WO2021020584A1

WO2021020584A1 - 近接撮影用装置

Info

Publication number: WO2021020584A1
Application number: PCT/JP2020/029578
Authority: WO
Inventors: 映輔清水; 啓之矢津; 直彦明田; 良太横岩; 慎太郎中山; 光人逆瀬川
Original assignee: 株式会社Ｏｕｉ
Priority date: 2019-07-31
Filing date: 2020-07-31
Publication date: 2021-02-04
Also published as: JPWO2021020584A1; EP4005464A1; EP4005464A4

Abstract

【課題】スマートフォン等の移動体端末に取り付けることにより、容易に前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影を可能とする近接撮影用装置を提供する。【解決手段】光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０に着脱可能に装着される近接撮影用装置１０であって、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４を少なくとも有する一体構造物であり、近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、凸レンズ２は撮影用カメラレンズ５２の前方に位置し、スリット光形成部３は光源５２の前方に位置し、カラーフィルター４は光源５２の前方に設置又は退去するように構成して上記課題を解決する。

Description

近接撮影用装置

　本発明は、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影をして病変の診断等に利用され、スマートフォン等の携帯型の移動体端末に装着されて用いられる近接撮影用装置に関する。

　眼の診察を行うには専用の拡大鏡が必要である。医師は拡大鏡で診察を行い、所見を得て評価を行い、診断して治療にあたる、というプロセスを踏む。眼科専門外来では、細隙灯顕微鏡が使用される。しかし、細隙灯顕微鏡は大きく重く高価なため、簡便さが求められる際やベッドサイド等の外来以外の眼科診療現場では、手持ち細隙灯顕微鏡が広く使用されている。

　しかし、手持ち細隙灯顕微鏡では、操作が難しいために得られる情報が少なく、前眼部の観察は可能であるものの、画像の記録ができない。さらに、手持ち細隙灯顕微鏡では、所見を得るようになるまでに時間がかかる。また、一度に診察できる患者等の人数は１人のみである。また、手持ち細隙灯顕微鏡は、光源を含むため重い等の課題が多い。

　上記課題を解決しようとする先行技術としては、例えば、スマートフォンを光源付きの台に固定して撮影する、照明機能を備えた近接撮影装置、超近接撮影装置が提案されている（例えば、特許文献１，２を参照）。また、例えば、画像取得技術から得られた画像を保存するシステムあるいはアプリケーションまで包括している検眼鏡が提案されている（例えば、特許文献３を参照）。また、例えば、スマートフォンで網膜を撮影して解析する広視野網膜画像取得システム及び方法が提案されている（例えば、特許文献４を参照）。

特開２０１７－１２１３２０号公報実用新案登録第３１９７４１８号公報特表２０１６－５２４４８３号公報特表２０１７－５０１００５号公報

　しかし、上記特許文献１，２に記載の装置は、光源を含むため重く、また、前眼部の内部や表面の傷の両方の観察を容易にできない等の課題が残っている。また、上記特許文献３に記載の装置には、前眼部の撮影時に接写機能がなく、また、光源の詳細が記載されていないので、実際には画像取得できない等の課題がある。また、上記特許文献４に記載の装置においては、網膜の画像のみに焦点をあてており、前眼部の撮影は行わない等の課題がある。

　また、上記した各特許文献に記載されている従来の装置においては、診察は熟練者が行わなければ所見を得られない。また、評価を診察現場で行わなければならない等のマクロ的な課題や、研究としての使用ができない等の課題が残る。また、上記した各特許文献に記載の装置は、いずれも製品化されていない。

　本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影をして病変の診断等に利用され、スマートフォン等の携帯型の移動体端末に装着されて用いられる近接撮影用装置を提供することにある。

　本発明に係る近接撮影用装置は、光源と撮影用カメラレンズとを備える移動体端末に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置であって、該近接撮影用装置が前記移動体端末に装着された際、前記撮影用カメラレンズの前方に凸レンズが位置し、光源の前方にスリット光形成部又はカラーフィルターが位置することに特徴がある。こうした特徴を備えた第１及び第２の観点に係る近接撮影用装置は以下のとおりである。

　（第１の観点）
　本発明に係る近接撮影用装置は、光源と撮影用カメラレンズとを備える移動体端末に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置であって、凸レンズ、スリット光形成部及びカラーフィルターを少なくとも有する一体構造物であり、前記近接撮影用装置が前記移動体端末に装着された際、前記凸レンズは前記撮影用カメラレンズの前方に位置する部材であり、前記スリット光形成部は前記光源の前方に位置する部材であり、前記カラーフィルターは前記光源の前方に設置又は退去する部材である、ことを特徴とする。

