JPWO2016035706A1 - 画像化装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

ガンマ線源からのガンマ線が前段検出器にてコンプトン散乱された後、後段検出器にて光電吸収されるガンマ線検出事象(イベント)に注目し、各検出器とガンマ線との相互作用の測定データを元に、ガンマ線源の空間分布を所定の画像空間内において画像化する。この際、コンプトン散乱を起こしたガンマ線が画像空間内から到来した確率を示す確率パラメータ(vij)、及び、ガンマ線の検出感度を示す検出感度パラメータ(sij)を、各イベントの測定データに基づきイベントごとに且つ画素ごとに設定し、それらのパラメータを用いて各画素の画素値(λj)を求める。

Description

本発明は、画像化装置及び方法に関する。
ガンマ線源の空間分布を画像化する方法としてコンプトンカメラを利用する方法が提案されている(例えば下記特許文献1参照)。コンプトンカメラは既存の核医学技術であるpositron emission tomography(PET)及びsingle photon emission computed tomography(SPECT) よりも広範囲な撮像視野と幅広い検出エネルギ帯域を有する。コンプトンカメラは単に既存技術の改善だけでなく、従来は困難であった、幅広い種類の放射性核種を同時に撮像する複数分子同時イメージングを可能とする。これは複数の放射性診断薬や生体機能分子の挙動を、非侵襲的に可視化することができる技術であり、従来技術よりも高度な生命機能の情報を取得することができる。そのため、コンプトンカメラは、生命科学研究及び臨床医療における早期診断などへの貢献が期待されている。
典型的なコンプトンカメラは、相互作用位置及びエネルギを測定可能な2つの放射線検出器を前段検出器及び後段検出器として備える。コンプトンカメラを利用した画像化装置は、ガンマ線源からのガンマ線が前段検出器にてコンプトン散乱された後、後段検出器にて光電吸収されるガンマ線検出事象に注目し、各検出器とガンマ線との相互作用情報(即ち各検出器におけるガンマ線の検出位置及び検出エネルギ)を元に、ガンマ線源の空間分布を画像化する。
ガンマ線源の空間分布を画像化する方法として、list-mode maximum-likelihood expectation-maximization(LM−ML−EM)法を元にした画像再構成法が提案されている。これは、観測されたガンマ線の測定データから空間中のガンマ線源分布を最尤推定により求めることが困難な場合でも、反復計算により尤度の期待値を最大化するようにガンマ線源分布を求めることを可能にする手法である。
ガンマ線源の空間分布を示す三次元画像を分布画像と呼ぶ。LM−ML−EM法を利用した典型的な画像再構成法では、下記式(1)に従い、分布画像の画素jの画素値λjを求める(例えば下記非特許文献1参照)。LM−ML−EM法では、反復計算によって画素値を更新することで、推定されるガンマ線源の分布を真の分布へと近づけてゆく。λj (l)、λj (l+1)は、夫々、l回目、(l+1)回目の反復計算にて得られる画素jの画素値を示す。sjは画素jに対する検出感度パラメータであり、画素jから見た前段検出器の幾何学的効率などから構成される。検出感度パラメータsjによる除算は検出感度を考慮した画素値の補正を意味する。式(1)における他のパラメータの意義については後に詳説される。
特許第4486623号公報
S. J. Wilderman, N. H. Clinthorne, J. A. Fessler, and W. L. Rogers, "List-mode maximum likelihood reconstruction of Compton scatter camera images in nuclear medicine",IEEE Nucl. Sci. Symp., 1998, vol. 3, pp. 1716-1720.
上記式(1)に基づく方法では、“Σkikλk”が極めて小さい場合などにおいて、対応する画素値が非常に大きな値に更新されるオーバーフィッティングが生じる。これは、画像の辺縁部でアーチファクト(虚像)が生じる原因をとなる。アーチファクトの低減が有益であることは言うまでもない。アーチファクトの低減は、適正な分布画像の生成に寄与する。
また、式(1)においては検出感度が画素jにのみ依存して決定されている。しかし、コンプトンカメラでは個々のイベントごとに応答関数が大きく変化するため、検出感度の補正も個々のイベントごとに最適化することが望ましいと考えられる。適正な検出感度による画素値の補正は、適正な分布画像の生成に寄与する。
そこで本発明は、ガンマ線源の空間分布を示す分布画像の適正化に寄与する画像化装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る画像化装置は、後段検出器と、ガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器と、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収されるイベントを検出するイベント検出手段と、複数のイベントにおける各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を、前記ガンマ線源を内包する画像空間内の画像として生成する演算手段と、を備えた画像化装置において、前記演算手段は、各イベントでコンプトン散乱したガンマ線が前記画像空間内から到来した確率を示す確率パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成することを特徴とする。
例えば、或るイベントの測定データに基づいて円錐状に推定されるガンマ線到来方向が画像空間に対してかすめるように交差していた場合(図12参照)、ガンマ線が画像空間内から到来した確率は比較的低いと言えるため、当該イベントの測定データは分布画像に強く反映されるべきではない。そして、上記交差の状態はイベントごとに異なる。故に、上記確率を示す確率パラメータをイベントごとに設定すると良い。これによりアーチファクトの低減が図られる。また、相互作用測定データを用いて適正な確率パラメータを画素ごとに設定するようにすれば、アーチファクトの更なる低減が期待され、適正な分布画像の生成が期待される。
本発明の他の側面に係る画像化装置は、後段検出器と、ガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器と、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収されるイベントを検出するイベント検出手段と、複数のイベントにおける各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を生成する演算手段と、を備えた画像化装置において、前記演算手段は、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記検出感度パラメータを用いて前記分布画像を生成することを特徴とする。
各画素に対する検出感度パラメータを各イベントの相互作用測定データを考慮して設定することにより、相互作用の内容に応じた適正な検出感度パラメータを設定することが可能となる。結果、適正な分布画像の生成が期待される。
本発明の一側面に係る画像化方法は、後段検出器及びガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器を備えたコンプトンカメラに利用される方法であって、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収される各イベントでの各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を、前記ガンマ線源を内包する画像空間内の画像として生成する画像化方法において、各イベントでコンプトン散乱したガンマ線が前記画像空間内から到来した確率を示す確率パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成することを特徴とする。
本発明の他の側面に係る画像化方法は、後段検出器及びガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器を備えたコンプトンカメラに利用される方法であって、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収される各イベントでの各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を生成する画像化方法において、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントでの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記検出感度パラメータを用いて前記分布画像を生成することを特徴とする。
本発明によれば、ガンマ線源の空間分布を示す分布画像の適正化に寄与する画像化装置及び方法を提供することが可能である。
(a)及び(b)は、コンプトン散乱を利用したガンマ線源の分布推定方法を説明するための図である。 は、本発明の実施形態に係るコンプトンカメラの構成を示す斜視図である。 は、本発明の実施形態に係るガンマ線源分布画像化装置の概略的な全体構成図である。 は、本発明の実施形態に係るイベント測定データの取得動作フローチャートである。 は、複数のイベントの測定データが得られる様子を示した図である。 は、各検出器と画像空間との関係図である。 (a)及び(b)は、画像空間が3方向において分割される様子を示す図、及び、画像空間を形成する画素を示す図である。 は、コンプトン散乱に関与する位置、角度及び円錐面等を示した図である。 は、コンプトン散乱角の不確定性による散乱角分布関数を示す図である。 は、コンプトン散乱角の不確定性を説明するための図である。 は、コンプトン散乱角の不確定性に依存して考慮されるべき円錐面の厚みを説明するための図である。 は、コンプトン円錐面が画像空間に対して僅かしか交差しない状況を説明するための図である。 は、2つのイベントのコンプトン円錐面と画像空間との交差状態の例を示す図である。 (a)及び(b)は、2つのイベントのコンプトン円錐面領域と画像空間との交差状態の例を示す図である。 は、1つのイベントのコンプトン円錐面と画像空間との交差状態の例を示す図である。 (a)及び(b)は、1つのイベントのコンプトン円錐面領域と画像空間との交差状態の例を示す図である。 は、確率パラメータ(vij)の構成要素(pij)の意義を説明するための図である。 は、1つの画素と2つのコンプトン散乱位置との距離を示す図である。 (a)及び(b)は、基準方法と第1改良方法の比較図である。 は、ガンマ線の検出器内の飛程を説明するための図である。 (a)及び(b)は、検出器を複数の検出器要素の集合体と考えることができることを説明するための図である。 は、各イベントの測定データに基づく分布画像の生成動作フローチャートである。 は、実験に利用した担癌マウスの概略平面図である。 は、実験で得られた3つの三次元分布画像を示す図である。 は、実験で得られた3つの三次元分布画像の夫々から切り出された二次元分布画像(計9枚)を示す図である。 は、VOI評価に用いる領域設定の内容を説明するための図である。 は、撮像実験後における担癌マウスの各組織からの放射能の計測結果を示す図である。 は、各組織からの放射能の計測結果及びVOI評価の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
[コンプトン散乱を利用したガンマ線源の分布推定方法の原理]
