WO2012114961A1

WO2012114961A1 - フラット回路用コネクタ

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Publication number: WO2012114961A1
Application number: PCT/JP2012/053565
Authority: WO
Inventors: 一乗三浦
Original assignee: 矢崎総業株式会社
Priority date: 2011-02-25
Filing date: 2012-02-15
Publication date: 2012-08-30
Also published as: DE112012001736T5; KR20130120524A; US9136627B2; CN103392264B; CN103392264A; JP2012178246A; DE112012001736B4; JP5654382B2; US20130330963A1

Abstract

フラット回路用コネクタ（１）は、一方のコネクタ（３）と、一方のコネクタ（３）と嵌合する他方のコネクタ（４）とを備える。一方のコネクタ（３）は、樹脂製のブロック部（７）と、ブロック部（７）の後側に一体形成されたブロック部（７）よりも大径な鍔部（８）とを有する。鍔部（８）のフラット回路体（２）の主面と平行な面には突壁（１４）が設けられる。他方のコネクタ（４）は、ブロック部（７）と嵌合する第１の周壁（１０）と、第１の周壁（１０）の後側に一体形成されて鍔部（８）と嵌合する第２の周壁（１１）とを有する。第２の周壁（１２）には、突壁（１４）と嵌合する切欠部（１６）が形成されている。

Description

フラット回路用コネクタ

　本発明は、フラット回路体の端末に形成した樹脂成型部を相手コネクタ内に嵌合すると同時にフラット回路体と相手コネクタ内の端子とを接続させるフラット回路用コネクタに関するものである。

　図１６は、従来のフラット回路用コネクタの一形態を示すものである（特許文献１参照）。

　このフラット回路用コネクタ６１は、一方のコネクタ（プラグコネクタ）６２と他方のコネクタ（レセプタクルコネクタ）６３とを有する。一方のコネクタ６２は、フラットハーネス６４の端末に樹脂成形された支持補強部材（符号６２で代用）を有する。支持部６２ａの上には端末の導体６４ａが露出している。補強部６２ｂは端末を取り囲んで導体６４ａを補強し、側面に係止突起６５を有している。

　他方のコネクタ６３は、樹脂製のコネクタハウジング６６の内側上部に接続端子６７を有し、底部に支持部６２ａのテーパ面を上向きに支持するテーパ面６６ａを有し、側壁に係止突起６５に対する係合孔を有している。

　図１７は、上記一方のコネクタ６２として、補強部６２ｂの周囲にシール部６８を形成した例を示すものである。コネクタ嵌合状態で、シール部６８が図１６に示した他方のコネクタ６３の内面に密着し、支持部６２ａの下面はコネクタハウジング６６の底面６６ｂとの間に隙間を存して位置する。

　上記以外のフラット回路用コネクタ（図示せず）として、例えば、特許文献２には、一方及び他方のコネクタ内に各平形ケーブルの端末を収容して樹脂製の各リテーナで押さえて固定し、リテーナの後側に樹脂モールド部を充填して防水したことが記載されている。また、特許文献３には、フラットケーブルの端末の電線に接続端子を接続し、その接続部分を樹脂モールド部で覆って防水したことが記載されている。また、特許文献４には、複数の接続端子を一次モールド樹脂で連結し、フラットケーブルの端末の導体と各接続端子との接続部分を一次モールド樹脂の上から二次モールド樹脂で覆って防水したことが記載されている。

日本国特開２００５－９３２６９号公報（図４，図７）日本国特開２００８－１７６９７７号公報（図２）日本国特開平７－１０６０１６号公報（図２）日本国特開平６－３１０２２４号公報（図１，図４）

　しかしながら、図１６に示した上記従来のフラット回路用コネクタ６１にあっては、例えば他方のコネクタ６３に対して一方のコネクタ６２の左右の係止突起６５の挿入代や上下方向の挿入隙間を設定する。このため、一方のコネクタ６２と他方のコネクタ６３との間に上下左右方向のガタつきが生じやすい。特にフラットハーネス（フラット回路体）６４に曲げ方向やねじり方向すなわち上下左右方向の外力が作用した場合や車両の振動等を受けた場合に、フラットハーネス６４の導体６４ａと接続端子６７との接点部の電気的接触性が低下し兼ねないという懸念があった。

