JPWO2017164334A1 - ホウ素クラスター結合ペプチド化合物 - Google Patents

ホウ素クラスター結合ペプチド化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、EPR効果による優れたがん集積性、及びナノ粒子化しないことによる腫瘍組織内での高い浸透性を示し、がん細胞内に効率的に取り込まれる新規含ホウ素化合物を提供することを目的とする。本発明は、ホウ素クラスター及びポリエーテルを有し、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるアミノ酸を構成アミノ酸とするペプチド化合物又はその塩に関する。

Description

ホウ素中性子捕捉療法に有用な新規含ホウ素化合物に関し、特に、ホウ素クラスターを導入したペプチド化合物に関する。
中性子捕捉療法(NCT)は、外科手術が困難な固形がんに対して優れた治療効果を示し、且つ患者に負担の少ない低侵襲治療法として注目されている。NCTは、10B、157Gd等のような、中性子との反応断面積が大きい元素を含有する分子を体内に投与した後に、患部に対して低エネルギーの熱中性子線或いは熱外中性子線を照射し、核反応によって発生する細胞障害性の放射線(α線等)により、がん細胞を死滅させる治療法である。中でも、ホウ素化合物を用いるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)において、臨床応用されている化合物としては、例えばホウ素クラスターのBSH(メルカプトウンデカハイドロドデカボレート)が知られている。
しかしながら、BSHは速やかに排泄され、血中滞留性や腫瘍滞留性に乏しく、現状では非常に高濃度の化合物を体内に投与しながら、患部に熱中性子線或いは熱外中性子線を照射する方法が取られており、この方法では、10Bの腫瘍内濃度が十分ではないためにがん細胞を根治できない場合があること、正常組織への傷害が起こりうること、さらには熱中性子線或いは熱外中性子線のピンポイント照射が必要なために適用できる疾患が限定される等の問題があった。
これに対し、これまで、腫瘍内の10B濃度を高めることを目的として、抗体/ホウ素化合物コンジュゲート、カチオン性ポリマー/ホウ素化合物コンジュゲート、Cell Membrane Penetrating Peptide (CPP)/ホウ素化合物コンジュゲート、ホウ素化合物封入リポソーム、高分子ミセル等の高濃度のホウ素化合物をがん組織に送達できるさまざまなドラッグデリバリーシステム(DDS)が開発されてきた[M.J.Luderer et al.,Pharm.Res.,32:2824−2836(2015)]。
特に、リポソーム、高分子ミセルのようなナノ粒子の場合には、血中滞留性を上げ、Enhanced Permeability and Retention (EPR)効果(がん組織では腫瘍血管の透過性の亢進と未発達なリンパ系の構築によって高分子物質が集積しやすい環境が形成されている効果)によって、がん組織に選択的に集積し、さらに腫瘍における長期滞留性によって、低分子量のBSHと比較して高いがん組織/血中10B濃度比が達成された後に、熱中性子線或いは熱外中性子線の照射を行うことができるため、広く研究されてきた。
しかしながら、ナノ粒子型DDSを用いた場合には完全に均一な腫瘍内分布を達成することが困難であり[S.Stapleton et al.,PLOS One,8:e81157(2013)]、繰り返し投与を行う抗がん剤治療では問題とならないが、ホウ素中性子捕捉療法においては、不均一なホウ素化合物の分布は一部のがん細胞の生存へと繋がり、治療効果の低下やがんの再発の原因となる。
このため、ホウ素中性子捕捉療法のためのDDSには、ホウ素化合物を腫瘍組織内の深部のがん細胞まで送達できる、優れた組織浸透性が必要であると考えられる。
一方、ホウ素化合物の細胞内移行を重視したDDS設計としては、カチオン性ポリマー/ホウ素化合物コンジュゲート[A.K.Azab et al.,J.Control.Release,106:14−25(2005);M.Umano et al.,Applied Radiation and Isotopes,69:1765−1767(2011)]やCPP/ホウ素化合物コンジュゲート[H.Michiue et al.,Biomaterials,35:3396−3405(2014)]が開発されているが、一般的にこれらのCPPやカチオン性ポリマーは生体分子と非特異的な相互作用を示すために、EPR効果によるがん選択的な集積効果が得られにくいと考えられる。
また、PEGを有するカチオン性デンドリマーも開発されているが[B.Qualmann et al.,Angew. Chem. Int. Ed., 35, 909−911(1996)]、多く存在するアミノ基のカチオン性により膜透過性が高く、生体分子に非特異的に吸着し、がん選択的に送達することは困難である。また、腫瘍に均一に分布することは期待できない。さらに、その強い正電荷により、生体内で異物として認識されてしまうことも考えられる。また、BNCTで用いる場合、通常の医薬と異なり、多量投与が必要となるが、塩基性アミノ酸のポリマーは、細胞毒性が知られており、多量投与には向いていない。
M.J.Luderer et al.,Pharm.Res.,32:2824−2836(2015) S.Stapleton et al.,PLOS One,8:e81157(2013) A.K.Azab et al.,J.Control.Release,106:14−25(2005) M.Umano et al.,Applied Radiation and Isotopes,69:1765−1767(2011) H.Michiue et al.,Biomaterials,35:3396−3405(2014) B.Qualmann et al.,Angew. Chem. Int. Ed.Engl, 35, 909−911(1996)
本発明の目的は、EPR効果による優れたがん集積性、及びナノ粒子化しないことによる腫瘍組織内での高い浸透性を示し、がん細胞内に効率的に取り込まれる新規含ホウ素化合物を提供し、それにより、ホウ素中性子捕捉療法において、効果的な腫瘍疾患の治療を実現することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエーテル、及びBSHのようなホウ素クラスターを有し、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるアミノ酸を構成アミノ酸とするペプチド化合物が、EPR効果による優れたがん集積性、及びナノ粒子化しないことによる腫瘍組織内での高い浸透性を示し、さらには、がん細胞内に効率的に取り込まれることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下[1]〜[36]の通りである。
[1] ホウ素クラスター及びポリエーテルを有し、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるアミノ酸を構成アミノ酸とするペプチド化合物又はその塩。
[2] アミノ酸が構成するペプチドが、直鎖ペプチドである上記[1]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[3] ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基を少なくとも1個有する上記[1]または[2]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[4] ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基が、式(1):
[式中、Rは、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、当該α−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、環を形成する場合は該窒素原子に結合するHは存在しない。]
で表される、上記[3]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[5] Rが、それぞれ独立して、式(B1):
[式中、M2+は、カチオンを示し、●は、BHを示し、*は、リンカー構造との結合部位を示す。]
で表される基がリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖である、上記[4]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[6] Rが、それぞれ独立して、式(R1a):
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、炭素数が6〜14のアリール基、又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し;Qは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−又は−複素環−NH−(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンを示す。)を示し;Pは、−O−、−NH−又は−S−を示し;M2+は、カチオンを示し;●は、BHを示し;dは、1又は2を示し;fは、それぞれ独立して、1〜20の整数を示し;gは、0〜20の整数を示し;**は、α−アミノ酸のα−炭素との結合部位を示す。]
で表される基である、上記[5]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[7] Rのα−アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、チロニン、シトルリン、α-アミノ酪酸、ホモシステイン及びペニシラミンからなる群から選ばれる、上記[4]〜[6]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[8] Rのα−アミノ酸が、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選ばれる、上記[4]〜[6]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[9] ホウ素クラスターが、ペプチドの構成アミノ酸に、直接又はリンカー構造を介して結合する、上記[1]〜[3]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[10] リンカー構造が、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜200個の主鎖構成原子からなる2価の基である、上記[4]〜[9]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[11] リンカー構造が、式(L’):
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、炭素数が6〜14のアリール基、又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し;P及びQは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−又は−複素環−NH−(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンを示す。)を示し;fは、それぞれ独立して、1〜20の整数を示し;gは、0〜20の整数を示し、*1はアミノ酸の側鎖との結合部位であり、*2はホウ素クラスターとの結合部位である。]
で表される2価の基である、上記[4]〜[10]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[12] ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基がポリエーテルからなる1価の基で置換されている、上記[1]〜[11]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[13] ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基が、式(P1):
[式中、Zは、置換対象がカルボキシ基の場合−O−、−NH−又は−S−を、置換対象がアミノ基の場合−CO−、−CONH−又は−COO−を示し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し、sは、それぞれ独立して1〜10の整数であり、tは、それぞれ独立して2〜10の整数であり、uは、それぞれ独立して1以上の整数であり、***は、結合部位を示す。]
で表される基で置換されている、上記[1]〜[12]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[14] ホウ素クラスターが、3〜20個のホウ素原子を有するホウ素クラスターである、上記[1]〜[13]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[15] ホウ素クラスターが、水素化ホウ素化合物、及びその1個以上のホウ素原子がそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子で置換された化合物、並びにそれらの金属錯体からなる群から選ばれる、上記[1]〜[14]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[16] ホウ素クラスターの10Bの同位体比が、50%以上である、上記[1]〜[15]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[17] ペプチドがポリアミノ酸である上記[1]〜[16]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[18] ペプチドのアミノ酸残基数に対するホウ素クラスターの結合数の比が0.1以上である、上記[1]〜[17]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[19] ペプチドのアミノ酸残基数が200以下である、上記[1]〜[18]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[20] ポリエーテルが、ポリアルキレングリコール単位を含む直鎖又は分枝鎖の水溶性重合体である、上記[1]〜[19]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[21] ポリアルキレングリコール単位が、ポリエチレングリコール単位である、上記[20]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[22] ポリエーテルの数平均分子量が、50,000未満である、上記[1]〜[21]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[23] ペプチドの構成アミノ酸が、側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基から選ばれる活性基を有するアミノ酸である、上記[1]〜[22]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[24] ペプチドの構成アミノ酸が、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれる、上記[1]〜[23]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[25] 分子量が、100,000未満である、上記[1]〜[24]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[26] 式(Ia)又は式(Ib):
[式中、
は、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、
は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、
及びRのα−アミノ酸の側鎖は、それぞれ、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、環を形成する場合は該窒素原子に結合するHは存在せず、
bが1以上の場合、Rを有するα−アミノ酸残基とRを有するα−アミノ酸残基とは、任意に共重合しており、
、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、
(1)水素原子、
(2)炭素数が1〜6のアルキル基、
(3)炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、又は
(4)ポリエーテルからなる1価の基を示し、
、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、
(1)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、
(2)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は
(3)ポリエーテルからなる1価の基を示し、
cが2以上の場合のY及びYは、それぞれ、ポリエーテルからなるc価の基を示し、
式(Ia)においては、Rのα−アミノ酸の側鎖の置換基、並びにX及びYのうち少なくともいずれか1つが、式(Ib)においては、Rのα−アミノ酸の側鎖の置換基、並びにX及びYのうち少なくともいずれか1つが、ポリエーテルからなる1価の基又はポリエーテルからなるc価の基であり、
a及びcは、それぞれ独立して、1以上の整数を示し、
bは、0以上の整数を示し、
aとbの合計は、2以上である。]
で表される、上記[1]〜[25]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[27] cが1である、上記[26]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[28] Y及びYが、ポリエーテルからなる1価の基である、上記[27]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[29] Y及びYが、式(P1):
[式中、Zは、式(Ia)においては−O−、−NH−又は−S−を、式(Ib)においては−CO−、−CONH−又は−COO−を示し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し、sは、それぞれ独立して1〜10の整数であり、tは、それぞれ独立して2〜10の整数であり、uは、それぞれ独立して1以上の整数であり、***は、結合部位を示す。]
で表される基で置換されている、上記[27]に記載のペプチド化合物又はその塩。
[30] Xが、水素原子であり、Xが、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、又は炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基である、上記[26]〜[29]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[31] aとbの合計が、200以下の整数である、上記[26]〜[30]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[32] aとbの合計に対するaの比が、0.1以上である、上記[26]〜[31]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[33] 腫瘍疾患のホウ素中性子捕捉療法に用いるための上記[1]〜[32]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩。
[34] 上記[1]〜[32]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[35] 腫瘍疾患のホウ素中性子捕捉療法に用いるための医薬を製造するための上記[1]〜[32]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩の使用。
[36] 上記[1]〜[32]の何れかに記載のペプチド化合物又はその塩の必要量を哺乳動物に投与することを特徴とするホウ素中性子捕捉療法による腫瘍疾患の治療方法。
本発明の化合物は、EPR効果による優れたがん集積性、及びナノ粒子化しないことによる腫瘍組織内での高い浸透性を示し、がん細胞内に効率的に取り込まれるため、これを用いるホウ素中性子捕捉療法ではより効果的に腫瘍疾患を治療できる。