図1(a)及び(b)を参照して、コンプトン散乱を利用したガンマ線源の分布推定方法を説明する。図1(a)及び(b)において、11及び12は、夫々、コンプトンカメラ10を形成する前段検出器及び後段検出器を表している。検出器11及び12の各々は相互作用位置及びエネルギを測定可能な放射線検出器であり、半導体や発光物質(シンチレーター)などで形成される。201は、ガンマ線を放射するガンマ線源を表している。200は、ガンマ線源201を内包する撮像対象を表している。検出器11及び12は、典型的には互いに離間した状態で平行に配置されている。ガンマ線源201を内包する撮像対象200から見て、前段検出器11、後段検出器12の順に並んでいる。即ち、ガンマ線源201を内包する撮像対象200と後段検出器12との間に前段検出器11が配置される。尚、図1(b)には、撮像対象200内にガンマ線源201が1つしか示されていないが、多数のガンマ線源201が撮像対象200内に散在しうる。
ガンマ線源201からのガンマ線が前段検出器11に入射して前段検出器11内の位置R1にてコンプトン散乱し、散乱されたガンマ線が後段検出器12に入射して後段検出器12内の位置R2にて光電吸収されたとする。コンプトン散乱、光電吸収は、ガンマ線と検出器との相互作用の一種である。また、後段検出器12内の位置R2では、コンプトン散乱後のガンマ線の全エネルギが吸収されたとする。このとき、検出器11、12にて検出されるエネルギを、夫々、E1、E2にて表す。エネルギE1は、ガンマ線源201からのガンマ線がコンプトン散乱により位置R1における電子に与えたエネルギ(即ち、ガンマ線源201からのガンマ線のエネルギの内、コンプトン散乱により失われたエネルギ)である。エネルギE2は、コンプトン散乱後のガンマ線の全エネルギであって、位置R2における光電吸収エネルギである。そうすると、コンプトン散乱の運動学に従い、以下の式(A1)が成立する。
ここで、θCはコンプトン散乱角、meは電子の静止質量、cは真空中の光速、E0はガンマ線の初期エネルギを表す。コンプトン散乱角θCは、コンプトン散乱前のガンマ線の飛行方向(進行方向)とコンプトン散乱後のガンマ線の飛行方向(進行方向)との成す角度である。ガンマ線の初期エネルギE0は、ガンマ線源201が放射するガンマ線の初期エネルギであり、後述のガンマ線源分布画像化装置1にとって既知であって良い。或るパラメータが画像化装置1にとって既知であるとは、画像化装置1が当該パラメータの値を予め認識していることを指す。例えば、撮像対象200としての生体に、所定のガンマ線放出核により標識された抗体が投与される。ガンマ線源201としてのガンマ線放出核から放射されるガンマ線のエネルギの値を、ガンマ線源分布画像化装置1に予め認識させておけばよい。ガンマ線源201は陽電子放出核でも構わない。この場合、陽電子放出核である原子核から陽電子崩壊によって放出される陽電子の対消滅に伴うガンマ線が、ガンマ線源201からのガンマ線となる。尚、投与されたガンマ線放出核種が不明であって初期エネルギE0が画像化装置1にとって既知でなかったとしても、画像化装置1は、コンプトンカメラ10による撮像中にガンマ線のエネルギスペクトルを作成することが可能であり、そのエネルギスペクトルからガンマ線の初期エネルギE0を認識することが可能である。
円錐面202は、コンプトン散乱位置R1を頂点とし、且つ、コンプトン散乱角θCを半頂角(頂角の半分;開角)とし、且つ、コンプトン散乱後のガンマ線の飛行経路の直線上に(即ち、位置R1及びR2を通る直線上)中心軸を持った円錐面(以下、コンプトン円錐面と呼ぶこともある)である。但し、円錐面202は、位置R1を頂点として位置R2から位置R1に向かう向きに半頂角の原点をとった円錐面(換言すれば、位置R1を頂点とし且つ位置R2から位置R1に向かう向きに位置R1より伸びる線分を中心軸とする円錐面)であるとする。コンプトン散乱位置R1及びコンプトン散乱角θCが求められたとき、前段検出器11に向かうガンマ線の到来方向は円錐面202の母線方向に限定される。
1組の“R1、R2、E1及びE2”が検出される事象をイベントと呼ぶ。つまり、1回のイベントでは、1回のコンプトン散乱及びコンプトン散乱後のガンマ線の全エネルギ吸収により、1組の“R1、R2、E1及びE2”が検出され、その検出結果より1つのコンプトン円錐面が求められる。1回のイベントでは、描かれる1つのコンプトン円錐面上のどこかにガンマ線源があることしか分からないが、コンプトン散乱現象を多数測定し、複数回のイベント分の複数のコンプトン円錐面を画像空間上に描くことで、多くのコンプトン円錐面が交差した位置にガンマ線源があること示唆される。
図2は、コンプトンカメラ10の構成を示す斜視図である。図2に示す例では、1つのイベントにおいて検出されたガンマ線211に対してコンプトン円錐面211Cが設定され、他のイベントにおいて検出されたガンマ線212に対してコンプトン円錐面212Cが設定されている。図2には描かれていないが、コンプトン散乱の事象が検出されるたびに、同様のコンプトン円錐面が追加設定される。コンプトン円錐面がより多く重なる位置はガンマ線が多数発生する位置に対応するため、例えば、画像空間内の各画素の画素値をコンプトン円錐面の重なりの多重度に応じたものとすることにより、ガンマ線源の分布の様子を画像化することが可能となる。
検出器11及び12の夫々は、自身とガンマ線との相互作用位置及びガンマ線のエネルギを測定可能な放射線検出器である。以下では主として、検出器11及び12の夫々が高純度ゲルマニウムから成る半導体平板(プレナー型検出器)を用いて形成される構成を例にとり、検出器11及び12の構成及び動作を説明する。半導体平板の一方の面及び他方の面を、ここでは、夫々、前面及び後面と呼ぶ。前面及び後面の夫々の法線方向は、半導体平板の厚み方向と一致する。検出器11及び12の夫々において、前面は、後面よりも、ガンマ線源201を内包する撮像対象200の近くに位置する。前段検出器11の前面及び後面は、前段検出器11を形成する半導体平板の前面及び後面を指し、後段検出器12の前面及び後面は、後段検出器12を形成する半導体平板の前面及び後面を指す。
半導体平板において、前面及び後面の夫々にはストライプ状に配列された複数のストリップ電極が配置されている。説明の明確化及び具体化のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。前段検出器11及び後段検出器12の夫々において、前面では、Y軸方向に伸びる複数のストリップ電極がX軸方向に沿って並べられ、後面では、X軸方向に伸びる複数のストリップ電極がY軸方向に沿って並べられている。前段検出器11の各面に配置された複数のストリップ電極において、互いに隣接するストリップ電極間はスペーシングを介して電気的に絶縁されている。後段検出器12についても同様である。
検出器11及び12の夫々において、半導体平板の前面側の最上層がn+層に、後面側の最上層がp+層にされており、n+層とp+層とに挟まれる領域は、例えば高純度のp型半導体とされる。各検出器がゲルマニウムを利用する検出器である場合、各検出器は例えば液体窒素温度(−196℃)に冷却されている。このため、検出器11及び12の各半導体平板では、価電子帯からの電子の熱励起による伝導キャリアの供給が抑制される。尚、測定に際し冷却を必要としない半導体にて検出器11及び12が形成されることもある。
検出器11及び12の夫々において、両面の各ストリップ電極には、半導体平板の厚みの方向に電界を生じさせるように、両面間に逆バイアス電圧が印加されている。このとき、半導体中に不純物準位からの伝導キャリアの供給が抑制された空乏層と呼ばれる領域が形成され、半導体は高抵抗状態となる。その空乏層にガンマ線が入射すると、ガンマ線と半導体中の電子とが相互作用を起こし、この電子はガンマ線からエネルギを受け取る。そして、エネルギを受け取った電子のパスに沿って価電子帯からの電子の励起によるキャリア電荷が多数生成され、生成されたキャリア電荷が逆バイアス電圧よって取り出される。ここで、キャリア電荷による電流は、ガンマ線と相互作用した電子のエネルギを反映する電流値を持ち、その電流を積分した電荷量が当該エネルギに比例する。このため、検出器11内にて上記相互作用としてコンプトン散乱が生じた場合には、コンプトン散乱によりガンマ線が失ったエネルギE1に応じた電流が検出器11にて検出される。検出器11にて検出された電流の積分値に相当する電荷量によりエネルギE1が特定される。コンプトン散乱後のガンマ線が検出器12にて全エネルギ吸収される場合には上記相互作用として光電効果が起こり、コンプトン散乱後のガンマ線の全エネルギに応じた電流が検出器12にて検出される。検出器12にて検出された電流の積分値に相当する電荷量によりエネルギE2が特定される。
各検出器において、ガンマ線と検出器との相互作用による電流信号が強く検出される前面側及び後面側のストリップ電極の組み合わせを特定することで、相互作用位置が検出される。各イベントにおいて、前段検出器11にて検出される相互作用位置はコンプトン散乱位置R1であり、後段検出器12にて検出される相互作用位置は光電吸収位置R2であある。
例えば、検出器11において、前面の第xA番目のストリップ電極から電流信号が検出されると共に後面の第yA番目のストリップ電極から電流信号が検出されたとき、検出器11内のブロック(xA,yA)にてガンマ線との相互作用が生じたと検出できる(検出器12についても同様)。X軸方向において、ブロック(xA,yA)の位置は前面の第xA番目のストリップ電極の位置と同じであり、Y軸方向において、ブロック(xA,yA)の位置は後面の第yA番目のストリップ電極の位置と同じである。xAは、前面に設けられたストリップ電極の本数以下の任意の自然数であり、yAは、後面に設けられたストリップ電極の本数以下の任意の自然数である。
前段検出器11の各面に配置される複数のストリップ電極の本数は任意である(後段検出器12も同様)。各検出器において、X軸方向における相互作用位置の検出分解能は前面に配置されるストリップ電極の本数に依存し、Y軸方向における相互作用位置の検出分解能は後面に配置されるストリップ電極の本数に依存する。
各検出器において検出される相互作用位置のZ軸成分は一定(Z軸方向における各検出器の中心位置)であって良い。但し、検出器11及び12の夫々において、前面のストリップ電極からの電流信号と後面のストリップ電極からの電流信号との時間差に基づき、Z軸方向における相互作用位置(相互作用位置のZ軸成分)を高い精度で導出するようにしても良い。
尚、検出器11及び12を形成する半導体は、ガンマ線に対して感度を示す限り、ゲルマニウム以外の半導体でも良い。例えば、検出器11及び12を形成する半導体として、シリコン、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛又はダイアモンドを利用しても良い。検出器11及び12が半導体で形成される場合について説明したが、検出器11及び12の夫々は、自身とガンマ線との相互作用位置及びガンマ線のエネルギを測定可能な放射線検出器であれば、どのような構成を有していても良い。例えば、シンチレーション検出器、又は、ガス若しくは液体を用いたTPC(time projection chamber)などによって、検出器11及び12の夫々を形成しても良い。
[ガンマ線源分布画像化装置の全体構成及び基本動作]
図3は、本実施形態に係るガンマ線源分布画像化装置1の概略的な全体構成図である。画像化装置1は、コンプトンカメラ10に加え、符号20、30及び41〜44によって参照される各部位を備える。但し、コンプトンカメラ10は画像化装置1の構成要素に含まれない、と考えることも可能である。
前段検出器11は、自身の内部でガンマ線との相互作用が生じたとき、その相互作用の内容に応じた信号11OUTを出力する。後段検出器12は、自身の内部でガンマ線との相互作用が生じたとき、その相互作用の内容に応じた信号12OUTを出力する。信号11OUTによって、検出器11内におけるガンマ線との相互作用位置(例えば位置R1)及び検出器11内での相互作用にてガンマ線から検出器11に与えられた相互作用エネルギ(例えばエネルギE1)が特定される。信号12OUTによって、検出器12内におけるガンマ線との相互作用位置(例えば位置R2)及び検出器12内での相互作用にてガンマ線から検出器12に与えられた相互作用エネルギ(例えばエネルギE2)が特定される。
イベント測定データ取得部20は、同時事象抽出部21及び全エネルギ吸収判定部22を有し、それらを用いて、各イベントにおける検出器11及び12とガンマ線との相互作用データであるイベント測定データを生成及び取得する。
