WO2005065802A1 - フィルタ装置 - Google Patents

Abstract

　本発明は、フィルタを容器に直接固定することにより、フィルタ枠を不要にすることができるフィルタ装置を提供することを目的とする。燃料給装置６０に備わるフューエルフィルタ６は、燃料の濾過を行うフィルタエレメント２２と、フィルタエレメント２２を収容する樹脂製のフィルタケース２１とを備え、フィルタエレメント２２の端部２２ｂ，２２ｃがフィルタケース２１の内壁面に直接溶着されて固定されている。また、フィルタケース２１の内壁面に、溶着部３６からはみ出した溶融樹脂を収集する溝３４が溶着部３６の長手（上下）方向両端部に形成されている。さらに、溶着部３６とフィルタエレメント２２の本体（濾過）部２２ａとを隔離するために、フィルタケース２１の内壁面に凸状のリブ３２，３３が設けられている。  

Description

明 細 書

フィルタ装置

技術分野

[0001] 本発明は、容器内にフィルタ部材が内装されているフィルタ装置に関する。さらに 詳細には、部品点数の低減を図ることができるフィルタ装置に関するものである。 背景技術

[0002] 従来から、容器内にフィルタ部材を内装するフィルタ装置では、フィルタ部材を保持 するフィルタ枠を介して、フィルタ部材を容器に固定している。このようなフィルタ装置 の 1つとして、例えば、特開平 11 882210号公報に開示されているフューエルフィ ルタが挙げられる。ここには、フィルタ部材 (濾過部材)をフィルタ枠 (プレート）に接着 剤で固定する技術、およびフィルタ部材 (濾過部材）とフィルタ枠 (プレート）とを振動 溶着で接合する技術が開示されている。また、フィルタ部材 (濾過部材）とフィルタ枠（ プレート）とを力しめて保持することも開示されている。

[0003] 特許文献 1 :特開平 11 82210号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] し力しながら、上記した従来の技術では、フィルタ部材をフィルタ枠を介して容器に 固定している。つまり、フィルタ部材を、接着剤、振動溶着、あるいは力しめにより、フ ィルタ枠に固定し、フィルタ部材を保持したフィルタ枠を容器に固定している。このよう に、上記した従来の技術では、容器に固定するためにフィルタ枠が必要であるため、 その分、部品点数が多くなる。そのため、製造コスト面で不利であるという問題があつ た。また、フィルタ枠を使用するため、その分、組み付け工程が増える。このため、作 業効率面にお!ヽても不利であった。

[0005] そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、フィルタを 容器に直接固定することにより、フィルタ枠を不要にすることができるフィルタ装置を 提供することを課題とする。

課題を解決するための手段 [0006] 上記問題点を解決するためになされた本発明に係るフィルタ装置は、不純物を濾 過するためのフィルタ装置であって、前記不純物の濾過を行う榭脂製のフィルタ部材 と、前記フィルタ部材を収容する榭脂製の容器とを備え、前記フィルタ部材が前記容 器に接合されて 、ることを特徴とするものである。

[0007] なお、本明細書における「濾過」は、固液分離操作のみならず、気体中の微粒子を 除去する濾過集塵をも含む。

[0008] このフィルタ装置では、容器に、その容器内に収容されるフィルタ部材自体が接合 されている。このため、容器にフィルタ部材を保持する機能をもたせることにより、フィ ルタ枠を不要にすることができる。これにより、製造コスト面および作業効率面で有利 になる。

[0009] また、本発明に係るフィルタ装置にぉ 、ては、前記フィルタ部材が前記容器に榭脂 の溶着により接合されて ヽることが望ま U、。

これにより、フィルタ部材を容器に榭脂の溶着により容易に接合することができるか らである。

[0010] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記溶着が熱板溶着であることが望 ましい。

これにより、フィルタ部材を容器に榭脂の熱板溶着により容易に接合することができ るカゝらである。

[0011] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記フィルタ部材の端部が前記容器 の内壁面に直接溶着されて固定されて ヽることが望まし ヽ。

[0012] このフィルタ装置では、フィルタ部材の端部が容器の内壁面の一部に直接溶着さ れて固定されている。つまり、従来のように、フィルタ部材をフィルタ枠を介して容器に 固定する必要がない。この結果、フィルタ枠を不要にすることができる。これにより、製 造コスト面および作業効率面で有利になる。

