WO2020189471A1

WO2020189471A1 - 液体抽出装置

Info

Publication number: WO2020189471A1
Application number: PCT/JP2020/010696
Authority: WO
Inventors: 祐吾上畑
Original assignee: サンデン・リテールシステム株式会社
Priority date: 2019-03-19
Filing date: 2020-03-12
Publication date: 2020-09-24
Also published as: TW202045431A; JP2020152402A

Abstract

【課題】メンテナンス時の利便性を向上させることが可能な液体抽出装置を提供する。【解決手段】液体抽出装置（１）は、ボトル（Ｂ）を倒立状態で設置可能な設置部（４）が設けられた装置本体（２）と、設置部（４）に設置されたボトル（Ｂ）から流下した液体を貯留する貯留器（２０）と、貯留器（２０）に貯留した液体を外部へ抽出する抽出器（５０）と、液体に含まれる沈殿物と液体とを分離するフィルタ（１０１）を含むストレーナ（１００）と、を備える。貯留器（２０）は、内部に液体を貯留する容器（４０）と、容器（４０）に着脱自在に装着され、容器（４０）を装置本体（２）に着脱自在に連結する連結具（３０）とを含む。ストレーナ（１００）は、容器（４０）内に着脱自在に配置され、フィルタ（１０１）の面積が、設置部（４）に設置されたボトル（Ｂ）の口部（Ｂ１）から容器（４０）に至るまでの液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。

Description

液体抽出装置

　本発明は、ボトルに収容された液体を抽出する液体抽出装置に関する。

　ボトルに収容されたワイン等の液体は、ボトルが開栓されると酸化が進行して品質が劣化し易い。このため、ボトルに収容されたワイン等の液体を、いわゆるグラスワイン等に小分けして顧客へ提供するための液体抽出装置が知られている（例えば、特許文献１）。

　また、ボトルに収容されたワイン等の液体には、澱等の沈殿物が含まれている場合がある。この沈殿物を含んだ液体がグラス等へ抽出されると、良質な液体を顧客へ提供できない可能性が有るため、液体に含まれる沈殿物を除去する必要がある。

　特許文献１に記載の液体抽出装置は、ボトルから流下した液体を気密に貯留する貯留器と、貯留器に貯留した液体をグラス等の外部へ抽出する抽出管を含む抽出器とを備える。そして、特許文献１に記載の液体抽出装置では、ワインの澱等の沈殿物を液体から分離するためのフィルタが、抽出器内の抽出管に装着されている。

特許３６０１８２３号公報

　特許文献１に記載の液体抽出装置のように、フィルタが抽出器内の抽出管に装着されていると、抽出管の断面積が比較的小さいため、フィルタの面積が小さくなり、フィルタの目詰まりが発生し易いため頻繁に洗浄する必要がある。また、フィルタが抽出器内の抽出管に装着されていると、フィルタを洗浄する際には、抽出器を都度分解する必要があると共に、小型過ぎて紛失する虞れがあり、その取り扱いが容易ではなく不便である。よって、特許文献１に記載の液体抽出装置は、メンテナンス時の利便性という点で改善の余地がある。

　本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、メンテナンス時の利便性を向上させることが可能な液体抽出装置を提供することである。

　本発明に係る液体抽出装置は、ボトルに収容された液体を抽出する液体抽出装置であって、前記ボトルを倒立状態で設置可能な設置部が設けられた装置本体と、前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体を貯留する貯留器と、前記貯留器に貯留した前記液体を外部へ抽出する抽出器と、前記液体に含まれる沈殿物と前記液体とを分離するフィルタを含むストレーナと、を備え、前記貯留器は、内部に前記液体を貯留する容器と、前記容器に着脱自在に装着され、前記容器を前記装置本体に着脱自在に連結する連結具とを含み、前記ストレーナは、前記容器内に着脱自在に配置され、前記フィルタの面積が、前記設置部に設置された前記ボトルの口部から前記容器に至るまでの前記液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。

　好適には、前記液体抽出装置において、前記容器は、開口部から底部にかけて縮径するように延びる有底筒状に形成され、前記底部には、前記容器内に貯留した前記液体を前記抽出器へ流下させる流下孔が設けられており、前記連結具は、前記開口部に装着され、前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体を前記容器内へ流下させ、前記ストレーナは、前記開口部と前記底部との間に位置する前記容器の内周面に沿った外周面を有し、前記フィルタを支持するフレームを更に含み、前記フレームの前記外周面が前記容器の前記内周面に密着することによって、前記容器内で支持される。

　好適には、前記液体抽出装置において、前記連結具は、前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体が内部を流下する筒部を含み、前記連結具が前記容器の前記開口部に装着された場合、前記筒部は、その下端部が前記容器内で前記開口部から前記底部へ向かう方向へ突出して延びるように形成され、前記ストレーナは、前記フレームの前記外周面が、前記筒部の前記下端部より前記底部側に位置する前記容器の前記内周面に沿った形状を有し、前記フレームの前記外周面が前記容器の前記内周面に密着することによって、前記容器内において前記筒部の前記下端部より前記底部側で支持される。

　好適には、前記液体抽出装置において、前記ストレーナは、前記開口部に装着された前記連結具へ向かって延びるポールを更に含み、前記ストレーナが前記容器内に配置され、前記連結具が前記容器に装着された場合、前記ポールは、前記連結具に当接する。

　好適には、前記液体抽出装置は、前記貯留器よりも前記設置部側に設けられ、前記設置部に設置された前記ボトルから前記貯留器への前記液体の流下を規制する第１バルブと、前記貯留器と前記抽出器との間に設けられ、前記貯留器から前記抽出器への前記液体の流下を規制する第２バルブと、前記貯留器を貫通して前記第１バルブと前記第２バルブとの間に設けられ、前記第１バルブと前記第２バルブとの間で移動することに伴って、前記第１バルブ又は前記第２バルブを作動させる作動ロッドと、ユーザにより操作される操作部に連動して前記作動ロッドを移動させる移動機構と、を更に備え、前記ストレーナは、前記作動ロッドが貫通する貫通孔を更に含み、前記貫通孔は、前記容器内へ流下した前記液体に含まれる前記沈殿物が前記貫通孔から流下しないよう前記作動ロッドを摺動可能に支持する。