HUVECに対する細胞毒性試験における実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物並びに10B−BSHの濃度別の細胞生存率に関するグラフを示す。 C26がん細胞に対する細胞毒性試験における実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物並びに10B−BSHの濃度別の細胞生存率に関するグラフを示す。 実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物並びに10B−BSHのC26がん細胞内取込量に関するグラフを示す。グラフの縦軸は、10B−BSHをC26がん細胞に添加後1時間の細胞内取込量を1とした時の、各化合物の相対的な細胞内取込量を示す。 実施例1の化合物をAlexa488(登録商標)で蛍光標識した化合物を添加したC26がん細胞の共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)による画像を示す。 実施例7の化合物、及び合成例21の化合物の対カチオンが2セシウムカチオンである化合物のCT26がん細胞内取込量に関するグラフを示す。 実施例1〜3若しくは比較例1若しくは2の化合物又は10B−BSHを、C26がん細胞を皮下移植したマウスに投与した後の血漿中濃度推移に関するグラフを示す。グラフの縦軸は、1 mlの血漿当り、投与量(ID:injected dose)の何%が送達されたかを示す。 実施例1〜3若しくは比較例1若しくは2の化合物又は10B−BSHを、C26がん細胞を皮下移植したマウスに投与した後の腫瘍細胞中の集積量推移に関するグラフを示す。グラフの縦軸は、1 gの腫瘍当り、投与量(ID:injected dose)の何%が送達されたかを示す。 実施例7の化合物又は天然型B−BSHを、CT26がん細胞を皮下移植したマウスに投与した後の腫瘍細胞中の集積量推移に関するグラフを示す。グラフの縦軸は、1 gの腫瘍当り、投与量(ID:injected dose)の何%が送達されたかを示す。 実施例1の化合物又は10B−BSHを、C26がん細胞を皮下移植したマウスに投与及び熱中性子線を1時間照射後又は照射なしの場合の相対腫瘍体積推移に関するグラフを示す。 実施例1の化合物又は10B−BSHを、C26がん細胞を皮下移植したマウスに投与及び熱中性子線を1時間照射後又は照射なしの場合のマウスの体重推移に関するグラフを示す。 実施例1の化合物と、リポソーム製剤について、担がんマウスを用いた腫瘍浸透性の比較に関する、共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)による画像を示す。左上図は、C26腫瘍組織のヘマトキシリン−エオシン染色を示す。左下図は、実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物とDoxil(登録商標)のC26腫瘍組織分布を示す。中央図は、BxPC3腫瘍組織のヘマトキシリン−エオシン染色を示す。右図は、実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物とDoxil(登録商標)のBxPC3腫瘍組織分布を示す。実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物は緑色、Doxil(登録商標)は赤色、両化合物が共在する部分は黄色として示される。
本発明は、ホウ素クラスター及びポリエーテルを有し、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるアミノ酸を構成アミノ酸とするペプチド化合物(以下、「本発明のペプチド化合物」という)又はその塩を提供する。
本明細書において「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものを意味する。ペプチドのアミノ酸残基数は、好ましくは、3以上であり、より好ましくは、5以上であり、さらに好ましくは、10以上である。ペプチドのアミノ酸残基数は、好ましくは、200以下であり、より好ましくは、150以下であり、さらに好ましくは、100以下である。
本明細書において「ペプチド化合物」とは、任意の置換基を有していてもよいペプチドを意味する。ペプチド化合物のペプチドは、多くのホウ素クラスターを結合させるという観点から、ペプチドデンドリマーや分岐ペプチドではなく、直鎖ペプチドであることが好ましい。
本明細書において「アミノ酸」とは、天然型又は非天然型の公知のアミノ酸を意味する。
本明細書において「中性アミノ酸」とは、天然型又は非天然型の公知の中性アミノ酸を意味する。例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、チロニン、シトルリン、α-アミノ酪酸、ホモシステイン、ペニシラミン、プロリン、ヒドロキシプロリン、β−アラニン、γ-アミノ酪酸等である。
本明細書において「酸性アミノ酸」とは、天然型又は非天然型の公知の酸性アミノ酸を意味する。例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等である。
ペプチドの構成アミノ酸は、好ましくは、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ホモシステイン、ペニシラミン、ヒドロキシプロリン等の側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の活性基を有するアミノ酸であり;なかでも、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれることがより好ましく;グルタミン酸であることが特に好ましい。
これらのアミノ酸は、D型、L型又はそれらの混合物であってもよい。
ある実施形態では、ペプチドがポリアミノ酸である。即ち、ペプチドの構成アミノ酸がすべて同一のアミノ酸である。
ある実施形態では、ペプチド化合物は、ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基を少なくとも1個有する。ペプチドのアミノ酸残基数に対する、ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基数の比は、好ましくは、0.1以上であり、より好ましくは、0.2以上であり、さらに好ましくは、0.3以上である。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、ペプチドの構成アミノ酸の1単位であって、アミノ酸のC末端のOH及び/又はN末端のHを除いた基を意味する。本明細書においてアミノ酸の「側鎖」とは、ペプチドを構成する場合に、その主鎖を構成しない分岐鎖を意味する。
本明細書において「ホウ素クラスター」とは、主にホウ素原子が複数集合して一つに結合して得られる構造を有するイオン性又は非イオン性の公知物質を意味し、3〜20個のホウ素原子を有するホウ素クラスターであることが好ましく、8〜20個のホウ素原子を有するホウ素クラスターであることがより好ましく、10〜12個のホウ素原子を有するホウ素クラスターであることが特に好ましい。
ホウ素クラスターは、それを構成する骨格原子として、ホウ素原子以外に、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含んでいてもよい。ホウ素クラスターにおいて、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のその他の原子の数は、好ましくは、0〜5であり、より好ましくは0〜2である。
また、ホウ素クラスターは、ニッケルやコバルト等の遷移金属との金属錯体であってもよい。
ホウ素クラスターは、イオン性であることが好ましく、また、水溶性であることが好ましい。
ホウ素クラスターとしては、例えば、[B、[B2−2+、[B2−2+、[B2−2+、[B2−2+、[B10102−2+、[B1013、[B11112−2+、[B1114、[B12122−2+、[B20184−4+(式中、M、M2+及びM4+はそれぞれカチオンを示す。)のような水素化ホウ素化合物、及びそれらの1個以上(好ましくは1〜5個、より好ましくは1又は2個)のホウ素原子がそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子で置換された化合物(例えば、[C11、[CB1112、C1012、NB)、並びにそれらの金属錯体(例えばニッケル錯体、コバルト錯体)(例えば、[(C11Co]、[(C11Ni])が挙げられる。
具体例としては、下記式で表されるホウ素クラスターが挙げられる。
[式中、●はBHを示し、その他の記号は上記定義の通りである。]
中でも好ましくは、下記式で表されるホウ素クラスターである。
[式中、各記号は上記定義の通りである。]
、M2+又はM4+で表されるカチオンは、医薬上許容されるカチオンであればよく、特に限定されるものではない。M、M2+及びM4+は、単一成分であってもよいし、2種以上の成分の組み合わせであってもよく、それぞれのカチオンは1価であっても多価であってもよい。好ましくは、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、アミン系イオン(例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等)、ポリアミン(例えば、1,4−ジアミノブタン、スペルミン、スペルミジン)の1価又は多価のアンモニウムイオン等から選ばれるカチオンであり、より好ましくは、アルカリ金属イオンであり、特に好ましくは、ナトリウムイオンである。
ホウ素クラスターの10Bの同位体比は、好ましくは、19%以上であり、より好ましくは、50%以上であり、さらに好ましくは、80%以上である。
本発明のペプチド化合物において、ホウ素クラスターは、例えば、ペプチドの構成アミノ酸に、直接又はリンカー構造を介して結合する。ホウ素クラスターは、ペプチドの構成アミノ酸の側鎖に1個以上結合していることが好ましく、1〜3個がより好ましく、1個が特に好ましい。
ある好ましい実施形態では、ホウ素クラスターは、アミノ酸の側鎖に、1価の基(ホウ素クラスターの1個の任意のHを除いてなる基を意味し、以下「ホウ素クラスターからなる1価の基」という)として、直接、或いはリンカー構造を介して、共有結合していることがより好ましい。
ある実施形態では、ホウ素クラスター(又はリンカー構造)は、例えば、アミノ酸の側鎖の炭素原子、窒素原子又は硫黄原子上の任意のH又はOHと置換して結合しており、アミノ酸の活性基のH及びOH(例えば、カルボキシ基のOH並びにヒドロキシ基及びメルカプト基のH)のから選ばれる基と置換して結合していることがより好ましく、カルボキシ基のOHと置換して結合していることがさらに好ましい。
ホウ素クラスター(又はリンカー構造)が、カルボキシ基との間で形成し得る結合としては、例えば、アミド結合(−CONH−)、エステル結合(−COO−)、チオエステル結合(−COS−)等が挙げられ、好ましくは、アミド結合である。ヒドロキシ基との間で形成し得る結合としては、エステル結合(−OCO−)、ウレタン結合(−OCONH−)等が挙げられる。メルカプト基との間で形成し得る結合としては、チオエステル結合(−SCO−、−COS−、ジスルフィド結合(−SS−)等が挙げられる。
ペプチドのアミノ酸残基数に対する、ホウ素クラスターの結合数の比は、好ましくは、0.1以上であり、より好ましくは、0.2以上であり、さらに好ましくは、0.3以上である。
ホウ素クラスターからなる1価の基は、好ましくは、式(B1)〜式(B15):
[式中、*は、アミノ酸の側鎖又はリンカー構造との結合部位を示し、その他の記号は上記定義の通りである。]
の何れかで表される基であり、特に好ましくは、式(B1)で表される基である。
本明細書における「リンカー構造」は、ホウ素クラスターとアミノ酸の側鎖とを連結させることができる薬学的に許容される構造であれば特に限定されるものではない。例えば、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる主鎖構成原子(好ましくは、1〜200個、より好ましくは、1〜30個)からなる2価の基が挙げられる。
ある実施形態では、「リンカー構造」は、好ましくは、下記式(L)で表される2価の基である:
[式中、*1はアミノ酸の側鎖との結合部位であり、*2はホウ素クラスターとの結合部位であり、P及びQは、それぞれ独立して 、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−NHCOS−、−SCONH−、−NHCHCONH−、−NHCOCHNH−、−NHCHCOO−、−OCOCHNH−、−OCHCONH−、−NHCOCHO−、−OCHCOO−、−OCOCHO−、−SCHCONH−、−NHCOCHS−、−SCHCOO−、−OCOCHS−、−N(−COCH−)(−CO−)CHS−、−SCH(−CHCO−)(−CO−)N−、−N(−N=N−)(−CH=)C−、−C(−N=N−)(=CH−)N −、−NH−N=CH−、−CH=N−NH−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−、−複素環−NH−等(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレン等を示す。)を示し、Lは、エチレングリコール、オリゴエチレングリコール、ポリエチレングリコール、オリゴエーテル、ポリエーテル等の2価の鎖状基、鎖状アルキレン基、環状アルキレン基等のアルキレン基等を示す。]。Lで表される2価の鎖状基及びアルキレン基は、それぞれ、その鎖状又は環状構造内に複素環やフェニレン(1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレン等)を含んでいてもよい。
このようなリンカー構造は、ホウ素クラスターとアミノ酸の側鎖を連結させるために、種々の公知反応、公知のリンカー構造を選択して導入することができる。このようなリンカー構造は、広く知られており、例えば、S.Manabe and M.Yokoyama,Drug Delivery System,30−3:247−250(2015)、N.Jain et al.,Pharm Res,32:3256−3540(2015)、J.R.McCombs et al.,The AAPS Journal,17(2):339−351(March 2015)、J.Khandare et al.,Prog.Polym.Sci.,31:359-397(2006)等の文献に記載されている。
別の実施形態では、「リンカー構造」は、好ましくは、下記式(L’)で表される2価の基である:
[式中、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、炭素数が6〜14のアリール基、又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し;
及びQは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−、−複素環−NH−等(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンを示す。)を示し;
fは、それぞれ独立して、1〜20の整数を示し;
gは、0〜20(好ましくは0〜10、より好ましくは0〜6)の整数を示し、その他の記号は上記定義の通りである。]。
このようなリンカー構造は、ホウ素クラスターとアミノ酸の側鎖を連結させるために、種々の公知反応、公知のリンカー構造を選択して導入することができる。
本明細書における「複素環」としては、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する環であって、1以上のオキソ基で置換されていてもよい複素環が挙げられ、具体的には、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ジヒドロチオピラン、イミダゾリジン、オキサゾリン、チアゾリン、イミダゾリン、ジオキソール、ジオキソラン、ジヒドロオキサジアゾール、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフラン、オキセタン、ピラゾリジン、ピラゾリン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロトリアゾール、アゼパン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジオキソピロリジン等の3〜8員の非芳香族複素環;フラン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等の5又は6員の芳香族複素環等が挙げられる。
本明細書における「炭素数が1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1〜6の直鎖、分枝鎖又は環状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
本明細書における「炭素数が6〜14のアリール基」とは、炭素数が6〜14の環状の芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられる。
は、それぞれ、好ましくは、水素原子である。
及びPは、それぞれ、アミノ酸の側鎖における結合対象がO又はS(例えば、ヒドロキシ基又はメルカプト基)の場合は、−CO−、−CONH−又は−COO−であることが好ましく、アミノ酸の側鎖における結合対象がCO(例えば、カルボキシ基)の場合は、−O−、−NH−又は−S−であることが好ましい。
は、好ましくは、それぞれ独立して、−NHCO−、−CONH−、−O−、−S−、−SS−又は−複素環−である。
本明細書において「ポリエーテル」とは、主鎖にエーテル結合を有する直鎖又は分枝鎖の重合体を意味し、好ましくは、主にポリアルキレングリコール単位(好ましくはポリエチレングリコール(PEG)単位)を含む直鎖又は分枝鎖の水溶性重合体である。ポリアルキレングリコール単位は、ポリエーテル中に60重量%以上含まれていることが好ましく、80重量%以上含まれていることがより好ましく、90重量%以上含まれていることがさらに好ましい。ポリエーテルの主鎖の末端部分又は鎖状部分の原子は、酸素原子及び炭素原子以外の原子(例えば、硫黄原子、窒素原子等)であってもよい。
本明細書における「ポリエーテル」の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、50,000未満であり、より好ましくは、30,000未満である。また、「ポリエーテル」の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、1,000以上であり、より好ましくは、10,000以上である。「ポリエーテル」の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは、3以下であり、より好ましくは、2以下である。
本発明のペプチド化合物において、ポリエーテルは、ペプチドの構成アミノ酸の活性基(例えば、ペプチド化合物の構成アミノ酸の側鎖のカルボキシ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基、並びにペプチド化合物のN末端のアミノ基及びC末端のカルボキシ基)から選ばれる1個以上の基に結合していることが好ましく、特にペプチド化合物のN末端のアミノ基若しくはC末端のカルボキシ基のいずれかに結合していることが好ましい。
また、ポリエーテルは、ペプチドに1価の基(ポリエーテルの任意の1個のH又はOHを除いてなる基を意味し、以下において「ポリエーテルからなる1価の基」という。)として結合していてもよく、或いは多価の基(ポリエーテルの任意のH及びOHから選ばれる2個以上の基を除いてなる基を意味し、以下において「ポリエーテルからなるc価の基」(cは2以上の整数)という。)として複数のペプチドに結合している形態であってもよい。ポリエーテルからなる1価の基及びポリエーテルからなるc価の基は、それぞれ、好ましくは、ポリエーテル鎖の末端におけるカルボキシ基のOH、並びにアミノ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基のHのうち1個又はc個を除いてなる基である。
ポリエーテルが、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基との間で形成し得る結合としては、それぞれ、ホウ素クラスター(又はリンカー構造)が形成し得る結合として上記で挙げたものと同様のものが挙げられる。
上記「ポリエーテルからなる1価の基」の具体例としては、下記式(P1)〜(P3):
[式中、
Zは、−O−、−NH−、−S−、−CO−、−CONH−、−COO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−又は−SS−を示し、
及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し、
sは、それぞれ独立して1〜10(好ましくは1〜4)の整数であり、
tは、それぞれ独立して2〜10(好ましくは2〜4)の整数であり、
uは、それぞれ独立して1以上の整数であり、
***は、結合部位を示す。]
で表される基が挙げられる。中でも好ましくは、上記式(P1)で表される基である。
cが2の場合における上記「ポリエーテルからなるc価の基」の具体例は、式(P4)又は(P5):
[式中、各記号は上記定義の通りである。]
で表される基が挙げられる。
は、好ましくは、水素原子である。Rは、好ましくは、炭素数が1〜6のアルキル基であり、より好ましくはメチルである。
uの合計は、好ましくは、1,000以下の整数であり、より好ましくは、600以下の整数である。
Zは、結合対象がO、N、NH又はS(例えばヒドロキシ基、アミノ基又はメルカプト基)の場合、−CO−、−CONH−又は−COO−であることが好ましく、結合対象がCO(例えばカルボキシ基)の場合、−O−、−NH−又は−S−であることが好ましい。
ある実施形態において、好ましくは、ペプチドの構成アミノ酸の活性基の少なくとも1個が、ポリエーテルからなる1価の基で置換されている。より好ましくは、ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基が、ポリエーテルからなる1価の基で置換されている。さらに好ましくは、ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基が、式(P1)(式中、式中、Zは、置換対象がカルボキシ基の場合−O−、−NH−又は−S−を、置換対象がアミノ基の場合−CO−、−CONH−又は−COO−を示し、その他の記号は上記定義の通りである。)で表される基で置換されている。
