明 細 書
サイクロフイリンを用いた抗 HCV剤のアツセィ方法
技術分野
[0001] 本発明は、 C型肝炎ウィルス(以下、「HCV」ともいう)の増殖を阻害する抗 HCV剤の アツセィ方法に関し、詳細にはサイクロフィリン B (以下、「CyPB」ともいう)の活性を利 用する抗 HCV剤の非細胞系または細胞系アツセィ方法に関する。
背景技術
[0002] HCVは感染後高率に慢性化し、急性肝炎から経過が遷延して慢性肝炎や肝硬変 に進展する例が多ぐひいては肝癌へと進展する場合もある。
これらの発症を防ぐには感染早期の段階で HCVを体内から完全に排除する必要が ある。抗 HCV治療として従来インターフェロン単独療法が施行され、最近はリバビリン との併用療法などが行われ、全体の著効率は上昇している。しかし、依然として大半 の症例は既存の抗 HCV剤に抵抗性である。
HCVの増殖を阻害する抗 HCV剤のアツセィを行うため、大量かつ半永久的に培養 細胞内で HCV RNAを複製できる画期的なシステム、 HCVレプリコンシステム(非特許 文献 1)が利用されている。しかし、これは、 HCV増殖を完全に再現したものではない 。 HCVレプリコンは、 HCVの構造遺伝子を除去した HCVの非構造部分(NS3, NS4A, NS4B, NS5A, NS5B)を含むミニゲノムを含有する。
[0003] サイクロフィリン (以下、「CyP」とも 、う)は臓器移植の際の拒絶反応を抑える免疫抑 制剤シクロスポリン A (以下、「CsA」ともいう)の細胞内標的蛋白質として知られている 。この CyPは蛋白質のプロリン残基のペプチド結合のシス'トランス異性ィ匕反応を触媒 するぺプチジルプロリル-シス 'トランス-イソメラーゼ(以下、「PPIase」という)としても働 くことが見い出されている。また、 CyPは蛋白質のフォールデイング促進やシャペロン 様機能を有することが見いだされている。 CyPには 10種類以上のサブタイプが存在し 、このうち細胞内における発現量が高いものがサイクロフィリン A (以下、「CyPA」とも いう)と CyPBである。 CyPAは主に細胞質に局在する力 CyPBは主に小胞体に局在 することが知られている。
[0004] HCV陽性患者の治療において、 CsAとインターフェロン a (以下、「IFN a」ともいう) との併用療法が IFN a単独療法よりも有意に抗 HCV効果を有することが示されたが( 非特許文献 2)、その作用機序は不明である。
HCVレプリコン細胞において、 CsAはレプリコン RNA複製と HCV蛋白質発現に対し て抑制効果を有することが示されたが (非特許文献 3)、作用機序は不明である。
CyPBを siRNAにより発現抑制した場合、 HCVレプリコン RNAの複製が低下し、他方 CyPAの場合には RNA複製の低下が殆ど認められな 、ことが示されたが(非特許文 献 4)、その差異の作用機序は不明である。
HCVレプリコン細胞において、 CsAはレプリコン RNA複製を抑制し、他方 FK506は 抑制しないことが示されたが (非特許文献 5)、その差異の作用機序は不明である。
HCV NS5Bは、非細胞系でテンプレート RNA、プライマー RNAおよび Mg2+存在下で プレインキュベーションすることにより RNA依存性 RNA合成酵素(以下、「RdRp」ともい う)活性の上昇、 RdRp反応の 37°Cにおける安定性向上および抗 HCV剤スクリーニン グにおける擬陽性の減少などの効果を得ることが示されているが(特許文献 1)、細胞 内での安定な構造変化に至る機序は不明である。
また、 HCVではない他のウィルスヒト免疫不全ウィルス(以下、「HIV-1」ともいう)に ついて CyP関連として、 CyPAと CyPBは共に in vitroにおいて HIV-1 Gag蛋白質に結 合することが示されているが (非特許文献 6)、 HIV-1感染に対する意義は不明である 。 HIV-lGag蛋白質と結合して HIV-1粒子内に取り込まれるのは CyPBではなく CyPA が主であった (非特許文献 7)。 HIV-1の増殖を促進するのは、 CyPファミリーの中で C yPAのみであった (非特許文献 8)。 CyPAの機能は細胞内で HIV-1が増殖するため に必須であった (非特許文献 9)。これらはいずれも、 HIV-1の増殖に関わりがあるの は CyPBではなく CyPAであることを示唆するものである。
[0005] 特許文献 1: PCT/JP01/02619(WO 01/77371)
非特許文献 l : Lohmann V, et al., Science 285(5424): 110-113, 1999
非特許文献 2 :J.Gastroenterology 2003 38, 567-572
非特許文献 3 : Hepatology 2003, 38, 1282-1288
非特許文献 4 :第 26回日本分子生物学会年会、 2c/lPA-151、 Dec. 10-13, 2003
非特許文献 5 : Biochem.Biophys.Res.Commun. 2004, 313, 42-47
非特許文献 6 : Cell 1993, 73, 1067-1078
非特許文献 7 : Nature 1994, 372, 359-362
非特許文献 8 : EMBO J., 2001, 20, 1300-1309
非特許文献 9 : Nature Med., 2003, 9, 1138-1143
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、抗 HCV剤を探索するための新 ヽアツセィ方法および HCV増殖を再現 できる培養細胞を提供する。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、 CyPBが、 HCVの非構造部分である NS3、 NS4A、 NS4B、 NS5Aおよび NS
5Bのうち、 RNA依存性 RNA合成酵素(RdRp)である NS5Bとのみ結合し、さらに、 CyPB が HCV NS5Bの RNA伸長活性を亢進させるという驚くべき発見を基礎としている。同 じ CyPファミリーである CyPAは NS3、 NS4A、 NS4B、 NS5Aおよび NS5Bのいずれとも結 合しない。
[0008] 即ち、本発明は、
(A) CyPBの存在下で行うことを特徴とする、 HCV RNA複製阻害物質の非細胞系ァ ッセィ方法;
具体的には、
(A- 1) HCV RdRpと CyPBとを接触させ、次!、で被験物質を接触させ、 HCV RdR Pの酵素活性の阻害を検出する、 HCV RNA複製阻害物質の非細胞系アツセィ方法
(A- 2) HCV RdRpと被験物質とを接触させた後に、 CyPBを接触させ、 HCV RdR Pの酵素活性の阻害を検出する、 HCV RNA複製阻害物質の非細胞系アツセィ方法
(A— 3) CyPBと配列表の配列番号: 1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド の結合の阻害を検出する、 HCV RNA複製阻害物質の非細胞系アツセィ方法; (B) CyPBを強制発現させた HCVレプリコン細胞、およびそれを利用する HCVレプリ
コン阻害物質のアツセィ方法;
(C) CyPBを強制発現させた培養細胞、およびそれを利用する HCVレブリコン阻害 物質のアツセィ方法;および
(D) CyPBを含有する、 HCV RdRpの酵素活性亢進剤および HCV RdRpの RNAに対 する結合促進剤;に関する。
発明の効果
[0009] 本発明は、 CyPBが HCVの RdRpである NS5Bと特異的に結合し、さらに CyPBが HCV
NS5Bの RdRp活性を亢進させるという驚くべき発見を基礎とするアツセィ方法であり、 よってこれまで知られていないユニークな HCV RNA複製阻害物質を提供できる。ま た、従来と比較して RNA複製を格段に亢進させ HCV蛋白質産生量をも増加させる H CVレブリコン細胞および HCV増殖を完全に再現し感染機能を有する HCVを産生す る培養細胞を提供できるため、さらに新たな阻害メカニズムを有する抗 HCV剤をアツ セィするために有用である。
図面の簡単な説明
[0010] [図 l]CyPAおよび CyPBと HCV由来の NS3、 NS4A、 NS4B、 NS5A、 NS5Bとの結合実験 の結果を示す図面に代わる写真である。
[図 2]CyPBと HCV由来の NS5B(1- 591)および NS5B(1- 570)との結合実験の結果を示 す図面に代わる写真である。
[図 3]CyPBと HCV NS5Bとの結合に対する CsAの効果を示す図面に代わる写真であ る。
[図 4]HCV NS5Bと polyUとの結合に対する CyPBの効果を示す図面に代わる写真で ある。
[図 5]HCV NS5B(1-591)の伸長活性に対する種々の蛋白質の効果を示すグラフであ る。図中、 5Bは NS5B蛋白質を示す。
[0011] [図 6]HCV RdRp活性に対する CyPAおよび CyPBの効果を示すグラフである。
[図 7]Huh_7細胞と初代肝実質細胞での CyPB発現量の比較を示す図面に代わる写 真である。
[図 8]HCV RdRpによる RNA合成開始反応における CyPBの効果を示すグラフである。
[図 9]HCV RdRpと 1本鎖及び 2本鎖のオリゴヌクレオチドとの結合に対する CyPBの効 果を示す図面に代る写真である。
[図 10]Huh-7レプリコン細胞と CyPBを一過性に発現させた Huh-7レプリコン細胞との CyPB発現量の比較を示す図面に代る写真である。
[0012] [図 ll]Huh-7レプリコン細胞と CyPBを一過性に発現させた Huh-7レプリコン細胞との レプリコン RNA量の比較を示すグラフである。
[図 12]Huh-7細胞と CyPBを安定に発現させた Huh-7細胞との CyPB発現量の比較を 示す図面に代る写真である。
[図 13]293T細胞と CyPBを安定に発現させた 293T細胞との CyPB発現量の比較を示 す図面に代る写真である。
発明を実施するための最良の形態
[0013] (A) CyPBの存在下で行うことを特徴とする、 HCV RNA複製阻害物質の非細胞系ァ ッセィ方法
本発明は、 CyPBの存在下で行うことを特徴とする、 HCV RNA複製阻害物質の非細 胞系アツセィ方法に関する。ここに、非細胞系アツセィ方法とは、細胞を使用しないァ ッセィ方法を意味する。
すなわち、本発明は、 HCVの RNA複製との関連が認められる RdRpと CyPBとの一連 の相互作用に対する被験物質による影響を調べることにより、 HCV RNA複製阻害物 質として有効な物質のアツセィを効率的に行うものである。被験物質による影響は、 被験物質の非存在下の場合を対照として調べるのが好適である。本発明のアツセィ 方法は抗 HCV剤の候補物質の薬理評価やスクリーニングに用いることができる。
[0014] 被験物質は、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物 (低分子化合 物等)、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などのいずれであ つてもよい。またこれらを含む試料であってもよい。
アツセィに際しての条件は、特に制限されないが、反応温度としては約 15°C〜約 50 °Cであり、好ましくは 20°C〜40°Cである。また pH条件としては約 pH6〜約 pH9であり、 好ましくは pH7〜pH8である。
[0015] 本発明において CyPBとは、蛋白質のプロリン残基のペプチド結合のシス'トランス
異性ィ匕反応を触媒する PPIaseとしての、天然の CyPBの性質を有するあらゆるポリべ プチドを意味し、これには例えば、配列番号: 2に示されるアミノ酸配列を有するポリ ペプチド、および当該ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号: 2)において 1つまたは 数個の置換、欠失および Zまたは付カ卩を含むアミノ酸配列を有し、かつ CyPBとして の性質、すなわち PPIase酵素としての性質を備えた改変ポリペプチドが挙げられる。 好ましい改変ポリペプチドは、配列番号: 2に示されるアミノ酸配列を有するポリぺプ チドと機能的に同等の性質を有する当該改変ポリペプチドである。
本発明に使用する CyPBは当業者に周知の手法により組換え的に調製される。 CyP Bの全アミノ酸配列(配列番号: 2)およびそれをコードする DNA配列は GENBANK番 号 NM000942のもとで利用可能である。
実施例 6より、細胞内では、 CyPBが有している PPIase活性が NS5Bの高次構造変化 を触媒するものと考えられる。このことから、細胞内で NS5Bが安定に RNA合成機能を 発揮するためには、 CyPBが NS5Bと結合し、 CyPBの PPIase活性が働く必要があると言 える。
[0016] 「HCV RNA複製阻害物質」とは C型肝炎ウィルス (HCV)RNAの複製の阻害物質で ある。
HCVの細胞への感染および増殖は、 1)吸着、 2)侵入、 3)アンコーティング (脱殻) 、 4)蛋白質の翻訳、 5)プロセッシング、 6) RNA複製、 7)ビリオン形成、 8)放出の過 程を経ることが知られて ヽる。