　本発明は、上記した点に鑑み、フラット回路体に外力が作用した場合等においてもコネクタ相互のガタつきを防止することができるフラット回路用コネクタを提供することを目的とする。

　本発明の上記目的は、下記（１）～（５）の構成を有するフラット回路用コネクタにより達成される。
　（１）　フラット回路体の端末部に樹脂成型された一方のコネクタと、前記端末部の導体に接続する端子を有し前記一方のコネクタと嵌合する他方のコネクタとを備え、前記一方のコネクタが、樹脂製のブロック部と、前記ブロック部の嵌合方向後側に一体形成された前記ブロック部よりも大径な鍔部とを有し、前記鍔部の前記フラット回路体の主面と平行な面には突壁が設けられ、前記他方のコネクタが、前記ブロック部と嵌合する第１の周壁と、前記第１の周壁の前記嵌合方向後側に一体形成されて前記鍔部と嵌合する第２の周壁とを有し、前記第２の周壁には前記突壁と嵌合する切欠部が形成されたフラット回路用コネクタ。

　上記（１）の構成を有するフラット回路用コネクタにより、一方のコネクタのブロック部が他方のコネクタの第１の周壁内に嵌合し、ブロック部の嵌合方向後側に形成された鍔部が第１の周壁に連続して設けられた第２の周壁の内側に嵌合し、鍔部のフラット回路体の主面と平行な面に設けられた突壁が第２の周壁の切欠部内に嵌合する。これにより、両コネクタの上下左右方向のガタつきが防止される。上下方向はフラット回路体の厚み方向であり、左右方向はフラット回路体の幅方向である。

　（２）　上記（１）に記載のフラット回路用コネクタであって、前記第２の周壁には、可撓性を有し可撓方向が前記フラット回路体の幅方向である係止部が設けられ、前記鍔部には、前記係止部と係合する被係止部が設けられるフラット回路用コネクタ。

　上記（２）の構成を有するフラット回路用コネクタにより、鍔部の被係止部が第２の周壁の係止部を外向きに撓ませて係止部に係合すると同時に、鍔部が第２の周壁内に隙間なく嵌合する。係止部と被係止部との係合で両コネクタが相互にロックされる。

　（３）　上記（１）又は（２）記載のフラット回路用コネクタであって、前記突壁の嵌合方向前側の先端部に前向きに設けられた突出板部と前記ブロック部との間に溝部が構成され、前記溝部に前記第１の周壁が嵌合するフラット回路用コネクタ。

　上記（３）の構成を有するフラット回路用コネクタにより、溝部に第１の周壁の壁部分が嵌合し、壁部分の外面が突出板部の内面に接触し、壁部分の内面がブロック部の外面に接触して、コネクタ相互の上下方向のガタつきが一層確実に防止される。

　（４）　上記（１）又は（２）記載のフラット回路用コネクタであって、前記ブロック部の外周に弾性のシール部材が設けられ、前記シール部材が前記第１の周壁の内面に密着するフラット回路用コネクタ。

　上記（４）の構成を有するフラット回路用コネクタにより、シール部材がブロック部の外周面と第１の周壁の内面とを内外方向（シール部材径方向）に弾性的に押圧して、ブロック部と第１の周壁との間のガタつきを防止する。シール部材はブロック部と第１の周壁との間を防水してコネクタ内部への水の浸入を防止する。

　（５）　上記（３）に記載のフラット回路用コネクタであって、前記ブロック部の外周に弾性のシール部材が設けられ、前記シール部材が前記第１の周壁の内面に密着するフラット回路用コネクタ。

　上記（５）の構成を有するフラット回路用コネクタにより、シール部材がブロック部の外周面と第１の周壁の内面とを内外方向（シール部材径方向）に弾性的に押圧して、ブロック部と第１の周壁との間のガタつきを防止する。シール部材はブロック部と第１の周壁との間を防水してコネクタ内部への水の浸入を防止する。

　上記（１）記載の構成によれば、フラット回路体に外力が作用した場合等においてもコネクタ相互の上下左右方向のガタつきを防止することができる。これにより、フラット回路体の導体と他方のコネクタの端子との摩耗を防いで電気的接触性を良好に確保することができる。

