WO2006049093A1 - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】シートがフォールドフラットジョイント等の機械装置を備えていて、かつシートクッション周囲の拘束を確保する必要がある場合、サイドエアバッグをいち早くシートクッション近傍に展開膨張させることが可能な車両用サイドエアバッグ装置を提供する。 【解決手段】サイドエアバッグ２は、前方バッグ部４および後方バッグ部５と、当該サイドエアバッグを前方バッグ部と後方バッグ部とに分離するテザー１４と、テザーの下端で前方バッグ部と後方バッグ部とを連通する連通部３と、後方バッグ部の後方かつ上部に設けられ、当該サイドエアバッグをシートバックに取り付ける取り付け部１０と、取り付け部の近傍に設けられ、後方バッグ部にガスを導入するインフレータ９とを備える。                                                                                 

Description

車両用サイドエアバッグ装置

技術分野

[0001] 本発明は、シートが機械装置、例えばフォールドフラットジョイントを備える構造であ り、かつシートクッション周囲の拘束を確保する必要がある場合に、サイドエアバッグ をいち早くシートクッション近傍に展開膨張させることが可能な車両用サイドエアバッ グ装置に関する。

背景技術

[0002] 特許文献 1は、頭部保護部の乗員頭部に対する位置決めスピードの更なる向上を 企図して、頭部保護部の外縁に沿って形成されたチューブ状の第 1ガス流路と、頭 部保護部及び胸部保護部の境界線に沿って形成される一方、一端が第 1ガス流路 の一端に接続された第 2ガス流路とを有し、第 1ガス流路にインフレ一タカものガスを 導入するガス導入口を形成し、且つ第 2ガス流路に、頭部保護部内へ開口した上部 ガス排出口と、胸部保護部内へ開口した下部ガス排出口を形成した「自動車の側突 用エアバッグ装置」を開示している。

[0003] 特許文献 2は、前方へ完全に展開膨張するよりも先に、上下方向の長さ一杯にエア ノ ッグが展開するように企図したもので、第 1側面パネル、第 2側面パネル、筒状パネ ル、並びに仕切りパネル力 構成され、収縮された状態で収納されるとともに、展開 膨張時には乗員と車両の側部との間に位置される展開膨張可能なエアバッグを備え 、第 1および第 2側面パネルが接合されてエアバッグの外形が形成され、第 1および 第 2側面パネルの後縁同士が接合されてエアバッグの後部が、また第 1および第 2側 面パネルの底縁同士が接合されてエアバッグの底部が形成され、そして、下部がこ れへの展開用ガス導入用インフレータを取り付けるように開放されて、エアバッグの 後部に沿ってエアバッグの底部力 おおよそ上方へ延びる筒部を形成するように、筒 状パネルの両側部が第 1および第 2側面パネルの対応する位置に固定され、そして また、仕切りパネル力 筒部の前方に、上方チャンバおよび下方チャンバとなる部分 を区画するように、第 1および第 2側面パネルおよび筒状パネルに取り付けられたサ イドエアバッグ装置を開示して 、る。

特許文献 1 :特開 2000— 318565号公報

特許文献 2：米国特許第 6270113号明細書

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] この種の車両用サイドエアバッグ装置であって、特に、シートクッション上に設定さ れるヒップポイントを拘束するタイプの場合、シートバック側部の下部に、何らかの機 械装置が設けられた構造であると、次のような課題があった。

[0005] 例えば、周知のフォールドフラットジョイントは、シートバックをシートクッションに対し て平坦に倒すことができるもので、シートバック側部に、シートリクライニング用ジョイン トよりも上方に位置させて取り付けられる。車両用サイドエアバッグ装置のインフレ一 タおよびサイドエアバッグも、シートバック側部に取り付けられる。このため、サイドエ ァバッグおよびインフレータは、フォールドフラットジョイントの設置により、フォールド フラットジョイントよりも高い、シートクッション力も遠隔な高さ位置でシートバックに取り 付けられる。サイドエアバッグとこれによつて拘束すべきシートクッション周囲との距離 が長くなるため、展開膨張によってサイドエアバッグ力 Sヒップポイントに到達するまで の時間が遅くなるという問題があった。

