WO2017179232A1 - Hpvワクチン関連神経免疫異常症候群モデル動物の製造方法 - Google Patents

Hpvワクチン関連神経免疫異常症候群モデル動物の製造方法

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WO2017179232A1
WO2017179232A1 PCT/JP2016/082595 JP2016082595W WO2017179232A1 WO 2017179232 A1 WO2017179232 A1 WO 2017179232A1 JP 2016082595 W JP2016082595 W JP 2016082595W WO 2017179232 A1 WO2017179232 A1 WO 2017179232A1
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中島 利博
西岡 久寿樹
聡子 荒谷
英俊 藤田
郁朗 中村
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株式会社エム・エス・エス
中島 利博
西岡 久寿樹
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    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; CARE OF BIRDS, FISHES, INSECTS; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K67/00Rearing or breeding animals, not otherwise provided for; New breeds of animals
    • A01K67/027New breeds of vertebrates

Abstract

【解決課題】 HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法を提供する。 【解決手段】 HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法。この方法は,対象に,不活化したヒトパピローマウイルスと,百日咳毒素とを投与する工程を含む。対象の例は,マウスである。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6,11,16及び18型L1タンパク質ウイルス様粒子を含む。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)であり,具体的には,ガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)のいずれか又は両方である。

Description

HPVワクチン関連神経免疫異常症候群モデル動物の製造方法

 本発明は,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法に関する。

 特許第3892165号には,百日咳ワクチンが記載されている。百日咳ワクチンを製造する方法は,例えば特公昭57-5203号,特公平1-928号,特公平1-931号,特開昭62-5922号及び特開昭64-349125号に記載されている。

 子宮頸癌の予防又は治療用ワクチンとして,ヒトパピローマウイルス(HPV)予防ワクチンであるガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)が知られている。

特許第3892165号公報

 本発明は,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法を提供することを目的とする。

 本発明は,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法に関する。この方法は,対象に,不活化したヒトパピローマウイルスと,百日咳毒素とを投与する工程を含む。対象の例は,マウスである。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6,11,16及び18型L1タンパク質ウイルス様粒子を含む。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,ヒトパピローマウイルスワクチンであり,具体的には,ガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)のいずれか又は両方である。

 本発明は,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法を提供できる。

図1は,HPVワクチンの投与スケジュールを示す図である。 図2は,HPVワクチンをマウスに投与した様子を示す図面に替る写真である。 図3は,HPVワクチンを投与した後の病理組織像を示す図面に替る写真である。 図4は,HPVワクチンを投与した後の第3脳室の病理組織像を示す図面に替る写真である。 図5は,脳のパラフィン切片を用いてアポトーシス陽性細胞を検出した際の図面に替る写真である。 図6は,免疫組織染色を行った結果を示す図面に替る写真である。 図7は,マウスへのHPVワクチン投与を示す。図7Aは,神経症状を有するマウスを作製するための試薬および評価を示す。図7Bは,ワクチン接種と.神経疾患の表現を示す図面に替る写真である。 図8は,HPVワクチン処理された脳の組織を示す図面に替る写真である。図8Aは,各グループから前脳切片のHE染色結果(上)及びKB染色結果(下)を示す。図8Bは,マウスの前脳の連続冠状断面について対照のHE染色結果(上)とワクチンおよびPtx投与群のHE染色結果(下)を示す。図8Cは,冠状断面のKB染色を示す。スケールバーは,2.5ミリメートルである。図8Dは,神経学的欠損を有するマウスからの脳の脳室周囲のHE染色結果(上)とKB染色結果(下)を示す。スケールバーは,500μメートルである。 図9は,TUNELによるマウスの脳におけるアポトーシスの検出結果を示す。アポトーシス細胞は,矢印で示されている。スケールバーは,500μメートル及び50μメートルである。 図10は,ワクチン接種したマウス前脳の免疫組織化学的写真を示す図面に替る写真である。ワクチンおよびPtxで処置したマウス前脳切片を,抗CD31,NG2,およびGFAPを用いて染色した。スケールバーは,20μメートルである。

