WO2019016886A1 - ショーケース - Google Patents

Abstract

陳列物を収容する収容空間と、吸込口から複数の吹出口へ空気が流れる冷却空間と、が形成されたケース本体を有するショーケース。ショーケースは、収容空間内において、複数の吹出口のそれぞれの下部に対応づけられ、陳列物が陳列される３つ以上の陳列棚と、何れかの陳列棚に設けられた加熱器と、冷却空間に設けられた冷却器と、冷却された空気を複数の吹出口へ送風する送風機と、を有する。また、ショーケースは、閉の状態において、吹出口へ供給される冷気を遮断する冷気調整部材と、加熱器の通電状態を切り替える加温スイッチと、を有する。

Description

ショーケース

　本発明は、飲料品などの陳列物を陳列させる多段式のショーケースに関する。

　従来から、陳列物を加温するＨＯＴ用のショーケース、又は陳列物を冷却するＣＯＬＤ用のショーケースが知られている。また、陳列物の加温又は保温用の加温棚と、陳列物の冷却又は保冷用の冷却棚とを併せ持ち、暖かい陳列物と冷たい陳列物とを同時に陳列するショーケースも知られている（例えば、特許文献１参照）。

　さらに、近年、常温の飲料品などに対する需要が増えているため、常温の陳列物と冷たい陳列物とを同時に陳列可能なショーケースも普及している。特許文献１のようなショーケースにおいて、加温棚の加温機能を停止させれば、暖かい陳列物の代わりに常温の陳列物を陳列することもできる。

特開２００５－２４１１６４号公報

　しかしながら、常温及びＣＯＬＤの陳列物に対応した従来のショーケースを店舗などに設置すると、暖かい陳列物を陳列するスペースが減少するため、暖かい飲料品などの需要に対応することができない。すなわち、特許文献１のような従来のショーケースでは、暖かい陳列物と常温の陳列物とを同時に並べたいといったニーズに応えることができないという課題がある。

　本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、顧客の多様なニーズに応じた陳列パターンを実現するショーケースを提供することを目的とする。

　本発明に係るショーケースは、陳列物を収容する収容空間と、吸込口から複数の吹出口へ空気が流れる冷却空間と、が形成されたケース本体と、収容空間内において、複数の吹出口のそれぞれの下部に対応づけられ、陳列物が陳列される３つ以上の陳列棚と、何れかの陳列棚に設けられ、陳列された陳列物を加温する加熱器と、冷却空間に設けられ、冷却空間内の空気を冷却する冷却器と、冷却空間に設けられ、冷却された空気を複数の吹出口へ送風する送風機と、閉の状態において、吹出口へ供給される冷気を遮断する冷気調整部材と、加熱器の通電状態を切り替える加温スイッチと、を有するものである。

　本発明によれば、冷気調整部材を用いて冷気を遮断する陳列棚を選択すると共に、加温スイッチにより加温する陳列棚を選択することで、常温の陳列物用の常温棚と加温棚との組み合わせを簡単に調整することができる。よって、複数の陳列棚のそれぞれの用途を柔軟に切り替えることができるため、顧客の多様なニーズに応じた陳列パターンを容易に実現することができる。

本発明の実施の形態１に係るショーケースの外観を示す斜視図である。 図１のショーケースの正面図である。 図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、第１冷気調整部材及び第２冷気調整部材が開の状態にある様子を例示した図である。 図３の状態における冷気の流れを示す説明図である。 図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、最上段の陳列棚に対応する第１冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。 図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、上から２段目の陳列棚に対応する第１冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。 図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、第２冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。 図３の各陳列棚に設けられた加熱器と、各加熱器に対応する加温スイッチとの接続関係を示す回路図である。 図３のショーケースにおける第１陳列パターンを説明するための概略断面図である。 図３のショーケースにおける第２陳列パターンを説明するための概略断面図である。 図３のショーケースにおける第３陳列パターンを説明するための概略断面図である。 図３のショーケースにおける複数の陳列パターンを例示した表である。 本発明の実施の形態１の変形例１－１に係るショーケースの表示灯を含む回路図である。 本発明の実施の形態１の変形例１－２に係るショーケースの外観を示す斜視図である。 本発明の実施の形態１の変形例１－２に係るショーケースの常温スイッチを含む回路図である。 本発明の実施の形態１の変形例１－３に係るショーケースの棚スイッチ部を含む回路図である。 本発明の実施の形態１の変形例１－３に係るショーケースの概略断面図である。 図１７のショーケースが有する第１通電遮断スイッチのオフの状態を示す説明図である。 図１９のショーケースが有する第１通電遮断スイッチのオンの状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態１の変形例１－４に係るショーケースの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態２に係るショーケースを例示する概略断面図である。 図２１のショーケースに設けられた通気孔部の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態２の変形例２－１に係るショーケースを例示する概略断面図である。 本発明の実施の形態２の変形例２－１に係るショーケースに設けられた通気孔部の他の例を示す説明図である。 本発明の実施の形態２の変形例２－２に係るショーケースを例示する概略断面図である。

実施の形態１．
　図１は、本発明の実施の形態１に係るショーケースの外観を示す斜視図である。図２は、図１のショーケースの正面図である。図３は、図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、第１冷気調整部材及び第２冷気調整部材が開の状態にある様子を例示した図である。図１～図３に基づき、ショーケース１の全体的な構成について説明する。

　ショーケース１は、断熱材により形成された箱形状のケース本体２を備えている。ケース本体２は、圧縮機などが設置された機械室４を有している。また、ケース本体２は、機械室４の上部に、陳列物を収容する収容空間Ｏと、吸込口１２から複数の吹出口へ空気が流れる冷却空間Ｗと、が形成された保管室３と、を有している。保管室３は、前面に、陳列物を出し入れするための開口５が設けられている。保管室３は、陳列物が配置される収容空間Ｏの上側、下側、左側、右側、及び背面側を囲うように形成されている。ここで、陳列物としては、ペットボトル飲料、缶飲料、瓶飲料、及び弁当などの商品が想定される。

　また、保管室３は、下側、背面側、及び上側にわたって形成された断熱壁６と、断熱壁６よりも内側に配置され、断熱壁６との間に冷却空間Ｗを形成する内面パネル７と、を有している。すなわち、断熱壁６の内側の面と、内面パネル７の外側の面とは、所定の距離を隔てて対向している。内面パネル７は、保管室３の収容空間Ｏ側における背面を形成する背面パネル７ａを含んでいる。断熱壁６と内面パネル７とは、それぞれ、右側方の端部が保管室３の右側壁３ａに接触し、左側方の端部が保管室３の左側壁３ｂに接触している。すなわち、冷却空間Ｗは、背面パネル７ａの背面側、つまり断熱壁６と内面パネル７と右側壁３ａと左側壁３ｂとの間に形成されている。

　ショーケース１は、収容空間Ｏ内において、複数の吹出口のそれぞれの下部に対応づけられ、陳列物が陳列される３つ以上の陳列棚を有している。本実施の形態１では、陳列棚として、４つの陳列棚８Ａ～８Ｄを例示している。陳列棚８Ａ～８Ｄは、背面パネル７ａから前方に突出している。陳列棚８Ａ～８Ｄは、設定された距離を隔てて上下方向に並設されており、上方から、陳列棚８Ａ、陳列棚８Ｂ、陳列棚８Ｃ、陳列棚８Ｄの順に並んでいる。陳列棚８Ａ～８Ｄは、プレート状に形成され、陳列物が載置され陳列される。陳列棚８Ａ～８Ｄの内部には、それぞれ、陳列された陳列物を加温するプレートヒータなどの加熱器９が設けられている。本実施の形態１では、陳列棚８Ｃ及び陳列棚８Ｄが、冷却器１４の上端よりも下方に設けられている。

　保管室３の上部前方には、収容空間Ｏに光を照射する照明装置３０が設けられている。照明装置３０は、ＬＥＤ（Ｌｉｇｈｔ　Ｅｍｉｔｔｉｎｇ　Ｄｉｏｄｅ）などから構成されており、陳列棚８Ａ～８Ｄ、又は陳列棚８Ａ～８Ｄに載置された陳列物に照明光を照射することができる。

　断熱壁６と内面パネル７とにおける上方の前端部には、冷却空間Ｗ内の空気を吹き出す全冷用吹出口１１ａが形成されている。また、下から２番目以上の陳列棚８Ａ～８Ｃのそれぞれの下部には、冷却空間Ｗ内の空気を吹き出す棚用吹出口１１ｂが形成されている。各棚用吹出口１１ｂは、上から２段目以降の陳列棚８Ｂ～８Ｄのそれぞれに対応づけて形成されている。すなわち、ケース本体２は、複数の吹出口として、全冷用吹出口１１ａと、複数の棚用吹出口１１ｂと、を有している。断熱壁６と内面パネル７とにおける下方の前端部には、収容空間Ｏ内の空気を冷却空間Ｗ内へ吸い込む吸込口１２が形成されている。

