WO2022019216A1

WO2022019216A1 - 薬剤包装装置及び薬剤分包機

Info

Publication number: WO2022019216A1
Application number: PCT/JP2021/026665
Authority: WO
Inventors: 司郎大村; 繁幸山本; 邦夫深津
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2020-07-20
Filing date: 2021-07-15
Publication date: 2022-01-27
Also published as: JP2022020489A; TW202216530A; JP6955240B1

Abstract

縦シール形成部、錠剤落下ホッパ、及び横シール形成部の位置関係は固定した状態で、分包される個包の横幅を複数種類に可変可能な横型の薬剤包装装置及びこれを組み込んだ薬剤分包機を提供する。　包装紙搬送部と、包装紙搬送制御部２００と、包装紙Ｂを縦方向にシールする包装紙縦シール形成部１０７と、上端が開放した包装紙Ｂの内側に進退可能に配設された薬剤ホッパ１０と、薬剤ホッパ１０の包装紙搬送方向下流側に設けられ、包装紙Ｂの上端を横方向にシールする包装紙横シール形成部１０９とを有し、包装紙横シール形成部１０９による包装紙Ｂの上端の最大シール幅をＷとしたとき、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離を２Ｗとし、包装紙搬送制御部２００は包装紙搬送部を動作制御し、包装紙Ｂを２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）ずつ搬送して幅が２Ｗ／ｎの個包を作成する薬剤包装装置１００。

Description

薬剤包装装置及び薬剤分包機

　本発明は、錠剤や散薬等の薬剤を処方箋に従って服用分毎あるいは所定薬剤量毎の個包に分包する薬剤包装装置及びそれを組み込んだ薬剤分包機に関する。

　調剤業務において、数百種類にも及ぶ多様な形状やサイズの錠剤、カプセル剤、散薬等の薬剤を、処方箋に従って例えば朝昼晩の１日３回２週間分の計４２回分をそれぞれ１回分ずつ、所定の種類の錠剤やカプセル剤を所定数計数したり所定の散薬を所定量に分割したりした上で、一つの個包に連続的に封入する薬剤包装装置が実用化されている（例えば「特許文献１」参照）。
　「特許文献１」に開示された構成は、斜め包装装置と呼ばれ包装紙を斜め下向きの立位で搬送する包装装置であって、一つの個包に封入する薬剤の量に応じて個包の幅を可変する技術が開示されている。「特許文献１」に開示された技術では、谷折りされた包装紙を斜め下方に向けて搬送しており、包装紙の縦方向１箇所に縦シールを形成すればこの縦シールと谷折りされた包装紙の底部との間に薬剤を投入できる。そして薬剤の投入後、包装紙を所定量搬送した後に縦方向１箇所に縦シールを形成すると共に、先に形成した縦シールと現在形成している縦シールとを繋ぐように横シールを形成することにより、包装紙に薬剤が封入された個包を形成できる。実用上、１箇所目の縦シール形成時にも横シールが形成され、縦シールと横シールとが同時に形成される。現在、市場に流通している包装紙の縦方向における長さは一般的に８０ｍｍであり、これに対して横幅を６０～９０ｍｍに可変する場合が多い。
　そもそも分包装置は、１回服用分ずつ多数の薬剤を一纏めに個包することで服用の効率化を目指すものであり、これをユニットドーズと呼んでいるが、一方で特定の薬剤を小分け個包しておき、処方箋での必要数に応じて個包を必要数だけ払い出すマルチドーズと呼ばれる方式もある。

　特に錠剤のマルチドーズの場合は、錠剤を１錠ずつ個包しておけば処方された数量に対して個包を無駄なく使用することができ、１包に１錠ずつ個包するという運用が求められる。しかし、上述した最小幅の個包（縦７０ｍｍ×横６０ｍｍ）であっても市販されている錠剤の大半はその直径が１２ｍｍ以下であることを考慮すると、錠剤容積に対して包装紙の個包幅が大きすぎ、結果として錠剤１錠当たりの包装紙使用量が増加して分包後における保管容積が増大するという問題点、包装紙の費用が増大するという問題点があった。
　より具体的には、調剤薬局側から横幅４０ｍｍ程度での１錠個包が可能な分包機に対するニーズが高まっているといえるが、上述した技術のように包装紙の縦シール及び横シールは個包内に薬剤が存在する状態で形成される。このため、縦シール及び横シールの形成時には錠剤の形状に起因する膨らみの影響を包装紙が直接的に受け、縦シール及び横シール部分にしわが発生して外観の仕上がりが悪化するだけでなく、隙間が発生する場合には機密性が低下して薬剤を長期保存できないという問題点があった。

　上述した問題点に対して、横型包装装置と呼ばれ、包装紙を水平横向き立位で搬送し、縦シール形成部と横シール形成部とを別々に設け、薬剤が封入される前の包装紙が平坦な状態で縦シールを２箇所形成し、各縦シール間に薬剤を投入する技術が提案されている（例えば「特許文献２」参照）。この技術では、包装紙が平坦な状態で縦シールが形成されるためしわは発生し難く、外観に優れ機密性の高いシール部分を実現できるものの、縦シール形成部、錠剤落下ホッパ、及び横シール形成部の位置関係がそれぞれ固定されていると、分包する個包の横幅を可変できないという問題点がある。
　横型包装装置において個包の横幅を可変させるためには、縦シール形成部、錠剤落下ホッパ、及び横シール形成部の位置関係を変化させる自動移動機構を設ければよいが、特に高温の熱源を有するシール形成部を安全確実に移動させる移動機構は複雑高価にならざるを得ないという問題点を有している。従って、現在の市場で多用されている横型包装装置に用いられる個包は、縦７０ｍｍ×横８０ｍｍというように寸法が固定されたものが一般的である。

特開２０１３－２４４９６６号公報特開２０１９－２０２８０１号公報

　上述したように、縦シールを薬剤の封入前に形成することで包装紙にしわが発生し難く、外観に優れ機密性の高い縦シールを形成可能な横型包装装置において、個包の横幅を簡便に変更可能な技術が求められている。具体的には、錠剤のマルチドーズ処方（１包１錠化）の場合に錠剤１錠当たりの包装紙使用量を低減し、分包後における保管容積の低減及び包装紙の費用低減が求められている。
　本発明は上述の問題点を解決し、縦シール形成部、錠剤落下ホッパ、及び横シール形成部の位置関係をそれぞれ固定した状態で、分包される個包の横幅を複数種類に可変可能な横型の薬剤包装装置及びこれを組み込んだ薬剤分包機の提供を目的とする。

