WO2007088898A1

WO2007088898A1 - 非接触ｉｃ媒体、非接触ｉｃカード、電子機器、電子機器カバー、及び非接触ｉｃ媒体リーダライタ

Info

Publication number: WO2007088898A1
Application number: PCT/JP2007/051615
Authority: WO
Inventors: Tomoaki Ito
Original assignee: Orient Instrument Computer Co., Ltd.
Priority date: 2006-01-31
Filing date: 2007-01-31
Publication date: 2007-08-09

Abstract

　スキミングの防止を図りながら、利用者が容易に読み取りの可否を切り替えることができる非接触ＩＣカードを提供する。また、一つで複数の用途で良好に使用できる非接触ＩＣカードを提供する。　非接触ＩＣカード１を、アンテナ２２と接続する接点２０を有するＩＣチップ２１と、前記ＩＣチップ２１と接続する接点２４を有するアンテナ２２と、前記ＩＣチップ２１と前記アンテナ２２の互いの接点２０，２４が電気的に接続された接続状態と互いの接点２０，２４が電気的に分離された非接続状態とに切り替える切替部５とを備えた。　非接触通信を行うアンテナ２２と、制御動作を行うＩＣチップ２１とを備えた非接触ＩＣ媒体１であって、前記ＩＣチップ２１を複数搭載した。

Description

明細書

非接触 IC媒体、非接触 ICカード、電子機器、電子機器カバー、及び非接触 IC媒体リーダライタ

技術分野

[0001] 本発明は、情報を記憶して質問器と非接触で通信する非接触 IC媒体、及び、非接触 IC媒体を搭載した非接触 ICカード、電子機器、電子機器カバー、及び非接触 IC 媒体リーダライタに関し、特にスキミングを防止するものに関する。

背景技術

[0002] 一般に、個人を識別して金銭を電子的に取り扱う情報記憶媒体として、キャッシュ力ードゃクレジットカード、デビットカードなどが利用されている。このようなカードには、個人を識別する IDや、チャージされている金額などの情報を記憶する情報記憶媒体として磁気ストライプが備えられ、該磁気ストライプに記憶した情報に基づいて取引が行われる。

[0003] 近年、このようなカードからの情報を不正に読み取るスキミングによる犯罪が問題となっている。スキミングにより取得された情報は、カードの偽造に利用される。カードが偽造されると、第三者によって勝手に商品が購入されたり、預金が引き出されてしまう。

[0004] 上記磁気ストライプ以外にも情報記憶媒体として、接触型や非接触型の IC媒体が存在する。この IC媒体は、 ICチップ内に制御部と記億部とを備えている。この記億部には、磁気ストライプと比較して大量の情報を記憶することができる。このため、情報を複雑に喑号ィ匕して記憶しておくことも可能となり、磁気ストライプに比べて高度なセキユリティレベルを確保することができる。

[0005] このような IC媒体のうち特に非接触型の IC媒体は、磁気ストライプや接触型 IC媒体のように読取装置にカードを揷入せずとも、財布やカードケース等に入れたままで読取装置 (質問器)と通信できるため、非常に利便性が高ぐ注目されている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0006] しかし、非接触で通信できるがために、非接触型 IC媒体を搭載したカードでは、上述したスキミングの如き不正行為の可能な場面力磁気ストライプを搭載したカードの場合に比べて多い。たとえば電車の中、人込み、飲食店など施設の出入り口などのように、日常の様々な場面でスキミングされる可能性がある。し力も、非接触型 IC媒体の所持者は、スキミングされたこと自体、またいっスキミングされたの力も自分では気付かない。

[0007] このようなことから、現在のところ非接触型 IC媒体に対するスキミング事例は報告されてレ、なレ、ものの、非接触型 IC媒体を搭載したカードにっレ、てもスキミングを防止できるようにすることが望まれている。

[0008] これに対し、従来、アルミなどの金属が電磁波を遮断する性質を利用した技術が提案されている。たとえば特許文献 1の収納ケースや、特許文献 2のスキミング防止封筒などである。

[0009] しかし、これまで提案されているものは、カードをスキミングから守るために、電磁波を遮断する手段を備えたケースでカードを覆い、カード全体を電磁波遮断手段で覆うので、スキミングは防止できるものの、カードを正当に使用するときはカードをケース力取り出さなければならず不便である。

[0010] また、従来の非接触 IC媒体は、別の問題も抱えている。以下、説明する。

一つの非接触 ICカードを、複数の用途で使用できれば非常に便利である。

非接触 IC媒体は、質問器との間で通信する際に、所定の通信周波数を採用することにより、無事にデータの送受信を行うことができるようになつている。そこで、例えば

、非接触 IC媒体がドアのロックを開閉する開閉キーとして使用される場合には 0. 8M Hzの通信周波数を採用し、高速道路料金所の ETC用には 125kHzの通信周波数を採用し、鉄道の自動改札機の通過用に使用する場合には 13. 56MHzの通信周波数を採用することにより、一つの非接触 ICカードを兼用することができるようになる

[0011] 一方、特許文献 3には、複数の周波数に対応して通信できるように、共振周波数の異なる複数のアンテナを備えた RF_ ID用アンテナが開示されている。この特許文献 3の RF— ID用アンテナは、複数の周波数に共振可能であるため、前述のように用途毎に採用する周波数を変えることによって、一つの ICチップで、複数の用途に対応すること力 Sできる。

[0012] しかし、特許文献 3の RF— ID用アンテナでは、 ICチップが一つしか設けられておらず、複数の用途で使用するには記憶容量が十分ではなかった。また、特許文献 3の RF— ID用アンテナでは、上述したスキミングを防止するための有効な手段は講じられていない。

特許文献 1：特開 2004— 188215号公報

特許文献 2：登録実用新案第 3116345号公報

特許文献 3 :特開 2005— 252853号公報

[0013] 本発明は、上述の問題に鑑み、スキミングを防止することができ、且つ、利便性の高い非接触 IC媒体、非接触 ICカード、電子機器、電子機器カバー、及び非接触 IC 媒体リーダライタを提供することを目的としている。また、複数の用途で使用できる利便性の高い非接触 IC媒体を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0014] 上記課題を解決するため、本発明の非接触 IC媒体は、アンテナと ICとが相対的に移動して両者の接続と遮断とを切り替え可能に構成した。

これにより、アンテナと IC (ICチップ）とが相対的に移動するだけで両者の接続と遮断とを切り替えることができ、常時は遮断状態とすることでスキミングを防止することができ、正当な使用時には両者を相対的に移動して接続するという簡単な操作で使用可能状態にすることができる。

[0015] 本発明の非接触 IC媒体は、アンテナと接続する接点を有する ICと、前記 ICと接続する接点を有するアンテナと、前記 ICと前記アンテナの互いの接点が電気的に接続された接続状態と互いの接点が電気的に分離された非接続状態とに切り替える切替手段とを備えた。

これによつて、スキミングを防止できる状態と正当に使用する状態とを容易に切り替えることができる。

[0016] 本発明の非接触 IC媒体は、前記 ICを、平面状に形成して両側辺を平行な一直線状に形成した第 1部材に備え、前記第 1部材の両側辺を上記一直線方向にスライド移動可能にガイドするガイド部を有する第 2部材を設け、前記第 1部材と第 2部材とで前記切替手段を構成した。

また、本発明の非接触 IC媒体は、前記 ICを搭載する第 1部材と、前記第 1部材の所定の往復移動を可能にする第 2部材とを設け、前記第 1部材と第 2部材とで前記切替手段が構成されている。

このように、第一部材と、第 1部材に対してスライド移動する第 2部材とで切替手段を構成すると、簡単な構成でスキミングを防止できると共に、簡単な操作で正当な使用状態に切り替えることができ、利便性の高い非接触 IC媒体を提供することができる

[0017] 本発明の非接触 IC媒体は、前記第 1部材に、利用者の手動操作による前記スライド移動を許容する操作部を設けた。

操作部を設けることにより、第一部材を移動させ易くなり、利用者は容易にスキミングを防止する状態と正当な使用状態とを切り替えることができる。

[0018] 本発明の非接触 IC媒体は、読取器に挿入して情報の授受を行う非接触 IC媒体において、非接触 IC媒体を読取器に挿入すると第 1部材が第 2部材に対して磁力で移動し、アンテナと ICとが接続されるように構成した。

