JPWO2019188451A1 - アルミニウム合金材ならびにこれを用いた導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品および構造用部品 - Google Patents

アルミニウム合金材ならびにこれを用いた導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品および構造用部品 Download PDF

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Abstract

本発明のアルミニウム合金材は、Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有し、鉄系や銅系の金属材料の代替となり得る高強度と優れた加工性を有している。

Description

本発明は、アルミニウム合金材、特に高強度と加工性に優れたアルミニウム合金材に関する。このようなアルミニウム合金材は、幅広い用途、例えば、導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品、構造用部品およびキャブタイヤケーブルに用いられる。
近年、金属部材の形状の多様化に伴い、金属の粉末を電子ビームやレーザ等で焼結させて、所望の形状に三次元の構造体を造形する技術が広く検討されている。しかし、このような技術では、金属の粉末を使用するが、金属粉末を微細化しすぎると爆発し易くなる等の問題がある。
そのため最近では、例えば、金属製の細線を撚る、編む、織る、結ぶ、繋げる、接続する等の手法により、三次元の構造物を造形する技術が開発されている。このような手法は、例えばWire−Woven Cellular Materialsとして検討が進められており、電池用の部品や、ヒートシンク、衝撃吸収部材等への応用が期待されている。
また、上記のような金属製の細線としては、鉄系や銅系の線材が広く用いられてきたが、最近では、鉄系や銅系の金属材料に比べて、比重が小さく、さらに熱膨張係数が大きい他、電気や熱の伝導性も比較的良好で、耐食性に優れ、特に弾性係数が小さく、しなやかに弾性変形するアルミニウム系材料への代替が検討されている。
導電部材では、例えば再生エネルギーの担い手として有望なソーラーパネルのケーブルでは、屋根や壁にも設置されるだけでなく、発電効率を高めるためにパネルの角度を時々刻々、変化させる技術が発展してきている。そのため、軽量なアルミニウム系材料の適用が有望で、良好な導電性と、繰り返しの運動や設置工事の外力に耐える強度、曲げ成形性が求められる。
電池用部材では、例えば網状の電極として活物質をその隙間に埋める新しい構造が検討されている。放熱性、活物質の膨張・収縮や製造工程中の外力にも断線しないために、良好な強度特性、良好な導電性、繰り返しの運動に対する疲労強度、曲げ成形性が求められる。
締結部品では、例えば熱膨張係数の大きい材質が求められている。近年、各種のケースや筐体の材質が、従来の鉄系の材料から、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金及びプラスチックなどの軽量材料に変化しており、それらの材料は熱膨張係数が大きい。これらの材料からなる筐体をネジ、ボルト、ステープル、結束線などで締結する場合に、筐体材料と締結部品材料の熱膨張係数の差が大きいと、締結の弛みに直結するためである。但し、通常のアルミニウム合金は、熱膨張係数は大きいものの、強度が不足しているため、高強度化が求められている。
バネ用部品では、例えば小型の精密コイルバネとするときに、強度特性だけでなく、曲げ加工性が求められる。また、熱膨張による寸法精度の劣化を防止するためには、温度分布の低減や放熱性が重要となり、良好な熱伝導性が求められる。
このような各種部品に使用するアルミニウム合金材を検討した場合、例えば、比較的高強度なアルミニウム合金材である、2000系(Al−Cu系)や7000系(Al−Zn−Mg系)のアルミニウム合金材が考えられるが、これらのアルミニウム合金材は、電気や熱の伝導性、耐食性及び、耐応力腐食割れ性に劣る等の問題があった。6000系(Al−Mg−Si系)でも、導電率が劣る等の問題があった。また、いずれの合金でも、強度を高めると曲げ成形性が劣る問題があった。
一方、アルミニウム合金材の高強度化の方法としては、非晶質相を備えたアルミニウム合金素材の結晶化による方法(特許文献1)や、ECAP法による微細結晶粒形成方法(特許文献2)、室温以下の温度で冷間加工を施すことによる微細結晶粒形成方法(特許文献3)、カーボンナノファイバーを分散させる方法(特許文献4)などが知られている。しかし、これらの方法は、いずれも製造されるアルミニウム合金材の大きさが小さく、工業的な実用化が難しかった。
また、特許文献5には、圧延温度の制御によって微細組織を有するAl−Mg系合金を得る方法が開示されている。この方法は、工業量産性に優れるが、更なる高強度化が課題だった。
また、これらの方法で高強度化を図ると、強度に相反する特性である曲げ加工性や導電率が低下する問題があった。そのため、例えば上述のような三次元の構造体を造形するための細線として、アルミニウム合金材を用いる場合には、高強度化と共に、さらに曲げ加工性及び導電率の向上も望まれる。
特開平5−331585号公報 特開平9−137244号公報 特開2001−131721号公報 特開2010−159445号公報 特開2003−027172号公報
本発明の目的は、高強度、電気や熱の優れた導電性(伝導性)、および優れた曲げ加工性を具備したアルミニウム合金材、ならびにこれを用いた導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品、構造用部品およびキャブタイヤケーブルを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム合金材が、所定の合金組成を有すると共に、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することにより、高強度、電気や熱の優れた導電性、および優れた曲げ加工性を兼ね備えたアルミニウム合金材が得られることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することを特徴とする、アルミニウム合金材。
(2)Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有するとともに、RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上:合計で0.3質量%以下を含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することを特徴とする、アルミニウム合金材。
(3)ビッカース硬さ(HV)が、60〜250である、上記(1)または(2)に記載のアルミニウム合金材。
(4)Cu、Ni、Ag、Au、PdおよびSnの群から選択される1種以上の金属または合金で表面が被覆されている上記(1)、(2)または(3)に記載のアルミニウム合金材。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた導電部材。
(6)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた電池用部材。
(7)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた締結部品。
