変異の検出方法
技術分野
本発明は、 DN A塩基配列の決定方法に関する。 また、 本発明は該塩基配列決 定方法を応用した変異の検出方法に関する。 明
背景技術
細 1
DNAの塩基配列決定方法は生物の遺伝情報を得る上で必須の技術である。 従 来広く用いられてきた塩基配列決定技術は化食学曰^军法 〔マクサム (Ma x am) ら、 米国科学アカデミー紀要 (P r o c e e d i n g s o f Na t i o n a 1 Ac a d emy o f S c i e n c e s U S A) 、 第 74巻、 第 125 8〜1262頁、 1977年〕 と酵素合成法 〔サンガー (S a n g e r) ら、 米 国科学アカデミー紀要、 第 74卷、 第 5463〜5467頁、 1977年〕 に大 別される。 前者はマクサム一ギルバート法、 後者はジデォキシ法またはサンガー 法と呼ばれており、 特に後者はその原理を応用した自動シークェンサ一が広く普 及して D N A塩基配列決定方法の主流となっている。 これらの方法は 1個の試料 につレ、て最低 1個の反応および電気泳動を必要とするので、 最新型のシークェン サーを使用しても一度に得られる配列数は 384個が限度である。
マツシブリー パラレル シグネチャー シークェンシング法 〔MP S S法、 ブレナ一 (B r e nn e r) ら、 ネイチヤー ノィォテクノロジー (N a t u r e B i o t e c hn o l o gy) 、 第 18巻、 第 630〜 634頁、 2000 年、 特表平 11一 507528〕 は上記の塩基配列決定法とは全く異なった原理 により塩基配列を決定する技術である。 試料となる DNAをマイク口ビーズに結 合させ、 マイクロビーズをフローセルに 2次元的に充填し、 ここで一連の反応、 検出を行うことにより、 約 20塩基の配列を、 一度に約 100万個決定すること ができる。
前記の MP S S法に適用される試料の処理に関する DNAマイクロビーズァレ
ィ技術は特表 2000-515006およぴブレナ一ら、 米国科学アカデミー紀 要、 第 97卷、 第1665〜1670頁、 2000年に開示されている。
同種の生物であってもゲノム DN A塩基配列は個体間で異なっており、 この現 象おょぴ異なっている部位を遺伝子多型と呼ぶ。 通常、 集団の中で 1%以上の頻 度で現れるものを遺伝子多型と定義する。 遺伝子多型のマーカーとしては、 主と して次の 3種類が使用されている。 すなわち、 制限酵素切断片長多型 (r e s t r i c t i o n f r a gme n t l e n g t h p o l ymo r ph i sm^ R F L P) 、 単純配歹帳多型 (s imp l e s e qu e n c e l en g t h p o l ymo r p h i sm, S S LP) および一塩基多型 (s i ng l e n u c l e o t i d e p o l ymo r p h i sm, SNP) である。 特定のゲノム 領域にある程度大きな挿入、 欠失または制限酵素認識部位の変異が存在する場合、 その部位のプローブを使用してサザンハイブリダイゼーションを行うことにより RF LPを解析することができる。 し力 し、 RF LPとして検出可能な多型はゲ ノム中にそれほど頻繁に存在するわけではないので細かな多型の網羅的な解析に は向いていない。 ゲノム中には 1〜 6塩基の反復配列が多く存在し、 これをマイ クロサテライトと呼ぶ。 マイクロサテライトの反復回数は個体により異なってい ることがあり、 これを S S LPと呼ぶ。 マイクロサテライトの周辺の配列は反復 配列ごとに異なっているので、 -特異的なプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖 反応 (PCR) により増幅したのちに、 ゲル電気泳動により増幅産物の鎖長を分 析することにより反復回数を容易に知ることができる。 し力 しながら、 詳細な多 型解析を行うためには S S L Pよりもさらに高密度な多型マーカーが必要である。 S NPは最も頻繁に見られる遺伝子多型であり、 ヒトでは約 1 k bに 1ケ所の割 合で存在する。 疾患や医薬品の薬効♦副作用と個体差の関係を理解し、 より効果 的かつ安全な医療を行うためには SNPの解析が有用であり、 SNPのスクリー ユングやタイビングが世界的に大規模に行われている。
新規 S N Pの検出方法としては、 複数個体のゲノム D N A塩基配列を比較する 方法が最も直接的な方法である。 SNPを発見するためには多数の個体について 塩基配列を解析し個体間での塩基配列の違レヽを比較する必要があるが、 シークェ ンス反応と自動シークェンサ一による解析には多大のコストと労力を要する。 例
えば、 10 k bの遺伝子領域について 1 19個体から SNPを検出する場合、 1 回のシークェンス解析によって得られる配列長を 250塩基、 解析の歩留まりを 80%とすると、 11, 900個のシークェンス解析を行う必要がある。 そこで. 塩基配列解析時に複数の試料を混合してコストを低く抑える方法も行われている 力 それでもなお多大のコストを要するとともに、 混合する試 を多くすると データの信頼性が損なわれるという問題点がある。 発明の開示
本発明の目的は、 多数の試料の DN A塩基配列を安価かつ高精度に決定する方 法を提供することにある。 また、 この塩基酉己列決定法を用いて安価かつ高精度に 変異を検出する方法を提供することも本発明の目的である。
本発明者らは鋭意研究の結果、 DNAを断片化し、 該断片化 DNAをタグべク ターに連結してタグライブラリーを作製し、 塩基配列を決定しようとする DNA 断片をマイク口ビーズに結合させ、 MP S S法と同様の工程からなる操作で塩基 配列を決定することにより DN A塩基配列を効率よく決定できることを見出し、 また、 同様の方法によつて変異を検出できることを見出して本発明を完成した。 すなわち、 本発明の第 1の発明は DN A塩基配列の決定方法であって、 以下の 工程を含むことを特徴とする。 - - - -
(1) 標的 DNAを断片化する工程、
(2) 断片化した標的 DN Aをタグベクターに連結し、 タグライブラリーを作製 する工程、
(3) 標的 DNAの断片とタグ配列が連結された DNAを、 タグライブラリ一力 ら調製する工程、
(4) 工程 (3) で得られた DNAをマイクロビーズに結合させる工程、
(5) 必要に応じて、 マイクロビーズ上の DNAの末端に開始アダプターを連結 する工程、
(6) マイクロビーズをフローセルに 2次元的に充填し、 各ビーズの位置を記録 する工程、
(7) マイクロビーズ上の標的 DN Aを制限酵素消化し、 突出末端を生成させる
