動作成し、ファジイ推論
並びに弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫瘍”、”正常
組織”及び両者の”境界”という3つのクラスに分類
し、その結果に基づいて、腫瘍の3次元領域の決定する
ことにより、PC程度の計算能力をもった小規模なコン
ピュータリソースで短時間(高速)に計算(画像処理)
できるような簡便なファジイ推論アルゴリズムを提供
し、その結果、超音波3次元画像から腫瘍(特に、乳腺
腫瘍)の領域を高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を
再現性良く自動抽出できる腫瘍診断方法を実現する前述
の第2の目的を達成することができる。
【0431】一方第3課題を主として解決するための腫
瘍抽出処理過程では、悪性腫瘍はその表面形状が良性腫
瘍のそれより凹凸不整のため、表面積が同じ体積を有す
る良性腫瘍より大きいことを利用することにより、形状
判定工程において表面が滑らかであると判定した腫瘍を
良性腫瘍と診断し、表面が凹凸の性状を呈していると判
定した腫瘍を悪性腫瘍と診断する。その結果、悪性腫瘍
(癌)の特徴である腫瘍表面の凹凸不整がある乳腺腫瘍
の領域が良好に検出でき、腫瘍表面の3次元表示画像か
ら良悪性の幾何学的な特徴を容易に観察することができ
るようになり、腫瘍の良悪性の判別診断がより客観的に
行えるようになる。すなわち、乳腺腫瘍の自動抽出シス
テム(病理診断支援システム)によって得られる腫瘍の
領域を3次元的に表示し、そしてその表面の幾何学的な
凹凸を定量的に計測・評価することができるようにな
る。腫瘍表面の3次元表示は、我々が物を見るときに生
じている光の陰影と同様な濃淡分布を腫瘍の表面につけ
ることのできるサーフェス・レンダリングを用いる。こ
れにより、腫瘍表面形状の微妙な凹凸変化を観察するこ
とができるようになり、検者と患者とで共通な認識に基
づく理解や判断ができるようになる。その結果、抽出し
た腫瘍を3次元映像化するとともに腫瘍表面形状の幾何
学的凹凸を定量化することによって乳癌診断を支援でき
るようになる。腫瘍形状判定パラメータγの算出は、コ
ンパクトで安価なPCのようなコンピュータリソースで
高速に自動的に実行でき、乳腺腫瘍の初期診断、集団検
診として有効な手段となる。すなわち、超音波診断法な
どの可視化技術を用いて3次元画像として抽出した(良
性や悪性)腫瘍の表面積Sと体積Vの比のパラメータS
/V ratioを利用したパラメータを定義して腫瘍
表面形状の凹凸不整を定量化し、生体のMRI画像や超
音波画像等で構成される3次元画像で表された組織間の
境界を抽出して正常組織の中から癌組織(特に、乳癌組
織(乳腺悪性腫瘍))を発見する病理診断支援システム
に適応可能な腫瘍診断方法を、PC程度の計算能力をも
った小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に
計算(画像処理)できるような簡便な腫瘍診断方法を提
供し、その結果、超音波3次元画像から腫瘍(特に、乳
腺腫瘍)の領域を高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断
を再現性良く自動抽出できる腫瘍診断方法を実現する前
述の第3の目的を達成することができる。
【0432】請求項2に記載の3次元画像取得過程によ
れば、請求項1に記載の効果に加えて、プローブ手段の
位置や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来
のマニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、超音
波断層画像(断層画像データ)と同時にプローブ手段の
位置データ(プローブ座標データ=位置データ(x0
0,z0,ψ,θ,Ф))をプローブ手段の位置の補正
データとして用いることで、トラッキング工程によって
取得された超音波断層画像(断層画像データ)を、従来
のマニュアル走査と同様にアーチファクトの少なくかつ
再現性の高い3次元のボクセル・データに変換すること
ができる。その結果、メカニカルにプローブ手段で乳腺
を走査すると、組織を圧迫して再現性の高い腫瘍の形状
が得られない恐れがある非常に柔軟でデリケートな組織
である乳腺のような被測定物体に対しても高精度の断層
画像データを生成できるようになる。また、同一のボク
セルについて2つ以上の異なる値が対応する場合はこれ
らの平均値をもってボクセルのボクセル・データ16a
とすることにより、取得した超音波断層画像(探針デー
タ)を3次元座標変換した後に、線形補間された等方的
なボクセルの画像データ(ボクセル・データ16a)が
生成できるようになる。
【0433】また請求項3に記載の3次元画像取得過程
によれば、請求項1に記載の効果に加えて、プローブ手
段の位置(x0,y0,z0)や姿勢(ψ,θ,Ф)を実
時間でトラッキングする必要がある従来のマニュアル走
査やメカニカル走査作業に代えて、断層画像データの座
標(x,y,0)と同時にプローブ手段のプローブ座標
データとしての変換行列T[aij]をプローブ手段の位
置の補正データとして用いることで、プローブ手段に取
り付けた交流磁界による3次元位置センス手段(プロー
ブ姿勢検出センサ)によって取得された断層画像データ
の座標(x,y,0)を、従来のマニュアル走査と同様
にアーチファクトの少なくかつ再現性の高い3次元のボ