　この発明によれば、スリット光形成部でスリット光を形成でき、形成されたスリット光が眼に到達することにより前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。カラーフィルターを介して前眼部を観察することにより前眼部の傷を容易に観察等することができる。こうした観察と撮影をスマートフォン等の移動体端末で行うことができるので、病院内に限らず、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影が可能となり、病変の診断等に利用できる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記カラーフィルターは、前眼部の撮影又は観察の際は前記光源の前方から退去され、前眼部の傷の観察又は撮影の際には前記光源の前方に設置される部材である。この発明によれば、光源の前方に、カラーフィルターを必要に応じて設置又は退去することができる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記一体構造物は前記移動体端末側に位置する基材プレートを有し、前記カラーフィルターは前記基材プレートを兼ねる又は前記基材プレートの一部として設けられており、前記スリット光形成部でスリット光を形成する場合は、前記カラーフィルターをスライドさせて前記光源の光路上から退去させ且つ前記スリット光形成部をスライドさせて前記光路上に設置させ、前記スリット光形成部でスリット光を形成しない場合は、前記カラーフィルターをスライドさせて前記光路上に設置させ且つ前記スリット光形成部をスライドさせて前記光路上から退去させる。この発明によれば、カラーフィルターとスリット光形成部をそれぞれスライドイさせることで、前記光路上にカラーフィルターとスリット光形成部を設置したり退去したりすることができる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記スリット光形成部は、前記光源からの光を円柱レンズでスリット光とする部材である。この発明によれば、スリット光を容易に形成して眼にあてて前眼部の内部状態を観察したり撮影したりすることができる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記スリット光形成部は、前記光源からの光を反射する第１反射ミラーと、該第１反射ミラーで反射した光を反射する第２反射ミラーと、該第２反射ミラーで反射した光を通過させるスリット部とを有し、該スリット部を通過した光を円柱レンズでスリット光とする部材である。この発明によれば、２つの反射ミラーで反射させた光がスリット部を通過することでスリット光を形成することができる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記円柱レンズを、前記基材プレートに対して平行方向且つ前記円柱レンズに対して直交方向にスライドさせるスライド部材を備える。この発明によれば、円柱レンズをスライドさせることで、スリット光を眼に入射させる入射形態を調整できる。

　（第２の観点）
　本発明に係る近接撮影用装置は、光源と撮影用カメラレンズとを備える移動体端末に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置であって、凸レンズ及びスリット光形成部を有する第１構造物と、凸レンズ及びカラーフィルターを有する第２構造物とを交換部材として有し、さらに前記移動体端末に着脱可能に装着されて前記交換部材を係合する係合ブロックを有し、前記近接撮影用装置が前記移動体端末に装着された際、前記凸レンズは前記撮影用カメラレンズの前方に位置し、前記スリット光形成部は前記光源の前方に位置し、前記カラーフィルターは前記光源の前方に設置又は退去する、ことを特徴とする。

　この発明によれば、スリット光形成部を有する第１構造物とカラーフィルターを有する第２構造物とを交換部材として備え、それぞれが係合ブロックに係合して装着されるので、第１構造物のスリット光形成部でスリット光を形成でき、形成されたスリット光が眼に到達することにより前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。また、第２構造物のカラーフィルターを介して前眼部を観察することにより前眼部の傷を容易に観察等することができる。こうした観察と撮影をスマートフォン等の移動体端末で行うことができるので、病院内に限らず、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影が可能となり、病変の診断等に利用できる。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記スリット光形成部は、前記光源からの光を円柱レンズでスリット光とする部材である。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記スリット光形成部は、前記光源からの光を反射する第１反射ミラーと、該第１反射ミラーで反射した光を反射する第２反射ミラーと、該第２反射ミラーで反射した光を通過させるスリット部とを有し、該スリット部を通過した光を円柱レンズでスリット光とする部材である。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記スリット光形成部を、前記移動体端末が有する前記光源と前記撮影用カメラレンズとの距離に応じてスライド動作可能なスライド機能を備える。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記第２構造物は前記光源上に開口窓を有し、前記カラーフィルターは前眼部の撮影又は観察の際は前記開口窓から退去され、前眼部の傷の観察又は撮影の際には前記開口窓に設置される部材である。このとき、カラーフィルターはスライド板として又は開閉扉として設置又は退去してもよい。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記係合ブロックは係合凹部を有し、該係合凹部と、前記第１構造物及び前記第２構造物のいずれも有する係合凸部とが係合する。

　本発明に係る近接撮影用装置において、前記係合ブロックは、Ｃ字型クランプで前記移動体端末に装着されるクランプ用係合ブロック、又は、粘着部材で前記移動体端末に装着される粘着用係合ブロックである。

　本発明によれば、スマートフォン等の移動体端末に取り付けることにより、容易に前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影を可能とする近接撮影用装置を提供することができる。

本発明の第１の観点に係る近接撮影用装置の一例を示す斜視図である。近接撮影用装置をスマートフォンに装着した態様を示す斜視図である。近接撮影用装置の内部構造の説明図である。スリット光を照射して前眼部の内部状態を観察又は撮影する際の光の経路を示す説明図である。円柱レンズをスライドさせた形態を示す説明図である。白色光をカラーフィルターを透過させて照射し、前眼部の傷等を観察して撮影する際の形態を示す説明図である。基材プレートの設置形態を詳しく説明するため、スリット光形成部を取り外した基材プレートの説明図である。（Ａ）はカラーフィルターを兼ねる基材プレートの開口部が光源の光路上に位置するように設置した形態であり、（Ｂ）はカラーフィルターを兼ねる基材プレートが光源の光路上に位置するように設置した形態である。上段は白色光を当てた目の代表的な写真であり、下段はフルオレセイン染色像を示す代表的な写真である。左列の画像は、既存の装置で撮影した例であり、右列の画像は、近接撮影用装置を使用して撮影した例である。近接撮影用装置による核硬化症（白内障）を評価する撮影画像の例である。本発明の第２の観点に係る近接撮影用装置（第１構造物）をクランプ用係合ブロックで移動体端末に装着した一例を示す斜視図である。本発明の第２の観点に係る近接撮影用装置（第１構造物）を粘着用係合ブロックで移動体端末に装着した一例を示す斜視図である。本発明の第２の観点に係る近接撮影用装置（第２構造物）をクランプ用係合ブロックで移動体端末に装着した一例を示す斜視図であり、（Ａ）はカラーフィルターを設置した場合であり、（Ｂ）はカラーフィルターを退去した場合である。本発明の第２の観点に係る近接撮影用装置（第２構造物）を粘着用係合ブロックで移動体端末に装着した一例を示す斜視図であり、（Ａ）はカラーフィルターを設置した場合であり、（Ｂ）はカラーフィルターを退去した場合である。スリット光形成部を有する第１構造物の説明図（その１）である。スリット光形成部を有する第１構造物の説明図（その２）である。カラーフィルターを有する第２構造物の説明図（その１）である。カラーフィルターを有する第２構造物の説明図（その２）である。クランプ用係合ブロックの説明図である。粘着用係合ブロックの説明図である。クランプの説明図である。図１０に示す近接撮影用装置で白色光を当てた目の代表的な写真である。

