明 細 書
積層電子部品
技術分野
[0001] この発明は、積層電子部品に関するもので、特に、積層構造を有する部品本体の 外表面上に内部電極と電気的に接続されるように形成される端子電極の構造に関す るものである。
背景技術
[0002] ICの電源ラインでは、一般に、グラウンドとの間にバイノ スコンデンサを接続するこ とにより、ノイズを除去している。ところで、高密度実装可能とするためにほぼ全面が 電源用導体パターンやグラウンド用導体パターンで覆われているプリント回路基板を 用いた場合、電源とグラウンドとの間で共振現象が発生しやすい。共振現象が発生 すると、放射ノイズが発生することになるため、共振現象を抑制する必要がある。
[0003] ところが、この共振現象を抑制するために、ノ ィパスコンデンサとして積層セラミック コンデンサを用いると、積層セラミックコンデンサは、通常、等価直列抵抗 (ESR)が 数 πι Ωと小さく、自己共振周波数が 1〜: LOOMHz程度であるため、この周波数帯の インピーダンスが小さくなる。その結果、前述の共振現象であって、 1〜: LOOMHz帯 で発生するものにっ 、ては、これを抑えることができな!/、。
[0004] 一般に、積層セラミックコンデンサに対して直列に抵抗を接続すれば、共振現象を 抑制できることが知られている。そして、このように共振現象を抑制できるようにするた め、上述の抵抗を、ディスクリートな部品として積層セラミックコンデンサに接続するの ではなぐ積層セラミックコンデンサ自身の端子電極に組み込むことによって、抵抗を 直列に接続した構造とされた積層セラミックコンデンサが、たとえば特許文献 1および 2に記載されている。特に、特許文献 2では、導電性粒子と硬化型榭脂とを含む抵抗 体ペーストを用いて、端子電極の下地となる抵抗体膜を形成し、その上に電気めつき 膜を形成することが記載されて 、る。
[0005] し力しながら、上記特許文献 2に記載のように、抵抗体膜上に電気めつきを施す場 合、抵抗体膜の体積抵抗率が高いと、電気めつき時の電流が流れにくいため、電気
めっきを施すことが困難である。
[0006] また、抵抗体膜上にめっき膜をたとえ形成できたとしても、めっき膜を均一な厚みで 形成することが困難である。その結果、めっき膜の厚みの薄い箇所力 湿気が浸入し やすくなり、耐湿性が劣化することがある。さらに、めっき膜の厚みが不均一である場 合、抵抗体膜とめっき膜との間の接合力が比較的低ぐ実装工程などにおいて熱が 加わった場合、抵抗体膜とめっき膜との間で剥がれが生じやすぐそのため、抵抗値 の変動が生じやすい。
[0007] なお、以上の説明は、積層セラミックコンデンサについて行なった力 抵抗体膜を 有する端子電極を備える他の積層電子部品においても、同様の問題に遭遇し得る。 特許文献 1 :実開昭 62— 184728号公報
特許文献 2:特開平 11― 283866号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] そこで、この発明の目的は、上述の問題を解決し得る積層電子部品を提供しようと することである。
課題を解決するための手段
[0009] この発明は、チップ状の部品本体と部品本体の外表面上に形成される複数の端子 電極とを備える、積層電子部品に向けられる。部品本体は、複数の絶縁体層と複数 の絶縁体層間の特定の界面に沿って形成されかつ部品本体の外表面上に引き出さ れて特定の端子電極に電気的に接続される内部電極とが積層された積層構造を有 している。
[0010] このような積層電子部品において、この発明では、前述した技術的課題を解決する ため、端子電極の少なくとも 1つは、体積抵抗率が比較的高い抵抗体膜と、この抵抗 体膜を覆 ヽかつ抵抗体膜より低 、体積抵抗率を有する導電性榭脂膜とを備える、抵 抗性端子電極とされることを特徴として ヽる。
[0011] 上述の抵抗性端子電極は、導電性榭脂膜上に電気めつきによって形成されるめつ き膜をさらに備えることが好ましい。
[0012] 部品本体が相対向する 2つの主面とこれら主面間を連結する側面とを有していると
き、抵抗体膜は、側面上の領域にのみ形成され、それによつて、主面上には延びな いようにされ、他方、導電性榭脂膜は、側面上で抵抗体膜を覆いかつその一部が主 面の一部上にまで延びるように形成されることが好ましい。
[0013] この発明の第 1の実施態様では、抵抗体膜は、部品本体の表面に直接形成され、 かつ内部電極に接触している。この場合、抵抗体膜に接触する内部電極は、その端 縁が部品本体の表面力も突出していることが好ましい。また、抵抗体膜が、カーボン 粒子を熱硬化性榭脂に分散させた組成を有する場合、抵抗体膜に接触する内部電 極は、 Ni、 Ag、 Pdもしくは Auまたはこれらの少なくとも 2種カゝらなる合金を導電成分 として含むことが好ましい。
