JP2000119721A - 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置 - Google Patents

湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置

Info

Publication number
JP2000119721A
JP2000119721A JP28669598A JP28669598A JP2000119721A JP 2000119721 A JP2000119721 A JP 2000119721A JP 28669598 A JP28669598 A JP 28669598A JP 28669598 A JP28669598 A JP 28669598A JP 2000119721 A JP2000119721 A JP 2000119721A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
fluidized bed
reduction furnace
bed type
type pre
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28669598A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiro Iwasaki
克博 岩崎
Shinichi Isozaki
進市 磯崎
Masahiro Kawakami
正弘 川上
Terutoshi Sawada
輝俊 澤田
Takeshi Sekiguchi
関口  毅
Masayuki Watabe
雅之 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP28669598A priority Critical patent/JP2000119721A/ja
Publication of JP2000119721A publication Critical patent/JP2000119721A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融還元製鉄法において、新たに原料乾燥設
備等を設けず、高温の溶融還元炉ガスを利用した流動層
型予備還元炉への湿原料装入方法及び装入。 【解決手段】 湿原料をスラリーにし、その形状保持強
化物質を混合し、流動層での製錬中に当該流動層炉内雰
囲気に曝し乾燥させて濃厚層部分65へ装入する。湿原
料を時間t=5W/{α/(dρS )}、湿原料の物性
としてW:付着水分(外数)(wt.%)、α:形状係数、
d:代表厚さ(m)、ρS :嵩密度(t/m3 )以上、
上記雰囲気に滞留させる。代表厚さdを8〜30mmに
する。流動層の濃厚層部分の温度下降度合に応じて湿原
料の滞留時間を長くして濃厚層部分の温度調節をする。
炉内に湿原料の滞留場所66a、供給機構66b、加熱
用バーナー50を適宜設ける。滞留場所に堆積させた湿
原料を押し込む方法、ひも状ないし板状スラリーをゆっ
くり濃厚層部分に垂らしながら装入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高炉法によらな
い製鉄法であって、鉄鉱石を溶融還元して溶銑を製造す
る溶融還元製鉄工程において、流動層型予備還元炉に、
水分を含む鉱石や製鉄所発生のダストを含む湿原料を装
入する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に溶銑は高炉法により製造されてい
る。高炉法においてはコークスと焼結鉱を必要とし、コ
ークス炉と焼結機の操業が不可欠である。しかし、その
操業環境は厳しく制限されている。また、将来的にはコ
ークス用原料炭の資源不足が懸念されることや、世界的
視点でみると鉄源及びスクラップが偏在していること等
の問題発生が予想されている。そこで、一般炭と粉鉄鉱
石とを直接使用し、予備還元炉と鉄浴型溶融還元炉とを
直結した溶銑製造プロセス、即ち、溶融還元製鉄法が研
究されつつある。溶融還元製鉄法の代表的なプロセスと
して、DIOS法(Direct Iron Ore Smelting
Reduction Process)がある。この方法の基本は、炭
材を酸素含有ガスで二次燃焼させ、その熱で鉄鉱石を連
続的に溶融還元製錬して溶銑を得ることにある。
【0003】溶融還元製鉄法において解決すべき課題は
広範囲にわたっているが、高炉設備から圧延設備までを
擁する、いわゆる銑鋼一貫メーカー以外の多数の製鉄
所、即ちミニミルに溶融還元製鉄法を導入する場合に
は、鉄鉱石の溶融還元製錬に必要な酸素の消費量および
それからのガス発生量を低減し、設備費用が安価な溶融
還元プロセスが求められる。
【0004】DIOS法について、例えば、「新鉄源の
最近の動向」(日本鉄鋼協会製鉄プロセスフォーラム、
平成8年9月29日、p42〜51)に開示されている
(以下、「先行技術」という)。
【0005】図9は、先行技術による溶融還元製鉄法の
パイロットプラントのプロセスフローの要部である。こ
れによれば、粉粒状の鉄鉱石76を予熱炉77で予熱
し、予熱鉱石76’を流動層型の予備還元炉2に装入
し、700〜800℃まで予熱し、20%前後まで予備
還元した予備還元鉱石76”を、鉄浴型の溶融還元炉1
へ装入する。予備還元炉2として流動層を採用している
ので、これに装入する鉄鉱石76の粒度は、シャフト炉
のような通気性劣化の問題がなく、鉄鉱石の粒径は8m
m程度以下の小粒ないし粉状のいわゆるシンターフィー
ドを使用することができるという点で優れている。その
反面、二次燃焼タイプの溶融還元炉との組み合わせであ
るために、熱力学的に鉄鉱石の到達還元率は33%を超
えることはできず、石炭原単位は700kg/t以上、
酸素原単位がほぼ500Nm3 /t以上、生成ガスの顕
熱・潜熱が1〜2Gcal/tと大きくなり、これを有
効利用するための設備も大がかりなものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、先行
技術には使用できる原料や燃料に自由度があるという利
点を有する。しかしながら、次のような問題点がある。
【0007】先行技術を鉄源原料の供給設備という観点
からみると、高炉製銑法より省設備化されているので、
設備費が相当に安価となっている。しかしながら、スク
ラップ溶解主体の電気炉や、直接還元鉄製造法の設備費
と比べると、同一生産量に対する設備費でみると、先行
技術で溶銑を製造するための溶融還元製鉄法ではその設
備全体の設備費用が大きいこと、酸素や燃料の消費原単
位が大きいこと、そしてこの設備から発生するエネルギ
ーの有効活用のための設備費及びその運転費が大きくか
かることが依然として問題である。
【0008】溶融還元炉は通常、炉の熱効率の高位安定