また、 HCVレブリコン細胞における RNA複製は、上記過程の内、 4)蛋白質の翻訳、 5)プロセッシング、 6) RNA複製の過程を繰り返す。
本発明における「抗 HCV物質」とは、上記 1)〜8)の何れかの過程または複数の過 程に渡って作用することにより、 HCVの感染と増殖を阻害する物質を意味する。 本発明における「HCVレプリコン阻害物質」とは、上記 4)〜6)の何れかの過程また は複数の過程に渡って作用することにより、 HCVレブリコン RNAの複製を阻害する物 質を意味する。
[0017] 上記過程 6)の「RNA複製」は、 1本のプラス鎖 RNA (遺伝子)を铸型として相補する マイナス鎖 RNAを合成して 2本鎖になった RNAを引き剥がし、さらにマイナス鎖 RNA
力もプラス鎖 RNAを合成するという過程を経て行われる。この時、 HCV RNA複製を完 遂する為には、 RNA合成が十分に進み、铸型 RNAと同じ完全長の相補 RNAを合成 することが必要である。ここで、 HCV RNA合成は、 HCV RdRpの RNA合成開始活性と RNA伸長活性により進められる。 HCV RdRpが完全な RdRp活性を発揮する為には、 適正な高次構造を形成し铸型 RNAと複合体形成することが必要である。そして、 HC V RdRpの適正な高次構造の形成の為には、 CyPBが HCV RdRpに接触し PPIaseとし て働くことが必要である。
本発明における「HCV RNA複製阻害物質」とは、 HCV RdRp阻害物質、すなわち R NA合成開始活性の阻害物質および RNA伸長活性の阻害物質だけでなぐ HCV Rd Rpの適正な高次構造形成の阻害物質ゃ铸型 RNAとの複合体形成の阻害物質をも 含む。
[0018] HCVは 1本のプラス鎖 RNAゲノムを有する。 HCVが増殖するためのゲノム複製は上 記の通り、プラス鎖 RNAを铸型としてこれに対応するマイナス鎖 RNAが合成され、さら にマイナス鎖 RNAからプラス鎖 RNAが再合成されることによって行われる。
このプラス鎖 RNAゲノムからは 10種類の蛋白質が産生される力 もっとも 3'側にコー ドされている蛋白質が NS5Bである。 NS5Bは上記 RNA合成反応を触媒する RdRp活性 を有する。本明細書において、用語 NS5Bと RdRpあるいは RNA依存性 RNA合成酵素 とは同義である。
NS5Bの全アミノ酸配列およびそれをコードする DNA配列は GENBANK番号 (AB08 0299)のもとで利用可能である。本発明に使用される NS5Bは当業者に周知の手法に より組換え的に調製される。本発明の HCV RdRp ( = NS5B)には、配列番号: 15に示 されるアミノ酸を有する NS5B、およびそれと同等の RNA伸長反応および RNA合成開 始反応における触媒活性を有するあらゆるポリペプチドが含まれる。
[0019] 本発明は、 CyPBが NS5Bの特定の部位に結合して(実施例 1、 2、 3参照) NS5Bの構 造変化をさせ、 RdRpの RNAに対する結合促進および RdRp活性を上昇させる(実施 例 4、 5、 6参照)という、従来では知られていな力つた本発明者らの新しい知見に基 づく。
[0020] 本発明は一態様として、 HCV RdRpと CyPBを接触させ、次 ヽで被験物質を接触さ
せることにより HCV RdRpの酵素活性を基準として、被験物質の HCV RNA複製阻害 能を決定するアツセィ方法を提供する( (A— 1)アツセィ方法)。
このアツセィ方法を用いれば、 CyPBが RdRpと接触することにより構造変化した後の 機能的に完全な RdRpを用いて HCV RNA複製阻害物質を評価することができる。こ れは従来の機能的に不完全な RdRpを使用した場合よりも、より生体を反映していると 考えられることから新たな抗 HCV剤の探索を可能とする。
本発明のアツセィ方法では、 HCV RdRpの RNA依存性 RNA合成活性を基準として、 被検物質の HCV RNA複製阻害能を評価する。即ち、被験物質非存在下での HCV RdRpの酵素活性よりも該酵素の酵素活性を低下させる物質を、目的とする HCV RN A複製阻害物質として同定する。
[0021] HCV RdRpの RNA依存性 RNA合成活性にはプライマーを要する RNA伸長活性とプ ライマーを要しない RNA合成開始活性があるので、これらの HCV RdRpの RNA依存 性 RNA合成活性を測定する二種類の (A— 1)アツセィ方法が存在する。
具体的には、 RNA伸長反応を利用する (A—1)アツセィ方法として、例えば
(1) HCV RdRp,テンプレート、プライマー、金属イオンおよび CyPBを接触させる工程
(2)上記(1)で得られた混合物に被験物質および NTPを接触させる工程、および
(3)被験物質非存在下での HCV RdRpの RNA伸長活性よりも該酵素の RNA伸長活 性を低下させる物質を同定する工程、を含むアツセィ方法が挙げられる。
テンプレートとしては、例えば poly(rA)、 poly(rG)、 poly(rU)もしくは poly(rC)などの RN Aホモポリマー、または HCVゲノム RNAなどの RNAヘテロポリマーを利用できる。好ま しくは poly(rA) (Amersham Biosciences)である。プライマーとしては一般には、テンプ レートと相補的な配列を有し、長さとしては 2〜20塩基、好ましくは 8〜16塩基のもの を用いる。金属イオンとしては、例えば、 MgCl、 MnClなどが使用できる。好ましくは
2 2
MgClである。 NTPは通常標識して使用する。このとき標識としては、当業者に周知の
2
ものであればよぐ好ましくは32 P、 3Hである。
[0022] RNA合成開始反応を利用する (A— 1)アツセィ方法として、具体的には、 (1) HCV RNA依存性 RNA合成酵素、テンプレート、金属イオンおよびサイクロフィリン Bを接触
させる工程、
(2)上記(1)で得られた混合物に被験物質および NTPを接触させる工程、および
(3)被験物質非存在下での HCV RNA依存性 RNA合成酵素の RNA合成開始活性よ りも該酵素の RNA合成開始活性を低下させる物質を同定する工程、を含むアツセィ 方法がある。
テンプレートとしては、例えば poly(rU)もしくは poly(rC)などの RNAホモポリマー、また は HCVゲノム RNAなどの RNAヘテロポリマーを利用できる。好ましくは poly(rC) (Amer sham Biosciences)である。金属イオンとしては、例えば、 MgCl、 MnClなどが使用で
2 2
きる。好ましくは MgClである。 NTPは通常標識して使用する。このとき標識としては、
2
当業者に周知のものであればよぐ好ましくは32 P、 3Hである。
[0023] 本発明は別の態様として、 HCV RdRpと被験物質とを接触させた後に、 CyPBを接 触させること〖こより、 HCV RdRpの RNA依存性 RNA合成活性を基準として、被験物質 の HCV RNA複製阻害能を決定するアツセィ方法を提供する( (A— 2)アツセィ方法) このアツセィ方法を用いれば、構造変化前の NS5Bに特異的に結合することで、 CyP Bが NS5Bと結合しても、完全な構造変化を妨害する阻害物質の探索が可能である。 その結果として、 HCV RNA複製阻害を評価することができる。
本発明のアツセィ方法では、 HCV RdRpの RNA依存性 RNA合成活性を基準として、 被検物質の HCV RNA複製阻害能を評価する。即ち、被験物質非存在下での HCV RdRpの酵素活性よりも該酵素の酵素活性を低下させる物質を、目的とする HCV RN A複製阻害物質として同定する。
[0024] HCV RdRpの RNA依存性 RNA合成活性にはプライマーを要する RNA伸長活性とプ ライマーを要しない RNA合成開始活性があるので、これらの HCV RdRpの RNA依存 性 RNA合成活性を測定する二種類の (A— 2)アツセィ方法が存在する。
具体的には、 RNA伸長反応を利用する (A— 2)アツセィ方法として、例えば
(1) HCV RdRp,被験物質、テンプレート、プライマーおよび金属イオンを接触させる 工程、
(2)上記(1)で得られた混合物に CyPBおよび NTPを接触させる工程、および
(3)被験物質非存在下での HCV RdRpの RNA伸長活性よりも該酵素の RNA伸長活 性を低下させる物質を同定する工程
を含むアツセィ方法が挙げられる。
テンプレートとしては、例えば poly(rA)、 poly(rG)、 poly(rU)もしくは poly(rC)などの RN Aホモポリマー、または HCVゲノム RNAなどの RNAヘテロポリマーを利用できる。好ま しくは poly(rA) (Amersham Biosciences)である。プライマーとしては一般には、テンプ レートと相補的な配列を有し、長さとしては 2〜20塩基、好ましくは 8〜16塩基のもの を用いる。金属イオンとしては、例えば、 MgCl、 MnClなどが使用できる。好ましくは
2 2
MgClである。 NTPは通常標識して使用する。このとき標識としては、当業者に周知の
2
ものであればよぐ好ましくは32 P、 3Hである。
[0025] RNA合成開始反応を利用する (A— 2)アツセィ方法として、具体的には、
(1) HCV RNA依存性 RNA合成酵素、被験物質、テンプレートおよび金属イオンを接 触させる工程、
(2)上記(1)で得られた混合物に CyPBおよび NTPを接触させる工程、および
(3)被験物質非存在下での HCV RNA依存性 RNA合成酵素の RNA合成開始活性よ りも該酵素の RNA合成開始活性を低下させる物質を同定する工程
を含むアツセィ方法である。
テンプレートとしては、例えば poly(rU)もしくは poly(rC)などの RNAホモポリマー若しく は HCVゲノム RNAなどの RNAヘテロポリマーを利用できる。好ましくは poly(rC) (Amer sham Biosciences)である。金属イオンとしては、例えば、 MgCl、 MnClなどが使用で
2 2
きる。好ましくは MnClである。 NTPは通常標識して使用する。このとき標識としては、
2
当業者に周知のものであればよぐ好ましくは32 P、 3Hである。
[0026] 本発明はさらなる別の態様として、 CyPBと結合することが判明した HCV NS5Bの 571 -591領域のアミノ酸配列(配列表の配列番号: 1)またはその変異配列を含むポリべ プチドを利用し、それに対する結合を阻害する阻害物質のアツセィ方法を提供する( (A— 3)アツセィ方法)。
このアツセィ方法を用いれば、 NS5Bと CyPBとの結合を阻害することにより、細胞内 で NS5Bの機能を安定に発揮させず、 HCV RNA複製を抑制する阻害物質の評価が
可能となる。
[0027] 本発明に使用する配列表の配列番号: 1に示すアミノ酸配列またはその変異配列 を含むポリペプチドにおける「配列表の配列番号: 1に示すアミノ酸配列」は HCV NS5 Bの 571- 591領域のアミノ酸配列である。この部分は、 CyPB力NS5B(1- 591)とは結合 するが、 NS5B(l-570)とは結合しないこと(実施例 2)から、 NS5Bにおける CyPBの結合 部位と考えられる。
配列番号: 1に示すアミノ酸配列の「変異配列」とは、当該アミノ酸配列(配列番号: 1)において 1つまたは数個の置換、欠失および Zまたは付加を含むアミノ酸配列で あって、 CyPBとの結合能を保持しているものを意味する。
本アツセィにおいて使用するポリペプチドは通常、 NS5Bのアミノ酸配列の 571— 591 領域、好ましくは 521— 591領域、より好ましくは 401— 591領域、最も好ましくは 1— 591 領域 (配列番号: 15)のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは、それらの領域のアミ ノ酸配列からなるポリペプチドである。このようなポリペプチドは当業者に周知の手法 により組換え的にまたは合成により調製される。
[0028] より具体的には、本アツセィ方法は、例えば
(1)配列表の配列番号: 1に示すアミノ酸配列またはその変異配列を含む、固相化さ れたポリペプチドと被験物質を接触させる工程、
(2)上記(1)の後に、 CyPBを接触させる工程、
(3)上記(2)の後に、抗 CyPB抗体を接触させる工程、
(4)上記 (3)の後に、標識抗 IgG抗体を接触させる工程、
(5)上記 (4)の後に、標識レベルを測定し、該ポリペプチドと CyPBとの結合量を算出 する工程、および
(6)被験物質非存在下で測定された CyPB量よりも上記 CyPB量を低下させる物質を 同定する工程、を含む方法が挙げられる。
[0029] 抗体の標識には当業者に周知の種々のもの、例えば西洋わさびペルォキシダーゼ
(HRP)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、 j8 - D-ガラクトシダーゼ、グルコースォキシ ダーゼなどを利用できる。好ましくは HRPまたは ALPである。この場合、本アツセィ方 法は、ポリペプチド、被験物質、 CyPB,および抗 CyPB抗体の混合物と HRP標識抗 Ig
