JPWO2019181388A1 - 薬剤及び該薬剤を用いて腎臓病を治療又は予防する方法 - Google Patents

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Abstract

下記式(I)で表される化合物を有効成分として含む、腎臓病に用いられる薬剤。

Description

本発明は、薬剤及び該薬剤を用いて腎臓病を治療又は予防する方法に関する。
腎臓は、尿生成を通じて、体液の恒常性の維持、尿素などのタンパク質代謝物の排出、内分泌と代謝調節など、生物にとって重要な機能を有している。
腎臓病は、腎臓における腎機能の低下をきたす病態の総称であり、急性腎臓病と慢性腎臓病に大きく分けられ、いずれも進行すると腎不全に至る。腎不全は腎臓機能の70%以上が失われた状態であり、さらに症状が進行した末期腎不全では機能の90%以上が失われ、透析・移植が必要となる。急性腎臓病には急性腎不全及びシスプラチン腎症が、慢性腎臓病には慢性腎不全がそれぞれ含まれる。
腎不全の症状の病期分類及び臨床症状については、日本内科学会雑誌/87巻(1998)、7号、1234−1240頁の記載を参照できる。
一方、SMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenol)化合物は、糸状菌が生産するトリプレニルフェノール骨格を有する化合物の一群であり、特開2004−224737号公報、特開2004−224738号公報、及び国際公開第2007/111203号によれば、血栓溶解促進作用や血管新生阻害作用を有することが知られている。血栓溶解促進作用に関しては、FEBS Letter 1997;418:58-62によれば、SMTP化合物がプラスミノーゲンのコンフォメーション変化を導き、その結果、プラスミノーゲンのt−PAに対する感受性と、プラスミノーゲンの血栓などへの結合を増加させ、血栓の溶解を促進する作用機序が示唆されている。さらに、J Biol Chem 2014;289:35826-35838によれば、SMTP化合物は優れた抗炎症作用をもつことも示されている。
また、国際公開第2007/040082号には、上記SMTP化合物を有効成分とする腎炎治療用組成物が記載されている。
本発明者らは、式(I)で表される化合物が、腎臓病の治療又は予防に対する効果を有していることを見出した。
上記化合物が腎臓病に対して治療効果又は予防効果を奏するメカニズムとしては定かではないが、以下のように推測している。
腎臓病の発症機序の詳細は不明であるが、酸化ストレスや炎症もその一因となることが示唆されている。上記化合物は、抗酸化作用を有することが確認されていることから、腎臓病に対する作用も抗炎症作用と抗酸化作用のコンビネーションに基づくものと推察される。
特開2004−224737号公報、特開2004−224738号公報、国際公開第2007/111203号及びFEBS Letter 1997;418:58−62、J Biol Chem 2014;289:35826−35838には、式(I)で表される化合物の腎臓病に対する効果についての詳細については記載も示唆もない。
また国際公開第2007/040082号には、式(I)で表される化合物による線溶反応促進作用の結果、抗腎基底膜抗体自体又は抗腎基底膜抗体に対する宿主の免疫複合体を分解する過程が促進される、あるいは、局所的な組織のタンパク質分解が促進されることにより、腎炎が予防又は治療されることが記載されている。しかし、国際公開第2007/040082号には、上述の抗炎症作用と抗酸化作用のコンビネーションによる腎臓病に対する作用については、記載も示唆もない。
本開示に係る一実施形態により解決される課題は、腎臓病に対する治療又は予防効果に優れた薬剤、及び、式(I)で表される化合物の医薬としての新規用途を提供することである。
また、本開示に係る別の一実施形態により解決される課題は、式(I)で表される化合物を有効成分として含む薬剤を、腎臓病を有する又は腎臓病を発症するリスクを有する対象に投与することを含む、前記対象における腎臓病を治療又は予防する方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記式(I)で表される化合物を有効成分として含む、腎臓病に用いられる薬剤。
式(I)中、Lは炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基を表し、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、nは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
<2>前記式(I)で表される化合物が、下記式(IA)で表される化合物である、前記<1>に記載の薬剤。
式(IA)中、Xは−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
<3> 前記式(I)で表される化合物が、下記式(II)又は式(III)で表される化合物である前記<1>又は<2>に記載の薬剤。

式(II)又は式(III)中、X、X及びXはそれぞれ独立に、−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成し、Rは、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中、Rはそれぞれ独立に、あってもなくてもよい置換基であって、存在する場合は、水酸基、カルボキシ基又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表し、mは0〜5の整数を表し、*は結合部位を表す。)、

(D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基(式(II−2)中、*は結合部位を表す。)を表す。)。
は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。
<4> 前記式(I)で表される化合物が、下記SMTP−0、下記SMTP−1、下記SMTP−4、下記SMTP−5D、下記SMTP−6、下記SMTP−7、下記SMTP−8、下記SMTP−11〜14、下記SMTP−18〜29、下記SMTP−36、下記SMTP−37、下記SMTP−42、下記SMTP−43、下記SMTP−43D、下記SMTP−44、下記SMTP−44D、下記SMTP−46及び下記SMTP−47よりなる群から選択される少なくとも1つを含む、前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の薬剤。


式中、*は結合部位を表す。
<5> 前記式(I)で表される化合物が、前記SMTP−7を含む、前記<4>に記載の薬剤。
<6> 前記腎臓病が慢性腎臓病である前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の薬剤。
<7> 前記腎臓病が急性腎臓病である前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の薬剤。
<8> 前記急性腎臓病がシスプラチン腎症である前記<7>に記載の薬剤。
<9> 腎臓病の治療又は予防に有効な量の前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の薬剤を、腎臓病を有する又は腎臓病を発症するリスクを有する対象に投与することを含む、前記対象における腎臓病を治療又は予防する方法。
<10> 腎臓病を治療又は予防するための、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の薬剤。
<11> 腎臓病を治療又は予防するための、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の薬剤を製造するための、前記式(I)で表される化合物の使用。
<12> 腎臓病の治療又は予防における、下記式(I)で表される化合物の使用。
式(I)中、Lは炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基を表し、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、nは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
本開示に係る一実施形態によれば、腎臓病に対する治療又は予防効果に優れた薬剤、並びに式(I)で表される化合物の医薬としての新規用途を提供することができる。
また、本開示に係る別の一実施形態によれば、式(I)で表される化合物を有効成分として含む薬剤を、腎臓病を有する又は腎臓病を発症するリスクを有する対象に投与することを含む、前記対象における腎臓病を治療又は予防する方法を提供することができる。
急性腎臓病(シスプラチン腎症)モデル動物を用いた試験における、Sham群におけるHE染色の結果を示す図である。 急性腎臓病(シスプラチン腎症)モデル動物を用いた試験における、Control群におけるHE染色の結果を示す図である。 急性腎臓病(シスプラチン腎症)モデル動物を用いた試験における、シスプラチン投与1日後にSMTP−7を10mg/kgで投与した群におけるHE染色の結果を示す図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、1つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において薬剤等の組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本開示を詳細に説明する。
(薬剤)
本開示に係る薬剤は、上記式(I)で表される化合物を有効成分として含む、腎臓病に用いられる薬剤である。
<式(I)で表される化合物>
本開示に係る薬剤は、式(I)で表される化合物を含有する。