ここでレ、う非接触とは、 IC媒体側と読取器 (質問器)側とが、電波又は電磁波を介して情報の授受を行う形態を意味している。

例えば、第 1部材側には磁性部材を設け、読取器側には磁石を設け、読取器に非接触 IC媒体を揷入すると、磁性部材が磁石に吸引されて、第 1部材が第 2部材に対して相対的に移動するように構成することができる。

このように構成することにより、非接触 IC媒体は、読取器に挿入されたときにだけァンテナと ICとが接続される。よって、不使用時にはアンテナと ICとが遮断されており、スキミングを防止することができる。

[0019] 本発明の非接触 ICカードは、前述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載した。

本発明を実施した非接触 ICカードは、前述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載しているので、不使用時におけるスキミングを防止することができると共に、使用時におけるアンテナと ICとの接続への切り替えが容易である。 [0020] 本発明の電子機器は、利用者による入力を受け付ける入力手段と、該入力に基づレ、て制御動作を実行する制御手段と、制御に基づいて出力する出力手段とを備えた電子機器であって、上述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載した。

本発明の電子機器は、上述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載したので、スキミングの防止と良好な利便性とを兼ね備えることができる。

[0021] 本発明の電子機器カバーは、利用者の入力操作を受け付けて該入力に基づく出力を行う電子機器に着脱自在に取り付けられる電子機器カバーに、前述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載した。

本発明の電子機器カバーは、上述のいずれかの非接触 IC媒体を搭載したので、既製品の電子機器にスキミングの防止と良好な利便性とを兼ね備えることができる。スキミング防止機能を備えていない既製品の電子機器であっても、本発明の電子機器カバーを装着することにより、スキミング防止機能を備えることができるようになる。

[0022] 本発明の非接触 IC媒体リーダライタは、非接触 IC媒体を挿入許容する挿入部と、該揷入部に挿入された前記非接触 IC媒体に対して非接触通信する通信部とを有する非接触 IC媒体リーダライタであって、前記挿入部に、前述のいずれかの非接触 IC 媒体の切替手段を切替操作して前記 ICと前記アンテナの接続状態と非接続状態とを切り替える切替操作手段を備えた。

簡易な切替操作手段としては、揷入部に侵入してくる非接触 IC媒体のうち、第 1部材のみに干渉する係止部 (係止ガイド）を設け、第 1部材が係止部に係止すると、第 1 部材のみが取り残され、第 2部材を含む非接触 IC媒体のその他の部分がそのまま揷入部内に侵入して、アンテナと ICとが接続する構成を採用することができる。

また、係止部の代わりに磁石を採用することもできる。すなわち、例えば、第 1部材に磁性体を設け、揷入部に磁石を設けることにより、非接触 IC媒体が揷入部に挿入する途中で第 1部材の磁性体が揷入部の磁石に引き寄せられて第 1部材だけが停止し、第 1部材と第 2部材とが相対的に移動してアンテナと ICとが接続されるように構成すること力 Sできる。

ここで、非接触 IC媒体リーダライタは、前述の読取器 (質問器)と同じである。

[0023] 本発明の非接触 IC媒体は、非接触通信を行うアンテナと、制御動作を行う ICチップとを備えた非接触 IC媒体であって、前記 ICチップを複数搭載した。

本発明を実施すると、 ICチップが用途毎に設けられるので、十分な記憶容量を確保することができる。また、各用途毎に十分な記憶容量が確保された ICチップを使用するので、良好な利便性を得ることができるようになる。

[0024] 本発明の非接触 IC媒体は、質問器との間で非接触通信を行うアンテナと、制御動作を行う ICチップとを備えた非接触 IC媒体であって、前記 ICチップを複数搭載しており、前記アンテナは、いずれかの ICチップと選択的に接続する接続状態と、いずれの ICチップとも接続しない遮断状態とを切り換え可能に構成した。

本発明を実施すると、接続時には、アンテナは複数の ICチップのいずれ力と接続可能であり、逆に遮断時にはいずれの ICチップとも接続しないので、不使用時におけるスキミングを効果的に防止することができる。また、複数の ICチップを搭載するので、各用途毎に十分な記憶容量が確保される。

[0025] 本発明の非接触 IC媒体は、前記アンテナを複数の前記 ICチップが共用する共用アンテナで構成した。

本発明を実施すると、前述の発明の効果に加えて、非接触 IC媒体内のレイアウトを簡素化することができる。

[0026] 本発明の非接触 IC媒体は、前記複数の ICチップに接続用の接点を備え、前記ァンテナと接続する ICチップの接点を切り替える切替手段を備えた。

本発明を実施すると、切替手段によって用途毎に ICチップを切り替えることができるようになる。また、本発明では、 ICチップに接続用の接点を備えたので、アンテナと ICチップの接続と遮断が容易になる。よって、不使用時におけるスキミングを防止すること力 Sできるようになる。

[0027] 本発明の非接触 IC媒体は、前記複数の ICチップに、それぞれ個別のアンテナを接続した。

本発明によると、個々の ICチップに個別のアンテナを接続するので、質問器との間で適した通信を個々に行うことができる。

[0028] 本発明の非接触 IC媒体は、前記複数の ICチップの動作周波数が異なる。

本発明を実施すると、前述の効果に加えて、無関係の ICチップの誤動作を回避すること力 Sできる。

発明の効果

[0029] 本発明を実施すると、非接触 IC媒体，非接触 ICカード，電子機器，電子機器カバ一,及び非接触 IC媒体リーダライタの情報の読み取り可能な状態と読み取り不可能な状態とを容易に切り替えることができる。これにより、常時は情報の読み取りを不可能にする遮断状態とすることでスキミングを防止することができる。さらに正当な使用時にはアンテナに対して ICを相対的に移動させるという簡単な操作で情報の読み取りを可能にする接続状態に切り替えることができる。また、非接触 IC媒体に複数の IC チップを備えることによって、十分な記憶容量を確保することができ、良好な利便性が得られる。

図面の簡単な説明

[0030] [図 1]本発明の非接触 ICカードの斜視図である。（A)は、通信可能な接続状態であり、 (B)は、通信不可能な遮断状態である。

[図 2]図 1の非接触 ICカードの分解斜視図である。

[図 3]図 1の非接触 ICカードの拡大断面図である。（A)は、通信可能な接続状態であり、（B)は、通信不可能な遮断状態である。

[図 4]図 1の非接触 ICカードの部分拡大図である。（A)は、通信可能な接続状態であり、（B)は、通信不可能な遮断状態である。

[図 5]実施例 2の本発明の非接触 ICカードの斜視図である。（A)は、通信不可能な遮断状態であり、（B)は、通信可能な接続状態である。

[図 6]実施例 3の本発明の開状態の携帯電話機の斜視図である。

[図 7]実施例 3の閉状態の携帯電話機の斜視図である。（A)は、携帯電話機の蓋側ユニット側から見た斜視図であり、（B)は、携帯電話機を本体側ユニット側から見た斜視図である。

[図 8]実施例 3の携帯電話機の各構成の接続の系統図である。

[図 9]実施例 4の携帯電話機の斜視図である。

[図 10]実施例 5の非接触 ICカードの斜視図である。（A)は、通信可能な接続状態であり、（B)は、通信不可能な遮断状態である。園 11]実施例 5の非接触 ICカードの分解斜視図である。

園 12]実施例 5のリーダライタの構成図である。（A)は、側方から見た断面図であり、 (B)は (A)の A_ A断面矢視図である。

園 13]実施例 5の非接触 ICカードとリーダライタの拡大断面図である。（A)は、通信不可能な遮断状態を示しており、（B)は、通信可能な接続状態を示している。

園 14]実施例 6の非接触 ICカード及びリーダライタの構成図である。（A)は、側方から見た断面図であり、（B)は、（A)の B— B断面矢視図である。

園 15]実施例 6の非接触 ICカード及びリーダライタの側面断面図である。 (A)は非接触 ICカードを挿入する途中の状態であり、（B)は、非接触 ICカードの挿入を完了した状態である。

園 16]実施例 7の非接触 ICタグの説明図である。（A)は、通信不可能な遮断状態であり、（B)は、通信可能な接続状態である。

園 17]図 2に示すスぺーサ部材と第 2ラミネート部材の代わりに使用できる第 3ラミネ一ト部材を採用した非接触 ICカードの分解斜視図である。

[図 18]実施例 9の非接触 ICカードの斜視図である。（A)は、一方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態であり、（B)は、他方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態である。

園 19]実施例 9の非接触 ICカードの分解斜視図である。

[図 20]実施例 9の非接触 ICカードのブロック図である。

園 21]実施例 9の非接触 ICカードの拡大断面図である。（A)は、一方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態であり、（B)は、他方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態である。