G抗体を接触させる工程、得られた混合物と HRPの基質を接触させる工程、次いで吸 光度測定し、 NS5Bと CyPBとの結合量を算出する工程、および被験物質非存在下で 測定された CyPB量よりも上記 CyPB量を低下させる物質を同定する工程を含む。
[0030] あるいは、工程(2)において、 CyPBの代わりに、 CyPBを含む融合蛋白質を使用し ても良い。 CyPBに融合させるものとしては、当業者に周知の種々のもの、例えばダル タチオン S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合蛋白質(MBP)、ヒスチジン-タグ 、プロテイン A、ピオチンなどを利用できる。好ましい融合蛋白質は GST融合 CyPB ( 以下、「GST-CyPB」という)である。 GST-CyPBを使用する場合、一次抗体である抗 C yPB抗体と二次抗体である標識抗 IgG抗体の代わりに HRP標識抗 GST抗体を使用す ることによって、上記工程 (2)と工程 (3)を 1つの工程にまとめることが可能となる。 配列表の配列番号: 1に示すアミノ酸配列またはその変異配列を含むポリペプチド の固相への固相化は当業者に周知の手法により行う。
[0031] (A—1)アツセィ方法は機能的に完全な RdRpに対する阻害物質をアツセィでき、 ( A— 2)アツセィ方法は機能的に不完全な RdRpの構造変化に対する阻害物質をアツ セィでき、そして (A— 3)アツセィ方法は CyPBと NS5Bとの結合に対する阻害物質をァ ッセィできる。このように、(A— 1)、(A— 2)および (A— 3)の各アツセィ方法は、それ ぞれに異なるメカニズムの阻害物質のアツセィ方法である。また、これらのアツセィ方 法により得られる阻害物質は夫々にその働くステージが異なるため、これらの阻害物 質を併用することにより HCV RNA複製阻害の相乗効果が見込まれる。
[0032] 上記の各アツセィ方法 (スクリーニング方法も含む)により同定 (選択)された HCV R NA複製阻害物質は、 HCVの感染 ·増殖の過程における RNA複製阻害のメカニズム により、 HCVの増殖を抑えるための抗 HCV剤の有力な候補となりうる。そのため、本 発明のアツセィ方法は抗 HCV剤のアツセィ方法としても利用することができる。
ここに「抗 HCV剤」とは、 HCVの感染'増殖を阻害するための医薬組成物における 有効成分として利用できる物質を意味する。その医薬組成物の実施態様としては、 本発明により得られた HCV RNA複製阻害物質を単独の有効成分として投与する場 合のみならず、該 HCV RNA複製阻害物質と他の抗ウィルス剤 (インターフェロン、リ バビリン等)と組み合わせて投与する場合も含まれる。また、本発明の医薬組成物の
対象となる疾患としては例えば、 C型肝炎、それに伴う種々の肝疾患 (肝硬変、肝ガ ン等)等が挙げられる力 HCVにより引き起こされる疾患であれば特に限定されない (B) CyPBを強制発現させた HCVレプリコン細胞、およびそれを利用するアツセィ方 法
最近になるまで in vitroあるいは細胞内で HCVの複製増殖を効率良く再現できる系 はな力つた力 近年になり培養細胞内で HCVゲノム様 RNAが持続的に自己複製する 系が確立された(非特許文献 1)。この系を HCVレプリコンシステムと言い、この細胞 は HCVレプリコン細胞と呼ばれている。 HCVレプリコン細胞は、 HCVの構造遺伝子を 除去した HCVの非構造部分(NS3, NS4A, NS4B, NS5A, NS5B)を含むミニゲノムを、 Huh-7細胞をはじめとする培養細胞に導入することにより榭立される。この系を用いる ことにより HCVゲノム複製のレベルを簡便に調べることが可能となる。培養細胞として は、不死化あるいはがん化することにより培養系内で安定的に無限増殖性を獲得し た株化細胞を用いる。具体的には、当業者に周知なものとして、例えば、 H印 G2細胞 、 Huh- 7細胞、 Huh- 6細胞、 Hep3B細胞、 HLE細胞、 HLF細胞、 FLC4細胞、 U20S細 胞、 PH5CH細胞、 IMY細胞、 293細胞、 HeLa細胞、 HeLa S3細胞、 MT- 2細胞、 MT- 4 細胞、 Raji細胞、 Daudi細胞、 Ramos細胞、 JT細胞などを使用する。これらはアメリカン タイプカルチャーコレクション (ATCC)に登録されて!、る。
CyPBは HCV RdRpの酵素活性を上昇させることが判明し (以下の実施例 6参照)、 このこと力 CyPBは HCV RNA複製を亢進させ HCVの増殖に重要な機能を持つこと が予想される。一方、 HCVが増殖できるヒトの初代肝実質細胞は高い CyPB発現量を 示したのに対し、機能的 HCVウィルス粒子の放出がほとんど認められな 、培養細胞 、 Huh-7細胞は低い CyPB発現量し力示さな力つた (以下の実施例 17参照)。これら の結果は、 HCVが細胞内で増殖するためには大量の CyPB発現が必要であることを 示唆している。
よって、 CyPB発現量の少ない HCVレプリコン細胞に CyPBを強制的に大量発現さ せれば、 HCV RdRpの酵素活性が上昇し、 HCVレプリコン RNA複製が亢進されるは ずである。その結果、細胞中で複製されるレブリコン RNAの定量が容易になった、ァ
ッセィの感度、精度および正確度に優れたレブリコン細胞が榭立できる。以上の点で 、従来のレプリコン細胞よりも本発明の HCVレプリコン細胞は有益である。ここに、「Cy PBを強制発現させた」とは、元の HCVレプリコン細胞の発現レベルよりも高いレベル で CyPBを発現するよう人為的に、例えば遺伝子組換え手法により CyPBを強制的に 発現させることを意味する。
[0034] HCVレプリコン細胞に CyPBを強制発現させる方法としては、まず、クロー-ング用 大腸菌、当業者に周知なものとして例えば、 HB101、 JM109、 DH5、 DH5 aなどを使 用し、 CyPBの蛋白質コード領域 (ORF)を挿入した発現用プラスミド DNAを調製する。 次に、得られた CyPB発現用プラスミド DNAを当業者に周知のリボソーム法、リポフエ クシヨン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクト口ポレーシヨン法 等(例えば「Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition」、 2001年、 Cold S pring Harbor Laboratory Pressを参照)により HCVレプリコン細胞にトランスフエタトす る。そして、細胞培養液に抗生物質を添加することにより CyPBを発現している HCVレ プリコン細胞を選択する。抗生物質としては、当業者に周知なものとして、例えば Amp icillin、 Hygromycin B、 Zeocin、 Blasticidn、 Neomycin^ Kanamycin、 Geneticin、 Purom ycinなどを使用する。好ましくは、異なった作用機作の抗生物質の併用により二重選 択が可會な、例えば、 Zeocinと Geneticinの併用、 Zeocinと Hygromycin Bの併用、 Gen eticinと Hygromycin Bの併用などがある。トランスフエタト用のリポフエクシヨン試薬とし ては、当業者に周知なものとして、例えば FuGENE6 (ROCHE)、 Lipofectindnvitrogen )、 DMRIE—し (Invitrogen)、 Lipofectamine(Invitrogen)、 Lipofectamine Plus(Invitrogen) 、 Lipofectamine2000 (Invitrogen)、 Effectene(QIAGEN)、 SuperFect(QIAGEN)、 PolyF ect(QIAGEN)ゝ TransFectin(BIORAD)ゝ siLentFect(BIORAD)ゝ LIPOTAXI(TOYOBO) 、 DOTAP(Biontex)などを使用する。
レブリコン細胞での CyPB蛋白質の発現の有無は当業者に周知な蛋白質同定方法 であるウェスタンブロッテイング法などにより確認できる。
[0035] これらの HCVレブリコン細胞の培養は一般的な条件で行うことが可能であり、一般 的な条件は各種の成書 (例えば「組織培養の技術」、 日本培養学会編、 1982年、朝 倉書店)に記載されている。細胞培養について簡単に説明すると、ダルベッコ変法ィ
一ダル培地や RPMI1640、 F-12等の合成培地力 適宜選択し、必要であれば、ゥシ 血清ゃゥシ胎児血清、グルコースやアミノ酸等を適宜加えてもよい。また各種抗生物 質を添加しても良い。ただし、これらの抗生物質を添加した培地は、細胞の維持や継 代時の培地としては適して 、るが、アツセィにお 、て悪影響を及ぼす可能性がある。 従って、本発明のこれらの細胞を用いた抗 HCV剤のアツセィを実施する場合にはこ れらの添加物を含まな 、培地に交換して細胞を培養して行うことが望ま 、。また、 培養温度は 25°C〜37°C付近、炭酸ガス濃度は 5%、細胞の植え込み濃度は 1 X 104〜 3 X 106細胞/ mL、培地交換の頻度は 2〜5日に一度くら!/、を目安に行う。
[0036] これらの HCVレプリコン細胞は、従来の HCVレプリコン細胞と比較して RNA複製が 格段に亢進し、また HCV蛋白質産生量をも増カロしており、遺伝子または蛋白質を高 感度に測定するために利用できる。例えば、この細胞の培養液に被験物質を添加し た状態で培養し、被験物質非存在状態もしくは対照被験物質を添加した状態、と比 較した場合に増減する HCVレブリコン細胞内生物質を指標にすれば、 HCVレブリコ ン阻害物質、ひいては抗 HCV剤の高感度のスクリーニングに利用できる。ここで「HC Vレブリコン細胞内生物質」は内生の蛋白質または遺伝子である。
[0037] 増減する HCVレブリコン細胞内生物質を蛋白質として測定する方法は公知の方法 であるが、抗体などを用いる免疫化学的方法 (ELISA法、免疫組織染色法など)ゃゥ エスタンブロット法その他の適当な測定法があげられる(例えば「Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 3rd Edition」、 2001年、 Cold bpnng Haroor Laboratory Press を参照)。蛋白質を測定する際、蛋白質は、細胞内に含まれるものまたは細胞外に分 泌されるもののいずれであってもよぐさらに両者の合計であってもよい。また、細胞を 適当な緩衝液に懸濁し、超音波または凍結融解などによって細胞を破壊した後、破 砕液中の蛋白質を測定することもできる。必要により、破砕液中の蛋白質を分離精製 した後に、蛋白質の測定を行ってもよい。
[0038] 増減する HCVレブリコン細胞内生物質を遺伝子として測定する方法は公知の方法 であるが、例えば細胞から、総 RNAを抽出して逆転写を行い、測定したい蛋白質をコ ードする cDNA配列力も作製したプライマーを使用して PCRにより該遺伝子の転写産 物量を測定することができる。この場合 ABI PRISM 7700 Sequence Detection System
等の定量的 PCRを用いることが好ましい。このときに用いるプライマーは、細胞工学 別冊 DNAマイクロアレイと最新 PCR法、秀潤社 2003年等の記載に従って測定対象に よって設計 '作製する。また、常法 (分子細胞生物学基礎実験法、南江堂 1994年に 記載)またはそれに準じる方法に従って、該遺伝子をコードする DNAの塩基配列を含 むポリヌクレオチドを標識して作製したプローブを用いたノザンブロッテイング法や DN Aチップを用いる方法等によっても測定できる。
[0039] 本発明の細胞を用いてスクリーニング方法を行う場合、目的物質の選別は、被験物 質を添加した細胞における上記各蛋白質 (遺伝子)の発現レベルが被験物質を添加 しな 、細胞における同蛋白質 (遺伝子)の発現レベルに比して変動することをもって、 当該被験物質を目的物質として選別することができる。例えば、指標とする蛋白質( 遺伝子)発現レベルの変動 (抑制 ·減少または誘導 ·増カロ)の程度としては、被験物質 を添加した細胞における蛋白質 (遺伝子)の発現が被験物質を添加しな 、対照の細 胞での発現量と比較して例えば 10%、好ましくは 30%、特に好ましくは 50%以上の減 少または増加を示す場合、当該被験物質を目的物質として選別することができる。
[0040] 本発明の HCVレプリコン細胞を用いた HCVレプリコン阻害物質のアツセィ方法とし ては、例えば、
(1) CyPBを強制発現させた HCVレブリコン細胞に被験物質を接触させる工程、
(2)上記(1)の後に、複製されたレブリコン RNAを定量する工程、および
(3)被験物質非存在下で測定されたレプリコン RNA量よりも上記レプリコン RNA量を 低下させる物質を同定する工程、
を含む、 HCVレプリコン阻害物質のアツセィ方法が挙げられる。
[0041] 上記のアツセィ方法 (スクリーニング方法も含む)により同定 (選択)された HCVレプリ コン阻害物質は、 HCVの感染 '増殖の過程における、蛋白質翻訳阻害、プロセッシン グ阻害、 RNA複製阻害などのメカニズムにより、 HCVの増殖を抑えるため抗 HCV剤の 有力な候補となりうる。そのため、上記アツセィ方法は抗 HCV剤のアツセィ方法として ち禾 IJ用することがでさる。
