WO2020255193A1

WO2020255193A1 - エレベーターの終端階強制減速システム

Info

Publication number: WO2020255193A1
Application number: PCT/JP2019/023864
Authority: WO
Inventors: 英敬石黒
Original assignee: 三菱電機株式会社
Priority date: 2019-06-17
Filing date: 2019-06-17
Publication date: 2020-12-24

Abstract

シーブの回転角およびかごの位置の間の誤差の累積による誤作動の発生を抑制する終端階強制減速システムを提供する。終端階強制減速システム（１）において、位置検出部（１５）は、エレベーターのロープが巻き掛けられるシーブの回転数に基づいてかご（６）の位置情報（２１）を検出する。監視速度生成部（１８）は、かご（６）の位置情報（２１）に基づいて監視速度（２３）を生成する。走行区間判定部（１６）は、かご（６）が昇降路（３）の終端側の減速区間にあるか否かを判定する。かご（６）に設けられるかご側検知器（１３）は、区間内検知材が設けられる昇降路（３）の減速区間の階床位置にかご（６）があるときに当該区間内検知材を検知する。かご（６）が減速区間にある場合に、位置補正部（１７）は、かご側検知器（１３）が区間内検知材を検知するときに、当該区間内検知材の位置情報に基づいて、かご（６）の位置情報（２１）を補正する。

Description

エレベーターの終端階強制減速システム

　本発明は、エレベーターの終端階強制減速システムに関する。

　特許文献１は、エレベーターの終端階強制減速装置の例を開示する。終端階強制減速装置は、かごの位置に対応して予め設定された設定速度を読み出す。終端階強制減速装置は、かごの走行速度が読み出した設定速度を超える場合に、かごを減速または停止させる。

日本特開２００８－１９０５２号公報

　しかしながら、特許文献１に記載の終端階強制減速システムにおいて、エンコーダーによって検出されたかごの位置に対応して設定速度が読み出される。このため、エンコーダーが設けられるシーブの回転角およびかごの位置の間に誤差が累積する場合に、誤った設定速度が読み出される可能性がある。この場合に、終端階強制減速装置が誤作動する可能性がある。

　本発明は、このような課題を解決するためになされた。本発明の目的は、シーブの回転角およびかごの位置の間の誤差の累積による誤作動の発生を抑制する終端階強制減速システムを提供することである。

　本発明に係るエレベーターの終端階強制減速システムは、エレベーターのかごが昇降路の内部を走行するときに昇降路の内部を移動するロープが巻き掛けられるシーブの回転数に基づいてかごの位置情報を検出する位置検出部と、かごの位置情報に基づいて、かごの監視速度を生成する監視速度生成部と、かごが昇降路の終端側の減速区間にあるか否かを判定する走行区間判定部と、昇降路の減速区間における階床位置に設けられる区間内検知材と、かごに設けられ、区間内検知材が設けられる階床位置にかごがあるときに区間内検知材を検知するかご側検知器と、かごが減速区間にあると走行区間判定部が判定する場合に、かご側検知器が区間内検知材を検知するときに、当該区間内検知材の昇降路における位置情報に基づいて、かごの位置情報を補正する位置補正部と、を備える。

　本発明によれば、終端階強制減速システムは、位置検出部と、監視速度生成部と、走行区間判定部と、区間内検知材と、かご側検知器と、位置補正部と、を備える。位置検出部は、シーブの回転数に基づいてかごの位置情報を検出する。シーブは、ロープが巻き掛けられる機器である。ロープは、エレベーターのかごが昇降路の内部を走行するときに昇降路の内部を移動する。監視速度生成部は、かごの位置情報に基づいて、かごの監視速度を生成する。走行区間判定部は、かごが減速区間にあるか否かを判定する。減速区間は、昇降路の終端側の区間である。区間内検知材は、昇降路の減速区間における階床位置に設けられる。かご側検知器は、かごに設けられる。かご側検知器は、区間内検知材が設けられる階床位置にかごがあるときに区間内検知材を検知する。走行区間判定部は、かごが減速区間にあると判定する。この場合に、位置補正部は、かご側検知器が区間内検知材を検知するときに、当該区間内検知材の昇降路における位置情報に基づいて、かごの位置情報を補正する。これにより、終端階強制減速システムにおいて、シーブの回転角およびかごの位置の間の誤差の累積による誤作動の発生が抑制される。

実施の形態１に係る終端階強制減速システムの構成図である。実施の形態１に係る終端階強制減速システムによる監視速度を示す図である。実施の形態１に係る終端階強制減速システムの動作の例を示す図である。実施の形態１に係る終端階強制減速装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。実施の形態２に係る終端階強制減速システムの構成図である。

　本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。

　実施の形態１．
　図１は、実施の形態１に係る終端階強制減速システムの構成図である。

　終端階強制減速システム１は、エレベーター２に適用される。この例において、エレベーター２は、複数の階床を有する建築物に設けられる。建築物において、エレベーター２の昇降路３が設けられる。昇降路３は、最下階から最上階までの複数の階床にわたって設けられる。最下階および最上階は、終端階である。昇降路３の終端側は、昇降路３の下端側または昇降路３の上端側である。ここで、建築物は、昇降路３の最下階より下方に階床を有していてもよい。建築物は、昇降路３の最上階より上方に階床を有していてもよい。

　エレベーター２は、巻上機４と、主ロープ５と、かご６と、釣合いおもり７と、を備える。巻上機４は、例えば昇降路３の上部に設けられる。巻上機４は、シーブと、シーブを回転させる駆動力を発生させるモーターと、を有する。主ロープ５は、巻上機４のシーブに巻き掛けられる。かご６は、昇降路３の内部を鉛直方向に走行することによって、乗車している利用者を複数の階床の間で輸送する装置である。かご６は、昇降路３の内部において、巻上機４のシーブに対して主ロープ５の一方側に吊るされる。釣合いおもり７は、昇降路３の内部において、巻上機４のシーブに対して主ロープ５の他方側に吊るされる。釣合いおもり７は、巻上機４のシーブにかかるかご６側の重量による負荷との釣合いを自身の重量によって取る装置である。

