以下、添付図面に従って本開示の技術に係る観察装置の実施形態の一例について説明する。
なお、以下の説明において、「一致」とは、許容される範囲内の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。また、以下の説明において、「特定の交差面」は光軸に交差する交差面を意味し、培養容器の傾き、及び/又は、光軸の傾きに合わせて交差面と光軸とのなす角度が変更される。また、以下の説明において、「像面」とは、観察対象に照射された照明光が観察対象を通過して観察光となり、観察光が撮像光学系により集光されて観察対象を示す光学像が結ばれる面を意味する。また、以下の説明において、「撮像面」とは、観察対象を示す光学像を受光する撮像素子の受光面、フィルム面及び/又はセンサ面等を意味する。
また、以下の説明において、「CPU」とは、“Central Processing Unit”の略称を指す。また、以下の説明において、「I/F」とは、“Interface”(インタフェース)の略称を指す。また、以下の説明において、「ASIC」とは、“Application Specific Integrated Circuit”(特定用途向け集積回路)の略称を指す。また、以下の説明において、「FPGA」とは、“Field−Programmable Gate Array”の略称を指す。
また、以下の説明において、「RAM」とは、“Random Access Memory”の略称を指す。また、以下の説明において、「EEPROM」とは、“Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory”の略称を指す。また、以下の説明において、「SSD」とは、“Solid State Drive”の略称を指す。また、以下の説明において、「PLD」とは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。
また、以下の説明において、「CD−ROM」とは、“Compact Disc Read Only Memory”の略称を指す。また、以下の説明において、「USB」とは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。また、以下の説明において、「DVD−ROM」とは、“Digital Versatile Disc−Read Only Memory”の略称を指す。
また、以下の説明において、「CCD」とは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。また、以下の説明において、「CMOS」とは、“Complementary Metal−Oxide−Semiconductor”の略称を指す。また、以下の説明において、「RGB」とは“Red Green Blue”の略称を指す。
[第1実施形態]
本開示の技術に係る観察装置及び方法並びに観察制御プログラムの一例として、第1の実施形態に係る顕微鏡装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
一例として図1に示すように、顕微鏡装置1は、顕微鏡装置本体10と顕微鏡制御装置20とを含む。なお、顕微鏡装置1は本開示の技術に係る観察装置の一例である。
顕微鏡装置本体10は、観察対象である培養された細胞を撮像して位相差画像を取得する。具体的には、顕微鏡装置本体10は、一例として図2に示すように、白色光を出射する白色光源11、コンデンサレンズ12、スリット板13、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、及び検出部18を備える。
動作部15は、第1の動作部15A、第2の動作部15B、第3の動作部15C、第4の動作部15D、第5の動作部15E、第6の動作部15F、第7の動作部15G及び第8の動作部15Jを含む。第1〜第8の動作部15A〜15Jの動作は後述する。
スリット板13は、白色光源11から出射された白色光を遮光する遮光板に対して白色光を透過するリング形状のスリットが設けられたものであり、白色光がスリットを通過することによってリング状の照明光Lが形成される。
撮像光学系14は、培養容器50内の観察対象を示す光学像を像面上に形成する。撮像光学系14は、一例として図3に示すように、位相差レンズ14a、結像レンズ14d及び光線偏向光学系70を含む。なお光線偏向光学系70については後で詳述する。
位相差レンズ14aは、対物レンズ14b及び位相板14cを含む。位相板14cは、照明光Lの波長に対して透明な透明板に対して位相リングを形成したものである。なお、上述したスリット板13のスリットの大きさは、位相板14cの位相リングと共役な関係にある。
位相リングは、入射された光の位相を1/4波長ずらす位相膜と、入射された光を減光する減光フィルタとがリング状に形成されたものである。位相リングに入射された直接光は、位相リングを通過することによって位相が1/4波長ずれ、かつその明るさが弱められる。一方、観察対象によって回折された回折光は大部分が位相板14cの透明板を通過し、その位相及び明るさは変化しない。
対物レンズ14bを含む位相差レンズ14aは、図2に示す動作部15に含まれる第5の動作部15Eによって、対物レンズ14bの光軸方向に移動される。なお、本実施形態においては、対物レンズ14bの光軸方向とZ方向(鉛直方向)とは同じ方向である。対物レンズ14bのZ方向への移動によってオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
また、第5の動作部15は、位相差レンズ14aをZ方向に移動させるものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、対物レンズ14bのみをZ方向に移動させる構成としてもよい。
また、位相差レンズ14aの倍率を変更可能な構成としてもよい。具体的には、異なる倍率を有する位相差レンズ14a又は撮像光学系14を交換可能に構成するようにしてもよい。位相差レンズ14a又は撮像光学系14の交換は、自動的に行うようにしてもよいし、ユーザが手動で行うようにしてもよい。
また、本実施形態の対物レンズ14bは、一例として焦点距離を変更可能な液体レンズからなる。なお、焦点距離を変更可能であれば、液体レンズに限定されるものではなく、液晶レンズ及び形状変形レンズ等、任意のレンズを用いることができる。対物レンズ14bは、図2に示す動作部15に含まれる第6の動作部15Fによって、印加される電圧が変更されて、焦点距離が変更される。これにより、撮像光学系14の焦点距離が変更される。対物レンズ14bの焦点距離の変更によってもオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
結像レンズ14dは、位相差レンズ14aを通過した位相差画像を示す光が入射され、この光が撮像部16の撮像面16Aに結像する。本実施形態において、結像レンズ14dは、焦点距離を変更可能な液体レンズからなる。なお、焦点距離を変更可能であれば、液体レンズに限定されるものではなく、液晶レンズ及び形状変形レンズ等、任意のレンズを用いることができる。結像レンズ14dは、図2に示す動作部15に含まれる第1の動作部15Aによって、印加する電圧が変更されて、焦点距離が変更される。これにより、撮像光学系14の焦点距離が変更される。結像レンズ14dの焦点距離の変更によってオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
また、結像レンズ14dは、図2に示す動作部15に含まれる第2の動作部15Bによって結像レンズ14dの光軸方向に移動される。なお、本実施形態においては、結像レンズ14dの光軸方向とZ方向(鉛直方向)とは同じ方向である。結像レンズ14dのZ方向への移動によってオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
撮像部16は、結像レンズ14dによって結像された観察対象の像を受光し、観察対象を撮像して位相差画像を観察画像として出力する撮像素子を備える。撮像素子としては、CCDイメージセンサ、及びCMOSイメージセンサ等を用いることができる。撮像素子としては、RGBのカラーフィルタが設けられた撮像素子を用いてもよいし、モノクロの撮像素子を用いてもよい。なお撮像素子の撮像光学系14側に位置する面が撮像面16Aとなる。
また、撮像部16は、図2に示す動作部15に含まれる第3の動作部15CによってZ方向に移動される。なお、本実施形態においては、撮像部16の撮像面に垂直な方向とZ方向とは同じ方向である。撮像部16のZ方向への移動によってオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって撮像される位相差画像のコントラストが調整される。
また、撮像部16は、図2に示す動作部に含まれる第8の動作部15Jによって、互いに直交するX方向及びY方向に移動する。X方向及びY方向は、Z方向に直交する方向であり、水平面内において互いに直交する方向である。なお一例として図4に示すように、第8の動作部15Jは、水平方向に移動させるための公知の移動機構80aと、例えばモータ等の駆動源80bとを含む。第8の動作部15Jは後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動され、第8の動作部15Jと制御部22とによって後述する抑制部80が構成される。
抑制部80は、撮像部16の撮像面で結像された観察対象光に基づく画像に対して、撮像光学系14を通過する光の光軸と撮像面の中心との位置ずれが与える影響を抑制する。本実施形態においては、制御部22が第8の動作部15Jを駆動させることにより、撮像部16を上記位置ずれを解消する方向に移動させる。なお移動機構80a及び駆動源80bは撮像部16をX方向及びY方向に移動させることができれば特にその構成は限定されず、公知の構成を使用することができる。
検出部18は、ステージ51に設置された培養容器50の底面のZ方向(鉛直方向)の位置を検出する。検出部18は、具体的には、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを含む。第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bは、位相差レンズ14aを挟んで、図2に示すX方向に並べて設けられている。本実施形態における第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bはレーザ変位計であり、培養容器50にレーザ光を照射し、その反射光を検出することによって、培養容器50の底面のZ方向の位置を検出する。なお、培養容器50の底面とは、培養容器50の底部と観察対象である細胞との境界面、すなわち観察対象の設置面を意味する。つまり培養容器50内の底面である。ここで、培養容器50の底部とは、培養容器50の底を形成する底壁を意味する。
本実施形態において培養容器50の底面のZ方向の位置は、一例として、検出部18を基準面とし、検出部18が検出した反射光の信号の値を培養容器50の底面のZ方向の位置を表す値とする。
なお、本実施形態において培養容器50の底面のZ方向の位置の値は、検出部18が検出した反射光の信号の値としたが、これに限定されるものではなく、上記反射光の信号の値を距離に換算した値すなわち検出部18から培養容器50の底面までの距離を培養容器50の底面のZ方向の位置としてもよい。また検出部18が培養容器50の底部の下面で反射した反射光をさらに検出することによって、培養容器50の底面で反射した反射光の信号の値から培養容器50の底部の下面で反射した反射光の値を減算して培養容器50の底部の厚さを表す値を算出し、この値を培養容器50の底面のZ方向の位置を表す値としてもよい。またこのZ方向の位置を表す値を実際の距離の値に換算して使用してもよい。
なお、レーザ変位センサは、正反射光学系計測器を使用することができる。また検出部18は、レーザ変位センサに限られず、例えば共焦点式センサを使用することもできる。
検出部18によって検出された培養容器50の底面のZ方向の位置情報は、後述する取得部23Aに出力される。取得部23Aは、入力された位置情報を後述する焦点調節部24に出力する。焦点調節部24は、入力された位置情報に基づいて撮像光学系14の焦点位置を調節してフォーカス制御量を取得し、後述する制御部22が、焦点調節部24によって取得されたフォーカス制御量に基づいて動作部15を制御し、オートフォーカス制御を行う。なお、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bによる培養容器50のZ方向の位置の検出及び焦点調節部24による焦点位置の調節については、後で詳述する。
スリット板13と位相差レンズ14a及び検出部18との間には、ステージ51が設けられている。ステージ51上には、観察対象である細胞が収容された培養容器50が設置される。なお本実施形態の培養容器50は本開示の技術に係る観察装置において使用される支持体の一例である。支持体としては、培養容器50に限られず、観察対象を支持可能な形状であればよく、例えばスライドグラス等のガラス板であってもよい。また観察対象は、培養されたものに限られるものではなく、例えば、血液、各種の粒子、又は繊維等のいずれであってもよい。
培養容器50としては、シャーレ、ディッシュ、フラスコ、マイクロ流路チップ、又は複数のウェルが配列されたウェルプレート等を用いることができる。なお、本実施形態においては、一例として6つのウェルが配列されたウェルプレートを用いる。ただし、以下の説明においては、ウェルプレートを培養容器50と総称して説明する場合もある。また、培養容器50に収容される細胞としては、iPS細胞及びES細胞といった多能性幹細胞、幹細胞から分化誘導された神経、皮膚、心筋及び肝臓の細胞、並びに人体から取り出された皮膚、網膜、心筋、血球、神経及び臓器の細胞等がある。
