JPWO2015174249A1 - バイオマス原料を用いた1,2−ペンタンジオールの製造方法、及びその使用 - Google Patents
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Abstract
銅含有触媒の存在下、水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させる工程を含む、1,2−ペンタンジオールの製造方法である。また、以下の三種の工程のうち、少なくとも二種を含む、1,2−ペンタンジオールの製造方法である。(1)バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程。(2)粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程。(3)粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法により精製する工程。
Description
本発明は、バイオマス原料を用いた1,2−ペンタンジオールの製造方法、及びその使用に関する。
近年、植物系バイオマスを原料とする化学製品の製造が、グリーンケミストリーの観点から注目を集めている。例えば、デンプン、セルロース及び木粉を原料としてギ酸を製造する事例が報告されている(特開2008−273915号公報)。
また、植物系バイオマスを熱分解すると、植物系バイオマスに含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニン及び油脂等に由来する分解物が多く生成する。この熱分解物の中には、例えば、フルフラールやレブリン酸等の工業的に有用な有機化合物が含まれる。これらの化合物を出発原料として、1,2−ペンタンジオール(以下、1,2−PDLと称することがある)等を製造することも検討されている(英国特許第627293号公報、米国公開公報2014−0066666号、Journal of the American Chemical Society, 53, 1093 (1931))。
米国公開公報2014−0066666号の方法では、フルフリルアルコール(以下、FAと称することがある)を出発原料として、白金触媒存在下、水素ガスと反応させることにより、1,2−ペンタンジオール等のアルコール化合物を製造している。さらに、蒸留精製によって、着色や異臭のない、1,2−ペンタンジオールの取得に成功している。この反応では、1,5−ペンタンジオール(以下、1,5−PDLと称することがある)はほとんど生成せず、テトラヒドロフルフラールが生成していることから、後述する通り、銅含有触媒を用いた反応とは、全く異なる反応である。
また、Journal of the American Chemical Society, 53, 1093 (1931)には、銅クロム触媒の存在下、フルフリルアルコールの還元反応により、1,2−ペンタンジオールと1,5−ペンタンジオールを同時に得る方法が記載されている。
Journal of the American Chemical Society, 53, 1093 (1931).
しかし、こうしたバイオマス由来の原料中には、不純物が多く含まれることがある。化粧品用途の場合、不純物の混入によって着色や異臭があると、1,2−ペンタンジオールは商品として使用できないことがある。したがって、異臭や着色の原因物質を除かなければならないが、まず、異臭や着色の原因物質を特定することが必要である。原因物質を特定することで、効率よく原因物質を取り除くことが可能となり、精製後の化合物に異臭や着色の問題がないことを明確に示すこともできる。
さらに、化粧品用原料として用いる場合、前述の原因物質に肌への刺激性があることが問題となることがある。化粧品として用いる場合、直接肌と接触するため、安全性という観点から、化粧品自体に肌への刺激性がないことは極めて重要である。
加えて、高価な白金触媒や有害なクロム等を使用せず、工業的に好適な方法で、化粧品用原料として十分用いることができる程度に、肌刺激性の原因物質が低減された1,2−ペンタンジオールを製造する必要がある。
以上より、本発明の課題は、着色、異臭及び肌刺激性等の原因物質を特定すること、及び工業的に好適な方法で原因物質が低減された1,2−ペンタンジオールを製造することである。
本発明は以下の事項に関する。
1.(A1)銅以外に、周期表第2族、4族、8族、12族、13族及び14族の第3から第6周期の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する銅含有触媒の存在下、水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させ、粗製の1,2−ペンタンジオールを得る工程を含む、1,2−ペンタンジオールの製造方法。
2.以下の三種の工程:
(B1)工程(A1)の前に、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程をさらに含む、前記1に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
(B1)工程(A1)の前に、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程をさらに含む、前記1に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
3.1,2−ペンタンジオール中の、下記一般式(1):
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が、100質量ppm以下である、前記1又は2に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が、100質量ppm以下である、前記1又は2に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
4.1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの含有量が、60質量ppm以下である、前記1又は2に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
5.銅含有触媒が、亜鉛、ジルコニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する、前記1〜4のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
6.銅含有触媒が、亜鉛及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する、前記1〜5のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
7.銅含有触媒が、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び活性炭からなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物に固定化された銅含有触媒である、前記1〜6のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
8.工程(A1)を塩基性化合物存在下で行う、前記1〜7のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
9.工程(A1)を水素圧力12〜30MPaで行う、前記1〜8のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
10.工程(A1)で得られた粗製の1,2−ペンタンジオールが、1,5−ペンタンジオールを含む、前記1〜9のいずれか一つに記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
11.以下の三種の工程:
(B1)バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる、少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程を含み、製造された1,2−ペンタンジオール中の下記一般式(1):
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が100質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの製造方法。
(B1)バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる、少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程を含み、製造された1,2−ペンタンジオール中の下記一般式(1):
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が100質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの製造方法。
12.バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の、下記一般式(1):
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が100質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの化粧品原料としての使用。
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が100質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの化粧品原料としての使用。
13.バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の、4−エチルグアヤコールの含有量が60質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの化粧品原料としての使用。
14.タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置を使用して測定された、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合(pMC (percent ModernCarbon)が90〜120である、1,2−ペンタンジオール。
植物系バイオマス由来のフルフリルアルコールを製造原料として用いた1,2−ペンタンジオール化合物は、グリーンケミストリーを志向した製品であり、例えば、化粧品用原料として有用である。本発明により、バイオマス原料由来の、着色、異臭及び肌刺激性の原因物質が1,2−ペンタンジオール中に過剰に混入するという、新たな課題も解決することができる。さらに、工業的に好適な方法で原因物質を低減することができる、1,2−ペンタンジオールの製造方法を提供することができる。また、前述の原因物質が低減され、かつ、1,5−ペンタンジオールを含んだ1,2−ペンタンジオールも製造することができる。
本発明の一態様は、工程(A1):銅以外に、周期表第2族、4族、8族、12族、13族及び14族の第3から第6周期の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する銅含有触媒の存在下、水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させ、粗製の1,2−ペンタンジオールを得る工程を含む、1,2−ペンタンジオールの製造方法である。以下、1,2−ペンタンジオールの製造方法、着色や異臭、肌への刺激性等の原因物質、及び1,2−ペンタンジオールの使用について述べる。
<バイオマス由来の原料>
1,2−ペンタンジオールの製造原料として使用されるフルフリルアルコール及びフルフラールは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含むバイオマス原料から公知の方法で調製したものである。
1,2−ペンタンジオールの製造原料として使用されるフルフリルアルコール及びフルフラールは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等を含むバイオマス原料から公知の方法で調製したものである。
例えば、トウモロコシの穂軸、サトウキビの絞り粕、おが屑等の農産物由来の原料を用いて、フルフラール及びフルフリルアルコールは製造される。
バイオマス原料には、木質系バイオマス及び草本系バイオマスの双方が含まれる。
木質系バイオマスには、スギ、ヒノキ、マツ、クヌギ、サクラ、タモ、ケヤキ、ブナ、ナラ、カエデ、イチョウ、キリ、カシ、クリ、ユーカリ、チーク、マホガニー、ヒバ、ポプラ、アカシア、モミ、カバ、ワラン、ウォールナット、サワラ、カヤ、イチイ、オーク、カツラ、モミ、ヤトロファ等の日本国産材、北米材、ロシア材(北洋材)、南洋材、アフリカ材、南米材、オセアニア材、中国材、欧州材を例とする木質化した幹組織を有する植物に由来する材料が含まれる。
草本系バイオマスには、イネ、ムギ、サトウキビ、トウモロコシ、アブラナ、ダイズ、ヤシ、ヨシ、ササ、タケ、テンサイ、イモ類、マメ科植物、藻類等の木質化した幹組織を有しない植物に由来する材料が含まれる。
さらに、上記の木質系バイオマス及び草本系バイオマスの残渣、例えばバガス(サトウキビの絞り粕)やダイズ、アブラナ、パームヤシ等の搾油後の残渣等も、「バイオマス原料」に含まれる。
<フルフラール及びフルフリルアルコール>
フルフラール及びフルフリルアルコールは、工業的に入手できるバイオマス原料をそのまま使用することができる。また、フルフリルアルコールを用いる場合、反応工程式1に示す通り、バイオマス原料から製造したフルフラールと水素とを反応させて得たフルフリルアルコールの反応液をそのまま、又はその反応液からフルフリルアルコールを単離し、1,2−ペンタンジオールを製造することもできる。
フルフラール及びフルフリルアルコールは、工業的に入手できるバイオマス原料をそのまま使用することができる。また、フルフリルアルコールを用いる場合、反応工程式1に示す通り、バイオマス原料から製造したフルフラールと水素とを反応させて得たフルフリルアルコールの反応液をそのまま、又はその反応液からフルフリルアルコールを単離し、1,2−ペンタンジオールを製造することもできる。
<バイオマス度の測定>
フルフラール及びフルフリルアルコール、さらにフルフラール又はフルフリルアルコールを反応させて得た1,2−ペンタンジオールは、加速器質量分析法(AMS法)を用いる放射性炭素(14C)年代測定により、バイオマス原料に由来するか、石油原料に由来するかを判断することができる。
フルフラール及びフルフリルアルコール、さらにフルフラール又はフルフリルアルコールを反応させて得た1,2−ペンタンジオールは、加速器質量分析法(AMS法)を用いる放射性炭素(14C)年代測定により、バイオマス原料に由来するか、石油原料に由来するかを判断することができる。
タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置を使用し、14Cの計数、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行うことができる。測定では、例えば、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)等を標準試料として用いる。
本測定で、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合(以下、pMC (percent ModernCarbon)ということがある。)を求めることができる。また、試料炭素の13C濃度(13C/12C)を測定し、基準試料からのずれを千分偏差(‰)で求めることで、14C濃度の割合を補正することもできる。