クセル・データの座標(x’,y’,z’)に変換する
ことができる。その結果、メカニカルにプローブ手段で
乳腺を走査すると、組織を圧迫して再現性の高い腫瘍の
形状が得られない恐れがある非常に柔軟でデリケートな
組織である乳腺のような被測定物体に対しても高精度の
断層画像データの座標(x,y,0)を生成できるよう
になる。
【0434】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aの座標(x’,y’,
z’)とすることにより、取得した超音波断層画像(探
針データ)を3次元座標変換した後に、線形補間された
等方的なボクセルの画像データの座標(x’,y’,
z’)が生成できるようになる。
【0435】また請求項4に記載の3次元画像取得過程
によれば、請求項2に記載の効果に加えて、プローブ手
段の位置や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある
従来のマニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、
簡単な一次線形関数(正弦関数sinや余弦関数co
s、及びこれらの四則演算)で表現された変換行列T
[aij]をプローブ手段の位置の補正データとして用い
ることで、プローブ手段に取り付けた交流磁界による3
次元位置センス手段(プローブ姿勢検出センサ)によっ
て取得された断層画像データの座標(x,y,0)を、
それほど高い計算能力を持ち合わせていないパーソナル
コンピュータ(PC)のような小規模のハードウェアを
用いても、従来のマニュアル走査と同様にアーチファク
トの少なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ
の座標(x’,y’,z’)に変換することができる。
その結果、メカニカルにプローブ手段で乳腺を走査する
と、組織を圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が得られな
い恐れがある非常に柔軟でデリケートな組織である乳腺
のような被測定物体に対しても高精度の断層画像データ
の座標(x,y,0)を小規模のハードウェアでも高速
・低コストで生成できるようになる。
【0436】すなわち、請求項2,3,4に記載の3次
元画像取得過程によれば、3次元位置センス手段(プロ
ーブ姿勢検出センサ)を取り付けたプローブ手段を用い
て取得されたエコーから乳腺(被測定物体)を抽出し
て、その3次元的な形状(3次元画像)から3次元的な
表面形状から主要の良性、悪性の識別を行う乳癌診断を
行う画像システムに最適な腫瘍診断方法を実現する前述
の第1の目的を達成することができる。
【0437】また請求項5に記載の腫瘍抽出処理過程に
よれば、請求項1に記載のの効果に加えて、2値化や微
分オペレータなどの従来の画像処理上では腫瘍領域の自
動抽出を行うのは難しいような、輝度の低い”腫瘍”
(tumor)、輝度の高い”正常組織”(norma
l tissue)、そして両者の”境界”(boun
dary)を識別できるようになる。
【0438】また請求項6に記載の発明によれば、請求
項5に記載の効果に加えて、1種の2次微分フィルタ、
またはバンドパス・フィルタであり、画像処理では対象
の境界抽出においてよく使われている簡便な3次元ガウ
シアン・ラプラスフィルタを用いる結果、ボクセル・デ
ータ16aの境界の位置で2次微分がゼロとなり、また
はフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差(Z
ero crossing)が現れる。これらの出力の
ゼロ・クロッシング点を連結すると境界となる。従っ
て、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ出力のゼロ・
クロッシング点を結ぶと、それが抽出しようとする対象
領域の境界面となる。そこで、ゼロ・クロッシングによ
る”境界”抽出に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫
瘍”、負値が輝度の高い”正常組織”となることを利用
して、ボクセルを3つのクラスに分類できるようにな
る。このような簡便なクラス分類を実行することによ
り、PC程度の計算能力をもった小規模なコンピュータ
リソースで短時間(高速)に計算(画像処理)できるよ
うなメンバシップ関数の自動作成が可能となる。
【0439】また請求項7に記載の発明によれば、請求
項5に記載の効果に加えて、クラス分けされた”腫瘍”
ボクセル、”正常組織”ボクセルすべてに対して3つの
特徴量を計算できるようになる。また、膨張・収縮処理
前後で共に”境界”とクラス分けされたボクセルのみに
対して3つの特徴量を計算することで、”境界”につい
ての特徴量は他のクラスに比べてボクセル数が少ない場
合であっても、誤った”境界”ボクセルをできる限り除
外できるようになる。
【0440】また請求項8,9,11,12に記載の発
明によれば、請求項5に記載の効果に加えて、3つの特
徴量(第1乃至第3の特徴量)の各々に対する確率密度
係数としてRician分布関数を用いることにより、
輝度平均値のメンバシップ関数については”腫瘍”をR
ayleigh分布で近似し、その他の”正常組織”
と”境界”をGaussianで近似できるようにな