　冷却空間Ｗの下部には、冷却空間Ｗ内の空気を冷却する冷却器１４と、冷却された空気を複数の吹出口へ送風する送風機１３と、が設けられている。送風機１３は、冷却空間Ｗにおける陳列棚８Ｄの下方に配置され、吸込口１２から吸い込んだ空気を全冷用吹出口１１ａから吹き出すような空気の流れを生成するものである。冷却器１４は、送風機１３よりも空気の流れの下流側に設けられている。

　機械室４には、凝縮器１５、圧縮機、及び減圧装置などが設けられている。圧縮機は、冷媒を圧縮して凝縮器１５へ吐出する。凝縮器１５は、冷媒と機械室４内の空気との間で熱交換させる熱交換器であり、圧縮機から吐出された冷媒を凝縮する。減圧装置は、電子膨張弁又はキャピラリーチューブなどからなり、凝縮器１５から流出した冷媒を減圧して膨張させる。冷却器１４は、減圧装置を通過した冷媒と冷却空間Ｗ内の空気との間で熱交換させる熱交換器であり、冷却空間Ｗ内の空気を冷却する。すなわち、ショーケース１は、圧縮機と凝縮器１５と冷却器１４と減圧装置とが冷媒配管で接続され、冷媒が循環する冷媒回路を有している。したがって、送風機１３により吸込口１２から吸い込まれた空気は、冷却器１４で冷却され、冷却空間Ｗ内に形成された風路を通過して、全冷用吹出口１１ａ及び棚用吹出口１１ｂのうちの少なくとも１つから吹き出される。

　機械室４を構成する筐体には、前面パネル４０が取り付けられている。前面パネル４０は、手前側に引くことにより取り外すことができる。前面パネル４０には、空気を吸入する吸気口４０ａが形成されている。吸気口４０ａから吸い込まれた空気は、凝縮器１５を通過する冷媒との間で熱交換して機械室４から排出される。

　機械室４には、制御箱４１が設けられている。制御箱４１には、複数の加熱器９のそれぞれに対応づけられ、各加熱器９のそれぞれの通電状態のオンオフを切り替える加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４が設けられている。また、制御箱４１には、圧縮機、減圧装置、及び送風機１３などを制御する制御装置５０が設けられている。

　さらに、ショーケース１は、閉の状態において、複数の吹出口へ供給される冷気を遮断する冷気調整部材を有している。本実施の形態１において、ショーケース１は、冷気調整部材として、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと、第２冷気調整部材２２と、を有している。

　第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂは、冷却器１４の上端よりも上方の陳列棚８Ａ及び８Ｂのそれぞれに対応づけて配置され、冷却器１４からの冷気の流れを調整する。第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂは、つまみネジなどを含んで構成された調整部材２５により、冷却空間Ｗへ突出させる前後方向の長さを調整することができる。第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂは、それぞれ、閉の状態において、冷却器１４からの冷気を遮断する。すなわち、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂは、それぞれ、閉の状態において、全冷用吹出口１１ａと、自身よりも上方に設けられた棚用吹出口１１ｂとから冷気が吹き出されるのを防止する。

　第２冷気調整部材２２は、冷却器１４の上端よりも上方に、複数の棚用吹出口の何れか１つに対応づけて配置され、冷却器１４からの冷気の流れを調整する。第２冷気調整部材２２は、閉の状態において、冷却器１４からの冷気を遮断するものである。すなわち、第２冷気調整部材２２は、閉の状態において、自身に対応づけられた棚用吹出口１１ｂと、これよりも上方に設けられた棚用吹出口１１ｂと、全冷用吹出口１１ａとから冷気が吹き出されるのを防止する。

　本実施の形態１の第２冷気調整部材２２は、冷却器１４の上端に最も近い棚用吹出口１１ｂに対応づけて配置されている。したがって、第２冷気調整部材２２は、閉の状態において、冷却器１４の上端に最も近い棚用吹出口１１ｂへ向かう冷気を遮断する。これにより、第２冷気調整部材２２は、全冷用吹出口１１ａと、冷却器１４の上端に最も近い棚用吹出口１１ｂよりも上方の棚用吹出口１１ｂとから冷気が吹き出されるのを防止することができる。

　第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とは、冷却器１４よりも上方に配置されており、下方から、第２冷気調整部材２２、第１冷気調整部材２１Ｂ、第１冷気調整部材２１Ａの順に配置されている。第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とは、何れも、右側壁３ａから左側壁３ｂに亘って左右方向に延びる板状の部材である。なお、第１冷気調整部材２１Ａを閉の状態にした場合、第１冷気調整部材２１Ａと同列に位置する陳列棚８Ａは、陳列物の加温又は保温用の加温棚、又は常温の陳列物を陳列するための常温棚として機能させることができる。また、第１冷気調整部材２１Ｂを閉の状態にした場合、第１冷気調整部材２１Ｂと同列又は上方に位置する陳列棚８Ａ及び８Ｂは、陳列物の加温又は保温用の加温棚、又は常温の陳列物を陳列するための常温棚として機能させることができる。

　図４は、図３の状態における冷気の流れを示す説明図である。図４に示すように、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とが開の状態にある場合、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂの後端部と断熱壁６との間、及び第２冷気調整部材２２の前端部と背面パネル７ａとの間には隙間がある。したがって、冷却器１４から流出した冷気の一部は、第２冷気調整部材２２と背面パネル７ａとの間の隙間と、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと断熱壁６との間の隙間とを通過して、全冷用吹出口１１ａから吹き出される。また、冷却器１４から流出した冷気の残りは、各棚用吹出口１１ｂから吹き出される（図４の白抜き矢印参照）。よって、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とが開の状態にあるときは、保管室３の全ての陳列物を冷却することができる。すなわち、陳列棚８Ａ～８Ｄは、何れも、陳列物の冷却又は保冷用の冷却棚として機能する。ここで、通常冷却運転時の冷気循環は、全冷用吹出口１１ａ及び棚用吹出口１１ｂから吹き出した冷気を送風機１３によって吸込口１２から吸い込み、冷却器１４にて冷やされた空気を再び全冷用吹出口１１ａ及び棚用吹出口１１ｂから吹き出すようになっている。

　本実施の形態１では、全冷用吹出口１１ａから吹き出される空気の量が、棚用吹出口１１ｂから吹き出される空気の量よりも多くなるように、全冷用吹出口１１ａの開口が、各棚用吹出口１１ｂの開口よりも大きくなっている。そのため、全冷用吹出口１１ａから吹き出される空気がエアカーテン状に作用することから、陳列物の保温性、及び陳列物に対する防塵性の向上を図ることができる。なお、図４では、冷却器１４からの冷気が吹き出される空間に「ＣＯＬＤ」と記載している。以下の各図においても同様とする。

　図５は、図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、最上段の陳列棚に対応する第１冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。本実施の形態１において、第１冷気調整部材２１Ａは、陳列棚８Ａに設けられており、前後方向へのスライドが可能となっている。つまり、第１冷気調整部材２１Ａの閉の状態とは、断熱壁６側の端部である後端部を、断熱壁６に設けられた当接部６Ａに当てた状態のことである。

　図５に示すように、第１冷気調整部材２１Ａが閉の状態にある場合、断熱壁６の当接部６Ａに接触した第１冷気調整部材２１Ａは、冷却空間Ｗを分断し、冷却器１４側から流れてくる冷気を遮断するため、冷却空間Ｗ内の風路が変化する。つまり、冷却器１４から流出した冷気は、全冷用吹出口１１ａには到達せず、陳列棚８Ａ～８Ｃのそれぞれの下部の棚用吹出口１１ｂから吹き出される（図５の白抜き矢印参照）。したがって、第１冷気調整部材２１Ａだけが閉の状態にあるときは、陳列棚８Ａ～８Ｃに置いた陳列物を冷却することができる。すなわち、陳列棚８Ｂ～８Ｄは、それぞれ、冷却棚として機能する。一方、陳列棚８Ａは、陳列物の加温もしくは保温用の加温棚、又は常温の陳列物を載置する常温棚として機能させることができる。

　図６は、図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、上から２段目の陳列棚に対応する第１冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。本実施の形態１において、第１冷気調整部材２１Ｂは、陳列棚８Ｂに設けられており、前後方向へのスライドが可能となっている。つまり、第１冷気調整部材２１Ｂの閉の状態とは、断熱壁６側の端部である後端部を、断熱壁６に設けられた当接部６Ｂに当てた状態のことである。

