JPWO2018025332A1 - 履物用緩衝組成物及び履物用緩衝部材 - Google Patents

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Abstract

軽量なスチレン系熱可塑性エラストマーから構成され、接着性(剥離接着強さ)に優れるとともに、低硬度で機械強度(特に引裂強さ)にも優れる緩衝部材を形成する履物用緩衝組成物及びそれを用いた履物用緩衝部材を提供する。履物用緩衝組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)を含有する組成物であって、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)と、からなり、a2のブロック共重合体は、アミン変性ブロック共重合体又は無水マレイン酸変性ブロック共重合体であり、a1及びa2のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95であり、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5〜0.7である。

Description

本発明は、例えば、アウトソールやミッドソール等の靴底に組込まれる緩衝部材や靴の中敷き等に適用される緩衝部材等の履物用緩衝部材と、それを形成する履物用緩衝組成物に関する。
近年、主にスポーツシューズやウォーキングシューズ、コンフォートシューズ等の機能性が求められる分野のシューズ設計において、樹脂等で形成されたソールに、緩衝性に優れた緩衝部材を組み込むことが行われている。緩衝部材は、使用者の動きを妨げないよう、軽量であることが求められる。また、この種の緩衝部材は、その機能性を需要者に訴求できるよう外部から視認できる態様でソールに組み込まれるため、外観が透明であるなど、高い意匠性も求められることが多い。それゆえ、低比重であり、透明性も有するスチレン系熱可塑性エラストマーからなる緩衝部材が種々提案されてきた(特許文献1、2)。
緩衝部材は、優れた緩衝性を発揮する柔軟(低硬度)な粘弾性体またはゴム弾性体からなり、EVA等からなるゴム弾性を有するソール部材に接着されてソールに組み込まれるところ、運動時に掛かる衝撃や応力により、緩衝部材及びソール部材は共に応力変形する。その際、緩衝部材とソール部材の接着面も伸縮変形することから、両者の接着面における接着状態の保持と、急激な伸縮変形に耐えうる機械強度の確保は重要である。このように、靴底の機能と品質を確保するためには、きわめて高い信頼性の接着が要求される。この接着性の観点において、特許文献1、2に記載のスチレン系熱可塑性エラストマーから形成された緩衝部材には改善の余地があった。
そこで、上述のような問題を解消するべく、接着性に優れる緩衝部材を形成する組成物として、1〜2種類の変性S−EB−S(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)とゴム用軟化剤とからなるスチレン系熱可塑性エラストマー組成物が提案されている(特許文献3)。
特開2003−12886号公報 特開2000−281850号公報 特開2012−36300号公報
文献3に記載のスチレン系熱可塑性エラストマー組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマーとして、変性したS−EB−Sブロック共重合体が用いられている。そのため、緩衝性能に寄与する柔軟性に優れた緩衝部材を得るためには、ゴム用軟化剤の配合量を調整する必要があった。しかしながら、より低硬度で柔軟性に優れた緩衝部材を得るため、パラフィンオイル等のゴム用軟化剤の配合量を多くすると、緩衝部材の接着性が弱まる傾向や機械強度が低下する場合があり、改善の余地があった。
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、軽量なスチレン系熱可塑性エラストマーから構成され、接着性(剥離接着強さ)に優れるとともに、低硬度で機械強度(特に引裂強さ)にも優れる緩衝部材を形成する履物用緩衝組成物及びそれを用いた履物用緩衝部材を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の履物用緩衝組成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)を含有する組成物であって、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)と、からなり、a2のブロック共重合体は、アミン変性ブロック共重合体又は無水マレイン酸変性ブロック共重合体であり、a1及びa2のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95であり、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5〜0.7である。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)として、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、アミン変性又は無水マレイン酸変性された変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)とを組み合わせて用いることにより、緩衝性能に寄与する優れた柔軟性と、優れた機械強度及び接着性を併せ持つ緩衝部材を形成する組成物が得られる。さらに、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)の各ブロック共重合体の配合割合を重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95とすることにより優れた柔軟性、接着性及び機械強度を備えた成形体を形成する組成物が得られる。そして、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合をB/(A+B)=0.5〜0.7とすることにより、優れた柔軟性が得られると共に、接着性、機械強度も備えた成形体を形成する組成物が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物におけるa1のブロック共重合体は、酸変性されたものであることも好ましい。これにより、優れた接着性と柔軟性と機械強度を有する緩衝部材を形成する組成物が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物は、軟化剤(B成分)は、分子量が400〜1200のパラフィン系オイルであることも好ましい。これにより、機械強度や接着性、射出成型等の加熱成形時の流動性を向上させることのできる好適な構成成分が選択される。
また、本発明の履物用緩衝組成物は、さらに中空体微粒子が配合されていることも好ましい。これにより、より軽量な緩衝部材を形成できる組成物が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物は、23±2℃における成形体の硬度がアスカーC30〜50(SRIS 0101規格)であることも好ましい。これにより、優れた緩衝性を有する緩衝部材を形成できる。