[0013] また、本発明に係るフィルタ装置にぉ 、ては、前記フィルタ部材は、複数のひだを 有する形状に折り畳まれた状態で固定されて 、ることが望ま 、。

これにより、フィルタ部材の濾過面積を大きくすることができ濾過性能を高めることが できる力 である。 [0014] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記容器の内壁面を溶融させて生 成した溶融榭脂を前記フィルタ部材に浸透させた状態で固化させて前記フィルタ部 材を前記容器に固定して 、ることが望ま 、。

このように、溶融榭脂をフィルタ部材に浸透させてその溶融榭脂を固化させることに より、フィルタ部材を容器に対してしつ力りと固定することができるからである。

[0015] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記フィルタ部材と前記内壁面との 溶着部は、細長い帯状であることが望ましい。

こうすることにより、フィルタ部材を容器に対してよりしつ力りと固定することができる 力 である。

[0016] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記容器の内壁面には、前記溶着 部からはみ出した溶融榭脂を収集する溝が前記溶着部の長手方向両端部に形成さ れていることが望ましい。

[0017] ここで、溶着部からはみ出す余分な溶融榭脂は硬化してバリになってしまう。そして 、ノ リが発生した状態のままで製品化されると、フィルタ装置の性能が低下してしまう 。具体的には、例えば、そのバリが剥がれ落ち、その一部が濾過された流体に混入 するおそれ等がある。また、容器の内壁面を溶融させる溶融装置側に溶融樹脂が付 着して残留するおそれもある。こうなると、溶融装置表面を清掃する必要が有るので 生産効率が低下してしまう。

[0018] し力しながら、このフィルタ装置では、余分な溶融榭脂は、溝に収集されてそこで硬 化する。そして、このようにして硬化した榭脂は溝部に張り付いている。これにより、余 分な硬化した榭脂の一部が濾過された流体に混入する事態を確実に回避することが できる。また、溶融装置側に樹脂が付着することも防止することができるので、生産効 率を低下させることもない。

[0019] また、本発明に係るフィルタ装置においては、前記フィルタ部材と前記内壁面との 溶着部と前記フィルタ部材の濾過部とを隔離するために前記容器の内壁面に形成さ れた凸状のリブを有することが望ま 、。

[0020] これにより、フィルタ部材に流体が流れ込んだ際に、フィルタ部材と容器の内壁面と の溶着部に加わる力の向きを変えることができる。具体的には、溶着部を剥離させよ うとする力を引張力とせん断力に変えることができる（図 10参照)。その結果、溶着部 が容器力 剥離することを防止することできるため、製品寿命を向上させることができ る。

[0021] これらの発明は、容器の断面形状が C型形状または I型形状であるフィルタ装置に 適用するのが好適である。

[0022] また、本発明に係るフィルタ装置にぉ 、ては、前記容器が複数の容器構成部材の 組み合わせにより構成されており、前記フィルタ部材を接合する第 1容器構成部材に 、その第 1容器構成部材に結合される第 2容器構成部材と前記フィルタ部材とが同時 に接合されて ヽることが望ま ヽ。

[0023] こうすること〖こより、容器を構成することと、フィルタ部材を容器に接合することとを同 時に行うので、工数を削減することができる。

[0024] また、本発明に係るフィルタ装置にぉ ヽては、前記第 1容器構成部材が容器本体 であり、前記第 2容器構成部材が前記容器本体に接合されるカバーであり、前記力 バーが前記容器本体に溶着されているとともに、前記フィルタ部材の端部が前記力 バーに突き刺さった状態で溶着され固定されていることが望ましい。

そして、前記フィルタ部材が複数のひだを有する形状に折り畳まれて!/、る場合には 、前記フィルタ部材の折り畳み方向と略直交する方向における端部が前記カバーに 突き刺さった状態で溶着され固定されて ヽることが望ま ヽ。

[0025] このフィルタ装置では、フィルタ部材を収容する容器を密閉するためのカバーにフィ ルタ部材の端部（フィルタ部材が複数のひだを有する形状に折り畳まれて 、る場合 には、フィルタ部材の折り畳み方向と略直交する方向における端部）が突き刺さった 状態で溶着されて固定されている。そして、カバーは容器に溶着されている。これに より、フィルタ部材は容器にしっかりと固定される。しがって、従来のように、フィルタ部 材をフィルタ枠を介して容器に固定する必要がない。この結果、フィルタ枠を不要に することができる。これにより、製造コスト面および作業効率面で有利になる。

[0026] 本発明に係るフィルタ装置においては、前記カバーの内側を溶融させて生成した 溶融榭脂を前記フィルタの端部に浸透させた状態で固化させて前記フィルタ部材を 前記カバーに固定して 、ることが望ま 、。 このように、溶融榭脂をフィルタ部材に浸透させてその溶融榭脂を固化させることに より、フィルタを容器に対してしつ力りと固定することができるからである。