　図６に示すように、第１冷気調整部材２１Ｂが閉の状態にある場合、断熱壁６の当接部６Ｂに接触した第１冷気調整部材２１Ｂは、冷却空間Ｗを分断し、冷却器１４側から流れてくる冷気を遮断するため、冷却空間Ｗ内の風路が変化する。つまり、冷却器１４から流出した冷気は、全冷用吹出口１１ａ及び陳列棚８Ａの下部の棚用吹出口１１ｂには到達せず、陳列棚８Ｂ及び８Ｃのそれぞれの下部の棚用吹出口１１ｂから吹き出される（図６の白抜き矢印参照）。したがって、第１冷気調整部材２１Ｂが閉の状態にあり、第２冷気調整部材２２が開の状態にあるときは、陳列棚８Ｃ及び８Ｄに置いた陳列物を冷却することができる。すなわち、陳列棚８Ｃ及び８Ｄは、それぞれ、冷却棚として機能する。一方、陳列棚８Ａ及び８Ｂは、加温棚又は常温棚として機能させることができる。

　図７は、図２のショーケースのＡ－Ａ線に沿った概略断面図のうち、第２冷気調整部材が閉の状態にある場合の冷気の流れを例示した説明図である。本実施の形態１において、第２冷気調整部材２２は、断熱壁６に設けられており、前後方向へのスライドが可能となっている。つまり、第２冷気調整部材２２の閉の状態とは、背面パネル７ａ側の端部である先端部を、背面パネル７ａにおける棚用吹出口１１ｂの下部に当てた状態のことである。図７において、第２冷気調整部材２２は、前端部の下面が、棚用吹出口１１ｂの開口の下部に接触することにより、閉の状態となっている。

　図７に示すように、第２冷気調整部材２２が閉の状態にある場合、背面パネル７ａに接触した第２冷気調整部材２２は、冷却空間Ｗを分断し、冷却器１４側から流れてくる冷気を遮断するため、冷却空間Ｗ内の風路が変化する。つまり、冷却器１４から流出した冷気は、全冷用吹出口１１ａにも、陳列棚８Ａ及び８Ｂの下部の棚用吹出口１１ｂにも到達せず、冷却器１４と背面パネル７ａとの間から下方に流れ、陳列棚８Ｃの下部の棚用吹出口１１ｂから吹き出される（図７の白抜き矢印参照）。したがって、第２冷気調整部材２２が閉の状態にあるときは、陳列棚８Ｄに置いた陳列物を冷却することができる。すなわち、陳列棚８Ｄは、冷却棚として機能する。一方、陳列棚８Ａ～８Ｃは、それぞれ、加温棚又は常温棚として機能させることができる。

　ここで、制御装置５０は、陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの少なくとも１つを冷却棚として機能させる場合、圧縮機、減圧装置、及び送風機１３の動作を制御し、冷却棚上の陳列物の温度が０度～１１度となるように管理する。また、制御装置５０は、陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの少なくとも１つを常温棚として機能させる場合、圧縮機、減圧装置、及び送風機１３の動作を制御することにより、常温棚上の陳列物の温度が、店舗などにおける収容空間Ｏの外部の温度よりも１度～５度低い温度となるように管理するとよい。制御装置５０は、上記の各機能を実現する回路デバイスのようなハードウェア、もしくは、マイコンなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各機能を実現させるソフトウェアとによって構成することができる。

　また、本実施の形態１のショーケース１は、陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの少なくとも１つを加温棚として機能させる場合、加温棚上の陳列物の温度が適正温度範囲内に入るように管理する。適正温度範囲は、例えば５０度～６０度に設定される。より具体的に、陳列棚８Ａ～８Ｄには、それぞれ、バイメタルサーモスタットなどの温度検知手段が設けられており、加熱器９への通電状態を機械的にオンオフするようになっている。

　図８は、図３の各陳列棚に設けられた加熱器と、各加熱器に対応する加温スイッチとの接続関係を示す回路図である。本実施の形態１において、加温スイッチＳＷ１は、第１スイッチＸ１と第２スイッチＹ１とを含んでいる。加温スイッチＳＷ２は、第１スイッチＸ２と第２スイッチＹ２とを含んでいる。加温スイッチＳＷ３は、第１スイッチＸ３と第２スイッチＹ３とを含んでいる。加温スイッチＳＷ４は、第１スイッチＸ４と第２スイッチＹ４とを含んでいる。もっとも、加温スイッチＳＷ３は、第２スイッチＹ３を含まず、第１スイッチＸ３だけで構成されてもよい。また、加温スイッチＳＷ４は、第２スイッチＹ４を含まず、第１スイッチＸ４だけで構成されてもよい。

　第１スイッチＸ１の一方の端子は、陳列棚８Ａの加熱器９に接続された導線Ｃ１につながっている。また、第１スイッチＸ１の一方の端子は、第１スイッチＸ２を介して、陳列棚８Ｂの加熱器９に接続された導線Ｃ２につながっている。第２スイッチＹ１の一方の端子は、第２スイッチＹ２及び第１スイッチＸ３を介して、陳列棚８Ｃの加熱器９に接続された導線Ｃ３に接続されている。第１スイッチＸ１及び第２スイッチＹ１のそれぞれの他方の端子は、商用電源などの電源１００につながっている。

　第１スイッチＸ２は、一方の端子が導線Ｃ２につながっており、他方の端子が導線Ｃ１につながっている。第２スイッチＹ２の一方の端子は、第１スイッチＸ３を介して導線Ｃ３につながっている。第２スイッチＹ２の他方の端子は、第２スイッチＹ１の一方の端子につながっている。第１スイッチＸ３は、一方の端子が導線Ｃ３につながっており、他方の端子が第２スイッチＹ２の一方の端子につながっている。第１スイッチＸ４は、一方の端子が導線Ｃ４につながっており、他方の端子が導線Ｃ３につながっている。

　したがって、加温スイッチＳＷ２をオンにしても、加温スイッチＳＷ１がオンになっていなければ、第１スイッチＸ１のオフにより、陳列棚８Ｂの加熱器９には通電されない。同様に、加温スイッチＳＷ３をオンにしても、加温スイッチＳＷ１及びＳＷ２の双方がオンになっていなければ、陳列棚８Ｃの加熱器９には通電されない。また、加温スイッチＳＷ４をオンにしても、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ３の全てがオンになっていなければ、陳列棚８Ｄの加熱器９には通電されない。

　すなわち、本実施の形態１において、複数の加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４は、それぞれ、自身に対応する加熱器９よりも上方に設けられた全ての加熱器９に対応する加温スイッチがオンの場合に限り、オンになると自身に対応する加熱器９へ通電されるようになっている。したがって、加温棚としての設定は、最上段の陳列棚８Ａから始まる。つまり、加温棚としての設定は、上段の陳列棚から優先的に行われるようになっている。したがって、加温棚としての陳列棚と常温棚としての陳列棚とを含むようにショーケース１の陳列パターンを構成する場合、加温棚の下方に常温棚が配置される。ここで、暖かい空気は上昇するという性質により、加温棚で温められた空気は上昇するところ、ショーケース１では、加温棚が常温棚よりも上方に配置されるため、常温棚上の陳列物の温度が、加温棚で温められた空気の影響で上昇することを防ぐことができる。

［陳列パターン］
　図９は、図３のショーケースにおける第１陳列パターンを説明するための概略断面図である。図１０は、図３のショーケースにおける第２陳列パターンを説明するための概略断面図である。図１１は、図３のショーケースにおける第３陳列パターンを説明するための概略断面図である。まず、図９～図１１に基づき、ショーケース１における代表的な陳列パターンについて説明する。

（第１陳列パターン）
　第１陳列パターンは、図９に示すように、陳列棚８Ａを加温棚として機能させ、陳列棚８Ｂを常温棚として機能させ、陳列棚８Ｃ及び８Ｄを冷却棚として機能させる状態である。なお、図９では、加温棚の上部の空間に「ＨＯＴ」と記載し、常温棚の上部の空間に「常温」と記載している。以下の各図においても同様とする。

　第１陳列パターンでは、図６の場合と同様に、第１冷気調整部材２１Ａ及び第２冷気調整部材２２が開の状態であり、第１冷気調整部材２１Ｂが閉の状態である。また、加温スイッチＳＷ１はオンの状態であり、加温スイッチＳＷ２～ＳＷ４はオフの状態である。すなわち、ユーザは、第１冷気調整部材２１Ｂを閉の状態にし、加温スイッチＳＷ１をオンすることにより、第１陳列パターンの組み合わせをつくることができる。その際、第２冷気調整部材２２が閉の状態であれば、開の状態にする必要があるが、第１冷気調整部材２１Ａが閉の状態であっても、これを開の状態にする必要はない。

