WO2001085471A1

WO2001085471A1 - Accessoire d'ecriture

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Publication number: WO2001085471A1
Application number: PCT/JP2001/002527
Authority: WO
Inventors: Jiro Hori
Original assignee: Hics Corporation
Priority date: 2000-05-08
Filing date: 2001-03-28
Publication date: 2001-11-15
Also published as: CN1181982C; EP1281539A4; KR20010103641A; EP1281539B1; AU2001244570A1; CA2346272A1; EP1281539A1; TWI232182B; ES2203279B1; JP2001315483A; CN1427777A; US6607325B2; DE60136801D1; ID30107A; JP3436728B2; BR0101892A; ES2203279A1; AU4028001A; US20030068191A1

Description

明細

技術分野

この発明は、構成が簡単なインクの供給機構を備えた筆記具に関し、詳細には、インクの貯留量を大きくすることを可能にし、更には、インクを安定してペン体に供給することが可能な筆記具に関する。背景技術

従来から、ィンク貯留室内に液体状のインクを直接貯留するいわゆる生インク方式の筆記具が各種開発されている。このような方式の筆記具は、大量のインクを貯留できるという利点があるが、インク貯留室からボールチップ、フエルトチヅプ等のペン体にィンクを安定して供給するために、複雑な構造のインクの圧力調整や供給制御をする機構を必要とする等、不利な点がある。

上記のように、インクを安定して供給するためには、温度、気圧の変化などによるインク貯留室内の空気の膨張、収縮を補償すること、および筆記の際にィンク貯留室からペン体に至るまでのインクの水頭圧の補償等を考慮する必要がある。

このような問題を解決するために、特公平 7— 2 0 7 5 3号に開示されているように、イング貯留室内にスライド栓を設けた形式の筆記具が知られている。このスライド栓は、インク貯留室内を液密に維持した状態で軸方向に摺動自在に構成されており、このインク貯留室内を、インクの部分と空気の部分とに区画すると共に、インクの消費や膨張、収縮に対応して摺動し、インク室内のインクを常に大気圧と等しくなるように維持する。

このようなスライド栓形の筆記具は、インクの圧力の補償機能は優れているが、その反面、スライド栓が抵抗なく円滑に摺動するように、その製造および組立の精度管理等が厳しく、コスト高となる等の不具合がめる。

また、別の形式として、特許第 2 5 3 4 8 2 1号に開示されているように、気液交換 · フィーダ形の筆記具がある。この形式は、インクの消費と引き換えに、少量ずつの空気をインク貯留室内に導入し、このインク室内のィンクの圧力を常に大気圧に等しく維持しておくよう構成されている。この形式の筆記具は、インク貯留室内に空気が導入されることから、温度変化等により空気が膨張し、インクが押し出された場合に、その押し出されたィンクを保持しておくフィーダ（リザーバ室）と称する空洞状の室、または迷路状の通路が、インク貯留室に隣接して設けられている。

このような形式の筆記具では、ィンクの貯留量を増やそうとしてィンク貯留室の容量を大きくすると、これに対応してフィ一ダの容量も大きくする必要性がある。ところが、筆記具本体の大きさは、ある程度限られており、この限られた空間内では、インク貯留室の大容量化には限界がある。

また、このような気液交換 · フィーダ形の筆記具は、大気側に連通しているフィーダとィンク貯留室とを細い径の通路で連通させた構造が一般的である。この細径の通路内には、常時は毛細管力によりインクが保持され、シールされている。そして、インク貯留室と外部との間に差圧が発生した場合、この細径の通路を介して空気がィンク貯留室に導入され、或いはインク貯留室からインクが押し出され、この押出されたインクはフィ一ダ内に貯留される。このような形式の筆記具は、可動部分が本質的に不要で、構造が簡単な反面、インク消費に伴うインク貯留室内への空気の導入（気液交換）や、ィンク貯留室から押し出されるインクの保持 ·制御等が困難であり、安定した作動を確保することが困難であるという不利な点がある。すなわち、細径の通路を常に一定の状態でィンクによりシールさせておくのは困難であり、この結果、特性が安定しないと共に、この細径内のィンクが乾燥して詰まりを生じる等の問題があり、必ずしも十分な安定性や信頼性が得られるとは限らない。

したがって、本発明の目的は、インク貯留室を大容量化することを可能にした気液交換 · フィーダ形の筆記具を提供することにある。

また、本発明の第 2の目的は、気液交換や、押し出されるインクの制御が確実であるとともに、構造が簡単で信頼性が高く、容易に製造可能な気液交換 ·フィーダ形の筆記具を提供することにある。発明の開示