通常、宇宙線により、14Nに中性子が吸収されることで14Cが生成する。地表面に存在する炭素中には、ある一定の割合の14Cが含まれる。したがって、バイオマス原料に由来する化合物ならば、前述のpMCが90〜120となり、石油由来ならば、1以下となる。
市販の1,2−ペンタンジオールは石油由来の化合物から製造されたものである。したがって、バイオマス由来の原料から製造された1,2−ペンタンジオールは新規な化合物である。前述の通り、pMCの値が90〜120、好ましくは100〜110である1,2−ペンタンジオールはバイオマス由来の原料から製造されたものであると言える。
<銅含有触媒>
工程(A1)で使用される銅含有触媒は、銅以外に、1種又は複数種の他の金属を成分として含有する金属触媒である。
工程(A1)で使用される銅含有触媒は、銅以外に、1種又は複数種の他の金属を成分として含有する金属触媒である。
工程(A1)で使用される銅含有触媒は、銅以外に、周期表第2族、第4族、第8族、第12族、第13族及び第14族の第3から第6周期の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する触媒であり、好ましくは周期表第2族の第3から第6周期又は第4族及び第12族の第4から第5周期の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する触媒である。銅含有触媒は、具体的には、銅以外に、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)及びバリウム(Ba)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する触媒であり、好ましくは鉄、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する触媒であり、より好ましくは、亜鉛、ジルコニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する触媒であり、さらに好ましくは亜鉛又はジルコニウムを金属成分として含有する触媒であり、さらにより好ましくは亜鉛を金属成分として含有する触媒である。なお、本発明の反応において、前記銅含有触媒は単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
工程(A1)で使用される銅含有触媒として、具体的には、銅−亜鉛触媒(例えば、CuO−ZnO等)、銅−鉄触媒(例えば、CuO−FeO等)、銅−アルミニウム触媒(例えば、CuO−Al2O3等)、銅−シリカ触媒(例えば、CuO−SiO2等)、銅−ジルコニア触媒(例えば、CuO−ZrO2等)、銅−亜鉛−アルミニウム触媒(例えば、CuO−ZnO−Al2O3等)、銅−鉄−アルミ二ウム触媒(例えば、CuO−FeO−Al2O3等)、銅−マグネシウム触媒(例えば、CuO−MgO触媒)等が挙げられ、特に好ましくは銅−亜鉛触媒(CuO−ZnO)、銅−マグネシウム触媒(CuO−MgO触媒)が挙げられる。
前記銅含有触媒は、無機化合物に固定化された触媒でもよいし、固定化されていない触媒でもよい。無機化合物に固定化されていない銅含有触媒を用いると、反応転化率や1,2−PDLの選択率が向上する傾向がある。無機化合物に固定化された銅含有触媒を用いることで、1,2−PDLの選択率や触媒の濾過性能が向上する傾向がある。銅含有触媒として無機化合物に固定化されたもの又は固定化されていないもののいずれを用いるかは、反応条件や目的に応じて適宜選択される。
無機化合物として、具体的には、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア、活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ及びメソポーラス−カーボン)が挙げられる。銅含有触媒が無機化合物に固定化されているとき、無機化合物は、好ましくは酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び活性炭からなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物であり、より好ましくは、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物である。
無機化合物として、具体的には、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ(アルミノシリケート)、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカチタニア(チタノシリケート)、ジルコニア、活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラス−アルミナ、メソポーラス−シリカ及びメソポーラス−カーボン)が挙げられる。銅含有触媒が無機化合物に固定化されているとき、無機化合物は、好ましくは酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び活性炭からなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物であり、より好ましくは、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物である。
無機化合物に固定化されている銅含有触媒として、具体的には、シリカに固定化された銅−亜鉛触媒(CuO−ZnO/SiO2)、チタニアに固定化された銅−亜鉛触媒(CuO−ZnO/TiO2)、活性炭に固定化された銅−亜鉛触媒(CuO−ZnO/C)、ジルコニアに固定化された銅−亜鉛触媒(CuO−ZnO/ZrO2)が挙げられる。
〔銅含有触媒の配合比〕
銅含有触媒において、銅と他の金属との質量比Cu/Mは、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましく、30/70〜70/30であることがさらに好ましい。ただし、この質量比は金属単体を基準にしたときの値であり、Mは銅含有触媒に含まれる周期表第2族、第4族、第8族、第12族、第13族及び第14族の第3から第6周期の元素の質量の総和を示す。
銅含有触媒において、銅と他の金属との質量比Cu/Mは、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましく、30/70〜70/30であることがさらに好ましい。ただし、この質量比は金属単体を基準にしたときの値であり、Mは銅含有触媒に含まれる周期表第2族、第4族、第8族、第12族、第13族及び第14族の第3から第6周期の元素の質量の総和を示す。
また、銅含有触媒が前記無機化合物に固定化されているとき、銅及び他の金属の固定化量は、無機化合物も含めた触媒全体に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
〔銅含有触媒の比表面積〕
銅含有触媒の比表面積は、好ましくは1〜1000m2/g、より好ましくは10〜500m2/g、さらに好ましくは30〜300m2/gである。また、銅含有触媒の平均細孔径は、好ましくは10〜500Åである。なお、銅含有触媒の比表面積はBET法にて測定され、また平均細孔径は窒素ガス吸着法により測定される。さらに、前記銅含有触媒の粒度は特に制限されない。銅含有触媒は、上記範囲を満足する銅含有触媒であれば、市販品をそのまま使用してもよく、公知の方法で銅と他の金属との成分比を調整して使用してもよい。
銅含有触媒の比表面積は、好ましくは1〜1000m2/g、より好ましくは10〜500m2/g、さらに好ましくは30〜300m2/gである。また、銅含有触媒の平均細孔径は、好ましくは10〜500Åである。なお、銅含有触媒の比表面積はBET法にて測定され、また平均細孔径は窒素ガス吸着法により測定される。さらに、前記銅含有触媒の粒度は特に制限されない。銅含有触媒は、上記範囲を満足する銅含有触媒であれば、市販品をそのまま使用してもよく、公知の方法で銅と他の金属との成分比を調整して使用してもよい。
〔銅含有触媒の調製方法〕
銅原子と他の金属原子とを成分として含有する銅含有触媒の調製方法について、銅含有触媒として代表的な銅−亜鉛触媒の調製方法を例に、以下説明する。
銅原子と他の金属原子とを成分として含有する銅含有触媒の調製方法について、銅含有触媒として代表的な銅−亜鉛触媒の調製方法を例に、以下説明する。
銅含有触媒として代表的な銅−亜鉛触媒は、例えば、まず液相での共沈法により銅と亜鉛からなる触媒前駆体を沈殿させて、得られた沈殿を洗浄、乾燥、次いで焼成すること等によって得ることができる。
無機化合物に固定化された銅含有触媒は、市販品があれば、市販品のまま使用することもできる。市販品が無い場合は、例えば、以下の三成分を含浸させた混合物から水分を留去した後、得られた固体を焼成する方法等により調製することができる。
(1)酸化銅、水酸化銅、ハロゲン化銅、無機酸銅及び有機酸銅からなる群より選ばれる一種以上の銅化合物の水溶液又はスラリー(ハロゲン化銅としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅が挙げられ、無機酸銅としては、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられ、有機酸銅としては、メタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等が挙げられる)。
(2)周期表第2族、第4族、第8族、第12族、第13族及び第14族の第3〜第6周期の元素から選ばれる少なくとも一種の金属の、酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩及び有機酸塩からなる群より選ばれる一種以上の金属化合物の水溶液又はスラリー(ハロゲン化物としては、ヨウ化物、臭化物、塩化物、フッ化物が挙げられ、無機酸塩としては、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられ、有機酸塩としては、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられる)。
(3)無機化合物(本明細書の先に記載した通りである)。
なお、前記銅化合物及び金属化合物の使用量は、前記〔銅含有触媒の配合比〕の項に記載の配合比に合わせて、適宜調整される。また、前記銅化合物又は金属化合物の水溶液を調製する場合に使用する水の種類は特に制限されないが、例えば、純水、超純水又はイオン交換水を使用することが望ましい。その使用量は特に制限されない。
(1)酸化銅、水酸化銅、ハロゲン化銅、無機酸銅及び有機酸銅からなる群より選ばれる一種以上の銅化合物の水溶液又はスラリー(ハロゲン化銅としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、フッ化銅が挙げられ、無機酸銅としては、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられ、有機酸銅としては、メタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅等が挙げられる)。
(2)周期表第2族、第4族、第8族、第12族、第13族及び第14族の第3〜第6周期の元素から選ばれる少なくとも一種の金属の、酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩及び有機酸塩からなる群より選ばれる一種以上の金属化合物の水溶液又はスラリー(ハロゲン化物としては、ヨウ化物、臭化物、塩化物、フッ化物が挙げられ、無機酸塩としては、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられ、有機酸塩としては、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等が挙げられる)。
(3)無機化合物(本明細書の先に記載した通りである)。
なお、前記銅化合物及び金属化合物の使用量は、前記〔銅含有触媒の配合比〕の項に記載の配合比に合わせて、適宜調整される。また、前記銅化合物又は金属化合物の水溶液を調製する場合に使用する水の種類は特に制限されないが、例えば、純水、超純水又はイオン交換水を使用することが望ましい。その使用量は特に制限されない。
また、無機化合物に固定化された銅含有触媒の製造方法については、使用する銅化合物や金属化合物の種類等により異なるが、例えば、焼成温度が50〜800℃、触媒調製の時間を0.1〜20時間にして、上記の水溶液又はスラリーから水分を留去する等の方法を用いて調製することができる。
〔銅含有触媒の使用量〕
工程(A1)では、銅含有触媒を単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。また、その合計の使用量は、フルフリルアルコール及びフルフラールの質量の合計値1gに対して、銅単体基準で、好ましくは0.0001〜0.5g、より好ましくは0.02〜0.2g使用される。
工程(A1)では、銅含有触媒を単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。また、その合計の使用量は、フルフリルアルコール及びフルフラールの質量の合計値1gに対して、銅単体基準で、好ましくは0.0001〜0.5g、より好ましくは0.02〜0.2g使用される。
<塩基性化合物>
工程(A1)は、塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物の存在下で行うことができる。反応温度、水素圧等他の条件にも依存するが、塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物を用いることで、長時間の反応でも副生物の生成を抑えられる傾向がある。塩基性無機化合物及び塩基性有機化合物を用いないことで、短時間の反応でもフルフラール及び/又はフルフリルアルコールの反応転化率を向上させることができる傾向がある。これらの塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物は、所望の反応条件等に従って、使用の有無を適宜設定することができる。
工程(A1)は、塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物の存在下で行うことができる。反応温度、水素圧等他の条件にも依存するが、塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物を用いることで、長時間の反応でも副生物の生成を抑えられる傾向がある。塩基性無機化合物及び塩基性有機化合物を用いないことで、短時間の反応でもフルフラール及び/又はフルフリルアルコールの反応転化率を向上させることができる傾向がある。これらの塩基性無機化合物又は塩基性有機化合物は、所望の反応条件等に従って、使用の有無を適宜設定することができる。
塩基性無機化合物としては、周期表第1〜3族の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む塩基性を有する化合物、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩又はアルコキシド;マグネシウム、カルシウム、バリウム等2族元素の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩又はアルコキシド;スカンジウム、イットリウム等の周期表第3族元素の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩又はアルコキシド等が挙げられる。また、塩基性有機化合物としては、トリメチルアミン及びトリエチルアミン等のアミン化合物;ピリジン及びピコリン等のピリジン化合物等が挙げられる。前記塩基性化合物は単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。塩基性化合物は、好ましくはアルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物であり、より好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムである。
