WO2021111989A1 - マグネシウム合金時効処理材及びその製造方法、並びにそれを使用したoa機器、輸送機器及びその部品 - Google Patents

マグネシウム合金時効処理材及びその製造方法、並びにそれを使用したoa機器、輸送機器及びその部品 Download PDF

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Abstract

常温を含む温度範囲における大きな熱伝導率と強度を両立させることが可能で、汎用性の高いマグネシウム合金時効処理材を提供するもので、このマグネシウム合金時効処理材は、1質量%以下のCaと3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなり、Mg、Ca及びZnよりなるG.P.ゾーンなどの析出物がマグネシウム母相の(0001)面上に分散しており、前記G.P.ゾーンは、(0001)面において長手方向が4.0から5.0nm以上であり、数密度が1×1020から1×1024-3の範囲である。

Description

マグネシウム合金時効処理材及びその製造方法、並びにそれを使用したOA機器、輸送機器及びその部品
 本発明はマグネシウム合金時効処理材とその製造方法に関し、さらに、本発明はマグネシウム合金時効処理材を使用したOA機器、輸送機器及びその部品に関するものである。
 マグネシウム合金は実用金属の中で最も軽い金属として知られており、その軽量性を活かすことができる用途として、例えばノートパソコンの筐体や輸送機器の構造材料等が挙げられる。これらの用途には、圧延や押出によって作製した板材や棒材などの展伸材が用いられる。板材をノートパソコンの筐体等として利用する場合は、応用上十分な力学特性に加えて優れた放熱性が要求される。
 これまで、市販の展伸マグネシウム合金では主に固溶強化により強化を図ってきた。固溶強化とは、母相とは原子半径が異なる元素を母相に固溶させて格子ひずみを導入することで強化する手法で、溶質元素の量が多ければ多いほど大きな固溶強化量を得ることができる。
 しかしながら、一般に熱伝導率が伝導電子の寄与によるところが大きい金属材料では、合金元素を固溶させると熱伝導率が低下する。例えば、特許文献1には、マグネシウムにAl(アルミニウム)と希土類金属を添加し、熱伝導率が80W/(m・K)以上で、200MPa以上の引張強度をもったマグネシウム合金が開示されている。純Mg(マグネシウム)の熱伝導率は、室温で158W/(m・K)であるが、降伏強度は100MPa未満の非常に低いものである(非特許文献1参照)。従って、このようなアプローチからは強度と熱伝導率の両者を同時に向上させることは困難であった。
 自動車のエンジンブロックなど、耐熱性が要求されるようなマグネシウム合金の鋳造材では、これまでにMg-Al系の合金に数原子%のCa(カルシウム)を添加して、結晶粒界に沿って熱的に安定な金属間化合物を主に結晶粒界上に形成し、これにより優れた高温強度を得ていた。Caの添加によって粒界上に形成する金属間化合物は、合金元素のAlを含むAlCaなどの化合物である。Caの添加による金属間化合物の形成は、母相における溶質元素濃度を下げることができるため、熱伝導性の向上にも効果的であった。
 マグネシウム合金からなる鋳造合金に対して優れた熱伝導性とクリープ特性を付与するための方法に共通しているのは、合金元素を晶出物として粒内もしくは粒界に沿って晶出させている点である。合金元素が晶出物を形成すると、母相における合金元素の濃度が低下するため、優れた熱伝導性を付与することが可能となる。晶出物を粒界上に形成することで3次元の網目状ネットワーク(特許文献2参照)を形成すると、強度メンバーとして利用することができるという利点もあるが、延性が著しく損なわれるおそれがある。さらに、加工性と強度を両立させることが可能なマグネシウム合金が開示されている(特許文献3、非特許文献3及び4参照)。
特開2008-1921号公報 特開2012-1927490号公報 特開2019-143206号公報
X. Tong, G.Q. You, Y.H. Ding,H.S. Xue, Y.C. Wang, W. Guo,Mater. Lett. 229 (2018) 261-264 X. Gao, B.C. Muddle, J.F. Nie, Philos. Mag. Lett. 89 (2009) 33 - 43 Bian et al., Magnesium Technology 2018, 361-364 B.C. Suh et al., MagnesiumTechnology 2018, 373-377
 しかしながら、Ca添加により形成する金属間化合物は非常に粗大であることから、こうした合金に展伸加工を行って板材や棒材を作製しても良好な延性が得られない。そのため、展伸加工後に最終形状への加工が必要とされるような板材として好ましくはない。
 先行技術では、市販の展伸材や、最近報告された鋳造材の強化手法が力学特性と熱伝導性の両者を向上させることが困難な点が課題である。従来の展伸マグネシウム合金の強化手法として固溶強化が用いられてきた。しかし、一般的に熱伝導率が伝導電子の寄与によるところが大きい金属材料では、合金元素を固溶させると熱伝導率が低下する。そのため、固溶強化によって強度と熱伝導率の両方を同時に向上させることは困難である。
 Mg-Al系の鋳造合金に数原子%のCaを添加して、結晶粒界に沿って熱的に安定な金属間化合物を形成することによって優れた高温強度を得た例がある。しかしながら、Ca添加により形成する金属間化合物は非常に粗大であることから、このようにして得た合金に展伸加工を行って板材や棒材を作製しても、良好な延性や成形性が得られない。よって展伸加工後に最終形状への加工が必要とされるような板材としては好ましくない。
 ところで、OA機器の筐体やパネル材は、機械的性質と共に放熱のために熱伝導率が大凡120W/(m・K)以上を有する合金が求められている。多くの用途において、強度と常温での優れた熱伝導率の両方を発現する合金が強く求められている。ところが従来のマグネシウム合金の製造方法では、強度と常温における熱伝導率とを十分に兼ね備えた汎用性の高いマグネシウム合金は得られなかった。
 本発明は、常温を含む温度範囲において大きな熱伝導率と強度を両立させることが可能で、汎用性の高いマグネシウム合金時効処理材を提供することを第1の目的とし、マグネシウム合金時効処理材の製造方法を提供することを第2の目的とする。さらに、マグネシウム合金時効処理材を使用したOA機器を提供することを第3の目的とし、マグネシウム合金時効処理材を使用した輸送機器を提供することを第4の目的とする。