[0014] この発明の第 2の実施態様では、抵抗性端子電極は、抵抗体膜の下に形成される 下地膜をさらに備え、下地膜は、金属焼結体を導電成分として含み、かつ内部電極 に接触している。この第 2の実施形態において、抵抗体膜が、カーボン粒子を熱硬化 性榭脂に分散させた組成を有するとき、下地膜は、 Ni、 Ag、 Pdもしくは Auまたはこ れらの少なくとも 2種力もなる合金を導電成分として含むことが好ましい。また、内部 電極の導電成分は、下地膜の導電成分に含まれる金属と同種の金属を含むことが 好ましい。
[0015] この発明に係る積層電子部品において、抵抗体膜の比抵抗は、 1 X 10"4 Ω ·πι以 上であることが好ましい。
[0016] 他方、導電性榭脂膜の比抵抗は、 1 X 10"4 Ω ·πι未満であることが好ましい。
[0017] この発明において、内部電極が、静電容量を形成するように絶縁体層を介して互い に対向する少なくとも 1対の第 1および第 2の内部電極を備え、端子電極が、第 1の内 部電極に電気的に接続される第 1の端子電極と第 2の内部電極に電気的に接続され る第 2の内部電極とを備えていてもよい。この場合、この発明に係る積層電子部品は 、 CR複合部品を構成する。
発明の効果
[0018] この発明によれば、積層電子部品に備える抵抗性端子電極において、抵抗体膜が 、体積抵抗率の比較的低い導電性榭脂膜によって覆われるので、抵抗性端子電極 に対して、良好な電気めつきが可能な構造を与えることができる。
[0019] したがって、抵抗性端子電極において、導電性榭脂膜上に電気めつきによってめ つき膜が形成されたとき、このめつき膜の厚みを均一なものとすることができる。その ため、積層電子部品の耐湿性を確保できるとともに、たとえば実装工程での熱による 抵抗値の変動を生じさせに《することができる。なお、めっき膜が、たとえば Niのよう な半田の溶融温度では溶融しない金属力 なる層と、その上に形成される、たとえば Snのような半田濡れ性の良好な金属力 なる層との 2層構造を有して 、ると、抵抗性 端子電極において、湿気力ものシール性を確保することができるとともに、半田付け 工程に対する耐熱性を確保することができ、さら〖こ、良好な半田付け性を与えること ができる。
[0020] 部品本体が、相対向する 2つの主面とこれら主面間を連結する側面とを有している 場合において、抵抗体膜が、主面上には延びないように、側面上の領域にのみ形成 され、導電性榭脂膜が、側面上で抵抗体膜を覆いかつその一部が主面の一部上に まで延びるように形成されると、抵抗体膜を外部環境カゝらより遠ざけることができ、耐 、湿'性をより向上させることができる。
[0021] この発明の第 1の実施態様によれば、抵抗体膜が、部品本体の表面に直接形成さ れ、かつ内部電極に接触するようにされるので、抵抗体膜の下に下地膜が形成され る第 2の実施態様に比べて、次のような優れた効果が奏される。
[0022] 第 2の実施態様のように、下地膜を形成する場合には、導電性ペーストの塗布およ び焼付けが適用される力 導電性ペーストの塗布において、特にコーナー部分では 塗布状態のコントロールが難しぐ塗布厚みがばらつく。同様に、抵抗体膜を形成す る場合にも、コーナー部分の塗布状態のコントロールが難しぐ塗布厚みがばらつく。 抵抗値は、抵抗体膜上に形成した導電性榭脂膜と下地膜との間に介在する抵抗体 膜の最も厚みの薄い部分によって支配的に決定されるが、導電性ペーストや抵抗べ 一ストを塗布する場合、一般的にコーナー部分の塗布厚みが最も薄ぐかつ塗布状 態のコントロールが難しいため、コーナー部分での抵抗体膜の厚みばらつきが抵抗 体膜の厚みばらつきが抵抗値に大きな影響を与えることになる。
[0023] これに対して、第 1の実施態様の場合には、内部電極が引き出された側面上に抵 抗体膜が直接形成されるため、側面での塗布状態のコントロールはしゃすくなり、抵
抗体膜の厚みのばらつきが抵抗値に及ぼす影響が少なくなり、抵抗値のばらつきを 抑帘 Uすることができる。
[0024] また、内部電極の引出し面積が抵抗値に影響を及ぼすことになる力 このような内 部電極の引出し面積のばらつきは小さいため、この点においても、抵抗値のばらつき を小さくすることができる。さらに、下地膜の形成のためのコストが不要となる。
[0025] この発明の第 1の実施態様において、抵抗体膜に接触する内部電極の端縁が部 品本体の表面カゝら突出していると、内部電極と抵抗体膜ひいては抵抗性端子電極と の間で信頼性の高い電気的接続状態が得られ、また、製品としての積層電子部品間 での抵抗値のばらつきを抑制することができる。