また、塩基性化合物の(合計)使用量は、フルフリルアルコール及びフルフラールの質量の合計値1gに対して、好ましくは0.0001〜0.1g、より好ましくは0.001〜0.02gである。このように、塩基性化合物と混合することで、選択率の向上や逐次反応の抑制を実現することができる。
<水素>
工程(A1)は、水素ガスを使用して行われる。水素ガスは窒素ガス等の不活性ガスにより希釈されていてもよいが、水素ガス環境下(水素気圧下)で行われることが好ましい。
工程(A1)は、水素ガスを使用して行われる。水素ガスは窒素ガス等の不活性ガスにより希釈されていてもよいが、水素ガス環境下(水素気圧下)で行われることが好ましい。
<溶媒>
工程(A1)において、溶媒は、例えば、銅含有触媒の分散性の調整、及びフルフラールやフルフリルアルコール、生成物である1,2−ペンタンジオールの溶解性を向上させる等の目的で使用してもよいが、本発明では溶媒を使用しないで反応を行うことが好ましい。
工程(A1)において、溶媒は、例えば、銅含有触媒の分散性の調整、及びフルフラールやフルフリルアルコール、生成物である1,2−ペンタンジオールの溶解性を向上させる等の目的で使用してもよいが、本発明では溶媒を使用しないで反応を行うことが好ましい。
〔溶媒の種類〕
溶媒が必要な場合、使用する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル類等が使用される。また、これらの溶媒は、単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
溶媒が必要な場合、使用する溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル類等が使用される。また、これらの溶媒は、単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
〔溶媒の使用量〕
また、前記溶媒の使用量は、フルフリルアルコール及びフルフラールの質量の合計値1gに対して、好ましくは100g以下、より好ましくは20g以下である。
また、前記溶媒の使用量は、フルフリルアルコール及びフルフラールの質量の合計値1gに対して、好ましくは100g以下、より好ましくは20g以下である。
<反応条件>
〔反応方式〕
本発明の反応は、連続式又は回分式(バッチ式)のいずれの方式で行ってもよい。また、反応形式(反応態様)は、液相懸濁反応又は固定床流通反応のいずれの反応形式でも行うことができる。また、製造原料であるフルフラール及びフルフリルアルコールは、液体の状態で反応に使用しても、気体の状態で反応に使用してもよいが、液体の状態で反応に使用することが好ましい。
〔反応方式〕
本発明の反応は、連続式又は回分式(バッチ式)のいずれの方式で行ってもよい。また、反応形式(反応態様)は、液相懸濁反応又は固定床流通反応のいずれの反応形式でも行うことができる。また、製造原料であるフルフラール及びフルフリルアルコールは、液体の状態で反応に使用しても、気体の状態で反応に使用してもよいが、液体の状態で反応に使用することが好ましい。
〔反応温度、反応圧力〕
本発明の反応における反応温度は、好ましくは25〜250℃、より好ましくは100〜200℃である。なお、工程(A1)は、水素ガス存在下で行われるため、水素圧力は大気圧〜50MPa、好ましくは5〜40MPa、より好ましくは10〜30MPa、さらに好ましくは12〜30MPa、さらにより好ましくは15〜30MPaである。この範囲とすることで、工業的に好適な反応速度を維持しながら、収率よく1,2−ペンタンジオールを製造することができる。
本発明の反応における反応温度は、好ましくは25〜250℃、より好ましくは100〜200℃である。なお、工程(A1)は、水素ガス存在下で行われるため、水素圧力は大気圧〜50MPa、好ましくは5〜40MPa、より好ましくは10〜30MPa、さらに好ましくは12〜30MPa、さらにより好ましくは15〜30MPaである。この範囲とすることで、工業的に好適な反応速度を維持しながら、収率よく1,2−ペンタンジオールを製造することができる。
〔反応時間〕
反応時間は、反応温度、反応圧力、基質濃度、銅含有触媒の使用量又は反応装置等によって異なるため、特に制限されない。しかしながら、本発明の反応は、転化率を向上させ、かつ逐次反応物や分解物の増加を抑制する観点から、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜30時間で行なう。
反応時間は、反応温度、反応圧力、基質濃度、銅含有触媒の使用量又は反応装置等によって異なるため、特に制限されない。しかしながら、本発明の反応は、転化率を向上させ、かつ逐次反応物や分解物の増加を抑制する観点から、好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは0.5〜30時間で行なう。
フルフラール及び/又はフルフリルアルコールの転化率を向上させる点では、反応条件は、水酸化ナトリウム非存在下で、フルフリルアルコールに対し触媒量1〜5質量%、反応温度150〜180℃、反応時間2〜6時間、水素圧力15〜30MPaが好ましい。又は、水酸化ナトリウム1500〜2500ppm存在下で、フルフリルアルコールに対し触媒量2〜7質量%、反応温度160〜190℃、反応時間4〜7時間、水素圧力15〜30MPaが好ましい。
1,2−ペンタンジオールの選択率を向上させる点では、反応条件は、水酸化ナトリウム非存在下で、フルフリルアルコールに対し触媒量1〜5質量%、反応温度130〜160℃、反応時間2〜6時間、水素圧力15〜30MPaが好ましい。又は、水酸化ナトリウム1500〜2500ppm存在下で、フルフリルアルコールに対し触媒量1〜5質量%、反応温度140〜180℃、反応時間2〜6時間、水素圧力15〜30MPaが好ましい。
本発明の方法により、工業的生産サイクルを考えた場合に適度な反応時間内で、製造原料であるフルフラール及び/又はフルフリルアルコールの反応転化率及び目的物である1,2−ペンタンジオールの反応選択率のいずれもが高くなるように1,2−ペンタンジオールを製造することができる。
<反応終了後又は反応開始前の精製方法>
バイオマス由来のフルフラール及びフルフリルアルコールは反応に用いる前に、工程(A1)により得られた粗製の1,2−ペンタンジオールは反応終了後に、例えば、ろ過、分液・抽出、濃縮、活性炭やイオン交換樹脂を用いた吸着処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等により精製することができる。精製工程は、生産効率や後述の不純物低減の観点から、以下の三種の工程:
(B1)工程(A1)の前に、バイオマス由来のフルフラール及び/又はフルフリルアルコールを蒸留する工程;
(B2)工程(A1)の後に、粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)工程(A1)の後に、粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる、少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程を含むことが好ましい。すなわち、(B1)及び(B2)の方法でそれぞれ1回以上、(B2)及び(B3)の方法でそれぞれ1回以上、(B1)及び(B3)の方法でそれぞれ1回以上、又は(B1)〜(B3)の方法でそれぞれ1回以上精製することが好ましい。中でも、(B2)の工程を1回以上含む、少なくとも二種の工程を含むことがより好ましい。なお、工程(A1)により製造された1,2−ペンタンジオールには、後述する1,5−ペンタンジオールやフェノール化合物が含まれることがあるため、工程(A1)後の該化合物を「粗製の1,2−ペンタンジオール」と記す。
バイオマス由来のフルフラール及びフルフリルアルコールは反応に用いる前に、工程(A1)により得られた粗製の1,2−ペンタンジオールは反応終了後に、例えば、ろ過、分液・抽出、濃縮、活性炭やイオン交換樹脂を用いた吸着処理、蒸留、カラムクロマトグラフィー等により精製することができる。精製工程は、生産効率や後述の不純物低減の観点から、以下の三種の工程:
(B1)工程(A1)の前に、バイオマス由来のフルフラール及び/又はフルフリルアルコールを蒸留する工程;
(B2)工程(A1)の後に、粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)工程(A1)の後に、粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる、少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程を含むことが好ましい。すなわち、(B1)及び(B2)の方法でそれぞれ1回以上、(B2)及び(B3)の方法でそれぞれ1回以上、(B1)及び(B3)の方法でそれぞれ1回以上、又は(B1)〜(B3)の方法でそれぞれ1回以上精製することが好ましい。中でも、(B2)の工程を1回以上含む、少なくとも二種の工程を含むことがより好ましい。なお、工程(A1)により製造された1,2−ペンタンジオールには、後述する1,5−ペンタンジオールやフェノール化合物が含まれることがあるため、工程(A1)後の該化合物を「粗製の1,2−ペンタンジオール」と記す。
(B1)バイオマス由来のフルフラール及び/又はフルフリルアルコールを蒸留する工程
フルフラール及び/又はフルフリルアルコールを蒸留する際は、後述する粗製の1,2−ペンタンジオールの蒸留と同様に行うことができる。
フルフラール及び/又はフルフリルアルコールを蒸留する際は、後述する粗製の1,2−ペンタンジオールの蒸留と同様に行うことができる。
(B2)粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程
蒸留では、反応のスケールに応じて適した大きさの装置を用いれば、理論段数は有っても無くても構わない。蒸留塔を用いて1,2−ペンタンジオールを蒸留する場合、塔頂圧力は1〜15kPaであることが好ましく、3〜12kPaであることがより好ましい。また、塔頂温度は90〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがより好ましい。さらに、還流比は、0〜50であることが好ましく、1〜20であることがさらに好ましく、5〜15であることがより好ましい。この範囲とすることで、工業的に好適な製造効率を維持しながら、収率よく1,2−ペンタンジオールを精製することができる。
蒸留では、反応のスケールに応じて適した大きさの装置を用いれば、理論段数は有っても無くても構わない。蒸留塔を用いて1,2−ペンタンジオールを蒸留する場合、塔頂圧力は1〜15kPaであることが好ましく、3〜12kPaであることがより好ましい。また、塔頂温度は90〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがより好ましい。さらに、還流比は、0〜50であることが好ましく、1〜20であることがさらに好ましく、5〜15であることがより好ましい。この範囲とすることで、工業的に好適な製造効率を維持しながら、収率よく1,2−ペンタンジオールを精製することができる。
(B3)粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法で精製する工程
吸着処理では、後述する一般式(1)で示されるフェノール化合物を物理的又は化学的に吸着させることができるものなら特に制限されないが、好ましくは、活性炭又はイオン交換樹脂が使用される。吸着処理は、1,2−ペンタンジオールを含む反応液、並びに原料として用いたフルフリルアルコール及びフルフラールの合計値1gに対して0.001〜100g、好ましくは0.01〜10gの活性炭やイオン交換樹脂を混合し、加熱攪拌後に濾過することにより、行われる。あるいは活性炭やイオン交換樹脂を充填したカラムに1,2−ペンタンジオールを含む反応液を流通させることによりフェノール化合物の吸着を行うことができる。
吸着処理では、後述する一般式(1)で示されるフェノール化合物を物理的又は化学的に吸着させることができるものなら特に制限されないが、好ましくは、活性炭又はイオン交換樹脂が使用される。吸着処理は、1,2−ペンタンジオールを含む反応液、並びに原料として用いたフルフリルアルコール及びフルフラールの合計値1gに対して0.001〜100g、好ましくは0.01〜10gの活性炭やイオン交換樹脂を混合し、加熱攪拌後に濾過することにより、行われる。あるいは活性炭やイオン交換樹脂を充填したカラムに1,2−ペンタンジオールを含む反応液を流通させることによりフェノール化合物の吸着を行うことができる。
前記吸着処理での加熱温度は、20〜100℃、好ましくは30〜90℃であり、攪拌時間は、0.1〜10時間であることが好ましく、1〜5時間であることがより好ましい。この範囲とすることで、工業的に好適な製造効率を維持しながら、前記吸着剤にフェノール化合物を吸着させることで、1,2−ペンタンジオールを精製することができる。
また、抽出操作において使用される有機溶媒としては、水層と分液するものであれば特に制限されないが、例えば、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類等が挙げられる。また、これらの溶媒は単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
1,2−ペンタンジオールは有機溶媒と水いずれにも可溶であるため、抽出操作時に有機層にも水層にも分配し、精製が困難となる場合がある。しかしながら、1,2−ペンタンジオール1gに対し、水を0.01〜100mL、好ましくは0.1〜10mLと、前述の有機溶媒を0.1〜100mL、好ましくは0.5〜10mL使用することで、1,2−ペンタンジオールを水層へ、フェノール化合物を有機層へ溶解させることができ、効率的に1,2−ペンタンジオールを精製することができる。
反応終了後又は反応開始前の精製方法としては、バイオマス由来のフルフラール及び/又はフルフリルアルコールの蒸留、並びに得られた1,2−ペンタンジオールの蒸留を行うことが好ましい。また、反応終了後又は反応開始前の精製方法としては、得られた1,2−ペンタンジオールの蒸留、及び活性炭による吸着処理を行うことも好ましい。
<フェノール化合物>
1,2−ペンタンジオールは、防腐剤や保湿剤等として使用することができ、化粧品原料として有用な化合物である。しかしながら、この1,2−ペンタンジオールは、バイオマス由来の原料より合成したものである場合、従来の製造方法では、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物が含まれ得ることが、本発明者らにより明らかとなった。
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
1,2−ペンタンジオールは、防腐剤や保湿剤等として使用することができ、化粧品原料として有用な化合物である。しかしながら、この1,2−ペンタンジオールは、バイオマス由来の原料より合成したものである場合、従来の製造方法では、下記一般式(1)で示されるフェノール化合物が含まれ得ることが、本発明者らにより明らかとなった。
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
前記一般式(1)において、Rがアルキル基であるとき、鎖状又は分枝状いずれのアルキル基であることもできる。このアルキル基には、例えば炭素数1〜10であるものが含まれ、具体的には炭素数が1〜5であるものであり、より具体的には炭素数が1〜3であるものである。