[0006] また、サイドエアバッグをヒップポイントにいち早く到達させるために、インフレータの ガスは主として、下方に吹き出される力 フォールドフラットジョイントがサイドエアバッ グゃインフレータの直下に位置するため、サイドエアバッグは、フォールドフラットジョ イントを避ける形状に形成することが好ましい。しかしながら、このような形状にすると 、ガスはサイドエアバッグの形態に従ってフォールドフラットジョイントを避けるように、 下方ではなぐ車両前方へ流れるようになり、これによつてもサイドエアバッグ力ヒップ ポイントに到達するまでの時間が遅くなるという問題があった。

[0007] 本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、シートがフォールドフ ラットジョイントなどの機械装置を備える構造であり、かつシートクッション周囲の拘束 を確保する必要がある場合に、サイドエアバッグをいち早くシートクッション近傍に展 開膨張させることが可能な車両用サイドエアバッグ装置を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段

[0008] 本発明に力かる車両用サイドエアバッグ装置は、シートバック側部の下部に機械装 置が備えられ、当該シートバック側部に前記機械装置の上部に位置させて設けられ るサイドエアノッグであって、前記サイドエアバッグは、前方バッグ部および後方バッ グ部と、当該サイドエアバッグを前記前方バッグ部と前記後方バッグ部とに分離する 分離手段と、前記分離手段の下端で前記前方バッグ部と前記後方バッグ部とを連通 する連通部と、前記後方バッグ部の後方かつ上部に設けられ、当該サイドエアバッグ を前記シートバックに取り付ける取り付け部と、前記取り付け部の近傍に設けられ、前 記後方バッグ部にガスを導入するインフレ一タとを備えたことを特徴とする。

[0009] 前記分離手段は、前記前方バッグ部および前記後方バッグ部のバッグ面同士の少 なくとも一部を縫い合わせで接合する縫合部を有することを特徴とする。

[0010] 前記分離手段は、前記前方バッグ部および前記後方バッグ部のバッグ面同士の少 なくとも一部を形成するテザ一であることを特徴とする。

[0011] 前記分離手段は、前記サイドエアバッグ内部の前方もしくは後方に配置されて前記 前方バッグ部および前記後方バッグ部のいずれか一方を形成するインナーバッグで あり、該インナーバッグには、他方と連通する前記連通路を形成するための連通孔が 形成されることを特徴とする。

[0012] 前記後方バッグ部は、当該後方バッグ部から前記連通部へ向かうガスの流体圧を 該サイドエアバッグ下端部に作用させる下向き流路部を有することを特徴とする。

[0013] 前記分離手段は、前記後方バッグ部内で車両前方へ向力うガスの流れの向きを下 方へ案内するために、上端力 下端にわたって、前記前方バッグ部側へ凸に湾曲す る形態で形成されることを特徴とする。

[0014] 前記後方バッグ部は、前記取り付け部周辺の容量が前記連通部周辺の容量よりも 大きく形成されることを特徴とする。

[0015] 前記機械装置は、フォールドフラットジョイントであることを特徴とする。

発明の効果

[0016] 本発明に力かる車両用サイドエアバッグ装置にあっては、シートが機械装置、例え ばフォールドフラットジョイントを備える構造であり、かつシートクッション周囲の拘束を 確保する必要がある場合に、サイドエアバッグを 、ち早くシートクッション近傍に展開 膨張させることができる。

発明を実施するための最良の形態

[0017] 以下に、本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の好適な実施形態を、添付 図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に力かる車両用サイドエアバッグ装置 は基本的には、図 1に示すように、シートバック lb側部の下部に機械装置としてフォ 一ルドフラットジョイント 8が備えられ、当該シートバック lb側部にフォールドフラットジ ョイント 8の上部に位置させて設けられるサイドエアバッグ 2であって、サイドエアバッ グ 2は、前方バッグ部 4および後方バッグ部 5と、当該サイドエアバッグ 2を前方バッグ 部 4と後方バッグ部 5とに分離する分離手段たる縫合部 6と、縫合部 6の下端で前方 ノ ッグ部 4と後方バッグ部 5とを連通する連通部 3と、後方バッグ部 5の後方かつ上部 に設けられ、当該サイドエアバッグ 2をシートバック lbに取り付ける取り付け部 10と、 取り付け部 10の近傍に設けられ、後方バッグ部 5にガスを導入するインフレータ 9とを 備えて構成される。シートバック lbをシートクッション laに対して平坦に倒すことがで きる周知のフォールドフラットジョイント 8は、シートリクライニング用ジョイント 7上方の シートバック lb側部の下部に配置される。本実施形態にあっては、前方とは車両前 方を、後方とは車両後方を、下方とは車両床部側を、上方とは車両天井部側をいう。

