JPWO2018100691A1 - スライドファスナー用スライダー - Google Patents

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Abstract

本発明のスライダー(1)では、スライダー胴体(10,10a)の上翼板(20)とカバー体(30,30a)の自由端部(33)との間には引手挿通間隙(16)が設けられるとともに、引手挿通間隙(16)を開閉する開閉部材(50,50a)が配される。開閉部材(50,50a)は、停止爪体(40,40a)とスライダー幅方向に並列に配され、且つ、開閉部材(50,50a)の後端部を、引手(70)の取付軸部(71)の通過位置と、引手(70)の取付軸部(71)の通過を遮断する遮断位置との間を上下に揺動可能に配される。開閉部材(50,50a)は、遮断位置に向けて付勢される。このようなスライダー(1)は、引手(70)を後付け可能であり、且つ、停止機構を備えているとともに、製造コストの大幅な削減を実現できる。

Description

本発明は、スライドファスナーに用いられるスライダーに関し、特に、カバー体が固定されたスライダー胴体に対して引手を後から取り付けることが可能なスライダーに関する。
スライドファスナーでは、スライダーをエレメント列に沿って摺動させることにより、左右のエレメント列を分離・噛合させる。一般に、スライダーは、案内柱により所定の間隔をおいて前端側が連結された上翼板及び下翼板を有するスライダー胴体と、スライダーを操作するための摘み部となる引手と、スライダー胴体の上翼板との間で引手を移動及び回動可能に保持するカバー体(引手保持体とも言う)部品を主に有する。
また従来から、例えば衣料品や鞄等のメーカー側において顧客の要求や好みに容易に対応できるように、カバー体が固定されたスライダー胴体に対し、所望の色や形態を有する引手を後から取り付けることが可能なスライダーが知られている。またその他に、スライダーの構成部品として停止爪体を有することにより、スライダーの非操作時にスライダーの停止位置でスライダーを摺動しないように保持する停止機構を備えるスライダーも知られている。
このように引手を後から取り付け可能に形成されるとともに停止機構を備えるスライダーが、例えば実公平4−32974号公報(特許文献1)、国際公開第2014/080532号公報(特許文献2)、特開2009−106611号公報(特許文献3)などに開示されている。
例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているスライダーは、スライダーの構成部品として、スライダー胴体と、引手と、カバー体と、停止爪体と、その停止爪体を付勢する第1付勢部材(第1弾性部材)と、引手を後から取り付け可能にするためにスライダー胴体の上翼板に摺動可能に嵌着される摺動部材と、その摺動部材を付勢する第2付勢部材(第2弾性部材)とを有する。
特許文献2のスライダーについて、図17及び図18を参照しながら簡単に説明する。図17及び図18に示した特許文献2のスライダー80は、上翼板81及び下翼板82を有するスライダー胴体83と、取付軸部84が一端部に配される引手85と、上翼板81に片持ち状に固定されるカバー体86と、スライダー胴体83に枢支ピン87を介して揺動可能に配される停止爪体88と、停止爪体88を付勢する板バネ部材89と、上翼板81の上面部に設けたガイド溝81aに摺動可能に嵌着される摺動部材91と、その摺動部材91を付勢するコイルスプリング92とを有する。
この場合、板バネ部材89は、スライダー胴体83の前端部に設けたバネ室83aに設置される。また、板バネ部材89の上には、停止爪体88の基端部が載置され、その停止爪体88の基端部を上方に向けて付勢する。停止爪体88は、枢支ピン87で揺動可能に枢支される。
このため、停止爪体88は、板バネ部材89から付勢されることにより、停止爪体88の後端部に設けた爪部88aを下方に移動させて、スライダー胴体83の上翼板81及び下翼板82間に形成されるエレメント案内路内に突出させることができる。
摺動部材91は、コイルスプリング92によって後方に向けて付勢された状態で、上翼板81のガイド溝81aに嵌着される。この場合、上翼板81の後端部に突設された突片部81bが内側に向けて押し曲げられることにより、摺動部材91が上翼板81のガイド溝81aから抜け落ちることが防止される。
特許文献2のスライダー80では、スライダー胴体83に、先ず、上述したコイルスプリング92、摺動部材91、板バネ部材89、停止爪体88、及びカバー体86を順番に組み付けることによって、図18に示すスライダー80の一次組立体80aを作製する。
次に、作製した一次組立体80aに対して、上翼板81とカバー体86の自由端部との間に形成される間隙(引手挿通間隙)から、引手85の取付軸部84を、同取付軸部84で摺動部材91を押圧して摺動させながら挿入することにより、引手85が一次組立体80aに取り付けられる。これにより、スライダー80が製造される。
なお、一次組立体80aに引手85を取り付ける場合、引手85の取付軸部84で摺動部材91をスライダー長さ方向(スライダー摺動方向)に押して摺動させるが、特許文献2では、引手85の取付軸部84をカバー体86の自由端部に設けた退避凹部86aに移動させることにより、摺動部材91を2段階で押圧する作業(2段階の摺動操作)が行われる。
上述のような特許文献2では、スライダー80の一次組立体80aに対して、所望の色や形態を有する引手85を後から取り付けることが可能である。また、特許文献2のスライダー80は、板バネ部材89で付勢される停止爪体88による停止機構を備える。
一方、例えば図19に示すように、特許文献3に記載されているスライダー100は、スライダー100の構成部品として、スライダー胴体101、引手102、カバー体103、停止爪体104、及び摺動部材105を有する。また、特許文献3のスライダーでは、停止爪体104と摺動部材105とが一つの板バネ部材106で付勢される。
すなわち、上述した特許文献2のスライダー80では、停止爪体88と摺動部材91とが、それぞれ別々の付勢部材(すなわち、板バネ部材89及びコイルスプリング92)で付勢されているが、特許文献3のスライダー100では、停止爪体104と摺動部材105とが、カバー体103に固定される単一の板バネ部材106によって付勢される。それにより、特許文献3のスライダー100は、例えば特許文献1のスライダーや特許文献2のスライダー80に比べて、スライダー構成部品の点数を少なくして形成することができる。このため、製造コストの削減や組立作業の効率化が期待される。
実公平4−32974号公報 国際公開第2014/080532号公報 特開2009−106611号公報
特許文献1〜特許文献3に記載されているスライダーでは、スライダーの一次組立体に対して引手を取り付けることが可能にするために、スライダー構成部品として、付勢部材により付勢される摺動部材が、スライダー胴体の上翼板に摺動可能に取り付けられる。
ところで、スライドファスナーのスライダーでは、スライドファスナーが取り付けられるファスナー被着製品の用途等により、スライダーの高さ寸法が大きくならないように高さ制限が定められることがあるが、前後方向に摺動する摺動部材をスライダーに設けることにより、スライダーの高さ寸法が障害になることなく(高さ制限を気にすることなく)、引手の後付けを可能にすることができる。
このように引手の後付けを可能にする摺動部材をスライダー胴体の上翼板に取り付けるためには、上翼板に、付勢部材を摺動可能に嵌着するための複雑な形状を有するガイド溝を、上翼板の後口側端部から前方に向けて設けることが必要となる。
一方、スライダー胴体は、一般に、アルミニウム合金や亜鉛合金などの金属材料をダイキャスト成形することにより、又は、ポリアミドやポリアセタールなどの熱可塑性樹脂材料を射出成形することにより作製される。しかし、スライダー胴体が上述のように複雑な形状のガイド溝を有する場合、成形用金型の製作コストの増大を招く。
また、ダイキャスト成形や射出成形では、一般的に1回の成形工程において、複数個の同じ形状の成形品が同時に成形される。しかし、スライダー胴体が上述のように複雑な形状のガイド溝を有する場合、スライダー胴体の1回の成形工程において成形可能な成形個数の減少を招く。
更に、特許文献1のスライダーや特許文献2のスライダー80では、スライダー80の一次組立体80aを組み立てる際に、摺動部材91を付勢する付勢部材(コイルスプリング92)をスライダー胴体83に取り付けてから、摺動部材91をスライダー胴体83の後方からガイド溝81aに挿し込み、更に、摺動部材91がガイド溝81aから抜け落ちないように、上翼板81の後端部に突設した左右の突片部81bを押圧して内側に曲げるように塑性変形させるという細かな作業を、順番に且つ精確に行うことが必要となる。
また、特許文献3のスライダー100においても、摺動部材105をスライダー胴体101の後方からガイド溝に挿し込んでから、上翼板の後端部に突設した左右の突片部を押圧して塑性変形させるという細かな作業を精確に行うことが必要となる。このため、一次組立体の組立作業が煩雑になり易く、組立作業の効率化が図れないこと、また、組立工程に要するコストが増大することが指摘されていた。