工程、
(8) 工程 (7) で生成した標的 DNA由来の突出末端に当該末端と相補的なェ ンコーデッド アダプターをライゲーシヨンさせる工程、
(9) 工程 (8) で得られたマイクロビーズとデコーダー プローブとのハイブ リダィゼーシヨンを行い、 標的 DNAとライゲーシヨンされたェンコ一デッド アダプターを同定する工程、 および
(10) 工程 (9) のマイクロビーズよりデコーダー プローブを除去し、 得ら れたマイクロビーズを工程 (7) 以下の工程に使用する工程。
また、 本発明の第 2の発明は変異の検出方法であって、 以下の工程を含むこと を特徴とする。
(1) 検出対象となる標的 DNAを増幅する工程、
(2) 増幅した標的 D'N Aを断片化する工程、
(3) 断片化した標的 DNAをタグベクターに連結し、 タグライブラリーを作製 する工程、
(4) 標的 DNAの断片とタグ配列が連結された DNAを、 タグライブラリーか ら調製する工程、
• (5) 工程 (4) で得られた DN Aをマイクロビーズに結合させる工程、
( 6 ) 必要に応じて、 マイグロビーズ上の D N Aの末端に開始アダプターを連結- する工程、
(7) マイクロビーズをフローセルに 2次元的に充填し、 各ビーズの位置を記録 する工程、
(8) マイクロビーズ上の標的 DNAを制限酵素消化し、 突出末端を生成させる 工程、
(9) 工程 (8) で生成した標的 DNA由来の突出末端に当該末端に相補的なェ ンコーデッド アダプターをライゲーシヨンさせる工程、
(10) 工程 (9) で得られたマイクロビーズとデコーダー プローブとのハイ プリダイゼーシヨンを行い、 標的 DNAとライゲーシヨンされたェンコーデッド アダプターを同定する工程、
(11) 工程 (10) のマイクロビーズよりデコーダー プローブを除去し、 得
られたマイクロビーズを工程 (8) 以下の工程に使用する工程、 および
(12) 工程 (7) 〜 (11) によって解読された標的 DNAの塩基配列と、 (1) で増幅した DN Aの既知の塩基配列との間でホモロジ一サーチを行い、 塩 基配列の違いを抽出する工程。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を具体的に説明する。
本明細書で使用する用語の定義と説明は以下の通りである。 特に定義するもの 以外は分子生物学、 分子遺伝学等の当業者の間で一般的に理解されている意味で 用語を用いている。
「D N Aマイク口ビーズァレイ技術」 とは特表平 1 1— 507528およぴブ レナ一ら、 米国科学アカデミー紀要、 第 97巻、 第1665〜1670頁、 20 00年に開示された技術およびこれを応用して遺伝子発現や遺伝子構造を解析す る技術を意味する。 すなわち、 タグと呼ぶオリゴヌクレオチドを結合した DN A と、 タグに相捕的なオリゴヌクレオチドであるアンチタグを結合したマイク口ビ ーズとを、 タグとアンチタグの間のハイブリダィゼーションにより結合させる技 術である。 その結果、 マイクロビーズ上に固定ィ匕された DNAのライブラリーを 作製することができ、 1個のマイク口ビーズには 1種類の D Ν· Aが結合して \、る-。
「タグライブラリー」 とは DNAマイク口ビーズァレイ技術においてマイク口 ビーズに結合させる DN Aのライブラリーを意味する。 タグライブラリーの各ク ローンはマイクロビーズに結合させる DNAとタグ配列を同一分子内に含む D N Aであり、 これらのクローンの集合がタグライブラリーである。
「タグ」 とは DNAマイク口ビーズァレイ技術においてマイク口ビーズに結合 させる D N Aと共有結合により .結合しているオリゴヌクレオチドであり、 各マイ クロビーズに単一配列の DN Aを配置するために使用する。 タグのレパートリー はタグライプラリーのクローン数よりも十分に大きいことが必要である。
「アンチタグ」 とは DNAマイク口ビーズァレイ技術においてマイク口ビーズ と共有結合により結合したォリゴヌクレオチドであり、 前記のタグと相補的な配 列を持つ。 1個のマイク口ビーズには単一配列のアンチタグが結合しており、 ァ
ンチタグのレパートリーはタグのレパートリーと実質的に同じ大きさである。
「MP S S法」 とは特表 2 0 0 0— 5 1 5 0 0 6およびネイチヤー バイオテ クノロジー、 第 1 8卷、 第 6 3 0〜6 3 4頁、 2 0 0 0年に開示された技術を意 味する。 すなわち、 D NAマイクロビーズアレイ技術により作製した、 D NAが 結合したマイクロビーズをフローセルに 2次元的に充填し、 タイプ li s制限酵素 による消化、 それにより生成した突出末端へのアダプターの連結、 連結されたァ ダプターの蛍光プローブによる識別をフローセル中で行う技術である。
「ェンコーデッド アダプター」 とは MP S S法において、 標的 D NAの突出 末端へのライグーションに使用する一部 2本鎖のオリゴヌクレオチドの混合物を 意味する。
ェンコ一デッド アダプターの一方の末端 (以下、 A末端という) は、 後述の デコーダー プローブがハイプリダイズしうる配列を有する突出末端であればよ い。
他方の末端 (以下、 B末端という) は、 次の条件を備えた突出末端であればよ い。
i ) 本発明における 「標的 D N A断片の塩基配列を決定する工程」 で使用するタ イブ Γ I s制限酵素により生成する標的 D NAの末端にライゲーシヨンしうる 5, 一または' 3, 一突出末端である。 すなわち、 前記の制限酵素が N塩基突出し た 5 ' — (または 3 ' -) 末端を生成する場合、 A末端も N塩基突出した 5 ' ― (または 3 ' —) 末端である。
i i ) 同一の配列の A末端を有するェンコ一デッド アダプターにおいて、 B末 端の n番目の塩基 ( 1≤n≤N) は A、 G、 Cまたは Tのいずれかであり、 他の 位置については 4種類の塩基の混合物である。
i i i ) 前記の制限酵素によって生成する、 すべての考えられる突出末端の配列 に相補的な配列を網羅している。
一方、 ェンコ一デッド アダプターの中央の 2本鎖部分は前記のタイプ I I s 制限酵素認識配列を有している。 この制限酵素認識配列は、 標的 D NA断片にェ ンコーデッド アダプターをライゲーシヨンして得られる D NAを前記制限酵素 により消化した場合に、 ライゲーションに使用された突出末端の配列に隣接する
標的 DN Aの配列が突出末端として生成するように設計されていればよい。 同一の A末端を有するェンコーデッド アダプターを 1個のグループとした場 合、 各グループのェンコ一デッド アダプタ一は 4N_1個の B末端を持つものの 混合物であり、 ェンコーデッド 了ダプター全体は 4 X N個のグループ、 N X 4 N種類の配列からなる。