ステージ51は、後述する水平方向駆動部17(図1参照)によって互いに直交するX方向及びY方向に移動する。X方向及びY方向は、撮像光学系14の光軸に交差する特定の交差面内における方向であり、特定の交差面内において互いに直交する方向である。なお、本実施形態において、特定の交差面は、一例として水平面とする。よって、X方向及びY方向は、Z方向に直交する方向であり、水平面内において互いに直交する方向である。本実施形態においては、X方向を主走査方向とし、Y方向を副走査方向とする。
一例として図5に示すように、ステージ51は、中央に矩形の開口51aが形成されている。この開口51aを形成する部材の上に培養容器50が設置され、培養容器50内の細胞の位相差画像が開口51aを通過するように構成されている。
また、ステージ51は、第4の動作部15DによってZ方向に移動され、これにより、培養容器50がZ方向に移動される。本実施形態においては、ステージ51における培養容器50が設置される面に垂直な方向とZ方向とは同じ方向である。ステージ51のZ方向への移動によってもオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
第1の動作部15A及び第6の動作部15Fは、例えば電圧可変回路を含む。第1の動作部15Aは、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて、結像レンズ14dに印加する電圧を変更する。第6の動作部15Fは、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて、対物レンズ14bに印加する電圧を変更する。
第2の動作部15B、第3の動作部15C、第4の動作部15D及び第5の動作部15Eは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動する。なお、動作部15は、位相差レンズ14a及び結像レンズ14dを通過した位相差画像をそのまま通過させる構成となっている。また、第2の動作部15B、第3の動作部15C、第4の動作部15D及び第5の動作部15Eの構成は圧電素子に限定されず、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51及び対物レンズ14b(位相差レンズ14a)をZ方向に移動可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。
一例として、図6に示すように、光線偏向光学系70は、円形の第1のウェッジプリズム70A及び円形の第2のウェッジプリズム70Bを含む。第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bは、光の入射面及び出射面となり得る2つの面が平行でない、すなわち一方の面に対して他方の面が傾斜しているプリズムである。なお、以降の説明においては、光軸に対して垂直に配置される面を直角面、光軸に対して傾斜して配置される面をウェッジ面と称する。ウェッジプリズム70A,70Bは、直角面に垂直に入射した光線を偏向させるプリズムであり、本実施形態においては、結像レンズ14dから出射された光線を偏向させる。
第7の動作部15Gは、一例として、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを、直角面を平行に維持し、かつ互いに反対方向に移動させるための公知の移動機構70aと、例えばモータ等の駆動源70c−1とを含む。第7の動作部15Gは、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを、直角面を平行に維持し、かつ互いに反対方向に同期させて移動させる。第7の動作部15Gは、第1のウェッジプリズム70Aを図6における右方向に移動させる場合には、第2のウェッジプリズム70Bを左方向に移動させる。逆に、第1のウェッジプリズム70Aを図6における左方向に移動させる場合には、第2のウェッジプリズム70Bを右方向に移動させる。このように、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを移動させることにより、結像レンズ14dから出射された光の光路長が変更され、これにより、撮像光学系14の焦点距離を変更することができる。これにより、オートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって撮像される位相差画像のコントラストが調整される。
また、第7の動作部15Gはさらに、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを、撮像光学系14の光軸を中心にして各々回転させる回転機構70bと、回転機構を回転させための例えばモータ等の駆動源70c−2とを含む。駆動源70c−1,70c−2は、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動される。制御部22が、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bの少なくとも一方を回転させることにより、結像レンズ14dから出射された光線を偏向させる。第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bの回転方法については後で詳述する。
なお移動機構70a及び駆動源70c−1は、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを、直角面を平行に維持し、かつ互いに反対方向に移動させることができれば特にその構成は限定されず、公知の構成を使用することができる。また回転機構70b及び駆動源70c−2は、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを光軸を中心にして独立して回転させることができれば特にその構成は限定されず、公知の構成を使用することができる。
次に、顕微鏡装置本体10を制御する顕微鏡制御装置20の構成について説明する。一例として図1は、本実施形態の顕微鏡装置1の構成を示すブロック図である。なお、顕微鏡装置本体10については、顕微鏡制御装置20の各部により制御される一部の構成のブロック図を示している。
顕微鏡制御装置20は、CPU21、一次記憶部25A、二次記憶部25B及び外部I/F28A等を備えている。CPU21は、制御部22、取得部23A、処理部23B及び焦点調節部24を備え、顕微鏡装置1の全体を制御する。一次記憶部25Aは、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。一次記憶部25Aの一例としては、RAMが挙げられる。二次記憶部25Bは、各種プログラム及び各種パラメータ等を予め記憶した不揮発性のメモリであり、本開示の技術に係る観察制御プログラム26の一例がインストールされている。CPU21は、二次記憶部25Bから観察制御プログラム26を読み出し、読み出した観察制御プログラム26を一次記憶部25Aに展開する。CPU21は、一次記憶部25Aに展開した観察制御プログラム26を実行することで制御部22、取得部23A、処理部23B、及び焦点調節部24として動作する。
また、二次記憶部25Bは、後述する位置情報27を記憶している。二次記憶部25Bの一例としては、EEPROM又はフラッシュメモリ等が挙げられる。外部I/F28Aは顕微鏡装置本体10と顕微鏡制御装置20との間の各種情報の送受信を司る。CPU21、一次記憶部25A、及び二次記憶部25Bは、バスライン28に接続されている。また、外部I/F28Aも、バスライン28に接続されている。
観察制御プログラム26は、DVD及びCD−ROMなどの記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。又は、観察制御プログラム26は、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置もしくはネットワークストレージに対して、外部からアクセス可能な状態で記憶され、外部からの要求に応じてコンピュータにダウンロードされた後に、インストールされるようにしてもよい。
位置情報27は、取得部23Aによって取得された培養容器50の底面のZ方向の位置情報である。
また、上記では、汎用コンピュータが顕微鏡制御装置20として機能する場合について説明したが、専用コンピュータによって実施されてもよい。専用コンピュータは、内蔵されたROM及び/又はフラッシュメモリなど、不揮発メモリに記録されたプログラムを実行するファームウェアであってもよい。さらに、この顕微鏡制御装置20の少なくとも一部の機能を実行するためのプログラムを永久的に記憶するASIC及び/又はFPGAなどの専用回路を設けるようにしてもよい。あるいは、専用回路に記憶されたプログラム命令と、専用回路のプログラムを利用するようにプログラムされた汎用のCPUによって実行されるプログラム命令と組み合わせるようにしてもよい。以上のように、コンピュータのハードウェア構成をどのように組み合わせてプログラム命令を実行してもよい。
取得部23Aは、培養容器50の底面の位置を示す位置情報を取得する。具体的には、検出部18によって検出された培養容器50の底面のZ方向の位置情報を取得する。なお本実施形態においては、取得部23Aは検出部18を含む。
処理部23Bは、撮像部16によって取得された画像信号に対して、ガンマ補正、輝度・色差変換、及び圧縮処理等の各種処理を行う。また、処理部23Bは、各種処理を行って得た画像信号を特定のフレームレートで1フレーム毎に後述する制御部22に出力する。また、処理部23Bは、顕微鏡装置本体10によって撮影された各観察領域の位相差画像を結合することによって、1枚の合成位相差画像を生成する。
焦点調節部24は、取得部23Aによって取得された培養容器50の底面のZ方向の位置情報に基づいて、撮像光学系14の焦点位置を調節する。焦点調節部24は、底面の位置情報に基づいて、第1の動作部15A〜第7の動作部15Gのそれぞれに対して移動量すなわちフォーカス制御量を取得し、制御部22に各々のフォーカス制御量を出力する。具体的には、培養容器50の底面のZ方向の位置情報と、結像レンズ14dの焦点距離を変更するための結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bの焦点距離を変更するための対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量との関係を示す一例であるテーブルを、予め二次記憶部25Bに記憶しておく。
焦点調節部24は、取得部23Aによって取得された培養容器50のZ方向の位置情報に基づいて、上記テーブルを参照して、結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量をそれぞれ取得する。なお、以降の説明においては、結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量をフォーカス制御量と称する。
なお培養容器50の底面のZ方向の位置情報と、結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量との関係を示すものは、テーブルに限定されるものではなく、例えば式であってもよい。上記関係を示すものは、位置情報から結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量を導出できれば何れの方法を使用してもよい。
制御部22は、焦点調節部24が取得した第1の動作部15A〜第7の動作部15Gのそれぞれフォーカス制御量に基づく制御信号を、第1の動作部15A〜第7の動作部15Gのそれぞれに対して出力する。これにより、第1の動作部15Aにより結像レンズ14dの焦点距離が変更されて撮像光学系14の焦点距離が変更される。また、第2の動作部15Bにより結像レンズ14dが光軸方向に移動する。また、第3の動作部15Cにより撮像部16が光軸方向に移動する。また、第4の動作部15Dによりステージ51が光軸方向に移動する。また、第5の動作部15Eにより対物レンズ14bが光軸方向に移動する。第6の動作部15Fにより対物レンズ14bの焦点距離が変更されて撮像光学系14の焦点距離が変更される。さらに、第7の動作部15Gにより撮像光学系14の焦点位置が変更されて、撮像光学系14の焦点距離が変更される。これらの7つの動作により、オートフォーカス制御が行われる。
また、制御部22は、水平方向駆動部17を駆動制御し、これによりステージ51をX方向及びY方向に移動させて、培養容器50をX方向及びY方向に移動させる。なお水平方向駆動部17は、水平方向に移動させるための公知の移動機構と、例えばモータ等の駆動源とを含み、一例として上述した第8の動作部15Jと同様の構成とすることができる。
また、制御部22は、顕微鏡装置本体10によって撮影された各観察領域の位相差画像を結合することによって生成された1枚の合成位相差画像を表示装置30に表示させる表示制御部としても機能する。
一方、一例として図7に示すように、例えばウェルプレートPにおいては、図7の左図に示すように、ウェルプレートPの中央付近の底面S1は一般的に平坦であることが多い。撮像光学系14の観察領域内において底面S1が平坦である場合には、ウェルプレートPに照射された照明光Lが底面S1を通過し、撮像光学系14により集光されて観察対象すなわち底面S1を示す光学像が結ばれる像面S2も平坦となる。