図4は、取得部20によるイベント測定データを取得するためのフローチャートである。ステップS11及びS12において、同時事象抽出部21は、前段検出器11の出力信号11OUT及び後段検出器12の出力信号12OUTの内、検出器11及び12にて同時に生じた事象に対応する出力信号の組を同時事象検出信号として抽出する。
例えば、同時事象抽出部21は、前段検出器11から信号11OUTが出力されるたびに、その出力時刻を示すタイムスタンプを信号11OUTに付与した上で信号11OUTを記憶部44に記憶させておくと共に、後段検出器12から信号12OUTが出力されるたびに、その出力時刻を示すタイムスタンプを信号12OUTに付与した上で信号12OUTを記憶部44に記憶させておく。そして、任意のタイミングにおいて、同時事象抽出部21は、記憶部44に記憶された任意の信号11OUTを読み出し、読み出した信号11OUTとの時間差が所定の許容時間差以内の信号12OUTを記憶部44内から探索する(ステップS11)。読み出した信号11OUTとの時間差が所定の許容時間差以内の信号12OUTが記憶部44内に存在する場合(ステップS11のY)、読み出した信号11OUTと探索された信号12OUTを同時事象検出信号として抽出する(ステップS12)。
読み出した信号11OUTとの時間差が所定の許容時間差以内の信号12OUTが記憶部44内に存在しない場合(ステップS11のN)、ステップS15に進む。尚、第1信号との時間差が所定の許容時間差以内の第2信号とは、第1信号に対応するタイムスタンプが示す時刻との時間差が所定の許容時間差以内の時刻を示すタイムスタンプに対応付けられた第2信号を指す。
尚、同時事象抽出部21は、記憶部44による信号11OUT及び12OUTの記憶を介することなく、検出器11及び12の出力信号11OUT及び12OUTから同時事象検出信号をリアルタイムで抽出するようにしても良い。
ステップS12にて同時事象検出信号が抽出されるとステップS13に進む。ステップS13において、全エネルギ吸収判定部22は、抽出された同時事象検出信号に対して全エネルギ吸収判定処理を行う。全エネルギ吸収判定処理では、同時事象検出信号における信号12OUTが全エネルギ吸収を示しているかを判定する。即ち具体的には、全エネルギ吸収判定部22は、同時事象検出信号中の信号11OUT及び12OUTにより示される相互作用エネルギE1及びE2について同時事象判定式“E0−ΔE0≦E1+E2≦E0+ΔE0”が成立するか否かを判定し、同時事象判定式が成立する場合に(ステップS13のY)、同時事象検出信号における信号12OUTが全エネルギ吸収を示していると判定してステップS14に進む。エネルギ検出の誤差を考慮し、同時事象判定式にΔE0が導入されている。ΔE0は正の所定値を持つ。例えば、E0が511keV(キロエレクトロンボルト)である場合、ΔE0は5keVとされる。
同時事象判定式が成立しない場合、全エネルギ吸収判定部22は、時事象検出信号における信号12OUTが全エネルギ吸収を示していないと判定し(ステップS13のN)、その同時事象検出信号を破棄してステップS15に進む。コンプトン散乱が生じていても同時事象判定式が成立しない場合には、測定データからコンプトン散乱角を正しく推定することができないからである。
ステップS14において、イベント測定データ取得部20は、抽出された同時事象検出信号が有効なイベントにおける検出信号を表していると認識し、その有効なイベントにおける信号11OUT及び12OUTに基づきイベント測定データ(相互作用測定データ)を取得すると共に、取得したイベント測定データを記憶部44に記憶させる。ステップS14の後、ステップS15に進む。1つのイベント測定データは、1つのイベントにおける相互作用位置R1及びR2並びにエネルギE1及びE2を特定する情報を含んでいる。
従って、或る1つのガンマ線が検出器11にてコンプトン散乱し、そのコンプトン散乱されたガンマ線のエネルギが検出器12にて全吸収された場合、検出器11における相互作用位置R1及び検出エネルギE1を特定する情報を含んだ信号11OUT並びに検出器12における相互作用位置R2及び検出エネルギE2を特定する情報を含んだ信号12OUTが同時事象検出信号として抽出され、抽出された同時事象検出信号から1つのイベント測定データが生成及び取得されることになる。換言すれば、取得部20は、抽出部21及び判定部22を用いてイベントを検出し、検出器11及び12の出力信号11OUT及び12OUTからイベント測定データを抽出する。
ステップS15において、イベント測定データ取得部20は、所定の測定データ取得終了条件の成否を判定する。測定データ取得終了条件が成立する場合にはイベント測定データの取得処理を終えるが、測定データ取得終了条件が成立しない場合にはステップS11に戻る。例えば、イベント測定データの取得数が所定数(例えば数10000)に達した時点で測定データ取得終了条件が成立する。或いは例えば、記憶部44に記憶された全ての信号11OUTについて同時事象検出信号の抽出に関する処理を終えると、測定データ取得終了条件が成立する。
図3を再び参照する。主演算部30は、CPU(Central Processing Unit)及びSIMD(single instruction multiple data)演算器等の高並列の計算アクセラレータなどから成る。主演算部30は、撮像対象200を内包する空間に所定の画像空間を設定し、複数のイベントについて生成されたイベント測定データに基づき、ガンマ線源の密度分布を示す分布画像(ガンマ線源分布画像)を画像空間内の画像として生成する。分布画像の生成方法については後述する。分布画像を含む再構成画像を生成するための専用の演算装置を用いて主演算部30を形成しても良い。専用の演算装置は、例えば、ASIC (application specific integrated circuit)やFPGA(field-programmable gate array)等を用いて構築された、画像再構成に最適なハードウェア構成を有する装置である。
統括制御部41は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて実現され、画像化装置1内の各部位の動作を統括的に制御する。表示部42は、液晶ディスプレイパネル等から成り、統括制御部41の制御の下、分布画像を含む任意の画像を表示する。操作部43は、ポインティングデバイス、キーボート等から成り、画像化装置1のユーザからの任意の指示及び操作を受け付ける。記憶部44は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から成り、主演算部30及び統括制御部41等で動作させるプログラムを記憶する他、任意のデータを記憶できる。記憶部44はHDD(Hard disk drive)やフラッシュメモリなどの二次記憶装置を含んでいても良い。
図5に、複数のイベントにおけるイベント測定データが次々と取得される様子を示す。第iイベント(即ち、第i回目のイベント)におけるイベント測定データを、第iイベントの測定データとも呼ぶ。iは任意の自然数である。第iイベントの測定データにおける検出器11及び12での検出エネルギE1及びE2を、特に夫々Ei1、Ei2にて表す。第iイベントの測定データにおける検出器11での相互作用位置(即ち、検出されたコンプトン散乱位置)R1及び検出器12での相互作用位置(即ち、検出された光電吸収位置)R2を、特に夫々Ri1、Ri2にて表す。
主演算部30は、イベントごとに、当該イベントにおけるイベント測定データ(Ei1、Ri1、Ei2、Ri2)に基づき、上記式(A1)を用いてコンプトン散乱角θC及びコンプトン円錐面を導出及び設定できる。
図6に、主演算部30にて設定及び定義される画像空間ISを示す。尚、画像空間ISは、記憶部44などに内包されうる専用のメモリ装置に設定されても良い。画像空間ISは、実空間に対応付けて設定される三次元仮想空間であり、少なくとも撮像対象200の存在位置を内包している。当然、画像空間ISは有限の大きさを有する。画像空間ISの形状は任意であって良いが、ここでは、画像空間ISはXY面、YZ面及びZX面に平行な面を2面ずつ有する直方体状の空間であるとする。XY面はX軸及びY軸に平行な平面であり、YZ面はY軸及びZ軸に平行な平面であり、ZX面はZ軸及びX軸に平行な平面である。典型的には例えば、画像空間ISにおけるXY面に平行な面の1つを検出部11の前面に隣接させ、検出器11の中心、検出器12の中心及び画像空間ISの中心を一直線上に配置する。
主演算部30は、画像空間IS内に、ガンマ線源の密度分布状態を表す分布画像を三次元画像として生成できる。図7(a)に、画像空間ISがX、Y及びZ軸方向の夫々において複数に等分割される様子を示す。画像空間ISは、X、Y及びZ軸方向の夫々において複数に等分割された要素領域から形成され、各要素領域は分布画像の画素(図7(b)参照)として機能する。分布画像を形成する各画素は、X、Y及びZ軸方向の夫々に大きさを持つ三次元画素であり、ボクセルと呼ばれうる。ここでは、分布画像を形成する各画素は立方体形状を持っているものとする。分布画像を形成する画素の内、或る注目した画素を、画素番号を示す任意の整数j又はkを用いて画素j又は画素kと表現する。また、画素jの位置を記号rjによって表す(図8参照)。図8には、第iイベントのコンプトン円錐面と画素jとコンプトン散乱位置Ri1などの関係が示される。画素jの位置rjは、画素jの中心位置(画像空間ISにおける画素jの中心座標)を表す。以下の説明において、特に記述なき限り、画素とは画像空間IS内の画素(従って分布画像内の画素)を指す。
<<分布画像の生成に関する基準方法>>
主演算部30は、list-mode maximum-likelihood expectation-maximization(LM−ML−EM)法を元にした画像再構成法により、ガンマ線源の分布画像を生成することができる。これは、観測されたガンマ線の測定データが得られる確率が、統計的に最も高くなるように、空間中のガンマ線源分布を推定する手法である。
LM−ML−EM法を利用した、分布画像の生成に関する基準方法を説明する。当該基準方法では、下記式(B1)に基づき分布画像が再構成される。
λj (l)又はλj (l+1)によって表されるλjは、分布画像の画素j(分布画像の第j番目の画素)の画素値を示す。画素jの画素値は、コンプトンカメラ10による撮像時間内に画素jにおいて崩壊した放射性核種の数の期待値を表す。放射性核種の単位時間あたりの崩壊数はポアソン分布に従うため、λjは、このポアソン分布の期待値となる。ここにおける放射性核種はガンマ線源201としてのガンマ線放出核又は陽電子放出核である。LM−ML−EM法では、反復計算によって画素値を更新することで、ガンマ線源の分布を推定される真の分布へと近づけてゆく。λj (l)は、第l回目の反復計算にて得られる画素jの画素値(画素jについて上記期待値)を示し、λj (l+1)は、第(l+1)回目の反復計算にて得られる画素jの画素値(画素jについて上記期待値)を示す。従って、λjに付随する記号“l”は反復計算の回数(従って整数)を示している。
ijは、システム応答関数と呼ばれ、画素jから放出されたガンマ線が第iイベントとして測定される確率を表す。システム応答関数tijは、イベント測定データから推定されるコンプトン円錐面と交差する画素に対して設定される。Yiは、第iイベントにおいてコンプトンカメラ10により検出されるガンマ線の数を表す。ここでは、1つのガンマ線の検出事象を1つのイベントと捉えているため、“Yi=1”である。
ijλjは、第iイベントが画素値λjに相当する放射性核種の集積量がある画素jから放出されたガンマ線によって測定される期待値を表す。このため、第iイベントに関し、全画素についての“tijλj”の総和は、理想的には、実際のガンマ線の検出数である“Yi=1”と一致する。よって、式(B1)の右辺における“i”の総和演算の内部では、計算によって得られたガンマ線検出数(分母の“Σkikλk”に相当)に対する実測のガンマ線検出数(分子の“Yi”に相当)の比をとっている。反復計算による画素値の更新は、この比に基づいて行われる。計算によるガンマ線検出数(分母)が実測によるガンマ線検出数(分子)に近づいてゆくように、反復計算の中で画素値が更新される。即ち例えば、計算によるガンマ線検出数が実測によるガンマ線検出数より大きい場合には、計算によるガンマ線検出数が更新前よりも小さくなるように画素値が更新され、計算によるガンマ線検出数が実測によるガンマ線検出数より小さい場合には、計算によるガンマ線検出数が更新前よりも大きくなるように画素値が更新される。