　請求項１記載の発明は、谷折りされた包装紙を横向きに立位搬送する包装紙搬送部と、前記包装紙搬送部による前記包装紙の搬送を制御する包装紙搬送制御部と、前記包装紙を個包に区分けすべく前記包装紙を縦方向にシールする包装紙縦シール形成部と、前記包装紙縦シール形成部の包装紙搬送方向下流側に設けられ、上端が開放した前記包装紙の内側に進退可能に配設された、上方から受け入れた薬剤を下方に落下させる薬剤ホッパと、前記薬剤ホッパの包装紙搬送方向下流側に設けられ、前記包装紙の上端を横方向にシールする包装紙横シール形成部とを有し、前記包装紙横シール形成部による前記上端の最大シール幅をＷとしたとき、前記包装紙縦シール形成部と前記包装紙横シール形成部の後端部との距離を２Ｗとし、前記包装紙搬送制御部は前記包装紙搬送部を動作制御し前記包装紙を２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）ずつ搬送して幅が２Ｗ／ｎの個包を作成することを特徴とする。

　請求項２記載の発明は、請求項１記載の薬剤包装装置において、さらに前記包装紙縦シール形成部の包装紙搬送方向上流側に前記包装紙に印刷を行う印刷部を有し、前記包装紙縦シール形成部と前記印刷部との間の包装紙搬送長さが２Ｗであることを特徴とする。

　請求項３記載の発明は、請求項２記載の薬剤包装装置において、さらに前記印刷部の包装紙搬送方向上流側に前記包装紙に目印の線を付す線引き部を有し、前記印刷部と前記線引き部との間の包装紙搬送長さが２Ｗであることを特徴とする。

　請求項４記載の発明は、請求項１ないし３の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、さらに前記包装紙横シール形成部よりも包装紙搬送方向下流側に設けられた切断部を有し、前記包装紙横シール形成部の後端と前記切断部との間隔が２Ｗであることを特徴とする。

　請求項５記載の発明は、請求項１ないし４の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、さらに前記薬剤ホッパの包装紙搬送方向上流側に前記包装紙の搬送を抑制するブレーキ部を有することを特徴とする。

　請求項６記載の発明は、請求項１ないし５の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、さらに前記薬剤ホッパが交換可能であることを特徴とする。

　請求項７記載の発明は、請求項１ないし６の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、さらに前記包装紙横シール部は前記包装紙を溶着してシールする熱源を備え、前記個包の寸法に応じて前記熱源の発熱温度を制御可能であることを特徴とする。

　請求項８記載の発明は、請求項１ないし７の何れか一つに記載の薬剤包装装置を備えた薬剤分包機であることを特徴とする。

　本発明によれば、包装紙縦シール形成部、薬剤ホッパ及び包装紙横シール形成部の位置関係は固定したままで、分包される個包の横幅を複数種類に変更可能な薬剤包装装置及びこの薬剤包装装置を組み込んだ薬剤分包機を提供できる。

本発明の一実施形態に係る薬剤分包機の概略正面図である。本発明の一実施形態に係る薬剤包装装置の概略平面図及び概略平面レイアウト図である。本発明の一実施形態に係る薬剤包装装置の概略正面図及び概略正面レイアウト図である。本発明の一実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略正面図である。本発明の一実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略側面図である。本発明の一実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略側面図である。本発明の一実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略側面図である。本発明の一実施形態に係る薬剤分包機の動作シーケンスを示すフローチャートである。本発明の第２の実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略正面図である。本発明の第３の実施形態に用いられる薬剤ホッパの概略正面図である。本発明の一実施形態に係る分包個包の横幅設定における組み合わせを示す表である。

　以下、実施形態に係る薬剤包装装置及び薬剤分包機を、図面を用いて説明する。
　本実施形態では適用される薬剤を錠剤として説明するが、適用可能な薬剤は錠剤に限定されるものではなく、カプセル剤等の薬剤にも適用可能である。また散薬の場合でも、数量としては計数できないがその１包当りの質量の大小に応じて同様の設計は可能であり、同様の効果を発揮するものである。

　＜薬剤分包機の構成＞
　図１は、本発明の一実施形態に係る薬剤分包機の正面図である。薬剤分包機１の筐体には、前面から見て横方向に配列された３台の前後スライド棚２ａ～２ｃが取り付けられている。各前後スライド棚２ａ～２ｃは、薬剤分包機１の動作中は筐体奥側に収納されており、錠剤の補充等の場合に手動あるいは電動で前方に引き出され、左右の側面から専用錠剤収容容器３が脱着される。

　薬剤分包機１は、動作プログラム収容部２０４のプログラムによって動作する主制御装置２０２を有している。上位側システムである電子処方箋システム２０１から特定の処方指示が主制御装置２０２に伝送されると、これを受けて主制御装置２０２は服用順序毎の個包に封入すべき錠剤の組み合わせを決定し、前後スライド棚２ａ～２ｃに動作指示を出力する。図１において、符号２０３は主制御装置２０２及び薬剤分包機１の各部に電力を供給する電源装置を示している。

　複数の専用錠剤収容容器３にはそれぞれ異なる錠剤Ｐが収容され、錠剤Ｐの放出指示があると専用錠剤収容容器３内の該当する錠剤が公知の駆動制御によって矢印４の方向に１錠ずつ放出される。このとき、放出された錠剤は図示しないセンサによって放出を検知された上で、垂直シュート５の内部を落下して前後スライド棚２ａ～２ｃの下部に設けられた下部開口６からさらに下方へと落下する。
　下部開口６から落下した錠剤Ｐは、図１に示すようにスライド棚２ａ～２ｃにそれぞれ設けられた貯留シャッタ７に一旦集積される。例えば、電子処方箋システム２０１でＰ１薬１錠、Ｐ２薬２錠、Ｐ３薬３錠がそれぞれ指定された場合には、Ｐ１薬用、Ｐ２薬用、Ｐ３薬用の専用錠剤収容容器３からそれぞれ指定数の各錠剤Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３を落下させ、落下させた各錠剤Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３を貯留シャッタ７に集積させる。