園 22]実施例 10の非接触 ICカードの拡大断面図である。（A)は、一方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態であり、（B)は、他方の ICチップとループアンテナとが通信可能な状態である。

園 23]実施例 11の非接触 ICカードの分解斜視図である。

園 24]図 19に示すスぺーサ部材と第 2ラミネート部材の代わりに使用できる第 4ラミネ一ト部材を採用した非接触 ICカードの分解斜視図である。発明を実施するための最良の形態

[0031] 非接触での読み取りの可否を利用者等が容易に切り替えできる非接触 IC媒体、非接触 ICカード、電子機器、及び電子機器カバーを提供するという目的を、アンテナと接続する接点を有する ICを備えた第 1部材と、前記 ICと接続する接点を有するアンテナを備えた第 2部材とを、互いの接点が接触する接続状態と互いの接点が離間する非接続状態とに相対移動可能に構成して実現した。

[0032] また、非接触 IC媒体の読み取り可否を容易に切り替えできる非接触 IC媒体リーダライタを提供するという目的を、非接触 IC媒体の切替手段を切替操作して ICとアンテナの互いの接点を接続状態と非接続状態とに切り替える切替操作手段を備えることで実現した。

本発明の一実施形態を、以下で図面を参照しながら説明する。

実施例 1

[0033] 図 1は、非接触 ICカード 1を示す斜視図であり、図 2はその分解斜視図、図 3は拡大断面図、図 4は部分拡大図である。

[0034] これらの図に示したように、非接触 ICカード 1は、 ICチップ 21とループアンテナ 22とで構成される非接触型 IC媒体 23が搭載された非接触型の ICカードである。非接触型 IC媒体 23は、一般に RF— ID (Radio Frequency Identification)タグと呼ばれるものであり、電磁波を用いて非接触の通信を行う機能、及び情報を記憶する機能を有する。

[0035] 非接触 ICカード 1は、キャッシュカード、クレジットカード、定期券、プリペイドカード、社員証、学生証などとして利用されるもので、長方形板状をなし、複数の部材を積層して構成され、情報記憶媒体としての上記 ICチップ 21とループアンテナ 22との接続/分離を切り替える切替部 5を備える。

[0036] 詳述すると、図 2に示すように非接触 ICカード 1は、主にカード大の第 1ラミネート部材 2、カード大のスぺーサ部材 11、及びカード大の第 2ラミネート部材 15が上からこの順で重合接着されて構成されている。カード大とは、一般に使用されているキヤッシュカードやクレジットカードの大きさである。以下、これらの部材を順に説明する。

[0037] 底面にあたる第 2ラミネート部材 15は、接着される内側面にループアンテナ 22が設けられている。このループアンテナは、プリント配線等によって構成された一重のループ（二重や三重といった複数重のループでもよレ、）であり、両端に接点 24, 24が設けられている。両接点 24， 24の間は、第 2ラミネート部材 15の短手方向幅 (矢印 Bで示す方向）と比べて充分小さく構成されており、この実施形態では、 ICチップ 21の大きさと同程度の間隔に構成されている。また接点 24, 24は、第 2ラミネート部材 15に接着固定され、表面側へ突出している。第 2ラミネート部材 15の外側面である裏面は、印刷等が施された化粧面である。

[0038] スぺーサ部材 11は、第 2ラミネート部材 15と同一サイズで肉厚一定の平面形状に形成されてレ、る。スぺーサ部材 11の短手方向中央（矢印 Bで示す方向の中央）には、前記接点 24, 24の位置を囲繞するように長方形のスライド用孔 12が設けられている。このスライド用孔 12における左右の長手辺は矢印 Aで示す方向に平行に延びる一直線状のスライドガイド 13, 13を構成している。

[0039] スぺーサ部材 11のスライド用孔 12内には、切替部 5が収納される。この切替部 5は、板状部材 6と操作部 7と ICチップ 21と接点 20， 20とで構成されている。

[0040] 板状部材 6は、肉厚一定の平面形状に形成されている。

板状部材 6の横幅はスライド用孔 12の左右幅 (矢印 Bで示す方向の幅）と同一か僅力に小さぐ縦幅はスライド用孔 12の縦幅 (矢印 Aで示す方向の幅）より短い長方形であり、この板状部材 6の両側辺 8， 8は平行で直線状に形成されている。

[0041] 操作部 7は、板状部材 6の縦方向（矢印 A方向）の一端で幅方向（矢印 B方向）中央に表面側（第 1ラミネート部材 2側）に突出形成され、その表面は滑り止め加工がなされている。

[0042] ICチップ 21は、情報を記憶する記億部と、制御動作を実行する制御部とを有するものである。この ICチップ 21は、板状部材 6の裏面側（第 2ラミネート部材 15側）に接着固定されており、該 ICチップ 21の端子が接点 20, 20に電気的に接続されている。この接点 20， 20は、板状部材 6の裏面側に接着固定されており、裏面側へ突出している。

[0043] このように構成された切替部 5は、スぺーサ部材 11のスライド用孔 12内で、側辺 8, 8がスライドガイド 13, 13に沿って安定して前後方向（矢印 A方向）にスライド移動できる。

[0044] 第 1ラミネート部材 2は、第 2ラミネート部材 15と同一サイズで肉厚一定の平面形状に形成されている。第 1ラミネート部材 2の短手方向（矢印 B方向）中央には、前記操作部 7の位置を囲繞するように長方形の操作用孔 3が設けられている。この操作用孔 3における左右の長手辺は矢印 A方向に平行に延びる一直線状の操作ガイド 4， 4を構成している。この操作用孔 3内には、切替部 5の操作部 7が矢印 A方向に往復移動可能に位置する。この操作部 7の両側辺は、操作ガイド 4， 4 (操作用孔 3)でガイドされ、これにより安定して矢印 A方向に往復移動することができる。第 1ラミネート部材 2 の表面は、印刷等が施された化粧面である。

[0045] 前記第 1ラミネート部材 2、板状部材 6、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 1 5は、紙や樹脂など通信波（電磁波や電波など）を通過許容する素材で形成すればよぐ同一素材で形成する、あるいは別素材で形成することができる。

[0046] また、板状部材 6は、適度な剛性を有する素材で構成することが好ましぐ第 1ラミネ一ト部材 2、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 15は、少なくとも全てが重合して接着固定された状態で適度な剛性を有する素材で構成することが好ましい。

[0047] また、第 1ラミネート部材 2、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 15は、少なくともスライド用孔 12の周囲については強固に接着固定することが好ましい。これにより、スライド用孔 12の周囲の接着が剥がれて切替部 5が意図しない方向へ移動することや、第 1ラミネート部材 2と第 2ラミネート部材 15の間が浮いて接点 20と接点 24との接触が悪くなることを防止できる。

[0048] 以上の構成により、利用者は操作部 7を操作してスライド移動させるだけで、図 1 (A )に示した通信可能状態と、図 1 (B)に示した通信不可能状態とを容易に切り替えること力 Sできる。

[0049] つまり、通信可能状態では、図 1 (A)に示すように操作部 7が操作用孔 3の奥側に位置し、図 3 (A)及び図 4 (A)に示すように、接点 20と接点 24とが接触し、 ICチップ 2 1とループアンテナ 22とが電気的に接続される。従って、適宜の質問器からループアンテナ 22が受けた磁界による誘導起電力で ICチップ 21が駆動でき、また ICチップ 2 1がループアンテナ 22を通じて質問器と非接触通信することができる。このとき、接点 20と接点 24とが互いに突出しているため、電気的な接続を確実に行うことができる。

[0050] 通信不可能状態では、図 1 (B)に示すように操作部 7が操作用孔 3の手前側に位置し、図 3 (B)及び図 4 (B)に示すように、接点 20と接点 24とが離間して非接触となり、 ICチップ 21とループアンテナ 22とが電気的に分離される。従って、適宜の質問器力ループアンテナ 22が磁界を受けても誘導起電力が生じず、質問器と ICチップ 2 1とは非接触通信ができなレ、。このため、スキミングなどの不正なデータ通信を物理的に防止することができる。

[0051] このように、利用者は、スキミングを防止できる通信不可能状態と、非接触通信を実行可能にする通信可能状態とを、操作部 7を前後動 (矢印 Aで示す方向へ移動)させるという簡単な動作で確実に切り替えることができる。これにより、 ICチップ 21に記憶された情報の機密性を高め、利便性を向上し、利用者の満足度を向上させることができる。