　上記（２）記載の構成によれば、係止部を撓ませて被係止部に係合させることで、鍔部を第２の周壁内に隙間なく嵌合させることができ、これにより、両コネクタの特に左右方向のガタつきを確実に防止することができる。

　上記（３）記載の構成によれば、溝部に第１の周壁を嵌合させることで、両コネクタの上下方向のガタつきを一層確実に防止することができ、これにより上記（１）記載の構成の効果を促進させることができる。

　図１７に示した上記従来の防水シール構造にあっては、上記の場合と同様に上下左右方向の外力が作用した場合に、シール部６８の密着性が低下する虞があった。
　これに対して、上記（４）記載の構成によれば、上記（１）又は（２）に記載の構成でコネクタ相互のガタつきを防止することで、シール部材の好ましくない変形を防いで、コネクタの防水性を良好に維持させることができる。また、シール部材自体の弾性力で両コネクタ間のガタつきを防いで、防水性を一層高めることができる。
　この結果、フラット回路体に外力が作用した場合等においてもコネクタ相互のガタつきを防止することができ、これに加えて、フラット回路体に外力が作用した場合等においても防水シール性を良好に維持することのできるフラット回路用コネクタを提供できる。

　上記（５）記載の構成によれば、上記（３）に記載の構成でコネクタ相互のガタつきを防止することで、シール部材の好ましくない変形を防いで、コネクタの防水性を良好に維持させることができる。また、シール部材自体の弾性力で両コネクタ間のガタつきを防いで、防水性を一層高めることができる。
　この結果、フラット回路体に外力が作用した場合等においてもコネクタ相互のガタつきを防止することができ、これに加えて、フラット回路体に外力が作用した場合等においても防水シール性を良好に維持することのできるフラット回路用コネクタを提供できる。

図１は、本発明に係るフラット回路用コネクタの第一の実施形態を示す分解斜視図である。図２は、図１に示したフラット回路側の一方のコネクタを示す斜視図である。図３は、図１に示したフラット回路側の一方のコネクタを示す下方視斜視図である。図４は、図１に示したフラット回路側の一方のコネクタの変形例を示す斜視図である。図５は、図１に示した両コネクタの嵌合状態を示す平面図である。図６は、図１に示した両コネクタの嵌合状態を示す図５のＡ－Ａ断面図である。図７は、図４の変形例のコネクタの嵌合状態を示す平面図である。図８は、図４の変形例のコネクタの嵌合状態を示す図７のＢ－Ｂ断面図である。図９は、本発明に係るフラット回路用コネクタの第二の実施形態を示す分解斜視図である。図１０は、図９に示したフラット回路側の一方のコネクタを示す下方視斜視図である。図１１は、図９に示したフラット回路側の一方のコネクタの変形例を示す斜視図である。図１２は、図９に示したフラット回路側の一方のコネクタを示す図１０のＣ－Ｃ断面図である。図１３は、図９の両コネクタの嵌合状態を示す斜視図である。図１４は、図９の両コネクタの嵌合状態を示す図１３のＤ－Ｄ断面図である。図１５は、図１１の変形例のコネクタの嵌合状態を示す縦断面図である。図１６は、従来のフラット回路用コネクタの一例の嵌合状態を示す縦断面図である。図１７は、従来のフラット回路側の一方のコネクタの変形例を示す縦断面図である。

　図１～図８は、本発明に係るフラット回路用コネクタの第一の実施形態を示すものである。

　図１の如く、このフラット回路用コネクタ１は、ＦＰＣやＦＦＣといった平面状に形成されて主面を有する可撓性のフラット回路体２の一端末部２ｂに一体樹脂成型された一方のコネクタ３と、フラット回路体２の端末部２ｂと共に一方のコネクタ３を収容するコネクタ嵌合室５を有し一方のコネクタ３と嵌合する他方のコネクタ４とを備える。一方のコネクタ３の絶縁性の樹脂成型部６は、後側に前後二段の嵌合部（固定部）９を有する。嵌合部９は前側のブロック部７と後側の鍔部８とを備え、ブロック部７と鍔部８とは一体に形成されている。他方のコネクタ４は嵌合部９を収容する前後二段の周壁部１２を有している。

