JPWO2015166561A1 - 肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の治療用肩装具 - Google Patents

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Abstract

【目的】肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の治療において、患者の日常生活動作の拡大と装着時の不安感・不快感を解消することを目的に、上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具を提供する。
【構成】肩鎖関節前方から前腕尺側に向かって垂直に降りる部分と、前腕の支持体(forearm trough)を横断する部分と、前腕橈側から上腕の前方を巻くように上向し肩の後方に達する部分と、肩パット(shoulder pad)の上を後方から前方に横断して肩鎖関節部分につながる部分とが連続したループを形成するストラップを、整復に使用する。このようなストラップ装着中の肢位を上腕下垂位とし、安定した整復を保つために、ストラップの走行に交差又は捻りを加えた治療用肩装具である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において非手術的に治療する装具で、整形外科医またはスポーツ医学専門家が処方し、整復操作と整復位保持を行うための骨折治療装具に関する。また、本発明は、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の患者の上肢を固定する肩装具であって、患者の日常生活やリハビリテーションの制限を必要最小限に止めることができる治療用肩装具に関する。

肩鎖関節脱臼は,ラグビー、ホッケー、サイクリングなどのスポーツで肩から転落し、肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯の断裂や損傷による鎖骨遠位端(図11(a)の符号11参照)の脱臼や亜脱臼であり、鎖骨が肩甲骨肩峰に対して上方に転位する疾患である。また、鎖骨遠位端骨折は、鎖骨の肩に近い部分が骨折し骨の一部が上方に転位する疾患である。

肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療は、上方に転位した鎖骨を押し下げ整復を行い一定期間保持することが行われており、そのための装具が市販されている。

特開2004−261531号公報

A.L.Kapandji 著、「カラー版 カパンジー機能解剖学 1 上肢 原著第6版」、医歯薬出版株式会社、2006年5月

従来の鎖骨関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療のための装具については、肩鎖関節脱臼や鎖骨遠位端骨折の治療の初めの段階で一時的に、三角巾やいわゆるGun Slingerタイプのアームサポートが使われる事がある。しかし、これらは疼痛緩和を目的とするもので、障害の機能的回復を目的とするものではなかった。肩の障害では、上肢の重量が肩甲骨を下方に引っ張り障害部位に剪断力として働くために、上肢を下げておくことは疼痛を強める状態となる。三角巾やアームサポートは前腕を支える事は若干の疼痛緩和に役立つが、三角巾やアームサポートには肩鎖関節部にストラップなどがないため、鎖骨を解剖学的な元の位置に戻し保持することはできなかった。

また従来より、鎖骨関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療のために、体の前方で鎖骨と肘をストラップで連結した装具がある。この肩の上部のストラップには鎖骨を押さえるための肩パッドが取り付けられているが、人の肩は首肩峰にかけて傾斜しているために、肩パッドが肩鎖骨関節の外側・肩峰の側に移動し滑り落ちやすい。特に衣服の着脱時の動作や臥位姿勢で肘を外側や後方に動かすときは、肩関節が回旋するため、しばしば、ストラップ及び肩パッドが肩の外側方向に移動して肩からズレ落ちてしまっていた。また体の前方で鎖骨と肘をストラップで連結した装具では、歩行において前腕が度々横方向に振れ、ストラップ及び肩パッドが肩の外側方向に移動して肩からはずれていた。

そこで、図11(b)に示すようなKenny−Howard Sling(登録商標)が、広く使用されている。このKenny−Howard Sling(登録商標)は、図11(b)に示すように、肩鎖骨部と前腕受け部の肘近傍部分との間を連結する第1のストラップ12と、前記第1のストラップ12の肩近傍部分を体幹の患部とは左右方向において反対側の脇下近傍部分と連結することにより前記第1のストラップ12が肩からズレ落ちることを防止する第2のストラップ13と、前記第2のストラップ13と前腕受け部14中の手首の近傍部分とを連結して前腕を安定的に支持する第3のストラップ15との計3本のストラップを備えている。

しかしながら、このKenny Howard Sling(登録商標)は、前述のように計3本のストラップ12,13,15が存在しているため、患部を庇いながら1人だけで装着することは難しいという問題を有していた。
しかも、Kenny Howard Sling(登録商標)を使用するときは、前胸部に横のストラップが走るために、装着時に不快感を伴いやすい。

また、鎖骨関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療のために従来のKenny Howard Sling(登録商標)を装着するときは、手首及び手指は患側と反対側の健側の脇の下に位置し、前腕はその長手方向が患者から見て水平方向で且つ左右方向となるように保持されるので、手指を使った上肢の日常生活動作は著しく制限された。

肩鎖関節を受傷したアスリートの治療において、臨床医や理学療法士が直面する問題の1つは、リハビリテーションを行う時期に、障害部位の保護を確実に行いながら、快適性や医師の許可する範囲の機動性を確保することである。

従来のKenny Howard Sling(登録商標)を使用するときは、前腕は水平かつ左右方向に保たれて胃の前におかれるために、姿勢が前かがみになったり逆に反りかえったりして姿勢バランスを崩しやすい。また左右で上肢の肢位が異なるために、アスリートが下肢や体幹のトレーニングを行う時には左右の姿勢のバランスも崩しやすい。

この発明の目的は、体の動きに干渉されずに、鎖骨遠位端を肩甲骨肩峰と同じ高さレベルに保つことができる肩関節固定装具を提供する事である。また、この発明の目的は、日常生活を支障なく送りながら肩鎖関節遠位端又は肩鎖骨遠位端の骨折により上方転位した部分を尺骨方向に押さえ込んだ状態で固定(保持)することにより、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復させることができ、肩上のストラップが容易に左右方向に移動して肩からずり落ちてしまうことを防止することができ、手首及び手指の機能を日常生活のために支障なく発揮することができ、1人でも装具を簡単に装着することができ、通常の歩行や下肢のリハビリテーションに支障が生じないようにして、患者が治療用肩装具を使用することで被る生活上の不便さを最小限に抑えることができる、肩鎖関節脱臼または肩鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具及びその使用方法を提供すること、である。