式(I)中、Lは炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基を表し、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、nは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
Lで示される炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。また不飽和結合を含んでいてもよい。中でも直鎖状又は分岐鎖状の不飽和結合を含んでもよい脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
式(I)において、−L−Xで表される基は、下記式(V)、化学式(Y1)〜(Y4)のいずれかで表されることが好ましい。

式(V)中、Z及びZはそれぞれ独立して、水素原子若しくはヒドロキシ基であるか、又は一緒になって単結合を形成する。なお、化学式中の「*」は結合位置を示す。
式(I)のRにおける分子量1,000以下の置換基としては、後述する虚血に起因する腎機能不全を抑制する観点からは、分子量800以下の置換基が好ましく、分子量700以下の置換基がより好ましく、分子量600以下の置換基が更に好ましい。
式(I)のRとしては、α−アミノ酸が挙げられる。α−アミノ酸は特に制限されず、天然アミノ酸であっても、非天然アミノ酸であってもよい。また天然アミノ酸に置換基が導入されたアミノ酸誘導体であってもよい。さらにα−アミノ酸が2以上のアミノ基を有する場合、いずれのアミノ基が取り除かれてもよい。
中でもα−アミノ酸は、天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、又は、ヒドロキシ基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有してもよいフェニルアラニン若しくはフェニルグリシンであることが好ましく、天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、又は、ヒドロキシ基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有してもよいフェニルグリシンであることがより好ましい。
天然アミノ酸は、天然に存在し得るアミノ酸であれば特に制限されない。例えば、グリシン、アラニン、スレオニン、バリン、イソロイシン、チロシン、システイン、シスチン、メチオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒドロキシリシン、オルニチン、シトルリン、ホモシステイン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、セリン、ロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン等が挙げられる。
天然アミノ酸に置換基が導入されたアミノ酸誘導体における置換基としては、例えば、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数7〜16のアリールアルキル基、ウレイド基、チオウレイド基、カルボキシ基、フルオレサミンから水素原子を1つ取り除いて構成される基等が挙げられる。前記アミノ酸誘導体における置換基は可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。置換基が有する置換基はアミノ酸誘導体における置換基と同様である。
式(I)のRにおけるアミノ糖は、アミノ基を少なくとも1つ有する糖誘導体であれば特に制限されない。具体的には例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、ノイラミン酸等を挙げることができる。
式(I)のRにおける複素環基としては、ヘテロ原子を含む環状基であれば特に制限されず、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基のいずれであってもよい。またヘテロ原子としては窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を挙げることができる。
中でも、ヘテロ原子として窒素原子を含む含窒素複素環基であることが好ましく、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、及びピラゾロンからなる群より選ばれる複素環化合物から水素原子を一つ取り除いて構成される複素環基であることがより好ましく、プリン、ピリジン、及びピラゾロンからなる群より選ばれる複素環化合物から水素原子を一つ取り除いて構成される複素環基であることがさらに好ましい。なお、複素環化合物から水素原子を取り除く位置は特に制限されない。中でも複素環化合物の炭素原子上から取り除かれることが好ましい。
Rにおける複素環基は置換基を有していてもよい。複素環基における置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数14以下のアリール基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホン酸基等を挙げることができる。中でもフェニル基及びカルバモイル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
複素環基における置換基の数は特に制限されないが、3以下であることが好ましい。
式(I)のRにおける炭素数2〜8のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。なかでも直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。また炭素数は2〜6であることが好ましい。なお、アルキル基の炭素数にはアルキル基上の置換基の炭素数は含まれない。
Rにおけるアルキル基は置換基を有していてもよい。アルキル基における置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数14以下のアリール基、炭素数16以下のアリールアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホン酸基、アミノ基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、チオウレイド基、アルキルスルフィド基、アルキルジスルフィド基、式(I)で表される化合物からRを取り除いて構成される基、フルオレサミンから水素原子を1つ取り除いて構成される基等を挙げることができる。中でも、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルバモイルオキシ基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、チオウレイド基、式(I)で表される化合物からRを取り除いて構成される基、及びフルオレサミンから水素原子を1つ取り除いて構成される基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アルキル基における置換基の数は特に制限されないが、3以下であることが好ましい。
またアルキル基における置換基は可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。置換基が有する置換基はアルキル基における置換基と同様である。
式(I)のRにおけるアリール基は、炭素数6〜14のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがより好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。
Rにおけるアリール基は置換基を有していてもよい。アリール基における置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数14以下のアリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルバモイル基、アリールカルボニル基等を挙げることができる。中でも、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルバモイル基及びアリールカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アリール基における置換基の数は特に制限されないが、3以下であることが好ましい。
またアリール基における置換基は可能な場合にはさらに置換基を有していてもよい。置換基が有する置換基はアリール基における置換基と同様である。さらにアリール基における置換基は可能な場合には、置換基同士が結合して環状構造を形成してもよい。
〔式(I)で表される化合物の製造方法〕
本開示に用いられる式(I)で表される化合物は、化学合成によって得たものでもよく、糸状菌、例えば、スタキボトリス・ミクロスポラ(Stachybotrys microspora)の培養物から精製して得たものでもよい。式(I)で表される化合物を糸状菌の培養物から精製して得る方法として、例えば、スタキボトリス・ミクロスポラの培養液に所定の添加有機アミノ化合物を添加したときに得られた培養物から目的の化合物を精製することを含む方法が挙げられる。これらの方法は、例えば、特開2004−224737号公報、特開2004−224738号公報、及び国際公開第2007/111203号等に記載されている。
本開示に用いられる式(I)で表される化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び鏡像異性体どうし又はジアステレオマーどうしの混合物でもよい。鏡像異性体、ジアステレオマー、及び鏡像異性体どうし又はジアステレオマーどうしの混合物は、化学合成によって得たものでもよく、糸状菌の培養物から精製して得たものでもよい。糸状菌の培養物から精製して得る場合には、糸状菌の培地に添加する添加有機アミノ化合物のD体又はL体を用いることで、それぞれに対応した異性体を得ることができる。
<式(IA)で表される化合物>
前記式(I)で表される化合物は、下記式(IA)で表される化合物であることが好ましい。
式(IA)中、Xは−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1,000以下の置換基を表す。
式(IA)中のRは式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
〔式(II)で表される化合物〕
本開示に用いられる式(I)で表される化合物の具体例の一つは、下記式(II)で表される化合物である。
式(II)中、Xは−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成し、Rは、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物よりなる群から選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中、Rはそれぞれ独立に、あってもなくてもよい置換基であって、存在する場合は、水酸基、カルボキシ基又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表し、mは0〜5の整数を表し、*は結合部位を表す。)、