また、本発明の履物用緩衝部材は、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)及び変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)と、軟化剤(B)を含有し、a2のブロック共重合体は、アミン変性ブロック共重合体又は無水マレイン酸変性ブロック共重合体であり、a1及びa2のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95であり、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5〜0.7である履物用緩衝組成物を成形してなる。
履物用緩衝部材を形成する履物用緩衝組成物における、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)として、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、アミン変性又は無水マレイン酸変性された変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)とを組み合わせて用いることにより、緩衝性能に寄与する優れた柔軟性と、優れた機械強度及び接着性を併せ持つ緩衝部材が得られる。また、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)の各ブロック共重合体の配合割合を重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95とすることにより、優れた接着性、柔軟性及び機械強度を備えた緩衝部材が得られる。そして、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合をB/(A+B)=0.5〜0.7とすることにより、優れた柔軟性が得られると共に、接着性、機械強度も備えた緩衝部材が得られる。
また、本発明の履物用緩衝部材の履物用緩衝組成物中のa1のブロック共重合体は、酸変性されたものであることも好ましい。これにより、優れた接着性と柔軟性と機械強度とを有する緩衝部材が得られる。
また、本発明の履物用緩衝部材の履物用緩衝組成物には、さらに中空体微粒子が配合されており、内部に複数の独立気泡を有することも好ましい。これにより、履物用緩衝部材をより軽量化することができる。
また、本発明の履物は、履物用緩衝部材がインソールまたはミッドソールに配置されていることも好ましい。これにより、優れた緩衝性をソールに付与することができる。
また、本発明の履物用緩衝組成物の製造方法は、上述した履物用緩衝組成物において、a1及びa2のブロック共重合体のうち、少なくとも1成分に、予め軟化剤(B)を分散させる予備分散工程と、予備分散工程を経たa1及びa2のブロック共重合体を混合し、加熱混練させる混練工程を有している。これにより、混練工程において構成成分が均一分散されやすくなるため、緩衝性能に寄与する優れた柔軟性及び優れた接着性を有すると共に機械強度も備えた成形体を形成する組成物が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物の製造方法は、上述の予備分散工程における軟化剤(B)の分散が、a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対してそれぞれ行われ、同一温度における溶融粘度が高い成分ほど、単位重量当たりの軟化剤(B)の配合量を多くすることが好ましい。これにより、混合工程において各構成成分がより均一に混練分散されるので、上述の各性能及び物性が一層安定した組成物が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物の製造方法は、上述の予備分散工程における軟化剤(B)の分散が、a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対してそれぞれ行われ、前記a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対する前記軟化剤(B)の分散は、軟化剤(B)が分散された状態における各成分の溶融粘度(メルトマスフローレート、MFR:JIS K7210−1B法 190℃、で表わした値)について、各成分の溶融粘度の値の差が、150(g/10min)以下となるように軟化剤(B)の配合量を調整することが好ましい。これにより、軟化剤(B)を吸収したa1及びa2の各溶融粘度の差が小さくなり、加熱混練時にさらに均一に混練分散されるので、上述の各性能及び物性がさらに一層安定した組成物が得られる。
本発明によれば、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる組成物において、通常では両立が難しい物性である、優れた柔軟性と機械強度と接着性とを併せもつ成形体を形成する履物用緩衝組成物及び緩衝部材が得られる。
また、本発明の履物用緩衝組成物の製造方法によれば、混練工程において構成成分が均一に混練分散されるので、優れた柔軟性、接着性及び機械強度等の物性が安定して得られる成形体を形成する組成物が得られる。
本発明の履物用緩衝部材の一実施形態として、(A)履物用緩衝部材が組み込まれたスポーツシューズを概略的に示す斜視図、(B)組み込まれた履物用緩衝部材の構成を概略的に示す斜視図及び平面図及び(C)図1(B)の平面図のD−D線部分断面図である。 本発明の履物用緩衝部材の一実施形態における一部の層構成を概略的に示す断面図である。 実施例及び比較例における履物用緩衝部材の剥離接着強さ試験のために作製した試験片の構成を概略的に示す(A)平面図及び(B)正面図である。 図3の試験片を用いて行った剥離接着強さ試験の方法を説明する図である。
本発明の履物用緩衝組成物を構成するスチレン系熱可塑性エラストマー(A)について説明する。スチレン系熱可塑性エラストマー(A)は、スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)の2種のブロック共重合体を含有している。
ブロック共重合体a1は、上述したように、一般式X−Y−Xで表されるトリブロック共重合体を水素添加して得られた水添ブロック共重合体である。ここで、Xはスチレン重合体ブロックであり、Yはスチレンとブタジエンの共重合体ブロックである。スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYは、水素化されることにより、スチレン部分は変化しないが、ブタジエン部分はエチレン−ブチレンで表される水素化ブタジエンに変化する。そのため、ブロック共重合体a1は、具体的には、式S−EB/S−S(S;スチレン、EB;水素化ブタジエン)として表され、中間ブロックは水素化ブタジエン中にスチレンが分散(ランダム重合)された構造を有する。中間ブロックYにおけるスチレンとブタジエンはランダムに重合されていることが好ましい。また、中間ブロックYにおけるスチレンとブタジエンの分布は、末端ブロックX(スチレン重合体ブロック)に隣接する末端領域にブタジエンを比較的多く含み、末端ブロックX(スチレン重合体ブロック)に隣接しない領域にスチレンを比較的多く含むように構成されていることが好ましい。さらに、ブロック共重合体a1には、酸変性された変性物も含まれ、具体的には、無水マレイン酸グラフトを含有するマレイン酸変性物が好適に用いられる。このブロック共重合体(a1)の重量平均分子量Mwは、機械強度の観点から50000以上であることが好ましく、接着性及び成形時の流動性の観点から270000以下であることが好ましく、すなわち、50000〜270000が好ましい。ブロック共重合体(a1)の重量平均分子量Mwをこの範囲とすることにより、優れた接着性、すなわち、他部材との接着剤を介した接着状態が十分に保持され、接着状態の剥離が生じ難い成形体を形成でき、柔軟性、機械強度及び軽量性も備えた緩衝部材を形成できる組成物が得られる。また、射出成型等の加熱成形時の流動性も良好であり、成形品(緩衝部材)の製造も容易とすることができる。なお、本発明における分子量とは、重量平均分子量Mwであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定された値をいう。また、ブロック共重合体(a1)のスチレン含有量は、成形品(緩衝部材)の接着性及び引裂強さ等の機械強度を向上させる観点から、20〜60重量%であることが好ましく、35〜60重量%であることがより好ましい。スチレン含有量が20重量%未満では、接着性及び機械強度が不十分であり、60重量%を超えると柔軟性が低下する。それゆえ、スチレン含有量をこの範囲とすることにより、接着性及び機械強度に優れ、柔軟性にも優れた組成物が得られる。