本発明は、肩鎖関節脱臼または肩鎖骨遠位端骨折の治療中における患者の上肢の固定肢位を、従来のように体幹の前方に位置させるのではなく、体幹の側方に位置させる装具を提供することにより、治療中の患者の日常生活上の不便を最小限に抑えられるようにした。また本発明は、新しい肢位におけるストラップの支持性を強固にするために、後述するような、従来とは異なるストラップの走行を採用した。

すなわち、本発明に係る肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具は、肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折における転位した部分と肘を約80〜100度(望ましくは約90度)屈曲させて前腕肘近接部との間を連結するように装着されるストラップであって、患者への装着中の形状が、(a)肩鎖骨遠位端部から真下方向に前腕の尺側に向かって走り、(b)前腕の尺側から前腕の尺骨の底面側を通って、前腕の橈側(体幹から離れる側)に回り、(c)前腕の橈側から患側の上腕前方を通り、さらに脇の下を通って、患者の肩関節の後方に向かって上行し、(d)肩の上方を通って、肩鎖骨遠位端部に繋がるように配置されるストラップを含むものである。

また、本発明に係る肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具は、患者の身体に固定されたときの体位が、上腕が体幹に沿って下垂された肢位で固定され、肘が約80〜100度(望ましくは約90度)屈曲して固定され、前腕が水平面で肩甲上腕関節の傾斜に準じて約20〜40度(望ましくは約30度)内旋する肢位で固定されるものである。

従来の腕と肘を前に持ってきた固定では肩や上腕前方の筋肉の緊張を強いられやすかった。これに対して、本発明の肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の装具においては、肩上肢の固定肢位を変えたことにより、この上腕自然下垂位では肩内在筋の緊張がとれて筋肉が疲れにくくなった。また上肢筋肉を脱力させた状態ではこの下垂位の肢位に落ち着くので安定性が増した。また上肢が側方にあり下垂位のために姿勢が悪化する事が改善された。

肩鎖関節治療用装具を装着した患者が立位の姿勢にあるときは、上肢に掛かる重力をストラップの連絡により鎖骨を押し下げる作用に変えて、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復することができる。本発明の装具ではストラップをクロスするシステムを採用した事で、従来のクロスしないストラップよりも強い摩擦力を有するので、安定性が得られる。

すなわち、本発明によれば、装具を装着した患者が立位の姿勢にあるときは、前腕に掛かる重力を、上方転位した鎖骨遠位端や骨折し上方転位した骨部分を押し下げる作用に変えて、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復することができる。

また、肩鎖関節脱臼用装具を装着した患者が臥位の姿勢にあり前腕に重力が掛からないときでも、患者の前腕と肘を連結するストラップにより、患者の鎖骨遠位端又は骨折により上方転位した部分を前腕の尺骨方向に押さえた状態で保持して、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復維持することができる。さらに本発明による肩装置は、前方のストラップと後方のストラップは上腕骨と平行に走り、かつ上腕骨の回旋中心とストラップの回旋の中心が近づくために、座位から仰臥位への体位変換などの回旋運動時のストラップの安定性が増すことになった。

従来の装具では、手指・前腕・肘は体の前で水平方向に置かれていたため、歩行にて肘が左右に振られる傾向にあったため、歩行時にストラップが外側にずれることが多かった。本発明では、本装具の肩の上方ストラップは患者の前腕の長手方向と近い方向に走行しているので、歩行時における患者の前腕の動作により左右に引っぱられて肩パッドがズレることがない。

本発明においては、前述のように患者への装着中の形状が全体として前記約110〜130度(望ましくは約120度)でツイストされているリング状ストラップを使用しているので、前記リング状ストラップが前腕尺骨下面を走る方向と前記リング状ストラップが肩関節上を走る方向とが約50〜70度(望ましくは約60度)の角度で交差するようになっている。すなわち、図8(a)に示すように前腕の長手方向が患者の体幹前方と平行に延びているときは、図8(b)のように、ストラップが肩関節上を走る方向とストラップが前腕尺骨下面を走る方向との間の角度は例えば約90度となる。他方、図8(c)に示すように、前腕の長手方向が患者の体幹前方に対して約20〜40度(望ましくは約30度)だけ体幹中心方向に交差しているときは、図8(c)のように、肩甲上腕関節が体幹側方から体幹中心方向に例えば約30度内旋しているため、ストラップが肩関節上を走る方向とストラップが前腕下面を走る方向との間の角度は例えば約90度(又は約90〜120度)となる。

従来のKenny−Howard Slingでは手指は健側の脇の下にあった。これに対して、本装具によるときは、手首と手指は体の前にある。したがって目の前での作業が容易になる。また健側と共同する作業、たとえば読書や,メモの記載ができるようになった。

前述のKenny−Howard Sling では3本のストラップで懸垂している。縦方向の整復保持に働くストラップと肩パッドを内側に引っ張る横方向の第2のストラップと手首を懸垂する第3のストラップである。この事がストラップのシステムを複雑化し、慣れないうちは一人での装着を困難にしている。本発明の肩装具では、横方向のストラップを減らすことで、ストラップのシステムを単純にしている。また患側の手指を利用できる事からも患者自身による装具の装着や調整を容易にしている。

従来の装具によるときは、前腕の肢位は胃の前に置くようになり、姿勢が前後からみて左右対称でなく横からみても前後対称でないために、リハビリ中の姿勢バランスを維持するのがむずかしい。これに対して本装具では、アスリートの上肢は体側自然下垂位に近い状態にあり、アスリートに健側の上肢を患側と同じ肢位をあえて取らせることによりさらにバランスの維持が容易となり、エルゴメーターや小走りなどの訓練が可能となる。