jは画素jに対する検出感度パラメータであり、sjによる除算は検出感度を考慮した画素値の補正を意味する。検出感度パラメータsjは、主に、画素jから見た検出器11の幾何学的効率、ガンマ線と検出器11及び12との相互作用確率、並びに、ガンマ線が放出されてから検出されるまでの減衰等の因子から構成される。これらの因子を用いた数値的演算を介して検出感度パラメータsjを設定できるほか、モンテカルロ・シミュレーションによって検出感度パラメータsjを得ても良い。
画素jから見た検出器11の幾何学的効率は、画素jから見た検出器11の大きさ(立体角)を表す。画素jから放出されたガンマ線が検出器11に当たる確率は、画素jから見た検出器11の幾何学的効率に依存する。画素jと検出器11との距離が近いほど画素jから見た検出器11の大きさは大きくなり、画素jから放出されたガンマ線が検出器11に当たる確率が高まる。画素j及び検出器11間の距離が相応に離れている場合において、画素jから見た検出器11の幾何学的効率は、画素j及び検出器11間の距離の逆二乗にほぼ比例する。
式(B1)中の総和(Σ)の意義を補足説明しておく。式(B1a)及び式(B1b)は、式(B1)の一部を抜粋したものである。式(B1a)において、i及びkは夫々イベント番号及び画素番号を示す。式(B1a)は、第iイベントにおける全画素についての“tikλk (l)”の総和を表す。式(B1b)の分子において、i及びjは夫々イベント番号及び画素番号を示す。式(B1b)は、式(B1a)を分母とし且つ“Yiij”を分子として持つ分数の全イベントについての総和を表す。全イベントとは、分布画像の各画素の画素値を求めるために用いられるイベントの全てを指す。
[散乱角不確定性について]
各イベントにおいて、前段検出器11に向かうガンマ線の到来方向はコンプトン円錐面の母線方向に限定される。しかし、コンプトン散乱角はコンプトン散乱時のエネルギによって求められるため、ガンマ線検出時の物理現象に由来する不確定性を持つ。この不確定性を示す、コンプトン散乱角の分布関数(コンプトン散乱角の誤差分布の分布関数)を散乱角分布関数と呼ぶ。コンプトン円錐面も散乱角分布関数に従った不確定性を有しており、ガンマ線源は散乱角分布関数に由来する広がりの中に確率的に存在すると推定される。
本実施形態では、下記式(C1)で表される関数fO(θ)を散乱角分布関数として定義する。図9に、散乱角分布関数fO(θ)のグラフを示す。
式(C1)において、Zは、検出器11及び12を構成する半導体物質であってガンマ線と相互作用を起こす半導体物質(以下、検出器物質という)の原子番号を表し、nlは、その検出器物質中の第l番目の電子殻内の電子数を表す。式(C1)における総和演算記号“Σ”は、検出器物質中の全ての電子殻に対する総和を示す。σeは、検出器11がエネルギE1を検出する際のエネルギ検出分解能より求められる標準偏差を表す。σd,lは、検出器物質中の第l番目の電子殻の電子運動量に起因するドップラーブロードニングに起因した検出エネルギの標準偏差を表す。式(C1)の右辺の各パラメータの内、θC、θ、σe及びσd,l以外のパラメータは、画像化装置1にとって既知の所定値を持つ。
図10を参照する。θCは上記式(A1)により求められるコンプトン散乱角を表す。θは、注目位置NPから放出されたガンマ線が検出器11内の相互作用位置R1にてコンプトン散乱したと仮定した場合におけるコンプトン散乱角を表す。即ち、検出器11及び12の相互作用位置R1及びR2を結ぶ直線(コンプトン円錐面の中心軸)と、注目位置NP及び位置R1間を結ぶ直線との成す角度が、角度θに相当する。角度(θ−θC)は、注目位置NPから放出されたガンマ線が検出器11内の相互作用位置R1にてコンプトン散乱した場合におけるコンプトン散乱角θと、上記式(A1)により求められるコンプトン散乱角θCとの誤差角度Δθを表している。
散乱角分布関数fO(θ)の強度(即ち、関数fO(θ)の値)は、図9に示す如く、誤差角度Δθがゼロであるときに最大となり、誤差角度Δθの絶対値の増大に伴ってゼロに向かって減少してゆく。
分布画像の再構成では、ガンマ線の測定データから推定される円錐状のガンマ線到来方向を画像空間ISに投影する逆投影演算を行う。但し、ガンマ線の測定データから推定される円錐状のガンマ線到来方向には上述の不確定性に基づく誤差が含まれるため、逆投影演算では、誤差による厚みを持った円錐を投影する必要がある。逆投影で考慮すべき円錐の厚みはコンプトン散乱角の不確定性によるものであるため、当該厚みを散乱角分布関数fO(θ)から定めれば良い。
厚みを有するコンプトン円錐面をコンプトン円錐面領域と呼ぶ。主演算部30は、以下のように、イベントごとにコンプトン円錐面に厚みを持たせることでコンプトン円錐面領域を設定できる。
“−180°<θ−θC≦180°”の範囲内で関数fO(θ)を角度θにて積分したときの積分値、“−θREF≦θ−θC≦θREF”の範囲内で関数fO(θ)を角度θにて積分したときの積分値を、夫々、INTA、INTBにて参照する。このとき、比“INTB/INTA”が1に近く且つ1未満の正の所定値(例えば95%)となる正の角度θREFを求める。
図11に、或る1つのイベントに関して考慮される3つの円錐面311〜313を示す。円錐面311〜313は、全て、実測されたコンプトン散乱位置R1を頂点とし、且つ、コンプトン散乱後のガンマ線の飛行経路の直線上に(即ち、位置R1及びR2を通る直線上)中心軸を持った円錐面である。但し、円錐面312は角度θCを半頂角(頂角の半分;開角)とするコンプトン円錐面である一方、円錐面311、313は、夫々、角度(θC−θREF)を半頂角とする下限円錐面、角度(θC+θREF)を半頂角とする上限円錐面である。
主演算部30は、下限円錐面311と上限円錐面313との間の領域をコンプトン円錐面領域として設定する。コンプトン円錐面312は、下限円錐面311と上限円錐面313との間の領域、即ちコンプトン円錐面領域に内包されることになる。(θREF×2)は上記厚みを角度で表現したものに相当する。位置R1からの距離がdの部分におけるコンプトン円錐面の厚みは、半径がdであって且つ中心角が(θREF×2)の弧の長さに相当する。
<<分布画像の生成に関する第1改良方法>>
分布画像の生成に関する第1改良方法を説明する。第1改良方法並びに後述の各改良方法も、上述の基準方法と同じくLM−ML−EM法を元にしている。但し、第1改良方法では、下記式(D1)に基づき分布画像を生成する。
λj (l)、λj (l+1)及びtijの意義については上述した通りである。従って、tijλjは、第iイベントが画素値λjに相当する放射性核種の集積量(換言すれば存在量)がある画素jから放出されたガンマ線によって測定される期待値を表す。vij及びsijについては後述される。
主演算部30は、第iイベントの測定データに基づき上記式(A1)に従ってコンプトン散乱角θCを算出し、コンプトン散乱角θCを半頂角とする第iイベントのコンプトン円錐面と散乱角分布関数とに基づき第iイベントのコンプトン円錐面領域を設定する。そして、主演算部30は、第iイベントのコンプトン円錐面領域と交差する画素を抽出し、抽出した各画素jに対してゼロより大きなtijを設定する。第iイベントのコンプトン円錐面領域と交差しない各画素jに対しては“tij=0”として良い。このようなシステム応答関数tijの設定処理はイベントごとに行われる。各イベントの測定データに基づくシステム応答関数tijの設定方法として公知の任意の方法を利用して良い。
式(D1)中の総和(Σ)の意義を補足説明しておく。式(D1a)及び式(D1b)は、式(D1)の一部を抜粋したものである。式(D1a)において、i及びkは夫々イベント番号及び画素番号を示す。式(D1a)は、第iイベントにおける全画素についての“tikλk (l)”の総和を表す。式(D1b)の分子において、i及びjは夫々イベント番号及び画素番号を示す。式(D1b)は、式(D1a)とsijとの積を分母とし且つ“vijij”を分子として持つ分数の全イベントについての総和を表す。全イベントとは、分布画像の各画素の画素値を求めるために用いられるイベントの全てを指す。
―――vijの導入について―――
式(B1)による基準方法では、計算によって推定されるガンマ線検出数(Σkikλk)が極めて小さい場合などにおいて、画素値が非常に大きな値に更新されるオーバーフィッティングが生じる。これは、図12に示す如く、円錐状に推定されるガンマ線到来方向が画像空間ISに対してかすめるように交差した場合などに生じ、画像の辺縁部でアーチファクト(虚像)が生じる原因をとなる。
図13等を参照し、この現象について説明を加える。図13において、円錐360は、第1イベントの測定データに基づき導出されたコンプトン円錐面を側面として持ち且つ母線の長さをdAとする円錐であり、円錐370は、第2イベントの測定データに基づき導出されたコンプトン円錐面を側面として持ち且つ母線の長さをdAとする円錐である。円錐360の底面付近において円錐360は画像空間IS内に収まっている一方で、円錐370の底面付近において円錐370の一部は画像空間ISから飛び出している。図13での円錐370の図示において、円錐370と画像空間ISとが交差する部分(即ち、円錐370の内、画像空間IS内に位置している部分)については実線で示し、円錐370と画像空間ISとが交差しない部分については破線(破線371に相当)で示している。
今、第1イベントにおけるコンプトン散乱位置R11を中心に持ち且つ半径dAを持つ球面(以下、第1球面と呼ぶ)と、第2イベントにおけるコンプトン散乱位置R21を中心に持ち且つ半径dAを持つ球面(以下、第2球面と呼ぶ)とを想定する。図14(a)において、380は、第1球面と画像空間ISとの交差部分である曲面をXY平面上に投影して示したものである。図14(b)において、390は、第2球面と画像空間ISとの交差部分である曲面をXY平面上に投影して示したものである。第1球面と画像空間ISとの交差部分をXY平面上に投影したものの形状は実際には四角形にならないこともあるが、図14(a)では、簡単化のため、その形状を四角形と仮定している。図14(b)についても同様である。
第1イベントの測定データに基づくコンプトン円錐面に対し散乱角分布関数に基づく厚みが付与されることで、第1イベントのコンプトン円錐面領域が設定される。図14(a)において、斜線領域381は、第1イベントのコンプトン円錐面領域と曲面380との交差領域(即ち、第1イベントのコンプトン円錐面領域と第1球面と画像空間ISとの交差領域)を表している。図14(b)において、斜線領域391は、第2イベントのコンプトン円錐面領域と曲面390との交差領域(即ち、第2イベントのコンプトン円錐面領域と第2球面と画像空間ISとの交差領域)を表している。図14(b)において、ドット領域392は、第2イベントのコンプトン円錐面領域と第2球面との交差領域の内、画像空間ISとは交差していない領域を表している。
ここでは、第1イベントのコンプトン円錐面領域と第1球面との交差領域の内、画像空間ISに交差している領域の割合は100%であるとする。故に、領域381に属する画素が100個であって且つ第1イベントにおけるガンマ線源がコンプトン散乱位置R11から距離dAだけ離れた位置にあり且つ領域381内の散乱角分布関数の強度が一様であると仮定したならば、領域381に属する各画素に第1イベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/100”であると推定され、そのような推定に基づくシステム応答関数t1jが設定される。
一方、第2イベントのコンプトン円錐面領域と第2球面との交差領域の内、画像空間ISに交差している領域の割合は50%であるとする。故に、領域391に属する画素が50個であって且つ第2イベントにおけるガンマ線源がコンプトン散乱位置R21から距離dAだけ離れた位置にあり且つ領域391内の散乱角分布関数の強度が一様であると仮定したならば、領域391に属する各画素に第2イベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/50”であると推定され、そのような推定に基づくシステム応答関数t2jが設定される。