　本発明に係る液体抽出装置は、メンテナンス時の利便性を向上させることができる。

液体抽出装置の外観を模式的に示す図である。液体抽出装置の主要構成を模式的に示す図である。液体抽出装置の主要構成の断面図である。貯留器、抽出器、操作部及びストレーナの斜視図である。第１バルブの分解図である。ストレーナの詳細構成を示す斜視図である。貯留器の連結具及び容器並びにストレーナを分解して示す斜視図である。液体抽出装置の排気動作を説明するための図である。液体抽出装置の貯留動作を説明するための図である。液体抽出装置の抽出動作を説明するための図である。

［液体抽出装置の構成］
　図１は、液体抽出装置１の外観を模式的に示す図である。図２は、液体抽出装置１の主要構成を模式的に示す図である。図３は、液体抽出装置１の主要構成の断面図である。図４は、貯留器２０、抽出器５０、操作部９０及びストレーナ１００の斜視図である。図５は、第１バルブ６０の分解図である。図６は、ストレーナ１００の詳細構成を示す斜視図である。図７は、貯留器２０の連結具３０及び容器４０並びにストレーナ１００を分解して示す斜視図である。

　液体抽出装置１は、ボトル等に収容された液体を品質劣化させないよう抽出する装置である。例えば、液体抽出装置１は、ワインボトルに収容されたワインを酸化させずに抽出可能なディスペンサであるワインセーバであってよい。液体抽出装置１は、卓上型の装置であり、バーカウンター等の比較的狭いスペースであっても十分に設置可能なサイズに小型化されている。

　液体抽出装置１は、液体が収容されたボトルＢを倒立状態にして設置し、ボトルＢから流下した液体を一旦貯留し、貯留した液体をグラス等の外部へ抽出する装置である。液体抽出装置１は、液体の品質劣化を抑制するガスである劣化抑制ガスを取り込むと共にボトルＢから流下した液体が流れる流路を気密状態に保ち、ボトルＢから流下した液体が酸化してその品質が劣化しないよう構成される。液体の流下方向は、倒立状態に設置されたボトルＢから下側へ向かう方向である。

　液体抽出装置１により抽出される液体としては、ボトルＢに収容されたワイン、果汁飲料、醤油又は食用油等の、ボトルＢの開栓によって酸化等の品質劣化が進行し易い液体が挙げられる。このような液体の品質劣化を抑制する劣化抑制ガスとしては、窒素等が挙げられる。或いは、液体抽出装置１により抽出される液体としては、ボトルＢに収容された炭酸飲料等の、ボトルＢの開栓によって炭酸が抜ける等の品質劣化が進行し易い液体が挙げられる。このような液体の品質劣化を抑制する劣化抑制ガスとしては、二酸化炭素等が挙げられる。

　液体抽出装置１は、図１に示されるように、液体抽出装置１の本体部分である装置本体２を備える。更に、液体抽出装置１は、図１～図４に示されるように、装置本体２に着脱自在に設けられ、装置本体２の設置部４に設置されたボトルＢから流下した液体を貯留する貯留器２０と、貯留器２０の容器４０に貯留した液体をグラス等の外部へ抽出する抽出器５０とを備える。更に、液体抽出装置１は、図３及び図５に示されるように、貯留器２０よりも設置部４側に設けられ、設置部４に設置されたボトルＢから貯留器２０への液体の流下を規制する第１バルブ６０を備える。更に、液体抽出装置１は、図３に示されるように、貯留器２０と抽出器５０との間に設けられ、貯留器２０から抽出器５０への液体の流下を規制する第２バルブ７０を備える。更に、液体抽出装置１は、図２～図４に示されるように、貯留器２０を貫通して第１バルブ６０と第２バルブ７０との間に設けられ、第１バルブ６０と第２バルブ７０との間で移動することに伴って、第１バルブ６０又は第２バルブ７０を作動させる作動ロッド７５を備える。更に、液体抽出装置１は、図２～図４に示されるように、ユーザにより操作される操作部９０に連動して作動ロッド７５を移動させる移動機構８０を備える。更に、液体抽出装置１は、図２及び図３に示されるように、貯留器２０内へ劣化抑制ガスを供給すると共に、貯留器２０内のガスを排出するためのガス供給系統１２０を備える。更に、液体抽出装置１は、図４に示されるように、液体に含まれる沈殿物と液体とを分離するフィルタ１０１を含むストレーナ１００を備える。

　装置本体２は、図１～図３に示されるように、液体抽出装置１の外郭を構成する筐体３と、ボトルＢを倒立状態で設置可能な設置部４と、貯留器２０が連結される被連結部１０とを備える。

　設置部４は、図１に示されるように、筐体３の上面に設けられ、図３に示されるボトルＢの口部Ｂ１及び首部Ｂ２を挿入可能な挿入口５を含む。更に、設置部４は、図１～図３に示されるように、筐体３の内部において挿入口５から下側に延びるように設けられ、挿入口５から挿入されたボトルＢの首部Ｂ２を着脱可能に固定する固定部６を含む。

　被連結部１０は、図３に示されるように、筐体３の内部において固定部６の下側に配置され、固定部６と一体的に設けられる。被連結部１０は、固定部６の下部から下側に延びる筒状に形成された外筒部１１及び内筒部１２を含む。外筒部１１及び内筒部１２は、それぞれの中心軸が、設置部４に設置されたボトルＢの中心軸の延長線上に位置するように設けられる。外筒部１１及び内筒部１２は、それぞれの上端部が互いに一体となって形成される。

　内筒部１２の内面は、ボトルＢの口部Ｂ１の外面に沿った形状に形成されており、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１と嵌合する。外筒部１１の下端部は、内筒部１２と間隔を置いて、内筒部１２の下端部より下側に延びるように形成される。外筒部１１の下端部の内周面には、貯留器２０が気密に連結可能となるよう、Ｏリング等のシール部材で被覆されたねじ溝が設けられる。

　外筒部１１の上端部と下端部との間には、劣化抑制ガスを貯留器２０へ供給するための給気口１３と、貯留器２０内のガスを装置本体２の外へ排出するための排気口１４とが設けられる。給気口１３及び排気口１４は、ガス供給系統１２０に接続される。具体的には、給気口１３は、給気管１２２を介して、劣化抑制ガスが充填されたガスボンベ等のガス供給源１２１に接続される。排気口１４は、不図示の排気管を介して、不図示の排気弁に接続される。

　給気口１３付近にある外筒部１１と内筒部１２との間は、図３に示されるように、後述の通気路３５を介して貯留器２０の内部と連通しており、給気口１３から供給された劣化抑制ガスを貯留器２０内へ導く給気路を構成する。排気口１４付近にある外筒部１１と内筒部１２との空間は、通気路３５を介して貯留器２０の内部と連通しており、貯留器２０内のガスを装置本体２の外へ導く排気路を構成する。すなわち、外筒部１１と内筒部１２との空間は、給気口１３から供給された劣化抑制ガスを貯留器２０内へ導くと共に、貯留器２０内のガスを装置本体２の外へ導く給排気路１５を構成する。