[0027] 本発明における「突き刺さった状態」とは、フィルタ部材の端部が溶融樹脂に差し込 まれて 、るもののフィルタ部材の繊維内に溶融樹脂が侵入して 、な 、状態を 、、「 浸透された状態」とは、フィルタ部材の端部が溶融樹脂に差し込まれておりさらに溶 融榭脂がフィルタ部材の繊維内に侵入して絡み合つている状態をいう。

[0028] そして、上記したフィルタ装置を製造するための製造方法は、前記容器の内壁面を 溶融させて溶融榭脂を生成する工程と、生成された溶融榭脂を前記フィルタ部材の 端部に浸透させる工程と、前記フィルタ部材に浸透させた溶融榭脂を固化させて前 記フィルタ部材を前記容器に固定する工程と、を含むことを特徴とする。

[0029] このフィルタ装置の製造方法では、まず、容器の内壁面を、例えば加熱された鉄板 等により、溶融させることにより溶融樹脂が生成される。次に、その生成された溶融榭 脂がフィルタの端部に浸透させられる。そして、フィルタ部材に浸透させた溶融榭脂 が固化させられてフィルタが容器に固定される。したがって、フィルタ枠を使用しなく ても、フィルタ部材を容器に固定することができるフィルタ装置を製造することができ る。

[0030] また、本発明に係るフィルタ装置の製造方法にぉ 、ては、前記フィルタ部材を収容 する榭脂製の容器が、容器本体とカバーとで構成されている場合には、前記カバー の内側を溶融させて溶融榭脂を生成する工程と、前記容器のうち前記カバーとの接 合部分を溶融させて溶融榭脂を生成する工程と、前記容器内に収容された前記フィ ルタ部材の端部が、前記カバーの内側に生成された溶融樹脂に突き刺さった状態で 固着されるように、前記カバーを前記容器に溶着で接合する工程と、をさらに含むこ とが望ましい。

[0031] このフィルタ装置の製造方法では、カバーの内側を、例えば加熱された鉄板等で 溶融させて溶融樹脂が生成される。次いで、容器内に収容されたフィルタ部材の端 部がカバーの内側に生成された溶融樹脂に突き刺さった状態で固着されるように、 カバーを容器に溶着により接合させる。このため、フィルタ部材の端部、容器に溶着 されたカバーに突き刺さった状態でしつ力りと固定されている。これにより、フィルタ部 材の端部すベてをしつかりと容器に固定することができる。したがって、フィルタ枠を 使用しなくても、フィルタ部材を容器に固定することができるフィルタ装置を製造する ことができる。

[0032] さらに、上記したいずれか 1つのフィルタ装置と、燃料を貯留する燃料貯留器と、前 記燃料貯留器内の燃料を吸入して前記フィルタ装置に供給するフューエルポンプと 、をモジュールィ匕して燃料供給装置を構成することも可能である。

発明の効果

[0033] 本発明に係るフィルタ装置によれば、フィルタ部材の端部が容器の内壁面の一部 に直接溶着されて固定されて 、るので、フィルタ枠を不要にすることができる。

図面の簡単な説明

[0034] [図 1]実施の形態に係る燃料供給装置の概略構成を示す断面図である。

[図 2]カバーを取り付ける前のフューエルフィルタの概略構成を示す平面図である。

[図 3]図 2に示す A-A線における縦断面図である。

[図 4]フューエルフィルタの製造手順の概要を説明するための説明図である。

[図 5]フューエルフィルタの端部における溶着方法の概要を説明するための説明図で ある。

[図 6]図 5に示す A— A方向の矢視図である。

[図 7]図 5に示す B— B線における断面図である。

[図 8]加熱ポンチをフィルタケースの内壁に接触させた状態を示す図である。

[図 9]フィルタケースと上カバーおよび下カバーとの溶着方法の概要を説明するため の説明図である。

[図 10]溶着部に加わる力を説明するための説明図である。

[図 11]フィルタ装置の変形例を示す図である。

[図 12]フィルタ装置の別の変形例を示す図である。

符号の説明

[0035] 1 フューエノレポンプ

6 フューエノレフイノレタ

21 フィルタケース 22 フィルタエレメント

30 上カバー

31 下カバー

32, 33 ジブ

34 溝

50 フューェノレタンク

70 熱板

発明を実施するための最良の形態

[0036] 以下、本発明のフィルタ装置を具体ィ匕した最も好適な実施の形態について図面に 基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、本発明のフィルタ装置を使用した燃料 供給装置である。図 1に示すように、燃料供給装置 60は、フューエルフィルタ (フィル タ装置に相当する） 6、リザーバカップ 7、フランジ部材 9等とともにモジュールィ匕したも のである。そして、燃料供給装置 60が組込まれるフューエルタンク 50は、ほぼ密閉 状の燃料収容空間を形成するもので、底板 52と上板 53とを有している。その上板 53 には開口孔 54が形成されている。なお、図 1は、燃料供給装置の概略構成を示す断 面図である。