　エレベーター２は、かご６側の緩衝器８ａと、釣合いおもり７側の緩衝器８ｂと、を備える。かご６側の緩衝器８ａは、昇降路３の下端に設けられる。かご６側の緩衝器８ａは、かご６の下方に配置される。釣合いおもり７側の緩衝器８ｂは、昇降路３の下端に設けられる。釣合いおもり７側の緩衝器８ｂは、釣合いおもり７の下方に配置される。緩衝器８は、仮にかご６または釣合いおもり７が昇降路３の下端に衝突した場合においても、衝突による衝撃を緩和する装置である。

　エレベーター２において、かご６の走行は、図示されないエレベーター２の制御盤によって制御される。かご６を走行させるときに、制御盤は、巻上機４のモーターに駆動力を発生させる。主ロープ５は、発生した駆動力による巻上機４のシーブの回転に伴って昇降路３の内部を鉛直方向に移動する。かご６は、主ロープ５の移動に伴って昇降路３の内部を鉛直方向に移動する。主ロープ５は、かご６が昇降路３の内部を走行するときに昇降路３の内部を移動するロープの例である。

　エレベーター２の昇降路３は、複数の種類の走行区間に分けられる。走行区間は、例えば一定速度走行区間、または減速区間である。減速区間は、昇降路３の終端側の区間である。この例において、減速区間は、昇降路３の上端側および昇降路３の下端側の各々に設けられる。一定速度走行区間は、鉛直方向において昇降路３の中央の領域を含む区間である。この例において、一定速度走行区間は、減速区間を除く区間である。この例において、一定速度走行区間の長さは、下端側の減速区間の長さおよび上端側の減速区間の長さより長い。一定速度走行区間を一定の定格速度で走行しているかご６を終端階に停止させるときに、制御盤は、減速区間においてかご６を減速させる。制御盤は、かご６が一定速度走行区間と減速区間との境界を通過するときに、直ちにはかご６を減速させなくてもよい。すなわち、制御盤は、かご６が一定速度走行区間と減速区間との境界を終端階側に通過するときに、減速区間においてかご６の定格速度での走行を継続させた後にかご６を減速させてもよい。

　終端階強制減速システム１は、調速ロープ９と、調速シーブ１０と、回転数検出部１１と、複数の検知材１２と、かご側検知器１３と、終端階強制減速装置１４と、を備える。

　調速ロープ９の両端は、かご６に取り付けられる。調速ロープ９は、かご６の走行に伴って昇降路３の内部を鉛直方向に移動する。すなわち、調速ロープ９は、かご６が昇降路３の内部を走行するときに昇降路３の内部を移動するロープの例である。

　調速シーブ１０は、例えば昇降路３の上部に設けられる。調速シーブ１０は、調速ロープ９が巻き掛けられるシーブである。

　回転数検出部１１は、シーブの回転数を検出する部分である。回転数検出部１１は、例えば調速ロープ９に設けられる。回転数検出部１１は、例えばエンコーダーまたはレゾルバーを有する。

　複数の検知材１２の各々は、昇降路３の壁面に離散的に設けられる。複数の検知材１２の各々は、例えば金属板である。この例において、複数の検知材１２の各々は、互いに同一の形状である。この例において、複数の検知材１２の各々は、互いに同一の方向を向けて設置される。この例において、複数の検知材１２として、検知材１２ａ、検知材１２ｂ、検知材１２ｃ、検知材１２ｄ、検知材１２ｅ、および検知材１２ｆが設けられる。なお、エレベーター２が例えばシャトルエレベーターなどのように非停止階が設定されるエレベーターである場合に、複数の検知材１２の各々は、非停止階の階床位置に適宜設けられてもよい。

　検知材１２ａおよび検知材１２ｂは、下端側の減速区間に含まれる階床位置に設けられる。検知材１２ａおよび検知材１２ｂは、区間内検知材の例である。検知材１２ｃは、下端側の減速区間の上側の境界に設けられる。検知材１２ｃは、境界検知材の例である。この例において、検知材１２ａは、昇降路３の最下階の階床位置に設けられる。検知材１２ｂは、昇降路３の最下階の１つ上の階床の階床位置に設けられる。検知材１２ｃは、検知材１２ｂが設けられる階床の１つ上の階床の階床位置に設けられる。この例において、下端側の減速区間に含まれる全ての階床の階床位置に検知材１２が設けられる。

　検知材１２ｄは、上端側の減速区間の下側の境界に設けられる。検知材１２ｄは、境界検知材の例である。検知材１２ｅおよび検知材１２ｆは、上端側の減速区間に含まれる階床位置に設けられる。検知材１２ｅおよび検知材１２ｆは、区間内検知材の例である。この例において、検知材１２ｆは、昇降路３の最上階の階床位置に設けられる。検知材１２ｅは、昇降路３の最上階の１つ下の階床の階床位置に設けられる。検知材１２ｄは、検知材１２ｅが設けられる階床の１つ下の階床の階床位置に設けられる。この例において、上端側の減速区間に含まれる全ての階床の階床位置に検知材１２が設けられる。

