JPWO2017065096A1 - ポリアクリルアミドゲル - Google Patents

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Abstract

二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張と泳動方向と垂直な方向への伸張の両方を抑制し、スポットの分離性能を向上させることが可能な、一次元目の等電点電気泳動に用いられるポリアクリルアミドゲルを提供する。本発明の二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動に用いられるポリアクリルアミドゲルは、固定されたpH勾配を有し、ストリップ状の、乾燥したゲルであって、1.5mm以下の幅を有し、且つ、上記ポリアクリルアミドを膨潤させて測定された分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度が0.91以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動に用いられる、固定されたpH勾配を有し、ストリップ状の、乾燥したポリアクリルアミドゲルに関する。
生体内のタンパク質は生命活動の中心的な役割を担っており、生体の成長の過程や疾患などの様々なストレスによる生体の異変に応じて、翻訳修飾されて発現するタンパク質の種類や量が敏感に変化する。例えば、タンパク質の変化を捉えることにより、疾患の有無や程度を把握することができ、創薬や個人レベルでの治療につなげることが可能になる。そのため、タンパク質を網羅的に解析する技術が広く検討されており、中でも、等電点電気泳動によりタンパク質(ペプチドを含む)の荷電状態に基づく分離を行った後、スラブゲル電気泳動によりタンパク質の分子量に基づく分離を行う二次元電気泳動法は、数千種類に及ぶタンパク質を同時に分析することができる上に、分解能も高いため、極めて有効な技術である。
このような二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動のためには、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルが一般に使用されるが、特に、置換又は非置換のアクリルアミド(以下、「アクリルアミド系モノマー」と表す。)と、このアクリルアミド系モノマーと共重合可能な架橋剤と、上記アクリルアミド系モノマーと共重合可能であり弱酸性或いは弱塩基性の緩衝基を有するアクリルアミド誘導体とを重合させることにより得られる、固定されたpH勾配を有するポリアクリルアミドゲル(以下、「IPGゲル」と表す。)は、泳動中も安定したpH勾配を示し、狭いpH範囲を使用することができるという利点を有している。そして、ストリップ状の乾燥したIPGゲルは、低温で保存することができ、膨潤させるだけで使用することができ、取扱いも容易であるため、使用に適している。
このようなストリップ状の乾燥したIPGゲルは、一般に、矩形の親水性プラスチックフィルム上に所望のpH範囲及びpH勾配を有するスラブゲルを形成し、得られたゲルを乾燥させ、乾燥したゲルの表面に保護フィルムを接着させた後、pH勾配の方向に沿って所望の幅のストリップに切断することによって製造される。
これまでに様々なpH範囲と長さ(長手方向の長さ)とを有するストリップ状の乾燥したIPGゲルが、ジーイーヘルスケア社、バイオ−ラッド社、シグマ−アルドリッチ社等から市販されている。これらのゲルは、通常、アクリルアミド系モノマーとしてのアクリルアミドと架橋剤としてのN,N´−メチレンビスアクリルアミド(BIS)とを4.0%T、3.0%Cの量で含む重合液から得られたゲルであり、ゲルの幅(短手方向の長さ)は3mm或いは3.3mmである。また、特許文献1(特開2014−92449号公報)の実施例には、アクリルアミドと架橋剤としてのBIS、ピペラジンジアクリルアミド(PDA)或いはN,N´−ジアリルタルタルジアミド(DATD)とを5%T以下、10%C以下の量で含む重合液から得られた、数mmサイズに切断したストリップ状の乾燥したIPGゲルが記載されている。特許文献2(特開2014−92450号公報)の実施例には、アクリルアミドと架橋剤としてのペンタメチレンビスアクリルアミド或いはBISとを4%T、2.6%Cの量で含む重合液から得られたストリップ状の乾燥したIPGゲルが記載されている。さらに、特許文献3(特開2006−242802号公報)の実施例1では、インビトロジェン社製の厚さ0.02mm×幅0.8mm×長さ52mmの乾燥したIPGゲルが使用されており、特許文献4(特開2012−242084号公報)の実施例では、厚さ0.35mm×幅1.15mm×長さ52mmのサイズに切断した、膨潤させた際に0.5mm厚となる乾燥したIPGゲルが使用されているが、これらの文献には上記ゲルの製造のために使用されたアクリルアミド系モノマーや架橋剤の種類や量については記載されていない。なお、重合液における%T及び%Cの語は、それぞれ以下の意味を表す。