　貯留器２０は、図４に示されるように、開口部４１から底部４２にかけて液体の流下方向に沿って縮径するように延びる有底筒状に形成され、内部に液体を貯留する容器４０と、容器４０の開口部４１に着脱自在に装着され、容器４０を装置本体２の被連結部１０に連結する連結具３０とを備える。

　連結具３０は、図３に示されるように、被連結部１０の内筒部１２の下端部に対して上端部が連結され筒状に形成された上筒部３１と、上筒部３１の下端部より下側に延びると共に上筒部３１より大径の筒状に形成された下外筒部３２と、上筒部３１の下部から連接して下側に延びると共に上筒部３１より小径の筒状に形成された下内筒部３３とを含む。

　上筒部３１、下外筒部３２及び下内筒部３３は、それぞれの中心軸が、設置部４に設置されたボトルＢの中心軸の延長線上に位置するように設けられる。上筒部３１、下外筒部３２及び下内筒部３３は、複数の支持片３４によって互いに一体となって形成される。複数の支持片３４は、下内筒部３３の上部の外周面から、上筒部３１を通り、下外筒部３２の内周面まで径方向外側へ放射状に延びるように形成される。複数の支持片３４の間は、被連結部１０の外筒部１１と内筒部１２との間と、容器４０の内部とを連通させる通気路３５を構成する。すなわち、通気路３５は、被連結部１０の給気口１３から供給されて給排気路１５に導かれた劣化抑制ガスを容器４０内へ流通させると共に、容器４０内のガスを被連結部１０の給排気路１５へ導いて排気口１４へ流通させる。

　上筒部３１の上端部及び内周面は、被連結部１０の内筒部１２の下端部が気密に連結可能となるよう、ガスケット等のシール部材で被覆されている。上筒部３１の内周面は、ボトルＢの口部Ｂ１に装着された第１バルブ６０の外面に沿った段形状に形成されており、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１に装着された第１バルブ６０と嵌合する。上筒部３１の内部には、作動ロッド７５が挿入されると共に、作動ロッド７５を上下方向にて移動可能に保持する軸受３６が設けられる。上筒部３１の内部は、設置部４に設置されたボトルＢから第１バルブ６０を介して流下した液体の流路を構成する。上筒部３１の最外周面の上部は、被連結部１０の外筒部１１の内周面と対向し、給排気路１５を構成する。

　下外筒部３２は、通気路３５が構成されるよう上筒部３１の最外周面よりも径方向外側に配置される。下外筒部３２の外周面は、容器４０の開口部４１の内周面に沿った形状に形成されており、容器４０の開口部４１と嵌合する。下外筒部３２の上部には、径方向外側に突出し周方向に延びる突条が形成されており、この突条が容器４０の開口部４１の上端面で支持される。これにより、連結具３０は、容器４０の開口部４１に装着される。

　下内筒部３３の下端部３７は、下外筒部３２の下端部より下側に延びるように形成される。すなわち、下内筒部３３は、連結具３０が容器４０の開口部４１に装着された場合に、その下端部３７が、容器４０内で開口部４１から底部４２へ向かう方向へ突出して延びるように形成される。

　下内筒部３３の内部は、上筒部３１の内部と連通しており、作動ロッド７５が貫通すると共に、設置部４に設置されたボトルＢから流下した液体の流路を構成する。下内筒部３３の内部を流下した液体は、容器４０の開口部４１へ流下する。なお、下内筒部３３は、特許請求の範囲に記載された「筒部」の一例に該当する。

　容器４０は、透明又は半透明のカップ状に形成されており、その胴部４３の外周面には流体の貯留量を表示する目盛りが付されている。容器４０は、図３及び図４に示されるように、胴部４３の中心軸が、連結具３０に含まれる上筒部３１、下外筒部３２及び下内筒部３３の中心軸の延長線上に位置するように設けられる。

　容器４０は、胴部４３の中心軸に直交する胴部４３の内側断面積が、抽出器５０の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。これは、液体を所定量貯留する容器４０の断面積が、液体を外部に流下させる抽出器５０の断面積と同等以下である場合、容器４０の高さ寸法を大きくして長尺な形状としなければならず装置の大型化を招くためである。更に、この場合、容器４０を洗浄する際の取り扱いが不便となる等の利便性の低下を招くためである。

　容器４０の胴部４３の上端部は、開口部４１を構成する。開口部４１の外周面には、被連結部１０に含まれる外筒部１１の下端部に設けられたねじ溝に対応するねじ山が設けられる。容器４０は、開口部４１のねじ山と外筒部１１のねじ溝とが締められることによって、被連結部１０に気密に連結される。容器４０は、開口部４１に対して連結具３０が装着され、連結具３０が装着された状態で装置本体２の被連結部１０に連結される。被連結部１０に連結された容器４０は、設置部４に設置されたボトルＢから流下した液体が連結具３０を介して開口部４１へ流下し、流下した液体を貯留する。

　容器４０の胴部４３の下端部は、底部４２に連接している。底部４２の上面部は、胴部４３の下端部から胴部４３の中心軸に向かって下方へ傾斜する傾斜面を有するように設けられる。底部４２には、胴部４３の中心軸と交差する位置に、容器４０内に貯留した液体を抽出器５０へ流下させる流下孔４４が設けられる。流下孔４４は、胴部４３の内径よりも小さい直径を有するように形成される。流下孔４４は、作動ロッド７５の下端部に連接された弁体７１が貫通するように設けられ、流下孔４４の縁部には、弁体７１が気密に上下方向で摺動するよう、Ｏリング等のシール部材が被覆されている。

　底部４２の下面部には、下側へ張り出した段部４５が設けられている。段部４５の外周面には、抽出器５０の後述するケース５１を取り付けるためのねじ山又はねじ溝が設けられる。底部４２の下面部には、流下孔４４と段部４５との間から下側へ突出して周方向に延びる取付筒部４６が設けられている。取付筒部４６は、その中心軸が、胴部４３の中心軸の延長線上に位置するように設けられる。取付筒部４６の内周面には、抽出器５０の後述するシリンダ５２を取り付けるためのねじ山又はねじ溝が設けられる。