　本発明に係る近接撮影用装置について図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下で説明する各実施形態に限定されるものではなく、その変形例や応用例を包含する。

　［近接撮影用装置］
　本発明に係る近接撮影用装置１０は、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置である。本発明に係る近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、撮影用カメラレンズ５３の前方に凸レンズ２が位置し、光源５２の前方にスリット光形成部３又はカラーフィルター４が位置することに特徴がある。こうした特徴を備えた第１及び第２の観点に係る近接撮影用装置は以下のとおりである。

　（第１の観点の近接撮影用装置）
　本発明に係る近接撮影用装置１０は、図１及び図２に示すように、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０に着脱可能に装着される近接撮影用装置１０である。そして、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４を少なくとも有する一体構造物である。近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、凸レンズ２は撮影用カメラレンズ５３の前方に位置し、スリット光形成部３は光源５２の前方に位置し、カラーフィルター４は光源５２の前方に設置又は退去するように構成される。

　この近接撮影用装置１０は、スリット光形成部３でスリット光を形成でき、形成されたスリット光が眼に到達することにより、前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。カラーフィルター４を介して前眼部を観察することにより、前眼部の傷を容易に観察等することができる。こうした観察と撮影をスマートフォン等の移動体端末５０で行うことができるので、病院内に限らず、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影して病変の診断等に利用できる。

　（第２の観点の近接撮影用装置）
　本発明に係る近接撮影用装置１０は、図１０～図１３に示すように、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置である。そして、凸レンズ２及びスリット光形成部３を有する第１構造物６０と、凸レンズ２及びカラーフィルター７１を有する第２構造物７０とを交換部材として有し、さらに移動体端末５０に着脱可能に装着されてそれら交換部材（第１構造物６０、第２構造物７０）を係合する係合ブロック８０を有し、この近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、凸レンズ２は撮影用カメラレンズ５３の前方に位置し、スリット光形成部３は光源５２の前方に位置し、カラーフィルター７１は光源５２の前方に設置又は退去するように構成される。

　この近接撮影用装置１０は、スリット光形成部３を有する第１構造物６０とカラーフィルター７１を有する第２構造物７０とを交換部材として備え、それぞれが係合ブロック８０に係合して装着されるので、第１構造物６０のスリット光形成部３でスリット光を形成でき、形成されたスリット光が眼に到達することにより前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。また、第２構造物７０のカラーフィルター７１を介して前眼部を観察することにより前眼部の傷を容易に観察等することができる。こうした観察と撮影をスマートフォン等の移動体端末５０で行うことができるので、病院内に限らず、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影が可能となり、病変の診断等に利用できる。

　以下、各構成要素を詳しく説明する。なお、以下では、第１の観点の近接撮影用装置を第１実施形態の近接撮影用装置といい、第２の観点の近接撮影用装置を第２実施形態の近接撮影用装置という。特に断らない場合は両方共通の構成要素とし、「第１実施形態」又は「第２実施形態」と記載して説明する場合はそれぞれの実施形態の場合の構成要素としている。

　＜移動体端末＞
　移動体端末５０は、本発明に係る近接撮影用装置１０を構成するものではないが、その近接撮影用装置１０を着脱可能に装着する被装着物である。移動体端末５０の装着面となる表面５１は、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備えている。その表面５１に、本発明に係る近接撮影用装置１０が着脱可能に装着される。図３の例では、移動体端末５０としてスマートフォンを用いているが、近接撮影用装置１０を装着する被装着物としては、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０であればよく、例えば、タブレット端末等であってもよい。

　撮影用カメラレンズ５３は、図３に示すように、移動体端末（スマートフォン）５０の上端部の左端部に設けられているものが多いが、その位置は特に限定されない。また、光源５２は、移動体端末（スマートフォン）５０の上端部であって、撮影用カメラレンズ５３に隣接して設けられている。その位置は特に限定されないが、撮影用カメラレンズ５３よりも右側の部分であったり左側の部分であったり下側の部分であったりすることが多い。

　＜第１実施形態の近接撮影用装置＞
　（一体構造物）
　一体構造物とは、少なくとも、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４とが一体化したものである。一体化とは、接着や溶接等で固定されたものという意味ではなく、「離れていない」という意味である。すなわち、本発明に係る近接撮影用装置１０は、スマートフォン等の移動体端末５０に着脱可能に取り付けられる小型の構造物であるので、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４が離れていると、それらの部品が紛失してしまうことがあるからである。なお、「少なくとも」とは、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４以外の構造物や補充的部材を含んでいてもよいという意味である。