また、本発明によれば、前述のように、ツイストされたリング状ストラップにより、患者の前腕の長手方向及び肩関節の回旋角度(体幹の外側から体幹中心に向かう方向に回転した角度)が、体幹前方を0度としたとき、約20〜40度(望ましくは約30度)となる安定した形で保持される結果、本発明による装具を装着した患者が立位の姿勢でいるとき又は歩行しているときなどにおいては、従来のように「患者の前腕が、その長手方向が患者から見て左右方向となるように、保持されること」が無くなり、患者の前腕はその長手方向が患者から見て前後方向に延びた状態で保持され、患者の手指もその体幹の前方の位置に保持されるので、通常の歩行や下肢のリハビリテーションをするときに、前腕が患者から見て左右方向に振られるか体幹の腹部を叩くように動作することが無くなり、肩鎖骨脱臼又は鎖骨遠位端骨折の整復用ストラップの装着により通常の歩行や下肢のリハビリテーションに支障が生じてしまうことを防止し、装身具を装着することによる患者の生活の不便さを最小限に抑制することができるようになる。

本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を側方から示す斜視図である。 本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を上方から示す斜視図である。 本実施形態に係るリング状ストラップのツイストしたときの形状を説明するための模式図である。 本実施形態に係るリング状ストラップを患者に装着するときの動作を説明するための模式図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 本実施形態の作用効果を説明するための図である。 (a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、軟部条件で立体構成した写真である。 (a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、骨条件で立体構成した写真である。 (a)及び(b)は従来の鎖骨関節脱臼の治療用装具をそれぞれ説明するための図である。

詳しくは後述するが、本発明の実施形態に係る装具を使用するときは、上肢の基本固定肢位は、体幹に沿って下垂する肢位となる。この上肢の基本固定肢位では、上腕骨長軸が垂線と一致する。この上肢の基本固定肢位は、上腕を体幹前方に配置しない肢位であり、上腕を体幹の側方に配置する肢位である。上肢が上記の基本固定肢位にあるときは、上腕は力を抜いた状態となる。(日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会制定:肩屈曲角度0度、肩外転角度0度)

また詳しくは後述するが、本発明の実施形態に係る装具を使用するときは、肩の回旋の基本固定肢位は、上腕下垂位で肘を90度屈曲させ前腕を前方矢状方向に置いた肩の回旋の位置を回旋0度と決めたとき、肩が水平面における回旋方向において約30度内旋した位置となる。(日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会制定:肩内旋30度)

本発明の実施形態において、上記の「肩が水平面における回旋方向において約30度内旋した位置」を肩の回旋の基本固定肢位とした理由は、肩が体幹の横軸より前方にあり、生理学的にみて肩甲上腕関節(Glenohumeral joint)が体幹の前方よりやや内側を向いているためであり、回旋筋群が最も均衡している状態と考えられているためである。この肩の回旋の基本固定肢位においては、患者の肘関節は約90度屈曲されており、患者の手首と手指は患者の体幹の前方と側方の中間の方向(斜め前方向)に位置している。

本発明の実施形態による上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する肩装具は、鎖骨と前腕肘近接部を連結するストラップにより、上腕を整復保持するものである。上記ストラップは、後述のように、従来の装具に使用されるストラップの走行とは異なる走行を有するものである。

本発明の実施形態のストラップは、患者が装着している状態では、閉じた回路を形成する。本発明の実施形態のストラップの走行は、(a)肩鎖骨遠位端からほぼ垂線方向に前腕尺側の肘近接部に向かって走り、(b)前腕の尺側から前腕の底面側を通って前腕の橈側に回り、(c)前腕の橈側から上腕の前方(体幹から見て前方)を走り、(d)患側の脇の下から肩後方に向かって上行し、(e)肩関節の後方を通って、肩鎖骨遠位端に繋がるように形成される。

従来の装具においては、整復に寄与するストラップは、ストラップの縦方向に延びる部分が上腕骨長軸に対して捻られる事はなかった。これに対して、本発明の実施形態の肩装具においては、前記ストラップは、ストラップの縦方向に延びる部分が上腕骨長軸に対して捻れながら走行する。即ち、前記ストラップは、鎖骨前方にある状態から第1の方向(右方向又は左方向)に約90度捻じれて(曲げられて)から前腕尺側に到達する。また、前記ストラップは、前腕橈側から鎖骨前方なで走行する間に、前記第1の方向と反対の第2の方向に約180度捻られる(例えば、前腕橈側にある状態から前記第1の方向と反対の第2の方向に約90度捻じられた状態で上腕の前方を通過し、脇の下の近傍でさらに前記第2の方向に約90度捻られて、肩鎖骨遠位端の方向へ向かって走行する)。

本発明の実施形態の装具におけるストラップは閉じた回路を形成し、上腕の中央あたりの部分で、互いに接触しないが交差するために、2つのリングを形成する。それぞれのリングの中に肩と前腕が入った状態で保持される事になる。この2つのリングは交差部分で、例えば約90度、互いに捻られた状態となる。すなわち、上方からみると、肩の上方つまり肩パッド上を走るストラップの方向と、前腕の下面つまり肘受け部分を走るストラップの方向とは、互いに約80〜120度(例えば約90度)直交した状態となる。

本肩装具の急性期における装着方法は、医師または助手が患者の肘を約90度に曲げて肘を下から持ち上げながら、飛び出した鎖骨を上から徒手的に押さえ込んで整復する。続いてストラップ(肩パッドや肘支持体を含む)を肩および上肢に巡らせ、留め具でストラップの回路を閉鎖する。医師らは直視、場合によればX線により整復度を確認して締め付け具合を調節する。また一つの装着方法は、閉鎖した回路を形成したストラップのリングに先ず上腕と肩を通し、続いてこのリングに簡単な捻りを加えてリングをもう一つ作り、下のリングに前腕を通す事でほぼ装着可能となる。後者の装着方法は、装具の脱着が簡単になり、慣れるとアスリート自身で装着可能となる。