ブロック共重合体a2は、上述したように、アミン変性又は無水マレイン酸変性された変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、すなわち、アミン変性S−EB−S又は無水マレイン酸変性S−EB−Sが用いられる。このスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物も含まれる。このブロック共重合体a2の中間ブロックは、上述したブロック共重合体a1とは異なり、エチレン−ブチレン又は水素化ブタジエンのみから構成されている。このブロック共重合体(a2)の重量平均分子量Mwは、機械強度の観点から50000以上であることが好ましく、接着性及び成形時の流動性の観点から270000以下であることが好ましく、すなわち、50000〜270000が好ましい。ブロック共重合体(a2)の重量平均分子量Mwをこの範囲とすることにより、優れた接着性、すなわち、他部材との接着剤を介した接着状態が十分に保持され、接着状態の剥離が生じ難い成形体を形成でき、柔軟性、機械強度及び軽量性も備えた緩衝部材を形成できる組成物が得られる。また、射出成型等の加熱成形時の流動性も良好であり、成形品(緩衝部材)の製造も容易とすることができる。また、ブロック共重合体(a2)のスチレン含有量は、成形品(緩衝部材)の接着性及び引裂強さ等の機械強度を向上させる観点から、20〜60重量%であることが好ましい。スチレン含有量が20重量%未満では、接着性及び機械強度が不十分であり、60重量%を超えると柔軟性が低下する。それゆえ、スチレン含有量をこの範囲とすることにより、接着性及び機械強度に優れ、柔軟性にも優れた組成物が得られる。
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)として、上述したa1及びa2のブロック共重合体を組み合わせて用いることにより、優れた柔軟性と機械強度と接着性とを併せもつ緩衝部材を形成する履物用緩衝組成物が得られる。a1及びa2のブロック共重合体の具体例としては、特に限定されないが、以下の製品が好適に用いられる。ブロック共重合体a1としては、クレイトン(登録商標)A1536、A1535、RP6670(クレイトンポリマージャパン株式会社製品)等が挙げられ、ブロック共重合体a2としては、タフテック(登録商標)MP10、M1913(旭化成ケミカルズ株式会社製品)等が挙げられる。
さらに、本発明の履物用緩衝組成物を構成するスチレン系熱可塑性エラストマー(A)の配合割合は、接着性及び機械強度の観点から、各ブロック共重合体a1及びa2の配合割合を重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95とすることが好ましく、0.3〜0.8がより好ましく、0.4〜0.6が特に好ましい。配合割合a2/(a1+a2)は、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)のうちのアミン変性S−EB−S(a2)の配合割合であるが、0.25未満であると接着性に劣り、0.95を超えると機械強度が低下する傾向にある。よって、各ブロック共重合体の配合割合を上記の範囲とすることにより、柔軟性を確保しつつ接着性及び機械強度に優れた成形体を形成する組成物が得られる。
次に、本発明の履物用緩衝組成物を構成する軟化剤(B)について説明する。軟化剤は、主に組成物に柔軟性を付与する目的で添加される。軟化剤(B)の配合割合については、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の和に対する軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、0.5〜0.7であることが好ましく、0.55〜0.65であることがより好ましい。B/(A+B)の値が0.5未満であると十分な柔軟性が得られず、0.7を超えると耐熱性及び機械強度が低下すると共に軟化剤の滲み出し(ブリード)による接着性の低下が生じる。よって、軟化剤の配合割合を上述の範囲とすることにより、他の物性を低下させずに、柔軟性を調整することができる。
本実施形態においては、軟化剤としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル又は芳香族系オイル等のプロセスオイル、液状ポリブテン又は低分子量ポリブタジエン等の合成樹脂系軟化剤、ロジン等が用いられる。このうち、外観の透明性の観点からプロセスオイルの中でもパラフィン系オイルが好適に用いられ、重量平均分子量が400〜1200のパラフィン系オイルが特に好適に用いられる。剥離接着強さ及び機械強度の観点から重量平均分子量が400以上であることが好ましく、成形時の流動性の観点から重量平均分子量が1200以下であることが好ましい。よって、重量平均分子量が400〜1200のパラフィン系オイルを用いることにより、剥離接着強さ、機械強度、成形時流動性がより良好な組成物を得ることができる。
さらに、本発明の履物用緩衝組成物には、さらに中空体微粒子を含有させることも可能である。これにより、より軽量な成形体を形成できる組成物が得られる。ここで、中空体微粒子とは、粒子の内部に3〜300ミクロン程度の空間を有する微細な中空体(マイクロバルーン)のことをいう。中空体微粒子は、製造時の加熱混練工程等で熱膨張し、組成物全体に分散されるものであることが好ましい。中空体微粒子としては、履物用緩衝組成物とともに応力変形可能な有機系中空体微粒子が好ましい。有機系中空体微粒子とは、外殻が主に熱可塑性樹脂からなる有機系バルーンであり、本発明では特に履物用緩衝組成物を加熱成形するときに熱膨張する有機系バルーンが好適に用いられる。熱膨張有機系バルーンの具体例としては、エクスパンセル(登録商標、日本フィライト株式会社)やマツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬株式会社)等が挙げられる。また、本発明の履物用緩衝組成物の効果を損なわない範囲で、軽量化を伴う強度補強材として無機系中空体微粒子を併用してもよい。無機系中空体微粒子とは、主にアルミノシリケートからなる無機系バルーンであり、具体例としては、フィライト(登録商標、日本フィライト株式会社)、セノライト(登録商標、巴工業株式会社)、セノスフィア(登録商標、巴工業株式会社)等が挙げられる。また、中空体微粒子の代わりに公知の発泡剤を添加して加熱発泡させて成形体を発泡体としてもよい。