特開2014−92449号公報 特開2014−92450号公報 特開2006−242802号公報 特開2012−242084号公報
http://www.sharp.co.jp/sms/release/bm−100/na_auto2d_005c.pdf
上述したようにIPGゲルは等電点電気泳動の分離能に優れるという利点を有している。しかし、従来のIPGゲルを使用して等電点電気泳動を行った後に二次元目の電気泳動を行うと、二次元電気泳動画像においてタンパク質のスポットが二次元目の泳動方向と垂直な方向に伸張する現象が指摘されている。この現象は、タンパク質の等電点に対する集中度が不足していることが原因である。この集中度の不足はまた、ストリーキング現象につながる。例えば、非特許文献1(http://www.sharp.co.jp/sms/release/bm−100/na_auto2d_005c.pdf)には、アクリルアミドとBISとを4.0%T、3.0%Cの量或いは3.6%T、2.7%Cの量で含む重合液から得られたIPGゲルの使用によって得られた二次元電気泳動画像が示されているが、画像のスポットが泳動方向と垂直な方向に伸張しており、ストリーキング現象も認められる。
二次元電気泳動画像には、一般に数百個〜数千個のスポットが認められる。また、二次元電気泳動では、ストレスによる生体の異変等に応じてわずかな量で発現したか或いは発現量が変化したタンパク質の変化を分析することが求められている。しかし、二次元電気泳動において1つのスポットが泳動方向と垂直な方向に伸張すると、異なったタンパク質に起因する隣接するスポットが重なってしまうことがあるため、スポット体積の正確な定量が不可能になる。また、画像において薄く認められる微量のタンパク質に起因するスポットが泳動方向と垂直な方向に伸張すると、スポットがさらに薄くなり、スポットの発見自体が困難になる。また、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張も抑制されるのが好ましい。
そこで、本発明の目的は、二次元電気泳動におけるスポットの伸張を抑制して、安定したスポットの分離性能を与えることが可能な、一次元目の等電点電気泳動に用いられるストリップ状の乾燥したIPGゲルを提供することである。
発明者は、重合液の組成を変更して多種類のストリップ状の乾燥したIPGゲルを製造し、このIPGゲルを用いて等電点電気泳動を行った後に二次元目のスラブゲル電気泳動を行い、スポットの二次元目の泳動方向と垂直な方向への伸張との関係を調査した。その結果、市販のIPGゲルを使用した場合に比較して、スポットの泳動方向と垂直な方向への伸張を抑制することができる、一群のIPGゲルを発見した。そして、さらなる検討の結果、タンパク質の移動度が比較的小さいIPGゲルの使用により、スポットの泳動方向と垂直な方向への伸張が抑制されることがわかった。しかし、残念ながら、タンパク質の移動度が比較的小さいIPGゲルを使用すると、スポットが二次元目の泳動方向に伸張しやすいことがわかった。
そこで、発明者は、このスポットの二次元目の泳動方向への伸張についても解決すべく、検討を重ねた。まず、有色の等電点マーカータンパク質を含むサンプルについて、一般的な3mm幅のゲルを用いた等電点電気泳動を行うと、図2(B)に示すように、ゲルの長手方向に沿って2本のラインが出現し、このラインに沿って等電点マーカータンパク質が集中して泳動されることがわかった。等電点マーカータンパク質以外のタンパク質も、タンパク質であることには変わりがないことから、同様にゲルの長手方向に沿った2本のラインに集中して泳動されると考えられる。以下、ゲルの長手方向に沿ったタンパク質が集中して泳動されるラインを「泳動ライン」という。泳動ラインが発生する理由は現在のところ明確ではないが、上述したスラブゲルの切断によってストリップを製造する過程において、ストリップに切断面に沿ったストレスが発生し、等電点電気泳動における数千ボルトの電圧の印加によりストレス部分で絶縁破壊が生じ、この絶縁破壊部分で電流が流れやすくなることが原因であると考えられる。