る。また、確率密度係数としてRician分布関数を
用いることにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離
のメンバシップ関数はRayleigh分布で近似でき
るようになる。また、第1特徴量に対する確率密度係数
としてRician分布関数を用いることにより、輝度
平均値のメンバシップ関数については”腫瘍”をRay
leigh分布で近似し、その他の”正常組織”と”境
界”をGaussianで近似できるようになる。ま
た、第2特徴量に対する確率密度係数としてRicia
n分布関数を用いることにより、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離のメンバシップ関数はRayleigh分
布で近似できるようになる。同様にメンバシップ関数決
定工程は、輝度分散に対するメンバシップ関数を、レイ
リー分布で表現された確率密度関数で近似している。す
なわち、第3特徴量に対する確率密度係数としてRic
ian分布関数を用いることにより、特徴量における輝
度分散については、輝度分散vのメンバシップ関数はR
ayleigh分布で近似できるようになる。
【0441】また請求項10に記載の発明によれば、請
求項5に記載の効果に加えて、ifthen else
条件文形式で表されたルールにおける”if〜the
n”の条件文中の”and”論理演算は「ある事実の起
こりうる確率が、それぞれの条件のうちの最小の確率と
なる」ことを意味する条件式をファジイ論理式で表現で
きるようになる。
【0442】すなわち、請求項5乃至12に記載の発明
によれば、3次元LoG(Laplace of Ga
ussian)フィルタを用いたメンバシップ関数の自
動作成し、ファジイ推論並びに弛緩法を用いて、各ボク
セルを”腫瘍”、”正常組織”及び両者の”境界”とい
う3つのクラスに分類し、その結果に基づいて、腫瘍の
3次元領域の決定することにより、PC程度の計算能力
をもった小規模なコンピュータリソースで短時間(高
速)に計算(画像処理)できるような簡便なファジイ推
論アルゴリズムを提供し、その結果、超音波3次元画像
から腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度で発見で
き、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動抽出できる腫瘍診
断方法を実現する前述の第2の目的を達成することがで
きる。
【0443】また請求項13に記載の腫瘍凹凸不整定量
化工程によれば、請求項1に記載の効果に加えて、超音
波診断法などの可視化技術を用いて3次元画像として抽
出した(良性や悪性)腫瘍の表面積Sと体積Vの比のパ
ラメータS/V ratioを利用したパラメータを定
義して腫瘍表面形状の凹凸不整を定量化し、生体のMR
I画像や超音波画像等で構成される3次元画像で表され
た組織間の境界を抽出して正常組織の中から癌組織(特
に、乳癌組織(乳腺悪性腫瘍))を発見する病理診断支
援システムに適応可能な腫瘍診断方法を、PC程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるような簡便な腫瘍診
断方法を提供し、その結果、超音波3次元画像から腫瘍
(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度で発見でき、悪性
腫瘍の判断を再現性良く自動抽出できる腫瘍診断方法を
実現する前述の第3の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳癌検診システムの基本構成を示すブ
ロック図ある。
【図2】Fastrackトラッキング・システムの3
次元空間座標系である。
【図3】図1の乳癌検診システムで実行される3次元画
像取得過程の一実施形態を説明するフローチャートであ
る。
【図4】図1の3次元画像取得過程で取得されるボクセ
ル・データの作成結果の1例であり、同図(a)は、乳
腺腫瘍の超音波断層画像であり、同図(b)は、ボクセ
ル・データ中のzx平面の一断面図である。
【図5】図1の乳癌検診システムで実行される腫瘍抽出
過程のアルゴリズムを説明するためのブロック図であ
る。
【図6】輝度の重心と幾何学的な中心の輝度の重心と幾
何学的な中心の距離の概念図である。
【図7】メンバシップ関数の作成の手順を示すフローで
ある。
【図8】球によって腫瘍をモデル化したシミュレーショ
ン・ファントムに3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ
(3次元LoGフィルタ)をかけた出力の中心を通るプ
ロファイルである。
【図9】同図(a)は悪性腫瘍(画像サイズ:128×
128×128ボクセル)のボクセル・データ16aに
おけるzx平面の1断面を示しており、同図(b)はそ
れに対するσ=5の3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タ(3次元LoGフィルタ)の出力を示しており、同図
(c)は、”腫瘍”の領域のすべてに対して膨張・収縮
処理工程を行った後の画像である。
【図10】Rician関数のグラフである。
【図11】”腫瘍”、”正常組織”、”境界”に属する
ボクセルについての輝度平均値のヒストグラム及び近似
されたメンバシップ関数を示している。
【図12】特徴量における輝度の重心と幾何学的な中心