しかし、領域391及び392の全てが画像空間IS内に存在するとしたならば、各イベントにおいて概ね100個の画素の何れかからガンマ線が到来したと推定されるはずであり、従って、領域391に属する各画素に第2イベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/100”であると推定されるべきである。但し実際には、コンプトン円錐面領域と第2球面との交差領域の一部(領域392)が画像空間ISの外に位置しているため、領域391に属する各画素に第2イベントのガンマ線源が存在する確率は概ね“1/50”であると推定される。つまり、領域391に対しては、ガンマ線源がそこに存在すると過剰に強く推定されやすい。このような不正確な推定の実行は、コンプトン円錐面領域と第2球面との交差領域の一部(領域392)が画像空間ISの外に位置していることに由来する。
このような傾向は、1つのイベントにおける複数の画素間でも発生しうる。図15において、円錐410は、第iイベントの測定データに基づき導出されたコンプトン円錐面を側面として持ち且つ母線の長さをdAとする円錐であり、円錐420は、第iイベントの測定データに基づき導出されたコンプトン円錐面を側面として持ち且つ母線の長さをdBとする円錐である(0<dA<dB)。円錐410及び420に対応するイベントは共通であり、また“0<dA<dB”であるため、円錐410の円錐面は円錐420の円錐面の一部である。円錐410の底面付近において円錐410は画像空間IS内に収まっている一方で、円錐420の底面付近において円錐420の一部は画像空間ISから飛び出している。図15での円錐420の図示において、円錐420と画像空間ISとが交差する部分(即ち、円錐420の内、画像空間IS内に位置している部分)については実線で示し、円錐420と画像空間ISとが交差しない部分については破線(破線421に相当)で示している。
今、第iイベントにおけるコンプトン散乱位置Ri1を中心に持ち且つ半径dAを持つ球面(以下、球面Aと呼ぶ)と、第iイベントにおけるコンプトン散乱位置Ri1を中心に持ち且つ半径dBを持つ球面(以下、球面Bと呼ぶ)とを想定する。図16(a)において、440は、球面Aと画像空間ISとの交差部分である曲面をXY平面上に投影して示したものである。図16(b)において、450は、球面Bと画像空間ISとの交差部分である曲面をXY平面上に投影して示したものである。球面Aと画像空間ISとの交差部分をXY平面上に投影したものの形状は実際には四角形にならないこともあるが、図16(a)では、簡単化のため、その形状を四角形と仮定している。図16(b)についても同様である。
第iイベントの測定データに基づくコンプトン円錐面に対し散乱角分布関数に基づく厚みが付与されることで、第iイベントのコンプトン円錐面領域が設定される。図16(a)において、斜線領域441は、第iイベントのコンプトン円錐面領域と曲面440との交差領域(即ち、第iイベントのコンプトン円錐面領域と球面Aと画像空間ISとの交差領域)を表している。図16(b)において、斜線領域451は、第iイベントのコンプトン円錐面領域と曲面450との交差領域(即ち、第iイベントのコンプトン円錐面領域と球面Bと画像空間ISとの交差領域)を表している。図16(b)において、ドット領域452は、第iイベントのコンプトン円錐面領域と球面Bとの交差領域の内、画像空間ISとは交差していない領域を表している。
ここでは、第iイベントのコンプトン円錐面領域と球面Aとの交差領域の内、画像空間ISに交差している領域の割合は100%であるとする。故に、領域441に属する画素がNA個であって且つ第iイベントにおけるガンマ線源がコンプトン散乱位置Ri1から距離dAだけ離れた位置にあり且つ領域441内の散乱角分布関数の強度が一様であると仮定したならば、領域441に属する各画素に第iイベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/NA”であると推定され、そのような推定に基づくシステム応答関数tijが設定される。
一方、第iイベントのコンプトン円錐面領域と球面Bとの交差領域の内、画像空間ISにも交差している領域の割合は50%であるとする。故に、領域451に属する画素がNB個であって且つ第iイベントにおけるガンマ線源がコンプトン散乱位置Ri1から距離dBだけ離れた位置にあり且つ領域451内の散乱角分布関数の強度が一様であると仮定したならば、領域451に属する各画素に第iイベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/NB”であると推定され、そのような推定に基づくシステム応答関数tijが設定される。
しかし、領域451及び452の全てが画像空間IS内に存在するとしたならば概ね(2×NB)個の画素の何れかからガンマ線が到来したと推定されるはずであり、従って、領域451に属する各画素に第iイベントのガンマ線源が存在する確率は均等に概ね“1/(2×NB)”であると推定されるべきである。但し実際には、コンプトン円錐面領域と球面Bとの交差領域の一部(領域452)が画像空間ISの外に位置しているため、領域451に属する各画素に第iイベントのガンマ線源が存在する確率は概ね“1/NB”であると推定される。つまり、領域451に対しては、ガンマ線源がそこに存在すると過剰に強く推定されやすい。このような不正確な推定の実行は、コンプトン円錐面領域と球面Bとの交差領域の一部(領域452)が画像空間ISの外に位置していることに由来する。
第1改良方法にて導入される確率パラメータvij(上記式(D1)参照)、このような現象(オーバーフィッティング)を抑制するための正則化因子として働く。vijは、下記式(D2)にて定義される。
上述の説明から明らかなように、Ri1は、第iイベントにて検出されたガンマ線と前段検出器11との相互作用位置(即ちコンプトン散乱位置)であり(図8参照)、第iイベントにおけるコンプトン円錐面の頂点位置を表す。rjは画素jの位置(中心位置)を示す。rは画像空間IS内の任意の位置(座標)を表す。Vkは画素kの体積を表す。“r∈Vk”は画素kに内包される位置r(換言すれば画素kの体積に包含される座標r)を表す。故に、vijは、第iイベントのコンプトン散乱位置Ri1を中心とし且つ画素jの位置(rj)及びコンプトン散乱位置Ri1間の距離を半径とする球面と交差する全画素kについてのpikの総和を表す。
確率パラメータvijは、第iイベントでコンプトン散乱を起こしたガンマ線が画像空間IS内から到来した確率を示す。但し、確率パラメータは画素ごとに設定され、vijは画素jに対して設定される確率パラメータである。より詳細には、vijは、第iイベントでコンプトン散乱を起こしたガンマ線がコンプトン散乱位置Ri1を中心とし且つ画素jの位置(rj)及びコンプトン散乱位置Ri1間の距離を半径とする球面上の位置から到来したと仮定した場合に、当該ガンマ線が画像空間IS内から到来した確率を示す。
コンプトン散乱角の不確定性により第iイベントについて推定されるガンマ線到来方向は幅を持った方向となるが、pikは、第iイベントについて推定されるガンマ線到来方向の内、画素kを通るガンマ線到来方向が占める割合を表す。つまり、pikは、第iイベントのガンマ線到来方向を確率変数として捉えたときの、画素kを通るガンマ線到来方向の確率密度を表す。式(D2)に示す如く、vijは、“|Ri1−rj|=|Ri1−r|”を満たす位置rを内包する全ての画素kについてのpikの総和であるため、pikはvijに対する画素kの寄与分を表す。
ikは、コンプトン散乱角の不確定性に基づくものであり、式(D3)によって定義される。尚、式(D3)では、pikにおける変数kの代わりに変数jを用いてpijを定義している。式(D3)中の角度θi(r)は式(D3a)により定義される。
O,iは、第iイベントにおける散乱角分布関数(コンプトン散乱角の誤差分布の分布関数)を表す。式(D3)では、fO,iを、位置rに依存する角度θi(r)の関数として捉えている。位置rは上述したように画像空間IS内の任意の位置を表し、図10の注目位置NPに相当すると考えて良い。θi(r)は、第iイベントが位置rから放出されたガンマ線によって生じたと仮定した場合における、ガンマ線のコンプトン散乱角を表す。Rii及びRi2は、夫々、第iイベントにて検出されたガンマ線と検出器11の相互作用位置(即ち検出されたコンプトン散乱位置)及び第iイベントにて検出されたガンマ線と検出器12の相互作用位置(即ち検出された光電吸収位置)である。Vjは画素jの体積を表す。式(D3)では、位置rを積分変数として用い、画素jに属する位置rに対して“fO,ii(r)]/{|r−Ri122πsin[θi(r)]}”を積分することにより、pijを得る。
O,ii(r)]としての散乱角分布関数fO(θ)を考える場合、上記式(C1)中のθCは、第iイベントに関し式(A1)を用いて算出されたコンプトン散乱角である。fO,ii(r)]としての散乱角分布関数fO(θ)を考える場合、上記式(C1)中のθは、θi(r)を表し、位置Ri1及びRi2を結ぶ直線(コンプトン円錐面の中心軸)と位置Ri1及びrを結ぶ直線との成す角度に相当する。
O,ii(r)]の値は、位置rにおけるコンプトン散乱角の誤差分布の確率密度を表しており、これを画素jの体積Vjにわたって積分することでpijが求められる。しかし、単純な積分では、画素jから見た検出器11の幾何学的効率が考慮されない。また、fO,iは角度の関数であるため、角度の違いによる立体角を考慮する必要がある。そこで、式(D3)では、fO,ii(r)]を、幾何学的効率の近似“|r−Ri1-2”の逆数及び角度θi(r)の微小立体角“2πsin[θi(r)]”で除したものを積分している(図17参照)。
尚、各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域に属さない画素に対する関数fO,iの値は十分に小さいと考えられる。従って、式(D2)の右辺は、“|Ri1−rj|=|Ri1−r|”を満たす位置rを内包し且つ第iイベントのコンプトン円錐面領域に属する全ての画素kについてのpikの総和である、と考えて良い。位置Ri1を中心とし且つ距離|Ri1−rj|を半径とする球面が、画素k内の任意の位置を通過して画素kと交差するとき、当該画素kについて“|Ri1−rj|=|Ri1−r|”が満たされる。
このように、第1改良方法に係る主演算部30は、各イベントでコンプトン散乱したガンマ線が画像空間IS内から到来した確率を示す確率パラメータvijを、各イベントでの測定データ(Ri1、Ri2、Ei1、Ei2)を元にした演算により分布画像の画素ごとに設定し、画素ごとに設定した確率パラメータvijを用いて分布画像を生成する(即ち各画素の画素値を求める)。
各イベントでの測定データを元にして確率パラメータvijが設定されるべき画素(対象画素)は分布画像の全画素である必要はない(但し、分布画像の全画素であっても構わない)。各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域内の各画素を確率パラメータvijが設定されるべき対象画素に含めておけば足る。即ち、各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域内の各画素に対してのみ、式(D2)に基づきvijを算出すれば足る。各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域外の各画素に対しては“vij=0”としておいても良い。
これらを考慮すれば、第1改良方法に係る主演算部30は、確率パラメータvijを、各イベントでの測定データを元にした演算により分布画像内の複数の対象画素の夫々に対して個別に設定し、設定した確率パラメータvijを用いて分布画像を生成する(即ち各画素の画素値を求める)、とも言える。主演算部30は、イベントごとに且つ対象画素ごとに確率パラメータvijを設定することになる。つまり、主演算部30は、複数のイベントと複数の対象画素の組み合わせの夫々に注目して、組み合わせごとに確率パラメータvijを設定することになる。