従って、スライダー胴体の上翼板に摺動部材が摺動可能に取り付けられる特許文献1〜特許文献3のスライダーは、一次組立体に対する引手の取り付け(すなわち、引手の後付け)が可能に形成され、且つ停止機構を有するものの、上述のような理由により製造コストが増大する傾向にあり、コストダウンを図ることが要望されていた。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、引手を後から取り付けることが可能で、且つ、停止爪体による停止機構を備えるスライダーにあって、スライダー胴体の成形性や一次組立体の組み立て作業性の向上を図ることが可能な形状を有し、低コストで提供可能なスライダーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるスライドファスナー用スライダーは、上翼板と下翼板が案内柱により連結されたスライダー胴体と、取付軸部を一端部に備える引手と、爪基端部と前記爪基端部から延出する上側アーム部及び下側アーム部と前記下側アーム部に配される爪部とを備える停止爪体と、前記停止爪体の一部を内部に収容するとともに前記上翼板に片持状に固定されるカバー体とを備え、前記停止爪体は、前記上翼板に向けて付勢され、前記上翼板と前記カバー体の自由端部との間には前記引手の前記取付軸部を挿通可能な引手挿通間隙が設けられ、前記停止爪体は、前記上側アーム部及び前記下側アーム部を前記スライダー胴体に対して上下に揺動可能に配され、前記停止爪体は、前記上翼板に向けて付勢されることにより、前記爪部を前記上翼板及び前記下翼板間に形成されるエレメント案内路に突出させるスライドファスナー用スライダーであって、前記引手挿通間隙を開閉する開閉部材が、前記停止爪体とスライダー幅方向に並列に配され、且つ、前記開閉部材の後端部を、前記スライダー胴体に対して前記引手挿通間隙を開いて前記引手の前記取付軸部を通過させる通過位置と、前記取付軸部の通過を遮断する遮断位置との間を上下に揺動可能に配され、前記開閉部材は、前記遮断位置に向けて付勢されてなることを最も主要な特徴とするものである。
このような本発明に係るスライダーにおいて、前記停止爪体と前記開閉部材とを付勢する付勢部材が配されていることが好ましい。
また、前記開閉部材は、被支持基部と、前記被支持基部から前記引手の前記取付軸部の上方を越えるように後方に延びる架橋部と、前記架橋部から後方に延びるとともに前記引手の前記取付軸部の後方を塞ぐように下方に張り出すストッパー部とを有し、前記ストッパー部の前端部は、引手軸受け面を有することが好ましい。
この場合、前記引手軸受け面は、前記ストッパー部の下端部が前方へ下り傾斜するように湾曲又は傾斜していることが好ましい。また、前記開閉部材の前記ストッパー部は、前記架橋部よりもスライダー幅方向に太く形成される幅広部を有することが好ましい。
また本発明では、前記上翼板の前端部に取付支持柱が立設され、前記取付支持柱に、前記停止爪体の前記爪基端部と、前記開閉部材の前記被支持基部とが揺動可能に支持されることが好ましい。
本発明のスライダーにおいて、前記上翼板は、前記上翼板の後半部に立設される左右一対の縦壁部を有し、前記カバー体の前記自由端部は、前記スライダーの側面視において、前記縦壁部に対向して下向きの凹状に形成される対向縁部を有することが好ましい。
また本発明のスライダーにおいて、前記上翼板は、前記開閉部材の前記ストッパー部を挿入可能な間隔を開けてスライダー幅方向に離間して配される左右一対の縦壁部を有し、左右の前記縦壁部は、左右の前記縦壁部間の間隔を、前記ストッパー部のスライダー幅方向における最大寸法に合わせて配されることが好ましい。
上述のように前記上翼板が左右一対の前記縦壁部を有する場合、前記上翼板は、前記引手が接する第1上面と、前記第1上面よりも後方に且つ高さ位置を低くして配される第2上面と、左右の前記縦壁部の後方に設けられるとともに前記第1上面と前記第2上面との間に配される段差部とを有することが好ましい。
この場合、前記開閉部材は、左右の前記縦壁部よりも後方に突出する後端突出部を有し、前記開閉部材の前記後端突出部は、前記スライダーの側面視において前記段差部の段差面に交差する向きに配されるとともに前記引手の挿入時に前記取付軸部を当接させる当接面を有することが特に好ましい。
更に本発明のスライダーにおいて、前記付勢部材は、前記開閉部材と前記停止爪体とを付勢する単一の板バネ部材により形成されていることが好ましい。
本発明に係るスライダーは、上翼板及び下翼板間に略Y字状のエレメント案内路が設けられるスライダー胴体と、取付軸部(リンク部)を一端部に備える引手と、爪基端部から上側アーム部及び下側アーム部が後方に延出する停止爪体と、上翼板とカバー体の自由端部との間に形成される引手挿通間隙を開閉する開閉部材と、スライダー胴体の上翼板に片持状に固定され、引手の取付軸部の移動範囲を規制するカバー体とを有する。
本発明の停止爪体は、停止爪体の後端部(すなわち、上側アーム部及び下側アーム部)をスライダー胴体に対して上下に揺動可能に配されるとともに、停止爪体の下側アーム部に設けた爪部がスライダー胴体のエレメント案内路内に突出するように付勢される。これにより、スライダーは、スライダーの非操作時に、停止爪体のエレメント案内路に突出する爪部を、同エレメント案内路に挿通されるエレメント列のファスナーエレメントに係止させて、スライダーをエレメント列に対して停止位置で保持する(ロックするとも言う)ことが可能な停止機構を備えることができる。
また本発明のスライダーにおいて、開閉部材は、停止爪体とは別部材として形成されるとともに、停止爪体とスライダー幅方向に並列に配されている。ここで、開閉部材が停止爪体とスライダー幅方向に並列に配されるとは、開閉部材の少なくとも一部が、停止爪体に沿うようにして横(左右方向)に並んで配置されることを言い、例えば開閉部材の少なくとも一部と停止爪体とが互いに平行に配置される場合だけでなく、開閉部材の少なくとも一部における幅方向の中心部が、停止爪体に対し、所定の傾斜角度(例えば20°)以下の範囲で傾斜している状態で開閉部材が停止爪体に沿って配置される場合も含まれる。特にこの場合、開閉部材の少なくとも一部と停止爪体とが、スライダー長さ方向に沿うように配置されていることが好ましい。
停止爪体と並列に配される開閉部材は、同開閉部材の後端部が、引手挿通間隙を引手の取付軸部が通過可能に開く通過位置と、引手挿通間隙を閉鎖して引手の取付軸部の通過を遮断する遮断位置との間を上下方向に揺動可能に配される。更に、その開閉部材は、遮断位置に向けて付勢される。
このような本発明のスライダーであれば、開閉部材を遮断位置と通過位置との間で上下に揺動させることにより、前述の特許文献1〜特許文献3に記載されているような摺動部材を用いなくても、引手をスライダー(一次組立体)に後から取り付けることを可能にすることができる。
また、上下に揺動可能な開閉部材を、上側アーム部及び下側アーム部が上下に揺動可能な停止爪体と、上述のように並列して配置することにより、スライダー全体の高さ寸法を、大幅に増大させることなくスライダーを形成することができる。このため、スライダーに高さ制限が求められるような場合でも、本発明のスライダーを、例えば前述の特許文献1〜特許文献3のような摺動部材を有する従来のスライダーと略同様に用いることができる。
更に本発明のスライダーは、前述の特許文献1〜特許文献3のような摺動部材を用いないため、スライダー胴体に、摺動部材を嵌着させるためのガイド溝や、摺動部材の脱落を防ぐための突片部を設ける必要がなく、スライダー胴体を、前述の特許文献1〜特許文献3のスライダー胴体に比べて簡単な形状又は簡単な構造で形成することができる。
このため、スライダー胴体の成形に用いられる金型も、特許文献1〜特許文献3の場合よりも簡単な構造で形成することができるため、金型の製作コストを削減することが可能となる。また、スライダー胴体の1回の成形工程において成形可能な成形個数を、特許文献1〜特許文献3の場合よりも容易に増大させることもできる。
更に、本発明のスライダーの場合、後述するように、スライダーの一次組立体を組み立てる際に、開閉部材を、停止爪体と並ぶようにスライダー胴体の所定の位置に載置することによって簡単に組み付けることが可能であり、特許文献1〜特許文献3のスライダーの組み立て作業のような細かくて煩雑な作業を行う必要がなくなる。このため、本発明のスライダーでは、スライダーの組み立て作業性を大きく向上させることができる。
従って、本発明のスライダーは、特許文献1〜特許文献3のスライダーに比べて製造コストを大幅に削減することができる。このため、引手の後付けが可能に形成され、且つ停止機構を有するスライダーを、従来よりも安価に市場に提供することが可能となる。
なお本発明では、開閉部材と停止爪体とが、それぞれ別部材で形成されることにより、引手を引っ張ってスライダーを摺動操作するときに、開閉部材と停止爪体とを別々に独立して揺動させることができ、また、揺動させるタイミング(言い換えると、引手の取付時部が接触して持ち上げるタイミング)を開閉部材と停止爪体と間でずらすことができる。このため、停止爪体が引手の取付軸部によって持ち上げられることによってスライダーのロック状態が解除されるときでも、開閉部材を停止爪体と別に動作させることによって、開閉部材が、停止爪体の揺動に合わせて通過位置まで持ち上げられることはなく、開閉部材によって、スライダー胴体とカバー体との間に保持されている引手の取付軸部が引手挿通間隙を通って外側に抜け出ることを安定して防止できる。
このような本発明に係るスライダーでは、停止爪体と開閉部材とを付勢する付勢部材が、例えばカバー体に取り付けられること等により配されている。このような付勢部材を用いることにより、停止爪体を爪部がスライダー胴体のエレメント案内路内に突出するように安定して付勢できる。また、開閉部材を、遮断位置に向けて安定して付勢することもできる。この場合、付勢部材は、停止爪体を爪部がエレメント案内路内に突出する方向に付勢し、その停止爪体を付勢する同じ付勢部材が、開閉部材を遮断位置に向けて付勢することが好ましい。なお本発明において、停止爪体は、停止爪体を付勢する付勢部(弾性片)が当該停止爪体に一体的に設けられて形成されていても良い。また、開閉部材は、開閉部材を付勢する付勢部(弾性片)が当該停止爪体に一体的に設けられて形成されていても良い。これにより、独立した付勢部材をスライダーに設置しなくても、停止爪体を爪部がエレメント案内路内に突出するように付勢するとともに、開閉部材を遮断位置に向けて付勢することが可能である。
本発明において、開閉部材は、開閉部材の前端部に配される被支持基部と、その被支持基部から、取着された引手の取付軸部の上方を越えるように後方に延びる架橋部と、架橋部から後方に延びるとともに引手の取付軸部の後方を塞ぐように下方に張り出すストッパー部とを有する。また、ストッパー部の前端部は、引手の取付軸部を接触させることが可能な引手軸受け面を有する。