次に、IPGゲルの幅を減少させていくと、IPGゲルの幅の減少と共に2本の泳動ラインが徐々に接近し、図2(A)に示すように、1.5mm以下の幅では一本の泳動ラインになることがわかった。そして、タンパク質の移動度が比較的小さいIPGゲルについてゲルの幅を1.5mm以下に減少させ、このIPGゲルを用いて等電点電気泳動を行った後に二次元目のスラブゲル電気泳動を行うと、スポットの泳動方向と垂直な方向への伸張が従来のIPGゲル比較して抑制される現象が維持される上に、スポットの泳動方向への伸張も抑制され、したがって二次元電気泳動において安定したスポットの分離性能が得られることがわかった。このことから、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張の原因は、上述した2本の泳動ラインであると考えられる。
したがって、本発明は、二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動に用いられる、ストリップ状の乾燥したIPGゲルであって、1.5mm以下の幅を有し、且つ、このIPGゲルを膨潤させて測定された分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度が0.91以下であることを特徴とするIPGゲルに関する。本発明におけるゲルの幅(短手方向の長さ)の値は、乾燥状態におけるゲルの幅を意味する。本発明のゲルの長さ(長手方向の長さ)及びゲルの厚みには、二次元目の電気泳動に支障が生じなければ特に限定がない。
本発明において、分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度は、以下の手順により測定される。図1は、相対移動度の測定を説明するための図であり、(A)は測定装置の概略的な側面断面図を示している。まず、膨潤液、例えば、250mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)−HClpH8.8膨潤液、を用いて乾燥したIPGゲル1を膨潤させる。膨潤のためには、これまでに知られている膨潤液を特に限定なく使用することができるが、膨潤時間については、十分なIPGゲル1の膨潤が確保されるまで行う必要がある。具体的には、乾燥したIPGゲル1を膨潤させると、IPGゲル1が膨潤液を吸収し、膨潤後のIPGゲル1の重量が膨潤時間の経過と共に増加するが、膨潤時間と膨潤後のIPGゲル1の重量との関係を予め測定しておき、膨潤後のIPGゲル1の重量がほぼ一定になる時間まで膨潤を行う。次いで、膨潤させたIPGゲル1を、測定容器10の底部に固定した後、ゲルのプラス極端部から約1cm離れた位置に0.5mm幅の切欠き部を形成し、この切欠き部に分子質量25kDaのマーカータンパク質と微量のブロムフェノールブルー(BPB)と固定のためのアガロースとを少なくとも含む水溶液を導入して固化させ、試料部20を形成する。分子質量25kDaのマーカータンパク質は、市販の製品をこの製品の仕様書において指定された量で使用することができる。また、試料部には分子質量25kDaのマーカータンパク質以外のタンパク質が含まれていても良い。
次に、膨潤させたIPGゲル1の両端に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)用の、TrisとグリシンとSDSとを含む泳動バッファー、例えば、25mMTris,192mMグリシン,0.1%SDSを含むバッファー、を浸み込ませたろ紙30を配置し、ろ紙30の上に、下部に半透膜21を備えた電極筒20を配置する。電極筒20の内部には、上述したSDS−PAGE用泳動バッファー22が導入されており、泳動バッファー22の内部には、電源40に接続された電極23が導入されている。
次いで、測定容器10に鉱油(図示せず)を膨潤させたIPGゲル1が覆われるまで導入し、電極23,23間に80〜120Vの範囲の固定電圧を印加して電気泳動を実施する。この電気泳動により、BPBと上記マーカータンパク質とが矢印Eの方向に移動する。BPBがマイナス極に接近したところで電気泳動を停止する。図1(B)は、電気泳動停止時のIPGゲル1の概略的な平面図を示している。泳動開始位置Xと、BPBのバンド2の泳動先端位置Xと、分子質量25kDaのマーカータンパク質のバンド3の泳動先端位置Xとを用いて、以下の式により相対移動度Rfを算出する。