　なお、本明細書中では、フラット回路体２の長手方向を前後方向とし、フラット回路体２の一端末部２ｂ側を前側、他端側を後側として説明する。すなわち一方のコネクタ３と他方のコネクタ４の嵌合方向を前後方向とし、一方のコネクタ３の他方のコネクタ４に対する挿入時の向きを前向き、挿抜時の向きを後向きとして説明する。また、フラット回路体２の幅方向を左右方向とし、フラット回路体２の厚み方向を上下方向として説明する。但し、明細書中における上下前後左右の方向は説明のための便宜上のものであり、例えば前後方向は、一方のコネクタ３と他方のコネクタ４の嵌合方向と一致するとは限らない。また、他方のコネクタ４の「前後」は一方のコネクタ３の「前後」を基準とする。

　一方のコネクタ３の樹脂成型部６は、ブロック部７の前側に一体に突出形成された水平板状の絶縁性の接点カバー１３を含む。鍔部８はフラット回路体２の主面と平行な上下面に一対の左右方向に延びる横長の突壁（補強部）１４を有し、左右側面に一対の係止突起（被係止部）１５を有している。

　他方のコネクタ４の周壁部１２は、前側の略長円形に連続した第１の周壁１０と、第１の周壁１０の先端側（後側）に一体形成されて鍔部８と嵌合する第２の周壁１１とを備える。第２の周壁１１の外面は第１の周壁１０の外面と同一面に続き、第２の周壁１１の内面は第１の周壁１０の先端面（後端側の面）１０ａに直交し、第２の周壁１１の内側に先端面１０ａの一部１０ｂが位置している。

　第２の周壁１１には、一方のコネクタ３の突壁１４と嵌合する矩形状の一対の切欠部１６が形成されており、第２の周壁１１は略円弧状で薄肉に左右一対となるように設けられている。切欠部１６は両第２の周壁１１の左右の端面１１ａの間に形成され、第１の周壁１０の上下の先端面１０ａと両第２の周壁１１の左右の端面１１ａとで三方を囲んで構成されている。各第２の周壁１１は中央に可撓性の係止枠片（係止部）１７を有し、各係止枠片１７は第２の周壁１１から上下のスリット１７ａで分離され、中央に一方のコネクタ３の係止突起１５を係合させる矩形状の係止孔１７ｂを有している。
　なお、本実施形態では、鍔部８の上下面に一対の突壁１４が形成され、第２の周壁１１には当該一対の突壁１４と嵌合する一対の切欠部１６が形成される構成としたが、鍔部８の上下面の少なくとも一方に突壁１４が形成され、第２の周壁１１には当該突壁１４と嵌合する切欠部１６が当該突壁１４に対応した位置に形成され、突壁１４に切欠部１６が嵌合する構成としてもよい。

　第１の周壁１０の内側にコネクタ嵌合室５が位置し、コネクタ嵌合室５の垂直な底壁５ａに複数の端子収容室１８が開口している。コネクタ嵌合室５の後部開口５ｂの上下に切欠部１６が位置し、左右に第２の周壁１１が位置している。周壁部１２の前方に周壁部１２よりも小径なハウジング主体部１９が一体に続いている。周壁部１２とハウジング主体部１９とで絶縁樹脂製のコネクタハウジング２０が構成される。ハウジング主体部１９は車両パネル等へのスライド固定部２１を有している。

　図２の如く、一方のコネクタ３のブロック部７は図１の他方のコネクタ４のコネクタ嵌合室５（第１の周壁１０の内面）の形状に合わせて略長円形に形成され、左右に半円状の湾曲面７ａを有し、上下に真直な平坦面７ｂを有し、前端に垂直な平面７ｃを有している。前端面７ｃの高さ方向中央に接点カバー１３が一体に突出形成され、接点カバー１３は水平な幅広の上板部１３ａと左右の幅狭な側板部１３ｂとを有している。

　後端の鍔部８はブロック部７を一回り大きくした形状でブロック部７よりも前後方向に薄く形成され、ブロック部７の外周面（湾曲面７ａ，平坦面７ｂ）に直交する垂直な前端面８ａを有し、前端面８ａは上下の突壁１４の前端面１４ａと同一面に続いている。突壁１４は他方のコネクタ４の第２の周壁１１と同じ厚みで形成され、左右に幅狭で垂直な側端面１４ｂを有している。