の距離のヒストグラム及び近似されたメンバシップ関数
を示している。
【図13】特徴量における輝度分散のヒストグラム及び
近似されたメンバシップ関数を示している。
【図14】Rayleigh分布関数のグラフである。
【図15】メンバシップ関数を利用してファジイ推論に
よる腫瘍領域の抽出を行う第2段階の処理フローであ
る。
【図16】同図(a),(b),(c)は、図9(a)
に示された悪性腫瘍(画像サイズ:128×128×1
28ボクセル)のボクセル・データ16aに対して本フ
ァジイ推論機構を適用して得られた”腫瘍”,”正常組
織”,”境界”という3つのクラスに対するグレードを
表す画像である。
【図17】デファジイ工程のフローである。
【図18】同図(a)は、図16(a),(b),
(c)に示された3つの属性に関するグレードの画像を
デファジイすることによってクラス分けされた画像であ
り、同図(b)はボクセル連結性によって最終的に決定
された腫瘍の領域の境界とボクセル・データ16aの断
面とを重ねた画像であり、同図(c)は本実施形態の腫
瘍抽出過程過程により抽出した腫瘍の表面形状の3次元
像である。
【図19】本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程の処理フ
ローである。
【図20】本実施形態の悪性腫瘍自動識別過程の有効性
を検証するための各種のケースを示している。
【図21】図20に示した第1のケースにおいて、同図
(a)はボクセル・データのzx平面についての1断面
の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した画
像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングなる
陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図22】図20に示した第4のケースにおいて、同図
(a)はボクセル・データのzx平面についての1断面
の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した画
像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングなる
陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図23】図20に示した第6のケースにおいて、同図
(a)はボクセル・データのzx平面についての1断面
の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した画
像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングなる
陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図24】図20に示した第8のケースにおいて、同図
(a)はボクセル・データのzx平面についての1断面
の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した画
像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングなる
陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図25】図20に示した第10のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図26】図20に示した第19のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図27】図20に示した第20のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図28】図20に示した第25のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図29】図20に示した第26のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図30】図20に示した第27のケースにおいて、同
図(a)はボクセル・データのzx平面についての1断
面の断層画像と抽出された腫瘍の境界を重ねて表示した
画像であり、同図(b)はサーフェス・レンダリングな
る陰影手法による腫瘍表面形状の3次元表示像である。
【図31】式(3−1)を腫瘍抽出過程で抽出された腫
瘍に適用して計算した結果を示している。
【図32】算出した腫瘍形状判定パラメータと求めた腫
瘍の体積の関係を示している。
【図33】第1従来技術、第2従来技術の基本構成を示
す図ある。
【図34】第4従来技術の基本構成を示すブロック図あ
る。
【図35】第5従来技術の基本構成を示すブロック図あ
る。
【符号の説明】
10…3次元画像取得手段 12…プローブ手段 121…超音波式プローブ 12a…探針データ 121a…超音波断層画像データ 13…3次元位置センス手段 131…交流磁界位置センサ(プローブ姿勢検出セン
サ) 13a…プローブ座標データ 14…トラッキング手段 15…3次元座標変換手段 15a…3次元画像データ 15b…3次元超音波画像データ 16…3次元ボクセル・データ発生手段 16a…ボクセル・データ 20…超音波診断装置 30…被測定物体 301…乳腺 50…乳癌検診システム PC…パーソナルコンピュータ ψ…3次元位置センス手段のプローブ手段に相対する方