(8)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いたバネ用部品。
(9)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた構造用部品。
(10)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いたキャブタイヤケーブル。
本発明によれば、アルミニウム合金材が、所定の合金組成を有すると共に、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することによって、高強度、電気や熱の優れた導電性、および優れた曲げ加工性を兼ね備えた、アルミニウム合金材並びにこれを用いた導電部材、電池用部材、締結部品、バネ用部品、構造用部品およびキャブタイヤケーブルが得られる。
図1は、本発明に係るアルミニウム合金材の金属組織の様子を模式的に示す斜視図である。 図2は、A.T.Englishらの研究結果であって、面心立方格子構造をもつ種々の金属および合金における冷間伸線後の結晶方位分布を積層欠陥エネルギーによって整理した図である。 図3は、線材を例にして、長手方向と試料表面方向及び、それらに配向する結晶の向きの表記方法を示した図である。 図4は、X線極点図法により、線材を例にして、アルミニウム合金材の表面の結晶方位分布を測定する方法を説明するための図である。 図5は、極点図における角度α及びβの軸の設定を示した図である。 図6は、LD//<111>の結晶方位群による回折強度がえられるαとβの角度の組み合わせを+印で、同じく、LD//<100>の結晶方位群によるものを×印で、極点図内に示した図であって、βが0〜90°の範囲(第1象限)のみに+印と×印を示す。 図7は、αとβの角度を2軸とした表において、K100及びK111が得られる角度を示している。 図8は、本発明例28のアルミニウム合金線材の長手方向LDに平行な断面について、金属組織の様子を示すTEM画像である。 図9は、本発明例28から得られたX線極点図である。 図10は、比較例9から得られたX線極点図である。
以下、本発明のアルミニウム合金材の好ましい実施形態について、詳細に説明する。本発明に従うアルミニウム合金材は、Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有し、さらに必要に応じて、RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上:合計で0.3質量%以下を含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有する。
本明細書において、「結晶粒」とは方位差境界で囲まれた部分を指し、ここで「方位差境界」とは、透過電子顕微鏡(TEM)や、走査透過電子顕微鏡(STEM)、走査イオン顕微鏡(SIM)等を用いて金属組織を観察した場合に、コントラスト(チャネリングコントラスト)が不連続に変化する境界を指す。また、結晶粒の長手方向に垂直な寸法は、方位差境界の間隔に対応する。
また、「主表面」とは、アルミニウム合金材の加工方向(延伸方向)に平行な面であり、直接的に工具(圧延ロールや引抜きダイス)と接して、延伸加工(減厚加工)が施された面(以下、加工面という)をいう。例えば、アルミニウム合金材が線棒材である場合の主表面(加工面)は、線棒材の伸線方向(長手方向)に平行な面(外周面)であり、アルミニウム合金材が板材である場合の主表面(加工面)は、板材の圧延方向に平行な面のうち、圧延ローラー等が接した面(表裏2面)である。
ここで、加工方向とは、延伸加工の進行方向を指す。例えば、アルミニウム合金材が線棒材の場合、線棒材の長手方向(線径に垂直な方向)が伸線方向に対応する。また、アルミニウム合金材が板材の場合には、圧延加工を施したままの状態での長手方向が圧延方向に対応する。なお、板材の場合、圧延加工後に所定の大きさに裁断され、小片化されることがあるが、この場合、裁断後の長手方向は必ずしも加工方向に一致しないが、この場合であっても板材表面の加工面から圧延方向は確認できる。
本発明に係るアルミニウム合金材は、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有する。ここで、本発明に係るアルミニウム合金材の金属組織の様子を概略的に示す斜視図を、図1に示す。図1に示されるように、本発明のアルミニウム合金材は、細長形状の結晶粒10が一方向、図1では長手方向Xに揃って延在状態となった繊維状組織を有している。このような細長形状の結晶粒は、従来の微細な結晶粒や、単にアスペクト比が大きい扁平な結晶粒とは大きく異なる。すなわち、本発明の結晶粒は、繊維のような細長い形状で、その長手方向Xに垂直な寸法tの平均値が800nm以下である。このような微細な結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織は、従来のアルミニウム合金材には存在しなかった新規な金属組織といえる。
さらに、本発明のアルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有している。このような所定の結晶方位分布に制御された集合組織は、従来のアルミニウム合金材の主表面には存在しなかった新規な集合組織といえる。
上記金属組織を有すると共に、主表面に上記集合組織を有する本発明のアルミニウム合金材は、ASTMで規定されている導電用アルミニウムであるA1350の引張強度である160〜200MPaを上回る高強度(例えば、引張強度220MPa以上、ビッカース硬さ(HV)60以上)と、優れた加工性(例えば、アルミニウム合金材が線材である場合に、JIS Z 2248(2014)に準じて行う曲げ試験において、曲げ半径が線径の2倍であるとき、クラックを生じない)とを両立して実現し得る。
また、結晶粒径を微細にすることは、強度を高める以外にも、粒界腐食を改善する作用、繰り返し変形に対する疲労特性を改善する作用、塑性加工した後の表面の肌荒れを低減する作用、せん断加工した際のダレやバリを低減する作用などに直結し、材料の機能を全般的に高める効果がある。
(1)合金組成
本発明のアルミニウム合金材の合金組成とその作用について示す。
本発明のアルミニウム合金材は、基本組成として、Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有し、さらに、RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上:合計で0.30質量%以下を適宜含有させたものである。
<Fe:0.05〜1.50質量%>
Fe(鉄)は、結晶粒の微細化に寄与する元素である。Fe含有量が0.05質量%未満だと、これらの作用効果が不十分であり、また、Fe含有量が1.50質量%を超えると、晶出物が多くなり、加工性が低下する。ここで、晶出物とは、合金の鋳造凝固時に生じる金属間化合物をいう。したがって、Fe含有量は0.05〜1.50質量%とし、好ましくは0.08〜0.80質量%であり、より好ましくは0.10〜0.22質量%である。
<Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%、Mg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種>