　鍔部８の左右両端は他方のコネクタ４の係止枠片１７の内面を接触させる幅狭で平坦且つ垂直な側端面８ｂを有し、側端面８ｂの前後方向中央に係止突起１５を有し、係止突起１５は前側の傾斜ガイド面１５ａと後側の略垂直な係止面１５ｂを有している。

　図３の如く、一方のコネクタ３の接点カバー１３の内面（裏面）にフラット回路体２の複数（本例では三つ）の並列な導体２２が露出している。導体２２はフラット回路体２の上下の水平な絶縁シート（皮膜）２ａで覆われた不図示の内部導体に続いている。

　導体２２は内部導体と同一のものでもよく、別体の導体２２を内部導体に接続させてもよい。例えばフラット回路体２の露出した導体２２が平板状や圧着端子等で剛性を有する場合は接点カバー１３を省略することも可能である。フラット回路体２は、ＦＰＣ（フレキシブル・プリント・サーキット）やＦＦＣ（フレキシブル・フラット・ケーブル）といった既存のものの総称である。

　図４は、図２の補強部である突壁１４に代えて、前方に向けて略Ｌ字（フック）状に屈曲した上下一対の突出壁２３を鍔部８の上下に補強部として一体に設けた例を示すものである。突出壁２３は図２の突壁１４を上下方向に拡大した形状の垂直な短い立ち上げ壁部（突壁）２４と、立ち上げ壁部２４の前端面２４ａの上端部から前方に向けて水平に突出した長い突出板部２５とを備える。各突出板部２５の内面２５ａはブロック部７の上下の外面７ｂに対向して平行に位置し、内面２５ａと外面７ｂとの間に溝部２６を成している。

　両コネクタ３’，４の嵌合時に、図１の他方のコネクタ４の切欠部１６に立ち上げ壁部２４が嵌合し、突出板部２５の内面２５ａが第１の周壁１０の外面１０ｃ’に接触する。作用の詳細は後述する。立ち上げ壁部２４の前端面２４ａは鍔部８の前端面８ａと同一面に続いている。図４の突出壁２３以外の構成は図２の一方のコネクタ３と同様であるので、同じ構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。符号１３は接点カバー、２はフラット回路体、１５は係止突起をそれぞれ示す。

　図５～図６は、図１の両コネクタ３，４の嵌合状態を示すものである。図６の如く、一方のコネクタ３は、フラット回路体２の端末部２ｂの上下左右（板厚方向及び幅方向）に樹脂材を中実に充填して成る嵌合部９を有し、接点カバー１３の下面に端子としての露出した導体２２を有する。嵌合部９に端末部２ｂが貫通され、端末部２ｂは前側に露出した導体２２を有する。

　他方のコネクタ４の第１の周壁１０の内側のコネクタ嵌合室５に前側のブロック部７が殆ど隙間なく嵌合し、後側の第２の周壁１１の内側に後側の鍔部８が殆ど隙間なく嵌合し、鍔部８の上下の突壁１４が第２の周壁１１の間の切欠部１６に隙間なく嵌合する。ブロック部７の前端面７ｃはコネクタ嵌合室５の底壁５ａに当接し、鍔部８と突壁１４との前端面８ａ，１４ａは第１の周壁１０の先端面１０ａに当接する。上下の突壁１４の上面又は下面は第１の周壁１０の上面又は下面と同一面に位置する。突壁１４の後面と鍔部８の後面は第２の周壁１１の先端面（後端側の面）と同一面に位置する。

　ブロック部７と鍔部８とが嵌合部（固定部）９として他方のコネクタ４との間のガタをなくし、突壁（補強部）１４がフラット回路体２や嵌合部９が外部から受ける力を両コネクタ３，４の端子２２，２７の接点に伝えない役割をする。

　図１の他方のコネクタ４の係止枠片１７は左右方向すなわちフラット回路体２の幅方向に撓んで一方のコネクタ３の係止突起１５の進入を許容するので、第２の周壁１１と鍔部８とが隙間なく嵌合する。これにより、左右の係止枠片１７と係止突起１５との係合状態で、左右方向すなわちフラット回路体２の幅方向の外力が作用しても、左右の第２の周壁１１が鍔部８の左右の半円状の外面部分８ｃ（図２参照）と当接して当該外力を受け止めるので、左右方向のガタつきが防止される。

