WO2004108030A1 - 顔面装着用の加湿体 - Google Patents

Abstract

【課題】　水蒸気を発生する発熱組成物を有する加湿体であって、顔面にフィットしやすく、顔面と加湿体との間の湿度を長時間高く保てるようにする。 【解決手段】　発熱組成物を有する内方発熱体３，３の間に、可撓帯となる中央非発熱帯部２が設けられ、内方発熱領域３，３と外方発熱領域５，５との間に、可撓帯となる側方非発熱帯部４，４が設けられている。前記可撓帯が変形することにより、加湿体１が顔面にフィットしやすくなる。そして、内方発熱領域３，３と外方発熱領域５，５から発せられる水蒸気により顔面を保湿状態にできる。

Description

明 細 書

顔面装着用の加湿体

技術分野

[0001] 本発明は、顔面に装着した状態で顔面に蒸気を与えて、顔面を保湿する効果を発 揮する顔面装着用の加湿体に関する。

背景技術

[0002] 以下の特許文献 1には、人体の皮膚に水蒸気を供給する水蒸気発生体に関する 発明が開示されている。この水蒸気発生体は、金属粉の酸化反応に伴って水蒸気を 放出する水蒸気発生組成物を含み、前記水蒸気発生組成物の肌側に温度調節材と 透湿性シートとが配置されている。前記温度調節材は、不織布や紙あるいは穿孔さ れた発泡樹脂などで形成されており、前記水蒸気発生組成物から放出された水蒸気 が、前記温度調節材で低温化され、透湿性シートを透過して皮膚に供給されるものと なっている。

[0003] また、以下の特許文献 2と特許文献 3には、身体の皮膚表面に設置される使い捨て カイロおよび温熱貼付剤に関する発明が開示されている。

[0004] これらの発明は、伸縮性のシートで形成され、または一部が伸縮性のシートで形成 された扁平状の袋体の内部に、金属紛の酸化反応によって発熱する発熱組成物が 分割されて収納されている。また前記袋体は粘着層を介して皮膚表面に接着可能と されてレ、る。これら使い捨てカイロや温熱貼付剤は、人体の関節部分に貼着され、前 記発熱組成物から発せられる熱で関節部分を加温できるとともに、発熱組成物が分 割されてレ、るため、関節の曲げ動作が容易になってレ、る。

特許文献 1：特許第 3049707号

特許文献 2：特開平 7 - 213549号

特許文献 3：特開平 8— 231386号

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] 前記特許文献 1には、水蒸気発生組成物から発せられた水蒸気を、頭皮、肩、類、 顔、臀部、足、手、腕等の身体部分の皮膚や、 目、鼻、喉等の粘膜に与えることが記 載されている。しかし、前記水蒸気発生体を顔面に配置する場合に、どのような形状 にしたら顔面にフィットするかとの観点については記載されていない。

[0006] また、特許文献 2と特許文献 3には、発熱組成物を分割して設けることが記載されて いる力 これはあくまでも人体の関節部分に貼着し、関節部分の曲げに追従できるよ うにしたものであり、顔面に加湿体を設置した場合に、顔面の形状に倣いやすくした ものではない。

[0007] 本発明は上記従来の課題を解決するものであり、顔面に設置したときに、外面の形 状に倣いやすぐまた顔面に放出された蒸気が外部に逃げに《して、加湿効果を高 めることができる顔面装着用の加湿体を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明の顔面装着用の加湿体は、肌側に向けられる透湿性の肌側表面シートと、 外側に向けられる外側表面シートと、発熱組成物とを有する加湿体において、 縦方向中心線を介して左右対称形状またはほぼ対称形状であり、前記縦方向中心 線に沿う中央非発熱帯部と、前記中央非発熱帯部の左右両側に位置する一対の内 方発熱領域と、前記内方発熱領域の左右両外側に位置してそれぞれが前記中央非 発熱帯部と平行または非平行で縦方向に延びる側方非発熱帯部と、前記側方非発 熱帯部のさらに左右両外側に位置する外方発熱領域とを有し、

前記内方発熱領域および外方発熱領域では、前記肌側表面シートと前記外側表 面シートとの間に、蒸気を発生する発熱組成物が介在し、前記中央非発熱帯部と前 記側方非発熱帯部には前記発熱組成物が存在しておらず、