[0018] サイドエアバッグ 2は通常時は折り畳んだ状態で、インフレータ 9とともに、取り付け 部 10を介して、フォールドフラットジョイント 8上方のシートバック lb側部に取り付け支 持される。上述したように、サイドエアバッグ 2およびインフレータ 9は、フォールドフラ ットジョイント 8の設置により、このフォールドフラットジョイント 8よりも高い、シートクッシ ヨン laから遠隔な高さ位置で、シートバック lbに取り付けられる。図 1には、展開膨張 した状態のサイドエアバッグ 2が示されている。このサイドエアバッグ 2は、インフレ一 タ 9から導入されるガスにより、取付位置であるシートバック lbから車両前方および車 両床部側へ展開膨張され、シート 1に着座して 、る乗員と車両側部との間のシート側 部に進入し、これにより乗員を保護するようになって!/、る。

[0019] 本実施形態にあっては、サイドエアバッグ 2の車幅方向に互いに向かい合うバッグ 面同士は、サイドエアノッグ下部 2aを除いて、その上端部から下方へわたって縫い 合わされて接合される。この縫い合わせによる縫合部 6により、サイドエアバッグ 2は、 車両前後方向に互いに分離された前方バッグ部 4と後方バッグ部 5とを有する形態に 形成される。換言すれば、前方バッグ部 4および後方バッグ部 5のバッグ面同士の少 なくとも一部を縫い合わせで接合する縫合部 6によって、一体のサイドエアバッグ 2が 構成される。縫合部 6下端より下方の縫い合わせされないシートクッション la近傍の サイドエアバッグ下部 2aは、前方バッグ部 4と後方バッグ部 5とを互いに連通させる連 通部 3として形成される。サイドエアバッグ 2の後方バッグ部 5の後方および上部がシ ートバッグ lbに取り付けられるとともに、インフレータ 9のガスは、後方バッグ部 5から サイドエアバッグ 2内に導入される。

[0020] このような構成により、インフレータ 9から噴出されたガスは、後方バッグ部 5内で縫 合部 6に沿う下方へと導かれる。下方へ導かれるガス流により、サイドエアバッグ 2に は、後方バッグ部 5の展開膨張とともに、当該サイドエアバッグ 2全体を下方へ押し下 げるガスの流体圧が作用し、サイドエアバッグ 2の下方への展開膨張を助長させるこ とができる。従って、インフレータ 9やサイドエアバッグ 2の取付位置を、シートクッショ ン laよりも遠隔な高い位置に設定しても、サイドエアバッグ下部 2aを瞬時にシートタツ シヨン la周辺に展開しつつ到達させることができる。

[0021] サイドエアバッグ下部 2aがシートクッション la周辺に展開し膨張されるようになると、 連通部 3を介して後方バッグ部 5内のガスが前方バッグ部 4へ流入するようになって、 引き続き、前方バッグ部 4が展開膨張する。これによりサイドエアバッグ 2全体が完全 な展開膨張状態となる。シートバック lbへの取り付けで位置保持される後方バック部 5が展開膨張して安定ィ匕した後で、引き続き前方バッグ部 4が展開膨張するので、サ イドエアバッグ 2全体が前方へ浮き上がる傾向も適切に阻止できる。

[0022] 図 2には、本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 2実施形態が示されて いる。第 2実施形態が第 1実施形態と異なる主な点は、サイドエアバッグ 2を前方バッ グ部 4と後方バッグ部 5とに分離する分離手段が、サイドエアバッグ 2内部の前方もし くは後方に配置されて前方バッグ部 4および後方バッグ部 5の 、ずれか一方を形成 するインナーバッグ 11で構成される。前方バッグ部 4または後方バッグ部 5の一方を 形成するインナーバッグ 11には、他方と連通する連通路 3を形成するために、サイド エアバッグ 2内に開放された連通孔 12が形成される。

[0023] 図示例にあっては、インナーバッグ 11は、サイドエアバッグ 2内部の後方に配置さ れて、後方バッグ部 5を形成している。このような構成は、サイドエアバッグ 2を構成す る左右一対のバッグ片間に、袋形態のインナーバッグ 11を挟み込み、挟み込んだ状 態でサイドエアバッグ 2の周縁をインナーノッグ 11とともに一括して縫合すればよい。 これにより、サイドエアバッグ 2に前方バッグ部 4と後方バッグ部 5とが形成される。また 、インナーバッグ 11には、前方バッグ部 4に連通する連通孔 12が形成される。シート クッション la近傍のサイドエアバッグ下部 2aに達したガスは、連通孔 12を介して前方 バッグ部 4に導入される。