 以下,本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。

 本発明は,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法に関する。この方法は,対象に,不活化したヒトパピローマウイルスと,百日咳毒素とを投与する工程を含む。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6,11,16及び18型L1タンパク質ウイルス様粒子を含む。不活化したヒトパピローマウイルスの例は,ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)であり,具体的には,ガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)のいずれか又は両方である。

 HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)は,たとえば,子宮頸癌の治療や予防を目的として,HPVワクチンを対象に投与した後に発症する神経免疫異常症候群である。HANSモデル動物は,このHANSの治療薬や予防薬を開発する上で,動物実験に用いることができる動物である。対象となる動物の例は,非ヒト哺乳動物(ヒト以外の哺乳動物)であり,具体的には,マウス,ラット,及びマカク類(たとえば,カニクイザル)である。治療剤の候補を,HANSモデル動物に投与し,脳神経系の病変を観察することで,治療剤の候補がHANSの予防剤又は治療剤として有効かどうか判断することができる。

 不活化したヒトパピローマウイルスは公知である。特に,ヒトパピローマウイルス(HPV)予防ワクチンは,ガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)として製造販売されているほか,たとえば,不活化したヒトパピローマウイルス及び不活化したヒトパピローマウイルスを含む医薬組成物は,特許第4440471号公報,特許第4689914号公報,特許第4841726号公報,特許第4694745号公報,及び特許第4689910号公報に記載されている。

 たとえば,ガーダシル(登録商標)は,メルク・アンド・カンパニーが製造するヒトパピローマウイルス(HPV)予防ワクチンである。このワクチンは,遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6,11,16及び18型L1タンパク質ウイルス様粒子を含み,具体的な組成は,以下のとおりである。
ヒトパピローマウイルス 6型L1タンパク質ウイルス様粒子:20μg
ヒトパピローマウイルス11型L1タンパク質ウイルス様粒子:40μg
ヒトパピローマウイルス16型L1タンパク質ウイルス様粒子:40μg
ヒトパピローマウイルス18型L1タンパク質ウイルス様粒子:20μg
L1タンパク質ウイルス様粒子(VLP)はDNAを持っていないためウイルス感染性がない。ガーダシル(登録商標)は,これらのVLPをアジュバントであるアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩に吸着させ,緩衝剤及び安定剤と混合して,製剤化したものである。

 百日咳毒素は,対象に百日咳を引き起こさせる毒素である。百日咳毒素の例は,百日咳及びパラ百日咳菌のいずれか又は両方を含むものである。百日咳毒素は,これらの菌のほか,担体(たとえば,純水,生理食塩水),アジュバンド,pH調製剤,緩衝剤,安定化剤,及び保存剤を混合してもよい。また,百日咳毒素は,市販されているので,市販されているものを用いてもよい。

 百日咳(whooping cough, pertussis)は,咳を主症状とする呼吸器感染症であり,百日咳菌(Bordetella pertussis)またはパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)が対象に感染することによって引き起こされる。百日咳に罹患した患者は,長期(たとえば,2週間~数ヶ月間)にわたる咳発作を呈する。百日咳菌による百日咳が多くの割合を占めている。パラ百日咳菌と百日咳菌はBordetella属に属し,ともに人間を宿主とする好気性菌である。両菌が産生する病原因子(アデニレートシクラーゼ毒素,壊死毒素,気管細胞毒素,繊維状赤血球凝集素など)は非常に高い相同性を有し,その病原性発現機構は,ほぼ同一と考えられる。