前記肌側表面シートが顔面に向けられ且つ前記中央非発熱帯部が顔面の中心に 縦向きに設置されて、前記中央非発熱帯部と前記側方非発熱帯部を介して前記顔 面の形状に倣って変形可能とされたことを特徴とするものである。

[0009] 本発明の顔面装着用の加湿体は、中央非発熱帯部および側方非発熱帯部を介し て変形しやすくなつている。よって、発熱組成物が酸化反応によって硬くなつたとして も、前記非発熱帯部を介して、加湿体が顔面の形状に応じて肌側が凹形状となるよう に変形できる。そのため、加湿体と顔面との間に放出された水蒸気が外部に逃げ難 くなり、顔面の皮膚に対する保湿効果を長時間良好に発揮できる。

[0010] また本発明は、外周縁は、前記縦方向中心線から左右両側に向けて突曲線状に 形成されており、横方向中心線よりも上側部分の面積が、横方向中心線よりも下側部 分の面積よりも大きいものである。

[0011] 加湿体の外周縁が左右両側に向けて突曲線形状であり、且つ上側部分の面積が 大きいことにより、顔面の頰の部分にフィットしゃすぐまた下側部分の面積が小さレ、 ので、 ロカ 顎にかけてフィットしゃすい。

[0012] また、本発明は、前記中央非発熱帯部および側方非発熱帯部で、少なくとも前記 肌側表面シートと外側表面シートとが接合されており、外周縁の全長に沿う所定幅の 外周帯部においても、少なくとも前記肌側表面シートと外側表面シートとが接合され ているものである。

[0013] 前記加湿体では、発熱組成物を有しなレ、所定幅の軟質な外周帯部が外周縁に沿 つて設けられているため、この外周帯部が顔面の形状に沿って変形しやすくなる。よ つて加湿体の外周縁と顔面との間に隙間が形成されにくぐ蒸気が外部に逃げ難く なる。

[0014] さらに本発明は、前記側方非発熱帯部の左右両側で且つ前記側方発熱領域よりも 下側に、少なくとも前記肌側表面シートと外側表面シートとが接合されて横方向に延 びる横方向帯部が設けられており、前記側方発熱領域の下側には、前記横方向帯 部と前記外周帯部とで囲まれて前記発熱組成物が存在していない非発熱領域が設 けられている。

[0015] 側方発熱領域の下に発熱組成物を有しなレ、非発熱領域が設けられてレ、ると、比較 的柔らかい非発熱領域が頰の下に対向し、この非発熱領域が頰の下側の窪み形状 などに沿って変形しやすくなる。よって、頰と加湿体との間に余分な空間が形成され ず、頰と加湿体との間力 蒸気が逃げにくくなる。

[0016] また、本発明は、前記発熱組成物と前記肌側表面シートの間に、表裏面を貫通す る蒸気経路および内部に形成された独立気泡を有する発泡樹脂シートが配置されて レ、ることが好ましい。

[0017] この発泡樹脂シートは、発熱組成物から放出される水蒸気の温度を低下させる断 熱材として機能し、適温の蒸気が皮膚に与えられる。また発泡樹脂シートに蒸気経路 が形成されていると、多くの蒸気が顔面に向けて放出され、また加湿体を密閉包装か ら取り出したときに、前記蒸気経路を経て多くの酸素が発熱組成物に与えられ、発熱 組成物が短い時間で所定温度までの上昇できるようになる。

[0018] 本発明では、例えば前記発熱組成物は、金属粉と塩類と保水剤および水分とを含 むものである。

[0019] 保水剤を含むことにより、水分を長時間保持でき、蒸気を長時間与え続けることが 可能である。

[0020] さらに本発明は、前記発熱組成物は、金属粉の酸化を促進する炭素を含むもので める。

[0021] 炭素を含むと金属紛の酸化が促進され、発熱組成物が長い時間適温を保てるよう になる。

発明の効果

[0022] 以上のように本発明によれば、水蒸気を発生する発熱組成物を有する加湿体が顔 面に密着しやすくなり、また顔面と加湿体との間の蒸気が外部に逃げ難ぐ顔面を常 に保湿状態に保ちやすくなる。

発明を実施するための最良の形態

[0023] 図 1は本発明の実施の形態である使い捨て可能な顔面装着用の加湿体を、顔面に 向けられる肌側から見た背面図、図 2は図 1の II一 II矢視の断面図、図 3は発熱領域 の断面の拡大図、図 3は前記加湿体が顔面に装着された状態を示す正面図である。