　抽出器５０は、図３に示されるように、抽出器５０の外郭を構成する中空のケース５１と、作動ロッド７５に連接された弁体７１が内部を移動する中空のシリンダ５２と、シリンダ５２内の液体を抽出管５４へ導入する導入管５３と、導入管５３から導入された液体を外部へ抽出する抽出管５４とを含む。

　ケース５１は、上底部が下底部より大径である逆円錐台状に形成される。ケース５１の上底部の内周面には、容器４０の底部４２に設けられた段部４５の外周面に取り付けられるねじ山又はねじ溝が設けられる。ケース５１の下底部には、抽出管５４をケース５１の外に露出可能な露出孔５５が設けられる。ケース５１の上下方向の中間部の内周面には、径方向内側に突出し周方向に延びるように形成された突条５９が設けられる。突条５９は、作動ロッド７５が図３に示されるような中立位置にある場合には、後述の上係合リング８６及び下係合リング８７と当接する。

　シリンダ５２は、ケース５１内に収容され、シリンダ５２の中心軸が、胴部４３の中心軸の延長線上に位置するように設けられる。シリンダ５２の上端部の外周面には、容器４０の底部４２に設けられた取付筒部４６の内周面に取り付けられるねじ山又はねじ溝が設けられる。シリンダ５２の上端部には、容器４０の底部４２に設けられた流下孔４４と連通する連通孔５６が設けられる。連通孔５６は、流下孔４４と同じ直径を有するように形成される。連通孔５６は、作動ロッド７５に連接された弁体７１が、流下孔４４と一体的に貫通するように設けられる。

　シリンダ５２の上端部より下側に位置する中間部は、連通孔５６の直径より大きい内径を有するように形成される。シリンダ５２の中間部の内側には、その内周面と、作動ロッド７５に連接された弁体７１との間で空間５７が形成される。この空間５７は、弁体７１が下側へ移動することによって、流下孔４４及び連通孔５６と弁体７１との間に隙間が生じた際に、流下孔４４及び連通孔５６を流下した液体の流路となる。

　シリンダ５２の空間５７の内側には、弁体７１の下端部に連接して下側へ延びるように形成された導入管５３が設けられる。導入管５３には、シリンダ５２内の空間５７に流下した液体を、内部に導入するための導入孔５８が設けられる。導入孔５８に導入された液体は、導入管５３の内部を通って抽出管５４へ流下する。

　抽出管５４は、導入管５３に連接して下側へ延びるように形成され、その内部が導入管５３の内部と連通するように設けられる。抽出管５４は、その下端部が、液体の液垂れを防止するために斜めにカットされていると共に、その内周面には、液体の規則的な流下を促進するための溝が形成される。導入管５３から抽出管５４へ流下した液体は、抽出管５４の内部を流下し、外部へ抽出される。

　第１バルブ６０は、図３に示されるように、貯留器２０よりも設置部４側に設けられる。具体的には、第１バルブ６０は、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１に予め設けられる。すなわち、第１バルブ６０は、口部Ｂ１を閉栓するコルク栓等の代わりに装着された栓体である。第１バルブ６０は、ボトルＢが設置部４に設置される前に、窒素等の劣化抑制ガスの雰囲気下でコルク栓等と交換されて口部Ｂ１に装着される。

　第１バルブ６０は、図５に示されるように、先端部が半球状に形成された弁体６１と、弁体６１の基端部を押圧するスプリング６２と、弁体６１及びスプリング６２を収容するシリンダ６３とを含む。更に、第１バルブ６０は、液体が流通する孔を有し、この孔の縁部が弁体６１の先端部と密着する弁座として機能する中栓６４と、液体が流通する孔を有し、中栓６４を収容した状態でシリンダ６３の開口部に取り付けられるキャップ６５とを含む。更に、第１バルブ６０は、弾性材料を用いてシリンダ６３の外周面に設けられ、ボトルＢの口部Ｂ１とシリンダ６３との間を気密に閉塞するシール部材６６を含む。設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１に装着された第１バルブ６０は、シリンダ６３内のスプリング６２が弁体６１を押圧して中栓６４の孔に密着させることによって、設置部４に設置されたボトルＢから貯留器２０への液体の流下を規制する。

　第２バルブ７０は、図３に示されるように、貯留器２０と抽出器５０との間に設けられる。具体的には、第２バルブ７０は、作動ロッド７５の下端部に連接された弁体７１と、容器４０の底部４２に設けられた流下孔４４及びこれに連通する連通孔５６と、連通孔５６が設けられたシリンダ５２とから構成される。第２バルブ７０は、流下孔４４及び連通孔５６の内周面が弁体７１の外周面と密着する弁座として機能し、弁体７１が流下孔４４及び連通孔５６を閉塞することによって、貯留器２０から抽出器５０への液体の流下を規制する。

　作動ロッド７５は、図３に示されるように、上筒部３１、下内筒部３３、胴部４３、流下孔４４、連通孔５６、シリンダ５２及びストレーナ１００のそれぞれの内部を貫通し、且つ、これらの部材の中心軸上に設けられる。作動ロッド７５は、上筒部３１の内部に設けられた軸受３６と、作動ロッド７５の下側に設けられた移動機構８０とによって、上下方向にて移動可能に保持される。

　作動ロッド７５は、図３に示されるような中立位置にある際、作動ロッド７５の上面部が、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１に装着された第１バルブ６０の弁体６１を押圧しないよう構成される。同時に、作動ロッド７５は、その下端部に連接された第２バルブ７０を構成する弁体７１が、流下孔４４及び連通孔５６と密着された状態であるよう構成される。

　作動ロッド７５は、中立位置より上側へ移動することによって、作動ロッド７５の上面部が、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１に装着された第１バルブ６０の弁体６１を上側へ押圧して移動させ、第１バルブ６０の中栓６４との密着を解除可能に構成される。この際、作動ロッド７５は、その下端部に連接された第２バルブ７０を構成する弁体７１と、流下孔４４及び連通孔５６との密着が維持されるよう構成される。それにより、作動ロッド７５は、設置部４に設置されたボトルＢに収容された液体が貯留器２０へ流下するよう第１バルブ６０を作動させ得ると同時に、貯留器２０へ流下した液体が抽出器５０へ流下しないよう第２バルブ７０を未作動のまま維持し得る。