ストリップ状の乾燥したIPGゲルの幅が1.5mm以下であり、且つ、このIPGゲルを膨潤させて測定された分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度が0.91以下、好ましくは0.71以下である本発明のIPGゲルを用いて一次元目の等電点電気泳動を行い、続いて二次元目のスラブゲル電気泳動を行うと、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張ばかりでなく泳動方向と垂直な方向への伸張も抑制され、安定したスポットの分離性能が得られる。二次元目の電気泳動のためのスラブゲルは、濃縮ゲル部と分離ゲル部とを有していても良いが、本発明のIPGゲルによりスポットの泳動方向への伸張が好適に抑制されるため、本発明のIPGゲルは分離ゲル部のみを有するスラブゲルと組み合わせても好適に使用することができる。
本発明のIPGゲルの幅については、1.5mm以下であれば問題がないが、製造時の切断の容易性及び使用時の取扱いの容易性を考慮すると、一般には0.5mm以上である。
本発明のIPGゲルの製造のための、アクリルアミド系モノマー、架橋剤、及びアクリルアミド誘導体としては、IPGゲルの製造のために従来提案されていたアクリルアミド系モノマー、架橋剤、及びアクリルアミド誘導体を特に限定なく使用することができるが、架橋剤としてDATDを使用するのが好ましい。DATDの使用により、従来のアクリルアミドとBISとを4.0%T、3.0%Cの量で含む重合液から得られたIPGゲルに比較して、IPGゲルのポアサイズを大きくすることができるため、高分子量のタンパク質を本発明のIPGゲルに導入することができる。架橋剤としてDATDを使用する場合には、5.5%T以上の重合液であって、20.0%C以上、より好ましくは30.0%C以上の重合液を使用するのが好ましい。このような重合液から、強度の高いIPGゲルを生産性良く製造することができる。
本発明のストリップ状の乾燥したIPGゲルを用いて一次元目の等電点電気泳動を行い、続いて二次元目のスラブゲル電気泳動を行うと、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張と泳動方向と垂直な方向への伸張の両方が抑制され、安定したスポットの分離性能が得られる。
相対移動度の測定についての説明図であり、(A)は測定装置の概略的な側面断面図を、(B)はIPGゲルの概略的な平面図を、それぞれ示している 幅の異なるIPGゲル(重合液;モノマーはアクリルアミド、架橋剤はDATD、5.5%T、20.0%C)についての、ゲルの幅と泳動ラインの出現との関係を示す画像であり、(A)は1.5mm幅のゲルについての画像であり、(B)は3.0mm幅のゲルについての画像である。 幅の異なるIPGゲル(重合液;モノマーはアクリルアミド、架橋剤はDATD、5.5%T、20.0%C)を用いて得られた二次元電気泳動画像であり、(A)は1.5mm幅のIPGゲルを用いて得られた画像であり、(B)は3.0mm幅のIPGゲルを用いて得られた画像である。 本発明のIPGゲル(重合液;モノマーはアクリルアミド、架橋剤はDATD、6.0%T、30.0%C:ゲル幅;1.5mm)を用いて得られた二次元電気泳動画像である。 市販のIPGゲル(重合液;モノマーはアクリルアミド、架橋剤はBIS、4.0%T、3.0%C:ゲル幅;3.0mm)を用いて得られた二次元電気泳動画像である。
二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動に用いられる本発明のストリップ状の乾燥したIPGゲルは、1.5mm以下の幅を有し、このIPGゲルを膨潤させて測定された分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度は0.91以下、好ましくは0.71以下である。
本発明のストリップ状の乾燥したIPGゲルは、アクリルアミド系モノマーと、このアクリルアミド系モノマーと共重合可能な架橋剤と、上記アクリルアミド系モノマーと共重合可能であり弱酸性或いは弱塩基性の緩衝基を有するアクリルアミド誘導体と、を含む重合液から得られる。
上記アクリルアミド系モノマーとしては、従来IPGゲルのためのモノマーとして知られている化合物を特に限定なく使用することができ、例としては、アクリルアミド、2−メチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−アクリロイルアミノプロパノールが挙げられる。上記モノマーとして、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。