(D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。

式(II)において、Rが前記(A)の場合の化合物について説明する。
前記(A)は、天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)である。
天然アミノ酸は、天然に存在し得るアミノ酸であれば、特に制限されず、例えば、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸及びδ−アミノ酸などがある。このようなアミノ酸は、天然物から得られるものであってもよく、又は人為的に有機合成などの手法により得られるものでもよい。
天然アミノ酸として、例えば、α−アミノ酸として、グリシン、アラニン、スレオニン、バリン、イソロイシン、チロシン、システイン、シスチン、メチオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒドロキシリシン、オルニチン、シトルリン、ホモシステイン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、セリン、ロイシン、フェニルアラニン及びトリプトファンなどが挙げられ、β−アミノ酸として、β−アラニンなどが挙げられ、γ−アミノ酸として、γ−アミノ酪酸及びカルニチンなどが挙げられ、δ−アミノ酸として、5−アミノレブリン酸及び5−アミノ吉草酸などが挙げられる。
上記の天然アミノ酸若しくは天然アミノ酸のD体において、少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物として、例えばアミノアルコール及びアミンが挙げられる。このようなアミノアルコールとして、例えば2−アミノエタノールなどが挙げられる。
式(II)においてRが前記(A)の場合の化合物の具体例としては、下記の表1に示す化合物が挙げられる。なお、表中の「添加有機アミノ化合物」は、化合物を、スタキボトリス・ミクロスポラの培養液に所定の添加有機アミノ化合物を添加したときに得られた培養物から精製して得る場合に用いる、その添加有機アミノ化合物を示す(以下、同様)。表中、*は結合部位を表す(以下、同様)。

上記の表1に示す化合物は、本開示に用いられる式(I)で表される化合物として、好適に用いることができる。
式(II)において、Rが前記(B)の場合の化合物について説明する。
前記(B)は、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基である。
前記芳香族基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。各構造式中、*は結合部位を表す。

式(II)においてRが前記(B)の場合の化合物の具体例としては、下記の表2に示す化合物が挙げられる。

上記の表2に示す化合物は、本開示に用いられる式(I)で表される化合物として、好適に用いることができる。
式(II)において、Rが前記(C)の場合の化合物について説明する。
前記(C)は、下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中Rはあってもなくてもよい置換基であって、存在する場合は、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表し、mは0〜5の整数を表し、*は結合部位を表す。上記アルキル基は更に置換基を有してもよく、置換基としては、水酸基、アルケニル基、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等が挙げられる。)である。

前記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基としては、例えば、下記構造式で表される基が挙げられる。*は結合部位を表す。

式(II)においてRが前記(C)の場合の化合物の具体例としては、下記の表3に示す化合物が挙げられる。

上記の表3に示す化合物は、本開示に用いられる式(I)で表される化合物として好適に用いることができる。
式(II)において、Rが前記(D)の場合の化合物について説明する。
前記(D)は、−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)である。

式(II)においてRが前記(D)の場合の化合物の具体例としては、下記の表4に示す化合物が挙げられる。

上記の表4に示す化合物は、本開示に用いられる式(I)で表される化合物として好適に用いることができる。
〔式(III)で表される化合物〕
本開示に用いられる式(I)で表される化合物の具体例の一つは、下記式(III)で表される化合物である。

式(III)中、X及びXはそれぞれ独立に、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。
前記nは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜6の整数、より好ましくは1〜5の整数、更に好ましくは1〜4の整数である。
前記mは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記qは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pが0の場合、m+qとしては、0〜9の整数が好ましく、より好ましくは0〜6の整数、更に好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜4の整数である。
2個のアミノ基を有する天然アミノ酸として、例えば、α−アミノ酸として、ヒドロキシリシン、シトルリン、シスチン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、リシン及びオルニチンなどが挙げられる。
2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物として、HN−(CH−NH(kは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数である)が挙げられる。
式(III)で表される化合物の具体例としては、下記の表5に示す化合物が挙げられる。

上記の表5に示す化合物は、本開示に用いられる式(I)で表される化合物として好適に用いることができる。
前記式(II)又は(III)で表される化合物のほかに、前記式(I)で表される化合物の具体例として、下記の表6〜表8に示す化合物が挙げられる。