しかしながら、図7の右図に示すように、ウェルプレートPの中心から離れた位置の底面S1は傾いている場合がある。撮像光学系14の観察領域内において底面S1が傾いている場合には、ウェルプレートPに照射された照明光Lが底面S1を通過し、撮像光学系14により集光されて観察対象すなわち底面S1を示す光学像が結ばれる像面S2も傾くことになる。このときシャインプルーフの原理により、ウェルプレートPの底面S1の傾斜量φoと像面S2の傾斜量φiは下記式(1)の関係を示す。なお図7の右図に示すように、底面S1と像面S2とは逆方向に傾く。
φi=β×φo…(1)
ただし、βは横倍率とする。なお横倍率βは、底面S1と像面S2との大きさの比であり、光軸に直角な長さに対する倍率である。横倍率βは結像レンズ14dの焦点距離fiを対物レンズ14bの焦点距離foで除算することにより算出することができ、本実施形態においては、横倍率βは制御部22により二次記憶部25Bに記憶される。
像面S2が底面S1の傾きに応じた角度で傾くことにより、像面S2は撮像部16の撮像素子の撮像面16Aに対して像面傾斜量φiの角度で傾くことになる。このように像面S2と撮像面16Aとの傾きが異なる場合には、底面S1の全体において焦点位置を合わせることが困難であり、底面S1すなわち観察対象を撮像部16が撮像して取得した画像において周辺部にボケが生じ、取得した画像において周辺部がボケた画像となってしまう。
そこで本開示の技術の一例として本実施形態においては、制御部22は、取得部23Aにより取得された位置情報に基づいて、観察対象を示す光学像が形成された像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きを一致させる制御を行う。これにより撮像部16が撮像して取得した画像において周辺部にボケが生じるのを抑制することができる。
具体的には、制御部22は、第7の動作部15Gの回転機構70bを駆動源70c−2を介して制御することにより、光線偏向光学系70の第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを各々回転させる。これらの回転によって、制御部22は結像レンズ14dから出射された光線を偏向させて、観察対象を示す光学像が形成された像面の傾きと撮像部16の撮像素子の撮像面16Aの傾きを一致させる。なお、本実施形態における制御部22の光線偏向光学系70によって光線を偏向させる制御は、本開示の技術の観察装置における第4の制御の一例である。なお制御部22による傾き制御の方法については後で詳述する。
また、顕微鏡制御装置20には、入力装置40と表示装置30とがバスライン28によって接続されている。
表示装置30は、上述したように制御部22によって生成された合成位相差画像を表示するものであり、一例として例えば液晶ディスプレイ等を備える。また、表示装置30をタッチパネルによって構成し、入力装置40と兼用してもよい。
入力装置40は、一例としてマウス及びキーボード等を備えたものであり、ユーザによる種々の設定入力を受け付ける。本実施形態の入力装置40は、例えば位相差レンズ14aの倍率の変更指示及びステージの移動速度の変更指示等の設定入力を受け付ける。
次に、顕微鏡装置1の本開示の技術に係る部分の作用について説明する。
一例として図8に示すように、先ず、ステップS1で、制御部22は、水平方向駆動部17を駆動して、観察対象である細胞が収容された培養容器50が載置されたステージ51を移動させることにより、撮像光学系14の観察領域を、一例として図9に示す走査開始点Sに位置させて、観察領域による培養容器50の走査を開始させる。
本実施形態においては、制御部22による制御によってステージ51をX方向及びY方向に移動させ、撮像光学系14の観察領域を培養容器50内において2次元状に移動させて培養容器50を走査し、各観察領域の位相差画像を取得する。なお図9において、実線Mは、培養容器50内における観察領域による走査位置を示している。
図9に示すように、撮像光学系14の観察領域は、ステージ51の上記移動によって走査開始点Sから走査終了点Eまで実線Mに沿って移動する。すなわち、観察領域は、X方向の正方向(図9の右方向)に移動された後、Y方向(図9の下方向)に移動し、逆の負方向(図9の左方向)に移動される。次いで、観察領域は、再びY方向に移動し、再び正方向に移動される。このように、観察領域のX方向についての往復移動とY方向への移動を繰り返し行うことによって、培養容器50は2次元状に走査される。
次のステップS2で、制御部22は、検出部18に培養容器50の底面の位置情報を検出させて、取得部23Aは、検出部18により検出された位置情報を取得する。本実施形態においては、一例として図10及び図11に示すように、第1の変位センサ18aと第2の変位センサ18bとが撮像光学系14を挟んでX方向に並べて設けられている。そして、撮像光学系14の観察領域Rは、上述したように培養容器50内を2次元状に移動されるが、この際、制御部22は、培養容器50と撮像光学系14との相対的移動に応じて観察領域Rが移動する方向に沿って、かつ撮像光学系14よりも先行する位置に対応する培養容器50の底面の位置を示す位置情報を変位センサ18に取得させる制御を行う。
すなわち培養容器50に対する撮像光学系14の観察領域Rの位置よりも観察領域Rの移動方向前側の位置において培養容器50のZ方向の位置が検出される。具体的には、観察領域Rが、図10に示す矢印方向(図10の右方向)に移動している場合には、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bのうち、観察領域Rの移動方向前側の第1の変位センサ18aによって培養容器50のZ方向の位置が検出される。
一方、観察領域Rが、図11の矢印方向(図11の左方向)に移動している場合には、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bのうち、観察領域Rの移動方向前側の第2の変位センサ18bによって培養容器50のZ方向の位置が検出される。
このように、制御部22は、第1の変位センサ18aを用いた検出と第2の変位センサ18bを用いた検出とを観察領域Rの移動方向に応じて切り替える。
次にステップS3で、焦点調節部24は、ステップS2において取得部23Aによって取得された位置情報に基づいてフォーカス制御量を取得する。焦点調節部24は、上述したように、第二記憶部25Bに記憶されたテーブルを参照して、結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量をフォーカス制御量としてそれぞれ取得する。
次にステップS4で、制御部22が、ステップS3において焦点調節部24が取得したフォーカス制御量を培養容器50の底面の位置情報の検出位置のX−Y座標上の位置と対応づけて二次記憶部25Bに記憶させる。
次にステップS5で、制御部22が、取得部23Aによって取得された位置情報に基づいて、観察対象を示す光学像が形成された像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きを一致させる傾き制御を行う。なお、制御部22によるステップS6の傾き制御処理はステップS3,S4のフォーカス制御量の取得及び記憶処理と並行して行われる。
ここで本開示の技術に係る傾き制御処理の一例を説明する。一例として図12に示すように、ステップS21で、制御部22が二次記憶部25Bに記憶された底面の位置情報に基づいて像面S2の傾きを取得する。
具体的には一例として図13に示すように、先ずは、制御部22は、図8のステップS2にて取得部23Aによって取得された位置情報に基づいて、培養容器50の底面のZ方向の位置情報から底面の傾きを取得する。すなわち培養容器50の底面のZ方向の位置は、X方向及びY方向のそれぞれにおいて、検出部18によって時系列に取得されている。
従って、例えば観察領域Rが、一例として図10に示す位置から第1の変位センサ18aによって培養容器50のZ方向の位置が検出された位置まで移動した場合に、図10に示す第1の変位センサ18aの位置において前もって検出された培養容器50のZ方向の位置と、図10に示す観察領域Rの位置において前もって検出された培養容器50のZ方向の位置との高低差から底面の傾きを取得する。なお、高低差と底面の傾きとの関係を示すテーブルを予め二次記憶部25Bに記憶しておき、制御部22は、このテーブルを参照して傾きを取得する。
ここで、高低差と底面の傾きとの関係を示すものは、テーブルに限定されるものではなく、例えば式であってもよい。上記関係を示すものは、高低差から底面の傾きを導出できれば何れの方法を使用してもよい。
なおX方向及びY方向において、最初に傾きを取得する際等、Z方向の位置情報が1つしかない場合には、予め入力装置40によりユーザが初期値を二次記憶部25Bに記憶させておき、記憶された初期値と最初に取得したZ方向の位置とに基づいて底面の傾きを取得する。
そして、図13の上図に示すように、底面S1の傾きは、制御部22により取得されたX方向の底面の傾きとY方向の底面の傾きとを合成した傾きとし、この傾きをプレート面傾斜量φoとする。ここで、プレート面傾斜量φo≧0とする。
また、図13の下図に、斜め下向きの矢印で示すgは、矢印gの長さがプレート面傾斜量φoの大きさを表し、矢印gの方向がプレートPのX−Y平面内における傾斜方向を表す。すなわち、プレート傾斜ベクトルgは、下記式(2)で表せる。
|g|=φo・・・(2)
そして、図12のステップS21にて、制御部22は上記式(1),(2)から、導出される像面傾斜量φiを像面S2の傾きとして取得し、ステップS22にて、制御部22は取得した像面S2の傾きを二次記憶部25Bに記憶させる。
次に、ステップS23にて、制御部22は、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きを一致させる制御を行う。以下に傾き制御処理の一例としての具体例を説明する。
まず、図13の下図に示すように、プレートPの傾斜方向すなわちプレート傾斜ベクトルgが指し示す向きを、プレート面傾斜方位角ζoとする。
また、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの各々については、図14の上図に示すように、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの直角面の傾きをウェッジプリズム方向とし、ウェッジプリズム方向を光線偏向方向とする。
図14の上図の位置から、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを回転させて図14の下図の位置した場合の、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角をそれぞれξ1,ξ2とする。
また、図14の下図に、斜め下向きの矢印で示すベクトルd1,d2は、ベクトルd1,d2の長さがそれぞれ第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向量θ1,θ2の大きさを表し、矢印で示すベクトルd1,d2の方向がそれぞれ第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向方向に対応するX−Y平面内における方向を表す。すなわち、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向ベクトルd1,d2は、それぞれ下記式(3)で表せる。
|d1|=|d2|=θ1=θ2=θwp・・・(3)
ここで、θwpはウェッジプリズムの偏向量である。
なお、本実施形態では、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向量θ1,θ2を同じ値にすることにより、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを同じ仕様のプリズムとしてコストを低減させている。しかしながら本開示の技術はこれに限られず、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向量θ1,θ2を異なる値としてもよい。
一例として図15に示すように、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向ベクトルd1,d2がそれぞれ図15に示す方向及び大きさを示している場合に、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向ベクトルd1,d2を合成したウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12は下記式(4)で表せる。なおウェッジプリズムペアは、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを含む。
d12=d1+d2・・・(4)
また図7の右図で示したように、底面S1と像面S2とは逆方向に傾くことから、ウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12は下記式(5)で表せる。
d12=−β×g・・・(5)
また、ウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12の長さは、ウェッジプリズムペア偏向量θ12を示すので、下記式(6)で表せる。
|d12|=θ12・・・(6)
そして、上記式(2),(5),(6)から、ウェッジプリズムペアの偏向量θ12は下記式(7)で表せる。
θ12=β×φo・・・(7)
ただし、θ12≧0とする。
ここで、上記式(7)を使用して取得したウェッジプリズムペアの偏向量θ12は、上記式(1)で示す像面S2の傾斜量φiと同じ値であるから、制御部22が、二次記憶部25Bに記憶された像面S2の像面傾斜量φiの値と横倍率βの値を取得することにより、ウェッジプリズムペアの偏向量θ12の値を取得する。