位角 θ…3次元位置センス手段のプローブ手段に相対する仰
角 Ф…3次元位置センス手段のプローブ手段に相対する横
転角 T[aij]…変換行列 aij…行列要素 (x,y,0)…探針データまたは超音波断層画像デー
タの座標 (x’,y’,z’)…3次元画像データまたは3次元
超音波画像データの座標
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 紘一 栃木県河内郡南河内町薬師寺3311−1 自 治医科大学内 Fターム(参考) 4C096 AB36 AB42 AB50 AC10 DC16 DC19 DC21 DC23 DC24 DC40 4C301 BB05 BB13 BB28 BB29 DD24 DD30 EE11 EE13 EE14 EE15 EE17 EE20 GD02 JC01 JC06 JC08 JC20 KK08 KK24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物体の表面をプローブを用いてス
    キャニングしながら当該被測定物体を探針して内部構造
    や表面構造に関するボクセル・データを生成する3次元
    画像取得過程と、当該3次元画像取得過程に続いて、当
    該ボクセル・データの各々に対してファジイ推論処理及
    びデファジイ工程処理を実行して腫瘍と推論されるボク
    セル・データを選び出して腫瘍領域の最終決定を行う腫
    瘍抽出処理過程と、当該腫瘍抽出処理過程に続いて、当
    該腫瘍と推論されるボクセル・データに基づいて腫瘍表
    面形状の凹凸の度合いを判定する悪性腫瘍自動識別過程
    とを備え、 前記3次元画像取得過程は、 被測定物体の表面をプローブを用いてスキャニングしな
    がら当該被測定物体を探針して内部構造や表面構造に関
    する探針データを生成するプローブ工程と、 前記プローブに取り付けられた状態で、スキャニング中
    の当該プローブの空間的な位置及び/または姿勢を測定
    して当該プローブの座標データを前記被測定物体の探針
    動作に同期させて生成する3次元位置センス工程と、 前記探針データの収集を行う際に、当該探針データの収
    集と同期して前記プローブ座標データを収集するトラッ
    キング工程と、 前記探針データ及び当該探針データと同期した前記プロ
    ーブ座標データを用いて、3次元画像データを生成する
    3次元座標変換工程と、 3次元画像データに線形画像補間を行って、等方的なボ
    クセル・データに変換すると共に、同一のボクセルにつ
    いて2つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの平均
    値をもって当該ボクセルのボクセル・データとする3次
    元ボクセル・データ発生工程とを有し、 前記腫瘍抽出処理過程は、 前記ボクセル・データの各々に対して、超音波画像上に
    おける腫瘍の領域と周囲正常組織及び両者の境界に関す
    る所定の統計量の分布をファジイ推論に利用するメンバ
    シップ関数の[0,1]区分の確率分布として表現する
    特徴量演算工程と、 当該メンバシップ関数を備えたファジイ推論過程に基づ
    いて当該統計量の分布をまとめることによって腫瘍の領
    域を自動抽出する工程を含むメンバシップ関数自動生成
    工程と、 当該生成されたメンバシップ関数及びファジイ・ルール
    を含んで構成される前記ファジイ推論過程に基づいて、
    各ボクセルを、所定数のタイプの領域にクラス分けする
    ファジイ推論工程と、 弛緩法に基づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに対し
    て行う工程と、前工程に続いて、各ボクセルを、”腫
    瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類し
    て腫瘍領域の最終決定を行う工程とを含むデファジイ工
    程とを有し、 前記悪性腫瘍自動識別過程は、 腫瘍表面形状の凹凸の度合いを測る指標として腫瘍の表
    面積(S)、体積(V)を利用した腫瘍形状判定パラメ
    ータ(γ)を計算する腫瘍凹凸不整定量化工程と、 当該計算した腫瘍形状判定パラメータ(γ)が所定の閾
    値未満である場合に当該腫瘍の表面が滑らかであると判
    定し、当該閾値以上である場合に当該腫瘍の表面が凹凸
    の性状を呈していると判定する形状判定工程と、 当該表面が滑らかであると判定した腫瘍を良性腫瘍と診
    断し、当該表面が凹凸の性状を呈していると判定した腫
    瘍を悪性腫瘍と診断する腫瘍診断工程とを有し、 前記腫瘍形状判定パラメータは、 γ=(S3/V2)/κ,κ=定数 で定義されていることを特徴とする腫瘍診断方法。
  2. 【請求項2】 前記探針工程が、超音波プローブからの
    超音波を用いて乳腺の表面をスキャニングしながら当該
    乳腺からの超音波エコーに基づくを探針を行って取得さ
    れた内部構造や表面構造に関する超音波断層画像データ
    を生成する探針工程であり、 前記3次元位置検知工程が、前記超音波プローブに取り