　また、上下方向すなわちフラット回路体２の厚さ方向の外力が作用しても、鍔部８の左右の半円状の外面部分８ｃが第２の周壁１１の内周面と当接して当該外力を受け止め、また突壁１４の前端面１４ａが鍔部８の前端面８ａと共に広い面積で第１の周壁１０の先端面１０ａに当接するので、上下方向のガタつきが防止される。

　また、左右方向の外力が作用した際に、鍔部８のフラット回路体２の主面と平行な上下面に設けられた一対の突壁１４の左右の側端面１４ｂ（図２参照）が切欠部１６において第２の周壁１１の端面１１ａに当接することで、左右方向のガタつきが防止される。また、ブロック部７の前端面７ｃがコネクタ嵌合室５の底壁５ａに当接し、突壁１４の前端面１４ａと鍔部８の前端面８ａとが第１の周壁１０の先端面１０ａに当接することで、前後方向のガタつきも防止される。このように各方向のガタつきが防止されることで、フラット回路体２の導体２２と相手端子２７（図６参照）との摩耗が防止され、電気的接触性が良好に維持される。

　図６の如く、他方のコネクタ４のハウジング２０にはコネクタ嵌合室５に続いて端子収容室１８が設けられ、端子収容室１８に端子２７が収容されている。本例の端子２７は一方に弾性接触部２７ａを含む雌型の電気接触部（符号２７ａで代用）を有し、他方に雄型の電気接触部２７ｂを有し、雄型の電気接触部２７ｂはハウジング２０の他方のコネクタ嵌合室２８内に突出されている。

　端子２７はフラット回路体２の導体２２の数に対応して一対一で複数配置され、端子２７の弾性接触部２７ａが露出導体２２に弾性接触する。他方の電気接触部２７ｂを電線接続部（図示せず）に代えて、電線接続部に電線（図示せず）を圧着接続させることも可能であり、その場合は他方のコネクタ嵌合室２８は電線導出孔に代わる。

　図７，図８は、図４の例の一方のコネクタ３’を図５，図６の他方のコネクタ４に嵌合させた状態を示すものである。

　一方のコネクタ３’の上下の補強部としての略Ｌ字状に形成された突出壁２３の立ち上げ壁部２４が他方のコネクタ４のハウジング２０の上下の切欠部１６に嵌合する。これにより、立ち上げ壁部２４の前端面２４ａがハウジング２０の第１の周壁１０の先端面１０ａに当接し、突出壁２３の突出板部２５が第１の周壁１０の上下の壁部１０ｃの外側に重なって、突出板部２５の内面２５ａが第１の周壁１０の外面１０ｃ’に接触する。

　一方のコネクタ３’のブロック部７が他方のコネクタ４の第１の周壁１０の内側のコネクタ嵌合室５に嵌合し、ブロック部７の上下の外面１０ｃ’と突出板部２５の内面２５ａとの間の溝部２６に第１の周壁１０の上下の壁部１０ｃが嵌合する。図５，図６の例に較べて第１の周壁１０の上下の壁部１０ｃを溝部２６の間に挟み込んで保持することで、両コネクタ３’，４間の上下方向のガタつきが一層確実に抑止される。

　図９～図１５は、本発明に係るフラット回路用コネクタの第二の実施形態を示すものである。

　このフラット回路用コネクタ３１は、一方のコネクタ３３のブロック部７にＯリングや環状パッキンといった合成ゴム製の弾性のシール部材３２を装着したことを特徴としている。他の構成は前記第一の実施形態のコネクタ１と同様であるので、同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。シール部材３２は装着に限らず合成樹脂製のブロック部７に二色成型等で一体に固着させることも可能である。

　図９の如く、一方のコネクタ３３は、絶縁樹脂製のブロック部７と鍔部８とを有する嵌合部９と、嵌合部９から前方に突出した接点カバー１３とを有する樹脂成型部６’をＦＰＣやＦＦＣといったフラット回路体２の端末部２ｂに一体に備えている。正面視で略長円形状のブロック部７の外周面の前後方向中間部に周溝３４が設けられ、周溝３４内にシール部材３２が装着されている。