前記一般式(1)において、Rがアルケニル基であるとき、アルケニル基は鎖状又は分枝状いずれであることもできる。このアルケニル基には、例えば炭素数2〜10であるものが含まれ、具体的には炭素数が2〜5であるものであり、より具体的には炭素数が2〜3であるものである。
前記一般式(1)において、Rがアルコキシ基であるとき、アルコキシ基は−ORaと表され、Raは鎖状又は分枝状のアルキル基を示す。Raには、例えば炭素数1〜10であるものが含まれ、具体的には炭素数が1〜5であるものであり、より具体的には炭素数が1〜3であるものである。
前記一般式(1)において、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基であるが、特に具体的なものは、水素原子又はアルキル基である。
フェノール化合物は、バイオマス原料由来の1,2−ペンタンジオールの着色、異臭及び肌刺激性の原因物質であることが明らかとなった。フェノール化合物は、人体に悪影響を与える可能性がある。
厚生省(現在の厚生労働省)の基準では、フェノールの含量は化粧品中に1000質量ppm以下でなければならないと定められている(厚生省「化粧品基準」、厚生省告示第331号、平成12年9月29日)。
また、フェノール化合物は、一般に肌刺激性が有ることが知られている(例えば、特開2006−282600号公報、国際公開公報2004/055141号、Toxicology in Vitro 13 (1999) 915−922、有害性評価書 ver1.0,No.32,フェノール,新エネルギー・産業技術総合開発機構)。しかし、これまで、バイオマス由来の1,2−ペンタンジオールがほとんど製造されてこなかったために、バイオマス由来の1,2−ペンタンジオールに肌刺激性があることは問題とされてこなかった。
また、フェノール化合物は、一般に肌刺激性が有ることが知られている(例えば、特開2006−282600号公報、国際公開公報2004/055141号、Toxicology in Vitro 13 (1999) 915−922、有害性評価書 ver1.0,No.32,フェノール,新エネルギー・産業技術総合開発機構)。しかし、これまで、バイオマス由来の1,2−ペンタンジオールがほとんど製造されてこなかったために、バイオマス由来の1,2−ペンタンジオールに肌刺激性があることは問題とされてこなかった。
化粧品用途として問題のない程度に、着色、異臭及び肌刺激性がない1,2−ペンタンジオールを得るという観点から、1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物は、厚生省の基準値より小さい、100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下である。ただし、1,2−ペンタンジオールを希釈して使用するとき、前述のフェノール化合物の含有量は100質量ppmより大きくても問題ないことがある。また、1,2−ペンタンジオールを高濃度で用いるとき、前述のフェノール化合物の含有量は100質量ppmより小さい方が好ましいこともある。このように、化粧品用原料としての1,2−ペンタンジオールの使用形態によって、1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の上限値は変化し得る。
1,2−ペンタンジオール中に含まれるフェノール化合物の中で、下記一般式(2)で示される、4−エチルグアヤコールが異臭の特徴香成分である。後述の実施例に記載の通り、水素ガスとの反応後、精留のみによって精製された1,2−ペンタンジオールに含まれる不純物を用いた分析、及び前記1,2−ペンタンジオールの香気との比較から、異臭の特徴香成分が4−エチルグアヤコールであることを特定した。
この特徴香成分とは、複数のにおい成分の中で、最も1,2−ペンタンジオール全体の異臭に近い、特徴的な香りをもつ成分を指す。したがって、特徴香成分は1,2−ペンタンジオール全体の異臭に大きな影響を及ぼすが、一方で1,2−ペンタンジオールの異臭は必ずしも特徴香成分のみによって決まるものではない。
この特徴香成分とは、複数のにおい成分の中で、最も1,2−ペンタンジオール全体の異臭に近い、特徴的な香りをもつ成分を指す。したがって、特徴香成分は1,2−ペンタンジオール全体の異臭に大きな影響を及ぼすが、一方で1,2−ペンタンジオールの異臭は必ずしも特徴香成分のみによって決まるものではない。
なお、4−エチルグアヤコールはグアヤコールないしオイゲノール様のスパイシーな香りのする化合物であり、天然にはトマト、ラム、コーヒー、ウイスキー、シンナモン等から見出されている(合成香料 増補改訂版 2005年 化学工業日報社 印藤元一)。またワインや醤油といった食品中に含まれている事が広く知られている(Quantitative analysis of 4−ethylphenol and 4−ethylguaiacol in red wine, Journal of Chromatography A, 874 (2000) 101, Alan P. Pollnitz ;Off−Flavors in Foods and Beverages, G. Charalambous 編集Elsevier, 2013)。また4−エチルグアヤコールはコーヒー、フルーツ、スパイス、バニラ系、ウイスキー、ベーコン用のフレーバーとしても用いられ(合成香料 増補改訂版 2005年 化学工業日報社 印藤元一)、フレーバーとして米国(FDA:172.515、FEMA:2436)及びヨーロッパ(CE:176)で認可・登録されている。
4−エチルグアヤコールは、前述の通り、用途と使用される濃度によっては好ましい香気を提供することができる。しかし、香粧品用として肌に塗る場合においては、無臭であることが求められるため、4−エチルグアヤコールは、香粧品用1,2−ペンタンジオール中に含まれないか、又は非常に低濃度であることが望ましい。
したがって、香粧品用1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの含有量は、好ましくは60質量ppm以下、より好ましくは30質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下、さらにより好ましくは5ppm以下である。
なお、前述の<反応終了後又は反応開始前の精製方法>に記載された精製方法により、1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの含有量を低減することができる。
また、特開2006−282600号公報等によると、4−エチルグアヤコールにも肌刺激性があると考えられるため、本発明の方法により1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの含有量を低減することで、肌刺激性という課題も解決することが可能となる。
前述のフェノール化合物は、後述する通り、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、吸収スペクトル、1H−NMRスペクトル等の測定方法により、含有量を見積もることができる。
〔高速液体クロマトグラフィーによる定量方法〕
前述のフェノール化合物の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略すこともある)によっても求めることができる。
前述のフェノール化合物の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略すこともある)によっても求めることができる。
(1,2−ペンタンジオール化合物中のフェノール化合物の含有量の測定方法)
1,2−ペンタンジオール化合物中のフェノール化合物の含有量の測定は、例えば、以下の手順で行う。
(1)HPLCの測定
1,2−ペンタンジオール試料をHPLCの試料導入口より打ち込む。分析条件は、1,2−ペンタンジオールのピークと、一般式(1)で示されるフェノール化合物の各ピークが分離して観測されれば、特に制限されない。
(2)フェノール化合物の含量を測定・計算する。
前記一般式(1)で示されるフェノール化合物(フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール等)の各100質量ppmを含む1,2−ペンタンジオール試料を別途調製し、その試料を分析して得られたピーク面積を基準として、製品中に含まれるフェノール化合物の含有量を定量する。
1,2−ペンタンジオール化合物中のフェノール化合物の含有量の測定は、例えば、以下の手順で行う。
(1)HPLCの測定
1,2−ペンタンジオール試料をHPLCの試料導入口より打ち込む。分析条件は、1,2−ペンタンジオールのピークと、一般式(1)で示されるフェノール化合物の各ピークが分離して観測されれば、特に制限されない。
(2)フェノール化合物の含量を測定・計算する。
前記一般式(1)で示されるフェノール化合物(フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール等)の各100質量ppmを含む1,2−ペンタンジオール試料を別途調製し、その試料を分析して得られたピーク面積を基準として、製品中に含まれるフェノール化合物の含有量を定量する。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオール中の0.1質量ppm以上のフェノール化合物の含有量を測定することができる。前述の4−エチルグアヤコールについても同様に、1,2−ペンタンジオール中の含有量を0.1質量ppm以上の範囲で測定することができる。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、含有量が0質量ppmであるとする。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、含有量が0質量ppmであるとする。
〔ガスクロマトグラフィーを用いた含有量の測定方法〕
前述のフェノール化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと称することがある)の面積ppm値によっても見積もることができる。
前述のフェノール化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと称することがある)の面積ppm値によっても見積もることができる。
〔面積ppm値の測定方法〕
測定方法は、1,2−ペンタンジオールのピークと、一般式(1)で示されるフェノール化合物の各ピークが分離して観測されれば特に制限されないが、例えば、以下の通りである。
(1)GCの測定。
1,2−ペンタンジオール試料0.2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込む。
[測定条件]
反応生成物の同定及び生成量の測定のための、ガスクロマトグラフィー(GC)の測定条件は、例えば以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2010
検出器:FID
試料導入法:直接導入法
カラム:InertCAP WAX−HT (内径:0.53mm、長さ:60m、膜厚:1μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、10℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で20分間保持する。
(2)フェノール化合物の含量を測定する。
各ピークを読み取り、各成分の面積ppm値を求める。
測定方法は、1,2−ペンタンジオールのピークと、一般式(1)で示されるフェノール化合物の各ピークが分離して観測されれば特に制限されないが、例えば、以下の通りである。
(1)GCの測定。
1,2−ペンタンジオール試料0.2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込む。
[測定条件]
反応生成物の同定及び生成量の測定のための、ガスクロマトグラフィー(GC)の測定条件は、例えば以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2010
検出器:FID
試料導入法:直接導入法
カラム:InertCAP WAX−HT (内径:0.53mm、長さ:60m、膜厚:1μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、10℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で20分間保持する。
(2)フェノール化合物の含量を測定する。
各ピークを読み取り、各成分の面積ppm値を求める。
上記測定条件では、保持時間24〜31分のピークに一般式(1)で示されるフェノール化合物が含まれている。前述の通り、化粧品用途として問題のない程度に、着色、異臭及び肌刺激性がない1,2−ペンタンジオールを得るという観点から、1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の総和は少なくとも100面積ppm値以下である必要があり、より好ましくは50面積ppm値以下である。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオール中の0.5面積ppm値までのフェノール化合物の含有量を測定することができる。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、含有量が0面積ppm値であるとする。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、含有量が0面積ppm値であるとする。
また、FID検出器に加え人間の嗅覚を利用する匂い嗅ぎ装置(例えば、GLサイエンス製スニッフィングボードOP275)を用いることで、1,2−ペンタンジオールに混入する不純物について、成分毎の異臭の強度を見積もることもできる。
〔吸収スペクトルを用いた測定方法〕
前述のフェノール化合物の含有量は、波長274nmの光の吸光度によっても見積もることができる。
前述のフェノール化合物の含有量は、波長274nmの光の吸光度によっても見積もることができる。
測定方法は、例えば以下の通りである。
(1)吸光度の測定。
1,2−ペンタンジオール試料を原液のまま、石英セルに充填し、測定する。また、ブランクとして液を入れていない石英セルを使用して測定する。
[測定条件]
測定条件は、例えば以下の通りである。
装置 : 島津製作所製 紫外可視分光光度計UV−2450
波長 : 274nm
セル長: 1cm
(1)吸光度の測定。
1,2−ペンタンジオール試料を原液のまま、石英セルに充填し、測定する。また、ブランクとして液を入れていない石英セルを使用して測定する。
[測定条件]
測定条件は、例えば以下の通りである。
装置 : 島津製作所製 紫外可視分光光度計UV−2450
波長 : 274nm
セル長: 1cm
フェノール化合物の含有量が検出限界以下の1,2−ペンタンジオールと、本発明の方法により製造した1,2−ペンタンジオールの吸収スペクトルの比較より、波長274nmの吸収はフェノール化合物によるものであることが分かる。さらに、前述の通り、化粧品用途として問題のない程度に、着色、異臭及び肌刺激性がない1,2−ペンタンジオールを得るという観点から、本測定法において、波長274nmの吸光度が、3.0Abs以下である必要があり、好ましくは1.5Abs以下である必要がある。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオール中の0.001Abs以上のフェノール化合物の含有量を測定することができる。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、フェノール化合物由来の吸光度が0Absであるとする。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、フェノール化合物由来の吸光度が0Absであるとする。
〔1H−NMRスペクトルによる測定方法〕