    付けられた状態で、乳腺の表面をスキャニング中の当該
    超音波プローブの空間的な位置及び/または姿勢を測定
    して当該超音波プローブ座標データを前記乳腺の探針動
    作に同期させて生成し、 前記トラッキング工程が、前記超音波断層画像データの
    収集を行う際に、当該超音波断層画像データの収集と同
    期して前記プローブ座標データを収集し、 前記3次元座標変換工程が、前記超音波断層画像データ
    及び当該超音波断層画像データと同期した前記プローブ
    座標データを用いて、3次元超音波画像データを生成
    し、 前記3次元ボクセル・データ発生工程が、3次元超音波
    画像データに線形画像補間を行って、等方的なボクセル
    ・データに変換すると共に、同一のボクセルについて2
    つ以上の異なる値が対応する場合はこれらの平均値をも
    って当該ボクセルのボクセル・データとすることを特徴
    とする請求項1に記載の腫瘍診断方法。
  3. 【請求項3】 前記3次元座標変換工程は、前記探針デ
    ータと同期した前記プローブ座標データとして、前記3
    次元位置検知工程の前記プローブ工程に相対する方位角
    ψ、仰角θ及び横転角Фに基づく変換行列T[aij],
    (i,j=1,2,3)を用い、前記探針データの座標
    (x,y,0)に対して当該変換行列T[aij]を掛け
    合わせて前記3次元画像データの座標(x’,y’,
    z’)を生成することを特徴とする請求項1に記載の腫
    瘍診断方法。
  4. 【請求項4】 前記3次元座標変換工程における変換行
    列T[aij]における各々の行列要素aij,(i,j=
    1,2,3)は、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−s
    in(ψ)・cos(Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+s
    in(ψ)・sin(Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・s
    in(θ)・sin(Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−c
    os(ψ)・sin(Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф) で定義されていることを特徴とする請求項2に記載の腫
    瘍診断方法。
  5. 【請求項5】 前記特徴量演算工程で用いられる前記所
    定の統計量は、前記各ボクセルに対する輝度平均値、前
    記各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の距
    離、及び前記各ボクセルに対する輝度分散を含み、 当該輝度平均値は、 輝度平均値={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1(N:自
    然数)であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
    k)における輝度値を表し、Nは参照ボクセル・ボリュ
    ームの大きさ、Σは総和記号で与えられ、 前記特徴量演算工程に用いられる前記所定の統計量は、
    前記各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
    距離を含み、 当該各ボクセルに対する輝度の重心(gx,gy,gz
    は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)} で与えられ、 当該各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
    距離は、 輝度の重心と幾何学的な中心の距離={(gx−cx2
    +(gy−cy2+(g z−cz21/2 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
    f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
    度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
    の大きさ、(gx,gy,gz)は、それぞれ参照ボク
    セル・ボリュームにおける輝度の重心の座標、(cx,
    cy,cz)は幾何学的な中心の座標で与えられ、 前記特徴量演算工程に用いられる前記所定の統計量は、
    前記各ボクセルに対する輝度分散を含み、 当該各ボクセルに対する輝度分散は、 輝度分散={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
    f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
    度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
    の大きさ、uは輝度平均値で与えられることを特徴とす
    る請求項1に記載の腫瘍診断方法。
  6. 【請求項6】 前記メンバシップ関数自動生成工程は、
