JPWO2017213078A1 - ガスクラスターイオンビーム加工方法及び加工装置 - Google Patents

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Abstract

被加工物が非回転対称形状を有する場合でも、被加工物に目標形状を加工することができるガスクラスターイオンビーム加工方法を提供する。被加工物(WO)に照射するガスクラスターイオンビーム(GCIB)を所定サイズに絞るアパーチャー部材(23)を通して、GCIBを被加工物(WO)に照射する照射工程と、アパーチャー部材(23)の開口部(23a)と被加工物(WO)との間の距離を一定に保ちつつ、被加工物(WO)をアパーチャー部材(23)に対して相対的に3次元並進移動させる走査工程とを備え、走査工程において、相対走査速度を加工目標を達成するように制御する。

Description

本発明は、金型や光学素子を精密に加工することができるガスクラスターイオンビーム加工方法及び加工装置に関する。
光学素子等の成形品を大量生産するためには成形型を使用したプレス成形や射出成形等が有力な加工手段となっている。このような成形型の転写面が粗面であったり、形状精度が悪かったりすると、成形後の成形品の面粗さや形状精度の劣化も大きくなり、成形品の性能が低下する。
そこで、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を被加工面に照射することにより、被加工面の表面粗さを改善したり、形状修正を行ったりする加工方法がある(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1には、被加工物である球面成形型の表面位置に応じてGCIBの照射時間を制御し、垂直照射するために揺動させて形状創成及び研磨する加工方法が開示されている。特許文献2には、GCIBが被加工物の表面上の任意の位置で垂直に入射するように被加工物の姿勢を制御し、かつ被加工物の表面の各位置に所定の照射ドーズ量でGCIBが照射されるようにGCIBの走査速度を制御して研磨する加工方法が開示されている。特許文献3には、GCIBの照射距離を一定に保ち、GCIBが垂直に照射されるように被加工物の姿勢を制御して加工する加工方法が開示されている。特許文献4には、揺動ステージにおける、被加工物に対するGCIBの相対走査速度を制御して加工する加工方法が開示されている。上記特許文献1〜4のいずれも、被加工物を回転させながら加工を行っている。
しかしながら、特許文献1〜4の方法では、被加工物が回転対称形状を有する場合の加工に対応したものとなっており、自由曲面等の非回転対称形状の場合の加工にそのまま適用することが難しい。例えば、特許文献3の方法では、GCIBの照射距離を一定に保つものの、自由曲面等の非回転対称形状を有する被加工物の加工において、揺動軸の角度計算が煩雑となり、加工量の制御も容易でない。また、上記特許文献1〜4の加工方法では、被加工物を回転させながら加工することが前提となっており、回転中心付近に急峻な段差が発生しやすくなる。
特開2005−120393号公報 特開2007−321185号公報 特開2009−190068号公報 特開2009−274085号公報
本発明は、被加工物が回転対称形状を有する場合だけでなく、非回転対称形状を有する場合でも、被加工物に目標形状を加工することができるガスクラスターイオンビーム加工方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述のガスクラスターイオンビーム加工方法に用いられるガスクラスターイオンビーム加工装置を提供することを目的とする。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したガスクラスターイオンビーム加工方法は、被加工物に照射するガスクラスターイオンビームを所定サイズに絞るアパーチャー部材を通して、ガスクラスターイオンビームを被加工物に照射する照射工程と、アパーチャー部材の開口部と被加工物との間の距離を一定に保ちつつ、被加工物をアパーチャー部材に対して相対的に3次元並進移動させる走査工程とを備え、走査工程において、相対走査速度を加工目標を達成するように制御する。なお、照射工程と走査工程とは並行して行われる。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したガスクラスターイオンビーム加工装置は、ガスクラスターイオンビームを所定サイズに絞るアパーチャー部材の開口部と被加工物との間の距離を一定に保ちつつ、被加工物をアパーチャー部材に対して相対的に3次元並進移動させるステージ装置と、ステージ装置に3次元並進移動を行わせることによって、ガスクラスターイオンビームを被加工物に照射しつつ走査するとともに、ガスクラスターイオンビームの照射位置の相対走査速度を加工目標に応じて変化させるステージ制御部とを備える。