 不活化したヒトパピローマウイルス(以下,HPVワクチン)と,百日咳毒素とは,投与される対象の種別及び体重を考慮し,適切な量を適切な頻度で投与すればよい。HPVワクチンの投与量は,対象の体重あたり,たとえば,0.01μg/kg以上10μg/kgで投与すればよく,0.1μg/kg以上5μg/kgとなるように投与してもよい。百日咳毒素の投与量は,市販されている百日咳毒素の添付文書や仕様書に従って,調整すればよい。具体的な百日咳毒素の投与量は,対象の体重あたり,たとえば,0.01μg/kg以上10μg/kgで投与すればよく,0.1μg/kg以上5μg/kgとなるように投与してもよい。HPVワクチンと,百日咳毒素とは,同時に投与してもよいし,HPVワクチンを投与した後に,百日咳毒素を投与し,以下定期的に両者を投与してもよい。HPVワクチンの投与間隔の例は,12時間毎以上1か月毎以下であり,1日毎以上1週間毎以下でもよいし,2日,3日又は4日毎であってもよい。百日咳毒素の投与間隔の例は,12時間毎以上1か月毎以下であり,1日毎以上10日毎以下でもよいし,2日毎以上1週間毎以下であってもよい。HPVワクチンと,百日咳毒素とは,それぞれ経口投与してもよいし,注射により投与してもよい。

 以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。しかしながら,本発明は以下の実施例に限定されるものではなく,当業者が知りうる技術を適宜採用することができる。

 11週齢のメスマウスに,HPVワクチンであるガーダシル(登録商標)(MSD社製)50μlを筋肉投与した。参照群には,生理食塩水(PBS)を50μl投与した。図1は,HPVワクチンの投与スケジュールを示す図である。投与後2時間及び24時間後に,フックラボラトリー社製の百日咳毒素(Ptx)334ng又はPBS100μlを腹腔に投与し,血液脳関門を破壊した。図2は,HPVワクチンをマウスに投与した様子を示す図面に替る写真である。図1に示されるように,ガーダシル(登録商標)投与群には,2週間おきにガーダシル(登録商標)の投与を繰り返した。また,百日咳毒素(Ptx)の投与を6週間ごとに繰り返した。HPVワクチン及び百日咳毒素(Ptx)を投与した群では,実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルの初期症状として見られる尾の緊張低下が50%のマウスで観測された。一方,HPVワクチンのみを投与した群では,さらに軽度の緊張低下が20%のマウスで観測された。3か月後麻酔下において,PBS及び10%ホルマリン溶液で潅流し,組織を採取した。

 病理解析は,採取したマウスの脳を10%ホルマリンで固定した後,定法によりパラフィン切片,及び凍結切片を作成し,ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)及びクリューバー・バレラ染色(KB染色)を行った。図3は,HPVワクチンを投与した後の病理組織像を示す図面に替る写真である。上方の4つの写真は,HE染色のものであり,下方の4つの写真は,KB染色のものである。左から,参照群(Vehicle),百日咳毒素(Ptx)のみ投与群,ガーダシル(登録商標)のみ投与群,及び,ガーダシル(登録商標)と百日咳毒素(Ptx)を投与した群のものである。ガーダシル(登録商標)と百日咳毒素(Ptx)を投与した群では,第三脳室の矮小化や,ミエリン(髄鞘)染色の低下が観測された。図4は,HPVワクチンを投与した後の第三脳室の病理組織像を示す図面に替る写真である。ガーダシル(登録商標)と百日咳毒素(Ptx)を投与した群では,顕著な第三脳室の矮小化が観測された。図5は,脳のパラフィン切片を用いてアポトーシス陽性細胞を検出した際の図面に替る写真である。図5に示される通り,ガーダシル(登録商標)と百日咳毒素(Ptx)を投与した群では,脳室,及び血管といった組織が充てんされていない部位に,アポトーシス陽性細胞が検出された。

 上記より,ガーダシル(登録商標)と百日咳毒素(Ptx)を対象に投与することで,HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)のモデル動物を作出できることが示された。

 ワクチン投与
 11週齢メスマウスに,HPVワクチンであるガーダシル(登録商標)もしくはPBS50μlを皮下もしくは筋肉に投与した。2および24時間後,百日咳毒素(Ptx)(Hook Loboratories)334 ngもしくはPBS100μlを腹腔に投与し,血液脳関門を破壊した。ガーダシル(登録商標)は2週間おき,Ptxは6週間後に繰り返し投与し,臨床症状の観察を行った。3ヶ月後,麻酔下においてPBSおよび10%ホルマリン溶液で灌流し組織を採取した。