[0026] この発明の第 1の実施態様にぉ ヽて、抵抗体膜が、カーボン粒子を熱硬化性榭脂 に分散させた組成を有し、内部電極が、 Ni、 Ag、 Pdもしくは Auまたはこれらのうちの 少なくとも 2種力 なる合金を導電成分として含むようにされると、抵抗体膜と内部電 極との間で電池反応が発生することがなぐ界面の接触抵抗が増加する問題に遭遇 することはない。同様に、この発明の第 2の実施態様において、抵抗体膜が、カーボ ン粒子を熱硬化性榭脂に分散させた組成を有し、下地膜が、 Ni、 Ag、 Pdもしくは Au またはこれらのうちの少なくとも 2種力 なる合金を導電成分として含んでいる場合に も、抵抗体膜と下地膜との間で電池反応が発生することがなぐ界面の接触抵抗が 増加する問題に遭遇することはない。
[0027] また、上述のように、内部電極または下地膜の導電成分として、 Ni、 Ag、 Pdまたは Auのような金属が用いられると、抵抗体膜および導電性榭脂膜を形成する際に各々 の榭脂成分を硬化させるために付与される熱による特性変化が生じにくいものとする ことができる。
[0028] この発明の第 2の実施態様において、内部電極の導電成分が、下地膜の導電成分 に含まれる金属と同種の金属を含んでいると、下地膜を形成するための焼成工程に ぉ 、て、異種金属の場合に発生し得る金属の拡散を生じな 、ようにすることができ、 そのため、抵抗値を安定ィ匕させることができる。
[0029] この発明において、抵抗体膜の比抵抗が 1 X 10"4 Ω ·πι以上であると、共振防止用 に十分な抵抗を抵抗性端子電極に確実に与えることができる。
[0030] この発明にお 、て、導電性榭脂膜の比抵抗が 1 X 10"4 Ω ·πι未満であると、良好な めっき付与性を導電性榭脂膜に確実に与えることができる。
[0031] この発明に係る積層電子部品が CR複合部品を構成する場合、この CR複合部品を 電源ラインとグラウンドとの間に挿入するように用いると、 CR複合部品が有する容量 成分による電圧変動抑制効果と抵抗成分による共振抑制効果とが発揮され、電源電 圧の安定ィ匕を図ることができる。
図面の簡単な説明
[0032] [図 1]図 1は、この発明が適用され得る積層電子部品の一例としての 3端子 CR複合 部品 1の一般的な構造を説明するためのもので、 3端子 CR複合部品 1の外観を示す 斜視図である。
[図 2]図 2は、図 1に示した 3端子 CR複合部品 1の内部構造を断面で示す平面図で あり、(a)は、第 1の内部電極 14が位置する面での断面を示し、(b)は、第 2の内部電 極 15が位置する面での断面を示している。
[図 3]図 3は、この発明の第 1の実施形態を説明するためのもので、図 1および図 2に 示した 3端子 CR複合部品 1の主要部を断面で示す正面図である。
[図 4]図 4は、図 3の一部をさらに拡大して断面で示す正面図である。
[図 5]図 5は、この発明の第 2の実施形態を説明するための図 3に対応する図である。
[図 6]図 6は、この発明の第 3の実施形態を説明するための図 1に対応する図である。
[図 7]図 7は、図 6に示した 3端子 CR複合部品 lbについての図 2に対応する図である
[図 8]図 8は、実験例 2において得られためっき付着性に関するデータを示す図であ る。
[図 9]図 9は、実験例 4にお 、て得られた耐湿性に関するデータを示す図である。
[図 10]図 10は、実験例 5において得られた半田溶融温度での耐熱性に関するデー タを示す図である。
符号の説明
[0033] 1, la, lb 3端子 CR複合部品(積層電子部品)
2 部品本体
3, 4 主面
5〜8 側面
9, 10 第 1の端子電極
11, 12 第 2の端子電極
13 絶縁体層
14, 15 内部電極
21 抵抗体膜
22 導電性榭脂膜
23 めっき膜
28 下地膜
発明を実施するための最良の形態
[0034] 図 1および図 2は、この発明に係る積層電子部品の一例としての 3端子 CR複合部 品 1の一般的な構造を説明するためのもので、図 1は、 3端子 CR複合部品 1の外観 を示す斜視図であり、図 2は、 3端子 CR複合部品 1の内部構造を断面で示す平面図 であり、図 2 (a)と同(b)とでは互いに異なる断面を示している。
[0035] 3端子 CR複合部品 1は、チップ状の部品本体 2を備えて 、る。部品本体 2は、相対 向する 2つの主面 3および 4とこれら主面 3および 4間を連結する 4つの側面 5〜8とを 有する直方体状をなしている。部品本体 2の外表面上には、 2つの第 1の端子電極 9 および 10ならびに 2つの第 2の端子電極 11および 12がそれぞれ形成されている。
[0036] より詳細には、一方の第 1の端子電極 9は、部品本体 2の短辺側の一方の側面 5の 中央部において帯状に延びながら、その一部が隣接する主面 3および 4の各一部に まで延びるように形成されている。他方の第 1の端子電極 10は、上記側面 5に対向す る側面 6の中央部において帯状に延びながら、その一部が隣接する主面 3および 4 の各一部にまで延びるように形成されている。
