WO2000000337A1 - Procede et dispositif de fabrication d'une plaque transparente dotee d'un cadre - Google Patents

Description

明 細 書

枠付き透明板の製造方法および装置

技術分野

本発明は、 例えば自動車の固定窓等に適用される、 枠付き透明板の製造方法お よび枠付き透明板の製造に用いる装置に関する。

背景技術

自動車の側面に設けられる固定窓 3 0は、 車体のフラッシュサーフユイス化や 外観性の向上を達成するために、 ボディパネル 3 1の凹状開口部 3 2に枠付きガ ラス板 3 3を嵌め込むことが多い （図 3 ) 。

枠付きガラス板 3 3は、 ガラス板 3 4の裏面 3 4 A (車内側面） における周縁 部にガスケット、 モール、 モールディング等の名前で呼ばれている枠 3 5が設け られてなる。 枠付きガラス板 3 3は、 接着剤 3 6を介してボディパネル 3 1に固 定される。 ガラス板 3 4の裏面 3 4 Aには、 表面 3 4 B側 （車外側） から接着剤 3 6が見えないように、 セラミック塗装等による暗色被覆層 3 7が設けられてい る。

なお、 ガラス板 1 4は、 二次元方向または三次元方向に湾曲成形されているこ とが多い。

枠付きガラス板 3 3を製造する方法には、 以下の方法があった。

(従来例 1 ) 突出成形された長尺の突出部材を両面テープを介してガラス板 3 4 に接着することにより、 枠 3 5を設ける貼付方法。

(従来例 2 ) 所定の金型内に配置されたガラス板 3 4の周縁部に榭脂を射出成形 することにより、 枠 3 5を設ける射出一体成形方法。

し力 し、 従来例 1は、 突出部材の製造上の理由から、 枠 3 5の断面形状が一定 となるとともに、 突出部材の寸法精度不良 ·接着不良やうねりに起因する外観性 不良等が生じやすい。 このような外観不良等は、 ガラス板の湾曲度合が大きいと 、 特に顕著に現れる。 突出部材の接着不良を解消するために、 ウレタンシーラン ト等の接着剤を用いることが考えられる。 ところが、 接着剤を用いると、 接着剤 のはみだし分を除去する後処理が必要になるとともに、 接着剤が固化するまで時 間がかかるという新たな問題が生ずる。 従来例 2は、 従来例 1の問題点を解消できるが、 製造コストが高いという問題 が生じる。 特に、 ガラス板を金型内に配置するために、 金型の形状精度を高くす る必要がある。 金型の形状精度が低いと、 枠の射出一体成形時にガラス板が破損 する。 さらに、 ガラス板が湾曲している場合、 ガラス板には湾曲形状誤差が生じ る。 ガラス板の湾曲度合が大きいと、 湾曲形状誤差が顕著に現れる。 湾曲形状誤 差が顕著に現れると、 金型の形状精度が高くても、 枠の射出一体成形時にガラス 板が破損する。

また、 金型により略環状のガスケット本体を射出成形した後、 型開きした金型 内にガラス板を押し付けることにより、 ガスケット本体をガラス板に接着する車 両のパネルの製造方法が提案されている （米国特許第 5， 4 4 3， 6 7 3号明細 書参照：従来例 3 ) 。

従来例 3は、 射出成形によりガスケット本体を得た後、 金型内にガスケット本 体がある状態でガラス板をガスケット本体に押し付けるものである。 そのため、 型開き後の金型の合わせ面の形状がガラス板面に倣う形状でないと、 ガラス板の 押し付け時にガラス板が破損する。 逆に、 ガスケット本体のガラス板面への接着 不良を起こすこともある。 特に、 ガラス板の一方の面 （以下、 この一方の面を一 面と表す。 ) にのみガスケット本体が設けられる場合は、 ガスケット本体が次の 構成を有する場合と異なり、 接着不良は問題である。

すなわち、 ガスケット本体にガラス板の両面および端面を嵌め込む凹部を設け 、 この凹部にガラス板の周縁が挿入される状態になるようにガスケット本体がガ ラス板に設けられる構成が知られている。 ガスケット本体に凹部が設けられてい れば、 ガスケット本体とガラス板との嵌合力がガスケット本体とガラス板との保 持力を補強する。 ところが、 ガラス板の一面にのみガスケット本体が設けられる 場合は、 両者の保持力は両者の接着力に依存する。 したがって、 前述の接着不良 は、 ガラス板の一面にのみガスケット本体を設ける場合の問題として顕著に現れ る。

また、 ガラス板が湾曲成形されている場合、 ガラス板に割れを防止するために 、 あらかじめ金型の合わせ面をガラス板の湾曲形状に対応した円弧面または球面 に成形しておくとともに、 ガラス板およびガスケット本体を正確に相対位置決め する必要がある。 そのため、 金型コストが高くなるとともに製造手順が煩雑化す るという問題がある。

本発明の目的は、 ガラス板等の透明板が湾曲成形されている場合であっても、 枠の断面形状を任意に選択できるとともに、 枠の寸法精度不良 ·接着不良 ·外観 性不良を解消でき、 かつ、 金型コストを低減できるとともに製造手順を煩雑化さ せずに、 透明板の一面に枠を設ける枠付き透明板の製造方法を提供することにあ る。

また、 本発明の別の目的は、 前述した枠付き透明板の製造方法に好適に用いら れる装置を提供することにある。

発明の開示

前述した目的を達成するために、 本発明は、 透明板の一方の面の周縁部に枠を 接着する枠付き透明板の製造方法であって、 前記枠の形状に概略一致する形状を 有して金型内に形成されるキヤビティ空間内に樹脂材料を注入して前記枠を成形 した後、 前記金型を型開きして少なくとも前記枠の透明板に接着される面を外部 露出させるとともに、 前記枠に対して前記透明板を対面配置させ、 次いで前記金 型から前記枠を前記透明板の周縁の湾曲形状に対応するように突き出して前記透 明板の一方の面に押し付け、 前記枠を前記透明板の一方の面の周縁部に接着させ ることを特徴とする枠付き透明板の製造方法を提供する。

このような枠付き透明板の製造方法においては、 金型により枠を成形するため 、 枠の断面形状を任意に選択できるとともに、 枠の寸法精度不良 ·接着不良 ·外 観性不良等が生じない。