や原料・燃料の歩留り向上及び飛散量低減のため、大気
圧より加圧した条件下で操業され、また、最終的にガス
回収をするため、密閉炉となっている。鉱石予備還元炉
としての流動層炉も加圧・密閉形式となっている。密閉
炉内への原料・燃料の投入に際しては、鉱石等が投入系
統で付着したり、閉塞したりするのを回避しなければな
らない。従って、密閉炉内へのこれらの投入に際して
は、予め、乾燥しておくことが必要である。特に、ヤー
ドでの原鉱石には水分が5〜10wt.%程度含まれるの
で、完全乾燥する必要がある。この水分乾燥のための蒸
気必要量は数百kg/tに達し、設備費を増大させる原
因となっている。
【0009】そこで、本発明者等は、溶融還元炉で生成
した高温で還元性を有するガス及び当該予備還元炉で生
成する高温ガスの顕熱を、当該予備還元炉に装入する原
料の乾燥に利用することを検討した。そして、その原料
乾燥を当該予備還元炉内において行なうことを着想し
た。
【0010】溶融還元製鉄法は、使用できる原料や燃料
に自由度があるという点では非常に優れている。しか
し、褐炭から亜レキ青炭に至る低品質で含水率の高い石
炭や、褐鉄鉱から水酸化鉄鉱に至る低品質で高含水率の
鉱石を使用するためには、乾燥設備費が莫大となるた
め、商業上はこれらを活用するのは問題である。
【0011】また、密閉系の設備内への原料装入におい
て、付着水分を12〜15wt.%以上まで添加すると、原
料装入経路内での微細原料の付着や配管閉塞等を抑制す
ることができることがわかっていた。しかし、流動層型
炉内の濃厚層部分に直接装入すると、水分蒸発による吸
熱による温度降下が著しく、現実的な方法とはいえな
い。
【0012】従って、この発明の目的は、これらの問題
点を解決して、高炉法に代わる溶銑製造技術として、新
たに原料の乾燥設備等を設けることなく、溶融還元炉か
ら発生する高温ガスの顕熱をできるだけ利用し、設備費
用を安価とすることができる、湿原料を流動層型予備還
元炉へ装入する方法及び装入装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
観点から、特に、設備費及びその運転費の削減対策を検
討した。即ち、先行技術に関する試験結果を詳細に検討
し、実験を重ねた。本発明は、新たに炉を増設すること
なく、特に、溶融還元炉発生ガスの顕熱をできるだけ利
用することにより、問題を解決したものである。そし
て、その要旨は次の通りである。
【0014】請求項1記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、溶融還元製鉄法により鉱石その他酸
化鉄を含む物質を製錬する工程における流動層型予備還
元炉に、水分を含む酸化物系及び/若しくは水酸化物系
の鉱石、並びに/又は水分を含むダストを含有する、湿
原料を前記流動層型予備還元炉へ装入する方法であっ
て、上記湿原料を予めスラリー状態に形成し、そのスラ
リーに当該スラリーの形状を保持強化するための形状強
化物質を混合し、こうして得られ湿原料スラリーを、当
該流動層型予備還元炉における製錬中に、当該流動層型
予備還元炉から発生する高温ガスの当該流動層型予備還
元炉内雰囲気に曝しつつ、炉内流動層の濃厚層部分へ装
入することに特徴を有するものである。
【0015】ここで、スラリーに形状強化物質を混合す
るのは、通常この種のスラリー状原料を投入シュートか
ら装入すると、炉内空間部においてスラリーが切断した
り、投入シュートからの初期スラリー形状、例えば棒状
やひも状あるいは板状の形態が崩れることによりその比
表面積が小さくなり、炉内高温雰囲気に曝されている間
での付着水分の乾燥が不十分となり安い。このようなス
ラリー形態の保持を強化するために形状強化物質を混合
添加する。
【0016】請求項2記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、溶融還元製鉄法により鉱石その他酸
化鉄を含む物質を製錬する工程における流動層型予備還
元炉に、水分を含む酸化物系及び/若しくは水酸化物系
の鉱石、並びに/又は水分を含むダストを含有する、湿
原料を前記流動層型予備還元炉へ装入する方法であっ
て、上記流動層型予備還元炉における製錬中に、当該流
動層型予備還元炉から発生する高温ガスの当該流動層型
予備還元炉内雰囲気に、上記湿原料を、(1)式 te =5W/S ------------------------------(1) 但し、 te :滞留時間(min) W :湿原料の付着水分(外数)(wt.%) S :湿原料の比表面積=α/(dρS )(m2 /t) α :湿原料の形状係数 d :湿原料の代表厚さ(m) ρS :湿原料の嵩密度(t/m3 ) で示される時間te 以上滞留させた後、その流動層型予
備還元炉内の流動層の濃厚層部分へ装入することに特徴
を有するものである。
【0017】ここで、湿原料の代表厚さdとは、当該湿
原料が流動層の濃厚層に装入されるまでの炉内雰囲気に
滞留期間中のある時点において、湿原料の一方の側がそ
の雰囲気に非接触の場合には、当該湿原料の接触表面か
ら非接触表面までの深さを指し、また、棒状、ひも状、
粒状、塊状、円盤状、球状、楕円体状、その他湿原料の
個体の外周が炉内空間雰囲気に包含されている場合に
は、その個体の短径を指すものとする。このとき、湿分
等のために原料の粒子同士が凝集している場合や、意図
的に粒子同士を凝集させた場合には、こうして出来上が
った凝集体の短径を指す。
【0018】形状係数αについては、上記代表厚さdの
測定対象原料の個体形状が、球の場合はα=6、円柱あ
るいは棒状の場合はα=4、板状であってこれが原料滞
留場所に堆積している場合、即ち板状体表面の片面が雰
囲気に接触し、他の片面は雰囲気に接触していない場合
は、α=1である。なお、板状であっても、板状体の両
表面が雰囲気に接触している場合は、α=2である。
【0019】請求項3記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、請求項2記載の発明において、湿原
料として予めスラリー状態に形成したものを使用するこ
とに特徴を有するものである。スラリー状原料を投入シ
ュートから炉内へ供給した場合、棒状あるいはひも状体
が低速でそのまま直接濃厚層へ装入される場合の他、投
入シュートから出た後原料滞留場所に板状に堆積し、次
いで濃厚層へ装入される場合もある。後者の場合には、
上記(1)式の左辺te の算出方法は次の通りとする。
即ち、スラリーが棒状の時期について、形状係数α=4
とおき、代表厚さd=d1 を求め、これらから(1)式
でte =te,1 を算出する。スラリーが板状堆積時期に
ついても上記に準じて、形状係数α=1とおき、代表厚
さd=d2 を求め、これらから(1)式でte =te,2
を算出する。こうして、原料の所要滞留時間t e は、棒