[0024] 後方バッグ部 5には、サイドエアバッグ下部 2a近傍まで下方へ向けて形成され、後 方バッグ部 5から連通孔 12へ向力 ガスの流体圧をサイドエアバッグ下部 2aに作用 させる下向き流路部 13を有する。図示例の後方バッグ部 5を形成するインナーバッグ 11では、前方バッグ部 4内に面する前縁 11aがサイドエアバッグ 2上端部からサイド エアバッグ 2前縁部にわたって後方バッグ部 5側へ凸の形態となるように、斜めに傾 斜されている。また、サイドエアバッグ 2の後縁に沿うインナーバッグ 11の後縁 l ibの 形状は、フォールドフラットジョイント 8を迂回するように、車両前方かつ上向きに凸の 形態となるように湾曲形成されている。これにより、インフレータ 9とともに取り付けられ る後方バッグ部 5の上方部と、シートクッション la近傍のサイドエアバッグ下部 2aとな る後方バッグ部 5の下方部とは、比較的大きな容量で形成される。これら上方部と下 方部との間の、一対の凸部に挟まれた部分力 下方部に向けて斜め下向きに傾斜し て形成された下向き流路部 13として構成される。

[0025] このような構成であっても、インフレータ 9のガスは、後方バッグ部 5内で上方部から 下向き流路部 13を介して下方部へと導かれる。下方へ導かれるガス流および下方部 に充満するガスにより、サイドエアバッグ 2には、後方バッグ部 5の展開膨張とともに、 当該サイドエアバッグ 2全体を下方へ押し下げるガスの流体圧が作用し、サイドエア バッグ 2の下方への展開膨張を助長させることができる。

[0026] また、インナーバッグ 11の後縁 l ibの形状力 フォールドフラットジョイント 8を避け る形態であるので、シートクッション la側へ展開膨張するサイドエアバッグ 2とフォー ルドフラットジョイント 8との干渉作用を防止でき、スムーズにサイドエアバッグ 2を展開 膨張させることができる。このようにサイドエアバッグ 2を、フォールドフラットジョイント 8 を避ける形態に形成としても、後方バッグ部 5内のガス流の流体圧の作用により、サイ ドエアバッグ 2が車両前方へ浮き上がることを防止できる。従って、インフレータ 9ゃサ イドエアバッグ 2の取付位置を、シートクッション laよりも遠隔な高 、位置に設定しても 、サイドエアバッグ下部 2aを瞬時にシートクッション la周辺に展開しつつ到達させる ことができる。

[0027] サイドエアバッグ下部 2aがシートクッション la周辺に展開し膨張されるようになると、 上向きの連通孔 12を介して後方バッグ部 5内のガスが前方バッグ部 4へ流入するよう になって、引き続き、前方バッグ部 4が展開膨張する。これによりサイドエアバッグ 2全 体が完全な展開膨張状態となる。

[0028] 図 3には、本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 3実施形態が示されて いる。この実施形態が第 1実施形態と異なる主な点は、前方バッグ部 4と後方バッグ 部 5とを分離する分離手段力 前方バッグ部 4および後方バッグ部 5のバッグ面同士 の少なくとも一部を形成するテザー 14で構成されていることである。テザー 14は、サ イドエアバッグ下部 2aを除いて、その上端部から下方へわたって設けられる。このテ ザ一 14により、サイドエアバッグ 2は、シートクッション la近傍の下部 2aで、テザー 14 によって連結されな 、連通部 3を介して、互いに連通する前方バッグ部 4と後方バッ グ部 5とを有する形態に形成される。

[0029] 図示例にあっては、テザー 14は、サイドエアバッグ 2内に上部後方から下部前方に 向かって斜めにまっすぐ設けられる。このテザー 14の下端とサイドエアバッグ 2の下 端部との間に連通部 3が形成される。テザー 14には、その長さ方向に適宜間隔を隔 てて、連通部 3の寸法よりも小さな寸法の複数の通孔 15が形成されている。サイドエ ァバッグ 2の後縁 2bは、フォールドフラットジョイント 8を迂回することなぐシートクッシ ヨン laに向力つて斜め前方下方へまっすぐ形成されている。従って、連通部 3はサイ ドエアバッグ下部 2aに下向きに形成される。下向き流路部 13は本実施形態では、こ のサイドエアバッグ 2の後縁 2bとテザー 14との間に形成される。