 病理解析
 採取したマウスの脳を10%ホルマリンで固定後,定法によりパラフィン切片および凍結切片を作製し,ヘマトキシリン・エオシン染色(HE染色)およびクリューバー・バレラ染色(KB染色)を行った。

 TUNEL
 脳のパラフィン切片をin situ Apoptosis Detection Kit (Takara Bio)を用いてアポト-シス陽性細胞を検出した。対比染色として ヘマトキシリンで核を染色し,顕微鏡にて観察を行った。

 免疫染色
 脳のパラフィン切片を 0.1Mクエン酸バッファーで賦活化した後,10%BSA/PBS(-)で 1.5時間室温でブロッキングした。3%BSA/PBS(-)で希釈した1次抗体で1.5時間,2次抗体で30分反応し,ヒストファインDAB基質キット(ニチレイ)で発色した。マイヤーのヘマトキシリンで核の対比染色を行い,脱水,透徹,封入後,顕微鏡にて観察を行った。
1次抗体は,CD31 (abcam ab28304),NG2 (Millipore MAB5384),GFAP (abcam ab7620)であった。
 2次抗体は,ヒストファイン シンプルステインMAX-PO (M),MAX-PO (R)であった。

 アポトーシスを起こした細胞を同定するため,血管を構成する細胞のマーカー (血管内皮細胞:CD31,ペリサイト:NG2,アストロサイト:GFAP) を用いて免疫組織染色を行った結果を図6に示す。CD31 陽性細胞がアポトーシス陽性細胞と一致した。この結果から,ガーダシル投与により,血管内皮細胞のアポトーシスが誘導されることが示唆された。

 マウス
 九週齢の雌C57BL / 6マウスを,三共ラボ(日本)から購入し,ワクチン接種に使用した。マウスは東京医科大学の動物施設において標準的な条件下で維持し,食物および水を自由に与えた。全ての動物実験は,東京医科大学の施設内動物管理使用委員会によって承認された(承認番号:S-27050及びS-28039)。または研究機関,科学界,および動物実験のための国のガイドラインに従って行った。

 試薬および抗体
 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)および百日咳毒素(Ptx)のための抗原は,フックラボラトリーズから購入し,HPVワクチン,及びガーダシルは,MSD K.K.から購入した。以下の抗体を,本研究において使用した。すなわち,メルクミリポア社(ドイツ)からの抗NG2抗体,アブカム(ケンブリッジ,UK)からの抗GFAPおよびCD31,及びセロテック(キドリントン,英国)からの抗体である。

 ワクチン接種
 11週齢の雌C57BL / 6マウスの群に,ガーダシルまたはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を100μl筋肉内に5回投与した。Ptxは,腹腔内に2および24時間後に投与した。ガーダシルワクチン又はPtxをそれぞれ,2週間または4週間間隔で投与した。対照として,製造業者の説明書(フック・ラボラトリーズ,USA)に従ってミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質35-55(MOG35-55)を用いてEAEを誘導した。

 組織学的検証
 マウスを麻酔し,PBSおよびPBS中の10%ホルムアルデヒドで灌流した。脳を,その後除去し,10%ホルムアルデヒドで固定し,パラフィン包埋した。5マイクロメートルの断片を得て,脱パラフィン処理した。一般的な形態学的分析のために,ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)とクリューバー - バレラ(KB)染色を使用した。免疫組織化学的検証のために,クエン酸緩衝液中で加熱部によって抗原回復を行い,3%過酸化水素で切片をインキュベートすることにより内因性ペルオキシダーゼ活性をクエンチした。切片を,PBS中の10%ウシ血清アルブミン(BSA)でブロックし,一次抗体と共にインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲート二次抗体とのインキュベーション後,結合した抗体を,3,3ジアミノベンジジンを用いて検出した。染色した切片をヘマトキシリンで対比染色し,そして全ての画像をナノズーマー(浜松ホトニクス,日本)を用いて得た。