[0024] 図 1に示す加湿体 1は、左右を二分する縦方向中心線〇y—〇yを介して左右対称 形状であり、上下を二分する横方向中心線〇x— Oxを介して上下に非対称形状であ る。

[0025] この加湿体 1は、縦方向中心線 Oy— Oyに沿って中央非発熱帯部 2が設けられてい る。この中央非発熱帯部 2は一定の幅寸法で直線状に形成されている。前記中央非 発熱帯部 2の左右外側には内方発熱領域 3, 3が設けられ、さらに外左右外側には 縦方向に延びる側方非発熱帯部 4, 4が設けられている。この実施の形態では、前記 側方非発熱帯部 4, 4は中央非発熱帯部 2と平行であり、所定の幅寸法で縦方向に 向けて直線状に設けられている。ただし、前記側方非発熱帯部 4， 4は、前記中央非 発熱帯部 2と非平行に直線状に形成されていてもよぐまたは前記中央非発熱帯部 2 と非平行で曲線形状となるように形成されてレ、てもよレ、。

[0026] それぞれの側方非発熱帯部 4, 4の左右両外側で且つ上方領域に、外方発熱領域 5, 5が設けられている。前記外方発熱領域 5， 5の下で、且つ前記側方非発熱帯部 4 , 4の外側には、非発熱領域 6， 6が設けられている。

[0027] 加湿体 1の周縁部の形状は、縦方向中心線〇y—〇y上に位置する上端 8aを起点と して、左右に緩やかな突曲線に沿って延びる上方縁部 7a， 7aと、左右両外側に向け られて前記上方縁部 7a, 7aよりも小さな曲率半径 R1の突曲線となる側方縁部 7b, 7 bと、前記側方縁部 7b， 7bよりも大きな曲率半径 R2の突曲線で、縦方向中心線〇y— Oy上に位置する下端 8bに向力 下方縁部 7c， 7cとを有している。

[0028] そして、加湿体 1は、横方向中心線 Ox—〇xよりも上側部分の面積力 S、横方向中心 線 Ox-〇xよりも下側部分の面積よりも大きい。

[0029] 前記上方縁部 7a, 7a、側方縁部 7b, 7bおよび下方縁部 7c, 7cに沿って全周に所 定の幅寸法の外周帯部 10が形成されている。また、外方発熱領域 5， 5と非発熱領 域 6, 6との間に、横方向に延びる横方向帯部 11， 11が形成されている。

[0030] 前記内方発熱領域 3, 3は、中央非発熱帯部 2と側方非発熱帯部 4、および上下に 位置する外周帯部 10， 10に囲まれている。前記外方発熱領域 5， 5は、側方非発熱 帯部 4と外周帯部 10および横方向帯部 11に囲まれている。また非発熱領域 6は、外 周帯部 10と側方非発熱帯部 4および横方向帯部 11に囲まれている。

[0031] 図 2の断面図に示すように、前記加湿体 1は、顔面に向けられる肌側に、透湿性の 肌側表面シート 21が設けられ、外側には、非透湿性の外側表面シート 22が設けられ ている。前記内方発熱領域 3， 3および外方発熱領域 5, 5では、外側表面シート 22 の内側に、水蒸気を発生する発熱組成物 23が設けられている。前記発熱組成物 23 よりも肌側には、透湿性であって、発熱組成物 23が洩れ出るのを防止する内側シー ト 24が設けられ、この内側シート 24と肌側表面シート 21との間に断熱材 25が設けら れている。

[0032] 前記発熱組成物 23は、前記内方発熱領域 3, 3と外方発熱領域 5, 5にのみ設けら れている。前記肌側表面シート 21、外側表面シート 22、内側シート 24および断熱材 25は、全て加湿体 1の全体形状と同じ形状である。そして、中央非発熱帯部 2、側方 非発熱帯部 4, 4、外周帯部 10および横方向帯部 11では、発熱組成物 23が存在せ ずに、肌側表面シート 21、外側表面シート 22、内側シート 24および断熱材 25が重 ねられて接合されている。

[0033] 前記肌側表面シート 21、外側表面シート 22、内側シート 24および断熱材 25は、ホ ットメルト接着剤を介在させた状態で加圧されて接着されている。あるいは、前記各 素材が熱可塑性樹脂を含んでいる場合には、前記各帯部 2， 4, 10, 11において、 前記各素材が加熱され且つ加圧されて熱融着されている。また、前記非発熱領域 6 , 6では、肌側表面シート 21、外側表面シート 22、内側シート 24および断熱材 25が 、互いに接着されることなく重ねられている。