　作動ロッド７５は、中立位置より下側へ移動することによって、その下端部に連接された第２バルブ７０を構成する弁体７１を下側へ移動させ、流下孔４４及び連通孔５６との密着を解除可能に構成される。この際、作動ロッド７５は、その上端面も下側へ移動するため、第１バルブ６０の弁体６１と中栓６４との密着を維持することができる。それにより、作動ロッド７５は、貯留器２０へ流下した液体が抽出器５０へ流下するよう第２バルブ７０を作動させ得ると同時に、設置部４に設置されたボトルＢに収容された液体が貯留器２０へ流下しないよう第１バルブ６０を未作動のまま維持し得る。

　移動機構８０は、図３に示されるように、抽出器５０のケース５１に収容され、弁体７１を介して作動ロッド７５に連接された導入管５３及び抽出管５４を保持する筒状のホルダ８１を含む。ホルダ８１は、互いに同一の中心軸を有し、互いに間隔を置いて設けられた内壁部８２及び外壁部８３を含む。

　内壁部８２の内周面は、導入管５３及び抽出管５４の外周面に沿った形状に形成され、導入管５３及び抽出管５４の外周面に固定される。内壁部８２の外周面は、シリンダ５２の内周面に沿った形状に形成され、シリンダ５２の内周面に対して気密に上下方向にて摺動するよう、Ｏリング等のシール部材が被覆されている。内壁部８２の上端面は、導入管５３の導入孔５８より下側に設けられ、シリンダ５２と弁体７１との空間５７の下端面を画定する。内壁部８２の下端面は、抽出管５４の下端部より上側に設けられる。

　外壁部８３の内周面は、シリンダ５２の外周面に沿った形状に形成され、シリンダ５２の外周面に対して上下方向にて摺動するよう設けられる。すなわち、ホルダ８１は、外壁部８３の内周面及び内壁部８２の外周面が、シリンダ５２の外周面及び内周面にそれぞれ当接し、シリンダ５２に対して上下方向にて摺動可能に設けられる。

　外壁部８３の外周面は、ケース５１の内周面に設けられた突条５９より径方向内側に設けられる。外壁部８３の外周面の上部には、径方向外側に突出して周方向に延びるように形成された一対のフランジが設けられる。一対のフランジは、上側に位置する上フランジ８４と、下側に位置する下フランジ８５とから構成され、上下方向にて互いに間隔を置いて配置される。上フランジ８４及び下フランジ８５は、上フランジ８４と下フランジ８５との間に、操作部９０に含まれる後述の回動ピン９３の先端部を挟持する。上フランジ８４及び下フランジ８５は、回動ピン９３の上下方向への回動に連動して上下方向へ移動する。

　上フランジ８４の上側には、上フランジ８４及び突条５９の各上面並びにケース５１の内周面に当接する上係合リング８６を介して、上スプリング８８が設けられる。下フランジ８５の下側には、下フランジ８５及び突条５９の各下面並びにケース５１の内周面に当接する下係合リング８７を介して下スプリング８９が設けられる。上スプリング８８及び下スプリング８９は、それぞれ、上係合リング８６及び下係合リング８７を介して、上フランジ８４及び下フランジ８５を上側及び下側から押圧する。

　上係合リング８６は、上フランジ８４及び下フランジ８５が中立位置より上側へ移動する際、突条５９より上側へ摺動して上スプリング８８を圧縮する。また、突条５９より上側へ摺動した上係合リング８６は、圧縮された上スプリング８８の反発力によって、突条５９の上面に当接するまで下側へ摺動する。同様に、下係合リング８７は、上フランジ８４及び下フランジ８５が中立位置より下側へ移動する際、突条５９より下側へ摺動して下スプリング８９を圧縮する。また、突条５９より下側へ摺動した下係合リング８７は、圧縮された下スプリング８９の反発力によって、突条５９の下面に当接するまで上側へ摺動する。それにより、上フランジ８４及び下フランジ８５は、中立位置へ復帰し得る。

　操作部９０は、図２～図４に示されるように、ユーザによって回動するよう操作される操作アーム９１と、操作アーム９１の回動支点である支軸９２と、操作アーム９１の回動に伴って回動する回動ピン９３とを含む。

　操作アーム９１は、図４に示されるように、抽出器５０のケース５１を外側から挟持するようなＵ字状に形成される。操作アーム９１は、その両端部が、図３及び図４に示されるように、ケース５１の外周面に固定された支軸９２によって支持される。それにより、操作アーム９１は、図２に示されるように、支軸９２を支点として上下方向に回動するよう構成される。操作アーム９１は、図２及び図３に示されるような中立位置にある場合、水平な姿勢となる。

　回動ピン９３は、図２及び図４に示されるように、支軸９２と略平行に設けられる。回動ピン９３は、操作アーム９１及びケース５１を径方向外側から径方向内側へ向けて貫通し、上フランジ８４及び下フランジ８５の間に達するまで延びるように設けられる。

　回動ピン９３は、操作アーム９１が中立位置より上側へ回動することに伴って上側へ回動する際、上フランジ８４の下面を上側へ押圧しながら、上フランジ８４及び下フランジ８５の間を摺動する。回動ピン９３は、操作アーム９１が中立位置より下側へ回動することに伴って下側へ回動する際、下フランジ８５の上面を下側へ押圧しながら、上フランジ８４及び下フランジ８５の間を摺動する。それにより、回動ピン９３は、操作アーム９１の回動に連動して、上フランジ８４及び下フランジ８５を上下方向にて移動させることができる。

　上フランジ８４及び下フランジ８５が上下方向へ移動すると、上フランジ８４及び下フランジ８５を備えるホルダ８１に保持された導入管５３及び抽出管５４も上下方向へ移動する。導入管５３が上下方向へ移動すると、導入管５３に連接された第２バルブ７０の弁体７１、及び、弁体７１に連接された作動ロッド７５も上下方向へ移動する。

　このようにして、液体抽出装置１は、操作部９０の回動操作に連動して移動機構８０が作動ロッド７５を上下方向にて移動させることができ、作動ロッド７５の上下方向の移動に伴って第１バルブ６０又は第２バルブ７０を作動させることができる。

　ストレーナ１００は、容器４０内へ流下した液体に含まれる沈殿物が抽出器５０へ流下しないよう、容器４０内へ流下した液体に含まれる沈殿物を除去するための沈殿物除去部材である。ストレーナ１００は、図４及び図７に示されるように、貯留器２０の容器４０内に着脱自在に設けられる。

　ストレーナ１００は、図６及び図７に示されるように、液体に含まれる沈殿物と液体とを分離するフィルタ１０１と、フィルタ１０１を支持するフレーム１０２と、フレーム１０２に立設されたポール１０３と、作動ロッド７５が貫通する貫通孔１０４とを含む。