前述のフェノール化合物の含有量は、1H−NMRスペクトルの測定によっても求めることができる。
前述のフェノール化合物の含有量は、1H−NMRスペクトルの測定によっても求めることができる。
測定方法は、例えば以下の通りである。
(1)液の調製。
1,2−ペンタンジオール試料100mgを重水1mLに溶解する。
(2)1H−NMRスペクトルの測定。
[測定条件]
測定条件は、例えば、以下の通りである。
装置:日本電子製 核磁気共鳴装置JNM−AL400
周波数: 400MHz
積算回数: 512回
(1)液の調製。
1,2−ペンタンジオール試料100mgを重水1mLに溶解する。
(2)1H−NMRスペクトルの測定。
[測定条件]
測定条件は、例えば、以下の通りである。
装置:日本電子製 核磁気共鳴装置JNM−AL400
周波数: 400MHz
積算回数: 512回
1H−NMRスペクトルにおいて、6.0〜8.0ppm付近のフェノール化合物由来の芳香族環のピークの積分値(以下、Aと表す)と、0.5〜1.1ppm付近の1,2−ペンタンジオール由来のメチル基のピークの積分値(以下、Cと表す)との積分値の比A/Cを求めることにより、1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量を見積もることができる。
本測定法において、化粧品用途として問題のない程度に、着色、異臭及び肌刺激性がない1,2−ペンタンジオールを得るという観点から、前述の積分値の比A/Cは、1.0×10−4以下である必要があり、好ましくは5.0×10−5以下である必要がある。
本測定方法において、前述の積分値の比A/Cが1.0×10−5以上のフェノール化合物の含有量を見積もることができる。
本測定方法において、1,2−ペンタンジオールの使用量や濃縮量、測定機器等は適宜変更することができる。本測定方法において、フェノール化合物の含有量を測定することができないとき、積分値の比A/Cが0であるとする。
前述のGC、HPLC又は吸収スペクトルを用いた方法により、1,2−ペンタンジオールだけでなく、バイオマス由来のフルフリルアルコールやフルフラール中のフェノール化合物の含有量を測定することができる。1H−NMRスペクトルを用いた方法でも、適切なピークを選定すれば、バイオマス由来のフルフリルアルコールやフルフラール中のフェノール化合物の含有量を測定することができる。
なお、前述の面積ppm値、吸光度及び積分値の比A/Cは、それぞれ前記一般式(1)で示されるフェノール化合物の含有量100質量ppm及び50質量ppmとそれぞれ対応している。
<バイオマス由来の1,2−ペンタンジオールの使用>
本発明の方法によって、バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物の含有量の総和は、100質量ppm以下とすることができる。
本発明の方法によって、バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物の含有量の総和は、100質量ppm以下とすることができる。
さらに、バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の前記一般式(1)で示されるフェノール化合物が100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下の1,2−ペンタンジオールは、前述の通り、着色、異臭及び肌刺激性について問題がないことから、化粧品原料として使用することができる。
また、バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の前記一般式(2)で示される4−エチルグアヤコールが60質量ppm以下、より好ましくは30質量ppm以下の1,2−ペンタンジオールは、前述の通り、着色、異臭及び肌刺激性について問題がないことから、化粧品原料として使用することができる。
また、本発明の方法によりバイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオールは、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物の含有量に関わらず、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマー製造用原料(モノマー)、医農薬製造用原料、樹脂添加剤又は洗浄剤用溶剤等、一般用途でも有用である。本発明の方法によりバイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオールは、先に述べたように加速器質量分析法(AMS法)を用いる放射性炭素(14C)年代測定によりバイオマス度を測定することができ、タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置を使用して測定された、pMCの値が90〜120、好ましくは100〜110である1,2−ペンタンジオールは、本発明の一態様である。
<本発明の優位点>
前述の通り、バイオマス由来の原料中には、不純物が多く含まれることがある。化粧品用途の場合、不純物の混入によって着色や異臭があると、1,2−ペンタンジオールは商品として使用できないことがある。仮に目的物の純度が高かったとしても、着色や異臭が認められれば、その原因物質を除かなければならない。
前述の通り、バイオマス由来の原料中には、不純物が多く含まれることがある。化粧品用途の場合、不純物の混入によって着色や異臭があると、1,2−ペンタンジオールは商品として使用できないことがある。仮に目的物の純度が高かったとしても、着色や異臭が認められれば、その原因物質を除かなければならない。
したがって、このような原因物質を含まない1,2−ペンタンジオールを製造することが望まれるが、バイオマス原料を用いた場合、多大な労力が必要となり工業的製造には通常適していない。
前述の原因物質は、適当な精製方法を繰り返すことで、不純物の問題が解決されることもある。しかし、精製の終点が不明の場合、過剰に精製を繰り返すことになり、収量が減少してしまうという問題がある。よって、精製効率や反応の選択性の向上により、工業的に好適な製造方法とすることも強く求められる。
以上より、従前知られていた課題は以下の2点である。
(A)バイオマス原料由来の不純物の混入により、1,2−ペンタンジオールの異臭や着色が問題となること。
(B)精製効率や反応選択性という点で、工業的に好適な方法により1,2−ペンタンジオールを製造する必要があること。
(A)バイオマス原料由来の不純物の混入により、1,2−ペンタンジオールの異臭や着色が問題となること。
(B)精製効率や反応選択性という点で、工業的に好適な方法により1,2−ペンタンジオールを製造する必要があること。
しかし、化粧品用原料として、1,2−ペンタンジオールを用いる場合、上記の課題を解決するだけでは不十分である。
前述の通り、従前知られていなかった課題は以下の2点である。
(C)異臭や着色だけでなく、肌への刺激性のある原因物質を特定すること。
(D)工業的に好適な製造方法でこの原因物質の含有量が低減された1,2−ペンタンジオールを製造すること。
(C)異臭や着色だけでなく、肌への刺激性のある原因物質を特定すること。
(D)工業的に好適な製造方法でこの原因物質の含有量が低減された1,2−ペンタンジオールを製造すること。
米国公開公報2014−0066666号には、課題(A)についての記載はあり、着色や異臭のない、1,2−ペンタンジオールが合成されている。しかし、この着色や異臭の原因物質の特定はされていない。
また、米国公開公報2014−0066666号記載の方法では、目的とする1,2−ペンタンジオールの収率は高いものの、有機溶媒に希釈した条件下で反応させる必要があること、及び高価な白金触媒を使用していることから、安価で効率的な製造方法とは言えない。また、本明細書の参考例2に記載の通り、本発明者らが、米国公開公報2014−0066666号記載の製造方法を追試したところ、全く反応が進行しなかったことから、反応の再現性にも課題がある。したがって、課題(B)について、解決できているとは言い難い。
さらに、米国公開公報2014−0066666号には、前述の通り、課題(C)や(D)については全く記載されていない。
一方、英国特許第627293号公報においては、課題(B)に関して検討されており、フルフラールの水素添加反応で直接1,2−ペンタンジオール及び1,5−ペンタンジオールが得られる。しかし、その反応選択率は1,5−ペンタンジオールと1,2−ペンタンジオールとの混合物換算でわずか30%しかなく、いずれの方法も工業的に好適な製造方法としては十分満足いくものではなかった。
Journal of the American Chemical Society, 53, 1093 (1931)においても、課題(B)に関して検討されており、銅−クロム触媒の存在下、フルフリルアルコールと水素との反応により、1,2−ペンタンジオールと1,5−ペンタンジオールを同時に得ている。しかし、目的物とする1,2−ペンタンジオール及び1,5−ペンタンジオールの他に2−メチルフランやペンタノール等の副生成物が多く生じる。したがって、その反応選択性は低く、反応後に目的成分の分離・精製を行うことの煩雑さや困難さの問題もあり、工業的に好適な製造方法とは言い難い点が多数あった。
以上より、本発明の課題は、異臭や着色が問題となるバイオマス原料由来の不純物の混入をなくすこと、及び工業的に好適な方法により1,2−ペンタンジオールを製造すること、だけでなく、肌刺激性等のある原因物質を特定すること、及び工業的に好適な方法で原因物質の含有量が低減された1,2−ペンタンジオールを製造することである。
1,2−ペンタンジオールの製造方法において、こうした複数の課題を同時に解決することは先行文献中に記載のないものである。
さらに本発明の場合、複数の課題を解決して、前述の原因物質の含有量が低減された1,2−ペンタンジオールを製造するだけでなく、同時に1,5−ペンタンジオールを製造することもできる。1,5−ペンタンジオールは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマー製造用原料(モノマー)、医農薬製造用原料樹脂添加剤又は洗浄剤用溶剤等として有用である。本発明の方法では、粗製の1,2−ペンタンジオールに1,5−ペンタンジオールが含まれていてもよい。
また、前述の通り、フェノール化合物が除去され、1,2−ペンタンジオールと分離された反応液から、例えば、ろ過、分液・抽出、濃縮等の後処理を行った後、蒸留やカラムクロマトグラフィー等により1,5−ペンタンジオールを取得することもできる。本発明の方法においては、生産効率の観点から、蒸留により精製することが望ましい。
また、前述の通り、フェノール化合物が除去され、1,2−ペンタンジオールと分離された反応液から、例えば、ろ過、分液・抽出、濃縮等の後処理を行った後、蒸留やカラムクロマトグラフィー等により1,5−ペンタンジオールを取得することもできる。本発明の方法においては、生産効率の観点から、蒸留により精製することが望ましい。
次に、本発明の具体的態様を、実施例及び参考例により説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
なお、本実施例中、製造原料のフルフリルアルコールの消費量及び生成物である1,2−ペンタンジオールの生成量等についての定性及び定量分析は全てガスクロマトグラフィー(GC)を使用して行った(内部標準物質:1−オクタノール)。測定条件は下記の通りである。さらに、製造原料であるフルフリルアルコールの反応転化率、目的物である1,2−ペンタンジオールの反応選択率及び1,2−ペンタンジオールの反応収率は、それぞれ、前記定量分析値を使用し、下記数式(I)から(III)を用いてそれぞれ算出した。
[測定条件]
GCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2014
GC検出器:FID
試料導入法:スプリット法
カラム:InertCAP WAX(内径:0.32mm、長さ:30m、膜厚:0.5μm)
キャリアガス:ヘリウム 102kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、15℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で15分間保持した。
GCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2014
GC検出器:FID
試料導入法:スプリット法
カラム:InertCAP WAX(内径:0.32mm、長さ:30m、膜厚:0.5μm)
キャリアガス:ヘリウム 102kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、15℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で15分間保持した。
また、フルフラール、フルフリルアルコール及び1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。測定方法及び測定条件は下記の通りである。
[測定方法]
1,2−ペンタンジオール10μLをHPLCの試料導入口より打ち込み、下記の条件で分析した。また、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物(フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール)の各100質量ppmを含む1,2−ペンタンジオールを別途調製し、その試料を分析して得られたピーク面積値を基準として、製品中に含まれるフェノール化合物の含有量を定量した。
1,2−ペンタンジオール10μLをHPLCの試料導入口より打ち込み、下記の条件で分析した。また、前記一般式(1)で示されるフェノール化合物(フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール)の各100質量ppmを含む1,2−ペンタンジオールを別途調製し、その試料を分析して得られたピーク面積値を基準として、製品中に含まれるフェノール化合物の含有量を定量した。
[測定条件]
HPLCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 高速液体クロマトグラフLC−20A
カラム:Imtakt UnisonUK−Phenyl(4.6mmI.D.×250mm)
UV検出器:275nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/min
溶離液:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=2000/1000/3(体積比)
HPLCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 高速液体クロマトグラフLC−20A
カラム:Imtakt UnisonUK−Phenyl(4.6mmI.D.×250mm)
UV検出器:275nm
カラム温度:40℃
流速:1.0ml/min
溶離液:水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸=2000/1000/3(体積比)
〔実施例1:1,2−ペンタンジオールの合成:銅−亜鉛触媒〕