　かご側検知器１３は、かご６に設けられる。かご側検知器１３は、かご６の走行とともに昇降路３を移動する。かご側検知器１３は、例えばかご６の上部に設けられる。かご側検知器１３は、昇降路３の壁面に設けられる複数の検知材１２の各々が設けられる位置にかご６があるときに、当該検知材１２の存在を検知する装置である。かご側検知器１３は、検知材１２の存在を検知するときに、検知信号を出力する。かご側検知器１３は、例えば機械的なスイッチによって検知材１２を検知する。あるいは、かご側検知器１３は、例えば光、超音波、または静電容量もしくは電磁誘導などの電磁気的な作用などを検出するセンサーによって検知材１２を検知する。この例において、かご側検知器１３は、複数の検知材１２の各々を区別せずに検知する。

　終端階強制減速装置１４は、過剰な速度で走行するかご６を強制的に減速させる装置である。終端階強制減速装置１４は、位置検出部１５と、走行区間判定部１６と、位置補正部１７と、監視速度生成部１８と、速度検出部１９と、速度監視部２０と、を備える。

　位置検出部１５は、回転数検出部１１が検出したシーブの回転数に基づいて、かご６の位置情報２１を検出する部分である。

　終端階強制減速装置１４において、複数の検知材１２の各々をかご側検知器１３が検知するときのかご６の位置情報２１を、学習データ２２として格納する。学習データ２２は、例えば図示されない終端階減速装置の記憶部に格納される。学習データ２２は、例えば図示されない終端階減速装置の学習部によって生成される。学習部は、かご側検知器１３が検知信号を出力するときに位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１に基づいて学習データ２２を生成する。あるいは、学習部は、例えば外部からの入力データによって学習データ２２を生成してもよい。

　走行区間判定部１６は、昇降路３においてかご６がある走行区間を判定する部分である。走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあるか否かを判定する。この例において、走行区間判定部１６は、かご側検知器１３が境界検知材を検知するときに、かご６が減速区間にあるか否かの判定を切り替える。走行区間判定部１６による走行区間の判定は、例えば次のように行われる。

　例えば、かご６が一定速度走行区間にあるときに境界検知材の例である検知材１２ｃをかご側検知器１３が検知した後に、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。ここで、走行区間判定部１６は、例えば一定速度走行区間を走行しているときに検知された検知材１２を境界検知材であるとして走行区間の判定を行う。このとき、走行区間判定部１６は、例えば、かご６の走行方向に基づいて、下端側の境界検知材および上端側の境界検知材を判別する。すなわち、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間を下方に走行しているときに検知された境界検知材を、下側の境界検知材であると判定する。また、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間を上方に走行しているときに検知された境界検知材を、上側の境界検知材であると判定する。

　例えば、かご６が減速区間にあるときに境界検知材の例である検知材１２ｃをかご側検知器１３が検知した後に、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間にあると判定する。すなわち、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する。ここで、走行区間判定部１６は、例えば検知材１２が検知されたときの位置情報２１と学習データ２２とに基づいて、検知された検知材１２が境界検知材であるか、または区間内検知材であるかを判別する。

　例えば、かご側検知器１３による検知の後のかご６の走行距離が、かご側検知器１３による次の検知の前に閾値を超える場合に、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間にあると判定する。すなわち、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する。ここで、かご６の走行距離は、回転数検出部１１が検出するシーブの回転数に基づいて、例えば走行区間判定部１６に検出される。また、かご側検知器１３による検知の後からかご側検知器１３による次の検知の前までのかご６の走行距離は、かご側検知器１３による検知がない間のかご６の走行距離である。あるいは、走行区間判定部１６は、かご側検知器１３による検知のたびにリセットされる走行距離をかご側検知器１３による検知がない間のかご６の走行距離として、走行区間を判定してもよい。走行区間の判定に用いられる閾値は、例えば連続する減速区間において隣接する検知材１２の間の距離より長い距離に予め設定される。閾値は、例えば学習データ２２に基づいて走行区間判定部１６によって設定されてもよい。あるいは、閾値は、例えば外部からのデータ入力によって設定されてもよい。

　位置補正部１７は、位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１を補正する部分である。位置補正部１７は、かご側検知器１３から入力される検知信号および学習データ２２に基づいて位置情報２１の補正を行う。

　監視速度生成部１８は、検出された位置情報２１に基づいて監視速度２３を生成する部分である。監視速度２３は、かご６を強制的に減速させる基準の走行速度である。すなわち、かご６の走行速度が監視速度２３を超えるときに、かご６は減速させられる。監視速度生成部１８は、かご６が一定速度区間に含まれる位置にあるときに、一定の監視速度２３を生成する。監視速度生成部１８は、かご６が減速区間に含まれる位置にあるときに、かご６の位置情報２１によって変化する監視速度２３を生成する。

　速度検出部１９は、回転数検出部１１が検出する回転数の情報に基づいて、かご６の速度情報２４を検出する部分である。

　速度監視部２０は、速度検出部１９に検出される速度情報２４の表す速度が、監視速度生成部１８が生成する監視速度２３を超えるか否かを監視する部分である。速度監視部２０は、速度情報２４の表す速度が監視速度２３を超えるときに、緊急停止指令２５を例えば図示されない制御盤に出力する。制御盤は、緊急停止指令２５が入力されるときに、巻上機４の動力を遮断する。このとき、制御盤は、例えば図示されないブレーキによって巻上機４のシーブの回転を制動する。

　ここで、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間にあると判定するときに、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を、例えば次のようにして無効にする。走行区間判定部１６は、位置検出部１５が検出する位置情報２１を、一定速度走行区間に含まれる昇降路３の中央の領域の一定の位置情報で上書きする。走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定するときに、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を有効にする。

　図２は、実施の形態１に係る終端階強制減速システムによる監視速度を示す図である。

　図２において、グラフの横軸は、かご６の位置情報２１を表す。グラフの縦軸は、かご６の速度を表す。グラフの太い実線は、監視速度２３を表す。グラフの太い一点鎖線は、一定速度走行区間を一定の定格速度で走行しているかご６が終端階に停止するときの速度情報２４を表す。