実施形態に係る加工装置を説明する断面概念図である。 図1の加工装置のうち制御系を説明する図である。 図3Aは、図1の加工装置のうちGCIB照射装置のアパーチャー部材周辺を説明する図であり、図3Bは、図3Aのアパーチャー部材周辺の変形例を説明する図である。 図4A〜4Cは、GCIBの走査状態を説明する図である。 形状測定装置を説明する概念図である。 図6A及び6Bは、被加工物等を説明する図である。 図1の加工装置を用いた加工方法を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照して、ガスクラスターイオンビーム加工方法、及び当該加工方法に用いられるガスクラスターイオンビーム加工装置の一実施形態について説明する。
〔GCIB加工装置〕
図1及び図2に示すように、本実施形態のガスクラスターイオンビーム加工装置(以下、加工装置100)は、後述する被加工物WOの表面に対して目標形状の加工を行うものであり、加工装置本体10と、ステージ制御部96と、GCIB制御部97と、主制御装置99とを備える。
加工装置100の加工装置本体10は、GCIB照射装置20と、ステージ装置30とを備える。加工装置本体10は、チャンバー11内に配置されている。加工時において、チャンバー11内は、真空装置12によって適切な真空度(例えば、10−5Pa程度)で減圧されている。
GCIB照射装置20は、真空技術を利用してガスクラスターを照射するエッチングによって研磨又は形状創成を行う装置である。GCIB照射装置20は、GCIB照射ユニット21と、シャッター22と、アパーチャー部材23と、シャッター駆動装置25と、アパーチャー支持部26とを備える。
GCIB照射ユニット21では、GCIB照射装置20に付随する不図示のガス源から、GCIB照射装置20にGCIBのビーム発生ガスが供給される。ビーム発生ガスは、ハロゲン元素を含むガスである。これにより、除去レートを高くすることができる。ハロゲン元素を含むガスとしては、例えば、F、Cl、Br、NF、SF、CF、SF+He混合ガス、SF+Ar混合ガス等が挙げられる。ガス源からは0.1〜1.0MPa程度の高圧ガスが供給されている。ガスの条件は後述する被加工物WOの材質や加工量等によって適宜設定されるが、例えばSF+He混合ガス(混合比がSF:He=1:9)を用いるとして、ガス圧は、例えば0.4MPaであり、照射ドーズ量は、例えば2×1016〜2×1017ions/cm程度とすることができる。照射ドーズ量の目標値がある場合、GCIBの理論上の照射時間は、以下の式によって求めることができる。
照射時間
=(照射ドーズ量×照射面積×電気素量e)/(検出イオン電流量)
GCIBの照射ドーズ量(注入された物質の総量)は照射時間に比例するため、照射時間によってナノオーダーという非常に小さい量の加工深さを制御することができる。なお、本実施形態では、被加工物WO上の位置によってGCIBの照射ドーズ量が変化する。このため、被加工物WO上の各被加工点における照射時間が異なっており、被加工物WOの各被加工点を通過するGCIBの照射時間(滞留時間)の積分値が結果的な照射時間となっている。また、照射面積は、アパーチャー部材23によってGCIBを絞った場合、被加工物WO上の局所的な照射領域の面積となる。検出イオン電流量は、被加工物WOに流れる電流である。
ガス源からノズルを介して超音速で噴射した高圧ガスは、断熱膨張し、ガスクラスターが生成される。GCIB照射ユニット21のチャンバー内で中心側のガスクラスターが選択的にビーム化し、さらにイオン化及び加速化することで加工用のガスクラスターイオンビーム(以下ではGCIBとも呼ぶ)が生成される。GCIBを構成する粒子は、被加工物WOとの衝突によって壊れ、その際に、クラスター構成原子又は分子と被加工物構成原子又は分子との多体衝突が生じ、被加工物WOの表面に対して水平方向への運動が顕著となる。これにより、被加工物WOの照射表面における突起が主に削られつつ、照射表面全体が削られ、原子サイズでの平坦な超精密研磨が可能となる。
シャッター22は、GCIB照射ユニット21でコリメートされた比較的大きな直径を有するGCIBが射出される部分であり、GCIBを所望のタイミングでオン・オフする。シャッター22は、シャッター駆動装置25の制御によって開閉駆動される。
アパーチャー部材23は、被加工物WOを照射するGCIBを部分的に遮蔽し、円形の開口部23aによってビームを所定サイズに絞るものである。図1及び図3Aに示すように、アパーチャー部材23は、被加工物WO側の端面23cが被加工物WOに対向するようにアパーチャー支持部26に支持されている。アパーチャー部材23は、中心部に開口部23aを有する肉厚の筒状部材である。アパーチャー部材23は、アパーチャー支持部26によって、GCIBの照射軸BXが開口部23aの中心軸と一致するように位置決めされている。開口部23aの形状やサイズは、加工条件に応じて適宜設定され、そのサイズは、GCIB照射装置20の性能にもよるが、被加工物WOに局所的な形状誤差部分(設計形状と加工前形状との差がある部分)が存在する場合、その面積以下であり、例えば直径数mm〜数十mmとなっている。アパーチャー部材23のGCIB照射ユニット21側の端面23b及び被加工物WO側の端面23cは、GCIBの照射軸BXや被加工物WOの中心軸AXに垂直な輪帯状の平面となっている。ここで、被加工物WOの中心軸AXとは、被加工物WOの被加工面Mbの基準線であり、光軸に相当するものである。なお、アパーチャー部材23の端面23cは、被加工物WOの底面Maが平面である場合には、被加工物WOの底面Maに平行となっている。被加工物WOには、アパーチャー部材23の開口部23aを通過したGCIBのみが局所的に入射する。これにより、被加工物WOの被加工面Mbについて局所的な偏りを持たせて精密加工することができる。