さらに、本発明の履物用緩衝組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、第3のスチレン系エラストマー成分(a3)や他の熱可塑性樹脂成分や添加剤を含有させることも可能である。第3のスチレン系エラストマー成分(a3)としては、例えば、耐熱性の付加と機械強度の増強を目的として、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)や高スチレン含有率の無変性のS−EB−Sブロック共重合体等を適用できる。また他の熱可塑性成分としては、履物用緩衝組成物と相溶性があるものが好ましく、付加する特性に応じた熱可塑性樹脂を適宜選択すればよい。また、添加剤としては、顔料や着色剤、滑剤、離型剤、酸化防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤又は耐熱剤等が挙げられる。これらは単独又は複数を組み合わせて使用することもできる。
本発明の履物用緩衝組成物の成形体の硬度はアスカーC(SRIS 0101規格 23℃±2℃)50以下が好ましく、緩衝性と反発性のバランスの観点からアスカーC(SRIS 0101規格 23℃±2℃)30〜50がより好ましい。それゆえ、本発明の組成物は、緩衝性に寄与する十分な柔軟性を備えた履物用緩衝部材を形成する組成物として有用である。なお、硬度の測定は、23±2℃の試験室で1時間以上放置して状態調節された試験片によるもの(JIS K6253−3準拠)とする。さらに、本発明の履物用緩衝組成物の成形体は、ポリウレタン系接着剤やクロロプレンゴム用接着剤など製靴用の接着剤によって接着された靴素材(主にソール部材)に対して、2.5kgf/20mm以上(JIS K6854−3、被着面にプライマー処理層を有する場合)と高い剥離接着強さを呈する。これにより、この履物用緩衝部材が靴のソール部材に接着されて靴のソール部に組込まれた際においても、運動時の応力変形にも耐えることができ、高い接着信頼性が実現される。さらに、本発明の履物用緩衝組成物の成形体は、JISK6252−1 B法(切込み無しアングル形試験片)準拠における引裂強さが6.5kN/m以上の物性を示し、応力変形に対して損傷しにくい。
本発明の履物用緩衝組成物は、公知の樹脂組成物の製造方法により製造される。具体的には、一例として、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー又は加熱ロール等の溶融混練機を用いて、A成分及びB成分等の配合成分を所定の割合で添加し、配合成分を加熱し溶融状態にて各成分を均一に混練することにより得られる。具体的な製造工程としては、特に限定されないが、各構成成分を所定の配合割合に秤量する秤量工程と、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分の少なくとも一部に軟化剤(B)を吸収させる予備分散工程と、軟化剤(B)が吸収されたスチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分を混合し、加熱混練する混練工程を有することが好ましい。これにより混練時に各構成成分がより均一に分散された組成物が得られる。また、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成するブロック共重合体a1,a2は、一般的に分子量が大きいものほど溶融し難いため、ブロック共重合体a1,a2の分子量に応じて、混練時の加熱温度を調整することが好ましい。また、この予備分散工程において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成するブロック共重合体であるa1成分、a2成分の各成分に対し、同一温度における溶融粘度が高い順に、単位重量当たりの軟化剤(B)の分配割合を大きくすることが好ましい。これにより、軟化剤(B)を吸収したa1成分、a2成分の溶融粘度が近接し、混練時に各構成成分がより均一に分散された組成物が得られる。さらに、上述した予備分散工程において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成するブロック共重合体であるa1成分、a2成分の各成分に対する軟化剤(B)の分散は、軟化剤(B)を吸収した状態における各成分のメルトマスフローレート(MFR:JIS K7210−1B法 190℃)について、MFRが最も高い成分とMFRが最も低い成分のMFRの値の差が150(g/10min)以下となるように軟化剤(B)の分配量が調整されることが特に好ましい。これにより、混練工程における各成分の均一分散性が一段と向上し、柔軟性、接着性及び機械強度といった特性に優れ、またこれらの特性のばらつきも低減され、さらには溶融成形性も向上する。
本発明の履物用緩衝組成物は、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形又はカレンダー成形等の公知の方法により、ペレット状、シート状、チップ状の形状物とすることができる。また、以下詳述するように、各種成形体に成形することももちろん可能である。
本発明の履物用緩衝部材は、履物用緩衝組成物を上述した射出成型等の方法により所定の形状に成形して得られる。図1(A)には、本発明の履物用緩衝部材の一実施形態として、スポーツシューズ40のソール部の踵部41及び側縁部42に配置された履物用緩衝部材10及び11が示されている。本発明の組成物により得られた履物用緩衝部材は、ソール部の踵部41等の他部材に対する剥離接着強さが、2.5kgf/20mm以上(JIS K6854−3、被着面にプライマー処理層を有する場合)である。また、本発明の履物用緩衝部材は、JISK6252−1 B法(切込み無しアングル形試験片)準拠における引裂強さが6.5kN/m以上の物性を示し、応力変形に対して損傷しにくい。それゆえ、本発明の履物用緩衝部材10、11は、高い接着信頼性と柔軟性を有すると共に引裂強さに優れるため、履物として使用したときの応力変形に対して損傷しにくい。また、本発明の履物用緩衝組成物の成形体の硬度はアスカーC(SRIS 0101規格 23℃±2℃)50以下であるため、この履物用緩衝組成物を成形してなる履物用緩衝部材は、優れた緩衝性を発揮し、特に成形体の硬度がアスカーC30〜50の履物用緩衝組成物からなる場合には、緩衝性と反発性のバランスに優れるので、履物用の緩衝部材として有用である。
また、本発明の履物用緩衝部材は、インソール、ミッドソールまたはアウトソール等のソール部材に接着されて使用され、ソール部材の上側又は下側に配置されたり、又はソール部材の内部空間に埋設される等、公知のさまざまな態様で使用され得る。具体的には、特に限定されないが、履物用緩衝部材は、インソール部材とミッドソール部材との間に挟み込まれるように使用されたり、2層のミッドソール部材で挟み込まれるように配置されて使用されたり、内部に凹部が形成されたソール部材の内部空間に埋設するように配置されて使用される。履物用緩衝部材と各種ソール部材との接着は、接着剤による方法や加熱溶融接着など公知の方法が採用できる。