状の時期に対して、te,1 (min)以上、そして板状
堆積時期に対して、te,2 (min)以上と規定する。
なお、時期によりスラリー原料の嵩密度ρS が変化する
場合には、必要に応じ無視できないときにはそれを考慮
してte, 1 及びte,2 に反映させる。また、付着水分W
の上記時期による変化をte,2 の算出に反映させるのは
煩雑である。板状堆積時期の付着水分W2 として、初期
付着水分W1 を用いた場合には、所要算出時間te,2
十分な時間が算出される。従って、付着水分W2 の代わ
りに初期付着水分W1 を用いてもよい。なお、スラリー
からは水蒸気等の通るガス抜き孔がある方が望ましい。
【0020】請求項4記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、請求項3記載の発明において、上記
湿原料に上記スラリー状態を所要の形状に保持するため
の形状強化物質を混合しておくことに特徴を有するもの
である。
【0021】請求項5記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、請求項1〜4記載の発明のいずれか
において、上記流動層型予備還元炉に装入する物質とし
て、その代表厚さが、8〜30mmの範囲内にあるもの
を使用することに特徴を有するものである。
【0022】請求項6記載の湿原料の流動層型予備還元
炉への装入方法は、請求項1〜5に記載の発明のいずれ
かにおいて、上記流動層の濃厚層部分の温度の下降度合
に応じて上記湿原料の上記流動層型予備還元炉内での滞
留時間を長くして、上記流動層の濃厚層部分の温度調節
をすることに特徴を有するものである。
【0023】請求項7記載の湿原料を流動層型予備還元
炉に装入する装置は、鉱石その他酸化鉄を含む物質を溶
融還元製錬して溶銑を製造する溶融還元製鉄設備におけ
る流動層型予備還元炉内の流動層の濃厚層部分に、水分
を含む酸化物系及び/若しくは水酸化物系の鉱石、並び
に/又は水分を含むダストを含有する、湿原料を、上記
流動層型予備還元炉内雰囲気中で乾燥させた後に装入す
るための装入装置であって、上記装入装置は、上記湿原
料を上記流動層型予備還元炉上部から当該予備還元炉内
部に供給するための原料投入装置と、こうして投入され
た上記湿原料を当該予備還元炉内の高温ガス雰囲気中に
滞留させ、次いで滞留後の原料を上記流動層の濃厚層部
分に供給するための滞留・供給装置とからなり、上記滞
留・供給装置は上記流動層の濃厚層部分よりも高い位置
に設けられ、上記湿原料を当該予備還元炉内の高温ガス
に曝すための滞留場所と、こうして所要時間上記高温ガ
スに曝された原料を上記流動層の濃厚層部分に供給する
ための原料供給機構とが備えられていることに特徴を有
するものである。
【0024】請求項8記載の湿原料を流動層型予備還元
炉に装入する装置は、請求項7記載の発明において、上
記滞留場所で上記高温ガスに曝された原料を上記濃厚層
部分に供給する上記原料供給機構は、上記原料を上記濃
厚層部分に機械的に押し込む方式であることに特徴を有
するものである。
【0025】請求項9記載の湿原料を流動層型予備還元
炉に装入する装置は、請求項7又は8記載の発明におい
て、炉壁内部に、上記滞留場所にある原料を直接加熱す
るためのバーナー又は支燃性ガス吹込み装置を備えてい
ることに特徴を有するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施形態を説明
する。 (1)始めに、図を参照しながら、その実施形態を説明
する。
【0027】図1は、この発明の方法及び装置の実施形
態例を説明する鉱石の流動層型予備還元炉の概略縦断面
図である。溶融還元製鉄工程において、鉄鉱石及び/又
は主成分が酸化鉄である製鉄ダストからなる原料62
を、予備還元炉2に装入し、これを所定の還元率まで還
元する。
【0028】原料62の鉱石及び製鉄ダストは両方共に
水分を含んだものか、あるいは一方のみが水分を含むも
のを使用する。そして、水分を含んだ原料62について
は、予備還元炉2内の還元性の高温ガス雰囲気中に所要
時間滞留させ、予備還元炉2内ガスの顕熱によりその水
分を蒸発させてから、当該予備還元炉2内流動層の濃厚
層部分65に装入する。乾燥された原料62が濃厚層部
分65に装入されるので、水分蒸発熱による濃厚層部分
65の温度降下を回避でき、還元効率及び生産効率の維
持に有利となる。
【0029】なお、本方法及び装置で予備還元炉を操業
するに当たり、流動層の濃厚層部分に適宜間仕切りある
いは邪魔板を入れて、濃厚層への原料装入位置を限定す
ることにより、水分の蒸発・乾燥効果をより完全なもの
とすることができる。
【0030】さて、予備還元炉2内には、高温ガス雰囲
気中に所定時間、原料62を曝すための滞留・供給装置
66を設け、これに投入シュート61から原料62を供
給する。滞留・供給装置66は、原料62の炉内での滞
留場所66aと、そこから流動層の濃厚層部分65にそ
れを装入するための供給機構66bとで構成する。
【0031】水分を含んだ原料62の形態としては、粒
状又はスラリー状いずれでもよい。滞留場所66aの形
態は、同図に示したようなステージ型あるいは内壁の一
部を変形して設けた傾斜平面場所とする(後述の図4
中、71:滞留斜面)。また、滞留場所66aで乾燥し
た原料を濃厚層部分65へ供給するための供給機構66
bとしては、ステージの傾動方式あるいは炉壁滞留場所
に平行にストロークするプッシャー方式等であればよ
い。なお、ステージ型の場合はステージを回動できるよ
うにすれば、原料の装入領域が広がる。
【0032】予備還元炉2内へ原料62を投入する時の
当該原料62の形態がスラリー状の場合には、形状保持
の強化材をこれに添加してスラリーの強度を高め、多数
本のひも状にして炉内空間に滞留させつつ、ゆっくりと
投入シュート61から濃厚層部分65に装入する。
【0033】原料粒子の流動層を形成させるための分散
板67及び滞留・供給装置66はいずれも、外部を耐火
物製とし、内部を水冷構造とする。流動層型予備還元炉
2には、鉱石や製鉄ダストの予備還元製錬操業を行なう
ために通常必要な装置及び計測機器を設けるが、更に下
記装置を適宜付属させるこにより、製錬操作を一層制御
し易くして操業を安定化させ、且つ設備保全の向上を図
るのが望ましい。
【0034】予備還元炉2内での原料62の滞留時間
調節装置。 原料62をスラリー状で炉内へ装入するためのスラリ
ー化装置。 スラリー状原料62を投入シュート61から濃厚層部
分65へ到着させるまでの所要時間を長く制御するため
に、スラリー状装入物の形状保持の強化を目的とし、強
化物質を添加してスラリーを調製するためのスラリー形
状強化手段。但し、形状強化物質としては、繊維状物
質、網目状物質、粘着・接着性物質が適しており、材料
