WO2019031444A1 - 細胞集団における特異的結合物質の占有率を測定する方法 - Google Patents

細胞集団における特異的結合物質の占有率を測定する方法 Download PDF

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Abstract

細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法であって、細胞集団に第2及び第3の特異的結合物質を接触させることと、第2及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、第1、第2及び第3の特異的結合物質はいずれも対象細胞表面タンパク質に結合するものであり、占有率は、対象細胞表面タンパク質発現細胞のうち、第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、第2の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質と競合するものであり、第3の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質と競合しないものであり、式:(1-(第2の特異的結合物質が結合した細胞数/第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100により計算される値が占有率(%)である、方法。

Description

細胞集団における特異的結合物質の占有率を測定する方法

 本発明は、細胞集団における特異的結合物質の占有率を測定する方法に関する。より具体的には、特異的結合物質に接触した細胞集団における前記特異的結合物質の占有率を測定する方法、特異的結合物質に接触した細胞集団における前記特異的結合物質の占有率を測定するためのキット、患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得する方法、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法に関する。本願は、2017年8月7日に、日本に出願された特願2017-152735号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

 ニボルマブは、細胞表面に存在するprogrammed death-1(PD-1)に特異的に結合する抗体医薬である。ニボルマブに代表される免疫チェックポイント阻害薬は、悪性黒色腫や非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がんに対して承認され、高い治療効果を持つことから社会的注目を浴びている。

 一方で、免疫チェックポイント阻害薬は、非常に高額な薬剤費がかかること、一部の患者に重篤な免疫関連有害事象を引き起こすことが知られている。このため、免疫チェックポイント阻害薬の動態を解析する技術が求められている。例えば、非特許文献1には、ニボルマブの体内動態を検討した結果が報告されている。

Brahmer J. R., Phase I study of single-agent anti-programmed death-1 (MDX-1106) in refractory solid tumors: safety, clinical activity, pharmacodynamics,andimmunologic correlates., J. Clin. Oncol., 28 (19), 3167-3175, 2010.

 しかしながら、非特許文献1に記載された方法は煩雑であり、また、高価な抗体製剤を使用する必要があることから、一般的な普及は困難であると考えられる。そこで、本発明は、特異的結合物質の動態を簡便に測定する技術を提供することを目的とする。

 本発明は以下の態様を含む。
[1]細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法であって、前記細胞集団に、第2の特異的結合物質を接触させることと、前記細胞集団に、第3の特異的結合物質を接触させることと、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、下記式(1)により計算される値が、前記占有率である、方法。
 第1の特異的結合物質の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(1)
[2]前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、[1]に記載の方法。
[3]前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記第1の特異的結合物質が抗体である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記対象細胞表面タンパク質がヒトprogrammed death-1(PD-1)であり、前記第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体である、[4]に記載の方法。
[6]前記第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、[5]に記載の方法。
[7]細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定するためのキットであって、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を含み、前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である、キット。
[8]前記第1の特異的結合物質が抗体である、[7]に記載のキット。
[9]前記対象細胞表面タンパク質がヒトPD-1であり、前記第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体である、[8]に記載のキット。
[10]前記第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、[9]に記載のキット。
[11]患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、抗体医薬が投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、抗体医薬が投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合せずに前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、下記式(2)により計算される前記抗体医薬の占有率が、患者への前記抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータである、方法。
 前記抗体医薬の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(2)
[12]前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、[11]に記載の方法。
[13]前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、[11]又は[12]に記載の方法。
[14]前記占有率が基準値よりも高いことが、患者への前記抗体医薬の投与間隔を長くすべきこと又は投与量を減少させるべきことを示し、前記占有率が基準値よりも低いことが、患者への前記抗体医薬の投与間隔を短くすべきこと又は投与量を増大させるべきことを示す、[11]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15]患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれもヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合せずにヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、下記式(3)により計算されるニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータである、方法。
 ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(3)
[16]前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、[15]に記載の方法。
[17]前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、[15]又は[16]に記載の方法。
[18]前記占有率が基準値よりも高いことが、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を長くすべきこと若しくは投与量を減少させるべきことを示し、前記占有率が基準値よりも低いことが、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を短くすべきこと若しくは投与量を増大させるべきことを示す、[15]~[17]のいずれかに記載の方法。
[19]前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、[15]~[18]のいずれかに記載の方法。

 本発明によれば、特異的結合物質の動態を簡便に測定する技術を提供することができる。

実験例1において、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の反応性を解析した結果を示すグラフである。 実験例1において、抗PD-1抗体(クローンMIH4)の反応性を解析した結果を示すグラフである。 実験例1において、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7又はクローンMIH4)のニボルマブとの競合率を計算した結果を示すグラフである。 実験例2において、様々な濃度の抗PD-1抗体(クローンMIH4)で前処置した後の、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の反応性を評価した結果を示すグラフである。 実験例3において、様々な濃度の抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)で前処置した後の、抗PD-1抗体(クローンMIH4)の反応性を評価した結果を示すグラフである。 (a)~(e)は、実験例4において、MIT9細胞株におけるニボルマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。 実験例4において測定されたニボルマブの占有率と、実際のニボルマブの占有率を示すグラフである。 (a)~(e)は、実験例5において、ニボルマブの占有率が、0,25,50,75,100%となるように調製した健常人由来のT細胞への、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の結合を測定した結果を示すグラフである。 実験例5において測定されたニボルマブの占有率と、実際のニボルマブの占有率を示すグラフである。 (a)~(c)は、実験例6において、ニボルマブの投与を受けている患者の体腔液由来のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。 (a)~(e)は、実験例7において、MIT9細胞株におけるペムブロリズマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。 実験例7において測定されたペムブロリズマブの占有率と、実際のペムブロリズマブの占有率を示すグラフである。 (a)~(d)は、実験例8において、ニボルマブの投与を受けていない患者の末梢血T細胞におけるニボルマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、実験例9において、ニボルマブの投与を受けた腎癌患者の末梢血T細胞におけるニボルマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。 (a)及び(b)は、実験例10において、ペムブロリズマブの投与を受けた肺癌患者の末梢血T細胞におけるペムブロリズマブの占有率を測定した結果を示すグラフである。