　監視速度２３の値は、監視速度２３を超えた位置においてかご６の急停止が発生した場合に、かご６側の緩衝器８ａまたは釣合いおもり７側の緩衝器８ｂの衝突許容速度以下まで十分減速できる速度の値に設定される。監視速度２３の値は、一定速度走行区間において、かご６の位置によらずに一定の値に設定される。監視速度２３の値は、減速区間において、かご６の位置に応じて変化する。この例において、監視速度２３の値は、かご６の位置が昇降路３の終端側に近づくにつれて単調減少するように設定されている。

　ここで、一定速度走行区間および減速区間を含む走行区間は、監視速度２３の設定に関して定義された区間である。このため、制御盤は、監視速度２３を超えない範囲で、走行区間に依らずにかご６の走行速度を制御してもよい。すなわち、制御盤は、例えば一定速度走行区間に含まれる階床にかご６を停止させるときなどに、一定速度走行区間においてかご６を減速させてもよい。制御盤は、例えば一定速度走行区間に含まれる階床からかご６の走行を開始させるときなどに、一定速度走行区間においてかご６を加速させてもよい。制御盤は、例えば減速区間に含まれる階床からかご６の走行を開始させるときなどに、減速区間においてかご６を加速させてもよい。制御盤は、例えば減速区間に含まれる複数の階床の間においてかご６を走行させるときなどに、減速区間において定格速度より十分低く監視速度２３を超えない一定の速度でかご６を走行させてもよい。

　続いて、図３を用いて、終端階強制減速システム１の動作の例を説明する。
　図３は、実施の形態１に係る終端階強制減速システムの動作の例を示す図である。

　図３の左側において、昇降路３、および下端側に設けられる複数の検知材１２の模式図が示される。図３の右側上部において、かご６の位置の時間による推移を表すグラフが示される。このグラフにおいて、横軸は時間を表す。グラフにおいて、縦軸はかご６の位置を表す。グラフの太い実線は、実際のかご６の位置を表す。図３の右側中間部において、かご側検知器１３による検知信号の有無が示される。ここで、ハッチングを施した矩形の部分は、複数の検知材１２のいずれかが検知されていることを示す。図３の右側下部において、判定した走行区間に基づく走行区間判定部１６の処理が示される。

　時刻ｔ１より前において、かご６は減速区間に含まれる階床に停止している。かご６は、例えば昇降路３の最下階に停止している。このとき、かご側検知器１３は、検知材１２ａを検知している。このとき、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。走行区間判定部１６は、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を有効にしている。

　時刻ｔ１において、制御盤は、かご６の上方への走行を開始させる。かご６の移動によって、かご側検知器１３は、検知材１２ａを検知しなくなる。このとき、位置情報２１が有効であるので、監視速度生成部１８は、かご６の位置に応じた監視速度２３を生成する。なお、かご６が終端階から昇降路３の中央に向かって走行する場合に、強制減速は必須ではない。このため、監視速度生成部１８は、下端側の減速区間においてかご６が上方に走行するときに、一定速度走行区間において生成される一定の監視速度２３を生成してもよい。

　その後の時刻ｔ２において、制御盤は、かご６を減速区間に含まれる他の階床に停止させる。かご６は、例えば昇降路３の最下階の１つ上の階床に停止する。このとき、かご側検知器１３は、検知材１２ｂを検知している。このとき、位置補正部１７は、位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１を、学習データ２２に含まれる検知材１２ｂの位置情報に補正する。

　その後、制御盤は、かご６の上方への走行を開始させる。かご６の移動によって、かご側検知器１３は、検知材１２ｂを検知しなくなる。このとき、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。走行区間判定部１６は、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を有効にしている。位置情報２１が有効であるので、監視速度生成部１８は、かご６の位置に応じた監視速度２３を生成する。

　その後の時刻ｔ３において、制御盤は、かご６を走行させて減速区間および一定速度走行区間の境界を通過させる。このとき、かご側検知器１３は、検知材１２ｃを検知する。時刻ｔ３においてかご６は走行しているので、かご側検知器１３は、検知材１２ｃを検知しなくなる。このとき、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する。走行区間判定部１６は、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を無効にする。位置情報２１が一定値に上書きされることで無効となっているので、監視速度生成部１８は、かご６の位置によらずに一定の監視速度２３を生成する。

　その後の時刻ｔ４において、制御盤は、かご６を一定速度走行区間に含まれる他の階床に停止させる。一定速度走行区間において、検知材１２は設けられていない。このため、かご側検知器１３は、検知材１２を検知しない。その後の時刻ｔ５において、制御盤は、かご６の下方への走行を開始させる。この間、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する。走行区間判定部１６は、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を無効にしている。位置情報２１が無効となっているので、監視速度生成部１８は、かご６の位置によらずに一定の監視速度２３を生成する。

　その後の時刻ｔ６において、制御盤は、かご６を一定速度走行区間に含まれる他の階床に停止させる。一定速度走行区間において、検知材１２は設けられていない。このため、かご側検知器１３は、検知材１２を検知しない。その後、制御盤は、一定速度走行区間に含まれる階床の間において、かご６に繰返し短階床運転をさせる。この間、調速ロープ９および調速シーブ１０の間のスリップ、または調速シーブ１０の直径の温度変化などによって、調速シーブ１０の回転数から導出される調速ロープ９の移動量の誤差が累積する。一方、一定速度走行区間において位置情報２１が無効となっているため、監視速度生成部１８は、減速区間における監視速度２３を誤って生成することがない。