ある実施形態では、ホウ素クラスター(又はリンカー構造)が、側鎖に結合したアミノ酸残基は、下記式(1)で表される。
[式中、各記号は上記の定義の通りである。]
本明細書において「α−アミノ酸」とは、1個の炭素原子(α−炭素とよばれる)に1個のカルボキシル基と1個のアミノ基の両方が結合しているアミノ酸を意味する。α−アミノ酸はD型、L型又はそれらの混合物であってもよい。
本明細書において「α−アミノ酸の側鎖」とは、α−アミノ酸をRCH(NH)COOHで表したときに、Rに相当する基をいう。具体的には、例えば、α−アミノ酸がグリシンの場合は水素原子、アラニンの場合はメチル、バリンの場合はイソプロピル、ロイシンの場合はイソブチル、イソロイシンの場合はsec−ブチル、セリンの場合はヒドロキシメチル、トレオニンの場合は1−ヒドロキシエチル、システインの場合はメルカプトメチル、メチオニンの場合は2−(メチルチオ)エチル、アスパラギンの場合はカルバモイルメチル、グルタミンの場合は2−カルバモイルエチル、フェニルアラニンの場合はベンジル、チロシンの場合はp−ヒドロキシベンジル、アスパラギン酸の場合はカルボキシメチル、グルタミン酸の場合は2−カルボキシエチル、ホモセリンの場合は2−ヒドロキシエチル、ノルロイシンの場合はブチル、ノルバリンの場合はプロピル、チロニンの場合は4−{(4−ヒドロキシフェニル)オキシ}フェニルメチル、シトルリンの場合は3−(カルバモイルアミノ)プロパン、α-アミノ酪酸の場合はエチル、ホモシステインの場合は2−メルカプトエチル、ペニシラミンの場合は1−メルカプト−1−メチルエチルである。
のα−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。ここにおける環状部分としては、例えば、プロリンの環状部分(即ち、ピロリジン環)が挙げられる。ある実施形態では、Rのα−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって環を形成しない。
の「α−アミノ酸」は、好ましくは、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ホモシステイン、ペニシラミン等の側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の活性基を有するα−アミノ酸であり;なかでも、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれることがより好ましく;グルタミン酸であることが特に好ましい。
における、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基の置換数は、1〜3であることが好ましく、1であることがより好ましい。
は、好ましくは、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基(中でも好ましくは、式(B1)〜式(B15)の何れかで表される基)がリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖である。
は、より好ましくは、それぞれ独立して、式(B1)で表される基がリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖である。
は、さらに好ましくは、Rの「α−アミノ酸」が、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選ばれる場合であって、それぞれ独立して、式(R1a):
[式中、Pは、−O−、−NH−又は−S−を示し、dは、1又は2を示し、**は、α−アミノ酸のα−炭素との結合部位を示し、その他の記号は上記の定義の通りである。]
で表される基である。
ある実施形態では、ペプチド化合物は、上記のホウ素クラスター(リンカー構造を含む)の結合、及びポリエーテル(例えば「ポリエーテルからなる1価の基」、「ポリエーテルからなるc価の基」)の結合に加えて、さらに、その他の置換基を有していてもよい。置換基を有する場合、1個以上の置換基が、アミノ酸の側鎖で置換していてもよく、中でも、アミノ酸の側鎖の活性基(例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基)のH又はOHと置換していることが好ましい。
ホウ素クラスターをリンカー構造を介して導入する際の反応において、未反応によりホウ素クラスターが導入されず、リンカー構造又はその断片構造が残存する場合があるが、上記その他の置換基には、そのような残存した未反応の構造が含まれ得る。さらに、上記その他の置換基には、未反応の構造を当業者に公知の方法により不活性化した構造や、副反応により生成した構造、脱保護反応で脱離しなかった未脱保護基を含む構造等も含まれ得る。このように未反応により残存したリンカー構造又はその断片構造の末端は、多種多様な構造を取り得るため、特定の置換基に限定されるものではない。また、上記その他の置換基には、ペプチド化学で用いられる当業者に公知の修飾基等も含まれ得る。
ある実施形態において、上記その他の置換基としては、例えば、導入するリンカー構造が上記式(L’)である場合、式(L’’):
[式中、A1’は、公知のカップリング反応における未反応の官能基、それを公知の方法により不活性化した基、それらの副反応により生成した基、又は未脱保護基を含む基であり、g’は0〜19の整数を示し、その他の記号は上記の定義の通りである。]
で表される基が挙げられる。上記未反応の官能基としては、メルカプト基、ピリジン−2−イルジスルファニル基、カルボキシ基又はその活性基(例えば、4-ニトロフェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステルのような活性エステルや、酸クロリドのような酸ハライド等)、アミノ基、クリックケミストリーによる環化反応のためのアジド(N)基、シクロオクチン基、エチニル(HC≡C)基等が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、上記その他の置換基としては、例えば、下記(1)〜(5)からなる置換基A群から選ばれる置換基を挙げることができるが、これらに限定されない;置換基A群:
(1)下記置換基(a)〜(l)から選ばれる1〜5個の置換基で、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール上が置換されていてもよい下記置換基(A)〜(AA):
(A)炭素数が1〜6のアルキル基、(B)炭素数が2〜6のアルケニル基、(C)炭素数が2〜6のアルキニル基、(D)炭素数が6〜14のアリール基、(E)炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、(F)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、(G)炭素数が2〜6のアルケニル基で置換されていてもよいカルボキシ基、(H)炭素数が2〜6のアルキニル基で置換されていてもよいカルボキシ基、(I)炭素数が6〜14のアリール基で置換されていてもよいカルボキシ基、(J)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(K)炭素数が2〜6のアルケニル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(L)炭素数が2〜6のアルキニル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(M)炭素数が6〜14のアリール基で置換されていてもよいカルバモイル基、(N)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(O)炭素数が2〜6のアルケニル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(P)炭素数が2〜6のアルキニル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(Q)炭素数が6〜14のアリール基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(R)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、(S)炭素数が2〜6のアルケニル基で置換されていてもよいアミノ基、(T)炭素数が2〜6のアルキニル基で置換されていてもよいアミノ基、(U)炭素数が6〜14のアリール基で置換されていてもよいアミノ基、(V)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、(W)炭素数が2〜6のアルケニル基で置換されていてもよいメルカプト基、(X)炭素数が2〜6のアルキニル基で置換されていてもよいメルカプト基、(Y)炭素数が6〜14のアリール基で置換されていてもよいメルカプト基、(Z)炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基、及び(AA)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいスルホ基;
(a)置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基、(b)ホルミル基、(c)置換されていてもよい炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、(d)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいカルボキシ基、(e)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、(f)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(g)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルキニル基、及び置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいメルカプト基、(h)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基、(i)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいスルホ基、(j)ハロゲン原子、(k)シアノ基、(l)ニトロ基;
(2)ホルミル基
(3)ハロゲン原子、
(4)シアノ基、及び
(5)ニトロ基。
置換基A群は、好ましくは、上記置換基(a)〜(l)から選ばれる1〜5個の置換基で、それぞれ、アルキル上が置換されていてもよい上記置換基(A)、(E)、(F)、(J)、(Z)、(R)、(V)、(Z)及び(AA)である。
置換基A群は、より好ましくは、下記置換基(c’)〜(l’)から選ばれる1〜5個の置換基で、それぞれ、アルキル上が置換されていてもよい上記置換基(A)、(E)、(F)、(J)、(Z)、(R)、(V)、(Z)及び(AA)である;
(c’)置換されていてもよい炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、(d’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、(e’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基、(f’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(g’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、(h’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基、(i’)置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいスルホ基、(j’)ハロゲン原子、(k’)シアノ基、(l’)ニトロ基。
置換基A群は、さらに好ましくは、上記置換基(c’)〜(l’)から選ばれる1〜5個の置換基でアルキル上が置換されていてもよい上記置換基(R)である。
上記における「置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキル基」、「置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルケニル基」、「置換されていてもよい炭素数が2〜6のアルキニル基」、「置換されていてもよい炭素数が6〜14のアリール基」、「置換されていてもよい炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基」及び「置換されていてもよい炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基」の置換基としては、例えば、下記(1)〜(15)からなる置換基B群が挙げられる;
置換基群B:
(1)炭素数が1〜6のアルキル基、(2)炭素数が2〜6のアルケニル基、(3)炭素数が2〜6のアルキニル基、(4)炭素数が6〜14のアリール基、(5)ホルミル基、(6)炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、(7)炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が2〜6のアルキニル基、及び炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいカルボキシ基、(8)炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が2〜6のアルキニル基、及び炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、(9)炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が2〜6のアルキニル基、及び炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(10)炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が2〜6のアルケニル基、炭素数が2〜6のアルキニル基、及び炭素数が6〜14のアリール基から選ばれる置換基で置換されていてもよいメルカプト基、(11)炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基、(12)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいスルホ基、(13)ハロゲン原子、(14)シアノ基、(15)ニトロ基等が挙げられる。
置換基数は特に限定されるものではないが、1〜5であることが好ましい。
本明細書における「炭素数が2〜6のアルケニル基」とは、少なくとも1個以上の二重結合を有する、炭素数が2〜6の直鎖、分枝鎖又は環状の部分不飽和炭化水素基を意味し、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、4−メチル−2−ペンチニル等が挙げられる。
本明細書における「炭素数が2〜6のアルキニル基」とは、少なくとも1個以上の三重結合を有する、炭素数が2〜6の直鎖、分枝鎖又は環状の部分不飽和炭化水素基を意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル等が挙げられる。
本明細書における「炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基」とは、上記「炭素数が1〜6のアルキル基」がカルボニルを介して結合する基を意味し、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンタノイル、ヘキサノイル等が挙げられる。
本明細書における「炭素数が1〜6のアルキルスルホニル基」とは、上記「炭素数が1〜6のアルキル基」がスルホニルを介して結合する基を意味し、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル等が挙げられる。
本発明のペプチド化合物又はその塩の分子量は、100,000未満であることが好ましく、80,000未満であることがより好ましく、70,000未満であることがさらに好ましく、60,000未満であることがなお一層好ましい。
ある好ましい実施形態では、本発明のペプチド化合物又はその塩は、式(Ia)又は式(Ib)で表される化合物である。
[式中、各記号は上記の定義の通りである。]
は、前記と同義であり、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基で置換されたα−アミノ酸の側鎖を示す。「ホウ素クラスターからなる1価の基」、「リンカー構造」及び「α−アミノ酸の側鎖」についても前記と同義である。
は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示す。
ある実施形態では、Rの「α−アミノ酸」は、好ましくは、置換されている場合は、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ホモシステイン、ペニシラミン等の側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の活性基を有するα−アミノ酸であり、無置換の場合は、任意のα−アミノ酸である。
上記の実施形態において、Rの「α−アミノ酸」は、より好ましくは、置換されている場合は、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ホモシステイン、ペニシラミン等の側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の活性基を有するα−アミノ酸であり、無置換の場合は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、チロニン、シトルリン、α-アミノ酪酸、ホモシステイン、ペニシラミン等のα−アミノ酸である。
別の実施形態では、Rの「α−アミノ酸」は、好ましくは、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ホモシステイン、ペニシラミン等の側鎖にカルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基等の活性基を有するα−アミノ酸であり;なかでも、グルタミン酸及びアスパラギン酸から選ばれることがより好ましく;グルタミン酸であることが特に好ましい。
のα−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよい。ここにおける環状部分としては、例えば、プロリンの環状部分(即ち、ピロリジン環)が挙げられる。ある実施形態では、Rのα−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって環を形成しない。
のα−アミノ酸の側鎖の置換基としては、ポリエーテルからなる1価の基に加えて、上記その他の置換基と同様のものが挙げられる。ある実施形態では、Rにおいて置換基は存在しない。
においてα−アミノ酸の側鎖は、置換基により、例えば、炭素原子、窒素原子又は硫黄原子上の任意のH又はOHが置換されていてもよく、好ましくは、アミノ酸の活性基のH及びOH(例えば、カルボキシ基のOH並びにヒドロキシ基及びメルカプト基のH)から選ばれる基が置換されていてもよく、より好ましくは、カルボキシ基のOHが置換されていてもよい。
において置換基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びメルカプト基との間で形成し得る結合としては、それぞれ、ホウ素クラスター(又はリンカー構造)が形成し得る結合として上記で挙げたものと同様のものが挙げられる。
における「ポリエーテルからなる1価の基」の具体例としては、上記式(P1)〜(P3)の何れかで表される基が挙げられる。中でも好ましくは、上記式(P1)で表される基である。
bが1以上の場合、Rを有するα−アミノ酸残基とRを有するα−アミノ酸残基とは、任意に共重合しており、ランダム共重合していても、ブロック共重合していても、交互共重合していてもよい。
ある実施形態では、Rの「α−アミノ酸」及びRの「α−アミノ酸」の全てが同一のα−アミノ酸である。
、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、(1)水素原子、(2)炭素数が1〜6のアルキル基、(3)炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、又は(4)ポリエーテルからなる1価の基を示す。
は、好ましくは、水素原子、又はポリエーテルからなる1価の基であり、さらに好ましくは、水素原子である。cが1の場合のYは、好ましくは、水素原子、又はポリエーテルからなる1価の基であり、さらに好ましくは、ポリエーテルからなる1価の基である。
、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、(1)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、(2)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は(3)ポリエーテルからなる1価の基を示す。