[0037] そして、燃料供給装置 60は、フューエルポンプ 1とフューエルフィルタ 6とリザーバ カップ 7とフランジ部材 9とを備えている。以下、説明の都合上、リザーバカップ 7、フラ ンジ部材 9、フューエルポンプ 1、フューエルフィルタ 6の順に説明する。

[0038] まず、リザーバカップ 7は、略カップ状に形成されており、前記フューエルタンク 50 の底板 52上に載置されている。次に、フランジ部材 9は、フューエルタンク 50の上板 53上に固定されており、その上板 53の開口孔 54をシール状態で塞いでいる。また、 フランジ部材 9は、フューエルタンク 50内外を連通する燃料吐出管 13を備えている。 また、燃料吐出管 13は、タンク外において、図示しない燃料供給配管（図示省略)を 通じてエンジンに接続されるようなって 、る。

[0039] 次に、フューエルポンプ 1は、電動フューエルポンプであって、フューエルフィルタ 6 と共にリザーバカップ 7内に配置されている。また、フューエルポンプ 1は、ほぼ円柱 状に形成されたポンプ本体 15と、そのポンプ本体 15の下部内に組込まれたポンプ 部（図示省略）と、ポンプ本体 15内でポンプ部上に組込まれた電動モータ部（図示省 略）とを備えている。また、ポンプ本体 15は、その下端部にリザーバカップ 7内の燃料 を吸込む吸込み口 16を有し、またその上端部に燃料を上方へ吐出する吐出口（図 示省略)を有している。

[0040] ポンプ本体 15の下端部には、その下端部を取り囲むサクシヨンフィルタ 3が装着さ れている。サクシヨンフィルタ 3は、榭脂製でポンプ本体 15の下端部に嵌合される取 付部材 17と、その取付部材 17に一体ィ匕された袋状のメッシュ 18とを備えている。取 付部材 17は、ほぼ円筒状の筒状部 19と、その筒状部 19の下部に連続するメッシュ 取付部 20とを有している。筒状部 19の内周面には、内径凸部 4が周方向に沿って突 出されている。なお、ポンプ本体 15の外周面には、内径凸部 4に対応する外径溝部 2が周方向に沿って形成されて 、る。

[0041] そして、取付部材 17の筒状部 19がポンプ本体 15の下端部に嵌合され、内径凸部 4がポンプ本体 15の外径溝部 2に圧入されることによって、サクシヨンフィルタ 3がポン プ本体 15に装着されている。また、メッシュ 18は、横方向に広がる扁平袋状に形成さ れており、その上面の開口縁部カ ッシュ取付部 20に接合されている。

[0042] 次に、本発明のフィルタ装置に相当するフューエルフィルタ 6について、図 2および 図 3を参照しながら説明する。図 2は、カバーを取り付ける前のフューエルフィルタの 概略構成を示す平面図である。図 3は、図 2に示す線 A— Aにおける縦断面図である

[0043] フューエルフィルタ 6は、図 2に示すように、略 C字（円弧)形状をなし、榭脂製のフィ ルタケース 21内に複数のひだを有する形状 (プリーツ状）に折り畳まれたフィルタエレ メント 22が収容されている。そして、図 3に示すように、フィルタケース 21の上下端が 榭脂製の上カバー 30および下カバー 31により密閉されている。なお、フィルタケース 21と上下カノ一 30, 31とは溶着により接合されている。また、フィルタケース 21、上 カバー 30、および下カバー 31の素材には、ポリアセタール（POM)を使用している。

[0044] そして、フィルタエレメント 22の円周方向（ひだの折り畳み方向）両端部 22b, 22c 1S 図 2に示すように、フィルタケース 21の内周面に直接溶着され固定されている。 詳細には、フィルタエレメント 22の端部 22bは、フィルタケース 21の外周側における 内壁面に固定されている。一方、フィルタエレメント 22の端部 22cは、フィルタケース 21の内周側における内壁面に固定されている。