　次に、各前後スライド棚２ａ～２ｃに設けられた各貯留シャッタ７を同時に開放し、各貯留シャッタ７内の錠剤Ｐを斜めシュート８に同時に落下させる。斜めシュート８の斜面に沿って落下する錠剤Ｐは中央下部出口９に集められ、さらに薬剤包装装置１００に設けられた薬剤ホッパ１０でさらに一旦集積される。
　次に、薬剤ホッパ１０に設けられたシャッタを開き、連続して搬送される包装紙Ｂの１包分のスペースに各錠剤Ｐを落下させることにより、複数の錠剤Ｐを１包に収容できる。
　この構成によれば、各前後スライド棚２ａ～２ｃのどの場所に配置した専用錠剤収容容器３内の錠剤であっても、他の錠剤に遅れることなく他の錠剤と同じ個包に収容できる。

　＜薬剤包装装置の構成＞
　次に、本発明の一実施形態である薬剤包装装置の構成について説明する。図２は本発明の一実施形態に係る薬剤包装装置の概略平面図及び概略平面レイアウト図、図３は本発明の一実施形態に係る薬剤包装装置の概略正面図及び概略正面レイアウト図である。
　薬剤包装装置１００は、上部に薬剤ホッパ１０を有しており、ベース面１０１上には包装紙Ｂ（薬剤の分包に供されるため分包紙といってもよい）に対して様々な働きをする各要素が設けられている。

　ベース面１０１上には、谷折りした包装紙Ｂを連続紙としてロール状に巻き上げたロール紙Ｒが設けられており、ロール紙Ｒの外周から供給される包装紙Ｂは図２において左から右に向けて各要素に掛け渡されている。ロール紙Ｒは送り出しリール１０２に装着され、その先端側を第１のバック・テンション用ロール１０３に掛けられ、さらにその先の各部ローラに掛け渡されて矢印１０４で示す出口に向けて導出される。
　送り出しリール１０２の先であって包装紙Ｂの搬送経路上には、線引き部１０５、印刷部１０６、包装紙縦シール形成部１０７、薬剤ホッパ１０の下端部である薬剤落下位置１０８、包装紙横シール形成部１０９、駆動ローラ１１０、切断部１１１が順に配置されている。

　薬剤包装装置１００において、各構成要素が配置される際に各構成要素間の距離関係の基準となるのは包装紙縦シール形成部１０７である。そして、薬剤包装装置１００が作成可能な個包１包の最大横幅、すなわち包装紙横シール形成部１０９による包装紙Ｂの上端シール幅の最大値を基準１包横幅Ｗとして、包装紙縦シール形成部１０７よりも包装紙搬送方向上流側に包装紙搬送長さ２Ｗ離れた位置に、感熱式印字ヘッド１１２及びこれに対向するプラテン１１３が配置されている。印字ヘッド１１２及びプラテン１１３は印刷部１０６に含まれる。
　なお印刷部１０６は、文字、コード、図柄等を印刷可能であれば感熱式（転写リボン使用または感熱紙使用）に限定されず、インクジェット式、インクリボン式等、種々の印刷機構が使用できる。

　プラテン１１３と包装紙縦シール形成部１０７との間の位置には揺動ローラ１１５が設けられている。包装紙Ｂは揺動ローラ１１５に巻き掛けられており、印刷部１０６の中央であるプラテン１１３の位置から包装紙縦シール形成部１０７の位置までの包装紙搬送長さが２Ｗとなるように設定されている。揺動ローラ１１５は図示しない首振り機構を備えて変位可能に構成されており、包装紙搬送長さを２Ｗから僅かに可変可能に構成されている。
　揺動ローラ１１５の変位により包装紙搬送長さが可変可能である構成は、プラテン１１３及び駆動ローラ１１０がそれぞれ包装紙Ｂを個包１包分移動させるときの駆動モータＭ１と駆動モータＭ２との移動ステップ距離が互いに等しい場合であっても、それぞれの立ち上がり特性及び立ち下がり特性の僅かな違いにより、包装紙Ｂが引っ張られることを防止するためである。

　プラテン１１３から包装紙搬送方向上流側に包装紙搬送長さが２Ｗ離れた位置には、線引き部１０５が配置されている。プラテン１１３と線引き部１０５との間の包装紙搬送経路には曲線部分があることから、線引き部１０５はプラテン１１３からの距離が２Ｗ離れた位置ではなく、プラテン１１３からの包装紙搬送長さが２Ｗ離れた位置に配置されている。
　線引き部１０５は、複数色のカラーペンを有し処方指示に従って所定色のカラーペンによって包装紙Ｂの所定の個包に対して所定色の線を形成するものであり、実質的には走行移動する包装紙Ｂに対して所定色のカラーペンのペン先を押圧させる機構である。線引き部１０５は、例えば朝昼晩の順で個包を作成する場合に、朝は赤色、昼は緑色、晩は青色というように線引きすることで、個包の服用時期を服用者に対して視覚的に案内する働きをするものである。
　なお線引き部１０５はこのような構成には限定されず、個包に対して線引きが可能な他の構成であってもよい。また線引き部１０５は、線引きに限定されず何らかのマークを個包に付与することが可能である構成であればどのような構成であってもよい。

　包装紙縦シール形成部１０７から包装紙搬送方向下流側に距離２Ｗ離れた位置には包装紙横シール形成部１０９の後端部が配置されており、包装紙横シール形成部１０９の後端部から包装紙搬送方向下流側に距離２Ｗ離れた位置には切断部１１１が配置されている。上述の構成より、線引き部１０５、印刷部１０６、包装紙縦シール形成部１０７、包装紙横シール形成部１０９、及び切断部１１１がそれぞれ距離２Ｗの間隔（または距離２Ｗの包装紙搬送長さ）で順に配置されることとなる。
　包装紙縦シール形成部１０７の包装紙搬送方向下流側には摩擦ブレーキ部１１４が配置されており、包装紙横シール形成部１０９の中心より包装紙搬送方向上流側に個包１包分（距離Ｗ）離れた位置には薬剤ホッパ１０からの薬剤落下位置１０８が、切断部１１１の包装紙搬送方向直上流側の位置には一対のローラによって包装紙Ｂを挟持搬送する駆動ローラ１１０がそれぞれ配置されている。