は、好ましくは、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、又は炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基である。cが1の場合のYは、好ましくは、ポリエーテルからなる1価の基である。
cが2以上の場合のY及びYは、それぞれ、ポリエーテルからなるc価の基を示す。
、X、Y又はYがポリエーテルからなる1価の基又はポリエーテルからなるc価の基の場合、それらが、アミノ基(アミノ酸残基のNH)及びカルボキシ基(アミノ酸残基のCO)との間で形成し得る結合としては、それぞれ、ホウ素クラスター(又はリンカー構造)が形成し得る結合として上記で挙げたものと同様のものが挙げられる。
、X、Y及びYにおける「ポリエーテルからなる1価の基」の具体例としては、上記式(P1)〜(P3)の何れかで表される基が挙げられる。中でも好ましくは、上記式(P1)で表される基である。Y及びYにおける「ポリエーテルからなるc価の基」の具体例としては、cが2の場合、上記式(P4)又は(P5)で表される基が挙げられる。
式(Ia)においては、Rのα−アミノ酸の置換基、X及びYのうち少なくともいずれか1つが、式(Ib)においては、Rのα−アミノ酸の置換基、X及びYのうち少なくともいずれか1つが、ポリエーテルからなる1価の基又はポリエーテルからなるc価の基である。
aとbの合計は、2以上の整数であり、好ましくは、3以上の整数であり、より好ましくは、5以上の整数であり、さらに好ましくは、10以上の整数である。aとbの合計は、好ましくは、200以下の整数であり、より好ましくは、150以下の整数であり、さらに好ましくは、100以下の整数である。
aとbの合計に対するaの比は、好ましくは、0.1以上であり、より好ましくは、0.2以上であり、さらに好ましくは、0.3以上である。
cは、1以上の整数であり、好ましくは、1〜10の整数であり、より好ましくは、1〜5の整数であり、さらに好ましくは、1又は2であり、特に好ましくは、1である(即ち、式(Ia)及び(Ib)が、それぞれ、式(IA)及び式(IB):
[式中、各記号は上記定義の通りである。]
で表される。)。
本発明のペプチド化合物は塩であってもよい。塩としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩等が挙げられる。アンモニウム塩の好適な例としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ポリアミン(例えば、1,4−ジアミノブタン、スペルミン、スペルミジン)の1価又は多価のアンモニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン(例えば、1,4−ジアミノブタン、スペルミン、スペルミジン)等のアミン類との塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。本発明のペプチド化合物の塩は、中でも、好ましくは、薬学的に許容される塩であることが好ましい。
本発明のペプチド化合物又はその塩(以下、本発明の化合物という)は、腫瘍疾患のホウ素中性子捕捉療法に用いることができる。
本明細書における「腫瘍疾患」としては、悪性黒色腫(メラノーマ)、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、尿路上皮癌、結腸癌、骨癌、皮膚癌(例えば悪性皮膚癌)、頭頚部癌、子宮癌、直腸癌、肛門部癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚部癌、膣癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、柔組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児固形癌、膀胱癌、悪性胸膜中皮腫、脳腫瘍(例えば悪性脳腫瘍)、中枢神経系腫瘍等が挙げられる。
本発明の化合物を用いるホウ素中性子捕捉療法は、例えば、腫瘍疾患を患う哺乳動物(例えばヒト)に、化合物が標的部位に蓄積するような任意の適当な投与経路により本発明の化合物を含む薬剤を投与することによって行われる。本発明の化合物は、腫瘍に選択的に蓄積されていることが好ましい。化合物を含む製剤は一度に投与してもよいし、或いは順次投与してもよい。製剤の投与を必要に応じて繰り返してもよい。
腫瘍内に本発明の化合物が到達した後、その部位に有効量の、熱中性子線或いは熱外中性子線のような低エネルギー中性子線を照射する。皮膚を通してその部位を照射してもよいし、或いはその部位を照射前に完全に或いは部分的に暴露して照射してもよい。また、同時に複数の方向から照射してもよい。本発明の化合物の投与とそれに続く熱中性子線或いは熱外中性子線の照射を必要に応じて繰り返してもよい。例えば数か月程度の間隔で、複数回照射してもよい。照射回数の総数は、好ましくは、1〜10回、より好ましくは1〜5回である。
本発明の化合物の投与経路は、好ましくは、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、脊髄内投与、腹腔内投与である。
本発明の化合物は、熱中性子線或いは熱外中性子線の照射前の72時間以内(好ましくは、5分〜48時間前、より好ましくは、30分〜30時間前)に、腫瘍疾患を患う哺乳動物に投与され得る。また、必要に応じて、熱中性子線或いは熱外中性子線の照射中に投与してもよい。本発明の化合物の代表的な用量は、好ましくは、1回の熱中性子線或いは熱外中性子線の照射につき0.01 mg〜50 g/体重kgの範囲内である。ホウ素クラスター換算では、好ましくは、1回の熱中性子線或いは熱外中性子線の照射につき0.005 mg〜25 g/体重kgの範囲内である。1回の熱中性子線或いは熱外中性子線の照射時間は、好ましくは、1分〜5時間、より好ましくは、10分〜2時間である。熱中性子線或いは熱外中性子線の照射量は、特に限定されるものではなく、中性子補捉療法で用いられる一般的な照射量であればよい。
本発明の化合物を用いるホウ素中性子捕捉療法は、単独の治療として適用してもよいし、或いは従来の手術又は化学療法と共に適用してもよい。所望であれば、腫瘍を外科的に可能な程度に除去した後、本発明の化合物を用いるホウ素中性子捕捉療法により残りの腫瘍を破壊することも可能である。
ホウ素中性子捕捉療法において、本発明の化合物は、BPA(p−ボロノフェニルアラニン)やBSH(メルカプトウンデカハイドロドデカボレート)のような他のホウ素化合物(以下、併用薬物という)と共に用いることもできる。併用薬物を用いる場合、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物及び併用薬物を、腫瘍疾患を患う哺乳動物に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、本発明の化合物、併用薬物の順で投与してもよいし、或いはその逆の順で投与してもよい。
本発明の化合物は、薬学的に許容される溶媒、賦形剤、結合剤、安定化剤、分散剤等の薬学的に許容される担体とともに、注射用溶液、懸濁液、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、吸入剤、坐剤等の非経口剤形に製剤化してもよい。本発明の化合物は、注射用溶液に製剤化することが好ましい。
注射用溶液は、薬学的に受容可能な溶媒中で、本発明の化合物の溶液として製造され得る。それらの溶液はまた、安定化成分及び/又は緩衝化成分を含んでいてもよい。また、注射用溶液は、使用前に適切な溶媒を加えて用いる乾燥製剤であってもよい。
次に、本発明の化合物の製造法について説明する。
本発明のペプチド化合物の中でも、式(Ia’)及び(Ib’)で表される化合物(以下、化合物(Ia’)、化合物(Ib’)という)は、式(IIa)及び(IIb)で表される化合物(以下、化合物(IIa)又は化合物(IIb)という)のα−アミノ酸の側鎖と、式(B)で表される化合物(以下、化合物(B)という)とを、A及びAの部分で、公知の縮合反応、付加反応及び置換反応によりカップリングさせてAを形成し、それにより、直接或いはリンカー構造を介して結合させることにより得ることができる。その際、反応基質にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような活性基が存在する場合は、これらの官能基を、予め公知の保護基で保護しておいてもよい。
[式中、波線部分は、結合手であるか、或いはリンカー構造又はその断片構造を示し、Aは、α−アミノ酸の側鎖、それに結合するリンカー構造又はその断片構造における官能基であり、Aは、ホウ素クラスター、それに結合するリンカー構造又はその断片構造における官能基である。]
リンカー構造が、例えば式(L’)で表される基である場合は、Aは、Pとα−アミノ酸の側鎖の一部、或いはQに相当する構造である。例えば、Aとしては、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−、−複素環−NH−等(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンを示す。)が挙げられる。以下にAを形成するための方法の一例を挙げる。
Aが、−SS−の場合は、例えば、A及びAの一方が、メルカプト基であり、他方が、ピリジン−2−イルジスルファニル基であればよい。化合物(IIa)又は化合物(IIb)と、化合物(B)を溶媒(例えば、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、又はそれらの混合物)中で反応させることにより、化合物(Ia’)又は化合物(Ib’)を得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
Aが、−NHCO−及び−CONH−の場合は、例えば、A及びAの一方が、カルボキシ基又はその活性基(例えば、4-ニトロフェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステルのような活性エステルや、酸クロリドのような酸ハライド等)であり、他方が、アミノ基であればよい。化合物(IIa)又は化合物(IIb)と、化合物(B)を、溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド類、又はそれらの混合物)中、必要に応じて、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はその塩のようなカルボジイミド系縮合剤;4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドのようなトリアジン系縮合剤等)、活性剤(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等)、塩基(例えば、N−メチルモルホリン(NMM)、トリエチルアミンのような有機塩基等)の存在下で反応させることにより、化合物(Ia’)又は化合物(Ib’)を得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
Aが、−SCO−及び−COS−の場合は、例えば、A及びAの一方が、カルボキシ基又はその活性基地(例えば、4-ニトロフェノールエステル、ペンタフルオロフェノールエステルのような活性エステルや、酸クロリドのような酸ハライド等)であり、他方が、メルカプト基であればよい。化合物(IIa)又は化合物(IIb)と、化合物(B)を、溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド類、又はそれらの混合物)中、必要に応じて、縮合剤(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はその塩のようなカルボジイミド系縮合剤;4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドのようなトリアジン系縮合剤等)、活性剤(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等)、塩基(例えば、N−メチルモルホリン(NMM)、トリエチルアミンのような有機塩基等)の存在下で反応させることにより、化合物(Ia’)又は化合物(Ib’)を得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
Aが、−複素環(1,2,3−トリアゾール)−の場合は、例えば、A及びAの一方が、アジド(N)基であり、他方が、エチニル(HC≡C)基であればよい。化合物(IIa)又は化合物(IIb)と、化合物(B)を、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド類;アセトンのようなケトン類;メタノール、エタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類;水(緩衝液を含む);又はそれらの混合物)中、銅触媒(例えば、硫酸銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)等)、必要に応じて、添加剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)等の還元剤等)、配位子(例えば、トリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)、トリス(ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA)、バソフェナントロリンジスルホネート(BPDS)等)、塩基(例えば、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチルアミンのような有機塩基等)の存在下で反応させることにより、化合物(Ia’)又は化合物(Ib’)を得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
また、Aがリンカー構造又はその断片構造に結合している場合、当該リンカー構造又はその断片構造は、上記のAの構築方法と同様に、或いは公知の方法でα−アミノ酸の側鎖に導入することができる。その際、反応基質にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような活性基が存在する場合は、これらの官能基を、予め公知の保護基で保護しておいてもよい。
また、Aがリンカー構造又はその断片構造に結合している場合、当該リンカー構造又はその断片構造は、上記のAの構築方法と同様に、或いは公知の方法でホウ素クラスターに導入することができる。その際、反応基質にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような活性基が存在する場合は、これらの官能基を、予め公知の保護基で保護しておいてもよい。
例えば、市販されている(BSH等として)、或いは公知の方法で容易に調製できる(下記合成例28参照)、メルカプト基やアミノ基のような活性基を有するホウ素クラスターを用いるのであれば、その活性基に上記のAの構築方法と同様にリンカー構造又はその断片構造を導入できる。また、活性基を有さないホウ素クラスターにリンカー構造又はその断片構造を直接導入する方法も知られており、例えば、下記スキームで表される方法が挙げられる。
[式中、Nuは、求核付加反応により導入される基を示し、その他の記号は、上記定義の通りである。]
式(2)で表される化合物は、ホウ素クラスター(1)を、式(3)で表される化合物、酸(例えば、塩酸(塩化水素)等)、添加剤(例えば、テトラフルオロホウ酸ナトリウムのようなテトラフルオロホウ酸塩等)、必要に応じて溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド類、又はそれらの混合物)の存在下で反応させることにより得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
式(4)で表される化合物は、式(2)で表される化合物を、対応する求核試薬、必要に応じて塩基(例えば、トリエチルアミンのような有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、フッ化セシウムのような無機塩基)の存在下で求核付加反応させることにより得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。その際、反応基質にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような活性基が存在する場合は、これらの官能基を、予め公知の保護基で保護しておいてもよい。反応温度は、通常−80から150℃である。
導入基に対応する求核試薬としては、アジド(−N)基やアミノ(−NH)基を導入する場合は、例えば、テトラブチルアンモニウムアジドが用いられ、中でもアミノ基を導入する場合は、反応後さらに、水素ガスのような還元剤及びパラジウム炭素のような触媒を用いる公知の還元反応に付す。反応温度は、通常−80から150℃である。また、例えば、2−アミノエチルチオ(−S−(CH−NH)基を導入する場合は、HS−(CH−NHBocが用いられ、反応後に、Boc基を酸(例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸等)で脱保護する。反応温度は、通常−80から150℃である。
式(5)で表される化合物は、式(2)で表される化合物を、チオ尿素、及び溶媒(例えば、メタノール、エタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類)の存在下で反応させ、その後、塩基(例えば、ナトリウムメトキシド等)で処理することにより得ることができる。反応温度は、通常−80から150℃である。
化合物(IIa)、化合物(IIb)のうち、リンカー構造又はその断片構造を導入する前の式(IIa’)及び(IIb’)で表される化合物(以下、化合物(IIa’)、化合物(IIb’)という)は、市販のものをそのまま用いてもよいし、公知のペプチド伸長法を用いて合成することもできる。
例えば、Y又はXがヒドロキシ基の場合は、C末端を固定するか或いは保護して、Y又はXがヒドロキシ基以外の場合は、(H−)又はH−Xで表される化合物等を出発原料として、公知のペプチド伸長法により、C末端からN末端にペプチド伸長反応を行う。ペプチド伸長の際、α−アミノ酸の側鎖や反応基質にカルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基のような活性基が存在する場合は、これらの官能基を、予め公知の保護基で保護しておいてもよい。伸長後、X又はYが水素原子以外の場合は、X−L又はY(−L)(式中、Lは脱離基又はOH)で表される化合物と公知の縮合反応又は置換反応に付す。最後に、脱保護反応或いは必要に応じて各ペプチド伸長法で知られる後処理操作を行い、式(IIa)及び(IIb)で表される化合物を得る。また、同様にN末端からC末端にペプチド伸長反応も行うこともできる。
ペプチド伸長法としては、例えば、活性化エステル法、混合酸無水物法、アジド法等のC末端活性化法、カルボジイミド等のカップリング法、N−カルボン酸無水物(NCA)法、酸化還元法、酵素法、固相合成法等が挙げられる。
以下に、合成例、比較例、実施例及び試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下、化学構造式や標題、文章中における重合度は、おおよその平均重合度を示す。また、化学構造式内のポリエーテルの重合度nは各合成例及び実施例ごとに独立した値を有する。本明細書中「10B−」は、10Bの同位体比が98%以上である化合物を示し、「天然型B−」は、天然の同位体比(80.1%の11Bと19.9%の10B)である化合物を示す。
合成例1
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
アルゴン雰囲気下、γ−ベンジル L−グルタメート N−カルボン酸無水物(BLG−NCA,526 mg,2.0 mmol)をDMF(26 ml)に溶解した後、DMF(30 ml)に溶解させたα−メトキシ−ω−アミノ−ポリエチレングルコール(CHO−PEG−NH,Mn=12,000,600 mg,0.05 mmol)を加え、35℃にて2日間撹拌することで開環重合を行った。ジエチルエーテル中で沈殿を生成させ、その沈殿をろ取し、真空乾燥することで、PEG−b−P(Glu)のベンジル保護体(PEG−b−P(Glu(Bn))を得た。ポリアミノ酸の重合度(40mer)は、H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)において、PEG部分のプロトンの積分値(−OC −,δ=3.6 ppm)とポリグルタミン酸ベンジルエステルの芳香環部分の積分値(C CH−,δ=7.3 ppm)を比較することで、算出した。分子量分布は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)分析(カラム:TSK−gel G3000HHR,G4000HHR,東ソー株式会社,溶離液:10 mM LiClのDMF溶液,流速:0.8 ml/min,検出:示差屈折率(RI)検出器;温度:25°C)から、1.03と算出した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm): 8.2(s,40H),7.3(m,200H),5.1(m,80H),4.0(s,40H),3.6(m,1090H),2.1−2.5(m,160H).