アパーチャー部材23は、図3Aに示すように、開口部23aのサイズや形状の異なるものを条件に応じて個別に交換してもよいし、図3Bに示すように、アパーチャー変更機構27を設けて交換してもよい。図3Bに示すアパーチャー変更機構27は、円盤状の回転盤28と、回転盤28を回転動作させる駆動機構29とを有している。回転盤28には、大きさの異なる開口部23aを有するアパーチャー部材23が複数設けられており、回転盤28を回転させることで所望の大きさの開口部23aを有するアパーチャー部材23を選択できるようになっている。
ステージ装置30は、被加工物WOの位置決めや走査移動を行うものである。ステージ装置30は、X軸ステージ32と、Y軸ステージ33と、Z軸ステージ34と、回転ステージ35と、揺動ステージ36とを有する。図示の例では、X軸ステージ32及びZ軸ステージ34は、ステージ装置30の台座37に組み込むように設けられており、被加工物WOをX軸方向又はZ軸方向に間接的に移動させる。Y軸ステージ33は、X軸ステージ32及びZ軸ステージ34の上部に設けられており、被加工物WOをY軸方向に間接的に移動させる。ステージ装置30は、X軸ステージ32、Y軸ステージ33、及びZ軸ステージ34を同期動作させることにより、被加工物WOを任意の位置に3次元並進移動(すなわち、直交3軸(XYZ軸)移動)させることができる。回転ステージ35は、揺動ステージ36に支持されており、回転軸(GCIBの照射軸BX及びZ軸に平行な軸)を中心に回転動作することで、被加工物WOのXY面(GCIBの照射軸BXに垂直な面)内における回転姿勢を調整する。回転ステージ35のGCIB照射装置20側には、被加工物WOがアライメントされた状態で取り付けられている。揺動ステージ36は、Y軸ステージ33を構成する支持部33aに支持されており、揺動軸CX(GCIBの照射軸BXに垂直でY軸に平行な軸)を中心に揺動動作又は旋回動作することで、XZ面(GCIBの照射軸BXに平行な面)内において被加工物WOの姿勢又は傾きを調整する。各ステージ32,33,34,35,36は、後述するステージ制御部96の動作によって駆動される。被加工物WOの実質的な加工、つまり相対走査において、X軸ステージ32、Y軸ステージ33、及びZ軸ステージ34のみが使用され、回転ステージ35及び揺動ステージ36は使用されない。つまり、実質的な加工では、被加工物WOは、3次元並進移動のみとなっている。これにより、被加工物WOを、XY面に平行な面内の所望の位置において所望の速度で移動させることができる。回転ステージ35及び揺動ステージ36は、被加工物WOをステージ装置30に固定した際に、被加工物WO(具体的には、底面Ma等)がGCIBに対して適切な姿勢となるよう調整するために用いられるのみである。各ステージ32,33,34,35,36には、不図示のサーボモーター、ステッピングモーター等が搭載されており、ステージ制御部96によって駆動される。
ステージ装置30に固定される被加工物WOは、図示の例では、GCIBのビームサイズに比較して大面積を有し、非回転対称形状を有する成形金型50(図6A参照)となっている。揺動ステージ36等の動作により、GCIBの照射軸BXは、被加工物WOの被加工面Mbの中心軸AXに平行となっている。この場合、被加工物WOの中心軸AXを基準として、ビームの照射方向を設定することができる。また、GCIBの照射軸BXは、本実施形態の場合、被加工物WOの底面Maが平坦面であり、被加工物WOの底面Maに垂直となっている。この場合、被加工物WOの中心軸AXを特定することなくビームの照射方向を設定することができる。
ステージ装置30の動作、具体的にはZ軸ステージ34の動作により、GCIBの照射距離(アパーチャー部材23と被加工物WOとの間の距離)は、一定に保たれている。つまり、被加工面Mbの形状に応じて被加工物WOがZ軸方向に変位する。アパーチャー部材23から出たビームは、被加工面Mbから距離が離れるにつれて広がる傾向にある。そのため、照射距離が変化すると、加工範囲と加工深さとが変化する。照射距離を一定にすることにより、被加工物WOの被加工面Mb上のビームサイズの変化を低減しつつ、安定した加工を行うことができる。照射距離は、例えば5mm以上25mm以下となっている。照射距離を5mm以上とすることで、被加工面Mbの除去物がアパーチャー部材23に付着することを防ぐことができる。また、照射距離を25mm以下とすることで、ビームサイズが広がりすぎず、形状誤差の横分解能(形状誤差の周波数、面方向の広がり等)を小さくすることができる。