本発明に係る筆記具は、筆記具本体内に形成されたィンク貯留室と、筆記具本体の先端部に設けられたペン体と、前記ィンク貯留室とペン体との間に形成され、大気に連通されるとともに前記ペン体に連通したリザ一バ室と、このリザ一バ室と前記ィンク貯留室とを区画するとともに、前記インク貯留室を軸方向に複数の小室に区画する複数の隔壁と、これらの複数の隔壁を貫通するとともに、前記ィンク貯留室から前記ペン体にインクを供給するインク供給体と、を具備しており、前記各隔壁に、毛細管力によりインクを保持可能な連通孔を形成したことを特徴とする o

上記した各隔壁に形成される連通孔は、毛細管力により保持されたィンク膜によって、通常は閉塞されており、インク貯留室内のインクは、インク供給体を介してペン体に供給される。筆記に際して、筆記具を立てると、ィンク貯留室の下側になる連通孔がィンク膜で閉塞されているので、インク貯留室は上下方向で閉塞された状態となり、この結果、このィンク貯留室の長さに相当する水頭圧は解消され、この水頭圧がペン体に作用することはない。

また、インクが消費されたり、温度変化等により、インク貯留室内のインクや空気が収縮した場合、リザーバ室とィンク貯留室間の隔壁に形成された連通孔のィンク膜によるシールが破れ、少量の空気がリザーパ室からインク貯留室内に導入され、インク貯留室内が負圧になることを防止する。また、温度変化等により、このインク貯留室内のインクや空気が膨張した場合、リザーバ室とィンク貯留室間の隔壁に形成された連通孔のィンク膜によるシールが破れ、ィンクがィンク貯留室からリザ一パ室に押し出され、インク貯留室内の圧力膨張を解消する。なお、リザ —バ室内に押し出されたインクは、ペン体に送られて消費され、或いはィンク貯留室側が負圧となった場合にィンク貯留室に戻されるように構成することが好ましい。

上記のィンク貯留室は、少なくとも 1つの隔壁によって軸方向に複数の小室に区画されており、インクが消費されると、気液交換が行なわれるリザーバ室に最も近い第 1の小室からィンクが消費され、この第 1の小室にのみリザーバ室から空気が導入される。したがって、この第 1の小室内のィンクがほとんど空気と置換された場合でも、この第 1の小室内の容積は小さいので、温度変化等による空気の膨張量も少なく、よつてリザ一バ室に押し出されるインク量も少ない。

また、第 1の小室が空になった後は、第 1の小室と第 2の小室との間で気液交換が行なわれるようになり、第 2の小室内に空気が導入される。この場合、第 2の小室から押し出されたインクは、第 1の小室内に保持される。すなわち、第 1の小室が空になると、その後は、第 1の小室がリザーバ室として作用し、順次、空になった小室がリザーバ室として作用して行く。

このような連続的な作用により、ペン体と連通するリザ一バ室の容積を小さくすることが可能となり、その分だけ、インク貯留室全体の容積を増大させ、より多量のインクを貯留することができる。

また、この筆記具は、上述したように、筆記具本体内を複数の隔壁によって区画することで、リザ一バ室、及び、インク貯留室の小室を形成し、各隔壁にインクの連通孔を形成するとともに、これら隔壁を貫通してインク供給体を挿入しただけの簡単な構造であり、また、可動部分もなく作動が単純であるため、信頼性が高く、製造も容易である。図面の簡単な説明

第 1図は、本発明の原理を説明する筆記具の縦断面図、

第 2図は、第 1図の要部を拡大して示す縦断面図、

第 3図は、本発明の第 1の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 4 A図〜第 4 D図は、夫々、第 1の実施形態の作用を順に説明する筆記具の縦断面図、

第 5 A図及び第 5 B図は、夫々第 1の実施形態の作用を順に説明する筆記具の縦断面図であり、第 1の小室がリザーバ室として作用する状態を示す図、

第 6図は、本発明の第 2の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 Ί図は、本発明の第 3の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 8図は、本発明の第 4の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 9図は、本発明の第 5の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 1 0図は、本発明の第 6の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 1 1図は、本発明の第 7の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第 1 2 A図は、本発明の第 8の実施形態に係る筆記具の縦断面図、第