こうして得られたPEG−b−P(Glu(Bn))を0.5N水酸化ナトリウム水溶液で処理してベンジル基を脱保護後、透析、凍結乾燥を行って標題化合物を得た。
合成例2
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−Thiolate))の合成
合成例1で得られた化合物(300 mg)に対して、0.01N塩酸中で透析を行うことで、ポリグルタミン酸の対カチオンをナトリウムカチオンからプロトンへとイオン交換した後、凍結乾燥を行った。得られた化合物、EDC(147.4 mg,1.1 eq)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(88.5 mg,1.1 eq)をDMSO(10 ml)中で30分撹拌した後、2−(ピリジニルジスルファニル)エタンアミン塩酸塩(156.5 mg,1.0 eq)を加え、さらに24時間撹拌した。反応終了後、この混合物を水中で透析し、凍結乾燥を行って、標題化合物を得た。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm): 8.2(s,40H),7.7(m,80H),4.0(s,40H),3.6(m,1090H),2.1−2.5(m,160H).
実施例1
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−BSH結合ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−BSH))の合成
合成例2で得られた化合物(10 mg)をDMSO(10 ml)に溶解し、それをメタノール(2 ml)に溶解した10B−BSH(4.2 mg,ブロック共重合体中のチオレート化された官能基に対して2 eq)と混合して、室温で終夜反応させた後、反応液を薄い水酸化ナトリウム水溶液中で透析し、凍結乾燥することで、標題化合物を得た。標題化合物(1 mg)を90%硝酸(1 ml)に溶解後、1%硝酸で希釈した溶液に対してICP−MS分析を行い、10B量を定量することによって、ポリマー1分子に対して約20個の10B−BSHが導入されたこと、ポリマー1分子当りの10B−BSH導入量は18.7%(w/w)であることを決定した。
合成例3
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−ポリグルタミン酸(90mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例1と同様の方法で、α−メトキシ−ω−アミノ−ポリエチレングルコール(CHO−PEG−NH,Mn=12,000,120 mg,0.01 mmol)とBLG−NCA(237 mg,0.9 mmol)による開環重合を行い、PEG−b−P(Glu(Bn))を得た。ポリアミノ酸の重合度(90mer)は、合成例1と同様の方法で算出した。分子量分布は、合成例1と同様の方法で、1.15と算出した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,90H),7.3(m,450H),5.1(m,180H),4.0(s,90H),3.6(m,1090H),2.1−2.5(m,360H).
得られた化合物に対して、合成例1と同様の方法で脱保護を行い、ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−ポリグルタミン酸(90mer)−ブロック共重合体を得た。
合成例4
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(90mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−Thiolate))の合成
合成例3で得られた化合物から、合成例2と同様の方法で、ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(90mer)−ブロック共重合体を合成した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,90H),7.7(m,192H),4.0(s,90H),3.6(m,1090H),2.1−2.5(m,360H).
実施例2
ポリエチレングリコール(Mn=12,000)−BSH結合ポリグルタミン酸(90mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−BSH))の合成
合成例4で得られた化合物に対して、実施例1と同様の方法で、10B−BSHと縮合して、標題化合物を合成した。実施例1と同様の方法で、ポリマー1分子に対して約48個の10B−BSHが導入されたこと、ポリマー1分子当りの10B−BSH導入量は27.6%(w/w)であることを決定した。
合成例5
ポリエチレングリコール(Mn=20,000)−ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例1と同様の方法で、CHO−PEG−NH(Mn=12,000)の代わりにCHO−PEG−NH(Mn=20,000,200 mg,0.01 mmol)を用い、BLG−NCA(106 mg,0.4 mmol)による開環重合を行い、PEG−b−P(Glu(Bn))を得た。ポリアミノ酸の重合度(40mer)は、合成例1と同様の方法で算出した。分子量分布は、合成例1と同様の方法で、1.05と算出した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,40H),7.3(m,200H),5.1(m,80H),4.0(s,40H),3.6(m,1818H),2.1−2.5(m,160H).
得られた化合物に対して、合成例1と同様の方法で脱保護を行い、ポリエチレングリコール(Mn=20,000)−ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体を合成した。
合成例6
ポリエチレングリコール(Mn=20,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−Thiolate))の合成
合成例5で得られた化合物から、合成例2と同様の方法で、ポリエチレングリコール(Mn=20,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体を合成した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,40H),7.7(m,80H),4.0(s,40H),3.6(m,1818H),2.1−2.5(m,160H).
実施例3
ポリエチレングリコール(Mn=20,000)−BSH結合ポリグルタミン酸(40mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−BSH))の合成
合成例6で得られた化合物に対して、実施例1と同様の方法で、10B−BSHと縮合して、標題化合物を合成した。実施例1と同様の方法で、ポリマー1分子に対して約20個の10B−BSHが導入されたこと、ポリマー1分子当りの10B−BSH導入量は13.8%(w/w)であることを決定した。
合成例7
ポリグルタミン酸(40mer)(P(Glu))の合成
合成例1と同様の方法で、CHO−PEG−NHの代わりにn−ブチルアミン(2 mg,0.027 mmol)を用い、BLG−NCA(289 mg,1.08 mmol)による開環重合を行い、ポリグルタミン酸のベンジル保護体P(Glu(Bn))(40mer)を得た。ポリアミノ酸の重合度(40mer)は、H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)において、n−ブチル基末端のメチル基部分のプロトンの積分値(−C 3 ,δ=1.4 ppm,1.6 ppm)とポリグルタミン酸ベンジルエステルの芳香環部分の積分値(C CH−,δ=7.3 ppm)を比較することで、算出した。分子量分布は、合成例1と同様の方法で、1.15と算出した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,40H),7.3(m,200H),5.1(m,80H),4.0(s,40H),2.1−2.5(m,160H),0.8(t,3H).
得られた化合物に対して、合成例1と同様の方法で脱保護を行い、ホモポリマーのポリグルタミン酸(40mer)を合成した。
合成例8
チオレート化ポリグルタミン酸(40mer)(P(Glu−Thiolate))の合成
合成例7で得られた化合物を用いて、合成例2と同様の方法で、チオレート化反応を行った。反応終了後、この混合物をメタノール中で透析し、最後にベンゼン/メタノール(9/1(v/v))溶液として凍結乾燥を行って、チオレート化ポリグルタミン酸(40mer)を合成した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,40H),7.7(m,76H),4.0(s,40H),2.1−2.5(m,160H),0.8(t,3H).
比較例1
BSH結合ポリグルタミン酸(40mer)(P(Glu−BSH))の合成
合成例8で得られた化合物に対して、実施例1と同様の方法で、10B−BSHと縮合して、標題化合物を合成した。実施例1と同様の方法で、ポリマー1分子に対して約19個の10B−BSHが導入されたこと、ポリマー1分子当りの10B−BSH導入量は38.6%(w/w)であることを決定した。
合成例9
ポリグルタミン酸(90mer)(P(Glu))の合成
合成例1と同様の方法で、CHO−PEG−NHの代わりにn−ブチルアミン(2 mg,0.027 mmol)を用い、BLG−NCA(650 mg,2.43 mmol)による開環重合を行い、ポリグルタミン酸のベンジル保護体P(Glu(Bn))(90mer)を得た。ポリアミノ酸の重合度(90mer)は、H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)において、n−ブチル基末端のメチル基部分のプロトンの積分値(−C ,δ=0.8 ppm)とポリグルタミン酸ベンジルエステルの芳香環部分の積分値(C CH−,δ=7.3 ppm)を比較することで、算出した。分子量分布は、合成例1と同様の方法で、1.15と算出した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,90H),7.3(m,450H),5.1(m,180H),4.0(s,90H),2.1−2.5(m,360H),0.8(t,3H).
得られた化合物に対して、合成例1と同様の方法で脱保護を行い、ホモポリマーのポリグルタミン酸(90mer)を合成した。
合成例10
チオレート化ポリグルタミン酸(90mer)(P(Glu−Thiolate))の合成
合成例9で得られた化合物を用いて、合成例2と同様の方法で、チオレート化反応を行った。反応終了後、この混合物をメタノール中で透析し、最後にベンゼン/メタノール(9/1(v/v))溶液として凍結乾燥を行って、チオレート化ポリグルタミン酸(90mer)を合成した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d,80℃)δ(ppm):8.2(s,90H),7.7(m,164H),4.0(s,90H),2.1−2.5(m,720H),0.8(t,3H).
比較例2
BSH結合ポリグルタミン酸(90mer)(P(Glu−BSH))の合成
合成例10で得られた化合物に対して、実施例1と同様の方法で、10B−BSHと縮合して、標題化合物を合成した。実施例1と同様の方法で、ポリマー1分子に対して約41個の10B−BSHが導入されたこと、ポリマー1分子当りの10B−BSH導入量は38.0%(w/w)であることを決定した。
合成例11
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ベンジル保護ポリアスパラギン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Asp(Bn)))の合成
アルゴン雰囲気下にて、HN−PEG−OMe(Mw=10,000,323 mg,0.0323 mmol)をジクロロメタン(12.5 ml)に溶解させ、DMF(3.0 ml)に溶解させたβ−ベンジル L−アスパルテート N−カルボン酸無水物(BLA−NCA)(200 mg,0.803 mmol)を滴下し、40℃で16時間攪拌した。室温にて、反応液をヘキサン/酢酸エチル(3/2(v/v),50 ml)中に滴下して再沈殿させ、標題化合物(392mg,0.0295 mmol,収率91%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.29、H−NMR(400 MHz,DMSO−d)により、得られた化合物の重合度が23であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):2.54−2.71(m,23H),2.76−2.90(m,23H),3.38−3.61(m,909H),4.53−4.69(m,21H),4.96−5.10(m,46H),7.18−7.41(m,117H).
合成例12
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ポリアスパラギン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Asp))の合成
合成例11で得られた化合物(309 mg,0.0233 mmol)をN−メチルピロリドン(NMP)/HO(1/1(v/v),12.0 ml)に溶解させ、1N水酸化ナトリウム水溶液(2.0 ml)を氷冷下で滴下し、室温にて2時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(207 mg,0.0166 mmol,収率73%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):2.41−2.87(m,44H),3.52−3,78(m,909H),4.30−4.53(m,16H).
合成例13
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
アルゴン雰囲気下にて、HN−PEG−OMe(Mw=10,000,304 mg,0.0304 mmol)をジクロロメタン(12.5 ml)に溶解させ、DMF(3.0 ml)に溶解させたBLG−NCA(200 mg,0.760 mmol)を滴下し、室温で16時間攪拌した。氷冷下で反応液をヘキサン/酢酸エチル(3/2(v/v),50 ml)中に滴下して再沈殿させ、標題化合物(384 mg,0.0248 mmol,収率82%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.39、H−NMR(400 MHz,DMSO−d)により、得られた化合物の重合度が25であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.87−2.68(m,160H),3.40−3.62(m,909H),3.78−4.07(m,18H),4.87−5.14(m,49H),7.10−7.46(m,127H).
合成例14
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例13で得られた化合物(248 mg,0.0160 mmol)をNMP/HO(1/1(v/v),10 ml)に溶解させ、水酸化リチウム1水和物(68.0 mg,1.62 mmol)を氷冷下で添加し、室温にて1.5時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(185 mg,0.0139 mmol,収率87%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.27であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.79−2.09(m,47H),2.11−2.34(m,47H),3.49−3.73(m,909H),4.19−4.32(m,21H).
合成例15
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(50mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
アルゴン雰囲気下にて、HN−PEG−OMe(Mw=10,000,1.29 g,0.129 mmol)、及びBLG−NCA(1.69 g,6.45 mmol)より、合成例13の方法と同様の方法で、標題化合物(988 mg,0.0469 mmol,収率37%)を得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.47、H−NMR(400 MHz,DMSO−d)により、得られた化合物の重合度が50であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.76−2.77(m,200H),3.40−3.60(m,909H),3.75−4.14(m,43H),4.87−5.14(m,98H),7.10−7.46(m,250H).
合成例16
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ポリグルタミン酸(50mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例15で得られた化合物(500 mg,0.0237 mmol)をNMP/HO(1/1(v/v),13.0 ml)に溶解させ、2N水酸化リチウム水溶液(2.60 ml)を氷冷下で滴下し、室温にて2時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(191 mg,0.0114 mmol,収率48%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.75−2.07(m,102H),2.09−2.30(m,99H),3.49−3.73(m,909H),4.15−4.34(m,45H).