 TUNELアッセイ
 マウス脳をPBS中の10%ホルムアルデヒド中で固定し,パラフィン包埋した。断片を5μmに切断し,標準的な手順を使用して脱パラフィンした。TUNELアッセイは,インサイチュウでのアポトーシス検出キット(タカラバイオ株式会社,日本)を用いて行った。染色された切片をヘマトキシリンで対比染色した。

 HPVワクチン投与
HPVワクチンの神経生理学的な効果を評価するため,39匹のメスマウスにガーダシル又はコントロール群としてPBSを投与した(図7A)。次に血液脳関門の調節を通した脳神経系へのアクセス作用を促進する為,Ptxを,ワクチン接種に続いて投与した(Kugler, S. et al. Pertussis toxin transiently affects barrier integrity, organelle organization and transmigration of monocytes in a human brain microvascular endothelial cell barrier model. Cellular microbiology 9, 619-632, doi:10.1111/j.1462-5822.2006.00813.x (2007).)。自己免疫性脳脊髄炎のコントロールとして,MOG35-55を用いた(Baxter, A. G. The origin and application of experimental autoimmune encephalomyelitis. Nature reviews. Immunology 7, 904-912, doi:10.1038/nri2190 (2007).)。PBS又はPtxを投与したものに効果は現れず(グループ1,2),またPtxの作用でBBBを破損したものは効果が無かった。EAEグループのPtx投与を受けたマウス(グループ6)は,2週間以内に尾部麻痺,3週間後に後肢の運動麻痺が起こるなどといった多様な神経症状が現れた。トキシン投与を受けていないEAEグループ(グループ5)のマウスは,以前報告されたように軽度の神経症状を明らかにした(Hofstetter, H. H., Shive, C. L. & Forsthuber, T. G. Pertussis toxin modulates the immune response to neuroantigens injected in incomplete Freund's adjuvant: induction of Th1 cells and experimental autoimmune encephalomyelitis in the presence of high frequencies of Th2 cells. Journal of immunology (Baltimore, Md. : 1950) 169, 117-125 (2002).)。3度目のワクチン注射後(1度目の投与から4週間),グループ4のガーダシルとPtx投与を受けた16匹のマウスのうち3匹は,尾部の緊張が低下し,脱力運動が著しく減少した(図7-B)。症状の重症度はばらつくが,およそ60%のマウス(9/16)について,本実験全体にわたり尾部降下など類似した神経症状が現れた。Ptxは投与せず連続的にガーダシルを投与したグループ(グループ3)の10匹中2匹は,併用投与したグループに比べて尾部降下の穏やかな減少を示した。全体として,これらの結果はHPVワクチンが神経変性を誘発することを示唆する。

 病理学的解析
 組織の解析は,ワクチン投与に伴う神経学的効果のさらなる研究として行われた。全体的に,そのグループは脳のサイズや重さに差異を示さなかった。連続した脳の解剖は,1度目のワクチン投与から12週間後の脳のHEおよびKB染色を経て行われた。HE染色法は,ガーダシル及びPtxを投与されたマウスの第三脳室の罹患を明らかにする(図8A上)。一方でEAEを投与されたマウスは,尾部及び後肢における重度の運動麻痺を示し,脳室の制限は現れなかった。同様に,Ptxのみの投与は脳室の狭窄を惹き起こさなかった。脳の背側の部分は全てのマウスで同様であり,それゆえ投与グループに影響されずに現れた。また小脳の形態学的な差異も検出されなかった。さらにネズミの前脳でも,KB染色した切片において差異は現れず(図8A下),ガーダシルは脱髄を含まないことを示している。染色によって,賦形剤またはガーダシル及びPtxを投与した連続的なネズミの前脳切片は,第三脳室の前脳の前方から後方まで広範囲にわたって著しく狭窄したことを明らかにした(図8-B)。全体として,私たちの解析は,PHVワクチンの接種は脳内の脳室の大きさ及び圧力に影響を与え得ることを示している。HPVワクチンの運動機能における効果と組織間作用の関係を確証する為に,第三脳室周囲の病理学的な差異を,ガーダシル及びPtxを投与したマウス間で比較した。ワクチンを投与したグループでは,第三脳室は尾部降下を示した全てのマウスにおいて狭窄していた。加えて第三脳室は,尾部により重度の緊張欠陥があるネズミにおいて,狭窄していたことをさらに示した(図8D)。HE染色したガーダシル及びPtxを投与したネズミの前脳の切片において,脳室周囲の視床下部の神経核は,コントロール群のマウスに比べると染色が少なかった(図8B,D)。KB染色もまた神経核及びニッスル小体の減少を明らかにした(図8C,D)。これらの結果は,第三脳室の閉鎖はHPVワクチン接種に伴い,また前脳の腹側において細胞数を減少させることを示す。