としては鉄線(テッサ、金網等)、炭素繊維状物質、通
常の粘結材・各種バインダー、あるいは、高温ガスとの
接触で固化ないし繊維化する物質が適する。形状強化物
質の添加作用としては、装入物からの付着水、結晶水あ
るいは包蔵水等の水分、蒸気、あるいはまた揮発分の発
生量が多いほど、最初のスラリー形状の維持が困難とな
ることを考慮して、適度のガス抜き穴を形成する作用を
もつものが効果的である。 投入シュート61から原料62を滞留場所66aに投
入する場合、炉壁内周方向で偏在分布させて濃厚層部分
65に装入するための装置。
【0035】(2)次に、この発明において、流動層型
予備還元炉へ原料を装入する方法及び装置を上述したよ
うに限定した理由ないしその限定条件下における作用・
効果について説明する。
【0036】 流動層型予備還元炉へ装入する湿原料
中水分やIg.lossを蒸発、分解させて除去した後
に、原料を流動層の濃厚層部分へ装入することにより、
鉄鉱石の乾燥設備を省略しても、予備還元炉を正常に運
転することができる。上記水分等の除去は、当該予備還
元炉内の高温ガス雰囲気に湿原料を適切に曝すことによ
り達成される。その方法として、装入湿原料を予めスラ
リー状態に形成し、このスラリーの形状を保持強化し、
その投入口からスラリーの強度を保持しつつ、高温ガス
雰囲気中をゆっくりを時間をかけて濃厚層部分に装入す
ることが望ましい。
【0037】 原料を予備還元炉内の高温ガス雰囲気
中に所要時間滞留させることにより、別途原料の乾燥設
備がなくても、鉱石及び製鉄ダストの付着水分は加熱・
蒸発する。従って、流動層の濃厚層部分の温度は低下し
ない。なお、滞留時間を長くすれば鉱石中の結晶水が蒸
発し、更には分解まで進む。少なくとも、鉱石及び/又
は製鉄ダストの付着水を蒸発させるためには、上記高温
ガス雰囲気中に、次式で算出されるte 以上の時間、滞
留させることが必要である。
【0038】 te =5W/S ------------------------------(1) 但し、 te :滞留時間(min) W :湿原料の付着水分(外数)(wt.%) S :湿原料の比表面積=α/(dρS )(m2 /t) α :湿原料の形状係数 d :湿原料の代表厚さ(m) ρS :湿原料の嵩密度(t/m3 ) 本発明者等の試算によれば、流動層型予備還元炉操業
中、空塔速度を考慮した場合でも、投入シュートから重
力落下で湿原料を投入した場合についてみると、濃厚層
部分から投入シュートまでの高さ(h)が5mのとき、
原料落下時間はほぼ1.0秒であり、hが20mと現実
的に最大限度水準を想定した場合でもほぼ2.0秒とな
る。一方、上記の重力落下により湿原料を濃厚層部分に
装入した実験結果によると、付着水分の蒸発は少なく、
濃厚層部分の温度低下が著しく、予備還元の機能が十分
発揮されず、その還元率も例えば3wt.%と低いものであ
った。上記制約条件により、付着水分や結晶水を予め蒸
発させておけば、予備還元炉の操業安定化及び生産性効
率化に寄与する。また、予備還元炉への酸素及び燃料の
装入原単位が節減される。
【0039】ここで、原料と高温ガスとを接触させる時
期を、当該製錬中とし、接触位置を予備還元炉内の空間
ないし炉壁面の上とするのは、原料と高温ガスとの接触
用設備を別途作らずにすませ、できるだけ高温状態のガ
スと接触させ、しかも原料を流動層の濃厚層部分に簡単
に装入作業し得るようにするためである。
【0040】なお、製鉄ダストとしては、溶融還元炉や
予備還元炉の排ガスの除塵機で捕集、回収されたダスト
も含むものとする。それは、このダストには、微粉鉱石
が多量に含まれており、また、製錬中に生成した酸化鉄
も含まれているからである。その他の製鉄ダストとし
て、製鉄所の電気炉から発生するダスト、転炉から発生
するダスト、あるいは電気炉建屋や転炉建屋の集塵ダス
ト、鋼材加熱炉の廃ガス除塵ダスト、並びに焼結機で発
生するダスト等、酸化鉄、固定炭素、CaOやSiO2
等の造滓材成分等、多岐にわたる成分を含んだ製鉄ダス
トを用いることができる。
【0041】 装入物質をスラリー状にすれば、予備
還元炉までのこうした原料の搬送が容易となるばかりで
なく、予備還元炉への投入速度制御が容易となり、溶融
還元炉内の必要滞留時間の確保と制御が容易にできる。
【0042】 スラリー状原料の形状強化により、ス
ラリー状原料を、炉上部の投入シュートから垂らした場
合に、所要滞留時間に至る以前に破断したり、バラバラ
になって濃厚層部分に落下することがなくなり、原料の
装入制御が容易になる。
【0043】 各種装入物質の代表厚さが8mm以上
のものを使用すれば、いわゆるシンターフィード鉱石や
数mmの細粒状石炭をそのまま使っても、結合強度を十
分確保することができ、一方、その代表厚さが30mm
以下のものを使用すれば、熱効率・反応効率の点での遅
滞を起こさず、本方法を実施できる。代表厚さについて
は、12〜20mmとすれば、一層望ましい。
【0044】 流動層型予備還元炉の濃厚層部分の温
度下降度合に応じて、装入物の滞留時間を調整すること
ができれば、反応効率の高位安定と湿原料の過剰投入に
よる予備還元炉の操業不安定を抑制することができる。
濃厚層部分の温度測定、鉱石還元率ないしFeO含有率
等の分析機器による炉内状況の把握も必要である。流動
層の濃厚層部分の温度は、熱電対による測定、雰囲気ガ
ス温度及び炉壁熱負荷の変化から、直接的又は間接的に
これを知ることができる。
【0045】 流動層の濃厚層部分よりも高い位置
に、滞留・供給装置を設け、その滞留場所の底面が、装
入物の安息角以下の傾斜面の場合には、そこに堆積した
投入物については、所要滞留時間を容易に稼ぐことがで
きる。勿論、滞留場所の底面を安息角以上とし、原料中
水分を多くして炉壁へ投入物が付着するようにしても滞
留時間の確保は可能である。
【0046】 滞留場所へ投入された装入物が過剰に
堆積しないように、堆積した装入物を強制的に、機械的
に掻き取り、押し込む機能をそなえた機器を設ける。そ
のようなものとして、プッシャーないし機械的掻き取り
装置で十分である。
【0047】 予備還元炉の炉壁近傍に、滞留場所に
ある原料を直接加熱するためのバーナー又は支燃性ガス
吹込み装置を備えておくことにより、短時間で水分を蒸
発させることができ、コンパクトな装置で、結晶水の蒸
発から、鉱石の予熱・予備還元まで進行させることがで
きる。
【0048】こうして予備還元された原料は、次に溶融
還元炉1へ装入され、炭材63及び造滓材64によって
製錬されて溶銑36及びスラグ37が生成される。
【0049】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に詳細
に説明する。図9に示した先行技術のDIOS法による
溶融還元製鉄法を基準とし、これに対して本発明の範囲
内の試験例として実施例1〜6、及び本発明の範囲外の