これにより、本発明の開閉部材を、比較的簡単な形状で形成することができ、また、スライダー胴体に対し、開閉部材の後端部が前記通過位置と前記遮断位置との間を上下方向に揺動可能に安定して取り付けることができる。更に、上述のような形状を有する開閉部材は、スライダー胴体とカバー体との間に保持される引手の取付軸部が外側に抜け出ないように、引手挿通間隙を安定して遮断することができる。
この場合、停止爪体の爪基端部と開閉部材の被支持基部とは、スライダー胴体に直接的に枢支され、又は、例えば後述する枢支ピン等を用いることによりスライダー胴体に間接的に枢支されることが好ましい。ここで、停止爪体及び開閉部材がスライダー胴体に枢支されるとは、凸部分と凹部分とが対応する部分に設けられるとともに、凸部分と凹部分とが接することによって停止爪体及び開閉部材が相対的に回動自在(揺動自在)に支持されることを言う。停止爪体及び開閉部材がスライダー胴体に枢支されることには、例えば停止爪体及び開閉部材に設けられた凹部が、スライダー胴体に直接的に又は間接的に設けられた円弧状の凸部に覆い被さるとともに、その凹部の少なくとも一部が凸部に摺接しながら又は当接して揺動することが含まれる。
本発明の開閉部材において、ストッパー部の引手軸受け面は、ストッパー部の下端部が前方へ下り傾斜するように湾曲又は傾斜している。これにより、開閉部材のストッパー部に引手の取付軸部を接触させたときに、引手の取付軸部がストッパー部の下方に回り込むことを防いで、引手の取付軸部が引手挿通間隙に侵入して抜け出すことを効果的に防止できる。
また、開閉部材のストッパー部は、架橋部よりもスライダー幅方向に太く形成される幅広部を有する。これにより、ストッパー部の強度を高めることができる。また、このような開閉部材が付勢部材で付勢されることにより、太いストッパー部で引手挿通間隙をより安定して遮断することができる。更に、スライダー(一次組立体)を組み立てるときに、開閉部材の位置決め作業を容易に行うことができるとともに、開閉部材に並列して配される停止爪体の位置決め作業も容易に行うことができる。このため、スライダーの組み立て作業性を更に向上させることができる。
本発明のスライダーにおいては、上翼板の前端部に取付支持柱が立設されている。また、その取付支持柱に、停止爪体の爪基端部と、開閉部材の被支持基部とが接触してそれぞれ揺動可能に支持される。これにより、引手の後付けが可能で且つ停止機構を有するスライダーを、比較的簡単な構造で形成できる。また、スライダーに取り付けられた停止爪体及び開閉部材を取付支持柱に安定して揺動可能に組み付けることができるとともに、停止爪体と開閉部材とを別々に円滑に揺動させることができる。
更に本発明のスライダーにおいて、スライダー胴体の上翼板は、上翼板の後半部に立設される左右一対の縦壁部を有する。ここで、上翼板の後半部とは、上翼板の長さ方向における中心位置よりも後口側に配される部分を言う。
例えば引手の形態として、引手の取付軸部が比較的長く形成されている場合や円弧状に形成されている場合、引手の取付軸部がスライダー胴体とカバー体との間に保持されている状態において、その引手の取付軸部は、カバー体の下に配される保持部分と、カバー体から外側に出る露出部分(保持部分以外の部分)とを有することがある。
このような引手が、通常の一般的なスライダーに取り付けられている状態において、例えばカバー体に対して捩じられるように傾けられた場合、取付軸部の上記露出部分が、上翼板とカバー体の自由端部との間の引手挿通間隙に入り込むことがある。このように引手の取付軸部がスライダー胴体とカバー体との間に保持されている状態で取付軸部の露出部分が引手挿通間隙に入り込むと、その取付軸部の露出部分によって開閉部材が持ち上げられてしまい、その結果、引手が捩られながら引手の取付軸部がスライダー胴体とカバー体との間から抜け出る虞が考えられる。
これに対して、上述のような左右一対の縦壁部が上翼板の後半部に設けられることにより、スライダーに取り付けられた引手が、例えばカバー体に対して捩じられるように傾けられた場合でも、引手の取付軸部の露出部分が引手挿通間隙に入り込むことを縦壁部で効果的に防止できる。このため、上述のような引手の捩じれによって取付軸部がスライダー胴体とカバー体との間から抜け出るような不具合が生じることを防止できる。
更にこの場合、カバー体の自由端部が、スライダーの側面視において、縦壁部に対向して下向きの凹状に形成される対向縁部を有することにより、上翼板の後半部に上述のような左右の縦壁部が設けられていても、上翼板とカバー体との間に設けられる引手挿通間隙が、引手の取付軸部を挿通可能な大きさを安定して確保することができる。
また本発明のスライダーにおいて、上翼板は、開閉部材のストッパー部を挿入可能な間隔を開けてスライダー幅方向に離間して配される左右一対の縦壁部を有するとともに、これらの左右の縦壁部は、左右の縦壁部間の間隔(スライダー幅方向における寸法)を、ストッパー部のスライダー幅方向における最大寸法に合わせて配されている。
このように左右一対の縦壁部が上翼板に設けられることにより、上述したように、スライダーに取り付けられた引手が、例えばカバー体に対して捩じられるように傾けられた場合でも、引手の取付軸部の露出部分が引手挿通間隙に入り込むことを効果的に防止できる。また、スライダーの一次組立体の組み立て作業において、スライダー胴体に開閉部材を取り付けるときに、開閉部材の位置決めを確実に行うことができるため、組み立て作業性をより向上させることができる。また、スライダー胴体に組み付けられた開閉部材の位置がずれることを効果的に防止できるため、スライダーの故障や破損をより発生させ難くすることができる。
また本発明のスライダーにおいて、上述のように上翼板が左右一対の前記縦壁部を有する場合、上翼板は、スライダーに取り付けられた引手が非操作時に接する第1上面と、その第1上面よりも後方に且つ高さ位置を低くして配される第2上面と、左右の縦壁部の後方に設けられるとともに第1上面と第2上面との間に配される段差部とを有する。これにより、上翼板に左右の縦壁部が設けられていても、スライダー全体の高さ寸法を大きくすることなく、引手の取付軸部を、上翼板とカバー体の自由端部との間の引手挿通間隙に挿し込み易くすることができるため、スライダーの一次組立体に引手をより容易に取り付けることが可能となる。
更にこの場合、開閉部材は、左右の縦壁部よりも後方に突出する後端突出部を有する。また、その開閉部材の後端突出部は、スライダーの側面視において段差部の段差面に交差する向きに配されるとともに引手の取付軸部の挿入時にその取付軸部を当接させて開閉部材の揺動を促す当接面を有する。これにより、引手の取付軸部を、上翼板とカバー体の自由端部との間の引手挿通間隙に挿し込んだときに、引手の取付軸部で、開閉部材を付勢部材の付勢力(弾性力)に抗して安定して持ち上げて通過位置に移動させることができる。このため、スライダーの一次組立体に引手を容易に且つ安定して取り付けることが可能となる。
また本発明のスライダーにおいて、付勢部材は、開閉部材と停止爪体とを付勢する単一の板バネ部材により形成されている。このように付勢部材が単一の板バネ部材により形成されていれば、例えばコイルスプリングを用いる場合に比べてコストを低く抑えることができる。また、本発明のスライダーを、例えば前述の特許文献3のスライダーに比べてスライダーの構成部品の点数を増やすことなく形成することが可能となる。更に、スライダー胴体又はカバー体に対する付勢部材の取付作業も比較的簡単に行うことができる。
本発明の実施例1に係るスライダーが分解された状態を示す分解斜視図である。 スライダーの一次組立体が分解された状態を示す側面図である。 一次組立体の側面図である。 一次組立体の平面図である。 図4に示したV−V線における断面図である。 図4に示したVI−VI線における断面図である。 スライダー胴体、停止爪体、及び開閉部材の組み付け状態を示す平面図である。 図7に示したVIII−VIII線における断面図である。 引手の取付作業において、引手の取付軸部が一次組立体の引手挿通間隙に挿し込まれる状態を説明する断面図である。 引手の取付作業において、引手の取付軸部で開閉部材が持ち上げられて通過位置に移動する状態を説明する断面図である。 引手の取付作業において、引手の取付軸部で停止爪体が持ち上げられる状態を説明する断面図である。 引手の取付軸部が停止爪体の上側アーム部及び下側アーム部間に収容された状態を説明する断面図である。 スライダーの摺動操作において引手の取付軸部で停止爪体を持ち上げる状態を説明する断面図である。 スライダーの摺動操作において停止爪体によるロック状態が解除される状態を説明する断面図である。 実施例1の変形例1を示す部分断面図である。 実施例1の変形例2に係るスライダーを示す断面図である。 特許文献2に記載されている従来のスライダーが分解された状態を示す分解斜視図である。 特許文献2のスライダーの断面図である。 特許文献3に記載されている従来のスライダーを示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図14は、本実施例1に係るスライドファスナー用スライダーを示している。ここで、図1は、スライダーの分解斜視図であり、図2は、スライダーの一次組立体の分解側面図である。図3及び図4は、一次組立体の側面図及び平面図である。図5及び図6は、図4に示したV−V線における断面図及びVI−VI線における断面図である。また、図7は、スライダー胴体に停止爪体と開閉部材を組み付けた状態を示す平面図である。
なお、以下の説明において、前後方向とは、スライダーの長さ方向又は摺動方向を言い、特に、スライダーが左右のエレメント列を噛合させるために移動する方向を前方(肩口側方向)とし、エレメント列を分離させるために移動する方向(後口側方向)を後方とする。また、上下方向とは、スライダーの高さ方向を言い、特に、スライダーのスライダー胴体に対してカバー体(又は引手)が取り付けられる側を上方とし、その反対側の方向を下方とする。更に、左右方向とは、スライダーの幅方向を言い、スライダーの摺動方向と高さ方向とに直交する方向である。
本実施例1に係るスライドファスナー用スライダー1は、図1に示すように、スライダー胴体10、カバー体30、停止爪体40、開閉部材50、付勢部材である板バネ部材60、及び引手70の6つの構成部品により形成されており、後述するように停止爪体40による停止機構を備える。