[0045] また、フィルタエレメント 22におけるひだの折り畳み方向と略直交する方向の端部、 すなわち上下端 22u, 22d力 図 3に示すように、上カバー 30および下カバー 31の 内側に直接溶着され固定されている。より詳細には、フィルタエレメント 22の上下端 2 2u, 22dは、上下カバー 30, 31に突き刺さった状態で固定されている。

[0046] そして、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cとフィルタケース 21の内壁面との溶 接部は上下方向に細長い帯形状をなしている。また、フィルタエレメント 22の上下端 22u, 22diま上下カノく一 30, 31【こ人り込んで!/ヽる。このため、フイノレタエレメント 22の 端部は、フィルタケース 22に対してしつかりと保持固定される。これにより、フューエル フィルタ 6では、従来のようにフィルタ枠を介さずにフィルタエレメント 22をフィルタケ ース 21にしつ力りと固定することができるのである。

[0047] また、フィルタケース 21には、フィルタエレメント 22の本体部（濾過部） 22aと、フィル タエレメント 22の端部 22b, 22cとフィルタケース 21との溶接部とを隔離するためのリ ブ 32, 33と力設けられている。これらのリブ 32, 33により、フイノレタケース 21にエレメ ント収容室 21aとエレメント保持室 21b, 21cとが区画される。これらのリブ 32, 33は、 凸形状をなすものである。そして、リブ 32はフィルタケース 21の内周側に固定されて おり、リブ 33はフィルタケース 21の外周側に固定されている。

[0048] このようなリブ 32, 33を設けることにより、フューエルフィルタ 6に燃料が流れ込んだ 際に、フィルタエレメント 22とフィルタケース 21の内壁面との溶着部 36に加わる力の 向きを変えることができる。具体的には、溶着部 36を剥離させようとする力を引張力と せん断力に変えることができるのである（図 10参照)。その結果、溶着部 36がフィル タケース 21から剥離することを防止することができるため、製品寿命を向上させること ができるようになつている。

[0049] ここで、溶着部 36からはみ出す余分な溶融榭脂は硬化してバリになってしまう。そし て、ノ リが発生した状態のままで製品化されると、フューエルフィルタ 6の性能が低下 してしまう。具体的には、例えば、そのノ リの一部が濾過された燃料に混入するおそ れ等がある。また、フィルタケース 21の内壁面を溶融させる細長い棒状の加熱ポンチ 39 (図 5参照）に溶融樹脂が付着して残留するおそれもある。こうなると、加熱ポンチ 39の表面を清掃する必要が有るので生産効率が低下してしまう。

[0050] このため、フィルタケース 21には、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cが溶着さ れる部分の上下端部に溝 34が形成されている。これにより、余分な溶融榭脂は、溝 3 4に収集されるため、そこで溝 34に張り付いた状態で硬化して硬化榭脂 37となる。そ して、このような硬化榭脂 37は、溝 34から剥離しないため、硬化榭脂 37の一部が濾 過された燃料に混入するようなことがない。また、加熱ポンチ 39の表面に榭脂が付 着することも防止することができるので、生産効率を低下させることもな 、。

[0051] さらに、フィルタケース 21の内壁には、フィルタエレメント 22の本体部 22aの移動を 防止し、燃料流路を確保するための複数の凸部 35が形成されている。また、燃料が フィルタエレメント 22の内側から外側に向かって流れても、フィルタエレメント 22の端 部 22b, 22cがリブ 32, 33で支持されているので、燃料流路が保持される。

[0052] また、フィルタケース 21には、図示は省略するが、燃料入口及び燃料出口が設けら れている。その燃料入口と前記フューエルポンプ 1の吐出口とが第 1の管 8により接続 されている。また、フィルタケース 21の燃料出口と前記フランジ部材 9の燃料吐出管 1 3とが第 2の管 24により接続されている。各管 8, 24には、ゴムホース、蛇腹形状等の 金属製あるいは榭脂製の可撓性を有する管等が用いられている。なお、フューエル フィルタ 6は、サクシヨンフィルタ 3に対して高圧側に配置されるものであるため、高圧 フィルタとも呼ばれている。

[0053] そして、フィルタケース 21は、図 1に示すように、リザーバカップ 7内に対してスナツ プフィット手段等の固定手段を介して固定されている。これとともに、サクシヨンフィル タ 3のメッシュ 18の下面がリザーバカップ 7内の底面上に当接又は近接される。また、 リザーバカップ 7とフランジ部材 9とは、周知の高さ調整機能を備える連結機構 26を 介して連結されている。また、リザーバカップ 7とフランジ部材 9との間には、リザーバ カップ 7をフューエルタンク 50の底板 52上に弹性的に押付けるためのスプリング 27 が介在されている。