（第２陳列パターン）
　第２陳列パターンは、図９に示すように、陳列棚８Ａ及び８Ｂを加温棚として機能させ、陳列棚８Ｃを常温棚として機能させ、陳列棚８Ｄを冷却棚として機能させる状態である。第２陳列パターンでは、図７の場合と同様に、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂが開の状態であり、第２冷気調整部材２２が閉の状態である。また、加温スイッチＳＷ１及びＳＷ２はオンの状態であり、加温スイッチＳＷ３及びＳＷ４はオフの状態である。すなわち、ユーザは、第２冷気調整部材２２を閉の状態にし、加温スイッチＳＷ１及びＳＷ２をオンすることにより、第２陳列パターンの組み合わせをつくることができる。その際、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂが閉の状態であったとしても、これらを開の状態にする必要はない。

（第３陳列パターン）
　第３陳列パターンは、図９に示すように、陳列棚８Ａを加温棚として機能させ、陳列棚８Ｂ及び８Ｃを常温棚として機能させ、陳列棚８Ｄを冷却棚として機能させる状態である。第３陳列パターンでは、第２陳列パターンと同様に、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂが開の状態であり、第２冷気調整部材２２が閉の状態である。一方、加温スイッチＳＷ１はオンの状態であるが、加温スイッチＳＷ２はオフの状態である。加温スイッチＳＷ３及びＳＷ４はオフの状態である。すなわち、ユーザは、第２冷気調整部材２２を閉の状態にし、加温スイッチＳＷ１をオンすることにより、第３陳列パターンの組み合わせをつくることができる。

　第１陳列パターン及び第２陳列パターンでは、常温棚の数が、冷却棚の数以下で、かつ加温棚の数以下となっている。したがって、季節ごとの主な販売温度帯の陳列面積を確保することができる。なお、冷たい陳列物の需要が比較的高い夏季などに第１陳列パターンを用い、暖かい陳列物の需要が比較的高い冬期などに第２陳列パターンを用いるとよい。

　また、第１～第３陳列パターンは、常温棚が、冷却棚の上方で、かつ加温棚の下方となるように構成されている。そのため、加温棚で温められた空気により、常温棚上の陳列物の温度が上昇することを防ぐことができる。また、第１～第３陳列パターンでは、上方から、加温棚、常温棚、冷却棚の順に並んでおり、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するという性質に合致している。そして、店舗などの室内は、一般に、下方の温度が低く、上方の温度が高いという温度分布になる。そのため、第１～第３陳列パターンによれば、省エネルギー化を図ることができる。

　図１２は、図３のショーケースにおける複数の陳列パターンを例示した表である。図１２では、冷却棚として機能させる陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかを「ＣＯＬＤ」とし、常温棚として機能させる陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかを「常温」とし、加温棚として機能させる陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかを「ＨＯＴ」としている。図１２に示すように、ショーケース１によれば、上記の第１～第３陳列パターンを含む１５の陳列パターンを実現することができる。ここで、第１陳列パターンは、図１２の陳列パターンＰ５に該当する。第２陳列パターンは、図１２の陳列パターンＰ８に該当する。第３陳列パターンは、図１２の陳列パターンＰ９に該当する。

　すなわち、ショーケース１は、全てＣＯＬＤの陳列パターンＰ１を実現することができる。また、ショーケース１は、上方の陳列棚から順に、１つがＨＯＴで３つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ２と、１つが常温で３つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ３と、を実現することができる。さらに、ショーケース１は、上方の陳列棚から順に、２つがＨＯＴで２つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ４と、２つが常温で２つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ６と、を実現することができる。加えて、ショーケース１は、上方の陳列棚から順に、３つがＨＯＴで１つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ７と、３つが常温で１つがＣＯＬＤの陳列パターンＰ１０と、を実現することができる。さらに、ショーケース１は、冷媒回路の運転を停止させることにより、陳列パターンＰ１１～Ｐ１５を実現することができる。なお、陳列パターンＰ１１は、全てＨＯＴの設定であり、陳列パターンＰ１５は、全て常温の設定である。

　以上のように、本実施の形態１におけるショーケース１は、第１冷気調整部材２１Ａを用いて冷気を遮断する陳列棚を選択すると共に、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４を用いて加温する陳列棚を選択することができる。つまり、ショーケース１は、第１冷気調整部材２１Ａにより冷却棚の数を調整することができ、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４により常温棚と加温棚との組み合わせを簡単に調整することができる。よって、複数の陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの用途を柔軟に切り替えることができるため、顧客の多様なニーズに応じた陳列パターンを容易に実現することができる。すなわち、ショーケース１によれば、ＨＯＴ、常温、又はＣＯＬＤ用の陳列物を、季節又は設置環境などに合わせてバランスよく陳列することができる。

　また、ショーケース１は、第２冷気調整部材２２を有していることから、冷却棚の数をさらに細かく調整することができる。よって、複数の陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの用途を組み合わせたバリエーションが増えるため、さらに多様な陳列パターンを実現することができる。

　そして、ショーケース１は、陳列パターンＰ３、Ｐ５、Ｐ６、Ｐ８、Ｐ１２，及びＰ１３のように、常温棚の数が、冷却棚又は加温棚の数以下となるパターンを用いることができるため、季節ごとの主な販売温度帯の陳列面積を確保することができる。また、ショーケース１は、常温棚と加温棚と冷却棚とが同時に使用されるとき、加温棚の下方が常温棚となり、常温棚の下方が冷却棚となるように構成されている。つまり、ショーケース１は、第１～第３陳列パターンのように、冷却棚と加温棚との間に常温棚が設定されるようになっている。そのため、冷却棚と加温棚との相互間の温度の影響を抑制することができる。

　さらに、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４は、それぞれ、自身に対応する加熱器９よりも上方に設けられた全ての加熱器９に対応する加温スイッチがオンの場合に限り、オンになると、自身に対応する加熱器９へ通電されるようになっている。したがって、複数の陳列棚により、加温棚と常温棚とを構成する場合、必ず加温棚の下方に常温棚が配置される。そのため、常温棚上の陳列物の温度が、加温棚で温められた空気により上昇することを防ぐことができる。すなわち、陳列パターンＰ５、Ｐ８、Ｐ９、及びＰ１２～Ｐ１４では、常温棚上の陳列物が、加温棚で温められた空気の影響を受けないため、常温棚上の陳列物の温度上昇を防ぐことができる。

　また、ショーケース１は、加温棚としての陳列棚上の陳列物の温度が適正温度範囲内となるように管理していることから、夏季及び中間季においても、飲料品などの保温温度を最適に保つことができる。つまり、夏季及び中間季における暖め過ぎを抑制することができる。また、冬季など、室温が低い状況に合わせて適正温度範囲を設定することにより、暖め不足を防ぐことができる。加えて、夏季及び中間季など、冬季と比較して店舗内の温度が高くなる季節には、加熱器９への通電率を冬季よりも低下させることができるため、消費電力量を抑えることができる。

　ところで、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂは、陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかではなく、断熱壁６側に設けられてもよい。また、第２冷気調整部材２２は、断熱壁６側ではなく、背面パネル７ａ側に設けられてもよい。

　加えて、ショーケース１は、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂのうちの何れか１つを有さなくてもよい。また、ショーケース１は、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂの双方を有さなくてもよい。このようにしても、ショーケース１は、第２冷気調整部材２２を有するため、冷却棚と常温棚と加温棚との組み合わせを含む種々の陳列パターンを実現することができる。さらに、ショーケース１は、第２冷気調整部材２２を有さなくてもよい。

＜変形例１－１＞
　図１３は、本発明の実施の形態１の変形例１－１に係るショーケースの表示灯を含む回路図である。本変形例１－１のショーケースの全体的な構成は、上述したショーケース１と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　本変形例１－１のショーケース１は、ＬＥＤなどを含み、複数の加熱器９のそれぞれに対応づけられた表示灯３１を有している。各表示灯３１は、それぞれ、自身に対応する陳列棚の前方の端部などに設けられている。各表示灯３１は、それぞれ、各加熱器９に並列に接続されている。すなわち、各表示灯３１は、それぞれ、自身に対応する加熱器９に通電されたときに点灯し、その通電状態が継続している間、点灯状態を継続する。

　陳列棚８Ａの加熱器９に対応する表示灯３１は、加温スイッチＳＷ１のオンに連動して点灯する。陳列棚８Ｂの加熱器９に対応する表示灯３１は、加温スイッチＳＷ１がオンになっていれば、加温スイッチＳＷ２のオンに連動して点灯する。陳列棚８Ｃの加熱器９に対応する表示灯３１は、加温スイッチＳＷ１及びＳＷ２がオンになっていれば、加温スイッチＳＷ３のオンに連動して点灯する。陳列棚８Ｄの加熱器９に対応する表示灯３１は、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ３がオンになっていれば、加温スイッチＳＷ４のオンに連動して点灯する。