ステージ装置30の動作により、被加工物WOの被加工面MbのX軸方向又はY軸方向の位置又は座標と、GCIBの照射方向(すなわちZ軸方向)の位置又は座標とを連動させて、GCIBと被加工物WOとを相対的に3次元並進移動させることができ、走査速度が位置に応じて変化するラスター型の走査であって、照射距離を一定に保った動作が可能になる。本実施形態において、主走査に関しては、例えば、X軸ステージ32及びZ軸ステージ34を動作させて、被加工物WOのX軸方向の位置とZ軸方向の位置とを同時に制御している。また、ステージ装置30は、X軸方向における相対走査速度を被加工物WOの加工目標を達成(具体的には、形状誤差を補正)するように制御されている。つまり、加工目標(具体的には、形状誤差量)に合わせて相対走査速度を制御することで、被加工点におけるビーム滞在時間で加工量を制御している。ここで、相対走査速度とは、被加工物WOとGCIBとが相対的に動く(主走査する)ときの速度である。本実施形態では、相対走査速度はX軸ステージ32による被加工物WOの移動速度を示す。副走査に関しては、Y軸ステージ33を動作させている。つまり、Y軸ステージ33は、ピッチ送りに利用されており、被加工物WOを連続的に全面加工することを可能にしている。なお、被加工面Mbの形状にもよるが、Y軸ステージ33に連動させてZ軸ステージ34も動作させる。例えば、図4Aに示すように、X軸ステージ32によって被加工物WOの長手方向の端から端までGCIBを相対的に移動させた後、Y軸ステージ33によってY軸方向に所定距離ずらした後に、X軸ステージ32によって前の走査と逆方向にGCIBを相対的に移動させることを繰り返すことで、GCIBは、一筆書きの走査軌跡TKを描いて被加工面Mb上を走査することができる。また、図4Bに示すように、被加工物WOは、GCIBの入射位置に応じて連動するZ軸ステージ34によってZ軸方向に変位するため、結果的に、照射距離DRが一定で被加工面Mbの形状に沿ってGCIBが2次元的に一様に照射されることとなる。GCIBの走査軌跡TKは、図示のようにGCIB照射装置20側からみて直線状に行ってもよいし、被加工面Mbの外形に応じて円弧のような曲線を含むものとなってもよい。GCIBの走査ピッチ(又はスキャンピッチ)は、アパーチャー部材23の開口部23aのサイズやGCIBの照射距離等によって適宜設定され、例えば、アパーチャー部材23の開口部23aの直径サイズが5mmで、照射距離DRが20mmの場合、走査ピッチは0.1mm程度となっている。走査ピッチは、小さい方が好ましいが、小さすぎると加工時間が増加する。また、加工ができていれば、常に一定のピッチでなく、ピッチを変化させてもよい。また、同じピッチでも、ピッチを例えば半ピッチずらしてもよい。
なお、加工装置100に付随して、被加工物WOの被加工面Mbの表面状態や、キャリブレーション用のダミー部材WBの表面状態を測定するために、形状測定装置40と、形状測定制御部98とが設けられている(図5参照)。形状測定装置40は、測定対象の3次元形状測定を行うものであり、図示の例では、形状測定機(UA3P:パナソニック製)を挙げている。形状測定装置40は、台座41と、XY軸ステージ42と、Z軸駆動部43とを備える。Z軸駆動部43には、触針PRを昇降可能に支持する昇降部43aが設けられている。触針PRは、先端に一定の負荷をかけた状態で、高精度で滑らかに昇降できるようになっている。XY軸ステージ42を適宜動作させ、XY軸ステージ42にアライメントされた状態で載置された測定対象となる被加工物WO又はダミー部材WBを2次元的に走査するように移動させることで、触針PRの先端を被加工物WO等の表面に沿って2次元的に移動させることができる。この際、触針PRの先端位置は、台座41上にXY軸ステージ42に対向して設けた不図示のレーザー干渉計や、触針PRの上部に設けた不図示のレーザー干渉計を利用して検出される。形状測定制御部98は、形状測定装置40を動作させ、被加工物WO等の表面状態を測定させる。形状測定装置40で測定された表面形状のデータは、形状測定制御部98から主制御装置99に転送され、形状補正NCデータの作成に利用される。形状測定装置40としては、上述の形状測定機以外にも、例えば、干渉計(WYKO:ブルカー製)等も用いることができる。
図1及び図2に戻って、ステージ制御部96は、高精度の数値制御を可能にするものであり、ステージ装置30に内蔵されたモーターや位置センサー等を主制御装置99の制御下で駆動することによって、各ステージ32,33,34,35,36を目的とする状態に適宜動作させる。つまり、ステージ制御部96は、ステージ装置30を駆動して、各ステージ32,33,34,35,36の位置や姿勢を調整する。ステージ制御部96は、被加工物WOの実質的な加工において、X、Y、及びZ軸ステージ32,33,34に3次元並進移動を行わせることによって、図4A等に示すように、GCIBを被加工物WOに照射しつつ走査するとともにGCIBの照射位置の相対走査速度を加工目標に応じて変化させている。さらに、後に詳述するが、相対走査速度は、被加工面MbにおけるGCIBの入射位置における表面の傾き(Z軸に対する角度)又はGCIBの入射角も考慮したものとなっている。図4Cの例では、被加工物WOの長手方向又はX軸方向の中心付近の速度が外側付近の速度より遅くなっている。
図2に示すように、ステージ制御部96は、モーター駆動部96aと、センサー駆動部96bとを有する。モーター駆動部96aは、各ステージ32,33,34,35,36に搭載されたモーターの動作を制御する。センサー駆動部96bは、不図示のエンコーダーを介して各ステージ32,33,34,35,36の位置、速度、方向等を検出し、モーターの動作を監視する。
GCIB制御部97は、GCIB照射装置20の動作を制御する。GCIB制御部97は、GCIB照射ユニット駆動部97aと、シャッター駆動部97bと、アパーチャー駆動部97cとを有する。GCIB照射ユニット駆動部97aは、GCIB照射ユニット21を動作させ、被加工物WO側にGCIBを射出させる。シャッター駆動部97bは、シャッター22のオン・オフ動作を制御する。アパーチャー駆動部97cは、アパーチャー支持部26を動作させ、アパーチャー部材23の位置を調整する。