上記架橋剤としては、従来IPGゲルのための架橋剤として知られている化合物を特に限定なく使用することができ、例としては、BIS、PDA、DATD、N,N´−ビスアクリロイルシスタミン、ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、ペンタメチレンビスアクリルアミドが挙げられる。上記架橋剤として、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。架橋剤としてDATDを使用するのが好ましい。DATDの使用により、従来のアクリルアミドとBISとを4.0%T、3.0%Cの量で含む重合液から得られたIPGゲルに比較して、IPGゲルのポアサイズを大きくすることができるため、高分子量のタンパク質を本発明のIPGゲルに導入することができる。
上記アクリルアミド誘導体としては、従来IPGゲルのためのアクリルアミド誘導体として知られている化合物を特に限定なく使用することができ、例としては、カルボキシ基を有するアクリルアミド誘導体、アミノ基を有するアクリルアミド誘導体が挙げられる。これらのアクリルアミド誘導体は、イモビラインの名称でも知られている。IPGゲル用重合液のためには、IPGゲルに対する所望のpH範囲に依存して、異なる酸解離定数を有する複数のアクリルアミド誘導体が混合されて使用される。アクリルアミド誘導体の組み合わせ及び使用量は、例えば、P.G.Righetti, Immobilized pH gradients:theory and methodology(1990)を参照することにより、決定することができる。
IPGゲルの製造は、一般的に以下の工程により行われる。まず、上記アクリルアミド系モノマー、上記架橋剤、所望のpH範囲に依存して選択されたアクリルアミド誘導体、及び溶媒を含む、酸性側重合液及び塩基性側重合液を準備する。酸性側重合液及び塩基性側重合液の一方の重合液の溶媒は水であるが、他方の重合液の溶媒は、水と、この重合液の比重を高める目的で使用される溶媒、好適にはグリセロール、との混合溶媒である。酸性側重合液及び塩基性側重合液の%T及び%Cは、同一の値になるように調整される。%T及び%Cの値は、使用されるアクリルアミド系モノマー及び架橋剤の種類に応じて、得られるIPGゲルを膨潤させて測定された分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度が0.91以下になるように選定され、IPGゲルを作成する予備実験により、これらの値を簡単に求めることができる。架橋剤としてDATDを使用する場合には、5.5%T以上の重合液であって、20.0%C以上、より好ましくは30.0%C以上の重合液を使用するのが好ましい。このような重合液から、高強度を示す使用に適したIPGゲルを生産性良く製造することができる。
必要に応じて重合効率を向上させる目的で酸性側重合液及び塩基性側重合液のpHを酢酸/水酸化ナトリウム緩衝液等を使用して中性に調整した後、重合開始剤及び重合促進剤を添加する。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムを好適に使用することができ、これと組み合わせて用いられる重合促進剤としては、N,N,N´,N´−テトラメチレンジアミンを好適に使用することができる。
次いで、グラジエントミキサー、スタティックミキサー等のミキサーを用いて得られた酸性側重合液と塩基性側重合液とを混ぜ合わせる割合を連続的に変えながら混合し、得られた混合液をペリスティックポンプ、ピエゾポンプ等のポンプ又は自然落下現象を用いて、対向配置された2枚のガラス板を有するゲル作成治具のガラス板の間に充填する。なお、上記ゲル作成治具における一方のガラス板の他方のガラス板と対向する表面には、一般にゲルボンドフィルムと呼ばれる、生成したゲルを接着させるための親水性プラスチックフィルムが予め設置されており、2枚のガラス板の間隔は所望の厚みのIPGゲルが得られるように、例えば約1mm以下に調整されている。また、重合液の充填量は、所望の長さのIPGゲルが得られるように、例えば50mm〜240mmの範囲で調整される。
重合液の充填が完了した後、上記アクリルアミド系モノマー、上記架橋剤及び上記アクリルアミド誘導体を共重合させる。共重合を進行させるために、必要に応じて、窒素雰囲気下、20〜50℃に加熱しても良い。共重合が完了した後、上記親水性プラスチックに接着したスラブ状のゲルを上記ガラス板から外して取り出し、ゲルを純水で洗浄し、さらにグリセロールに浸漬して洗浄する。その後、スラブ状のゲルの水がほとんど消失するまで乾燥する。乾燥後にゲル表面にプラスチック製保護フィルムを接着させた後、ゲルを親水性プラスチックフィルム及び保護フィルムと共にpH勾配に沿って切断して、ストリップ状の乾燥したIPGゲルを得る。本発明では、ストリップの幅が1.5mm以下になるように切断が行われる。本発明のIPGゲルの幅については、1.5mm以下であれば問題がないが、製造時の切断の容易性及び使用時の取扱いの容易性を考慮すると、一般には0.5mm以上である。得られたストリップ状の乾燥したIPGゲルは、約−20℃の低温で保存することができる。