    被検者の皮下脂肪の厚さや周囲乳腺組織の状態に起因し
    て、乳腺超音波像上における輝度分布を含む統計量に変
    化がある場合、前記ファジイ推論に利用する当該メンバ
    シップ関数を前記ボクセル毎に3次元ガウシアン・ラプ
    ラスフィルタの出力に基づいて自動作成する工程である
    ことを特徴とする請求項5に記載の腫瘍診断方法。
  7. 【請求項7】 前記メンバシップ関数自動生成工程は、 前記メンバシップ関数の作成に用いるボクセルを、 前記3次元ガウシアン・ラプラスフィルタg(r) g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・
    exp{−r2/2σ2} rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏差で表さ
    れる3次元LoGフィルタ出力から求める3次元LoG
    フィルタ工程と、 前記3次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点
    を結んで、抽出しようとする対象領域の”境界”を抽出
    する境界抽出工程と、 当該3次元LoGフィルタ出力が正値を示すボクセルを
    輝度の低い”腫瘍”に分類する腫瘍抽出工程と、 当該3次元LoGフィルタ出力が負値を示すボクセルを
    輝度の高い”正常組織”に分類する正常組織抽出工程
    と、 前記腫瘍抽出工程において”腫瘍”と分類されたボクセ
    ルに対して、膨張・収縮処理を行って、正常組織内部に
    孤立的に存在する”腫瘍”に分類されたボクセルや”境
    界”に分類されたボクセルを除去し、前記”腫瘍”に分
    類されたボクセルと他の輝度の低い閉領域が連結するよ
    うな場合に両者を分断する膨張・収縮処理工程と、 前記膨張・収縮処理工程の前後で共に”境界”に対して
    前記クラス分けが行われたボクセルのみに対して前記特
    徴量演算工程を実行して前記輝度平均値、前記輝度の重
    心と幾何学的な中心の距離及び前記輝度分散の3つの特
    徴量を計算するボクセル選別・特徴量計算工程と、 前記ボクセル選別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴
    量の各々に対して、各々の確率密度関数に応じた前記メ
    ンバシップ関数を求めるメンバシップ関数決定工程とを
    有することを特徴とする請求項5に記載の腫瘍診断方
    法。
  8. 【請求項8】 前記メンバシップ関数決定工程におい
    て、前記3つの特徴量の各々に対する確率密度係数を、 PA(x)=x/σ2・exp{(−x2+σ2)/σ2
    ・I0(xs/σ2)、 ここで、I0(x)は第1種第0次の変形ベッセル関
    数、 で表現し、 前記メンバシップ関数決定工程において、前記輝度平均
    値に対するメンバシップ関数を、”腫瘍”についてはレ
    イリー分布で表現された確率密度関数で近似すると共
    に、”正常組織”と”境界”についてはガウス分布で表
    現された確率密度関数で近似し、 前記メンバシップ関数決定工程において、前記輝度の重
    心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数を
    レイリー分布で表現された確率密度関数で近似し、 前記メンバシップ関数決定工程において、前記輝度分散
    に対するメンバシップ関数をレイリー分布で表現された
    確率密度関数で近似することを特徴とする請求項5に記
    載の腫瘍診断方法。
  9. 【請求項9】 前記ファジイ推論工程は、前記メンバシ
    ップ関数決定工程において生成した前記輝度平均値に対
    するメンバシップ関数、前記輝度の重心と幾何学的な中
    心の距離に対するメンバシップ関数及び前記輝度分散に
    対するメンバシップ関数と前記ファジイ・ルールを含ん
    で構成される前記ファジイ推論過程に基づいて、前記各
    ボクセルを、”腫瘍”のクラスに属するグレード,”正
    常組織”のクラスに属するグレード、”境界”のクラス
    に属するグレードの3つのグレードを用いて前記クラス
    分けを実行する工程を含み、 当該ファジイ・ルールは、前記輝度平均値をu、前記輝
    度の重心と幾何学的な中心の距離をd、前記輝度分散を
    vとしたとき、if then else条件文形式で
    表されたルール; R1: if (u is small) and
    (d is medium) and (v is s
    mall)then the voxel is ”t
    umor”, R2: if (u is large) and
    (d is medium) and (v is l
    arge)then the voxel is ”n
    ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
    (d is large) and (v is me
    dium)then the voxel is ”b
    oundary” で表現されることを特徴とする請求項5に記載の腫瘍診
    断方法。
  10. 【請求項10】 前記ファジイ推論工程は、前記輝度平