本発明の履物用緩衝部材とソール部材との接着性を高め、接着信頼性をより確実なものとするため、履物用緩衝部材とソール部材とは、プライマー処理層を介して接着されていることも好ましい。プライマー処理層とは、予め表面処理剤等のプライマー剤でソール部材又は履物用緩衝組成物の成形体の表面を処理することにより形成された層のことをいう。これにより、プライマー処理層を介して、履物用緩衝部材とソール部材との接着がなされるため、履物用緩衝部材とソール部材とのさらに高い接着信頼性が実現できる。ソール部材にプライマー処理層を形成させるにあたっては、ソール部材の履物用緩衝部材と接する部分に好適なプライマー剤を塗布して乾燥することが行われる。プライマー剤としては、例えば、ソール部材がウレタンゴムの場合には、アクリル系プライマー剤等が好適に用いられる。ソール部材のプライマー処理層が形成された部分に、溶融状態の本発明の履物用緩衝組成物を注入して冷却し、履物用緩衝部材を成形(インサート成形)することにより、プライマー処理層を介して履物用緩衝部材とソール部材とを強固に接着させることができる。他方、図1(C)及び図2に示すように、履物用緩衝組成物の成形体1の表面にプライマー処理を施して、プライマー処理層2を形成させることも可能である。成形体1の表面に施されるプライマー処理としては、例えば、ポリオール末端ウレタンプレポリマーとイソシアネートと溶剤とを主成分として含むプライマー剤を塗布して成形体表面を溶解し、溶解した成形体の成分をプライマー剤に混在させつつ溶剤を乾燥して、ポリオール末端ウレタンプレポリマーとイソシアネートとの反応物と成形体(履物用緩衝組成物)1の成分とが混在する不可分一体な層を含むプライマー処理層2を形成することが好ましい(特許第5631689号参照)。これにより、溶解した成形体(履物用緩衝組成物)の成分とプライマー剤の反応物とが混在したプライマー処理層2が接着剤との反応性を有するため、このプライマー処理層2を介することにより、成形体1と接着剤とを実質的に一体化して強固に接着させることができる。
また、図1に示すように、履物用緩衝部材10の少なくとも一部の表面、例えば、両者の接着性を向上させる必要のある部分10aや、ソール部材に被覆されないで露出した部分等の表面は、図1(C)及び図2に示すように、ウレタン系コート剤により形成された略透明の保護層3で被覆されていてもよい。保護層3で被覆することによって、履物用緩衝部材の露出部分を損傷しにくくし、またソール部材との接着性をさらに向上させることができる。この保護層3は、履物用緩衝組成物の成形品1の表面にウレタン系コート剤を塗布することにより形成されるものであり、ウレタン系コート剤としては、例えば、光硬化型、熱硬化型、湿気硬化型のものが挙げられるが、室温環境で短時間に硬化でき生産性に優れるという理由から、紫外線等の光を照射することにより硬化する光硬化型ウレタンコート剤が好適に用いられる。光硬化型ウレタンコート剤の反応性ウレタンの種類としては、エーテル系ウレタン、エステル系ウレタン、カーボネート系ウレタン、ポリカプロラクトン系ウレタンなど公知の略透明な反応性ウレタンが適用でき、特に耐溶剤性と柔軟性、耐加水分解性の観点からカーボネート系ウレタンが好ましい。カーボネート系ウレタンを適用した光硬化型ウレタンコート剤の組成としては、反応性カーボネート系ウレタン(c1)、光重合開始剤(c2)、増粘剤(c3)及び水(c4)を含有している。反応性カーボネート系ウレタン(c1)としては、特に限定されないが、例えば、少なくともポリカーボネートジオールとポリイソシアネートとを原料として反応させて得られた重合性不飽和結合を有するカーボネート系ウレタンなどが用いられる。また、光重合開始剤(c2)としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6,−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン又は2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタノン等が挙げられる。中でも、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。また、増粘剤(c3)としては、エタノールをはじめとする脂肪族アルコール、グリコール又はエチレングリコールモノエチルエーテルのいずれか又はこれらの組合せが好適に用いられる。また、水(c4)は、c1〜c3の分散媒として機能し、水系エマルジョン形態の光硬化型ウレタンコート剤が得られる。なお、ウレタン系コート剤は、履物用緩衝組成物の成形体1の少なくとも一部の表面に塗布されて保護層3を形成するところ、図1(C)及び図2に示すように、プライマー処理層2を介して塗布してもよいが、履物用緩衝組成物の成形体1の表面に直接ウレタン系コート剤を塗布してもよい。
光硬化型ウレタン系コート剤を構成する各成分の配合割合としては、光硬化型ウレタン系コート剤の硬化性の観点から、反応性カーボネート系ウレタン(c1)に対する光重合開始剤(c2)の配合割合c2/c1が重量比で、0.01〜0.1であり、0.025〜0.075であることがより好ましい。c2/c1が0.01未満であると、十分な硬化反応が進まずに硬化不良となり、0.1を超えると、硬化性が阻害されて硬化不良を起こしたり、硬化後の臭気も残る場合があるため、好ましくない。また、反応性カーボネート系ウレタン(c1)に対する水(c4)の配合割合c4/c1が、重量比で、1.9〜3.0とすることが好ましく、2.1〜2.7であることがより好ましい。c4/c1が1.9未満であると、光硬化型ウレタン系コート剤のエマルジョン状態が保てないため、均一な塗工が困難となり、3.0を超えると、光硬化型ウレタン系コート剤の粘度が低くなり過ぎて塗工表面に弾かれて均一な塗工が困難となり、ともに均質な保護層が形成できないため、好ましくない。また、反応性カーボネート系ウレタン(c1)に対する増粘剤(c3)の配合割合c3/c1は、コート剤を適切な粘度とし、保護層を形成する際の塗工性を向上させる観点から、重量比で、0.3〜3.5であることが好ましく、0.6〜1.7であることがより好ましい。
上述のようにして得られたプライマー処理層2又は保護層3で被覆された履物用緩衝部材は、ポリウレタン系接着剤やクロロプレンゴム用接着剤など製靴用の接着剤によって接着された靴素材(部材)に対して、2.5kgf/20mm以上(JIS K6854−3)と高い剥離接着強さを呈することができる。これにより、この履物用緩衝部材が靴のソール部材に接着されて、靴のソール部に組込まれた際においても、運動時の応力変形にも耐えることができ、高い接着信頼性が実現される。
以下、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。以下の実施例及び比較例における履物用緩衝組成物の評価方法は下記の通りである。
(1)硬度
JIS K6253に準拠するアスカー Cデュロメータ(SRIS 0101規格)を用いて、23±2℃の試験室内で3時間以上放置して状態調節を行った各試験片の硬度測定を行った。試験片としては、実施例及び比較例における各履物用緩衝組成物を縦60mm×横60mm×厚み12mmにそれぞれ成形したものを用いた。アスカーC50以下を良好「○」、50を超えた場合を不適「×」と判定した。
(2)引裂強さ(強度)
JIS K6252−1 B法に準拠し、実施例及び比較例における各履物用緩衝組成物を切り込み無しアングル形状(ダンベルB型)に形成した試験片5枚について、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)、AT−100N)で引っ張り速度500mm/minにて破断に至る最大荷重値F[N]を測定し、試験片の厚さt[m]で除して引裂強さを算出した。試験片5枚の引裂強さの中央値を挟む2つの値の平均値を引裂強さ(kN/m)とした。引裂強さの値が6.5kN/m以上の場合を優良「○」、6.5kN/m未満の場合を不可「×」と判定した。
(3)剥離接着強さ(接着強さ)