　包装紙Ｂに対する搬送駆動力は、印刷部１０６に設けられたプラテン１１３及び駆動ローラ１１０によって付与される。プラテン１１３はステッピングモータＭ１によって、駆動ローラ１１０はステッピングモータＭ２によってそれぞれ回転駆動され、これらプラテン１１３、駆動ローラ１１０、各ステッピングモータＭ１，Ｍ２の駆動機構を総称して包装紙搬送部と呼ぶ。
　なお、包装紙搬送部としてはこのような構成に限定されず、包装紙Ｂを指定距離（指定長さ）搬送可能な構成であればどのような構成でもよい。

　包装紙Ｂの搬送は、主制御装置２０２に接続された包装紙搬送制御部２００からの指示に従い、各ステッピングモータＭ１，Ｍ２が互いに同期して個包１包分ずつの間欠駆動を行うことによって行われる。しかし、各ステッピングモータＭ１，Ｍ２間において完全な同期が取れない場合を想定してプラテン１１３の包装紙搬送方向直下流側の位置に揺動ローラ１１５を配置し、各ステッピングモータＭ１，Ｍ２間に生じる走行距離の差を吸収可能となるように構成している。
　なお、主制御装置２０２及び包装紙搬送制御部２００は、ＣＰＵ、メモリ、通信インタフェース、入出力機器等を備えたものであり、それ等各要素をそれぞれ別々に備えていてもよいし一部または全ての要素を共有する構成であってもよく、さらに追加の要素を加えた構成や一部の要素を持たない構成であってもよい。

　包装紙縦シール形成部１０７及び包装紙横シール形成部１０９はそれぞれ対向する二つの平板を有しており、各平板の少なくとも一方に熱源を内蔵し、熱伝導によって各平板を加熱して、この状態で包装紙Ｂを圧接して包装紙Ｂを熱溶融によりシール封止する。包装紙Ｂは、谷折りされたその内側面に樹脂層が形成されており、この樹脂層が溶融することで確実なシール封止が行われる。
　包装紙縦シール形成部１０７の熱源には第１の温度設定部１１６が、包装紙横シール形成部１０９の熱源には第２の温度設定部１１７がそれぞれ対応して設けられており、各シール形成部１０７，１０９は包装紙搬送制御部２００からの指示に基づいて、それぞれが有する熱源の温度設定が可能に構成されている。この温度設定については後述する。

　なお、包装紙横シール形成部１０９における包装紙Ｂの上端の最大シール幅を基にして個包１包の最大幅である基準１包横幅Ｗを決定しているが、連続する個包間においてシールされない部分が発生しないように、最大シール幅は基準１包横幅Ｗよりも若干広くなるように設定されている。このため、包装紙横シール形成部１０９において二つ以上の個包が連続的にシールされる場合には、先の個包と後の個包とにおいてシール部分である横シールが互いにオーバラップするように構成している。
　切断部１１１は、各個包の縦シールの中央を縦方向に切断刃で切断するものであるが、この他に、包装紙Ｂを完全には切断せずにミシン目を形成する機能を有するものであってもよい。切断する構成とミシン目を形成する構成とを両方とも有する場合には、例えば、１個包毎にはミシン目を、１処方毎には切断を行うように制御される。

　＜薬剤ホッパの構成＞
　図４は本発明の一実施形態に係る薬剤ホッパ１０の正面図を、図５～図７は同側面図をそれぞれ示している。薬剤ホッパ１０は上ホッパ１１と下ホッパ１２とを有し、上ホッパ１１の上開口１３から投入した錠剤Ｐを、漏斗状に形成された上ホッパ１１からその下方に配置された下ホッパ１２へと落下させる。下ホッパ１２に到達した錠剤Ｐはさらに下方へと落下し、事前に包装紙縦シール形成部１０７によって包装紙Ｂに形成された、図４に示す縦シール１０７ａ，１０７ｂ間の空間Ｂ１に収容される。

　薬剤が排出される下ホッパ１２の下端は、その中央部が上方に向けて楕円弧状に切り欠かれ、下端両側には細いくちばし状に形成されたガイド体１４ａ，１４ｂが設けられている。ガイド体１４ａ，１４ｂは、図４に示す状態において、包装紙Ｂの開放された上端の内側に所定量だけ挿入された位置を占めている。ここで、縦シール１０７ａ，１０７ｂはその上部に形成された非接合部の距離Ｌが上述した所定量よりも若干大きく設けられているため、ガイド体１４ａ，１４ｂが図４に示す位置を占めた状態で包装紙Ｂを搬送方向に走行移動可能に構成されている。

　図５に示すように、上ホッパ１１はホッパ保持体１５に固定されており、図６に示す下開放部１６を開閉する回動シャッタ１７をその下部に有している。ホッパ保持体１５の下部には鉛直に保持されたガイド軸１８が設けられており、下ホッパ１２はキャリッジ１９を介してガイド軸１８に上下動可能に支持され、図示しない上下動機構の作動により上下動される。回動シャッタ１７は上ホッパ１１の下部に回動自在に支持されており、図示しない開閉機構の作動により下開放部１６を開閉する。
　薬剤ホッパ１０は、共に図示しない上下動機構及び開閉機構を同期して作動させることにより、図４及び図５に示すように上ホッパ１１と下ホッパ１２とが接近して回動シャッタ１７が下開放部１６を閉塞した状態の「錠剤受入位置」と、図６に示すように下ホッパ１２が下降して包装紙Ｂの内部まで進入すると共に回動シャッタ１７が下開放部１６を開放した状態の「錠剤封入位置」との二つの位置を選択的に取り得る。
　なお、上ホッパ１１と下ホッパ１２とが一体となった構成により薬剤ホッパ１０が構成され、薬剤ホッパ１０は、ホッパ保持体１５に保持された状態で掛け金２２によって薬剤包装装置１００に設けられた固定台２１に固定され、図７に示すように掛け金２２を外すことで薬剤包装装置１００からの取り外しが可能となる。