[0052] また、非接触 ICカード 1は、平面状の複数の部材を重合配置して切替部 5をスライド移動可能に構成しているため、薄型のカード形状に形成するのが容易であり、安価に製造することができる。

[0053] また、接点 24近傍におけるループアンテナ 22の配線方向、及び接点 20の近傍における ICチップ 21との接続配線は、図 4に示したようにスライド移動方向（矢印 A方向）と平行であるため、 ICチップ 21とループアンテナ 22との電気的な接続を容易に行うことができる。すなわち、仮に接点 20と接点 24とが互いを乗り越えたとしても、接点 20はループアンテナ 22の配線と接触でき、またループアンテナ 22は ICチップ 21 の配線と接触できる。このため、電気的な接続の確実性を高めることができる。

[0054] なお、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とをいずれも突出させて形成したが、いずれか一方のみを突出させる、あるいは両方突出させない構成としてもよい。この場合でも、接点 20、 24が互いに接触さえすれば電気的に接続されるため、通信可否を切り替えることができる。

実施例 2

[0055] 図 5は、実施例 2の非接触 ICカード 1の斜視図であり、図 5 (A)は、通信不可能な遮断状態を示しており、図 5 (B)は、通信可能な接続状態を示している。この非接触 ICカード 1は、切替部 5、接点 24、及びスライド用孔 12 (実施例 1の図 2 参照）の位置を非接触 ICカード 1の一端辺部に設けたものであり、切替部 5の操作部 7を非接触 ICカード 1の一端辺外側に位置させて構成している。その他の構成は、実施例 1と同じであるので、重複する説明を省略する。

[0056] これにより、図 5 (A)に示すように、切替部 5を奥まで収納した状態で接点 20と接点 24を切り離して離間させ、通信不可能状態とすることができる。

また、図 5 (B)に示すように、切替部 5を最大限引き出した状態で接点 20と接点 24 を接触させて ICチップ 21とループアンテナ 22とを電気的に接続し、通信可能状態とすること力 Sできる。

[0057] このようにして、実施例 1と同一の効果を得ることができる。

なお、切替部 5を最大限引き出した状態で接点 20と接点 24とが接触するように、切替部 5の引き出し可能距離を規制する適宜のストッパを設けることが望ましい。

実施例 3

[0058] 図 6は、実施例 3の折りたたみ式の携帯電話機 41の開状態の斜視図を示す。

携帯電話機 41は、蓋側ユニット 42と本体側ユニット 45とがヒンジ 44によって開閉可能に連結されている。

[0059] 蓋側ユニット 42の内面には、スピーカー 51と液晶ディスプレイ 52とが配設されている。

本体側ユニット 45の内面には、ファンクションキーや文字入力キーなどの複数の入力ボタン 57と、マイク 59とが配設されている。本体側ユニット 45のヒンジ 44近傍には

、音声通話や電波通信用のアンテナ 43が設けられている。

[0060] これらの蓋側ユニット 42及び本体側ユニット 45の内面の筐体カバー 55は、いずれも通信波 (電波や電磁波など非接触通信に用いられる波)を透過許容する通常の樹脂部材により略一定の肉厚に形成されている。

[0061] 図 7 (A)は、閉状態の携帯電話機 41を蓋側ユニット 42側から見た斜視図であり、図

7 (B)は、閉状態の携帯電話機 41を本体側ユニット 45側から見た斜視図である。

[0062] 蓋側ユニット 42側の外面（図 7 (A)の上面）には、デジタルカメラ 61及び液晶ディスプレイ 62が設けられている。本体側ユニット 45の外面側の外力バー 65 (図 7 (B)の上面）には、操作用孔 3、及び該操作用孔 3から突出する操作部 7が設けられている。

[0063] この外力バー 65は、表面が実施例 1の第 1ラミネート部材 2 (図 2参照）に対応し、肉厚一定の平面状の樹脂部材で形成されている。この外力バー 65の内側には、実施例 1のスぺーサ部材 11及び第 2ラミネート部材 15が重合配置されて接着固定されており、実施例 1と同様に、スぺーサ部材 11のスライド用孔 12内に切替部 5がスライド移動可能に収納されている。

[0064] 図 8は、携帯電話機 41のブロック図を示す。携帯電話機 41は、制御部 70に接続して、撮影部 71、記憶部 72、入力部 73、表示部 74、通話部 75、通信部 76、及び非接触 IC媒体 23が設けられている。

[0065] 制御部 70は、 CPU, R〇M、及び RAM等を備えており、 CPUが ROMに記憶されたプログラム及びデータに従って RAMを一時記憶領域として利用して各種制御動作を実行する。

[0066] 撮影部 71は、デジタルカメラ 61 (図 7 (A)参照）で構成され、撮影した撮影画像を制御部 70に送信する。

記憶部 72は、不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、各種データやプログラムを記憶している。

[0067] 入力部 73は、入力ボタン 57 (図 6参照）で構成され、利用者によって押下操作された操作信号を制御部 70に送信する。

表示部 74は、液晶ディスプレイ 52 (図 6参照）及び液晶サブディスプレイ 62 (図 7 ( A)参照）で構成され、制御部 70から受信した画像信号や映像信号に従って文字や図や写真などの画像や映像を表示する。

[0068] 通話部 75は、スピーカー 51 (図 6参照）及びマイク 59 (図 6参照）で構成され、遠隔地の電話機から受信した音声を制御部 70の制御によってスピーカー 51で音声出力し、マイク 59で集音した音声を制御部 70に送信する。

通信部 76は、制御部 70の制御に従って、電子メールの送信やインターネットホームページの閲覧などのデータ通信を実行する。

[0069] 非接触 IC媒体 23は、制御部 70に接続された ICチップ 21とループアンテナ 22とで構成されており、 ICチップ 21の制御動作によってループアンテナ 22で ATMやキヤット端末等の適宜の装置に設けられた質問器 80と非接触でデータ通信する。データ通信した内容は、 ICチップ 21が適宜制御部 70に送信する。非接触 IC媒体 23は、切替部 5 (図 7 (B)参照）が通信可能状態に切り替えられ、接点 20と接点 24が接続された通信可能状態であれば質問器 80と非接触で通信できるが、切替部 5が通信不可能状態に切り替えられ、接点 20と接点 24が離間された通信不可能状態であれば質問器 80やその他の質問器 (例えば不正な質問器)とは物理的に通信できない。

[0070] なお、非接触 IC媒体 23は制御部 70と完全に切り離して構成してもよい。また、制御部 70と ICチップ 21とを直接接続せず、制御部 70に別途のアンテナを設け、該ァンテナでループアンテナ 22と非接触通信して ICチップ 21と制御部 70がデータ通信する構成にしてもよレ、。

[0071] 以上の構成により、利用者は携帯電話機 41を用いて通話やデータ通信を行うことができる。また、携帯電話機 41に搭載されている非接触 IC媒体 23を用いて商品の購入など各種取引を行うことができる。携帯電話機 41はデータ通信機能も有しているため、インターネットを利用した電子商取引においても非接触 IC媒体 23を利用すること力 Sできる。

[0072] このようにして、利用者は操作部 7を操作して切替部 5をスライド移動させるだけで、通信可能状態と通信不可能状態とを容易に切り替えることができ、実施例 1と同一の効果を得ることができる。

[0073] なお、切替部 5の代わりに押下ボタンを備えても良レ、。この場合、 ICチップ 21とノレープアンテナ 22とは、 ICチップ 21両側の接点 20とループアンテナ 22両端の 24とを互いに離間させた状態で備えておき、それぞれの接点 20と接点 24とを電気的に接続する接続接点を押下ボタンに設けると良い。

[0074] これにより、押下ボタンが押下されれば接続接点が接点 20と接点 24とに接触して I Cチップ 21とループアンテナ 22が電気的に接続され、通信可能状態となる。押下ボタンが開放されれば、パネなどの弾性部材による弾性力で接続接点が接点 20と接点 24とから離間し、通信不可能状態となる。

[0075] このようにして、押下ボタンを押下するという簡単な操作で通信可否を切り替えることが可能となる。この場合、カバンの中などで押下ボタンが意図せず押下されることを防止するべぐ押下できないようロックするロック部を設けることが好ましい。これにより、意図せずに通信可能状態となることを防止することができる。