本実施例1において、カバー体30及び停止爪体40は、ステンレス、銅合金、及び亜鉛合金等の金属材料をプレス成形やダイキャスト成形することにより作製されている。スライダー胴体10、開閉部材50、及び引手70は、アルミニウム合金や亜鉛合金などの金属材料をダイキャスト成形することによって作製されている。なお、スライダー胴体10、カバー体30、停止爪体40、開閉部材50、及び引手70は、金属材料に代えて、それぞれポリアミド、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂や耐摩耗性強化材を添加した熱可塑性樹脂材料など射出成形することにより作製することも可能である。
スライダー胴体10は、ダイキャスト成形によって全体が一体的に形成されている。このスライダー胴体10は、上翼板20と、上翼板20と平行に配される下翼板11と、上翼板20の前端部(肩口側端部)と下翼板11の前端部(肩口側端部)を連結する案内柱12と、上翼板20の左右側部に垂設される左右の上フランジ部13と、下翼板11の左右側部に立設される左右の下フランジ部14とを有する。
スライダー胴体10の前端部には、案内柱12を間に挟んで左右の肩口が形成され、スライダー胴体10の後端部には後口が形成されている。左右の肩口と後口とを連通するように略Y字形状のエレメント案内路が、上翼板20、下翼板11、左右の上フランジ部13、及び左右の下フランジ部14に囲まれて形成されている。スライダー胴体10の左右側縁部には、図示しないスライドファスナーのファスナーテープを挿通させるためのテープ挿通間隙が、左右の上フランジ部13と左右の下フランジ部14との間に形成されている。
上翼板20の前端部上面には、取付支持柱21が立設される。この取付支持柱21は、停止爪体40及び開閉部材50を揺動可能に支持(枢支)する枢支凸部21aと、枢支凸部21aの左右両側に配される左右の支持壁部21bとを有する。左右の支持壁部21bは、停止爪体40と開閉部材50の両部品を挿入(嵌入)可能な間隔をもって離間して配されている。すなわち、左右の支持壁部21bの内側面間の間隔(スライダー幅方向の寸法)は、停止爪体40の爪基端部41の幅寸法と開閉部材50の被支持基部51の幅寸法とを加算した合計の大きさよりも大きく設定されている。
また、左側の支持壁部21bの外側面と右側の支持壁部21bの外側面とのスライダー幅方向における寸法は、カバー体30の後述する左右側壁部35の内壁面間のスライダー幅方向における寸法と同じ大きさ又は僅かに小さい大きさに設定されている。なお、以下の説明では、スライダー幅方向における寸法を「幅寸法」と略記することがある。
また、上翼板20の前端部には、カバー体30の固定端部を嵌着するための嵌着凹部22が取付支持柱21の前方部から左右側方部に亘って設けられている。更に、この嵌着凹部22の左右両側には、左右の摺動溝部23が、上翼板20の前端から取付支持柱21の後端近傍位置にかけて、左右側方に凹設されている。左右の摺動溝部23は、スライダー胴体10を前方側から見たときに、嵌着凹部22の下端部から左右外側に向けてスライダー幅方向に延びるように形成されている。更に、左右の摺動溝部23は、カバー体30の後述するカバーフランジ部32の形状に対応して、スライダー1の長さ方向に連続的に設けられている。
この上翼板20には、取付支持柱21の後方側に、上翼板20の上面(後述する第1上面)26aからエレメント案内路に貫通する爪孔15が、停止爪体40の後述する下側アーム部43を収容するとともに停止爪体40の後述する爪部44をエレメント案内路に突出させることが可能な大きさで形成されている。
上翼板20における長さ方向の中心位置(上翼板20の長さ寸法が最も大きい部分における長さ方向の中心位置)よりも後方の領域には、上翼板20の上面26aから略三角形状に突出する左右一対の縦壁部24が配されている。縦壁部24は、図3に示すようなスライダー1(一次組立体1a)の側面視において、縦壁部24の上端(頂端)から前方に向けて下り傾斜する前側傾斜面と、縦壁部24の上端から後方に向けて下り傾斜する後側傾斜面とを有する。
この場合、上翼板20の上面26aに対する縦壁部24の前側傾斜面の傾斜角度は、上翼板20の上面26aに対する縦壁部24の後側傾斜面の傾斜角度よりも小さく設定されている。また、縦壁部24の後側傾斜面は、引手70と後から取り付けるときに引手70の取付軸部71を滑らかに案内できるように、上翼板20に設けられる後述の段差部25の段差面と連続的な斜面を形成するように配されている。
また、左右の縦壁部24は、互いにスライダー幅方向に離間して配されている。この場合、左右の縦壁部24の内壁面間の幅寸法W1は、開閉部材50の後述するストッパー部53を左右の縦壁部24間に嵌入可能な大きさに、具体的には、開閉部材50のストッパー部53のスライダー幅方向における最大寸法と同じ大きさに(又はその最大寸法より僅かに大きく)設定されている。この場合、左右の縦壁部24間における上翼板20の上面26aは、開閉部材50のストッパー部53を載置する載置面となる。本実施例1において、この載置面は、爪孔15から段差部25に向けて後方へ下り傾斜する傾斜面に形成されている。
一方、左右の縦壁部24の外壁面間の幅寸法W2は、カバー体30の左右側壁部35の外壁面間の幅寸法よりも大きく設定されている。これにより、衣服等のファスナー被着製品を洗濯する場合等において、スライダー1に取り付けられた引手70が、例えばカバー体30に対して捩じられるように傾けられても、引手70の取付軸部71が、上翼板20とカバー体30の自由端部33との間に設けられる引手挿通間隙16に入り込むことをより効果的に左右の縦壁部24で防止できる。
なお本発明において、左右の縦壁部24の外壁面間の幅寸法W2を、カバー体30の左右側壁部35の外壁面間の幅寸法以下に設定することも可能である。この場合、スライダー1の平面視において、左右の縦壁部24がカバー体30に隠されて見えなくなるため、スライダー1の外観品質を高めることや、スライダー1の手触りを向上させることが期待できる。
本実施例1の上翼板20は、引手70の非操作時に図12に示すように取付軸部71が接する(載置される)第1上面(主上面)26aを有する。この上翼板20の後端部には、段差部25を介して、上翼板20の第1上面26aよりも低い高さ位置に形成される第2上面(後端側上面)26bが配されている。このように段差部25を設けて第2上面26bを第1上面26aよりも低い高さ位置に形成することにより、上翼板20に左右の縦壁部24が配されていても、スライダー1全体の高さ寸法を大きくすることなく、引手70の取付軸部71を、上翼板20とカバー体30の自由端部33との間に形成される引手挿通間隙16に挿し込み易くすることができる。更に、段差部25が設けられることにより、引手挿通間隙16に挿し込まれて段差部25に案内される引手70の取付軸部71を開閉部材50の後述するストッパー部53(特にストッパー部53の後端突出部53c)の下側に入り込ませて、その取付軸部71で、後述するように開閉部材50を持ち上げ易くすることができる。
本実施例1のカバー体30は、側面視にて略L字形状又は略凹形状を呈するとともに、下面側が開口する有底箱状のカバー本体部31と、カバー本体部31の前方下端部から左右方向に延出する左右のカバーフランジ部32とを有する。このカバー体30は、カバー体30の一端部(前方下端部)である固定端部が上翼板20の前端部に固定されることにより、スライダー胴体10に片持状に取り付けられる。
これにより、カバー体30の他端部である自由端部(後端部)33とスライダー胴体10の上翼板20との間には、引手70の取付軸部71を挿通可能な引手挿通間隙16が形成される。また、スライダー1の側面視にて、スライダー長さ方向における引手70の固定端部と自由端部33との間の領域に、引手70の取付軸部71を収容可能で且つ取付軸部71の移動可能範囲を規制(制限)する規制空間が、スライダー胴体10とカバー体30との間に形成される。
このカバー本体部31は、カバー本体部31の前面から上面を介して後面まで連続的に配される天井部34と、天井部34の左右側縁部から下方に垂設される左右の側壁部35とを有する。また、カバー本体部31の内部には、天井部34と左右の側壁部35とにより囲まれる内部空間が形成されており、このカバー本体部31の内部空間に、停止爪体40の一部と開閉部材50の一部とが収容される。
カバー本体部31の天井部34の内面には、図5等に示したように、板バネ部材60の一端部と他端部を保持(係止)するバネ保持部36が設けられている。本実施例1において、バネ保持部36は、カバー本体部31の前面から上面に湾曲する前方湾曲部の内面と、カバー本体部31の上面から後面に湾曲する後方湾曲部の内面とに配されている。
このカバー本体部31に配されるバネ保持部36は、前述の特許文献3のカバー体に配されているバネ保持部と実質的に同様に形成されている(なお、本実施例1のカバー体30及びバネ保持部36は、特許文献3において引手保持体及び固定部とそれぞれ呼ばれている)。
この2つのバネ保持部36によって、カバー体30の内部空間内に板バネ部材60が安定して装着される。この場合、板バネ部材60は、円滑に弾性変形できるように、各バネ保持部36において、微小な範囲で動くことが可能に係着される。なお本発明において、カバー本の内側に板バネ部材60を取り付ける方法や手段は特に限定されない。
カバー体30の自由端部33における左右の側壁部35には、スライダー1の側面視において、上翼板20に設けた縦壁部24に対向するように下向きの凹状(上側に窪む形状)に形成される対向縁部33aが配されている。このような対向縁部33aが設けられていることにより、上翼板20に略三角形状の縦壁部24が設けられていても、上翼板20とカバー体30との間の引手挿通間隙16が、引手70の取付軸部71を挿通可能な大きさを安定して確保できる。