[細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法]
 1実施形態において、本発明は、細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法であって、前記細胞集団に、第2の特異的結合物質を接触させる工程と、前記細胞集団に、第3の特異的結合物質を接触させる工程と、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、を含み、前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、下記式(1)により計算される値が、前記占有率である方法を提供する。
 第1の特異的結合物質の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(1)

 実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態の方法により、特異的結合物質の動態を簡便に測定することができることを明らかにした。

(特異的結合物質)
 本明細書において、特異的結合物質とは、対象物質に特異的に結合する物質を意味し、例えば、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。対象物質としては、例えば細胞表面タンパク質等が挙げられる。特異的結合物質は、ヒト又は非ヒト動物に投与される医薬であってもよい。

 抗体は、マウス等の動物を免疫することによって作製したものであってもよく、ファージライブラリ等の抗体ライブラリのスクリーニングにより作製したものであってもよい。抗体断片としては、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv等が挙げられる。

 抗体又は抗体断片が、ヒト型抗体又はその断片であれば、ヒトに投与しても免疫原性が低いため、アナフィラキシーショック等の副作用を抑制することができる。ヒト型抗体としては、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体等が挙げられる。ここで、キメラ抗体とは、可変領域が非ヒト動物由来の抗体であり、定常領域の少なくとも一部がヒト由来の抗体である抗体を意味する。また、ヒト化抗体とは、重鎖及び軽鎖の相補性決定領域のみが非ヒト動物由来の抗体であり、定常領域及びフレームワーク領域がヒト由来の抗体である抗体を意味する。また、完全ヒト抗体とは、相補性決定領域を含めて全体がヒト由来の抗体を意味する。

 アプタマーとしては、対象物質に対する特異的結合能を有する物質であれば特に限定されず、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。

(第1の特異的結合物質)
 本実施形態の方法において、第1の特異的結合物質とは、動態を測定する対象であり、対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である。第1の特異的結合物質の具体的な例としては、抗体が挙げられる。抗体は、抗体医薬であってもよい。抗体医薬は、例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ等の免疫チェックポイント阻害薬であってもよいがこれらに限定されない。ここで、第1の特異的結合物質がニボルマブ、ペムブロリズマブ等である場合、対象細胞表面タンパク質はヒトPD-1である。すなわち、対象細胞表面タンパク質がヒトPD-1であり、第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体であってもよい。

(細胞集団)
 実施例において後述するように、本実施形態の方法により、第1の特異的結合物質の動態を簡便に測定することができる。本実施形態の方法において、第1の特異的結合物質の動態とは、細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率である。ここで、占有率とは、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、着目する特異的結合物質(第1の特異的結合物質)が結合した細胞の割合(%)をいう。

 本実施形態の方法において、細胞集団とは、第1の特異的結合物質の占有率を測定する対象とする細胞集団を意味する。細胞集団は、通常は、第1の特異的結合物質に接触した細胞である。例えば、第1の特異的結合物質が抗体医薬である場合、細胞集団としては、当該抗体医薬を投与された患者由来の細胞集団が挙げられる。

 細胞集団としては、第1の特異的結合物質が結合する細胞が含まれる細胞集団が挙げられ、第1の特異的結合物質の結合対象に応じて適宜設定される。具体的な細胞集団としては、例えば、末梢血リンパ球、胸水由来のリンパ球、肺胞洗浄液由来のリンパ球等が挙げられるがこれらに限定されない。

(第2の特異的結合物質)
 第2の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質が結合する細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である。また、第2の特異的結合物質は、対象細胞表面タンパク質への結合において、第1の特異的結合物質と競合する。すなわち、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合している場合、第2の特異的結合物質は対象細胞表面タンパク質に結合することが実質的にできない。

 ここで、「実質的にできない」とは、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合していても、第1の特異的結合物質を解離させて、第2の特異的結合物質が対象細胞表面タンパク質に結合する場合がわずかに存在することを許容することを意味する。しかしながら、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合している場合、第2の特異的結合物質は対象細胞表面タンパク質に結合することができないことが好ましい。

 いいかえると、第2の特異的結合物質のエピトープは、第1の特異的結合物質のエピトープと同一であるか近接しており、第1の特異的結合物質の対象細胞表面タンパク質に対する解離定数(Kd)は、第2の特異的結合物質の対象細胞表面タンパク質に対する解離定数(Kd)よりも小さいことが好ましい。なお、解離定数は小さいほど親和性が高い。

(第3の特異的結合物質)
 第3の特異的結合物質は、第1の特異的結合物質が結合する細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である。また、第3の特異的結合物質は、対象細胞表面タンパク質への結合において、第1の特異的結合物質と競合しない。すなわち、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合していても、第3の特異的結合物質は対象細胞表面タンパク質に結合することができる。

 いいかえると、第3の特異的結合物質のエピトープは、第1の特異的結合物質のエピトープと離れており、第3の特異的結合物質の対象細胞表面タンパク質への結合は、第1の特異的結合物質の対象細胞表面タンパク質への結合にほとんど影響しない。

(第1、第2、第3の特異的結合物質の組み合わせの具体例)
 例えば、第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)であってもよい。実施例において後述するように、これらの抗体の組み合わせを用いることにより、ニボルマブ又はペムブロリズマブの動態を簡便に測定することができる。

(第2の特異的結合物質を接触させる工程)
 本工程において、細胞集団に、第2の特異的結合物質を接触させる。その結果、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が既に結合していた場合には、第2の特異的結合物質は結合しない。また、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合していなかった場合には、第2の特異的結合物質が結合する。後述するように、本工程を実施するタイミングは適宜変更してもよい。