ここに「抗 HCV剤」とは、 HCVの感染'増殖を阻害するための医薬組成物における 有効成分として利用できる物質を意味する。その医薬組成物の実施態様としては、
本発明により得られた HCV RNA複製阻害物質を単独の有効成分として投与する場 合のみならず、該 HCV RNA複製阻害物質と他の抗ウィルス剤 (インターフェロン、リ バビリン等)と組み合わせて投与する場合も含まれる。また、本発明の医薬組成物の 対象となる疾患としては例えば、 C型肝炎、それに伴う種々の肝疾患 (肝硬変、肝ガ ン等)等が挙げられる力 HCVにより引き起こされる疾患であれば特に限定されない
[0042] (C) CyPBを強制発現させた培養細胞、およびそれを利用するアツセィ方法
現在までに HCVが感染し長期に渡って安定に増殖できる培養細胞は存在して!/ヽな い。このことは HCV感染症の治療方法の確立、抗 HCV剤、ワクチンの開発研究の障 壁となってきた。しかし、上記の通り、 CyPBが HCV RdRpの酵素活性を上昇させること (以下の実施例 6参照)、および HCVが増殖できるヒトの初代肝実質細胞が高い CyP B発現量を示したのに対し、 HCVが感染増殖できな ヽ Huh-7細胞は低 ヽ CyPB発現 量しか示さな力つたこと(以下の実施例 17参照)を勘案すれば、 CyPB発現量の少な い培養細胞に CyPBを人為的に大量発現させ、 HCVを感染させた後の HCV RdRpの 酵素活性を上昇させ、そして HCV遺伝子 RNAの複製を亢進させることによって、 HCV が増殖する培養細胞が榭立できると考えられる。
[0043] HCVが感染して増殖する培養細胞が榭立できれば、これらの細胞は、 HCVに感染 し HCV増殖を完全に再現し感染機能を有する HCVを産生するため、レブリコン細胞 では不可能であった 1)吸着、 2)侵入、 3)アンコーティング (脱殻)、 4)タンパク質の 翻訳、 5)プロセッシング、 6) RNAの複製、 7)ビリオン形成、 8)放出、の HCV感染のラ ィフサイクルを in vitro実験によって評価することができる。
本発明は、 HCVが感染して増殖する培養細胞の榭立を可能とする「CyPBを強制発 現させた培養細胞」に関する。
[0044] 「培養細胞」とは上記の通り、不死化あるいはがん化することにより培養系内で安定 的に無限増殖性を獲得した株化細胞であり、具体的には当業者に周知である HepG 2細胞、 Huh- 7細胞、 Huh- 6細胞、 Hep3B細胞、 HLE細胞、 HLF細胞、 FLC4細胞、 U2 OS細胞、 PH5CH細胞、 IMY細胞、 293細胞、 HeLa細胞、 HeLa S3細胞、 MT- 2細胞、 MT-4細胞、 Raji細胞、 Daudi細胞、 Ramos細胞、 JT細胞などである。これらはアメリカ
ンタイプカルチャーコレクション (ATCC)に登録されて!、る。
[0045] 「CyPBを強制発現させた」とは、元の培養細胞の発現レベルよりも高 、レベルで Cy PBが発現するよう人為的な手法、例えば遺伝子組換え手法により CyPBを強制的に 発現させることを意味する。
培養細胞に CyPBを強制発現させる方法としては、上記のとおり、当業者に周知のリ ポソーム法、リポフエクシヨン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレ タトロポレーシヨン法等が挙げられる。
[0046] 本発明はさらに、 CyPBを強制発現させた培養細胞に HCVを感染させることにより得 られる、 HCVを産生する培養細胞、および該培養細胞に HCVを感染させることを特 徴とする、 HCVを産生する培養細胞の調製方法に関する。
HCVを産生する培養細胞を得るためには、 HCVを培養細胞に感染させる必要があ る。そのためには、本発明の CyPBを強制発現させた培養細胞をダルベッコ変法ィー ダル培地等の通常の発育培地に播種した後、 HCV感染患者力 得られる血清また は血漿を培養液中に添加し、培養温度は 25〜37°C、好ましくは 37°C付近にて、少な くとも 0.5時間以上、好ましくは 24時間程度培養すれば感染させることが可能となり、 H CVを産生する培養細胞を得ることができる。この際、血清を用いる場合、培養液に対 して容積比で 0.01%〜50%、好ましくは 1%〜5%にて使用し、血漿の場合、培養液 に対して容積比で 0.01%〜2%、好ましくは 0.1%〜0.5%にて使用する。
[0047] 本発明の培養細胞は、抗 HCV物質のアツセィ方法に利用できる。
このときの細胞の培養条件、細胞を用いたアツセィ方法の条件、および増減する細 胞内生物質の測定方法はサイクロフィリン Bを強制発現させたレブリコン細胞を用い た HCVレブリコン阻害物質のアツセィ方法に準ずる。また、本発明の培養細胞は、 H CVを産生できることから、増減する細胞内生物質の測定のみならず、増減する HCV を定量することにより、新たな阻害メカニズムの抗 HCV剤のスクリーニングや評価が可 能になる。このとき、アツセィにおいて増減する HCVの定量方法としては、当業者に 周知のウィルス同定方法による(医学ウィルス学 第 4版 近代出版)。好ましくは、酵 素免疫測定法 (EIA)、蛍光免疫測定法 (FIA)または放射免疫測定法 (RIA)を使用し て HCV抗原を定量する方法や、リアルタイム RT-PCR等を使用して HCV遺伝子のコ
ピー数を計測する方法、若しくはウィルスによる細胞変性効果 (CPE)を観察する方法 などが挙げられる。
[0048] 抗 HCV物質のアツセィ方法の具体的な一例として、
(1) CyPBを強制発現させた培養細胞と被験物質を接触させる工程、
(2)上記(1)の後に、培養細胞と HCVを接触させる工程、
(3)上記(2)の後に、培養細胞力 産生される HCVを定量する工程、および
(4)被験物質非存在下で測定された HCV量よりも上記 HCV量を低下させる物質を同 定する工程、
を含む、抗 HCV物質のアツセィ方法が挙げられる。
[0049] 上記のアツセィ方法 (スクリーニング方法も含む)により同定 (選択)された抗 HCV物 質は、 HCVの感染 '増殖の過程における、吸着阻害、侵入阻害、アンコーティング( 脱殻)阻害、蛋白質翻訳阻害、プロセッシング阻害、 RNA複製阻害、ビリオン形成阻 害、放出阻害などのメカニズムにより、 HCVの増殖を抑えるため抗 HCV剤の有力な 候補となりうる。そのため、上記アツセィ方法は抗 HCV剤のアツセィ方法としても利用 することができる。
ここに「抗 HCV剤」とは、 HCVの感染'増殖を阻害するための医薬組成物における 有効成分として利用できる物質を意味する。その医薬組成物の実施態様としては、 本発明により得られた HCV RNA複製阻害物質を単独の有効成分として投与する場 合のみならず、該 HCV RNA複製阻害物質と他の抗ウィルス剤 (インターフェロン、リ バビリン等)と組み合わせて投与する場合も含まれる。また、本発明の医薬組成物の 対象となる疾患としては例えば、 C型肝炎、それに伴う種々の肝疾患 (肝硬変、肝ガ ン等)等が挙げられる力 HCVにより引き起こされる疾患であれば特に限定されない
[0050] (D) CyPBを含有する、 HCV RdRpの酵素活性亢進剤および HCV RdRpの RNAに対 する結合促進剤
この態様にぉ 、て HCV RdRpの「酵素活性」とは当該酵素における RNA伸長活性 および RNA合成開始活性を意味する。この態様の発明は、 CyPBが HCV RdRpの酵 素活性を亢進させ (実施例 5)、さらに CyPBが NS5Bと RNAとの結合を促進させる(実
施例 4)という本発明者らによる初めての知見に基づく。
この態様において有効成分 CyPBとは、蛋白質のプロリン残基のペプチド結合のシ ス 'トランス異性ィ匕反応を触媒する PPIaseとしての、天然の CyPBの性質を有するあら ゆるポリペプチドを意味し、これには例えば、配列番号: 2に示されるアミノ酸配列を 有するポリペプチド、および当該ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号: 2)において 1つまたは数個の置換、欠失および Zまたは付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ Cy PBとして性質、すなわち PPIase酵素としての性質を備えた改変ポリペプチドが挙げら れる。好ましい改変ポリペプチドは、配列番号: 2に示されるアミノ酸配列を有するポリ ペプチドと機能的に同等の性質を有する当該改変ポリペプチドである。
本発明に使用する CyPBは当業者に周知の手法により組換え的に調製される。 CyP Bの全アミノ酸配列(配列番号: 2)およびそれをコードする DNA配列は GENBANK (番 号 NM000942)のもとで利用可能である。
HCVは生体内では 37°Cで HCV遺伝子 RNAの複製をしているにもかかわらず、非細 胞系アツセィにお 、て HCV RdRp単独では RNA依存性 RNA合成反応を 37°Cで再現 することは困難であることが確認されている。この原因として 37°Cで RdRp活性を安定 に維持することが困難であることが挙げられる。つまり生体内での反応を非細胞系で 再現することは難しい(特許文献 1)。しかし、実施例 1〜6に示すように、 CypBは RdR pが铸型としての RNAと結合するのを促進させ、またその RdRp活性を数倍に増強させ 、 RNA合成反応を安定ィ匕させることができる。よって、 HCV RdRpの RNAに対する結 合促進剤として、もしくは HCV RdRpの酵素活性亢進剤として CypBを、トリスバッファ 一等の適当な担体に溶解させた状態で、もしくはゥシ血清などの適当な安定化剤と 共に反応液中に添加することで、アツセィの感度を上昇させることができる。例えば、 RdRpに関する非細胞系のスクリーニングに試薬として添加することにより、そのスクリ 一-ング系をより高感度にすることが可能となる。
また適当なベクターに組み込んで細胞中に発現させることにより同様の効果が期待 できる。この態様において、本発明は CyPBをコードする DNA配列を含有する、 HCV RdRpの酵素活性亢進剤、および HCV RdRpの RNAに対する結合促進剤を提供する 。当該 DNA配列は通常、プラスミドに組み込まれている。
実施例
[0052] 以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に 制限されるものではない。
[0053] 参考例 1
GST- CyPBの調製
Huh-7細胞 (厚生労働省細胞バンク登録番号: JCRB403)の総 RNAを使用して、 Cy PB領域を含む cDNAを RT- PCRにより作製した。その cDNAを铸型として、 5,- GTTGG ATCCGCCATGCTGCGCCTCTCC- 3,(配列番号: 3)および 5, -GTTGAATTCCTC CTTGGCGATGGCAA-3 ' (配列番号: 4)をプライマーとして PCR増幅を行った。得ら れた PCR産物を制限酵素 BamHIと EcoRIで消化し、結果として得られた CyPB領域を 発現ベクター PGEX-6P1 (Clontech)の BamHIと EcoRIの位置にサブクローユングした。 構築した発現ベクターを使用し、 GST融合した CyPBを大腸菌内で発現させた。細 胞抽出液中の GST- CyPBは、グルタチオンセファロース (amersham)に吸着させ、塩化 ナトリウム(150mM)、ジチオスレィトール(lmM)、 TritonX- 100 (0. 5%)を含むトリ ス塩酸緩衝液(50mM、 pH8. 0)で洗浄し、その後、還元型グルタチオン(lOOmM) 、塩化ナトリウム(150mM)、ジチオスレィトール(lmM)、 TritonX- 100 (0. 5%)を含 むトリス塩酸緩衝液(50mM、 pH8. 0)により溶出させた。これをグリセロール(50%) 、塩化ナトリウム(150mM)、ジチオスレィトール(lmM)、 TritonX- 100 (0. 5%)を含 むトリス塩酸緩衝液(20mM、 pH8. 0)で透析した。精製した GST- CyPB液は、アツセ ィに使用するまで 4°Cまたは 20°Cにて保存した。
なお、 CyPBの発現方法は、この他にバキュロウィルス発現系を使用して昆虫細胞 に発現させる方法でも可能である。
[0054] 参考例 2
GST- CyPAの調製
5, - GTTGGATCCGCCATGGTCAACCCCACCG- 3,(配列番号: 5)と 5, - GTTGA ATTCTTCGAGTTGTCCACAGTC- 3,(配列番号: 6)をプライマーとして PCR増幅を 行う以外は参考例 1記載の手法と同様にして、 CyPA領域を発現する発現ベクターを 作製し、 GST融合した CyPAを大腸菌内で発現させた。
[0055] 参考例 3
HCV RdRpの調製