好適に使用できるェンコ一デッド アダプターの例として、 米国科学ァカデミ 一紀要、 第 97卷、 第 1665〜 1670頁、 2000年に記載されているもの が挙げられる。 当該ェンコ一デッド アダプタ一はタイプ I I s制限酵素として B b V Iを使用する場合に適用可能であり、 A末端は 10塩基の 3, 一突出、 B 末端は 4塩基の 5, 一突出構造を有している。
「デコーダー プローブ」 とは MP S S法においてどのグループに属するェン コーデッド アダプターがライグーションされたかを検出するために使用する蛍 光標識オリゴヌクレオチドであり、 ェンコーデッド アダプターの A末端の配列 に相補的な配列を有していればよい。 デコーダー プローブに使用される蛍光色 素に特に限定はなく、 フィコエリスリンのようなタンパク質、 フルォレセインの ような低分子化合物及び量子ドット等が使用可能である。
「タイプ I I s制限酵素」 とは非対称な配列を認識して認識配列と異なる部位 を切断する制限酵素である。 本発明における I7標的 DN A断片の塩基配列を決定 する工程」 に使用されるタイプ I I s制限酵素は次の条件を備えていればよい。 i) 5, 一または 3' 一突出末端を生成する。
i i) 生成する末端の突出塩基長を Nとしたとき、 切断部位と認識配列の間の距 離が N塩基以上である。
「標的 DN A断片の塩基配列を決定する工程」 に使用するタイプ I I s制限酵 素の好適な例として、 Bb v Iが挙げられる。 下記のように、 本酵素は GCAG C配列を認識して 4塩基が突出した 5, 一末端を生成する。
5' . . . GCAGCNNNNNNNN-3
3' . . . CGTCGNNNNNNNNNNNN-5
「標的 D NA」 とは塩基配列を決定する対象となる D N Aを意味する。 また、 変異を検出する対象となる D NAをも意味する。 標的 D N Aの調製方法に特に限 定はなく、 例えばゲノム D NA、 c D NA、 これらから P C Rにより増幅した D NA、 これらの D NAをベクター、 例えばプラスミドベクターまたはパクテリォ ファージベクター、 にクローン化した D NA、 クローンィ匕した D NAの混合物、 およびこれらのクローン化した D NAから制限酵素消化等によりベクター部分を 除去したものが挙げられる。
「変異」 とは個体間、 同一個体のアレル間、 細胞間または同一細胞のアレル間 でゲノム D N A配列が異なつていることおよぴ異なっている部位を意味する。 す なわち、 遺伝子多型、 突然変異、 変異剤や電磁波による変異、 人為的な遺伝子組 換えによる変異、 ウィルス等の感染によるゲノム D NA配列の変ィヒ等を含む。
上記の 「変異」 には 「塩基置換」 、 「欠失変異」 、 「揷入変異」 、 等の種々の 形態の変異が包含される。
本明細書に記載の 「塩基置換」 とは、 核酸上の特定の部位において、 その一部 の塩基が他の塩基に置換されていることを指す。 本明細書に記載の 「塩基置換」 において置換されている塩基の数には特に限定はなく、 1塩基もしくはそれ以上 の塩基に置換が存在してもよい。 塩基配列中の一個の塩基に見られる置換は 「一 塩基置換多型 ( S N P) J —と呼ばれている。 また、 核酸に人為的に導入された塩 - - - 基置換も本明細書における 「塩基置換」 に含まれる。
本明細書に記載の 「欠失変異」 とは、 核酸上の特定の部位において、 その一部 の塩基配列が欠失していることを意味する。 欠失した塩基配列は、 1塩基でもよ いし複数の塩基であってもよい。 またこれらの塩基配列の欠失は、 核酸上の特定 の領域において複数箇所生じているものも含まれる。 さらに、 遺伝子の特定の領 域、 特に限定はされないが例えばェキソン及び Z又はィントロンの領域、 さらに は当該遺伝子の全長が欠損した場合も 「欠失変異」 に含まれる。 また、 核酸に人 為的に導入された塩基配列の欠失も本明細書における 「欠失変異」 に含まれる。
本明細書に記載の 「挿入変異」 とは、 核酸上の特定の部位において、 塩基配列 が揷入されていることを意味する。 揷入された塩基配列は、 1塩基でもよいし複 数の塩基であってもよいし、 任意の鎖長であってもよい。 また、 これらの塩基配
列の揷入は、 核酸上の特定の領域において複数箇所生じているものも含まれる。 また、 核酸に人為的に導入された塩基配列の揷入も本明細書における 「揷入変 異」 に含まれる。
本発明は、 ゲノム多型やバリエーションの検出、 特に、 遺伝子上の塩基置換、 例えば SNPの検出、 スクリーニングに好適である。
本発明の第 1の実施形態は D N A塩基配列の決定であり、 下記の各工程により 実施される。
(1) 標的 DNAを断片化する工程
本発明を実施するに当たっては、 まず標的 DN Aを断片化する。 本明細書では、 標的 DNAの内部配列を末端に持つ DNAを調製することを断片化と呼ぶ。 断片 化の方法に特に限定はないが、 酵素を用いる方法、 超音波処理ゃシァリング等の 物理的方法、 酸処理等の化学的方法、 またはこれらの方法を組み合わせた方法を 使用することができる。 酵素としてはデォキシリボヌクレアーゼ (DNa s e) が使用でき、 その中でも制限酵素、 DNa s e I等のエンド型酵素が好適に使用 できる。 また、 ェキソヌクレアーゼ、 例えば BAL 31ェキソヌクレアーゼ、 ェ キソヌクレアーゼ III、 ェキソヌクレアーゼ、 T4 DNAポリメラーゼ等に よつて標的 D N Aを部分消化することによっても標的 D N Aの内部配列を末端に 持つ DNAが得られるので、本明細書においてはェキヅヌクレア"ゼによる部分 - 消化も断片化に含まれる。
断片化方法は、 決定したい配列が標的 DNAの全配列である力 その一部であ る力、 一部であればどの部分であるかによって適宜選択できる。 標的 DNAの全 配列を決定する場合には DN Aをランダムに断片化する方法、 例えば DNa s e I処理、 超音波処理、 酸処理等が好適に使用できる。 また、 決定したい配列の近 傍に特定の配列が存在することがわかっている場合にはその配列を認識する制限 酵素を用いて断片化することにより、 目的の部分の配列を効率よく決定できる。 断片化の度合いは決定したい配列の長さや断片化方法によつて適宜選択すればよ いが、 以下に行う塩基配列決定の工程では約 20塩基の配列が解読できるので、 断片の大半が 20 b p以上であるような条件を設定することが望ましい。
標的 DN Aの断片化方法の一例として、 以下の方法が好適に使用可能である。