主制御装置99は、加工装置本体10、ステージ制御部96、CGIB制御部97、及び形状測定制御部98を統括的に制御している。主制御装置99は、演算処理部99aと、記憶部99bと、入出力部99cとを有する。主制御装置99は、ユーザー等の操作に基づいて、真空装置12を動作させ、加工装置本体10内の真空度を調整する。また、主制御装置99は、CGIB制御部97を動作させ、GCIB照射ユニット21から所望のサイズのGCIBを被加工物WO上に照射させる。また、主制御装置99は、ステージ制御部96を動作させ、ステージ装置30の動作を制御する。入出力部99cは、ユーザー等によって被加工物WOの形状に関する情報(具体的には、被加工物WOの目標形状データ(被加工物WOの設計形状データ))を受け取り、記憶部99bに保存する。記憶部99bには、上述の設計形状データの他に、形状測定装置40で得られた測定データ等が保存されている。これらの形状に関する情報は、例えば回転ステージ35上で基準位置にセットされた被加工物WOの位置座標(XYZ)の関数となっている。また、記憶部99bには、形状補正NCデータ(加工制御プログラム)を作成する形状補正NCデータ作成CAMや、形状補正NCデータを実行するCNCソフト(コンピューター数値制御ソフト)が実装されている。演算処理部99aは、各種形状データ等から形状補正NCデータの作成等を行う。具体的には、演算処理部99aは、記憶部99bに保存されている被加工物WOやダミー部材WBの形状データ等を読み出して、設計形状を得るための照射ドーズ量となるように、各被加工点での相対走査速度、ピッチ等を算出する。演算処理部99aは、この算出結果に基づいてステージ装置30を動作させるための形状補正NCデータを作成する。主制御装置99は、形状補正NCデータを実行することで、ステージ装置30の動作を制御し、ステージ装置30に支持された被加工物WOを加工目標に適合するように3次元並進移動させる。
〔被加工物〕
以下、加工装置100を用いて加工される被加工物WOの例を説明する。図6Aに示すように、被加工物WOで構成される成形金型50は、図6Bに示すコンバイナー60を成形するためのものである。コンバイナー60は、矩形の湾曲した板状部材であるスクリーン部60aと、スクリーン部60aの一辺の中央から延びる棒状の支持部60bとを備える。スクリーン部60aは、観察者側に配置される第1光学面61と、反観察者側に配置される第2光学面62とを有する。第1光学面61は、例えば凹状の非球面又は自由曲面である。第2光学面62は、例えば凸状の非球面又は自由曲面である。コンバイナー60の面角度(接平面の対象箇所と中心軸AXとのなす角度)は比較的緩いもの(具体的には、45°以下)となっている。第1光学面61は、光透過性を有する樹脂製の成形部材の表面上に例えば20〜30%の反射率を有するハーフミラー層を設けたものとなっている。コンバイナー60は、車両内のダッシュボード周辺に組み付けられるヘッドアップディスプレイ装置に組み込まれる。
図6Aに示すように、成形金型50は、第1金型51と第2金型52とを備える。第1金型51は、成形品であるコンバイナー60の第1光学面61側を形成する第1成形面51aを有する。第1成形面51aは、第1光学面61を反転させた形状を有する転写面を有する。第2金型52は、コンバイナー60の第2光学面62を形成する第2成形面52aを有する。第2成形面52aは、第2光学面62を反転させた形状を有する転写面を有する。第1及び第2成形面51a,52aには、例えば無電解Ni−Pメッキ等の金属メッキが施されていてもよい。図1の加工装置100では、成形金型50のうち、第1及び第2成形面51a,52aを主に加工の対象としている。
なお、加工装置100で処理される被加工物WOは、成形金型50のような大面積を有する金型に限らず、その成形品であるコンバイナー60自体でもよい。また、被加工物WOは、他の製品、例えばミラーやレンズ等の光学原器や光学素子でもよい。また、被加工物WOの被加工面Mbは、自由曲面等の非回転対称形状を有するものに限らず、回転対称形状を有するものでもよい。また、被加工物WOの材料は、金属や樹脂に限らず、ガラス等でもよい。
〔GCIB加工方法〕
以下、図7を参照しつつ、加工装置100を用いた加工方法について説明する。なお、主制御装置99には、ユーザー等の操作によって予め記憶部99bに被加工物WOの目標形状データ(設計形状データ)が保存されている。
まず、ダミー部材WBを用いてキャリブレーションのための加工データ(標準加工データ及び角度依存加工データ)を取得する。ダミー部材WBとしては、被加工物WOと同じ材質のものを用いる。当該加工データは、GCIBの除去量に対する角度依存性データとなる。当該加工データに基づき、被加工物WOの被加工点の面角度に応じてGCIB加工量を修正することで、被加工物WOを揺動させずに加工することができる。これにより、被加工物WOの被加工面MbとGCIBとの位置決めが容易となり、実加工時間を短縮することができる。なお、標準加工データ及び角度依存加工データは、既製のデータベースがあればそれを用いてもよい。