1 2 B図は、第 1 2 A図の X II B— X II Bに沿った断面図、

第 1 3図は、第 8の実施形態に係る筆記具の製造方法の一例を示す縦断面図、

第 1 4図は、本発明の第 9の実施形態に係る筆記具の一部を拡大した縦断面図、

第 1 5図は、本発明の第 1 0の実施形態に係る筆記具の一部を拡大した縦断面図、

第 1 6図は、本発明の第 1 1の実施形態に係る筆記具の一部を拡大した縦断面図、

第 1 7図は、第 3図の X V II— X V II線に沿った断面図、

第 1 8図は、隔壁の第 1の変形例を示しており、第 1 7図に対応した断面図、

第 1 9図は、隔壁の第 2の変形例を示しており、第 1 7図に対応した断面図、

第 2 0図は、隔壁の第 3の変形例を示しており、第 1 7図に対応した断面図、

第 2 1図は、隔壁の第 4の変形例を示しており、第 1 7図に対応した断面図、

第 2 2図は、隔壁の第 5の変形例を示しており、第 1 7図に対応した断面図、

そして、

第 2 3図は、本発明の第 1 2の実施形態に係る筆記具の縦断面図である。発明を実施するための最良の形態

以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。

最初に、第 1図および第 2図を参照して、本発明に係る筆記具の基本的な原理（気液交換 ·フィーダ型の基本原理）について説明する。

第 1図および第 2図には、水性ィンクを使用したボールチップを備えた筆記具が示されている。図中、符号 1は、筆記具の軸筒、すなわち筆記具の本体を示している。

本体 1内には、軸方向と直交する方向に隔壁 1 4が設けられており、この隔壁 1 4によって区画される尾端側が、ィンク Aが充填された円筒状のィンク貯留室 2、先端側が円筒状のリザーバ室 1 0として構成されている。なお、隔壁 1 4は、円板状の部材を本体 1の内部に圧入して構成されたものであり、その中心部には通孔 1 5が形成されている。

前記本体 1の尾端部には尾栓 3が取付けられ、先端部にはチッブホルダ 4が取付けられ、このチップホルダ 4の先端部には水性インク用のボ —ルチップ 5が取付けられている。また、この本体 1の先端部分の外周には滑り止めのゴムブ一ヅ 6が設けられている。

前記チップホルダ 4の上端部は、カップ状に形成されるとともに、前記本体 1内に圧入されており、このリザーバ室 1 0のィンクの受け部 1 1を形成している。また、この受け部 1 1の底部には、繊維材料等からなる多孔質のインク保持体 1 3が設けられており、インクを含浸保持するように構成されている。なお、本発明では、インク保持体 1 3は、特別に設けておく必要はなく、また、設けた場合でも、その構成については、繊維材料等からなる多孔質材に限定されるものではない。

前記チップホルダ 4の受け部 1 1の外周面には、軸方向に延出する溝が形成されており、本体 1の内周面との間で大気と連通する大気連通路 1 2を形成し、これにより、前記リザーバ室 1 0は、大気連通路 1 2を介して大気に連通されている。また、大気連通路 1 2は、リザーバ室 1 0内のインクが外部に漏出しないように構成されている。この場合、リザーバ室 1 0内に多孔質のインク保持体 1 3を設けておくことで、リザーバ室に流出したインクは、インク保持体に含浸保持され、大気連通路 1 2から外部に漏出することが確実に防止される。

前記本体 1の内部には、軸方向に沿ってインク供給体 1 6が設けられている。このインク供給体 1 6は、中継芯と称される部材で、軸方向に平行な多数の繊維を収束して圧縮した多孔質の棒状の部材で構成され、毛細管力によりインクを供給するものである。なお、中継芯と称される部材には、上記のような繊維収束体の外周面に不透水性の被覆を施したものもあるが、図に示した構成例では、外周面に不透水性の被覆を施していないものを使用し、外周面からもィンクを吸収できるようになっている。

したがって、この構成例では、インク供給体 1 6の全長にわたり、その周面を介してインクの流出、流入が可能となっている。また、インクは、毛細管力により、インク貯留室 2からペン体 5まで確実かつ安定して供給され、しかも多孔質の中継芯自体に、インクの流量調整機能があるため、安定したインクの供給が可能となっている。

ィンク供給体 1 6は、本体 1の中心軸線に沿って略全長に亘つて設けられ、その先端部は、前記チップホルダ 4に形成された保持孔 1 8内にある程度の隙間をもって保持されている。また、このィンク供給体 1 6 の尾端部は、本体 1の尾端部に形成された保持部 1 7内に嵌合して保持されている。

インク供給体 1 6の中間部分は、前記インク貯留室 2、隔壁 1 4の通孔 1 5、およびリザ一バ室 1 0内を貫通している。この場合、前記隔壁 1 4の通孔 1 5の内径は、インク供給体 1 6の外径よりやや大きく形成されており、ィンク供給体 1 6の外周面と通孔 1 5の内周面との間には、所定の環状の隙間 Gを規定している。