[0037] また、一方の第 2の端子電極 11は、部品本体 2の長辺側の一方の側面 7の中央部 において帯状に延びながら、その一部が隣接する主面 3および 4の各一部にまで延 びるように形成されている。他方の第 2の端子電極 12は、上記側面 7に対向する側面 8の中央部において帯状に延びながら、その一部が隣接する主面 3および 4の各一
部にまで延びるように形成されて 、る。
[0038] 部品本体 2は、図 2に示されているように、たとえば BaTiO系誘電体セラミックのよ
3
うなセラミック力もなる複数の絶縁体層 13を積層した積層構造を有している。部品本 体 2の内部には、複数の絶縁体層 13間の特定の界面に沿って、少なくとも 1対の第 1 および第 2の内部電極 14および 15が設けられている。第 1および第 2の内部電極 14 および 15は、交互に積層され、かつ互いに対向し、この対向によって、静電容量が 形成される。
[0039] なお、図 2 (a)と同(b)とは互いに異なる断面を示していることは前述した力 図 2 (a )は、上述の第 1の内部電極 14が位置する面での断面を示し、同(b)は、上述の第 2 の内部電極 15が位置する面での断面を示している。
[0040] 第 1の内部電極 14は、部品本体 2の短辺側の側面 5および 6上にそれぞれ比較的 細幅の引出し部 16および 17をもって引出されて、前述の第 1の端子電極 9および 10 に電気的に接続される。他方、第 2の内部電極 15は、部品本体 2の長辺側の側面 7 および 8上にそれぞれ比較的細幅の引出し部 18および 19を持って引出されて、前 述の第 2の端子電極 11および 12に電気的に接続される。
[0041] この発明の第 1の実施形態では、以上のような 3端子 CR複合部品 1に備える第 2の 端子電極 11および 12が抵抗性端子電極とされ、これら第 2の端子電極 11および 12 の各々において、図 3に示すような構造が採用される。図 3は、この発明の第 1の実施 形態を説明するためのもので、図 1および図 2を参照して説明した 3端子 CR複合部 品 1の主要部を断面で示す正面図である。また、図 4は、図 3に示した 3端子 CR複合 部品 1の主要部のさらに一部を拡大して示す図である。図 3および図 4において、図 1 および図 2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明 は省略する。
[0042] 図 3および図 4には、一方の第 2の端子電極 11が図示されている。もう一方の第 2の 端子電極 12については図示されないが、この第 2の端子電極 12およびそれに関連 する構成は、図示された端子電極 11の場合と実質的に同様である。したがって、以 下の説明は、図示された第 2の端子電極 11についてのみ行なう。なお、この実施形 態では、第 2の端子電極 11および 12は、グラウンド用端子電極として機能するもので
あり、第 1の端子電極 9および 10は、信号用端子電極として機能するものである。
[0043] 図 3および図 4を参照して、第 2の端子電極 11は、抵抗体膜 21と、この抵抗体膜 21 を覆うように形成される導電性榭脂膜 22と、この導電性榭脂膜 22上に形成されるめ つき膜 23とを備えている。
[0044] 抵抗体膜 21は、比較的高い体積抵抗率を与えるもので、たとえば、カーボン粒子 を熱硬化性榭脂に分散させた組成を有している。抵抗体膜 21の比抵抗は、 1 X 10" 4 Ω 'm以上とされることが好ましい。これによつて、端子電極 11に、共振防止用として 十分な抵抗を確実に与えることができる。また、抵抗体膜 21の比抵抗が 1 X 10"4 Ω · m未満である場合には、その上に導電性榭脂膜 22を形成することの意義が薄れてし まつ。
[0045] 抵抗体膜 21は、この実施形態では、部品本体 2の側面 7上に直接形成され、かつ 内部電極 15に直接接触している。抵抗体膜 21が、前述したように、カーボン粒子を 含んでいる場合には、これに接触する内部電極 15は、 Cuではなぐ Ni、 Ag、 Pdもし くは Auまたはこれらのうちの少なくとも 2種力 なる合金を導電成分として含むことが 好ましい。内部電極 15が Cuを含む場合には、 Cu—カーボン間で電池反応が発生し 、界面の接触抵抗が増加するという問題に遭遇する。これに対して、上述した Ni、 Ag 、 Pdまたは Auといった金属の場合には、上述した電池反応は発生しない。
[0046] また、内部電極 15に含まれる Ni、 Ag、 Pdまたは Auのような金属は、抵抗体膜 20 および導電性榭脂膜 22を形成するにあたって、各々の榭脂成分を硬化させるため に付与される熱に対しても特性変化が生じにく 、と 、う利点も有して 、る。