    均値をu、前記輝度の重心と幾何学的な中心の距離を
    d、前記輝度分散をvとしたとき、 前記メンバシップ関数決定工程において生成した前記輝
    度平均値に対するメンバシップ関数、前記輝度の重心と
    幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数及び前
    記輝度分散に対するメンバシップ関数に基づいて前記各
    ボクセルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラ
    スに属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn
    u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの
    各々を求める第1論理工程と、 当該グレードμt|u,μt|d,μt|v,μn|u,μ
    n|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの各々の
    値を、前記ファジイ推論の機構に入力して前記各ボクセ
    ルの”腫瘍”らしさを規定するアナログ値μt,”正常
    組織”らしさを規定するアナログ値μnまたは”境界”
    らしさを規定するアナログ値μbを求める第2論理工程
    とを含み、 当該ファジイ推論機構は、 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) ただし、min(a1,a2,a3)はa1,a2,a3の中
    から最小値を選択する演算で表現されることを特徴とす
    る請求項5に記載の腫瘍診断方法。
  11. 【請求項11】 前記デファジイ工程における、前記弛
    緩法に基づいた前記非ファジイ化過程を前記各ボクセル
    に対して行う工程は、 前記前記各ボクセルにおける前記特徴量の各々に対する
    3つのクラスに属するグレードの画像{μt,μn
    μb}から弛緩法に基づく前記非ファジイ化過程処理を
    行って全ボクセル・データを3つの領域に前記クラス分
    けを実行する際に、 (1)注目するボクセルが”腫瘍”であれば、”正常組
    織”に分類されたボクセルとは接しない、 (2)注目するボクセルが”境界”であれば、必ず”腫
    瘍”と”正常組織”のボクセルに接する、 (3)注目するボクセルが”正常組織”であれば、”腫
    瘍”に分類されたボクセルとは接しない といった規則に基づいて、”腫瘍”と接する”正常組
    織”を”境界”と定義する工程を含み、 前記デファジイ工程における、前記”腫瘍”,”正常組
    織”または”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最
    終決定を行う工程は、 すべてのボクセルを、”腫瘍”のグレードを示す画像μ
    t、”正常組織”のグレードを示す画像μn、または”境
    界”のグレードを示す画像μbの中で最大値をとるクラ
    スに基づいてラベル付けするラベル付け工程と、 前工程に続いて、注目ボクセルに連結する3×3×3の
    領域内における”腫瘍”の領域のラベルの数Nt、”正
    常組織”の領域のラベルの数Nn、及び”境界”の領域
    のラベルの数Nbをそれぞれに計算するラベル数計算工
    程と、 当該ラベルの数(Nt,Nn,Nb)の各々を局所的な制
    約ルールに入力する処理を並列的に反復する並列反復工
    程とを含み、 前記局所的な制約ルールは、if then else
    条件文形式で表されたルール; R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ただし、記号↑はその値にある定数Cを加えること、記
    号↓はその値から定数Cを減することを意味しているで
    表現されることを特徴とする請求項5に記載の腫瘍診断
    方法。
  12. 【請求項12】 前記ラベル付け工程は、 前記局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じた場
    合、”腫瘍”のグレードを示す画像、”正常組織”のグ
    レードを示す画像、または”境界”のグレードを示す画
    像の値を条件を満たすように徐々に更新する更新工程を
    含むことを特徴とする請求項11に記載の腫瘍診断方
    法。
  13. 【請求項13】 前記腫瘍凹凸不整定量化工程は、 前記腫瘍の形状が球のときに前記腫瘍形状判定パラメー
    タの値が1となるように前記κを正規化する定数正規化
    工程と、 前記腫瘍凹凸不整定量化工程は、最終的に抽出された前
    記腫瘍を構成するボクセルの総和として前記腫瘍の体積
    を計算する腫瘍体積算定工程と、 腫瘍の輪郭としてラベリングされたボクセルに対して、
    隣接する3つのボクセルの組み合わせを作る第1工程
    と、当該第1工程に続いて、当該隣接する3つのボクセ
    ルの組み合わせで形成される三角形の面積の総和を前記
    腫瘍の表面積とする第2工程とを含む腫瘍表面積算定工
    程を含むことを特徴とする請求項1に記載の腫瘍診断方
    法。
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