試験例として比較例1及び2を行なった。
【0050】〔実施例1〕図2に示す試験操業のプロセ
スフローにより試験した。そして、鉄鉱石の予備還元に
は、図1に示した流動層型予備還元炉を使用した。
【0051】主な試験内容は、水分を含んだ鉄鉱石を、
予備還元炉内の高温雰囲気で水分乾燥を行ない、次いで
流動層の濃厚層部分にこれを添加し、正常な予備還元炉
操業を行なうことである。即ち、付着水分9wt.%の粒径
3mmで嵩密度3t/m3 の湿った原鉱石11を、投入
シュート61から断続的に予備還元炉2に装入する。装
入された原鉱石11は炉内に設けられたステージ型の滞
留場所66aに堆積する。ここで0.5分間(30秒
間)滞留させて付着水分を乾燥させた。付着水分乾燥の
ための所要時間は0.07分(4秒)である((1)式
にて、形状係数α=6、代表厚さd=0.003m、嵩
密度ρS =3t/m3 を代入)。よって、鉄鉱石は十分
に乾燥されたことになる。また、鉄鉱石中のIg.lo
ssの大部分を形成している結晶水は、元の8wt.%が約
4wt.%に減少していると推定された。結晶水の分解は鉱
石中でのその形態(例えば、水酸化鉄等)にもよるが、
おおよそ300〜400℃で分解すると考えられる。但
し、本発明は付着水の乾燥を最低限度の目標としたもの
である。従って、結晶水までを完全に分解するには、滞
留時間に更に余裕をもたせる必要がある。次いでこの乾
燥した滞留鉄鉱石73を流動層の濃厚層部分65に装入
した。装入方法は滞留場所66aを回動し、傾動させて
濃厚層部分65に落下させた。鉄鉱石を還元率24wt.%
まで予備還元した。予備還元の終わった予備還元鉱石1
3を予備還元炉2から取出し、次工程の溶融還元炉1に
装入した。こうして上記操作を繰り返し継続した。
【0052】図2に示すように、溶融還元炉1には、乾
燥石炭22及び焼成造滓材26を投入した。焼成造滓材
26としては、焼石灰及び軽焼ドロマイトを用いた。こ
れらはそれぞれ、生石灰及び生ドロマイトをそれぞれ造
滓材焼成炉6で処理したものである。溶融還元炉1には
酸素46を吹き込んで装入原料を製錬し、溶銑を製造す
る。溶融還元炉1で発生する高温の還元性の溶融還元炉
生成ガス31を、予備還元炉2の下部より導入し、鉄鉱
石の予備還元に使用した。この溶融還元製鉄工程におい
ては、予備還元炉2から発生した予備還元炉発生ガス3
2の顕熱から蒸気を回収した。更に、予備還元炉発生ガ
ス32を回収し、ガスカロリー調整用燃料を混合して回
収ガス34を調製した。そして、回収ガス34と前記回
収蒸気35を利用して発電設備54を運転し、エネルギ
ー回収を図った。一方、予備還元炉発生ガス32は除塵
機51を通してダストを回収した。この回収ダスト38
には鉄分等の有価物質が多量に含まれており、これを原
料の一部として溶融還元炉1に装入した。
【0053】表1に、この試験で使用した鉄鉱石及び石
炭の分析値水準を示す。
【0054】
【表1】
【0055】表2に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。鉄鉱石の乾燥設備を省略しても、予備還元炉内で付
着水分を十分乾燥させた後に流動層に装入することによ
り、予備還元炉を正常に運転することができ、また、次
の溶融還元炉1においても正常な溶銑製造操業を行なう
ことができた。このように、実施例1によれば、鉱石乾
燥設備の削減が可能となった。
【0056】
【表2】
【0057】〔実施例2〕図3に示す試験操業のプロセ
スフローにより試験した。そして、鉄鉱石の予備還元に
は、図4に示した流動層型予備還元炉を使用した。
【0058】主な試験内容は、鉄鉱石をスラリー化して
予備還元炉に装入し、炉内の高温雰囲気で水分乾燥を行
ない、次いで濃厚層部分にこれを添加し、正常な予備還
元炉操業を行なうことである。即ち、付着水分9wt.%の
湿った原鉱石11をスラリー化装置40により、水分2
5wt.%のスラリーに調製し、これを投入シュート61か
ら連続的に予備還元炉2に装入する。装入された鉄鉱石
スラリー70は、炉壁に設けられた原料の滞留場所であ
る滞留斜面71に投入されて代表厚さd=10mm程
度、形状係数α=4、嵩密度ρS =3t/m3 であり、
比表面積S=133m2 /tで堆積する。ここに4分間
(240秒間)滞留させて付着水分を乾燥させた。付着
水分乾燥のための所要時間は0.94分(56秒)であ
る((1)式にて、W=25wt.%、S=133m2
t)。よって、滞留鉄鉱石スラリー70’は十分に乾燥
されたことになる。また、鉄鉱石中の結晶水は元の8w
t.%が約5wt.%に減少していると推定された。次いでこ
の乾燥した滞留鉄鉱石をプッシャー72で押し下げて、
流動層の濃厚層部分65に落下させて装入し、還元率2
4wt.%まで予備還元した。上記操作を繰り返し継続し、
予備還元鉱石13を連続的に溶融還元炉1に装入した。
【0059】図3に示すように、溶融還元炉1には、実
施例1の場合と同様に、乾燥石炭22及び焼成造滓材2
6を投入した。そして、溶融還元炉1で溶銑を製造し
た。また、溶融還元炉生成ガス31を、予備還元炉2に
おける鉄鉱石の予備還元製錬用ガス、ガス顕熱回収によ
る蒸気と可燃成分利用による燃料ガスとによる発電、及
び、除塵による鉄分等有価物質回収による予備還元炉用
原料として利用した。
【0060】表2に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。原鉱石を水スラリー化し、予備還元炉内の高温ガス
雰囲気で水分を乾燥させた後に、流動層の濃厚層部分に
装入するという方法により、鉄鉱石の乾燥設備を省略し
ても、予備還元炉を正常に運転することができる。ま
た、次工程の溶融還元炉においても正常な溶銑製造操業
を行なうことができた。このように、実施例2によれ
ば、鉱石乾燥設備の削減が可能となった。
【0061】なお、実施例1及び実施例2において、原
料が投入シュート61から原料の滞留場所66aや滞留
斜面71までに到達するまでの運動区間においては、原
料が飛散しない限り、分散投入した方が雰囲気ガスとの
接触が改善され、熱効率が向上し、また炉内滞留所要時
間は短くて済む。
【0062】〔実施例3〕図5に示す試験操業のプロセ
スフローにより試験した。そして、鉄鉱石の予備還元に
は、図6に示した流動層型予備還元炉を使用した。
【0063】主な試験内容は、実施例2においてスラリ
ー化した鉄鉱石に、更に形状強化材を添加し、ひも状の
スラリーを形成させ、ゆっくり降下させつつ流動層の濃
厚層部分に装入するものである。こうして鉄鉱石の水分
乾燥を行ない、正常な予備還元炉操業を行なうことであ
る。即ち、付着水分9wt.%の湿った原鉱石11をスラリ
ー化装置40により、水分25wt.%のスラリーに調製
し、これに更に植物性繊維74をスラリーの形状強化物
質として添加した。こうして鉄鉱石スラリー70をひも