[0047] また、図 4に示されているように、抵抗体膜 21に接触する内部電極 15は、その引出 し部 18の端縁が部品本体 2の側面 7から突出していることが好ましい。これによつて、 内部電極 15と抵抗体膜 21ひ 、ては端子電極 11との間で信頼性の高 、電気的接続 状態が得られる。なお、内部電極 15の端縁を部品本体 2の側面 7から突出させる方 法にっ 、ては、後述する製造方法の説明にお 、て明らかにする。
[0048] 図 3に示すように、抵抗体膜 21は、側面 7上の領域にのみ形成され、それによつて 、主面 3および 4上には延びないようにされることが好ましい。そして、導電性榭脂膜 2 2は、側面 7上で抵抗体膜 21を覆いかつその一部が主面 3および 4の各一部上にま
で延びるように形成される。これによつて、抵抗体膜 21を外部環境力もより遠ざけるこ とができ、端子電極 11ひ 、ては 3端子 CR複合部品 1の耐湿性をより向上させること ができる。
[0049] 導電性榭脂膜 22は、上述した抵抗体膜 21より低 ヽ体積抵抗率を有して!/、る。好ま しくは、導電性榭脂膜 22の比抵抗は、 1 X 10"4 Ω 'm未満とされる。これによつて、導 電性榭脂膜 22の表面上に、電気めつきによって、めっき膜 23を形成するにあたり、 良好なめっき付与性を確実に与えることができる。導電性榭脂膜 22は、たとえば、 A g粉末のような導電性金属粉末をエポキシ榭脂のような熱硬化性榭脂に分散させた 導電性樹脂から構成される。
[0050] めっき膜 23は、導電性榭脂膜 22上に電気めつきによって形成される。上述したよう に、抵抗体膜 21が、体積抵抗率の比較的低い導電性榭脂膜 22によって覆われるの で、めっき膜 23を形成するための電気めつき工程を良好な状態で実施することがで きる。より具体的には、めっき膜 23を、能率的にかつ均一な厚みをもって形成するこ とがでさる。
[0051] この実施形態では、めっき膜 23は、図 4に示すように、 Ni層 24と、その上に形成さ れる Sn層 25との 2層構造を有して 、る。 Ni層 24は半田の溶融温度では溶融しな!ヽ ようにするためのものであり、 Sn層 25は、良好な半田濡れ性を与えるためのものであ る。このように、めっき膜 23を、 Ni層 24と Sn層 25とからなる 2層構造をもって構成す ると、端子電極 11において、湿気からのシール性を確保することができるとともに、半 田付け工程に対する耐熱性を確保することができ、さらに、良好な半田付与性を与え ることがでさる。
[0052] なお、 Ni層 24を構成する Niおよび Sn層 25を構成する Snは、それぞれ、同様の性 質を有する他の金属に置き換えられてもよ ヽ。
[0053] 次に、 3端子 CR複合部品 1を製造するための方法について説明する。
[0054] まず、絶縁体層 13となるべきセラミックグリーンシートを用意し、特定のセラミックダリ ーンシート上に、導電性ペーストを用いて内部電極 14および 15を形成し、セラミック グリーンシートを積層し、圧着し、必要に応じて、カット工程を実施した後、焼成工程 を実施し、焼結した部品本体 2を得る。
[0055] 次に、部品本体 2の短辺側の側面 5および 6上に、たとえば Cuを導電成分として含 む導電性ペーストを付与し焼成することによって、第 1の端子電極 9および 10を形成 する。
[0056] 次に、部品本体 2の長辺側の側面 7および 8に対してサンドブラスト処理を施す。た とえば、ブラスト粒子を 0. 3MPaの圧力で側面 7および 8に向力つて吹き付ける。この とき、側面 5および 6は、部品本体 2を保持するホルダによって覆われているため、す でに形成された第 1の端子電極 9および 10が不所望にも削られてしまうことはない。 このサンドブラスト処理に際して、内部電極 15に比べて、絶縁体層 13を構成するセ ラミックの方が削れやすいため、内部電極 15の端縁は、図 4に示すように、部品本体 2の側面 7および 8の各々力 突出した状態となる。なお、図 4では、部品本体 2の側 面 8側が図示されて 、な 、が、側面 8側にぉ 、ても、図示した側面 7側と同様の状態 が得られる。
[0057] 次に、部品本体 2の側面 7および 8の各々上に第 2の端子電極 11および 12を形成 するため、まず、抵抗体膜 21を形成する。抵抗体膜 21は、カーボン粒子を、フエノー ル榭脂またはエポキシ榭脂のような熱硬化性榭脂に分散させた状態にあるペースト を塗布し、 240〜310での温度5〜20分間加熱し、ペーストを硬化させることによつ て形成される。
[0058] 次に、抵抗体膜 21を覆うように、導電性榭脂膜 22を形成する。導電性榭脂膜は、 たとえば Ag粉末をエポキシ榭脂のような熱硬化性榭脂に分散させた導電性ペースト を、抵抗体膜 21を覆うように塗布し、 180〜310°Cの温度で 5〜20分間加熱し、この 導電性ペーストを硬化させることによって形成される。なお、導電性榭脂膜 22の厚み は、塗布乾燥後において、 10〜60 /ζ πιとなるようにされる。