このように、本発明の実施形態は、肩鎖関節前方から前腕尺側に向かって垂直に降りる部分と、前腕の支持体(forearm trough)を横断する部分と、前腕橈側から上腕の前方へと上向し肩の後方に達する部分と、肩のパット(shoulder pad)の上を後方から前方に横断して肩鎖関節部分につながる部分とが連続したループを形成するストラップを含む、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具である。本発明の実施形態は、このようなストラップ装着中の肢位を上腕下垂位とし、且つ安定した整復を保つために、ストラップに捻りを加えた肩装具、及びこれを使用する方法である。

また、本発明の実施形態による肩装具においては、前記リング状ストラップは、患者の肩が当接又は配置される位置に、皮膚褥瘡予防のための肩用パッドを備えるものであってもよいし、また肩パッドの替わりに皮膚に貼付する粘着シートでも利用可能である。

また、本発明の実施形態による肩装具においては、前記リング状ストラップは、患者の前腕が当接又は配置されるストラップの位置に、前腕受け部(ポーチ)を備えるものであってもよい。

さらに、本発明の実施形態による肩装具はストラップの長さを変える機構をそのストラップの回路中に持っている。ストラップの長さを調節する事で,十分な肩—肘間の締結と肩関節の安定性を与えることができる。医師は視診や触診だけでなく、レントゲン透視やX線撮影によって整復状態をさらに詳しく知ることができる。医師は、整復が不足していればストラップを短くするだろう。疼痛が強ければ、一時的にストラップを緩める選択肢もある。

また、本発明の実施形態においては、手首に近い前腕部分を懸垂するストラップがあってもよい。従来技術のように、もう一本のストラップを手首から首に回して肩後方のストラップに繋げることも可能である。また手首に近い前腕に固定するリング状のストラップを使い、同側の肩に回すことも可能である。

次に、図1〜4は本発明の実施形態におけるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図、図5は本実施形態に係るリング状ストラップのツイストしたときの形状を説明するための模式図、図6は本実施形態に係るリング状ストラップを患者に装着するときの動作を説明するための模式図、図7及び図8は本実施形態の作用効果を説明するための模式図である。

図1〜6において、1は例えば布製又は樹脂製で約0.5〜5cm(より望ましくは約1〜3cm)の幅を有する帯状部材により構成されるリング状のストラップ、3は前記リング状ストラップ1の図示上方に取り付けられた肩パッド(従来の肩装具に備えられるものと同じ構成のもの)、4は前記リング状ストラップ1の図示下方に取り付けられた公知の前腕受け部(前腕の肘の近傍に当接可能なパッド又はポーチ)、5は前記リング状ストラップ1の全体の長さを各患者の肩鎖関節と前腕との間の距離に合わせて個別に調整するための公知の構成から成る長さ調整部、T1はリング状ストラップ1の肩から前腕尺骨へ走る部分であって上腕長軸に対して体幹中心方向へ例えば約110〜130度(望ましくは約120度)捻られた部分、T2はリング状ストラップ1の前腕橈側から上腕を介して肩へ走る部分であって上腕長軸に対して全体として例えば約180度捻られた部分、である。なお、上記捻られた部分T1及びT2の捻れ方は、患者の体幹中心に対して右側に旋回するように捻れる場合(右旋回)と、患者の体幹中心に対して左側に旋回するように捻れる場合(左旋回)とがあり、いずれも可能である。

予め、本実施形態の肩装具はストラップの長さをある程度緩めて交差するようにセッティングされている。医師は患者に上腕を体側に下垂させて、肘を曲げるように支持して、肩上肢の基本肢位を採らせる。上腕と前腕をストラップの作るリングに通して、肩パッドと肘の受け部が正しい位置にあるように保持し、医師は徒手的に鎖骨を上から押さえたり、肘を下から押し上げることで整復する。ここでストラップの距離を小さくすることにより整復保持を確実にする。さらにストラップを締め付ける事で整復操作を追加できうる。

次に、前記リング状ストラップ1により形成される空洞部2(図5参照)の中に、患者の前腕と上腕を挿入し、前記リング状ストラップ1の上端部(上端部に在る肩パッド3)の内側面を、患者の鎖骨遠位端の上に置く(図6(a)参照)。

次に、前記の患者の肩鎖関節(肩鎖骨遠位端、又は肩鎖骨遠位端中の骨折により上方に転位した部分)の上に置いたリング状ストラップ1中の患者の体幹の側面に在る下方部分1bを、同上方部分1aに対して、ツイストさせていない状態を0度としたとき、例えば約110〜130度(望ましくは例えば約120度)ツイストさせて、前記リング状ストラップ1を図示上下の2つの小さいリング状部分2a,2b(図5参照)から成る形状にする。これにより、図5に示すように、前記リング状ストラップ1内にはその上下に上方空洞部2aと下方空洞部2bとの2つの空洞部が形成される。前記上方の空洞部2bには患者の肩関節が配置される。なお図5において、(a)は前記リング状ストラップ1をツイストさせていない状態を示す斜視図、(b)は前記リング状ストラップ1を図2及び図3(a)の矢印A方向に90度ツイストさせた状態を示す斜視図、(c)は前記リング状ストラップ1を図2及び図3(a)の矢印A方向に180度ツイストさせた状態を示す斜視図である。