Si(ケイ素)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)は、アルミニウム母材の微細な結晶粒を安定化する作用を有する元素である。これらは、単独で添加するよりも2種以上を複合添加することによって、結晶粒の微細化に有効に作用する。さらに、結晶粒が微細な状況で材料の強度を高める作用がある。しかしながら、Si含有量が0.15質量%超え、Cu含有量が0.3質量%超え、Mg含有量が1.5質量%超えの場合には、強度が高めるメリット以上に、導電率が低下してしまうデメリットが顕在化するため、好ましくない。Siを含有させる場合のより好ましい範囲は0.10質量%以下、更に好ましくは、0.06質量%以下である。Cuを含有させる場合のより好ましい範囲は0.22質量%以下、更に好ましくは、0.16質量%以下である。Mgを含有させる場合のより好ましい範囲は1.00質量%以下、更に好ましくは、0.30質量%以下である。
また、これらの元素は後述する本発明のプロセスと相乗的に作用して、結晶方位を制御するために有効に作用する。
<RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上:合計で0.30質量%以下>
RE(希土類元素)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびB(ホウ素)はいずれも、結晶粒の微細化の効果があるため、必要に応じて適宜添加することができる任意添加元素である。これらの元素は後述する本発明のプロセスと相乗的に作用して、結晶方位を制御するために有効に作用する。なお、REは、希土類元素を意味し、ランタン、セリウム、イットリウムなどの17種類の元素が含まれ、これらの17種類の元素は同等の効果を有し、化学的に単元素の抽出が難しいため、本発明では総量として規定する。
これらの成分の含有量は、上記作用効果を得る点で、合計で0.0001質量%以上とし、0.03質量%以上とすることが好ましい。一方、前記成分の含有量の合計が0.30質量%超だと、導電率が低下するおそれがある。したがって、RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上を含有する場合には、それらの含有量の合計は、0.0001〜0.3質量%とし、好ましくは、0.03〜0.30質量%とし、さらに好ましくは0.03〜0.23質量%、より導電率を重視する場合は0.03〜0.15質量%とする。これらの成分は、1種のみの単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
<残部:Alおよび不可避不純物>
上述した成分以外の残部は、Al(アルミニウム)および不可避不純物である。ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物は、含有量によっては導電率を低下させる要因にもなりうるため、導電率の低下を考慮して不可避不純物の含有量をある程度抑制することが好ましい。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、Bi(ビスマス)、Pb(鉛)、Ga(ガリウム)、Sr(ストロンチウム)等が挙げられる。なお、これらの成分含有量の上限は、上記成分毎に0.03質量%、上記成分の総量で0.10質量%とすればよい。
このようなアルミニウム合金材は、合金組成や製造プロセスを組み合わせて制御することにより実現できる。以下、本発明のアルミニウム合金材の好適な製造方法について説明する。
(2)本発明の一実施例によるアルミニウム合金材の製造方法
このような本発明の一実施例によるアルミニウム合金材は、特にAl−Fe−(Si、Cu、Mg)系合金の内部に結晶粒界を高密度で導入することにより、高強度化と高曲げ性化を図ることを特徴とする。すなわち、延伸加工の間に所定の条件で安定化熱処理を組み込むことにより、合金の内部の格子欠陥の再配列を促し、安定化させることを特徴としている。
本発明のアルミニウム合金材の好ましい製造方法では、上記所定の合金組成を有するアルミニウム合金素材に対し、加工度1.2以下の冷間加工[1]と、処理温度70〜160℃、保持時間2〜10時間の安定化熱処理[2]とからなる処理セットを1セットとして、この順番で、繰り返し3セット以上行い、冷間加工[1]の合計加工度を3.0以上とすることが好ましい。必要に応じて最終工程として、調質焼鈍[3]を行ってもよい。以下、詳しく説明する。
通常、金属材に変形の応力が加わると、金属結晶の変形の素過程として、結晶すべりが生じる。このような結晶すべりが生じ易い金属材ほど、変形に要する応力は小さく、低強度といえる。そのため、金属材の高強度化にあたっては、金属組織内で生じる結晶すべりを抑制することが重要となる。このような結晶すべりの阻害要因としては、金属組織内の結晶粒界の存在が挙げられ、このような結晶粒界は、金属材に変形の応力が加わった際に、結晶すべりが金属組織内で伝播することを防止でき、その結果、金属材の強度は高められる。さらに、本合金においては、結晶粒界は電気伝導の低下要因となりにくいので、強度と導電性の両立に適している。
そのため、金属材の高強度化にあたっては、金属組織内に結晶粒界を高密度で導入することが望ましいと考えられる。ここで、結晶粒界の形成機構としては、例えば、次のような金属組織の変形に伴う、金属結晶の分裂が考えられる。
通常、多結晶材料の内部は、隣接する結晶粒同士の方位の違いや、加工工具と接する表層近傍とバルク内部との間の歪みの空間分布に起因して、応力状態は、複雑な多軸状態となっている。これらの影響により、変形前に単一方位であった結晶粒が、変形に伴って複数の方位に分裂していき、分裂した結晶同士の間には結晶粒界が形成される。
ところで、一般に、延伸加工した金属材は、強度に相反する特性である曲げ加工性が低下する傾向にある。特に、アルミニウムやアルミニウム合金の場合、同程度の伸びの材料同士で比較しても、銅に比べて、さらに加工性に劣る。
撚る、編む、織る、結ぶ、などの変形を主として構成するのは曲げである。曲げ変形によって生じるクラックは、金属結晶が不均一に変形することによって局所的な歪みが生じ、金属材表面に凹凸を形成し、そのような凹凸が応力集中点となって更に変形の局在化が進行することによって、発生する。このような不均一変形は、金属材が加工硬化限界に達した後の塑性不安定現象である。
そして、本発明者は、このような不均一変形の起こり易さが、金属材の結晶方位に関係することを見出した。通常、FCC(面心立方格子)金属の金属材に対し、引抜き加工やスエージング加工などの単軸変形、あるいは圧延加工などの平面歪み変形の応力が加わった場合、これらの変形による安定方位は、金属材の長手方向LD:Longitudinal Direction(延伸方向DD:Drawing Direction)に結晶の{100}面または{111}面が配向する(LDと、<100>方向または<111>方向とが平行である、以下、LD//<100>またはLD//<111>と表記する。)結晶配向である。このうちLD//<100>に配向した結晶は、不均一変形が起こり難い。これに対し、LD//<111>に配向した結晶は、表面方向(法線方向ND:Normal Direction)にどの結晶面が向いていても、不均一変形が起こり易い。すなわち、不均一変形の起こりやすさは、LDにどの結晶面が向いているかが重要となる。