[0059] 次に、電気めつきを実施し、導電性榭脂膜 22上にめっき膜 23を形成する。より具体 的には、導電性榭脂膜 22上に、たとえば厚み 0. 7〜8. O /z mの Ni層 24を形成し、 次いで、その上に、厚み 1. 5〜8. O /z mの Sn層 25を形成する。なお、このようなめつ き膜は、第 1の端子電極 9および 10上にも形成される。
[0060] 図 5は、この発明の第 2の実施形態を説明するための図 3に対応する図である。図 5 において、図 3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する
説明は省略する。
[0061] 第 2の実施形態による 3端子 CR複合部品 laにおいては、抵抗性端子電極としての 第 2の端子電極 11および 12が、抵抗体膜 21の下に形成される下地膜 28をさらに備 えていることを特徴としている。なお、図 5には、図 3の場合と同様、一方の第 2の端子 電極 11側の構成のみが図示され、もう一方の第 2の端子電極 12側の構成について は図示されていない。しかしながら、第 2の端子電極 11側の構成と第 2の端子電極 1 2側の構成とは実質的に同様であるので、以下の説明は、図示した第 2の端子電極 1 1側についてのみ行なう。
[0062] 下地膜 28は、金属焼結体を導電成分として含み、かつ第 2の内部電極 15に接触し ている。第 2の実施形態においても、第 1の実施形態の場合と同様、第 2の内部電極 15の端縁が側面 7から突出して 、ることが好ま 、。
[0063] 抵抗体膜 21が、前述したように、カーボン粒子を含む場合、下地膜 28については 、 Ni、 Ag、 Pdもしくは Auまたはこれらのうちに 2種以上力もなる合金を導電成分とし て含むことが好ましい。抵抗体膜 21と下地膜 28との間で電池反応が発生することが なぐ界面の接触抵抗が増加するという問題に遭遇しないためである。また、これらの 金属は、抵抗体膜 21および導電性榭脂膜 22の形成工程等において付与される熱 に対しても実質的な特性変化がない点でも有利である。
[0064] また、下地膜 28の導電成分に含まれる金属と同種の金属が、内部電極 15の導電 成分として含まれて 、ることが好ま 、。下地膜 28を形成するための焼成工程にお いて、異種金属の場合に発生し得る金属の拡散を生じないようにすることができ、抵 抗値を安定ィ匕させることができるためである。
[0065] 下地膜 28は、たとえば、上述のような金属を含む導電性ペーストを部品本体 2の側 面 7および 8上に塗布し、部品本体 2を焼結させるための焼成工程において、上記導 電性ペーストを同時に焼結させることによって形成される。この場合、下地膜 28の表 面が酸ィ匕した場合には、サンドブラスト等によって、酸ィ匕膜を除去すればよい。
[0066] なお、下地膜 28を形成するため、上述した方法に代えて、たとえば Cuを含む導電 性ペーストを塗布し、焼き付けた後、電気めつきを実施し、その上にたとえば Ni膜を 形成するようにしてもよ ヽ。
[0067] 図 6および図 7は、この発明の第 3の実施形態を説明するための図 1および図 2にそ れぞれ対応する図である。図 6および図 7において、図 1および図 2に示した要素に 相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
[0068] 第 3の実施形態による 3端子 CR複合部品 lbでは、第 1の実施形態による 3端子 CR 複合部品 1と比べて、まず、第 1の端子電極 9および 10の形成態様が異なっている。 より詳細には、一方の第 1の端子電極 9は、部品本体 2の短辺側の一方の側面 5の全 面にわたって延びながら、その一部が側面 5に隣接する主面 3および 4ならびに側面 7および 8の各一部にまで延びるように形成されている。他方の第 1の端子電極 10は 、部品本体 2の短辺側の他方の側面 6の全面にわたって延びながら、その一部が側 面 6に隣接する主面 3および 4ならびに側面 7および 8の各一部にまで延びるように形 成されている。
[0069] 第 3の実施形態による 3端子 CR複合部品 lbは、また、第 1の実施形態による 3端子 CR複合部品 1と比較して、第 1の内部電極 14のパターンが異なっている。すなわち 、第 1の内部電極 14は、図 7 (a)に示すように、引出し部 16および 17の部分も含めて 一様な幅をもって部品本体 2の側面 5および 6上に引出されて、上述の第 1の端子電 極 9および 10に電気的に接続される。