合成例17
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
アルゴン雰囲気下にて、HN−PEG−OMe(Mw=10,000,2.60 g,0.260 mmol)をジクロロメタン(120 ml)に溶解させ、DMF(30 ml)に溶解させたBLG−NCA(1.70 g,6.46 mmol)を滴下し、室温で16時間攪拌した。氷冷下にて、反応液をヘキサン/酢酸エチル(3/2(v/v),750 ml)中に滴下して再沈殿させ、標題化合物(3.70 g,0.244 mmol,収率95%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.39、H−NMR(DMSO−d)により、得られた化合物の重合度が23であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):1.58−2.64(m,92H),3.43−3.62(m,909H),3.77−4.11(m,15H),4.88−5.14(m,45H),7.12−7.40(m,115H).
合成例18
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例17で得られた化合物(1.70 g,0.112 mmol)をNMP/HO(1/1(v/v),19.5 ml)に溶解させ、2N水酸化ナトリウム水溶液(6.50 ml)を氷冷下で滴下し、室温にて2時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(789 mg,0.0581 mmol,収率52%)を白色粉体として得た。H−NMR(DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.79−2.01(m,43H),2.11−2.54(m,42H),3.49−3.73(m,909H),4.19−4.32(m,21H).
合成例19
[B1211−C]テトラブチルアンモニウム塩の合成
天然型B−ドデカハイドロドデカボレート・2テトラブチルアンモニウム塩(7.50 g,12.0 mmol)を1,4−ジオキサン(400 ml)に溶解し、NaBF(6.57 g,59.8 mmol)、4N塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(5.99 ml,23.9 mmol)を加えた後、5時間加熱還流を行った。反応液を減圧濃縮後、イソプロパノールによってスラリー洗浄し、標題化合物(4.17 g,8.85 mmol,収率74%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.63−1.99(br,11H),1.02(t,12H,J=7.3 Hz),1.39−1.46(m,8H),1.62−1.70(m,8H),3.21−3.25(m,8H),3.86(t,4H,J=4.5 Hz),4.54(t,4H,J=4.5 Hz).
合成例20
[B1211−O(CHO(CH]2セシウム塩の合成
合成例19で得られた化合物(4.17 g,8.85 mmol)を脱水ジクロロメタン(30 ml)に溶解し、テトラブチルアンモニウムアジド(3.77 g,13.3 mmol)を加えた後、室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、メタノール(50 ml)に溶解させ、フッ化セシウム(2.69 g,17.7 mmol)を加えて1時間攪拌後、沈殿物をろ取した。ジクロロメタンによってスラリー洗浄し、標題化合物(4.44 g,8.27 mmol,収率93%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.25−1.54(br,11H),3.19(t,2H,J=4.9 Hz),3.33(m,4H),3.37−3.39(m,2H).
合成例21
[B1211−O(CHO(CHNH]2テトラブチルアンモニウム塩の合成
合成例20で得られた化合物(2.27 g,4.23 mmol)を水(100 ml)に溶解させ、テトラブチルアンモニウムブロミド(2.73 g,8.46 mmol)を加え、室温で1時間攪拌後、沈殿物をろ取し、[B1211−O(CHO(CH3]2テトラブチルアンモニウム塩(2.17 g,2.87 mmol,収率68%)を得た。続いて、得られた化合物をメタノール(57.5 ml)に溶解させ、アルゴン置換後、5%Pd/C(2.87 g,うち水分52.5%)を加え、水素雰囲気下にて、5時間攪拌した。セライト(登録商標)濾過後、ろ液を減圧濃縮し、標題化合物(1.91 g,2.63 mmol,収率91%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.58−1.86(br,11H),1.02(t,12H,J=7.4 Hz),1.37−1.47(m,8H),1.62−1.70(m,8H),2.83(t,2H,J=5.2 Hz),3.21−3.26(m,8H),3.55−3.61(m,4H),3.69(t,2H,J=5.3 Hz).
実施例4
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリアスパラギン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Asp−B1211))の合成
合成例12で得られた化合物(50.0 mg,3.80 μmol,Asp残基:0.0874 mol)をDMF(25.0 ml)に溶解し、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)(64.0 mg,0.231 mmol)、及びN−メチルモルホリン(NMM)(25.0 μl,0.269 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例21で得られた化合物(168 mg,0.230 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(48.0 mg,3.57 μmol,収率88%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.42であった。ICP−AES測定結果より、ポリアスパラギン酸(PAsp)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、22%であった。これは、1ポリマーに対して、約5個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.07−1.09(m,86H),2.50−3.01(m,32H),3.18−3.35(m,7H),3.39−3.95(m,909H),4.46−4.60(m,3H).
実施例5
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例14で得られた化合物(21.8 mg,1.62 μmol,Glu残基:0.0407 mmol)をDMSO(4.0 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(19.5 mg,0.169 mmol)、及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)(32.3 mg,0.169 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例21で得られた化合物(123 mg,0.169 mmol)、トリエチルアミン(45.0 μl,0.339 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(22.0 mg,1.31 μmol,収率79%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.52であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、52%であった。これは、1ポリマーに対して、約13個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.218−2.48(m,287H),2.23−2.48(m,47H),3.18−3.43(m,49H),3.64−3.87(m,1249H),4.16−4.46(m,19H).
実施例6
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(50mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例16で得られた化合物(20.0 mg,1.19 μmol,Glu残基:0.0597 mmol)をDMSO(4.0 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(30.3 mg,0.263 mmol)、及びWSC・HCl(50.4 mg,0.263 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例21で得られた化合物(193 mg,0.263 mmol)、トリエチルアミン(70.0 μl,0.526 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(18.3 mg,0.776 μmol,収率65%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.33であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、48%であった。これは、1ポリマーに対して、約24個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.19−2.19(m,631H),2.21−2.53(m,100H),3.25−3.38(m,103H),3.40−3.87(m,1470H),4.19−3.42(m,45H).
実施例7
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例18で得られた化合物(600 mg,0.0445 mmol,Glu残基:1.02 mmol)をDMSO(15 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(584 mg,5.12 mmol)、及びWSC・HCl(982 mg,5.12 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例21で得られた化合物(2.24 g,4.10 mmol)、トリエチルアミン(1.36 ml,10.2 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(780 mg,0.0459 mmol,収率quant.)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.27であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、61%であった。これは、1ポリマーに対して、約14個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.04−2.15(m,217H),2.16−2.43(m,38H),3.21−3.43(m,44H),3.50−3.70(m,1014H),4.19−4.40(m,20H).
合成例22
[B1211−O(CHO(CHS(CHNHBoc]2−2ナトリウム塩の合成
システアミン塩酸塩(530 mg,4.67 mmol)をジクロロメタン(10 ml)に溶解させた後、ジクロロメタン(5.0 ml)に溶解させたBocO(1.43 g,6.57 mmol)を滴下した。続いてトリエチルアミン(754 μl,5.59 mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。飽和重層水、水、15%食塩水にて順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、保護システアミンの粗生成物(1.03 g)を得た。
続いて得られた保護システアミンの粗生成物のうち、一部(210 mg)をアセトニトリル(5.0 ml)に溶解し、合成例19で得られた化合物(297 mg,0.630 mmol)と炭酸カリウム(299 mg,2.16 mmol)を加え、60℃で2時間攪拌した。H−NMRにて合成例19で得られた化合物の残存が確認されたため、保護システアミンの粗生成物(268 mg)を加え、さらに16時間攪拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(295 mg,0.430 mmol,収率68%)を淡黄色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.58−1.86(br,11H),1.05(t,12H,J=7.4 Hz),1.40−1.49(m,8H),1.46(s,9H),1.65−1.73(m,8H),2.67(t,2H,J=7.1 Hz),2.73(t, 2H,J=6.8 Hz),3.23−3.29(m,8H),3.32−3.34(m,2H),3.61−3.73(m,6H).
合成例23
[B1211−O(CHO(CHS(CHNHHCl]2−の塩の合成
合成例22で得られた化合物(295 mg,0.439 mmol)をメタノール(10 ml)に溶解し、4N塩酸の1,4−ジオキサン溶液(0.50 ml,2.0 mmol)を加え、1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮することで、標題化合物(301 mg,0.496 mmol,収率quant.)を淡黄色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.63−1.85(br,11H),1.05(t,12H,J=7.3 Hz),1.40−1.49(m,8H),1.65−1.73(m,8H),2.78(t,2H,J=5.2 Hz),2.97(t,2H,J=6.4 Hz),3.22−3.28(m,8H),3.61(t,2H,J=4.3 Hz),3.68−3.72(m,4H),3.82(t,2H,J=4.3 Hz).
実施例8
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例14で得られた化合物(20.0 mg,1.49 μmol,Glu残基:0.0373 mmol)をDMSO(4.0 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(13.2 mg,0.155 mmol)、及びWSC・HCl(29.7 mg,0.155 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例23で得られた化合物(94.2 mg,0.155 mmol)、トリエチルアミン(30.0 μl,0.230 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(18.0 mg,1.13 μmol,収率73%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.33であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖カルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、36%であった。これは、1ポリマーに対して、約9個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.119−2.19(m,341H),2.20−2.48(m,50H),2.57−2.79(m,93H),3.26−3.40(m,71H),3.46−3.76(m,1744H),4.11−3.42(m,26H).
合成例24
[B1211−O(CHO(CHSC(NHテトラブチルアンモニウム塩の合成
合成例19で得られた化合物(600 mg,1.27 mmol)をエタノール(30 ml)に溶解させ、チオ尿素(194 mg,2.56 mmol)を加え、85℃で16時間攪拌した。室温に戻し、生じた沈殿をろ取して、標題化合物(350 mg,0.639 mmol,収率50%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):0.25−1.76(br,11H),0.92(t,12H,J=7.3 Hz),1.27−1.36(m,8H),1.53−1.61(m,8H),3.30−3.38(m,2H),3.43−3.46(m,2H),3.49−3.52(m,2H),3.68(t,2H,J=5.5 Hz).
合成例25
[B1211−O(CHO(CHSH]2−2テトラブチルアンモニウム塩の合成
合成例24で得られた化合物(350 mg,0.639 mmol)をメタノール(30 ml)に溶解させ、5Mナトリウムメトキシド/メタノール(0.510 ml,2.56 mmol)を加え、室温で2時間半攪拌した。その後、反応液を減圧濃縮し、水(10 ml)に再度溶解させ、酢酸を添加してpHを4.0に合わせた。続いて、水(5.0 ml)に溶解させたテトラブチルアンモニウムブロミド(412 mg,1.28 mmol)を加え、生じた沈殿物をろ取し、標題化合物(389 mg,0.524 mmol,収率82%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.49−1.76(br,11H),0.92(t,12H,J=7.3 Hz),1.29−1.38(m,8H),1.54−1.62(m,8H),2.53(t,2H,J=6.6 Hz),3.16−3.18(m,8H),3.49−3.53(m,4H),3.59−3.64(m,2H).
実施例9
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−チオエステル結合)ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例18で得られた化合物(10.0 mg,0.742 μmol,Glu残基:0.0169 μmol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(5.0 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(9.70 mg,0.0847 μmol)、及びWSC・HCl(16.2 mg,0.0847 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例25で得られた化合物(63.3 mg,0.847 mmol)、及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)(2.1 mg,0.0169 mmol)を加えた後、室温で16時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(9.80 mg,0.0560 mmol,収率75%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、65%であった。これは、1ポリマーに対して、約15個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.32−2.21(m,122H),2.19−2.70(m,42H),3.51−3.84(m,999H),4.11−4.42(m,6H).
合成例26
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−末端アルキン結合ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例18で得られた化合物(150 mg,11.1 μmol,Glu残基:0.254 mmol)をNMP(10 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(146 mg,1.27 mmol)、及びWSC・HCl(243 mg,1.27 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、2−[2−(2−プロピニルオキシ)エトキシ]エチルアミン(182 mg,1.27 mmol)、及びトリエチルアミン(354 μl,2.54 mmol)を加えた後、室温で16時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(154 mg,10.2 μmol,収率92%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。H−NMR(400 MHz,DO)測定結果より、PGluの側鎖のカルボン酸に対する2−[2−(2−プロピニルオキシ)エトキシ]エチルアミンの導入率は70%であった。これは、1ポリマーに対して、約16個の2−[2−(2−プロピニルオキシ)エトキシ]エチルアミンが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.78−2.13(m,41H),2.16−2.40(m,41H),2.77−2.83(m,14H),3.22−3.38(m,32H),3.56−3.73(m,1172H),4.10−4.31(m,17H).
実施例10
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−トリアゾール結合)ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
合成例26で得られた化合物(10.0 mg,0.661 μmol,Glu残基:15.2 μmol)を100 mMリン酸緩衝液(10 ml)に溶解させ、合成例20で得られた化合物(16.3 mg,30.4 μmol)、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)(5.0 μl,28.9 μmol)、及びトリス(3−ヒドロキシプロピルトリアゾリルメチル)アミン(THPTA)(19.8 mg,45.5 μmol)を加え、アルゴンガスで5分間バブリングした。続いて、臭化銅(I)(1.30 mg,9.06 μmol)を加え、アルゴン雰囲気下で室温にて96時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物を(13.8 mg,0.698 μmol,収率quant.)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、39%であった。これは、1ポリマーに対して、約9個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.199−2.15(m,187H),2.15−2.56(m,46H),3.14−3.39(m,18H),3.39−3.71(m,1398H),4.06−4.36(m,27H).
合成例27
N−保護アミノヘキサン酸活性エステルの合成
6-アミノヘキサン酸(848 mg,6.48 mmol)を水(10 ml)に溶解させた後、NaHCO(812 mg,9.67 mmol)を添加した。続いてCbz−Cl(1.1 ml,7.78 mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。水層を、濃塩酸を用いてpH1.0にし、ジクロロメタンで抽出後、15%食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮することで、N−保護アミノヘキサン酸(1.2 g,4.54 mmol,収率70%)を白色紛体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):1.31−1.42(m,2H),1.49−1.56(m,2H),1.59−1.68(m,2H),2.30(t,2H,J=7.4 Hz),3.14(q,2H,J=6.8 Hz,13.2 Hz),5.08(s,2H),7.24−7.36(m,5H).