200mLのオートクレーブに、フルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造)、銅−亜鉛触媒5.0g(金属成分の質量比Cu/Zn=50/50;フルフリルアルコール使用量に対して、銅と亜鉛合計で5.0質量%)を加え、オートクレーブ内を窒素ガスにて5回、水素ガスにて5回、ガス置換を行った後、オートクレーブ内の内圧が15MPaとなるように水素ガスを充填した。次いで、反応温度を170℃とした後、さらにオートクレーブ内の内圧を25MPaとなるように水素ガスを充填し、2時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷してオートクレーブを開封し、触媒を濾過した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにて定量分析したところ、フルフリルアルコールの反応転化率98.6%、反応選択率31.2%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:30.8%)。また、副生物である1,5−ペンタンジオールの反応収率は8.6%、1−ペンタノールの反応収率は13.5%、2−メチルフランの反応収率は26.2%、テトラヒドロフルフリルアルコールの反応収率は6.6%であった。
〔実施例2:1,2−ペンタンジオールの合成:銅−亜鉛触媒〕
200mLのオートクレーブに、フルフリルアルコール100g(1.02モル)、銅−亜鉛触媒5.0g(金属成分の質量比Cu/Zn=50/50;フルフリルアルコール使用量に対して、5.0質量%)及び水酸化ナトリウム(粒状)0.2g(フルフリルアルコール使用量に対して、0.2質量%)を加え、オートクレーブ内を窒素ガスにて5回、水素ガスにて5回、ガス置換を行った後、オートクレーブ内の内圧が15MPaとなるように水素ガスを充填した。次いで、反応温度を170℃とした後、さらにオートクレーブ内の内圧を25MPaとなるように水素ガスを充填し、5時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷してオートクレーブを開封し、触媒を濾過した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにて定量分析したところ、フルフリルアルコールの反応転化率89.2%、反応選択率47.6%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率42.5%)。また、副生成物である1,5−ペンタンジオールの反応収率は21.6%、1−ペンタノールの反応収率は12.5%、2−メチルフランの反応収率は4.0%、テトラヒドロフルフリルアルコールの反応収率は3.6%であった。
200mLのオートクレーブに、フルフリルアルコール100g(1.02モル)、銅−亜鉛触媒5.0g(金属成分の質量比Cu/Zn=50/50;フルフリルアルコール使用量に対して、5.0質量%)及び水酸化ナトリウム(粒状)0.2g(フルフリルアルコール使用量に対して、0.2質量%)を加え、オートクレーブ内を窒素ガスにて5回、水素ガスにて5回、ガス置換を行った後、オートクレーブ内の内圧が15MPaとなるように水素ガスを充填した。次いで、反応温度を170℃とした後、さらにオートクレーブ内の内圧を25MPaとなるように水素ガスを充填し、5時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷してオートクレーブを開封し、触媒を濾過した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにて定量分析したところ、フルフリルアルコールの反応転化率89.2%、反応選択率47.6%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率42.5%)。また、副生成物である1,5−ペンタンジオールの反応収率は21.6%、1−ペンタノールの反応収率は12.5%、2−メチルフランの反応収率は4.0%、テトラヒドロフルフリルアルコールの反応収率は3.6%であった。
〔実施例3:1,2−ペンタンジオールの合成:銅−亜鉛触媒〕
温度を170℃、触媒量を2.0g、オートクレーブの内圧を15MPa、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率67.7%、反応選択率38.3%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:25.9%)。
温度を170℃、触媒量を2.0g、オートクレーブの内圧を15MPa、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率67.7%、反応選択率38.3%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:25.9%)。
〔実施例4:1,2−ペンタンジオールの合成:銅−ジルコニウム触媒〕
銅−亜鉛触媒の代わりに、銅−ジルコニウム触媒2.0g(金属成分の質量比Cu/Zr=55/40;フルフリルアルコール使用量に対して、2.0質量%)を使用し、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率94.6%、反応選択率36.9%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:34.9%)。
銅−亜鉛触媒の代わりに、銅−ジルコニウム触媒2.0g(金属成分の質量比Cu/Zr=55/40;フルフリルアルコール使用量に対して、2.0質量%)を使用し、反応時間を5時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率94.6%、反応選択率36.9%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:34.9%)。
〔実施例5〜8:1,2−ペンタンジオールの合成:各種銅含有触媒〕
実施例5〜実施例8については、表1に示す通り、触媒、反応温度、圧力及び反応時間を変更した以外は、実施例3と同様に実験した。結果を表1に示す。
実施例5〜実施例8については、表1に示す通り、触媒、反応温度、圧力及び反応時間を変更した以外は、実施例3と同様に実験した。結果を表1に示す。
〔実施例9:1,2−ペンタンジオールの取得〕
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物の含有量724質量ppm)を用いて、実施例3と同等の方法を8バッチ行い、反応終了後に得られた反応液772.5g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール314.6gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力10kPa、塔頂温度116℃までの低沸点の留分175.1gを除去したのち、塔頂圧力3kPa、塔頂温度119〜141℃の主留分574.4g(1,2−ペンタンジオールを301.4g含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比10、塔頂温度128〜130℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、243.0gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.9%、蒸留における回収率77.2%)。このときのフェノール化合物の含有量は142質量ppmであり、異臭が明らかに存在した。
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物の含有量724質量ppm)を用いて、実施例3と同等の方法を8バッチ行い、反応終了後に得られた反応液772.5g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール314.6gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力10kPa、塔頂温度116℃までの低沸点の留分175.1gを除去したのち、塔頂圧力3kPa、塔頂温度119〜141℃の主留分574.4g(1,2−ペンタンジオールを301.4g含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比10、塔頂温度128〜130℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、243.0gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.9%、蒸留における回収率77.2%)。このときのフェノール化合物の含有量は142質量ppmであり、異臭が明らかに存在した。
〔実施例10:トルエンによる抽出・洗浄〕
実施例9で得た1,2−ペンタンジオール(フェノール化合物142質量ppmを含む)5.0gに、水5mLとトルエン5mLを加え、室温で10分間攪拌した。静置後分液し、下層を分離した。得られた下層にさらにトルエン5mLを加え、攪拌・静置後分液をさらに4回繰り返した。得られた下層から90℃、減圧度3kPaにて水分を留去し、洗浄後の1,2−ペンタンジオール4.3gを得た。このときのフェノール化合物の含有量は35.0質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
実施例9で得た1,2−ペンタンジオール(フェノール化合物142質量ppmを含む)5.0gに、水5mLとトルエン5mLを加え、室温で10分間攪拌した。静置後分液し、下層を分離した。得られた下層にさらにトルエン5mLを加え、攪拌・静置後分液をさらに4回繰り返した。得られた下層から90℃、減圧度3kPaにて水分を留去し、洗浄後の1,2−ペンタンジオール4.3gを得た。このときのフェノール化合物の含有量は35.0質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
〔実施例11:陰イオン交換樹脂による精製〕
実施例10で得た1,2−ペンタンジオール(フェノール化合物35.0質量ppmを含む)6.2gに、充分な洗浄を行って樹脂由来の臭いを予め除去した陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−900:オルガノ製)0.6gを加え、25℃で2時間攪拌したのち、陰イオン交換樹脂を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール5.8g(純度99.98%)に含まれるフェノール化合物の含有量は10.2質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
実施例10で得た1,2−ペンタンジオール(フェノール化合物35.0質量ppmを含む)6.2gに、充分な洗浄を行って樹脂由来の臭いを予め除去した陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−900:オルガノ製)0.6gを加え、25℃で2時間攪拌したのち、陰イオン交換樹脂を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール5.8g(純度99.98%)に含まれるフェノール化合物の含有量は10.2質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
〔実施例12:フルフリルアルコールの精製〕
スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、市販のフルフリルアルコール1855.8g(バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物の含有量724質量ppm)の精製を行った。還流比3、塔頂温度86−87℃、塔頂圧力4.0kPaの留分を取得し、1647.6gの精製フルフリルアルコールを得た(純度99.7%、回収率88.8%)。
スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、市販のフルフリルアルコール1855.8g(バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物の含有量724質量ppm)の精製を行った。還流比3、塔頂温度86−87℃、塔頂圧力4.0kPaの留分を取得し、1647.6gの精製フルフリルアルコールを得た(純度99.7%、回収率88.8%)。
〔実施例13:精製原料を用いた1,2−ペンタンジオールの合成:銅−亜鉛触媒〕
1Lのオートクレーブに、実施例12で得たフルフリルアルコール560gを用いて、オートクレーブの内圧を13MPa、反応時間を20時間にして行ったこと以外は、実施例3と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率94.8%、反応選択率38.7%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:36.7%)。
1Lのオートクレーブに、実施例12で得たフルフリルアルコール560gを用いて、オートクレーブの内圧を13MPa、反応時間を20時間にして行ったこと以外は、実施例3と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率94.8%、反応選択率38.7%にて1,2−ペンタンジオールを得た(反応収率:36.7%)。
〔実施例14〕
実施例13の方法を2バッチ行い、反応終了後に得られた反応液921.1g(1,2−ペンタンジオールを327.5g含む)を、蒸留により低沸点の成分を除去させた後、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比11、塔頂温度115−116℃、塔頂圧力3.0kPaの留分を取得し、317.8gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度97.0%、回収率94.1%)。得られた精製1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の合計は40.1質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
実施例13の方法を2バッチ行い、反応終了後に得られた反応液921.1g(1,2−ペンタンジオールを327.5g含む)を、蒸留により低沸点の成分を除去させた後、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比11、塔頂温度115−116℃、塔頂圧力3.0kPaの留分を取得し、317.8gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度97.0%、回収率94.1%)。得られた精製1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の合計は40.1質量ppmであり、異臭はほとんど感じられなかった。
〔実施例15〕
実施例14で得た精製1,2−ペンタンジオール281.7gをスルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比5、塔頂温度116−117℃、塔頂圧力3.0kPaの留分を取得し、161.2gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.94%、回収率57.2%)。得られた精製1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の合計は30.3質量ppmであった。
この精製1,2−ペンタンジオール117.5gをスルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比10、塔頂温度122℃、塔頂圧力4.0kPaの留分を取得し、65.8gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.97%、回収率56.0%)。このときのフェノール化合物の含有量は6.9質量ppmであった。
さらに、この精製1,2−ペンタンジオール10.0gに活性炭(日本エンバイロケミカル製:FP−4)1.0gを添加し、80℃、5時間攪拌後、活性炭を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール6.1g(純度99.98%、回収率61%)に含まれるフェノール化合物の含有量は0.4質量ppmであり、全く異臭のしない製品であった。