HCV感染者血漿から分離した HCV RNAを使用し、 NS5B領域を含む cDNAを RT-P CRにより作製した。その cDNAを铸型として、 5,- TCTCACGTTGAGTCGTACTCC- 3 ' (配列番号: 7)および 5' -AAAAAAAAAAAGGGATGGCC- 3' (配列番号: 8)をプラ イマ一として PCR増幅を行った。得られた PCR産物を制限酵素 Ndelと Hindlllで消化し 、結果として得られた NS5B領域を発現ベクター pRSET- C (Promega)の BamHIと EcoRI の位置にサブクローユングした。
構築した発現ベクターを使用し、 HCV RdRpを大腸菌内で発現させた。細胞抽出液 中の HCV RdRpは、ァ-オン交換クロマトグラフィー、へパリンァフィ-ティークロマトグ ラフィー、 poly Uァフィユティークロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、ゲ ル濾過クロマトグラフィーを使用して精製した。精製は約 4°Cの低温条件で実施し、精 製過程や保存の時に酵素濃度を調整するために使用する酵素溶解液として、ェチレ ンジァミン四酢酸(ImM)、ジチオスレィトール(10mM)、グリセロール(20%)を含 むトリス緩衝液 (PH7. 5)を使用した。精製した HCV RdRpは、アツセィに使用するま で 4°Cまたは— 20°Cにて保存した。なお、 NS5Bの発現と精製について、当業者に周 知の方法として、例えば、ヒスチジン-タグを標識した NS5Bを発現させ、ニッケルキレ ートカラムを使用して精製する方法も可能である。
[0056] 参考例
GST-CyPB Δ PPIの調製
CyPBの PPIase活性を失活させた変異体である CyPB Δ PPIは、オーバーラッピングミ ユータジエネシス法により CyPBの 95番目アルギニンと 100番目フエ-ルァラニンを両 方共にァラニンに置換し、参考例 1記載の手法と同様にして、 GST融合した CyPB Δ Ρ PIを大腸菌内で発現させた(Mol Cell, 2005, 19, 111-22.)。
[0057] 実施例 1
NS3、 NS4A、 NS4B、 NS5Aおよび NS5Bに対する CyPAおよび CyPBの結合特性
TNT T7 quick coupled transcription— translation system (Promega)を用いてゥサ 網状赤血球溶解物 (rabbit reticulocyte lysate)に Redivue [3 ]メチォニン (amersham)
、および pcDNA— NS3 (panel a)、 pcDNA— NS4A (panel b)、 pcDNA— NS4B (panel c)、 p cDNA- NS5A (panel d)あるいは pcDNA- NS5B (panel e)プラスミドを添カ卩し、 30 °Cで 1. 5時間反応させることにより、放射標識 in vitro合成蛋白質を調製した (すべてのプラス ミドベクターは Invitrogenから購入)。パネル番号および以下のレーン番号は図 1中の ものである。
参考例 2にて調製した GST-CyPA(lane 3)および参考例 1にて調製した GST- CyPB(l ane 4)あるいは同様に調製した GST (lane 2)に各 in vitro合成蛋白質を添カ卩し、 4でで 1時間撹拌した。遠心後、上清を除去し、結合緩衝液 (binding buffer)で 4回洗浄した 。沈殿画分を試料緩衝液(sample buffer: 125 mM Tris- HC1 (pH 6.8), 4 % SDS, 20 % グリセロール, 0.01 %ブロモフエノールブルー, 10 % 2-メルカプトエタノール)に溶解さ せた。 100 °C, 5分で煮沸させたものを泳動試料 (loading sample)とした。
泳動試料あるいは結合反応に用いた in vitro合成蛋白質の 1/10量を試料緩衝液に 溶かしたインプット試料(input sample : lane 1)を SDS- PAGEでサイズ分画したあと、ゲ ルをクーマシーブリリアントブルー(CBB)液 (0.25 % CBB R- 250, 45 %メタノール, 10 %酢酸)で染色した。脱色液 (30 %メタノール, 10 %酢酸)で脱色後、ゲルドライ溶液 (BI 0- RAD)で処理し、ゲル乾燥機中でゲルをろ紙にトランスファーした。ろ紙をイメージ ングプレートに 12時間露光し、得られたイメージングプレートをイメージアナライザー B AS5000 (FUJIFILM)で解析した。
結果、 CyPAは NS3、 NS4A、 NS4B、 NS5Aおよび NS5Bのいずれとも結合せず、他方 、 CyPBは NS5Bとは結合する力 NS3、 NS4A、 NS4Bおよび NS5Aとはいずれとも結合し ないことが判明した(図 1)。
実施例 2
NS5B(1- 591)および NS5B(1- 570)に対する CyPBの結合特性
in vitro合成蛋白質として NS5Bの全読み取り枠を含むもの (NS5B(1-591》 (panel a) と NS5Bの 1から 570アミノ酸領域のみを含むもの (NS5B(1- 570》 (panel b)を用い、実施 例 1に記載の手法に実質的に従い、結合実験を行った。
結果、 CyPBは、 NS5B(1-591)とは結合する力 NS5B(l-570)とは結合しないことが判 明した (図 2)。
[0059] 実施例 3
CyPBと NS5Bとの結合に対する CsAの効果
GST-CyPB液と in vitro合成蛋白質を結合緩衝液内で混ぜる時、これとともに CsAを 終濃度各 0.8 (lane 4), 4 (lane 5), 8 (lane 6), 16 M (lane 7)となるように加える以外は 、実施例 1に記載の手法に実質的に従い、結合実験を行った。結果を図 3に示す。 L ane 3は CsAをカ卩えていない。 Lane 2は GST- CyPBのかわりに GSTを用いたものである これにより、 CyPBと NS5Bとの結合は、 CyPBの PPIase活性阻害物質である CsAにより 阻害されること、および NS5Bと GST- CyPBの結合(レーン 3)は CsAをさまざまな用量 でカロえた場合に CsAの用量を増やして ヽくに従って減弱して!/ヽくことから(レーン 4か ら 7)、その阻害は濃度依存的であること、が判明した (図 3)。
これまでに CsAは HCV複製を抑制することが分かっている。図 3のデータは、 CsAに よる HCVの複製抑制が CsA力 CyPBと NS5Bとの結合を解除することに由来することを 示唆している。つまりこのデータは、 CyPBと NS5Bとの結合が HCV複製に重要であり、 この結合が抗 HCV剤開発の標的となることを裏付ける 1つの証拠である。
[0060] 実施例 4
NS5Bと polyUとの結合に対する CyPBの効果
実施例 1と同様にして放射標識 NS5Bを in vitro合成した。これと実施例 1と同様に調 製した組換え GST(lane 3)あるいは/および GST- CyPB(lane 4から 8)を混ぜ、これに p oly- Uセファロース (amersham) (lane 3から 8)あるいはプロテイン Aセファロース (amersh am) (lane 2)を加えた。レーン番号は図 4中のものである。加えた GST- CyPBの量を図 4に示す。またカ卩えた組換え蛋白質は GSTで補正することによりすべてのレーンで 4 μ Μとした。これらを結合緩衝液内で 4 °Cで 1時間撹拌した後、遠心し、上清を除去し た。結合緩衝液で 4回洗浄した。沈殿画分を試料緩衝液に溶解させ、以下実施例 1と 同様にして結合実験を行った。
結果を図 4に示す。 NS5Bと poly-U RNAとの結合(レーン 3)は、 CyPBをさまざまな量 でカロえた場合に、 CyPBの量を増やして 、くにしたがって増強すること(レーン 4力も 7) が観察された。これにより CyPBは、 NS5Bと RNAとの結合を促進させることが示唆され
た。これは CyPBが NS5Bの RdRp活性を亢進する機序のひとつと考えられ、 CyPBによ る RdRp活性亢進を裏付ける 1つのデータである。
[0061] 実施例 5
HCV RdRp(l- 591)の RNA伸長活性に対する CyPBの効果
参考例 1と同様に調製した GST-CyPB液を遠心し、上清を除去した。沈殿画分に 10 0 mMダルタチオン溶液 (pH 8.0)を加え、 4 °Cで 16時間撹拌した。これを遠心し、上清 を CyP緩衝液 (20 mM Tris— HCl (pH 8.0), 150 mM NaCl, 50 %グリセロール, 0.5 %ト リトン X-100, 1 mM DTT)を用いて 2回透析した。結果的に調製されたものを CyPB蛋 白質液とした。
参考例 3で調製した HCV RdRp 50 ng、 CyPB 500 ngをポリメラーゼ反応緩衝液 (10 μ g/mL poly- A, 0.1 μ g/mL oligo- U, 0.85 μ M UTP, 4 ^ Ci [ a - 32P] UTP (Amersha m), 20 mM Tris— HCl (pH 7.5), 5 mM MgCl , 25 mM KCl, 1 mM EDTA)にカロえ、全量
2
40 1の系で 25 °Cで 30分反応させた (lane 3)。また CyPBをカ卩えないもの (lane 2)、 CyP Bのかわりに GST (lane 4)、あるいは BSA (lane 5)を添カ卩したものを対照として用いた。 NS5Bをカ卩えないもの (lane 1)は基礎対照(basal control)とした。反応後、このうち 20 1を DEAE膜にスポットし、風乾させた。これを 0.5 M Na HPO (pH 7.0)で 3回洗浄した
2 4
後、液体シンチレーシヨンカウンターで放射活性を測定した。
得られた結果を図 5に示す。これより、 CyPBは NS5B(1-591)の伸長活性を亢進させ ることが判明した。
[0062] 実施例 6
HCV RdRp活性に対する CyPAおよび CyPBの効果
完全長の HCV RdRp (NN50-l、 SH591)並びに C末端 51アミノ酸を欠損した HCV R dRp(SH540) (特許文献 1または Protein Expr Purif. 2004 35, 304- 312を参照)を使用 し、 12.5 μ g/mLCyPAまたは 12.5 μ g/mLCyPBを添カ卩した場合の RdRp活性を、 CyP 無添加(一)の場合の RdRp活性を基準として比較した。 RdRp活性は、テンプレートと して poly(rA)、プライマーとして oligo(rU)、基質として32 P-UTPを使用し、生成物に取り 込まれた32 P-UMPの放射活性を測定して求めた。
得られた結果を図 6に示す。完全長の HCV RdRpは何れのクローンも、 CyPAまたは
CyPB存在下では 2倍以上の RdRp活性上昇を示した。また、 C末端 51アミノ酸を欠損 した SH540の RdRp活性も、 CyPAまたは CyPB存在下では 3倍以上の RdRp活性上昇 を示した。
CyPAおよび CyPBは PPIase活性を有することが知られている。従って、これらの結果 より、組換え RdRpは、 CyPAおよび CyPBにより RdRp活性の高い成熟した RdRpにフォ 一ルディングされる可能性が示唆される。
上記の結果から、 RdRpに特異的に結合しその RdRp活性を阻害する RdRp阻害物質 を使用すれば、遺伝子 RNAの複製が抑制され、結果として HCVの増殖が阻害される 、と考免られる。
さらには、 NS5B ( = RdRp)はその他の非構造蛋白質と複合体を形成して RNA合成 を進めて!/、るので、 NS5B ( = RdRp)蛋白質自身の RNA合成反応における触媒機能を 直接阻害しなくても、その複合体の形成阻害によっても RNA複製は阻害され、また複 合体の構成蛋白質のどれかの機能を阻害しても RNA複製は阻害される。このように、 結果として HCVの複製を阻害する物質を、「HCV RNA複製阻害物質」と称している。 実施例 7
RdRpと CyPBとの複合体形成後における目的物質のアツセィ(1)
まず、工程 1〜5に使用する水を準備する。使用する水は全てジェチルピロカーボ ネートで RNA分解酵素の失活処理を行う。ジェチルピロカーボネートによる処理は、 ジェチルピロカーボネート (O.lg)を脱イオン水(lOOmL)に溶解後 37°Cで 24時間放 置し、その後 120°Cで 30分間オートクレーブにかけて行う。
工程 1: トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、ジチォス レイトール (5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM)を含有 する緩衝液 I (10.5 μ 1)をポリプロピレン製容器に入れ、ここへ poly(rA)水溶液(100 μ g /mL、 10.5 /z l)と oligo(U)12水溶液(1 /z g/mLゝ 10.5 1)と水(2.74 1)を添加し、緩や かに混和する。ここに、 poly(rA)は、アデ-ル酸のみで構成された単鎖のポリヌクレオ チドであり、テンプレートとして使用する。 oligo(U)12は、ゥリジル酸 12分子のみで構 成された単鎖のオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして使用する。