[0034] したがって、前記中央非発熱帯部 2と側方非発熱帯部 4, 4が可撓帯として機能し、 あるいは各非発熱帯部 2， 4, 4の両側縁部が可撓線として機能している。同様に横 方向帯部 11 , 11も前記可撓帯または可撓線として機能している。

[0035] 前記肌側表面シート 21は、レーヨンとパルプ、またはレーヨンとコットンなどで形成さ れたスパンレース不織布、または蒸気を通過する微小孔が形成されたポリエチレンや ポリプロピレンなどの樹脂フィルムなどである。

[0036] 外側表面シート 22は、非透湿性の樹脂フィルムであり、ポリエチレンフィルムやポリ プロピレンフィルムなどである。またはエアーバリヤ一機能を有するエチレン'ビニル アルコール共重合体（EVOH)や塩化ビニリデン（P VDC)の単層またはこれらを含 む多層フィルムなども使用可能である。あるいは、外側表面シート 22は、前記非透湿 性の樹脂フィルムの外面にスパンレース不織布などが積層されて外観を良好にした ものであってもよレ、。また、前記外側表面シート 22が、透湿性の樹脂フィルムや透湿 性の不織布であってもよい。ただし、顔面に向けて水蒸気を効果的に放出するため には、前記外側表面シート 22が非透湿性であることが好ましい。

[0037] 前記発熱組成物 23は、金属粉と、前記金属粉を腐食させて酸化させるための塩類 、および水を含んでいる。さらに水分を長時間保持できるように保湿剤を含み、また 金属分の酸化を促進させる炭素を含んでいる。前記金属紛は、鉄、アルミニウム、亜 鉛などである。前記塩類は、塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウム、塩化カルシウム、塩化マグ ネシゥムなどである。前記保湿材は、バーミキユライト、珪酸カルシウム、シリカゲル、 シリカなどである。また前記炭素は、活性炭、カーボンブラック、黒鉛などである。

[0038] 前記内側シート 24は透湿性シートであり、前記外側表面シート 22の内側で、前記 発熱組成物 23を形成する各剤が洩れるのを防止している。この内側シート 24は、ス パンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはスパンボンド不織布/メルトブロー ン不織布/スパンボンド不織布の順に積層された複合不織布などである。

[0039] 前記断熱材 25は、空気を含んで断熱性を有し且つ発熱組成物 23から放出された 水蒸気を透過させるものである。この実施の形態では、前記断熱材が発泡樹脂シー トで形成されている。図 3に示すように、この発泡樹脂シートは、内部に多数の独立気 泡 25aを有しており、また表裏を貫通する蒸気経路 25bが多数形成されている。

[0040] 前記発泡樹脂シートは、例えば発泡ポリエチレンシート、発泡ポリプロピレンシート、 発泡ウレタンシートなどであり、発泡倍率が 20— 30倍であり、直径が 0. 1mm— 5m mの開孔部が、開孔面積率 5%— 60%の範囲で形成されて、この開口部が前記蒸 気経路 25bとして機能してレ、る。

[0041] なお、前記断熱材 25として、複数のスパンレース不織布の積層体や、スパンレース 不織布と紙との積層体などを使用してもよい。

[0042] 図 2に示すように、内方発熱領域 3, 3、外方発熱領域 5, 5および非発熱領域 6, 6 は、肌側表面シート 21および外側表面シート 22が外側に向けてやや凸形状となって いる。そのため、顔面に装着したときに、皮膚と前記肌側表面シート 21との間に、常 に適度な空間が形成できるようになつている。

[0043] 図 4に示すように、前記加湿体 1は、中央非発熱帯部 2が顔面の中心軸、すなわち 鼻筋に一致するようにして、顎、頰および鼻を覆うようにして装着される。この装着状 態では、中央非発熱帯部 2および側方非発熱帯部 4, 4が可撓帯として機能し、加湿 体はこの可撓帯を介して容易に曲げられるため、両側の側方非発熱帯部 4と側方非 発熱帯部 4との間の部分が、鼻筋および鼻の両側部にフィットしやすい。また、横方 向帯部 11 , 11も可撓帯として機能するため、外方発熱領域 5, 5および非発熱領域 6 , 6が頰の上から下までの形に追従して変形し、両頰にフィットしやすくなる。 [0044] また、外周帯部 10も柔軟であるため、この外周帯部 10が顔面に当たっても違和感 を感じにくい。また外周帯部 10が顔面の凹凸形状に倣うようになり、顔面と肌側表面 シート 21との間の空間を密閉しやすくなる。