 本発明者等は、従来のマグネシウム合金の固溶強化に代えて、新たに時効処理によりマグネシウム母相からG.P.ゾーンを高密度に析出させる析出強化によってマグネシウム合金を強化することで、大きな熱伝導性と機械的強度の向上が実現できるという知見を得て本発明に想到したものである。
 上記第1の目的を達成するため、本発明のマグネシウム合金時効処理材は、1質量%以下のCaと、3質量%以下のZnと、を含有し、残部がMg及び不可避不純物からなり、Mg、Ca及びZnよりなるG.P.ゾーンがマグネシウム母相の(0001)面上に分散しており、前記G.P.ゾーンは、(0001)面において長手方向が4.0乃至5.0nm以上であり、数密度が1×1020から1×1024-3の範囲である。
 上記マグネシウム合金時効処理材は、好ましくは、0.5質量%以上1質量%以下のCaと0.8質量%以上3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる。前記マグネシウム合金時効処理材の熱伝導率は、好ましくは、120W/(m・K)以上である。このマグネシウム合金時効処理材は、さらにジルコニウム又はマンガンを含んでもよく、ガドリニウム又はセリウムを含んでもよい。
 上記第2の目的を達成するため、本発明のマグネシウム合金時効処理材の製造方法は、
 Mg、Zn及びCaを溶解して鋳造固体を得る工程と、
 前記鋳造固体を均質化処理して均質化処理材を得る工程と、
 前記均質化処理材を時効処理してマグネシウム合金時効処理材を得る工程と、
を含み、
 前記マグネシウム合金時効処理材の組成が、1質量%以下のCaと、3質量%以下のZnと、を含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる。
 上記時効処理を、好ましくは、140℃から250℃の温度範囲でマグネシウム合金時効処理材の熱伝導率が120W/(m・K)以上になるまで行う。
 均質化処理材を得る工程とマグネシウム合金時効処理材を得る工程との間において、好ましくは、均質化処理材を溶体化処理して溶体化処理材を得る工程を挿入する。
 均質化処理材を得る工程と溶体化処理材を得る工程との間において、好ましくは、均質化処理材を展伸加工する工程を挿入する。均質化処理は、好ましくは300℃以上500℃以下で所定時間行う。
 上記第3の目的を達成する本発明のOA機器は、前記のマグネシウム合金時効処理材を使用した筐体又はパネル材を有する。
 上記第4の目的を達成する本発明の輸送機器及びその部品は、前記のマグネシウム合金時効処理材を使用しているか又はその部品として用いる。
 本発明は、常温を含む温度範囲において高い強度と熱伝導率を両立させることが可能で、汎用性の高いマグネシウム合金時効処理材及びその製造方法、並びにそれを使用したOA機器、輸送機器及びその部品を提供することができる。
本発明のマグネシウム合金時効処理材の製造方法を示すフロー図である。 実施例6におけるマグネシウム合金の明視野透過電子顕微鏡像で、(a)は溶体化処理材、(b)は4時間時効処理した時効処理材、(c)は120時間時効処理した時効処理材、(d)は1000時間時効処理した時効処理材を示す。 実施例6の時効処理材の高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)像で、(a)は4時間の時効処理材、(b)は1000時間の時効処理材、(c)は(a)の拡大図、(d)は(b)の拡大図を示す。 実施例6のマグネシウム合金の3次元アトムマップを示す図で、(a)は溶体化処理材、(b)は170℃で4時間の時効処理材、(c)は1000時間の時効処理材、(d)は(b)に示す時効処理材のZn、Ca及びZr原子の濃度分布、(e)は(c)の時効処理材のZn、CaおよびZr原子の濃度分布を示す。 実施例6において170℃での等温時効中の時効時間とビッカース硬度及び熱伝導率の関係を示す図である。 実施例6のマグネシウム合金の引張応力-ひずみ曲線を示す図である。 実施例6の4時間の時効処理をした時効処理材と他の市販の鍛造合金における引張降伏強度と熱伝導との関係を示す図である。
 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
 本発明のマグネシウム合金時効処理材は、1質量%以下のCa(カルシウム)と3質量%以下のZn(亜鉛)とを含有し、残部がMg(マグネシウム)及び不可避不純物からなる合金である。ここで、1質量%以下のCaとは、0質量%よりも多く1質量%以下のCaである。3質量%以下のCaとは、0質量%よりも多く3質量%以下のZnである。さらに好ましくは、0.5質量%以上1質量%以下のCaと0.8質量%以上3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる合金である。
 本発明のマグネシウム合金時効処理材は、第2相としてMg、Ca及びZnよりなるGuinier Preston ゾーン(以下G.P.ゾーンという)がマグネシウム母相の(0001)面上に分散して析出している。G.P.ゾーンは、寸法が4.0から5.0nm以上で、数密度が1×1020から1×1024-3の範囲である。ここで、G.P.ゾーンの数密度は、マグネシウム合金の1m当たりに存在するG.P.ゾーンの数と定義される。G.P.ゾーンの数密度は、後述するアトムプローブ(3DAP)を用いた3DAP分析により測定することができる。マグネシウム合金時効処理材の熱伝導率は、120W/(m・K)以上であり、さらに、成分元素としてZr(ジルコニウム)又はMn(マンガン)を含んでもよい。さらに、Gd(ガドリニウム)又はCe(セリウム)を含んでもよい。以下、合金の組成等について詳細に説明する。
(添加する元素量の上限)
 優れた熱伝導性を得るにはMgに添加する合金元素の濃度が低ければ低いほど良いので、合金元素濃度の下限値はなく、上限値を設定すればよい。Caの上限の値としては1質量%以下が好ましい。Caを1質量%以上添加すると、溶体化処理後の水焼き入れ、つまり急冷中に試料が割れる可能性があることが経験的に分かっているため好ましくない。
 優れた熱伝導性を得るにはMgに添加するZnの濃度が低いほど良いので、Znの濃度下限値はなく、上限値を設定すればよい。Znの濃度としては、0質量%よりも多く3質量%以下がこの好ましい。Znの濃度の上限値としては、後述する比較例1から、120W/(m・K)の熱伝導率を得るためには、3質量%未満にすることが好ましい。