最初に、ダミー部材WBの標準加工データを取得する(ステップS11)。主制御装置99は、GCIB制御部97を動作させ、GCIB照射装置20からGCIBを照射させ、平板状のダミー部材WBの加工を行わせる。この際、主制御装置99は、ステージ制御部96を動作させ、ダミー部材WBを取り付けたステージ装置30を移動させる。具体的には、主制御装置99は、GCIBの入射角が0°であり、かつ照射距離と照射時間とが一定となるように、ステージ装置30を動作させている。なお、GCIBの入射角を0°とするため、ステージ装置30によって、ダミー部材WBの中心軸AXとGCIBの照射軸BXとが平行になるようにアライメントされている。加工後、形状測定装置40を用いてダミー部材WBの表面形状を測定する。加工後のダミー部材WBは、ステージ装置30から取り外され、その後、形状測定装置40にセットされる。主制御装置99は、形状測定制御部98を動作させ、形状測定装置40にダミー部材WBに関する加工形状情報を測定させる。測定された加工形状情報は、記憶部99bに保存される。当該加工形状情報は、主制御装置99の演算処理部99aで演算処理され、標準加工データとして、入射角0°における相対走査速度及び加工深さのデータ(又は面角度0°における相対走査速度とGCIB加工量との相関データ)が記憶部99bに保存される。
次に、ダミー部材WBの角度依存加工データを取得する(ステップS12)。ステップS11と同様に、照射距離と照射時間とを一定として、GCIB照射装置20、ステージ装置30、及び形状測定装置40等を用いてダミー部材WBの加工形状情報を取得するが、ステップS12では、例えば揺動ステージ36等を利用してダミー部材WBに照射されるGCIBの入射角度を変化させる。ステップS12で測定された加工形状情報は、主制御装置99の演算処理部99aで演算処理され、角度依存加工データとして、入射角度を変化させたときの加工深さのデータ(又はGCIB加工レートに対する角度依存性のデータ)が記憶部99bに保存される。
次に、実際に加工する被加工物WOの加工前形状データを取得する(ステップS13)。主制御装置99は、形状測定制御部98を動作させ、形状測定装置40によって加工前の被加工物WOに関する形状情報を測定させる。この際、主制御装置99は、形状測定制御部98を動作させ、形状測定装置40のXY軸ステージ42を被加工物WOの加工開始点から加工終了点までの加工範囲全体(本実施形態では、被加工面Mb全面)を走査するように移動させる。測定された形状情報は、記憶部99bに保存される。当該形状情報は、主制御装置99の演算処理部99aで演算処理され、加工前形状データとして、位置座標及び面角度のデータが記憶部99bに保存される。面角度データは加工前形状の近似式等から所定の設計式によって算出され、GCIBの入射角と中心軸AXを基準とする面角度とは一致している。
次に、被加工物WOの形状誤差データを取得する(ステップS14)。主制御装置99は、記憶部99bから設計形状データ及び加工前形状データを読み出し、演算処理部99aで設計形状データと加工前形状データとの差を算出する。演算結果は、形状誤差データとして記憶部99bに保存される。
次に、形状誤差補正のための形状補正NCデータを作成する(ステップS15)。主制御装置99は、記憶部99bからダミー部材WBの標準加工データ及び角度依存加工データ、並びに被加工物WOの形状誤差データを読み出し、演算処理部99aで形状補正NCデータ作成CAMを用いて形状補正NCデータを作成する。形状補正NCデータは、例えば曲面処理アルゴリズムを利用して算出される。ダミー部材WBの標準加工データ(ステップS11参照)に基づいて、誤差分の物質を除去するためのGCIBの各位置での照射ドーズ量を求めることができる。この照射ドーズ量は、相対走査速度に相関している。また、標準加工データに基づいて、GCIBのビームサイズと、このビームサイズの範囲内での加工深さ(照射によってダミー部材WBの表面の物質が除去された部分の元の表面からの深さ:GCIB加工量)との関係も得られる。また、角度依存加工データ(ステップS12参照)に基づいて、各被加工点の面角度に応じた角度依存GCIB加工量を算出できる。ここで、角度依存GCIB加工量とは、GCIBの入射角度に対応するGCIB加工レートである。この角度依存GCIB加工量に基づいて、形状誤差データから被加工物WOの被加工点の面角度に応じたGCIB加工量を修正することで、形状誤差を補正するためのGCIB加工量を各被加工点での面角度に応じた修正相対走査速度に換算することができる。これにより、被加工物WOを揺動させない状態で加工可能な条件を求めることができる。形状補正NCデータには、被加工物WOの被加工点の位置座標(データポイント)、データポイント毎の相対走査速度データ、走査ピッチ、加工範囲内における照射回数等が含まれている。これらのうち、照射回数は、第一義的には、加工量が多い場合に加工量を分割する意味があるが、加工むらを低減する意味や除去物の再堆積を防止する意味がある。形状補正NCデータは、記憶部99bに保存される。