JIS K6854−3に準拠して、各試験片の剥離接着強さの測定を行った。図3及び図4を用いて剥離接着強さの試験方法について具体的に説明する。図3は試料片50の構成を概略的に示しており、試験片(実施例又は比較例の緩衝部材)51と被着剤のウレタン片52と接着層53とから概略構成されている。図3に示す試料片50は、後述する(3−1)プライマー処理層有・加圧接着、(3−2)プライマー処理層有・インサート成形及び(3−3)プライマー処理層無・インサート成形の3種類の方法でそれぞれ作製した。また、図4は試料片50の剥離接着強さ試験方法を図示している。図4(A)及び(B)に示すように、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製オートグラフ(登録商標)、AT−100N)により、(3−1)〜(3−3)の各試料片50の試験片51とウレタン片52とを剥離させ、剥離接着強さを測定した。なお、図4において、54は固定側引張り治具、55は可動側引張り治具である。ロードセルは1kN(100kgf)であり、試験スピードは50mm/分、固定側引張り治具54及び可動側引張り治具55間の初期間隙は20mmであった。
(3−1)試料片:プライマー処理層有・加圧接着
実施例及び比較例における各履物用緩衝組成物をストリップ状(幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)にそれぞれ成形し、ストリップ表面をウレタン系コート剤で処理して試験片51とした。この試験片51を同じくストリップ状に作製したウレタン片52(株式会社クラレ製 クラミロンU2195、幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)と接着剤53によって接着し、試料片50を得た。より詳しくは、試験片51及びウレタン片52の表面をメチルエチルケトン(MEK)に浸したキムワイプ(登録商標)で拭いた後、60℃で3分間乾燥させた。試験片51のウレタン系コート剤で処理された面及びウレタン片52の片面にプライマー(ノーテープ工業株式会社製、G−6626)を塗布し、60℃で5分間乾燥させた。その上に接着剤(ノーテープ工業株式会社製、No.4950)を塗布し、60℃で5分間乾燥した後、速やかに試験片51及びウレタン片52を貼り合わせた。試験片51側を上にした状態で載置し、ハンドローラにて2〜3kgf/cmの力を加えて圧着させることによって、試料片50を得た。この試料片50を12時間養生した後、上述した引っ張り試験機を用いて剥離接着強さを測定した。
(3−2)試料片:プライマー処理層有・インサート成形
ストリップ状に作製したウレタン片52(株式会社クラレ製 クラミロンU2195、幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)の被接着面をメチルエチルケトン(MEK)に浸したキムワイプ(登録商標)で拭いた後、60℃で3分間乾燥させ、その被接着面にプライマー(ノーテープ工業株式会社製、G−6626)を塗布し、60℃で5分間乾燥させてプライマー処理したウレタン片を得た。このプライマー処理したウレタン片を射出成型金型のキャビティー(cavity)内にプライマー処理面が表出するように設置した。実施例及び比較例における各履物用緩衝組成物を、プライマー処理したウレタン片52とともに150〜190℃の条件下でインサート射出成型し、ウレタン片52のプライマー処理層上に幅20mm×長さ60mm×厚さ3mmのストリップ状の試験片51が一体形成された試料片50を得た。この試料片50を12時間養生した後、上述した引っ張り試験機を用いて剥離接着強さを測定した。
(3−3)試料片:プライマー処理層無・インサート成形
ストリップ状に作製したウレタン片52(株式会社クラレ製 クラミロンU2195、幅20mm×長さ60mm×厚さ3mm)の被着面上にプライマー処理を行わないこと以外は、上記の(3−2)の試料片の作製方法と同様にしてウレタン片52の表面に幅20mm×長さ60mm×厚さ3mmのストリップ状の試験片51が一体形成された試料片50を得た。この試料片50を12時間養生した後、上述した引っ張り試験機を用いて剥離接着強さを測定した。
(4)接着状態
上述した(3−1)〜(3−3)の剥離接着強さ試験を行った後の各試料片の剥離状態について、目視または顕微鏡観察により、各試験片の接着状態を評価した。材料破壊(被着体破壊)が生じていた場合を「AF」とし、履物用緩衝組成物の成形体と被着体との界面で界面剥離が生じた場合を「IP」とした。さらに、接着性の評価としては、(3−1)のプライマー処理層有・加圧接着した試料片及び(3−2)のプライマー処理層有・インサート成形の試料片については、剥離接着強さが2.5kgf/20mm以上かつ材料破壊した試料片を接着性が優良「○」と評価し、剥離接着強さが2.5kgf/20mm未満または界面剥離した試料片を接着性が不良「×」と評価した。また、(3−3)のプライマー処理層無・インサート成形の試料片については、剥離接着強さが1.0kgf/20mm以上の試料片を接着性が優良「○」と評価し、剥離接着強さが1.0kgf/20mm未満の試料片を接着性が不良「×」と評価した。
(5)表面外観
硬度試験に用いた試験片について、商品価値の観点から、目視にて、傷、気泡、曇り及びムラの有無を確認し、表面外観を評価した。傷、気泡、曇り及びムラが無い場合を優良「〇」、傷、気泡、曇り及びムラのうち、少なくとも一つが確認されるが商品価値が許容される場合を良「△」、商品価値が無い場合を不可「×」と判断した。
以下の実施例及び比較例で使用した各構成成分の仕様を表1に示す。ここで、表1中の分子量Mwは、成分NO.A301を除き、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定された重量平均分子量である。具体的には、分子量Mwは、測定装置としてSHODEX(登録商標)GPC−104(昭和電工株式会社製品)[分離カラムLF−404(3本連結)、ガードカラムLF−G、RI検出器RI−74S(いずれも昭和電工株式会社製品)]を用いて、溶離液をテトラヒドロフランとして、サンプル濃度10mg/4mL、溶離液流量0.3mL/min及びカラム温度40℃の条件で測定した。また、成分NO.A301の分子量は、数平均分子量Mnで示されている。
Figure 2018025332
[実施例1]
以下の手順で本実施例の履物用緩衝組成物を製造し、その効果の評価を行った。表1に示すスチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)のうち、S−EB/S−Sで表されるブロック共重合体(a1)として、スチレン含有量42%、重量平均分子量150000のブロック共重合体(A101)を600g(20重量%)、アミン変性S−EB−S(a2)として、スチレン含有量30%、重量平均分子量67000のブロック共重合体(A201)を600g(20重量%)、それぞれ個別に秤量した。次に、表1に示す軟化剤(B成分)のうち、重量平均分子量1200のパラフィンオイル(B103)を1800g(60重量%)秤量した。このパラフィンオイルのうち、1200g(40重量%)をa1成分に、600g(20重量%)をa2成分に、それぞれ添加した。各ブロック共重合体とパラフィンオイルとを室温でそれぞれ混合した後、100℃で12時間加熱し、a1、a2の各成分にパラフィンオイルをそれぞれ分散させた(予備分散工程)。パラフィンオイルを吸収させたa1、a2のブロック共重合体を手攪拌でドライブレンドした後、バッチ式の二軸混練機(株式会社トーシン製 TD3−10MDX型)でa1成分とa2成分の分子量に応じて120〜200℃の範囲において、回転数40rpmで15分間混練し(混練工程)、3000gの履物用緩衝組成物を得た。この組成物を上述した履物用緩衝組成物の各評価方法で用いる所定の試験片形状に130〜190℃の条件下で射出成形し、得られた試験片を用いて物性等の評価を行った。