まず、 標的 DNAを PCRにより増幅する。 このとき、 一方または両方のプライ マーをピオチン化しておく。 次いで、 超音波処理により標的 DN Aを断片化し、 アルカリホスファターゼによる末端リン酸基の除去、 D N Aポリメラーゼによる 末端の平滑化、 ポリヌクレオチドキナーゼによる 5, 一末端のリン酸ィ匕を行う。 この末端に Mm e I認識部位を有する第 1のアダプターを連結し、 ァビジンを固 相化した磁気ビーズにビォチンを持つ D N Aを結合させる。 磁気ビーズに結合し なかった DNAを洗浄、 除去したのち、 Mme Iで消化して第 1のアダプターと それに隣接する約 20塩基対の標的 DNAからなる DNAを切り出す。 この DN Aの Mme I消化により生じた末端に第 2のアダプターを連結する。 ポリアタリ ルアミドゲル電気泳動により第 1のアダプター、 標的 DN Aの約 20 b p断片お ょぴ第 2のアダプターからなる DNAを精製し、 これを铸型とし、 第 1のァダプ ター配列を持つプライマーと第 2のアダプター配列を持つプライマーを用いた P CRを行う。 こうして得られた DNAを以下の工程のダグライブラリー作製に使 用する。
(2) 断片化した標的 DN Aをタグベクターに連結し、 タグライブラリーを作製 する工程 '
工程 (1) で作製された、 断片化した標的 DNAをタグベクターに連結する。 • -タグベクターに含まれるタグ配列としては、 特表平 11'一- 507528-に-開示さ - れたものが使用でき、 その中でも、 米国科学アカデミー紀要、 第 97巻、 第 16 65〜 1670頁、 2000年に述べられたものが特に好適に使用できる。 また、 タグべクターは薬剤耐性等の選択マーカーを含んで 、ることが望ましレ、。 大腸菌 を宿主として使用する場合、 マーカーとしてはアンピシリン耐性、 クロラムフエ 二コール耐性、 カナマイシン耐性、 ストレプトマイシン耐性等の遺伝子が使用で さる。
タグベクターに連結する DN A断片の末端は酵素処理、 例えば BAL31ェキ ソヌクレアーゼ、 T4 DNAポリメラーゼ、 タレノウ (K l e n ow) 酵素ま たはこれらの酵素の組み合わせによる処理によつて平滑化してもよい。 このよう にして調製した DN A断片は、 平滑末端を生成する制限酵素処理により直鎖化し たタグベクターと効率よく連結できる。 物理的または化学的処理によって断片化
した D N Aの末端形状は不揃いで、 通常は 5, 一 Ο Η、 5 ' —リン酸、 3, 一 O Η、 3 ' —リン酸のものが混在している。 このうち T 4 D NAリガーゼ等の D N A連結酵素の基質になるのは 5, 一リン酸基と 3, 一 OH基を持つ D NAだけ なので、 アル力リホスファターゼ等の酵素により末端のリン酸基を除去したのち に T 4ポリヌクレオチドキナーゼ等の酵素により 5 ' —末端を選択的にリン酸ィ匕 すれば、 効率よくベクターに連結可能な D NA断片となる。 断片化 D NAの平滑 化した末端にリンカ一を連結してリンカ一の配列を認識する制限酵素で消化する、 またはアダプターを連結する、 ことによって突出末端とすることができる。 この D NA断片は、 相補的な末端を有する直鎖状のタグベクターとさらに効率よく連 結することができる。
断片化 D NAが連結されたタグベクターを適当な宿主、 好ましくは大腸菌に導 入する。 D N Aの宿主への導入は公知の方法によって行うことができ、 特に限定 はないが、 大腸菌を宿主として形質転換を行う場合にはエレクトロポレーシヨン 法やコンビテントセルを用いた方法が使用できる。 タグベクターのマーカー遺伝 子に対応する選択圧のもと、 形質転換体を培養し、 その細胞から断片化 D NAと タグベクターが連結された D N Aの混合物であるタグライブラリ一を調製する。 タグライブラリ一の調製においては、 公知の方法で D N Aの調製を実施すればよ く、 タ-グベタターがプラスミドべクターである場合には例えばアル力リ一 S D S · 法が使用できる。 形質転換を行った宿主細胞の一部を固形選択培地に接種し、 出 現するコ口ニー数を計数することにより、 タグライブラリ一に含まれる独立した クローン数を測定することが望まし 、。 独立したクローン数は目的により適宜設 定すればょレ、が、 MP S Sの配列決定能力を考慮すれば 1 0 4以上、 好ましくは 1 0 5以上、 さらに好ましくは 1 0 6以上に設定すればよレ、。 タグライブラリー を複数個のプールとして作製しておき、 使用するプールの個数を選択することに より目的のクロ一ン数を得る方法が有効である。 この場合、 プール 1個あたりの クローン数を 1万〜数十万、 作製するプール数を 2個から 1 0 0個とすることに より目的のクローン数を有するタグライブラリ一を簡便に調製できる。
特表平 1 1— 5 0 7 5 2 8のタグべクターは、 タグ部分の配列が異なる約 1 7 0 0万種類のプラスミドの混合物である。 MP S S法により配列解析を行うため
には 1個のマイク口ビーズには 1種類の配列の DN Aを結合させる必要があり、 そのためには 1種類のタグ配列には 1種類の標的 D N A配列を対応させることが 必要である。 タグライブラリーの各プールに含まれるクローン数を 17万〜 10 0万に設定し、 標的 DN Aのマイク口ビーズへの結合をプールごとに行うことに より、 2種類以上の標的 DN Aが結合したタグの割合を 0. 5〜数%という低い 値に抑えることができる。
(3) 標的 DNAの断片とタグ配列が連結された DNAを、 タグライプラリーか ら調製する工程
標的 DN Aの断片とタグを含む DN Aをタグライブラリーから調製する。 この 方法に特に限定はないが、 例えば 1種類または複数種類の適当な制限酵素で消化 した後にゲル電気泳動やゲルろ過等による分子量分画で前記 D N Aからベクター 部分を除去する方法、 および PCRによる方法が挙げられる。 特に、 PCRによ る方法は標的 D N Aとタグを含む D N Aを大量に調製する場合に簡便であること、 目的の部分だけを増幅できるのでベクター部分の混入を少量に抑えられること等 の利点がある。 この場合、 標的 DN A側のプライマーを蛍光基、 タグ側のプライ マーをビォチン等の特異的選別が可能な基で標識しておくことにより以後の操作 を効率的かつ簡便に行うことができる。
- (4) 標的 D N Aの断片をマイクロビーズに結合させる工程 -- この DNAのタグ部分を例えば次の方法により 1本鎖化する。 米国科学ァカデミ 一紀要、 第 97卷、 第 1665〜: 1670頁、 2000年のタグは A、 T、 G塩 基からなり、 タグの相捕鎖は T、 A、 Cからなる。 前記 DNAについて、 必要に 応じてタグとタグ側の末端の間を切断する制限酵素で消化、 末端断片を除去した のち、 (10丁?存在下丁4 DNAポリメラーゼを作用させることによりタグ部 分だけを 1本鎖化できる。