[0045] 前記加湿体 1は、側方縁部 7b， 7bから両側に伸縮性の紐や細帯を延ばして耳に 掛けるように保持してレ、もよい、図 4に示すように装着された加湿体 1の外側を既存の マスクで覆って保持してもよい。あるいは、外周帯部 10の肌側内面に粘着剤層を設 けて前記外周帯部 10を顔面に接着してもよい。あるいは、図 4の状態で、皮膚への 加湿が終了するまで、加湿体 1を手で押さえていてもよい。

[0046] この加湿体 1は、透湿性のフィルムなどで形成された密封袋内に封入されている。

使用時に、前記袋を開封して加湿体 1を取り出し、図 4に示すように顔面に装着する 。加湿体 1が袋から取り出されて空気に触れると、空気が肌側表面シート 21および断 熱材 25を経て発熱組成物 23に供給され、金属紛の酸化反応により発熱し、発熱組 成物 23に含まれている水分および保湿剤に含まれている水分が水蒸気となる。この 水蒸気が、断熱材 25の蒸気経路 25bを通過し、肌側表面シート 21を透過して顔面 に与えられる。

[0047] ここで、断熱材 25は断熱機能を発揮するため、発熱組成物 23から発せられる熱が 断熱されて、顔面と加湿体 1との隙間の温度が高くなりすぎるのを防止でき、好ましく は 50°C以下に調整される。そのため、顔面に蒸気が与えられた状態で、顔面の皮膚 が熱すぎると感じるのを防止できる。

[0048] 前述のように、加湿体 1は顔面にフィットしゃすぐ顔面と加湿体 1の間の湿度を、前 記水蒸気により高く維持できるため、皮膚の保湿効果を発揮でき、また皮膚の血行を 促進し、美顔効果や皮膚の清浄効果を期待できる。

[0049] また、前記加湿体 1の発熱組成物 23の内部、または内側シート 24と断熱材 25との 間、あるいは断熱材 25と肌側表面シートの間に、さらに保湿剤を配置してもよいし、 また、前記加湿体 1の発熱組成物 23の内部、または内側シート 24と断熱材 25との間 、あるいは断熱材 25と肌側表面シートの間に、化粧水や芳香剤などを含ませてもよ レ、。

[0050] 次に、前記加湿体 1の好ましい寸法であるが、最大幅寸法 W1は 180 300mm、 縦方向の長さ寸法 Hは、 100— 200mmである。ただし本発明は前記寸法に限定さ れるものではない。

[0051] 前記加湿体 1では、発熱組成物 23が酸化反応により発熱すると、発熱組成物を構 成する各素材が凝集し、内方発熱領域 3, 3と外方発熱領域 5， 5が硬くなる。しかし、 中央非発熱帯部 2と側方非発熱帯部 4との中心線間の幅寸法 W2を最適な寸法に設 定することにより、図 4に示すように、加湿体 1が顔面の鼻にフィットしやすくなる。

[0052] そこで、実際に製造した図 1に示す加湿体を用いて、フィット性の実験を行った。加 湿体 1の寸法は、最大幅寸法 W1を 230mm、縦方向の長さ寸法 Hを 135mm、側方 縁部 7bの曲率半径 R1を 20mm、下方縁部 7cの曲率半径 R2を 65mmとした。

[0053] 中央非発熱帯部 2と側方非発熱帯部 4との中心線間の幅寸法 W2が 10mm、 20m m、 40mm, 60mm, 70mmのものを別々に製造し、 10名の女性に顔面に当てさせ てそのフィット性の官能試験を行った。フィットするとの評価を「◎」、ほぼフィットすると の評価を「〇」、どちらともいえないとの評価を「△」、フィットしなレ、との評価を「X」とし た。試験結果は、

lOmm- · ·△と評価した者が 5名、 Xと評価した者が 5名

20mm- · ·〇と評価した者が 8名、△と評価した者が 2名

40mm- · ·◎と評価した者が 8名、〇と評価した者が 2名

60mm- · ·〇と評価した者が 7名、△と評価した者が 3名

70mm · · ·△と評価した者が 5名、 Xと評価した者が 5名

以上から、中央非発熱帯部 2と側方非発熱帯部 4との中心線間の幅寸法 W2は 15 一 65mmの範囲が好ましぐさらに好ましくは 20— 60mmである。また、中央非発熱 帯部 2と側方非発熱帯部 4とが非平行な場合は、その中心間の平均幅寸法の好まし い範囲が前記の通りである。