　第１実施形態の近接撮影用装置１０では、図１等に示すように、基材プレート１がカラーフィルター素材で構成される。こうすることにより、基材プレート１がカラーフィルター４を兼ねることができるので好ましい。また、図７に示すように、基材プレート１には、光源５２からの光源５２の光路を通過させるための開口部９が設けられている。その開口部９には、凸レンズ２が接着又は嵌め合わされて一体化されている。また、図６に示すように、スリット光形成部３は、基材プレート１にスライド動作可能に設けられている。このときのスライド機構は、（ａ）基材プレート１にレール構造物が設けられてそのレール構造物をスリット光形成部３がスライドするものであってもよいし、（ｂ）スリット光形成部３が着脱可能な吸着シートを介して基材プレート１に貼り合わされるものであってもよい。この吸着シートは、符号３１の吸着シートと同様のものを使用できる。こうして、少なくとも、凸レンズ２、スリット光形成部３及びカラーフィルター４が一体化される。

　一体化した一体構造物は、移動体端末５０の表面５１に着脱可能に取り付けられるが、その取り付け手段は、吸着シート３１を用いた態様を好ましく挙げることができる。なお、これ以外の部材で着脱可能としても構わない。なお、吸着シート３１とは、一般的に「吸着シート」として市販もされており、例えばＰＥＴ等のベースフィルム上に独立発泡からなる発泡層が設けられたものを例示できる。独立発泡からなる発泡層は、例えばスマートフォンの表面５１に独立発泡からなる穴内の空気が抜けて吸盤のように貼り付く。また、剥がしても樹脂が残らない粘着シートを、着脱可能な吸着シート３１として用いてもよい。こうした吸着シート３１で近接撮影用装置１０をスマートフォンの表面５１に着脱可能に設けることができる。その結果、スマートフォンの表面５１での移動も容易であり、図７（Ａ）に示すように、基材プレート１をスライドさせて光源５２の前方に基材プレート１が有する開口部９を配置したり、図７（Ｂ）に示すように、基材プレート１をスライドさせて光源５２の前方に基材プレート１を兼ねるカラーフィルター４を配置したりすることができる。

　（基材プレート／カラーフィルター）
　基材プレート１は、図１等に示すように、第１実施形態の近接撮影用装置１０の構成要素であり、少なくとも、凸レンズ２とスリット光形成部３を取り付けるものである。図１等の第１実施形態では、基材プレート１はカラーフィルター４を兼ねているが、カラーフィルター４を兼ねないものであってもよい。基材プレート１がカラーフィルター４を兼ねない場合は、カラーフィルター４は基材プレート１とは別体として設けられ、例えばスライド動作可能に取り付ける例（後述する第２実施形態）を挙げることができる。

　基材プレート１は、板状のプレートであり、図７に示すように、吸着シート３１を介して移動体端末５０の表面５１に貼り合わされる略長方形の部材である。基材プレート１の材質は特に限定されないが、プラスチック製であることが好ましい。基材プレート１の長手方向の前側の半分は、先端に凸レンズ２が取り付けられるとともに光源からの光を通過させる開口部９を有する領域である。基材プレート１の長手方向の後側の半分は、吸着シート３１が設けられる領域である。この後側の半分の領域は、図７に示すように、凸レンズ２を移動体端末５０の撮影用カメラレンズ５３の前方に位置させた状態を保持しつつスライドさせることができる。そのスライドは、図７（Ａ）に示すように、開口部９が光源５２からの光を通過させる位置にするため、及び、図７（Ｂ）に示すように、カラーフィルター４を兼ねる基材プレート１を光源５２の前方に位置させるために行われる。

　なお、移動体端末５０では、新機種毎に撮影用カメラレンズ５３の位置や大きさ、光源５２の位置や大きさが異なるものが発売されることが多い。そのため、例えば、スリット光形成部３のスライドを段階的に可能とするスライド位置可変装置（図示しない）を設けておくことで、撮影用カメラレンズ５３と光源５２との距離が変化しても、その変化に対応させることができる。こうしたスライド位置可変装置での対応のほか、新機種の撮影用カメラレンズ５３や光源５２の位置に対応して本発明に係る近接撮影用装置１０の設計変更も任意に行うことができる。しかし、そうした寸法上の設計変更があっても、本発明に係る近接撮影用装置１０の構成要素及び構成要素が担う役割や機能は変わらない。したがって、本発明の範囲を包含するものは、本発明の技術的範囲内と言うことができる。

　基材プレート１は、図７に示す程度の大きさであり、ある程度の強度を有する板状のプレートであれば特に限定されないが、各種の樹脂プレートを好ましく挙げることができる。基材プレート１がカラーフィルター４を兼ねる場合、その全てがカラーフィルター４を兼ねる樹脂プレートであってもよいし、図７（Ｂ）に示すように、スライドさせて光源５２からの光を透過させる部位を含む周辺範囲だけカラーフィルター４として機能する樹脂プレートを取り付けたものであってもよい。

　カラーフィルター４となる樹脂プレートは特に限定されないが、例えば光源５２から発する白色光を青色光にする青色フィルターであることが好ましい。例えば、白色光を波長４８８ｎｍの青色光に変換する青色フィルターであることが好ましい。青色フィルターは、アクリル樹脂を着色したもの、一例として、アクリル樹脂製青色フィルター（ＰＧＺ　３０２Ｋ　３０２、クラレ株式会社製）等を例示できるがこれに限定されない。こうしたカラーフィルター４で光源５２を覆うことにより、前眼部の傷の観察又は撮影を行うことができる。例えば眼にフルオレセインを点眼し、カラーフィルター４として生体染色検査用ブルーフリーフィルターを採用することにより、眼に青い光を当てて、目の表面の傷を緑に変えて、その緑の光を撮影用カメラレンズ５３を通して観察又は撮影することができる。その結果、角結膜上皮障害や眼の傷を診察し易くなり、前眼部の傷等を観察又は撮影することができる。