(添加する元素量の下限)
 より好ましい実施形態である130W/(m・K)以上の熱伝導率をMg-Zn-Ca系合金で得るには、時効処理が必要となる。時効処理によって第2相を析出させるには、後述する実施例1と実施例2、3の比較から、0質量%よりも多く、例えば、0.5質量%以上のCaの添加が必要となる。また、実施例2に記載の通り、Zn濃度は0.8質量%以上添加することが望ましい。この観点からは、本発明のマグネシウム合金時効処理材は、0.5質量%以上1質量%以下のCaと0.8質量%以上3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる合金であることが望ましい。
(その他の合金元素の添加について)
 さらに結晶粒微細化による強度増加を可能にするために、添加する結晶粒微細化剤として、Zr又はMnを添加してもよい。後述する実施例3と5、又は実施例6と7の比較から、Zr又はMnを結晶粒微細化剤として添加することが望ましい。さらに、好ましくは結晶粒微細化剤としてZrを添加する。
 時効硬化性の向上や圧延時の集合組織制御のための添加元素として、CeやGdを加えることが好ましい。後述する実施例5、8に示すように、合金元素の添加により熱伝導性は低下するので、添加量は必要最小限に抑えることが好ましい。マグネシウム合金を一般式Mg-Ca-X(XはZn又はAl)合金と表記した場合、後述する比較例1、2と実施例6の比較から、X元素としてはAlよりもZnの添加が適切である。
 次に、マグネシウム合金時効処理材の製造方法について説明する。
 図1は、本発明のマグネシウム合金時効処理材の製造方法を示すフロー図である。本発明のマグネシウム合金の製造方法は、Mg、Zn、Ca等の原料を溶解した後鋳造して鋳造固体を得る工程1と、鋳造固体を均質化処理して均質化処理材(T4処理とも呼ぶ)を得る工程2と、必要により、均質化処理材を展伸加工して加工材を得る工程3と、加工材を溶体化処理して溶体化処理材を得る工程4と、溶体化処理材を時効処理してマグネシウム合金時効処理材(T6処理とも呼ぶ)を得る工程5と、を含んでいる。
(工程1:鋳造)
 工程1では、0質量%よりも多く1質量%以下のCaと0質量%よりも多く3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる合金成分を溶解した後で鋳造固体を作製する。工程1においては、必要に応じてマグネシウム合金にさらにZr等を添加してもよい。溶解の際に用いる手法は、如何なる方法であっても、所望の組成の合金が作製できればよい。例えば、合金成分の溶解は、高周波誘導溶解炉を用いてアルゴン雰囲気下で所望の組成の合金を溶解し、鉄などからなる鋳型に流し込み、冷却することにより鋳造できる。溶解の際に用いる溶解炉や鋳造固体の寸法は特に限定はされるものではなく、所望の組成の鋳造固体が作製できればよい。
(工程2:均質化処理)
 工程2では、均質化処理として、鋳造合金中に存在する合金元素の偏析や溶湯の冷却中に形成する化合物を母相に固溶させ、合金元素分布を均質化するために熱処理を行う。鋳造固体を300℃以上500℃以下、さらに好ましくは350℃以上450℃以下の範囲で所定時間の均質化処理を行うことで均質化固体を作製する。条件の詳細は後述する表1に記載した。合金元素が高濃度にマクロ偏析した領域では、高温での熱処理を行うと融解するため、所定の温度での熱処理の前に、低温での熱処理を行ってもよい。例えば、Znが高濃度にマクロ偏析している領域では、450℃で熱処理を開始すると合金が局所的に融解する、つまり、初期溶融するおそれがある。そのため、最初に300℃から350℃の範囲で熱処理することで、鋳造時に形成されたMg-Zn相の初期溶融を抑制してZnを分散した後、400℃以上500℃以下において所定時間の熱処理を施すことで、Znの分布を均質化して均質化固体を得てもよい。
(工程3:展伸加工)
 工程3では、必要に応じて均質化処理工程2と溶体化処理工程4との間に挿入される工程であり、例えば圧延、押出によって鋳造材を展伸加工し、板材や棒材のような加工材に加工する。この工程3は熱伝導性を向上させるために必ずしも必要な工程ではない。例えば、均質化固体を熱間又は温間における圧延等により板材に加工することで、板状の加工材を作製する。展伸加工による板材の作製は、熱間加工または温間加工、特に圧延加工に限定されず、微細組織が作製できる展伸加工法であれば他の加工方法でもよい。
(工程4:溶体化処理)
 工程4では、圧延等で得た板状の有形固体を溶体化処理し、これを冷却することで溶体化処理材を作製する。圧延加工中に形成した微細析出物をマグネシウム母相に固溶させ、かつ再結晶した組織を形成させるために実施する。圧延加工を行わない場合は、工程2の均質化処理と併せて行い、溶体化処理は省略してもよい。この場合には、均質化処理材を得る工程2の次に均質化処理材を時効処理してマグネシウム合金時効処理材を得る工程5を行う。溶体化処理では、加工材を熱処理することで、熱間または温間加工中に形成された微細析出物をマトリックス中に固溶させ、かつ再結晶させて組織を形成する。350℃以上500℃以下の範囲で15分から24時間の溶体化処理を行う。ただし、熱処理時間の長時間化は製造コストの増加につながるので必要以上の時間を行う必要はない。種々の温度条件にて行うことができ、条件の詳細は後述する表1に記載した。熱間または温間加工後に溶体化処理を施すことで、結晶粒の配向をランダムに配向させることができ、優れた成形性を付与することができる。
(工程5:時効処理)
 工程5では、溶体化処理材を熱処理により時効処理することで、溶体化処理された加工材に析出させた析出物を分散させて強度を付与し、これにより本発明のマグネシウム合金時効処理材を作製する。本発明では、商用マグネシウム合金では従来使われなかった時効処理を用いることで、マグネシウム合金の大幅な強化と大きな熱伝導率を達成することができる。時効処理では、140℃から250℃の温度範囲で所定時間の時効処理を行う。時効処理を行う時間はマグネシウム合金の熱伝導率が増大する時間、好ましくはマグネシウム合金の熱伝導率が120W/(m・K)以上又は最大となる時間行う。例えば、油浴中にて170℃で時効処理を行う。
 このようにして製造される本発明のマグネシウム合金時効処理材は、0質量%よりも多く1質量%以下のCaと0質量%よりも多く3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなり、Mg、Ca及びZnからなるナノメートルオーダーの析出物(G.P.ゾーン)がマグネシウム母相の(0001)面上に分散している合金である。