　フィルタ１０１は、澱等の沈殿物を通過させずに液体だけを通過させることが可能な大きさの開孔が多数形成されたメッシュ状の部材である。フィルタ１０１は、シリコーン樹脂等の軟質の弾性材料を用いて形成される。フィルタ１０１の面積は、ボトルＢの口部Ｂ１から容器４０に至るまでの液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。すなわち、フィルタ１０１は、ストレーナ１００へ流下する液体に対向する濾過面１１０の面積が、ボトルＢの口部Ｂ１並びに上筒部３１及び下内筒部３３の各流路断面積よりも、大きくなるように設けられる。それにより、フィルタ１０１は、ストレーナ１００へ流下する液体に含まれる沈殿物を迅速に液体と分離可能であると共に、目詰まりが発生し難くなる。

　フレーム１０２は、シリコーン樹脂等の軟質の弾性材料を用いて形成される。フレーム１０２は、ストレーナ１００の中央部に設けられた円板部１０５と、円板部１０５の外周部と間隔を置いて設けられた円環部１０６と、円板部１０５の外周部から円環部１０６の内周部に向かって放射状に延びる放射状部１０７とを含む。フィルタ１０１の濾過面１１０は、円板部１０５の外縁部と、円環部１０６の内縁部と、放射状部１０７とで囲まれた領域に形成される。

　フレーム１０２の外周面１０９は、開口部４１と底部４２との間に位置する容器４０の内周面４７に沿った形状を有するように形成される。具体的には、フレーム１０２の外周面１０９は、ストレーナ１００が容器４０内に配置され連結具３０が装着された場合に連結具３０の下内筒部３３の下端部３７より下側に位置する容器４０の内周面４７に沿った形状を有するように形成される。それにより、フレーム１０２の外周面１０９は、下内筒部３３の下端部３７より下側に位置する容器４０の内周面４７に密着し、容器４０の内周面４７に支持され得る。よって、ストレーナ１００は、容器４０内において下内筒部３３の下端部３７より下側、すなわち、下端部３７より底部４２側で支持される。ストレーナ１００は、容器４０内において下内筒部３３の下端部３７より下側で支持されることにより、容器４０内に流下した液体に含まれる沈殿物と液体とを確実に分離することができる。

　また、フレーム１０２の外周面１０９は、ストレーナ１００が容器４０内に配置され連結具３０が装着された場合に、液体が所定量貯留した際の液面の高さより上側に位置する容器４０の内周面４７に沿った形状を有するように形成される。それにより、フレーム１０２の外周面１０９は、液体が所定量貯留した際の液面の高さより上側に位置する容器４０の内周面４７に密着し、容器４０の内周面４７に支持され得る。よって、ストレーナ１００は、容器４０内において液体が所定量貯留した際の液面の高さより上側、すなわち、この液面の高さより開口部４１側で支持される。なお、所定量とは、１回の操作でグラス等の外部へ抽出される液体の量であり、例えば、５０ｍｌ以上７０ｍｌ以下の範囲以内とすることが好適である。

　ストレーナがこの液面の高さより下側で支持されると、フィルタよりも上側に液体が存在するため、フィルタによって一旦分離されて濾過面に付着した沈殿物は、再び液体中を浮遊する。再び液体中を浮遊した沈殿物は、液体抽出の際に作動ロッドと貫通孔との間等に付着して、作動ロッドの円滑な移動に支障を来す可能性が有る。ストレーナ１００は、この液面の高さより上側で支持されることによって、作動ロッド７５の円滑な移動に支障を来す可能性を低下させることができる。

　ポール１０３は、円板部１０５の外縁部から上側に延びるように設けられる。ポール１０３の上端部には、連結具３０の下内筒部３３の下端部３７に当接し係合する切り欠き１０８が設けられる。ストレーナ１００が容器４０内に配置され連結具３０が装着された場合、ポール１０３は、容器４０の開口部４１に装着された連結具３０の下内筒部３３へ向かって延び、その上端部の切り欠き１０８が、下内筒部３３の下端部３７に当接し係合する。それにより、ポール１０３は、ストレーナ１００の上方向への位置ずれを抑制することができる。

　貫通孔１０４は、フレーム１０２の円板部１０５の中央部に設けられる。貫通孔１０４は、その直径が、作動ロッド７５の直径より若干大きい程度に設けられる。貫通孔１０４は、容器４０内へ流下した流体に含まれる沈殿物が貫通孔１０４から流下しないよう作動ロッド７５を摺動可能に支持する。それにより、ストレーナ１００は、作動ロッド７５の移動に支障を来さず、且つ、容器４０内へ流下した液体に含まれる沈殿物が抽出器５０へ流下することを抑止することができる。

　図３に示されるように、ストレーナ１００が内部に配置された容器４０が装置本体２に連結された状態から、ストレーナ１００を脱着する方法は、次のような手順で行われる。まず、装置本体２の被連結部１０にねじ結合された連結具３０及び容器４０の連結を解除する。次に、図７に示されるように、容器４０に装着された連結具３０を上側へ引き上げることによって、容器４０から連結具３０を脱着する。すると、下内筒部３３の下端部３７とポール１０３の切り欠き１０８との係合が解除される。最後に、容器４０内に配置されたストレーナ１００を上側へ引き上げることによって、ストレーナ１００は脱着される。ストレーナ１００の装着方法は、逆の手順で行えばよい。このように、ストレーナ１００は、容器４０から容易に脱着することができるため、洗浄する際の取り扱いが容易となり利便性の低下を招くことがない。

［液体抽出装置の動作］
　図８は、液体抽出装置１の排気動作を説明するための図である。図９は、液体抽出装置１の貯留動作を説明するための図である。図１０は、液体抽出装置１の抽出動作を説明するための図である。なお、図８～図１０において、太い一点鎖線の矢印はガスの流れを示し、太い実線の矢印は、液体の流れを示す。

　設置部４に設置されたボトルＢに収容された液体を外部へ抽出する際の液体抽出装置１の動作について説明する。この際、液体抽出装置１の動作としては、まず、排気動作が行われ、次に、貯留動作が行われ、最後に、抽出動作が行われる。

　排気動作は、劣化抑制ガスを被連結部１０及び貯留器２０内に供給して、被連結部１０及び貯留器２０内のガスを排出する動作である。排気動作では、図８に示されるように、操作アーム９１を中立位置にした状態で行われる。操作アーム９１が中立位置にあると、作動ロッド７５が中立位置にあり、第１バルブ６０及び第２バルブ７０が未作動の状態にある。