次に、前記上下の2つの空洞部2a,2b中の下方の空洞部2b中に、患者の前腕10bを、患者の体幹10cの外側方向から中心方向に向けて(図6(b)及び(c)の矢印B参照)挿入する動作について説明する。図6(a)は前記ツイストさせていないリング状ストラップ1の空洞部2内に患者10の上腕と前腕10bと肩関節10aを挿入し、前記ツイストさせていないリング状ストラップ1の上端部を患者10の肩関節10aに配置した状態を示す斜視図である。この図6(a)の状態から、前記リング状ストラップ1の下方部分1bを同上方部分1aに対して、ツイストされていない状態を0度としたとき、例えば約90度矢印A方向にツイストさせる。すると、図6(b)のように、前記リング状ストラップ1内の上下に2つの空洞部2a,2bがそれぞれ形成される(図5(b)も参照)。この場合、上方の空洞部2aには肩関節10aが配置されている。そこで、医師又は看護師は、この状態で、図6(c)のように、患者10の前腕10bを、前記下方の空洞部2bの中に、患者の体幹の外側方向から中心方向に向けて(図の矢印B参照)挿入する。

次に、前記下方の空洞部2b内に挿入した前腕10bの尺骨下部、例えば肘近傍部分の尺骨下部を、前記リング状ストラップ1の下端部の内側面に配置、当接させる。以上のような動作を行うことにより、リング状ストラップ1が、その途中部分において前述のようにツイストされた部分T1,T2(図1参照)を有するように、患者10の肩10aと前腕との間に装着される。

このような動作により前記リング状ストラップ1を装着したときは、前記リング状ストラップ1には、前記リング状ストラップ1の前記ツイストされた状態からツイストされていない元の状態に戻ろうとする力(前記リング状ストラップ1の下方部分1bが、患者の肩関節10aを回転中心にして、体幹中心側から体幹外側の方向に回動しようとする力)が生じる可能性がある。そして、この力が、前腕10bを、患者の肩関節を回転中心にして、患者の体幹中心側から体幹外側の方向に回動させるように作用する可能性がある。このような前記リング状ストラップ1による力と、前腕10bが自然にその長手方向が体幹の外側前方から体幹の中心方向に移動しようとする力とが均衡することにより、前記リング状ストラップ1中の下方部分1bは、同上方部分1aに対して、ツイストされていない状態を0度としたとき、患者10の体幹外側から体幹中心に向かう方向に約110〜130度(望ましくは約120度)の角度でツイストされている状態で、自然に安定する可能性がある。

本実施形態によるときは、例えば約110〜130度(望ましくは約120度)の角度でツイストされたリング状ストラップ1を使用することにより、患者の前腕10bの長手方向及び肩関節10aの回旋(体幹の側方から体幹中心に向かう方向の回転)は、患者10の体幹の前方方向(図7の図示上方向)を0度としたとき、患者10の体幹の側方から体幹中心方向に約20〜40度(望ましくは約30度)回旋した状態(図7参照)で保持され、自然に安定する。すなわち、この場合、図7に示すように、患者10の肩関節が図のCを中心として回旋するとき、前腕及び肩関節の回旋は図7のAで示す方向に対して約20〜40度(望ましくは約30度)だけ内旋した位置(図7のB参照)となり、患者の前腕の長手方向は図7のBの矢印方向となる。このような状態が「基本固定回旋角度」又は「上肢固定肢位」(以下では「中間位」と呼ぶ場合がある)である。

次に、図7,8などを参照して本実施形態の作用効果を説明する。また図9の(a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、軟部条件で立体構成した写真である。また図10の(a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、骨条件で立体構成した写真である。図9及び図10において、10aは肩関節を示す。

患者が装具を装着したまま快適に日常生活の動作を拡大するためには、従来の装具を使用するときのような前腕を胃の前に置く肢位よりも、本実施形態の装具を使用するときの前腕を体幹の側部に置く肢位の方が優れている。その理由の1つは、手指の機能に関する利点である。従来の装具を使用するときの固定肢位では手指は健側の腋窩にくるため、手指の活用が制限される。これに対して、本実施形態の装具を使用するときは、手指が体幹の前に来るために、読書やメモの記述が可能である。

また他の1つの理由は、立位座位から仰臥位睡眠時への体位変換時の肘の固定保持の容易さである。睡眠時の仰臥位では従来の装具を使用するときは、前腕が体側に滑らないように手首を固定する他のストラップや肘下の枕を必要とする。また従来の装具を使用するときの肢位固定は、前腕は体幹の前方にあり、肘が肩より前方にあるため、歩行で前腕が横方向に振れると肩関節が左右(横方向)へが大きく動き、肩パッドが横方向にズレやすくなる。

これに対して、本実施形態を使用するときの中間位(後述)の固定では、歩行するときは、前腕は前後方向に動くので、肩関節も前後方向に動くだけで左右方向にはほとんど動かないため、肩が同じ肢位を保つことが可能である。よって、本実施形態の装具を使用するときは、歩行とともに前腕及び肩関節は前後に振れるが、肘が肩の真下にあるため、前腕及び肩関節が前後に振れるときの移動距離は小さく、肩関節上のストラップも前後方向に動くだけで左右方向への動きは小さいので、ストラップ又は肩パッドが容易に肩からズレ落ちることが無くなる。

また、本実施形態による装具を装着したときは、上腕は、体幹の側方で垂直に垂らした肢位(基本固定位)に保持されると共に、肩関節10aは、前方の挙上が約0度、外転(体幹の中心から冠状方向・外側方向に向かう方向の回転)が約0度、及び回旋(体幹の外側から体幹の中心に向かう方向の回転)が約20〜40度(望ましくは約30度)である位置(以下では、このような位置を「中間位」(neutral position)と呼ぶ。)に保持される。上記の内旋角度を約20〜40度(望ましくは約30度)としたのは、上肢が体幹より前にあり、肩関節が体幹の前後面より体の中心に向いているからである。前記中間位は、肩関節10aが無理のない自然な状態にあるときの位置である。