 本発明によれば、MgにCa及びZnを添加し、時効処理を行うことによりG.P.ゾーンと呼ばれるマグネシウム母相と整合する界面を有するナノ析出物を高密度に形成することができる。これにより延性を著しく損なうことなく、熱伝導性、機械的強度を向上させることができる時効処理材を提供することができる。
 本発明のマグネシウム合金時効処理材は、溶体化処理と、時効処理という低温の熱処理との組み合わせによって、整合するナノスケール析出物をマグネシウム母相に整合するナノスケール析出物であるG.P.ゾーンとして高密度に分散させることができる。これにより、高価な元素を使用せずに、優れた熱伝導性と力学特性を両立させたマグネシウム合金時効処理材を低コストで製造することができる。
(OA機器)
 オフィスオートメーション機器(Office Automation、OA機器と呼ぶ)は、本発明のマグネシウム合金時効処理材を使用した筐体やパネル材を有している。OA機器は、会社や事務所等のオフィスオートメーションに必要な機器の総称であり、特に制限なく目的に応じたOA機器に適用することができる。例えば、コンピュータとしてノートパソコンやデスクトップパソコン、携帯電話(スマートフォン)、携帯情報端末(Personal Digital Assistant、PDAとも呼ぶ)、コピー機、各種プリンター、ファクシミリ(FAX)等が挙げられる。
 OA機器において、本発明のマグネシウム合金時効処理材の展伸加工により加工した筐体やパネル材は、例えば、OA機器の筐体やパネル材として使用される。
(輸送機器及びその部品)
 輸送機器及びその部品に対して本発明のマグネシウム合金時効処理材によるパネル材を使用してもよい。輸送機器としては、自動車、航空機、ドローンのような飛翔体、鉄道用車両等が挙げられ、特に制限はなく目的に応じて適宜適用することができる。
 輸送機器の部品としては、本発明のマグネシウム合金時効処理材を用いた部品である。さらに、圧延等の展伸加工により加工したパネル材等は、例えば、自動車のパネル材や後部座席の部品として用いるラゲージリテイナー等の部品である。
 本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
 実施例及び比較例の各試料の測定は以下の方法で実施した。
(熱伝導率の測定)
 縦×横が10×10mmで、厚さが1mmの試料を作製し、レーザーフラッシュ法を用いて測定を行った。熱伝導率λ(W/(m・K)は、式(a×Cp×ρ)から計算した。ここで、熱拡散率a(m2/s)は、298Kで熱伝導測定装置(Linseis LFA 1000レーザーフラッシュアナライザー)により測定した。室温の密度ρ(g/cm)は、アルキメデス法(Mettler社製、 Toledo AG285)により測定した。比熱容量Cp(J/g・K)は、ノイマン・コップの法則によって推定した。
(透過型電子顕微鏡像)
 微細構造の特性評価としての透過型電子顕微鏡像は、透過型電子顕微鏡(FEI Tecnai 20及びTitanG80-200)を使用して取得した。TEM又はSTEMの観察用の薄いフォイル試験片は、直径3mmのディスクを打ち抜き、90Vの電圧で約-50℃でツインジェット電解研磨することにより作製した。
(3DAP分析)
 3次元アトムプローブ(3 dimensional atom Probe, 3DAPとも呼ぶ)は、針状試料に高電圧を印加し、試料の表面から電界蒸発するイオンを質量分析装置で検出して、個々に検出されたイオンを深さ方向へ連続的に検出し、検出された順番にイオンを並べることにより、3次元の原子分布を測定する方法である。3DAP分析は、ローカル電極アトムプローブ(CAMECA社製、LEAP5000XS)を使用し、30Kの温度で、電圧パルスモードで行った。3DAP分析用の電界蒸発に用いる鋭い針状の試料は、SEM・集束イオンビーム装置(FIB、FEIHeliosG4UX)を用いたリフトアウト及びアニュラーミリング技術によって作製した。G.P.ゾーンの数密度は、3DAP分析に用いた質量分析装置(CAMECA社製)のデータ解析ソフトにより測定した。最初に、測定した試料のデータから試料の体積を算出する。データ解析ソフトとしては、CAMECA社製IVASを用いた。次に、データの等濃度面を用いて試料のG.P.ゾーンの位置を検出して、G.P.ゾーンの数を計数し、このG.P.ゾーンの数を最初に取得した体積で除してG.P.ゾーンの数密度を計算した。
(時効硬化応答)
 時効硬化応答は、300gの荷重下でマイクロビッカース硬さ試験機(ミツトヨ社製、HM-101)によって測定した。
(引張特性)
 引張特性は、10-3-1の初期ひずみ速度で引張試験機(インストロン、5567)を用いて室温で評価した。ゲージ長が12.5mm、幅が5mmの引張試験片を、溶質処理材及び時効処理材から機械加工することで作製した。
(エリクセン値)
 常温での加工性を評価するエリクセン値(I.E.値)は、エリクセン試験により外周部を固定した薄板に球頭パンチを一定のスピードで押し当てることで薄板を変形させて、材料に破断が生じるまでのくぼみの高さにより測定した。エリクセン値を試験器(エリクセン社製、111型)により評価した。
(実施例1)
(1)合金組成  :Mg-1.0Zn-0.3Ca-0.3Zr
(2)均質化処理 :300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持後、水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で2時間
(4)時効処理:170℃で6時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り、均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/h(hは1時間である)で昇温し、さらに450℃で6時間保持した後、水冷した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 その後、板状試料を作製し、450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で6時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理を行って得た時効処理材の、各試料の熱伝導率の測定を行った。表2に詳細な時効条件及び熱伝導率を纏めて示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 上記各試料の熱伝導率は上記の方法で測定したが、それぞれ125.2W/(m・K)、127.7W/(m・K)、134.8W/(m・K)で、時効処理による若干の熱伝導率の上昇がみられた。