この隙間 Gは、毛細管力によってインクを保持可能な連通孔を形成している。この場合、隙間 Gの大きさは、使用するインクの種類等により適宜設定され、常時は、この隙間 Gを閉塞して空気の侵入を防止する作用をなすように設定されている。

上記のように構成された筆記具の作用を説明する。

通常の場合、前記隔壁 1 5の隙間 Gは、インクの液膜によりシールされている。したがって、この筆記具を、ペン体側を下にして略鉛直の姿勢にしても、隙間 Gからィンクが流出することはない。

インク貯留室 2内のインク Aは、インク供給体 1 6を介してボールチップ 5に供給され、筆記が可能となる。そして、筆記によりインク貯留室 2内のインクが消費されると、インク貯留室 2内が負圧となる。この負圧によって、隙間 G内に保持されているインク膜のシールが破れ、この隙間 Gから消費量に見合った少量の空気がリザーバ室 1 0からインク貯留室 2内に導入され、その後、インク貯留室 2内の負圧が解消され、大気圧と等しくなる。これに伴い、隙間 Gは、再び毛細管力によってィンク膜によるシールが成される。

このインク貯留室 2内に空気が導入された後は、温度変化等により、その空気が膨張、収縮する。この場合、導入された空気が収縮すると、同様にして、隙間 G内に保持されているインク膜が破れて空気が導入され、インク貯留室 2内が負圧となることを防止する。また、このインク貯留室 2内の空気が膨張すると、その圧力により、インク膜が破れてィンクは隙間 Gからリザーバ室 1 0内に押し出される。この押し出されたインクは、前記インク保持体 1 3に含浸保持され、このインク保持体 1 3に保持されたインクは、筆記により消費されるか、或いは、インク貯留室 2側が負圧となった場合には、インク供給体 1 6を経由してインク貯留室 2側に戻される。したがって、リザ一バ室 1 0内には、過度のィンクが溜まることはない。

上記したような筆記具は、構造が簡単であり、可動部分がないので、製造が容易であるとともに、作動原理が単純であり、高い信頼性が得られる。特に、インク貯留室 2内のインクの消費、温度変化、気圧変化等による膨張、収縮を補償するためのインク貯留室 2内への空気の導入、ィンクの押し出し等の制御をする部分が、隔壁に形成された通孔 1 5とインク供給体 1 6との間の l 間 Gのみであり、かっこの隙間 Gには、ィンク貯留室 2内のインク、およびインク供給体 1 6から常にインクが供給されてインク膜が維持されている。よって、この筆記具を不使用状態で長期間放置したような場合でも、この隙間 G内のィンクが乾燥して詰まり等を生じることがなく、極めて安定した作動を確保することができる。

また、この筆記具を、ペン体側を上向にして長期間放置したような場合でも、繊維収束体からなる多孔質のィンク供給体 1 6の周表面から、毛細管力によりインクが隙間 G内に供給、保持されるので、この隙間 G 内のインクが乾燥して詰まり等を生じることがない。よって、安定したシール特性が得られ、信頼性が向上する。

また、上記のインク貯留室 2は、その尾栓側が閉塞され、かつ先端側の隙間 Gが常時はインク膜により閉塞されている。よって、筆記の際にこの筆記具を図 1のように立てた姿勢にしても、ィンク供給体 1 6にはこのインク貯留室 2内の水頭圧はほとんど作用しない。よって、インクの安定した供給制御がなされる。

また、この構成例では、繊維収束体からなる多孔質のインク供給体 1 6がその外周面を露出した状態で、大気と連通するリザーバ室 1 0を貫通しているので、この部分の水頭圧や、その他の圧力変化を補償する作用がある。

この理由については、現在のところ詳細には分析されてはいないが、ィンクはィンク供給体内に毛細管力により保持されており、このィンク供給体の外周面にはインクの自由表面が形成され、この自由表面が大気圧と等しいリザーパ内の空気と接触しているので、本質的にこのィンク供給体内のインクと大気圧との差圧が発生し難いこと、およびこのィンク供給体に含まれているインクは、このインク供給体を構成する材料と大きな表面積で接触しているので、表面に働く毛細管力により空気の侵入が防止され、このィンク供給体の軸方向に水頭圧による微小な差圧が発生してもその差圧が直接的にはペン体に伝達されないこと、等が考えられる。

上述した構成の筆記具は、ィンク貯留室 2が単一の空間であるため、インクが消費されてゆくに従って、インク貯留室 2内に溜まる空気の量が増えてゆく。このため、温度変化などによる空気の膨張量が大きくなるとリザ一バ室 1 0に押し出されるインクの量が多くなる。