本実施形態による装具を使用するときは、鎖骨と尺骨間をリング状ストラップ1で連結するために、肘関節は90度屈曲位で保持(固定)される。また、上腕および前腕10bの筋肉疲労時にも肘を90度に保つために、手関節を肘関節が90度屈曲位で保持(固定)されるために必要な位置に保持するための別のストラップを備えるようにしていてもよい。この場合も、手指は抑制せず自由に動かすようにすることができる。

従来の肩鎖関節装具では、前腕は体幹の前に置かれ手首や手指は体幹の患部がある側とは反対側の脇の下に保持(固定)されるために、日常生活動作は著しい制限をきたしていた。これに対して、本実施形態による装具を使用するときは、手関節と手指が体幹の側面の前方にあるために、読書やメモの記述などが可能となり、上肢の機能制限が減少する。また両手でハンドルなどを持つことができるので、エルゴメーターによる下肢筋力トレーニングを早期に導入できる。また、休息のために座位から仰臥位へ体位変換するときも、肘が体幹の側面に密着しているので、従来例に比べて、装具による肩肘間の固定維持が容易である。さらに夜間睡眠時においても、従来の装具を使用するときのように前腕が腹部の真上に配置されることがないため、また、従来の装具を使用するときに必要であった前腕や肘下用の枕も不要であるため、睡眠時間を快適に過ごすことがせる。

また、本実施形態による装具を使用するときは、歩行時には上肢は前後に振れるだけなので、肩関節及びその上のリング状ストラップ1も、前後方向には動くが左右方向への動きは少ないため、肩からずり落ちることが少なく、鎖骨上に止まりやすい。また従来の装具を使用するときは、肘が体幹の側面から離れた側方に位置することになるため、歩行時には肘の移動距離が大きくなり、肩関節の旋回角度も大きくなり、その結果、ストラップ1が肩からずり落ち易くなる。これに対して、本実施形態の装具を使用するときは、肘が肩のほぼ真下に位置するため且つ肩と前腕近位を緊縛しているため、歩行時における肘の移動距離は小さくて済み、肩関節の旋回角度も小さくて済み、その結果、リング状ストラップ1が肩からずり落ちることが極めて少ない。

従来の装具を使用するときは、ストラップの肩関節上を走る方向とストラップの前腕の下面を走る方向とが平行となり、前腕が腹部の前方に配置されるので、歩行時や上腕を体幹の側面側に向けて動かしたとき、肩関節上のストラップが容易に肩からズレ落ちてしまう。これに対して、本実施形態の装具を使用するときは、リング状ストラップ1の肩関節上を走る方向とリング状ストラップ1の前腕の下面を走る方向との角度が約50〜70度(望ましくは約60度)となっている(図8(c)参照)。そのため、肩と前腕が互いに緊縛されており、その結果、歩行時における肘の移動距離と肩関節の旋回角度が共に小さくなり、歩行時における前腕の移動方向と肩関節の移動方向が共にほとんど左右方向ではなく前後方向となるので、リング状ストラップ1が肩からずり落ちてしまうことがほとんど無くなる。

本実施形態の装具を使用するときは、肩関節が中間位で固定(保持)されるので、上腕は体幹の側面の横を垂直に下ろされているために、体幹の上方から観察した場合には、肩関節が内旋又は外旋しても上腕骨頭の回旋中心(図7の符号C参照)は位置が変わらない。肩関節が内旋及び外旋するとき、肩前方から肘の前腕近位尺側に下ろした垂線は、上腕骨と距離が近いために、肩関節が内旋及び外旋するときでもほとんど移動しない。

本実施形態を使用するときは、リング状ストラップ1は、肩鎖関節の前方から前腕の内側(尺側)へ向けて前述のように捻られながら真下に走り、前腕の下面を回り、前腕の外側(橈側)から上腕を介して肩の方へ前述のように捻られながら上行した後、肩の後方を巡り、さらに肩の上方を通り、肩鎖関節の前方に繋がる。正面、側面、上方から見るとき、上腕部の近傍ではリング状ストラップ1は互いに接触しているようにみえるが、実際は接触していない(図9,10参照)。正面から見ると、肩の前方を通るストラップは肩の後方を通るストラップよりも内側(体幹中心側)を通っている(図9,10参照)。

従来の3つのストラップを有する肩スリング(図11(b)参照)を使用するときは、肩前方からのストラップは前腕橈側へ走り、前腕尺側からのストラップは肩後方へ走っていたので、この肢位から衣服の着脱する動き、又は肩を外旋させる動きなどを行うと、前面のストラップは肩関節から逸脱し(肩関節の側方へ移動し)肩からズレ落ちる。そこで、このような逸脱を防止するため、従来の装具においては、肩パッドを内側に引っ張る別のストラップを備えるようにしていた。

本実施形態による装具を使用するときは、リング状ストラップ1をツイストさせて作られた下側の空洞部2bの中に前腕を挿入し、その後、肩の旋回角度を、例えば約90度内旋した位置から、例えば約30度内旋した中間位へ動かす。この場合、肩の上のリング状ストラップ1の走行する方向と肘の下のリング状ストラップの走行する方向との角度(図8(c)の角度α参照)は、図8(c)に示すように、例えば約80〜120度となる。

このように、肩が回旋する場合でもリング状ストラップ1を安定させて肩がずり落ちないようにするためには、リング状ストラップ1の走行方向を前述のようにすることが有効である。また、本実施形態による装具を使用するときにリング状ストラップ1が肩からズレ落ちにくくなる他の理由としては、本実施形態では、リング状ストラップ1の前記T1の部分(図1参照)を例えば約110〜130度(望ましくは約120度)だけツイストさせているので、リング状ストラップ1が上腕近傍で1ヶ所で収束するように走行するため、リング状ストラップ1が肩や前腕を把持する作用が大きくなり、その結果、リング状ストラップ1が肩からズレ落ち難くなると考えられる。