[0030] このような構成であっても、インフレータ 9のガスは、後方バッグ部 5内でテザー 14に 沿う下方へと流通され、この下方へのガス流により、サイドエアバッグ 2には、後方バッ グ部 5の展開膨張とともに、当該サイドエアバッグ 2全体を下方へ押し下げるガスの流 体圧が作用し、サイドエアバッグ 2の下方への展開膨張作用を助長させることができ る。従って、インフレータ 9の取付位置をシートクッション laよりも遠隔な高い位置に設 定しても、サイドエアバッグ下部 2aを瞬時にシートクッション la周辺に展開しつつ到 達させることができる。

[0031] サイドエアバッグ下部 2aがシートクッション la周辺に展開し膨張されるようになると、 連通部 3が下向きであることから、後方バッグ 5内のガスは折り返す流れとなって前方 バッグ部 4へ流入し、引き続き前方バッグ部 4が展開膨張する。これにより、サイドエア ノ ッグ 2全体が完全な展開膨張状態となる。本実施形態では、テザー 14の通孔 15を 介して後方バッグ部 5から前方バッグ部 4へ当該前方バッグ部 4の展開膨張作用の予 圧となるガス流を流入させるようにしていて、前方バッグ部 4の展開作用も円滑ィ匕する ことができる。

[0032] 本実施形態にあっては、互いにまっすぐなテザー 14とサイドエアバッグ後縁 2bとの 間に下向き流路部 13が形成され、かつ連通部 3が下向きであるので、第 2実施形態 がー対の凸部で挟まれた下向き流路 13を備え、かつ連通孔 12が上向きであることと 比べて、下向き展開速度をさらに助長できるとともに、前方への浮き上がり作用をさら に適切に阻止することができる。

[0033] 図 4には、本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 4実施形態が示されて いる。第 3実施形態と異なる主な点は、テザー 14が、後方バッグ部 5内で車両前方へ 向力うガスの流れの向きを下方へ案内するために、上端から下端へわたって前方バ ッグ部 4側へ凸に湾曲する形態で形成されていることである。図示に従えば、テザー 14は、サイドエアバッグ 2の上端部力 前方バッグ部 4側へ緩やかな傾斜で迫り出す 迫り出し部分 14aと、この迫り出し部分 14aの下端力も急な傾斜で下向きに形成され た中間部分 14bと、この中間部分 14bの下端から下向きにまっすぐ形成された下方 部分 14cとを有する。他方、サイドエアバッグ 2の後縁 2bの形態は、フォールドフラット ジョイント 8を迂回するように、車両前方かつ上向きに凸の形態となるように湾曲形成 されている。 [0034] 本実施形態にあっては下向き流路部 13は、下方部分 14cとサイドエアバッグ 2の後 縁 2bとによって形成される。これにより、サイドエアバッグ 2の後縁 2b上方のインフレ ータ 9からのガスは、そのうちの車両前方に向力うガスの流れがテザー 14で遮られつ つ迫り出し部分 14aの形態に沿って下向きに向けられ、さらに中間部分 14bを介して 下方部分 14cでほぼ鉛直下方に向けられてるようになっている。これにより、下方へ 流れるガスだけでなく車両前方へ向くガスの流れも適切に下方へ向けることができる とともに、下向き流路部 13でガスの流れを下方に向けることができ、サイドエアバッグ 下部 2aに流れ込むガスの流れの流体圧でサイドエアバッグ 2を効果的に下向きに展 開膨張させることができ、その後に続く前方バッグ部 4へのガスの流入によるサイドエ ァバッグ 2の前方への浮き上がりも確実に防止できる。

[0035] また、上述したテザー 14とサイドエアバッグ 2の後縁 2bの形態により、取り付け部 10 を介してシートバック lbに支持された後方バッグ部 5は、取り付け部 10周辺の容量が サイドエアバッグ下部 2aの連通部 3周辺の容量よりも大きく形成される。後方バッグ部 5のうち、最初に展開膨張する部分の容量を増大させたことにより、サイドエアバッグ 2 全体の支持剛性が上がり、後方バッグ部 5の展開膨張作用から、それに続く前方バッ グ部 4の展開膨張作用を安定化させることができる。