　その後の時刻ｔ７において、制御盤は、かご６の下方への走行を開始させる。その後の時刻ｔ８において、制御盤は、かご６を走行させて一定速度走行区間および減速区間の境界を通過させる。このとき、かご側検知器１３は、検知材１２ｃを検知する。時刻ｔ８においてかご６は走行しているので、かご側検知器１３は、検知材１２ｃを検知しなくなる。このとき、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。走行区間判定部１６は、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を有効にする。このとき、位置補正部１７は、位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１を、学習データ２２に含まれる検知材１２ｃの位置情報に補正する。位置情報２１が有効であるので、監視速度生成部１８は、かご６の位置に応じた監視速度２３を生成する。

　上端側の減速区間においても、終端階強制減速システム１は、ここに例示した下端側の減速区間における動作と同様に動作する。

　以上に説明したように、実施の形態１に係る終端階強制減速システム１は、位置検出部１５と、監視速度生成部１８と、走行区間判定部１６と、区間内検知材と、かご側検知器１３と、位置補正部１７と、を備える。位置検出部１５は、シーブの回転数に基づいてかご６の位置情報２１を検出する。シーブは、ロープが巻き掛けられる機器である。ロープは、エレベーター２のかご６が昇降路３の内部を走行するときに昇降路３の内部を移動する。監視速度生成部１８は、かご６の位置情報２１に基づいて、かご６の監視速度２３を生成する。走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあるか否かを判定する。減速区間は、昇降路３の終端側の区間である。区間内検知材は、昇降路３の減速区間における階床位置に設けられる。かご側検知器１３は、かご６に設けられる。かご側検知器１３は、区間内検知材が設けられる階床位置にかご６があるときに区間内検知材を検知する。走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。この場合に、位置補正部１７は、かご側検知器１３が区間内検知材を検知するときに、当該区間内検知材の昇降路３における位置情報に基づいて、かご６の位置情報２１を補正する。

　終端階強制減速システム１において、減速区間に含まれる位置に設けられた検知材１２をかご側検知器１３が検出して位置情報２１を補正する。すなわち、制御盤が減速区間において短階床運転をかご６に繰り返させる場合においても、減速区間に含まれる階床位置に着床するタイミングまたは当該階床位置を通過するタイミングでかご６の位置情報２１が補正される。このため、調速ロープ９および調速シーブ１０の間のスリップ、または調速シーブ１０の直径の温度変化などによって調速シーブ１０の回転数から導出される調速ロープ９の移動量の誤差が累積することによるかご６の位置情報２１の誤差が抑制される。これにより、終端階強制減速システム１において、シーブの回転角およびかご６の位置の間の誤差の累積による誤作動の発生が抑制される。

　一般に、高速走行するエレベーター２において、終端階スイッチの設置間隔は、高速走行しないエレベーター２と比較して広く設定される。例えば、定格速度が２４０ｍ／ｍｉｎを超えるエレベーター２において、終端階スイッチの設置間隔は、１０ｍ以上の間隔に設定される場合がある。一方、かご６が停止する階床の間隔は、一般に３ｍから４ｍ程度である。このため、高速走行するエレベーター２において終端階スイッチの設置間隔の内に複数の階床が含まれる可能性がある。ここで、実施の形態１に係る終端階強制減速システム１の検知材１２は、階床位置に設けられる。このため、終端階スイッチが設けられる昇降路３の終端側の領域においてかご６の短階床運転が繰り返される場合においても、検知材１２の検知によってかご６の位置情報２１が補正される。また、複数の検知材１２の各々は、例えば金属板などの単純かつ同一の構成とすることができる。このため、昇降路３の階床位置において、検知材１２の設置がしやすくなる。

　また、終端階強制減速システム１は、境界検知材を備える。境界検知材は、昇降路３において減速区間の境界に設けられる。境界検知材は、減速区間の境界の位置にかご６があるときに、かご側検知器１３に検知される。走行区間判定部１６は、かご側検知器１３が境界検知材を検知するときに、かご６が減速区間にあるか否かの判定を切り替える。

　区間内検知材および境界検知材は、ともにかご側検知器１３に検知される。終端階強制減速システム１は、単一のかご側検知器１３およびかご側検知器１３に検知される複数の検知材１２によって、かご６の位置情報２１の補正および走行区間の判定を行うことができる。この例において、区間内検知材および境界検知材は、同一の構成とすることができる。このため、終端階減速システムの部材の種類の数が抑えられる。また、終端階減速システムの導入において、複数の検知材１２の各々の設置がしやすくなる。

　また、終端階強制減速システム１は、第２区間内検知材を備える。第２区間内検知材は、昇降路の減速区間において区間内検知材が設けられる階床位置の他の階床位置に設けられる。かご側検知器は、区間内検知材および第２区間内検知材を区別せずに検知する。
　また、かご側検知器は、区間内検知材および境界検知材を区別せずに検知する。

　区間内検知材および第２区間内検知材の組は、例えば検知材１２ａ、検知材１２ｂ、検知材１２ｅ、および検知材１２ｆのうちのいずれか一組である。区間内検知材および境界検知材の組は、例えば検知材１２ａ、検知材１２ｂ、検知材１２ｅ、および検知材１２ｆのうちのいずれかと、検知材１２ｃおよび検知材１２ｄのいずれかとの組である。すなわち、かご側検知器は、検知材１２ａから検知材１２ｆの各々を互いに区別せずに検知する。このとき、複数の検知材１２の各々は単純かつ同一の構成であってもよい。これにより、複数の検知材１２の設置がしやすくなる。