しかし、上記のような加工変形より生じる結晶方位分布、特に、結晶がLD//<100>またはLD//<111>に配向する割合は、金属種によって異なってくることが知られている。例えば、1965年のA. T. Englishらの研究(A.T.ENGLISH and G.Y.CHIN,“On the variation of wire texture with stacking fault energy in f.c.c. metals and alloys”ACTA METALLURGICA VOL.13 (1965) p.1013−1016.より引用)によれば、減面率99.97%の伸線加工を施した場合のアルミニウムの結晶方位分布は、同じFCC金属である銅やニッケルの場合とは大きく異なると報告されている。図2に示されるように、銅およびニッケルの場合、LD//<100>の結晶配向の割合(結晶の体積比率)は、それぞれ34%および27%である。これに対し、アルミニウムの場合、LD//<100>の結晶配向の割合(結晶の体積比率)はわずかに5%であり、すなわちLD//<111>の結晶配向が顕著な結晶方位分布となる。従って、通常の加工方法(引き抜き加工や圧延加工等)で作製されたアルミニウム合金材の場合、変形により生じる結晶配向のほとんどが、不均一変形が起こり易いLD//<111>の結晶配向となる。
これらの知見に基づき、本発明者がさらに鋭意検討を進めた結果、アルミニウム合金材の主表面の結晶方位分布において、(1)LD//<111>の結晶配向が、強変形したアルミニウム合金材の曲げ加工性を低下させている要因であること、さらに(2)LD//<111>の結晶配向を減少させると共に、LD//<100>の結晶配向の割合を増加させることによって、高強度材において曲げ加工性を大幅に改善できること、を見出した。
特に、アルミニウム合金材の主表面の集合組織において、結晶がLD//<100>に配向している場合では、LD//<111>に配向している場合に比べて、結晶すべり系の幾何学的配置の違いから、結晶のすべり変形の量が少なくなると共に、交差すべりが顕著に起きる。この2つの作用によって、曲げ変形中の加工硬化率が大きく低減される。塑性不安定現象が顕著に抑制され、クラックの発生を防止できる。
LD//<100>の結晶配向を高めるための製法を記す。
本発明では、高強度化の観点から、最終的な加工度(合計加工度)が3.0以上となるように冷間加工[1]を行うと共に、曲げ加工性の維持・向上の観点から、1回あたりの冷間加工[1]の加工度を1.2以下とし、さらに冷間加工[1]の後には、処理温度70〜160℃、保持時間2〜10時間の安定化熱処理を行う。すなわち、加工度1.2以下の冷間加工[1]と、処理温度70〜160℃、保持時間2〜10時間の安定化熱処理[2]とからなる処理セットを1セットとして、この順番で、繰り返し3セット以上行い、冷間加工[1]の合計加工度を3.0以上とする。
特に、合計加工度を大きくすることにより、金属組織の変形に伴う金属結晶の分裂を促すことができ、アルミニウム合金材の内部に結晶粒界を高密度で導入できる。その結果、アルミニウム合金材の強度が大幅に向上する。このような合計加工度は、好ましくは4.5以上、より好ましくは6.0以上、さらに好ましくは7.5以上、最も好ましくは8.5以上とする。また合計加工度の上限は特に規定されないが、通常は15である。
なお、加工度ηは、加工前の断面積をs1、加工後の断面積をs2(s1>s2)とするとき、下記式(1)で表される。
加工度(無次元):η=ln(s1/s2) ・・・(1)
また、1セットの冷間加工[1]は、複数回のパスを経て加工度1.2以下の所望の加工度とすることが好ましい。例えば、1パスあたり10〜25%の減面率とし、これを6〜12パス程度行うことで、加工度1.2以下の所望の加工度に制御することができる。なお、1セットの冷間加工[1]の加工度の下限は特に限定しないが、適度に金属結晶の分裂を促す観点から、0.6とすることが好ましい。
加工方法は、目的とするアルミニウム合金材の形状(線棒材、板材、条、箔など)に応じて適宜選択すればよく、例えばカセットローラーダイス、溝ロール圧延、丸線圧延、ダイス等による引抜き加工、スエージング等が挙げられる。いずれの加工方法においても、工具と材料の間の摩擦を高めて、付加的せん断歪みを積極的に導入することによって、本発明の結晶方位分布が得られる。また、上記のような加工における諸条件(潤滑油の種類、加工速度、加工発熱等)は、公知の範囲で適宜調整すればよい。
アルミニウム合金素材は、上記合金組成を有するものであれば特に限定はなく、例えば、押出材、鋳塊材、熱間圧延材、冷間圧延材等を、使用目的に応じて適宜選択して用いることができる。
また、本発明では、1回あたりの加工度が1.2以下である冷間加工[1]を3回以上行うが、各冷間加工[1]の後には、所定の安定化熱処理[2]をセットで行う。このような安定化熱処理[2]は、複数回の冷間加工[1]の間に高い頻度で導入されることにより、通常の変形による結晶配向で起こるLD//<111>の結晶回転(配向)を防止して、LD//<100>の結晶回転(配向)を促す作用がある。安定化熱処理[2]の処理温度は、70〜160℃とするのが好ましい。安定化熱処理[2]の処理温度が70℃未満の場合には、上記のような作用が得られにくく、160℃を超えると結晶粒界の密度が低下して強度が低下する傾向があるからである。また、安定化熱処理[2]の保持時間は好ましくは2〜10時間とすることが好ましい。なお、このような熱処理の諸条件は、不可避不純物の種類や量、およびアルミニウム合金素材の固溶・析出状態によって、適宜調節することができる。
また、本発明では、残留応力の解放や伸びの向上を目的として、アルミニウム合金材への最終処理として調質焼鈍[3]を行ってもよい。調質焼鈍[3]を行う場合には、処理温度を50〜130℃とすることが好ましい。調質焼鈍[3]の処理温度が50℃未満の場合には、上記のような効果が得られにくく、130℃を超えると回復や再結晶によって結晶粒の成長が起き、強度が低下する。また、調質焼鈍[3]の保持時間は好ましくは24〜48時間である。なお、このような熱処理の諸条件は、不可避不純物の種類や量、およびアルミニウム合金素材の固溶・析出状態によって、適宜調節することができる。
また、本発明では、上述のように、アルミニウム合金素材に対し、ダイスによる引抜きや圧延等の方法により、高い加工度の加工が行われる。そのため、結果として、長尺のアルミニウム合金材が得られる。一方、粉末焼結、圧縮ねじり加工、High pressure torsion(HPT)、鍛造加工、Equal Channel Angular Pressing(ECAP)等のような従来のアルミニウム合金材の製造方法では、このような長尺のアルミニウム合金材を得ることは難しい。このような本発明のアルミニウム合金材は、好ましくは10m以上の長さで製造される。なお、製造時のアルミニウム合金材の長さの上限は特に設けないが、作業性等を考慮し、6000mとすることが好ましい。
また、本発明のアルミニウム合金材は、上述のように結晶粒の微細化のために加工度を大きくすることが有効であるため、特に線棒材として作製する場合には、細径にするほど、また、板材や箔として作製する場合には、薄厚にするほど、本発明の構成を実現し易い。
特に、本発明のアルミニウム合金材が線棒材である場合には、その線径は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.4mm以下、特に好ましくは0.2mm以下である。なお、下限は特に設けないが、作業性等を考慮し、0.01mmとすることが好ましい。本発明のアルミニウム合金線棒材は、細線であっても高い強度を有するため、単線で細くして使用できることが利点の一つである。