　＜作用説明＞
　上述した構成の薬剤分包機１の作用を、その動作シーケンスを示すフローチャートである図８に基づいて説明する。
　各部の動作は、特定の個包１包に対する連続した動作が当該個包の後に作成される各個包に対して並列して実行されるので、各個包に対して行われる各動作はそれぞれ同一時間で行われ、これをタクトと呼ぶ。タクトは図８においてＴ０１，Ｔ０２，Ｔ０３，Ｔ０４・・・として示すが、本実施形態で示す薬剤分包機１において一つのタクトは約１秒で実行される。
　図８では、各タクトにおける各部の動作をｎ包目の例でそれぞれ示しており、包装紙Ｂ側での動作をＳｎ１，Ｓｎ２，Ｓｎ３，Ｓｎ４・・・、錠剤Ｐ側での動作をＪｎ１，Ｊｎ２，Ｊｎ３とそれぞれ表している。各タクトではそれぞれ以下の動作を行うが、全てのタクトは駆動ローラ１１０及びプラテン１１３を回転させて包装紙Ｂを１包分の距離として基準１包横幅Ｗだけ移動させる動作を含む。

　先ず、分包紙Ｂ側での動作を説明する。
　Ｓｎ１・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させながら線引き部１０５で線引き動作を実行させる。
　Ｓｎ２・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ３・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させながら印刷部１０６で印刷動作を実行させる。
　Ｓｎ４・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ５・・・包装紙縦シール形成部１０７で縦シール形成動作を実行させ、実行後に包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ６・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ７・・・包装紙Ｂに錠剤を封入し、封入後に包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ８・・・包装紙横シール形成部１０９で横シール形成動作を実行させ、実行後に包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ９・・・包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。
　Ｓｎ１０・・・切断部１１１で包装紙Ｂを切断し、切断後に包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる。

　動作Ｓｎ１０では、切断部１１１での切断動作実行の有無は選択的として、一般的には１処方分の連続段階では切断動作を実行せず、１処方分の分包が完了した場合にのみ切断動作を実行する場合が多い。
　各動作Ｓｎ２，Ｓｎ４，Ｓｎ６，Ｓｎ９は全て「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる」という動作であり、分包紙Ｂに個包を１包だけ作成する場合にはこの通りの動作を行う。しかし、分包紙Ｂに連続して個包を作成する場合には、例えば動作Ｓ１２の「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる」という動作と動作Ｓ２１の「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させながら線引き部１０５で線引き動作を実行させる」という動作とがタクトＴ０２という同一タクトで実行されるため、実質的には動作Ｓ２１において「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させながら線引き部１０５で線引き動作を実行させる」動作が実施され、この動作に動作Ｓ１２の「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる」という動作が含まれることとなる。
　すなわち、同一タクト内で２以上の動作が同時に行われる場合において、２以上の動作にそれぞれ「包装紙Ｂを１包分の距離Ｗだけ移動させる」という動作が含まれる場合には、当該動作を１回のみ実行するように包装紙搬送制御部２００が動作制御を行う。

　次に、錠剤Ｐ側での動作を説明する。
　Ｊｎ１・・・専用錠剤収容容器３から錠剤Ｐを放出させ、垂直シュート５及び下部開口６を介して錠剤Ｐを貯留シャッタ７上に一時的に貯留させる。
　Ｊｎ２・・・貯留シャッタ７を開放させ、斜めシュート８及び中央下部出口９を介して錠剤Ｐを上ホッパ１１上に一時的に貯留させる。
　Ｊｎ３・・・回動シャッタ１７を開放させ、下ホッパ１２を下降させる。
　上述した分包紙Ｂ側での動作である動作Ｓｎと錠剤Ｐ側での動作である動作Ｊｎとは共に同期しており、動作Ｊｎ１は動作Ｓｎ５と同一タクト、動作Ｊｎ３は動作Ｓｎ７と同一タクトでそれぞれ実行される。

　以上、個包の最大幅を基準１包横幅Ｗとしたときに連続個包を作成する動作を説明したが、最大幅を基準１包横幅Ｗよりも小さくした個包を作成する動作を、本発明の第２の実施形態を示す図９及び本発明の第３の実施形態を示す図１０を用いて説明する。
　本発明の構成では、各主要構成要素である線引き部１０５、プラテン１１３、包装紙縦シール形成部１０７、包装紙横シール形成部１０９の後端部、切断部１１１が個包の最大幅、すなわち最大分包幅である基準１包横幅Ｗの２倍である距離２Ｗの位置にそれぞれ配置されており、２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）の幅の個包が作成可能に構成されている。

　図９に示す第２の実施形態はｎ＝３であり、個包の幅は２Ｗ／３となり、Ｗ＝８０ｍｍであれば個包の幅は２×８０／３＝５３．３３ｍｍとなる。この場合、最大分包幅が基準１包横幅Ｗである場合に使用した、第１の実施形態で示した薬剤ホッパ１０を保持したホッパ保持体１５を取り外し、図９に示す専用の中型の薬剤ホッパ３０を薬剤ホッパ１０に代えて使用する。薬剤ホッパ３０は、基本構成は薬剤ホッパ１０と同一であって下ホッパ３１と上ホッパ３３とを有しており、下ホッパ３１の包装紙Ｂ内に進入するガイド体を有する筒部３２の断面内幅Ｈａが薬剤ホッパ１０よりも小さく形成されている。具体的には、Ｗ＝８０ｍｍの場合にはＨａ＝３５～４０ｍｍとすることで、大型錠剤１錠分のマルチドーズに好適となる。

　図１０に示す第３の実施形態はｎ＝４であり、個包の幅は２Ｗ／４となり、Ｗ＝８０ｍｍであれば個包の幅は２×８０／４＝４０ｍｍとなる。この場合、最大分包幅が基準１包横幅Ｗである場合に使用した第１の実施形態で示した薬剤ホッパ１０を保持したホッパ保持体１５を取り外し、図１０に示す専用の小型の薬剤ホッパ４０を薬剤ホッパ１０に代えて使用する。薬剤ホッパ４０は、基本構成は薬剤ホッパ１０，３０と同一であって下ホッパ４１と上ホッパ４３とを有しており、下ホッパ４１の包装紙Ｂ内に進入するガイド体を有する筒部４２の断面内幅Ｈｂが、薬剤ホッパ１０，３０よりも小さく形成されている。具体的には、Ｗ＝８０ｍｍの場合にはＨｂ＝２５～３０ｍｍとすることで、小型錠剤１錠分のマルチドーズに好適となる。