第iイベント及び1つの画素jについて注目した場合(第iイベント及び画素jの組み合わせに注目した場合)、主演算部30は、検出されたコンプトン散乱位置Ri1を中心とし且つ注目画素jの位置(rj)及びコンプトン散乱位置Ri1間の距離を半径(例えば図15のdA又はdB)とする球面と、注目された第iイベントのコンプトン円錐面領域と、画像空間ISとの交差状態に基づき、注目された第iイベントの注目画素jに対する確率パラメータvijを設定する。例えば、図16(a)の斜線領域441又は図16(b)の斜線領域451が、上記球面とコンプトン円錐面領域と画像空間ISの交差領域に相当し、図16(a)及び(b)の状況間では、それらの交差状態が互いに異なる。
より具体的には、第iイベント及び1つの画素jについて注目した場合、主演算部30は、検出されたコンプトン散乱位置Ri1を中心とし且つ注目画素jの位置(rj)及びコンプトン散乱位置Ri1間の距離を半径(例えば図15のdA又はdB)とする球面と、注目された第iイベントのコンプトン円錐面領域と、画像空間ISとの交差領域(例えば図16(a)の斜線領域441又は図16(b)の斜線領域451)を求める。次に、その交差領域に配置された各画素を抽出し、抽出した各画素に対して散乱角分布関数(fO,i)の強度に応じた指標(pij)を導出する(式(D3)参照)。そして、抽出した各画素について導出された指標の総和に基づき(式(D2)参照)、注目された第iイベントの注目画素jに対する確率パラメータvijを設定する。
ijは積分範囲を全散乱角の範囲とした散乱角不確定性の積分と考えられるため、vijの理想的な値は1となる。しかし、コンプトン円錐面領域の一部が画像空間ISの外にある場合には、vijは1より小さくなる。従って、コンプトン円錐面領域が画像空間ISと僅かしか交差しなかったイベントは、vijの導入によって再構成画像(分布画像)に対する寄与が低減することになり、アーチファクトが低減される。更に、図15並びに図16(a)及び(b)を参照して説明したように、1つのイベントにおいても注目画素が異なれば上記交差状態が異なってくる。第1改良方法では、これを考慮し、各イベントにおいて画素ごとに最適なvijを設定するためアーチファクトの低減効果が高まる。
―――sijの導入について―――
検出感度を構成する因子で最も大きな影響を持つのは、個々の画素jから見た検出器11の幾何学的効率であり、その幾何学的効率は、近似的には画素j及び検出器11間の距離の逆二乗に比例する。しかし、式(B1)による基準方法では、検出感度(sj)が画素jの位置に対してのみ依存すると仮定しているため、コンプトン散乱位置(検出器11での相互作用位置)の違いによる幾何学的効率の違いが平均化される。
即ち、図18を参照し、コンプトン散乱位置が位置510であるときと位置520であるときとで、コンプトン散乱位置及び画素j間の距離(511、521)は相違し、結果、幾何学的効率が異なるはずであるのに、検出感度(sj)が画素jの位置に対してのみ依存すると仮定したならば、コンプトン散乱位置の違いによる幾何学的効率の違いが平均化されることになる。検出器11に近い画素ほど、この平均化による影響が大きく(距離511及び521の違いが出やすいため)、検出感度パラメータを用いた感度補正の正確性が低下する。
そこで、第1改良方法では、イベントごとのコンプトン散乱位置Ri1をも考慮して画素ごとの検出感度パラメータを設定する。上記式(D1)におけるsijは、第iイベントのコンプトン散乱に対する検出器11の検出感度を示す検出感度パラメータである。但し、当該検出感度パラメータは画素ごとに設定され、sijは画素jに対して設定される検出感度パラメータである。上記式(D1)において、sjjによる除算は検出感度を考慮した画素値の補正を意味する。図19(a)及び(b)に、基準方法と第1改良方法との比較図を示す。検出感度パラメータsijは下記式(D4)によって定義される。
ここで、σt(E0)は、E0のエネルギを持ったガンマ線と検出器物質との全相互作用断面積を表し、di,j1は、第iイベントにおける画素jからのガンマ線の検出器11内の飛程を表す(図20参照)。即ち、di,j1は、第iイベントにおける画素jからのガンマ線がコンプトン散乱を起こすまでに検出器11内を通過した距離を表す。そのため、“exp[−σt(E0)di,j1]”は、第iイベントにおいて画素jからのガンマ線がコンプトン散乱位置Ri1まで検出器11内の検出器物質と相互作用せずに到達する確率(換言すれば、第iイベントにおける画素jからのガンマ線がコンプトン散乱するまでに検出器11内で生じる減衰)を表す。σt(E0)の値は、ガンマ線源201が放出するガンマ線の初期エネルギE0と検出器物質の物性とに基づき一意に定まり、画像化装置1にとって既知である。飛程di,j1は、画素jの位置rj及び第iイベントのコンプトン散乱位置Ri1と、検出器11の形状とから定まる。
ここでは、図21(a)及び(b)に示す如く、検出器11は、相互作用位置をX軸、Y軸、Z軸方向において、夫々、m、n及びo段階で検出できるものとする(m、n及びoは2以上の任意の整数)。そうすると、検出器11は(m×n×o)個の独立した検出器要素の集合体であると考えることができる。このように考えると、各々の検出器要素が画像空間IS内の全画素に対して検出感度を持つことになる。Ri1は、第iイベントでのコンプトン散乱位置を内包する検出器要素の中心位置を表すと考えて良い。そうすると、“|Ri1−rj-2”は、画素jから見た、位置Ri1を中心に持つ検出器要素の幾何学的効率の近似を表す。
このように、第1改良方法に係る主演算部30は、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータsijを各イベントでの測定データ(Ri1を含む)に元にした演算により分布画像の画素ごとに設定し、画素ごとに設定した検出感度パラメータsijを用いて分布画像を生成する(即ち各画素の画素値を求める)。
各イベントでの測定データを元にして検出感度パラメータsijが設定されるべき画素(対象画素)は分布画像の全画素である必要はない(但し、分布画像の全画素であっても構わない)。各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域内の各画素を検出感度パラメータsijが設定されるべき対象画素に含めておけば足る。即ち、各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域内の各画素に対してのみ、式(D4)に基づきsijを算出すれば足る。各イベントにおいて、コンプトン円錐面領域外の各画素に対するsijには一定値を代入しておいて良い。
これらを考慮すれば、第1改良方法に係る主演算部30は、検出感度パラメータsijを、各イベントでの測定データを元にした演算により分布画像内の複数の対象画素の夫々に対して個別に設定し、設定した検出感度パラメータsijを用いて分布画像を生成する(即ち各画素の画素値を求める)、とも言える。主演算部30は、イベントごとに且つ対象画素ごとに検出感度パラメータsijを設定することになる。つまり、主演算部30は、複数のイベントと複数の対象画素の組み合わせの夫々に注目して、組み合わせごとに検出感度パラメータsijを設定することになる。
第iイベント及び1つの画素jについて注目した場合(第iイベント及び画素jの組み合わせに注目した場合)、主演算部30は、検出されたコンプトン散乱位置Ri1と注目画素jの位置rjに応じて検出感度パラメータ(sij)を設定することになる。より具体的には、第iイベント及び1つの画素jについて注目した場合、主演算部30は、コンプトン散乱位置Ri1と注目画素jの位置rjに基づく検出器11内におけるコンプトン散乱前のガンマ線の飛程di,j1と、コンプトン散乱位置Ri1及び注目画素jの位置rj間の距離|Ri1−rj|とに基づき、注目された第iイベントの注目画素jに対する検出感度パラメータsijを設定する。
例えば、ガンマ線源と検出器11との距離が比較的小さいとき、当該ガンマ線源からのガンマ線は検出器11に当たりやすいので検出器11で検出されやすく、ガンマ線源と検出器11との距離が比較的大きいとき、当該ガンマ線源からのガンマ線は検出器11に当たりにくいので検出器11で検出されにくい。仮に、このような検出されやすさ/検出されにくさを考慮せずに分布画像を生成すると、検出器11からの距離が遠いガンマ線源の存在が分布画像に反映されにくくなる。検出感度パラメータの導入によって、検出されやすさ/検出されにくさが考慮された感度補正が成される。この際、各画素の位置だけでなく検出器11内での相互作用位置Ri1をも考慮して検出感度パラメータ(sij)を設定することにより、相互作用位置Ri1を考慮せずに検出感度パラメータを設定する方法(図19(a))と比べて、より妥当な感度補正を行うことが可能となる。結果、分布画像がガンマ線源の分布をより正確に表すようになる。また、第1改良方法では、相互作用位置Ri1を用いて検出器11内でのガンマ線減衰(exp[−σt(E0)di,j1])をも考慮するため、分布画像の妥当性が増す(ガンマ線源分布の推定精度が増す)。
―――tijについて―――
システム応答関数tijは下記式(D5)に従って決定される。
式(D5)における“exp[−σt(E0)di,j1]”は、上記式(D4)に示したものと同じものであり、第iイベントにおいて画素jからのガンマ線がコンプトン散乱位置Ri1まで検出器11内の検出器物質と相互作用せずに到達する確率を表す。式(D5)における“dσc,ij/dΩ”は、画素jから放出されたガンマ線が第iイベントを形成するガンマ線として検出された場合におけるコンプトン散乱微分断面積を表す。即ち、“dσc,ij/dΩ”は、第iイベントにおいて画素jからのガンマ線がコンプトン散乱を生じさせる確率を表す。この確率はコンプトン散乱角によって変化するため、“dσc,ij/dΩ”は画素jに依存する。
0’はコンプトン散乱後のガンマ線のエネルギを表す。故に、式(D5)におけるE0’は、ガンマ線の初期エネルギE0から第iイベントにおける検出エネルギE1を差し引いたものに相当する。σt(E0’)は、E0’のエネルギを持ったガンマ線と検出器物質との全相互作用断面積を表し、di,12は、第iイベントにおけるコンプトン散乱後のガンマ線が検出器12にて光電吸収されるまでの、ガンマ線の検出器11及び12内の飛程を表す。即ち、di,12は、第iイベントにおけるコンプトン散乱後のガンマ線が検出器12にて光電吸収されるまでに検出器11及び12内を通過した距離を表す。そのため、“exp[−σt(E0’)di,12]”は、第iイベントにおけるコンプトン散乱後のガンマ線が光電吸収位置Ri2まで検出器11及び12内の検出器物質と相互作用せずに到達する確率(換言すれば、第iイベントにおけるコンプトン散乱後のガンマ線が位置Ri2にて検出器12に光電吸収されるまでに検出器11及び12内で生じる減衰)を表す。
|Ri2−Ri1-2は、コンプトン散乱位置Ri1から見た光電吸収位置Ri2の幾何学的効率(立体角)の近似を表している。σp(E0’)は、E0’のエネルギを持ったガンマ線と検出器物質との光電吸収断面積を表す、即ちコンプトン散乱後のガンマ線が光電吸収を生じさせる確率を表す。
主演算部30は、イベントごとの測定データ(Ri1、Ri2、Ei1、Ei2)に基づきイベントごとに且つ画素ごとにシステム応答関数tijを導出及び設定することができる。式(D5)の右辺中の物理量の内、第iイベントの測定データに依存しない物理量の値は画像化装置1にとって既知である。
[分布画像の生成動作フローチャート]
図22は、各イベントの測定データに基づく分布画像の生成動作フローチャートである。図22を参照して、各イベントの測定データに基づく分布画像の生成動作手順を説明する。図4による各イベントの測定データの取得後、ステップS21に至る。ステップS21において、主演算部30は、分布画像の全画素の画素値λk (0)に対し所定の共通初期値(例えば1)を代入すると共に、反復計算の回数を示す変数lにゼロを代入する。主演算部30は、続くステップS22にて変数iに1を代入した後、ステップS23〜S28の処理を順次実行する。