得られたN−保護アミノヘキサン酸(1.2 g,4.54 mmol)をアセトニトリル(10 ml)に溶解し、クロロぎ酸4-ニトロフェニル(1.47 ml,7.29 mmol)、トリエチルアミン(0.944 ml,7.09 mmol)、DMAP(82.0 mg,0.668 mmol)を加え、4℃で45分攪拌した。反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(632 mg,1.64 mmol,収率36%)を淡黄色油状物質として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):1.44−1.51(m,2H),1.55−1.62(m,2H),1.75−1.82(m,2H),2.66(t,2H,J=7.4 Hz),3.17(t,2H,J=6.8 Hz),5.08(s,2H),7.29−7.38(m,7H),8.30(d,2H,J=9.2 Hz).
合成例28
アミノドデカボレートの合成
天然型B−ドデカハイドロドデカボレート・2ナトリウム塩(3.0 g,15.9 mmol)を水(50 ml)に溶解させた後、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(3.6 g,31.8 mmol)を加え、110℃で28時間攪拌した。続いて氷浴中でテトラメチルアンモニウムクロリド(5.2 g, 47.9 mmol)を添加し攪拌した。析出物をろ取した。この析出物を水に溶解後、4℃に冷却して晶析させ、ろ取し、真空乾燥することで標題化合物(1.2 g,収率20%)を白色粉体として得た。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):0.156−1.94(m,11H),3.09(s,12H),5.35−5.76(br,3H).
合成例29
アミノヘキサン酸―ドデカボレートアミドの合成
合成例28で得られた化合物(230 mg,0.645 μmol)をDMF(5.0 ml)に溶解し、NaH(63.0 mg,2.58 mmol)を加え、50℃で1時間攪拌した。続いて、合成例27で得られた化合物(299 mg,0.774 mmol)を加え、50℃で16時間攪拌した。反応液を濃縮後、ジクロロメタン(5 ml)を加え、不溶物をろ去した。続いてろ液にヘキサン(25 ml)を加えて沈殿を生じさせ、上清をデカンテーションにより除去し、N−保護アミノヘキサン酸―ドデカボレートアミド(158 mg,0.329 μmol,収率43%)を淡黄色粘性物質として得た。
H−NMR(400 MHz,DMSO−d)δ(ppm):0.45−2.17(m,11H),1.33−1.46(m,2H),1.47−1.74(m,4H),2.
59−2.75(m,2H),3.09−3.17(m,2H),5.04−5.10(s,2H),7.25−7.42(m,5H).
得られた化合物の一部(56.0 mg,0.117 mmol)をメタノール(8.0 ml)に溶解させ、アルゴン雰囲気下で、5%Pd/C(60.0 mg,うち水分52.5%)を加えた。続いて水素置換し、水素雰囲気下で5時間攪拌した。ろ過を行い、ろ液を減圧濃縮して標題化合物(31.0 mg,0.0974 mmol,収率83%)を褐色固体として得た。
H−NMR(400 MHz,CDOD−d)δ(ppm):0.58−2.03(br,11H),1.35−1.44(m,2H),1.47−1.56(m,2H),1.58−1.66(m,2H),2.66(t,2H,J=7.9 Hz),3.14(t,2H,J=6.9 Hz),5.08(s,2H),7.29−7.39(m,5H).
実施例11
ポリエチレングリコール(Mw=10,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(23mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−HN−B1211))の合成
合成例18で得られた化合物(10 mg,0.734 μmol,Glu残基:0.0169 mmol)をDMSO(5.0 ml)に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド(9.7 mg,0.0845 mmol)、及びWSC・HCl(16.0 mg,0.0845 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。続いて、合成例29で得られた化合物(29 mg,0.847 mmol)、トリエチルアミン(23.6 μl,0.169 mmol)を加えた後、室温で20時間攪拌した。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(12.0 mg,0.699 μmol,収率quant.)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.52であった。ICP−AES測定結果より、PGluの側鎖カルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、56%であった。これは、1ポリマーに対して、約13個の天然型B−アミノドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.407−2.63(m,356H),3.03−3.26(m,35H),3.54−3.78(m,909H),4.06−4.45(m,22H).
合成例30
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=20,000,3.0 g,0.142 mmol)とBLG−NCA(934 mg,3.55 mmol)より、標題化合物(3.24 g,0.133 mmol,収率94%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が22であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.97−2.75(m,85H),3.52−3.82(m,1818H),3.89−4.05(m,22H),4.97−5.19(m,44H),7.10−7.46(m,110H).
合成例31
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例30で得られた化合物(3.2 g,0.133 mmol)を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(27 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(2.15 g,0.092 mmol,収率65%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.75−2.09(m,43H),2.11−2.30(m,40H),3.50−3.75(m,1818H),4.15−4.32(m,19H).
実施例12
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例5と同様にして、合成例31で得られた化合物(200 mg,0.567 μmol,Glu残基:0.188 mmol)と合成例21で得られた化合物(331 mg,0.471 mmol)をDMSO中で縮合させた。この溶液について、150 mM食塩水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、脱イオン水に対する3回の透析(計20時間、分画分子量6000〜8000 Da)、及び100 mMリン酸緩衝液(pH8.0)に対する2回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(219 mg,8.31 μmol,収率97%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、55%であった。これは、1ポリマーに対して、約12個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.20−2.48(m,170H),2.19−2.48(m,31H),3.18−3.40(m,33H),3.50−3.80(m,1910H),4.15−4.45(m,17H).
合成例32
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(43mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=20,000,3.2 g,0.155 mmol)とBLG−NCA(2.0 g,5.35 mmol)より、標題化合物(4.6 g,0.156 mmol,収率quant.)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が43であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.98−2.81(m,165H),3.55−3.80(m,1818H),3.89−4.19(m,26H),4.90−5.11(m,89H),7.15−7.46(m,220H).
合成例33
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ポリグルタミン酸(43mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例32で得られた化合物(4.6 g,0.155 mmol)を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(67 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(2.77 g,0.0104 mmol,収率67%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.79−2.10(m,80H),2.10−2.31(m,77H),3.52−3.79(m,1818H),4.15−4.35(m,41H).
実施例13
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(43mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例33で得られた化合物(200 mg,7.54 μmol,Glu残基:0.324 mmol)と合成例21で得られた化合物(569 mg,0.810 mmol)より、標題化合物(248 mg,7.24 μmol,収率96%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.17であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、72%であった。これは、1ポリマーに対して、約31個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.35−2.18(m,373H),2.20−2.47(m,63H),3.20−3.42(m,73H),3.50−3.65(m,2029H),4.15−4.40(m,28H).
合成例34
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(97mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=20,000,500 mg,0.025 mmol)とBLG−NCA(724 mg,2.75 mmol)をDMF(1Mチオウレア含有)中にて重合させ、標題化合物を白色粉体として得た。
合成例35
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−ポリグルタミン酸(97mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例34で得られた化合物を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(19 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(395 mg,0.0112 mmol,2段階収率45%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護の完了、及び重合度が97であることを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.79−2.09(m,204H),2.10−2.32(m,195H),3.51−3.79(m,1818H),4.18−4.39(m,94H).
実施例14
ポリエチレングリコール(Mw=20,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(97mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例35で得られた化合物(120 mg,3.52 μmol,Glu残基:0.342 mmol)と合成例21で得られた化合物(624 mg,0.855 mmol)より、標題化合物(141 mg,7.24 μmol,収率81%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、61%であった。これは、1ポリマーに対して、約59個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.22−2.23(m,999H),2.23−2.48(m,185H),3.18−3.43(m,227H),3.64−3.87(m,2332H),4.16−4.46(m,81H).
合成例36
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=30,000,500 mg,0.0167 mmol)とBLG−NCA(110 mg,0.417 mmol)より、標題化合物(547 mg,0.0157mmol,収率94%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が22であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.98−2.70(m,80H),3.55−3.80(m,2727H),3.89−4.05(m,16H),4.92−5.22(m,43H),7.12−7.40(m,108H).
合成例37
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例36で得られた化合物(547 mg, 0.0157 mmol)を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(4 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(508 mg,0.0153 mmol,収率97%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.80−2.09(m,40H),2.01−2.32(m,39H),3.49−3.74(m,2727H),4.19−4.39(m,15H).
実施例15
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(22mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例37で得られた化合物(250 mg,7.50 μmol,Glu残基:0.165 mmol)と合成例21で得られた化合物(301 mg,0.412 mmol)より、標題化合物(233 mg,6.41 μmol,収率85%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、55%であった。これは、1ポリマーに対して、約12個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.31−2.18(m,155H),2.18−2.42(m,28H),3.20−3.39(m,33H),3.48−3.77(m,2822H),4.17−4.42(m,11H).
合成例38
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(39mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=30,000,500 mg,0.0167 mmol)とBLG−NCA(220 mg,0.835 mmol)より、標題化合物(610 mg,0.0158mmol,収率95%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が39であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.98−2.89(m,148H),3.51−3.80(m,2727H),3.80−4.20(m,35H),4.90−5.25(m,77H),7.12−7.40(m,193H).
合成例39
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−ポリグルタミン酸(39mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例38で得られた化合物を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(6 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(452 mg,0.0126 mmol,収率75%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.75−2.09(m,71H),2.09−2.31(m,70H),3.50−3.78(m,2727H),4.10−4.38(m,35H).
実施例16
ポリエチレングリコール(Mw=30,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(39mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例39で得られた化合物(150 mg,4.18 μmol,Glu残基:0.163 mmol)と合成例21で得られた化合物(297 mg,0.407 mmol)より、標題化合物(140 mg,3.36 μmol,収率80%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、59%であった。これは、1ポリマーに対して、約23個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.10−2.15(m,422H),2.15−2.47(m,71H),3.20−3.40(m,66H),3.49−3.78(m,2915H),4.15−4.45(m,37H).
合成例40
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=30,000,1.0 g,0.025 mmol)とBLG−NCA(165 mg,0.625 mmol)より、標題化合物(1.2 g,0.0264mmol,収率quant.)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が25であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.98−2.89(m,100H),3.51−3.80(m,3636H),3.89−4.11(m,19H),4.89−5.18(m,51H),7.15−7.40(m,130H).
合成例41
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例40で得られた化合物を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(7 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(958 mg,0.0218 mmol,収率86%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.74−2.09(m,49H),2.09−2.29(m,48H),3.52−3.75(m,3636H),4.15−4.33(m,25H).
実施例17
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(25mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例41で得られた化合物(300 mg,7.08 μmol,Glu残基:0.177 mmol)と合成例21で得られた化合物(324 mg,0.444 mmol)より、標題化合物(276 mg,5.77 μmol,収率81%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、62%であった。これは、1ポリマーに対して、約16個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.10−2.28(m,193H),2.28−2.52(m,35H),3.23−3.43(m,37H),3.50−3.81(m,3748H),4.20−4.49(m,16H).
合成例42
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−ベンジル保護ポリグルタミン酸(37mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu(Bn)))の合成
合成例13と同様にして、HN−PEG−OMe(Mw=40,000,500 mg,0.0125 mmol)とBLG−NCA(165 mg,0.625 mmol)より、標題化合物(552 mg,0.0115mmol,収率92%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,CDCl)により、得られた化合物の重合度が37であることを確認した。
H−NMR(400 MHz,CDCl)δ(ppm):1.98−2.89(m,142H),3.51−3.80(m,3636H),3.89−4.11(m,38H),4.89−5.18(m,75H),7.15−7.40(m,185H).
合成例43
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−ポリグルタミン酸(37mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu))の合成
合成例42で得られた化合物を0.5N水酸化ナトリウム水溶液(7 ml)中で16時間攪拌した。この溶液を、脱イオン水に対する3回の透析(計6時間、分画分子量6000〜8000 Da)により精製し、凍結乾燥を行い、標題化合物(511 mg,0.0112 mmol,収率97%)を白色粉体として得た。H−NMR(400 MHz,DO)により、脱保護が完了したことを確認した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):1.75−2.09(m,71H),2.09−2.32(m,71H),3.53−3.77(m,3636H),4.16−4.36(m,36H).
実施例18
ポリエチレングリコール(Mw=40,000)−(ドデカボレート−アミド結合)ポリグルタミン酸(37mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−B1211))の合成
実施例12と同様にして、合成例43で得られた化合物(180 mg,3.94 μmol,Glu残基:0.146 mmol)と合成例21で得られた化合物(266 mg,0.365 mmol)より、標題化合物(186 mg,3.64 μmol,収率92%)を白色粉体として得た。サイズ排除クロマトグラフィーにより、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。ICP−AES測定結果より、ポリグルタミン酸(PGlu)の側鎖のカルボン酸に対する天然型B−ドデカボレートの導入率は、59%であった。これは、1ポリマーに対して、約22個の天然型B−ドデカボレートが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.16−2.17(m,257H),2.17−2.42(m,45H),3.23−3.40(m,45H),3.48−3.78(m, 3776H),4.17−4.42(m,26H).
実施例19
ポリエチレングリコール(Mn=10,000)−BSH結合ポリグルタミン酸(41mer)−ブロック共重合体(PEG−b−P(Glu−BSH))の合成
合成例2と同様の方法で合成した、ポリエチレングリコール(Mn=10,000)−チオレート化ポリグルタミン酸(41mer)−ブロック共重合体(250 mg,0.014 mmol)と10B−BSH(150 mg,ブロック共重合体中のチオレート化された官能基に対して2 eq)を、10 mM HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)(pH 8.0)/500 mM食塩水(15 ml)に溶解し、室温で3日間撹拌した。反応液を150 mM食塩水中で3回透析後、脱イオン水中で3回透析し(分画分子量3500 Da)、凍結乾燥することで、標題化合物(266 mg,収率96%)を得た。10B−BSHの導入率は、H−NMR分析(DO)により、ホウ素クラスターのプロトン(−B;δ(ppm):0.5-2.0)とポリアミノ酸の重合度から、51%と算出し、ICP−MS分析による10B量の定量により、49%と算出した。ポリマー1分子に対して約20個の10B−BSHが導入されたことに相当する。
H−NMR(400 MHz,DO)δ(ppm):0.5−2.0(m,82H),2.0−2.3(m,82H),2.8−3.0(m,82H),3.7(m,909H),4.2−4.3(m,41H).