また、本発明のアルミニウム合金材が板材である場合には、その板厚は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.4mm以下、特に好ましくは0.2mm以下である。なお、下限は特に設けないが、0.01mmとすることが好ましい。本発明のアルミニウム合金板材は、薄板や箔の形状でも高い強度を有するため、薄厚の単層として使用できることが利点の一つである。
また、上述のように本発明のアルミニウム合金材は、細くまたは薄く加工されるが、このようなアルミニウム合金材を複数用意して接合し、太くまたは厚くして、目的の用途に使用することもできる。なお、接合の方法は、公知の方法を用いることができ、例えば圧接、溶接、接着剤による接合、摩擦攪拌接合等が挙げられる。また、アルミニウム合金材が線棒材である場合には、複数本束ねて撚り合わせ、アルミニウム合金撚線として、目的の用途に使用することもできる。なお、上記調質焼鈍[3]の工程は、上記冷間加工[1]を行ったアルミニウム合金材を、接合あるいは撚り合わせによる加工を行った後に、行ってもよい。
(3)本発明のアルミニウム合金材の組織的な特徴
<金属組織>
上述のような製造方法によって製造される本発明のアルミニウム合金材は、金属組織内に結晶粒界が高密度で導入されたものである。このような本発明のアルミニウム合金材は、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、上記一方向に平行な断面において、上記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下である。このようなアルミニウム合金材は、従来にはない特有の金属組織を有することにより、特に優れた強度を発揮し得る。
本発明のアルミニウム合金材の金属組織は繊維状組織であり、細長形状の結晶粒が一方向に揃って繊維状に延在した状態になっている。ここで、「一方向」とは、アルミニウム合金材の加工方向(延伸方向)に対応し、アルミニウム合金材が、線棒材である場合には例えば伸線方向に、板材や箔である場合には例えば圧延方向に、それぞれ対応する。また、本発明のアルミニウム合金材は、特にこのような加工方向に平行な引張応力に対して、特に優れた強度特性を発揮する。
また、上記一方向は、好ましくはアルミニウム合金材の長手方向に対応する。すなわち、通常アルミニウム合金材は、その加工方向に垂直な寸法よりも短い寸法に個片化されていない限り、その延伸方向DDは、その長手方向LDに対応する。
また、上記一方向に平行な断面において、結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値は、800nm以下であり、より好ましくは600nm以下、さらに好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下,一層好ましくは100nm以下である。このような径(結晶粒の長手方向に垂直な寸法)の細い結晶粒が一方向に延在した繊維状の金属組織では、結晶粒界が高密度に形成されており、このような金属組織によれば、変形に伴う結晶すべりを効果的に阻害でき、従来にない高強度を実現し得る。また、結晶粒が微細である効果によって、曲げ変形における不均一な変形を抑制する作用がある。なお、結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値は、高強度を実現する上で小さいほど好ましいが、製造上または物理上の限界としての下限は例えば50nmである。
また、上記結晶粒の長手方向の寸法は、必ずしも特定されないが、1200nm以上であることが好ましく、より好ましくは1700nm以上であり、さらに好ましくは2200nm以上である。また、上記結晶粒のアスペクト比では、10以上であることが好ましく、より好ましくは20以上である。
<集合組織>
また、上述のような製造方法によって製造される本発明のアルミニウム合金材の主表面は、LD//<111>の結晶配向が抑制され、LD//<100>の結晶配向が増加するように、結晶方位分布が制御された集合組織を有する。このような本発明のアルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、結晶粒の長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和:K100と、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和:K111の比H(=K100/K111)が0.15以上となる結晶方位分布を有している。このようなアルミニウム合金材の主表面は、従来にはない特有の集合組織を有することにより、特に優れた曲げ加工性を発揮し得る。
材料中の結晶方位は、図3に示すように、表面方向(ND:Normal Direction)への結晶面を{hkl}、長手方向(LD:Longitudinal Direction)への配向を<uvw>で表される。
結晶方位分布の測定は、(200)X線極点図に基づく。Schulzの反射法を採用し、{001}面のBragg回折角である44.72°を満足するように、X線源と検出器を固定した。測定系を図4に示す。X線源には、CuKα線を用いた。そして、図4に示すように、測定する試料面のα回転、β回転に伴う回折X線強度を5°おきに測定した。α回転は、試料面の法線を傾けるような回転であって、0〜85°の範囲であり、β回転は、試料面の法線を軸とした回転であって0〜355°の範囲である。試料は、25mmの長さに切断した複数の線材を、ガラス板の上に敷き詰めるように並べて張り付けて作製した。並べた後の全幅は20〜30mmとなるようにした。測定された回折X線強度は、極点図と呼ばれる。α及びβの回転角度をそれぞれ(α、β)のように()に入れて表示する。円の中心を(0、0)、3時の方向を(90、0)とする。極点図の表示方法を図5に示す。この極点図上で、LD//<111>の結晶方位群による回折強度は、図6において+印で示したαとβの組み合わせで検出される。また、LD//<100>の結晶方位群による回折強度は、図6において×印で示したαとβの組み合わせで検出される。αとβの角度を2軸とした表を図7に示す。LD//<111>の結晶方位群による回折強度の和をK111、LD//<100>の結晶方位群による回折強度の和をK100とした。そして、これらの比H(=K100/K111)を算出した。LD//<100>の結晶方位群が多く、LD//<111>の結晶方位群が少ないほど、ピーク強度比H(K100/K111)は大きくなる。そして、本発明のアルミニウム合金材は、Hが0.15以上であることが必要であり、より好ましくは、0.30以上、更に好ましくは、0.45以上である。上限は特に限定されないが、6以下である。
上述のように、主表面において、LD//<111>の結晶配向は、強変形したアルミニウム合金材の曲げ加工性を低下させている要因となる。したがって、曲げ加工性を向上させる観点からは、主表面の集合組織において、LD//<111>の結晶配向を減少させると共に、LD//<100>の結晶配向の割合を増加させることが望ましい。
(4)本発明のアルミニウム合金材の特性
[引張強度]
引張強度は、JIS Z2241:2011に準拠して測定された値とする。詳しい測定条件は、後述する実施例の欄にて説明する。