実施例14で得た精製1,2−ペンタンジオール281.7gをスルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比5、塔頂温度116−117℃、塔頂圧力3.0kPaの留分を取得し、161.2gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.94%、回収率57.2%)。得られた精製1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量の合計は30.3質量ppmであった。
この精製1,2−ペンタンジオール117.5gをスルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填させた蒸留塔を用い、1,2−ペンタンジオールの精製を行った。還流比10、塔頂温度122℃、塔頂圧力4.0kPaの留分を取得し、65.8gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度99.97%、回収率56.0%)。このときのフェノール化合物の含有量は6.9質量ppmであった。
さらに、この精製1,2−ペンタンジオール10.0gに活性炭(日本エンバイロケミカル製:FP−4)1.0gを添加し、80℃、5時間攪拌後、活性炭を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール6.1g(純度99.98%、回収率61%)に含まれるフェノール化合物の含有量は0.4質量ppmであり、全く異臭のしない製品であった。
〔実施例16:1,2−ペンタンジオールの合成:銅−マグネシウム触媒〕
銅−亜鉛触媒の代わりに、銅−マグネシウム触媒2.0g(金属成分の質量比Cu/Mg=50/50;フルフリルアルコール使用量に対して、2.0質量%)を使用し、反応時間を5時間、反応時の水素圧力を23MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率69.5%、反応選択率40.0%にて1,2−ペンタンジオール(反応収率:27.8%)、及び反応選択率20.1%にて1,5−ペンタンジオールを得た(反応収率:14.0%)。
銅−亜鉛触媒の代わりに、銅−マグネシウム触媒2.0g(金属成分の質量比Cu/Mg=50/50;フルフリルアルコール使用量に対して、2.0質量%)を使用し、反応時間を5時間、反応時の水素圧力を23MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にして、1,2−ペンタンジオールを得た。フルフリルアルコールの反応転化率69.5%、反応選択率40.0%にて1,2−ペンタンジオール(反応収率:27.8%)、及び反応選択率20.1%にて1,5−ペンタンジオールを得た(反応収率:14.0%)。
〔参考例1:銅−亜鉛触媒〕
硝酸銅(II)三水和物48.6g(銅として12.8g)、硝酸亜鉛(II)六水和物58.2g(亜鉛として12.8g)、及びイオン交換水130.3gを混合させ、金属塩水溶液を調製した。
別途、炭酸ナトリウム(無水)63.3gをイオン交換水261.8gに溶解させ、塩基性水溶液を調製した。さらに、別途、攪拌翼、温度計、pH電極を設置した容器に75〜85℃に調整したイオン交換水160.5gを準備し、この溶液に前述の金属塩水溶液と塩基性水溶液を、温度75〜85℃、pH7.0〜7.5となるように維持しながら、同時に滴下して反応させた。滴下中、薄緑色の沈殿物が析出していった。反応終了後、ろ過にて得られた沈殿物を取得し、これをイオン交換水700mLで洗浄し、湿った固体を得た。得られた固体を120℃で乾燥させ、緑色の粉末(触媒前駆体)41.0gを得た。さらに、得られた粉末10.0gを、空気中、350℃にて2時間焼成し、黒色粉末として、銅−亜鉛触媒(金属成分の質量比:Cu/Zn=50/50)を7.7g得た。
硝酸銅(II)三水和物48.6g(銅として12.8g)、硝酸亜鉛(II)六水和物58.2g(亜鉛として12.8g)、及びイオン交換水130.3gを混合させ、金属塩水溶液を調製した。
別途、炭酸ナトリウム(無水)63.3gをイオン交換水261.8gに溶解させ、塩基性水溶液を調製した。さらに、別途、攪拌翼、温度計、pH電極を設置した容器に75〜85℃に調整したイオン交換水160.5gを準備し、この溶液に前述の金属塩水溶液と塩基性水溶液を、温度75〜85℃、pH7.0〜7.5となるように維持しながら、同時に滴下して反応させた。滴下中、薄緑色の沈殿物が析出していった。反応終了後、ろ過にて得られた沈殿物を取得し、これをイオン交換水700mLで洗浄し、湿った固体を得た。得られた固体を120℃で乾燥させ、緑色の粉末(触媒前駆体)41.0gを得た。さらに、得られた粉末10.0gを、空気中、350℃にて2時間焼成し、黒色粉末として、銅−亜鉛触媒(金属成分の質量比:Cu/Zn=50/50)を7.7g得た。
〔参考例2:米国公開公報2014−0066666号の実施例1の追試〕
市販のフルフリルアルコール(純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm)を用いて、米国公開公報2014−0066666号の実施例1に記載の方法(5質量%白金/アルミナ触媒を使用)に従ってフルフリルアルコールを水素と反応させた。反応を5時間行ったが、水素の吸収が観測されず、フルフリルアルコールは全く消費されていなかった。
市販のフルフリルアルコール(純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm)を用いて、米国公開公報2014−0066666号の実施例1に記載の方法(5質量%白金/アルミナ触媒を使用)に従ってフルフリルアルコールを水素と反応させた。反応を5時間行ったが、水素の吸収が観測されず、フルフリルアルコールは全く消費されていなかった。
〔試験例1:本発明の方法により合成した1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物のにおい嗅ぎ実験〕
実施例9と同様にして合成した、1,2−ペンタンジオール2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込み、臭い嗅ぎ装置を用いて、成分毎の異臭の強度を見積もったところ、下記の測定条件の保持時間24〜31分のピークに前述のフェノール化合物が含まれていることが分かった。
実施例9と同様にして合成した、1,2−ペンタンジオール2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込み、臭い嗅ぎ装置を用いて、成分毎の異臭の強度を見積もったところ、下記の測定条件の保持時間24〜31分のピークに前述のフェノール化合物が含まれていることが分かった。
[測定条件]
試験例1におけるGCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2010
GC検出器:FID検出器、及び人間の嗅覚を利用する匂い嗅ぎ装置(GLサイエンス製スニッフィングポートOP275)を使用。試料導入法:直接導入法
カラム:InertCAP WAX−HT (内径:0.53mm、長さ:60m、膜厚:1μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、10℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で20分間保持した。
試験例1におけるGCの測定条件は以下の通りである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2010
GC検出器:FID検出器、及び人間の嗅覚を利用する匂い嗅ぎ装置(GLサイエンス製スニッフィングポートOP275)を使用。試料導入法:直接導入法
カラム:InertCAP WAX−HT (内径:0.53mm、長さ:60m、膜厚:1μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:50℃で5分保持した後、10℃/分で120℃まで昇温、さらに5℃/分で230℃まで昇温し、230℃で20分間保持した。
〔試験例2:バイオマス原料のフルフリルアルコール、本発明の方法により合成した1,2−ペンタンジオール及び市販されている1,2−ペンタンジオールのバイオマス度の計測〕
実施例9で使用したフルフリルアルコール、実施例9で得られた1,2−ペンタンジオール及び市販されている1,2−ペンタンジオール(東京化成品)について、以下の方法により、加速器質量分析法(AMS法)を用いる放射性炭素年代測定を行った。実施例9で使用したフルフリルアルコール及び実施例9で得られた1,2−ペンタンジオールのpMC(percent ModernCarbon)は、それぞれ100.7、101.7であり、バイオマス由来であった。市販の1,2−ペンタンジオールのpMCは0.1未満であり、石油由来であった。
放射性炭素年代測定の方法は以下の通りである。
タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置(NEC社製)を使用し、14Cの計数、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行った。測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)を標準試料とした。この標準試料とバックグラウンド試料の測定も同時に実施した。
算出方法は以下の通りである。
1)δ13Cは、試料炭素の13C濃度(13C/12C)を測定し、基準試料からのずれを千分偏差(‰)で求めた値である。
2)pMC (percent ModernCarbon)は、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合である。
3)pMCをδ13Cで補正することにより、補正後のpMCを求めた。
実施例9で使用したフルフリルアルコール、実施例9で得られた1,2−ペンタンジオール及び市販されている1,2−ペンタンジオール(東京化成品)について、以下の方法により、加速器質量分析法(AMS法)を用いる放射性炭素年代測定を行った。実施例9で使用したフルフリルアルコール及び実施例9で得られた1,2−ペンタンジオールのpMC(percent ModernCarbon)は、それぞれ100.7、101.7であり、バイオマス由来であった。市販の1,2−ペンタンジオールのpMCは0.1未満であり、石油由来であった。
放射性炭素年代測定の方法は以下の通りである。
タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置(NEC社製)を使用し、14Cの計数、13C濃度(13C/12C)、14C濃度(14C/12C)の測定を行った。測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOxII)を標準試料とした。この標準試料とバックグラウンド試料の測定も同時に実施した。
算出方法は以下の通りである。
1)δ13Cは、試料炭素の13C濃度(13C/12C)を測定し、基準試料からのずれを千分偏差(‰)で求めた値である。
2)pMC (percent ModernCarbon)は、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合である。
3)pMCをδ13Cで補正することにより、補正後のpMCを求めた。
〔実施例17:1,2−ペンタンジオール及び1,5−ペンタンジオールの取得〕
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm)を用いて、実施例2と同等の方法を19バッチ行い、反応終了後に得られた反応液1907.7g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール849.0g及び1,5−ペンタンジオール410.8gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力10kPa、塔頂温度117℃までの低沸点の留分502.4gを除去したのち、塔頂圧力3kPa、塔頂温度127〜131℃の主留分1111.8g(1,2−ペンタンジオール753.1g及び1,5−ペンタンジオール210.1gを含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比10、塔頂温度116℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、623.48gの1,2−ペンタンジオール(純度99.6%、蒸留における回収率73.4%)及び139.0gの1,5−ペンタンジオール(純度99.2%、蒸留における回収率66.1%)を得た。このときの1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量は122.3質量ppmであり、異臭が明らかに存在した。
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm)を用いて、実施例2と同等の方法を19バッチ行い、反応終了後に得られた反応液1907.7g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール849.0g及び1,5−ペンタンジオール410.8gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力10kPa、塔頂温度117℃までの低沸点の留分502.4gを除去したのち、塔頂圧力3kPa、塔頂温度127〜131℃の主留分1111.8g(1,2−ペンタンジオール753.1g及び1,5−ペンタンジオール210.1gを含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比10、塔頂温度116℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、623.48gの1,2−ペンタンジオール(純度99.6%、蒸留における回収率73.4%)及び139.0gの1,5−ペンタンジオール(純度99.2%、蒸留における回収率66.1%)を得た。このときの1,2−ペンタンジオール中のフェノール化合物の含有量は122.3質量ppmであり、異臭が明らかに存在した。
〔実施例18:活性炭による精製〕
スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、実施例17で得られた精製1,2−ペンタンジオール(純度99.6%)438.24gの蒸留精製を行った。還流比5、塔頂温度115−116℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、330.6gの1,2−ペンタンジオール(純度99.9%、蒸留における回収率75.4%)を得た。さらにこの1,2−ペンタンジオール1.5gに活性炭(日本エンバイロケミカル製:FP−4)0.15gを添加し、80℃、5時間攪拌後、活性炭を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール1.2g(純度99.9%、回収率80%)に含まれるフェノール化合物の含有量は0.0質量ppmであり、全く異臭のしない製品であった。
スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、実施例17で得られた精製1,2−ペンタンジオール(純度99.6%)438.24gの蒸留精製を行った。還流比5、塔頂温度115−116℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、330.6gの1,2−ペンタンジオール(純度99.9%、蒸留における回収率75.4%)を得た。さらにこの1,2−ペンタンジオール1.5gに活性炭(日本エンバイロケミカル製:FP−4)0.15gを添加し、80℃、5時間攪拌後、活性炭を濾過した。このようにして得られた1,2−ペンタンジオール1.2g(純度99.9%、回収率80%)に含まれるフェノール化合物の含有量は0.0質量ppmであり、全く異臭のしない製品であった。