上記の表6〜表8に示す化合物は、薬剤に含まれる式(I)で表される化合物として好適に用いることができる。
上述の化合物の中でも、式(I)で表される化合物としては、SMTP−0、SMTP−1、SMTP−4、SMTP−5D、SMTP−6、SMTP−7、SMTP−8、SMTP−11〜14、SMTP−18〜29、SMTP−36、SMTP−37、SMTP−42、SMTP−43、SMTP−43D、SMTP−44、SMTP−44D、SMTP−46及びSMTP−47よりなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましく、SMTP−7、SMTP−19、SMTP−22、SMTP−43、及びSMTP−44Dよりなる群から選択された少なくとも1つを含むことがより好ましく、SMTP−7を含むことが更に好ましい。
本開示に用いられる式(I)で表される化合物は、遊離形態、薬学的に許容され得る塩若しくはエステルの形態、又は溶媒和物の形態で薬剤に含まれる。塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、またはクエン酸、ギ酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の無機酸または有機酸が、本開示に用いられる式(I)で表される化合物の薬学的に許容され得る塩の形成に好適である。また、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物、塩基性アミン、または塩基性アミノ酸も、本開示に用いられる式(I)で表される化合物の薬学的に許容され得る塩の形成に好適である。また、炭素数1〜10個のアルコールまたはカルボン酸など、好ましくは、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸、又はプロピオン酸などが、本開示に用いられる式(I)で表される化合物の薬学的に許容され得るエステルの形成に好適である。また、水などが、本開示に用いられる式(I)で表される化合物の薬学的に許容され得る溶媒和物の形成に好適である。
上述したSMTP−7等の式(I)で表される化合物の具体例の記載は、これらの塩等の形態をも含むものである。
<担体及び添加物>
本開示に係る薬剤の調製に用いられる担体および製剤用添加物の種類は、特に制限されない。本開示に係る薬剤は、本開示に係る式(I)で表される化合物と、薬学的に許容される固体担体(例えば、ゼラチン、乳糖)あるいは液体担体(例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液)を用い、製剤化される。
<投与量>
本開示に係る薬剤は、有効成分として用いる化合物の種類、及び腎臓病の重傷度等にもよるが、成人1回当たりの有効量として0.001〜100mg/kgの投与が好ましく、0.01〜30mg/kgの投与がより好ましい。投与回数に特に制限はなく、1回投与で用いてもよく、反復投与で用いてもよく、持続投与で用いてもよい。投与間隔および投与期間は、臨床所見、画像所見、血液所見、併存する疾患、既往歴などに応じて、当業者が選択できる。
本開示に係る薬剤を反復投与で用いる場合、患部が持続的に本開示に係る薬剤に接触する観点から、1日当たり1時間〜24時間の持続投与をする態様も好ましい。
投与する方法は、特に制限されず、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、など種々の投与経路の選択が可能である。例えば、各病気の急性期の場合、患者に所望の投与量を迅速かつ確実に投与する観点から、静脈内投与、具体的には、静脈注射または点滴を用いることもできる。その際、例えば当業者は、1回分の投与量の1割を急速静注し、9割を30分から1時間かけて点滴投与する方法を採用できる。
<用途>
本開示に係る薬剤は、腎臓病に用いられる薬剤である。
本開示に係る薬剤は、腎臓病の治療又は予防に用いられる薬剤であることが好ましい。
本開示において、「治療」とは、症状の改善又は抑制であればよく、重症化の抑制や症状の軽減若しくは緩和もこの用語に包摂される。
本開示において、「予防」とは、発症の阻害、発症リスクの低減または発症の遅延などを意味する。
本開示において、腎臓病に用いられるとは、腎臓病による症状が見出されている場合、及び、腎臓病による症状が発現することが予見されている場合に用いられることをいう。
本開示に係る薬剤は、腎臓病による症状を治療する、上記症状の進行を抑制する、又は上記症状を緩和するために用いられる。ただし、使用時期又は使用の際の症状によっては複合的に用いられ、限定的に解釈されるものではない。
腎臓病による症状が見出されている場合、又は、腎臓病による症状が発現することが予見されている場合としては、腎炎、腎虚血、その他腎の治療中、又は治療後を挙げることができる。あるいは、シスプラチン、造影剤、その他の腎臓病を副作用として有する薬剤等の薬剤の投与に起因する急性腎臓病が予見される、上記薬剤投与後の時期等を挙げることができる。これらの時期においては、予防的に用いることもできる。
なお、腎臓病の可能性があれば、上述した時期に制限されず使用してよい。
腎臓病には、各種の腎障害と腎不全が含まれる。本開示に係る薬剤は、そのいずれに対しても用いることができるが、腎不全に用いられることが好ましい。
また腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全とが含まれるが、本開示に係る薬剤は、そのいずれに対しても用いることができる。
本開示に係る薬剤は、慢性腎臓病、及び、急性腎臓病のいずれに対しても用いられる。
慢性腎臓病としては、例えば、慢性腎虚血、慢性腎炎による腎臓病等が挙げられる。
急性腎臓病としては、例えば、急性腎虚血、急性腎炎による腎臓病、シスプラチン腎症等の薬剤投与に起因する腎臓病等が挙げられる。
本開示に係る薬剤は、ヒトでの使用に限定されずに用いてもよい。他の適用対象としては、ウシ、ウマ、ヒツジ等の家畜や、イヌ、ネコ、サル等のペット等に用いてもよい。
<他の薬剤との併用>
本開示に係る薬剤は、単独で用いてもよく、少なくとも1種以上の腎臓病に用いられる他の薬剤とともに用いてもよい。
本開示に係る薬剤と、他の薬剤とを併用することにより、治療効果を増強することが期待できる。この場合、本開示に係る薬剤は、他の薬剤と同時に又は時間をかえて、用いることができる。
また、本開示に係る薬剤は、腎臓病を副作用として有する他の薬剤と併用することにより、腎臓病を予防又は治療するための薬剤として使用してもよい。
腎臓病を副作用として有する他の薬剤としては、シスプラチン等が挙げられる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
(治療又は予防する方法)
本開示に係る治療又は予防する方法は、腎臓病の治療又は予防に有効な量の本開示に係る薬剤を、腎臓病を有する又は腎臓病を発症するリスクを有する対象に投与することを含む、前記対象における腎臓病を治療又は予防する方法である。
本開示に係る治療方法又は予防方法により、例えば、腎臓病の重症化の抑制、症状の軽減若しくは緩和、又は、腎臓病の発症の阻害、発症リスクの低減若しくは発症の遅延といった効果が得られる。
本開示に係る治療方法又は予防方法における本開示に係る薬剤の投与量、投与間隔、投与期間、投与方法などの態様は、既述の本開示に係る薬剤におけるこれらの態様と同様である。
本開示に係る治療方法又は予防方法は、急性腎臓病及び慢性腎臓病のいずれにも適用可能である。
(化合物)
本開示の別の一態様は、腎臓病を治療又は予防するための上記式(I)により表される上述の化合物である。
腎臓病を治療又は予防するための用法等の詳細は、上述の腎臓病を治療又は予防する方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<SMTP−7及びエダラボンの準備>
SMTP−7は、特開2004−224738号公報に記載された方法を用いて、スタキボトリス・ミクロスポラ IFO30018株の培地に添加有機アミノ化合物としてL−オルニチンを添加した場合に得られる培養物から精製して得た。精製して得たSMTP−7の乾固物に0.3N(0.3mol/L) NaOH水溶液及び生理食塩水(0.9%NaCl)を加えて、50mg/ml溶液を調製した。その後0.3N(0.3mol/L) HCl水溶液と生理食塩水を用いて、SMTP−7の濃度が10mg/ml、pHが弱アルカリとなるように調整し、濾過滅菌を行い小分けにして−30℃に凍結保存した。SMTP−7は、必要に応じて、生理食塩水で稀釈して使用した。
SMTP−7は、上記の凍結保存したものを試験直前に生理食塩水で1mg/mlに溶解した。
エダラボン(商品名ラジカット、田辺三菱製薬株式会社)は、1.5mg/mlの原液を用いた。以上の薬物は必要に応じて生理食塩水で稀釈した。
(実施例1:慢性腎不全モデル動物を用いた試験)
<慢性腎不全モデル動物の作製>
30g〜40gの雄性ddY系マウスを用いた。イソフルラン麻酔下で、マウス右側腹部を切開し、腎動静脈を結紮後、右腎臓を摘出した。縫合後、消毒としてアクリノールを縫合部位に塗布し、感染予防としてエンフロキサシンを5mg/kg、鎮痛目的としてアセトアミノフェンを75mg/kg皮下投与した。3週間〜4週間の回復期間後、マウスの左側腹部を切開し、腎臓の両面に100%酢酸を10回塗布し、これを1クールとして5分間隔で2クール行い、縫合後、片腎切除時と同様の方法で術後処置を行った。手術の影響を考慮し、酢酸を適用しないsham群を設けた。
<薬剤の投与>
酢酸塗布4週間後より、SMTP−7を、10mg/kg又は30mg/kgの投与量で投与した。投与は週に3回で8週間連続腹腔内投与した。また、sham群(酢酸適用なし)及びControl群(酢酸適用あり)には生理食塩液を同様に投与した。
<評価>
酢酸塗布してから12週間後、代謝ケージを用いて24時間尿を採取し、尿量を測定した。採尿中は、自由飲水とした。採尿後、下行大動脈より採血を行い、採取した血液を3000rpmで15分遠心し、血清を分離、BUN(尿素窒素)およびsCr(血清クレアチニン値)を測定した。また、尿中のタンパク質およびクレアチニンの測定も行い、クレアチニンクリアランス(Ccr)を算出した。BUNは尿素B−テストワコー(和光純薬工業(株)製)、QuantiChrom Urea Assay Kit(フナコシ(株)製)を、sCrはラボアッセイクレアチニン(和光純薬工業(株)製)を、尿中タンパク質は、BCA Protein assay kit(Thermo Fisher社製)をそれぞれ用いて測定した。
BUN、sCr、尿量(Urinary output)および尿中タンパク質(Urinary protein)を測定することにより腎機能を評価した。また、尿中クレアチニンの測定も行い、クレアチニンクリアランス(Ccr)を算出した。測定結果は表9に記載した。