状鉄鉱石スラリー75に成形しながら、投入シュート6
1から連続的に予備還元炉2に装入する。炉内に装入さ
れた10mmφで比表面積が133m2 /tのひも状鉄
鉱石スラリー75は、炉内を垂れ下がってゆっくり下降
する間に(形状係数α=4)、高温ガス雰囲気により水
分乾燥が行なわれる。投入シュート61から濃厚層部分
65までの降下時間は、5分間(300秒)であった。
付着水分乾燥のための所要時間は0.94分(56秒)
であるから((1)式参照)、鉄鉱石は十分に乾燥され
たことになる。また、鉄鉱石中の結晶水は元の8wt.%が
約3wt.%に減少していると推定された。次いでこの乾燥
したひも状鉄鉱石を流動層の濃厚層部分65に降下・装
入し、還元率25wt.%まで予備還元した。上記操作を継
続し、予備還元鉱石13をより一層連続的に溶融還元炉
1に装入することができた。
【0064】図5に示すように、溶融還元炉1には、実
施例1及び2の場合と同様に、乾燥石炭22及び焼成造
滓材26を投入した。そして、溶融還元炉1で溶銑を製
造した。また、溶融還元炉生成ガス31を、予備還元炉
2における鉄鉱石の予備還元製錬用ガス、ガス顕熱回収
による蒸気と可燃成分利用による燃料ガスとによる発
電、及び、除塵による鉄分等有価物質回収による予備還
元炉用原料として利用した。
【0065】表3に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。原鉱石の水スラリーの形状保持強化により多数のひ
も状にし、炉内空間で水分乾燥し、流動層の濃厚層部分
に装入するという方法により、鉄鉱石の乾燥設備を省略
しても、予備還元炉を正常に運転することができた。ま
た、次の溶融還元炉においても正常な溶銑製造操業を行
なうことができた。このように、実施例3によれば、鉱
石乾燥設備の削減が可能となった。
【0066】
【表3】
【0067】〔実施例4〕実施例2と同じく、図3に示
す試験操業のプロセスフローにより試験した。そして、
鉄鉱石の予備還元には、図4に示した流動層型予備還元
炉を使用した。但し、予備還元炉に装入する鉄鉱石の水
分乾燥条件を、実施例2の試験条件よりも一層有利に設
定した場合の試験である。即ち、実施例2の鉄鉱石の比
表面積133m2 /tを200m2 /tに増大させ、炉
内雰囲気中での滞留時間を実施例2の5分に対して、3
分に短縮した。この場合の付着水分乾燥のための所要時
間は0.63分であるから((1)式より)、鉄鉱石は
十分に乾燥されたことになる。また、鉄鉱石中の結晶水
は元の8wt.%がほぼ0wt.%に減少していると推定され
た。そして、その他の条件は実施例2と同じにし、スラ
リー状にて鉄鉱石を予備還元炉に装入した。
【0068】表3に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。鉄鉱石の乾燥設備を省略しても、予備還元炉を正常
に運転することができる。また、次の溶融還元炉におい
ても正常な溶銑製造操業を行なうことができた。このよ
うに、実施例4によれば、鉱石乾燥設備の削減が可能と
なった。
【0069】〔実施例5〕図3に示す試験操業のプロセ
スフローにより試験した。そして、鉄鉱石の予備還元に
は、図7に示した内部構造の流動層型予備還元炉を使用
した。
【0070】予備還元炉内部にステージ型の滞留場所6
6aとその回動・傾動機構からなる供給機構66bとが
設けられ、更に、滞留場所66aに堆積した滞留鉄鉱石
スラリー70’を直接加熱するためのバーナー50が設
けられている。鉄鉱石スラリーは、代表厚さ平均値が2
0mmの原鉱石11を水分30wt.%の鉄鉱石スラリーに
調製し、投入シュート61から滞留場所66aに所定量
だけ堆積させた。滞留鉄鉱石スラリー70’をここで5
分間滞留させ(形状係数α=4)、この間、高温雰囲気
ガスによる加熱とバーナー50による直接加熱とで加熱
した。なお、付着水蒸発の所要時間はバーナー加熱なし
の条件下で2.2分と算定された。付着水分を蒸発さ
せ、結晶水も全量蒸発させた。次いで、流動層の濃厚層
部分65に装入した。
【0071】表4に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。鉄鉱石の乾燥設備を省略しても、予備還元炉を正常
に運転することができた。鉄鉱石の予備還元率は28w
t.%に増大した。また、次工程の溶融還元炉においても
正常な溶銑製造操業を行なうことができた。このよう
に、実施例5によれば、鉱石乾燥設備の削減が可能とな
り、予備還元率の向上にも寄与する。
【0072】
【表4】
【0073】〔実施例6〕図5に示す試験操業のプロセ
スフローにより試験した。そして、鉄鉱石の予備還元に
は、図8に示した内部構造の流動層型予備還元炉を使用
した。
【0074】予備還元炉内部には、投入シュート61か
ら垂れ下がるひも状鉄鉱石スラリー75を直接加熱する
ためのバーナー50が設けられている。スラリーは代表
厚さ平均値が25mmの原鉱石11を、水分30wt.%の
鉄鉱石スラリーに調製し、投入シュート61から濃厚層
部分65に到達するまでの滞留時間を6分間に調整し
た。なお、スラリーの形状強化材として樹脂を用いた。
上記滞留時間の間、ひも状鉄鉱石スラリー75(形状係
数α=4)を、高温雰囲気ガスによる加熱とバーナー5
0による直接加熱とで加熱した。なお、付着水蒸発の所
要時間はバーナー加熱なしの条件下で2.8分と算定さ
れた。付着水分は蒸発し、結晶水も全量蒸発させた。次
いで、流動層の濃厚層部分65に装入した。
【0075】表4に、詳細な試験条件及び試験結果を示
す。鉄鉱石の乾燥設備を省略しても、予備還元炉を正常
に運転することができた。鉄鉱石の予備還元率は27w
t.%に増大した。また、次工程の溶融還元炉においても
正常な溶銑製造操業を行なうことができた。このよう
に、実施例6によれば、鉱石乾燥設備の削減が可能とな
り、予備還元率の向上にも寄与する。
【0076】〔比較例1〕図9に示した、先行技術のD
IOS法の溶融還元製鉄法における基準操業方法により
試験した。鉄鉱石は予熱炉77で予熱した鉱石を流動層
型予備還元炉2に装入した。流動層の製作は通常、設備
費が高価である。それにもかかわらず、ここでは、予備
還元炉2への溶融還元炉1生成ガスの入口温度をそれほ
ど高くせずに操業できる、流動層2塔方式を採用した。
前述した実施例と比較すると、鉄鉱石乾燥設備が必要で
あり、その運転用蒸気等ユーティリティーが必要であ
る。表5に詳細な試験条件及び試験結果を示す。
【0077】
【表5】
【0078】〔比較例2〕比較例1におけるDIOS法
において、付着水分9wt.%の湿った鉄鉱石を、予備還元
炉2の流動層の濃厚層部分65(図1参照)に直接装入
した。この操業においては、濃厚層部分65の温度低下
が著しく、予備還元の機能は十分発揮されず、還元率は
3wt.%にすぎなかった。なお、DIOS法による実機設