工程 2 : 次に、 RdRp液(10.5 1)と CyPB (5.26 1)を工程 1の溶液(34.24 1)に添
加し、緩やかに混和する。
工程 3: ジメチルスルホキシドまたは水で溶解した被験物質( 1穴当り 5.26 1)を分 注しておいた 96穴マイクロタイタープレートに、工程 2の溶液(50 1)をカ卩える。 工程 4 : さらに、トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、 ジチオスレィトール(5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM )、 UTP (ゥリジン三りん酸:基質として使用、 2.1 M、含 1 Ci 3H- UTP)を含有する緩 衝液 II (10.6 μ 1)と水(39.4 μ 1)の混合液(50 μ 1)を添加混和し、 25°Cで 30分間酵素 反応を行う。
工程 5 : 酵素反応が 30分経過した時、エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム水溶液 (50mM、 50 1)を添加混合し、酵素反応を停止させる。
工程 6 : 次にセルノヽ一べスターを使用し、ジェチルアミノエチル基を導入したフィ ルター(以下、 DEAE-フィルターマットと略す)上に工程 5のサンプル全量を移した後 、りん酸ナトリウム緩衝液(0.25 M、 pH 7.0)で 10秒間のすすぎ洗いを 2回と脱イオン 水で 10秒間のすすぎ洗いを 1回行う。
工程 7 : すすぎ終えた DEAE-フィルターマットを 95°Cで 15分間乾燥し、液体シン チレータ(10mL)と共にサンプルバッグに入れ密封する。
工程 8: シンチレーシヨンカウンターで放射活性を計測する。
工程 9: 放射活性計測値 (単位; cpm)を以下の計算式に代入して阻害率を求める 阻害率 = 100—(被験物質存在下の計測値 酵素非存在下の計測値)
Z (被験物質非存在下の計測値-酵素非存在下の計測値) X 100 工程 10 : 工程 9で求めた阻害率と使用した被験物質濃度から 50%阻害時の被験 物質濃度 (IC )を求める。
50
実施例 8
RdRpと CyPBとの複合体形成後における目的物質のアツセィ (2)
実施例 7と同様、使用する水は全てジェチルピロカーボネートで RNA分解酵素の失 活処理を行う。
工程 1: トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、ジチォス
レイトール (5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM)を含有 する緩衝液 I (10.5 μ 1)をポリプロピレン製容器に入れ、ここへ poly(rC)水溶液(100 μ g /mL、 10.5 μ 1)と水(13.24 1)を添加し、緩やかに混和する。 poly(rC)はシチジル酸 のみで構成された単鎖のポリヌクレオチドであり、テンプレートとして使用する。
工程 2 : 次に、 RdRp液(10.5 1)とじ ?8 (5.26 1)をェ程1の溶液(34.24 1)に添 加し、緩やかに混和する。
工程 3: ジメチルスルホキシドまたは水で溶解した被験物質( 1穴当り 5.26 1)を分 注しておいた 96穴マイクロタイタープレートに、工程 2の溶液(50 1)をカ卩える。
工程 4 : さらに、トリス塩酸,(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、 ジチオスレィトール(5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM )、 GTP (グアノシン三りん酸;基質として使用、 2.1 M、含 1 Ci 3H- GTP)を含有する 緩衝液 II (10.6 μ 1)と水(39.4 μ 1)の混合液(50 μ 1)を添加混和し、 25°Cで 30分間酵 素反応を行う。
工程 5 : 酵素反応が 30分経過した時、エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム水溶液 (50mM、 50 1)を添加混合し、酵素反応を停止させる。
工程 6 : 次にセルノヽ一べスターを使用し、ジェチルアミノエチル基を導入したフィ ルター(以下、 DEAE-フィルターマットと略す)上に工程 5のサンプル全量を移した後 、りん酸ナトリウム緩衝液(0.25 M、 pH 7.0)で 10秒間のすすぎ洗いを 2回と脱イオン 水で 10秒間のすすぎ洗いを 1回行う。
工程 7 : すすぎ終えた DEAE-フィルターマットを 95°Cで 15分間乾燥し、液体シン チレータ(10mL)と共にサンプルバッグに入れ密封する。
工程 8: シンチレーシヨンカウンターで放射活性を計測する。
工程 9: 放射活性計測値 (単位; cpm)を以下の計算式に代入して阻害率を求める 阻害率 = 100—(被験物質存在下の計測値 酵素非存在下の計測値)
Z (被験物質非存在下の計測値-酵素非存在下の計測値) X 100 工程 10 : 工程 9で求めた阻害率と使用した被験物質濃度から 50%阻害時の被験 物質濃度 (IC )を求める。
実施例 9
RdRpと CyPBとの複合体形成前において RdRpに結合する目的物質のアツセィ(1) 実施例 7と同様、使用する水は全てジェチルピロカーボネートで RNA分解酵素の失 活処理を行う。
工程 1: トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、ジチォス レイトール (5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM)を含有 する緩衝液 I (10.5 μ 1)をポリプロピレン製容器に入れ、ここへ poly(rA)水溶液(100 μ g /mL、 10.5 /z l)と oligo(U)12水溶液(1 /z g/mLゝ 10.5 1)と水(2.74 1)を添加し、緩や かに混和する。ここに、 poly(rA)は、アデ-ル酸のみで構成された単鎖のポリヌクレオ チドであり、テンプレートとして使用する。 oligo(U)12は、ゥリジル酸 12分子のみで構 成された単鎖のオリゴヌクレオチドであり、プライマーとして使用する。
工程 2: ジメチルスルホキシドまたは水で溶解した被験物質( 1穴当り 5.26 1)を分 注しておいた 96穴マイクロタイタープレートに、工程 1の溶液(34.24 μ 1)および RdRp 液(10.5 1)を加える。
工程 3 : 次に、 CyPB (5.26 1)を工程 2の溶液(50 1)に添加し、緩やかに混和す る。
工程 4 : さらに、トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、 ジチオスレィトール(5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM )、 UTP (ゥリジン三りん酸:基質として使用、 2.1 M、含 1 Ci 3H- UTP)を含有する緩 衝液 II (10.6 μ 1)と水(39.4 μ 1)の混合液(50 μ 1)を添加混和し、 25°Cで 30分間酵素 反応を行う。
工程 5 : 酵素反応が 30分経過した時、エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム水溶液 (50mM、 50 1)を添加混合し、酵素反応を停止させる。
工程 6 : 次にセルノヽ一べスターを使用し、ジェチルアミノエチル基を導入したフィ ルター(以下、 DEAE-フィルターマットと略す)上に工程 5のサンプル全量を移した後 、りん酸ナトリウム緩衝液(0.25 M、 pH 7.0)で 10秒間のすすぎ洗いを 2回と脱イオン 水で 10秒間のすすぎ洗いを 1回行う。
工程 7 : すすぎ終えた DEAE-フィルターマットを 95°Cで 15分間乾燥し、液体シン
チレータ(10mL)と共にサンプルバッグに入れ密封する。
工程 8: シンチレーシヨンカウンターで放射活性を計測する。
工程 9: 放射活性計測値 (単位; cpm)を以下の計算式に代入して阻害率を求める 阻害率 = 100—(被験物質存在下の計測値 酵素非存在下の計測値)
Z (被験物質非存在下の計測値-酵素非存在下の計測値) X 100 工程 10 : 工程 9で求めた阻害率と使用した被験物質濃度から 50%阻害時の被験 物質濃度 (IC )を求める。
50
実施例 10
RdRpと CyPBとの複合体形成前において RdRpに結合する目的物質のアツセィ(2) 実施例 7と同様、使用する水は全てジェチルピロカーボネートで RNA分解酵素の失 活処理を行う。
工程 1: トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、ジチォス レイトール (5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM)を含有 する緩衝液 I (10.5 μ 1)をポリプロピレン製容器に入れ、ここへ poly(rC)水溶液(100 μ g /mL、 10.5 μ 1)と水(13.24 1)を添加し、緩やかに混和する。 poly(rC)はシチジル酸 のみで構成された単鎖のポリヌクレオチドであり、テンプレートとして使用する。
工程 2: ジメチルスルホキシドまたは水で溶解した被験物質( 1穴当り 5.26 1)を分 注しておいた 96穴マイクロタイタープレートに、工程 1の溶液(34.24 μ 1)および RdRp 液(10.5 1)を加える。
工程 3 : 次に、 CyPB (5.26 1)を工程 2の溶液(50 1)に添加し、緩やかに混和す る。
工程 4 : さらに、トリス塩酸,(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、 ジチオスレィトール(5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM )、 GTP (グアノシン三りん酸;基質として使用、 2.1 M、含 1 Ci 3H- GTP)を含有する 緩衝液 II (10.6 μ 1)と水(39.4 μ 1)の混合液(50 μ 1)を添加混和し、 25°Cで 30分間酵 素反応を行う。
工程 5 : 酵素反応が 30分経過した時、エチレンジァミン四酢酸ニナトリウム水溶液
(50mM、 50 1)を添加混合し、酵素反応を停止させる。
工程 6 : 次にセルノヽ一べスターを使用し、ジェチルアミノエチル基を導入したフィ ルター(以下、 DEAE-フィルターマットと略す)上に工程 5のサンプル全量を移した後 、りん酸ナトリウム緩衝液(0.25 M、 pH 7.0)で 10秒間のすすぎ洗いを 2回と脱イオン 水で 10秒間のすすぎ洗いを 1回行う。
工程 7 : すすぎ終えた DEAE-フィルターマットを 95°Cで 15分間乾燥し、液体シン チレータ(10mL)と共にサンプルバッグに入れ密封する。
工程 8: シンチレーシヨンカウンターで放射活性を計測する。
工程 9: 放射活性計測値 (単位; cpm)を以下の計算式に代入して阻害率を求める 阻害率 = 100—(被験物質存在下の計測値 酵素非存在下の計測値)
Z (被験物質非存在下の計測値-酵素非存在下の計測値) X 100 工程 10 : 工程 9で求めた阻害率と使用した被験物質濃度から 50%阻害時の被験 物質濃度 (IC )を求める。
50
実施例 11
RdRpと CyPBとの複合体形成前において RdRpに結合する目的物質のアツセィ(3) 実施例 7と同様、使用する水は全てジェチルピロカーボネートで RNA分解酵素の失 活処理を行う。
Streptavidin SPAヒ、、 ~~ズ (Amersham Biosciences)【こ Biotin標識 oligoU12 (Proiigo)を 結合させた oligoU12固相化 SPAビーズを使用したシンチレーシヨンプロキシミティーァ ッセィ (SPA)方法により実施する。
工程 1: トリス塩酸(100mM、 pH 7.5)および塩化マグネシウム(25mM)、ジチォス レイトール(5mM)、塩化カリウム(125mM)、エチレンジァミン四酢酸(5mM)、 poly(r A) (20 μ g/mL)を含有する緩衝液 Iに、 oligoU12固相化 SPAビーズ (0.2 μ g/mL相当 ol igoU12)を添カ卩する。
工程 2: ジメチルスルホキシドまたは水で溶解した被験物質 (5 μ L)を分注してお いた 96穴プレートに、工程 1の混合液(50 L)を添カ卩し、混和する。
工程 3: 次!、で、参考例 3に記載の方法で調製した RdRp (200 μ g/mL, 5 μ を 37
°Cに保温した工程 2の 96穴プレートに添カ卩し、混和する。
工程 4: 更に、参考例 1に記載の方法で調製した GST-CyPB (1.4 μ g/mL、 20 μ L) を 37°Cに保温した工程 3の 96穴プレートに添カ卩し、混和する。
工程 5: 工程 4の混合溶液に UTP(2 M、含 1 Ci 3H-UTP) (20 μ L)を添加し、混 和後、恒温 (37°C、 1時間)する。