こうして得られた 1本鎖タグつき標的 DNA断片を、 アンチタグが結合したマ イク口ビーズ (以下、 マイクロビーズと略す) に結合させる。 マイクロビーズは、 例えば特表平 1 1-507528と米国科学アカデミー紀要、 第 97巻、 第 16 65〜 1670頁、 2000年に記載された方法で調製することができる。 1本 鎖タグつき標的 DNAとマイクロビーズを混合し、 インキュベーションする。 ィ
ンキュベーシヨン液の組成、 温度等の条件は、 マイクロビーズ上のアンチタグと 断片化標的 D N Aに結合した 1本鎖タグが特異的にハイブリダィズする条件であ れば特に限定はないが、 米国科学アカデミー紀要、 第 97巻、 第 1665〜16 70頁、 2000年に記載の条件、 すなわち 50 OmM Na C l、 10 mM リン酸 Na、 0. 0 l%Twe e n 20, 3% デキストラン硫酸中で 72。C、 3日間ハイブリダイズさせる条件は好適に使用できる。 「特異的にハイブリダイ ズする」 とは、 互いに相補的なタグとアンチタグはハイプリダイズするが、 非相 補的な配列を含むタグとアンチタグはハイプリダイズしないか、 あるいは低頻度 にしかハイブリダイズしないことを意味する。 マイクロビーズを洗浄したのち、 1本鎖タグつき標的 D N Aがハイブリダイゼーシヨンにより結合したマイク口ビ ーズを選別する。 標的 DNA側の PCRプライマーを蛍光標識しておけば、 当該 標識を指標にセルソーターを用いて選別できるので、 操作の容易性、 得られるマ イク口ビーズの純度等の点で有利である。
D N Aリガーゼによつてマイク口ビーズに結合した標的 D N A断片とアンチタ グとの間に共有結合を形成させる。 使用する DNAリガーゼに特に限定はないが、 例えば T 4 D N Aリガーゼおよび大腸菌 D N Aリガーゼが好適に使用できる。 DNAリガーゼによる反応に先立って、 dATP、 dGTP、 dCTP、 dTT P存在下、 DNAポリメラーゼを作用させると DN Aリガーゼ反応の効率が向上 - する場合があるので、 必要に応じてこの反応を行えばよい。 使用する DNAポリ メラーゼに特に限定はないが、 例えば T4 DN Aポリメラーゼが好適に使用で さる。
(5) 標的 DNA断片の塩基配列を決定する工程
上記 (4) の工程において調製された、 マイクロビーズに固定化された DNA の塩基配列を以下に示した操作にしたがって決定することができる。
(a) マイクロビーズ上の標的 DNAの末端の、 蛍光基を含む DNA断片を制限 酵素で除去し、 開始アダプターを連結する。 この目的のために、 適当な制限酵素 認識配列をタグベクターに揷入しておくことが望ましい。 このあとの一連の反応 を行って DN A塩基配列を決定することができれば開始アダプターの配列に特に 限定はない。 すなわち、 次の工程で使用するタイプ lis制限酵素の認識配列を、
正しい位置にもっていればよい。 例えばネイチヤー バイオテクノロジー、 第 1 8卷、 第 630〜634頁、 2000年に述べられているように、 標的 DNAの 末端から 4塩基ずつ解析するための開始アダプター (開始アダプター 1) と、 標 的配列の末端から 2塩基離れた部位から 4塩基ずつ解析するための開始アダプタ 一 (開始アダプター 2) の 2種類のアダプターを使用してもよいし、 1種類の開 始ァダプタ一だけを使用してもよい。
あるいは、 工程 (2) で使用するタグベクター中の、 標的 DNAをクローニン グする部位付近に次の工程で使用するタイプ II s制限酵素の認識配列をあらかじ め揷入しておくことにより、 上記の蛍光基を含む DNA断片の除去と開始ァダプ ターの連結を省略することができる。
(b) こうして調製したマイクロビーズをフローセルに 2次元的に充填する。 フ ローセルはマイク口ビーズの直径よりもやや広い間隔で重ね合わされたガラス板 から成っており、 出口付近にはビーズの流出を防ぐダムがある。 フローセル中で . 以下の反応を行って標的 D N Aの塩基配列を決定する。
(c) まず、 数十万個〜百数十万個のビーズをフローセルに充填し、 ビーズが発 する蛍光を CCDカメラで撮影して各ビーズの位置を記録する。
(d) 開始アダプタ一はタイプ lis制限酵素認識配列を持ち、 この酵素で消化す ると標的 DNAの末端が突出末端となるようにデザィンされている。 ビーズが充 - 填されたフロ一セルにタイプ II s制限酵素を流してビーズ上の D N Aと反応させ ることによって標的 DNAの末端を突出末端とする。 タイプ lis制限酵素は突出 末端を生成するものであれば特に限定はないが、 4塩基突出末端を生成する酵素、 例えば B b V Iが好適に使用できる。
(e) 上記 (d) の工程で生成した標的 DNAの突出末端にェンコ一デッド 了 ダプターをライゲーションさせる。 ェンコ一デッド アダプター混合物と T 4 DNAリガーゼをフローセルに流し込み反応させることによって、 前記の突出末 端の配列に相補的な配列を持ったェンコーデッド アダプターが特異的にライゲ ーシヨンされる。 本発明で使用するェンコ一デッド アダプター及びデコーダー プローブの好適な例として、 米国科学アカデミー紀要、 第 97卷、 第 1665〜 1670頁、 2000年に記載されているものが挙げられる。 当該文献に開示さ
れたェンコーデッド アダプタ一はタイプ li s制限酵素として B b v Iを使用す る場合に合わせて設計されている。 当該アダプタ一は一方の末端に 4塩基の 5 ' 一突出、 他方の末端に 1 0塩基の 3, 一突出を持つ、 一部が 2本鎖の合成 D NA である。 ェンコ一デッド アダプターの 2本鎖部分の配列は共通であり、 突出末 端の配列によって 1 6グループに分かれている。 同一のグループに属するェンコ 一デッド アダプタ一は、 5 '—突出末端のうち 1塩基と 3 ' —突出末端配列の すべてが共通であり、 5, 一突出末端の残り 3塩基は 4種類の塩基の混合物であ る。
( f ) どのェンコ一デッド アダプターがライゲーションされたかを検出するた めに 1 6種類のデコーダー プローブをフローセルに流してハイブリダィゼーシ ヨンを行う。 1種類のデコーダー プローブをハイプリダイズさせるたびに C C Dカメラで蛍光を記録して画像データをコンピューターに取り込んだあと、 温度 'を上げてデコーダー プローブを除去する。
ェンコ一デッド アダプターの構造は、 M P S Sを行うことができるものであ れば特に限定はない。 すなわち、 標的 D N Aの突出末端に連結される 1本鎖部分 と、 タイプ li s制限酵素認識配列を持つ 2本鎖部分と、 デコーダー プローブを ハイブリダイズさせるための 1本鎖部分を有していればよい。 タイプ II s制限酵 素認識配列とその位置は、—ここで使用するタィプ ΙΓ s制限酵素により認識され、 次に決定したい塩基が突出する末端を生成させうるものであればよレ、。 デコーダ 一 プローブはェンコーデッド アダプターのデコーダー プローブ結合配列に 相補的な配列と蛍光基を有していればよく、 蛍光基としては例えばフィコエリス リンが好適に使用できる。