次に、被加工物WOを回転ステージ35にセットした後に、被加工物WOの加工開始点への位置決めを行う(ステップS16)。GCIB照射装置20のアパーチャー部材23に対して、ステージ装置30上に固定された被加工物WOを位置決めする。具体的には、加工開始前において、例えば基準点(又は加工開始点)となる被加工物WOの角部(又は縁部)上にアパーチャー部材23の開口部23aが配置されるように位置決めされる。また、被加工物WOの中心軸AXとGCIBの照射軸BXとが平行になるようにアライメントされる。つまり、アパーチャー部材23の中心軸、すなわちGCIBの照射軸BXは、被加工物WOの中心軸AXに平行であるか、被加工物WOの底面Maに垂直となっている。また、ステージ装置30において、被加工物WOのXY位置座標が形状測定装置40で測定した被加工物WOのXY位置座標と一致するようにアライメントされている。
次に、被加工物WOに対してGCIB照射及び相対走査を行う(ステップS17)。この際、主制御装置99は、ステージ制御部96、GCIB制御部97等に対して、記憶部99bから読み出された形状補正NCデータをCNCソフトを用いて実行させる。主制御装置99は、ステージ制御部96を動作させ、ステージ装置30を駆動して、被加工物WOをGCIBに対して相対的に移動させる。結果的に、被加工物WOは、加工開始点(例えば、被加工物WOの角部)から加工終了点(加工開始点の対角にある角部)まで、GCIBの照射距離を一定に保ちつつ、被加工物WOの形状誤差を補正するように相対走査速度(具体的には、X軸方向の速度)を変化させて、GCIBに対して相対的に3次元並進移動、2次元的にはラスター型の走査が行われる。これと並行して、主制御装置99は、GCIB制御部97を動作させ、GCIB照射装置20を駆動して、被加工物WOの被加工面Mbに対してGCIBを照射させる。これにより、図4Aに示すように、GCIBは、所定の走査ピッチで被加工面Mbの全面に一筆書きの走査軌跡TKを描く。GCIBによる加工範囲は、GCIB照射面と非照射面との境界に段差をつけないため、局所的な形状補正を行う場合でも、被加工面Mbの全面であることが望ましい。加工に必要な照射ドーズ量の調整は、GCIBに対する被加工物WOの相対走査速度の制御によって行う。形状補正が不用の部分はビーム滞在時間が最小になるように走査する。相対走査速度が遅い場合、照射ドーズ量が多くなるため、その部分の加工量が多くなる。一方、相対走査速度が速い場合、照射ドーズ量が少なくなるため、その部分加工量が少なくなる。形状補正NCデータでは、照射における総加工量がステップS14で取得した形状誤差を修正するように各被加工点における照射ドーズ量が計算されている。そのため、加工前に被加工物WOに存在した形状誤差を修正することができる。GCIB照射は、照射表面に除去物が一定以上堆積しないように何度も走査を繰り返すことが望ましい。
次に、被加工物WOの加工開始点から加工終了点までの一順(加工範囲全域)の加工が終了し、被加工物WOに形状誤差が残っており、再度ステップS17の照射工程及び走査工程を行う場合、つまり所定の照射回数に満たない場合(ステップS18のN)には、ステップS16の位置決め工程に戻り、被加工物WOへの加工を繰り返す。被加工物WOに形状誤差がなくなった場合(ステップS18のY)には、加工を終了する。これにより、加工目標を達成した被加工物WOを得ることができる。
以上説明した加工方法及び加工装置によれば、所定サイズに絞ったGCIBについて、照射距離DR(アパーチャー部材23と被加工物WOとの間の距離)を一定に保つように相対走査させ、かつ相対走査速度を加工目標を達成するように制御することで、表面粗さが例えばPV100nm程度になるように、被加工物WO上に目標形状を形成することができる。照射距離DRを一定にすることで、例えばある距離における1種類のダミー部材WBの加工測定結果で目標形状を形成する工程を賄うことができる。また、被加工物WOを揺動させずに加工するため、揺動時と比較して位置決めの難易度が下がり、加工時間が短縮できる。また、相対走査に際して3次元並進移動を行うため、被加工物WOの回転動作を伴う場合のように、常にビームが照射される部分が生じるといった照射の偏りを回避でき、回転加工による急峻な段差が発生しないため、形状誤差補正が高精度となるとともに、形状制御が容易となる。これにより、回転対称形状を有する被加工物WOだけでなく、自由曲面等の非回転対称形状を有する被加工物WOに対しても精度良く効率的に表面形状を加工することができる。自由曲面の形状補正のために被加工物WOを相対走査するには、大容量データポイント数、データポイント毎の速度コントロール、及び多軸連動動作等が必要であるが、上述の加工方法を用いることで容易に上記条件を満たす。よって、自由曲面等の任意の形状に対応することができ、かつ形状誤差量に合わせて相対走査速度を制御できる。これにより、面角度が比較的緩く(具体的には45°以下)、大面積で自由曲面形状の被加工物の形状誤差を高精度に補正することができる。
〔実施例〕
以下、上記加工方法及び加工装置100の実施例を説明する。被加工物WOとして、一辺の長さが50cmであり、外形が四角形のものを用いた。被加工物WOは、中心側が凸形状となっている。被加工物WOの材料は、SUS材である。被加工物WOの表面には、無電解Ni−Pメッキが施されている。GCIB発生ガスとして、SF+He混合ガス(混合比がSF:He=1:9)を用いた。ガス圧は0.4MPaであり、照射ドーズ量は2×1016〜2×1017ions/cmとした。アパーチャー部材23は、SUS製のものを用いており、開口部23aのサイズは、直径5mmとなっている。