[0054] ここで、フューエルフィルタ 6の製造方法について、図 4一図 9を参照しながら説明 する。図 4は、フューエルフィルタの製造手順の概要を説明するための説明図である 。図 5は、フューエルフィルタの端部における溶着方法の概要を説明するための説明 図である。図 6は、図 5に示す A— A方向の矢視図である。図 7は、図 5に示す B— B線 における断面図である。図 8は、加熱ポンチをフィルタケースの内壁に接触させた状 態を示す図である。図 9は、フィルタケースと上カバーおよび下カバーとの溶着方法 の概要を説明するための説明図である。

[0055] まず、図 4に示すように、フィルタエレメント 22をフィルタケース 21に収容する。この とき、フィルタエレメント 22の本体部 22aがフィルタケース 21のエレメント収容 21aに 収容され、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cがそれぞれフィルタケース 21のエレ メント保持室 21b, 21cに収容される。

[0056] そして、図 5—図 7に示すように、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cをフィルタケ ース 21の内壁面に接触させた状態で、その接触部を所定温度に加熱した棒状の加 熱ポンチ 39により加熱する。つまり、図 8に示すように、加熱ポンチ 39をフィルタエレ メント 22の端部 22b, 22cを介してフィルタケース 21の内壁に接触させ押圧する。こ れにより、フィルタケース 21の内壁のうち加熱ポンチ 39により加熱された榭脂部分が 溶融して溶融部 38が形成される（図 6参照)。なお、本実施の形態では、加熱ポンチ 39は 180度以上に加熱している。

[0057] その後、溶融した榭脂がフィルタエレメント 22の端部 22b, 22cに浸透していく。溶 融した樹脂がフィルタエレメント 22の端部 22b, 22cに十分に浸透した後、フィルタケ ース 21の内壁面から加熱ポンチ 39を離す。そうすると、フィルタエレメント 22の端部 2 2b, 22c内に浸透した溶融樹脂が自然冷却により硬化される。これにより、フィルタエ レメント 22の端咅 22b, 22cはフイノレタケース 21にしつ力りと固着される。

[0058] ここで、加熱ポンチ 39をフィルタケース 21の内壁面に接触させ、内壁面を溶融させ ると余分な溶融榭脂はフィルタケース 21に形成された溝 34に収集される。そして、図 8に示すように、その溝 34内で硬化して硬化榭脂 37となる。これにより、加熱ポンチ 3 9への榭脂付着を防止することができるとともに、次工程で行うフィルタケース 21と上 カバー 30および下カバー 31との溶着を容易かつ確実に行うことができる。

[0059] そして、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cがフィルタケース 21に溶着され固定 されたものに対して、上カバー 30および下カバー 31を溶着してフィルタケース 21を 閉塞する。具体的には、図 9に示すように、上カバー 30および下カバー 31の内側と、 フィルタケース 21の上下端部を熱板 70により加熱し溶融させる。なお、図 9の斜線部 が溶融部部分である。そして、溶融させた状態で、上カバー 30および下カバー 31を フィルタケース 21に装着して加圧する。これにより、図 3に示すように、上カバー 30お よび下カバー 31に生成された溶融榭脂内にフィルタエレメント 22の上端 22uおよび 下端 22dが突き刺さる。

[0060] そして、フィルタエレメント 22の上端 22uおよび下端 22dに溶融樹脂が浸透していく 。その後、溶融樹脂が自然冷却により硬化して、フィルタエレメント 22の上端 22uおよ び下端 22dが上カバー 30および下カバー 31に固定される。このとき、上カバー 30お よび下カバー 31も、フィルタケース 21に対して溶着されて接合される。これにより、フ ィルタエレメント 22はその端部がフィルタケース 21 (上カバー 30および下カバー 31を 含む）にしつ力りと固定される。このように、フィルタエレメント 22の端部は、フィルタケ ース 21およびフィルタケース 21に溶着された上カバー 30および下カバー 31にほぼ 同時に固着される。

[0061] 次に、上記した燃料供給装置 60の動作について説明する。まず、フューエルボン プ 1が駆動されると、リザーバカップ 7内の燃料力 サクシヨンフィルタ 3を通じて吸込 まれ、吐出口（図示省略)から第 1の管 8を通じてフューエルフィルタ 6内へ供給される 。そして、フューエルフィルタ 6内を内周側力 外周側へと通ることによって濾過され た燃料は、第 2の管 24からフランジ部材 9の燃料吐出管 13、燃料供給配管（図示省 略)を経てエンジンへ供給される。