[0036] そしてこのような構成にあっても、インフレータ 9から噴出されたガスは、テザー 14に 沿う下方へと導かれ、下方へ導かれるガス流により、サイドエアバッグ 2には、後方バ ッグ部 5の展開膨張とともに、当該サイドエアバッグ 2全体を下方へ押し下げるガスの 流体圧が作用し、サイドエアバッグ 2の下方への展開膨張を助長させることができる。 従って、インフレータ 9やサイドエアバッグ 2の取付位置を、シートクッション laよりも遠 隔な高い位置に設定しても、サイドエアバッグ下部 2aを瞬時にシートクッション la周 辺に展開しつつ到達させることができる。

[0037] サイドエアバッグ下部 2aがシートクッション la周辺に展開し膨張されるようになると、 連通部 3を介して後方バッグ部 5内のガスが前方バッグ部 4へ流入するようになって、 引き続き、前方バッグ部 4が展開膨張する。これによりサイドエアバッグ 2全体が完全 な展開膨張状態となる。

[0038] 本発明にお 、て、サイドエアノッグ 2を前方バッグ部 4と後方バッグ部 5とに分離す るとは、 1つのサイドエアバッグ 2から 2つのバッグ部 4, 5を分離形成する場合と、個 々に分離して形成された 2つのバッグ部 4, 5から 1つのサイドエアバッグ 2を形成する 場合の両方を含む。いずれの場合であっても、上述した作用効果を得ることができる 図面の簡単な説明

[0039] [図 1]本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 1実施形態を示す側面図であ る。

[図 2]本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 2実施形態を示すサイドエア バッグの側面図である。

[図 3]本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 3実施形態を示すサイドエア バッグの側面図である。

[図 4]本発明にかかる車両用サイドエアバッグ装置の第 4実施形態を示すサイドエア バッグの側面図である。

符号の説明

[0040] 1 シート

la シートクッション

2 サイドエアバッグ

2a サイドエアバック下部

3 連通部

4 前方バッグ部

5 後方バッグ部

6 縫合部

7 シートリクライニング用ジョイント

8 フォー/レドフラットジョイント

9 インフレータ

11 インナーバッグ

12 連通孔

13 下向き流路部 テザー

Claims

請求の範囲

[1] シートバック側部の下部に機械装置が備えられ、当該シートバック側部に前記機械 装置の上部に位置させて設けられるサイドエアバッグであって、

前記サイドエアバッグは、

前方バッグ部および後方バッグ部と、

当該サイドエアバッグを前記前方バッグ部と前記後方バッグ部とに分離する分離 手段と、

前記分離手段の下端で前記前方バッグ部と前記後方バッグ部とを連通する連通 部と、

前記後方バッグ部の後方かつ上部に設けられ、当該サイドエアバッグを前記シー トバックに取り付ける取り付け部と、

前記取り付け部の近傍に設けられ、前記後方バッグ部にガスを導入するインフレ ータと

を備えたことを特徴とする車両用サイドエアバッグ装置。

[2] 前記分離手段は、前記前方バッグ部および前記後方バッグ部のバッグ面同士の少 なくとも一部を縫 ヽ合わせで接合する縫合部を有することを特徴とする請求項 1に記 載の車両用サイドエアバッグ装置。

[3] 前記分離手段は、前記前方バッグ部および前記後方バッグ部のバッグ面同士の少 なくとも一部を形成するテザ一であることを特徴とする請求項 1または 2に記載の車両 用サイドエアバッグ装置。

[4] 前記分離手段は、前記サイドエアバッグ内部の前方もしくは後方に配置されて前記 前方バッグ部および前記後方バッグ部のいずれか一方を形成するインナーバッグで あり、該インナーバッグには、他方と連通する前記連通路を形成するための連通孔が 形成されることを特徴とする請求項 1に記載の車両用サイドエアバッグ装置。

[5] 前記後方バッグ部は、当該後方バッグ部から前記連通部へ向かうガスの流体圧を 該サイドエアバッグ下端部に作用させる下向き流路部を有することを特徴とする請求 項 1〜4いずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。

[6] 前記分離手段は、前記後方バッグ部内で車両前方へ向力うガスの流れの向きを下 方へ案内するために、上端力 下端にわたって、前記前方バッグ部側へ凸に湾曲す る形態で形成されることを特徴とする請求項 1〜5いずれかの項に記載の車両用サイ ドエアバッグ装置。

[7] 前記後方バッグ部は、前記取り付け部周辺の容量が前記連通部周辺の容量よりも 大きく形成されることを特徴とする請求項 1〜6いずれかの項に記載の車両用サイド エアバッグ装置。

[8] 前記機械装置は、フォールドフラットジョイントであることを特徴とする請求項 1〜7い ずれかの項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。