本発明のアルミニウム合金材は、特に線棒材である場合に、好ましくは引張強度が220MPa以上である。このような引張強度は、ASTM INTERNATIONALに示されている導電用アルミニウムA1350の引張強度である160〜200MPaを1割以上も上回る。(規格名:B230/B230M−07)。従って、例えば、本発明のアルミニウム合金線棒材をケーブルに適用した場合には、ケーブルの高張力を維持したまま、ケーブルの導体の断面積および重量を1割低減する効果がある。また、本発明のより好ましい引張強度は260MPa以上、さらに好ましい引張強度は300MPa以上である。さらにより好ましい引張強度は、340MPa以上である。このような引張強度は、ASTM INTERNATIONALに示されている6000系アルミニウム合金のA6201の引張強度である305〜330MPaを上回る。(規格名:B398/B398M−14)。最も好ましい引張強度は380MPa以上である。
[ビッカース硬さ(HV)]
ビッカース硬さ(HV)は、JIS Z2244:2009に準拠して測定された値とする。詳しい測定条件は、後述する実施例の欄にて説明する。なお、すでに部品となった加工品のビッカース硬さ(HV)を測定する場合には、加工品を分解して、断面を鏡面研磨し、その断面について測定を行うこともできる。
本発明のアルミニウム合金材は、特に線棒材である場合に、好ましくはビッカース硬さHVが60以上である。このようなHVは、ASTM INTERNATIONALに示されている導電用アルミニウムA1350のHvである54を1割上回る。従って、例えば、本発明のアルミニウム合金線棒材をケーブルに適用した場合には、ケーブルの高張力を維持したまま、ケーブルの導体の断面積および重量を1割低減する効果がある。また、本発明のより好ましいHvは70以上、さらに好ましいHvは80以上である。さらにより好ましいHvは、90以上である。このような引張強度は、ASTM INTERNATIONALに示されている6000系アルミニウム合金のA6201の引張強度である85を上回る。最も好ましいHvは100以上である。なお、本発明のアルミニウム合金材のビッカース硬さ(HV)の上限は、特に限定されないが、例えば250である。
[曲げ加工性]
冒頭に示した、撚る、編む、織る、結ぶなどの加工性や成形性の指標として、JIS Z 2248(2014)に準拠して、W曲げ加工により評価した。線径の2倍の半径で曲げ加工を行って、試料表面の割れや断線が発生してしまった場合、加工性が良好でないと判断し、表中に×印で示した。それらの欠陥がなく、曲げ加工が出来た場合は、曲げ加工性が良好であり、〇1印で示した。線径と同じ半径で曲げ加工が出来た場合は、更に良好であり〇2印で、線径の半分の半径で曲げ加工が出来た場合は最も良好であり、〇3印で示した。
[導電率]
用途や強度帯によって、好ましい導電率は異なる。引張強度が220〜340MPaの強度帯では、導電が基本機能となるため、導電率は55%IACS以上が好ましい。より好ましくは57%IACS以上である。一方、引張強度が340MPa以上の強度帯では、機械的特性が基本機能となるため、導電率は45%IACS以上が好ましい。より好ましくは、48%IACS以上である。
[金属による被覆]
本発明のアルミニウム合金材は、裸材、すなわちそれ自体で引張強度、ビッカース硬さ、曲げ加工性、導電率の特性を十分に備えている。また、本発明のアルミニウム合金材は、裸材として用いるだけでなく、めっきやクラッドなどの方法によって、他の金属で被覆した場合に、良好な接合特性を有するとともに、裸材の場合と同様に良好な強度、曲げ加工性、導電性を両立する効果を発揮する。被覆する金属の種類は、Cu、Ni、Ag、Pd、Au、Snなどが挙げられる。接触抵抗の低減、耐食性の向上などの効果がある。被覆率は、長手方向に垂直な断面において、全面積の25%程度までとするのが良い。被覆率が多すぎると、軽量化効果が低減してしまうためである。好ましくは、15%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。
X線極点図法によって結晶方位を測定する場合は、酸でこれらの被覆金属を溶解してアルミニウム合金の表面を露出させた後に、裸のアルミニウム合金と同様に測定する。
金属を被覆した後に塑性加工を行う場合は、加工発熱によって被覆した金属と基材のアルミニウム合金が反応し、金属間化合物を形成する場合がある。従って、例えば伸線加工速度を50m/min以下まで低速にする、潤滑材を強制冷却して被加工材を冷却する能力を高める、などの方法が必要となる。
(5)本発明のアルミニウム合金材の用途
本発明のアルミニウム合金材は、鉄系材料、銅系材料およびアルミニウム系材料が用いられているあらゆる用途が対象となり得る。具体的には、電線やケーブル等の導電部材、集電体用のメッシュや網等の電池用部材、ねじや、ボルト、リベット等の締結部品、コイルバネ等のバネ用部品、コネクタや端子等の電気接点用バネ部材、シャフトやフレーム等の構造用部品、ガイドワイヤー、半導体用のボンディングワイヤー、発電機やモータに用いられる巻線等として好適に用いることができる。
導電部材のより具体的な用途例としては、架空送電線、OPGW、地中電線、海底ケーブルなどの電力用電線、電話用ケーブルや同軸ケーブルなどの通信用電線、有線ドローン用ケーブル、キャブタイヤケーブル、EV/HEV用充電ケーブル、洋上風力発電用捻回ケーブル、エレベータケーブル、アンビリカルケーブル、ロボットケーブル、電車用架線、トロリ線などの機器用電線、自動車用ワイヤーハーネス、船舶用電線、飛行機用電線などの輸送用電線、バスバー、リードフレーム、フレキシブルフラットケーブル、避雷針、アンテナ、コネクタ、端子、ケーブルの編組、掃除機用ケーブル、ウェアラブルデバイス用導体などが挙げられる。
電線やケーブルで、撚り線として用いる場合に、本発明のアルミニウム合金と汎用的な銅やアルミニウムなどの導体とを混合させて撚り線としても良い。
電池用部材には、太陽電池の電極、リチウムイオン電池の電極などが挙げられる。
構造用部品(部材)のより具体的な用途例としては、建築現場の足場、コンベアメッシュベルト、衣料用の金属繊維、鎖帷子、フェンス、虫除けネット、ジッパー、ファスナー、クリップ、アルミウール、ブレーキワイヤーやスポークなどの自転車用部品、強化ガラスの補強線、パイプシール、メタルパッキン、ケーブルの保護強化材、ファンベルトの芯金、アクチュエータ駆動用ワイヤー、チェーン、ハンガー、防音用メッシュ、棚板、水素タンクなどの高圧タンクの強度補強線、ケーブルのテンションメンバ、スクリーン印刷用メッシュなどが挙げられる。
締結部品(部材)のより具体的な用途例としては、いもねじ、ステープル、画鋲などが挙げられる。
バネ用部品(部材)のより具体的な用途例としては、バネ電極、端子、コネクタ、半導体プローブ用バネ、板バネ、ぜんまい用バネなどが挙げられる。
また、樹脂系材料、プラスチック材料、布などに導電性を持たせたり、強度や弾性率を制御したりするために添加する金属繊維としても好適である。
また、メガネフレーム、時計用ベルト、万年筆のペン先、フォーク、ヘルメット、注射針などの民生部材や医療部材にも好適である。
いずれの用途についても、本発明によるアルミニウム合金材を、別の材料と適宜組み合わせて複合化したり、あるいは、混合したりして用いてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、本発明例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(本発明例1〜33)