さらに、 この枠付き透明板の製造方法においては、 透明板の周縁の湾曲形状に 対応して、 金型から枠を突き出して接着させるため、 透明板が湾曲成形されてい る場合であっても、 合わせ面が平坦または平坦に近い形状を有する金型を採用で きるとともに、 従来に比較して透明板および枠の相対位置決めを簡略化できる。 すなわち、 この枠付き透明板の製造方法においては、 金型コストを低減できる とともに製造手順が煩雑化せず、 前述した本発明の目的が達成される。

この場合、 前記金型の合わせ面に対して突没可能な突出手段を前記金型に設け 、 前記突出手段を介して前記枠を突き出すことが好ましい。 この枠付き透明板の 製造方法によれば、 例えば平坦状態で成形された枠を透明板の曲面に対して確実 、 かつ、 連続的に接着できる。

さらに、 この枠付き透明板の製造方法においては、 前記金型から複数の突出ピ ンを独立して突出させることにより前記枠を突き出すことが好ましい。 この枠付 き透明板の製造方法によれば、 各突出ピンを独立して突出可能であるため、 各突 出ピンの突出寸法を適宜、 かつ、 個々に設定することにより、 曲率が異なる複数 種類の透明板に対して汎用性が得られる。

これらの本発明に係る枠付き透明板の製造方法において、 枠と透明板との接着 力を高めるために、 前記枠を突き出して前記透明板の一方の面に押し付けて行う 接着を仮接着とし、 仮接着された前記枠と前記透明板とを圧接して、 前記枠と前 記透明板とを本接着させることは好ましい。

また、 本発明は、 透明板の一方の面の周縁部に枠が接着される枠付き透明板の 前記枠を製造するために、 前記枠の形状に概略一致する形状を有するとともに樹 脂材料を注入して前記枠を射出成形可能なキヤビティ空間を備える枠付き透明板 の金型を備えた装置であって、 前記金型を型開きして前記枠に対して透明板を対 面配置した際に前記透明板に向けて前記枠を押し付ける突出ピンが、 金型の合わ せ面に対して突没可能に前記枠の連続方向に沿つて所定間隔で多数設けられてい るとともに、 前記各突出ピンの突出長さが個々に選択可能である金型を備えたこ とを特徴とする枠付き透明板の製造に用いる装置を提供する。

この場合、 前記各突出ピンの突出長さが個々に前記透明板の周縁の湾曲形状に 対応するように選択可能であることは好ましい。

このような枠付き透明板製造用装置のための金型は、 当該金型の合わせ面に対 して突没する多数の突出ピンが設けられているため、 合わせ面が平坦または平坦 に近い形状を有する場合でも、 湾曲した透明板に対して確実、 かつ、 容易に枠を 接着できる。 さらに、 各突出ピンの突出長さを個々に選択することにより、 曲率 が異なる複数種類の透明板に対して汎用性が得られる。

こうした本発明に係る枠付き透明板の製造方法やこの製造方法に用いる装置に おいて、 前記金型の合わせ面を水平状態に保持し、 前記枠を鉛直方向に突き出す ように構成することは好ましい。 この場合、 前記透明板を前記枠に対して上方に 対面配置させ、 前記枠を上方に向けて突き出す構成とすることは、 さらに好まし レ、。

合わせ面を鉛直状態に保持して枠を水平方向に突き出すと、 枠が重力によりた わむ不具合、 落下する不具合が発生しやすい。 これらの不具合を防止するために は、 枠を保持するための特別な手段を別途付加する必要がある。 これに対し、 枠 を鉛直下方に向けて突き出して透明板に押し付ける場合には、 金型を型開きした 際に金型から枠が落下することを防止する係合手段を付加するだけでよい。 さら に、 枠を鉛直上方に向けて突き出して透明板に押し付ける場合には、 枠を保持す る特別な手段も枠を保持する係合手段も不要である。 この場合、 単に枠の下面を 押し出すだけで、 枠を透明板に向けて突き出すことができる。

本発明において、 金型のキヤビティ空間は枠の形状に概略一致する形状を有す る。 ここでいう 「概略」 は以下の意味を持つ。 すなわち、 一般に樹脂製品を射出 成形等により成形する場合、 金型から樹脂製品が取り出されると、 その樹脂製品 の形状は若干大きくなる。 これは、 金型内から樹脂製品が開放されることによる 圧力開放に起因する。 したがって、 金型に形成されるキヤビティ空間は、 得よう とする樹脂製品の形状よりも若干小さい。 本明細書において 「概略」 は、 キヤビ ティ空間の形状が、 得ようとする枠の形状に対する形状変化を見込んだ形状に設 定されていることを意味する。

本発明において、 金型の合わせ面を平坦または平坦に近い形状にすることは、 有益である。 すなわち、 平坦または平坦に近い形状の合わせ面を形成することは 、 金型の製造コストを軽減するとともに、 金型設計の誤差を小さくできる。 合わ せ面を平坦または平坦に近い形状にした場合に、 本発明に係る製造方法では、 透 明板と枠との接着について、 確実性および容易性が犠牲にならない。 したがって 、 金型の合わせ面を平坦または平坦に近い形状にすることは、 有益である。 なお 、 他の観点から金型の合わせ面が湾曲形状であることが優位な場合がある。 この 説明は後述する。

本明細書において、 「金型の合わせ面」 は次の意味を持つ。 まず、 枠の成形に 用いられる金型について説明する。 枠の成形に用いられる金型は、 一対の型 （第 1型と第 2型） を基本構成要素とする。 第 1型と第 2型との当接面であり、 金型 を型開きする境界の面が金型の合わせ面である。 そして、 金型の合わせ面の位置 に、 第 1型および/または第 2型に所定の凹凸が設けられている。 この凹凸によ り、 キヤビティ空間が形成される。 一対の型を 3つ以上の型から構成することも できる。

ところで、 金型のキヤビティ空間内で成形される枠は、 透明板の周縁に接着さ れる。 そして、 枠は金型から透明板に向けて突き出されるため、 金型の形状は、 枠の突き出し動作を妨げない形状に形成されている。 したがって、 金型の合わせ 面のうちの枠の透明板に接着する面 （枠の接着面という） に関する面 （実際はキ ャビティ空間に位置する面であり、 一対の型どうしが当接しない部分） 力 枠の 突き出し動作に寄与する面である。