(第3の特異的結合物質を接触させる工程)
 本工程において、細胞集団に、第3の特異的結合物質を接触させる。その結果、対象細胞表面タンパク質に第1の特異的結合物質が結合していても、結合していなくても、第3の特異的結合物質は対象細胞表面タンパク質結合する。したがって、第3の特異的結合物質は、細胞集団中の、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞全てに結合することになる。後述するように、本工程を実施するタイミングは適宜変更してもよい。

(第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程)
 本工程において、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する。例えば、第2の特異的結合物質を蛍光色素で標識しておき、フローサイトメトリーにより第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することが簡便である。本工程は、第2の特異的結合物質を接触させる工程の後に実施すればよく、後述するように、本工程を実施するタイミングは適宜変更してもよい。

(第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程)
 本工程において、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する。第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することにより、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞数を計測することができる。例えば、第3の特異的結合物質を蛍光色素で標識しておき、フローサイトメトリーにより第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することが簡便である。本工程は、第3の特異的結合物質を接触させる工程の後に実施すればよく、後述するように、本工程を実施するタイミングは適宜変更してもよい。

(占有率の算出)
 本工程において、細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を算出する。占有率は、下記式(1)により計算される値である。
 第1の特異的結合物質の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(1)

 例えば、占有率が100%であることは、細胞集団中の、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞の全てに第1の特異的結合物質が結合していることを意味する。この場合、対象細胞表面タンパク質には第1の特異的結合物質が結合しているため、第2の特異的結合物質は結合することができない。

 また、例えば、占有率が80%であることは、細胞集団中の、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうちの80%に第1の特異的結合物質が結合していることを意味する。この場合、対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、残りの20%には、第1の特異的結合物質が結合しておらず、第2の特異的結合物質が結合することになる。

(上記各工程の実施の順序)
 第2の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質を接触させる工程を実施した後に第3の特異的結合物質を接触させる工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に実施してもよい。例えば、同一の試験管内に、細胞集団、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を入れて接触させることにより、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に行うことができる。

 また、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施した後に第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。

 あるいは、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質をそれぞれ識別可能に標識しておき、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質に接触した細胞集団をフローサイトメトリーで解析すること等により、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施することができる。

 あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。

 あるいは、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。この場合、第3の特異的結合物質が結合した細胞を、セルソーター等を用いることにより回収し、その後、回収した細胞に対して第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよい。

(他の特異的結合物質)
 また、第2の特異的結合物質、第3の特異的結合物質の他にも、例えば、抗CD3抗体等の他の特異的結合物質を接触させる工程を実施し、当該他の特異的結合物質が結合した細胞集団について、第1の特異的結合物質の占有率を測定してもよい。例えば、他の特異的結合物質が結合した細胞集団に対してゲートをかけたうえで、第1の特異的結合物質の占有率を算出してもよい。

 他の特異的結合物質としては、抗CD3抗体に限られず、あらゆる抗原に対する特異的結合物質を使用することができる。他の特異的結合物質を反応させることにより、第1の特異的結合物質の占有率を測定するのと同時に特定抗原の発現を解析することもできる。

 本実施形態の方法は、例えば、患者への抗体医薬の投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法に適用することができる。具体的には、細胞集団として、抗体医薬が投与された患者由来の細胞を使用して上述した方法を実施するとよい。

 この場合、第1の特異的結合物質が抗体医薬となる点以外は上述した方法と同様である。その結果、患者由来の細胞における抗体医薬の占有率を計算することが可能になる。そして、患者由来の細胞における抗体医薬の占有率に基づいて、患者への抗体医薬の投与間隔若しくは投与量を最適化することができる。

 例えば、占有率が基準値よりも高い場合には、患者への抗体医薬の投与間隔を長くするか、又は投与量を減少させるとよい。また、占有率が基準値よりも低い場合には、患者への抗体医薬の投与間隔を短くするか、又は投与量を増大させるとよい。

[細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定するためのキット]
 1実施形態において、本発明は、細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定するためのキットであって、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を含み、前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である、キットを提供する。

 本実施形態のキットにおいて、細胞集団、第1、第2及び第3の特異的結合物質、対象細胞表面タンパク質については上述したものと同様である。すなわち、第1の特異的結合物質の具体的な例としては、抗体が挙げられる。

 また、対象細胞表面タンパク質がヒトPD-1であり、第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体であってもよい。

 更に、第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)であってもよい。このようなキットにより、細胞集団におけるニボルマブ又はペムブロリズマブの動態を簡便に測定することができる。

[患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得する方法]
 1実施形態において、本発明は、患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、抗体医薬が投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させる工程と、抗体医薬が投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させる工程と、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合せずに前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、下記式(2)により計算される前記抗体医薬の占有率が、患者への前記抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータである方法を提供する。
 前記抗体医薬の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(2)

 本実施形態の方法により、抗体医薬の動態を簡便に測定し、患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得することができる。本実施形態の方法は、医師が判断する工程を含まない。

 本実施形態の方法において、抗体医薬の投与間隔又は投与量の最適化とは、抗体医薬の投与間隔又は投与量の個別化といいかえることができる。すなわち、本実施形態の方法により、個々の患者に応じて最適な抗体医薬の投与間隔又は投与量を決定するためのデータを提供することができる。これにより、例えば、患者が重篤な免疫関連有害事象を発症した場合に、有害事象がどれくらい遷延するリスクがあるかを予測することが可能になる。また、適切な量の抗体医薬の使用を可能にすることにより、高額な抗体医薬の費用を抑制すること等が可能になる。

(患者由来の細胞)
 本実施形態の方法において、患者由来の細胞は、抗体医薬の特性に応じて適切な細胞を適宜選択する。患者由来の細胞としては、例えば、末梢血リンパ球、胸水由来のリンパ球、肺胞洗浄液由来のリンパ球等が挙げられるがこれらに限定されない。