工程 6: シンチレーシヨンカウンターで放射活性を計測する。
実施例 12
CyPBを強制発現させた高い RNA複製能を有する HCVレブリコン細胞系の榭立方法 工程 1: 参考例 1に記載する通り、 cDNAカゝら作製した CyPB領域を発現ベクター pG
EX-6P1 (Clontech)にサブクローユングして得られた pGEX- CyPBプラスミド DNAから 制限酵素 BamHIと EcoRIを使用して CyPB ORFを切り出す。
工程 2 : ァガロースゲル電気泳動後、切り出した CyPB ORFの DNAを精製する。 工程 3: pcDNA3.1/Zeo(+)発現ベクター (Invitrogen)の BamHIと EcoRIのクロー- ングサイトに CyPB ORFを挿入する。
工程 4 : CyPB ORFを挿入した発現用プラスミド DNAを、アンピシリン存在下で大腸 菌 DH5 a (TOYOBO)にトランスフエクシヨンし、クロー-ングする。
工程 5: クローユングした組換え大腸菌 DH5 aから、 pcDNA3.1/Zeo(+)/CyPBプラ スミドを精製する。
工程 6: FuGENE6 (Roche)を使用して、 Huh-7レプリコン細胞(非特許文献 3の p5 1 31または J. Biol. Chem. 2003 278, 50301- 50308を参照)に pcDNA3.1/Zeo(+)/CyPB プラスミドをトランスフエクシヨンする。
工程 7 : 抗生物質ゼォシンとジエネティシン(ともに Invitrogen)存在下で、トランスフ ェクシヨンしたレブリコン細胞を選択培養する。
工程 8: レプリコン細胞での CyPB蛋白質の発現の有無を WB法(ウェスタンブロッ ティング法)で確認する。
工程 9 : TaqMan-PCR測定することにより、 CyPB蛋白質を恒常発現しているレプリ コン細胞とネガティブコントロールトランスフエクシヨンレプリコン細胞とのレプリコン RN A複製量を比較する。
[0069] 実施例 13
CyPBを強制発現させた Huh-7細胞を使用する HCV感染細胞系の榭立方法
工程 1: pGEX- CyPBプラスミド DNAから制限酵素 BamHIと EcoRIを使用して CyPB ORFを切り出す。
工程 2 : ァガロースゲル電気泳動後、切り出した CyPB ORFの DNAを精製する。 工程 3 : pcDNA3.1/Neo(+)発現ベクターの BamHIと EcoRIのクロー-ングサイトに C yPB ORFを挿入する。
工程 4 : CyPB ORFを挿入した発現用プラスミド DNAを、アンピシリン存在下で大腸 菌 DH5 aにトランスフエクシヨンし、クロー-ングする。
工程 5: クローユング下組換え大腸菌 DH5 aから、 pcDNA3.1/Neo(+)/CyPBプラ スミドを精製する。
工程 6 : リボフヱクトァミン 2000を使用して、 Huh-7細胞、 HepG2細胞または MT2細 胞に pcDNA3.1/Neo(+)/CyPBプラスミドをトランスフエクシヨンする。
工程 7 : 抗生物質ジエネティシン存在下で、トランスフエクシヨンした培養細胞を選 択培養する。
工程 8: 培養細胞内での CyPB蛋白質の発現の有無をウェスタンブロッテイング法 で確認する。
工程 9 : HCV感染患者力 得た血清または血漿により感染実験をおこない、 CyPB 蛋白質を恒常発現して ヽる培養細胞とネガティブコントロールトランスフエクシヨン培 養細胞との HCVゲノム複製量を比較する。具体的には、培養細胞を播種した後に H CV感染患者力 得た血清または血漿を培養液中に添加する。約 24時間後に培養液 を除き、さらに PBS緩衝液で洗浄する。血清または血漿を培養液中に添加後、 1, 3, 5 , 7, 9, 14日などのように経時的に細胞抽出液を回収し、これより RNAを得る。これら の RNAを铸型として 5'- CGGGAGAGCCATAGTGG- 3' (配列番号: 9)と 5し AGTACC ACAAGGCCTTTCG-3' (配列番号: 10)をプライマーとし、 5'- CTGCGGAACCGGT GAGTACAC-3' (配列番号: 11)を蛍光プローブとしてリアルタイム RT-PCR法により HCV RNAゲノムを定量する。詳細は「非特許文献 3」 (p5 131)を参照。
[0070] 実施例 14
CyPBと NS5Bとの結合に対する阻害物質のアツセィ方法(1)
工程 1: EIA用 96ゥエルプレートに炭酸ナトリウム緩衝液(含 0.02%NaN 、 pH9.6)に
3 溶解した NS5B (50 μ g/mL)を 50 μ L分注し、 25°Cで 2時間恒温した後、 4°C冷蔵保存 する。 工程 2 : 使用前に、反応液を吸引除去し、 PBS-Tween dOO /z L)の添加と吸 引除去操作を 3回繰り返す。
工程 3: PBS-Tweenで適当な濃度に希釈した被験物質の試料 (含 5%DMSO)を 5 分注する。
工程 4: PBS-Tweenで希釈した GST融合 CyPB (1 μ g/mL)を 50 μ L分注し、室温 で 1時間、穏やかに振盪する。
工程 5 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 6: PBS-Tweenで希釈した抗 GST抗体(1 μ g/mL)を 50 μ L分注し、室温で 1 時間、穏やかに振盪する。
工程 7 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 8: PBS-Tweenで希釈した HRP標識抗 IgG抗体( 1 μ g/mL)を 50 L分注し、 室温で 30分間、穏やかに振盪する。
工程 9 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 10: PBS— Tweenで希釈した基質溶液 (8mM ABTS、 6mM H O )を 50 μし分
2 2
注し、室温で 30分間、穏やかに振盪する。
工程 11: 0.05%NaN (150 μ L)を加え、反応停止する。
3
工程 12 : 415應にて吸光度測定する。
工程 13 : 対照試料の吸光度と被験サンプルの吸光度とを比較し、 CyPBと NS5Bと の結合に対する被験物質の試料の阻害活性を評価する。
実施例 15
CyPBと NS5Bとの結合に対する阻害物質のアツセィ方法(2)
工程 1: ストレプトアビジンコーティング 96ゥエルプレートにピオチン標識 NS5B (50
μ g/m)を L分注し、 25°Cで 2時間恒温し結合させた後、ブロッキング液を 100 L 分注し、 4°C冷蔵保存する。
工程 2 : 使用前に、ブロッキング液を吸引除去し、 PBS-Tween dOO /z L)の添加と 吸引除去操作を 3回繰り返す。
工程 3: PBS-Tweenで適当な濃度に希釈した被験物質の試料 (含 5%DMSO)を 5 分注する。
工程 4: PBS-Tweenで希釈した GST融合 CyPB (1 μ g/mL)を 50 μ L分注し、室温 で 1時間、穏やかに振盪する。
工程 5 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 6: PBS-Tweenで希釈した HRP標識抗 GST抗体( 1 μ g/mL)を 50 L分注し、 室温で 1時間、穏やかに振盪する。
工程 7 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 8: PBS-Tweenで希釈した基質溶液 (8mM ABTS、 6mM H O )を 50 μ L分注
2 2
し、室温で 30分間、穏やかに振盪する。
工程 9: 0.05%NaN (150 μ L)を加え、反応停止する。
3
工程 10 : 415nmにて吸光度測定する。
工程 11: 対照試料の吸光度と被験サンプルの吸光度とを比較し、 CyPBと NS5Bと の結合に対する被験サンプルの阻害活性を評価する。
実施例 16
CyPBとペプチド(NS5B ; 571-591)との結合に対する阻害物質のアツセィ方法 工程 1: EIA用 96ゥエルプレートに炭酸ナトリウム緩衝液(含 0.02%NaN、 pH9.6)に
3 溶解した CyPB (50 μ g/mL)を 50 μ L分注し、 25°Cで 2時間恒温した後、 4°C冷蔵保存 する。
工程 2 : 使用前に、 CyPB液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除 去操作を 3回繰り返す。
工程 3: PBS-Tweenで適当な濃度に希釈した被験物質の試料 (含 5%DMSO)を 5
分注する。
工程 4 : PBS-Tweenで希釈したピオチン標識ペプチド(NS5B ; 571- 591) (0.01 μ g /mL)を L分注し、室温で 1時間、穏やかに振盪する。
工程 5 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 6: PBS-Tweenで希釈したストレプトアビジン標識 HRP (0.1 g/mL)を 50 μ L 分注し、室温で 1時間、穏やかに振盪する。
工程 7 : 反応液を吸引除去し、 PBS-Tween (100 L)の添加と吸引除去操作を 3回 繰り返す。
工程 8: PBS-Tweenで希釈した基質溶液 (8mM ABTS、 6mM H O )を 50 μ L分注
2 2
し、室温で 30分間、穏やかに振盪する。
工程 9: 0.05%NaN (150 μ L)を加え、反応停止する。
3
工程 10 : 415nmにて吸光度測定する。
工程 11: 対照試料の吸光度と被験サンプルの吸光度とを比較し、 CyPBと NS5Bと の結合に対する被験サンプルの阻害活性を評価する。
実施例 17
Huh-7細胞と初代肝実質細胞での CyPB発現量の比較試験
まず、ヒト初代肝実質細胞を分離した。肝臓切片をメスで適当な大きさに切断し、血 管を UW溶液(4°C)で約 15分還流し、除血した。溶液 I (10 mM HEPES, 1 mg/mLグ ルコース, 0.2 mg/mL EGTA, 0.01 mg/mLゲンタマイシン(Hanks溶液中))(37°C)で 約 15分還流した。次いで、溶液 II (10 mM HEPES, 0.5 mg/mLコラゲナーゼ, 0.6 mg /mL CaCl , 0.01 mg/mLゲンタマイシン(Hanks溶液中))(37°C)で約 15分還流した。
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被膜を切開し、溶液 III (10 mM HEPES, 10 mg/mL BSA, 0.01 mg/mLゲンタマィ シン (Hanks溶液中))(37°C)中で振盪し、肝臓内の細胞を遊離させた。得られた懸濁 液を 0.25 umメッシュでろ過し (粗懸濁液)、これを 50 G, 2minの遠心で分画し、上清を 除いて沈殿を得た (肝実質細胞画分)。これを溶液 IIIで 50 G, 2minの遠心で 3回洗浄 し、細胞数、生存率をカウントした。次いで、被検溶解緩衝液 (sample buffer; 125 m M Tris-HCl (pH 6.8), 4 % SDS, 20 %グリセローノレ, 0.01 %ブロモフエノーノレブノレ一,
10 % 2-メルカプトエタノール)で溶解させた。
次いで、当業者に周知な蛋白質同定方法であるウェスタンブロッテイング法により C yPB発現量を示す図 7を得た。
この結果は、 Huh-7細胞における CyPB発現量が初代肝細胞におけるそれよりも明 らかに低 、ことを示して 、る。
実施例 18
HCVレプリコン細胞を用いた抗 HCV剤のアツセィ
96ゥエル細胞培養プレートにおいて、ゥシ胎児血清 (2%)、 MEM非必須アミノ酸溶液 ( lx)およびジメチルスルホキシド(0.5%)を含むダルベッコ改変イーグル培地(200 μ L) で培養したレブリコン細胞 (2.5χ104細胞)に被験物質を添加する。このとき、被験物 質は、適当な濃度でジメチルスルホキシドに溶解し、ジメチルスルホキシドの最終濃 度が 1%になるようにゥシ胎児血清 (2%)および MEM非必須アミノ酸溶液 (lx)を含むダ ルべッコ変法イーグル培地で希釈して使用する。
37°Cで CO (5%)存在下で 3日間培養後、培地を吸引装置により除去する。細胞は、
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グァ-ジンチオシァネート(4 M)、トリス塩酸(10 mM、 pH 7.5)および j8 -メルカプトェ タノール (0.97%)を含有する細胞溶解液 (200 μ L)で溶解し、その溶解物(150 L)を 、 WizardTM SV96 DNA結合プレート(Promega)〖こ移す。その後、プレートを 1200rp mで 5分間遠心分離し、プレートを通過した溶解物は廃棄する。ゥエルを、酢酸力リウ ム(60 mM)、トリス塩酸(10 mM、 pH7.5)およびエタノール(60%)を含む洗浄液 (lm L)を使用して 3000rpmで 5分間の遠心分離により洗浄する。洗浄後、プレート上の残 渣を、別の 96ゥエルプレートの上に移す。全ての RNAを、 RNaseフリーの水 (100 /z L) に溶出し、 1200rpmで 5分間の遠心分離により回収する。こうして溶出した RNAは、直 ちに分析する力、もしくは使用するまで- 80°Cで保存することができる。