[0062] ここで、フューエルフィルタ 6内を燃料が通過する際に、フィルタエレメント 22に力が カロわる。このとき、フィルタエレメント 22の端部 22b, 22cとフィルタケース 21との溶着 部 36を剥離させようとする力が加わるおそれがある。しかしながら、本実施の形態に 係るフューエルフィルタ 6では、フィルタケース 21にリブ 32, 33が設けられているため 、フューエルフィルタ 6内に形成されたエレメント収容室 21aを燃料がフィルタケース 2 1の内側力も外側に向力つて通過する際に、図 10に示すように、溶着部 36に対して 加わる力は、引張力とせん断力との合力 Pとなる。これにより、製品寿命を向上させる ことができる。なお、図 10は、溶着部に加わる力を説明するための説明図である。 [0063] また、フィルタエレメント 22の端部力 フィルタケース 21およびフィルタケース 21に 溶着された上カバー 30および下カバー 31にしつ力りと固着されている。このため、フ ユーエルフィルタ 6に流れ込んだ燃料が濾過されずにフューエルフィルタ 6から排出 されること力ない。このように、フューエルフィルタ 6では、フィルタ性能を低下させるこ となくフィルタ枠を不要にすることができるのである。

[0064] 以上、詳細に説明したように本実施の形態に係るフューエルフィルタ 6では、フィル タエレメント 22の端部 22b, 22c力 フィルタケース 21の内壁面に固着されている 。また、フィルタエレメント 22の上下端 22u, 22d力 フィルタケース 21に溶着された 上カバー 30および下カバー 31に固着されている。このように、フューエルフィルタ 6 では、フィルタエレメント 22の端部がフィルタケース 21およびフィルタケース 21に溶 着された上下カバー 30, 31にしつ力りと固着されている。つまり、フューエルフィルタ 6では、フィルタ枠を介さずにフィルタエレメント 22をフィルタケースに固定することが できる。

[0065] また、フューエルフィルタ 6においては、フィルタケース 21にフィルタエレメント 22の 端部 22b, 22cが溶着される部分の上下端部に溝 34が形成されている。これにより、 余分な溶融榭脂は、溝 34に収集されてそこで硬化する。したがって、余分な溶融榭 脂が硬化したものの一部が濾過された燃料に混入する事態を確実に回避することが できる。また、加熱ポンチ 39に榭脂が付着することも防止することができるので、生産 効率を低下させることもな 、。

[0066] さらに、フューエルフィルタ 6においては、フィルタケース 21の内周側内壁面に凸状 のリブ 32が設けられ、外周側内壁面に凸状のリブ 33が設けられている。これにより、 フューエルフィルタ 6に燃料が流れ込んだ際に、フィルタエレメント 22とフィルタケース 21の内壁面との溶着部 36に加わる力を、溶着部 36を剥離させようとする力から引張 力とせん断力に変えることができる。したがって、溶着部 36がフィルタケース 21から 剥離することを防止することできるため、製品寿命を向上させることができる。

[0067] なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するもので はなぐその要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろ んである。例えば、上記した実施の形態では、略 C型で半円形状のフィルタ装置を例 示したが、図 11に示すように、ほぼ全周形状のフィルタ装置にも本発明を適用するこ とができる。また、図 12に示すように、 I型形状のフィルタ装置にも本発明を適用する ことができる。

さら〖こ、上記した実施の形態では、本発明に係るフィルタ装置をフューエルフィルタ に適用している力 これに限られず、各種流体中の不純物を除去するためのフィルタ 装置に対して本発明を適用することができる。また、上記した実施の形態では、フィル タ装置の容器を、フィルタケース 21と上カバー 30と下カバー 31の計 3つの容器構成 部材の組み合わせにより構成した力 2つあるいは 4つ以上の容器構成部材の組み 合わせにより構成することもできる。