本発明のIPGゲルは、従来のIPGゲルと同様に、二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動のために使用される。等電点電気泳動のためのサンプル調整条件、等電点電気泳動における印加電圧、泳動時間等の泳動条件については、従来知られている条件を特に限定なく使用することができる。また、電気泳動後のIPGゲルの二次元目のSDS−PAGEのための平衡化条件、二次元目のSDS−PAGEにおける印加電圧、泳動時間等の泳動条件についても、従来知られている条件を特に限定なく使用することができる。二次元目の電気泳動のためのスラブゲルは、濃縮ゲル部と分離ゲル部とを有していても良いが、本発明のIPGゲルによりスポットの泳動方向への伸張が好適に抑制されるため、本発明のIPGゲルは分離ゲル部のみを有するスラブゲルと組み合わせて好適に使用される。二次元目の電気泳動は、本発明のIPGゲルを等電点電気泳動に供した後のゲルをアガロース水溶液を用いて二次元目のスラブゲルの端部に固定した状態で実施しても良く、本発明のIPGゲルを等電点電気泳動に供した後のゲルを物理的に二次元目のスラブゲルの端部に押し付けた状態で実施しても良い。
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)ストリップ状の乾燥したIPGゲルの製造及び泳動ラインの本数の確認
アクリルアミド系モノマーとしてのアクリルアミドと架橋剤とを表1に示した量で含み、さらにアクリルアミド誘導体と溶媒とを含む酸性側重合液及び塩基性側重合液を準備した。酸性側重合液の溶媒を水とし、塩基性側重合液の溶媒を水とグリセロールとした。アクリルアミド誘導体としては、シグマ−アルドリッチ社製の誘導体を、pH3〜10のゲルを製造するための量で使用した。酸性側重合液及び塩基性側重合液を酢酸/水酸化ナトリウム緩衝液を用いてpH7.0に調整した後、各重合液7.5mL当たり、100mgの過硫酸アンモニウムを水1.0mLに溶解した溶液を40μLと、N,N,N´,N´−テトラメチレンジアミン4μLと、を添加した。
次いで、グラジエントミキサーを用いて得られた酸性側重合液と塩基性側重合液とを混ぜ合わせる割合を連続的に変えながら混合し、得られた混合液をペリスティックポンプによって、対向配置された2枚のガラス板を有するゲル作成治具のガラス板の間に充填した。なお、ガラス板の一方の表面には、親水性プラスチックフィルムを重合液の充填前に設置した。
重合液を充填した後、静置して共重合を進行させた。共重合が完了した後、上記親水性プラスチックに接着したスラブ状のゲルを上記ガラス板から外して取り出し、ゲルを純水で洗浄し、さらにグリセロールに浸漬して洗浄した。その後、スラブ状のゲルの水がほとんど消失するまで減圧下において一晩乾燥し、乾燥後にゲル表面にプラスチック製保護フィルムを接着させ、ゲルを親水性プラスチックフィルム及び保護フィルムと共にpH勾配に沿って切断して、表2に示すゲル幅を有するストリップ状の乾燥したIPGゲルを得た。なお、IPGの長さは7cmであった。得られたストリップ状の乾燥したIPGゲルは、約−20℃の低温で保存した。
次いで、7M尿素、2Mチオ尿素、4%3-[3-(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)、2mMトリブチルホスフィン、0.5%IPG Buffer pH3−10NL(ジーイーヘルスケア社製のキャリアアンフォライト溶液)を含む膨潤液にペプチドが蛍光標識されている等電点マーカーを混合した液を、膨潤トレイに線状に広げ、表2に示したストリップ状の乾燥したIPGゲルと、従来例としての市販のストリップ状の乾燥したIPGゲル(ジーイーヘルスケア社製、重合液は、モノマーがアクリルアミド、架橋剤がBIS、4.0%T、3.0%C、ゲル幅は3.0mm、長さは7.0cm)とを、それぞれ浸し、従来例のIPGゲルについては10時間以上、その他のIPGゲルについては2時間以上、静置してIPGゲルを膨潤させた。膨潤させたIPGゲルを等電点電気泳動装置にセットし、15℃にて、段階的に印加電圧を上げて(250V30分→線形的に1000Vまで30分→線形的に8000Vまで90分→8000Vで120分)、等電点電気泳動を行った。泳動後のゲルについて、蛍光イメージャーにて、泳動ラインの本数を評価した。表2にその結果をまとめて示す。