　このような状態の液体抽出装置１において、排気動作では、ガス供給源１２１の劣化抑制ガスが、給気管１２２を介して給気口１３から被連結部１０の内部へ供給される。給気口１３から供給された劣化抑制ガスは、被連結部１０及び貯留器２０内に存在する空気等のガスを押し出しながら、給排気路１５及び通気路３５を通って容器４０内へ流通すると共に、通気路３５及び給排気路１５を通って排気口１４から装置本体２の外部へ排出される。排気口１４から排出されたガスは、ガス供給系統１２０の排気管を介して排気弁から排出される。それにより、液体抽出装置１は、被連結部１０及び貯留器２０の内部は、空気等のガスがパージされ、劣化抑制ガスで満たされた状態となる。

　排気動作の後に行われる貯留動作は、劣化抑制ガスを被連結部１０及び貯留器２０内に供給して、設置部４に設置されたボトルＢに収容された液体を、貯留器２０内に流下させて貯留する動作である。貯留動作では、図９に示されるように、操作アーム９１を中立位置より上側へ回動させた状態で行われる。操作アーム９１が中立位置より上側へ回動すると、回動ピン９３が上フランジ８４及び下フランジ８５を中立位置より上側へ移動させる。このため、ホルダ８１に保持された導入管５３及び抽出管５４が中立位置より上側へ移動して、作動ロッド７５が中立位置より上側へ移動する。作動ロッド７５が中立位置より上側へ移動すると、第１バルブ６０の弁体６１を上側へ移動させ、第１バルブ６０が作動する。同時に、第２バルブ７０は、未作動の状態を維持する。

　このような状態の液体抽出装置１において、貯留動作では、設置部４に設置されたボトルＢ内の圧力と、劣化抑制ガスで満たされた被連結部１０及び貯留器２０内の圧力との差によって、ボトルＢに収容された液体が、連結具３０の上筒部３１及び下内筒部３３の内部を通って容器４０内へ流下する。これと同時に、被連結部１０及び貯留器２０を満たす劣化抑制ガスが、連結具３０の下内筒部３３及び上筒部３１の内部を通ってボトルＢ内へ導入される。

　容器４０内へ流下した液体は、ストレーナ１００へ流下する。ストレーナ１００へ流下した液体に含まれる沈殿物は、ストレーナ１００のフィルタ１０１を通過できずに分離される。ストレーナ１００を通過した液体は、容器４０の底部４２に達する。この時、第２バルブ７０が未作動であり、底部４２の流下孔４４及び連通孔５６が弁体７１で閉塞されているため、容器４０内に貯留していく。このように、貯留動作では、貯留器２０内等が液体及び劣化抑制ガスだけで満たされた状態で行われることから、容器４０内に貯留した液体及びボトルＢに収容された液体の品質を劣化させることがない。

　容器４０内に貯留した液体の液面が、下内筒部３３の下端部３７より下側、すなわち底部４２側に位置する場合、ボトルＢ内の圧力と貯留器２０内等の圧力との差によって、ボトルＢに収容された液体の流下と劣化抑制ガスのボトルＢへの導入とが継続する。その後、容器４０内に貯留した液体の液面が、下内筒部３３の下端部３７と同じ高さに到達した場合、劣化抑制ガスが下内筒部３３の内部を通ることができなくなり、劣化抑制ガスのボトルＢへの導入が停止し、ボトルＢに収容された液体の流下が停止する。すなわち、液体抽出装置１では、貯留動作において、操作アーム９１を中立位置に復帰させなくてもボトルＢに収容された液体の流下を自動的に停止させることができる。

　貯留動作の後に行われる抽出動作は、劣化抑制ガスを被連結部１０及び貯留器２０内に供給して、貯留器２０の容器４０内に貯留した液体を抽出器５０へ流下させて、グラス等の外部へ抽出する動作である。抽出動作では、図１０に示されるように、操作アーム９１を中立位置より下側へ回動させた状態で行われる。操作アーム９１が中立位置より下側へ回動すると、回動ピン９３が上フランジ８４及び下フランジ８５を中立位置より下側へ移動させる。このため、ホルダ８１に保持された導入管５３及び抽出管５４が中立位置より下側へ移動して、作動ロッド７５が中立位置より下側へ移動する。作動ロッド７５が中立位置より下側へ移動すると、第２バルブ７０の弁体７１が下側へ移動し、流下孔４４及び連通孔５６を開放して第２バルブ７０が作動する。同時に、第１バルブ６０は、未作動の状態を維持する。

　このような状態の液体抽出装置１において、抽出動作では、貯留器２０内等の圧力と、抽出器５０内の圧力との差によって、貯留器２０の容器４０内に貯留した液体が、流下孔４４及び連通孔５６を流下する。流下孔４４及び連通孔５６を流下した液体は、シリンダ５２内の空間５７を通って、導入孔５８から導入管５３の内部へ導入される。導入管５３の内部へ導入された液体は、抽出管５４の内部を通って、グラス等の外部へ抽出される。このように、抽出動作は、貯留器２０内等が液体及び劣化抑制ガスだけで満たされた状態で行われることから、容器４０内に貯留した液体の品質を劣化させることがない。

［作用効果］
　以上のように、液体抽出装置１は、液体に含まれる沈殿物と液体とを分離するフィルタ１０１を含むストレーナ１００を備える。そして、ストレーナ１００は、容器４０内に着脱自在に配置され、フィルタ１０１の面積が、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１から容器４０に至るまでの液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。

　従来のストレーナは、液体を貯留する容器よりも断面積が小さい抽出管に設けられていた。抽出管の断面積は、ボトルの口部から容器に至るまでの液体の流路断面積と同程度である。抽出管の断面積が容器の断面積程度に大きいと、抽出管からグラス等へ液体が抽出される際に、液体がグラスからはみ出たりして適切に流下できないからである。よって、従来のストレーナは、フィルタの面積が、ボトルの口部から容器に至るまでの液体の流路断面積と同程度であった。

　このようなことから、従来の液体抽出装置では、ストレーナへ流下する液体に含まれる沈殿物を液体と分離することに時間が掛かると共に、フィルタの目詰まりが発生し易かったため頻繁に洗浄する必要があった。また、従来の液体抽出装置では、ストレーナが抽出器の抽出管に設けられていたため、洗浄する際には、抽出管を備える抽出器を都度分解する必要があると共に小型過ぎて紛失する虞れがあり、その取り扱いが容易ではなく不便であった。