(第2及び第3の特異的結合物質)
 本実施形態の方法において、第2及び第3の特異的結合物質としては、上述した「細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法」の実施形態における第1の特異的結合物質が抗体医薬である場合の第2及び第3の特異的結合物質と同様のものを用いることができる。

(第2、第3の特異的結合物質を接触させる工程、及び、第2、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程)
 上述した「細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法」の実施形態における第1の特異的結合物質が抗体医薬である場合と同様に、本実施形態の方法において、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質を接触させる工程を実施した後に第3の特異的結合物質を接触させる工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に実施してもよい。例えば、同一の試験管内に、患者由来の細胞、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を入れて接触させることにより、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に行うことができる。

 また、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施した後に第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。

 あるいは、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質をそれぞれ識別可能に標識しておき、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質に接触した患者由来の細胞をフローサイトメトリーで解析すること等により、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施することができる。

 あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。

 あるいは、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。この場合、第3の特異的結合物質が結合した細胞を、セルソーター等を用いることにより回収し、その後、回収した細胞に対して第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよい。

(他の特異的結合物質)
 また、第2の特異的結合物質、第3の特異的結合物質の他にも、例えば、抗CD3抗体等の他の特異的結合物質を接触させる工程を実施し、当該他の特異的結合物質が結合した細胞集団について、抗体医薬の占有率を測定してもよい。例えば、他の特異的結合物質が結合した細胞集団に対してゲートをかけたうえで、抗体医薬の占有率を算出してもよい。

 他の特異的結合物質としては、抗CD3抗体に限られず、あらゆる抗原に対する特異的結合物質を使用することができる。他の特異的結合物質を反応させることにより、抗体医薬の占有率を測定するのと同時に特定抗原の発現を解析することもできる。

(患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータ)
 本実施形態の方法では、抗体医薬の占有率が、患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータである。そして、占有率が基準値よりも高いことが、患者への抗体医薬の投与間隔を長くすべきこと又は投与量を減少させるべきことを示す。

 ここで、占有率の基準値は、例えば、予め設定した占有率の最適値である。占有率の最適値とは、例えば、抗体医薬による疾患の治療効果が最大となり、免疫関連有害事象等の副作用を最小となる占有率である。

 本実施形態の方法により、抗体医薬の占有率が基準値よりも高いことが示された場合、抗体医薬の投与量が十分であるか過剰であることを意味する。そこで、このような場合には、患者への抗体医薬の投与間隔を長くするか、又は患者への抗体医薬の投与量を減少させることにより、患者の細胞における抗体医薬の占有率を基準値に近づけることができる。

 あるいは、本実施形態の方法により、抗体医薬の占有率が基準値よりも低いことが示された場合、抗体医薬の投与量が不十分であることを意味する。そこで、このような場合には、患者への抗体医薬の投与間隔を短くするか、又は患者への抗体医薬の投与量を増大させることにより、患者の細胞における抗体医薬の占有率を基準値に近づけることができる。

[患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法]
 1実施形態において、本発明は、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させる工程と、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させる工程と、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程と、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれもヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合せずにヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、下記式(3)により計算されるニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータである方法を提供する。
 ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(3)

 本実施形態の方法により、ニボルマブ又はペムブロリズマブの動態を簡便に測定し、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得することができる。本実施形態の方法は、医師が判断する工程を含まない。

 本実施形態の方法において、ニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量の最適化とは、ニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量の個別化といいかえることができる。すなわち、本実施形態の方法により、個々の患者に応じて最適なニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量を決定するためのデータを提供することができる。これにより、例えば、患者が重篤な免疫関連有害事象を発症した場合に、有害事象がどれくらい遷延するリスクがあるかを予測することが可能になる。また、適切な量のニボルマブ又はペムブロリズマブの使用を可能にすることにより、高額な抗体医薬の費用を抑制すること等が可能になる。

(患者由来の細胞)
 本実施形態の方法において、患者由来の細胞としては、例えば、末梢血リンパ球、胸水由来のリンパ球、肺胞洗浄液由来のリンパ球等が挙げられる。

(第2及び第3の特異的結合物質)
 本実施形態の方法において、第2及び第3の特異的結合物質としては、上述した「細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法」の実施形態における第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブである場合の第2及び第3の特異的結合物質と同様のものを用いることができる。

 より具体的な例としては、第2の特異的結合物質として、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)が挙げられる。また、第3の特異的結合物質として、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)が挙げられる。実施例において後述するように、発明者らは、これらの抗体を用いることにより、ニボルマブ及びペムブロリズマブの占有率を測定することができることを明らかにした。

(第2、第3の特異的結合物質を接触させる工程、及び、第2、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程)
 上述した「細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法」の実施形態における第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブである場合と同様に、本実施形態の方法において、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質を接触させる工程を実施した後に第3の特異的結合物質を接触させる工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に実施してもよい。例えば、同一の試験管内に、患者由来の細胞、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を入れて接触させることにより、第2の特異的結合物質を接触させる工程及び前記第3の特異的結合物質を接触させる工程を同時に行うことができる。

 また、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程は、いずれを先に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施した後に第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよく、逆の順序であってもよい。

 あるいは、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施してもよい。例えば、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質をそれぞれ識別可能に標識しておき、第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質に接触した患者由来の細胞をフローサイトメトリーで解析すること等により、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程及び第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を同時に実施することができる。

 あるいは、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。

 あるいは、第3の特異的結合物質を接触させる工程、第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程、第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程をこの順に実施してもよい。この場合、第3の特異的結合物質が結合した細胞を、セルソーター等を用いることにより回収し、その後、回収した細胞に対して第2の特異的結合物質を接触させる工程、第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測する工程を実施してもよい。