図2には、実施例2及び比較例8のゲルについて、電気泳動後のゲルを撮影した画像を示す。(A)は実施例2のゲルに関する画像を、(B)は比較例8のゲルに関する画像を、それぞれ示している。図2から明瞭に把握されるように、比較例8のゲルには2本の泳動ラインが認められるのに対し、実施例2のゲルには1本の泳動ラインのみが認められる。また、表2より、重合液の組成に関わらず、1.5mm以下のゲル幅を有するストリップ状の乾燥したIPGゲルを用いると、1本の泳動ラインのみが認められ、1.5mmを超えるゲル幅を有するストリップ状の乾燥したIPGゲルを用いると、2本の泳動ラインが認められることが分かる。
(2)相対移動度の確認
250mMTris−HClpH8.8膨潤液を膨潤トレイに線状に広げ、表2に示したストリップ状の乾燥したIPGゲルと、上述した従来例のストリップ状の乾燥したIPGゲルと、をそれぞれ浸し、2時間以上静置して、IPGゲルを十分に膨潤させた後、膨潤後のIPGゲルを図1に示した測定容器の底部にシリコーングリースを用いて固定した。なお、膨潤は、各IPGゲルについて膨潤時間と膨潤後のIPGゲルの重量との関係を予め測定し、膨潤後のIPGゲルの重量がほぼ一定になる時間まで行った。次いで、ゲルのプラス極端部から約1cm離れた位置に0.5mm幅の切欠き部を形成し、この切欠き部に分子質量25kDaのマーカータンパク質を含むマーカータンパク質セット(バイオ−ラッド社製、Precision Plus Protein Dual Color Standard)と5%アガロース水溶液とを1:1に混合した液にBPB0.1μLを添加した液を導入して固化させ、試料部を形成した。
次に、膨潤させたIPGゲルの両端に、25mMTris,192mMグリシン,0.1%SDSを含むSDS−PAGE用泳動バッファーを浸み込ませたろ紙を配置し、ろ紙の上に、下部に半透膜を備え、内部に上記SDS−PAGE用泳動バッファー及び電極が導入された電極筒を配置した。次いで、上記測定容器に鉱油を膨潤させたIPGゲルが覆われるまで導入した後、電極間に電圧を印加(80V6分→120V)して電気泳動を実施した。BPBがマイナス電極付近まで泳動したところで泳動を停止し、泳動開始位置と、BPBのバンドの泳動先端位置と、分子質量25kDaのマーカータンパク質のバンドの泳動先端位置とから、相対移動度Rfを算出した。表3に、ゲル幅1.5mmのIPGゲルに関する相対移動度の値を、従来例のIPGゲルに関する値と共に示す。表3から明らかなように、使用した重合液の組成に依存して、相対移動度の値は大きく変化した。なお、120Vの電圧印加によってはタンパク質が集中して泳動される泳動ラインが生じにくくタンパク質がゲル幅の方向に比較的均一に泳動されるためであると思われるが、同じ重合液から得られたIPGゲルは、ゲル幅に依存せずに略同一の相対移動度の値を示した。
(3)二次元電気泳動のスポットの評価
カイコ由来Sf9細胞を、8M尿素、4%CHAPS、30mMTis−HClpH8.8膨潤液に分散させ、可溶性画分の14.209μL(総タンパク質量50μg)あたり、400μMのIC5−OSu蛍光試薬(溶媒はジメチルスルホキシド、同仁化学研究所製)1μLと混合し、30分間氷上で静置して、タンパク質を蛍光色素Cy5で標識した。次いで、この液に10mMのL−リシンの溶液1μLを添加し、10分間氷上で静置して、標識反応を停止させた。得られた液のタンパク質量12μg分を分取し、膨潤バッファー(7M尿素、2Mチオ尿素、4%CHAPS、1.2%DeStreak Reagent(ジーイーヘルスケア社製)、0.5%IPG Buffer pH3−10NL)で、ゲル幅3.0mmのIPGゲルのためには総液量が125μL、その他のゲル幅のIPGゲルのためには総液量が80μL、になるように希釈し、サンプル液を得た。
得られたサンプル液を、膨潤トレイに線状に広げ、膨潤状態で0.91以下の分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度を示すストリップ状の乾燥したIPGゲルと、上述した従来例のストリップ状の乾燥したIPGゲルとを、それぞれ浸し、2時間以上(最大16時間)静置して、IPGゲルを膨潤させた。膨潤させたIPGゲルを等電点電気泳動装置にセットし、15℃にて、段階的に印加電圧を上げて(250V30分→線形的に1000Vまで30分→線形的に8000Vまで90分→8000Vで120分)、等電点電気泳動を行った。