次に、上述した作動原理を用いた本発明に係る具体的な実施形態について説明する。なお、以下において説明する本発明の実施形態においては、第 1図及び第 2図に示した構成例と同様な作用、効果を有する部材については、同一の参照符号を付すこととし、その詳細については省略するか、簡略して説明する。

第 3図、第 4 A〜第 4 D図、第 5 A、第 5 B図には、本発明の第 1の実施形態が示されている。

この実施形態は、インク貯留室 2内に複数、例えば 3個の隔壁 1 4 a を設け、このインク貯留室 2内を軸方向に第 1の小室 2 a、第 2の小室 2 b、第 3の小室 2 c、第 4の小室 2 dに区画している。これらの隔壁 1 4 aは、ィンク貯留室 2とリザーバ 1 0を区画する隔壁 1 4と同様の構成であり、インク供給体 1 6は、これら各隔壁 1 4 aの通孔 1 5を貫通している。また、軸方向に区画される小室 2 a〜小室 2 dによって、ィンク貯留室 2を構成している。

この第 1の実施形態の作用を説明する。

まず、この筆記具は、最初の状態では、第 4 A図に示すように、第 1 の小室 2 a、第 2の小室 2 b、第 3の小室 2 c、第 4の小室 2 dのすベてにィンク Aが充填されている。

この構成において、筆記によりインクが消費されると、第 4 B図に示すように、リザーバ室 1 0との間で気液交換が成される第 1の小室 2 a 内のィンクから優先的に消費されるとともに、第 1の小室 2 a内に空気が導入される。そして、第 4 C図に示すように、第 1の小室 2 a内のィンクがすべて消費されると、第 4 D図に示すように、第 1の小室 2 aがリザーバ室として機能することで第 2の小室 2 b内で気液交換が成され、今度は、第 2の小室 2 b内のインクから優先的に消費される。このようにして、第 1の小室 2 aから第 4の小室 4 dまで、順次、インクが消費され、かつ空気が導入されてゆく。

この構成によれば、第 1の小室 2 a内の空気が膨張した場合、上述した作動原理の通り、第 1の小室 2 a内のィンクがリザーバ 1 0内に押し出され、リザ一バ 1 0内に溜まる。そして、第 5 A図に示すように、第 1の小室 2 a内のィンクが消費されて空になると、第 2の小室 2 bに空気が溜まり、この空気が膨張した場合には、第 5 B図に示すように、第 2の小室 2 b内のィンクが第 1の小室 2 a内に押し出され、この第 1の小室 2 a内に溜まる。すなわち、第 1の小室 2 a内のィンクが消費されると、この第 1の小室 2 aがリザーバ室として作用するようになり、同様にして、順次、第 2の小室 2 b、第 3の子室 3 bがリザ一バ室として作用するようになる。

このように、インク貯留室 2を分割し、インクの消費に伴って下側から順にリザ一バ室として作用させることで、リザ一バ室 1 0を大容量化しておく必要がなくなる。すなわち、第 1の小室 2 aの容積が小さいことから、ここから押し出されるインクの量も少なく、これに伴ってリザ —バ室 1 0の容積を小さくしておくことができる。この結果、その分だけィンク貯留室 2全体の容積を大きくすることができ、貯留するィンクの量を多くすることができる。

第 6図は、本発明の第 2の実施形態を示す図である。この実施形態では、ペン体としてフェルトチヅプ 5 aを設けたものである。本発明は、このように、ィンク供給体に連通するペン体については限定されることはなく、様々な形式のペン体を取り付けることが可能である。

第 7図は、本発明の第 3の実施形態を示す図である。この実施形態では、前述した多孔質のインク供給体 1 6の先端部を延長し、その先端部をフェルトチヅプ部 5 bとして形成したものである。このように、ペン体は、インク供給体 1 6の素材によって一体的に形成することが可能であり、このように構成するによって構造を簡単化することができる。第 8図は、本発明の第 4の実施形態を示す図である。この実施形態では、インク貯留室 2を 2つの隔壁によって 3室に区画すると共に、インク保持体 1 3を配設しない構成となっている。また、ペン体は、ホワイトボ—ドマ—力等、太い筆跡の筆記具に適したもので、太い径のフェルトチップ 5 cによって構成されている。

この実施形態では、インク保持体を配設しないため、リザーバ室 1 0 に通じる大気連通路 1 2を、筆記具本体の側壁に形成して、リザーバ室 1 0に押出されるインクが外部に漏れ難い構造としている。