　カラーフィルター４は、基材プレート１を兼ねるものであってもよいし、基材プレート１の一部として設けられるものであってもよい。本発明に係る近接撮影用装置１０は、カラーフィルター４を介して前眼部を撮影又は観察することにより、前眼部の傷を容易に撮影又は観察することができる。カラーフィルター４は、図７（Ａ）に示すように、前眼部の撮影又は観察の際は光源５２の前方から退去され、図７（Ｂ）に示すように、前眼部の傷の撮影又は観察の際には光源５２の前方に設置される。このように、カラーフィルター４を必要に応じて設置又は退去することができる。

　後述のスリット光形成部３でスリット光を形成する場合は、図７（Ａ）示すようにカラーフィルター４をスライドさせて光源５２の光路上から退去させ且つ図４に示すようにスリット光形成部３をスライドさせて光源５２の光路上に設置させる。一方、スリット光形成部３でスリット光を形成しない場合は、図７（Ｂ）に示すようにカラーフィルター４をスライドさせて光源５２の光路上に設置させ且つ図６に示すようにスリット光形成部３をスライドさせて光源５２の光路上から退去させる。このように、カラーフィルター４とスリット光形成部３をそれぞれスライドさせることで、光源５２の光路上にカラーフィルター４とスリット光形成部３を設置したり退去したりすることができる。

　（凸レンズ）
　凸レンズ２は、近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、撮影用カメラレンズ５３の前方に位置する部材である。凸レンズ２は、前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影できる焦点距離を考慮して任意に選択される。凸レンズ２は、基材プレート１に設けられた開口部９に接着され又は嵌め合わされて一体化されている。この凸レンズ２により、マウスやヒトの眼の焦点を調節することができ、画像のぼやけを修正して、鮮明な観察又は撮影を行うことができる。

　凸レンズ２は、図７に示すように、基材プレート１をスライドさせたときも撮影用カメラレンズ５３の前方から外れない位置に保持される。こうすることにより、スリット光による前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影時でも、カラーフィルター４を透過した光による前眼部の内部状態や表面状態の観察又は撮影時でも、その観察又は撮影を行うことができる。

　（スリット光形成部）
　スリット光形成部３は、近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、光源５２の前方に位置する部材である。スリット光形成部３は、光源５２からの光を円柱レンズ８でスリット光とする部材である。形成されたスリット光が眼に到達することにより、前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。

　スリット光形成部３は、図３及び図４に示すように、光源５２からの光を反射する第１反射ミラー５と、第１反射ミラー５で反射した光を反射する第２反射ミラー６と、第２反射ミラー６で反射した光を通過させるスリット部７とを有している。スリット部７を通過した光は、円柱レンズ８でスリット光となる。このように、２つの反射ミラー５，６で反射させた光がスリット部７を通過することでスリット光を容易に形成することができる。円柱レンズ８は、図１～図３に示すように、長手方向の両側から保持されている。

　第１反射ミラー５と第２反射ミラー６の材質や大きさは特に限定されないが、スリット光形成部３の大きさが制限される範囲内であって且つ光を円柱レンズ８が導くことができる材質と大きさで構成されていることが望ましい。円柱レンズ８の材質や大きさも、スリット光形成部３の大きさが制限される範囲内で各種の円柱レンズから選択して採用することができる。スリット部７の幅は、最低幅が約０．２～１ｍｍ前後の狭小のスリットであることが好ましい。範囲としては０．１５ｍｍ～１．５ｍｍ程度の幅で形成されていることが好ましい。なお、スリット部７の幅を調整可能なスリット幅調整部材（図示しない）を設けていてもよい。例えば、回転つまみを回転させてスリット部の幅を狭めたり拡大したりするスリット幅調整部材を例示できる。

　円柱レンズ８は、図５に示すように、スライド部材２１により、基材プレート１の表面に対して平行方向且つ円柱レンズ８に対して直交方向にスライドする。円柱レンズ８をスライドさせることで、スリット光を眼に入射させる入射形態を調整できる。スライド機構は特に限定されないが、機械的な偏心機構によりスライドさせる構造形態とすることができる。なお、そのスライドの程度は数ミリメートルである。なお、符号２２はスライド部材２１に設けられたレバーであり、図５に示すように、このレバー２２を回転させることにより、円柱レンズ８をスライドさせることができる。

　（他の構成要素）
　他の構成要素として、既述したように、基材プレート１がカラーフィルター４を兼ねない場合や基材プレート１の一部にカラーフィルター４が設けられていない場合は、別体としてのカラーフィルター４を備えていてもよい。

　（撮影例）
　図８の上段は、白色光を当てた目の代表的な写真であり、下段はフルオレセイン染色像を示す代表的な写真である。図８の左列の画像は、既存装置で撮影した例であり、右列の画像は、近接撮影用装置１０を使用して撮影した例である。なお、既存装置として、ＥＤマウスモデルの眼を評価するために広く使用されているものを使用し、具体的には、オリンパス株式会社製の顕微鏡（製品名：ＳＺ６１）とカメラと光源で構成されたものを使用した。

　図９は、近接撮影用装置１０による核硬化症（白内障）の評価の例である。近接撮影用装置１０は、翼状片、角膜混濁、流行性角結膜炎、眼内レンズ眼等、様々な前眼部疾患の評価が全症例で評価可能である。図９中、（Ａ）は角膜混濁、（Ｂ）は白内障手術後、（Ｃ）は流行性結膜炎、（Ｄ）は白内障なし、（Ｅ）は中等度白内障、（Ｆ）は重傷白内障の撮影画像である。白内障の重症度評価は、既存の医療機器での評価と近接撮影用装置１０の評価は同等である。このように、本発明に係る近接撮影用装置１０により、前眼部の各種の症状を観察できる。