(他の特異的結合物質)
 また、第2の特異的結合物質、第3の特異的結合物質の他にも、例えば、抗CD3抗体等の他の特異的結合物質を接触させる工程を実施し、当該他の特異的結合物質が結合した細胞集団について、抗体医薬の占有率を測定してもよい。例えば、他の特異的結合物質が結合した細胞集団に対してゲートをかけたうえで、ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率を算出してもよい。

 他の特異的結合物質としては、抗CD3抗体に限られず、あらゆる抗原に対する特異的結合物質を使用することができる。他の特異的結合物質を反応させることにより、ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率を測定するのと同時に特定抗原の発現を解析することもできる。

(患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量を最適化するためのデータ)
 本実施形態の方法では、ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔又は投与量を最適化するためのデータである。そして、占有率が基準値よりも高いことが、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を長くすべきこと又は投与量を減少させるべきことを示す。

 ここで、占有率の基準値は、例えば、予め設定した占有率の最適値である。占有率の最適値とは、例えば、ニボルマブ又はペムブロリズマブによる疾患の治療効果が最大となり、免疫関連有害事象等の副作用が最小となる占有率である。ニボルマブ又はペムブロリズマブ占有率の最適値は、患者の症状等により適宜設定することができ、例えば90%であってもよく、例えば95%であってもよく、例えば98%であってもよい。

 本実施形態の方法により、ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が基準値よりも高いことが示された場合、ニボルマブ又はペムブロリズマブの投与量が十分であるか過剰であることを意味する。そこで、このような場合には、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を長くするか、又は患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与量を減少させることにより、患者の細胞におけるニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率を基準値に近づけることができる。

 あるいは、本実施形態の方法により、ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が基準値よりも低いことが示された場合、ニボルマブ又はペムブロリズマブの投与量が不十分であることを意味する。そこで、このような場合には、患者への抗体医薬の投与間隔を短くするか、又は患者への抗体医薬の投与量を増大させることにより、患者の細胞における抗体医薬の占有率を基準値に近づけることができる。

[その他の実施形態]
 1実施形態において、本発明は、患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化する方法であって、抗体医薬が投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、抗体医薬が投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合せずに前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、下記式(2)により計算される前記抗体医薬の占有率が、基準値よりも高い場合に、患者への前記抗体医薬の投与間隔を長くし、前記占有率が基準値よりも低い場合に、患者への前記抗体医薬の投与間隔を短くする、方法を提供する。
 前記抗体医薬の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(2)

 本実施形態の方法において、前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行ってもよい。また、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行ってもよい。

 1実施形態において、本発明は、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化する方法であって、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれもヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、前記第2の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合する特異的結合物質であり、前記第3の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合せずにヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、下記式(3)により計算されるニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が、基準値よりも高い場合に、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を長くし、前記占有率が基準値よりも低い場合に、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を短くする、方法を提供する。
 ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(3)

 本実施形態の方法において、前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行ってもよい。また、前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行ってもよい。

 次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

[実験例1]
(抗PD-1抗体の評価1)
《クローンEH12.2H7》
 ヒトPD-1を強制発現させたマウス線維芽細胞由来の細胞株であるMIT9細胞を用いて抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)の反応性を評価した。

 まず、MIT9細胞株を2×10個ずつチューブに分注した。続いて、分注した各細胞に抗PD-1抗体医薬であるニボルマブを、0,0.11,0.33,1,3.3,10μg/mLずつ添加し、4℃で30分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのリン酸バッファー(PBS)で2回洗浄した。続いて、各細胞に、PE標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)を1μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのPE標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図1は、解析結果を示すグラフである。その結果、最初に反応させたニボルマブの濃度が高くなるにしたがって、PE標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)のMIT9細胞への結合量が低下することが明らかとなった。

 この結果から、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)がニボルマブと競合することが明らかとなった。

《クローンMIH4》
 PE標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)の代わりにPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)を用いた点以外は上記と同様にして、抗PD-1抗体(クローンMIH4)の反応性を評価した。

 まず、MIT9細胞株を2×10個ずつチューブに分注した。続いて、分注した各細胞に抗PD-1抗体医薬であるニボルマブを、0,0.11,0.33,1,3.3,10μg/mLずつ添加し、4℃で30分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞に、PE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)を2μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

  続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図2は、解析結果を示すグラフである。その結果、最初に反応させたニボルマブの濃度に関わらず、PE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)がMIT9細胞に結合することが明らかとなった。

 この結果から、抗PD-1抗体(クローンMIH4)は、ニボルマブと競合せずにPD-1に結合することが明らかとなった。

 図3は、図1及び図2に示した解析結果に基づいて、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7又はクローンMIH4)のニボルマブとの競合率を計算した結果を示すグラフである。競合率は下記式(4)により算出した。
 競合率(%)=(全細胞数-抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7又はクローンMIH4)陽性細胞数)/全細胞数×100 …(4)

[実験例2]
(抗PD-1抗体の評価2)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)と抗PD-1抗体(クローンMIH4)との競合性を評価した。

 まず、MIT9細胞株を2×10個ずつチューブに分注した。続いて、分注した各細胞に、PE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)を、0,1.25,2.5,5,10,20μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞に、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)を4μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図4は、解析結果を示すグラフである。その結果、最初に反応させたPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の濃度に関わらず、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)がMIT9細胞に結合することが明らかとなった。

 この結果から、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)は抗PD-1抗体(クローンMIH4)と競合せずにPD-1に結合することが明らかとなった。

[実験例3]
(抗PD-1抗体の評価3)
 実験例2とは抗体を反応させる順序を逆にして、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)と抗PD-1抗体(クローンMIH4)との競合性を評価した。

 まず、MIT9細胞株を2×10個ずつチューブに分注した。続いて、分注した各細胞に、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)を、0,0.5,1,2,4,8μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞に、PE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)を10μg/mLずつ添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図5は、解析結果を示すグラフである。その結果、最初に反応させたAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)の濃度に関わらず、PE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)がMIT9細胞に結合することが明らかとなった。