本実施形態では、リング状ストラップ1を、その前記T1の部分(図1参照)が例えば約110〜130度(望ましくは約120度)だけ捻じれた状態となるようにして使用する。したがって本実施形態に係るリング状ストラップ1の素材は、長軸方向では伸びることがなく、短軸方向は捩れに対して戻ろうとする力がある程度働くような素材が選ばれることが望ましい。但し、本実施形態に係るリング状ストラップ1の素材は、このような素材ではなく、柔らかい布などであってもよい。

次に、本実施形態において、リング状ストラップ1に備えられる肩パッドについて説明する。本実施形態のリング状ストラップ1をそのまま使用するときは、リング状ストラップ1から患者の肩に対して上方からの圧迫力と側方の摩擦力が働くために褥瘡を作りやすい。よって、リング状ストラップ1に肩パッドを取り付けることが望ましい。なお、この肩パッドを取り付ける代わりに、患者の肩の皮膚に貼る皮膚シートを使用することを選択することも可能である。皮膚に用いるゲル状の粘着シートとしては、すでに医療用の創保護シールなどで商品化されているシートを使用できる。このシートを使用するときは、皮膚面に接着成分を施し皮膚にくっ付くが、反対の外側面はストラップが滑走するのを妨げない適度の摩擦を持つ。このシートは、リング状ストラップ1と皮膚との間に介在する緩衝材として、リング状ストラップ1が皮膚に褥瘡を作ることを予防する。また、医師や理学療法士がこのシート上にマーキングを描くことで、リング状ストラップ1が鎖骨を押さえる位置にあるか否かを患者が容易に確認できるようになる。また外側に厚いブロックを設置すると、肩峰にストラップがズレることを防ぎ、鎖骨上にストラップが確実に止まるようにすることができる。

肩部に配置するリング状ストラップ1は、鎖骨遠位端を押えるように正確に配置したときは、患部の整復保持に役立つ。しかし、リング状ストラップ1が肩の上を外側方向に滑って肩峰を押さえる位置へ移動すると、逆効果になる。したがって、リング状ストラップ1が鎖骨遠位端又は鎖骨遠位端が骨折し上方に転位した部分を押さえているか、間違って肩峰を押さえていないかをチェックすることは大切である。また、整復のために使用するものであるから、リング状ストラップ1の張力が緩まないことが大切である。

従来のケニーハワード装具を使用するとき、肩パッド部分が外側にズレて鎖骨でなく肩峰をおさえるようになったら、装具が肩鎖関節間隙を開大する方向に作用し、ストラップは整復に対して逆効果に働く。いたずらに肩パッドの面積を広くすることは肩バッドがどの部位に圧迫力を与えているかを不明確にするので、好ましくない。

次に本実施形態における前腕受け部(肘スリーブ)4(図1参照)の役割について説明する。本実施形態を使用するときは、リング状ストラップ1の圧迫により、末梢性神経麻痺を起こす可能性がある。肘を通るリング状ストラップ1は前腕受け部(肘スリーブ)4の決められたコースを走る必要があり、前腕受け部は装着位置がズレないように肘頭にかからなければならない。

本実施形態では、リング状ストラップ1が前腕上の決められた所を走るように設計されている。リング状ストラップ1が前腕の尺側と接する位置は、肩からのリング状ストラップ1が垂直に下りる位置で、上腕二頭筋が橈骨結節に停止する所より1インチくらい末梢側の近傍にある。前腕の橈側側は、尺側よりやや中枢側にある。この位置では、リング状ストラップ1により末梢神経を圧迫する部位、つまり肘部管での尺骨神経と前腕骨間膜近くの前および後骨間神経を圧迫しない。前腕受け部(肘スリーブ)4は動いて位置がズレないように肘頭部分を包んでいる。リング状ストラップ1中の上腕前方に回りこむ部分が、リング状ストラップ1中の鎖骨から前腕尺骨に走る部分と接触干渉しないように、橈側のリング状ストラップ1が接する部分は、尺側の接する位置のやや中枢にある。前腕受け部(肘スリーブ)4は尺骨神経炎や骨幹神経麻痺をおこしやすい部位を厚く保護するように被覆している。

1 リング状ストラップ
1a リング状ストラップの上方部分
1b リング状ストラップの下方部分
2 空洞部
2a 上方空洞部
2b 下方空洞部
3 肩パッド
4 前腕受け部
5 長さ調整部
10 患者
10a 肩関節
10b 前腕
10c 体幹
T1,T2 リング状ストラップの捻られた部分

【0001】
技術分野
[0001]
本発明は、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において非手術的に治療する装具で、整形外科医またはスポーツ医学専門家が処方し、整復操作と整復位保持を行うための骨折治療装具に関する。また、本発明は、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の患者の上肢を固定する肩装具であって、患者の日常生活やリハビリテーションの制限を必要最小限に止めることができる治療用肩装具に関する。
背景技術
[0002]
肩鎖関節脱臼は,ラグビー、ホッケー、サイクリングなどのスポーツで肩から転落し、肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯の断裂や損傷による鎖骨遠位端(図11(a)の符号11参照)の脱臼や亜脱臼であり、鎖骨が肩甲骨肩峰に対して上方に転位する疾患である。また、鎖骨遠位端骨折は、鎖骨の肩に近い部分が骨折し骨の一部が上方に転位する疾患である。
[0003]
肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療は、上方に転位した鎖骨を押し下げ整復を行い一定期間保持することが行われており、そのための装具が市販されている。
先行技術文献
特許文献
[0004]
特許文献1:特開2004−261531号公報
非特許文献
[0005]
非特許文献1:A.L.Kapandji 著、「カラー版 カパンジー機能解剖学 1 上肢 原著第6版」、医歯薬出版株式会社、2006年5月
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0006]
従来の肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療のための装具については、