　＜第２実施形態の近接撮影用装置＞
　第２実施形態の近接撮影用装置１０は、図１０～図１３に示すように、光源５２と撮影用カメラレンズ５３とを備える移動体端末５０に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置である。第１実施形態とは基本的な構成要素は同じであるが、異なる点は、凸レンズ２及びスリット光形成部３を有する第１構造物６０と、凸レンズ２及びカラーフィルター７１を有する第２構造物７０とを交換部材として有する点である。そして、その交換部材（第１構造物６０、第２構造物７０）を移動体端末５０に着脱可能に装着するための係合ブロック８０を有している。この近接撮影用装置１０が移動体端末５０に装着された際、凸レンズ２は撮影用カメラレンズ５３の前方に位置し、スリット光形成部３は光源５２の前方に位置し、カラーフィルター７１は光源５２の前方に設置又は退去するように構成される。第１構造物６０や第２構造物７０の材質は特に限定されないが、プラスチック製であることが好ましい。

　この近接撮影用装置１０は、交換部材（第１構造物６０、第２構造物７０）が係合ブロック８０に係合して装着されるので、第１構造物６０のスリット光形成部３でスリット光を形成でき、形成されたスリット光が眼に到達することにより前眼部の内部状態をより詳細に観察又は撮影することができる。また、第２構造物７０のカラーフィルター７１を介して前眼部を観察することにより前眼部の傷を容易に観察等することができる。なお、この第２実施形態の説明において、第１実施形態の説明と同じ符号を用いて説明した構成要素は、第１実施形態の構成要素と同じであるので、その説明は省略することがある。

　（第１構造物）
　第１構造物６０は、図１０，図１１,図１４及び図１５に示すように、凸レンズ２及びスリット光形成部３を有する交換部材である。第１構造物６０は、基材プレート１を有し、その基材プレート１に凸レンズ２及びスリット光形成部３が設けられている。基材プレート１は、基材本体部１ａと、先端係合凸部１ｂ及び／又は後端係合凸部１ｃとを有している。先端係合凸部１ｂと後端係合凸部１ｃは、図１４及び図１５に示すように。その両方を有していてもよいし、一方だけ有していてもよい。なお、「先端」と「後端」は、凸レンズ２が設けられている側を「先端」と言っているだけで特段の意味はない。

　先端係合凸部１ｂと後端係合凸部１ｃのいずれかが係合ブロック８０の係合凹部８１に係合する。その係合によって、第１構造物６０と第２構造物７０が交換可能に移動体端末５０に装着できる。先端係合凸部１ｂと後端係合凸部１ｃの形状と大きさは特に限定されず、係合相手である係合ブロック８０の係合凹部８１の形状と大きさに応じて設計される。

　基材本体部１ａには、凸レンズ２とスリット光形成部３とが少なくとも設けられている。凸レンズ２は、基材本体部１ａの先端係合凸部１ｂ側の装着面６１に設けられた取り付け穴２ａに取り付けられている。取り付け穴２ａは開口部１３と一体となっている。開口部１３は、撮影用カメラレンズ５３で撮影する光を通過させる。装着面６１は、基材プレート１を移動体端末５０に当接する面である。なお、凸レンズ２は、第１実施形態で説明したのと同様である。

　スリット光形成部３は、第１実施形態と同様、光源５２からの光を円柱レンズ８でスリット光とする部材である。そして、第１実施形態と同様、光源５２からの光を反射する第１反射ミラー５と、その第１反射ミラー５で反射した光を反射する第２反射ミラー６と、その第２反射ミラー６で反射した光を通過させるスリット部７とを有し、そのスリット部７を通過した光を円柱レンズ８でスリット光とする部材である。円柱レンズ８は、円柱レンズ保持部材６２によって保持され、基材プレート１に装着されている。

　スリット光形成部３は、第１実施形態と同様、移動体端末５０が有する光源５２と前記撮影用カメラレンズ５３との距離に応じてスライド動作可能なスライド機能を備えることが好ましい。このスライド機構は必須ではないが、設けられていることが好ましい。スライド動作は、基材プレート１の両サイドに設けられたスライド部材６３を手でつまんで行うことができる。「両サイド」とは、円柱レンズ８の軸方向のことである。スライド機構は特に限定されないが、両サイドにスライド方向Ｘに延びる凹レールと凸レールを係合する等の種々の方法で設置できる。なお、スリット光形成部３及びそれを構成する円柱レンズ８、第１反射ミラー５、第２反射ミラー６、スリット部７も、第１実施形態で説明したのと同様である。

　（第２構造物）
　第２構造物７０は、図１２，図１３,図１６及び図１７に示すように、凸レンズ２及びカラーフィルター７１を有する交換部材である。第２構造物７０も第１構造物６０と同様、基材プレート１を有し、その基材プレート１に凸レンズ２及びカラーフィルター７１が設けられている。基材プレート１及びその基材プレート１を構成する基材本体部１ａ、先端係合凸部１ｂ、後端係合凸部１ｃは、第１構造物６０の説明欄で説明したのと同様なので、その説明は省略する。