上述の被加工物WOをステージ装置30に固定し、被加工物WOの3次元並進走査加工(直線走査加工)を行った。ステージ装置30は、X軸方向の動作及びZ軸方向の動作を同時制御し、Y軸方向にピッチ送りをする構成とした。走査ピッチは、0.1mmとした。GCIBの照射距離DRは20mmとした。
被加工物WOの加工後、形状測定装置40を用いて被加工面Mbの表面形状を測定した。処理前の形状誤差PVは300nmであったが、形状誤差を補正して加工処理した後の形状誤差PVは100nmとなり、表面粗さが改善した。
以上、本実施形態に係る加工装置等について説明したが、本発明に係る加工装置等は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、例えば、被加工物WOの被加工面Mbの形状や大きさは、用途や機能に応じて適宜変更することができる。また、被加工物WOは、底面Maが平坦でないものも用いることができる。この場合、GCIBの照射軸BXは、被加工物WOの中心軸AXでアライメントする。
上記実施形態において、アパーチャー部材23の開口部23aの形状や大きさは、被加工面Mbの形状や大きさに応じて適宜変更することができる。
上記実施形態において、被加工物WOの被加工面Mbの全面を加工したが、一部を加工してもよい。
上記実施形態において、予備加工された被加工物WOの形状誤差を補正する加工例を挙げたが、被加工物WOに対して目標形状を最初から形成する加工を行ってもよい。
上記実施形態において、加工方法のステップS12では、1つの平板状のダミー部材WBを用いてその入射角を変えてデータを取得しているが、入射角を変えたダミー部材WBを用いてデータを取得してもよい。この場合、ダミー部材WBは、複数の傾斜面が設けられているものを用いる。
上記実施形態において、ダミー部材WBの加工データに関するデータベースがあれば、ステップS11,S12を毎回行う必要はない。
上記実施形態において、回転ステージ35上に回転ステージ35に対する被加工物WOの位置決めを行うXYZ軸ステージを設けてもよい。

Claims (10)

  1. 被加工物に照射するガスクラスターイオンビームを所定サイズに絞るアパーチャー部材を通して、前記ガスクラスターイオンビームを前記被加工物に照射する照射工程と、
    前記アパーチャー部材の開口部と前記被加工物との間の距離を一定に保ちつつ、前記被加工物を前記アパーチャー部材に対して相対的に3次元並進移動させる走査工程と、
    を備え、
    前記走査工程において、相対走査速度を加工目標を達成するように制御するガスクラスターイオンビーム加工方法。
  2. 前記被加工物と同じ材質のダミー部材を用いて、前記ガスクラスターイオンビームによる除去量に関する角度依存性データを取得する工程を備え、
    前記被加工物の被加工点の面角度に応じて前記ガスクラスターイオンビーム加工量を補正することで、前記被加工物を揺動させずに加工する、請求項1に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  3. 前記走査工程において、相対走査速度を形状誤差を補正するように制御する、請求項1及び2のいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  4. 前記ガスクラスターイオンビームの照射軸は、前記被加工物の被加工面の中心軸に平行である、請求項1から3までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  5. 前記ガスクラスターイオンビームの照射軸は、前記被加工物の底面に垂直である、請求項1から3までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  6. 前記アパーチャー部材と前記被加工物との間の距離は、5mm以上25mm以下である、請求項1から5までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  7. 前記被加工物の被加工面は、回転対称形状を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  8. 前記被加工物の被加工面は、自由曲面形状を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  9. 前記ガスクラスターイオンビームの発生ガスは、ハロゲン元素を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のガスクラスターイオンビーム加工方法。
  10. ガスクラスターイオンビームを所定サイズに絞るアパーチャー部材の開口部と被加工物との間の距離を一定に保ちつつ、前記被加工物を前記アパーチャー部材に対して相対的に3次元並進移動させるステージ装置と、
    前記ステージ装置に3次元並進移動を行わせることによって、前記ガスクラスターイオンビームを前記被加工物に照射しつつ走査するとともに、ガスクラスターイオンビームの照射位置の相対走査速度を加工目標に応じて変化させるステージ制御部と、
    を備えるガスクラスターイオンビーム加工装置。
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