　また、位置補正部１７は、かご側検知器１３が境界検知材を検知するときに、当該境界検知材の昇降路３における位置情報２１に基づいてかご６の位置情報２１を補正する。

　制御盤が一定速度走行区間において短階床運転をかご６に繰り返させていた場合においても、減速区間の境界の位置に着床するタイミングまたは当該位置を通過するタイミングでかご６の位置情報２１が補正される。このため、調速ロープ９および調速シーブ１０の間のスリップ、または調速シーブ１０の直径の温度変化などによって調速シーブ１０の回転数から導出される調速ロープ９の移動量の誤差が累積することによるかご６の位置情報２１の誤差が抑制される。これにより、終端階強制減速システム１において、シーブの回転角およびかご６の位置の間の誤差の累積による誤作動の発生が抑制される。

　また、走行区間判定部１６は、シーブの回転数に基づいてかご６の走行距離を検出する。走行区間判定部１６は、かご側検知器１３による検知がない間のかご６の走行距離が予め設定された閾値を超えるときに、かご６が減速区間にないと判定する。

　例えばエレベーター２の電源を投入した直後などにおいて、かご６の位置情報２１が不明となる場合がある。この場合においても、走行区間判定部１６は、シーブの回転数から検出される走行距離に基づいて、かご６が一定速度走行区間にあることを判定できる。すなわち、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないことを判定できる。これにより、終端階強制減速システム１において、かご６のある走行区間が判定されないことによる誤作動の発生が抑制される。

　また、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する場合に、監視速度生成部１８が監視速度２３の生成に用いるかご６の位置情報２１を無効にする。

　制御盤は、一定速度走行区間において短階床運転をかご６に繰り返させることがある。このときに、調速ロープ９および調速シーブ１０の間のスリップ、または調速シーブ１０の直径の温度変化などによって調速シーブ１０の回転数から導出される調速ロープ９の移動量の誤差が累積しうる。ここで、減速区間にない場合に、監視速度生成部１８は、かご６の位置によらず一定の監視速度２３を生成する。このため、調速シーブ１０の回転数から導出される調速ロープ９の移動量に誤差が累積しうる場合においても、かご６が実際に減速区間に入る前に減速区間における監視速度２３が適用されるなどの終端階強制減速システム１の誤作動が抑制される。

　なお、調速シーブ１０は、エレベーター２の調速器のシーブであってもよい。このとき、調速ロープ９は、エレベーター２の調速器のロープであってもよい。また、回転数検出部１１は、調速ロープ９の下方において調速ロープ９に張力を与える張り車に設けられてもよい。また、回転数検出部１１は、巻上機４のシーブに設けられてもよい。回転数検出部１１は、主ロープ５などが巻き掛けられる例えば返し車などのシーブに設けられてもよい。

　続いて、図４を用いて終端階強制減速装置１４のハードウェア構成の例について説明する。
　図４は、実施の形態１に係る終端階強制減速装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。

　終端階強制減速装置１４の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも１つのプロセッサ１４ｂと少なくとも１つのメモリ１４ｃとを備える。処理回路は、プロセッサ１４ｂおよびメモリ１４ｃと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも１つの専用のハードウェア１４ａを備えてもよい。

　処理回路がプロセッサ１４ｂとメモリ１４ｃとを備える場合、終端階強制減速装置１４の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ１４ｃに格納される。プロセッサ１４ｂは、メモリ１４ｃに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、終端階強制減速装置１４の各機能を実現する。

　プロセッサ１４ｂは、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ　Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ　Ｕｎｉｔ）、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ＤＳＰともいう。メモリ１４ｃは、例えば、ＲＡＭ、ＲＯＭ、フラッシュメモリ、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭ等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、ＤＶＤ等により構成される。

　処理回路が専用のハードウェア１４ａを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ＡＳＩＣ、ＦＰＧＡ、またはこれらの組み合わせで実現される。

　終端階強制減速装置１４の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、終端階強制減速装置１４の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。終端階強制減速装置１４の各機能について、一部を専用のハードウェア１４ａで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア１４ａ、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで終端階強制減速装置１４の各機能を実現する。

　実施の形態２．
　実施の形態２では、実施の形態１で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態２で説明しない特徴については、実施の形態１で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。

　図５は、実施の形態２に係る終端階強制減速システムの構成図である。

　終端階強制減速システム１は、かご側検知材２６と、２つの昇降路側検知器２７と、を備える。

　かご側検知材２６は、かご６に設けられる。かご側検知材２６は、かご６の走行とともに昇降路３を移動する。かご側検知材２６は、例えばかご６の外側面に設けられる。かご側検知材２６は、例えば金属板である。この例において、かご側検知材２６は、複数の検知材１２の各々と同一の形状である。この例において、検知材１２ｃおよび検知材１２ｄは、減速区間の境界に設けられていない。

　２つの昇降路側検知器２７の各々は、昇降路３の壁面に設けられる。２つの昇降路側検知器２７の各々は、当該昇降路側検知器２７が設けられる位置にかご６があるときに、かご６に設けられるかご側検知材２６の存在を検知する装置である。２つの昇降路側検知器２７の各々は、かご側検知材２６の存在を検知するときに、検知信号を出力する。昇降路側検知器２７は、例えば機械的なスイッチによってかご側検知材２６を検知する。あるいは、昇降路側検知器２７は、例えば光、超音波、または静電容量もしくは電磁誘導などの電磁気的な作用などを検出するセンサーによってかご側検知材２６を検知する。この例において、昇降路側検知器２７は、かご側検知器１３が複数の検知材１２の各々を検知する方式と同一の方式によってかご側検知材２６を検知する。この例において、２つの昇降路側検知器２７として、昇降路側検知器２７ａ、および昇降路側検知器２７ｂが設けられる。昇降路側検知器２７ａは、下端側の減速区間の上側の境界に設けられる。昇降路側検知器２７ｂは、上端側の減速区間の下側の境界に設けられる。

　終端階強制減速装置１４の走行区間判定部１６は、昇降路側検知器２７がかご側検知材２６を検知するときに、かご６が減速区間にあるか否かの判定を切り替える。走行区間判定部１６による走行区間の判定は、例えば次のように行われる。