　第２の実施形態ではｎ＝３の例を、第３の実施形態ではｎ＝４の例をそれぞれ示したが、さらにｎ＝５、ｎ＝６等に個包の幅を設定することは、各個包の幅に対応した薬剤ホッパに交換することで実現可能である。また、第１ないし第３の各実施形態ではＷ＝８０ｍｍの例をそれぞれ説明したが、Ｗの値は他の数値であってもよい。本発明では、作成可能な個包１包の最大横幅、すなわち包装紙横シール形成部１０９による包装紙Ｂの上端シール幅の最大値を基準１包横幅Ｗと定義している。従ってＷの値はシール幅の最大値であり、Ｗの値を変化させることとは最大シール幅を変更することを意味している。Ｗの数値を変化させた場合の例を、図１１を用いて説明する。
　図１１は、最大分包幅Ｗを７０ｍｍ、８０ｍｍ、９０ｍｍ、１００ｍｍの何れかとし、ｎ＝２～６の何れかとしたときの、各条件で作成可能な分包幅の組み合わせを示している。この例では図１１に示すように、分包幅として２３．３ｍｍ～１００ｍｍの間の１９通りの値を採用することができる。

　上述より、薬剤包装装置１００の変更を行うことなく、最大分包幅Ｗに対して２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）である値の幅の個包を作成することができる。しかしこれを実現するためには、線引き部１０５と印刷部１０６との間の距離、印刷部１０６と包装紙縦シール形成部１０７との間の距離、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端との距離、包装紙横シール形成部１０９の後端と切断部１１１との間の距離が、それぞれ等しく２Ｗであることが前提である。
　また、その円周長がＷとなるように駆動ローラ１１０の直径を設定しておけば、駆動ローラ１１０の１回転で長さＷ、２回転で長さ２Ｗの包装紙Ｂを搬送可能である。これによれば、一般の二相励磁式ステッピングモータであり１ステップ角度１．８度分で駆動ローラ１１０を角度１度分回転させるステッピングモータＭ２に減速機構を組み込み、１ステップ角度１度分で駆動ローラ１１０を角度１度分回転させる構成とすることにより、２Ｗ／ｎにおいてｎ＝２～６までは整数ステップ数での搬送が可能である。このような包装紙Ｂの搬送制御は、包装紙搬送制御部２００によって制御される。

　本発明は、包装紙搬送部と、包装紙搬送制御部２００と、包装紙縦シール形成部１０７と、薬剤ホッパ１０，３０，４０と、包装紙横シール形成部１０９とを有し、包装紙横シール形成部１０９による最大シール幅、すなわち個包の最大幅をＷとしたとき、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離を２Ｗとし、包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して包装紙Ｂを２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）ずつ搬送する構成を採用している。
　これにより、包装紙Ｂの個包の標準（最大）幅をＷとしたときｎ＝２の場合には、包装紙縦シール形成部１０７での縦シール形成後に包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して２Ｗ／２＝Ｗだけ包装紙Ｂを搬送して次の縦シールを形成すれば、横幅Ｗの個包の原型（横シールがない状態）を包装紙Ｂに形成できる。その後、包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して距離Ｗの搬送をさらに１回（合計２回）行うことにより、個包の原型が形成された包装紙Ｂを包装紙横シール形成部１０９に搬送でき、包装紙横シール形成部１０９の最大シール幅をＷとすることによりその位置において横シールが形成できる。
　薬剤ホッパ１０，３０，４０は包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９との間の位置に配置されているため、縦シール形成後に包装紙Ｂに薬剤が投入され、その後に横シールが形成されて薬剤が内包された個包が完成する。なお、薬剤ホッパ１０，３０，４０からの薬剤の投入位置は両側の縦シールが形成された後が望ましく、包装紙横シール形成部１０９の直前の位置が好適である。

　同様にｎ＝３の場合は、縦シール形成後に包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して２Ｗ／３だけ包装紙Ｂを搬送した後に次の縦シールを行えば、横幅２Ｗ／３の個包の原型を包装紙Ｂに形成できる。その後、包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して距離２Ｗ／３の搬送をさらに２回（合計３回）行うことにより、個包の原型が形成された包装紙Ｂを包装紙横シール形成部１０９に搬送でき、その位置において横シールが形成できる。
　薬剤ホッパ１０，３０，４０は包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９との間の位置に配置されているため、縦シール形成後に包装紙Ｂに薬剤が投入され、その後に横シールが形成されて、薬剤が内包されｎ＝２の場合よりも横幅が狭い個包が完成する。なお、薬剤ホッパ１０，３０，４０からの薬剤の投入位置は両側の縦シールが形成された後が望ましく、包装紙横シール形成部１０９の直前の位置が好適である。
　ｎ＝３以上の場合も、包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して同様の搬送を行わせることにより、さらに横幅の狭い個包を作成可能である。

　このように本発明では、薬剤を投入する前に縦シールを形成することで内包する薬剤の影響を受けることなく確実に縦シールを形成可能であることに加え、標準横幅２Ｗ／２＝Ｗを最大として２Ｗ／ｎ（ｎは３以上の整数）である、より横幅の狭い個包を作成可能な薬剤包装装置１００を提供できる。
　すなわち、包装紙縦シール形成部１０７、薬剤ホッパ１０，３０，４０、包装紙横シール形成部１０９の位置関係はそれぞれ固定したままで、投入する薬剤の寸法、容量、個数等に合わせて個包の横幅を、２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）として任意に決定できる。特に、熱源を有するシール部の位置を変更するには、手動自動を問わず大掛かりな機構と安全への配慮とが必要となるが、分包作業者がそのような作業を要することなく、包装紙搬送制御部２００からの動作指令のみで個包の横幅を変更でき、これにより包装紙Ｂの使用量を削減できる。