実施例 4

[0076] また、図 9に示すように、外力バー 65の代わりに携帯電話機 41本体に着脱可能な着せ替えカバー (携帯型電子機器カバー） 90を備えてもよい。この場合、携帯電話機 41の本体側に、着脱凹部 92, 92を設け、着せ替えカバー 90に着脱凸部 91 , 91 を設けると良い。これにより、着脱凸部 91が着脱凹部 92に嵌合して着せ替えカバー 90を携帯電話機 41の本体に装着でき、また容易に取り外すことができる。他の構成要素については、上述した実施例と同一であるので、同一要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。

[0077] この実施例により、通信可否の切替機能を着せ替えカバー 90にて提供することができる。従って利用者は、通信可否の切替機能が欲しい場合に着せ替えカバー 90 を使用し、通信可否の切替機能が不要な場合に通常の着せ替えカバー 90を使用することで、好みに応じて使い分けることができる。また、携帯電話機 41自体にスキミング防止機能を備えていなくても、オプションとして提供される着せ替えカバー 90を装着することでスキミング防止機能を備えることができる。

実施例 5

[0078] 図 10は、実施例 5の非接触 ICカード 1の斜視図であり、図 11はその分解斜視図であり、図 12はリーダライタ 100の構成図であり、図 13は非接触 ICカード 1とリーダライタ 100の拡大断面図である。

この非接触 ICカード 1は、実施例 1に備えていた操作部 7 (図 1参照）の代わりに、鉄やコバルトやニッケルなど磁石に吸着又は吸引される磁性部材で形成された金属板

10を設けたものである。この場合は、第 1ラミネート部材 2に操作用孔 3 (図 1参照）が不要となる。また、実施例 1ではループアンテナ 22の内側に ICチップ 21を位置させていたが、この実施例 5では ICチップ 21をループアンテナ 22の外側に位置させている。

[0079] 実施例 5の非接触 ICカード 1のその他の構成は、実施例 1の非接触 ICカード 1の構成と同じであるので、同一要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。

[0080] また、この実施例 5では、図 12に示すように、非接触 ICカード 1と非接触で通信するリーダライタ 100が用いられる。

[0081] このリーダライタ 100は、図 12 (A)の側面断面図、及び図 12 (A)の A—A矢視断面図である図 12 (B)に示すように、非接触 ICカード 1を揷入する揷入穴 106を有しており、この揷入穴 106の上面の略中央部に電磁石 101が設けられている。また、揷入穴 106の上面の奥側には、非接触 ICカード 1の揷入を検知する揷入検知センサ 105 が設けられている。

[0082] 挿入穴 106の下面には、前後に二つのローラ 111が設けられ、このローラ 111にべルト 112が張架されてレ、る。前記ローラ 111がモータ等の適宜の駆動手段で回転駆動されると、ベルト 112はこれに伴って移動し、非接触 ICカード 1を搬送して該非接触 ICカード 1の取り込み及び排出を実行する。

[0083] また、挿入穴 106の下面には、非接触 ICカード 1と非接触通信する通信アンテナ 1 15が設けられている。

[0084] また、リーダライタ 100には、電磁石 101に電力供給して磁界を発生させる処理と、挿入検知センサ 105の検知信号を受信した後に通信アンテナ 115を制御して非接触 ICカード 1とデータ通信処理とを行う制御部（図示省略)も設けられている。また、受信したデータを制御部の制御によってコンピュータなどの上位装置に出力する出力部も設けられている。

[0085] 以上のように非接触 ICカード 1が構成されており、図 13 (A)は、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とが離間した状態 (遮断状態）を示してレ、る。また、図 13 (B)は、両接点 20， 24が接触して通電可能（通信可能）な接続状態を示している。

[0086] この非接触 ICカード 1が揷入穴 106に揷入されると、この揷入を揷入検知センサ 10 5が検知する。揷入穴 106のさらに奥まで非接触 ICカード 1が揷入されると、図 13 (B )に示すように、電磁石 101の磁界によって該電磁石 101に金属板 10が引き寄せられる。このため、切替部 5だけはその位置で停止し、第 1ラミネート部材 2、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 15で構成される本体部だけが奥まで挿入される。従つて、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とが接触して通電可能 (通信可能)な状態になる。

[0087] そして、制御部は通信アンテナ 115により非接触 ICカード 1と通信し、データを読み取ること力 Sできる。

[0088] 非接触 ICカード 1をベルト 112の駆動により排出するときは、金属板 10が電磁石 10 1に吸引（又は吸着）されていることによって、図 13 (A)に示した位置まで、切替部 5 は移動せず本体部（第 1ラミネート部材 2、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 15)のみが移動する。従って、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とが離間して物理的に通信不能の状態になる。

[0089] そして、ベルト 112が挿入時とは逆方向に駆動されて、通信不能となった非接触 IC カード 1を排出することができる。排出された非接触 ICカード 1は、 ICチップ 21とループアンテナ 22とが通信不能状態なので、リーダライタ 100以外の装置によって非接触 ICカード 1に記憶しているデータが不正に読み取られることを防止できる。

実施例 6

[0090] 図 14 (A)は、実施例 6の非接触 ICカード 1及びリーダライタ 100の側面断面図であり、図 14 (B)は図 14 (A)の B— B断面図である。

この実施例 6の非接触 ICカード 1は、操作部 7の高さを第 1ラミネート部材 2 (図 2)の上面より高く突出させた以外は、実施例 1の非接触 ICカード 1と同じであるので、同一要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。

[0091] 実施例 6のリーダライタ 100は、電磁石 101 (図 12参照）の代わりに、係止用溝 103 と係止ガイド 104を備えた以外は、実施例 5のリーダライタ 100と同じであるので、同一要素に同一符号を付して重複する説明を省略する。

[0092] 係止用溝 103は、挿入穴 106の上面に非接触 ICカード 1の挿入方向へ一直線に形成された溝であり、操作部 7の揷通を許容する。

[0093] 係止ガイド 104は、挿入穴 106の奥側に設けられた係止用溝 103の端部であり、幅方向に一直線に形成されてレ、る。

[0094] 以上の構成により、挿入穴 106に非接触 ICカード 1が挿入されると、ベルト 112で非接触 ICカード 1を内部へ搬送する。この搬送の際、操作部 7が係止用溝 103に沿つて揷通され、図 15 (A)の側面断面図に示すように操作部 7が係止ガイド 104に当接する。

[0095] ベルト 112は、さらに非接触 ICカード 1を内部へ搬送する。このとき、図 15 (B)の側面断面図に示すように、操作部 7は係止ガイド 104に係止されてこれ以上奥へ移動できず、本体部のみが奥へ搬送される。これにより、切替部 5が非接触 ICカード 1内で移動し、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とが接触して通電する状態になり、通信アンテナ 115でデータ通信することが可能になる。

[0096] 従って、利用者は手動操作によって操作部 7を操作しなくとも、非接触 ICカード 1をリーダライタ 100の挿入穴 106に挿入するだけで、リーダライタ 100に非接触 ICカード 1と通信させることができる。

[0097] この実施形態では、データ通信後にリーダライタ 100の挿入穴 106から排出された非接触 ICカード 1は、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とが接触して通電する状態になっており、データ通信可能な状態となっている。

[0098] なお、板状部材 6 (切替部 5)を接点 20と接点 24が離間する方向へ付勢するパネなどの付勢手段を設け、挿入穴 106から排出された非接触 ICカード 1が付勢手段の付勢力によって自動的に通信不可の状態に移行する構成にしてもよい。また、特別な構成を設けず、単に手動で操作部 7を操作して、 ICチップ 21側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とを遮断してもよい。

[0099] また、操作部 7を上下に移動可能に構成し、この上下動によって接点 20が接点 24 に対する接近 (接触）と離間とを行い、接触と非接触とを切り替えられる構成にしてもよい。この場合、係止ガイド 104を、揷入穴 106の奥側が下方となるように傾斜させて形成する。

[0100] これにより、揷入されて奥へ搬送される非接触 ICカード 1の操作部 7を、傾斜面である係止ガイド 104で下方へ押下することができ、接点 20と接点 24が接触して通電可能 (通信可能)な状態に移行させることができる。

[0101] なお、上述した各実施形態では、切替部 5をスライド移動可能に構成したが、代わりに回転移動可能に構成して、接点 20と接点 24の接続と遮断とを切り替えるようにしてもよい。この場合も、回転移動は自動，手動を問わない。 [0102] また、切替部 5に ICチップ 21を搭載して移動可能に構成した力 ICチップ 21はループアンテナ 22と同じ第 2ラミネート部材 15上に備えてもよレ、。この場合、 ICチップ 2 1側の接点 20とループアンテナ 22側の接点 24とを離間させておき、切替部 5に接点 20と接点 24を接続する接続接点を備えるとよい。この場合も、接続接点が接点 20と接点 24に接触して ICチップ 21とループアンテナ 22が通電（通信）する接続状態と、接点 20と接点 24の両方あるいは片方から接続接点が離間して ICチップ 21とループアンテナ 22が通電（通信）しない非接続状態とに切り替えることができる。