更に、カバー体30における左右の側壁部35には、上述した引手70の取付軸部71の移動を規制する規制空間の上方に配される中央縁部38と、自由端部33に凹状に設けられる対向縁部33aとの間に配され、且つ、斜め下方に向けて突出する突出縁部39が設けられている。このような突出縁部39がカバー体30に設けられていることにより、後述するように、組み立てられたスライダー1において引手70が例えば引き上げられてカバー体30に対して捩じられるように傾けられても、カバー体30の突出縁部39で引手70の取付軸部71を支えることができる。それによって、引手70の取付軸部71がスライダー胴体10とカバー体30との間から抜け出て外れることを防止できる。
カバー体30における左右のカバーフランジ部32は、前端部に配される第1フランジ部と、第1フランジ部の後方に配され、幅寸法が第1フランジ部よりも小さな第2フランジ部とを有する。このような左右のカバーフランジ部32は、上翼板20の前端部に設けた左右の摺動溝部23に嵌入される。
本実施例1の停止爪体40は、スライダー胴体10の取付支持柱21に揺動可能に支持される爪基端部41と、爪基端部41から二股に分岐して後方に延出する上側アーム部42及び下側アーム部43と、下側アーム部43の先端部(後端部)に下方に向けて突設され、スライダー胴体10の爪孔15を介してエレメント案内路に突出する爪部44とを有する。
停止爪体40の爪基端部41には、スライダー胴体10の取付支持柱21の枢支凸部21aに揺動可能に覆い被さる枢支凹部41aが下方に開口するように設けられている。また、停止爪体40の上側アーム部42及び下側アーム部43間には、後方に開口する収容空間部45(作動凹溝部とも言う)が形成されており、この停止爪体40の収容空間部45内に、引手挿通間隙16を介して挿入される引手70の取付軸部71が収容される。
このような停止爪体40は、爪基端部41の枢支凹部41aを取付支持柱21の枢支凸部21aに被せるようにしてスライダー長さ方向に沿うようにスライダー胴体10に取り付けられる。それにより、停止爪体40は、取付支持柱21の枢支凸部21aに接しながら、上側アーム部42、下側アーム部43、及び爪部44がスライダー胴体10に対して上下方向(スライダー高さ方向)に揺動可能なように取付支持柱21に支持(枢支)される。
本実施例1の開閉部材50は、停止爪体40とは別の部材として単独に形成されている。この開閉部材50は、停止爪体40の上側アーム部42及び下側アーム部43間に収容された引手70の取付軸部71が、引手挿通間隙16を介して抜け出さないように引手挿通間隙16を塞ぐ(遮断する)ことが可能にスライダー胴体10に取り付けられる。
本実施例1の開閉部材50は、開閉部材50の前端部に配されるとともにスライダー胴体10の取付支持柱21に揺動可能に支持される被支持基部51と、被支持基部51から後方に延びるとともに開閉部材50の側面視において途中から下り傾斜するように配される架橋部52と、架橋部52から更に後方に延びるとともに開閉部材50の側面視において下方に張り出して形成されるストッパー部53とを有する。
また、開閉部材50には、被支持基部51、架橋部52、及びストッパー部53に囲まれるようにして下方に開口する収容空間部54が形成されており、この開閉部材50の収容空間部54内に、引手挿通間隙16を介して挿入される引手70の取付軸部71が収容される。
開閉部材50の被支持基部51には、スライダー胴体10の取付支持柱21の枢支凸部21aに揺動可能に覆い被さる枢支凹部51aが下方に開口するように設けられている。この枢支凹部51aを取付支持柱21の枢支凸部21aに被せるようにして開閉部材50がスライダー胴体10に取り付けられることにより、開閉部材50は、取付支持柱21の枢支凸部21aに接しながら、ストッパー部53がスライダー胴体10に対して上下方向に揺動可能なように取付支持柱21に支持(枢支)される。架橋部52は、開閉部材50を上方から見たときに(図7を参照)、幅寸法が後方に向けて漸増する形状を有する。
ストッパー部53は、側面視において架橋部52の後端部から下方に円弧状に延びるとともに前方に向く前端面53aを有し、このストッパー部53の前端面53aは、引手70を取り付けてスライダー1を形成したときに引手70の取付軸部71を接触させる引手軸受け面となる。
このストッパー部53の前端面(引手軸受け面)53aは、ストッパー部53の下端部に、同下端部が前方に向けて突出するように前方へ下り傾斜する湾曲面(又は傾斜面)を有する。ストッパー部53の前端面53aがこのように形成されることにより、スライダー1に取り付けられた引手70が引っ張られて取付軸部71が持ち上げられたときに、その取付軸部71を開閉部材50のストッパー部53と架橋部52とによって抱え込むように保持できるため、引手70の取付軸部71が意図せずに開閉部材50の下に回り込むように移動することを防止できる。その結果、その引手70の取付軸部71によって開閉部材50が通過位置まで持ち上げられることを回避し、取付軸部71が引手挿通間隙16を介して後方に抜け出すことを防止できる。
また本実施例1のストッパー部53は、架橋部52よりも幅寸法が大きくなるように太く形成される幅広部53bを有し、この幅広部53bは、開閉部材50をスライダー胴体10に取り付けたときに、上翼板20に設けた左右の縦壁部24間に収容される(左右の縦壁部24に挟まれる)。
この場合、幅広部53bの最大幅寸法は、上述したように上翼板20に設けた左右の縦壁部24の内壁面間の幅寸法W1と同じ大きさに(又はその幅寸法より僅かに小さく)設定されている。これにより、本実施例1の開閉部材50をスライダー胴体10に取り付けるときに、開閉部材50の位置決め作業を容易に行うことができる。また、スライダー胴体10に取り付けられた開閉部材50の位置がずれることも、開閉部材50が上下方向に対して傾くことやがたつくことも防止できる。
更に本実施例1のストッパー部53は、開閉部材50をスライダー胴体10に取り付けてスライダー1(又は一次組立体1a)を形成したときに、図3に示すようなスライダー1(又は一次組立体1a)の側面視において、上翼板20に設けた左右の縦壁部24よりも更に後方に突出する後端突出部53cを有する。また、この後端突出部53cは、スライダー1(又は一次組立体1a)の側面視において、段差部25の段差面に交差する向きに配されるとともに、図9に示すような引手70の挿入時に、取付軸部71を当接させる当接面53dを有する。
本実施例1のスライダー1において、停止爪体40と開閉部材50(特に開閉部材50における被支持基部51及び架橋部52)とは、例えば図7に平面図を示すように、スライダー幅方向に並んで配置される並列の状態でスライダー胴体10に組み付けられる。本実施例1において、開閉部材50の被支持基部51及び架橋部52は、スライダー長さ方向と平行に配されている。一方、停止爪体40は、開閉部材50の被支持基部51及び架橋部52(又はスライダー長さ方向)に対して傾斜して配されている。
この場合、開閉部材50の被支持基部51及び架橋部52に対する又はスライダー長さ方向に対する停止爪体40の傾斜角度αは、20°以下に、好ましくは10°以下に設定される。本実施例1の場合、停止爪体40の傾斜角度αは、5°に設定されている。
なお、本発明では、停止爪体40と開閉部材50の被支持基部51及び架橋部52とを、スライダー長さ方向と平行に配置するように形成しても良い。また、停止爪体40をスライダー長さ方向と平行に配置するとともに、開閉部材50の被支持基部51及び架橋部52をスライダー長さ方向に対して傾斜させて配置するように形成しても良い。
本実施例1の板バネ部材60は、ステンレス鋼などの連続する長尺な金属製板材から所定形状の金属片を打ち抜くことによって形成されている。なお、板バネ部材60には、必要に応じて曲げ加工を施すことも可能である。この板バネ部材60には、その一端部(前端部)と他端部(後端部)とに、板バネ部材60の前端縁及び後端縁から内側に向けて切欠いたように開口する孔部61がそれぞれ形成されている。
本実施例1の板バネ部材60は、その両端部に設けた孔部61を利用してカバー体30の上述したバネ保持部36に保持されることによって、カバー体30の内側に取り付けられる。本実施例1では、この板バネ部材60が、停止爪体40を爪部44がスライダー胴体のエレメント案内路内に突出するように付勢するとともに、開閉部材50を遮断位置に向けて付勢する単一の付勢部材として、カバー体30内に取着されている。
本実施例1の引手70は、全体が一体的に形成されている。この引手70は、指で摘むことが可能な摘まみ部となる薄板状の引手本体部72と、引手本体部72の一端部から延出する左右の引手アーム部73と、左右の引手アーム部73の先端部を連結するように引手アーム部73の先端部間に直線状に配される取付軸部71とを有する。
この場合、取付軸部71は、取付軸部71の長さ方向(連結方向)に直交する断面が円形を呈する形状を有する。また、引手70の引手本体部72、左右の引手アーム部73、及び取付軸部71に囲まれて矩形状の開口窓部74が形成されている。引手70をスライダー1に後付する際に、引手70の開口窓部74に、スライダー1のカバー体30が挿入される。なお、本発明において引手の形状、大きさ、及び材質などは特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。
次に、上述した本実施例1のスライドファスナー用スライダー1を組み立てる手順について説明する。
先ず、スライダー胴体10に開閉部材50と停止爪体40を取り付ける工程(第1組立工程)を行う。本実施例1では、始めに、スライダー胴体10に開閉部材50を取り付ける。具体的には、開閉部材50の枢支凹部41aを取付支持柱21の枢支凸部21aに係止させるようにして、開閉部材50の被支持基部51を取付支持柱21の左右の支持壁部21b間に挿入する。それとともに、開閉部材50のストッパー部53を上翼板20に設けた左右の縦壁部24間に挿入して収容する。このとき、ストッパー部53の最大幅寸法は、上述したように左右の縦壁部24の内壁面間の幅寸法W1と同じ大きさに(又はその幅寸法より僅かに小さく)設定されている。このため、開閉部材50の位置決め作業を容易に且つ安定して行うことができる。