　例えば、かご６が一定速度走行区間にあるときにかご側検知材２６を昇降路側検知器２７ａが検知した後に、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にあると判定する。このとき、走行区間判定部１６は、例えば、かご６の走行方向に基づいて、下端側の昇降路側検知器２７ａおよび上端側の昇降路側検知器２７ｂを判別する。

　例えば、かご６が減速区間にあるときにかご側検知材２６を昇降路側検知器２７が検知した後に、走行区間判定部１６は、かご６が一定速度走行区間にあると判定する。すなわち、走行区間判定部１６は、かご６が減速区間にないと判定する。ここで、走行区間判定部１６は、例えば検知材１２が検知されたときの位置情報２１と学習データ２２とに基づいて、下端側の昇降路側検知器２７ａおよび上端側の昇降路側検知器２７ｂを判別する。なお、走行区間判定部１６は、２つの昇降路側検知器２７の各々からの検知信号が互いに識別可能であるように独立に入力されてもよい。このとき、走行区間判定部１６は、入力される検知信号によって下端側の昇降路側検知器２７ａおよび上端側の昇降路側検知器２７ｂを判別してもよい。

　位置補正部１７は、かご側検知器１３および昇降路側検知器２７の各々から入力される検知信号および学習データ２２に基づいて位置情報２１の補正を行う。かご側検知器１３から検知信号が入力されるときに、位置補正部１７は、位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１を、かご側検知器１３に検知された検知材１２の学習データ２２に含まれる位置情報に補正する。昇降路側検知器２７から検知信号が入力されるときに、位置補正部１７は、位置検出部１５が検出したかご６の位置情報２１を、かご側検知材２６を検知した昇降路側検知器２７の昇降路３における位置に補正する。

　終端階強制減速装置１４は、脱落検知部２８を備えてもよい。脱落検知部２８は、例えば複数の検知材１２のいずれか、またはかご側検知材２６などの脱落を検知する部分である。

　脱落検知部２８は、例えば次のように複数の検知材１２のいずれかの脱落を検知する。脱落検知部２８は、かご６が減速区間にあるときに、学習データ２２に基づいて検知材１２が検知されるかご６の位置情報２１を推定する。脱落検知部２８は、推定された位置情報２１を含むかご６の位置の範囲において検知材１２が検知されない場合に、当該検知材１２の脱落を検知する。ここで、脱落の判定に用いられるかご６の位置の範囲は、例えばかご６の位置情報２１の検出精度に相当する範囲として予め設定される。

　脱落検知部２８は、例えば次のようにかご側検知材２６の脱落を検知してもよい。脱落検知部２８は、かご６が減速区間にあるときに、学習データ２２に基づいてかご側検知材２６が検知されるかご６の位置情報２１を推定する。ここで推定される位置情報２１は、減速区間および一定速度走行区間の境界の位置である。脱落検知部２８は、推定された位置情報２１を含むかご６の位置の範囲においてかご側検知材２６が検知されない場合に、かご側検知材２６の脱落を検知する。ここで、脱落の判定に用いられるかご６の位置の範囲は、例えばかご６の位置情報２１の検出精度に相当する範囲として予め設定される。

　以上に説明したように、実施の形態２に係る終端階強制減速システム１は、かご側検知材２６と、昇降路側検知器２７と、を備える。かご側検知材２６は、かご６に設けられる。昇降路側検知器２７は、昇降路３において減速区間の境界に設けられる。昇降路側検知器２７は、境界の位置にかご６があるときにかご側検知材２６を検知する。走行区間判定部１６は、昇降路側検知器２７がかご側検知材２６を検知するときに、かご６が減速区間にあるか否かの判定を切り替える。

　終端階強制減速システム１は、走行区間の判定およびかご６の位置の補正を別系統の装置によって行う。これにより、走行区間の判定がより確実に行われる。また、終端階強制減速システム１は、複数の検知材１２のいずれかの脱落などの異常を検知することができる。

　また、位置補正部１７は、昇降路側検知器２７がかご側検知材２６を検知するときに、当該昇降路側検知器２７の昇降路３における位置情報に基づいてかご６の位置情報２１を補正する。

　なお、実施の形態２に係る終端階強制減速システム１は、減速区間の境界において境界検知材を備えてもよい。

　また、昇降路側検知器２７およびかご側検知材２６は、走行区間判定部１６による走行区間の境界の判定に用いられる。このとき、走行区間の境界の判定に用いられる検知器および検知材の組は、かご６の側および昇降路３の側を入れ替えて設けられてもよい。すなわち、昇降路側検知器２７と同様の機能を有する第２かご側検知器が、かご６に設けられていてもよい。また、かご側検知材２６と同様の機能を有する境界検知材が、減速区間の境界において昇降路３の壁面に設けられていてもよい。当該第２かご側検知器および境界検知材の組は、かご側検知器１３および検知材１２の組と別に設けられていてもよい。

　このとき、脱落検知部２８は、例えば次のように検知材１２または境界検知材の脱落を検知してもよい。脱落検知部２８は、かご６が減速区間にあるときに、当該減速区間の検知材１２が検知されるかご６の位置情報を推定する。脱落検知部２８は、推定した位置情報を含むかご６の位置の範囲において当該検知材１２が検知されない場合に、当該検知材１２の脱落を検知する。あるいは、脱落検知部２８は、かご６が減速区間にあるときに境界検知材が検知されるかご６の位置情報を推定する。脱落検知部２８は、推定した位置情報を含むかご６の位置の範囲において当該境界検知材が検知されない場合に当該境界検知材の脱落を検知する。