 室周囲領域におけるアポトーシスの誘導
細胞数の減少に基づいて,前脳の腹側領域におけるHPVワクチン接種とアポトーシスとの間の関連性を評価することとした。これを行うために,我々は,前脳の切片のTUNELアッセイを行った。対象とPtx処理動物の切片から,限られた数の標識されたpf細胞を発見し,これからPtxが単独ではアポトーシスを誘導しないことを確認した。

 一方,ガーダシルとPtx処理したマウスの視床と視床下部からは多数の陽性細胞が見いだされた(図9)。実際,単独でワクチンで処置した動物の切片に見られるアポトーシス細胞の量は,対照マウスに比べて4倍大きかった。ガーダシルとPtxで処置したマウスにおいては,7倍以上のTUNEL陽性細胞が観測された。特に,標識された細胞は,背内側視床下部核における心室と血管の周囲で肥大化していた。これらのデータは,ワクチン接種によって惹き起こされるアポトーシスと神経病理学的変化とが関連することを支持するものである。

 アポトーシス細胞の同定
 次に,我々は,どのタイプの細胞が,アポトーシスによって影響を受けたかについて検討した。アポトーシス細胞は,血管の周囲に観察されたので,我々は,血管内皮細胞,周皮細胞およびアストロサイトのマーカーを使用して各部位を標識した。CD31発現細胞は,血管に結合したアポトーシス細胞と一致し(図10),一方でNG2-やGFAPを発現する細胞は染色されなかった。この結果は,HPVワクチンが,血管内皮細胞のアポトーシスを誘導することを示す。

 本研究では,ガーダシルとのPTX併用投与が,尾の緊張低下を誘発したことを実証した。神経病理学的所見により,第三脳室閉鎖,および視床と視床下部の空洞の周りのアポトーシスの増加を明らかにした。血管内皮細胞と心室の内皮細胞は,特にワクチン接種の影響を受けた。脳室は,脳脊髄液(CSF)で満たされ,空洞系のネットワーク通信を構成している。本データは,HPVワクチン接種がアポトーシスを誘導しうること,及び血液-脳と脳-CSF障壁の分裂を惹き起こしうることを示唆する。

 脳室の狭小化は,脳と脳室の間の障壁の崩壊に起因していたと考えられ,この障壁の崩壊は,脳外にCSFが漏れ出す原因となる。CSFは脳の恒常性を維持する上で重要であり,心室の狭小化は,多くの場合,低髄液圧症候群(IHC)を患っている患者に見られる症状である。本研究で観察された脳室の狭小化の機構と同様に,IHCは,CSF漏れや低CSF圧力によって惹き起こされる症状である。

 これらの臨床症状のいくつかは,頭痛,めまい,硬直などHANSに罹患している患者が経験する症状である。現在HANSについての病理学的分析はないものの,将来的には第三脳室周囲にCSF機能上のワクチン接種の効果や病理学的特徴を調査することは有益であると考えられる。