このように、インク貯留室を区画する小室の数、ペン体の構成、大気連通路の形成位置については、種々変形することが可能である。

また、この実施形態では、インクの消費量が多いので、インク貯留室

2を大容量化してある。これに対応して、第 1の小室 2 a、第 2の小室 2 bを小容量とし、第 3の小室 2 cの容量を大きくしてある。これによつて、第 1の小室 2 aから押し出されるインクの量を小さくして、リザーパ室 1 0の容量を小さくできるように構成されている。この場合、リザ一バ室 1 0、及びインク貯留室 2を構成している各小室は、ペン体側では小さく、ペン体側から離れるに従って、次第に大きくなるように形成することで、効果的にィンク貯留室 2を大容量化することができる。第 9図は、本発明の第 5の実施形態を示す図である。この実施形態では、リザ一バ室 1 0内に、隔壁 1 4と密着するように、カヅプ状のインク保持体 1 3 aを設け、このカップ状のインク保持体 1 3 aの上部に連通孔 3 0を形成して、インク保持体 1 3 aの内部とリザ一バ室 1 0とを連通させたものである。

この構成によれば、第 1の小室 2 aから押し出されたインクは、カツブ状のインク保持体 1 3 a内に溜まるため、外部への漏出が確実に防止される。従って、リザーバ室 1 0に通じる大気連通路 1 2を、ペン体 5 cの側部において、上下方向に向けて形成しても、そこからインクが外部に漏れることはない。

第 1 0図は、本発明の第 6の実施形態を示す図である。この実施形態は、リザーバ室 1 0内に、隔壁 1 4と所定の距離をおいてカップ状のィンク保持体 1 3 bを設け、このカップ状のインク保持体 1 3 bの上縁部 3 1の外周に連通溝 3 2を形成して、インク保持体 1 3 bの内部とリザ —バ室 1 0とを連通させたものである。

このように構成しても、第 1の小室 2 aから押し出されたインクは、カップ状のィンク保持体 1 3 b内に溜まるため、外部への漏出が確実に防止される。

第 1 1図は、本発明の第 7の実施形態を示す図である。この実施形態は、リザ一バ室 1 0内に、力ヅプ状をなし、かつ気密を維持して軸方向に摺動自在なィンク保持体 1 3 cを設けたものである。

この構成によれば、第 1の小室 2 aから押し出されたインクは、カツプ状のインク保持体 1 3 c内に溜まるため、外部への漏出が確実に防止される。また、温度変化などにより、インク貯留室 2内で、空気やインクの膨張、収縮が生じた場合には、この摺動自在のインク保持体 1 3 c が摺動することで、補償することができる。

第 1 2 A図、及び第 1 2 B図は、本発明の第 8の実施形態を示す図である。この実施形態は、前述した多孔質のインク供給体 1 6の先端部を延長し、その先端部をフェルトチップ部 5 bとして形成している。そして、チップホルダ 4の保持孔 1 8 aの内径は、インク供給体 1 6 (フエルトチップ部 5 b ) の外径より大きく、これらの問に隙間 Hが形成されており、この隙間 Hを介してこのリザ一バ室 1 0が大気と連通するようにしている。このため、この実施形態の構成では、前述したような大気連通路 1 2は省略されている。また、保持孔 1 8 aの先端部分の内周面には、第 1 2 B図に示すように、複数の保持突部 3 5が突設形成され、このフェルトチヅプ部 5 aを保持している。

上記の間隙 Hは、通常は毛細管力によりインクが保持されており、リザ一バ室 1 0のシールがなされているが、このリザ一バ室 1 0と大気との間に差圧が生じた場合には、このインク膜によるシールが破れて大気と連通する。従って、この実施形態の構成では、上記の隙間 Hが、常時はシールされているので、ィンクの乾燥が効果的に防止される。

また、この実施形態では、各隔壁 1 4 , 1 4 aの尾栓側の面が、通孔 1 5に向けて傾斜したテ一パ面に形成されている。この筆記具にィンクを充填する場合には、上記のインク供給体 1 6を装着する前に、第 1 3 図に示すように、筆記具の本体を、先端側を上向に略鉛直に保持してィンクを注入する。この場合、上記の隔壁 1 4の尾栓側の面がテ一パ面であるので、空気は、図に示すように、テーパ面に案内されて確実に排気され、これらの隔壁 1 4 , 1 4 aの下面部分に気泡が残ることがない。第 1 4図は、本発明の第 9の実施形態を示し、インク貯留室とリザ一バ室部分を拡大して示す図である。この実施形態では、インク供給体 4 0が、繊維収束体等の多孔質の材料からなる棒状の中継芯 4 1と、その周表面に被覆されたィンク不透過性の皮膜 4 2とから構成されている。そして、隔壁 1 4 , 1 4 aの各通孔 1 5の内周面に対向した部分、およびこの通孔 1 5の近傍部分にわたって、上記の皮膜 4 2の一部が除去されており、この部分は、インクが流通する連通部 4 3として構成されている。