[実施例2〜20]
履物用緩衝組成物の構成成分である、スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表2〜表4に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の履物用緩衝組成物を得た。実施例1と同様に、得られた履物用緩衝組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。
実施例1〜7の結果を表2に、実施例8〜13の結果を表3に、実施例14〜20の結果を表4に示す。ここで、表中の「予備分散後のMFR差」とは、軟化剤(B成分)が分散された状態における成分a1及びa2の溶融粘度(MFR:メルトマスフローレート)の値の差のことである。具体的には、予備分散処理後のa1及びa2成分について、JIS K7210−1B法に準拠した190℃におけるメルトマスフローレートを測定し、a1成分の溶融粘度とa2成分の溶融粘度の差を算出した値である(以降の表5〜7も同じ)。
Figure 2018025332
Figure 2018025332
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[比較例1〜20]
スチレン系熱可塑性エラストマー(A成分)と軟化剤(B成分)及びその配合比を以下表5〜7に示すように夫々変更した以外は、実施例1と同様にして、各比較例の組成物を得た。実施例1と同様に、得られた組成物を用いて物性評価用の試験片を成形し、物性等の評価を行った。比較例1〜9の結果を表5に、比較例10〜17の結果を表6に、比較例18〜20の結果を表7にそれぞれ示す。
Figure 2018025332
Figure 2018025332
Figure 2018025332
表2〜4に示した実施例1〜20と、表5〜7に示した比較例1〜20との比較結果から、本発明の組成物の構成とすることによって、柔軟性、機械的強度を有すると共に接着性にも優れた履物用緩衝部材の形成に好適な履物用緩衝組成物が得られることがわかった。また、これらの履物用緩衝組成物から形成された緩衝部材は、プライマー処理の有無に拘わらず、同じ接着条件の比較において他部材との接着性が比較例に比べて優れることもわかった。以下に詳細に結果を述べる。
ブロック共重合体(a1)としてS−EB/S−Sを用いた実施例1、4及び5の結果と、実施例1、4及び5におけるブロック共重合体(a1)をS−EB−S(a3)に置き換えた比較例1〜9の結果の比較から、接着性・柔軟性・機械強度のいずれも優れた物性を示す緩衝部材を得るためには、中間ブロックがEB/S構造であるブロック共重合体(a1)が有効であることが分かった。また、比較例11のようにスチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、成分a1を含まず、ブロック共重合体(a2)のみから構成された場合には、引裂強度が低下するため、本発明の効果を得るためには成分a1が必須成分であることがわかった。また、実施例5、6、16、17、19及び20と比較例10、11、14及び15との比較から、ブロック共重合体(a1)と変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)の配合割合が重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95の範囲の下限から外れると剥離接着強さが低下して接着性に劣り、上限から外れると引裂強さが低下して機械強度に劣ることがわかった。また、実施例1、4、5及び6と実施例14〜17の結果から、変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)は、アミン変性体と無水マレイン酸変性体の何れも有効であることがわかった。さらに、実施例1、5、6と実施例18〜20の結果から、ブロック共重合体(a1)が酸変性体、すなわち、無水マレイン酸変性体であるものも好ましいことがわかった。また、実施例8〜11と比較例12〜13との比較から、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合について、重量比でA/(A+B)の値が0.5未満では硬度が高くなり柔軟性に乏しく、0.7を超えると軟化剤(B)が過剰添加のため、接着性及び機械強度が低下することから、A/(A+B)=0.5〜0.7の範囲が有効であることがわかった。なお、表1の実施例1と表2の実施例12、13の結果から、軟化剤(B)としてパラフィンオイルを適用した場合には、パラフィンオイルの分子量が少なくとも400〜1200の範囲において、接着性・柔軟性・機械強度のいずれも優れた物性を示す緩衝部材が得られることが確認された。
[実施例21〜23]
実施例1において、予備分散工程でスチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分a1及びa2それぞれに対して個々に吸収させる軟化剤(B)の分配割合を表8の通りとした以外は、実施例1と同様にして各実施例の履物用緩衝組成物を得た。表8中におけるBi/ai(ここでi=1,2)の値は、a1及びa2の各成分に対する軟化剤(B)の配合割合を示している。また、表中のMFRはa1及びa2成分の溶融粘度(メルトマスフローレート、JIS K7210−1B法)であり、a1成分及びa2成分それぞれの溶融粘度を測定した。軟化剤(B)を分散させる前(処理前)の溶融粘度の測定条件は、温度230℃、荷重2.16kgとし、分散させた後(処理後)の溶融粘度の測定条件は、温度190℃、荷重2.16kgとした。また、分散処理後の溶融粘度(MFR)について、a1成分とa2成分の溶融粘度の値の差を算出した。得られた履物用緩衝組成物を用いて、混練工程後の組成物の分散性(外観)について評価を行った。分散性の評価は目視による外観評価とし、分散が不十分な不均一相が無い場合を良好「○」、不均一相を含んでいたり白濁して透明性が著しく悪い場合を不適「×」とした。また、この履物用緩衝組成物を上述した履物用緩衝組成物の各評価方法で用いる所定の試験片形状に130〜190℃の条件下で射出成形し、得られた試験片を用いて物性等の評価を行った。
[比較例21]
スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分a1及びa2をよく混合してから、その混合物に対して軟化剤(B)を添加して分散させた以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様にして本比較例の組成物を得た。すなわち、本比較例では、軟化剤(B)を予めスチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分a1及びa2に分散させる工程(予備分散工程)を経ていない。実施例21〜23と同様に、得られた組成物を用いて混練工程後の組成物の分散性(外観)について評価を行った。また、この組成物を上述した履物用緩衝組成物の各評価方法で用いる所定の試験片形状に130〜190℃の条件下で射出成形し、得られた試験片を用いて物性等の評価を行った。
実施例21〜23及び比較例21の結果を実施例1の結果とともに表8に示す。
Figure 2018025332