(実施例2)
(1)合金組成:Mg-0.8Zn-0.5Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持後、水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で1時間
(4)時効処理:170℃で10時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持した後、水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で1時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で10時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理を行った時効処理材の、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ123.8W/(m・K)、130.9W/(m・K)、135.1W/(m・K)で、時効処理によって熱伝導率の上昇がみられた。実施例2では、実施例1よりもCaの添加量を増加した。時効処理で熱伝導率を上げるには0.5%程度のCa添加が必要であることが判明した。
(実施例3)
(1)合金組成:Mg-0.8Zn-0.8Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持後、水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で1時間
(4)時効処理:170℃で16時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持した後、水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で1時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で16時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材の、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ126.8W/(m・K)、130.7W/(m・K)、130.2W/(m・K)で、時効処理により熱伝導率が上昇した。実施例3では、実施例2よりもさらにCaの添加量を増加したが、熱伝導率は実施例2よりも低下した。これにより、時効処理で熱伝導率を上げるには0.5%程度のCa添加が必要であることが分かった。
(実施例4)
(1)合金組成:Mg-0.8Zn-0.8Ca-0.3Mn
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持後、水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で1時間
(4)時効処理:170℃で16時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持した後、水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で1時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で16時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材の、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ121.0W/(m・K)、129.5W/(m・K)、129.5W/(m・K)で、時効処理によって熱伝導率の上昇がみられた。実施例4は、実施例3のZrをMnに置換した合金組成とした。Mnに代えても120W/(m・K)を超える熱伝導率を達成できたが、熱伝導率は実施例3よりも低下した。これにより、130W/(m・K)を超える熱伝導率を達成するには、MnよりもZrを微細化剤として添加することが好ましいことが分かった。
(実施例5)
(1)合金組成:Mg-1.6Zn-0.5Ca-0.5Mn-0.2Ce
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持後、水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で1時間
(4)時効処理:170℃で4時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持した後、水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で1時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で4時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ113.2W/(m・K)、115.9W/(m・K)、121.1 W/(m・K)であった。実施例5の合金組成は実施例4にCeを添加したものである。120W/(m・K)を超える熱伝導率を達成できるが、熱伝導率は実施例4よりも低下した。これにより、130W/(m・K)を超える熱伝導率を達成するには、実施例3又は4の組成で良く、余分な元素を加えない方が良いことが分かった。
(実施例6)
(1)合金組成:Mg-1.6Zn-0.5Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持、300℃まで空冷後に水冷した。
(3)溶体化処理:450℃で1時間
(4)時効処理:170℃で6時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持し、300℃まで空冷後に水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で6時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ122.6W/(m・K)、128.3W/(m・K)、135.8W/(m・K)で、時効処理によって熱伝導率の上昇がみられた。