実施例 7

[0103] 図 16は、実施例 7の非接触 ICタグ 130の斜視図であり、図 16 (A)は、通信不可能な遮断状態を示しており、図 16 (B)は、通信可能な接続状態を示している。この非接触 ICタグ 130は、円形のフィルム台紙 132の上面中央部に円筒形のボタン部 131を設けた構成にしている。

[0104] ボタン部 131は、操作部となる上面が中央で凸となる形状に弾力性のある樹脂で形成されており、その内部は中空に形成されている。このボタン部 131の天井の内側面には、 ICチップ 21が取り付けられており、該 ICチップ 21の下面に二つの接点 20， 2 0が板バネ形状に形成されている。

[0105] フイノレム台紙 132は、底面に粘着層を備えた粘着シールであり、ループアンテナ 22 が設けられている。このループアンテナ 22の二つの接点 24， 24は、前記 ICチップ 2 1の二つの接点 20， 20の下方位置に備えられている。

[0106] 以上の構成により、ボタン部 131の上面を下方へ凸となるように押下すると、図 16 ( B)に示すように接点 20と接点 24が接触して通信可能な状態となり、押下をやめて開放すると、図 16 (A)に示すように、ボタン部 131の上面が弾性力によって上方へ凸の状態に復帰し、接点 20が接点 24から離れて通信不可の状態となる。

実施例 8

[0107] 図 17は、図 2に示すスぺーサ部材 11と第 2ラミネート部材 15の代わりに使用できる第 3ラミネート部材 25を採用した非接触 ICカード Idの分解斜視図である。すなわち、実施例 8は、実施例 1の非接触 ICカード 1におレ、てスぺーサ部材 11を省略した変形例である。 [0108] 図 17に示すように、第 3ラミネート部材 25の上面には、ループアンテナ 22を収納する溝 26と、板状部材 6 (切替部 5)を矢印 A方向にのみ往復移動可能に収容するスライド用孔 12aとが設けられている。溝 26は、スライド用孔 12aと連続している。溝 26に収容したループアンテナ 22側の二つの接点 24aはスライド用孔 12a内に設置されている。すなわち、ループアンテナ 22のうち、接点 24aと接続される端部は、スライド用孔 12a内に配置されている。

[0109] また、スライド用孔 12a内に収容される切替部 5には、実施例 1で説明したように IC チップ 21と接点 20とが設けられている。切替部 5がスライド用孔 12a内を矢印 A方向に往復移動することにより、スライド用孔 12a内のループアンテナ 22側の接点 24aと I Cチップ 21側の接点 20とが接続と接続の遮断とを切り替えることができるようになつている。

[0110] 図 17に示す実施例 8のように第 3ラミネート部材 25を構成すると、非接触 ICカードの部品点数を少なくすることができ、組立てが容易になる。さらに、第 1ラミネート部材 2の下面（第 3ラミネート部材 15と対向する側の面）に、第 3ラミネート部材 15の溝 26 と係合する突起又は突条を設けると、溝 26に突起又は突条を一致させるだけで第 1 ラミネート部材 2と第 3ラミネート部材 15とを位置合わせすることができ、非接触 IC力ード Idの組立てを容易に行うことができるようになる。

実施例 9

[0111] 図 18は、非接触 ICカード laを示す斜視図であり、図 19はその分解斜視図、図 20 はブロック図、図 21は拡大断面図である。図 18〜図 20に示す非接触 ICカード laは、図 1に示す一つの ICチップ 21を備えた非接触 ICカード 1の変形例である。図 18〜図 20に示す非接触 ICカード laでは、図 1に示す非接触 ICカード 1と同じ構成には同じ符号を付してあり、ここでは重複する説明を省略する。

[0112] 図 18〜図 20に示すように、非接触 ICカード laには、動作周波数が異なる二つの I Cチップ 21a, 21bと一つのループアンテナ 22とで構成される非接触型 IC媒体 23が搭載されている。

[0113] 非接触 ICカード laには、情報記億部として二つの ICチップ 21a, 21bが設けられており、また、この ICチップ 21a, 21bのどちらに対してループアンテナ 22を接続する力を切り替える切替部 5が備えられている。

[0114] 二つの接点 24, 24の間隔は、第 2ラミネート部材 15の短手方向幅 (矢印 Bで示す方向の幅）と比べて充分小さく構成されており、この実施形態では、 ICチップ 21a， 2 lbの大きさと同程度の間隔に構成されている。また接点 24, 24は、第 2ラミネート部材 15に接着固定され、内側面（図 19の上方）へ突出している。第 2ラミネート部材 15 の外側面である裏面は、印刷等が施された化粧面である。

[0115] スぺーサ部材 11のスライド用穴 12内に収納される切替部 5は、板状部材 6と操作部 7と二つの ICチップ 21a, 21bと各 ICチップに接続される接点 20a, 20bとで構成されている。

[0116] ICチップ 21a， 21bは、板状部材 6の裏面側（第 2ラミネート部材 15側）に、前後方向（矢印 A方向）に並べて接着固定されており、各 ICチップ 21a, 21bの端子力それぞれ接点 20a, 20bに電気的に接続されている。この接点 20a, 20bは、板状部材 6の裏面側に接着固定されており、裏面側へ突出している。接点 20aと接点 20bは、前後方向（矢印 A方向）に一定間隔を隔てて対向配設されており、接点 20aと接点 2 Obの間は通電不能である。

[0117] また、第 1ラミネート部材 2、スぺーサ部材 11、及び第 2ラミネート部材 15は、少なくともスライド用穴 12の周囲については強固に接着固定することが好ましい。これにより、スライド用穴 12の周囲の接着が剥がれて切替部 5が意図しない方向へ移動することや、第 1ラミネート部材 2と第 2ラミネート部材 15とが離間して各接点 20a， 20bが接点 24と接触不良を起こすことを防止できる。

[0118] 図 20は、非接触 ICカード la (非接触 IC媒体 23)のブロック図である。

非接触 ICカード laは、 ICチップ 21a, 21b及びループアンテナ 22で構成されており、ループアンテナ 22の接点 24力 ICチップ 21aの接点 20aと ICチップ 21bの接点 20bのどちらに接続されるかによって、駆動する ICチップを切り替えるように構成されている。

[0119] 仮に、接点 24が接点 20aと接続されると、質問器 80 (図 8)と図 20に示す ICチップ 21aとが通信可能となる。

ここで、 ICチップ 21aは、ループアンテナ 22と並列にキャパシタ 40が接続されている。そして、両接点が接続されると、質問器 80からの質問情報 (すなわちコマンド 43) 力該キャパシタ 40の後段のアナログフロントエンド 39を介して、質問情報の伝送クロック 44と共にコントロールマイクロプロセッサ 46に人力される。

[0120] コントロールマイクロプロセッサ 46は、前記コマンド 43及び伝送クロック 44を受けて、 ROM、 RAM,及び EEPROM等で構成されるメモリ 48に対してデータの読み出しと、必要に応じてデータの書き込みを実行する。メモリ 48に記憶されているデータの機密性を保っために、必要に応じて喑号処理器 47によって暗号化処理を実行するのが好ましい。質問器 80 (図 8)側には、暗号化されたデータを解読する装置（図示せず）が設けてある。そのため、たとえメモリ 48内の機密データが接点 20a側から接点 24側へ送信される途中で漏洩しても、個人情報等の機密データは暗号化されてレ、るので、第三者に認識されることを防止することができる。

[0121] 話が前後するが、コントロールマイクロプロセッサ 46は、変調器 49にデータを送信する。変調器 49は、コントロールマイクロプロセッサ 46から受信したデータをアナログ信号に変調し、アナログフロントエンド 39に送る。このようにして、 ICチップ 21aは、第 1の周波数を用いて動作する第 1機能として、例えばキャッシュカード、クレジットカード、定期券、プリペイドカード、社員証、学生証などのアプリケーション機能を備えることがでさる。