　基材本体部１ａは、光源５２上に開口窓７２を有し、その開口窓７２にカラーフィルター７１が設置又は退避可能に設けられている。図１２等に示すカラーフィルター７１は、基材本体部１ａのサイド面に開けられた長穴に挿入されるスライド板として設けられているが、蝶番等で開閉可能な開閉扉として設けられていてもよい。そうしたカラーフィルター７１は、前眼部の撮影又は観察の際は開口窓７２から退去され、前眼部の傷の観察又は撮影の際には開口窓７２に設置される。なお、符号７３は、カラーフィルター７１をスライドさせるためのつかみ部であり、符号７４は、第２構造物７０が移動体端末５０に装着する際の装着面のことである。

　（係合ブロック）
　係合ブロック８０は、係合凹部８１を有している。その係合凹部８１は、第１構造物６０が有する係合凸部（先端係合凸部１ｂ又は後端係合凸部１ｃ）、又は、第２構造物７０が有する係合凸部（先端係合凸部１ｂ又は後端係合凸部１ｃ）に係合する。その係合によって、第１構造物６０と第２構造物７０が交換可能に移動体端末５０に装着できる。係合凹部８１の形状と大きさは特に限定されず、係合相手である係合凸部（先端係合凸部１ｂ又は後端係合凸部１ｃ）の形状と大きさに応じて設計される。

　係合ブロック８０としては、図１０、図１２及び図２０に示すようなＣ字型のクランプ９０で移動体端末５０に装着されるクランプ用係合ブロック８０ａ、又は、粘着部材８３で移動体端末５０に装着される粘着用係合ブロック８０ｂを挙げることができる。これら係合ブロック８０の厚さは特に限定されないが、第１構造物６０や第２構造物７０の基材プレート１と同程度の厚さであることが好ましい。

　クランプ用係合ブロック８０ａは、図１８に示すブロック状の形態であり、その一側面に、前記した先端係合凸部１ｂ又は後端係合凸部１ｃと係合する長穴形状の係合凹部８１が設けられている。このクランプ用係合ブロック８０ａが移動体端末５０に装着される側には、所定の厚さの弾性部材（例えばゴム）８２が設けられていることが好ましい。この弾性部材８２は滑り止めとキズ防止に作用する。

　粘着用係合ブロック８０ｂは、図１９に示すブロック状の形態であり、クランプ用係合ブロック８０ａと同様、その一側面に、前記した先端係合凸部１ｂ又は後端係合凸部１ｃと係合する長穴形状の係合凹部８１が設けられている。この粘着用係合ブロック８０ｂが移動体端末５０に装着される側には、所定の厚さの粘着部材（例えば粘着ゲル）８３が設けられていることが好ましい。この粘着部材８３は移動体端末５０に接着して固定することができる。

　（クランプ）
　クランプ９０は、クランプ用係合ブロック８０ａを用いた場合にだけ使用される。クランプ９０の形態は特に限定されないが、例えば図２０に示すように、Ｃ型本体部９１、つまみ部９２、ねじ部９３、当接部９４，９５、当接部の表面に設けられる弾性部材（ゴム）９４ａ，９５ａで構成さえたものを挙げることができる。当接部９４，９５で挟まれたクランプ空間９６に、移動体端末５０と係合ブロック８０とが入って固定されることになる。

　（撮影例）
　図２１は、第２実施形態の近接撮影用装置１０を使用して白色のスリット光を当てた目の代表的な写真である。

　（近接撮影用装置の効果等）
　以上説明した本発明に係る近接撮影用装置１０は、世界中で広く普及しているスマートフォン等の移動体端末５０に、外付けするアタッチメントとして容易に装着できる。そうすることで、患者に対する眼科的診察で得られる全ての静止画像及び動画、即ち、前眼部の内部状態や表面状態の静止画像及び動画を撮影することが可能である。さらに、近接撮影用装置１０は、細隙灯顕微鏡や手持ち細隙灯顕微鏡と比べはるかに安価なので複数用意することが容易であり、ヒト臨床用とは別に動物専用に用意したものを用いて実験動物（動物モデル）やペット等の愛玩動物、動物園での飼育動物の眼の静止画像及び動画を撮影することも可能であり、上記動物の眼科的所見を取得することもできる。

　また、臨床利用が可能となる。具体的には、眼科の診察においては、備え付けの台に患者が固定された状態で行われる。そのため、小児や寝たきりの高齢者に対する診察には、熟練的技術を要する。しかし、本発明に係る近接撮影用装置１０は、ポータブルの診療用具に「記録」という要素が加わっており、記録した静止画像や動画を医療者間でシェアすることが可能となる。シェアされたデータは、地方の遠隔診療や、途上国支援に利用されることが期待でき、さらにはビッグデータとしてＡＩにより解析を行い、眼科医の診断精度を向上させることが期待できる。そして最終的には、近接撮影用装置１０は、全てのスマートフォンユーザーに自己診断ツールとして使用され、眼科診療自体をより発展させることが可能となる。

　また、本発明に係る近接撮影用装置１０により、研究利用が可能となる。具体的には、研究用動物の眼の所見は、様々な技術的な問題（熟練した技術が必要、撮影時に対象動物を殺さなければいけない、撮影器具が高価等）により、今までほとんど記録されることができなかった。しかし、本発明に係る近接撮影用装置１０を用いることにより、容易に研究動物の眼所見が得られるようになるので、眼の研究分野において、新しい表現型が誕生することが期待可能である。

　また、本発明に係る近接撮影用装置１０は、眼科の診察において用いられることが考えられるが、眼科の診察において用いられることに限定されない。例えば、眼科外来のみならず、健康診断の会場、お年寄りの老人保健施設や救急車内、理科又は保健又は医学部の授業等、眼科のクリニック以外のところにおいて用いられてもよい。他にも、動物病院又は動物園保健所又は研究所等動物関連施設でも使用できる。