試験例1
HUVECに対する細胞毒性試験
実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHについて、CCK−8アッセイによって、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)に対する細胞毒性を調べた。HUVECを内皮細胞増殖培地キット中に懸濁させ、96ウェルプレート中に、各ウェルで5000個の細胞となるように播種し、5%の二酸化炭素存在下、37℃で24時間培養した。続いて実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHのうち何れかを添加し、各種濃度でさらに72時間培養した。その後、各ウェルに10 μLのcell counting kit−8溶液を添加し、5%の二酸化炭素存在下、37℃で2.5時間培養した。最後に、各ウェルについて、マイクロプレートリーダーで450 nmの波長吸収を測定した。その結果、図1に示すように、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHについて、HUVECに対する細胞毒性は認められなかった。
試験例2
C26がん細胞に対する細胞毒性試験
実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHについて、試験例1の方法と同様にして、C26がん細胞に対する細胞毒性を調べた。図2に示すように、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHについて、C26がん細胞に対する細胞毒性は認められなかった。
試験例3
C26がん細胞を用いた細胞内取込試験
実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物、並びに10B−BSHについて、細胞内取込量を調べた。6ウェルプレートの各ウェルに、10個のC26がん細胞を、2 mLのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM培地)と共に播種し、24時間培養した。続いて、実施例1の化合物、実施例2の化合物、実施例3の化合物、比較例1の化合物、比較例2の化合物、10B−BSHを各々、10B−BSHとして100 μg/mLになるように添加した。1、6、24時間培養後、各細胞をPBS(リン酸緩衝液)で3回洗浄し、トリプシン処理を行って細胞を回収した。回収した細胞数を数え、90%硝酸で灰化処理し、最後に1%硝酸で希釈し、ICP−MS分析にてホウ素量を定量した。
図3に示すように、10B−BSH単体よりも、実施例1〜3及び比較例1及び2の10B−BSHを備えるペプチド化合物の方が、大幅に高い細胞内取込量であった。さらに、PEGを有さない比較例1及び2の化合物よりも、PEGを有する実施例1〜3の化合物の方が、大幅に高い細胞内取込量であった。
試験例4
C26がん細胞を用いた細胞内取込試験
実施例1の化合物が細胞内に入ることを確かめた。まず、実施例1の化合物を、Alexa488−NHSエステルとの縮合によって蛍光標識した。続いて、得られた化合物を、10B−BSHとして20 μg/mLになるようにC26がん細胞に添加した後、継時的に共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)にて観察した。図4に示すように、添加後1時間からがん細胞内に入ることを確認した。
試験例5
CT26がん細胞を用いた細胞内取込試験
ホウ素クラスターを、PEGを有するペプチドに導入することで、がん細胞内により多く取り込まれることを確かめた。RPMI1640培地を用いて培養したCT26がん細胞(マウス大腸がん細胞、ATCC CRL−2638)を、24ウェルプレートの各ウェルに、10個ずつ播種した。ホウ素クラスター化合物をペプチド体に導入した実施例7の化合物、或いは合成例21のホウ素クラスター化合物の対カチオンが2セシウムカチオンである化合物を、3 mMとなるように各ウェルに添加した後、24時間培養した。培地を除去後、PBS(0.5 ml)で2回洗浄し、トリプシンを用いてプレートからはがした細胞を14 mlラウンドチューブに回収した。10%硝酸(0.9 ml)、60%硝酸(0.4 ml)を添加して30分静置した後、50℃で30分、さらに90℃で2時間加熱して灰化を行った。この溶液をろ過後、脱イオン水で7倍希釈し、ICP−MSにて、がん細胞内のホウ素量を定量した。図5に示すように、実施例7の化合物は、合成例21の化合物の対カチオンが2セシウムカチオンである化合物に対して2倍以上多く、がん細胞内に入ることを確認した。
試験例6
血中滞留性と腫瘍蓄積性
10B−BSHと、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物について、血中滞留性と腫瘍蓄積性を調べた。C26がん細胞を皮下移植したBALB/cマウスに対し、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物及び10B−BSHを、10B−BSH換算で50 mg/kg量となるよう、各化合物の生理食塩水溶液0.2 mL量を静脈内投与し、血液と腫瘍を経時的に採取した。血液はヘパリン処理し、遠心分離で血漿を取得した。血漿、腫瘍のサンプルは塩酸/60%硝酸(3/1)混合液、或いは90%硝酸水溶液で処理して組織を分解し、1%硝酸で希釈し、ろ過を行った後、ICP−MSにて10B量を測定した。
図6に示すように、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物は、10B−BSH単体よりも、長い血中滞留性を示し、さらに、PEGを有する実施例1〜3の化合物は、PEGを有さない比較例1及び2の化合物よりも、長い血中滞留性を示した。また、図7に示すように、実施例1〜3及び比較例1及び2の化合物は、10B−BSH単体よりも、6〜10倍多く10B−BSHを腫瘍に集積させ、さらに、PEGを有する実施例1〜3の化合物は、PEGを有さない比較例1及び2の化合物よりも、多く10B−BSHを腫瘍に集積させ、高い集積量を保持する時間も長いことがわかった。
試験例7
腫瘍蓄積性
天然型B−BSHと、実施例7の化合物について、各化合物の生理食塩水溶液をマウスに静脈内投与し、腫瘍蓄積性を調べた。CT26がん細胞を皮下移植したBALB/cマウスに対し、実施例7の化合物を天然型B−BSH換算で10 mg/kg及び30 mg/kg量となるように、また天然型B−BSHを100 mg/kg量となるように、各々0.2 mL量を静脈内投与し、腫瘍を経時的に採取した。採取した腫瘍のサンプルを60%硝酸水溶液中、50℃で1時間、続いて90℃で2時間加熱し、組織を分解した。ろ過を行った後、純水で20倍希釈し、ICP−MSにて天然型B量を測定した。
図8に示すように、実施例7の化合物は、天然型B−BSH単体よりも、3〜5倍、さらには時間経過と共にそれ以上多くホウ素クラスターを腫瘍に集積させ、高い集積量を保持する時間も長いことがわかった。
試験例8
抗がん効果
C26がん細胞を皮下移植したBALB/cマウスに対して、実施例1の化合物、或いは10B−BSHを、10B−BSH換算で100 mg/kgとなるよう、各化合物の生理食塩水溶液0.2 mL量を静脈内投与した。24時間後、このマウスに対して、1.6−2.2x1012 neutron/cmの量の熱中性子線を1時間局所照射し、抗がん効果について調べた。熱中性子線照射前後の腫瘍の大きさ(V)は、V=(axb)/2の式にて算出した(a、bは、各々腫瘍をキャリパーで測定した時の長径、短径)。コントロールとして、C26がん細胞を皮下移植したBALB/cマウスに対して、実施例1の化合物、或いは10B−BSHを、10B−BSH換算で100 mg/kgとなるよう、0.2 mL量を静脈内投与し、熱中性子線を照射せずに、同様に腫瘍の大きさを算出した。また、もう一つのコントロールとして、C26がん細胞を皮下移植したBALB/cマウスに対して、PBS(リン酸緩衝液)を投与して、熱中性子線を照射、或いは照射せずに、同様に腫瘍の大きさを算出した。
図9に示すように、実施例1の化合物を投与後、熱中性子線を照射した場合、腫瘍増殖は大きく抑制され、腫瘍はほとんど大きくならなかった。一方、10B−BSH単体或いはリン酸緩衝液を投与後、熱中性子線を照射した場合、実施例1の化合物、10B−BSH単体、或いはリン酸緩衝液を投与後、熱中性子線を照射しない場合のコントロール群と同様に、速い速度で腫瘍が増殖した。このことから、本発明の化合物は、ホウ素中性子捕捉療法によって、高い抗腫瘍効果を有することがわかった。
さらに、マウスの全身毒性の指標として、本実験で用いたマウスの体重を測定したところ、図10に示すように、実施例1の化合物、或いは10B−BSH単体を静脈内投与したマウス、熱中性子線を照射したマウス、照射しなかったマウス、全てにおいて、明らかな体重抑制は見られず、本発明の化合物、及び本発明の化合物を用いたホウ素中性子捕捉療法は高い安全性を有することがわかった。
試験例9
腫瘍浸透性
実施例1の化合物と、がん治療薬として認可されている抗がん剤ドキソルビシンを担持したリポソーム製剤Doxil(登録商標)について、担がんマウスを用いた腫瘍浸透性の比較を調べた。ヒト膵臓腺がんBxPC3細胞、或いはC26がん細胞を皮下移植したBALB/cヌードマウスに対して、10B換算で10 mg/kg量の、実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物と、ドキソルビシン換算で10 mg/kg量のDoxil(登録商標)の両方を、静脈内投与した。投与して24時間後、腫瘍を切除し、サンプリングして、ミクロトームにて10 μmの薄さに切った。腫瘍切片について、共焦点走査型顕微鏡LSM780で画像観察し、画像はバックグラウンドの蛍光強度と同じように標準化した。腫瘍は、ヘマトキシリン−エオシン染色のため、同様に5 μmの薄さに切り、一体型蛍光顕微鏡BZ−X700で画像観察した。
図11に示すように、実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物とDoxil(登録商標)は、共に多血性のC26腫瘍に同様に分布した。一方、乏血性のBxPC3腫瘍モデルには、Doxil(登録商標)はほとんど分布していないのに対し、実施例1の化合物をAlexa647(登録商標)で蛍光標識した化合物は、腫瘍内に均一に分布した。この結果から、本発明の化合物は、ナノ粒子より腫瘍への浸透性が高く、がん細胞全体にホウ素を送達できることがわかった。
本発明の化合物は、EPR効果による優れたがん集積性、及びナノ粒子化しないことによる腫瘍組織内での高い浸透性を示し、がん細胞内に効率的に取り込まれるため、ホウ素中性子捕捉療法における医薬として有用である。
本出願は、日本国で2016年3月23日に出願された特願2016−059225号を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (19)

  1. ホウ素クラスター及びポリエーテルを有し、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるアミノ酸を構成アミノ酸とするペプチド化合物又はその塩。
  2. ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基を少なくとも1個有する請求項1に記載のペプチド化合物又はその塩。
  3. ホウ素クラスターが側鎖に結合したアミノ酸残基が、式(1):

    [式中、Rは、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、当該α−アミノ酸の側鎖は、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、環を形成する場合は該窒素原子に結合するHは存在しない。]
    で表される、請求項2に記載のペプチド化合物又はその塩。
  4. が、それぞれ独立して、式(B1):


    [式中、M2+は、カチオンを示し、●は、BHを示し、*は、リンカー構造との結合部位を示す。]
    で表される基がリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖である、請求項3に記載のペプチド化合物又はその塩。
  5. が、それぞれ独立して、式(R1a):

    [式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいカルボキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいメルカプト基、炭素数が6〜14のアリール基、又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し;Qは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−SO−、−CO−、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−SCO−、−COS−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHCOO−、−SS−、−Ph−、−OPhO−、−OPh−、−PhO−、−SPhS−、−SPh−、−PhS−、−NHPhNH−、−NHPh−、−PhNH−、−複素環−、−O−複素環−O−、−O−複素環−、−複素環−O−、−S−複素環−S−、−S−複素環−、−複素環−S−、−NH−複素環−NH−、−NH−複素環−又は−複素環−NH−(ここで、Phは、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン又は1,4−フェニレンを示す。)を示し;Pは、−O−、−NH−又は−S−を示し;M2+は、カチオンを示し;●は、BHを示し;dは、1又は2を示し;fは、それぞれ独立して、1〜20の整数を示し;gは、0〜20の整数を示し;**は、α−アミノ酸のα−炭素との結合部位を示す。]
    で表される基である、請求項4に記載のペプチド化合物又はその塩。
  6. のα−アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、チロニン、シトルリン、α-アミノ酪酸、ホモシステイン及びペニシラミンからなる群から
    選ばれる、請求項3〜5の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  7. のα−アミノ酸が、グルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選ばれる、請求項3〜5の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  8. ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基がポリエーテルからなる1価の基で置換されている、請求項1〜7の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  9. ペプチド化合物のC末端のカルボキシ基及び/又はペプチド化合物のN末端のアミノ基が、式(P1):

    [式中、Zは、置換対象がカルボキシ基の場合−O−、−NH−又は−S−を、置換対象がアミノ基の場合−CO−、−CONH−又は−COO−を示し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を示し、sは、それぞれ独立して1〜10の整数であり、tは、それぞれ独立して2〜10の整数であり、uは、それぞれ独立して1以上の整数であり、***は、結合部位を示す。]
    で表される基で置換されている、請求項1〜8の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  10. ペプチドがポリアミノ酸である請求項1〜9の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  11. ペプチドのアミノ酸残基数に対するホウ素クラスターの結合数の比が0.1以上である、請求項1〜10の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  12. ペプチドのアミノ酸残基数が200以下である、請求項1〜11の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  13. ポリエーテルの数平均分子量が、50,000未満である、請求項1〜12の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  14. 分子量が、100,000未満である、請求項1〜13の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  15. 式(Ia)又は式(Ib):

    [式中、
    は、それぞれ独立して、ホウ素クラスターからなる1価の基又はそれがリンカー構造を介して結合する1価の基で置換された、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、
    は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、中性アミノ酸及び酸性アミノ酸から選ばれるα−アミノ酸の側鎖を示し、
    及びRのα−アミノ酸の側鎖は、それぞれ、それが結合する炭素原子及び該炭素原子に隣接する窒素原子と一緒になって、環を形成していてもよく、環を形成する場合は該窒素原子に結合するHは存在せず、
    bが1以上の場合、Rを有するα−アミノ酸残基とRを有するα−アミノ酸残基とは、任意に共重合しており、
    、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、
    (1)水素原子、
    (2)炭素数が1〜6のアルキル基、
    (3)炭素数が2〜7のアルキルカルボニル基、又は
    (4)ポリエーテルからなる1価の基を示し、
    、及びcが1の場合のYは、それぞれ独立して、
    (1)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいヒドロキシ基、
    (2)炭素数が1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、又は
    (3)ポリエーテルからなる1価の基を示し、
    cが2以上の場合のY及びYは、それぞれ、ポリエーテルからなるc価の基を示し、
    式(Ia)においては、Rのα−アミノ酸の側鎖の置換基、並びにX及びYのうち少なくともいずれか1つが、式(Ib)においては、Rのα−アミノ酸の側鎖の置換基、並びにX及びYのうち少なくともいずれか1つが、ポリエーテルからなる1価の基又はポリエーテルからなるc価の基であり、
    a及びcは、それぞれ独立して、1以上の整数を示し、
    bは、0以上の整数を示し、
    aとbの合計は、2以上である。]
    で表される、請求項1〜14の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  16. cが1である、請求項14又は15に記載のペプチド化合物又はその塩。
  17. 腫瘍疾患のホウ素中性子捕捉療法に用いるための請求項1〜16の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩。
  18. 請求項1〜16の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  19. 腫瘍疾患のホウ素中性子捕捉療法に用いるための医薬を製造するための請求項1〜16の何れか1項に記載のペプチド化合物又はその塩の使用。
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