[0122] ICチップ 21bは、動作周波数やアプリケーション機能が異なる以外は、 ICチップ 21 aと同一の構成であるので、重複する説明を省略する。この ICチップ 21bは、 ICチップ 21aと異なる第 2の周波数を用いて動作する第 2機能として、例えばキャッシュカード、クレジットカード、定期券、プリペイドカード、社員証、学生証などのアプリケーション機能のうち ICチップ 21aと異なるアプリケーション機能を備えることができる。

[0123] 以上の構成により、利用者は操作部 7を操作してスライド移動させるだけで、図 18 ( A)に示したように ICチップ 21aを用いて通信する第 1機能実行状態と、図 18 (B)に示したように ICチップ 21bを用いて通信する第 2機能実行状態とを容易に切り替えること力 Sできる。

[0124] つまり、第 1機能実行状態では、図 18 (A)に示すように操作部 7が操作用孔 3の手前側に位置し、図 21 (A)に示すように、接点 20aと接点 24とが接触し、 ICチップ 21a とループアンテナ 22とが電気的に接続される。従って、適宜の質問器からループアンテナ 22が受けた磁界による誘導起電力で ICチップ 21aが駆動でき、また ICチップ 21aがループアンテナ 22を通じて質問器と非接触通信することができる。このとき、接点 20aと接点 24とが互いに突出しているため、電気的な接続を確実に行うことができる。

[0125] 第 2機能実行状態では、図 18(B)に示すように操作部 7が操作用孔 3の奥側に位置し、図 21 (B)に示すように、接点 20bと接点 24とが接触し、 ICチップ 21bとループアンテナ 22とが電気的に接続される。従って、適宜の質問器力ループアンテナ 22 が受けた磁界による誘導起電力で ICチップ 21bが駆動でき、また ICチップ 21bがループアンテナ 22を通じて質問器と非接触通信することができる。このとき、接点 20bと接点 24とが互いに突出しているため、電気的な接続を確実に行うことができる。

[0126] このように、利用者は、第 1機能を実行する第 1機能実行状態と、第 2機能を実行する第 2機能実行状態とを、操作部 7を前後動（矢印 Aで示す方向へ移動）させるという簡単な動作で確実に切り替えることができる。これにより、一つの非接触 ICカード la を第 1機能と第 2機能の二つの用途で使用できる。従って、例えば第 1機能としてドアの開閉機能を設定し、第 2機能として鉄道の自動改札の通過機能を設定して、通常は第 1機能を有効にしておき、鉄道の自動改札を通過するときに第 2機能に切り替えるといった利用が可能になる。ちなみに不使用時には、ループアンテナ 22側の接点 24は、接点 20a， 20bのいずれにも接触させない位置に配置させることによって、スキミングを防止することができる。

[0127] また、非接触 ICカード 1は、平面状の複数の部材を重合配置して切替部 5をスライド移動可能に構成しているため、薄型のカード形状に形成するのが容易であり、安価に製造することができる。

[0128] なお、 ICチップ 21a， 21b側の接点 20a, 20bとループアンテナ 22側の接点 24とをいずれも突出させて形成したが、いずれか一方のみを突出させる、あるいは両方突出させない構成としてもよレ、。この場合でも、接点 20, 24が互いに接触さえすれば電気的に接続されるため、第 1機能と第 2機能の切り替えを実行することができる。

[0129] また、 ICチップ 21a, 21bは二つとしたが、これに限らず三つ以上備えて順次切り替え可能に構成してもよい。この場合、多種類の機能を一つの非接触 ICカード laに持たせること力できる。

[0130] また、接点 24は、接点 20a， 20bのいずれ力と接続を切り替える構成とした力これに加えていずれの接点 20a, 20bとも接続しない非接続状態（すなわち中立状態）にも切替部 5で切り替え可能に構成する。これにより、第 1機能と第 2機能のいずれも使用しない状態にして非通信状態にでき、第 1機能や第 2機能への不正なアクセスを回避すること力 Sできる。

実施例 10

[0131] 図 22は、実施例 10の非接触 ICタグ 9の部分断面図である。

この非接触 ICタグ 9は、実施例 9のスライド方式によって接点 20aと接点 20bのいずれを接点 24と接続させるかを切り替える構成と異なり、押下式によって切り替える構成にしたものであり、実施例 9の非接触 ICカード laより上下の厚みが厚ぐ前後左右の大きさが小さいタグ状のものである。

[0132] この非接触 ICタグ 9は、板状部材 6の上下両側に ICチップ 21a， 21bをそれぞれ配置し、各接点 20a, 20bが切替部 5の一端面で上下に一直線に配置されている。切替部 5と第 2ラミネート部材 15の間には板ばね 19が備えられている。この板ばね 19 は、切替部 5を上方へ付勢する。

[0133] また、切替部 5は、上下面が外装部材 18で覆われ、この外装部材 18と板状部材 6 との問に充填剤 17が充填されている。これにより、 ICチップ 21a, 21bが位置ずれ等しなレ、ように構成されてレ、る。

[0134] 第 1ラミネート部材 2及び切替部 5の上面には、全体を覆う表面シート 16が設けられている。この表面シート 16は、柔軟に変形し、かつ復元する材料で構成されている。その他の構成は、実施例 9の非接触 ICカード laと同一であるので、重複する説明を省略する。

[0135] 以上の構成により、通常状態では図 22 (A)に示すように接点 20bと接点 24とが接続されており、第 2機能実行状態となっている。また、切替部 5を押下した場合は、接点 20aと接点 24とが接続され、第 1機能実行状態となる。このようにして、第 1機能と第 2機能の切り替えが容易に実行できる。 [0136] なお、切替部 5を押下している間のみ第 1機能を実行する構成としているが、押下すると、手を離しても押下状態を維持して第 1機能実行状態を維持し、再度押下すると復帰して第 2機能実行状態に移行する構成にしてもよい。

[0137] さらに、 ICチップ 21aと ICチップ 21bの間に中立位置を設定し、切替部 5を中立位置まで押下げた際に、接点 24に対して接点 20a， 20bのいずれも接続されないように構成すると、不使用時におけるスキミングを防止することができるようになる。すなわち、切替部 5が中立位置にあるときに 1回押下げ操作すると、接点 24は接点 20aと接続され、さらにもう 1回押下げ操作すると切替部 5が非接触 ICタグ 9の表面に最大限に突出して図 22 (A)に示すように接点 24が接点 20bと接続されるように構成する。さらにもう 1度押下げ操作すると、接点 24は中立位置に配置される。このように、押下げ操作することにより、接点 24が順に接点 20a， 20b,及び中立位置に順に配置されるように構成する。

実施例 11

[0138] 図 23は、実施例 11の非接触 ICカード lbの分解斜視図を示す。

この非接触 ICカード lbは、表面シート 31、第 1非接触 ICラベル 32、絶縁シート 33 、第 2非接触 ICラベル 34、及び背面シート 35が上からこの順で重合接着されて構成されている。

[0139] 上面にあたる表面シート 31は、適宜の剛性を有する樹脂等の素材によってカード大に形成されており、印刷等が施された化粧面により表面が構成されている。カード大とは、一般に使用されているキャッシュカードやクレジットカードの大きさを指す。

[0140] 第 1非接触 ICラベル 32は、フィルムにプリント配線したループアンテナ 22aと、 ICチップ 21aとが設けられている。この ICチップ 21aは、例えば 0. 8GHzの周波数帯で通信する第 1機能を備えている。

[0141] 絶縁シート 33は、炭素などの絶縁素材によってカード大に形成されているシートである。

[0142] 第 2非接触 ICラベル 34は、フィルムにプリント配線したループアンテナ 22bと、 ICチップ 21bとが設けられている。この ICチップ 21bは、例えば 13. 56MHzの周波数帯で通信する第 2機能を備えてレ、る。 [0143] 底面にあたる背面シート 35は、適宜の剛性を有する樹脂等の素材によってカード大に形成されており、外側面である裏面に、磁気ストライプ 36を備えている。この裏面の磁気ストライプ 36以外の部分は、印刷等が施された化粧面である。

[0144] 以上の構成により、一つの非接触 ICカード lbに複数の機能を持たせることができる。つまり、複数の非接触 ICラベル（32, 34)を備えることで、第 1機能と第 2機能のそれぞれを前述の異なる周波数によって切り替えて実行することができる。第 1非接触 I Cラベル 32と第 2非接触 ICラベル 34は、絶縁シート 33で分離されているため、互いのループアンテナ 22a, 22bが干渉し合うことを防止できる。