　１０　近接撮影用装置
　１　基材プレート
　１ａ　基材本体部
　１ｂ　先端係合凸部
　１ｃ　後端係合凸部
　２　凸レンズ
　２ａ　取り付け穴
　３　スリット光形成部
　４　カラーフィルター
　４ａ　カラーフィルター
　５　第１反射ミラー
　６　第２反射ミラー
　７　スリット
　８　円柱レンズ
　９　開口部
　１１　基材プレート
　１２　構造物
　１３　開口窓
　２１　スライド部材
　２２　レバー
　３１　吸着シート
　５０　移動体端末（スマートフォン）
　５１　装着面
　５２　光源
　５３　撮影用カメラレンズ
　６０　第１構造物
　６１　装着面
　６２　円柱レンズ保持部材
　６３　スライド部材
　Ｘ　スライド方向
　７０　第２構造物
　７１　カラーフィルター
　７２　開口窓
　７３　つかみ部
　７４　装着面
　８０　係合ブロック
　８０ａ　クランプ用係合ブロック
　８０ｂ　粘着用係合ブロック
　８１　係合凹部
　８２　弾性部材（ゴム）
　８３　粘着部材（粘着ゲル）
　９０　クランプ
　９１　Ｃ型本体部
　９２　つまみ部
　９３　ねじ部
　９４，９５　当接部
　９４ａ，９５ａ　弾性部材（ゴム）
　９６　クランプ空間
　

Claims

　光源と撮影用カメラレンズとを備える移動体端末に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置であって、
　凸レンズ、スリット光形成部及びカラーフィルターを少なくとも有する一体構造物であり、前記近接撮影用装置が前記移動体端末に装着された際、前記凸レンズは前記撮影用カメラレンズの前方に位置する部材であり、前記スリット光形成部は前記光源の前方に位置する部材であり、前記カラーフィルターは前記光源の前方に設置又は退去する部材である、ことを特徴とする、ことを特徴とする近接撮影用装置。
　前記カラーフィルターは、前眼部の撮影又は観察の際は前記光源の前方から退去され、前眼部の傷の観察又は撮影の際には前記光源の前方に設置される部材である、請求項１に記載の近接撮影用装置。
　前記一体構造物は前記移動体端末側に位置する基材プレートを有し、前記カラーフィルターは前記基材プレートを兼ねる又は前記基材プレートの一部として設けられており、
　前記スリット光形成部でスリット光を形成する場合は、前記カラーフィルターをスライドさせて前記光源の光路上から退去させ且つ前記スリット光形成部をスライドさせて前記光路上に設置させ、
　前記スリット光形成部でスリット光を形成しない場合は、前記カラーフィルターをスライドさせて前記光路上に設置させ且つ前記スリット光形成部をスライドさせて前記光路上から退去させる、請求項１又は２に記載の近接撮影用装置。
　前記スリット光形成部は、前記光源からの光を円柱レンズでスリット光とする部材である、請求項１～３のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。
　前記スリット光形成部は、前記光源からの光を反射する第１反射ミラーと、該第１反射ミラーで反射した光を反射する第２反射ミラーと、該第２反射ミラーで反射した光を通過させるスリット部とを有し、該スリット部を通過した光を円柱レンズでスリット光とする部材である、請求項１～３のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。
　前記円柱レンズを、前記基材プレートに対して平行方向且つ前記円柱レンズに対して直交方向にスライドさせるスライド部材を備える、請求項４又は５に記載の近接撮影用装置。
　光源と撮影用カメラレンズとを備える移動体端末に着脱可能に装着されて使用される近接撮影用装置であって、凸レンズ及びスリット光形成部を有する第１構造物と、凸レンズ及びカラーフィルターを有する第２構造物とを交換部材として有し、さらに前記移動体端末に着脱可能に装着されて前記交換部材を係合する係合ブロックを有し、前記近接撮影用装置が前記移動体端末に装着された際、前記凸レンズは前記撮影用カメラレンズの前方に位置し、前記スリット光形成部は前記光源の前方に位置し、前記カラーフィルターは前記光源の前方に設置又は退去する、ことを特徴とする近接撮影用装置。
　前記スリット光形成部は、前記光源からの光を円柱レンズでスリット光とする部材である、請求項７に記載の近接撮影用装置。
　前記スリット光形成部は、前記光源からの光を反射する第１反射ミラーと、該第１反射ミラーで反射した光を反射する第２反射ミラーと、該第２反射ミラーで反射した光を通過させるスリット部とを有し、該スリット部を通過した光を円柱レンズでスリット光とする部材である、請求項７又は８に記載の近接撮影用装置。
　前記スリット光形成部を、前記移動体端末が有する前記光源と前記撮影用カメラレンズとの距離に応じてスライド動作可能なスライド機能を備える、請求項７～９のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。
　前記第２構造物は前記光源上に開口窓を有し、前記カラーフィルターは前眼部の撮影又は観察の際は前記開口窓から退去され、前眼部の傷の観察又は撮影の際には前記開口窓に設置される部材である、請求項７～１０のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。
　前記係合ブロックは係合凹部を有し、該係合凹部と、前記第１構造物及び前記第２構造物のいずれも有する係合凸部とが係合する、請求項７～１１のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。
　前記係合ブロックは、Ｃ字型クランプで前記移動体端末に装着されるクランプ用係合ブロック、又は、粘着部材で前記移動体端末に装着される粘着用係合ブロックである、請求項７～１２のいずれか１項に記載の近接撮影用装置。