次に、ネオマイシン耐性遺伝子を標的とした HCVサブジエノミックレブリコン遺伝子 のコピー数を計測するために GeneAmpTM 5700 Sequence Detection System (Applie d Biosystems)を使用し、リアルタイム RT- PCRを行う。
具体的には、回収した RNA (1 μ L)を、 MicroAmp Optical 96well Reaction Plate (Ap plied Biosystems)のウエノレの中で、 ThermoScript TM Reaction Mix (lx、 Invitrogen)、
順方向プライマー [5'- CCG CTT TTC TGG ATT CAT CG- 3' (配列番号: 12) ] (0.3 μ Μ)、逆方向プライマー [5'- CCC ATT CGC CGC CAA- 3' (配列番号: 13) ] (0.3 μ M)、レポーターの FAMTMと消光剤の TAMRATMを標識したプローブ [5'- FAMTM- CTG TGG CCG GCT GGG TGT GG-TAMRATM—3' (配列番号: 14) ] (0.2 μ M、 Ap plied Biosystems)および ThermoScript TM PLUS /Platinum TM Taq Mix (2%、 Invitro gen)を含有する RT- PCR混合液 (25 /z L)と混和する。また、対照試料力も抽出された RNAは、連続的に希釈し、検量線として使用する。プログラムは 50°Cで 2分、 60°Cで 3 0分、 95°Cで 5分反応後、 95°Cで 15秒および 60°Cで 60秒のサイクルを 40回繰り返す 。また、 Ct (スレッシュホールドにおけるサイクル)値は、 GeneAmpTM 5700 Sequence Detection System software vl , 0,0, 1によって得られる。対照試料に対する相対的なレ プリコン RNAコピー数は検量線力も推定することができ、この値から、レプリコン RNA 複製阻害を測定することが可能である。
実施例 19
HCV RdRpによる RNA合成開始反応における CyPの影響
完全長の HCV RdRp (NN50- 1)を使用し、 CyPB、 CyPB Δ PPIまたは CyPAが HCV R dRpの RNA合成開始反応(25°C、 90 min)に及ぼす影響について調べた。 RNA合成 開始反応における RdRp活性は、テンプレートとしてオリゴヌクレオチドである 5 ' -AAA AAAAAGC-3 ' (配列番号: 16) (以下、「A8GC」ともいう)、基質として GMPと a 32P-C TPを使用し、反応生成物 pGpCの放射活性を測定して求めた。
Hepes- NaOH緩衝液 pH7.3 (500 mM、 2 μ L)、 ジチオスレィトール (100 mM、 2 μ 、 GMP(5 mM、 2 μ L)、塩化マグネシウム (250 mM、 0.4 μ L)、 A8GC(20 ju M、 l ju L)ゝ α 32Ρ— CTP (3.4 M、 11 kBq/ μ 0.6 L)および水(10 L)をエツペンドルフチュー ブ(0.5 mL容)に入れ穏やかに混和した。そこへ、 GST- CyPB、 GST- CyPB Δ PPIまた は GST— CyPB (1 M、 1 L)を完全長 HCV RdRp NN50— 1 (154 nM、 1 μ L)と各々混 和した溶液 (2 L)を添加し、直ちに 25°Cの水浴で 90分間 RNA合成開始反応を行つ た。 RNA合成開始反応は、反応停止液(90%ホルムアミド、 10mMエチレンジァミン四 酢酸ニナトリウム、 0.1%キシレンシァノール、 0.1%ブロモフエノールブルー) 50 Lを 添加することにより停止した。
反応液の入ったチューブをサーマルサイクラ一 MP TP3000型(タカラバイオ)にて 65 °C、 10分間インキュベートした後、直ちに氷冷し、反応液の一部(2 L)を電気泳動 アクリルゲル 300 X 400 mm (25%アクリルアミド / Ν,Ν,-メチレンビスアクリルアミド (19: 1) 、 7Μ尿素、 50 mM Tris、 1 mM EDTAニナトリウム、 5mMホウ酸(pH8.2) )に載せ、定 電力 70Wにて約 1時間電気泳動を行った。電気泳動後、ゲルをイメージングプレート に 3時間露出させ、得られたイメージングプレートをバイオイメージングアナライザー B AS2500(富士写真フィルム)にて反応生成物 (pGpC)を定量した。
得られた結果を図 8に示す。 RNA合成開始反応において、 HCV RdRpに CyPBまた は CyPB A PPIを添カ卩した場合に RdRp活性が上昇した。し力し、 RdRpに CyPAを添カロ しても RdRp活性に変化は認められな力つた。
RdRpと結合性を有する CyPBの添カ卩により RdRp活性が上昇した力 RdRpと結合性 を有しない CyPAの添カ卩によっては RdRp活性の上昇は認められないことから、 RNA合 成開始反応における HCV RdRp活性上昇には CyPの RdRpへの結合が必要であるこ とが示唆された。
一方、 CyPBの添カ卩だけでなく PPIase活性を失っている CyPB A PPIの添カ卩によって も RdRp活性が上昇したことから、 CyPBによる RNA合成開始反応の亢進は PPIase活性 に非依存的であることが示唆された。
実施例 20
RNA合成開始反応における CyPBの RdRp活性亢進作用に対する阻害物質のアツセ ィ方法
全ての工程で、 GengardTMフィルターカートリッジ(日本ミリポア)にて作製した RNa seフリー水を使用する。また、工程 1と工程 2は氷上で操作する。
工程 1: Hepes- NaOH緩衝液 pH7.3 (500 mM、 2 μ L)、 ジチオスレィトール (100 m Μ, 2 μ L)、 GMP(5 mM、 2 μ L)、塩化マグネシウム (250 mM、 0.4 μ L)、 A8GC(20 μ M、 1 /z L)ゝおよび α 32Ρ— CTP (3.4 M、 11 kBq/ μ 0.6 L)をエツペンドルフチューブ( 0.5 mL容)に入れ穏やかに混和する。
工程 2: GST- CyPB、 GST- CyPB Δ ΡΡΙまたは GST- CyPB (1 M、 1 L)を完全長 H CV RdRp NN50-1 (154 nM、 1 μ L)と各々混和した溶液 (2 μ L)、水(9.5 μ L)および被
験物質(DMSO溶液、 0.5 μ L)を工程 1のエツペンドルフチューブ内へ添カ卩し、直ちに 25°Cの水浴で 90分間酵素反応を行う。
工程 3 : 反応後、直ちに反応停止液(90%ホルムアミド、 10mMエチレンジァミン四 酢酸ニナトリウム、 0.1%キシレンシァノール、 0.1%ブロモフエノールブルー) 50 Lを 添加混合し、酵素反応を停止させる。
工程 4: 反応液の入ったチューブをサーマルサイクラ一 MP TP3000型(タカラバイ ォ)にて 65°C、 10分間インキュベートした後、直ちに氷冷し、反応液の一部(2 L)を 電気泳動アクリルゲル 300 X 400 mm (25%アクリルアミド / Ν,Ν,-メチレンビスアクリルァ ミド (19:1)、 7Μ尿素、 50 mM Tris、 1 mM EDTAニナトリウム、 5mMホウ酸(pH8.2) )に 載せ、定電力 70Wにて約 1時間電気泳動を行う。
工程 5: 電気泳動後、ゲルをイメージングプレートに 3時間露出させ、得られたィメ 一ジングプレートをバイオイメージングアナライザー BAS2500(富士写真フィルム)にて 反応生成物 (pGpC)量を PSL値として測定する。
工程 6: CyPBの RdRp活性亢進作用に及ぼす被験物質の阻害を求める。
実施例 21
HCV RdRpとオリゴヌクレオチドとの結合性における CyPBの影響
HCV RdRpは Poly(rA)、 Poly(rA)/(rU)12、 Poly(rU)並びに Poly(rU)/(rA)12のオリゴヌ クレオチドと結合する力 これらの結合において CyPBが及ぼす影響について調べた
Poly(A)Sepharose 4B (アマシャムバイオサイエンス) lOOmgまたは Poly(U)Sepharose 4B (アマシャムバイオサイエンス) lOOmgを 20mMトリス-塩酸(pH7.5)、 ImMエチレン ジァミン四酢酸ニナトリウム、 25mM KC1、 10mMジチオスレィトール、 20%グリセロー ル、 0.5%トライトン—X10を含有する RdRp反応緩衝液により平衡ィ匕した。相補するオリ ゴヌクレオチドを添カ卩する場合は、 Poly(A)Sepharose 4Bには (rU)12を、 Poly(U)Sephar ose 4Bには (rA)12を夫々最終濃度 0.2 g/mlになるよう添カ卩した。ここで (rU)12はゥリ ジル酸 12分子のみで構成された単鎖のオリゴヌクレオチドであり、一方の (rA)12はァ デニル酸 12分子のみで構成されて 、る。
Poly(rA)、 Poly(rA)/(rU)12、 Poly(rU)または Poly(rU)/(rA)12の各ゲル懸濁液(50 /z L
)に GST— CyPB (136 μ g/mL , 20 ^ L)と Biotin— RdRp (SH591) (19 g/mL, 5 L)を添 加し、 37°C、 60分間インキュベーション後、 RdRp反応緩衝液(lmL)を添カ卩し遠心分 離して上清を取り除く洗浄操作を 4回繰返した。洗浄後のゲルに、 250mMトリス-塩酸 (pH6.8)、 8.6% SDS、 60%グリセロール、 20%メルカプトエタノール、 0.02%ブロモフエノ ールブルーを組成するゲルローデイング液 (20 L)を添カ卩した後、 96°C、 5分間加熱 処理した。この上清 15 Lを SDS-PAGE(40mA定電流、 1時間)で泳動した。
ゲルを転写したタリアブロット P膜 (アト-)を室温で 1時間ブロッキングした後、 0.05 % Tween- 20を含む PBSで 3回洗浄した。続いて、転写膜を HRP標識抗ストレプトアビ ジン抗体 (ZYMED)と室温で 1時間インキュベーションし、次!、で洗浄液で 3回洗浄後、 直ちに転写膜を ECLウェスタンブロッテングシステム試薬 (アマシャムノィォサイェン ス)と接触させ、化学発光検出システム Lumi Vision PRO (アイシン精機)にて光強度 を測定した。
なお、 Biotin- RdRpは、 7.38 μ M HCV RdRp(SH591)をアルカリ条件(500mM NaHC 03)下で、 Biotinylation Kit(Sulfo- OSu) (同仁化学研究所)を使用して、ピオチン化し 、ゲルろ過カラムにて精製して得た。
実験結果を図 9に示す。何れのオリゴヌクレオチドを使用した場合においても、 CyP Bの添カ卩により Biotin-RdRpの結合量の増加が示された。 Poly(rA)、 Poly(rA)/(rU)12、 Poly(rU)並びに Poly(rU)/(rA)12に対する Biotin- RdRpの結合量は、 CyP添カ卩により各 々1.5倍、 1.9倍、 1.6倍並びに 1.8倍の増加となった。
以上の結果から、 CyPBは、プライマー RNAの有無に関わらず、 Poly(rA)、 Poly(rU) の何れのテンプレート RNAに対しても HCV RdRpの結合を上昇させることが判明した HCVレプリコン RNA複製における CyPB発現の影響
Huh-7レプリコン細胞に CyPBを一過性に強制発現させた場合のレプリコン RNA複 製量を測定した。 Huh-7レプリコン細胞(1 X lOVwell)に CyPB発現プラスミド(0 g、 0 .11 g、 0.33 μ gまたは 1.0 g)をトランスフエクシヨンして 3日後の細胞について、 CyP B発現量をウェスタンブロッテイング法で確認すると共にレプリコン RNA量を TaqMan- PCRで測定した。
その結果、プラスミドのトランスフエクシヨン量に順じて CyPBの発現が抗 CyPB抗体を 使用したウェスタンブロッテイング法により認められた(図 10)。また、 1 gの CyPB発 現プラスミドをトランスフエクシヨンした場合、レプリコン RNA量が約 2.5倍に上昇してい ることが確認された(図 11)。
[0079] 実施例 23
CyPBを恒常的に発現する細胞株の作製
Huh-7細胞並びに 293T細胞を使用して、 CyPBを恒常的に発現する細胞株を榭立 した。
CyPB発現プラスミドを Huh-7細胞並びに 293T細胞へトランスフエクシヨン後、得られ たコロニーをプレートに移し増殖させた。この細胞において、実際に CyPBが安定に 発現している力否かをウェスタンブロッテイング法により確認した(図 12、図 13)。 その結果、 CyPBが強制発現して 、ることを確認できた。
産業上の利用可能性
[0080] 本発明は HCVの増殖を阻害する抗 HCV剤のアツセィ方法を提供するものであり、 その実施により新たな抗 HCV剤が開発されることが期待される。