この実施形態によれば、ィンク供給体の外周表面がィンク不透過性の構成であっても、通孔 1 5の近傍部分にわたって連通部 4 3を形成したことで、連通部 4 3を介してインク貯留室からインク供給体の内部ヘインクが流れることができ、下側の小室から順にインクが消費される。また、通孔 1 5の部分に、多孔質の材料からなる棒状の中継芯 4 1を露出させる連通部 4 3が形成されていることから、上記した構成と同様、隙間 G内には、常に一定の状態でィンク膜が保持されて特性が安定すると共に、隙間 G内のインクが乾燥して詰まりを生じることがなく、高い安定性と信頼性が得られる。

また、中継芯 4 1は、隙間 G内の連通部 4 3以外は、皮膜 4 2で被覆されているので、たとえばフィーダ室 1 0内等で、インク供給体 4 0の表面からインクの溶媒が蒸発することが防止される。したがって、速乾性のインク等を使用した場合に有利である。第 15図は、本発明の第 10の実施形態を示し、インク貯留室とリザ —バ室部分を拡大して示す図である。この実施形態のインク供給体 50 は、細径の管によって構成されており、隔壁 14, 14 aの各通孔 15 の内周面に対向した部分に、インクが流通する連通部 5 1が形成されている。

第 16図は、本発明の第 1 1の実施形態を示し、インク貯留室とリザ —バ室部分を拡大して示す図である。この実施形態においても、インク供給体 50は、細径の管によって構成されており、隔壁 14, 14 aの通孔 15の近傍部分に、連通部 51 aが形成されている。

上記のような第 10および第 1 1の実施形態においても、上記の第 9 の実施形態と同様に、たとえばフィーダ室 10内等でこのィンク供給体 50の表面からインクの溶媒が蒸発することが防止される。したがって、速乾性のインク等を使用した場合に有利である。

また、インク供給体を、第 14図に示すような、多孔質の材料を皮膜によって覆った構成にしたり、第 15図、第 16図に示すような細径の管によって構成した場合において、各連通部 43 , 5 1, 5 l aは、毛細管力によって、連通部を介してィンク供給体と通孔内の隙間 Gとの間で、インクの流通が確保されるような位置に形成しておけば良い。

上述した実施形態では、隔壁 14, 14 aに形成される連通孔は、第 17図に示すように、インク供給体 16と、それを通す通孔 15の内周の隙間 Gによって形成していたが、本発明における連通孔は、このような構成に限定されることはなく、ィンク供給体 16の通孔 15から離れた位置に形成しても良い。

第 18図〜第 22図には、隔壁 14 ( 14 a) に形成される連通孔の様々な変形例が示されている。

第 18図に示す構成は、隔壁 14の通孔 15の近傍位置に、円形の小径な連通孔 6 1を形成したもので、この連通孔 6 1は、インクの毛細管力により、常時はインク膜によりシールされている。このため、この構成では、通孔 1 5の内周面とインク供給体 1 6の外周面との間には、隙間が形成されていない。

第 1 9図に示す構成は、隔壁 1 4の外周部分を平面状に切除し、筆記具の本体 1の内周面との間に、弓型の連通孔 6 2を形成したもので、この連通孔 6 2は、インクの毛細管力により、常時はインク膜によりシ一ルされている。この構成においても、通孔 1 5の内周面とインク供給体 1 6の外周面との間には、隙間は形成されていない。

第 2 0図に示す構成は、隔壁 1 4の外周部分に、小面積の矩形の切欠 6 3を形成して連通孔としたもので、この切欠 6 3は、インクの毛細管力により、常時はインク膜によりシールされている。この構成においても、通孔 1 5の内周面とインク供給体 1 6の外周面との間には、隙間は形成されていない。

第 2 1図に示す構成は、隔壁 1 4の外周部分に、中心に向かう細長状の切欠 6 4を形成して連通孔としたもので、この切欠 6 4は、インクの毛細管力により、常時はインク膜によりシールされている。この切欠 6 4の端部は、通孔 1 5の近傍に達しており、ィンク供給体 1 6と切欠 6 4とは、毛細管力により連通可能な範囲としている。このため、切欠 6 4に形成される膜は、安定して保持される。なお、この構成においても、通孔 1 5の内周面とインク供給体 1 6の外周面との間には、隙間は形成されていない。