　これに対し、液体抽出装置１のストレーナ１００は、容器４０内に着脱自在に配置され、フィルタ１０１の面積が、設置部４に設置されたボトルＢの口部Ｂ１から容器４０に至るまでの液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる。このため、液体抽出装置１では、ストレーナ１００へ流下する液体に含まれる沈殿物を迅速に液体と分離可能であると共に、フィルタ１０１の目詰まりが発生し難いため、洗浄頻度を低減させることができる。更に、液体抽出装置１では、ストレーナ１００を容器４０及び装置本体２から容易に脱着することができると共に、ユーザが掴み易く紛失し難い形状及びサイズを有するため、紛失し難くなっている。よって、液体抽出装置１は、ストレーナ１００を洗浄する際の取り扱い性を向上させることができるため、メンテナンス時の利便性を向上させることができる。

［その他］
　上述の実施形態において、液体抽出装置１の排気動作は、図８に示されるように、操作アーム９１を中立位置にした状態で行われるが、図１０に示されるように、操作アーム９１を中立位置より下側に回動させた状態で行われてもよい。操作アーム９１が中立位置より下側に回動すると、作動ロッド７５が中立位置より下側へ移動し、第２バルブ７０が作動する。この状態で、劣化抑制ガスが給気口１３から供給されると、劣化抑制ガスは、被連結部１０及び貯留器２０だけでなく抽出器５０にも供給され、排気口１４だけでなく抽出器５０の抽出管５４からも排出される。それにより、液体抽出装置１では、埃又は塵等の不純物が、露出孔５５から抽出管５４の内部に進入し、抽出管５４の内周面に付着していた場合であっても、埃又は塵等の不純物を劣化抑制ガスでパージすることができる。

　上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。

　上述の実施形態及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「含有する」という用語は、「含有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。

　　　１　　液体抽出装置
　　　２　　装置本体
　　　３　　筐体
　　　４　　設置部
　　　５　　挿入口
　　　６　　固定部
　　１０　　被連結部
　　１１　　外筒部
　　１２　　内筒部
　　１３　　給気口
　　１４　　排気口
　　１５　　給排気路
　　２０　　貯留器
　　３０　　連結具
　　３１　　上筒部
　　３２　　下外筒部
　　３３　　下内筒部
　　３５　　通気路
　　３７　　下端部
　　４０　　容器
　　４１　　開口部
　　４２　　底部
　　４３　　胴部
　　４４　　流下孔
　　４７　　内周面
　　５０　　抽出器
　　５１　　ケース
　　５３　　導入管
　　５４　　抽出管
　　６０　　第１バルブ
　　７０　　第２バルブ
　　７５　　作動ロッド
　　８０　　移動機構
　　９０　　操作部
　　９１　　操作アーム
　１００　　ストレーナ
　１０１　　フィルタ
　１０２　　フレーム
　１０３　　ポール
　１０４　　貫通孔
　１０５　　円板部
　１０６　　円環部
　１０７　　放射状部
　１０８　　切り欠き
　１０９　　外周面
　１１０　　濾過面
　１２０　　ガス供給系統
　１２１　　ガス供給源
　１２２　　給気管
　　　Ｂ　　ボトル
　　　Ｂ１　口部
　　　Ｂ２　首部

Claims

　ボトルに収容された液体を抽出する液体抽出装置であって、
　前記ボトルを倒立状態で設置可能な設置部が設けられた装置本体と、
　前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体を貯留する貯留器と、
　前記貯留器に貯留した前記液体を外部へ抽出する抽出器と、
　前記液体に含まれる沈殿物と前記液体とを分離するフィルタを含むストレーナと、
　を備え、
　前記貯留器は、内部に前記液体を貯留する容器と、前記容器に着脱自在に装着され、前記容器を前記装置本体に着脱自在に連結する連結具とを含み、
　前記ストレーナは、
　　前記容器内に着脱自在に配置され、
　　前記フィルタの面積が、前記設置部に設置された前記ボトルの口部から前記容器に至るまでの前記液体の流路断面積よりも大きくなるように設けられる、
　液体抽出装置。
　前記容器は、開口部から底部にかけて縮径するように延びる有底筒状に形成され、前記底部には、前記容器内に貯留した前記液体を前記抽出器へ流下させる流下孔が設けられており、
　前記連結具は、前記開口部に装着され、前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体を前記容器内へ流下させ、
　前記ストレーナは、
　　前記開口部と前記底部との間に位置する前記容器の内周面に沿った外周面を有し、前記フィルタを支持するフレームを更に含み、
　　前記フレームの前記外周面が前記容器の前記内周面に密着することによって、前記容器内で支持される、
　請求項１に記載の液体抽出装置。
　前記連結具は、前記設置部に設置された前記ボトルから流下した前記液体が内部を流下する筒部を含み、
　前記連結具が前記容器の前記開口部に装着された場合、前記筒部は、その下端部が前記容器内で前記開口部から前記底部へ向かう方向へ突出して延びるように形成され、
　前記ストレーナは、
　　前記フレームの前記外周面が、前記筒部の前記下端部より前記底部側に位置する前記容器の前記内周面に沿った形状を有し、
　　前記フレームの前記外周面が前記容器の前記内周面に密着することによって、前記容器内において前記筒部の前記下端部より前記底部側で支持される、
　請求項２に記載の液体抽出装置。
　前記ストレーナは、前記開口部に装着された前記連結具へ向かって延びるポールを更に含み、
　前記ストレーナが前記容器内に配置され、前記連結具が前記容器に装着された場合、前記ポールは、前記連結具に当接する、
　請求項２又は３に記載の液体抽出装置。
　前記貯留器よりも前記設置部側に設けられ、前記設置部に設置された前記ボトルから前記貯留器への前記液体の流下を規制する第１バルブと、
　前記貯留器と前記抽出器との間に設けられ、前記貯留器から前記抽出器への前記液体の流下を規制する第２バルブと、
　前記貯留器を貫通して前記第１バルブと前記第２バルブとの間に設けられ、前記第１バルブと前記第２バルブとの間で移動することに伴って、前記第１バルブ又は前記第２バルブを作動させる作動ロッドと、
　ユーザにより操作される操作部に連動して前記作動ロッドを移動させる移動機構と、
　を更に備え、
　前記ストレーナは、前記作動ロッドが貫通する貫通孔を更に含み、
　前記貫通孔は、前記容器内へ流下した前記液体に含まれる前記沈殿物が前記貫通孔から流下しないよう前記作動ロッドを摺動可能に支持する、
　請求項１～４の何れか１項に記載の液体抽出装置。