 図2は、実施例6におけるマグネシウム合金の明視野透過電子顕微鏡像で、(a)は溶体化処理材、(b)は170℃で4時間の時効処理した時効処理材、(c)は170℃で120時間の時効処理した時効処理材、(d)は170℃で1000時間の時効処理を施した時効処理材を示している。各明視野透過電子顕微鏡像は、[112バー0]のゾーン軸から撮影したものである。また、下側に示す像は、対応する選択領域電子線回折パターン(Selected Area Electron Diffraction:SAEDパターンと呼ぶ)であり、[101バー0]α及び[0001]α方向から撮影したものである。図2(a)に示すように、溶体化処理材は、粒界と粒内部に沿って棒状の塊状の粒子を含んでおり、該粒子が溶体化処理中の再結晶粒の成長を抑制したことを示唆している。Gao等によると、該粒子はZnZr相と推定される(非特許文献2参照)。
 図2(b)に示すように、4時間の時効処理材の場合、SAEDパターンのコントラストは、Mgマトリクスの底面にnmスケールの板状析出物が密に分布している。対応する[011バー0]α及び[0001]αのSAEDパターンは、[0001]α方向に沿ったストリークと、溶液処理材の位置と比較した1/3{2バー110}及び2/3{2バー110}の余分な回折スポットを示している。これにより、SAEDパターンの解析により、微細な沈殿物であるG.P.ゾーン(Guinier. Preston. Zone)がMgマトリクスの底面、つまり、マグネシウム母相の(0001)α面上に分散していることが分かる。
 図2(c)に示すように、120時間の時効処理材には、(0001)α面上に長さが10-50nmの大きなプレート状のG.P.ゾーンのペアが析出している。
 図2(d)に示すように、4時間の時効処理材の場合と類似のSAEDパターンは、1000時間の時効処理材においても、整合されたG.P.ゾーンが存在している。
 実施例6の時効処理材を、透過型電子顕微鏡を用いたHAADF-STEM(High-angleAnnular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy、高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡像)像により観察した。図3は、実施例6の時効処理材のHAADF-STEM像で、(a)は4時間時効処理した時効処理材、(b)は1000時間時効処理した時効処理材、(c)は(a)の拡大図、(d)は(b)の拡大図を示す。各HAADF-STEM像は、[112バー0]の晶帯軸から撮影したものである。図3の(a)及び(b)に示すように、実施例6の時効処理材の低倍率のHAADF-STEM像において、G.P.ゾーンは、底面、つまりマグネシウム母相の(0001)α面に沿った明るい線状のコントラストとして観察される。この析出物は、後述する3次元アトムマップによればCa及び/又はZnが豊富に含まれている。
 図3(a)に示すように、4時間の時効処理材において、G.P.ゾーンの平均サイズは約3.2±0.4nmであり、図3(c)に示すように、(0001)α面に配置された単原子層の明るい原子列であることが分かった。一方、図3(b)に示すように、1000時間の時効処理材において、G.P.析出物の平均サイズは35±10nmであり、図3(d)に示すように、約1.3nmの間隔を持つ2つの明るい原子列で構成されることが分かった。ここで、1000時間の時効処理材において観察される析出物は、より時効処理時間が短い時効処理材において観察されるG.P.ゾーンとは異なり、G.P.ゾーンとは呼べない析出物が形成することがある。このため、G.P.ゾーンと区別するためにG.P.析出物と呼ぶ。これにより、G.P.析出物の(0001)α面上の平均サイズは、時効処理の時間が長くなるにつれて増大することが分かった。
 図3に示すように、4時間及び1000時間の時効処理材において、G.P.析出物の表面又は縁にはミスフィット転位は観察されず、両方の時効処理材のG.P.ゾーンは完全にマグネシウム母相に整合していることが分かった。ただし、1000時間の時効処理材においては、G.P.ゾーンとマグネシウム母相との間のミスフィット変位は、4時間の時効処理材の4.1%から1.8%に減少することが分かった。
 図4は実施例6のマグネシウム合金の3次元アトムマップを示す図で、(a)は溶体化処理材、(b)は170℃で4時間時効処理した時効処理材、(c)は1000時間時効処理した時効処理材を示す。図4の(d)は(b)の時効処理材のZn、Ca、及びZr原子の濃度分布、(e)は(c)のZn、CaおよびZr原子の濃度分布を示す図である。図4(a)乃至(c)の3次元アトムマップは、選択した40×40×200nmの体積から採取し、[0001]Mgに平行な方向で分析した。表3は、図4(a)乃至(c)の3次元アトムマップで測定したマグネシウム母相内の溶質濃度、平面間隔及びG.P.ゾーンの数密度を纏めたものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 図4(a)に示す溶体化処理材のZn、Ca、Zr原子は、それぞれ0.412、0.241、0.001原子%の濃度であり、均一な分布で化学的に均一な固溶体であることを示している。
 図4(b)に示す4時間時効処理した時効処理材の場合、CaとZnが濃縮された多数の微細なプレート状沈殿物、つまりG.P.ゾーンがマグネシウム母相に形成されることが観察され、表4に示すように、G.P.ゾーンの数密度と有効な平面間隔は、それぞれ約9.9×1023-3及び8.9nmという値が計算された。マグネシウム母相のZn及びCa原子の溶質濃度は、溶体化処理材と比較して0.195及び0.111原子%に減少した。
 図4(c)及び図4(e)において、1000時間時効処理した時効処理材は、(0001)α上に大きなプレートのような一対のG.P.析出物が近接して存在している。表4に示すように、G.P.析出物の数密度は約1.5×1023-3と推定され、有効な平面間隔は95.1nmと計算される。この値は、4時間の時効処理材よりもはるかに大きい値である。マグネシウム母相中のZn及びCa原子の溶質濃度は、それぞれ0.071及び0.003原子%にさらに減少した。Zr濃度は、Zn-Zr粒子の形成により、マグネシウム母相では殆ど検出されなかった。