　上記のとおり、変形例１－１のショーケース１は、加熱器９への通電に連動して点灯する表示灯３１を有している。そのため、陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの加熱器９への通電状態を、表示灯３１を視認することにより確認することができる。すなわち、表示灯３１が点灯していれば、これに対応する陳列棚が加温棚として機能していることをユーザなどが一見して把握することができる。よって、常温棚として使用している陳列棚の加熱器９に誤って通電されている状態、又は加温棚として使用している陳列棚の加熱器９に通電されていない状態を早期に発見することができ、迅速な対処を行うことができる。

＜変形例１－２＞
　図１４は、本発明の実施の形態１の変形例１－２に係るショーケースの外観を示す斜視図である。本変形例１－２のショーケースの全体的な構成は、これまでに説明したショーケース１と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　本変形例１－２の制御箱４１には、複数の常温スイッチ３２が設けられている。図１４では、２つの常温スイッチ３２を例示しており、各常温スイッチ３２は、それぞれ、異なる加熱器９と一対一で対応づけられている。各常温スイッチ３２は、それぞれ、オンのときに非導通状態となり、オフのときに導通状態となるようになっている。すなわち、常温スイッチ３２がオンにされているときは、その常温スイッチ３２に対応する加熱器９への通電を遮断する状態となり、常温スイッチ３２がオフにされているときは、その常温スイッチ３２に対応する加熱器９への通電が可能な状態となる。

　図１５は、本発明の実施の形態１の変形例１－２に係るショーケースの常温スイッチを含む回路図である。図１５の場合、ショーケース１は、陳列棚８Ａの加熱器９と、陳列棚８Ｂの加熱器９とのそれぞれに対応づけられた常温スイッチ３２を有している。各常温スイッチ３２は、それぞれ、オンのときに、自身に対応する加熱器９への通電を遮断し、オフのときに、自身に対応する加熱器９への通電を可能とする。なお、図１５には、各常温スイッチ３２が、何れも、オフになっている状態を示している。

　すなわち、陳列棚８Ａの加熱器９に対応する常温スイッチ３２がオンであれば、加温スイッチＳＷ１をオンにしても、陳列棚８Ａの加熱器９には通電されず、表示灯３１も点灯しない。同様に、陳列棚８Ｂの加熱器９に対応する常温スイッチ３２がオンであれば、加温スイッチＳＷ１及びＳＷ２をオンにしても、陳列棚８Ｂの加熱器９には通電されず、表示灯３１も点灯しない。

　ここで、図１５では、陳列棚８Ａ及び陳列棚８Ｂの加熱器９に対応づけて常温スイッチ３２を設けた場合を例示したが、これに限らず、ショーケース１は、陳列棚８Ｂ及び陳列棚８Ｃの加熱器９に対応づけて常温スイッチ３２を設けるようにしてもよい。また、図１４及び図１５では、ショーケース１が２つの常温スイッチ３２を有する場合を例示したが、これに限らず、ショーケース１は、１つの常温スイッチ３２を有していてもよく、３つ又は４つの常温スイッチ３２を有していてもよい。１つの常温スイッチ３２をショーケース１に設ける場合は、陳列棚８Ｂ又は陳列棚８Ｃの加熱器９に対応づけるとよい。なお、図１５の回路図には表示灯３１を示しているが、本変形例１－２のショーケース１は、表示灯３１を有さなくてもよい。

　本変形例１－２のショーケース１は、ユーザが常温スイッチ３２をオンにしておくことにより、誤って加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４のうちの少なくとも１つがオンにされたような場合でも、常温棚に載置された陳列物が加熱器９で温められるといった事態を回避することができる。具体的には、常温棚に載置されたＣＯＬＤ専用のペットボトルが加熱器９で温められる状況などを防ぐことができる。

　ところで、上記の説明では、オンのときに非導通状態となり、オフのときに導通状態となる常温スイッチ３２を例示したが、常温スイッチ３２は、オンのときに導通状態となり、オフのときに非導通状態となるものであってよい。この場合、常温スイッチ３２は、外観上、オンとオフとが逆になるように構成するとユーザの利便性が向上する。

＜変形例１－３＞
　図１６は、本発明の実施の形態１の変形例１－３に係るショーケースの棚スイッチ部を含む回路図である。本変形例１－３のショーケースの全体的な構成は、これまでに説明したショーケース１と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　本変形例１－３のショーケース１は、図１６に示すように、電源１００と加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４との間に、棚スイッチ部３３を有している。棚スイッチ部３３は、２つの第１通電遮断スイッチ３４と、１つの第２通電遮断スイッチ３５と、を有している。各第１通電遮断スイッチ３４及び第２通電遮断スイッチ３５は、互いに並列に接続されている。棚スイッチ部３３は、各第１通電遮断スイッチ３４及び第２通電遮断スイッチ３５のうちの全てがオフの場合、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４のうちの少なくとも１つがオンされたときでも、加熱器９への通電を遮断する。言い換えると、棚スイッチ部３３は、各第１通電遮断スイッチ３４及び第２通電遮断スイッチ３５のうちの少なくとも１つがオンであれば、導通状態となり、加熱器９への通電が可能となる。

　図１７は、本発明の実施の形態１の変形例１－３に係るショーケースの概略断面図である。図１７は、図３と同様の断面をとっている。図１７に示すように、一方の第１通電遮断スイッチ３４は、第１冷気調整部材２１Ａの断熱壁６側の端部に設けられた第１磁石３４ａと、断熱壁６の当該第１磁石３４ａに対向する位置に設けられた第１リードスイッチ３４ｂと、を含んでいる。他方の第１通電遮断スイッチ３４は、第１冷気調整部材２１Ｂの断熱壁６側の端部に設けられた第１磁石３４ａと、断熱壁６の第１磁石３４ａに対向する位置に設けられた第１リードスイッチ３４ｂと、を含んでいる。第２通電遮断スイッチ３５は、第２冷気調整部材２２の背面パネル７ａ側の端部に設けられた第２磁石３５ａと、背面パネル７ａの当該第２磁石３５ａに対向する位置に設けられた第２リードスイッチ３５ｂと、を含んでいる。

　図１８は、図１７のショーケースが有する第１通電遮断スイッチのオフの状態を示す説明図である。図１９は、図１９のショーケースが有する第１通電遮断スイッチのオンの状態を示す説明図である。図１８及び図１９は、図１７の第１冷気調整部材２１Ａの周辺を拡大した図である。図１７及び図１８に基づき、第１通電遮断スイッチ３４の構造について具体的に説明する。

　図１８のように、第１冷気調整部材２１Ａが開の状態のときは、第１磁石３４ａと第１リードスイッチ３４ｂとが離れているため、第１リードスイッチ３４ｂは非通電状態を維持する。一方、図１９のように、第１冷気調整部材２１Ａが閉の状態になると、これに伴い、第１磁石３４ａが第１リードスイッチ３４ｂに接触する。そのため、第１リードスイッチ３４ｂは、第１磁石３４ａが発する磁界の影響により、導通状態となる。第１冷気調整部材２１Ｂに対応する第１通電遮断スイッチ３４の構造についても同様である。

　また、第２冷気調整部材２２が開の状態のときは、第２磁石３５ａと第２リードスイッチ３５ｂとが離れているため、第２リードスイッチ３５ｂは非通電状態を維持する。一方、第２冷気調整部材２２が閉の状態になると、これに伴い、第２磁石３５ａが第２リードスイッチ３５ｂに接触する（図１７の破線参照）。そのため、第２リードスイッチ３５ｂは、第２磁石３５ａが発する磁界の影響により、導通状態となる。

　すなわち、棚スイッチ部３３は、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とのうちの全てが開の状態にあれば、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４のうちの少なくとも１つがオンされても、加熱器９への通電を遮断する。言い換えると、棚スイッチ部３３は、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと第２冷気調整部材２２とのうちの少なくとも１つが閉の状態にあれば、導通状態となり、加熱器９への通電が可能となる。なお、図１６の回路図には表示灯３１を示しているが、本変形例１－３のショーケース１は、表示灯３１を有さなくてもよい。また、図１６の回路図には常温スイッチ３２を示しているが、本変形例１－３のショーケース１は、常温スイッチ３２を有さなくてもよい。

　以上のとおり、本変形例１－３の棚スイッチ部３３は、ユーザが第１冷気調整部材２１Ａ、第１冷気調整部材２１Ｂ、及び第２冷気調整部材２２を操作したことを検知することができる。したがって、本変形例１－３のショーケース１は、第１冷気調整部材２１Ａ、第１冷気調整部材２１Ｂ、及び第２冷気調整部材２２のうちの少なくとも１つが閉の状態にならない限り、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４のうちの少なくとも１つがオンされた場合でも、加熱器９への通電を行わない。よって、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４のうちの少なくとも１つが誤ってオンにされたような場合でも、常温棚に載置された陳列物が加熱器９で温められるといった事態を回避することができる。具体的には、常温棚に載置されたＣＯＬＤ専用のペットボトルが加熱器９で温められる状況などを防ぐことができる。