　周溝３４の前側にシール部材挿入用の大きな前端のテーパ面取７ｄとそれに続く幅狭な環状外面７ｅとを有するブロック前部が位置し、周溝３４の後側に平坦な環状外面７ｆを有するブロック後部が位置する。環状外面７ｅ，７ｆは図２の例の外周面（湾曲面７ａ，平坦面７ｂ）に相当する。後端の鍔部８は上下に補強部としての突壁１４を有し、左右に係止突起１５を有する。

　他方のコネクタ４は図１の第一の実施形態と同様であり、絶縁樹脂製のハウジング２０の後部に第１の周壁１０とその後方に一体に続く第２の周壁１１とを含む周壁部１２を有し、第２の周壁１１の上下に、突壁１４を嵌合させる一対の切欠部１６を有し、第２の周壁１１の左右側面に、係止突起１５を係合させる可撓性の係止枠片１７を有する。ハウジング２０は第１の周壁１０内に一方のコネクタ嵌合室５（図１参照）を有し、前部に隔壁３５で部分的に区画された他方のコネクタ嵌合室２８を有する。

　図１０の如く、一方のコネクタ３３の鍔部８の上下方向中央からフラット回路体２が後方に導出され、フラット回路体２は鍔部８とブロック部７とを貫通し、且つ鍔部８とブロック部７とで固着され、ブロック部７から前方に突出した接点カバー１３の下面にフラット回路体２の端末部２ｂの複数の並列な導体２２が露出して位置する。シール部材３２はブロック部７の上下の平坦部７ｂに沿う上下の真直部３２ｂと左右の湾曲部７ａに沿う半円状の湾曲部３２ａとを備える。フラット回路体２と樹脂成型部６’とシール部材３２とでフラット回路組立体が構成される。

　図１１は、図１０の突壁１４に代えて第一の実施形態の図４の突出壁２３を鍔部８の上下に設けた一方のコネクタ３３’の例を示すものであり、ブロック部７の周溝３４に装着されたシール部材３２の上下の真直部３２ｂの上側と下側に突出壁２３の上下の突出板部２５の前端が位置する。符号１３は接点カバー、１５は係止突起、２はフラット回路体をそれぞれ示す。

　図１２は、図１０の一方のコネクタ３３の縦断面を示すものであり、本例のシール部材３２は断面円形に形成され、シール部材３２の外周面３２ｃはブロック部７の外面よりも高く突出し、鍔部８とその上下の突壁１４とはシール部材３２よりも高く突出している。周溝３４は前後の垂直な内面３４ａと水平な底面３４ｂとを有する。フラット回路体２の端末部２ｂに嵌合部９が樹脂成型され、接点カバー１３の上板部１３ａの内面側の溝内に端末部２ｂの露出導体２２が収容されている。

　図１３，図１４は、図９の両コネクタ４，３３の嵌合状態を示すものであり、図１３の如く、一方のコネクタ３３の上下の突壁１４が他方のコネクタ４の上下の切欠部１６に嵌合し、突壁１４の前端面１４ａが切欠部１６の底面（周壁１０の先端面１０ａ）に当接し、突壁１４の左右の端面１４ｂが切欠部１６の左右の端面（第２の周壁１１の端部）１１ａに当接し、左右の係止突起１５が左右の係止枠片１７に係合している。これにより、両コネクタ４，３３の上下左右方向のガタつきが防止されている。

　図１４の如く、一方のコネクタ３３のシール部材３２の外周面３２ｃが他方のコネクタ４の第１の周壁１０の内面１０ｄに弾性的に密着し、シール部材３２の内周面３２ｄが周溝３４の底面（内面）３４ｂに弾性的に密着する。これにより、切欠部１６や第２の周壁１１からコネクタ嵌合室５への水の浸入が防止される。シール部材３２は周溝３４の底面３４ｂと第１の周壁１０の内面１０ｄとの間で径方向に圧縮され、弾性反発力でブロック部７と第１の周壁１０との間のガタつきを吸収する。