表9中、実験結果は平均値±標準誤差で表示した。統計学的有意差は、二群間の比較の場合は、対応のない2群間の検定(Student’s t−test)を、多群間の比較の場合は、一元配置の分散分析の後、Dunnett検定を行い、いずれも、危険率5%以下(P<0.05)を有意差ありとした。
〔血液生化学パラメーターの評価結果〕
Sham群のBUNおよびsCrは、それぞれ35.9±2.06mg/dL、0.55±0.03mg/dLであった。酢酸適用によりこれらのパラメーターには有意な上昇(BUN:80.3±7.981mg/dL、sCr:0.74±0.02mg/dL)が認められた。
上記上昇は、SMTP−7投与により用量依存的に抑制され、30mg/kg投与群では、いずれのパラメーターにおいても(BUN:55.1±1.57mg/dL、sCr:0.60±0.05mg/dL)、Control群との間に有意差が認められた。
〔尿中パラメーターの評価結果〕
Sham群の尿量および尿中タンパク質は、それぞれ67.7±14.9ml/kg/day、553±87.4mg/kg/dayであった。酢酸適用によりこれらのパラメーターは有意に上昇し(尿量:153±37.2ml/kg/day、尿中タンパク質:1118±143mg/kg/day)、sham群との間に有意差が認められた。SMTP−7の30mg/kg投与により、尿量は低下傾向を示したが(77.3±18.5ml/kg/day)、Control群との間に有意差は認められなかった。
一方、尿中タンパク質の上昇に対しては、用量依存的抑制が認められ、30mg/kg投与群(527±96.2mg/kg/day)ではControl群との間に有意差が認められた。また、Ccrは、酢酸適用により、Sham群に比し有意な低下が認められた(Sham:2.29±0.30ml/min/kg、Control:0.87±0.14ml/min/kg)。SMTP−7は用量依存的にCcrの低下を抑制し、30mg/kg投与群では(2.66±0.37ml/min/kg)、Control群との間に有意差が認められた。
<エダラボンによる効果>
上記SMTP−7を30mg/kg投与した群において、上記SMTP−7の替わりにエダラボン(edaravone) 30mg/kgを投与した以外は、SMTP−7を30mg/kg投与した群と同様に実験及び評価を行った。測定結果は表10に記載した。