備としては、流動層1塔方式が基準とされているので、
上記操業上の不利は一層顕著になる。表5に詳細な試験
条件及び試験結果を示す。
【0079】上述した本発明の実施例では、予備還元炉
2内に装入する湿原料の種類はすべて、鉄鉱石の場合に
ついて説明した。湿原料の種類としては、その他に、な
お、上述した通り、本発明の実施例としては、鉄鉱石の
溶融還元をベースとした例を説明したが、本発明は、N
i,Cr、Mn等の金属及び金属酸化物の還元、あるい
は製鉄ダスト等の流動層型装置での処理においても同様
に有効である。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
予備還元製錬の設備費及び運転費を安価にし、且つ効率
的な操業を行なうのに大きく寄与する、湿原料の流動層
型予備還元炉への装入方法及び装入装置を提供すること
ができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法及び装置の実施形態例を説明す
る溶融還元炉の概略縦断面であり、実施例1で使用した
流動層型予備還元炉の概略縦断面説明図である。
【図2】実施例1における試験操業のプロセスフローで
ある。
【図3】実施例2、4及び5における試験操業のプロセ
スフローである。
【図4】実施例2及び4で使用した流動層型予備還元炉
の概略縦断面説明図である。
【図5】実施例3及び6における試験操業のプロセスフ
ローである。
【図6】実施例3で使用した流動層型予備還元炉の概略
縦断面説明図である。
【図7】実施例5で使用した流動層型予備還元炉の概略
縦断面説明図である。
【図8】実施例6で使用した流動層型予備還元炉の概略
縦断面説明図である。
【図9】先行技術による溶融還元製鉄法のパイロットプ
ラントの代表的プロセスフローの要部説明図である。
【符号の説明】 1 溶融還元炉 2 予備還元炉 2a 風箱 4 石炭乾燥設備 6 造滓材焼成炉 11 原鉱石 13 予備還元鉱石 21 原炭材 21’ 石炭 22 乾燥石炭 25 生造滓材(石灰石、生ドロマイト) 26 焼成造滓材(焼石灰、軽焼ドロマイト) 31 溶融還元炉生成ガス 32 予備還元炉発生ガス 34 回収ガス 35 回収蒸気 36 溶銑 37 スラグ 38 回収ダスト 40 スラリー化装置 45 燃料ガス 46 酸素 48 窒素 49 ガスカロリー調整用燃料 50 バーナー 51 除塵機 52 ガスホルダー 53 昇圧機 54 発電設備 56 蒸気回収ボイラー 61 投入シュート 62 原料 63 炭材 64 造滓材 65 濃厚層部分 66 滞留・供給装置 66a 滞留場所 66b 供給機構 67 分散板 67a ノズル 68 ランス 69 撹拌ガス 70 鉄鉱石スラリー 70’ 滞留鉄鉱石スラリー 71 滞留斜面 72 プッシャー 73 滞留鉄鉱石 74 植物性繊維 75 ひも状鉄鉱石スラリー 76 鉄鉱石 76’ 予熱鉱石 76” 予備還元鉱石 77 予熱炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 正弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 澤田 輝俊 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 関口 毅 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡部 雅之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K012 DB01 DB03 DB06 4K046 HA02 HA13 JB07 JD01 JD02 JE01 JE06 KA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融還元製鉄法により鉱石その他酸化鉄
    を含む物質を製錬する工程における流動層型予備還元炉
    に、水分を含む酸化物系及び/若しくは水酸化物系の鉱
    石、並びに/又は水分を含むダストを含有する、湿原料
    を前記流動層型予備還元炉へ装入する方法であって、前
    記湿原料を予めスラリー状態に形成し、前記スラリーに
    当該スラリーの形状を保持強化するための形状強化物質
    を混合し、こうして得られ湿原料スラリーを、前記流動
    層型予備還元炉における製錬中に、当該流動層型予備還
    元炉から発生する高温ガスの当該流動層型予備還元炉内
    雰囲気に曝しつつ、炉内流動層の濃厚層部分へ装入する
    ことを特徴とする、湿原料を流動層型予備還元炉に装入
    する方法。
  2. 【請求項2】 溶融還元製鉄法により鉱石その他酸化鉄
    を含む物質を製錬する工程における流動層型予備還元炉
    に、水分を含む酸化物系及び/若しくは水酸化物系の鉱
    石、並びに/又は水分を含むダストを含有する、湿原料
    を前記流動層型予備還元炉へ装入する方法であって、前
    記流動層型予備還元炉における製錬中に、当該流動層型
    予備還元炉から発生する高温ガスの当該流動層型予備還
    元炉内雰囲気に、前記湿原料を、下記(1)式: te =5W/S ------------------------------(1) 但し、 te :滞留時間(min) W :湿原料の付着水分(外数)(wt.%) S :湿原料の比表面積=α/(dρS )(m2 /t) α :湿原料の形状係数 d :湿原料の代表厚さ(m) ρS :湿原料の嵩密度(t/m3 ) で示される時間te 以上滞留させた後、前記流動層型予
    備還元炉内の流動層の濃厚層部分へ装入することを特徴
    とする、湿原料を流動層型予備還元炉に装入する方法。
  3. 【請求項3】 前記湿原料は予めスラリー状態に形成さ
    れたものである、請求項2記載の湿原料を流動層型予備
    還元炉に装入する方法。
  4. 【請求項4】 前記湿原料には前記スラリー状態を所要
    の形状に保持するための形状強化物質が混合されている
    ことを特徴とする、請求項3記載の湿原料を流動層型予
    備還元炉に装入する方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の発明のいずれかにお
    いて、前記流動層型予備還元炉に装入される物質とし
    て、その代表厚さが、8〜30mmの範囲内にあるもの
    を使用することを特徴とする、湿原料を流動層型予備還
    元炉に装入する方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の発明のいずれかに
    おいて、前記流動層の濃厚層部分の温度の下降度合に応
    じて前記湿原料の前記流動層型予備還元炉内での滞留時