また、ウェッジプリズムペアの傾斜方向すなわちウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12が指し示す向きを、ウェッジプリズムペア偏向方位角ξ12とすると、ウェッジプリズムペア偏向方位角ξ12は下記式(8)で表せる。
ξ12=ζo+π・・・(8)
ここで、πは円の周長の直径に対する比率として定義される円周率である。
すなわち図7に示すように、シャインプルーフの原理により、ウェッジプリズムペア偏向方位角ξ12はプレート面傾斜方位角ζoとは光軸に対して反対方向に位置することを示している。
また、上記式(3),(4),(6)から、ウェッジプリズムペアの偏向量θ12は、下記式(9)で表せる。
θ12=2×θwp×cos(γ/2)・・・(9)
ここでγは第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向ベクトルd1,d2のなす角とする。
そして、上記式(9)から、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの偏向ベクトルd1,d2のなす角γは下記式(10)で表せる。
γ=2×acos(θ12/(2/θwp))・・・(10)
ただし、γ≧0とする。
第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2はそれぞれ下記式(11),(12)で表せる。
ξ1=ξ12−γ/2・・・(11)
ξ2=ξ12+γ/2・・・(12)
上記式(1)〜(12)は、予め二次記憶部25Bに記憶されており、制御部22は、上記式(1)〜(12)を用いて、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2を取得し、制御部22は第7の動作部15Gの駆動源70c−2を駆動させることにより回転機構70bを動作させて、上記取得した第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2に基づいて第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを回転させる。
なお本実施形態においては上記式(1)〜(12)を二次記憶部25Bに記憶させたが、本開示の技術はこれに限られず、培養容器50の底面の位置情報から第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2の値を導出できれば、例えば培養容器50の底面の位置情報と第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2との対応テーブルを記憶させておいてもよいし、何れの方法を用いても良い。
一例として図16に示すように、6つのウェルWを有するウェルプレートPにおいて、あるY方向の位置におけるプレート傾斜ベクトルgが、X方向の中心付近が大きく、外側に向かうほど小さい場合には、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きを一致させるために必要なウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12もX方向の中心付近が大きく、外側に向かうほど小さくする必要がある。
そして、上述のようにして制御部22が、底面S1の傾きすなわちプレート傾斜ベクトルgに対応したウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12を取得し、取得したウェッジプリズムペア偏向ベクトルd12から第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2を取得して、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを回転させる。これにより図17に示すように、光線偏向光学系70を通過した光線をウェッジプリズムペア偏向量θ12だけ偏向させるので、偏向前の像面S2の傾き、すなわち撮像面16Aの傾きとは異なる傾きを、偏向後の像面S2の傾き、すなわち撮像面16Aの傾きと一致させることができる。
なお、本実施形態においては、制御部22は、位置情報に基づく底面の位置が、前像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御の実施を許可する範囲外に含まれる場合、及び/又は、位置情報に基づく底面の位置の規定時間当りの変位量が予め定められた閾値を超えた場合に、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御を禁止する制御を行う。
具体的には、一例として図18Aに示すように、制御部22は、位置情報に基づく底面の位置の値において、例えばz1とz2との間の範囲、すなわち図18A中の斜線で示す範囲外を像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御の実施を許可する範囲とし、z1以下及びz2以上の範囲、すなわち図18A中の斜線で示す範囲を像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御の実施を禁止する範囲として設定する。制御部22は、検出部18によって取得された培養容器50の底面の位置の値が一致制御の実施を許可する範囲外つまり一致制御の実施を禁止する範囲に含まれる場合には、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御を禁止する制御を行う。
また、本実施形態においては、一例として図18Bに示すように、制御部22は、例えばt2からt3に変化した場合の位置情報に基づく底面の位置の値の変位量Δzが、予め定められた閾値を超えた場合に像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる一致制御を禁止する制御を行う。なお本実施形態において、t2からt3の時間の変化量Δtは、検出部18によるサンプリング周期に相当し、サンプリング周期が本開示の技術の規定時間の一例である。ただし本開示の技術はこれに限られず、規定時間すなわち変化量Δtは、例えばサンプリング周期を2つ分等としてもよいし、ユーザによって適宜設定可能とする。
なお、本実施形態において、制御部22による「一致制御を禁止する制御」とは、制御部22が一致制御を行わない場合、及び制御部22が一致制御を行わずに直前に行った制御を維持する場合を含む。
以上により、例えば培養容器50の底面に傷等があった場合、及び/又は、検出部18に予期せぬ不具合があった場合等、何らかの不具合で検出部18により検出された値が通常取り得る範囲よりも大きかったり小さかったりした場合、及び/又は、検出部18により検出された値が急激に変化した場合等に、制御部22が光線偏向光学系70を不要に回転させてしまうのを防止することができる。
なお、本実施形態において、検出部18によって取得された培養容器50の底面の位置の値が一致制御の実施を許可する範囲外に含まれる場合には、制御部22が上記一致制御を禁止する制御を行うが、本開示の技術はこれに限られず、制御部22がさらに焦点調節部24による撮像光学系14の焦点位置の調節を禁止させる制御を行っても良い。
また、一例として図19に示すように、例えばウェルプレートPの底面の中心付近において、底面S1が平坦である場合には、像面S2も平坦となる。像面S2が平坦な場合には、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bは図7に示すように、直角面とウェッジ面を互いに平行にすればよい。しかしながら、直角面とウェッジ面を互いに平行にするためには、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2をそれぞれ+π/2,−π/2としたり、+π,−πとしたりすることができて、1つの組み合わせとはならない。
そこで、本実施形態においては、一例として、制御部22は、像面S2の傾きが予め定められた閾値よりも小さい場合に、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる制御を行わない。すなわち像面S2の傾き、つまり培養容器50の傾きが平坦である場合には、像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きは一致しているので、光線偏向光学系70によって光線を偏向させる必要はない。従って、上記一致させる制御を行わないことにより、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2が定まらずに、エラーが生じるのを防止することができる。
図12に戻り、第8の動作部15Jと制御部22とによって構成される抑制部80は、制御部22が第8の動作部15Jを駆動させることにより、図17に示すように光線偏向光学系70を通過する光の光軸と撮像面16Aの中心との位置ずれΔx及びΔyの分だけ撮像部16を位置ずれΔx及びΔyを解消する方向に移動させる。これにより位置ずれが解消されるので、撮像面16Aで結像された観察対象光に基づく画像に対して位置ずれが与える影響を抑制することができる。なお、図17において、Δyの図示は省略しているが、実際にはY方向においても位置ずれΔyが生じる場合がある。
次に図8に戻り、ステップS6で、制御部22は水平方向駆動部17を駆動させて、第1の変位センサ18aによって培養容器50の位置検出が行われた位置に向かって観察領域Rが移動する。
そして、ステップS7で、制御部22は、培養容器50の位置検出が行われた位置に観察領域Rが到達する直前において二次記憶部25Bに記憶されたフォーカス制御量を取得する。
次に、ステップS8で、制御部22は、取得したフォーカス制御量に基づいてオートフォーカス制御を行う。すなわち、制御部22は、取得したフォーカス制御量に基づいて第1の動作部15A〜第7の動作部15Gを制御することにより、結像レンズ14d、対物レンズ14b、及び光線偏向光学系70の焦点距離が変更し、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51、及び対物レンズ14bをZ方向に移動させる。
そして、オートフォーカス制御後、ステップS9で、培養容器50の位置検出が行われた位置に観察領域Rが到達した時点において、撮像部16が位相差画像の撮像を行う。観察領域Rの位相差画像は、撮像部16から制御部22に出力されて記憶される。なお、本実施形態においては、上述したように各観察領域Rについて、先行して培養容器50の位置検出が行われ、その検出位置まで観察領域Rが到達した時点において、位相差画像の撮像が行われる。そして、この培養容器50の位置検出と位相差画像の撮像は、観察領域Rを移動しながら行われ、ある位置の観察領域Rの位相差画像の撮像と、その位置よりも移動方向について前側の位置における培養容器50の位置検出とが並行して行われる。
すなわち、ステップS7〜S9にてフォーカス制御及び観察領域Rの位相差画像の撮像が行われている間、上記観察領域Rよりも移動方向について前側の位置において検出部18による培養容器50の位置検出、焦点調節部24によるフォーカス制御量の取得及び記憶、及び制御部22による傾き制御処理のうち第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2の取得が並行して行われる。なお制御部22により傾き制御処理のうち第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転角ξ1,ξ2に基づく第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bの回転駆動については、ステップS9の撮像部16による撮像が行われた後で行う。
そして、ステップS10で、制御部22が、水平方向駆動部17を駆動させることにより観察領域Rを図9に示す加減速域の範囲R2まで移動させていない場合には、判定が否定されて、図8に示すステップS2へ移行する。
一方、ステップS10で、制御部22が、水平方向駆動部17を駆動させることにより観察領域Rを図9に示す加減速域の範囲R2まで移動させ、Y方向に移動させた後、X方向について逆方向に移動させる場合には、すなわち、制御部22により観察領域Rの移動方向が、図10の矢印方向から図11の矢印方向に変更された場合には、判定が肯定されて、図8に示すステップS11へ移行する。
ステップS11で、制御部22は使用する変位センサを第1の変位センサ18aから第2の変位センサ18bに切り替える。
本実施形態においては、上述したように各観察領域Rについてそれぞれ前もって培養容器50のZ方向の位置が検出されるため、各観察領域Rの培養容器50の位置の検出タイミングと、位相差画像の撮像タイミングとが時間的にずれる。したがって、オートフォーカス制御は、第1の変位センサ18a又は第2の変位センサ18bによって培養容器50の位置の検出が行われた後、その検出位置に観察領域Rが到達するまでの間に行われる。
ここで、オートフォーカス制御のタイミングが早すぎる場合には、オートフォーカス制御の後、観察領域Rが検出位置に到達するまでの間に、何らかの要因によって、培養容器50のZ方向の位置がずれてフォーカス位置がずれる可能性がある。
したがって、オートフォーカス制御のタイミングは、観察領域Rが検出位置に到達する直前であって、かつその検出位置における位相差画像の撮像が間に合うタイミングであることが望ましい。なお、観察領域Rが検出位置に到達する直前とは、例えば図20に示すように、観察領域RがX方向に順次移動し、検出部18による検出位置が、斜線で示すPdの位置である場合には、観察領域Rが、検出位置Pdに隣接する観察領域Rの位置Prを通過した時点から検出位置Pdに到達するまでの間であることが望ましい。なお、観察領域Rが検出位置Pdに到達した時点でオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