具体的には、主演算部30は、ステップS23にて第iイベントの測定データ(Ri1、Ri2、Ei1、Ei2)を記憶部44から読み出し、ステップS24において、第iイベントの測定データに基づき上記式(A1)に従ってコンプトン散乱角θCを算出すると共にコンプトン円錐面を設定する。続くステップS25において、主演算部30は、散乱角分布関数fO(θ)に基づき第iイベントのコンプトン円錐面に厚みを持たせることで第iイベントのコンプトン円錐面領域を設定する。その後、ステップS26において、主演算部30は、第iイベントのコンプトン円錐面領域内の各画素を対象画素として捉え、対象画素ごとに、上述の各式等に従いつつ測定データに基づいてvij、sij及びtijを算出及び設定する。コンプトン円錐面領域外の各画素(非対象画素)に対してはシステム応答関数tijをゼロに設定すれば良い。
ステップS26に続くステップS27において、主演算部30は、第(i−1)イベントについてまで求めた式(D1b)の総和計算結果に、第iイベントについて求めたvij、sij及びtijに基づく計算結果を加算することで、第1〜第iイベントについての式(D1b)の総和計算結果(即ち、式(D1b)の値)を求める。その後、ステップS28において、全イベントについての測定データが記憶部44から読み出されたか否かが確認される。未だ読み出されていない測定データが存在する場合には(ステップS28のN)、ステップS29にて変数iに1を加算してからステップS23に戻り、ステップS23〜S28の処理が繰り返される。全イベントについての測定データが記憶部44から読み出された場合には(ステップS28のY)ステップS30に進む。
ステップS30において、主演算部30は画素値の更新処理を行う。更新処理では、式(D1)に従い、更新された画素値である画素値λk (l+1)を求める。即ち、ステップS27にて求められた最新の式(D1b)の総和計算結果にλk (l)を乗じることで、分布画像の各画素の画素値λk (l+1)を求める。その後のステップS31において、主演算部30は、所定の更新終了条件の成否を確認する。更新終了条件が成立する場合には、ステップS33に進んで、最新の各画素値λkを持つ分布画像が記憶部44に記憶された後、図22の動作を終える。更新終了条件が成立しない場合にはステップS32にて変数lに1を加算してからステップS22に戻り、ステップS22以降の各処理が繰り返される。
更新終了条件は、例えば、ステップS30の更新処理の実行回数が所定回数に達した時点で成立する。或いは例えば、ステップS22〜S32の処理の繰り返し実行の中で、所定の終了指示操作が操作部43に入力されたとき、更新終了条件が成立しても良い。更に或いは例えば、ステップS30の更新処理による各画素値λkの変化量が充分に小さくなったとき(例えば、分布画像の全画素における画素値λk (l+1)の総和と画素値λk (l)の総和との差が所定値以下となったとき)、更新終了条件が成立しても良い。
<<分布画像の生成に関する第2改良方法>>
分布画像の生成に関する第2改良方法を説明する。第2改良方法では、下記式(E1)に基づき分布画像が生成される。式(E1)では、基準方法を元にしてvijが導入されてはいるが、sijの導入は見送られている。sijの代わりにsjが画素値λjの算出式に組み込まれている点を除き、第2改良方法は第1改良方法と同様である。検出感度パラメータsjは、例えば下記式(E2)に従って画素ごとに求められる。
上述したように、σt(E0)はE0のエネルギを持ったガンマ線と検出器物質との全相互作用断面積を表し、rjは画素jの位置(中心位置)を表す。式(E2)において、pは、検出器11を形成する第1〜第(m×n×o)番目の検出器要素(図21(a)及び(b)参照)中の或る検出器要素の番号を表しており、Rpは第p番目の検出器要素の中心位置を表している。dp,j1は、位置rjから位置Rpまでの直線経路の内、検出器11内に位置する経路の長さである。つまり、dp,j1は、図20のdi,j1に類似し、画素jからのガンマ線が第p番目の検出器要素に至るまでに検出器11内を通過した距離を表す。そのため、式(E2)の“exp[−σt(E0)dp,j1]”は、画素jからのガンマ線が第p番目の検出器要素まで検出器11内の検出器物質と相互作用せずに到達する確率を表す。“|Rp−rj-2”は、画素jから見た、第p番目の検出器要素の幾何学的効率の近似を表す。全検出器要素に対するガンマ線の検出感度“exp[−σt(E0)dp,j1]・|Rp−rj-2”の総和が、式(E2)のsjとなる。
ijの定義式(D4)との比較からも理解されるように、式(E2)のsjは、全ての検出器要素に対して設定される検出感度(ガンマ線検出感度)の合計として計算される。検出器要素の個数は固定値であるので、この検出感度の合計は実質的に全検出器要素の検出感度の平均値とみなせる。各検出器要素の大きさは、検出器11の位置検出精度のX、Y及びZ軸成分の積(例えば、3×3×1[mm3])とされる。
尚、検出器11の大きさに比べて画像空間ISが充分に小さい場合などにおいては、検出感度が一様であると考えて、全画素に対し“sj=1”と設定することも可能である。
第2改良方法では、基準方法との比較において、vijの導入による有利な効果が奏される。但し、sijをも導入した第1改良方法の方が、第2改良方法よりも正確な分布画像の生成に適している。
<<分布画像の生成に関する第3改良方法>>
分布画像の生成に関する第3改良方法を説明する。第3改良方法では、下記式(F1)又は式(F2)に基づき分布画像が生成される。式(F1)又は式(F2)では、基準方法を元にしてsijが導入されてはいるが、vijの導入は見送られている。vijの代わりにYi又はviが画素値λjの算出式に組み込まれている点を除き、第3改良方法は第1改良方法と同様である。
上述したように、Yiは全イベントにおいて“1”であって良い。確率パラメータviはイベントごとに設定され、1つの確率パラメータviは各画素に対して共通に適用される。例えば、確率パラメータviは下記式(F3)に従って算出される。式(F3)の右辺は、第iイベントのコンプトン円錐面領域内の全画素についてのpijの総和を表している。
第3改良方法では、基準方法との比較において、sijの導入による有利な効果が奏される。但し、vijをも導入した第1改良方法の方が、第3改良方法よりも正確な分布画像の生成に適している。vijの代わりにviを用いることでも基準方法との比較においてアーチファクトの低減が図られるが、図15並びに図16(a)及び(b)を参照した上述の説明から理解されるように、各イベントにおいて画素ごとに最適なvijを設定する第1改良方法の方がアーチファクトの低減効果が高い。
[実験結果]
基準方法、第1改良方法及び第2改良方法を利用した実験の内容及び結果を説明する。図23は、当該実験で利用された担癌マウスの概略平面図である。3つの腫瘍組織A431、4T1及びC6が移植された担癌マウスに64Cu標識抗HER2抗体を投与したものを撮像対象200とする。64Cu標識抗HER2抗体は、64Cuを内包する抗体であって、HER2を含む腫瘍に集積する抗体である。3つの腫瘍組織の内、腫瘍組織A431においてHER2が最も高発現であり、故に腫瘍組織A431に対して高い抗体の集積が期待される。本実験では、担癌マウス中の64Cuがガンマ線源201として機能し、64Cuより放出される陽電子の対消滅に伴う511keV(キロエレクトロンボルト)のガンマ線が、ガンマ線源201からのガンマ線として機能する。当該実験において、コンプトンカメラ10を用いた撮像時間は9時間であり、測定されたイベント数は1.9×106である。
基準方法、第2改良方法、第1改良方法への実験の結果として得られる三次元分布画像を、夫々、三次元分布画像610、620、630と呼ぶ(図24参照)。当該実験における反復計算の反復回数は一律に60回である。つまり、当該実験の条件下で、三次元分布画像610、620、630は、夫々、式(B1)、式(E1)、式(D1)におけるλj (60)を画素jの画素値として有する三次元分布画像である。
図25に、三次元分布画像610に基づく二次元のMIP画像611〜613、三次元分布画像620に基づく二次元のMIP画像621〜623、及び、三次元分布画像630に基づく二次元のMIP画像631〜633を示す。MIP画像611、612、613は、最大値投影法(maximum intensity projection)を用いて三次元分布画像610を、夫々、XY面、ZX面、YZ面に投影して得られる平面画像である。同様に、MIP画像621、622、623は、最大値投影法を用いて三次元分布画像620を、夫々、XY面、ZX面、YZ面に投影して得られる平面画像である。同様に、MIP画像631、632、633は、最大値投影法を用いて三次元分布画像630を、夫々、XY面、ZX面、YZ面に投影して得られる平面画像である。つまり例えば、三次元分布画像610における、X及びY軸方向の位置が共通の画素の群の内、最大の画素値を有する画素をXY面に投影する単位操作を、三次元分布画像610の全体に亘って行うことにより、投影面であるXY面にMIP画像611が形成される。MIP画像612及び613についても同様であり、また、MIP画像621〜623及び631〜633についても同様である。
基準方法による分布画像では、画像空間ISの辺縁部においてオーバーフィッティングに起因した強いアーチファクトが出現しているのに対し(特に画像611を参照)、そのようなアーチファクトが第2改良方法及び第1改良方法では低減している(特に画像621及び631参照)。また、基準方法による分布画像では腫瘍組織の輪郭のぼけが顕著であるのに対し、そのようなぼけが第2改良方法及び第1改良方法では低減している。また、第2改良方法の分布画像で観測される背景のノイズ(例えば画像621中の領域NZ1及び画像622中のNZ2内のノイズ)が第1改良方法では低減しており、図25からは認識しづらいかもしれないが、第1改良方法の分布画像における各腫瘍組織(特にA431)のコントラストは第2改良方法のそれよりも高くなっていることが分かった。
次に、各分布画像の画素の強度(画素値)が実際の組織に集積した放射能を反映したものであるかを評価するために、VOI(volume of interest)解析を行った。VOI解析において、図26に示す如く、三次元分布画像610に腫瘍組織A431、4T1及びC6が存在する領域610[A431]、610[4T1]及び610[C6]を設定し、且つ、三次元分布画像620に腫瘍組織A431、4T1及びC6が存在する領域620[A431]、620[4T1]及び620[C6]を設定し、且つ、三次元分布画像630に腫瘍組織A431、4T1及びC6が存在する領域630[A431]、630[4T1]及び630[C6]を設定する。腫瘍組織A431に対して設定される領域(即ち、領域610[A431]、620[A431]及び630[A431])の大きさは、画像610、620及び630間で同じである。腫瘍組織4T1及びC6に対して設定される領域についても同様である。
図27は、撮像実験後における担癌マウスの各組織からの64Cuの放射能の計測結果を示している。図28において、バー651〜653から成る棒グラフでは、バー651にて示される腫瘍組織A431からの計測放射能を1とする正規化を行った上で、腫瘍組織4T1、C6からの計測放射能を夫々バー652、653にて示す。
図28のバー671〜673が示す相対強度は、夫々、第1改良方法に基づく領域630[A431]、630[4T1]、630[C6]内の画素値の合計値を表す。但し、バー671〜673が示す相対強度に関し、領域630[A431]に対応する相対強度を1.0とする正規化を行っている。
図28のバー681〜683が示す相対強度は、夫々、第2改良方法に基づく領域620[A431]、620[4T1]、620[C6]内の画素値の合計値を表す。但し、バー681〜683が示す相対強度に関し、領域620[A431]に対応する相対強度を1.0とする正規化を行っている。
図28のバー691〜693が示す相対強度は、夫々、基準方法に基づく領域610[A431]、610[4T1]、610[C6]内の画素値の合計値を表す。但し、バー691〜693が示す相対強度に関し、領域610[A431]に対応する相対強度を1.0とする正規化を行っている。
図28のグラフにおいて、腫瘍組織A431の相対強度(1.0)から見た腫瘍組織4T1及びC6の相対強度が計測放射能についてのそれら(バー651の強度から見たバー652及び653の強度)に近いほど、画像の定量性が優れていると言える。