　ここで、図１７～図１９では、第１磁石３４ａが、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂのそれぞれの後端部に設けられ、第１リードスイッチ３４ｂが、各第１磁石３４ａのそれぞれに対向する位置に設けられた場合を例示したが、これに限定されない。第１通電遮断スイッチ３４は、第１リードスイッチ３４ｂが、第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂのそれぞれの後端部に設けられ、第１磁石３４ａが、各第１リードスイッチ３４ｂに対向する位置に設けられてもよい。

　また、図１７では、第２磁石３５ａが、第２冷気調整部材２２の前端部に設けられ、第２リードスイッチ３５ｂが、各第２磁石３５ａのそれぞれに対向する位置に設けられた場合を例示したが、これに限定されない。第２通電遮断スイッチ３５は、第２リードスイッチ３５ｂが、第２冷気調整部材２２の前端部に設けられ、第２磁石３５ａが、各第２リードスイッチ３５ｂに対向する位置に設けられてもよい。

　＜変形例１－４＞
　本変形例１－４のショーケースの全体的な構成は、これまでに説明したショーケース１と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。上述したショーケース１は、バイメタルサーモスタットなどの温度検知手段を用いて、加熱器９への通電状態を機械的にオンオフするようになっている。これに対し、本変形例１－４のショーケース１は、制御装置５０が閾値処理により、加温棚上の陳列物の温度が５０度～６０度となるように管理する。

　本変形例１－４のショーケース１は、陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれに、サーミスタなどからなる温度センサ（図示せず）が設けられている。そして、本変形例１－４の制御装置５０は、各温度センサが測定した陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの温度である棚温度を取得し、取得した棚温度をもとに、各加熱器９への通電状態を切り替える。すなわち、制御装置５０は、複数の加熱器９のそれぞれの動作を制御する機能を有している。

　また、制御装置５０は、内部メモリなどに、加熱器９への通電を遮断する際の基準となる上限温度と、加熱器９への通電を開始する際の基準となる下限温度と、を有している。上限温度及び下限温度は、下限温度から上限温度までの範囲が適正温度範囲となるように設定する。例えば、上限温度は６０度に設定され、下限閾値は５０度に設定される。この場合、制御装置５０は、上限温度及び下限温度を、棚温度と比較する閾値として用いることにより、加温棚としての陳列棚に載置された陳列物の温度が５５±５度の範囲に入るような制御を行うことができる。

　図２０は、本発明の実施の形態１の変形例１－４に係るショーケースの動作を示すフローチャートである。図２０に基づき、制御装置５０による陳列棚の温度管理処理について説明する。

　まず、制御装置５０は、加温棚として機能している陳列棚に設けられている温度センサから棚温度を取得する（ステップＳ１０１）。次いで、制御装置５０は、棚温度と上限温度とを比較し、棚温度が上限温度以下であるか否かを判定する（ステップＳ１０２）。制御装置５０は、棚温度が上限温度以下であれば（ステップＳ１０２／Ｙｅｓ）、棚温度と下限温度とを比較し、棚温度が下限温度以上であるか否かを判定する（ステップＳ１０３）。制御装置５０は、棚温度が下限温度以上であれば（ステップＳ１０３／Ｙｅｓ）、棚温度は適正温度範囲内であるため、ステップＳ１０１の処理へ戻る。

　一方、制御装置５０は、棚温度が上限温度より大きければ（ステップＳ１０２／Ｎｏ）、棚温度を取得した温度センサに対応する加熱器９への通電を遮断して（ステップＳ１０４）、ステップＳ１０１の処理へ戻る。また、制御装置５０は、棚温度が下限温度より小さければ（ステップＳ１０３／Ｎｏ）、棚温度を取得した温度センサに対応する加熱器９への通電を開始して（ステップＳ１０５）、ステップＳ１０１の処理へ戻る。なお、制御装置５０は、ステップＳ１０１の処理へ戻る場合、予め設定された待ち時間が経過するまで待機するようにしてもよい。

　本変形例１－４のショーケース１は、制御装置５０の閾値処理により、加温棚上の陳列物の温度が下限温度から上限温度までの適正温度範囲内となるように管理する。ここで、上限温度及び上限温度は、季節又は設置環境などに応じて適宜変更することができる。そのため、冬季などにおける暖め不足を防ぐと共に、夏季及び中間季においても、飲料品などの保温温度を最適に保つことができる。加えて、夏季及び中間季など、冬季と比較して店舗内の温度が高くなる季節には、加熱器９への通電率を冬季よりも低下させることができるため、消費電力量を抑えることができる。

　ところで、夏季又は中間季など、室温が高い場合は、缶飲料などの温度を冬季よりも熱く感じることがある。この点、本変形例１－４のショーケース１は、上限温度及び下限温度を適宜変更することができるため、加温棚に載置された陳列物の温度を、ユーザの体感温度に合わせて調整することができる。

実施の形態２．
　図２１は、本発明の実施の形態２に係るショーケースを例示する概略断面図である。図２２は、図２１のショーケースに設けられた通気孔部の一例を示す説明図である。本実施の形態２のショーケース１Ａの全体的な構成は、実施の形態１のショーケース１と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　ショーケース１Ａは、実施の形態１のショーケース１において常温棚として機能させていた陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの１つをチョイ冷え棚として機能させる点に特徴がある。チョイ冷え棚は、その上部空間の温度が、常温棚の上部空間の温度よりも低く、かつ冷却棚の上部空間の温度よりも高くなるように構成される。

　より具体的に、本実施の形態２の背面パネル７ａには、第２冷気調整部材２２とその直下の陳列棚８Ｃとの間に、１つ又は複数の穴７０ａを含む通気孔部７０が形成されている。１つ又は複数の穴７０ａは、全体での開口面積が、１つの棚用吹出口１１ｂの開口面積よりも小さくなるように形成されている。穴７０ａの数及び大きさは、チョイ冷え棚に要求される設定温度などに応じて調整するとよい。

　ここで、図２２には、通気孔部７０が設けられた背面パネル７ａの一部とその周辺を正面からみた様子を示している。つまり、図２１及び図２２では、通気孔部７０が複数の穴７０ａを含む場合を例示している。複数の穴７０ａの全体での開口面積は、１つの棚用吹出口１１ｂの開口面積よりも小さくなっている。本実施の形態２では、図２２に示すように、第２冷気調整部材２２とその直下の陳列棚８Ｃとの間の背面パネル７ａに、上下方向及び左右方向の全域に亘って複数の穴７０ａが形成されている。そのため、陳列棚８Ｃの上部空間に、冷却器１４からの冷気を均一に吹き出すことができる。

　ここで、図２１のように、第２冷気調整部材２２を閉の状態にすると、冷却器１４から上方へ向かう冷気が第２冷気調整部材２２によって遮断される。これにより、陳列棚８Ｃの下部の棚用吹出口１１ｂからだけでなく、通気孔部７０の複数の穴７０ａからも冷気が吹き出され、陳列棚８Ｃをチョイ冷え棚として機能させることができる。そして、複数の穴７０ａの全体での開口面積は、１つの棚用吹出口１１ｂの開口面積よりも小さくなっているため、複数の穴７０ａの全体から吹き出される冷気は、陳列棚８Ｃの下部の棚用吹出口１１ｂから吹き出される冷気よりも少なくなる。すなわち、ショーケース１Ａは、第２冷気調整部材２２を閉の状態にすることで、チョイ冷え棚に載置した陳列物の温度が、常温棚に載置する場合よりも低く、かつ冷却棚に載置する場合よりも高くなるように管理することができる。ここで、チョイ冷え棚は、弁当及び惣菜などの陳列に適している。また、本実施の形態２のショーケース１Ａは、複数の陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの用途を、実施の形態１のショーケース１よりも細かく調整することができるため、さらに多くの陳列パターンを実現することができる。

　ところで、図２２には、円形状の穴７０ａを例示したが、これに限らず、穴７０ａは矩形状などであってもよい。また、図２２では、複数の穴７０ａが上下３列に並んでいるが、これに限らず、通気孔部７０は、１つ又は複数の穴７０ａが、上下方向又は左右方向に、１列又は複数列並ぶように形成してもよい。加えて、通気孔部７０は、複数の穴７０ａがランダムに配置されてもよい。さらに、通気孔部７０は、上下方向に沿ってあけられた複数のスリット状の穴７０ａを含んでいてもよく、左右方向に沿ってあけられた複数のスリット状の穴７０ａを含んでいてもよい。