本実施形態においては、オートフォーカス制御のタイミングが、上述した望ましいタイミングとなるように、第1又は第2の変位センサ18a,18bによる検出タイミングからその検出位置の位置情報を用いたオートフォーカス制御のタイミングまでの時間が予め設定されている。
なお、例えば位相差レンズ14aの倍率の変更等によってステージ51の移動速度が変更された場合には、そのステージ51の移動速度の変更に応じて上記の予め設定された時間を変更してもよい。又は、上記時間を変更する代わりに、ステージ51の移動速度が変更された場合に、第1の変位センサ18a又は第2の変位センサ18bをX方向に移動させることによって、第1の変位センサ18a又は第2の変位センサ18bと撮像光学系14との距離を変更してもよい。
また、本実施形態のように、撮像光学系14を挟んで第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bをX方向に並べて設け、位相差画像の撮像に先行して培養容器50の位置を検出する場合、培養容器50の範囲の全域において培養容器50の位置検出及び位相差画像の撮像を行うには、図9に示すように、培養容器50の範囲よりもX方向について外側の範囲R1,R2まで撮像光学系14、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを相対的に移動させる必要がある。そして、範囲R1のX方向の幅として、少なくとも第1の変位センサ18aと撮像光学系14とのX方向の間隔を確保する必要があり、範囲R2のX方向の幅として、少なくとも第2の変位センサ18bと撮像光学系14とのX方向の間隔を確保する必要がある。そして、観察領域Rの移動時間をできるだけ短縮するには、観察領域Rの移動範囲をできるだけ狭くすることが望ましい。したがって、範囲R1のX方向の幅は、第1の変位センサ18aと撮像光学系14とのX方向の間隔とすることが望ましく、範囲R2のX方向の幅は、第2の変位センサ18bと撮像光学系14とのX方向の間隔とすることが望ましい。
一方、ステージ51をX方向に移動させることによって観察領域Rを培養容器50の範囲内において移動する場合、培養容器50の範囲における観察領域Rの移動速度は一定であることが望ましい。したがって、ステージ51のX方向への移動開始時にはステージ51が一定の速度になるまで加速する必要があり、ステージ51のX方向への移動終了時には、ステージ51を一定の速度から減速して停止させる必要がある。
また、ステージ51のX方向への移動速度を一定の速度にする場合、加速域をほとんど持たせることなく急速に一定の速度に制御することは可能であるが、このような制御を行った場合、培養容器50に細胞とともに収容された培養液等の液面が揺れてしまい、位相差画像の画質の低下を招く可能性がある。また、ステージ51を停止する際にも同様の問題が発生する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、図9に示す範囲R1及び範囲R2をステージ51のX方向への移動の加減速域に設定する。このように培養容器50の範囲のX方向の両側に加減速域を設定することによって、観察領域Rによる走査範囲を無駄に広げることなく、かつ培養容器50の範囲において観察領域Rを一定の速度で移動することができる。さらに、上述したような培養液の液面の揺れも抑制することができる。
そして、ステップS12で、処理部23Bが、全ての走査が終了したか否かを判定する。ステップS12において、全ての走査が終了していない場合には、判定が否定されて、図8に示すステップS2へ移行する。そして制御部22が観察領域Rを加減速域の範囲R1,R2まで移動させる度に、制御部22は使用する変位センサを切り替えて、全ての走査が終了するまでステップS2〜ステップS11までの処理が繰り返して行われる。
そして、ステップS12において、全ての走査が終了した場合には、すなわち制御部22が観察領域Rを図9に示す走査終了点Eの位置に到達させた場合には、判定が肯定されて制御部22は全ての走査を終了させる。
制御部22が全ての走査が終了させた後、ステップS13で、処理部23Bは、各観察領域Rの位相差画像を結合して合成位相差画像を生成する。
次に、ステップS14で、制御部22は、処理部23Bが生成した合成位相差画像を表示装置30に表示させる。
このように、本実施形態においては、制御部22が第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを各々独立して回転させることにより、結像レンズ14dを通過した光線を偏向させて、光学像が形成された像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きとを一致させる制御を行う。これにより、観察領域内の周辺部においても焦点調節部24が焦点位置を合わせることができるので、培養容器50の底面が傾いている場合であっても、撮像光学系14の観察領域内の周辺部の画像のボケを抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、培養容器50が設置されるステージ51及び撮像光学系14の少なくとも一方を主走査方向及び副走査方向に移動させ、かつ上記少なくとも一方を主走査方向について往復移動させるようにしたものである。これにより、一方向にのみステージ51を移動させて観察領域Rによる走査を行う場合と比較すると、観察領域Rによる走査時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態においては、培養容器50に対する撮像光学系14の観察領域の位置よりも観察領域の移動方向前側の位置における培養容器50の鉛直方向の位置を、少なくとも1つの変位センサ18a,18bを用いて検出し、検出した培養容器50の鉛直方向の位置に基づいて、第1から第7の動作部15A〜15Gによりオートフォーカス制御を行うようにした。このため、撮像された画像のコントラストに基づいてオートフォーカス制御を行う場合と比較すると、高速にオートフォーカス制御を行うことができる。
さらに、本実施形態においては、観察領域Rの移動方向の変更に応じて、使用する変位センサを切り替えるようにしたので、観察領域を往復移動させる場合においても、常に、画像の撮像に先行して培養容器50の位置の検出を行うことができる。
また、第1〜第7の動作部15A〜15Gのうちの複数の動作部を使用することにより、1つの動作部のみでオートフォーカス制御を行う場合よりも、高速にオートフォーカスを行うことができる。
なお、上記第1実施形態においては、光線偏向光学系70として2つのウェッジプリズムを含むものを例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば3つのウェッジプリズムを含むものであってもよいし、複数のウェッジプリズムペアを含むものとしてもよい。光線偏向光学系70が、第1のウェッジプリズム、第2のウェッジプリズム、及び第3のウェッジプリズムを含む場合には、制御部22は、第1のウェッジプリズムに対して全体的な像面S2の傾きを補正させる第1の補正制御を行い、第2のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムに対して部分的に変化する像面S2の傾きを補正させる第2の補正制御を行う。なお、第1の補正制御及び第2の補正制御は、例えば、第1の補正制御による補正が1つの培養容器50に対して固定した1つ補正値による補正であるのに対して、第2の補正制御による補正は1つの培養容器50において局所的に変化する傾きの各々に応じた複数の補正値による補正とする。
具体的には、例えば培養容器50をステージ51上に設置した際に、ステージ51が傾いていると培養容器50は全体的に傾いてしまう。そこで、一例として制御部22は、第1のウェッジプリズムを回転させることにより、培養容器50の全体的な傾きに起因する像面S2の傾きを補正する第1の補正制御を行う。制御部22は第1の補正制御を行った後で、さらに第2のウェッジプリズム及び第3のウェッジプリズムを回転させることにより、第1の補正制御による補正から外れた、例えばウェルWの底面の凹凸及び/又は歪み、撓み等に起因する像面S2の傾きを補正させる第2の補正制御を行う。第1の補正制御による補正を先に行うことにより第2の補正制御における補正量を小さくすることができるので、2つのウェッジプリズムを含む光線偏向光学系70よりも傾きの補正に要する時間を短縮することができる。なお、全体的な像面S2の傾きとしては、上述した培養容器50の全体的な傾きに起因する傾きの他に、撮像面16A自体の全体的な傾きに起因する傾き及び/又は、撮像光学系14に起因する傾き等がある。
また、上記第1実施形態においては、抑制部80により、図17に示すように光線偏向光学系70を通過する光の光軸と撮像面16Aの中心との位置ずれΔx及びΔyの分だけ撮像部16を位置ずれΔx及びΔyを解消する方向に移動させるものを例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば撮像部16の撮像素子のみを移動させてもよいし、撮像素子を培養容器50及び撮像光学系14に対して相対的に移動することができれば、何れの構成を使用してもよい。
また、上記第1実施形態においては、顕微鏡装置本体10が撮像面16Aで結像された観察対象光に基づく画像に対して、光線偏向光学系70を通過する光の光軸と撮像面16Aの中心との位置ずれが与える影響を抑制する抑制部80を含む構成としたが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。抑制部80を含む方が撮像部16により、より好適な画像を取得することが可能であるが、必ずしも抑制部80を含む必要はない。
また、上記第1実施形態においては、動作部15はオートフォーカス制御に使用するための複数の第1〜第7の動作部15A〜15Gを含むものとしたが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、少なくとも第7の動作部15Gを含んでいればよい。なお動作部15が第7の動作部15Gの他に第1〜第6の動作部15A〜15Fの少なくとも1つを含んでいる場合には、第7の動作部15Gは、図6に示す回転機構70b及び駆動源70c−2のみを含むものであってもよい。
また、上記第1実施形態においては、動作部15はオートフォーカス制御に使用するための複数の第1〜第7の動作部15A〜15Gを含み、その全てを使用してオートフォーカス制御を行うものとしたが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、第1〜第7の動作部15A〜15Gのうちの少なくとも1つを用いてオートフォーカスを行うようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、動作部15はオートフォーカス制御に使用するための複数の第1〜第7の動作部15A〜15Gを含み、その全てを使用してオートフォーカス制御を行うものとしたが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、少なくとも第7の動作部15Gの図6に示す回転機構70b及び駆動源70c−2を含み、かつ第1〜第6の動作部15A〜15F及び第7の動作部15Gの図6に示す移動機構70a及び駆動源70c−1のうちの1つ以上を含んでいればよい。この場合、含まれた動作部の全てをオートフォーカス制御に使用しなくても、少なくとも1つの動作部を使用してオートフォーカスを行うようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、光線偏向光学系70を、撮像光学系14と撮像部16との間に配置しているが、撮像光学系14とステージ51との間に配置してもよい。
また、上記第1実施形態においては、液体レンズ、液晶レンズ及び形状変形レンズ等の焦点距離を変更可能な光学素子からなる焦点距離変更光学系を、撮像光学系14とステージ51との間に配置してもよい。この場合、焦点距離変更光学系は、動作部15により、印加される電圧が変更されて、焦点距離が変更されることとなる。
また、上記第1実施形態においては、第4の動作部15Dによりステージ51を光軸方向に移動させることにより、培養容器50を光軸方向に移動させている。しかしながら、ステージ51を光軸方向に移動させることに代えて、培養容器50を光軸方向に移動させる機構を設け、培養容器50のみを光軸方向に移動させるようにしてもよい。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、抑制部80が第8の動作部15Jと制御部22とで構成されるものとしたが、本第2実施形態では抑制部80の一例として画像処理部29を含む顕微鏡制御装置20−2を有する顕微鏡装置1−2について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
一例として図21に示すように、本第2実施形態に係る顕微鏡装置1−2は、バスライン28に、画像処理部29が接続されている。
画像処理部29は、撮像面16Aで結像された観察対象光に基づく画像に対して、画像を形成する撮像素子の有効画素の範囲を、図17に示すように光線偏向光学系70を通過する光の光軸と撮像面16Aの中心との位置ずれΔx及びΔyの分だけずらして設定する。これにより位置ずれが解消されるので、撮像面16Aで結像された観察対象光に基づく画像に対して位置ずれが与える影響を抑制することができる。