続いて、開閉部材50が取り付けスライダー胴体10に停止爪体40を取り付ける。具体的には、停止爪体40の枢支凹部41aを取付支持柱21の枢支凸部21aに係止させるようにして停止爪体40の爪基端部41を、取付支持柱21の左右の支持壁部21bの間で且つ開閉部材50の被支持基部51に隣接するように挿入する。それとともに、停止爪体40の下側アーム部43と爪部44とをスライダー胴体10の爪孔15に挿入する。このとき、スライダー胴体10には開閉部材50が所定の位置に取り付けられているため、その開閉部材50を利用することにより停止爪体40の位置決め作業を容易に且つ安定して行うことができる。
これにより、図7及び図8に示すように、開閉部材50と停止爪体40とがスライダー胴体10の上に互いに並列な位置関係で所定の位置に配置される。また、開閉部材50の枢支凹部41a及び停止爪体40の枢支凹部41aが取付支持柱21の枢支凸部21aに被さるように係合し、また、開閉部材50と停止爪体40とが取付支持柱21の枢支凸部21aに接しながら枢支凸部21aに対して回転自在に支持される。
これにより、開閉部材50と停止爪体40とが、スライダー胴体10に対し、開閉部材50の架橋部52及びストッパー部53と、停止爪体40の上側アーム部42、下側アーム部43、及び爪部44とが上下に揺動可能に枢支される。またこのとき、開閉部材50の架橋部52の最も高い位置に配される上面と、停止爪体40の上側アーム部42の最も高い位置に配される上面とは、略同じ高さ位置に配される。
なお、本実施例1では、スライダー胴体10に開閉部材50を取り付けた後に停止爪体40を取り付ける場合について説明しているが、本発明において開閉部材50と停止爪体40とを取り付ける順番は特に限定されない。例えばスライダー胴体10に停止爪体40を取り付けた後に開閉部材50を取り付けても良いし、スライダー胴体10に開閉部材50と停止爪体40を同時に取り付けても良い。
上述のようにスライダー胴体10に開閉部材50及び停止爪体40を取り付ける一方で、その取付工程(第1組立工程)とは別に、カバー体30の内部空間内に板バネ部材60を装着する工程(第2組立工程)を行う。
この工程では、板バネ部材60の前端部と後端部とに形成した各孔部61を、カバー体30のバネ保持部36の位置にそれぞれ合わせるように板バネ部材60をカバー体30の天井部34の内面側に組み合わせる。更に、カバー体30のバネ保持部36を押圧して塑性変形させる(言い換えると、加締め加工を行う)。これにより、カバー体30の内側に板バネ部材60が弾性変形可能に且つ微小な範囲で動くことが可能に装着される。
その後、開閉部材50及び停止爪体40が取り付けられたスライダー胴体10に対して、内側に板バネ部材60が装着されたカバー体30を組み付けて固定する工程(第3組立工程)を行う。
この工程では、カバー本体部31の固定端部とカバーフランジ部32とを、上翼板20の前方側から後方に向けて移動させることにより、上翼板20の前端部に設けた嵌着凹部22及び摺動溝部23に挿入し、更に、カバー体30を摺動溝部23に沿って後方へ向けてスライドさせる。これにより、カバー本体部31の固定端部の一部とカバーフランジ部32とが、上翼板20の嵌着凹部22及び摺動溝部23に収容される。
続いて、上翼板20における左右の摺動溝部23の上にそれぞれ被さるように配される前端部の一部を、上方から局部的に押圧して潰すように塑性変形させる(圧潰させる)ことにより、その局部的に押圧された部分を、カバー体30のカバーフランジ部32に圧着させる。これにより、カバー体30がスライダー胴体10に固定される。このとき、スライダー胴体10における左右の支持壁部21bの外側面とカバー体30の左右の側壁部35の内壁面とを接触させることにより、カバー体30をガタ付かせることなく、よりしっかりとスライダー胴体10に固定することができる。なお、本発明において、カバー体30をスライダー胴体10に固定する固定手段は特に限定されるものではなく、接着や溶着等を利用することも可能である。
以上のように、開閉部材50及び停止爪体40が取り付けられたスライダー胴体10に対して、板バネ部材60が装着されたカバー体30を組み付けて固定することにより、図3〜図6に示したようなスライダー1の一次組立体1aが作製される。
この一次組立体1aでは、スライダー胴体10の上翼板20とカバー体30の自由端部33との間に、引手70の取付軸部71を挿通可能な引手挿通間隙16が形成される。
特に本実施例1の場合、上翼板20に左右の縦壁部24が配されているとともに上翼板20の後端部に第2上面(後端側上面)26bが段差部25を介して低く形成されており、且つ、カバー体30の自由端部33には凹状の対向縁部33aが上翼板20の縦壁部24に対向して配されている。
このため、上翼板20とカバー体30の自由端部33とに挟まれる引手挿通間隙16は、一次組立体1aの側面視(図3)において、一次組立体1aの後端に位置する引手挿通間隙16の挿入部(入口)から、カバー体30の固定端部と自由端部33との間の領域に配される引手70の取付軸部71を収容可能な空間までの間で、上下に蛇行するように形成される。
本実施例1の一次組立体1aにおいて、停止爪体40の一部と開閉部材50の一部とが、カバー体30のカバー本体部31内に収容される。また、停止爪体40及び開閉部材50は、停止爪体40の上面(特に上側アーム部42の上面)と、開閉部材50の上面(特に架橋部52の上面)とが、カバー体30に装着された単一の板バネ部材60に当接した状態で、スライダー胴体10の取付支持柱21に枢支されている。
また、開閉部材50は、ストッパー部53がスライダー1の側面視において開閉部材50が引手挿通間隙16に重ならない位置(すなわち、図10に示すように引手70の取付軸部71が引手挿通間隙16を通過可能な通過位置)と、スライダー1の側面視において開閉部材50が引手挿通間隙16に重なることによって取付軸部71の通過を遮断する遮断位置(特に、ストッパー部53が上翼板20の上面26aに接触する位置)との間を上下に揺動可能に枢支される。
それとともに、開閉部材50のストッパー部53は、開閉部材50が板バネ部材60に当接している状態で、上翼板20における左右の縦壁部24間の上面(載置面)に載置されており、開閉部材50を上述の遮断位置に保持している。このため、開閉部材50は、ストッパー部53が上翼板20の上面26aに接触する遮断位置から少しでも持ち上げられると、開閉部材50は、板バネ部材60から、ストッパー部53が上翼板20の上面26aに接触する位置に向けて付勢する付勢力を受ける。
また、停止爪体40の爪部44は、停止爪体40が板バネ部材60に当接している状態で、スライダー胴体10の爪孔15を介してエレメント案内路に突出している。このため、停止爪体40が、爪部44がエレメント案内路から抜出するように持ち上げられると、停止爪体40は、板バネ部材60から、停止爪体40の爪部44をエレメント案内路に突出させる方向に付勢する付勢力を受ける。
そして、上述のように組み立てられたスライダー1の一次組立体1aに対して引手70を取り付けるためには、以下のような引手70の取り付け工程を行う。
先ず、引手70の取付軸部71を、一次組立体1aの後方から、スライダー胴体10の上翼板20とカバー体30との間の引手挿通間隙16に挿し込み、更に、同取付軸部71を、上翼板20の段差部25の段差面に接触させる。
このとき、上翼板20に段差部25が設けられているとともに、停止爪体40のストッパー部53には、スライダー胴体10の左右の縦壁部24よりも更に後方に突出する上述した後端突出部53cが設けられている。このため、引手70の取付軸部71を上翼板20の段差部25の段差面に接触させように挿し込むことにより、引手70の取付軸部71をストッパー部53の後端突出部53c(特に、後端突出部53cの上述した当接面53d)に容易に当接させることができる。更にこれにより、引手70の取付軸部71が、開閉部材50を、ストッパー部53が上翼板20の上面26aに接触している位置から上方に板バネ部材60の付勢力(弾性力)に抗して安定して持ち上げること(移動させること)ができる。
更に、引手70の取付軸部71を、上翼板20の段差部25の段差面に接触している状態から、上翼板20の縦壁部24に摺接させながら、上下に蛇行して配される引手挿通間隙16に沿って前方に向けて押し込む。これにより、取付軸部71は、図10に示すように、開閉部材50を更に持ち上げて取付軸部71が引手挿通間隙16を通過可能な通過位置に移動させるとともに、停止爪体40の上側アーム部42に接触する位置まで移動する。続けて、引手70の取付軸部71を、上翼板20の上面26a又はカバー体30に摺接させながら前方に向けて更に押し込むことにより、取付軸部71が、図11に示すように開閉部材50のストッパー部53の下面に摺接しながら移動して上側アーム部42の後端面に当接し、更に、上側アーム部42を上方に持ち上げる(停止爪体40を上方に移動させる)。
その後、引手70の取付軸部71を、開閉部材50のストッパー部53よりも前方に押し込んで開閉部材50の架橋部52の下方に移動させる。これによって、引手70の取付軸部71は、上方に持ち上げられた上側アーム部42と下側アーム部43との間の収容空間部45に進入し、更に図12に示すように収容空間部45内に収容される。
また、開閉部材50は、取付軸部71がストッパー部53の位置よりも前方に移動することにより、取付軸部71とストッパー部53との干渉がなくなるため、板バネ部材60から付勢力(弾性力)を受けて上述の通過位置から下降し、ストッパー部53を上翼板20の上面26aに接触させる。これにより、開閉部材50は、引手挿通間隙16を遮断状態に保持する。更に、停止爪体40の上側アーム部42と下側アーム部43は、引手70の取付軸部71が収容空間部45内を前方に移動することによって徐々に下降し、停止爪体40の爪部44をエレメント案内路に突出させる。
そして、上述した引手70の取り付け工程が終了することにより、一次組立体1aに引手70が取り付けられた本実施例1のスライダー1が製造される。この引手70の取り付け工程では、引手70の取付軸部71を、上述のように、上下に蛇行して形成される引手挿通間隙16に沿って前方に向けて移動させることによって、一次組立体1aに引手70を容易に取り付けることができる。特に本実施例1では、例えば前述の特許文献2や特許文献3の場合のように、引手70の取付軸部71によって摺動部材を2段階で押圧するような作業(2段階の摺動操作)を行う必要がない。このため、引手70の取り付け作業を簡単に且つ迅速に行うことができる。