Claims

請求の範囲

[1] 不純物を濾過するためのフィルタ装置であって、

前記不純物の濾過を行う榭脂製のフィルタ部材と、

前記フィルタ部材を収容する榭脂製の容器とを備え、

前記フィルタ部材が前記容器に接合されていることを特徴とするフィルタ装置。

[2] 請求項 1に記載するフィルタ装置において、

前記フィルタ部材が前記容器に榭脂の溶着により接合されていることを特徴とする フィルタ装置。

[3] 請求項 2に記載するフィルタ装置において、

前記溶着が熱板溶着であることを特徴とするフィルタ装置。

[4] 請求項 2または請求項 3に記載するフィルタ装置にぉ 、て、

前記フィルタ部材の端部が前記容器の内壁面に直接溶着されて固定されているこ とを特徴とするフィルタ装置。

[5] 請求項 4に記載するフィルタ装置において、

前記フィルタ部材は、複数のひだを有する形状に折り畳まれた状態で固定されて 、 ることを特徴とするフィルタ装置。

[6] 請求項 4または請求項 5に記載するフィルタ装置にぉ 、て、

前記容器の内壁面を溶融させて生成した溶融榭脂を前記フィルタ部材に浸透させ た状態で固化させて前記フィルタ部材を前記容器に固定していることを特徴とするフ ィルタ装置。

[7] 請求項 4力 請求項 6に記載するいずれか 1つのフィルタ装置において、

前記フィルタ部材と前記内壁面との溶着部は、細長 、帯状であることを特徴とする フィルタ装置。

[8] 請求項 7に記載するフィルタ装置において、

前記容器の内壁面には、前記溶着部からはみ出した溶融榭脂を収集する溝が前 記溶着部の長手方向両端部に形成されていることを特徴とするフィルタ装置。

[9] 請求項 7または請求項 8に記載するフィルタ装置にぉ 、て、

前記フィルタ部材と前記内壁面との溶着部と前記フィルタ部材の濾過部とを隔離す るために前記容器の内壁面に形成された凸状のリブを有することを特徴とするフィル タ装置。

[10] 請求項 1から請求項 9に記載するいずれか 1つのフィルタ装置において、

前記容器の横断面が C型形状または I型形状であることを特徴とするフィルタ装置。

[11] 請求項 1から請求項 10に記載するいずれか 1つのフィルタ装置において、

前記容器が複数の容器構成部材の組み合わせにより構成されており、 前記フィルタ部材を接合する第 1容器構成部材に、その第 1容器構成部材に結合 される第 2容器構成部材と前記フィルタ部材とが同時に接合されていることを特徴と するフィルタ装置。

[12] 請求項 11に記載するフィルタ装置にぉ 、て、

前記第 1容器構成部材が容器本体であり、前記第 2容器構成部材が前記容器本体 に接合されるカバーであり、

前記カバーが前記容器本体に溶着されているとともに、前記フィルタ部材の端部が 前記カバーに突き刺さった状態で溶着され固定されていることを特徴とするフィルタ 装置。

[13] 請求項 12に記載するフィルタ装置において、

前記フィルタ部材が複数のひだを有する形状に折り畳まれて ヽる場合には、前記フ ィルタ部材の折り畳み方向と略直交する方向における端部が前記カバーに突き刺さ つた状態で溶着され固定されていることを特徴とするフィルタ装置。

[14] 請求項 12または請求項 13に記載するフィルタ装置において、

前記カバーの内側を溶融させて生成した溶融榭脂を前記フィルタ部材の端部に浸 透させた状態で固化させて前記フィルタ部材を前記カバーに固定していることを特徴 とするフィルタ装置。

[15] 不純物の濾過を行うフィルタ部材と、前記フィルタ部材を収容する榭脂製の容器と を備えるフィルタ装置の製造方法であって、

前記容器の内壁面を溶融させて溶融榭脂を生成する工程と、

生成された溶融榭脂を前記フィルタ部材に浸透させる工程と、

前記フィルタ部材に浸透させた溶融榭脂を固化させて前記フィルタ部材を前記容 器に固定する工程と、

を含むことを特徴とするフィルタ装置の製造方法。

[16] 請求項 15に記載するフィルタ装置の製造方法において、

前記フィルタ部材を収容する榭脂製の容器が、容器本体とカバーとで構成されて!ヽ る場合には、

前記カバーの内側を溶融させて溶融榭脂を生成する工程と、

前記容器のうち前記カバーとの接合部分を溶融させて溶融榭脂を生成する工程と 前記容器内に収容された前記フィルタ部材の端部が、前記カバーの内側に生成さ れた溶融樹脂に突き刺さった状態で固着されるように、前記カバーを前記容器に溶 着で接合する工程と、

をさらに含むことを特徴とするフィルタ装置の製造方法。

[17] 請求項 1から請求項 14に記載するいずれか 1つのフィルタ装置と、

燃料を貯留する燃料貯留器と、

前記燃料貯留器内の燃料を吸入して前記フィルタ装置に供給するフューエルボン プと、をモジュールィ匕したことを特徴する燃料供給装置。