 本研究でワクチン接種によって影響を受けた領域において,Nkx2.1(甲状腺特異的転写因子1(TTF-1))が多く発現することが示された。興味深いことに,Nkx2.1欠損マウスが確立され,本研究におけるワクチン処置マウスと同様の形態学的特徴を示す。Nkx2.1は,甲状腺特有の要因のための転写因子として同定されており,早期脳発育に重要な要素であることが確立されている(26)。Nkx2.1は,前脳の腹側部位において発現する(27,28)。Nkx2.1欠損マウスでは,視床下部の腹側と内側の領域に異常が見られ,第三脳室が狭くなり間脳の床に到達しない。Nkx2.1は成人への発育初期からの視床下部領域および脳室周囲領域で発現されることが知られている。さらに,Nkx2.1は,思春期や生殖機能に役割を果たしていると考えられている。ヒトでは,Nkx2.1遺伝子変異は,良性遺伝性舞踏病(BHC)を引き起こす可能性がある。BHCは,脳,肺や甲状腺に影響を与える病気であり,BHC患者は,舞踏病,様々な神経学的疾患,震え,軸ジストニア及び歩行妨害を患う。これらの文献に記載された事実を考慮すれば,本実施例のデータは,HPVワクチンが,このような視床下部領域で表現されているNkx2.1などの遺伝子を破壊し得ることを示唆している。

 我々は最近,臨床研究により視床下部の機能がHANS症候群に関与していることを明らかにした。HANS患者の単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)及び三次元定位表面突起(3D-SSP)画像により,視床の活動亢進があることを示した。内分泌機能検査により,視床下部機能不全を示唆する結果を示した。HANS障害は心因性起源のものではなく,視床下部の神経内分泌疾患およびその辺縁系のネットワークに起因する。視床下部が,行動や感情に関する特定要素と関連し,疼痛の調整に重要であることについての事実は蓄積している。視床下部は,羞明,聴覚過敏,及び頭痛に関連することが知られている。偶然にも,視床下部の機能に関するこれらの臨床報告は,マウスモデルを使用した,我々のデータと一致している。

 本実施例により,CNSをHPVワクチンに曝すことにより,神経変性を誘導でき,C57/ BL6マウスに運動機能障害を惹き起こすことができることを明らかにした。また,HVPワクチンとPtxの同時注入により,より高い頻度でHANS様神経症状を惹き起こす。つまり,HPVワクチン単独投与では,弱い表現型であり,その免疫反応に超感受性株であるマウス系統(例えば,C57BL6)を用いることや,Ptx投与による,BBBの一時的損傷が好適にHANS様神経症状を惹き起こす。HPVワクチンに過敏である女性が偶然に(現在の研究でPtxによって誘発された損傷と同様に)BBBの損傷が原因となった事態を経験している可能性がある。

 さらに,これらの要因は,患者がHANSを罹患する要因ともなりうる。さらなる分析が,この可能性を検証するために必要である。しかし,本データは,HANSの最初の病理学的なモデルを提供し,HANSを患っている患者の治療の将来の探査を可能にするものである。

 本発明は,医薬産業において利用されうる。
 

Claims (5)

  1. 対象に,不活化したヒトパピローマウイルスと,百日咳毒素とを投与する工程を含む、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)モデル動物の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって,
     前記対象が,マウスである,方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって,
     前記不活化したヒトパピローマウイルスが,遺伝子組換えヒトパピローマウイルス(HPV)6,11,16及び18型L1タンパク質ウイルス様粒子を含む,
     方法。
  4. 請求項2に記載の方法であって,
     前記不活化したヒトパピローマウイルスが,ヒトパピローマウイルスワクチンである,
     方法。
  5. 請求項2に記載の方法であって,
     前記不活化したヒトパピローマウイルスが,ガーダシル(登録商標)及びサーバリックス(登録商標)のいずれか又は両方である,
     方法。
PCT/JP2016/082595 2016-04-16 2016-11-02 Hpvワクチン関連神経免疫異常症候群モデル動物の製造方法 WO2017179232A1 (ja)

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Non-Patent Citations (6)

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Title
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