 上記結果から時効時間の経過とともに、マグネシウム母相における溶質元素の濃度は低下する傾向にある。4時間の時効処理によって、数密度にして9.9×1023-3、つまり1×1024-3のG.P.ゾーンが析出するが、時効時間の経過とともにG.P.ゾーンは粗大化するのでその数密度は低下し、粒子間隔も大きくなることが分かった。
 図5は、実施例6における170℃での等温時効中の時効時間とビッカース硬度及び熱伝導率の関係を示す図である。図5の横軸は時効時間(時)、左縦軸はビッカース硬度(HV)、右縦軸は熱伝導率(W/(m・K))である。図5に示すように、溶体化処理材のビッカース硬度は52.8±1.6HVであり、4時間の時効処理により66.1±1.5HVのピークビッカース硬度まで急速な時効硬化を示すことが分かる。1000時間の時効処理の後、ビッカース硬度は52.3±1.3HVに低下する。
 一方、溶液処理材(T4)の熱伝導率は123.3±0.8W/(m・K)であり、4時間の時効処理をした時効処理材(T6)の熱伝導率は128.6±0.5W/(m・K)に増加し、さらに1000時間の時効処理をした時効処理材(T6)の熱伝導率は132.7±0.6W/(m・K)の最大値に到達した。
 図6は、実施例6のマグネシウム合金の引張応力-ひずみ曲線を示す図である。図の横軸は歪み(%)、縦軸は引張応力(MPa)であり、応力-ひずみ曲線から得た引張降伏強度、極限引張降伏強度、伸び及び熱伝導率を表4に示す。図6及び表4に示すように、溶体化処理材の引張降伏強度は181MPa、極限引張降伏強度は265MPa、伸びは28.2%であった。また、常温で測定したエリクセン値が、8.11mmであった。
 4時間の時効処理をした時効処理材の引張降伏強度は227MPa、極限引張降伏強度は291MPaであり溶体化処理材よりも強度が増大することが分かった。伸びは22.6%となり溶体化処理材よりも僅かに低下した。1000時間の時効処理をした時効処理材の引張降伏強度は171MPaであり、極限引張降伏強度は242MPaであり、伸びは23.8%であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 図7は、実施例6の4時間の時効処理をした時効処理材と他の市販の展伸合金における引張降伏強度と熱伝導との関係を示す図である。図7に示すように、4時間の時効処理をした時効処理材(T6)は他の市販の鍛造合金と比較して、引張降伏強度と熱伝導率のバランスが優れていることが分かった。
 実施例6は、実施例3のZn濃度を0.8質量%から1.6質量%に増加した場合である。溶体化処理後は120W/(m・K)程度の熱伝導率だが、時効処理をすることで130W/(m・K)を超える熱伝導率を達成することができることを示す例である。
 実施例6を含む本発明のマグネシウム合金は、母相となる材料を溶体化処理後に急冷することで過飽和固溶体を形成させ、その後の時効処理によって過飽和に固溶した溶質元素を高密度に分散した微細なG.P.ゾーン析出物又はG.P.析出物として析出することで時効処理材(T6)の機械的な強度が増加する。さらに、G.P.析出物の形成に伴い、マグネシウム母相に固溶しているCa、Zn、Zr等の溶質元素の量は低下するため、熱伝導性の低下の一因となる溶質元素の量は低下する。これにより、時効処理による時効硬化を用いると、強度と共に熱伝導率も向上させることができた。この原理はすでにアルミニウム合金等に用いられており、本発明はマグネシウム合金にも適用できることを見出した。
(実施例7)
(1)合金組成:Mg-1.6Zn-0.5Ca-0.4Mn
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持、300℃まで空冷後に水冷した。
(3)溶体化処理:400℃で1時間
(4)時効処理:170℃で16時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持し、300℃まで空冷後に水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で16時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ112.6W/(m・K)、117.2W/(m・K)、124.7W/(m・K)で、時効処理によって熱伝導率の上昇がみられた。実施例7の合金組成は実施例6のZrをMnに代えた例である。ZrをMnに代えることで熱伝導率の値は低下するが、時効処理を行うと120W/(m・K)を超える熱伝導率を達成できた。しかしながら、微細化剤としては、好ましくはMnではなくZrを加えるのが良いことが分かった。
(実施例8)
(1)合金組成:Mg-1.6Zn-0.5Ca-0.4Zr-0.3Gd
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持、300℃まで空冷後に水冷した。
(3)溶体化処理:400℃で1時間
(4)時効処理:170℃で16時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り、均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持し、300℃まで空冷後に水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で16時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ112.6W/(m・K)、117.2W/(m・K)、124.7W/(m・K)であった。
 実施例7の合金組成は実施例6の合金組成にGdを添加したものである。時効処理をすれば120W/(m・K)を超える熱伝導率を達成できるが、130W/(m・K)を超える熱伝導率を達成するには、余分な元素を加えない方が良いことが分かった。
(実施例9)
(1)合金組成:Mg-1.6Zn-0.5Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持、300℃まで空冷後に水冷した。
(3)溶体化処理:400℃で1時間