(実施例2:急性腎不全モデル動物を用いた試験)
<急性腎不全モデル動物の作製>
実験動物として、雄性ddY系マウス(30g)を用いた。イソフルラン麻酔下で右側腹部を2cm程度切開し、腎臓を露出した。腎動静脈および輸尿管を結紮後、右腎を摘出した。
2週間の回復期間を与えた後、急性腎不全モデルマウスを作製した。イソフルラン麻酔下のもと、左側腹部を3cm程度切開し、左腎を露出して腎動静脈周囲の脂肪を除去した。非外傷性クリップを用いて左腎動静脈の血流を遮断し、腎臓を45分間虚血状態とした。その後、非外傷性クリップを取り外すことにより血流を再灌流させ、腎臓を腹腔内に戻し、側腹部を縫合した。非外傷性クリップを用いた虚血再灌流以外の工程を同様に施したマウスをsham群(8頭)とした。
<急性腎不全モデル動物の作製>
急性腎不全モデルマウスを、vehicle(生理食塩水)を投与したcontrol群、SMTP−7投与群(0.01mg/kg、 0.1mg/kg、 1mg/kg、 10 mg/kg)、SMTP−27 投与群 (30mg/kg)、SMTP−44D 投与群 (30mg/kg) およびedaravone 投与群 (3mg/kg)としてランダムに8頭ずつ割り当てた。vehicle、SMTP−7、SMTP−27、SMTP−44D及びedaravoneを、虚血開始15分後から、大腿静脈より30分間持続投与した。
虚血再灌流処置24時間後より、代謝ケージを用いて24時間尿を採取し、尿量(UF;μL/min/kg)を測定した。採尿中は、自由飲水のみ可能とした。採尿後、マウスの体重を測定し、イソフルラン麻酔下にて腹部大動脈より採血を行った。採血後、左腎臓を摘出し、生理食塩中で脂肪を剥離した。腎重量(KW;mg/g)を測定した後、Hematoxylin Eosin(HE)染色を行うために、10%中性緩衝ホルマリン液内で固定を行った。
<腎機能パラメーターの測定>
採取した血液を25℃で15分間800×gにて遠心を行い、血清を採取した。また、代謝ケージを用いて採取した尿も併せて用い、腎機能の評価を行った。その血清中のパラメーターを評価するために、QuantiChrom Urea Assay Kit(フナコシ(株)製)を用いて血中尿素窒素(BUN;mg/dL)を測定した。LabAssayTM Creatinine(和光純薬工業(株)製)を用いて血清クレアチニン濃度(Scr;mg/dL)および尿中クレアチニン濃度(Ucr;mg/dL)を測定し、クレアチニンクリアランス(Ccr;mL/min/kg)を算出した。富士ドライケム 7000(富士フイルム(株)製)を用いて血清および尿中のナトリウム濃度を測定し、ナトリウム排泄率(FENa;%)を算出した。Albwel M(コスモバイオ(株)製)を用いて尿中アルブミン濃度(Ualb;mg/hr/kg)を測定した。
測定結果は表11に記載した。
表11中、実験結果は各群8頭における平均値±標準誤差で表示した。多群間比較として、初めに一元分散分析(ANOVA)を行い、有意差が認められたものについてBonferroniの検定を行った。危険率5%未満(P<0.05)を有意差ありと判定した。
〔SMTP−7、SMTP−27、SMTP−44Dおよび edaravone を投与した際の UF および Ualb の変化〕
control群のUF(88.9±11.9μL/min/kg)は、sham群のUF(35.7±4.8μL/min/kg)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にUFが改善されていたが(0.01mg/kg;74.6±12.8μL/min/kg、0.1mg/kg;82.5±8.8μL/min/kg、1mg/kg;62.3±13.4μL/min/kg、10mg/kg;46.8±9.5μL/min/kg)、統計学的な有意な変化は認められなかった。SMTP−27(30mg/kg)投与群における UF は 77.8±16.4μL/min/kg、SMTP−44D(30mg/kg)投与群における UF は 103.2±33.47μL/min/kgで、顕著な変化は認められなかった。また、edaravone(3mg/kg)投与群においても、UFの有意な改善が認められた(55.3±12.1μL/min/kg)。
control群のUalb(1.3±0.2mg/hr/kg)は、sham群のUalb(0.3±0.1mg/hr/kg)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にUalbが改善され(0.01mg/kg;1.8±0.3mg/hr/kg、0.1mg/kg;1.1±0.3mg/hr/kg、1mg/kg;0.7±0.2mg/hr/kg、10mg/kg;0.5±0.1mg/hr/kg)、10mg/kgのSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なUalbの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群における Ualb は 2.0±0.4mg/hr/kg、SMTP−44D(30mg/kg)投与群における Ualb は 1.3±0.3mg/hr/kgで、顕著改善は認められなかった。また、edaravone(3mg/kg)投与群においては、Ualbの有意な改善は認められなかった(0.9±0.2mg/hr/kg)。
〔SMTP−7、SMTP−27、SMTP−44Dおよび edaravone を投与した際の KW の変化〕
control群のKW(13.9±0.6mg/g)は、sham群のKW(9.0±0.4mg/g)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にKWが改善され(0.01mg/kg;14.5±0.6mg/g、0.1mg/kg;13.6±1.0mg/g、1mg/kg;11.2±0.8mg/g、10mg/kg;11.1±0.4mg/g)、10mg/kgおよび1mg/kgのSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なKWの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群におけるKWは13.8±0.7mg/g、SMTP−44D(30mg/kg)投与群におけるKWは12.3±1.2mg/gで、顕著な改善は認められなかった。また、edaravone(3mg/kg)投与群においては、KWの有意な改善は認められなかった(13.4±0.6mg/g)。
〔SMTP−7、SMTP−27、SMTP−44D又はedaravoneを投与した際のBUN、Scr、CcrおよびFENaの変化〕
control群のBUN(192.2±44.3mg/dL)は、sham群のBUN(38.4±2.7mg/dL)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にBUNが改善され(0.01mg/kg;108.8±26.6mg/dL、0.1mg/kg;125.8±28.7mg/dL、1mg/kg;66.0±11.3mg/dL、10mg/kg;44.1±2.9mg/dL)、全ての用量においてSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なBUNの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群におけるBUNは59.7±10.5mg/dL、SMTP−44D(30mg/kg)投与群におけるBUNは55.7±14.2mg/dLで、有意な改善が認められた。また、edaravone(3mg/kg)投与群においても、BUNの有意な改善が認められた(61.1±5.9mg/dL)。
control群のScr(1.7±0.4mg/dL)は、sham群のScr(0.3±0.0mg/dL)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にScrが改善され(0.01mg/kg;0.9±0.2mg/dL、0.1mg/kg;1.0±0.3mg/dL、1mg/kg;0.5±0.1mg/dL、10mg/kg;0.4±0.0mg/dL)、全ての用量においてSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なScrの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群におけるScrは0.5±0.0mg/dL、SMTP−44D(30mg/kg)投与群におけるScrは0.6±0.1mg/dLで、有意な改善が認められた。また、edaravone(3mg/kg)投与群においても、Scrの有意な改善が認められた(0.5±0.0mg/dL)。
control群のCcr(1.2±0.4mL/min/kg)は、sham群のCcr(2.8±0.2mL/min/kg)に比べて有意に低下した。SMTP−7の投与により、用量依存的にCcrが改善され(0.01mg/kg;1.6±0.3mL/min/kg、0.1mg/kg;1.7±0.4mL/min/kg、1mg/kg;2.3±0.4mL/min/kg、10mg/kg;3.1±0.2mL/min/kg)、10mg/kgおよび1mg/kgのSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なCcrの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群におけるCcrは2.5±0.1mL/min/kg、SMTP−44D(30mg/kg)投与群におけるCcrは 2.3±0.4mL/min/kgで、有意な改善が認められた。また、edaravone(3mg/kg)投与群においては、Ccrの有意な改善は認められなかった(2.1±0.2mL/min/kg)。
control群のFENa(5.2±2.1%)は、sham群のFENa(0.9±0.0%)に比べて有意に上昇した。SMTP−7の投与により、用量依存的にFENaが改善され(0.01mg/kg;1.8±0.8%、0.1mg/kg;2.3±1.0%、1mg/kg;1.0±0.2%、10mg/kg;0.7±0.1%)、全ての用量においてSMTP−7投与群ではcontrol群に比べ有意なFENaの改善が認められた。SMTP−27(30mg/kg)投与群におけるFENaは0.8±0.1%、SMTP−44D(30mg/kg)投与群におけるFENaは1.2±0.1%で、有意な改善が認められた。また、edaravone(3mg/kg)投与群においても、FENaの有意な改善が認められた(1.0±0.1%)。
<病理組織標本の作製>
虚血再灌流処置24時間後より、代謝ケージを用いて24時間尿を採取し、体重測定および採血を行った後に腎臓摘出を行い、自動包埋装置を用いて、ホルマリン固定した腎臓をパラフィン浸透し、パラフィンブロックを作製した。パラフィンブロックをミクロトームで3μmの切片に薄切してスライドガラスに載せ、52°Cのパラフィン伸展器で切片を伸ばし、37℃のパラフィン熔融器で一晩十分に乾燥させた。脱パラフィンおよび水洗後、マイヤーのhematoxylin染色液で1分間染色して、15分間流水水洗した。その後、eosin染色液で45秒間染色し、80%〜100%エタノールで脱水した後、キシレンで透徹およびマリノールで封入した。光学顕微鏡を用いて、各標本を50倍で鏡検した。皮質、髄質外層外帯および髄質外層内帯における、尿細管拡張、尿細管壊死および尿細管円柱について、下記基準に従って、各部位全体のうちの病巣の割合を評価した。評価結果は表12に記載した。
0点:病変無し
1点:20%未満の最小限の病巣の変化
2点:25%程度の軽度な病巣の変化
3点:25%〜50%の中程度の病巣の変化
4点:50%以上の重度な病巣の変化