以上のように、本実施例1のスライダー1では、一次組立体1aを一度組み立てた後に、上述した取り付け工程を、連続的に行うことも、又は時間を開けてから所望の時期に行うことも可能である。
そして、製造される本実施例1のスライダー1では、引手70が自由な状態にあるスライダー1の非操作状態のときに、停止爪体40が板バネ部材60に接触した状態で爪部44をスライダー胴体10のエレメント案内路に突出させることができる。このため、本実施例1のスライダー1を用いてスライドファスナーを形成したときに、スライダー1は、スライダー1をエレメント列に対して停止位置で自動的にロックすることが可能な停止爪体40による停止機構を備える。
また、本実施例1のスライダー1では、引手70を指で摘まんで引っ張ることによってスライダー1を摺動操作するときに、例えば図13及び図14に示したように、停止爪体40による停止機構を容易に解除することができる。
具体的に説明すると、スライダー1を操作するために引手70が引っ張られると、引手70の取付軸部71が持ち上げられ、図13に示すように停止爪体40の上側アーム部42に当接し、更に上側アーム部42を、板バネ部材60の付勢力に抗して上方へ移動させる。更に引手70の取付軸部71が持ち上げられると、図14に示すように、取付軸部71で上側アーム部42を更に上方へ移動させ、それによって、停止爪体40の爪部44を、スライダー胴体10のエレメント案内路から抜き出すことができる。これにより、停止爪体40による停止機構が解除され、スライダー1をエレメント列に沿って自由に摺動操作することが可能となる。
また、本実施例1のスライダー1は、引手70を引っ張って取付軸部71を持ち上げるときに、停止爪体40の上側アーム部42を開閉部材50よりも先に当接させて持ち上げるように形成されている。しかも、開閉部材50のストッパー部53の前端面(引手軸受け面)53aが、上述したように、前方へ下り傾斜する湾曲面(又は傾斜面)を有する。これにより、引手70を指で摘まんで引っ張ったときに、図13及び図14に示したように、引手70の取付軸部71を、開閉部材50のストッパー部53の前端面53aと架橋部52の下面とによって抱え込むように保持できる。このため、引手70の取付軸部71が開閉部材50の下に回り込むように移動することを防いで、取付軸部71が引手挿通間隙16を介して後方に抜け出すことを効果的に防止できる。
更に、本実施例1のスライダー1は、上述のように引手70を一次組立体1aに取り付け可能であり、且つ、停止爪体40による停止機構を備えているにも関わらず、スライダー胴体10が、例えば前述の特許文献1〜特許文献3の従来のスライダーに比べて、ガイド溝を備えないような簡単な形状及び構造で形成されている。
このため、スライダー胴体10の成形に用いられる金型も、特許文献1〜特許文献3の場合よりも簡単な構造で形成することができるため、金型の製作コストを削減することが可能となる。また、スライダー胴体10の1回の成形工程において成形可能な成形個数を、特許文献1〜特許文献3の場合よりも容易に増大させることもできる。
更に、本実施例1のスライダー1では、一次組立体1aの組み立て作業を、特許文献1〜特許文献3の場合に比べて簡単に行うことができるため、作業の効率性を向上させて生産性を高めることができる。
従って、本実施例1のスライダー1では、特許文献1〜特許文献3のスライダーに比べて、製造コストの大幅な削減を実現することができる。更に、本実施例1のスライダー1は、特許文献1及び特許文献2のスライダーとは異なり、コストが高いコイルスプリングを用いずに形成されているため、より安価に市場に提供することができる。
また、本実施例1のスライダー1では、開閉部材50を停止爪体40と並列に配置するととともに、開閉部材50を停止爪体40と同じように取付支持柱21の枢支凸部21aに枢支することによって、開閉部材50の上下方向の揺動範囲と停止爪体40の上下方向の揺動範囲とを略同じ大きさに合わせている。これにより、本実施例1のスライダー1は、特許文献1〜特許文献3のような摺動部材を用いずに、上下に揺動する開閉部材50を用いることによって引手70の後付けを可能にしているにも関わらず、特許文献1〜特許文献3のスライダーに対して、スライダー1全体の高さ寸法を増大させることなく形成することが可能となる。
しかも、本実施例1のスライダー1では、上翼板20の後半部に左右の縦壁部24が立設されている。更に、上翼板20とカバー体30の自由端部33との間の引手挿通間隙16が、上述したように上下に蛇行して形成されている。
例えばスライダーを有するスライドファスナーが衣服などのファスナー被着製品に取り付けられ、更に、そのファスナー被着製品に洗濯等が行われる場合等では、引手がカバー体に対して捩じられるように傾けられるようなことが考えられる。このとき、例えばスライダーに上述のような縦壁部24が設けられてなく、且つ、引手挿通間隙が上述のように上下に蛇行して形成されていない場合には、引手がカバー体に対して捩じられるようにして所定の姿勢に偶然的にも傾けられてしまうと、引手の取付軸部のうちのスライダー胴体とカバー体との間に配置されていない部分が引手挿通間隙に入り込み、その結果、引手が捩られながら取付軸部がスライダー胴体とカバー体との間から抜け出る虞が考えられる。
これに対して、上述のように上翼板20に左右の縦壁部24が設けられ、且つ、引手挿通間隙16が上下に蛇行して形成されていることにより、洗濯等が行われて引手70がカバー体30に対して捩じられるように傾けられるときに、引手70がカバー体30に対してどのような姿勢で傾けられても、引手70の取付軸部71のうちのスライダー胴体10とカバー体30との間に配置されていない部分が引手挿通間隙16に入り込むことを阻止できる。更に本実施例1では、カバー体30の左右の側壁部35に上述した突出縁部39が設けられていることにより、引手70が引き上げられてカバー体30に対して捩じられるように傾けられても、カバー体30の突出縁部39に引手70の取付軸部71を当接させて(支えて)、引手70の捩じれを規制することができる。その結果、引手70が捩じられながら取付軸部71がスライダー胴体10とカバー体30との間から抜け出て外れることを効果的に防止できる。
また、左右の縦壁部24間に開閉部材50のストッパー部53が嵌入されていることにより、開閉部材50が傾くことや開閉部材50の位置がスライダー幅方向にずれることも防止できる。このため、引手70の捩じれによって引手70の取付軸部71がスライダー胴体10とカバー体30との間から抜け出るような不具合が生じることを安定して防止できる。
なお、上述した実施例1のスライダー1では、停止爪体40及び開閉部材50が、図8に示したように、スライダー胴体10における取付支持柱21の枢支凸部21aに、左右の支持壁部21bに挟まれるようにして枢支されている。しかし本発明において、停止爪体及び開閉部材を枢支する取付支持柱の形状はこれに限定されるものではなく、停止爪体の上側アーム部、下側アーム部、及び爪部と、開閉部材の架橋部及びストッパー部とが上下に揺動可能に停止爪体及び開閉部材を枢支することができれば、その他の形状を採用することも可能である。
例えば図15に、変形例(変形例1)に係るスライダー胴体の取付支持柱27、停止爪体40の爪基端部41、及び開閉部材の被支持基部55を示す部分断面図を示す。なお、以下の変形例(変形例1及び後述する変形例2)に係る説明及び図面において、前述の実施例1に係るスライダー1と実質的に同じ構成を有する部分又は部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。
図15に示した変形例1における取付支持柱27は、停止爪体40及び開閉部材を揺動可能に枢支する枢支凸部27aと、枢支凸部27aの左右方向における一方側(右側)に配される支持壁部27bとを有する。また、枢支凸部27aの上端部(頂端部)には、開閉部材の一部を挿入可能な挿入凹溝部27cが凹設されている。この変形例1における停止爪体40は、上述した実施例1の停止爪体40と同様に形成されている。
変形例1における開閉部材は、取付支持柱27に枢支される被支持基部55と、被支持基部55から後方に延びる架橋部52と、架橋部52から更に後方に延びるストッパー部53とを有する。変形例1における被支持基部55は、上述した実施例1の被支持基部51よりも太く形成される。また、変形例1における被支持基部55には、スライダー胴体の取付支持柱27の枢支凸部27aに枢着する枢支凹部が下方に開口するように設けられとともに、その枢支凹部の凹面に、取付支持柱27に設けた挿入凹溝部27cに挿入される挿入突条部55aが下方に向けて突設されている。
このような変形例1における取付支持柱27、停止爪体40、及び被支持基部55を有する開閉部材の形状を採用することによっても、スライダー胴体の取付支持柱27に、開閉部材と停止爪体40とが、互いに並列な位置関係で所定の位置に配置されるとともに、開閉部材の架橋部52及びストッパー部53と、停止爪体40の上側アーム部42、下側アーム部43、及び爪部44とが上下に揺動可能に枢支される。また、スライダーの上述した一次組立体を組み立てるときには、スライダー胴体に対する開閉部材の位置決め作業や停止爪体40の位置決め作業を容易に且つ安定して行うことができる。
また、上述した実施例1のスライダー1では、付勢部材である板バネ部材60が、カバー体30の天井部34の内面側に保持された状態で、停止爪体40及び開閉部材50を付勢している。しかし本発明では、例えば図16に変形例(変形例2)に係るスライダーの一次組立体2aを示すように、スライダー胴体10aに、前述の特許文献2のスライダー(図17及び図18を参照)と同様にバネ室17に設けて、そのバネ室17に板バネ部材60aを収容して停止爪体40a及び開閉部材50aを、前述の特許文献2の場合と同様に付勢することも可能である。