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、検出部18は、2つの変位センサ18a,18bを備え、観察領域Rの移動方向の変更に応じて使用する変位センサ18a,18bを切り替えるようにしたが、本第2実施形態では、一例として図22に示すように顕微鏡装置本体10−3の検出部19が1つの変位センサ19aを有し、観察領域Rの移動方向の変更に応じて、その変位センサの位置を切り替える場合について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
検出部19は、図23および図24に示すように、変位センサ19a、および変位センサ19aを案内してその位置を移動させるガイド機構19bを備えている。
変位センサ19aは、上記第1実施形態の第1および第2の変位センサ18a,18bと同様に、レーザ変位センサから構成される。
ガイド機構19bは、半円弧状のガイド部材を備え、このガイド部材に沿って変位センサ19aを移動させる。ガイド部材は、撮像光学系14を挟んでX方向について一方の側から他方の側に変位センサ19aを移動させる。
図23は、観察領域Rの移動方向が、図23の矢印方向(図23の右方向)である場合における変位センサ19aの位置を示す図である。一方、図24は、観察領域Rの移動方向が、図24の矢印方向(図24の左方向)である場合における変位センサ19aの位置を示す図である。観察領域Rの移動方向が図23の矢印方向から図24に矢印方向に変更された場合には、変位センサ19aは図23に示す位置からガイド機構19bのガイド部材に沿って移動し、図24に示す位置に切り替えられる。
なお、本実施形態においては、変位センサ19aの位置を移動させる変位センサ移動機構として上述したガイド機構19bを設けるようにしたが、変位センサ移動機構の構成としてはこれに限らず、変位センサ19aの位置を同様に変更可能な構成であれば、その他の構成を用いてもよい。
第2実施形態の顕微鏡装置のその他の構成および作用については、第1実施形態の顕微鏡装置と同様である。
[第4実施形態]
上記第1から第3実施形態においては、光線を偏向するための光線偏向光学系70として、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを用いている。しかしながら、液体レンズ、液晶レンズ及び形状変形レンズ等の焦点距離を変更可能な光学素子を、光線偏向光学系として用いてもよい。例えば、第1及び第2のウェッジプリズム70A,70Bを移動させる光線偏向光学系70に代えて、図25に示すように、撮像光学系14と撮像部16との間に、焦点距離を変更可能な光学素子からなる焦点距離変更光学系75を配置してもよい。この場合、焦点距離変更光学系75は、制御部22がフォーカス制御量に基づいて第9の動作部15Hを駆動させることにより、印加される電圧を変更して、焦点距離を変更する。第9の動作部15Hは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動する。なお第9の動作部15Hの構成は圧電素子に限定されず、焦点距離変更光学系75の焦点距離を変更可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。
また制御部22が第10の動作部15Lを駆動させることにより焦点距離変更光学系75を構成するレンズの動きを調整して光線を偏向させる。ここでレンズの動きは、レンズの傾き及び/又は位置等、光線を偏向させることが可能な動きであればよい。第10の動作部15Lは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、像面S2の傾きに基づいて制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動する。ここで制御部22による上記レンズの動きの調整が本開示の技術の第2の制御の一例である。
なお、像面S2の傾きとレンズの動きの調整量との関係を示すテーブルを、予め二次記憶部25Bに記憶しておき、制御部22は、上記テーブルを参照して、像面S2の傾きに基づくレンズの動きの調整量を取得し、制御部22が取得したレンズの動きの調整量に対応する電圧を第10の動作部15Lに印加させる。なお本開示の技術は上記テーブルに限られず、像面S2の傾きからレンズの動きの調整量又は電圧の印加量を導出できるものであれば、何れの方法を用いても良い。
また、第9及び第10の動作部15H,15Lは、位相差レンズ14a及び結像レンズ14dを通過した位相差画像をそのまま通過させる構成となっている。また、第10の動作部15Lの構成は圧電素子に限定されず、焦点距離変更光学系75を構成するレンズの動きを調整可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。
なお、焦点距離変更光学系75は、撮像光学系14とステージ51との間に配置してもよい。また、焦点距離変更光学系75は、上記第1実施形態の顕微鏡装置1において光線偏向光学系70に加えて配置してもよい。ただし、光線偏向光学系70と焦点距離変更光学系75の両方を含む場合には、像面S2の傾きに基づいて偏向させるべき光線の偏向量に対して光線偏向光学系70が偏向すべき偏向量と焦点距離変更光学系75が偏向すべき偏向量を制御部22が予め設定しておく。
[第5実施形態]
上記第1及び第2実施形態の顕微鏡装置においては、検出部18,19によって培養容器50のZ方向の位置を検出し、その検出情報を用いてオートフォーカス制御を行うようにしたが、例えば培養容器50の底部がステージ51の設置面から浮いて設置されている場合又は培養容器50の底部が厚い場合等には、撮像光学系14と培養容器50の底面との距離が大きくなる。このため、動作部15により対物レンズ14b及び結像レンズ14dの焦点距離を最大限に調整し、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51及び対物レンズ14bをZ方向に最大限に移動させたとしても、撮像光学系14の被写界深度の範囲内に培養容器50の底面の位置が収まらない場合がある。
そこで、上述したオートフォーカス制御によって培養容器50の底面の位置が、撮像光学系14の被写界深度の範囲内に必ず収まるように、予めキャリブレーションを行うことが望ましい。
具体的には、例えば第1の実施形態の顕微鏡装置において、撮像光学系14、動作部15(すなわち、第1〜第8の動作部15A〜15J)、撮像部16、ステージ51、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを一体的にZ方向に移動させる鉛直方向移動機構を設けることが望ましい。
本第5実施形態の顕微鏡装置においては、一例として図26に示すように、顕微鏡装置本体10−5は、鉛直方向移動機構60が、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、ステージ51、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを一体的に保持する保持部60aと、保持部60aをZ方向に移動させるZ方向駆動部60bとを備える。
保持部60aは、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、ステージ51、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bの相対的な位置関係を維持した状態でこれらを保持する。Z方向駆動部60bは、例えば圧電素子等のアクチュエータを備える。なお、鉛直方向移動機構60は、撮像光学系14によって結像された位相差画像をそのまま通過させる構成となっている。
そして、上述した位相差画像の撮像の前に、鉛直方向移動機構60を用いて、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、ステージ51、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを一体的にZ方向に移動させることによって、オートフォーカス制御のキャリブレーションが行われる。
キャリブレーションは、具体的には、まず、動作部15を駆動することによって、対物レンズ14b及び結像レンズ14dの焦点距離を基準焦点距離に設定し、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51及び対物レンズ14bのZ方向の位置を基準位置に設定する。基準焦点距離とは、上述したオートフォーカス制御において基準となる焦点距離であり、対物レンズ14b及び結像レンズ14dの最大焦点距離と最小焦点距離との中央値となる焦点距離である。また、Z方向の基準位置とは、上述したオートフォーカス制御において基準となる位置であり、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51及び対物レンズ14bのZ方向の移動範囲の中心位置である。なお、キャリブレーションに際しては、光線偏向光学系70のZ方向に直交する方向の位置を基準位置に設定しておく。Z方向に直交する方向の基準位置とは、光線偏向光学系70を構成する第1及び第2のウェッジプリズム70A,70BのZ方向に直交する方向の移動範囲の中心位置である。
次いで、Z方向駆動部60bにより保持部60aをZ方向に段階的に予め定められた間隔で移動させながら、移動の各位置において撮像光学系14によって結像された像を撮像部16により検出し、各位置の位相差画像を取得する。そして、位相差画像のコントラストが最大となる位置を検出する。位相差画像のコントラストが最大となる位置については、例えば保持部60aを鉛直方向上方に順次移動させた場合に位相差画像のピントが合わなくなった位置と、保持部60aを鉛直方向下方に順次移動させた場合に位相差画像のピントが合わなくなった位置とを検出し、これらの検出位置の中心位置を位相差画像のコントラストが最大となる位置として検出するようにすればよい。なお、この際、対物レンズ14b及び結像レンズ14dの焦点距離を変更してもよいが、本実施形態においては、対物レンズ14b及び結像レンズ14dの焦点距離は基準焦点距離に固定した状態でキャリブレーションを行うものとする。
そして、位相差画像のコントラストが最大となる位置を鉛直方向移動機構60の基準位置として設定してキャリブレーションを終了する。キャリブレーションは、例えば培養容器50の底部の重心位置において行うようにすればよいが、培養容器50の底部の複数箇所で行うようにしてもよい。その場合、その複数箇所でそれぞれ検出された基準位置の平均を最終的な基準位置として設定すればよい。
[第6実施形態]
本第6実施形態の顕微鏡装置においては、一例として図27に示すように、顕微鏡装置本体10−6は、鉛直方向移動機構61が、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、ステージ51及び検出部19を一体的に保持する保持部61aと、保持部61aをZ方向に移動させるZ方向駆動部61bとを備える。
保持部61aは、撮像光学系14、動作部15、撮像部16、ステージ51及び検出部19の変位センサ19aの相対的な位置関係を維持した状態でこれらを保持する。Z方向駆動部61bは、上述したZ方向駆動部60bと同様に、例えば圧電素子等のアクチュエータを備える。
第6実施形態の顕微鏡装置におけるキャリブレーションの方法については、上述した第5実施形態の顕微鏡装置の場合と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
[第7実施形態]
本第7実施形態の顕微鏡装置においては、第1実施形態の顕微鏡装置1に対して、撮像光学系14とステージ51との間に焦点距離変更光学系75が配置される。この場合、焦点距離変更光学系75は、制御部22がフォーカス制御量に基づいて第9の動作部15Hを駆動させることにより、印加される電圧を変更して、焦点距離を変更する。また制御部22が、像面S2の傾きに基づいて制御部22から出力された制御信号に基づいて第10の動作部15Lを駆動させることにより焦点距離変更光学系75を構成するレンズの動きを調整して光線を偏向させる。ここでレンズの動きは、レンズの傾き及び/又は位置等、光線を偏向させることが可能なレンズの動きであればよい。なお、上記レンズの動きの調整が、本開示の技術における第2の制御の一例である。また、第9及び第10の動作部15H,15Lは、上記第4実施形態の顕微鏡装置と同様の構成とすることができる。
また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、一例として図30に示すように、動作部15は、対物レンズ14bの動きを調整する第11の動作部15N及び結像レンズ14dの動きを調整する第12の動作部15Pを含む。制御部22が、像面S2の傾きに基づいて制御部22から出力された制御信号に基づいて第11の動作部15Nを駆動させることにより対物レンズ14bの動きを調整して光線を偏向させる。制御部22が、像面S2の傾きに基づいて制御部22から出力された制御信号に基づいて第12の動作部15Pを駆動させることにより結像レンズ14dの動きを調整して光線を偏向させる。ここで各レンズの動きは、レンズの傾き及び/又は位置等、光線を偏向させることが可能なレンズの動きであればよい。