＜変形例２－１＞
　図２３は、本発明の実施の形態２の変形例２－１に係るショーケースを例示する概略断面図である。本変形例２－１のショーケースの全体的な構成は、上述したショーケース１Ａと同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　本変形例２－１のショーケース１Ａは、通気孔部７０の１つ又は複数の穴７０ａの全体での開口面積の調整が可能な構造を採っている。そのため、チョイ冷え棚に載置したい陳列物の種類及び用途などに応じて、複数の穴７０ａの全体での開口面積を調整することができる。

　より具体的に、本変形例２－１のショーケース１Ａは、通気孔部７０の一部又は全部を覆う可動式の通気孔カバー８０を有している。図２３に例示する通気孔カバー８０は、背面パネル７ａに取り付けられ、上下方向にスライドできるようになっている。ここで、通気孔カバー８０は、左右方向の両端部が右側壁３ａと左側壁３ｂとにより挟持されていてもよい。また、通気孔カバー８０は、背面パネル７ａの前面側に設けられてもよい。さらに、通気孔カバー８０は、前面側から背面パネル７ａに取り付けるものであってよく、この場合、取り付けと取り外しが容易に行えるような構造にするとよい。そして、複数の大きさの通気孔カバー８０を使い分けるようにしてもよい。

　上記のとおり、本変形例２－１のショーケース１Ａは、保管室３内に、室温及び常温棚の設定温度よりも低く、かつ冷却棚の設定温度よりも高い温度の空間を形成することができる。また、本変形例２－１のショーケース１Ａは、通気孔カバー８０を全閉の状態にすることで、陳列棚８Ｃを常温棚として機能させ、通気孔カバー８０を開の状態にすることで、陳列棚８Ｃをチョイ冷え棚として機能させることができる。さらに、通気孔カバー８０の開度を調整することにより、陳列物の種類及び用途に応じた温度設定を行うことができる。

　図２４は、本発明の実施の形態２の変形例２－１に係るショーケースに設けられた通気孔部の他の例を示す説明図である。図２３では、通気孔部７０が複数の穴７０ａを有する場合を例示したが、通気孔部７０が１つの穴７０ａを有する場合でも、通気孔カバー８０を用いて穴７０ａの開口面積を調整することができる。

　図２４には、通気孔部７０が設けられた背面パネル７ａの一部とその周辺を正面からみた様子を示している。図２４に示すように、穴７０ａの開口面積は、棚用吹出口１１ｂの開口面積よりも小さくなっているため、穴７０ａから吹き出される冷気は、陳列棚８Ｃの下部の棚用吹出口１１ｂから吹き出される冷気よりも少なくなる。そして、通気孔カバー８０を上下方向にスライドさせることにより、穴７０ａから吹き出される冷気の量を調整することができる。そのため、通気孔部７０が複数の穴７０ａを有する場合と同様の効果を得ることができる。

＜変形例２－２＞
　図２５は、本発明の実施の形態２の変形例２－２に係るショーケースを例示する概略断面図である。本変形例２－２のショーケース１Ｂの全体的な構成は、これまでに説明したショーケース１及び１Ａと同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。

　ショーケース１Ｂは、冷却器１４の上端が、陳列棚８Ｃよりも低くなっている。すなわち、ショーケース１Ｂは、陳列棚８Ｃの位置が、冷却器１４の上端よりも上方になっており、陳列棚８Ｃに対応づけて配置された第１冷気調整部材２１Ｃを有している。第１冷気調整部材２１Ｃは、上述した第１冷気調整部材２１Ａ及び２１Ｂと同様に構成されている。第１冷気調整部材２１Ｃは、断熱壁６側の端部である後端部を、断熱壁６に設けられた当接部６Ｃに当てることにより、閉の状態となる。

　また、ショーケース１Ｂは、第２冷気調整部材２２Ａと、第２冷気調整部材２２Ｂと、第２冷気調整部材２２Ｃと、を有している。第２冷気調整部材２２Ａ～２２Ｃは、何れも、上述したショーケース１及び１Ａの第２冷気調整部材２２と同様に構成されている。第２冷気調整部材２２Ａは、陳列棚８Ａの下部の棚用吹出口１１ｂに対応づけて設けられている。第２冷気調整部材２２Ｂは、陳列棚８Ｂの下部の棚用吹出口１１ｂに対応づけて設けられている。第２冷気調整部材２２Ｃは、陳列棚８Ｃの下部の棚用吹出口１１ｂに対応づけて設けられている。

　背面パネル７ａには、第２冷気調整部材２２Ａと陳列棚８Ｂとの間、第２冷気調整部材２２Ｂと陳列棚８Ｃとの間、及び第２冷気調整部材２２Ｃと陳列棚８Ｄとの間のそれぞれに、１つ又は複数の穴７０ａを含む通気孔部７０が形成されている。そして、各通気孔部７０のそれぞれに対応づけて通気孔カバー８０Ａ～８０Ｃが設けられている。通気孔カバー８０Ａ～８０Ｃは、それぞれ、上述した通気孔カバー８０と同様に構成されている。

　したがって、第２冷気調整部材２２Ａを閉の状態にすることにより、陳列棚８Ｂをチョイ冷え棚として機能させることができる。そして、通気孔カバー８０Ａを調整することにより、陳列棚８Ｂの上部空間の温度を調整することができる。ただし、第１冷気調整部材２１Ｂ及び２１Ｃと、第２冷気調整部材２２Ｂ及び２２Ｃとが閉の状態になっている場合に限る。この場合、さらに、通気孔カバー８０Ｂを調整することにより、陳列棚８Ｃの上部空間の温度を調整することができ、通気孔カバー８０Ｃを調整することにより、陳列棚８Ｄの上部空間の温度を調整することができる。

　第２冷気調整部材２２Ｂを閉の状態にすることにより、陳列棚８Ｃをチョイ冷え棚として機能させることができる。そして、通気孔カバー８０Ｂを調整することにより、陳列棚８Ｃの上部空間の温度を調整することができる。ただし、第１冷気調整部材２１Ｃと第２冷気調整部材２２Ｃとが閉の状態になっている場合に限る。この場合、さらに、通気孔カバー８０Ｃを調整することにより、陳列棚８Ｄの上部空間の温度を調整することができる。

　本変形例２－２のショーケース１Ｂは、第１冷気調整部材２１Ａ～２１Ｃと、第２冷気調整部材２２Ａ～２２Ｃとにより、冷気を遮断する陳列棚を選択し、冷却棚の数を細かく調整することができる。また、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４により、加温する陳列棚を選択し、常温棚と加温棚との組み合わせを簡単に調整することができる。さらに、通気孔部７０が設けられた陳列棚８をチョイ冷え棚として機能させ、各通気孔部７０のそれぞれに対応する通気孔カバー８０Ａ～８０Ｃを調整することにより、チョイ冷え棚及び冷却棚の設定温度を調整することができる。よって、複数の陳列棚８Ａ～８Ｄのそれぞれの用途をさらに柔軟に切り替えることができるため、顧客の多様なニーズに対応する陳列パターンをより精度よく実現することができる。

　ここで、ショーケース１Ｂは、第１冷気調整部材２１Ａ～２１Ｃのうちの何れか１つ又は２つを有さなくてもよい。また、ショーケース１Ｂは、第２冷気調整部材２２Ａ～２２Ｃのうちの何れか１つ又は２つを有さなくてもよい。加えて、ショーケース１Ｂは、通気孔カバー８０Ａ～８０Ｃのうちの何れか１つ又は２つを有さなくてもよく、通気孔カバー８０Ａ～８０Ｃの全てを有さなくてもよい。さらに、ショーケース１Ｂは、第２冷気調整部材２２Ａと陳列棚８Ｂとの間、第２冷気調整部材２２Ｂと陳列棚８Ｃとの間、第２冷気調整部材２２Ｃと陳列棚８Ｄとの間のうちの何れか１箇所又は２箇所に通気孔部７０を有さなくてもよい。

　ここで、上述した各実施の形態は、ショーケースにおける好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記の各実施の形態では、保管室３の最も下方に設けられた陳列棚の内部にも加熱器９が設けられている場合を例示したが、これに限らず、下から２番目以上の陳列棚にだけ加熱器９を設けるようにしてもよい。すなわち、加熱器９は、少なくとも下から２番目以上の陳列棚に設けられていればよい。

　また、上記の各実施の形態では、加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４及び常温スイッチ３２が機械室４内の制御箱４１に設けられている場合を例示したが、これに限定されるものではない。加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４は、それぞれに対応する加熱器９を搭載する陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかの前端部もしくは下面、又は保管室３の右側壁３ａもしくは左側壁３ｂなどに設けられてもよい。同様に、常温スイッチ３２は、それぞれに対応する加熱器９を搭載する陳列棚８Ａ～８Ｄのうちの何れかの前端部もしくは下面、又は保管室３の右側壁３ａもしくは左側壁３ｂなどに設けられてもよい。