[0070] 第 1および第 2の実施形態では、抵抗体膜 21を備える抵抗性端子電極は、第 2の 端子電極 11および 12において採用されたが、第 3の実施形態では、第 1の端子電 極 9および 10が抵抗性端子電極とされることが好ましい。なぜなら、抵抗性端子電極 と電気的に接続される内部電極について、その端縁を部品本体の表面カゝら突出させ るためのサンドブラスト処理は、側面 5および 6に対して施す方がより容易であるため である。すなわち、まず、第 2の端子電極 11および 12を形成した後、サンドブラスト処 理を側面 5および 6に対して実施することは容易である力 逆に、図 6および図 7に示 すような態様で第 1の端子電極 9および 10を形成した後、側面 7および 8に対してサ ンドブラスト処理を施そうとすれば、特別なマスク等を用いない限り、第 1の端子電極 9および 10の、側面 7および 8上に形成された部分が不所望にも削られてしまうから である。
[0071] なお、上記の点を考慮するか、しないかに関わらず、抵抗性端子電極は、第 1ない
し第 3の実施形態において、第 1の端子電極 9および 10と第 2の端子電極 11および 1 2とのいずれに採用されてもよい。また、第 1の端子電極 9および 10のいずれか一方 あるいは第 2の端子電極 11および 12の 、ずれか一方にっ 、て、抵抗性端子電極と なる構成が採用されてもょ 、。
[0072] 以上、この発明が、図 1ないし図 7に示すような 3端子 CR複合部品 1、 laおよび lb に適用された場合について説明したが、この発明は、通常の 2端子の積層セラミック コンデンサにも適用することができ、さらには、コンデンサ以外の機能を備える積層電 子部品にも適用することができる。さらに、セラミック電子部品に限らず、セラミックを 用いない積層電子部品にも適用することができる。
[0073] 次に、この発明による効果を確認するため、またはこの発明におけるより好ましい条 件を求めるために実施した実験例について説明する。
[0074] 1.実験例 1
実験例 1では、セラミック素体上に、表 1に示すような比抵抗を有する抵抗性の下地 膜を 30 mの厚みをもって形成し、電流 Dk値 0. 20AZdm2として、 60分間、バレ ルめっきによる Ni電気めつきを実施し、 Niめっき膜の付着性を評価した。めっき膜が 抵抗性下地膜を完全に覆っていて、この抵抗性下地膜の露出がない状態を、めっき 付着性が良好であると判定した。全試料数 100個において、めっき付着性が不良で あった試料数が表 1に示されて 、る。
[0075] [表 1]
表 1からわ力るように、抵抗性下地膜の比抵抗が 1 X 10"
4 Ω ·πι以上である試料 1 〜3において、めっき付着不良が生じた。このことから、導電性榭脂膜の比抵抗は、 1
X 10"
4 Ω ·πι未満であることが好ましいことがわかる。
[0077] 2.実験例 2
実験例 2では、導電性榭脂膜を形成した実施例と導電性榭脂膜を形成しなかった 比較例との間で、めっき膜の付着性を比較した。
[0078] 実施例および比較例は、ともに、図 6および図 7に示すような構造の 3端子 CR複合 部品 lbを試料とした。部品本体 2の寸法は、 2. OmmX l . 25mm X O. 85mmとした 。第 1の端子電極 9および 10を抵抗性端子電極とし、そこに形成される抵抗体膜の 比抵抗を 5 X 10—3 Ω ·πιとし、その厚みを 30 mとした。
[0079] また、実施例に係る 3端子 CR複合部品 lbでは、上述の抵抗体膜上に、比抵抗が 3
X 10"5 Ω 'mの導電性榭脂膜を形成した。
[0080] 以上のような実施例および比較例の各々に係る試料について、電流 Dk値を 0. 19 A/dm2, 0. 31 A/dm2, 0. 43A/dm2、 0. 55 A/dm2, 0. 63A/dm2と変化さ せ、 70分間、バレルめつきによる Ni電気めつきを実施した。そして、抵抗性端子電極 である第 1の端子電極 9および 10上でのめっき付着性の良否を第 1の実験例の場合 と同様の基準により判定し、全試料数 30個において、めっき付着性が良好な試料数 の比率をめつき良品率として求めた。その結果が図 8に示されている。
[0081] 図 8に示すように、実施例では、すべての電流 Dk値について 100%の良品率が得 られた。これに対して、比較例では、 Dk値をより大きくすることにより、めっき良品率が 上昇したが、めっき良品率が 50%を超えることはな力つた。
[0082] 3.実験例 3
実験例 3では、導電性榭脂膜を形成した実施例と導電性榭脂膜を形成しなかった 比較例との間で、めっき膜の厚みの均一性を比較した。