    間を長くして、前記流動層の濃厚層部分の温度調節をす
    ることを特徴とする、湿原料を流動層型予備還元炉に装
    入する方法。
  7. 【請求項7】 鉱石その他酸化鉄を含む物質を溶融還元
    製錬して溶銑を製造する溶融還元製鉄設備における流動
    層型予備還元炉内の流動層の濃厚層部分に、水分を含む
    酸化物系及び/若しくは水酸化物系の鉱石、並びに/又
    は水分を含むダストを含有する、湿原料を、前記流動層
    型予備還元炉内雰囲気中で乾燥させた後に装入するため
    の装入装置であって、 前記装入装置は、前記湿原料を前記流動層型予備還元炉
    上部から当該予備還元炉内部に供給するための原料投入
    装置と、こうして投入された前記湿原料を当該予備還元
    炉内の高温ガス雰囲気中に滞留させ、次いで滞留後の原
    料を前記流動層の濃厚層部分に供給するための滞留・供
    給装置とからなり、 前記滞留・供給装置は前記流動層の濃厚層部分よりも高
    い位置に設けられ、前記湿原料を当該予備還元炉内の高
    温ガスに曝すための滞留場所と、こうして所要時間前記
    高温ガスに曝された原料を前記流動層の濃厚層部分に供
    給するための原料供給機構とが備えられていることを特
    徴とする、湿原料を流動層型予備還元炉に装入する装
    置。
  8. 【請求項8】 前記滞留場所で前記高温ガスに曝された
    原料を前記濃厚層部分に供給する前記原料供給機構は、
    前記原料を前記濃厚層部分に機械的に押し込む方式であ
    ることを特徴とする、請求項7記載の湿原料を流動層型
    予備還元炉に装入する装置。
  9. 【請求項9】 前記流動層型予備還元炉はその炉壁内部
    に、前記滞留場所にある原料を直接加熱するためのバー
    ナー又は支燃性ガス吹込み装置を備えていることを特徴
    とする、請求項7又は8記載の湿原料を流動層型予備還
    元炉に装入する装置。
JP28669598A 1998-10-08 1998-10-08 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置 Pending JP2000119721A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28669598A JP2000119721A (ja) 1998-10-08 1998-10-08 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28669598A JP2000119721A (ja) 1998-10-08 1998-10-08 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000119721A true JP2000119721A (ja) 2000-04-25

Family

ID=17707795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28669598A Pending JP2000119721A (ja) 1998-10-08 1998-10-08 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000119721A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5730775A (en) Method for rapid reduction of iron oxide in a rotary hearth furnace
US5338336A (en) Method of processing electric arc furnace dust and providing fuel for an iron making process
CN101548024B (zh) 用于还原氧化铁和产生合成气的方法
US5885521A (en) Apparatus for rapid reduction of iron oxide in a rotary hearth furnace
WO2003064708A1 (en) Finisher-hearth-melter furnace and method of using for iron-making / steel-making
US3313617A (en) Iron-containing flux material for steel-making process
Sarangi et al. Sponge iron production in rotary kiln
KR20150010997A (ko) 유동층 환원 유닛의 유동층으로 미립자 형상 재료를 도입하는 방법 및 장치
CN108611458A (zh) 一种转底炉处理固废的方法
US3585023A (en) Method and apparatus for reduction of iron ore
KR20010074502A (ko) 강력한 산화철 직접환원 및 고상 폐기물 최소화에 의한제강방법
WO2012087829A2 (en) Use of bimodal carbon distribution in compacts for producing metallic iron nodules
US5558696A (en) Method of direct steel making from liquid iron
JP2000119721A (ja) 湿原料の流動層型予備還元炉への装入方法及び装入装置
MXPA97007698A (en) Procedure to make arra
CA1204943A (en) Process of producing sponge iron by a direct reduction of iron oxide-containing material
JPH0130888B2 (ja)
JP2000119720A (ja) 溶融還元炉への製鉄ダストの装入方法及び装置
JP3718604B2 (ja) 高炉原料装入方法
JP3379360B2 (ja) 溶銑製造方法
CN114990274B (zh) 一种粉状铁矿气基/氢基悬浮还原粉状dri装置系统
JP2000119719A (ja) 溶融還元炉への原料及び/又は燃料の装入方法及び装入装置並びに溶融還元設備
JPH1129807A (ja) 溶銑製造方法
AU726912B2 (en) Method and apparatus for rapid reduction of iron oxide in a rotary hearth furnace
JPS5980705A (ja) 粉、粒状鉱石のたて型炉溶融還元方法