また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、動作部15は、ステージ51の傾きを調整する第13の動作部15Mを含む。第13の動作部15Mは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、制御部22が像面S2の傾きに基づいて出力した制御信号に基づいて駆動する。ここで、制御部22によるステージ51の傾きの調整が、本開示の技術における第1の制御の一例である。なお第13の動作部15Mの構成は圧電素子に限定されず、ステージ51を傾けることが可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、第13の動作部15Mによりステージ51を傾けるものとしたが、本開示の技術はこれに限られず、培養容器50を傾ける機構を設け、培養容器50のみを傾けるようにしてもよい。
また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、動作部15は、撮像部16の傾きを調整する第14の動作部15Qを含む。第14の動作部15Qは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、制御部22が像面S2の傾きに基づいてから出力した制御信号に基づいて駆動する。ここで、制御部22による撮像部16の傾きの調整が、本開示の技術における第3の制御の一例である。なお第14の動作部15Qの構成は圧電素子に限定されず、撮像部16を傾けることが可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、第14の動作部15Qにより撮像部16を傾けるものとしたが、本開示の技術はこれに限られず、撮像素子を傾ける機構を設け、撮像素子のみを傾けるようにしてもよい。
本第7実施形態の顕微鏡装置においては、光線を偏向するために、第7の動作部15G、第10の動作部15L、第11の動作部15N、第12の動作部15P、第13の動作部15M、及び第14の動作部15Qを備えている。制御部22は、像面S2の傾きと、焦点距離変更光学系75を構成するレンズへの印加電圧、対物レンズ14bへの印加電圧、結像レンズ14dへの印加電圧、ステージ51の傾きの駆動量、撮像部16の傾きの駆動量、及び光線偏向光学系70の回転量との関係を示すテーブルを予め二次記憶部25Bに記憶しておき、制御部22は、このテーブルに基づいて、各動作部の制御量を取得し、取得した制御量に基づいて各動作部を駆動させる。
このように制御部22が複数の動作部を駆動させることにより、1つの動作部を駆動させるよりも偏向させることができる光線の偏向量をより多くすることができる。
なお、本開示の技術においては、上記テーブルに限定されるものではなく、例えば式であってもよい。上記関係を示すものは、像面S2の傾きから焦点距離変更光学系75を構成するレンズへの印加電圧、対物レンズ14bへの印加電圧、結像レンズ14dへの印加電圧、ステージ51の傾きの駆動量、撮像部16の傾きの駆動量、及び光線偏向光学系70の回転量を導出できれば何れの方法を使用してもよい。
なお、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、第7の動作部15G、第10の動作部15L、第11の動作部15N、第12の動作部15P、第13の動作部15M、及び第14の動作部15Qの全てを駆動して光線を偏向させたが、本開示の技術はこれに限られず、少なくとも1つの動作部を駆動させればよい。また複数の動作部を駆動させる場合には、その組み合わせは特に限定されるものではない。
また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、動作部15が、第7の動作部15G、第10の動作部15L、第11の動作部15N、第12の動作部15P、第13の動作部15M、及び第14の動作部15Qを含むものとしたが、本開示の技術はこれに限られず、少なくとも1つの動作部を備えていればよい。
[第8実施形態]
本第8実施形態の顕微鏡装置においては、上記第7実施形態の顕微鏡装置1に対して、焦点距離変更光学系75、第10の動作部15L、光線偏向光学系70、及び第7の動作部15Gを備えていないものである。本第8実施形態の顕微鏡装置においては新たに焦点距離変更光学系75及び光線偏向光学系70を設けなくとも、光線を偏向させることができるので、焦点距離変更光学系75、光線偏向光学系70、及び各光学系を駆動させるための動作部に要するコストを低減することができる。
なお、上記第1,第2,第4,第5,第7,及び第8実施形態の顕微鏡装置においては、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを位相差レンズ14aを挟んでX方向に並べて設けているが、さらに図31に示すように、第3の変位センサ18a−2及び第4の変位センサ18a−3を第1の変位センサ18aを挟んでY方向に並べて設け、第5の変位センサ18b−2及び第6の変位センサ18b−3を第2の変位センサ18bを挟んでY方向に並べて設けてもよい。この場合、制御部22は第1,第3,第4の変位センサ18a,18a−2,18a−3を同時に検出させ、第2,第5,第6の変位センサ18b,18b−2,18b−3を同時に検出させる。
これにより、観察領域Rを往復移動する場合に、取得部23Aは、培養容器50の底面のY方向における複数のZ方向の位置情報を取得することができるので、培養容器50の底面のY方向の傾きを同時に取得した位置情報に基づいて取得することができる。
また、上記第3及び第6実施形態の顕微鏡装置においては、検出部19が1つの変位センサ19aを有し、観察領域Rの移動方向の変更に応じて、その変位センサの位置を切り替えている。検出部19は、変位センサ19a、および変位センサ19aを案内してその位置を移動させるガイド機構19bを備えているが、このガイド機構19bにさらに図32に示すように、第2の変位センサ19a−2及び第3の変位センサ19a−3を変位センサ19aが観察領域Rの右隣に位置する場合に、観察領域Rを挟んでY方向に並べて設けてもよい。なおガイド機構19bはガイド部材に沿って変位センサ19aと共に第2の変位センサ19a−2及び第3の変位センサ19a−3を移動させる。ガイド部材は、撮像光学系14を挟んでX方向について一方の側から他方の側に変位センサ19a、変位センサ19a−2、及び第3の変位センサ19a−3を移動させる。なお、この場合、制御部22は変位センサ19a及び第2,第3の変位センサ19a−2,19a−3を同時に検出させる。
これにより、観察領域Rを往復移動する場合に、取得部23Aは、培養容器50の底面のY方向における複数のZ方向の位置情報を取得することができるので、培養容器50の底面のY方向の傾きを同時に取得した位置情報に基づいて取得することができる。
また、上記第1,第2,第4,第5,第7,及び第8実施形態の顕微鏡装置においては、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを位相差レンズ14aを挟んでX方向に並べて設けているが、さらに図33に示すように、第3の変位センサ18c及び第4の変位センサ18dを、位相差レンズ14aを挟んでY方向に並べて設けるようにしてもよい。
さらに図34に示すように、第5の変位センサ18a−2及び第6の変位センサ18a−3を第1の変位センサ18aを挟んでY方向に並べて設け、第7の変位センサ18b−2及び第8の変位センサ18b−3を第2の変位センサ18bを挟んでY方向に並べて設けてもよい。
これにより、観察領域Rを往復移動するのみならず、図35に示すように渦巻き状に移動させることができる。すなわち、図35においては、観察領域Rは走査開始点SからX方向の正方向(図35の右方向)に移動された後、Y方向の正方向(図35の下方向)に移動され、次いで、X方向の負方向(図35の左方向)に移動され、さらにY方向の負方向(図35の上方向)に移動される。このように、観察領域RのX方向及びY方向の移動を繰り返し行うことによっても、培養容器50内を2次元状に走査することができる。
なお、図34に示す構成を使用する場合、制御部22が図35において、観察領域Rを走査開始点SからX方向の正方向(図35の右方向)に移動させた場合には、第1,第5,第6の変位センサ18a,18a−2,18a−3を同時に検出させる。また、制御部22が図35において、観察領域RをX方向の負方向(図35の左方向)に移動させた場合には、第4,第6,第8の変位センサ18d, 18a−3,18b−3を同時に検出させる。また、制御部22が図35において、観察領域RをY方向の正方向(図35の下方向)に移動させた場合には、第2,第7,第8の変位センサ18b, 18b−2,18b−3を同時に検出させる。また、制御部22が図35において、観察領域RをY方向の負方向(図35の上方向)に移動させた場合には、第3,第5,第7の変位センサ18c, 18a−2,18b−2を同時に検出させる。
これにより、観察領域Rを図35に示すように渦巻き状に移動させる場合に、取得部23Aは、観察領域Rの進行方向と直交する方向における培養容器50の底面の複数のZ方向の位置情報を取得することができる。
また、図36に示すように、第3実施形態における検出部19のガイド機構19bを円形状に形成し、円形状のガイド機構19bに沿って変位センサ19aを移動させるようにしてもよい。これにより、第3実施形態においても、図35に示すように、制御部22は観察領域Rを2次元状に移動させることができる。この場合において、観察領域RがX方向の正方向に移動される場合は、変位センサ19aは図23に示す位置に移動され、観察領域RがY方向の正方向に移動される場合は、変位センサ19aは図36の実線で示す位置に移動される。また、観察領域RがX方向の負方向に移動される場合は、変位センサ19aは図24に示す位置に移動され、観察領域RがY方向の負方向に移動される場合は、変位センサ19aは図36の破線で示す位置に移動される。
また図36に示す構成において、ガイド機構19bにさらに図37に示すように、第2の変位センサ19a−2及び第3の変位センサ19a−3を変位センサ19aが観察領域Rの下隣に位置する場合に、観察領域Rを挟んでX方向に並べて設けてもよい。
これにより、観察領域Rを図35に示すように渦巻き状に移動させる場合に、取得部23Aは、観察領域Rの進行方向と直交する方向における培養容器50の底面の複数のZ方向の位置情報を取得することができる。
なお、上記各実施形態においては、取得部23Aは、検出部18が検出した培養容器50の底面のZ方向の位置情報を取得するものとしたが、本開示の技術はこれに限られるものではない。取得部23Aが培養容器50の底面のZ方向の位置情報を事前に取得してもよい。なお、ここで事前とは、制御部22が観察領域Rによる培養容器50の走査を開始させる前を意味する。
[第9実施形態]
本第9実施形態は、取得部23Aが培養容器50の底面のZ方向の位置情報を事前に取得する。なお本第9実施形態は、上記第1から第8実施形態のいずれの構成も使用することができるものとし、ここでの説明は省略する。
顕微鏡観察において用いられる培養容器50においては、一般的に、培養容器50は使い捨てタイプのものが多く、製造精度があまり良くない。培養容器50の底面に形成される撓み及び/又は歪み等(凹凸)についても、例えば製造メーカの違い等、培養容器50の種類によって異なり、製造誤差の範囲も異なる場合がある。
そこで、二次記憶部25に位置情報27として培養容器50の底面のZ方向の位置情報を記憶しておく。具体的には、培養容器50の底面の位置情報は、ステージ51上に培養容器50を設置して、顕微鏡装置1に設けられた検出部18によって計測されるようにしてもよいし、培養容器50の識別情報と予め計測された位置情報とを対応づけたテーブルを二次記憶部25に記憶しておいてもよい。そして、ユーザが、入力装置40を用いて培養容器50の識別情報を設定入力し、その識別情報を有する培養容器50の位置情報を二次記憶部25から読み出すようにしてもよい。
また、培養容器50の識別情報については、ユーザが設定入力するのではなく、培養容器50にバーコード及び/又はQR(Quick Response)コード(登録商標)などを付与し、そのバーコード及び/又はQRコード(登録商標)を読み取ることによって識別情報を取得するようにしてもよい。なお、培養容器50の識別情報は、例えば製造メーカの型式番号であってもよいし、製造番号であってもよい。なお、必ずしも上記テーブルを二次記憶部25に記憶しておかなくても、培養容器50の識別情報から予め計測された位置情報を取得部23Aに取得させてもよい。
また、培養容器50の底面の位置情報は、たとえば検出部18とは別のレーザ変位計などを用いて事前に計測してもよい。また、培養容器50の底面の位置情報の計測方法としては、レーザ変位計による計測に限らず、共焦点方式および分光干渉方式などその他の方式を用いて計測するようにしてもよい。
このように顕微鏡装置において、予め取得された位置情報を使用した場合の本開示の技術に係る部分の作用について説明する。なお図38のステップS42からS55の処理は、図8のステップS1からS14の処理と概略同様の処理であるため、異なる箇所についてのみ説明する。
一例として図38に示すように、ステップS41にて、上述したようにして取得部23Aが事前に培養容器50の底面の位置情報を取得する。ステップS41にて取得された位置情報は、ステップS46の制御部22による傾き制御処理において使用される。すなわち図12に示すステップS21の処理において使用される。なおステップS46の制御部22による傾き制御処理は、ステップS41とステップS42の処理との間に行ってもよい。
このように事前に取得部23Aが位置情報を取得することにより、培養容器50の底面のZ方向の位置情報を所望する分解能で取得することができる。また、顕微鏡装置において、底面の傾きを取得する処理も事前に行うことができるので、底面の傾きを取得する処理に要する時間及び/又はCPU21が行う処理を低減することができる。