まず、表1に示す合金組成を有する10mmφの各棒材を準備した。次に、各棒材を用いて、表1に示す製造条件にて、それぞれのアルミニウム合金線材(0.21〜1.93mmφ)を作製した。
なお、表1に示す製造条件A〜Fは、具体的には以下のとおりである。
<製造条件A>
加工度が1.1の伸線加工と100℃で5時間保持する安定化熱処理の組み合わせを合計3セット行った。なお、調質焼鈍[3]は行わなかった。
<製造条件B>
加工度が1.1の伸線加工と100℃で5時間保持する安定化熱処理の組み合わせを合計5セット行った。なお、調質焼鈍[3]は行わなかった。
<製造条件C>
加工度が1.1の伸線加工と100℃で5時間保持する安定化熱処理の組み合わせを合計7セット行った。なお、調質焼鈍[3]は行わなかった。
<製造条件D>
製造条件Aの後、処理温度100℃、保持時間36時間の条件で調質焼鈍[3]を行った。
<製造条件E>
製造条件Bの後、処理温度100℃、保持時間36時間の条件で調質焼鈍[3]を行った。
<製造条件F>
製造条件Cの後、処理温度100℃、保持時間36時間の条件で調質焼鈍[3]を行った。
(比較例1)
比較例1では、99.99質量%−Alからなる10mmφの棒材を用い、表1に示す製造条件にて、アルミニウム線材(0.24mmφ)を作製した。
(比較例2〜6)
比較例2〜4では、表1に示す合金組成を有する10mmφの各棒材を用い、表1に示す製造条件にて、それぞれのアルミニウム合金線材(0.07〜2.0mmφ)を作製した。
(比較例7、10)
<製造条件H>
加工度が1.1の伸線加工と100℃で5時間保持する安定化熱処理の組み合わせを合計2セット行った。なお、調質焼鈍[3]は行わなかった。
(比較例8、11)
<製造条件I>
製造条件Bにおける安定化熱処理を行わずに、合計加工度が7.7の伸線加工を行った。なお、調質焼鈍[3]は行わなかった。
(比較例9、12)
<製造条件J>
製造条件Bにおける安定化熱処理を200℃で5時間とした。
(比較例13)
<製造方法K>
グラファイトルツボ内に、純度が99.95質量%のアルミニウム、純度が99.95質量%のマグネシウム、純度が99.99質量%のケイ素、純度が99.95質量%の鉄、TiとBをそれぞれ所定量投入し、高周波誘導加熱により720℃で撹拌溶融して、Al−0.06Si−0.24Fe−0.21Cu−0.11Mg(質量%)の合金組成を有する溶湯を製造し、これをグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で10mmφ、長さが100mmのワイヤーを連続鋳造した。そして、ECAP法によって4.0の累積相当ひずみを導入した。この段階の再結晶化温度は300℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、250℃にて2時間の事前加熱を行った。次に、加工率29%(加工度0.34)の第1の伸線処理を施した。この段階の再結晶温度は300℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、260℃にて2時間の1次熱処理を行った。その後、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、加工度9.3の第2の伸線処理を行った。この段階の再結晶化温度は280℃と求められた。そして、不活性ガス雰囲気中で、220℃にて1時間の2次熱処理を行って、アルミニウム合金線材(0.08mmφ)を得た。伸線では、ダイス半角が5°、1パスあたりの加工率が16%の条件とした。
[評価]
上記実施例および比較例に係るアルミニウム系線材を用いて、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りである。結果を表1に示す。
[1]合金組成
JIS H1305:2005に準じて、発光分光分析法によって行った。なお、測定は、発光分光分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて行った。
[2]組織観察
金属組織の観察は、透過電子顕微鏡(JEM−2100PLUS、日本電子株式会社製)を用い、TEM(Transmission Electron Microscopy)観察により行った。加速電圧は200kVで観察した。
観察用試料は、上記線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面について、FIB(Focused Ion Beam)により厚さ100nm±20nmで切断し、イオンミリングで仕上げたものを用いた。
TEM観察では、グレーコントラストを用い、コントラストの違いを結晶の方位として、コントラストが不連続に異なる境界を結晶粒界として認識した。なお、電子線の回折条件によっては、結晶方位が異なっていてもグレーコントラストに差がない場合があるので、その場合には、電子顕微鏡の試料ステージ内における直交する2本の試料回転軸によって±3°ずつ傾けて電子線と試料の角度を変えて、複数の回折条件で観察面を撮影し、粒界を認識した。なお観察視野は、(15〜40)μm×(15〜40)μmとし、上記断面において、線径方向(長手方向に垂直な方向)に対応する線上の、中心と表層の中間付近の位置(表層側から線径の約1/4中心側の位置)で観察を行った。観察視野は、結晶粒の大きさに応じて、適宜調整した。
そして、TEM観察を行った際に撮影した画像から、線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面において、繊維状の金属組織の有無を判断した。図8は、TEM観察を行った際に撮影した、本発明例28の線材の長手方向(伸線方向X)に平行な断面のTEM画像の一部である。本実施例では、図8に示すような金属組織が観察された場合に、繊維状の金属組織が「有」と評価した。
さらに、それぞれの観察視野において、結晶粒のうち任意の100個を選択し、それぞれの結晶粒の長手方向に垂直な寸法と、結晶粒の長手方向に平行な寸法を測定し、その結晶粒のアスペクト比を算出した。さらに、結晶粒の長手方向に垂直な寸法とアスペクト比については、観察した結晶粒の総数から、平均値を算出した。なお、観察された結晶粒が400nmよりも明らかに大きい場合には、各寸法を測定する結晶粒の選択数を減らして、それぞれの平均値を算出した。また、結晶粒の長手方向に平行な寸法が、明らかに結晶粒の長手方向に垂直な寸法の10倍以上のものについては、一律にアスペクト比10以上と判断した。
[3]結晶方位分布(X線極点図)の測定
図4に示すように、線材をガラス板の上に敷き詰めて、X線測定用のサンプルとした。そして、2θ=44.72°の条件で(200)X線極点図を測定した。LD//<111>の結晶方位群による回折強度の和をK111、LD//<100>の結晶方位群による回折強度の和をK100、とした。そして、それらの比H(=K100/K111)を算出した。
[4]引張強度
JIS Z2241:2001に準じて、精密万能試験機(株式会社島津製作所製)を用いて、引張試験を行い、引張強度(MPa)を測定した。なお、上記試験は、評点間距離を100mm、変形速度を10mm/分の条件で実施した。本実施例では、加熱前の線材については、220MPa以上を合格レベルとした。
[5]ビッカース硬さ(HV)