 この結果は、抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)が抗PD-1抗体(クローンMIH4)と競合せずにPD-1に結合することを更に支持するものである。

[実験例4]
(ニボルマブの占有率の測定1)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、MIT9細胞株におけるニボルマブの占有率を測定した。

 まず、MIT9細胞株に10μg/mLのニボルマブを添加し、4℃で30分間反応させた。続いて、細胞を600μLのPBSで3回洗浄した。続いて、ニボルマブと反応させたMIT9細胞株に、ニボルマブと反応させていないMIT9細胞株を、ニボルマブと反応させたMIT9細胞株の割合が0,25,50,75,100%となるように混合し、2×10個ずつチューブに分注した。これにより、ニボルマブの占有率が、それぞれ、0,25,50,75,100%であるMIT9細胞株が得られた。

 続いて、各細胞に、それぞれ、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図6(a)~(e)は、解析結果を示すグラフである。図6(a)~(e)は、それぞれ、ニボルマブの占有率が、0,25,50,75,100%となるように調製したMIT9細胞株の結果である。図6(a)~(e)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 その結果、ニボルマブの占有率が上昇するにつれて、AlexaFluor488の蛍光強度が低下する傾向が認められた。一方、ニボルマブの占有率が変化してもPEの蛍光強度は変化しない傾向が認められた。

 続いて、図6(a)~(e)の結果に基づいて、下記式(3A)によりニボルマブの占有率を計算した。
 ニボルマブの占有率(%)=(1-(抗PD-1抗体(EH12.2H7)が結合した細胞の割合/抗PD-1抗体(クローンMIH4)が結合した細胞の割合))×100 …(3A)

 図7は、上記式(3A)により計算されたニボルマブの占有率と、実際のニボルマブの占有率を示すグラフである。その結果、上記式(3A)により計算されたニボルマブの占有率が実際のニボルマブの占有率によく一致することが確認された。この結果は、本実験例の方法により、ニボルマブの占有率を測定できることを示す。

[実験例5]
(ニボルマブの占有率の測定2)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、健常人の末梢血リンパ球中のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定した。

 まず、末梢血リンパ球に10μg/mLのニボルマブを添加し、4℃で30分間反応させた。続いて、ニボルマブと反応させた末梢血リンパ球に、ニボルマブと反応させていない末梢血リンパ球を、ニボルマブと反応させた末梢血リンパ球の割合が0,25,50,75,100%となるように混合し、5×10個ずつチューブに分注した。これにより、ニボルマブの占有率が、それぞれ、0,25,50,75,100%である末梢血リンパ球が得られた。

 続いて、各細胞にHuman BD Fc Block(0.5μg/mL、BDバイオサイエンス社)を添加して、4℃で10分間反応させた。続いて、allophycocyanin(APC)標識抗ヒトCD3抗体1μg/mL、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図8(a)~(e)は、解析結果を示すグラフである。図8(a)~(e)では、CD3陽性細胞にゲートをかけて、T細胞のみの解析結果を示した。図8(a)~(e)は、それぞれ、ニボルマブの占有率が、0,25,50,75,100%となるように調製した末梢血リンパ球の結果である。図8(a)~(e)中、縦軸は細胞数を示し、横軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示す。

 その結果、ニボルマブの占有率が上昇するにつれて、AlexaFluor488の蛍光強度が低下する傾向が認められた。

 また、フローサイトメーターによる解析結果に基づいて、下記式(3A)によりニボルマブの占有率を計算した。
 ニボルマブの占有率(%)=(1-(抗PD-1抗体(EH12.2H7)が結合した細胞の割合/抗PD-1抗体(クローンMIH4)が結合した細胞の割合))×100 …(3A)

 図9は、上記式(3A)により計算されたニボルマブの占有率と、実際のニボルマブの占有率を示すグラフである。その結果、上記式(3A)により計算されたニボルマブの占有率が実際のニボルマブの占有率によく一致することが確認された。この結果は、本実験例の方法により、ヒトのT細胞におけるニボルマブの占有率を測定できることを示す。

[実験例6]
(ニボルマブの占有率の測定3)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、ニボルマブの投与を受けている患者の体腔液由来のリンパ球中のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定した。体腔液としては、胸水及び肺胞洗浄液を使用した。

 まず、ニボルマブの投与を受けてから12日後の患者の胸水由来のリンパ球、ニボルマブの投与を受けてから21日後の患者の肺胞洗浄液由来のリンパ球を採取した。また、比較のために、ニボルマブの投与を受けていない患者の胸水由来のリンパ球も採取した。続いて、各リンパ球を5×10個ずつチューブに分注した。

 続いて、各細胞にHuman BD Fc Block(0.5μg/mL、BDバイオサイエンス社)を添加して、4℃で10分間反応させた。続いて、APC標識抗ヒトCD3抗体1μg/mL、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図10(a)~(c)は、解析結果を示すグラフである。図10(a)~(c)では、CD3陽性細胞にゲートをかけて、T細胞のみの解析結果を示した。図10(a)はニボルマブの投与を受けていない患者の胸水由来のT細胞の解析結果であり、図10(b)はニボルマブの投与を受けてから12日後の患者の胸水由来のT細胞の解析結果であり、図10(c)はニボルマブの投与を受けてから21日後の患者の肺胞洗浄液由来のT細胞の解析結果である。図10(a)~(c)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 また、フローサイトメーターによる解析結果に基づいて、下記式(3A)によりニボルマブの占有率を計算した。
 ニボルマブの占有率(%)=(1-(抗PD-1抗体(EH12.2H7)が結合した細胞の割合/抗PD-1抗体(クローンMIH4)が結合した細胞の割合))×100 …(3A)