なお、上記各実施形態においては、ステージ51を移動させることによって観察領域Rを移動するようにしたが、これに限らず、ステージ51を固定とし、撮像光学系14及びその他の位相差画像の撮像に係る構成を移動させることによって観察領域Rを移動して、培養容器50の観察領域Rによる走査を行うようにしてもよいし、ステージ51と撮像光学系14及びその他の位相差画像の撮像に係る構成との双方を移動させることによって観察領域Rによる走査を行うようにしてもよい。
また、上記各実施形態は、本発明を位相差顕微鏡に適用したものであるが、本発明は、位相差顕微鏡に限らず、微分干渉顕微鏡及び明視野顕微鏡等のその他の顕微鏡に適用してもよい。
また、上記各実施形態においては、撮像光学系14によって結像された位相差画像を撮像部16によって撮像するようにしたが、撮像素子を設けることなく、撮像光学系14によって結像された観察対象の位相差像をユーザが直接観察できるように観察光学系等を設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、観察制御プログラム26を二次記憶部25Bから読み出す場合を例示したが、必ずしも最初から二次記憶部25Bに記憶させておく必要はない。例えば、図39に示すように、SSD、USBメモリ、又はDVD−ROM等の任意の可搬型の記憶媒体250に先ずは観察制御プログラム26を記憶させておいてもよい。この場合、記憶媒体250の観察制御プログラム26が顕微鏡制御装置20にインストールされ、インストールされた観察制御プログラム26がCPU21によって実行される。
また、通信網(図示省略)を介して顕微鏡制御装置20に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に観察制御プログラム26を記憶させておき、観察制御プログラム26が顕微鏡制御装置20の要求に応じてダウンロードされるようにしてもよい。この場合、ダウンロードされた観察制御プログラム26はCPU21によって実行される。
また、上記各実施形態で説明した観察制御処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記各実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により観察制御処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA又はASIC等のハードウェア構成のみによって、撮影制御処理が実行されるようにしてもよい。撮影制御処理がソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせた構成によって実行されるようにしてもよい。
上記各実施形態で説明した観察制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、上述したように、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、観察制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。
観察制御処理を実行するハードウェア資源は、上述した各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、本開示の技術に係る観察制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、観察制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System−on−a−chip)などに代表されるように、観察制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、観察制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。
以下、本実施形態の効果を示す。
像面S2の傾きと撮像面16Aの傾きを一致させることにより、培養容器の底面が傾いている場合であっても、撮像光学系の観察領域内の周辺部の画像のボケを抑制することができる。
複数の動作部により、像面S2の傾き又は撮像面16Aの傾きを調整する傾き制御を行うことにより、1つの動作部のみで傾き制御を行う場合よりも調整可能な傾きの範囲を広げることができる。
複数の動作部によりオートフォーカス制御を行うことにより、1つの動作部のみでオートフォーカス制御を行う場合よりも、高速にオートフォーカスを行うことができる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
プロセッサと、撮像光学系と、焦点調節部とを含む観察装置であって、
前記プロセッサは、観察対象を支持する支持体の底面の位置を示す位置情報を取得し、
前記撮像光学系は、前記支持体に支持された前記観察対象を示す光学像を像面上に形成し、
前記焦点調節部は、前記プロセッサにより取得された前記位置情報に基づいて
前記撮像光学系の焦点位置を調節し、
前記プロセッサは、取得した前記位置情報に基づいて、前記光学像が形成された像面の
傾きと撮像素子の撮像面の傾きとを一致させる制御を行う。
(付記2)
前記プロセッサは、電気回路である付記1に記載の観察装置。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本出願は、2017年11月22日出願の日本出願である特願2017−225104の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は参照により本明細書に取り込まれる。また本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
対物レンズ14bを含む位相差レンズ14aは、図2に示す動作部15に含まれる第5の動作部15Eによって、対物レンズ14bの光軸方向に移動される。なお、本実施形態においては、対物レンズ14bの光軸方向とZ方向(鉛直方向)とは同じ方向である。位相差レンズ14aのZ方向への移動によってオートフォーカス制御が行われ、撮像部16によって取得される位相差画像のコントラストが調整される。
また、第7の動作部15Gはさらに、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bを、撮像光学系14の光軸を中心にして各々回転させる回転機構70bと、回転機構70bを回転させるための例えばモータ等の駆動源70c−2とを含む。駆動源70c−1,70c−2は、後述する制御部22から出力された制御信号に基づいて駆動される。制御部22が、第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bの少なくとも一方を回転させることにより、結像レンズ14dから出射された光線を偏向させる。第1のウェッジプリズム70A及び第2のウェッジプリズム70Bの回転方法については後で詳述する。
次にステップS3で、焦点調節部24は、ステップS2において取得部23Aによって取得された位置情報に基づいてフォーカス制御量を取得する。焦点調節部24は、上述したように、二次記憶部25Bに記憶されたテーブルを参照して、結像レンズ14dへの印加電圧、結像レンズ14dの光軸方向の移動量、撮像部16の光軸方向の移動量、ステージ51の光軸方向の移動量、対物レンズ14bの光軸方向の移動量、対物レンズ14bへの印加電圧、及び光線偏向光学系70の移動量をフォーカス制御量としてそれぞれ取得する。
次に図8に戻り、ステップS6で、制御部22は水平方向駆動部17を駆動させて、第1の変位センサ18aによって培養容器50の位置検出が行われた位置に向かって観察領域Rを移動させる。
次に、ステップS8で、制御部22は、取得したフォーカス制御量に基づいてオートフォーカス制御を行う。すなわち、制御部22は、取得したフォーカス制御量に基づいて第1の動作部15A〜第7の動作部15Gを制御することにより、結像レンズ14d、対物レンズ14b、及び光線偏向光学系70の焦点距離を変更させ、結像レンズ14d、撮像部16、ステージ51、及び対物レンズ14bをZ方向に移動させる。
また、第1〜第7の動作部15A〜15Gのうちの複数の動作部を使用することにより、1つの動作部のみでオートフォーカス制御を行う場合よりも、高速にオートフォーカス制御を行うことができる。
また、上記第1実施形態においては、動作部15はオートフォーカス制御に使用するための複数の第1〜第7の動作部15A〜15Gを含み、その全てを使用してオートフォーカス制御を行うものとしたが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、第1〜第7の動作部15A〜15Gのうちの少なくとも1つを用いてオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
また、上記第1実施形態においては、動作部15はオートフォーカス制御に使用するための複数の第1〜第7の動作部15A〜15Gを含み、その全てを使用してオートフォーカス制御を行うものとしたが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、少なくとも第7の動作部15Gの図6に示す回転機構70b及び駆動源70c−2を含み、かつ第1〜第6の動作部15A〜15F及び第7の動作部15Gの図6に示す移動機構70a及び駆動源70c−1のうちの1つ以上を含んでいればよい。この場合、含まれた動作部の全てをオートフォーカス制御に使用しなくても、少なくとも1つの動作部を使用してオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
図23は、観察領域Rの移動方向が、図23の矢印方向(図23の右方向)である場合における変位センサ19aの位置を示す図である。一方、図24は、観察領域Rの移動方向が、図24の矢印方向(図24の左方向)である場合における変位センサ19aの位置を示す図である。観察領域Rの移動方向が図23の矢印方向から図24の矢印方向に変更された場合には、変位センサ19aは図23に示す位置からガイド機構19bのガイド部材に沿って移動し、図24に示す位置に切り替えられる。
また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、動作部15は、撮像部16の傾きを調整する第14の動作部15Qを含む。第14の動作部15Qは、一例として圧電素子及び高電圧を印加させる駆動源を含み、制御部22が像面S2の傾きに基づいて出力した制御信号に基づいて駆動する。ここで、制御部22による撮像部16の傾きの調整が、本開示の技術における第3の制御の一例である。なお第14の動作部15Qの構成は圧電素子に限定されず、撮像部16を傾けることが可能なものであればよく、例えば各種モータ及び/又はソレノイド等を含むものであってもよいし、その他の公知な構成を用いることができる。また、本第7実施形態の顕微鏡装置においては、第14の動作部15Qにより撮像部16を傾けるものとしたが、本開示の技術はこれに限られず、撮像素子を傾ける機構を設け、撮像素子のみを傾けるようにしてもよい。
なお、上記第1,第2,第4,第5,第7,及び第8実施形態の顕微鏡装置においては、第1の変位センサ18a及び第2の変位センサ18bを位相差レンズ14aを挟んでX方向に並べて設けているが、さらに図31に示すように、第5の変位センサ18a−2及び第6の変位センサ18a−3を第1の変位センサ18aを挟んでY方向に並べて設け、第7の変位センサ18b−2及び第8の変位センサ18b−3を第2の変位センサ18bを挟んでY方向に並べて設けてもよい。この場合、制御部22は第1,第5,第6の変位センサ18a,18a−2,18a−3を同時に検出させ、第2,第7,第8の変位センサ18b,18b−2,18b−3を同時に検出させる。
また、上記第3及び第6実施形態の顕微鏡装置においては、検出部19が1つの変位センサ19aを有し、観察領域Rの移動方向の変更に応じて、その変位センサの位置を切り替えている。検出部19は、変位センサ19a、および変位センサ19aを案内してその位置を移動させるガイド機構19bを備えているが、このガイド機構19bにさらに図32に示すように、第2の変位センサ19a−2及び第3の変位センサ19a−3を変位センサ19aが観察領域Rの右隣に位置する場合に、観察領域Rを挟んでY方向に並べて設けてもよい。なおガイド機構19bはガイド部材に沿って変位センサ19aと共に第2の変位センサ19a−2及び第3の変位センサ19a−3を移動させる。ガイド部材は、撮像光学系14を挟んでX方向について一方の側から他方の側に変位センサ19a、第2の変位センサ19a−2、及び第3の変位センサ19a−3を移動させる。なお、この場合、制御部22は変位センサ19a及び第2,第3の変位センサ19a−2,19a−3を同時に検出させる。
また、培養容器50の識別情報については、ユーザが設定入力するのではなく、培養容器50にバーコード及び/又はQR(Quick Response)コード(登録商標)などを付与し、そのバーコード及び/又はQRコード(登録商標)を読み取ることによって識別情報を取得するようにしてもよい。なお、培養容器50の識別情報は、例えば製造メーカの型式番号であってもよいし、製造番号であってもよい。なお、必ずしも上記テーブルを二次記憶部25Bに記憶しておかなくても、培養容器50の識別情報から予め計測された位置情報を取得部23Aに取得させてもよい。
また、上記各実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成により観察制御処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA又はASIC等のハードウェア構成のみによって、観察制御処理が実行されるようにしてもよい。観察制御処理がソフトウェア構成とハードウェア構成との組み合わせた構成によって実行されるようにしてもよい。