そこで、 本明細書における 「金型の合わせ面」 の形状は、 枠の接着面の形状と 実質的に同等に捉えることができる。 また、 透明板の形状 （湾曲形状） に応じて

、 枠の接着面を傾斜面にすることがある。 そのため、 枠の接着面を 1つの面で決 められないことがある。 そこで、 枠の長手方向中心線で形成される面を、 枠の接 着面に代用して考えることは的外れではない。 したがって、 「金型の合わせ面」 は、 枠の長手方向中心線で形成される面の形状と実質的に同等に捉えることがで きる。 なお、 金型の合わせ面が平坦である意味は、 枠の長手方向中心線で形成さ れる面が平坦であるといいかえることができる。

本明細書において、 「平坦に近い形状」 は次の意味を持つ。 すなわち、 金型の 製造コストの軽減と金型設計の誤差の低減とのためには、 合わせ面が平坦である ことが理想的である。 そのため、 透明板に向けて突き出される枠が透明板の周縁 に充分追従できれば、 合わせ面は平坦であることが望ましい。

—方で、 透明板の形状は様々であることから、 透明板が大きく湾曲しているこ とがある。 透明板の湾曲度が大きすぎると、 枠を透明板の周縁に追従させにくく なる。 透明板の湾曲度が大きい場合、 枠を透明板の周縁に追従させるためには合 わせ面を若干湾曲させておくことが有効である。 ただし、 合わせ面を湾曲させて いても、 その湾曲度合は透明板の湾曲度合よりも小さくてよい。 したがって、 合 わせ面が 「平坦に近い」 という意味は、 湾曲度の大きい透明板の湾曲度合に比べ て平坦に近いことを意味する。 この場合、 枠の長手方向中心線で形成される面が 湾曲形状であり、 平坦に近い形状を呈することを意味する。

本発明に係る枠付き透明板の製造方法およびその製造方法に用いる装置は、 湾 曲形状を呈する透明板への枠の接着に際して用いることが有益である。 その理由 は、 上述のとおり透明板が湾曲していても、 金型の合わせ面を平坦または平坦に 近い形状に形成できるからである。 そして、 透明板が湾曲している場合、 透明板 の凹面を枠に対して対面配置させることは好ましい。 その理由は次のとおりであ る。

透明板を自動車窓に用いる場合、 透明板の凹面が車内側に配置されることが多 い。 透明板の凹面を枠に対して対面配置させると、 枠の透明板への押し付け力は 自動車への配置状態における車内側から車外側に向かう方向である。 そのため、 枠の押し付け力を受ける面は車内側に位置する。 仮に枠に押し付け力による表面 外観不良が生じても、 表面外観不良が車外から見えない。 したがって、 透明板の 凹面を枠に対して対面配置させることは好ましい。

本発明において、 枠は透明板の周縁の湾曲形状に対応するように突き出される 。 本明細書において、 この 「透明板の周縁の湾曲形状に対応するように」 は次の 意味を持つ。 透明板が湾曲している場合、 透明板の周縁は弧状に形成されている 。 そのため、 透明板の周縁の弧状に倣うように枠を弧状に突き出すことが理想的 である。 枠を弧状に突き出すためには、 枠を突き出す手段を弧状に形成すること が好ましい。

一方で、 枠を厳密に弧状に突き出さなくても、 枠を透明板に接着できる。 すな わち、 枠を突き出すことにより得られる形状を、 弧に近い弦の集合体の形状にす れば、 枠を透明板に接着できる。 この場合、 弦の集合体を弧に近づけるためには 、 弦の数を多くすればよい。 そこで、 弦の数を多数にすることによって、 高い接 着力が得られる （弦の数を無限にすると弧になる） 。 したがって、 「透明板の周 縁の湾曲形状に対応するように」 は透明板の周縁により形成される弧に倣うよう にまたは弧に近似される弦の集合体となるように、 枠を突き出すことを意味する 。 上記をふまえると、 本明細書において、 枠を 「弧状」 に突き出すことは、 枠を

「弧に近似される弦の集合体となるように」 突き出す意味を含むものとしてよい ことがわ力 る。 金型の合わせ面が平坦な場合、 「枠を透明板の周縁の湾曲形状に対応するよう に突き出す」 ことは、 次のようにいいかえることができる。 すなわち、 枠全体の うちのある部分を多数選択する。 多数選択された枠の各部分の突き出し距離 aは 、 それぞれある所定の距離である。 各選択された部分は、 それぞれ対面する透明 板の周縁のある部分に一対一に対応する。

一方で、 透明板の周縁部分の各弧の端部 （透明板の角部に相当） を結ぶ弦で形 成される面を仮想する。 この仮想面と透明板の周縁の各部分との間の距離 bと、 透明板の周縁のある部分に一対一に対応する枠の各選択された部分とは、 一対一 に対応する。 したがって、 各突き出し距離 aと距離 bとは一対一に対応する。 そ こで、 対応する各距離 aと距離 bとの差を考える。 この差は、 枠の各部分におい て常にある一定値 （仮想面と合わせ面との距離） である。 したがって、 金型の合 わせ面が平坦な場合、 「枠を透明板の周縁の湾曲形状に対応するように突き出す 」 ことは、 以上のようにいいかえることができる。

本発明における枠の形状は、 第 1実施形態の説明で述べるとおり、 各種の形状 を選択可能である。 ただし、 透明板に対する枠の形状としては、 透明板の一方の 面と端面とのみ、 または一方の面のみに接着する形状である。 透明板の寸法誤差 の観点から、 枠の形状は透明板の一方の面のみに接着する形状であることが好ま しい。 この好ましい形状の枠に対して本発明を適用させることは、 寸法精度不良 •接着不良 ·外観不良を効果的に解消できる態様である。

図面の簡単な説明

図 1は、 本発明に係る第 1実施形態の射出成形装置およびキヤビティ空間を示 す模式図である。

図 2は、 射出成形装置を型開きした状態を示す模式図および枠の仮接着工程を 示す模式図である。

図 3は、 枠付きガラス板を示す要部拡大断面図である。

図 4は、 本発明に係る第 2実施形態の射射出成形装置を型開きした状態を示す 断面図である。

図 5は、 突出ピンの配置位置を示す模式平面図である。

図 6は、 突出ピンを示す要部拡大斜視図である。 図 7は、 突出ピンを示す要部拡大斜視図である。

図 8は、 ストツバ示す要部拡大斜視図である。

図 9は、 図 4に示す突出手段の作用を示す断面図である。

図 1 0は、 本接着用金型を示す模式斜視図である。

図 1 1は、 本発明に係る第 3実施形態の射射出成形装置を型開きした状態を示 す断面図である。

図 1 2は、 本発明に係る第 4実施形態の射射出成形装置を型開きした状態を示 す断面図である。

図 1 3は、 本発明に係る第 5実施形態の射射出成形装置を型開きした状態を示 す断面図である。

図 1 4は、 図 1 3に示す突出手段を示す要部拡大断面図である。

発明を実施するための最良の形態

以下、 本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図 1および図 2に示す第 1実施形態は、 自動車の固定窓に用いられる枠付きガ ラス板 1 0の製造方法である。 枠付きガラス板 1 0は、 二次元方向または三次元 方向に湾曲成形されたガラス板 1 1と、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aの周縁に設け られた枠 1 2とを含んで構成されている （図 2参照） 。