　また、完成した個包を取り扱い、あるいは服用する者にとっては、薬剤に合わせたコンパクトな包装であることから運搬や保管等の利便性が向上する。具体的には、個包の横幅をＷ，２Ｗ／３，Ｗ／２の３種類に切替可能とすることにより、最大個包幅が８０ｍｍの場合に５３．３３ｍｍ及び４０ｍｍの個包幅の分包を作成可能となる。これにより、薬剤の形状や数量に応じて最適な個包幅の分包を選定でき、どの個包幅を選定しても縦シールにしわや密閉不良が発生しない薬剤包装装置１００、及びこの薬剤包装装置１００を組み込んだ薬剤分包機１を提供できる。
　なお本発明では、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離を２Ｗとしている。包装紙Ｂの搬送時において、包装紙横シール形成部１０９の後端部が包装紙Ｂに形成された縦シールから多少包装紙搬送方向上流側または下流側にずれる場合や、包装紙Ｂが僅かに蛇行する場合も考えられる。このような場合であっても、縦シールの幅によっては個包の密封性が保たれる場合があるため、この範囲内であれば距離２Ｗに含まれるものとする。

　ここで、本発明に用いられる２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）について説明する。
　本発明の構成では、包装紙Ｂの搬送基準を包装紙縦シール形成部１０７としており、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離を２Ｗとしている。従って、ｎを２以上の整数とすることにより、包装紙縦シール形成部１０７で縦シールが形成された包装紙Ｂが包装紙横シール形成部１０９に搬送された際に、包装紙横シール形成部１０９で形成される横シールの両端部に形成された縦シールが位置することとなり、搬送量を微調整することなく各縦シール間に薬剤が投入された包装紙Ｂに対して横シールを形成することができる。これにより本発明では、薬剤が封入された任意の幅の個包を連続して形成できる。ｎが整数ではない場合には、包装紙横シール形成部１０９で形成される横シールの両端部からずれた位置に包装紙縦シール形成部１０７で形成された縦シールが位置することとなり、一定の幅の個包を作成することができなくなる。

　また、２Ｗに変えてＷを用いてもよいが、この場合には最大個包幅（基準１包横幅）Ｗの他に作成可能な個包の幅がＷ／ｎ（ｎは２以上の整数）となり、Ｗに対して１／２、１／３等の分子が１の大きさの個包しか作成できなくなり、作成可能な分包幅の種類が少なくなる。これに対して、２Ｗに代えて３Ｗを用いてもよく、この場合にはＷの他に作成可能な個包の幅がＷ／ｎ（ｎは４以上の整数）となり、Ｗに対して３／４、３／５等の分子が３の大きさの個包が作成可能となり、作成可能な分包幅の種類が多くなる。しかし、縦シールと横シールとの位置を合わせる必要上、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離を３Ｗとする必要が生じ、装置が大型化してしまう。
　本発明では、装置が大型化することなく、かつ作成可能な分包幅の種類を確保すべく、２Ｗという数値を用いている。

　本発明において、個包の横幅が変更される場合に印刷部１０６の位置を手動または自動で変更する構成としてもよい。しかし、この場合には構成や工程が複雑化する。
　本実施形態で示したように、包装紙縦シール形成部１０７と印刷部１０６との間の包装紙搬送長さを２Ｗとすることにより、この包装紙搬送長さと、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離とが等しくなるため、２Ｗ／ｎずつ包装紙Ｂを搬送することにより機構の変更を行うことなく包装紙Ｂの正確な位置に印字することができる。なお、包装紙Ｂが直線状ではなく、湾曲して搬送される場合も考慮して、包装紙縦シール形成部１０７と印刷部１０６との間の距離ではなく、その間の包装紙搬送長さとしている。ここでも、縦シールの幅によっては個包の密封性が保たれる場合があるため、この範囲内の誤差であれば長さ２Ｗに含まれるものとする。

　本発明において、個包の横幅が変更される場合に線引き部１０５の位置を手動または自動で変更する構成としてもよい。しかし、この場合には構成や工程が複雑化する。
　本実施形態で示したように、包装紙縦シール形成部１０７と線引き部１０５との間の包装紙搬送長さを２Ｗとすることにより、この包装紙搬送長さと、包装紙縦シール形成部１０７と包装紙横シール形成部１０９の後端部との距離とが等しくなるため、２Ｗ／ｎずつ包装紙Ｂを搬送することにより機構の変更を行うことなく包装紙Ｂの正確な位置に線引きすることができる。なお、包装紙Ｂが直線状ではなく、湾曲して搬送される場合も考慮して、包装紙縦シール形成部１０７と線引き部１０５との間の距離ではなく、その間の包装紙搬送長さとしている。ここでも、縦シールの幅によっては個包の密封性が保たれる場合があるため、この範囲内の誤差であれば長さ２Ｗに含まれるものとする。

　本発明によれば、個包の横幅が２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）のとき、包装紙横シール形成部１０９の後端部から距離２Ｗ／ｎずつｎ回にわたって包装紙Ｂを搬送することにより、個包の後端に形成された縦シールが切断部１１１に到達し、個包の切断が行われる。すなわち、連続して包装動作が継続している場合には、２Ｗ／ｎの距離だけ搬送される毎に包装紙Ｂ（個包）が縦シールの位置で確実に切断され、無駄な空包を作成する必要がなく包装紙Ｂの使用量を削減できる。

　本発明において、薬剤ホッパ１０，３０，４０が交換可能であるとは、同一の薬剤ホッパを一旦取り外して清掃等の工程を行ってから再装填可能であること、あるいは薬剤ホッパ１０，３０，４０の、包装紙Ｂの内側に進退可能な経路の断面積が同一である薬剤ホッパまたは異なる薬剤ホッパに交換することを含む。
　この構成によれば、薬剤ホッパ１０，３０，４０を常時清潔な状態に保つことができる。また、個包の横幅を変更した場合に、横幅に相応しい経路断面積の薬剤ホッパを選定して取り付けることにより、個包寸法に対して最大形状あるいは最大数量の薬剤を封入することができる。

　本発明では、薬剤ホッパ１０，３０，４０の包装紙搬送方向上流側に包装紙Ｂの搬送を抑制するブレーキ部としての摩擦ブレーキ部１１４を備えている。この構成により、包装紙搬送部の搬送力に対して包装紙Ｂに張力を付与できる。従来、特に個包の横幅が小さくかつ大型の錠剤が封入される場合のように、包装紙Ｂの上端が大きく開口したものにおいては、この状態で横シールを形成すると横シールにしわが生じる場合があった。本発明では、摩擦ブレーキ部１１４が包装紙Ｂに付与する張力によって包装紙Ｂの上端が大きく開口することを低減でき、横シール形成時に横シールにしわが生じることを防止して個包への密閉不良の発生を防止できる。