( g ) ェンコ一デッド アダプターがライゲーシヨンされた標的 D NAについて ェンコーデッド アダプターの 2本鎖部分を認識するタイプ II s制限酵素で消化 すると、 以上で決定した塩基配列に瞵接する塩基が突出末端となる。 ここからは ェンコ一デッド アダプターのライゲーシヨン (e ) 、デコーダー プローブに よるハイプリダイゼーシヨンと C C Dカメラによる記録及ぴデコーダ一 プロ一 ブの除去 (f ) のサイクルを繰り返すことによってこの塩基の配列が決定できる, 以上のようにして、 数十万個から 1 0 0万個の、 約 2 0塩基からなる D NA配
列が得られる。
上記の、 断片化された標的 DN Aの塩基配列決定方法は、 「マツシブリー パ ラレル ダイスドー DN A シークェンシング (Massively Parallel Diced-DNA Sequencing, MPDS) 法」 と命名されている。
本発明の第 2の実施形態は、 変異の検出である。 本発明の方法により変異を検 出するにあたり、 検出の対象となる標的 DNAのサイズ (A) 、 個体数 (B) 、 冗長度 (C) 、 前記の MP DS法により決定する配列長 (D) および MPDS法 で得られる配列数 (E) の間には次の関係がある。
(A) X (B) X (C) = (D) X (E)
ジョンゲニール (J o n g e n e e l) ら、 米国科学アカデミー紀要、 第 10
0卷、 第 4702〜4705頁によれば、 1回の MP S Sを行った場合、 GAT C配列を除くと (D) =17、 (E) =700, 000なので、 例えば 10 k b の標的 DNAを冗長度 10でスクリーニングしたい場合には 1 19個体を一度に 解析できる。 即ち、 1%の頻度で現れる変異を発見できる。 この標的 DNAは連 続した領域であってもよいし、 複数の領域からなっていてもよレ、。 例えば、 上記 の個体数について上記の冗長度で c DN Aに存在する変異の検出を行う場合、 c DNAの多くは 10 k bよりも短いので、 配列長の合計が 10 k bである複数の 遺伝子について同時に変異を検出することもできる。 これと-同等の解析を従来の - 自動シークェンサ一でプライマーウォーキングによって行う場合、 1解析あたり に得られる配列長を 250塩基、 解析の歩留まりを 80 %とすると、 1 1, 90 0解析を行う必要がある。
本願発明の変異の検出方法にぉレ、ては、 検出の対象となる標的 D N Aを増幅し たうえ、 その塩基配列が決定される。 検出の対象となる標的 DNAのサイズは解 析対象の遺伝子のサイズ、 個体数、 必要な冗長度によって適宜選択すればよい。 増幅の容易性の点では数 k b以下または十数 k b以下が望ましい。 これを超える 広い領域を対象としたい場合にはいくつかの領域に分割して別々に増幅すればよ レ、。 増幅方法に特に限定はなく、 i n V i t r oで増幅する方法や i η ν ί ν οで増幅する方法が使用できる。 例えば、 ?〇尺法ぉょび1〇八1^法 (国際公 開第 00/56877号) のような試験管内増幅法が好適に使用できるし、 標的
D NAをクローユングし、 大腸菌等の宿主細胞内で増幅してもよいし、 これらの 方法を組み合わせて使用してもよい。
こうして増幅した標的 D N Aの塩基配列を、 本発明の第 1の実施形態により決 定し、 変異の検出を実施する。
複数の個体から検出する場合には各個体に由来する試料を混合するが、 どの段 階で混合するかについて特に限定はない。 試験管内増幅を行う場合には铸型とな る各個体由来のゲノム D NAまたは c D NAを混合してから増幅してもよいし、 個体ごとに増幅した標的 D NAを混合してもよいし、 断片化済みの標的 D NAを 混合してもよいし、 個体ごとに作製したタグライブラリ一を混合してもよいし、 個体ごとにマイグロビーズを調製し、 混合してから MP D S法による塩基配列の 解読を行つてもよいし、 これ以外の段階で混合してもよい。
標的配列の既知の配列と M P D S法により得られた配列の間でホモロジーサー チを行う。 ホモロジ一サーチのプログラムとしては B L A S T等の公知のものが 使用できる。 ヒトのようにゲノム解析が完了しており標的 D N Aの配列が入手可 能な生物種の場合にはこの配列に対してホモ口ジーサーチを行うことによりァラ インメントが可能であり、 配列が異なる塩基とその頻度から変異の存在と頻度を 知ることができる。
- - 複数の群、 例えば正常人群と患者群から標的 D NAを調製じ、 '本発明の第 2の 実施形態である変異の検出を行うことにより、 疾患に関連のある遺伝子多型をス クリーニングすることができる。 この場合、 各群の個体数は、 どの程度の頻度で 現れる遺伝子多型をスクリーニングしたいのか、 また、 標的 D NAのサイズと必 要とする冗長度によって適宜設定することができる。 例えば、 1 0 k bの標的 D N A領域に存在する遺伝子多型を 1 1 9個体からスクリーニングして 1 7塩基の 配列が 7 0 0, 0 0 0個得られた場合、 冗長度は 1 .0となる。 こうして得られた 1 7塩基の配列と既知の配列のアラインメントをとつたとき、 ある塩基を含む配 列の数は平均 1 1 9 0である。 この塩基が、 1 1 3 3個の配列では G、 5 7個の 配列では Aであったとすると、 この部位には Gと Aの 2種類の塩基からなる遺伝 子多型が存在し、 Aの頻度は 4 . 8 %であることがわかる。
本発明の第 1の実施形態である D N A塩基配列の決定を行うことにより、 遺伝
子多型のタイビングを行うことができる。 各配列がどの個体に由来するかを識別 する必要があるので、 1回の MP DSについて 1個体のタイピングを行う力、 あ るいはフロ一セルの区域を区切って各個体に由来するマイクロビーズを充填して MP D Sを行えばよい。 遺伝子多型のタイビングに比べると個体数が少ないので、 冗長度を高くして精度を向上させ、 および/または標的 DNAのサイズを大きく して一度に多数の遺伝子についてタイビングを行うことが可能である。 従来のタ ィビング法の多くは既知の遺伝子多型のみを対象としていたのに比べ、 本発明の 方法によればタイビングと同時に新規遺伝子多型を発見できる可能性がある。 実施例
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明は以下の実 施例のみに限定されるものではない。