なお、 図 1および図 2は、 作図の都合上、 図および符号の天地方向が互いに一 致していないが、 符号が読める向きにおいて、 各図の左方が上方である。

このような枠付きガラス板 1 0は、 以下の手順により製造される。

すなわち、 まず、 図 1に示すように、 金型の一対の型 （第 1型 2 1、 第 2型 2 2 ) を型締装置 2 3により型締めする。 次いで、 第 1型 2 1と第 2型 2 2との合 わせ面の位置に設けられたキヤビティ空間内に射出装置 2 4を介して溶融樹脂材 料を注入し、 枠 1 2を射出成形する。

キヤビティ空間は、 第 1型 2 1.と第 2型 2 2との合わせ面に位置する。 そして 、 第 1型 2 1の合わせ面のみ、 または第 1型 2 1および第 2型 2 2の合わせ面に 彫り込まれた凹所により、 両者が合わされ型締めされた際に枠 1 2の形状にほぼ 一致するようにキヤビティ空間が設けられている。 なお、 第 1型 2 1および第 2 型 2 2の合わせ面は、 凹所を除いてそれぞれ平坦に形成されている。 本例における枠 1 2は、 ガラス板 1 1の平面投影視の周縁形状に対応した略環 状とされ、 全周にわたって断面形状が連続的に変化するように、 すなわちリップ 1 2 Aの突出方向、 突出角度が連続的に変化するように形成されている （図 1 ( B ) 参照） 。 この例に限定されず、 枠の形状は全周にわたって同一断面であって もよレ、。 また、 ガラス板 1 1の全周のうち、 一部に対応して成形されたものであ つてもよレヽ。

ここで、 枠 1 2の材料としては、 塩ィ匕ビニル系の樹脂、 ォレフィン系の樹脂、 スチレン系の樹脂等の熱可塑性樹脂を例示できる。

次に、 図 2 (A) に示すように、 射出装置 2 4を型締装置 2 3から待避させる とともに、 型締装置 2 3を作動させて第 1型 2 1、 第 2型 2 2が互いに離間する ように型開きさせ、 枠 1 2の接着面を外部露出させる。

その後、 別途製造したガラス板 1 1を保持機 2 5に保持させて第 1型 2 1、 第 2型 2 2間に配置する。 この際、 ガラス板 1 1は、 凸状に湾曲する表面 1 1 Bが 吸盤 2 6、 2 6を介して保持機 2 5に保持され、 凹状に湾曲する裏面 1 1 Aが第 1型 2 1に対面配置される。 なお、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aにおける周縁部に 沿って、 プライマ （接着剤） が塗布されている。

続いて、 第 1型 2 1に設けられた突出手段 2 7により、 ガラス板 1 1における 裏面 1 1 Aの曲率に対応して、 第 1型 2 1から枠 1 2を弧状に変形させた状態で 突き出す。

第 1実施形態において、 突出手段 2 7としては、 第 1型 2 1に対して突没可能 な複数の突出ピン 2 8が例示されている。 これらの突出ピン 2 8は、 図示しない シリンダ等により、 第 1型 2 1のキヤビティ壁 2 1 Aから互いに平行に突没可能 とされ、 それぞれの突出長さが個々に設定可能とされている。

枠 1 2は、 突出手段 2 7によりガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに圧着され、 プライ マを介して仮接着される。

最後に、 ガラス板 1 1を成形品取出装置 （図示せず） により第 1型 2 1、 第 2 型 2 2間から移動させ、 適宜な温度に加熱された圧着治具上に配置し、 ガラス板 1 1に対して枠 1 2を本接着して枠付きガラス板 1 0を得る。

第 1実施形態によれば、 第 1型 2 1、 第 2型 2 2により枠 1 2を射出成形する ため、 枠 1 2の断面形状を任意に選択できるとともに、 枠 1 2の寸法精度不良 · 接着不良 ·外観性不良等が生じない。

第 1実施形態によれば、 第 1型 2 1から枠 1 2を弧状に突き出して接着させる ため、 合わせ面が平坦な第 1型 2 1、 第 2型 2 2を採用できるとともに、 従来に 比較してガラス板 1 1および枠 1 2の相対位置決めを簡略化でる。 こうして、 金 型コストを低減できるとともに製造手順が煩雑化しないとともに、 従来に比較し て工程時間を短縮して生産効率を飛躍的に向上できるという効果が得られる。 第 1実施形態においては、 第 1型 2 1に突出手段 2 7が設けられているため、 二次元方向または三次元方向に湾曲するガラス板 1 1に対して、 枠 1 2を確実、 かつ、 連続的に接着できる。

さらに、 突出手段 2 7として複数の突出ピン 2 8が採用されているため、 各突 出ピン 2 8の突出寸法を適宜、 かつ、 個々に設定することにより、 曲率が異なる 他のガラス板 1 1に対して汎用性が得られ、 多品種少量生産にも対応できる。 なお、 本発明は、 第 1実施形態に限定されるものでなく、 適宜な変形、 改良等 が可能である。

以下に、 本発明に係る第 2〜第 5実施形態を説明する。 なお、 以下に説明する 各実施形態において、 既に図 1および図 2において用いた符号と同一符号または 相当符号を付した部材は、 基本的に第 1実施形態の部材と同様な作用または効果 を奏する。 そこで、 各符号に関する説明を簡略化または省略する場合がある。 図 4〜 9には、 本発明に係る第 2実施形態の第 1型 5 1および突出手段 5 7が 詳細に示されている。 第 2実施形態におけるガラス板 1 1は、 略半楕円形状 （平 面投影視） とされ、 半楕円の短軸方向および長軸方向に沿って湾曲形成されてい る。 図 4には短軸に沿つた端面が示されている。