 その結果、図10(a)に示すように、ニボルマブの投与を受けていない患者の胸水由来のT細胞では、ニボルマブの占有率は1%と算出された。この値は誤差であると考えられた。これに対し、図10(b)に示すように、ニボルマブの投与を受けてから12日後の患者の胸水由来のT細胞では、ニボルマブの占有率は99.9%と算出された。また、図10(c)に示すように、ニボルマブの投与を受けてから21日後の患者の肺胞洗浄液由来のT細胞では、ニボルマブの占有率は96.0%と算出された。

 この結果は、本実験例の方法により、実際の治療中の患者のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定できることを示す。

[実験例7]
(ペムブロリズマブの占有率の測定)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、MIT9細胞株におけるペムブロリズマブの占有率を測定した。

 まず、MIT9細胞株に10μg/mLのペムブロリズマブを添加し、4℃で30分間反応させた。続いて、細胞を600μLのPBSで3回洗浄した。続いて、ペムブロリズマブと反応させたMIT9細胞株に、ペムブロリズマブと反応させていないMIT9細胞株を、ペムブロリズマブと反応させたMIT9細胞株の割合が0,25,50,75,100%となるように混合し、2×10個ずつチューブに分注した。これにより、ペムブロリズマブの占有率が、それぞれ、0,25,50,75,100%であるMIT9細胞株が得られた。

 続いて、各細胞に、それぞれ、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図11(a)~(e)は、解析結果を示すグラフである。図11(a)~(e)は、それぞれ、ペムブロリズマブの占有率が、0,25,50,75,100%となるように調製したMIT9細胞株の結果である。図11(a)~(e)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 その結果、ペムブロリズマブの占有率が上昇するにつれて、AlexaFluor488の蛍光強度が低下する傾向が認められた。一方、ペムブロリズマブの占有率が変化してもPEの蛍光強度は変化しない傾向が認められた。

 続いて、図11(a)~(e)の結果に基づいて、下記式(3B)によりペムブロリズマブの占有率を計算した。
 ペムブロリズマブの占有率(%)=(1-(抗PD-1抗体(EH12.2H7)が結合した細胞の割合/抗PD-1抗体(クローンMIH4)が結合した細胞の割合))×100 …(3B)

 図12は、上記式(3B)により計算されたペムブロリズマブの占有率と、実際のペムブロリズマブの占有率を示すグラフである。その結果、上記式(3B)により計算されたペムブロリズマブの占有率が実際のペムブロリズマブの占有率によく一致することが確認された。この結果は、本実験例の方法により、ペムブロリズマブの占有率を測定できることを示す。

[実験例8]
(ニボルマブの占有率の測定4)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、ニボルマブの投与を受けていない肺癌患者2例(以下、「患者1」、「患者2」という。)の血液サンプルを試料として、末梢血リンパ球中のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定した。

 まず、各患者の血液サンプルから、それぞれ末梢血リンパ球を回収した。続いて、各リンパ球を5×10個ずつチューブに分注した。

 続いて、各細胞にHuman BD Fc Block(0.5μg/mL、BDバイオサイエンス社)を添加して、4℃で10分間反応させた。続いて、APC標識抗ヒトCD3抗体1μg/mL、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、各細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、各細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図13(a)~(d)は、解析結果を示すグラフである。図13(a)は患者1の末梢血リンパ球の解析結果を示し、図13(b)は患者2の末梢血リンパ球の解析結果を示す。また、図13(c)は、CD3陽性細胞にゲートをかけて、患者1のT細胞のみの解析結果を示したグラフである。また、図13(d)は、CD3陽性細胞にゲートをかけて、患者2のT細胞のみの解析結果を示したグラフである。図13(a)~(d)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 続いて、図13(c)及び(d)の結果に基づいて、上記式(3A)によりニボルマブの占有率を計算した。その結果、いずれの患者においても、T細胞におけるニボルマブの占有率は0%と算出された。

 この結果は、本実験例の方法により、血液サンプルを試料として、患者のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定できることを示す。

[実験例9]
(ニボルマブの占有率の測定5)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、ニボルマブの投与を受けた腎癌患者の血液サンプルを試料として、末梢血リンパ球中のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定した。この患者は、ニボルマブの投与による治療を9コース受けたが、薬剤性肺炎を発症し、ニボルマブの投与を中止した患者であった。ニボルマブを1回投与して2週間が1コースに相当する。

 まず、9回目のニボルマブの投与後3週間経過した時に、患者から血液サンプルを採取した。続いて、血液サンプルから末梢血リンパ球を回収した。続いて、各リンパ球を5×10個ずつチューブに分注した。

 続いて、各細胞にHuman BD Fc Block(0.5μg/mL、BDバイオサイエンス社)を添加して、4℃で10分間反応させた。続いて、APC標識抗ヒトCD3抗体1μg/mL、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図14(a)及び(b)は、解析結果を示すグラフである。図14(a)は末梢血リンパ球の解析結果を示す。また、図14(b)は、CD3陽性細胞にゲートをかけて、患者のT細胞のみの解析結果を示したグラフである。図13(a)及び(b)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 続いて、図14(b)の結果に基づいて、上記式(3A)によりニボルマブの占有率を計算した。その結果、T細胞におけるニボルマブの占有率は95.47%と算出された。

 この結果は、本実験例の方法により、血液サンプルを試料として、患者のT細胞におけるニボルマブの占有率を測定できることを更に支持するものである。

[実験例10]
(ペムブロリズマブの占有率の測定2)
 抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及び抗PD-1抗体(クローンMIH4)を使用して、ペムブロリズマブの投与を受けた肺癌患者の血液サンプルを試料として、末梢血リンパ球中のT細胞におけるペムブロリズマブの占有率を測定した。この患者は、ペムブロリズマブの投与による治療を2コース受けたが、薬剤性肺炎を発症し、ペムブロリズマブの投与を中止した患者であった。ペムブロリズマブを1回投与して3週間が1コースに相当する。