等電点電気泳動装置からIPGゲルを回収して体積15mLのチューブに導入し、平衡化バッファーA(375mMTris−HClpH8.8、6M尿素、2%SDS、20%グリセロール、2%ジチオトレイトール(DTT))を上記チューブに導入し、10分間振とうした。次いで、平衡化バッファーAを廃棄し、代わりに平衡化バッファーB(375mMTris−HClpH8.8、6M尿素、2%SDS、20%グリセロール、4.5%ヨードアセトアミド)を上記チューブに導入し、さらに10分間振とうした。その後、洗浄液(125mMTris−HClpH6.8、0.1%SDS)で2回洗浄した。
封入アガロース(0.5%アガロース、125mMTris−HClpH6.8、0.1%SDS)を加熱してアガロースを溶解させた後、濃縮ゲル部を有していないスラブゲル(モノマーはアクリルアミド、架橋剤はBIS、12.0%T)を有するゲル板の上記スラブゲルの上端に流し込み、直後に、平衡化及び洗浄を行った上記IPGゲルを、封入アガロースゲル中の上記スラブゲルの上端の位置に水平になるようにセットした。封入アガロースがゲル化した後、スラブゲルを電気泳動槽中にセットし、泳動バッファー(0.3%Tris、1.44%グリシン、0.1%SDS)でスラブゲルを満たし、電圧を印加(80V30分間→200V約2時間)して、二次元目の電気泳動を行った。電気泳動が終了した後、上記スラブゲルをゲル板ごと蛍光イメージスキャナーにセットし、アクリルアミド中のCy5の蛍光をスキャニングして、二次元電気泳動画像を得た。
図3には、実施例2及び比較例8のIPGゲルを用いた実験について、二次元電気泳動後のゲルを撮影した画像を示す。(A)は実施例2のゲルを用いて得られた画像を、(B)は比較例8のゲルを用いて得られた画像を、それぞれ示している。図3から明瞭に把握されるように、比較例8のゲルを用いて得られた画像ではスポットが泳動方向に伸張しているのに対し、実施例2のゲルを用いて得られた画像ではスポットの泳動方向への伸張は大幅に抑制されている。また、スポットの泳動方向と垂直な方向への伸張にはほぼ相違が認められないことがわかる。表4に、使用したIPGストリップゲルとスポットの泳動方向への伸張の関係をまとめた。表4では、スポットの泳動方向への伸張が図3(A)と同程度である場合を「伸張なし」とした。表4から把握されるように、IPGゲルの幅を1.5mm以下にすることにより、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張が大幅に抑制された。
図4及び図5は、実施例3のストリップ状の乾燥したIPGゲル或いは上述した従来例のストリップ状の乾燥したIPGゲルを使用して等電点電気泳動を行った後、濃縮ゲル部(モノマーはアクリルアミド、架橋剤はBIS、4.0%T)と分離ゲル部(モノマーはアクリルアミド、架橋剤はBIS、12.0%T)とを有するスラブゲルを用いて二次元目の電気泳動を行ったときの、二次元電気泳動画像を示している。図4は実施例3のIPGゲルを用いて得られた画像であり、図5は従来例のIPGゲルを用いて得られた画像である。これらの図を比較すると、実施例3のIPGゲルを用いて得られた画像では、高分子量のタンパク質に相当するスポットが濃く認められており、実施例3のIPGゲルが高分子量のタンパク質を効率よく吸収したことが分かる。また、実施例3のIPGゲルを用いた場合には、従来例のIPGゲルを使用した場合に比較して、スポットの泳動方向と垂直な方向への伸張が抑制されたことが分かる。したがって、本発明のストリップ状の乾燥したIPGゲルの使用により、二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張ばかりでなく泳動方向と垂直な方向への伸張も抑制され、二次元電気泳動におけるスポットの分離性能が向上したことがわかった。
二次元電気泳動におけるスポットの泳動方向への伸張と泳動方向と垂直な方向への伸張の両方を抑制する、ストリップ状の乾燥したIPGゲルが提供される。

Claims (2)

  1. 二次元電気泳動における一次元目の等電点電気泳動に用いられる、固定されたpH勾配を有し、ストリップ状の、乾燥したポリアクリルアミドゲルであって、
    1.5mm以下の幅を有し、且つ、
    前記ポリアクリルアミドを膨潤させて測定された、分子質量25kDaのマーカータンパク質の相対移動度が0.91以下である
    ことを特徴とするポリアクリルアミドゲル。
  2. 前記ポリアクリルアミドゲルが、N,N´−ジアリルタルタルジアミドを架橋剤として用いて製造されたゲルである、請求項1に記載のポリアクリルアミドゲル。
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