〔実施例19:1,2−ペンタンジオールの取得と特徴香成分の分析〕
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm、4−エチルグアヤコール含有量79ppm)を用いて、実施例1−3と同等の方法を11バッチ行い、反応終了後に得られた反応液1032.8g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール441.9gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力5kPa、塔頂温度132℃までの低沸点の留分402.1gを除去し蒸留釜内残存分630.0g(1,2−ペンタンジオールを353.5g含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比5、塔頂温度114℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、37.33gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度93.7%、蒸留における回収率3.5%)。このときのフェノール化合物の含有量は1179質量ppm、4−エチルグアヤコールの含有量は80ppmであり、異臭が明らかに存在した。この1,2−ペンタンジオールを前述の匂い嗅ぎ装置を用いて分析し、さらにGC−MS分析したところ、4−エチルグアヤコールが1,2−ペンタンジオールの異臭の特徴香となっていることが分かった。
また、フェノール化合物及び4−エチルグアヤコールが原料のフルフリルアルコール由来であり、銅含有触媒を用いた水素化反応中、大きく分解されていないこともわかった。
市販のフルフリルアルコール100g(1.02モル、バイオマス由来のフルフラールより製造、純度98.4%、フェノール化合物含有量724質量ppm、4−エチルグアヤコール含有量79ppm)を用いて、実施例1−3と同等の方法を11バッチ行い、反応終了後に得られた反応液1032.8g(GC定量分析より1,2−ペンタンジオール441.9gを含む)の単蒸留を行った。塔頂圧力5kPa、塔頂温度132℃までの低沸点の留分402.1gを除去し蒸留釜内残存分630.0g(1,2−ペンタンジオールを353.5g含む)を得た。次に、スルザーラボパッキングEX(内径25mm、高さ53mm)を16個充填した蒸留塔を用いて、得られた主留分の蒸留精製を行った。還流比5、塔頂温度114℃、塔頂圧力3kPaの留分を取得し、37.33gの精製1,2−ペンタンジオールを得た(純度93.7%、蒸留における回収率3.5%)。このときのフェノール化合物の含有量は1179質量ppm、4−エチルグアヤコールの含有量は80ppmであり、異臭が明らかに存在した。この1,2−ペンタンジオールを前述の匂い嗅ぎ装置を用いて分析し、さらにGC−MS分析したところ、4−エチルグアヤコールが1,2−ペンタンジオールの異臭の特徴香となっていることが分かった。
また、フェノール化合物及び4−エチルグアヤコールが原料のフルフリルアルコール由来であり、銅含有触媒を用いた水素化反応中、大きく分解されていないこともわかった。
〔試験例3:4−エチルグアヤコールの許容量の測定〕
1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの許容量を決定するため、無臭の1,2−ペンタンジオールに4−エチルグアヤコールを加え、臭気の評価を行った。また、1,2−ペンタンジオールは5%の水溶液として化粧水等に使用されるため、無臭の1,2−ペンタンジオールに4−エチルグアヤコールを加えたものを5%の水溶液として、臭気の評価を行った。
まず、実施例15と同様の方法で得た、無臭の1,2−ペンタンジオールに対して市販の4−エチルグアヤコール(和光純薬製)を90質量ppm添加した。得られた1,2−ペンタンジオールは実施例9又は実施例17で得た1,2−ペンタンジオールの香気に近い異臭が存在した。
さらに、4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールを5質量%含む水溶液を調製したところ、異臭が存在した。
1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの許容量を決定するため、無臭の1,2−ペンタンジオールに4−エチルグアヤコールを加え、臭気の評価を行った。また、1,2−ペンタンジオールは5%の水溶液として化粧水等に使用されるため、無臭の1,2−ペンタンジオールに4−エチルグアヤコールを加えたものを5%の水溶液として、臭気の評価を行った。
まず、実施例15と同様の方法で得た、無臭の1,2−ペンタンジオールに対して市販の4−エチルグアヤコール(和光純薬製)を90質量ppm添加した。得られた1,2−ペンタンジオールは実施例9又は実施例17で得た1,2−ペンタンジオールの香気に近い異臭が存在した。
さらに、4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールを5質量%含む水溶液を調製したところ、異臭が存在した。
〔試験例4:4−エチルグアヤコールの許容量の測定〕
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を60質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭が存在した。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭はほとんど存在しなかった。したがって、60質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、ほぼ問題なく使用できることがわかった。
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を60質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭が存在した。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭はほとんど存在しなかった。したがって、60質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、ほぼ問題なく使用できることがわかった。
〔試験例5:4−エチルグアヤコールの許容量の測定〕
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を30質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭がほとんど存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭はほとんど存在しなかった。したがって、30質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、ほぼ問題なく使用できることがわかった。
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を30質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭がほとんど存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭はほとんど存在しなかった。したがって、30質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、ほぼ問題なく使用できることがわかった。
〔試験例6:4−エチルグアヤコールの許容量の測定〕
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を10質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭がほとんど存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭は存在しなかった。したがって、10質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、問題なく使用できることがわかった。
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を10質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭がほとんど存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭は存在しなかった。したがって、10質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、問題なく使用できることがわかった。
〔試験例7:4−エチルグアヤコールの許容量の測定〕
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を5質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭が存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭が存在しなかった。したがって、5質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、問題なく使用できることがわかった。
1,2−ペンタンジオールに添加する4−エチルグアヤコールの含有量を5質量ppmとした以外、試験例3と同様の方法で1,2−ペンタンジオールを調製したところ、得られた1,2−ペンタンジオールには異臭が存在しなかった。
また、試験例3と同様の方法で、5質量%の水溶液を調製したところ、異臭が存在しなかった。したがって、5質量ppmの4−エチルグアヤコールを含む1,2−ペンタンジオールは、香粧品用としては、問題なく使用できることがわかった。
試験例3〜7の結果をまとめると、下表の通りである。
以上の通り、異臭、着色及び肌への刺激性の原因物質をフェノール化合物であると特定した。また、本発明の方法により1,2−ペンタンジオールを製造することで、化粧品用途でも使用することができる、1,2−ペンタンジオールを得ることができた。
また、本発明の方法では、高価な白金触媒や毒性の高いクロムを含む触媒ではなく、安価な銅含有触媒を用いて、異臭、着色及び肌への刺激性のない1,2−ペンタンジオールを得ることができた。
また、本発明の方法では、高価な白金触媒や毒性の高いクロムを含む触媒ではなく、安価な銅含有触媒を用いて、異臭、着色及び肌への刺激性のない1,2−ペンタンジオールを得ることができた。
本発明の方法によりバイオマス原料から製造される1,2−ペンタンジオールは、グリーンケミストリーを志向した製品であり、例えば、化粧品用防腐剤や保湿剤等として有用である。さらに、着色、異臭及び肌への刺激性の原因物質であるフェノール化合物の含有量を低減することができるという点で、特に化粧品用途として有用である。
また、本発明の方法により、例えば、蒸留精製の回数削減、スペックアウト蒸留フラクションの最小量化が図れる等、効率的に1,2−ペンタンジオールを提供することができる。
また、本発明の方法により、例えば、蒸留精製の回数削減、スペックアウト蒸留フラクションの最小量化が図れる等、効率的に1,2−ペンタンジオールを提供することができる。
Claims (14)
- (A1)銅以外に、周期表第2族、4族、8族、12族、13族及び14族の第3から第6周期の元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を金属成分として含有する銅含有触媒の存在下、水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させ、粗製の1,2−ペンタンジオールを得る工程を含む、1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 以下の三種の工程:
(B1)工程(A1)の前に、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)工程(A1)の後に、得られた粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程をさらに含む、請求項1に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。 - 1,2−ペンタンジオール中の4−エチルグアヤコールの含有量が、60質量ppm以下である、請求項1又は2に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 銅含有触媒が、亜鉛、ジルコニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 銅含有触媒が、亜鉛及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 銅含有触媒が、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア及び活性炭からなる群より選択される少なくとも一種の無機化合物に固定化された銅含有触媒である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 工程(A1)を塩基性化合物存在下で行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 工程(A1)を水素圧力12〜30MPaで行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 工程(A1)で得られた粗製の1,2−ペンタンジオールが、1,5−ペンタンジオールを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の1,2−ペンタンジオールの製造方法。
- 以下の三種の工程:
(B1)バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールを蒸留する工程;
(B2)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを蒸留する工程;並びに
(B3)水素と、バイオマス由来のフルフリルアルコール及び/又はフルフラールとを反応させることにより得た粗製の1,2−ペンタンジオールを、吸着処理及び抽出からなる群より選ばれる、少なくとも一種の方法により精製する工程
のうち、少なくとも二種の工程を含み、製造された1,2−ペンタンジオール中の下記一般式(1):
(式中、Rは、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基を表す)
で示されるフェノール化合物の各々の含有量の総和が100質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの製造方法。 - バイオマス原料を用いて合成された1,2−ペンタンジオール中の、4−エチルグアヤコールの含有量が60質量ppm以下である、1,2−ペンタンジオールの化粧品原料としての使用。
- タンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置を使用して測定された、標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合(pMC (percent ModernCarbon)が90〜120である、1,2−ペンタンジオール。
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