 まず、2回目のペムブロリズマブの投与後3週間経過した時に、患者から血液サンプルを採取した。続いて、血液サンプルから末梢血リンパ球を回収した。続いて、各リンパ球を5×10個ずつチューブに分注した。

 続いて、各細胞にHuman BD Fc Block(0.5μg/mL、BDバイオサイエンス社)を添加して、4℃で10分間反応させた。続いて、APC標識抗ヒトCD3抗体1μg/mL、AlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7、Biolegend社)4μg/mL及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4、eBioscience社)10μg/mLを添加し、4℃で20分間反応させた。

 続いて、細胞を、600μLのPBSで2回洗浄した。続いて、細胞へのAlexaFluor488標識抗PD-1抗体(クローンEH12.2H7)及びPE標識抗PD-1抗体(クローンMIH4)の結合を、フローサイトメーター(型式「FACS Verse」、BDバイオサイエンス社)を用いて解析した。

 図15(a)及び(b)は、解析結果を示すグラフである。図15(a)は末梢血リンパ球の解析結果を示す。また、図15(b)は、CD3陽性細胞にゲートをかけて、患者のT細胞のみの解析結果を示したグラフである。図15(a)及び(b)中、縦軸はAlexaFluor488の蛍光強度を示し、横軸はPEの蛍光強度を示す。

 続いて、図15(b)の結果に基づいて、上記式(3B)によりペムブロリズマブの占有率を計算した。その結果、T細胞におけるペムブロリズマブの占有率は39.66%と算出された。

 この結果は、本実験例の方法により、血液サンプルを試料として、患者のT細胞におけるペムブロリズマブの占有率を測定できることを示す。

 本発明によれば、特異的結合物質の動態を簡便に測定する技術を提供することができる。

Claims (19)

  1.  細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定する方法であって、
     前記細胞集団に、第2の特異的結合物質を接触させることと、
     前記細胞集団に、第3の特異的結合物質を接触させることと、
     前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、
     前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、
     前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、
     前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、
     前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、
     前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、
     下記式(1)により計算される値が、前記占有率である、方法。
     第1の特異的結合物質の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(1)
  2.  前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、請求項1に記載の方法。
  3.  前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、請求項1又は2に記載の方法。
  4.  前記第1の特異的結合物質が抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5.  前記対象細胞表面タンパク質がヒトprogrammed death-1(PD-1)であり、前記第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体である、請求項4に記載の方法。
  6.  前記第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、請求項5に記載の方法。
  7.  細胞集団における第1の特異的結合物質の占有率を測定するためのキットであって、
     第2の特異的結合物質及び第3の特異的結合物質を含み、
     前記第1、前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質であり、
     前記占有率は、前記対象細胞表面タンパク質を発現した細胞のうち、前記第1の特異的結合物質が結合した細胞の割合であり、
     前記第2の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合する特異的結合物質であり、
     前記第3の特異的結合物質は、前記第1の特異的結合物質と競合せずに前記対象細胞表面タンパク質に結合する特異的結合物質である、キット。
  8.  前記第1の特異的結合物質が抗体である、請求項7に記載のキット。
  9.  前記対象細胞表面タンパク質がヒトPD-1であり、前記第1の特異的結合物質が抗ヒトPD-1抗体である、請求項8に記載のキット。
  10.  前記第1の特異的結合物質がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、請求項9に記載のキット。
  11.  患者への抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、
     抗体医薬が投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、
     抗体医薬が投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、
     前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、
     前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、
     前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれも前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、
     前記第2の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合する特異的結合物質であり、
     前記第3の特異的結合物質は、前記抗体医薬と競合せずに前記抗体医薬の標的タンパク質に結合する特異的結合物質であり、
     下記式(2)により計算される前記抗体医薬の占有率が、患者への前記抗体医薬の投与間隔又は投与量を最適化するためのデータである、方法。
     前記抗体医薬の占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(2)
  12.  前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、請求項11に記載の方法。
  13.  前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、請求項11又は12に記載の方法。
  14.  前記占有率が基準値よりも高いことが、患者への前記抗体医薬の投与間隔を長くすべきこと又は投与量を減少させるべきことを示し、前記占有率が基準値よりも低いことが、患者への前記抗体医薬の投与間隔を短くすべきこと又は投与量を増大させるべきことを示す、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
  15.  患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータを取得する方法であって、
     ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の細胞に第2の特異的結合物質を接触させることと、
     ニボルマブ又はペムブロリズマブが投与された患者由来の前記細胞に第3の特異的結合物質を接触させることと、
     前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、
     前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することと、を含み、
     前記第2及び前記第3の特異的結合物質は、いずれもヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、
     前記第2の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合する特異的結合物質であり、
     前記第3の特異的結合物質は、ニボルマブ又はペムブロリズマブと競合せずにヒトPD-1に結合する特異的結合物質であり、
     下記式(3)により計算されるニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率が、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔若しくは投与量を最適化するためのデータである、方法。
     ニボルマブ又はペムブロリズマブの占有率(%)=(1-(前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数/前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数))×100 …(3)
  16.  前記第2の特異的結合物質を接触させること、及び前記第3の特異的結合物質を接触させることを同時に行う、請求項15に記載の方法。
  17.  前記第2の特異的結合物質が結合した細胞数を計測すること、及び前記第3の特異的結合物質が結合した細胞数を計測することを同時に行う、請求項15又は16に記載の方法。
  18.  前記占有率が基準値よりも高いことが、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を長くすべきこと若しくは投与量を減少させるべきことを示し、前記占有率が基準値よりも低いことが、患者へのニボルマブ又はペムブロリズマブの投与間隔を短くすべきこと若しくは投与量を増大させるべきことを示す、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19.  前記第2の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンEH12.2H7)であり、前記第3の特異的結合物質が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(クローンMIH4)である、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
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