バー691の強度から見たバー692及び693の強度との比較において、バー671の強度から見たバー672及び673の強度、並びに、バー681の強度から見たバー682及び683の強度は、共に、バー651の強度から見たバー652及び653の強度に近い。つまり、基準方法との比較において、第1又は第2改良方法では画像の定量性の改善が図られている。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
画像化装置1そのものである対象装置又は画像化装置1の一部(例えば主演算部30)である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なメモリ(フラッシュメモリ等)に保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。
例えば、以下のように考えることができる。画像化装置1は、イベントを検出するイベント検出手段及び分布画像を生成する演算手段を備えている。イベント検出手段は主として例えばイベント測定データ取得部20により実現され、演算手段は主として例えば主演算部30により実現される(図3参照)。演算手段(30)は、イベントごとにコンプトン円錐面を設定する円錐面設定手段(S21;図22)、イベントごとにコンプトン円錐面領域を設定する円錐面領域設定手段(S22;図22)、イベントごとに且つ画素(対象画素)ごとに確率パラメータvijを設定する確率パラメータ設定手段(S23;図22)、及び、イベントごとに且つ画素(対象画素)ごとに検出感度パラメータsijを設定する検出感度パラメータ設定手段(S23;図22)を内包していると言える。
1 ガンマ線源分布画像化装置
10 コンプトンカメラ
11 前段検出器
12 後段検出器
20 イベント測定データ取得部
30 主演算部
200 撮像対象
201 ガンマ線源
1、Ri1 相互作用位置(コンプトン散乱位置)
2、Ri2 相互作用位置(全エネルギ吸収位置)
θC コンプトン散乱角
IS 画像空間

Claims (16)

  1. 後段検出器と、
    ガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器と、
    前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収されるイベントを検出するイベント検出手段と、
    複数のイベントにおける各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を、前記ガンマ線源を内包する画像空間内の画像として生成する演算手段と、を備えた画像化装置において、
    前記演算手段は、各イベントでコンプトン散乱したガンマ線が前記画像空間内から到来した確率を示す確率パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成する
    ことを特徴とする画像化装置。
  2. 前記演算手段は、
    前記測定データに基づいて、前記イベントごとに、コンプトン散乱位置を頂点とし且つコンプトン散乱角を半頂角とし且つコンプトン散乱後のガンマ線の飛行経路の直線上に中心軸を持った円錐面を設定する円錐面設定手段と、
    前記イベントごとに、前記コンプトン散乱角の不確定性を示す散乱角分布関数に基づき前記円錐面に厚みを持たせることで円錐面領域を設定する円錐面領域設定手段と、
    前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、前記コンプトン散乱位置を中心とし当該画素の位置及び前記コンプトン散乱位置間の距離を半径とする球面と前記円錐面領域と前記画像空間との交差状態に基づいて、前記確率パラメータを設定する確率パラメータ設定手段と、を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像化装置。
  3. 前記確率パラメータ設定手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、前記球面と前記円錐面領域と前記画像空間との交差領域に配置された各画素を抽出して、抽出した各画素に対して前記散乱角分布関数の強度に応じた指標を導出し、抽出した各画素について導出された指標の総和に基づき前記確率パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像化装置。
  4. 前記演算手段は、前記イベントごとに前記円錐面領域内の各画素に対して前記確率パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像化装置。
  5. 前記演算手段は、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記検出感度パラメータ及び前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像化装置。
  6. 前記演算手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、コンプトン散乱位置と当該画素の位置とに応じて前記検出感度パラメータを設定する検出感度パラメータ設定手段を有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の画像化装置。
  7. 前記検出感度パラメータ設定手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置に基づく前記前段検出器内におけるコンプトン散乱前のガンマ線の飛程と、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置間の距離とに基づき、前記検出感度パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の画像化装置。
  8. 前記演算手段は、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記複数の画素の夫々に対して個別に設定する検出感度パラメータ設定手段を有して、前記検出感度パラメータ及び前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成し、
    前記検出感度パラメータ設定手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置に基づく前記前段検出器内におけるコンプトン散乱前のガンマ線の飛程と、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置間の距離とに基づき、前記検出感度パラメータを設定し、
    前記演算手段は、
    に従う反復計算を介して、前記分布画像における各画素の画素値を導出し、
    λj (l)、λj (l+1)は、夫々、第l回目、第(l+1)回目の反復計算によって得られる、前記分布画像の第j番目の画素の画素値を表し、
    ij、vij、sijは、夫々、第iイベントの前記測定データに基づき、第iイベントにおける第j番目の画素に対して設定されるシステム応答関数、前記確率パラメータ、前記検出感度パラメータを表す
    ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の画像化装置。
  9. 各イベントにおいて、前記測定データにより、前記前段検出器内におけるガンマ線のコンプトン散乱位置及びコンプトン散乱により当該ガンマ線が失ったエネルギ、並びに、前記後段検出器内におけるガンマ線の光電吸収位置及び光電吸収エネルギが示される
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の画像化装置。
  10. 後段検出器と、
    ガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器と、
    前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収されるイベントを検出するイベント検出手段と、
    複数のイベントにおける各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を生成する演算手段と、を備えた画像化装置において、
    前記演算手段は、各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記検出感度パラメータを用いて前記分布画像を生成する
    ことを特徴とする画像化装置。
  11. 前記演算手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、コンプトン散乱位置と当該画素の位置とに応じて前記検出感度パラメータを設定する検出感度パラメータ設定手段を有する
    ことを特徴とする請求項10に記載の画像化装置。
  12. 前記検出感度パラメータ設定手段は、前記イベントごとに且つ前記画素ごとに、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置に基づく前記前段検出器内におけるコンプトン散乱前のガンマ線の飛程と、前記コンプトン散乱位置及び当該画素の位置間の距離とに基づき、前記検出感度パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項11に記載の画像化装置。
  13. 前記演算手段は、
    前記測定データに基づいて、前記イベントごとに、コンプトン散乱位置を頂点とし且つコンプトン散乱角を半頂角とし且つコンプトン散乱後のガンマ線の飛行経路の直線上に中心軸を持った円錐面を設定する円錐面設定手段と、
    前記イベントごとに、前記コンプトン散乱角の不確定性を示す散乱角分布関数に基づき前記円錐面に厚みを持たせることで円錐面領域を設定する円錐面領域設定手段と、を有し、前記イベントごとに前記円錐面領域内の各画素に対して前記検出感度パラメータを設定する
    ことを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の画像化装置。
  14. 各イベントにおいて、前記測定データにより、前記前段検出器内におけるガンマ線のコンプトン散乱位置及びコンプトン散乱により当該ガンマ線が失ったエネルギ、並びに、前記後段検出器内におけるガンマ線の光電吸収位置及び光電吸収エネルギが示される
    ことを特徴とする請求項10〜13の何れかに記載の画像化装置。
  15. 後段検出器及びガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器を備えたコンプトンカメラに利用される方法であって、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収される各イベントでの各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を、前記ガンマ線源を内包する画像空間内の画像として生成する画像化方法において、
    各イベントでコンプトン散乱したガンマ線が前記画像空間内から到来した確率を示す確率パラメータを各イベントの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記確率パラメータを用いて前記分布画像を生成する
    ことを特徴とする画像化方法。
  16. 後段検出器及びガンマ線源と前記後段検出器との間に配置された前段検出器を備えたコンプトンカメラに利用される方法であって、前記前段検出器でコンプトン散乱されたガンマ線が前記後段検出器にて光電吸収される各イベントでの各検出器とガンマ線との相互作用の測定データに基づき、前記ガンマ線源の空間分布を示す分布画像を生成する画像化方法において、
    各イベントでのコンプトン散乱の検出感度を示す検出感度パラメータを各イベントでの前記測定データに基づき前記分布画像内の複数の画素の夫々に対して個別に設定し、設定した前記検出感度パラメータを用いて前記分布画像を生成する
    ことを特徴とする画像化方法。
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