なお、図16に示す変形例2のスライダーの一次組立体2aにおいては、スライダー胴体10aに収容した板バネ部材60aによって停止爪体40a及び開閉部材50aが付勢されているものの、この板バネ部材60aによって停止爪体40a及び開閉部材50aを付勢する構造及び方法が異なることを除いて、この変形例2の一次組立体2aは、上述した実施例1のスライダー1の一次組立体1aと実質的に同様に形成されている。従って、ここでは、変形例2の一次組立体2aが上述した実施例1と異なる部分について主に説明する。
変形例2のスライダー胴体10aには、停止爪体40a及び開閉部材50aを収容可能な間隔をもって離間して配される左右の支持壁部28bが立設されている。左右の支持壁部28bの内壁面には、停止爪体40aを揺動可能に枢支する枢支ピン18を保持するU字形凹溝部が、上方に開口して形成されている。また、スライダー胴体10aの前端部には、左右の支持壁部28bの間に板バネ部材60aを収容するバネ室17が設けられている。このバネ室17は、板バネ部材60aの弾性変形を許容可能に形成されている。
変形例2のカバー体30aは、前述の実施例1のようなバネ保持部36を備えずに形成されている。このカバー体30aは、支持壁部28bのU字形凹溝部に保持される枢支ピン18が脱落しないように、枢支ピン18の上方を塞ぐ閉鎖部37が設けられている。
変形例2の停止爪体40aは、爪基端部46と、爪基端部46から二股に分岐して後方に延出する上側アーム部42及び下側アーム部43と、下側アーム部43の先端部に設けられる爪部44とを有する。この停止爪体40aの上側アーム部42、下側アーム部43、及び爪部44は、前述の実施例1の停止爪体40と同様に形成される。
変形例2の爪基端部46は、前述の実施例1の爪基端部41とは異なる形状を有しており、この爪基端部46の上端部には、U字形凹溝部に保持された枢支ピン18に枢着する枢支凹部46aが設けられている。また、爪基端部46は、バネ室17に収容される板バネ部材60aの上に載置され、且つ、同板バネ部材60aにより支持されるとともに上方に向けて付勢される。
変形例2の開閉部材50aは、図示しない被支持基部と、被支持基部から後方に延びる図示しない架橋部と、架橋部から更に後方に延びるストッパー部53とを有する。この開閉部材50aの架橋部及びストッパー部53は、前述の実施例1の開閉部材50と同様に形成される。変形例2の被支持基部は、図16に示した爪基端部46の断面形状と同様の断面形状を有するように形成される。この被支持基部は、バネ室17に収容される板バネ部材60aの上に載置され、且つ、同板バネ部材60aにより支持されるとともに上方に向けて付勢される。
このような変形例2のスライダー(一次組立体2a)においても、前述の実施例1のスライダー1の場合と同様に、開閉部材50aと停止爪体40aとが、スライダー胴体10aに互いに並列な位置関係で配置されるとともに、開閉部材50aの架橋部及びストッパー部53と、停止爪体40aの上側アーム部42、下側アーム部43、及び爪部44とが上下に揺動可能に枢支される。従って、このような変形例2の一次組立体2aから製造されるスライダーは、前述の実施例1のスライダーと同様の効果を得ることができる。
更に、前述の実施例1、変形例1及び変形例2では、開閉部材50,50aと停止爪体40,40aとを付勢する部材として、カバー体30又はスライダー胴体10aに保持される板バネ部材60,60aが用いられている。しかし本発明では、開閉部材50,50a及び停止爪体40,40aを付勢する部材として、板バネ部材60,60aに代えて、コイルスプリングを用いることも可能である。
1 スライダー
1a,2a 一次組立体
10,10a スライダー胴体
11 下翼板
12 案内柱
13 上フランジ部
14 下フランジ部
15 爪孔
16 引手挿通間隙
17 バネ室
18 枢支ピン
20 上翼板
21 取付支持柱
21a 枢支凸部
21b 支持壁部
22 嵌着凹部
23 摺動溝部
24 縦壁部
25 段差部
26a 上翼板の第1上面(主上面)
26b 上翼板の第2上面(後端側上面)
27 取付支持柱
27a 枢支凸部
27b 支持壁部
27c 挿入凹溝部
28b 左右の支持壁部
30,30a カバー体
31 カバー本体部
32 カバーフランジ部
33 自由端部(後端部)
33a 対向縁部
34 天井部
35 側壁部
36 バネ保持部
37 閉鎖部
38 中央縁部
39 突出縁部
40,40a 停止爪体
41 爪基端部
41a 枢支凹部
42 上側アーム部
43 下側アーム部
44 爪部
45 収容空間部
46 爪基端部
46a 枢支凹部
50,50a 開閉部材
51 被支持基部
51a 枢支凹部
52 架橋部
53 ストッパー部
53a 前端面(引手軸受け面)
53b 幅広部
53c 後端突出部
53d 当接面
54 収容空間部
55 被支持基部
55a 挿入突条部
60,60a 板バネ部材
61 孔部
70 引手
71 取付軸部
72 引手本体部
73 引手アーム部
74 開口窓部
W1 左右の縦壁部の内壁面間の幅寸法
W2 左右の縦壁部の外壁面間の幅寸法
α 停止爪体の傾斜角度

Claims (11)

  1. 上翼板(20)と下翼板(11)が案内柱(12)により連結されたスライダー胴体(10,10a)と、取付軸部(71)を一端部に備える引手(70)と、爪基端部(41,46) と前記爪基端部(41,46) から延出する上側アーム部(42)及び下側アーム部(43)と前記下側アーム部(43)に配される爪部(44)とを備える停止爪体(40,40a)と、前記停止爪体(40,40a)の一部を内部に収容するとともに前記上翼板(20)に片持状に固定されるカバー体(30,30a)とを備え、前記停止爪体(40,40a)は、前記上翼板(20)に向けて付勢され、前記上翼板(20)と前記カバー体(30,30a)の自由端部(33)との間には前記引手(70)の前記取付軸部(71)を挿通可能な引手挿通間隙(16)が設けられ、前記停止爪体(40,40a)は、前記上側アーム部(42)及び前記下側アーム部(43)を前記スライダー胴体(10,10a)に対して上下に揺動可能に配され、前記停止爪体(40,40a)は、前記上翼板(20)に向けて付勢されることにより、前記爪部(44)を前記上翼板(20)及び前記下翼板(11)間に形成されるエレメント案内路に突出させるスライドファスナー用スライダー(1) であって、
    前記引手挿通間隙(16)を開閉する開閉部材(50,50a)が、前記停止爪体(40,40a)とスライダー幅方向に並列に配され、且つ、前記開閉部材(50,50a)の後端部を、前記スライダー胴体(10,10a)に対して前記引手挿通間隙(16)を開いて前記引手(70)の前記取付軸部(71)を通過させる通過位置と、前記取付軸部(71)の通過を遮断する遮断位置との間を上下に揺動可能に配され、
    前記開閉部材(50,50a)は、前記遮断位置に向けて付勢されてなる、
    ことを特徴とするスライダー。
  2. 前記停止爪体(40,40a)と前記開閉部材(50,50a)とを付勢する付勢部材(60,60a)が配されてなる請求項1記載のスライダー。
  3. 前記開閉部材(50,50a)は、被支持基部(51,55) と、前記被支持基部(51,55) から前記引手(70)の前記取付軸部(71)の上方を越えるように後方に延びる架橋部(52)と、前記架橋部(52)から後方に延びるとともに前記引手(70)の前記取付軸部(71)の後方を塞ぐように下方に張り出すストッパー部(53)とを有し、
    前記ストッパー部(53)の前端部は、引手軸受け面(53a) を有してなる、
    請求項1又は2記載のスライダー。
  4. 前記引手軸受け面(53a) は、前記ストッパー部(53)の下端部が前方へ下り傾斜するように湾曲又は傾斜してなる請求項3記載のスライダー。
  5. 前記開閉部材(50,50a)の前記ストッパー部(53)は、前記架橋部(52)よりもスライダー幅方向に太く形成される幅広部(53b) を有してなる請求項3又は4記載のスライダー。
  6. 前記上翼板(20)の前端部に取付支持柱(21,27) が立設され、
    前記取付支持柱(21,27) に、前記停止爪体(40,40a)の前記爪基端部(41,46) と、前記開閉部材(50,50a)の前記被支持基部(51,55) とが揺動可能に支持されてなる、
    請求項3〜5のいずれかに記載のスライダー。
  7. 前記上翼板(20)は、前記上翼板(20)の後半部に立設される左右一対の縦壁部(24)を有し、
    前記カバー体(30,30a)の前記自由端部(33)は、前記スライダー(1) の側面視において、前記縦壁部(24)に対向して下向きの凹状に形成される対向縁部(33a) を有してなる、
    請求項1〜6のいずれかに記載のスライダー。
  8. 前記上翼板(20)は、前記開閉部材(50,50a)の前記ストッパー部(53)を挿入可能な間隔を開けてスライダー幅方向に離間して配される左右一対の縦壁部(24)を有し、
    左右の前記縦壁部(24)は、左右の前記縦壁部(24)間の間隔を、前記ストッパー部(53)のスライダー幅方向における最大寸法に合わせて配されてなる、
    請求項3〜6のいずれかに記載のスライダー。
  9. 前記上翼板(20)は、前記引手(70)が接する第1上面と、前記第1上面よりも後方に且つ高さ位置を低くして配される第2上面と、左右の前記縦壁部(24)の後方に設けられるとともに前記第1上面と前記第2上面との間に配される段差部(25)とを有してなる請求項7又は8記載のスライダー。
  10. 前記開閉部材(50,50a)は、左右の前記縦壁部(24)よりも後方に突出する後端突出部(53c) を有し、
    前記開閉部材(50,50a)の前記後端突出部(53c) は、前記スライダー(1) の側面視において前記段差部(25)の段差面に交差する向きに配されるとともに前記引手(70)の挿入時に前記取付軸部(71)を当接させる当接面(53d) を有してなる、
    請求項9記載のスライダー。
  11. 前記付勢部材(60,60a)は、前記開閉部材(50,50a)と前記停止爪体(40,40a)とを付勢する単一の板バネ部材(60,60a)により形成されてなる請求項2〜10のいずれかに記載のスライダー。
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