第 1型 5 1は、 平坦なキヤビティ壁 5 1 Aを有し、 脚部 6 0を介して支持台 6 1に支持されている。 この第 1型 5 1により射出成形される枠 4 2は、 全周にわ たってリップ 4 2 Aの突出方向、 突出角度が同一とされていて、 ガラス板 1 1の 平面形状に対応した平面略半楕円形とされている。 第 2型は図示を省略する。 突出手段 5 7は、 第 1型 5 1を貫通してキヤビティ壁 5 1 Aから突没可能な多 数の突出ピン 6 2、 6 3と、 第 1型 5 1の下方に配置されて各突出ピン 6 2、 6 3を昇降させる昇降部材 6 4と、 昇降部材 6 4を昇降させるための複数のシリン ダ 6 5とを含んで構成されている。 各突出ピン 6 2、 6 3は、 第 1型 5 1のキヤ ビティ壁 5 1 Aにおける枠 4 2の連続方向に沿って所定間隔で配置されている。 図 5に示すように、 枠 4 2の直線部分および曲線部分に対応する位置には突出 ピン 6 2が配置されているとともに、 枠 4 2の角部 （平面投影視） に対応する位 置には突出ピン 6 3が配置されている。

図 6 (A) に示すように、 突出ピン 6 2は細長く丸い棒状 （丸棒状） とされ、 先端面が軸線に対して直交している。

なお、 枠 4 2の直線部分および曲線部分に対応する突出ピン 6 2としては、 図 6 ( B ) に示すように、 軸回転しないことを前提として、 軸線に対して先端面が 所定の角度で交差している突出ピン 6 2 Aを採用してもよく、 図 6 ( C ) に示す ように、 先端面が略球面状の突出ピン 6 2 Bを採用してもよい。

突出ピン 6 2としては、 先端部が小径または大径となるような段付形状の突出 ピンや、 先端に向かって先細りまたは拡開する略円錐形状の突出ピン等を採用し てもよい。

すわなち、 突出ピン 6 2としては、 先端面形状や先端部形状等を適宜選択また は組み合わせできる。 これらの組み合わせは、 配置個所やガラス板 1 1の裏面形 状等に対応して決められる。

一方、 図 7 (A) に示すように、 突出ピン 6 3も丸棒状とされ、 先端部に接触 板 6 6が取り付けられている。 接触板 6 6は、 平面略 L字状とされ、 その面方向 が突出ピン 6 3の軸線に対して直交するように設けられている。

なお、 図 7 ( B ) に示すように、 ガラス板の表面形状または当該突出ピンの配 置個所に対応して、 軸線に対して所定の角度で交差するように接触板 6 6を設け た突出ピン 6 3 Aを採用してもよい。

図 4の説明に戻る。 突出ピン 6 2、 6 3は、 先端部 （図 4中上端部） から基端 部 （図 4中下端部） までの軸方向長さが同一とされている。 突出ピン 6 2、 6 3 は、 それぞれ支持台 6 1に設けられた規制部材 6 7により、 基端部位置が同一水 平面に沿って配置されている。 突出ピン 6 2、 6 3には、 軸方向任意位置にス ト ッパ 6 8が設けられている。 図 8に示すように、 ストッパ 6 8は、 突出ピン 6 2、 6 3が軸通可能な略円環 形状とされている。 外周面から内周面まで径方向に沿って螺合される固定ボルト 6 9の先端を突出ピン 6 2、 6 3の外周面に強圧させることにより、 ストッノ、° 6 8は突出ピン 6 2、 6 3の軸方向任意位置に固定可能とされている。 ストッパ 6 8は、 固定ボルト 6 9の先端部 7 0が先細りであるため、 先端部 7 0が突出ピン 6 2、 6 3の外周面に食い込むことにより、 突出ピン 6 2、 6 3に対する位置ず れが生じる虞れが少ない。

図 4の説明に戻る。 各突出ピン 6 2、 6 3は、 それぞれキヤビティ壁 5 1 Aに 対する先端面の突出寸法に対応して、 各突出ピン 6 2、 6 3における各ストツバ 6 8の相対位置が個別に設定されている。

具体的には、 ガラス板 1 1の短軸方向に沿った略中央部に対応する突出ピン 6 2 (以下 6 2 - 1とする） は、 軸方向に沿った基端部の比較的近傍位置にストッ パ 6 8が固定されている。 突出ピン 6 2— 1に隣り合う突出ピン 6 2 (以下 6 2 — 2とする） は、 基端部とストツノ、° 6 8との間の離間寸法が、 突出ピン 6 2— 1 における基端部とスト ツノ 6 8との間の離間寸法よりも長く設定されている。 さ らに、 ガラス板 1 1の短軸方向両端部に対応する突出ピン 6 3は、 基端部とス ト ツバ 6 8との間の離間寸法が、 突出ピン 6 2— 2における基端部とストツノ 6 8 との間の離間寸法よりも長く設定されている。

引き続き図 4に示すように、 昇降部材 6 4は、 脚部 6 0を囲むような略環状と され、 平坦な上面 6 9が第 1型 5 1のキヤビティ壁 5 1 Aに対して平行になるよ うに、 シリンダ 6 5を介して支持台 6 1に支持されている。

そして、 各突出ピン 6 2、 6 3は、 各ストッパ 6 8が昇降部材 6 4の上面 6 9 よりも上方に位置するように、 昇降部材 6 4を厚み方向に貫通している。

シリンダ 6 5は、 例えば油圧または空圧によりシリンダ本体 7 0から突没する シリンダロッド 7 1を有し、 シリンダ本体 7 0が昇降部材 6 4に固定されている とともに、 シリンダロッド 7 1の先端部が昇降部材 6 4を貫通して支持台 6 1に 固定されている。 これらのシリンダ 6 5は、 図示しない制御手段が制御すること により、 それぞれシリンダ本体 7 0に対してシリンダ口ッド 7 1が同期して突没 するようになっている。 したがって、 各シリンダ 6 5を駆動すると、 上面 6 9を水平に維持したまま昇 降部材 6 4が昇降するようになっている。

次に、 第 2実施形態における枠付ガラス板 1 0の製造手順を説明する。

まず、 あらかじめガラス板 1 1の裏面 1 1 Aの周縁部に沿ってプライマを塗布 するとともに、 表面温度が例えば 8 0 °C程度になるようにガラス板 1 1を余熱処 理する。 その後、 吸盤 2 6を介して保持機 2 5に表面 1 1 Bを保持させておく。 一方で、 下側の第 1型 5 1と、 上側の第 2型 （図示せず） とにより枠 4 2を射 出成形した後、 枠 4 2の接着面を外部露出させるとともに、 保持機 2 5を作動さ せてガラス板の裏面 1 1 Aを枠 4 2に対して対面配置させる。