また、 本明細書に記載の操作のうち、 プラスミド DNAの調製、 制限酵素消化 などの基本的な操作についてはサムブルック (S a mb r o o k) ら、 モレキュ ラー .クローニング:ァ .ラボラトリー .マニュアル第 2版 (Mo 1 e c u 1 a r C l o n i n g —A La b o r a t o r y Ma nu a l—) 、 コール ド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス (Co l d Sp r i n g Ha r b o r La b o r a t o r y P r e s s) 、 1989年に記載の方法 によった。—さらに、 以下に示す大腸菌を用いたプラスミ ドの構築には、 特に記載 のない限り大腸菌 TOP 10を宿主として使用した。 また、 形質転換された大腸 菌は 30 μ g/m 1のクロラムフエ二コールを含む LB培地 ( 1 %トリプトン、
0. 5%酵母エキス、 0. 5%NaC l、 pH7. 0) 、 あるいは上記培地に 1. 5 %の寒天を加え固化させた LB—クロラムフエェコールプレートを用いて 3 7 °Cで好気的に培養した。
実施例 1
(1) 試料の調製
HL-60細胞 (ATCC CCL- 240) および KATO I I I細胞 (H SRRB J CRB061 1) を 10%ゥシ胎児血清含有ダルベッコ変法ィーグ ル培地 (DMEM) 中、 5% C02存在下、 37 °Cで 3日間培養した。 細胞を 回収し、 ト リゾノレ試薬 (ギブコ社製) を用いて RNAを調製した。 HL— 60細
胞および KATO I I I細胞から調製した RNAを鍚型に、 配列表の配列番号 1 で示されるフォヮ一ドプライマ一、 配列表の配列番号 2で示されるリバースブラ イマ一および On e S t e p RNA PCR K i t (AMV) (タカラパ ィォ社製) を用いて RT_ PCRを行い、 ヒトアルデヒドデヒドロゲナーゼ 2を コードする c DNAを増幅した。 P CR反応物をァガロースゲル電気泳動により 分離し、 2. 4 k bの DN Aを含むゲルプロックを切り出して、 ここから EAS YTRAP V e r . 2 (タカラバイオネ; h ) を用いて DNAを精製した。
(2) タグライブラリーの作製
米国科学アカデミー紀要、 第 97巻、 第 1665〜 1670頁、 2000年に 記載の方法に従ってタグベクター p LCV 2を構築した。 pLCV2を B amH' Iと Bb s l 〔いずれも-ユー イングランド パイオラプ (NEB) 社製〕 に より消化したあと、 ゥシ小腸アルカリホスファターゼ (C IAP、 タカラバイオ 社製) により脱リン酸処理を行い、 DN A B l un t i ng K i t (タカラ バイオ社製) を用いて末端を平滑化した。
HL— 60細胞おょぴ KATO I I I細胞から調製した P C R産物を 1 : 1,
10 : 1、 100 : 1の重量比で混合し、 それぞれ試料 A、 試料 B、 試料 Cとし た。 以下の操作は試料ごとに行った。 各々 5 gの試料 A、 試料 B、 試料 Cを 4 00 μ 1の TE緩衝液 (1 OmM Tr i s— HC 1 pH7: 5, ImM E DTA) に溶解し、 UR—20P (トミー精ェ社製) により 15秒間の超音波処 理を 5回行った。 C I APで脱リン酸処理を行った DN Aをフエノール処理、 ク ロロホルム処理、 エタノール沈殿によって精製し、 タカラ B l un t i n g K i n a t i o n L i g a t i o nキット (タカラバイオネ; fc¾) を用いて DNA 末端の平滑化とリン酸ィヒを行った。
この断片化 DN Aと上記の直鎖化した p LCV2を DNA L i g a t i o n K i t (タカラバイオ社製) を用いて連結し、 得られた組換えプラスミ ドを用い たエレクトロボレーシヨンにより大腸菌 T O P 10を形質転換した。 形質転換体 の一部を LB—クロラムフエニコールプレートに接種して生じたコロニー数から 独立したクローン数を算出するとともに、 別の一部を 6本の 50mlのクロラム フエ二コール含有 LB培地に接種して培養し、 Q I AGEN P 1 a sm i d
Mi d i K i t (キアゲン社製) を用いて培養物からプラスミド DNAを精製 した。 50mlのクロラムフエ二コール含有 LB培地 1本あたりの独立したクロ 一ン数は約 16万であった。 各々の培養から得られたプラスミ ド DNAをタグラ イブラリープールとし、 6個のプールからなるタグライブラリーを得た。
(3) マイクロビーズの調製
タグライブラリープールを錡型、 FAM標識 PCR— Rプライマー (配列番号 3) とピオチン化 PCR— Fプライマー (配列番号 4) を用いて PCRを行い、 標的 D N Aの断片とタグを含む部分を増幅した。 この PCRから第 1回目のソー ティングまではプールごとに操作を行い、 本実施例ではその中の 1プールについ て記載している。 PCR産物を P a c l (NEB社製) で消化後、 dGTP存在 下 T4 DN Aポリメラーゼ (タカラバイオ社製) を作用させてタグ部分を 1本 鎖化した。
こうして調製した 1本鎖タグつき標的 DN A断片 50 Z gと、 米国科学ァカデ ミー紀要、 第 97卷、 第 1665〜1670頁、 2000年に記載の方法により 調製したアンチタグが結合したマイク口ビーズ 1. 67 X 107個を混合し、 ' 100 1の5001111^ NaC l、 1 OmM リン酸ナトリウム、 0. 01% Twe e n 20、 3% デキストラン硫酸中で 72 °C、 3日間ハイブリダィズ させた。 マイクロビーズを 5 OmM Tr i s—H-C l (pH8)ヽ 5 OmM Na C 1、 3mM Mg C 12 に続いて 1 OmM Tr i s一 HC 1 (pH8) 、 ImM EDTA、 0. 01% Twe e n 20で洗浄したのち、 M o F 1 o サイトメーター (ダコ サイトメーシヨンネ ± ) を用いて FAMによる蛍光強度 が上位 1 %であるマイク口ビーズをソーティングした (第 1回目のソーティン グ) 。
ソーティングしたマイク口ビーズに T 4 DNAリガーゼを作用させることに よって標的 DNA断片とアンチタグの間に共有結合を形成させ、 次いで Dp nil で消ィヒした。 さらに dGTP存在下 T 4 DN Aポリメラーゼをマイクロビーズ に作用させたあと、 開始ァダプターを T 4 D N Aリガーゼを用 ヽて連結した。 なお、 開始ァダブターは 5 ' —末端が F AM標識された配列表の配列番号 5で示 されるオリゴヌクレオチドと 5, 一末端がリン酸化された配列表の配列番号 6で