　本発明に係る終端階強制減速システムは、エレベーターに適用できる。

　１　終端階強制減速システム、　２　エレベーター、　３　昇降路、　４　巻上機、　５　主ロープ、　６　かご、　７　釣合いおもり、　８、８ａ、８ｂ　緩衝器、　９　調速ロープ、　１０　調速シーブ、　１１　回転数検出部、　１２、１２ａ、１２ｂ、１２ｃ、１２ｄ、１２ｅ、１２ｆ　検知材、　１３　かご側検知器、　１４　終端階強制減速装置、　１５　位置検出部、　１６　走行区間判定部、　１７　位置補正部、　１８　監視速度生成部、　１９　速度検出部、　２０　速度監視部、　２１　位置情報、　２２　学習データ、　２３　監視速度、　２４　速度情報、　２５　緊急停止指令、　２６　かご側検知材、　２７、２７ａ、２７ｂ　昇降路側検知器、　２８　脱落検知部、　１４ａ　ハードウェア、　１４ｂ　プロセッサ、　１４ｃ　メモリ

Claims

　エレベーターのかごが昇降路の内部を走行するときに前記昇降路の内部を移動するロープが巻き掛けられるシーブの回転数に基づいて前記かごの位置情報を検出する位置検出部と、
　前記かごの位置情報に基づいて、前記かごの監視速度を生成する監視速度生成部と、
　前記かごが前記昇降路の終端側の減速区間にあるか否かを判定する走行区間判定部と、
　前記昇降路の前記減速区間における階床位置に設けられる区間内検知材と、
　前記かごに設けられ、前記区間内検知材が設けられる階床位置に前記かごがあるときに前記区間内検知材を検知するかご側検知器と、
　前記かごが前記減速区間にあると前記走行区間判定部が判定する場合に、前記かご側検知器が前記区間内検知材を検知するときに、当該区間内検知材の前記昇降路における位置情報に基づいて、前記かごの位置情報を補正する位置補正部と、
　を備えるエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記昇降路の前記減速区間において前記区間内検知材が設けられる階床位置の他の階床位置に設けられる第２区間内検知材
　を備え、
　前記かご側検知器は、前記区間内検知材および前記第２区間内検知材を区別せずに検知する
　請求項１に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記昇降路において前記減速区間の境界に設けられ、前記境界の位置に前記かごがあるときに前記かご側検知器に検知される境界検知材
　を備え、
　前記走行区間判定部は、前記かご側検知器が前記境界検知材を検知するときに、前記かごが前記減速区間にあるか否かの判定を切り替える
　請求項１または請求項２に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かご側検知器は、前記区間内検知材および前記境界検知材を区別せずに検知する
　請求項３に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記位置補正部は、前記かご側検知器が前記境界検知材を検知するときに、当該境界検知材の前記昇降路における位置情報に基づいて前記かごの位置情報を補正する
　請求項３または請求項４に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かごに設けられるかご側検知材と、
　前記昇降路において前記減速区間の境界に設けられ、前記境界の位置に前記かごがあるときに前記かご側検知材を検知する昇降路側検知器と、
　を備え、
　前記走行区間判定部は、前記昇降路側検知器が前記かご側検知材を検知するときに、前記かごが前記減速区間にあるか否かの判定を切り替える
　請求項１または請求項２に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記位置補正部は、前記昇降路側検知器が前記かご側検知材を検知するときに、当該昇降路側検知器の前記昇降路における位置情報に基づいて前記かごの位置情報を補正する
　請求項６に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かごが前記減速区間にあるときに前記区間内検知材が検知される前記かごの位置情報を推定し、推定した位置情報を含む前記かごの位置の範囲において当該区間内検知材が検知されない場合に当該区間内検知材の脱落を検知する脱落検知部
　を備える請求項６または請求項７に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かごが前記減速区間にあるときに前記かご側検知材が検知される前記かごの位置情報を推定し、推定した位置情報を含む前記かごの位置の範囲において当該かご側検知材が検知されない場合に当該かご側検知材の脱落を検知する脱落検知部
　を備える請求項６または請求項７に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記昇降路において前記減速区間の境界に設けられる境界検知材と、
　前記かごに設けられ、前記境界の位置に前記かごがあるときに前記境界検知材を検知する第２かご側検知器と、
　を備え、
　前記走行区間判定部は、前記第２かご側検知器が前記境界検知材を検知するときに、前記かごが前記減速区間にあるか否かの判定を切り替える
　請求項１または請求項２に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記位置補正部は、前記第２かご側検知器が前記境界検知材を検知するときに、当該境界検知材の前記昇降路における位置情報に基づいて前記かごの位置情報を補正する
　請求項１０に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かごが前記減速区間にあるときに前記区間内検知材が検知される前記かごの位置情報を推定し、推定した位置情報を含む前記かごの位置の範囲において当該区間内検知材が検知されない場合に当該区間内検知材の脱落を検知する脱落検知部
　を備える請求項１０または請求項１１に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記かごが前記減速区間にあるときに前記境界検知材が検知される前記かごの位置情報を推定し、推定した位置情報を含む前記かごの位置の範囲において当該境界検知材が検知されない場合に当該境界検知材の脱落を検知する脱落検知部
　を備える請求項１０または請求項１１に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記走行区間判定部は、前記シーブの回転数に基づいて前記かごの走行距離を検出し、前記かご側検知器による検知がない間の前記かごの走行距離が予め設定された閾値を超えるときに前記かごが前記減速区間にないと判定する
　請求項１から請求項１３のいずれか一項に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。
　前記走行区間判定部は、前記かごが前記減速区間にないと判定する場合に、前記監視速度生成部が前記監視速度の生成に用いる前記かごの位置情報を無効にする
　請求項１から請求項１４のいずれか一項に記載のエレベーターの終端階強制減速システム。