　ここで、各シール形成部１０７，１０９における実用上での温度設定の必要性について説明する。包装紙縦シール形成部１０７は包装紙Ｂに作成される個包の縦方向長さに対応しており、１回のシール動作において包装紙Ｂに一つの縦シールを形成する。形成される縦シールは、包装紙Ｂが搬送された後に形成されることから、包装紙Ｂ上において他の縦シールと干渉する部位には形成されない。
　これに対して包装紙横シール形成部１０９の幅は、上述したように最大分包幅Ｗよりも若干大きくなるように設定されている。従って、最大分包幅Ｗ以外の、すなわち２Ｗ／ｎにおいてｎが３以上の整数である個包では、一つの個包が送られる毎に包装紙Ｂが包装紙横シール形成部１０９で熱により圧着されるため、包装紙Ｂに形成される横シールには包装紙横シール形成部１０９で２回の熱による圧着が行われる部位が存在する。このように包装紙横シール形成部１０９では、包装紙Ｂが必要以上に溶融してしまう虞があるため、温度設定が必要となる。

　具体的には、包装紙Ｂの材質によって設定温度は変化するが、第１の温度設定部１１６で１４０℃と設定することが好適である場合、第２の温度設定部１１７では、ｎ＝３の場合には１３５℃、ｎ＝４の場合には１３０℃と設定することで、包装紙Ｂに形成される横シールへの供給熱量が過大となることを防止できる。このような温度制御は、予め分包幅や設定温度を変化させて複数の実験を行い、取得された複数のデータを包装紙搬送制御部２００に記憶される制御プログラム上に記述することで実行可能である。また、使用する薬剤ホッパ１０，３０，４０にそれぞれ目印を設け、各薬剤ホッパ１０，３０，４０を薬剤包装装置１００に装着した際にこの目印を読み取り、読み取った目印に対応した温度制御を包装紙搬送制御部２００が行う構成としてもよい。

　本発明では、薬剤包装装置１００を備えた薬剤分包機１を提供できる。これにより、分包に必要な錠剤や散薬等の薬剤の計数及び計量機能に加えて、薬剤包装装置１００として包装紙Ｂの個包の標準（最大）幅をＷとしたときｎ＝２の場合には、包装紙縦シール形成部１０７での縦シール形成後に包装紙搬送制御部２００が包装紙搬送部に動作指令を出力して２Ｗ／２＝Ｗだけ包装紙Ｂを搬送して次の縦シールを形成すれば、横幅Ｗの個包の原型（横シールがない状態）を包装紙Ｂに形成できる。これにより、極めて効率よく経済的で、かつ正確な分包作業を実行可能な薬剤分包機１を提供できる。

　以上説明したように、本発明によれば、包装紙縦シール形成部、薬剤ホッパ及び包装紙横シール形成部の位置関係は固定したままで、分包される個包の横幅を複数種類に変更可能な薬剤包装装置及びこの薬剤包装装置を組み込んだ薬剤分包機を提供できる。
　また本発明によれば、相対的に大型の錠剤に対して、その寸法比で個包の横幅をできる限り小さくしても横シール部にしわや密閉不良が発生しない薬剤包装装置及びこの薬剤包装装置を組み込んだ薬剤分包機を提供できる。

　以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。

　本発明に係る薬剤包装装置及び薬剤分包機は、調剤薬局等で行われる調剤業務に幅広く利用可能である。

１・・・薬剤分包機、１０，３０，４０・・・薬剤ホッパ、１００・・・薬剤包装装置、１０５・・・線引き部、１０６・・・印刷部、１０７・・・包装紙縦シール形成部、１０９・・・包装紙横シール形成部、１１１・・・切断部、１１４・・・ブレーキ部（摩擦ブレーキ部）、２００・・・包装紙搬送制御部、Ｂ・・・包装紙

Claims

　谷折りされた包装紙を横向きに立位搬送する包装紙搬送部と、
　前記包装紙搬送部による前記包装紙の搬送を制御する包装紙搬送制御部と、
　前記包装紙を個包に区分けすべく前記包装紙を縦方向にシールする包装紙縦シール形成部と、
　前記包装紙縦シール形成部の包装紙搬送方向下流側に設けられ、上端が開放した前記包装紙の内側に進退可能に配設された、上方から受け入れた薬剤を下方に落下させる薬剤ホッパと、
　前記薬剤ホッパの包装紙搬送方向下流側に設けられ、前記包装紙の上端を横方向にシールする包装紙横シール形成部とを有し、
　前記包装紙横シール形成部による前記上端の最大シール幅をＷとしたとき、前記包装紙縦シール形成部と前記包装紙横シール形成部の後端部との距離を２Ｗとし、前記包装紙搬送制御部は前記包装紙搬送部を動作制御し前記包装紙を２Ｗ／ｎ（ｎは２以上の整数）ずつ搬送して幅が２Ｗ／ｎの個包を作成することを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１記載の薬剤包装装置において、
　前記包装紙縦シール形成部の包装紙搬送方向上流側に前記包装紙に印刷を行う印刷部を有し、前記包装紙縦シール形成部と前記印刷部との間の包装紙搬送長さが２Ｗであることを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項２記載の薬剤包装装置において、
　前記印刷部の包装紙搬送方向上流側に前記包装紙に目印の線を付す線引き部を有し、前記印刷部と前記線引き部との間の包装紙搬送長さが２Ｗであることを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１ないし３の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、
　前記包装紙横シール形成部よりも包装紙搬送方向下流側に設けられた切断部を有し、前記包装紙横シール形成部の後端と前記切断部との間隔が２Ｗであることを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１ないし４の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、
　前記薬剤ホッパの包装紙搬送方向上流側に前記包装紙の搬送を抑制するブレーキ部を有することを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１ないし５の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、
　前記薬剤ホッパが交換可能であることを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１ないし６の何れか一つに記載の薬剤包装装置において、
　前記包装紙横シール部は前記包装紙を溶着してシールする熱源を備え、前記個包の寸法に応じて前記熱源の発熱温度を制御可能であることを特徴とする薬剤包装装置。
　請求項１ないし７の何れか一つに記載の薬剤包装装置を備えた薬剤分包機。