次いで、 図示しない制御手段により各シリンダ 6 5を同期駆動させることによ り昇降部材 6 4を上昇させる。

昇降部材 6 4は、 各ストッパ 6 8を介してそれぞれ突出ピン 6 2、 6 3を上昇 させ、 第 1型 5 1のキヤビティ壁 5 1 Aから各突出ピン 6 2、 6 3の先端部を突 出させる。

ここで、 各突出ピン 6 2、 6 3は、 それぞれ基端部とストッパ 6 8との間の離 間寸法が異なっているため、 まず昇降部材 6 4の上昇に伴って突出ピン 6 2 - 1 が上昇を開始する。 その後、 突出ピン 6 2— 2が上昇を開始し、 次いで突出ピン 6 3が上昇を開始する。

したがって、 枠 4 2は、 まず短軸に沿った略中央部が第 1型 5 1からガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに向かって突き出された後、 両側が順番にガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに向かって突き出され、 弧状に支持される。

そして、 枠 4 2は、 最終的にガラス板 1 1の裏面 1 1 Aにおいて、 短軸に沿つ た端縁全域に対して同時に押し付けられて仮接着される （図 9 ) 。 なお、 枠 4 2 は、 ガラス板 1 1の短軸に沿った端縁だけでなく、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに おける端縁全域にわたって同時に押し付けられる。

この際、 ガラス板 1 1に塗布されたプライマは、 ガラス板 1 1の余熱により力 Π 温されているため接着力が高くなつている。 一方、 枠 4 2も射出成形直後の余熱 により、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対する良好な形状追従性を有している。 したがって、 枠 4 2は、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aにおける端縁全域にわたつ て、 特定個所に変形応力が集中したり、 隙間が生じることなく仮接着される。 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対して枠 4 2が仮接着された後、 昇降部材 6 4を 下降させると、 すべての突出ピン 6 2、 6 3が自重により昇降部材 6 4に追従し て基端部が規制部材 6 7に当接する初期位置に戻る。

次に、 互いに仮接着されたガラス板 1 1および枠 4 2を保持機 （図示せず） に より本接着用金型 7 2、 7 3間に移動させる （図 1 0 ) 。

本接着用金型 7 2はガラス板 1 1の裏面 1 1 Aにおける周縁形状に対応した略 帯状の圧接面 7 4を有している。 一方、 本接着用金型 7 3はガラス板 1 1の表面

1 1 Bの形状に対応した略半楕円形状 （平面投影視） の圧接面 7 5を有している そして、 枠 4 2を介してガラス板 1 1の裏面 1 1 Aにおける周縁を本接着用金 型 7 2の圧接面 7 4に載置させた後、 本接着用金型 7 3を下降させ、 本接着用金 型 7 2、 7 3によりガラス板 1 1および枠 4 2を挟み込む。

なお、 本接着用金型 7 3は、 あらかじめ圧接面 7 5全域に沿ってシート状の緩 衝部材 7 6を貼付しておけば、 ガラス板 1 1の表面 1 1 Aにおける特定個所に擦 過傷や割れ等の発生を防止できる。

ガラス板 1 1およぴ枠 4 2を一定圧力 （例えば 0 . 5 k g Ϊ / c m ² ) で一定時 間 （数 1 0秒程度、 例えば 5 0秒間） 挟持した後、 本接着用金型 7 2、 7 3を型 開きし、 枠付ガラス板 1 0を得る。

以上のような第 2実施形態における第 1型 5 1によれば、 第 1実施形態と同様 に、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対して第 1型 5 1から枠 4 2を弧状に突き出し て接着させる。 そのため、 合わせ面が平坦または平坦に近い形状を有する第 1型 5 1を採用することによる金型コストの低減と、 ガラス板 1 1および枠 4 2の相 対位置決めを容易に行えることによる工程時間の短縮という、 第 1実施形態と同 様な効果が得られる。

さらに、 この第 2実施形態においても、 突出手段 5 7として複数の突出ピン 6 2 , 6 3が採用されているため、 第 1実施形態と同様な多品種少量生産に対応で きるという効果も得られる。

そして、 第 2実施形態においては、 突出手段 5 7が昇降部材 6 4およびストツ パ 6 8を介して各突出ピン 6 2 , 6 3を上昇させる構造であるため、 各突出ピン 6 2， 6 3に対するストッパ 6 8の相対位置を適宜選択することにより、 各突出 ピン 6 2， 6 3の突出長さを任意、 かつ、 無段階に設定できる。

特に、 ス トッパ 6 8は、 固定ボルト 6 9を緩めることにより各突出ピン 6 2， 6 3に対する相対位置を変更可能であるため、 第 1型 5 1を分解または長期にわ たって停止させる必要がない。 そして、 多品種少量生産に対応させるために、 第 1型 5 1を分解または長期にわたって停止させる必要がなく、 多種類の枠付ガラ ス板 1 0を円滑、 かつ、 迅速に製造できる。

図 1 1には、 本発明に係る第 3実施形態が示されている。 第 3実施形態におけ る昇降手段 8 0は、 基本的に第 1実施形態の昇降手段 5 7と同様に構成されてい るが、 昇降部材 7 8に上面 7 9に凸状円弧面 8 1が設けられている。

凸状円弧面 8 1の表面形状および曲率半径は、 ガラス板 1 1における裏面 1 1 Aの形状および曲率半径に対応している。

したがって、 第 3実施形態によれば、 各突出ピン 6 2， 6 3におけるストツバ 6 8の固定位置を同一に設定して、 昇降部材 7 8を上昇させると突出ピン 6 2 - 1が上昇を開始した後、 突出ピン 6 2— 2が上昇を開始し、 次いで突出ピン 6 3 が上昇を開始する。 こうして、 第 2実施形態と同様に枠 4 2が弧状に突き出され る。

なお、 昇降部材 7 8の上面 7 9には、 各突出ピン 6 2 , 6 3の突出寸法に対応 して平坦面を略階段状に形成してもよい。

図 1 2には、 本発明に係る第 4実施形態が示されている。 この第 4実施形態に おける昇降手段 8 2は、 キヤビティ壁 5 1 Aから各突出ピン 6 2， 6 3を直接、 かつ、 個別に突出させる多数のシリンダ 6 5を有している。 シリンダ 6 5は、 シ リンダロッド 7 1が上方に向けて配置されているとともに、 連結部材 9 3を介し て相互連結されている。