　図２等では、３つ以上の陳列棚のうちの２つが、冷却器１４の上端よりも下方に設けられている場合を例示したが、これに限らず、冷却器１４の上端よりも下方に設けられる陳列棚は、１つでもよく、３つ以上でもよい。すなわち、３つ以上の陳列棚のうちの少なくとも１つが、冷却器１４の上端よりも下方に設けられていればよい。

　さらに、上記の各実施の形態では、４つの陳列棚８Ａ～８Ｄを有するショーケース１、１Ａ、及び１Ｂを例示したが、これに限らず、ショーケース１、１Ａ、及び１Ｂは、３つの陳列棚を有するものであってよく、５つ以上の陳列棚を有するものであってもよい。ショーケース１Ａが３つの陳列棚を有するように構成する場合、例えば、上方の陳列棚から順に、１つがＨＯＴ又は常温で、１つがチョイ冷えで、１つがＣＯＬＤという陳列パターンを形成することができる。また、変形例２－２のように、冷却器１４の上端が、下から２段目の陳列棚よりも下方に位置する場合、ショーケース１、１Ａ、及び１Ｂは、上方の陳列棚から順に、１つがＨＯＴ又は常温で、１つがＨＯＴ、常温、又はチョイ冷えで、１つがチョイ冷え又はＣＯＬＤの陳列パターンを形成することができる。その際、下方の陳列棚の方が上方の陳列棚よりも低温となるように調整するとよい。

　加えて、ショーケース１、１Ａ、及び１Ｂは、複数の加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４の代わりに、上段の加熱器９に対応する加温スイッチの状態が、下段の加熱器９の通電状態に影響を及ぼさないよう構成された複数の加温スイッチを有していてもよい。ただし、各陳列棚間での温度の影響などを考慮すれば、相互に非依存な複数の加温スイッチではなく、加温棚としての設定が上段の陳列棚から優先的に行われるよう構成された複数の加温スイッチＳＷ１～ＳＷ４を採用する方が好ましい（図８等参照）。また、上記の各図における第１冷気調整部材２１Ａ～２１Ｃ及び第２冷気調整部材２２、２２Ａ～２２Ｃの開の状態での開き具合は、あくまでも例示であり、これらの開き具合は、季節及び設置環境などに応じて調整することができる。

　１、１Ａ、１Ｂ　ショーケース、２　ケース本体、３　保管室、３ａ　右側壁、３ｂ　左側壁、４　機械室、５　開口、６　断熱壁、６Ａ～６Ｃ　当接部、７　内面パネル、７ａ　背面パネル、８、８Ａ～８Ｄ　陳列棚、９　加熱器、１１ａ　全冷用吹出口、１１ｂ　棚用吹出口、１２　吸込口、１３　送風機、１４　冷却器、１５　凝縮器、２１、２１Ａ～２１Ｃ　第１冷気調整部材、２２、２２Ａ～２２Ｃ　第２冷気調整部材、２５　調整部材、３０　照明装置、３１　表示灯、３２　常温スイッチ、３３　棚スイッチ部、３４　第１通電遮断スイッチ、３４ａ　第１磁石、３４ｂ　第１リードスイッチ、３５　第２通電遮断スイッチ、３５ａ　第２磁石、３５ｂ　第２リードスイッチ、４０　前面パネル、４０ａ　吸気口、４１　制御箱、５０　制御装置、７０　通気孔部、７０ａ　穴、８０、８０Ａ～８０Ｃ　通気孔カバー、１００　電源、Ｃ１～Ｃ４　導線、Ｏ　収容空間、Ｐ１～Ｐ１５　陳列パターン、ＳＷ、ＳＷ１～ＳＷ４　加温スイッチ、Ｗ　冷却空間、Ｘ１～Ｘ４　第１スイッチ、Ｙ１～Ｙ４　第２スイッチ。

Claims (12)

1. 　陳列物を収容する収容空間と、吸込口から複数の吹出口へ空気が流れる冷却空間と、が形成されたケース本体と、
   　前記収容空間内において、複数の前記吹出口のそれぞれの下部に対応づけられ、陳列物が陳列される３つ以上の陳列棚と、
   　何れかの前記陳列棚に設けられ、陳列された陳列物を加温する加熱器と、
   　前記冷却空間に設けられ、前記冷却空間内の空気を冷却する冷却器と、
   　前記冷却空間に設けられ、冷却された空気を複数の前記吹出口へ送風する送風機と、
   　閉の状態において、前記吹出口へ供給される冷気を遮断する冷気調整部材と、
   　前記加熱器の通電状態を切り替える加温スイッチと、を有する、ショーケース。
2. 　複数の前記吹出口は、上から２段目以降の前記陳列棚のそれぞれに対応づけられた棚用吹出口を含み、
   　前記冷気調整部材は、
   　前記陳列棚に対応づけて配置された第１冷気調整部材と、
   　前記冷却器の上端よりも上方に、複数の前記棚用吹出口のうちの少なくとも１つに対応づけて配置された第２冷気調整部材と、を有する、請求項１に記載のショーケース。
3. 　前記第２冷気調整部材は、前記冷却器の上端に最も近い前記棚用吹出口に対応づけて配置されている、請求項２に記載のショーケース。
4. 　前記第１冷気調整部材及び前記第２冷気調整部材のうちの全てが開の状態の場合に、前記加温スイッチがオンされたときでも前記加熱器への通電を遮断する棚スイッチ部をさらに有する、請求項２又は３に記載のショーケース。
5. 　前記棚スイッチ部は、
   　前記第１冷気調整部材の後端部に設けられた第１磁石と、前記第１磁石に対向する位置に設けられた第１リードスイッチと、を含む第１通電遮断スイッチと、
   　前記第２冷気調整部材の前端部に設けられた第２磁石と、前記第２磁石に対向する位置に設けられた第２リードスイッチと、を含む第２通電遮断スイッチとを有する、請求項４に記載のショーケース。
6. 　前記ケース本体の前記収容空間側の背面を形成する背面パネルと、をさらに有し、
   　前記背面パネルは、前記第２冷気調整部材とその直下の前記陳列棚との間に、１つ又は複数の穴を含む通気孔部が形成され、
   　１つ又は複数の穴は、全体での開口面積が、１つの前記棚用吹出口の開口面積よりも小さくなるように形成されている、請求項２～５の何れか一項に記載のショーケース。
7. 　前記通気孔部の一部又は全部を覆う可動式の通気孔カバーをさらに有する、請求項６に記載のショーケース。
8. 　前記加熱器は、複数の前記陳列棚のそれぞれに設けられ、
   　前記加温スイッチは、前記加熱器が設けられた複数の前記陳列棚のそれぞれに対応づけて設けられ、
   　複数の前記加温スイッチは、それぞれ、自身に対応する前記加熱器よりも上方に設けられた全ての前記加熱器に対応する前記加温スイッチがオンの場合に限り、オンになると自身に対応する前記加熱器へ通電されるようになっている、請求項１～７の何れか一項に記載のショーケース。
9. 　前記加熱器に対応づけられ、オンのときに自身に対応する前記加熱器への通電を遮断する常温スイッチをさらに有する、請求項１～８の何れか一項に記載のショーケース。
10. 　前記加熱器に並列に接続され、自身に対応する前記加熱器に通電されると点灯する表示灯をさらに有する、請求項１～９の何れか一項に記載のショーケース。
11. 　３つ以上の前記陳列棚のそれぞれに設けられ、前記陳列棚の温度である棚温度を測定する温度センサと、
    　各温度センサにおいて測定された前記棚温度をもとに、前記加熱器の動作を制御する制御装置と、をさらに有し、
    　前記制御装置は、
    　前記棚温度が上限温度より大きければ、前記棚温度を取得した前記温度センサに対応する前記加熱器への通電を遮断し、
    　前記棚温度が下限温度未満であれば、前記棚温度を取得した前記温度センサに対応する前記加熱器への通電を開始するものである、請求項１～１０の何れか一項に記載のショーケース。
12. 　３つ以上の前記陳列棚は、
    　前記吹出口から吹き出される冷気によって前記陳列物が冷却される冷却棚と、
    　前記冷却棚の上部に位置し、前記冷気調整部材によって冷気が遮断され、かつ前記加熱器への通電が遮断された常温棚と、
    　前記常温棚の上部に位置し、前記冷気調整部材によって冷気が遮断され、かつ前記加熱器へ通電されている加温棚と、を有する、請求項１～１１の何れか一項に記載のショーケース。

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