第 2 2図に示す構成は、隔壁 1 4の中心から径方向外側に向けて細長状の切欠 6 5を形成して連通孔としたもので、この切欠 6 5は、インクの毛細管力により、常時はインク膜によりシールされている。この切欠 6 5の端部は、通孔 1 5に繋がっており、ィンク供給体 1 6と切欠 6 5 との間で、インクが自由に連通可能となっている。このため、切欠 6 5 に形成される膜は、安定して保持される。なお、この構成においても、通孔 1 5の内周面とィンク供給体 1 6の外周面との間には、隙間は形成されていない。

上述した実施形態では、リザ一バ室 1 0内に、多孔室、またはカップ状のインクの保持体 1 3， 1 3 a , 1 3 b , 1 3 cを設けたが、本発明におけるリザーバ室の構成については種々変形することが可能である。第 2 3図は、本発明の第 1 2の実施形態を示す図である。この実施形態では、リザ一バ室 1 0内に、蛇腹状のフィーダ機構 7 0が収容されている。このフィーダ機構 7 0は、従来から使用されているものと同様な構造のもので、中心軸部から、多数の円板状の部材が蛇腹状に突設されており、これらの間の環状の隙間内で毛細管力によりィンクを保持するものである。この実施形態では、リザ一バ室に、蛇腹状のフィーダ機構 7 0を備えているため、押し出されたインクの保持、およびこのインクの戻りが確実である。また、リザ一バ室 1 0内に流出したインクは、フィ一ダ機構に保持されるため、リザ一バ室と大気とを連通する通路から外部に漏出することが確実に防止される。

本発明は、上述したような実施形態には限定されず、インクの種類やペン体の種類、およびその他の部分についても、筆記具の用途や仕様に応じて各種の変更が可能である。産業上の利用可能性

本発明の構成によれば、小形の筆記具、たとえばレフィ一ル、手帳などに付属する筆記具等に適用することが可能であり、それ以外にも、使い捨て型の筆記具、その他一般の筆記具に適応することが可能である。

Claims

請求の範囲

1 . 筆記具本体内に形成されたィンク貯留室と、

筆記具本体の先端部に設けられたペン体と、

前記インク貯留室とペン体との間に形成され、大気に連通されるとともに前記ペン体に連通したリザーバ室と、

このリザーバ室と前記ィンク貯留室とを区画するとともに、前記ィンク貯留室を軸方向に複数の小室に区画する複数の隔壁と、

これらの複数の隔壁を貫通するとともに、前記ィンク貯留室から前記ペン体にインクを供給するインク供給体と、を具備しており、

前記各隔壁には、毛細管力によりインクを保持可能な連通孔が形成されていることを特徴とする筆記具。

2 . 前記インク供給体は多孔質の材料からなる棒状体であり、その周表面はインク透過性であることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

3 . 前記インク供給体は、前記リザーバ室内を貫通して前記ペン体に連通していることを特徴とする請求項 2に記載の筆記具。

4 . 前記各隔壁には、前記インク供給体を揷通させる通孔が夫々形成されており、前記隔壁に形成される連通孔は、前記通孔の内周面と、この通孔を貫通した前記ィンク供給体の外周面との間に形成される隙間によって形成されることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

5 . 前記インク供給体は、多孔質の材料からなる棒状体であり、その周表面はインク不透過性の皮膜で被覆されており、少なくとも前記通孔内、またはその近傍位置において、前記皮膜が除去された連通部が形成されていることを特徴とする請求項 4に記載の筆記具。

6 . 前記インク供給体は、管部材であり、その管壁の少なくとも前記の通孔内、またはその近傍の位置には、連通部が形成されていることを特徴とする請求項 4の筆記具。

7 . 前記隔壁に形成される連通孔は、前記インク供給体を揷通させる通孔から離間した位置に形成されていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

8 . 前記ペン体は、前記インク供給体と共に一体的に形成されていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

9 . 前記各隔壁の軸方向の間隔は、前記ペン体側では小さく、ペン体側から離れるに従って大きく設定されていることを特徴とする請求項 1 に記載の筆記具。

1 0 . 前記隔壁の少なくともペン体側と反対側の面は、前記通孔に向けてぺン体側に傾斜したテ一パ状に形成されていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。.

1 1 . 前記リザ一バ室には、前記インク貯留室内から流出したインクを保持する多孔質のィンク保持体が設けられていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

12. 前記リザーバ室には、前記インク貯留室内から流出したインクを保持するカップ状のインク保持体が設けられていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。

13. 前記リザ一パ室内には、蛇腹状のフィーダ機構が設けられていることを特徴とする請求項 1に記載の筆記具。