示されるオリゴヌクレオチドをァニールさせたものである。 MoF l oサイトメ 一ターを用いて F AMによる蛍光を持つマイク口ビーズをソーティングした (2 回目のソーティング) 。
(4) マイクロビーズ上の D N A断片の塩基配列の決定
開始アダプターを連結したマイクロビーズをフローセルに充填し、 ネイチヤー バイオテクノロジー、 第 18卷、 第 630〜634頁、 2000年に記載の MP S S法の操作に準じてマイク口ビーズ上の DNA断片の塩基配列を決定した。 そ の結果、 20塩基からなる約 80万個の配列が得られた。
配列表の配列番号 7で示される標的 DN A (ヒトアルデヒドデヒドロゲナーゼ 2) の配列 (Ge nBa nk NM— 000690の一部) に対して、 MP DS 法で得られた配列のホモロジ一サーチを B LASTによって行った。 その結果、 配列表の配列番号 7で示される配列の 1935番目の塩基は Gまたは Aであり、 この塩基が Aである配列の比率は試料 Aでは約 50 %、 試料 Bでは約 9 %、 試料 Cでは約 1%であった。 よって、 この部位の塩基は HL— 60細胞では Gのホモ、 KATO I I I細胞では Aのホモであることが明らかになった。
実施例 2
(1) 試料の調製
D a il d i細胞 (ATCC CCL—213) 、 HT— 29細胞 (ATCC HTB-38) 、 A431細胞 (ATCC CRL— 1555) 及び SW480 細胞 (ATCC CCL— 228) を、 それぞれ 10 %ゥシ胎児血清含有 DM E
M中、 5% CO 2存在下、 37 °Cで 7日間培養した。 これらの細胞を回収し、 そのそれぞれからトリゾル試薬を用いて RN Aを調製した。 これらの RNAを錶 型に R e v e r s e Tr a n s c r i p t a s e M— ML V (RN a s e H一) (タカラパイォ社製) を用いて cDNAを合成した。 次いで前記の cDN Aを鑤型とし、 配列表の配列番号 8で示されるプライマー p 53 1 L、 配列表 の配列番号 9で示されるプライマー p 53—2 R及び T a k a r a Ex Ta q Ho t S t a r t V e r s i o n (タカラバイオ社製) を用いて P C R を行い、 p 53をコードする cDNAを増幅した。 公開されている p 53 c D NAの塩基配列 (NM 000546) のうち、 上記の RT— P CRにより増幅
される配列を配列表の配列番号: 10に示す。 PCR産物をァガロースゲル電気 泳動により分離し、 1. 9 k bの DNAを含むゲルブロックを切り出して、 ここ から Q IAqu i c k Ge l Ex t r a c t i on K i t (キアゲン社 製) を用いて RT— PCR産物を精製した。
(2) タグライプラリーの作製とマイクロビーズの調製
4種類の細胞から調製した R T— P C R産物を等量ずつ混合し、 試料 Dとした。 この試料について実施例 1と同様の方法により超音波処理、 脱リン酸処理、 末端 の平滑化、 p L C V 2との連結、 T O P 10の形質転換及ぴプラスミドの調製を 行い、 タグライブラリーを得た。
さらに、 実施例 1と同様の方法により、 タグライブラリー上の cDNA断片が 結合したマイク口ビーズを調製した。
(3) マイクロビーズ上の D N A断片の塩基配列の決定
実施例 1と同様の方法により、 マイクロビーズ上の DN A断片の塩基配列を決 定した。 その結果、 20塩基からなる配列が約 94万個得られた。 これらの配列 のクラスタリングを行い、 出現頻度が 50回未満の配列を除去した後、 公開され ている p 53 cDNAの塩基配列(NM— 000546) と比較した。 その結 果、 約 79万個の配列が完全に一致した配列又は 1塩基のミスマッチを含む配列 として p 5· 3 c DN A上にマッピングされた。 p 53 c DNAの各塩基部位 につ 、て、 マッピングされた配列の出現頻度の合計と塩基ごとの出現頻度を数え た。
一方、 実施例 2 (1) で得られた RT— PCR産物のダイレクトシークェンシ ングを行い、 細胞間で塩基置換が見られる部位 (3ケ所) を同定した。 これらの 部位について、 マイクロビーズ上の DN Aにおける各塩基置換に対応する配列の 出現頻度を表 1に示す。
表 1に示されるように、 ダイレクトシークェンシングで特定された塩基置換は
MPDS法によっても検出された。 また、 塩基置換部位における塩基の出現頻度 は、 試料における RT— PC R産物の混合割合から予想される塩基の含有率に対 応したものであった。
表 1
本発明によって、 D NA塩基配列の決定方法と変異の検出方法が提供される。 本 発明の D N A塩基配列決定方法を使用すれば、 ジデォキシ法による自動シークェ ンサ一等の従籴法に比べて安価に大量の D N A塩基配列を解析することができる。 また、 本発明の変異の検出方法を使用すれば、 多数の検体から変異を検出するこ とが容易になるので、 頻度の低い変異を低コストで発見することができる。 それ によって、 S N Pをはじめとする多型のタイビングを応用した効果的かつ安全な 医療が可能となる。 配列表フリーテキスト
SEQ ID NO: 1; PCR primer to amplify a gene encoding numan
al coho 1 dehy drogenas e 2 cDNA.
SEQ ID NO: 2; PCR primer to amplify a gene encoding human
a 1 coho 1 dehy drogenas e 2 cDNA.
SEQ ID NO: 3; PCR primer PCR - R to amplify a DNA fragment in tag library pool.
SEQ ID NO: 4; PCR primer PCR - F to amplify a DNA fragment in tag library pool.
SEQ 丄 D NO: 5; Oligonucleotide constituting initiating adapter.
SEQ ID NO: 6; Oligonucleotide constituting initiating adapter.
SEQ ID N0:8; PCR primer to amplify a gene encoding human p53 cDNA. SEQ ID N0:9; PCR primer to amplify a gene encoding human p53 cDNA.