(4)時効処理:170℃で6時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後に7.5℃/hで昇温し、さらに450℃で6時間保持し、300℃まで空冷後に水冷した。その後均質化処理材を450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で6時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ110.7W/(m・K)、126.5W/(m・K)、135.7W/(m・K)であった。
 実施例9は実施例6と組成は同じであるが、板状試料にはしないで均質化処理を行った。実施例9は、板状試料を作製するために圧延工程等をしない場合においても熱伝導率に影響を与えないことを示す例である。
(比較例1)
(1)合金組成:Mg-3.0Zn-0.5Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持した。
(3)溶体化処理:400℃で2時間
(4)時効処理:170℃で10時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、450℃で6時間保持し、水冷した。その後、板状試料を作製し、400℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で10時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ115.3W/(m・K)、116.8W/(m・K)、129.5W/(m・K)であった。
 比較例1はZn濃度の上限を示す例であり、実施例6よりもZn添加量を増加した場合である。これにより3質量%のZnを添加すると、時効処理によって熱伝導率を向上させることはできるものの、170℃で10時間の時効処理では、120W/(m・K)より高い値は得られない。
(比較例2)
(1)合金組成:Mg-3.0Al-0.7Zn-0.4Ca-0.3Mn
(2)溶体化処理:400℃で1時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、400℃で1時間溶体化処理を行った。熱伝導率の測定は溶体化処理材に対して行った。その結果、熱伝導率の値は、85.6W/(m・K)であった。比較例2は比較例1のZnの9割をAlで置換した場合であり、ZnをAlに置換すると、熱伝導率は著しく低下するので、合金元素としてAlよりZnの方が好ましいことを示している。
(比較例3)
(1)合金組成:Mg-4.0Zn-0.5Ca-0.4Zr
(2)均質化処理:300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、350℃で20時間保持した。
(3)溶体化処理:400℃で1時間
(4)時効処理:170℃で10時間、500時間
 上述の実験手順に従って試料を作製し、表1に記載の通り均質化処理として300℃で4時間保持後、7.5℃/hで昇温し、350℃で20時間保持し水冷した。その後、板状試料を作製し、450℃で2時間の条件で溶体化処理を行った。
 溶体化処理材と、溶体化処理材に対して170℃で10時間の時効処理した時効処理材と、500時間の時効処理した時効処理材との、各試料の熱伝導率を測定した。その結果、上記各試料の熱伝導率は、それぞれ114.6W/(m・K)、119.5W/(m・K)、124.1W/(m・K)であった。比較例3はZn濃度の上限を示す例であり、実施例及び比較例1よりもZnの添加量を増加したものである。これにより4質量%のZnを添加すると、時効処理によって熱伝導率を向上させることはできるものの、170℃で10時間の時効処理では、120W/(m・K)より高い値は得られなかった。
 本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。

 

Claims (12)

  1.  1質量%以下のCaと3質量%以下のZnとを含有し、残部がMg及び不可避不純物からなり、
     Mg、Ca及びZnよりなるG.P.ゾーンがマグネシウム母相の(0001)面上に分散しており、
     前記G.P.ゾーンは、(0001)面において長手方向が4.0から5.0nm以上であり、数密度が1×1020から1×1024-3の範囲である、マグネシウム合金時効処理材。
  2.  0.5質量%以上1質量%以下のCaと、0.8質量%以上3質量%以下のZnと、を含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる、請求項1に記載のマグネシウム合金時効処理材。
  3.  前記マグネシウム合金時効処理材の熱伝導率は、120W/(m・K)以上である、請求項1に記載のマグネシウム合金時効処理材。
  4.  さらに、ジルコニウム又はマンガンを含む、請求項1乃至3の何れかに記載のマグネシウム合金時効処理材。
  5.  さらに、ガドリニウム又はセリウムを含む、請求項1乃至4の何れかに記載のマグネシウム合金時効処理材。
  6.  Mg、Zn及びCaを溶解して鋳造固体を得る工程と、
     前記鋳造固体を均質化処理して均質化処理材を得る工程と、
     前記均質化処理材を時効処理してマグネシウム合金時効処理材を得る工程と、
    を含み、
     前記マグネシウム合金時効処理材の組成が、1質量%以下のCaと、3質量%以下のZnと、を含有し、残部がMg及び不可避不純物からなる、マグネシウム合金時効処理材の製造方法。
  7.  前記時効処理を、140℃から250℃の温度範囲で前記マグネシウム合金時効処理材の熱伝導率が120W/(m・K)以上になるまで行う、請求項6に記載のマグネシウム合金時効処理材の製造方法。
  8.  前記均質化処理材を得る工程と前記マグネシウム合金時効処理材を得る工程との間において、前記均質化処理材を溶体化処理して溶体化処理材を得る工程を挿入する、請求項6又は7に記載のマグネシウム合金時効処理材の製造方法。
  9.  前記均質化処理材を得る工程と前記溶体化処理材を得る工程との間において、前記均質化処理材を展伸加工する工程を挿入する、請求項8に記載のマグネシウム合金時効処理材の製造方法。
  10.  前記均質化処理を、300℃以上500℃以下で所定時間行う、請求項6に記載のマグネシウム合金時効処理材の製造方法。
  11.  請求項1に記載のマグネシウム合金時効処理材を使用した筐体又はパネル材を有するOA機器。
  12.  請求項1に記載のマグネシウム合金時効処理材を使用した輸送機器及びその部品。

     
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