図面の簡単な説明

[0054] [図 1]本発明の加湿体の実施の形態を肌側から示す背面図、

[図 2]図 1の II一 II矢視の断面図、

[図 3]発熱領域の拡大断面図、

[図 4]図 1に示す加湿体が顔面に装着された状態を示す正面図、 符号の説明 1 加湿体

2 中央非発熱帯部 3 内方発熱領域 4 側方非発熱帯部 5 外方発熱領域 6 非発熱領域 7a 上方縁部 7b 側方縁部 7c 下方縁部 10 外周帯部 11 横方向帯部 21 肌側表面シート 22 外側表面シート 23 発熱組成物 24 内側シート 25 断熱材

Claims

請求の範囲

[1] 肌側に向けられる透湿性の肌側表面シート（21)と、外側に向けられる外側表面シー ト（22)と、発熱組成物（23)とを有する加湿体（1)において、

縦方向中心線 (Oy— Oy)を介して左右対称形状またはほぼ対称形状であり、前記 縦方向中心線 (Oy-Oy)に沿う中央非発熱帯部（2)と、前記中央非発熱帯部（2)の 左右両側に位置する一対の内方発熱領域（3)と、前記内方発熱領域（3)の左右両 外側に位置してそれぞれが前記中央非発熱帯部（2)と平行または非平行で縦方向 に延びる側方非発熱帯部 (4)と、前記側方非発熱帯部 (4)のさらに左右両外側に位 置する外方発熱領域 (5)とを有し、

前記内方発熱領域（3)および外方発熱領域（5)では、前記肌側表面シート（21)と 前記外側表面シート（22)との間に、蒸気を発生する発熱組成物（23)が介在し、前 記中央非発熱帯部（2)と前記側方非発熱帯部 (4)には前記発熱組成物（23)が存 在しておらず、

前記肌側表面シート（21)が顔面に向けられ且つ前記中央非発熱帯部（2)が顔面 の中心に縦向きに設置されて、前記中央非発熱帯部（2)と前記側方非発熱帯部 (4) を介して前記顔面の形状に倣って変形可能とされたことを特徴とする顔面装着用の 加湿体。

[2] 外周縁は、前記縦方向中心線（〇y—〇y)力も左右両側に向けて突曲線状に形成さ れており、横方向中心線（Ox-Ox)よりも上側部分の面積力 横方向中心線（〇x-0 X)よりも下側部分の面積よりも大きい請求項 1記載の顔面装着用の加湿体。

[3] 前記中央非発熱帯部（2)および側方非発熱帯部 (4)で、少なくとも前記肌側表面シ ート（21)と外側表面シート（22)とが接合されており、外周縁の全長に沿う所定幅の 外周帯部（10)におレ、ても、少なくとも前記肌側表面シート (21)と外側表面シート（2 2)とが接合されている請求項 1または 2記載の顔面装着用の加湿体。

[4] 前記側方非発熱帯部 (4)の左右両側で且つ前記側方発熱領域（5)よりも下側に、少 なくとも前記肌側表面シート（21)と外側表面シート（22)とが接合されて横方向に延 びる横方向帯部（11)が設けられており、前記側方発熱領域（5)の下側には、前記 横方向帯部（11)と前記外周帯部（10)とで囲まれて前記発熱組成物（23)が存在し てレ、なレ、非発熱領域（6)が設けられてレ、る請求項 1なレ、し 3のレ、ずれかに記載の顔 面装着用の加湿体。

[5] 前記発熱組成物（23)と前記肌側表面シート（21)の間に、表裏面を貫通する蒸気経 路（25b)および内部に形成された独立気泡（25a)を有する発泡樹脂シートが配置さ れている請求項 1ないし 4のいずれかに記載の顔面装着用の加湿体。

[6] 前記発熱組成物（23)は、金属粉と塩類と保水剤および水分とを含む請求項 1ないし 5のいずれかに記載の顔面装着用の加湿体。

[7] 前記発熱組成物（23)は、金属粉の酸化を促進する炭素を含む請求項 6記載の顔面 装着用の加湿体。