[0145] なお、以上の各実施形態では、非接触 ICカード 1 (la, lb)で説明したが、カード型のものに限らず、携帯電話機に備えた非接触 IC媒体や、紙タイプやシールタイプの非接触 ICタグに備えられた非接触 IC媒体により構成してもよい。この場合でも、同一の作用効果を奏することができる。

実施例 12

[0146] 図 24は、図 19に示すスぺーサ部材 11と第 2ラミネート部材 15の代わりに使用できる第 4ラミネート部材 27を採用した非接触 ICカード leの分解斜視図である。すなわち、実施例 12は、実施例 9の非接触 ICカード lbにおいてスぺーサ部材 11を省略した変形例である。

[0147] 図 24に示すように、第 4ラミネート部材 27の上面には、ループアンテナ 22を収納する溝 28と、板状部材 6 (切替部 5)を矢印 A方向にのみ往復移動可能に収容するスライド用孔 12bとが設けられている。溝 28は、スライド用孔 12bと連続している。溝 28に収容したループアンテナ 22の二つの接点 24aはスライド用孔 12b内に設置されている。すなわち、ループアンテナ 22のうち、接点 24aと接続される端部は、スライド用孔 12b内に配置されている。

[0148] また、スライド用孔 12b内に収容される切替部 5には、実施例 9で説明したように IC チップ 21a, 21bと接点 20a, 20bとが設けられている。切替部 5がスライド用孔 12b内を矢印 A方向に往復移動することにより、スライド用孔 12b内のループアンテナ 22側の接点 24aは、 ICチップ 21a側の接点 20a,又は ICチップ 21b側の接点 20bのいずれカと接続可能となる。すなわち、スライド用孔 12a内に切替部 5が設置されると、切替部 5の接点 20aと接点 20bは、ループアンテナ 22側の二つの接点 24aを挟んで配置される。接点 20aと接点 20bとは所定の距離を置いて切替部 5に設けられており、スライド用孔 12a内の切替部 5をスライドさせ、接点 20aと接点 20bの間に接点 24aがくると、接点 24aは切替部 5側のいずれの接点とも遮断される中立状態となる。

[0149] すなわち、ループアンテナ 22側の接点 24aに ICチップ 21a側の接点 20aが接続される際には、接点 24aと ICチップ 21b側の接点 20bとは必ず遮断される。逆にループアンテナ 22側の接点 24aに ICチップ 21b側の接点 20bが接続される際には、接点 2 4aと ICチップ 21a側の接点 20aとは必ず遮断される。そして、中立状態では、接点 2 4aは、接点 20aと接点 20bのいずれとも遮断され、スキミングを防止することができる

[0150] これにより、非接触 ICカード leを使用すると、 ICチップ 21aと 21bによって二つの異なる用途毎に十分な記憶容量が確保され、良好な利便性を得ることができるようになる。

[0151] また、切替部 5とスライド用孔 12aに指標を設けておき、両方の指標が一致すると中立状態になるようにすると、使用者は中立状態にする操作が容易になり、スキミングを防止すること力 Sできる。

[0152] 図 24に示す実施例 12のように第 4ラミネート部材 27を構成すると、ループアンテナ 22の溝 28に収容した部分は接着する必要がなぐスライド用孔 12a内に配置される部分のみを接着すればよい。また、非接触 ICカードの部品点数を少なくすることができ、組立てが容易になる。

[0153] この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、本発明の切替手段は実施形態の切替部 5に対応し、以下同様に、第 1部材は実施形態の板状部材 6に対応し、磁性部材は金属板 10に対応し、ガイド部はスライドガイド 13に対応し、第 2部材はスぺーサ部材 11に対応し、 ICは ICチップ 21， 21a, 21bに対応し、アンテナはループアンテナ 22, 22a, 22bに対応し、接点は接点 20a， 20bに対応し、共用アンテナはループアンテナ 22に対応し、個別のアンテナはループアンテナ 22a， 22bに対応し、電子機器は携帯電話機 41に対応し、筐体カバーは外力バー 65に対応し、電子機器カバーは外力バー 65を着脱可能に構成した着脱カバーに対応し、制御手段は制御部 70に対応し、入力手段は入力部 73に対応し、出力手段は表示部 74に対応し、電子機器カバーは着せ替えカバー 90に対応し、非接触 IC媒体リーダライタはリ一ダライタ 100に対応し、切替操作手段は電磁石 101または係止ガイド 104に対応し、揷入部は揷入穴 106に対応し、通信部は通信アンテナ 115に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなぐ多くの実施の形態を得ることができる。

Claims

請求の範囲

[1] アンテナと ICとが相対的に移動して両者の接続と遮断とが切り替え可能であることを特徴とする非接触 IC媒体。

[2] アンテナと接続する接点を有する ICと、前記 ICと接続する接点を有するアンテナと

、前記 ICと前記アンテナの互いの接点が電気的に接続された接続状態と互いの接点が電気的に分離された非接続状態とに切り替える切替手段とを備えたことを特徴とする非接触 IC媒体。

[3] 前記 ICを、平面状に形成して両側辺を平行な一直線状に形成した第 1部材に備え、前記第 1部材の両側辺を上記一直線方向にスライド移動可能にガイドするガイド部を有する第 2部材を設け、前記第 1部材と第 2部材とで前記切替手段を構成したことを特徴とする請求項 2に記載の非接触 IC媒体。

[4] 前記 ICを搭載する第 1部材と、前記第 1部材の所定の往復移動を可能にする第 2 部材とを設け、前記第 1部材と第 2部材とで前記切替手段が構成されていることを特徴とする請求項 2に記載の非接触 IC媒体。

[5] 前記第 1部材に、利用者の手動操作による前記スライド移動を許容する操作部を設けたことを特徴とする請求項 3又は請求項 4に記載の非接触 IC媒体。

[6] 読取器に挿入して情報の授受を行う非接触 IC媒体において、非接触 IC媒体を読取器に揷入すると第 1部材が第 2部材に対して磁力で移動し、アンテナと ICとが接続されることを特徴とする請求項 3又は請求項 4に記載の非接触 IC媒体。

[7] 請求項 1乃至請求項 6のいずれか一つに記載の非接触 IC媒体を搭載したことを特徴とする非接触 ICカード。

[8] 利用者による入力を受け付ける入力手段と、該入力に基づいて制御動作を実行する制御手段と、制御に基づいて出力する出力手段とを備えた電子機器であって、請求項 1乃至請求項 6のいずれか一つに記載の非接触 IC媒体を搭載したことを特徴とする電子機器。

[9] 利用者の入力操作を受け付けて該入力に基づく出力を行う電子機器に着脱自在に取り付けられる電子機器カバーに、請求項 1乃至請求項 6のいずれか一つに記載の非接触 IC媒体を搭載したことを特徴とする電子機器カバー。

[10] 非接触 IC媒体の挿入を許容する揷入部と、該揷入部に挿入された前記非接触 IC 媒体に対して非接触通信する通信部とを有する非接触 IC媒体リーダライタであって、前記揷入部に、請求項 1乃至請求項 5のいずれか一つに記載の非接触 IC媒体の切替手段を切替操作して前記 ICと前記アンテナの互いの接点を接続状態と非接続状態とに切り替える切替操作手段を備えたことを特徴とする非接触 IC媒体リーダライタ。

[11] 非接触通信を行うアンテナと、制御動作を行う ICチップとを備えた非接触 IC媒体であって、前記 ICチップを複数搭載したことを特徴とする非接触 IC媒体。

[12] 質問器との間で非接触通信を行うアンテナと、制御動作を行う ICチップとを備えた非接触 IC媒体であって、前記 ICチップを複数搭載しており、前記アンテナは、いずれかの ICチップと選択的に接続する接続状態と、いずれの ICチップとも接続しない遮断状態とを切り替え可能であることを特徴とする非接触 IC媒体。

[13] 前記アンテナを複数の前記 ICチップが共用する共用アンテナで構成したことを特徴とする請求項 11又は請求項 12に記載の非接触 IC媒体。

[14] 前記複数の ICチップに接続用の接点を備え、前記アンテナと接続する ICチップの接点を切り替える切替手段を備えたことを特徴とする請求項 11乃至請求項 13のいずれかに記載の非接触 IC媒体。

[15] 前記複数の ICチップに、それぞれ個別のアンテナを接続したことを特徴とする請求項 11又は請求項 12に記載の非接触 IC媒体。

[16] 前記複数の ICチップの動作周波数が異なることを特徴とする請求項 11乃至請求項 15のいずれか一つに記載の非接触 IC媒体。