表12中、実験結果は各群8頭における平均値±標準誤差で表示した。多群間比較として、初めに一元分散分析(ANOVA)を行い、有意差が認められたものについてBonferroniの検定を行った。危険率5%未満(P<0.05)を有意差ありと判定した。
〔SMTP−7およびedaravoneを投与した際の病理組織学的変化〕
control群の腎臓の皮質、髄質外層外帯および髄質外層内帯における尿細管拡張、尿細管壊死および尿細管円柱の病巣変化は、sham群に比べていずれも有意に高いスコアを示した。SMTP−7(10mg/kg)投与群では、腎臓の皮質の尿細管円柱以外の病巣変化が有意に改善されていた。一方、edaravone(3mg/kg)投与群では、腎臓の髄質外層外帯の尿細管壊死および尿細管円柱、髄質外層内帯の尿細管円柱においてのみ、病巣変化が有意に改善されていた。
(実施例3:急性腎臓病(シスプラチン腎症)モデル動物を用いた試験)
<急性腎臓病(シスプラチン腎症)モデル動物の作製>
実験動物として、雄性ddY系マウス(30〜40g)を用いた。イソフルラン麻酔下、大腿静脈よりシスプラチン(20mg/kg)を15分かけて定速静注し、腎症を発症させた。その3日後、下行大静脈より採血を行い、血清分離後、血中尿素窒素(BUN)および血清クレアチニン(sCr)を測定し、腎機能を評価した。また、腎臓を灌流後摘出し、RNAの抽出、逆転写を行い、作製したcDNAをテンプレートとしてreal time RT−PCRを行ない、腎組織中のTNF−α mRNA発現におよぼす影響についても検討を行った。シスプラチンに代わり生理食塩液を投与した群をsham群とした
<薬剤の投与>
投与タイミングの検討においては、シスプラチンと同時、あるいは1日後又は2日後に大腿静脈より10mg/kgを、用量相関性の検討においては、0.1mg/kg、1mg/kg又は10mg/kgを大腿静脈より定速静注した。
また、TNF−α mRNA発現におよぼす影響および病理組織学的検討では、10mg/kgをシスプラチン投与1日後に同様に投与した。
<BUNおよびsCrの測定>
採取した血液を3000rpmで15分遠心し、血清を分離、BUNおよびsCrを測定した。BUNは、尿素B−テストワコー(和光純薬工業(株)製)、QuantiChrom Urea Assay Kit(フナコシ(株)製)を、sCrはラボアッセイクレアチニン(和光純薬工業(株)製)を用いて測定した。測定結果は表13に記載した
<RNAの抽出および逆転写>
TNF−α m−RNA発現量およびBUN、sCrの経時推移の関連性の検討では、前述した採血の後、生理食塩水を心臓より灌流し血液を除いた後に右腎を摘出した。摘出した腎臓をTRIzol(登録商標)Reagent(Ambion)を用いてホモジネートし、クロロホルムを加えてボルテックスにより混和した。4℃、12,000×gで15分間遠心後、水層を分取し、イソプロパノールを加え10分間室温でインキュベートした。4℃、12,000×gで10分間遠心した後、上清を捨て、ペレットを75%エタノールで洗浄、4℃、7,500×gで5分間遠心し、上清を捨てペレットを自然乾燥させた。
ペレットはRNase−free waterに溶解させSuperScript(登録商標)VIRO cDNA Synthesis Kit (Invitrogen)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを作製した。
<Real time RT−PCR>
Real time RT−PCRは、前述のように作製したcDNAをテンプレートとしてSYBR GreenER(登録商標) qPCR Super Mix for ABI PRISM(Invitrogen)を使用して行った。SYBR GreenERのプロトコールに従い、primerごとに12.5μLSYBR GreenER、2.5μL primer(β−Actinの場合は0.5μL forward primer、0.5μL reverse primer)、2.5μL テンプレートを混和後、滅菌精製水を使用して合計25μLとした。Real time PCR検出システム(ABI PRISM 7900)を使用して、50℃:2min、95℃:10min、95℃:15sec、60℃:1minの一連の反応を40回繰り返し反応させた。定量は、検量線法を用いて行った。
用いたprimerはTNF−α(QT00104006)、β−Actin forwardおよびβ−Actin reverseである。TNF−αのprimerは株式会社QIAGENより購入したものを使用した。以下は、いずれもInvitrogenに依頼し、作製した。
β-Actin forward: 5’-CCTTCCTTCTTGGGTATGGAATC-3’
β-Actin reverse: 5’-TGCTAGGAGCCAGAGCAGTAATC-3’