表8に示されるように、実施例1並びに実施例21〜23の履物用緩衝組成物は、加熱混練後の各成分の分散性が良好であり、外観、引裂強さ、硬度及び接着性の何れも良好な結果であった。一方、比較例21の組成物は、混練後の組成物にマクロな不均一相が生じており、その不均一相によって引裂強度、剥離接着強度、外観の全ての物性値においてばらつきが大きく、品質が不安定であることがわかった。このことから、予備分散工程において、スチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成する各成分に軟化剤(B)を予め分散させておくことにより、混練工程で均一に分散されやすくなって、接着性・柔軟性・機械強度のいずれの物性にも優れ、品質が安定した履物用緩衝組成物が得られることがわかった。また、実施例1、21及び22と実施例23との比較から、予備分散工程でスチレン系熱可塑性エラストマー(A)を構成するa1とa2成分それぞれに軟化剤(B)を吸収させるにあたり、同一温度における溶融粘度が高い成分ほど、単位重量当たりの軟化剤(B)の分配割合を大きくした配合とすることにより、さらに引裂強度と外観(透明性)に優れた履物用緩衝部材が得られることがわかった。これは、上述のような配合とすることにより、ブロック共重合体a1とa2との固有の溶融粘度の差が小さくなり、加熱混練工程で均一に各成分が分散されやすくなるためと考えられる。なお、表2〜7にはa1成分及びa2成分の予備分散処理前の溶融粘度の値は記載していないが、実施例2〜20において、a1成分及びa2成分の溶融粘度の大小関係は、a2≦a1である。さらに、実施例1及び21と、実施例22との比較から、軟化剤(B)を吸収させた後の成分a1と成分a2のMFR(g/10min)の差が150以下となるように、各成分に吸収させる軟化剤(B)の量を調整することによって、透明度の点で外観がより向上することがわかった。これは、混練工程での均一分散性が一層向上したことを示唆しており、予備分散工程後のa1成分とa2成分のMFR(g/10min)の差を150以下とすることによって、透明性をはじめとした各物性のバラツキが少ない高品質の履物用緩衝部材が得られることがわかった。
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含まれるものである。
1 履物用緩衝組成物の成形体
10、11 履物用緩衝部材
10a 接着性を向上させる必要のある部分の一例
2 プライマー処理層
3 保護層
40 スポーツシューズ
41 ソール部の踵部
42 ソール部の側縁部
50 試料片
51 試験片(実施例又は比較例の緩衝部材)
52 ウレタン片
53 接着層
54 固定側引張り治具
55 可動側引張り治具

Claims (12)

  1. スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)を含有する組成物であって、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)が、
    スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)と、
    変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)と、からなり、
    前記a2のブロック共重合体は、アミン変性ブロック共重合体又は無水マレイン酸変性ブロック共重合体であり、
    前記a1及びa2のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95であり、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5〜0.7であることを特徴とする履物用緩衝組成物。
  2. 前記a1のブロック共重合体は、酸変性されたものであることを特徴とする請求項1に記載の履物用緩衝組成物。
  3. 前記軟化剤(B成分)は、分子量が400〜1200のパラフィン系オイルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物用緩衝組成物。
  4. さらに中空体微粒子が配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の履物用緩衝組成物。
  5. 成形体の硬度がアスカーC30〜50(SRIS 0101規格 23±2℃)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の履物用緩衝組成物。
  6. スチレン重合体ブロックからなる両末端ブロックXと、スチレンとブタジエンの共重合体ブロックからなる中間ブロックYと、からなるブロック共重合体X−Y−Xを水素添加してなるブロック共重合体(a1)及び変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(a2)からなるスチレン系熱可塑性エラストマー(A)と、軟化剤(B)を含有し、
    前記a2のブロック共重合体は、アミン変性ブロック共重合体又は無水マレイン酸変性ブロック共重合体であり、
    前記a1及びa2のブロック共重合体の配合割合が、重量比で、a2/(a1+a2)=0.25〜0.95であり、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマー(A)と軟化剤(B)の配合割合が、重量比で、B/(A+B)=0.5〜0.7である履物用緩衝組成物を成形してなる履物用緩衝部材。
  7. 前記a1のブロック共重合体は、酸変性されたものであることを特徴とする請求項6に記載の履物用緩衝部材。
  8. 前記履物用緩衝組成物には、さらに中空体微粒子が配合されており、内部に複数の独立気泡を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の履物用緩衝部材。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の履物用緩衝部材がインソールまたはミッドソールに配置されていることを特徴とする履物。
  10. 前記a1及びa2のブロック共重合体のうち、少なくとも1成分に、予め軟化剤(B)を分散させる予備分散工程と、
    前記予備分散工程を経たa1及びa2のブロック共重合体を混合し、加熱混練させる混練工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の履物用緩衝組成物の製造方法。
  11. 前記予備分散工程における前記軟化剤(B)の分散は、前記a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対してそれぞれ行われ、同一温度における溶融粘度が高い成分ほど、単位重量当たりの軟化剤(B)の配合量を多くすることを特徴とする請求項10に記載の履物用緩衝組成物の製造方法。
  12. 前記予備分散工程における前記軟化剤(B)の分散は、前記a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対してそれぞれ行われ、
    前記a1及びa2のブロック共重合体の各成分に対する前記軟化剤(B)の分散は、前記軟化剤(B)が分散された状態における各成分の溶融粘度(メルトマスフローレート、MFR:JIS K7210−1B法 190℃、で表わした値)について、各成分の溶融粘度の値の差が、150(g/10min)以下となるように軟化剤(B)の配合量を調整することを特徴とする請求項10に記載の履物用緩衝組成物の製造方法。
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