JIS Z 2244:2009に準じて、微小硬さ試験機 HM−125(株式会社アカシ(現株式会社ミツトヨ)製)を用いて、ビッカース硬さ(HV)を測定した。このとき、試験力は0.1kgf、保持時間は15秒とした。また、測定位置は、線材の長手方向に平行な断面において、線径方向(長手方向に垂直な方向)に対応する線上の、中心と表層の中間付近の位置(表層側から線径の約1/4中心側の位置)とし、測定値(N=5)の平均値を、各線材のビッカース硬さ(HV)とした。なお、測定値の最大値および最小値の差が10以上であった場合には、さらに測定数を増やし、測定値(N=10)の平均値をその線材のビッカース硬さ(HV)とした。ビッカース硬さ(HV)は大きいほど好ましく、本実施例では、60以上を合格レベルとした。
[6]W曲げ加工性
冒頭に示した、撚る、編む、織る、結ぶなどの加工性や成形性の指標として、JIS Z 2248(2014)に準拠して、W曲げ加工により評価した。1か所だけを曲げるL曲げとは異なって、W曲げ試験では引張りながら曲げられるため、L曲げよりも厳しい評価となる。線径の2倍の半径で曲げ加工を行って、試料表面の割れや断線が発生してしまった場合、加工性が良好でないと判断し、表中に×印で示した。それらの欠陥がなく、曲げ加工が出来た場合は、曲げ加工性が良好であり、〇1印で示した。線径と同じ半径で曲げ加工が出来た場合は、更に良好であり〇2印で、線径の半分の半径で曲げ加工が出来た場合は最も良好であり、〇3印で示した。
[7]導電率
導電率は、20±1℃にて、4端子法により測定した。本実施例では、引張強度が220〜340MPaの強度帯では、導電が基本機能となるため、導電率は55%IACS以上を合格レベルとした。また、引張強度が340MPa以上の強度帯では、機械的特性が基本機能となるため、導電率は45%IACS以上を合格レベルとした。なお、熱伝導率は導電率と比例関係にあるため、良否の判定を導電率の評価によって代用した。
表2の評価結果から、本発明例1〜33のアルミニウム合金線材は、合金組成が本発明の適正範囲内であり、結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、K100とK111の比Hが0.15以上となる結晶方位分布を有することが確認された。図8は、本発明例28に係るアルミニウム合金線材の伸線方向に平行な断面のTEM画像である。なお、本発明例1〜27および29〜33に係るアルミニウム合金線材の長手方向に平行な断面についても、図8と同様の金属組織が確認された。
このような特有の金属組織を有すると共に、主表面に特有の集合組織を有する本発明例1〜33に係るアルミニウム合金線材は、いずれも引張強度が220MPa以上、ビッカース硬さHVが60以上であり、W曲げ加工性も良好であり、また、導電率もであった。
これに対し、比較例1の純アルミニウム線材は、組成が本発明の適正範囲外であり、また、結晶粒の長手方向に垂直な寸法tの平均値が400nmよりも大きく、かつ、K100とK111の比Hも0.15未満であるため、引張強度、ビッカース硬さ、W曲げ加工性の全てが合格レベルを下回った。
比較例2のアルミニウム合金線材は、Siの含有量が本発明の適正範囲よりも多いため、導電率が合格レベルを下回った。
比較例3のアルミニウム合金線材は、Feの含有量が本発明の適正範囲よりも多いため、断線が多発し、伸線加工によって試験片を作製することができなかった。
比較例4のアルミニウム合金線材は、Cuの含有量が本発明の適正範囲よりも多いため、導電率が合格レベルを下回った。
比較例5のアルミニウム合金線材は、Mgの含有量が本発明の適正範囲よりも多いため、導電率が合格レベルを下回った。
比較例6のアルミニウム合金線材は、Ti、BおよびMnの合計含有量が、本発明の適正範囲よりも多いため、導電率が合格レベルを下回った。
比較例7〜13は、合金組成が本発明の適正範囲内であるものの、製造条件が本発明の範囲外であって、いずれも前記寸法tの平均値および前記比Hの少なくとも一方が本発明の範囲外であるため、引張強度、ビッカース硬さおよび加工性の少なくとも一つが合格レベルを下回っていた。
図9は、本発明例28から得られた(200)X線極点図であり、また、図10は、比較例9から得られた(200)X線極点図である。図9および図10の結果から、本発明例28は、LD//<100>の結晶方位群が発達しており、LD//<111>の結晶方位群も見られた。一方、比較例9は、LD//<111>の結晶方位群のみが強く集積しているのがわかる。
1 アルミニウム合金材
10 結晶粒
t 結晶粒の長手方向に垂直な寸法
X 結晶粒の長手方向
W アルミニウム合金(線)材
M 測定試料
I X線発生装置
C 検出器
ND 試料面の法線方向

Claims (10)

  1. Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、
    結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、
    前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、
    前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することを特徴とする、アルミニウム合金材。
  2. Fe:0.05〜1.50質量%と、Si:0.01〜0.15質量%、Cu:0.01〜0.3質量%およびMg:0.01〜1.5質量%の少なくとも1種とを含有するとともに、RE、Ag、Ni、Mn、Cr、Zr、TiおよびBの群から選択される1種以上:合計で0.3質量%以下を含有し、残部:Alおよび不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金材であって、
    結晶粒が一方向に揃って延在した繊維状の金属組織を有し、
    前記一方向に平行な断面において、前記結晶粒の長手方向に垂直な寸法の平均値が800nm以下であり、
    前記アルミニウム合金材の主表面は、X線極点図法により求められた、前記長手方向へ<100>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK100、長手方向へ<111>が配向した結晶に起因する回折強度の和をK111、K100とK111の比(K100/K111)をHとするとき、前記比(H)が0.15以上となる結晶方位分布を有することを特徴とする、アルミニウム合金材。
  3. ビッカース硬さ(HV)が、60〜250である、請求項1または2に記載のアルミニウム合金材。
  4. Cu、Ni、Ag、Au、PdおよびSnの群から選択される1種以上の金属または合金で表面が被覆されている請求項1、2または3に記載のアルミニウム合金材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた導電部材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた電池用部材。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた締結部品。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いたバネ用部品。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いた構造用部品。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材を用いたキャブタイヤケーブル。
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