　ブロック部７はコネクタ嵌合室５に嵌合し、ブロック部７の前端面７ｃがコネクタ嵌合室５の底壁５ａに当接し、鍔部８の前端面８ａと突壁１４の前端面１４ａとが第１の周壁１０の先端面１０ａに同一面で当接する。一方のコネクタ３３の嵌合部９の突壁１４が他方のコネクタ４の切欠部１６に嵌合され、鍔部８が第２の周壁１１内に嵌合して、嵌合部９と他方のコネクタ４のハウジング２０とのガタつきが防止される。これにより、シール部材３２の好ましくない変形が阻止されて、シール部材３２のシール性が良好に維持される。コネクタ嵌合室５に連通した端子収容室１８内の端子２７にフラット回路体２の露出導体２２が弾性接触する。

　図１５は、図１１の例の一方のコネクタ３３’を図１４の例と同じ他方のコネクタ４に嵌合させた状態を示すものである。一方のコネクタ３３’の突出壁２３の立ち上げ壁部（突壁）２４が図１４の例の突壁１４と同様に他方のコネクタ４の切欠部１６に嵌合し、突出板部２５が第１の周壁１０の外面１０ｃ’に接触し、突出板部２５とブロック部７との間の溝部２６に第１の周壁１０の上下の壁部１０ｃが嵌合している。これにより、両コネクタ４，３３’の上下方向のガタが一層確実に防止され、それにより、シール部材３２の好ましくない変形が阻止されて、シール部材３２のシール性が良好に維持される。

　なお、上記各実施形態においては、他方のコネクタ４に端子２７を設けたが、端子２７に代えて一方のコネクタ３におけるようなフラット回路体（２）を設け、フラット回路体（２）の端末導体（２２）に弾性接触部（２７ａ）を有する不図示の端子を接続して設けることも可能である。

　本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。

　本出願は、２０１１年２月２５日出願の日本特許出願（特願２０１１－０３９６８６）に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

　本発明に係るフラット回路用コネクタは、フラット回路体に外力が作用した場合等においてコネクタ相互のガタつきを防止することができる。

　１，３１　　　フラット回路用コネクタ
　２　　　　フラット回路体
　２ｂ　　　　端末部
　３，３’，３３’　一方のコネクタ
　４　　　　他方のコネクタ
　７　　　　ブロック部
　８　　　　鍔部
　１０　　　　第１の周壁
　１１　　　　第２の周壁
　１４　　　　突壁
　１５　　　　係止突起（被係止部）
　１６　　　　切欠部
　１７　　　　係止枠片（係止部）
　２２　　　　導体
　２４　　　　立ち上げ壁部（突壁）
　２５　　　　突出板部
　２６　　　　溝部
　２７　　　　端子
　３２　　　　シール部材

Claims

　フラット回路体の端末部に樹脂成型された一方のコネクタと、前記端末部の導体に接続する端子を有し前記一方のコネクタと嵌合する他方のコネクタとを備え、前記一方のコネクタが、樹脂製のブロック部と、前記ブロック部の嵌合方向後側に一体形成された前記ブロック部よりも大径な鍔部とを有し、前記鍔部の前記フラット回路体の主面と平行な面には突壁が設けられ、前記他方のコネクタが、前記ブロック部と嵌合する第１の周壁と、前記第１の周壁の前記嵌合方向後側に一体形成されて前記鍔部と嵌合する第２の周壁とを有し、前記第２の周壁には前記突壁と嵌合する切欠部が形成されたフラット回路用コネクタ。
　前記第２の周壁には、可撓性を有し可撓方向が前記フラット回路体の幅方向である係止部が設けられ、前記鍔部には、前記係止部と係合する被係止部が設けられる請求項１記載のフラット回路用コネクタ。
　前記突壁の嵌合方向前側の先端部に前向きに設けられた突出板部と前記ブロック部との間に溝部が構成され、前記溝部に前記第１の周壁が嵌合する請求項１又は２記載のフラット回路用コネクタ。
　前記ブロック部の外周に弾性のシール部材が設けられ、前記シール部材が前記第１の周壁の内面に密着する請求項１又は２記載のフラット回路用コネクタ。
　前記ブロック部の外周に弾性のシール部材が設けられ、前記シール部材が前記第１の周壁の内面に密着する請求項３記載のフラット回路用コネクタ。