第 4実施形態によれば、 昇降手段 8 0が各突出ピン 6 2， 6 3に対応した多数 のシリンダ 6 5を有しているため、 各シリンダ 6 5を個別に駆動させて各突出ピ ン 6 2， 6 3をキヤビティ壁 5 1 Aから順番に遅延して突出させることができる 。 こうして、 第 4実施形態によれば、 第 2実施形態および第 3実施形態と同様に 、 枠 4 2が弧状に突き出される。

そして、 第 4実施形態によれば、 各シリンダ 6 5を制御することにより、 各突 出ピン 6 2 , 6 3の突出順序、 突出速度等を任意に選択できるため、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対する枠の接着形態を変更できる。

すわなち、 第 2実施形態および第 3実施形態では、 各突出ピン 6 2， 6 3を順 番に遅延して突出させることにより、 ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対して、 最終 的に枠 4 2の全域が同時に押し付けられていた。 第 4実施形態では、 例えば先に ガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに対して枠 4 2の特定個所を押し付けた後、 枠 4 2の 他の個所を順番にガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに押し付けることも可能となってい る。

したがって、 例えばガラス板 1 1の裏面 1 1 Aが極めて複雑に湾曲している場 合や、 枠 4 2の厚み寸法や断面形状が不均一である場合等に有利である。

なお、 第 4実施形態においては、 第 2実施形態および第 3実施形態において例 示したストツバの採用は任意である。

図 1 3には、 本発明に係る第 5実施形態が示されている。 第 5実施形態は、 第 4実施形態の変形であり、 昇降手段 8 3を構成するシリンダ 8 4が揺動部材 8 5 を介して 2本の突出ピン 8 6 A、 8 6 Bを突出させるようになつている。

図 1 4にも示すように、 突出ピン 8 6 A、 8 6 Bは、 互いに同一軸方向長さを 有している。 そして、 突出ピン 8 6 A、 8 6 Bは、 圧縮スプリング 8 7を挿通し 、 かつ、 それぞれの基端部が揺動部材 8 5の両端部に対してピン接続されている 第 5実施形態において、 シリンダ 8 4が駆動するとキヤビティ壁 5 1 Aから突 出ピン 8 6 A、 8 6 Bが同時に突出を開始して枠 4 2を部分的に水平に突き出す そして、 突出ピン 8 6 Aに対応する枠 4 2の特定個所がガラス板 1 1における 裏面 1 1 Aに押し付けられると、 シリンダロッド 7 1の先端部を中心として揺動 部材 8 5が図 1 4中時計廻りに揺動し、 突出ピン 8 6 Bの突出速度を加速する。 第 5実施形態によれば、 シリンダ 8 4が 2本の突出ピン 8 6 A、 8 6 Bを突出 させるため、 第 1〜4実施形態に比較して突出ピンの総数を多数化でき、 枠 4 2 を安定的に突き出せる。

そして、 第 5実施形態によれば、 2本の突出ピン 8 6 A、 8 6 Bが揺動部材 8 5を介してシリンダ 8 4に連結されている。 そのため、 突出ピン 8 6 A、 8 6 B のうちの一方がガラス板 1 1の裏面 1 1 Aに枠の特定個所を押し付けると、 突出 ピン 8 6 A、 8 6 Bのうちの他方の突出速度が加速され、 工程を高速化できる。 また、 ガラス板 1 1の湾曲形状誤差を吸収するように、 ガラス板に突出ピン 8 6 A、 8 6 Bを追従させることもできる。

なお、 ガラス板の湾曲形状誤差を吸収させる観点から、 第 1〜4実施形態にお ける各突出ピンに、 第 5実施形態に類似したスプリング機構を設けることもでき る。 図 4、 9、 1 1で示す第 2、 3、 4実施形態では、 ガラス板の保持機側にス プリング機構を設けて、 ガラス板の湾曲形状誤差を吸収させている。

本発明における突出手段としては、 例えばキヤビティ空間から環状、 かつ、 波 状に突き出し可能な突出スリップを採用してもよく、 前述した各突出ピンの先端 を帯状のリングにより連結する構造を採用してもよい。

また、 本発明は、 ガラス板に対して環状の枠を接着して製造される枠付きガラ ス板にのみ適用可能なものではなく、 曲面を有する透明樹脂製板に対して所定長 さの枠を接着して製造される枠付き透明板全般に適用可能であり、 透明板に対す る着色の有無も任意である。

枠の各部分において、 透明板に押し付けられるタイミングを、 同時にすること も、 時間差を設けることもできる。 両者は、 透明板の形状、 金型の合わせ面の形 状等の観点から、 適宜選択される。 以下に、 透明板の形状、 金型の合わせ面の形 状と枠の押し付けタイミングとの関係について説明する。

透明板が湾曲し、 金型の合わせ面が平坦または平坦に近い場合、 透明板の周縁 形状と枠の接着面の形状とは若干異なる。 すなわち、 枠が接着される透明板の周 縁長と枠の長さとが異なる。 両者の長さが異なる場合、 枠を長手方向に若干伸ば すことによって、 両者の長さの違いを補正する。 したがって、 透明板の湾曲度合 が大きくない場合や、 枠が接着される透明板の周縁の湾曲形状が透明板の各部分 で大きく違わない場合は、 枠を均等に伸ばしながら透明板に押し付けることが優 位である。 この観点から、 枠の各部分を透明板に同程度のタイミングで押し付け ることは好ましレ、。

一方で、 成形直後の枠の温度は高温状態にある。 高温状態で樹脂を伸ばせば、 冷却後に樹脂に残留する応力を低減できる。 枠が接着される透明板の周縁の湾曲 形状が各部分で大きく違う場合には、 透明板のうちの大きく湾曲している部分に 対し、 早い段階で枠を伸ばしながら押し付けることが有効である。 こうした場合 には、 枠の各部分において、 時間差を設けて透明板に押し付けることが好ましい 。 なお、 樹脂が伸びる性質を考慮すれば、 枠の各部分における突き出し方向を放 射状にすることもできる。

本発明の各実施態様における突出ピンの本数や位置は、 透明板の形状に応じて 決められる。 すなわち、 枠は透明板の周縁の湾曲形状に対応する弧状に押し付け られる。 突出ピンの先端部で形成される弦の集合体は、 この弧に対応する。 弦の 数を増やすことによって、 弦の集合体を弧に近づけることができる。 したがって 、 透明板の曲率が大きい （曲率半径が小さい） 場合には、 突出ピンが多い方が好 ましい。 また、 透明板の曲率が部分的に異なる場合、 曲率が大きい部分に突出ピ ンを密に配置し、 曲率が小さい部分に突出ピンを粗に配置することが好ましい。 金型の合わせ面が平坦または平坦に近い形状が好ましいことを、 先に説明した