表13〜表15中、実験結果は平均値±標準誤差で表示した。また、RT−PCRの結果は内在性コントロール遺伝子であるβ−Actin量で補正を行った。統計学的有意差は、二群間の比較の場合は、対応のない2群間の検定(Student’s t−test)を、多群間の比較の場合は、一元配置の分散分析の後、Dunnett検定を行った。また、病理組織学的検討おいては、Mann−Whitney U検定を行い、いずれも、危険率5%以下(P<0.05)を有意差ありとした。
〔投与タイミングの検討結果(表13)〕
Sham群のBUNは27.5〜29,9mg/dL、sCrは0.41〜0.58mg/dLであった。シスプラチン投与によりBUNおよびsCrはsham群に比し有意な上昇が認められ(BUN:65.5〜86.2mg/dL、sCr:0.82〜1.11mg/dL)腎症の発症が確認された。
この上昇に対し、10mg/kgのSMTP−7をシスプラチンと同時に投与した場合(Coadministration)は、BUN(Cont:65.5±3.83mg/dL、SMTP−7:66.3±9.23mg/dL)、sCr(Control:0.82±0.04mg/dL、SMTP−7:0.81±0.09mg/dL)いずれの上昇に対しても抑制効果は認められなかったが、1日後に投与した場合(1day)は、その上昇を有意に抑制した(BUN:Control:86.2±18.5mg/dL、SMTP−7:44.5±2.19mg/dL。sCr:Control:1.11±0.05mg/dL、SMTP−7:0.80±0.07mg/dL)。
一方、2日後に投与した場合(2day)にも抑制傾向は認められたが、Control投与群との間に有意差は認められなかった(BUN:Control:78.8±9.31mg/dL、SMTP−7:74.2±17.8mg/dL。sCr:Control:0.96±0.13mg/dL、SMTP−7:0.78±0.18mg/dL)。本結果より、以降の検討ではシスプラチン投与1日後にSMTP−7を投与することとした。
〔用量相関性の検討結果(表14)〕
sham群のBUNは26.6±1.90mg/dL、sCrは0.51±0.04mg/dLであった。シスプラチン投与により、BUNは82.6±9.67mg/dL、sCrは0.97±0.13mg/dLとsham群に比し、有意に上昇した。
SMTP−7は、いずれの上昇に対しても用量依存的な抑制効果を示し、BUNはいずれの用量においても(0.1mg/kg:57.0±5.47mg/dL、1mg/kg:45.0±6.28mg/dL、10mg/kg:32.1±4.63mg/dL)、sCrは1および10mg/kg投与群において(0.1mg/kg:0.78±0.08mg/dL、1mg/kg:0.65±0.09mg/dL、10mg/kg:0.53±0.03mg/dL)、それぞれControl群との間に有意差が認められた。
〔TNF−α mRNA発現におよぼす影響の検討結果(表15)〕
腎組織中のTNF−α mRNA発現に及ぼす影響について検討した。シスプラチン投与によりBUN(Sham:25.3±0.85mg/dL、Control:89.3±12.5mg/dL)、sCr(Sham:0.34±0.04mg/dL、Control:1.08±0.36mg/dL)ともに有意な上昇が認められ、この上昇はSMTP−7により有意に抑制された。
この条件下、real time RT−PCRにてTNF−α mRNA発現を測定したところ、シスプラチン投与により、0.39±0.08から0.64±0.09へ上昇し、両群間に有意差が認められた。この増加に対しSMTP−7は抑制効果を示し(0.43±0.07)、control群との間に有意差が認められた。
<病理組織学的検討>
SMTP−7の10mg/kgをシスプラチン投与1日後に投与し、その3日後、real time RT−PCRの評価と同様の方法により腎臓を摘出し、病理組織学的検討を行った。
自動包埋装置を用いて、ホルマリン固定した腎臓をパラフィン浸透し、パラフィンブロックを作製した。パラフィンブロックをミクロトームで3μmの切片に薄切してスライドガラスに載せ、52℃のパラフィン伸展器で切片を伸ばし、37℃のパラフィン熔融器で一晩十分に乾燥させた。脱パラフィンおよび水洗後、マイヤーのhematoxylin染色液で1分間染色して、15分間流水水洗した。その後、eosin染色液で45秒間染色し、80%〜100%エタノールで脱水した後、キシレンで透徹およびマリノールで封入した。光学顕微鏡を用いて、各標本を50倍で鏡検した。障害の程度は100倍で5視野顕鏡し(1視野=2mm、5視野=10mm)、以下の基準でスコアー化した。
評点0:著変なし
評点1:障害範囲 1mm以下
評点2:障害範囲 1−2mm
評点3:障害範囲 2−5mm
評点4:障害範囲 5mm以上

<病理組織学的検討の結果(表16)>
シスプラチンの投与により、著明な近位尿細管の変性(degeneration)、壊死(Necrosis)、尿細管拡張(tublar diratation、硝子円柱(Hyaline casts))が認められた。一方、糸球体には明らかな組織学的変化は認められなかった。一方、SMTP−7投与群でも近位尿細管の病理組織学的変化は認められるものの、その程度はControl群に比し、軽度であり、有意な差は認められなかった。
病理組織学的検討により得られた顕微鏡画像の一例を図1〜図3に記載した。
図1はSham群、図2はControl群、図3はシスプラチン投与1日後にSMTP−7を10mg/kgで投与した群における、HE染色の結果をそれぞれ示している。
以上の結果から、本開示に係る薬剤は、慢性腎臓病及び急性腎臓病に対する治療効果及び予防効果を有していることがわかる。
2018年3月23日に出願された日本国特許出願2018−057055号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 下記式(I)で表される化合物を有効成分として含む、腎臓病に用いられる薬剤。

    式(I)中、Lは、炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基を表し、Xは、ヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、nは、0〜2の整数を表し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
  2. 前記式(I)で表される化合物が、下記式(IA)で表される化合物である、請求項1に記載の薬剤。


    式(IA)中、Xは−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
  3. 前記式(I)で表される化合物が、下記式(II)又は式(III)で表される化合物である請求項1又は請求項2に記載の薬剤。


    式(II)又は式(III)中、X、X及びXはそれぞれ独立に、−CHY−C(CHZであり、Y及びZはそれぞれ独立に、−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成し、Rは、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
    (A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
    (B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
    (C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中、Rはそれぞれ独立に、あってもなくてもよい置換基であって、存在する場合は、水酸基、カルボキシ基又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表し、mは0〜5の整数を表し、*は結合部位を表す。)、


    (D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基(式(II−2)中、*は結合部位を表す。)を表す。)。


    は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体において少なくとも1つのカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。
  4. 前記式(I)で表される化合物が、下記SMTP−0、下記SMTP−1、下記SMTP−4、下記SMTP−5D、下記SMTP−6、下記SMTP−7、下記SMTP−8、下記SMTP−11〜14、下記SMTP−18〜29、下記SMTP−36、下記SMTP−37、下記SMTP−42、下記SMTP−43、下記SMTP−43D、下記SMTP−44、下記SMTP−44D、下記SMTP−46及び下記SMTP−47よりなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の薬剤。



    式中、*は結合部位を表す。
  5. 前記式(I)で表される化合物が、前記SMTP−7を含む、請求項4に記載の薬剤。
  6. 前記腎臓病が慢性腎臓病である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の薬剤。
  7. 前記腎臓病が急性腎臓病である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の薬剤。
  8. 前記急性腎臓病がシスプラチン腎症である請求項7に記載の薬剤。
  9. 腎臓病の治療又は予防に有効な量の請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の薬剤を、腎臓病を有する又は腎臓病を発症するリスクを有する対象に投与することを含む、前記対象における腎臓病を治療又は予防する方法。
  10. 腎臓病を治療又は予防するための、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の薬剤。
  11. 腎臓病を治療又は予防するための、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の薬剤を製造するための、前記式(I)で表される化合物の使用。
  12. 腎臓病の治療又は予防における、下記式(I)で表される化合物の使用。

    式(I)中、Lは炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基を表し、Xはヒドロキシ基又はカルボキシ基を表し、nは0〜2の整数を表し、Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
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