[0083] 実験例 3では、実験例 2の場合と同じ実施例および比較例の各々に係る試料を用 い、実施例では、電流 Dk値を 0. 28AZdm2とし、比較例では、電流 Dk値を 0. 43A Zdm2とし、その他の条件については実験例 2と同様の条件で電気めつきを実施し、 形成された Niめっき膜を断面研磨し、その厚みをデジタルマイクロスコープ(1000倍 )によって測定した。比較例では、 Niめっき膜が形成されな力つたものもあった力 Ni めっき膜が形成された試料 18個について、その厚みの平均値および標準偏差を求
めた。その結果が表 2に示されている。
[0084] [表 2]
(単位は// m)
[0085] 表 2に示すように、実施例によれば、比較例に比べて、 Niめっき膜のばらつきが格 段に小さ力つた。なお、 Niめっき膜の厚みの平均値については、比較例の方が実施 例より大きくなつている力 これは、めっき膜が形成された試料のみについて、めっき 膜が形成された部分のみの厚みを測定したためである。
[0086] 4.実験例 4
実験例 4では、導電性榭脂膜を形成した実施例と導電性榭脂膜を形成しなかった 比較例との間で、耐湿性を比較した。
[0087] 実験例 4では、実験例 3で作製した実施例および比較例の各々に係る試料と比較 して、抵抗体膜の比抵抗が 3 X 10_3 Ω ·πιであることを除いて、他の条件については 同じ試料を用いた。
[0088] 耐湿性試験は、相対湿度 100%の雰囲気で 4時間放置するスチームエージングを 実施し、このスチームエージング前後での抵抗値の変化を求めた。抵抗値の測定に あたっては、 1ΜΗζ、 lVrmsの条件で、各試料に係る 3端子 CR複合部品の ESRを 測定するようにした。このとき、 ESRの測定は、抵抗体膜が形成された 2つの端子電 極の一方ごとに行なった。また、測定試料数は、実施例および比較例の各々にっき、 10個とした。
[0089] 図 9 (a)には、実施例に係る試料についてのスチームエージング前後の抵抗値が 示され、同(b)には、比較例に係る試料についてのスチームエージング前後の抵抗 値が示されている。
[0090] 比較例では、図 9 (b)に示すように、スチームエージング前後で抵抗値が比較的大
きく変化したのに対し、実施例では、図 9 (a)に示すように、スチームエージングの前 後で抵抗値はわずかに変化したに過ぎな力 た。このことから実施例に係る 3端子 C R複合部品は、優れた耐湿性を有して 、ることがわ力る。
[0091] 5.実験例 5
実験例 5では、導電性榭脂膜を形成した実施例と導電性榭脂膜を形成しなかった 比較例との間で、半田溶融温度での耐熱性を比較した。
[0092] 実験例 5では、上記実験例 4にお 、て用いたのと同様の実施例および比較例の各 々に係る試料を用いた。
[0093] 耐熱性を評価するため、温度 270°Cの溶融半田槽に実施例および比較例の各々 に係る試料を 10秒間浸潰し、この浸潰の前後で抵抗値を測定した。抵抗値の測定 条件は、上記実験例 4の場合と同様である。また、実施例および比較例の各々につ いて、測定試料数を 18個とした。
[0094] 図 10 (a)には、実施例についての溶融半田浸漬前後の抵抗値が示され、同(b)に は、比較例についての溶融半田浸漬前後の抵抗値が示されている。
[0095] 比較例では、図 10 (b)に示すように、溶融半田浸漬前後で抵抗値が比較的大きく 変化しているのに対し、実施例では、図 10 (a)に示すように、溶融半田浸漬前後で 抵抗値がほとんど変化していない。このことから、実施例に係る 3端子 CR複合部品は 、優れた耐熱性を有していることがわかる。
[0096] 6.実験例 6
実験例 6は、内部電極の端縁を突出させるためのサンドブラスト処理による効果を 確認するために実施したものである。
[0097] 前述の実験例 3において作製した実施例に係る試料は、サンドブラスト処理を施し たものであつたが、これと同様のサンドブラスト処理品と、サンドブラスト処理を施さな 力つたことを除いて同様の条件で作製したサンドブラスト非処理品とを用意した。そし て、これらサンドブラスト処理品およびサンドブラスト非処理品の各々について、静電 容量および ESRを測定した。静電容量については、 lkHz、 IVrmsの条件で測定し 、 ESRについては、 lMHz、 IVrmsの条件で測定した。そして、全試料数 30個にお ける平均値および標準偏差を、静電容量および ESRの各々について求めた。その
結果が表 3に示されている。
[0098] [表 3]
[0099] 表 3には、サンドブラスト処理の効果が顕著に現れている。すなわち、静電容量に ついて比較すれば、サンドブラスト非処理品では十分な静電容量が得られず、ばら つきも大き力つた。また、 ESRについて比較すれば、サンドブラスト非処理品では、 E SRが極めて高ぐまた、ばらつきも極めて大き力つた。これに対して、サンドブラスト処 理品によれば、十分な静電容量が得られ、かつ ESRが小さぐまた、これらのばらつ きも小さかった。