。 以下に、 金型の合わせ面が湾曲形状であることが優位な場合について説明する 。 透明板が大きく湾曲している場合、 特に透明板が局部的に大きく湾曲している 場合は、 金型の合わせ面を湾曲形状にすることは優位である。 すなわち、 透明板 が大きく湾曲していると、 枠が接着される透明板の周縁長と枠の長さとの差が大 きくなる。 この差が大きいと、 樹脂の伸びだけでは差を吸収できないことがある 。 この場合、 成形する際の枠を湾曲させる （金型の合わせ面を湾曲させる） こと で、 樹脂の伸びに大きく依存することなく、 大きく湾曲した透明板に枠を接着で きる。

さらに、 透明板が局部的に大きく湾曲している場合などは、 単に枠を湾曲させ るだけでは透明板と枠との接着が不充分なことがある。 これは、 透明板が局部的 に大きく湾曲することによって、 この部分における樹脂の収縮作用によって、 枠 が透明板から離れる力が作用するからである。 そこで、 部分的にまたは全体的に 枠を透明板の湾曲度合よりも大きく湾曲した形状に、 枠を成形することは好まし い。 こうして、 大きく湾曲した透明板に対する枠の接着力を確保できる。

本発明における枠の成形には、 通常の射出成形、 射出圧縮成形、 反応射出成形 等の各種の成形方法を適用できる。 金型の基本構造が簡素化できる点、 成形後の 養生時間，反応時間が不要である点、 等に鑑みて、 通常の射出成形が好ましい。 その他、 前述した各実施形態において例示した透明板、 枠、 枠付き透明板、 金 型、 突出手段、 突出ピン、 圧着治具等の色、 材質、 形状、 寸法、 形態、 数、 配置 個所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、 限定されない。

産業上の利用の可能性

以上、 説明したように、 本発明に係る枠付透明板の製造方法によれば、 枠の断 面形状を任意に選択できるとともに、 枠の寸法精度不良 ·接着不良 ·外観性不良 等が生じず、 透明板が湾曲成形されている場合であっても、 金型コストを低減で きるとともに製造手順が煩雑化しない。

また、 本発明は、 金型に対して突没可能な突出手段を介して枠を突き出せば、 透明板の円弧面または球面に対して確実、 かつ、 連続的に接着できる。

さらに、 本発明は、 金型から複数の突出ピンを独立して突出させることにより 枠を突き出せば、 各突出ピンの突出寸法を適宜、 かつ、 個々に設定することによ り、 曲率が異なる複数種類の透明板に対して汎用性が得られる。

一方、 本発明に係る枠付き透明板の製造に用いる装置によれば、 突没可能な多 数の突出ピンが個々に突出長さを選択可能である金型を使用するため、 金型のコ ストを低減できるとともに、 枠付き透明板の製造手順を円滑ィヒできる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 透明板の一方の面の周縁部に枠を接着する枠付き透明板の製造方法であ つて、

前記枠の形状に概略一致する形状を有して金型内に形成されるキヤビティ空間 内に樹脂材料を注入して前記枠を成形した後、 前記金型を型開きして少なくとも 前記枠の透明板に接着される面を外部露出させるとともに、 前記枠に対して前記 透明板を対面配置させ、 次レ、で前記金型から前記枠を前記透明板の周縁の湾曲形 状に対応するように突き出して前記透明板の一方の面に押し付け、 前記枠を前記 透明板の一方の面の周縁部に接着させることを特徴とする枠付き透明板の製造方 法。

2 . 前記金型の合わせ面に対して突没可能な突出手段を前記金型に設け、 前 記突出手段を介して前記枠を突き出す請求項 1に記載の枠付き透明板の製造方法

3 . 前記金型から複数の突出ピンを独立して突出させることにより前記枠を 突き出す請求項 2に記載の枠付き透明板の製造方法。

4 . 前記金型の合わせ面を水平状態に保持し、 前記枠を鉛直方向に突き出す 請求項 1、 2または 3に記載の枠付き透明板の製造方法。

5 . 前記透明板を前記枠に対して上方に対面配置させ、 前記枠を上方に向け て突き出す請求項 4に記載の枠付き透明板の製造方法。

6 . 前記透明板は湾曲形状を呈するものであり、 前記透明板の周縁部分に対 面する前記枠の部分の各突き出し距離から定数値を減算した値を、 透明板の周縁 部分の各弧に対応する各弦で形成される面と透明板の各周縁部分との間の距離に 一致させるように、 前記枠の各部分を突き出す請求項 1、 2、 3、 4または 5に 記載の枠付き透明板の製造方法。

7 . 前記透明板は湾曲形状を呈するものであり、 該湾曲形状の凹面を前記枠 に対して対面配置させる請求項 1、 2、 3、 4、 5または 6に記載の枠付き透明 板の製造方法。

8 . 前記枠を突き出して前記透明板の一方の面に押し付けて行う接着を仮接 着とし、 仮接着された前記枠と前記透明板とを圧接して、 前記枠と前記透明板と を本接着させる請求項 1、 2、 3、 4、 5、 6または 7に記載の枠付き透明板の 製造方法。

9 . 透明板の一方の面の周縁部に枠が接着される枠付き透明板の前記枠を製 造するために、 前記枠の形状に概略一致する形状を有するとともに樹脂材料を注 入して前記枠を射出成形可能なキヤビティ空間を備える枠付き透明板の金型を有 する装置であって、

前記金型を型開きして前記枠に対して透明板を対面配置した際に前記透明板に 向けて前記枠を押し付ける突出ピンが、 金型の合わせ面に対して突没可能に前記 枠の連続方向に沿って所定間隔で多数設けられているとともに、 前記各突出ピン の突出長さが個々に選択可能である金型を備えたことを特徴とする枠付き透明板 の製造に用いる装置。

1 0 . 前記各突出ピンの突出長さが個々に前記透明板の周縁の湾曲形状に対応 するように選択可能である請求項 9に記載の装置。

1 1 . 型開きされた状態における前記枠に対して透明板を対面配置させる、 透 明板搬送保持機をさらに備えた請求項 9または 1 0に記載の装置。