【0002】
肩鎖関節脱臼や鎖骨遠位端骨折の治療の初めの段階で一時的に、三角巾やいわゆるGun Slingerタイプのアームサポートが使われる事がある。しかし、これらは疼痛緩和を目的とするもので、障害の機能的回復を目的とするものではなかった。肩の障害では、上肢の重量が肩甲骨を下方に引っ張り障害部位に剪断力として働くために、上肢を下げておくことは疼痛を強める状態となる。三角巾やアームサポートは前腕を支える事は若干の疼痛緩和に役立つが、三角巾やアームサポートには肩鎖関節部にストラップなどがないため、鎖骨を解剖学的な元の位置に戻し保持することはできなかった。
[0007]
また従来より、肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の治療のために、体の前方で鎖骨と肘をストラップで連結した装具がある。この肩の上部のストラップには鎖骨を押さえるための肩パッドが取り付けられているが、人の肩は首肩峰にかけて傾斜しているために、肩パッドが肩鎖骨関節の外側・肩峰の側に移動し滑り落ちやすい。特に衣服の着脱時の動作や臥位姿勢で肘を外側や後方に動かすときは、肩関節が回旋するため、しばしば、ストラップ及び肩パッドが肩の外側方向に移動して肩からズレ落ちてしまっていた。また体の前方で鎖骨と肘をストラップで連結した装具では、歩行において前腕が度々横方向に振れ、ストラップ及び肩パッドが肩の外側方向に移動して肩からはずれていた。
[0008]
そこで、図11(b)に示すようなKenny−Howard Sling(登録商標)が、広く使用されている。このKenny−Howard Sling(登録商標)は、図11(b)に示すように、肩鎖骨部と前腕受け部の肘近傍部分との間を連結する第1のストラップ12と、第1のストラップ12の肩近傍部分を体幹の患部とは左右方向において反対側の脇下近傍部分と連結することにより前記第1のストラップ12が肩からズレ落ちることを防止する第2のストラップ13と、第2のストラップ13と前腕受け部14中の手首の近傍部分とを連結して前腕を安定的に支持する第3のストラップ15との計3本のストラップを備えている。
[0009]
しかしながら、このKenny Howard Sling(登録商標)

【0004】
ができ、通常の歩行や下肢のリハビリテーションに支障が生じないようにして、患者が治療用肩装具を使用することで被る生活上の不便さを最小限に抑えることができる、肩鎖関節脱臼または肩鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具を提供すること、である。
課題を解決するための手段
[0014]
本発明は、肩鎖関節脱臼または肩鎖骨遠位端骨折の治療中における患者の上肢の固定肢位を、従来のように体幹の前方に位置させるのではなく、体幹の側方に位置させる装具を提供することにより、治療中の患者の日常生活上の不便を最小限に抑えられるようにした。また本発明は、新しい肢位におけるストラップの支持性を強固にするために、後述するような、従来とは異なるストラップの走行を採用した。
[0015]
すなわち、本発明に係る治療用肩装具は、肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折における転位した部分である肩鎖骨遠位端部と前腕肘近接部との間を連結するように装着されるリング状ストラップを有する治療用肩装具であって、患者の上腕を体幹の側方に沿って下垂させかつ肘を約80〜100度屈曲させて前腕を斜め前方に向けた位置に固定するべく前記リング状ストラップは、患者への装着中の形状が、(a)肩鎖骨遠位端部からほぼ垂線方向に前腕の尺側の肘近接部に向かって走り、(b)前腕の尺側から前腕の下面側を通って前腕の橈側に回り、(c)前腕の橈側から上腕の前方を通り、(d)患側の脇の下から肩後方に向かって上行し、(e)肩関節の後方を通って、肩鎖骨遠位端部に繋がるように配置されるものである。
[0016]
また、上記の治療用肩装具は、患者の前腕を肩の水平面の回旋方向において20〜40度内旋させた位置に固定するものである。

【0005】
発明の効果
[0017]
従来の腕と肘を前に持ってきた固定では肩や上腕前方の筋肉の緊張を強いられやすかった。これに対して、本発明の肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折の治療用肩装具においては、肩上肢の固定肢位を変えたことにより、この上腕自然下垂位では肩内在筋の緊張がとれて筋肉が疲れにくくなった。また上肢筋肉を脱力させた状態ではこの下垂位の肢位に落ち着くので安定性が増した。また上肢が側方にあり下垂位のために姿勢が悪化する事が改善された。
[0018]
治療用肩装具を装着した患者が立位の姿勢にあるときは、上肢に掛かる重力をストラップの連絡により鎖骨を押し下げる作用に変えて、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復することができる。本発明の装具ではストラップをツイストするシステムを採用した事で、従来のツイストしないストラップよりも強い摩擦力を有するので、安定性が得られる。
[0019]
すなわち、本発明によれば、装具を装着した患者が立位の姿勢にあるときは、前腕に掛かる重力を、上方転位した鎖骨遠位端や骨折し上方転位した骨部分を押し下げる作用に変えて、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復することができる。
[0020]
また、治療用肩装具を装着した患者が臥位の姿勢にあり前腕に重力が掛からないときでも、患者の前腕と肘を連結するストラップにより、患者の鎖骨遠位端又は骨折により上方転位した部分を前腕の尺側の方向に押さえた状態で保持して、肩鎖関節脱臼又は肩鎖骨遠位端骨折を整復維持することができる。さらに本発明による治療用肩装具は、前方のストラップと後方のストラップは上腕骨と平行に走り、かつ上腕骨の回旋中心とストラップの回旋の中心が近づくために、座位から仰臥位への体位変換などの回旋運動時のストラップの安定性が増すことになった。
[0021]
従来の装具では、手指・前腕・肘は体の前で水平方向に置かれていたため、歩行にて肘が左右に振られる傾向にあったため、歩行時にストラップが外側にずれることが多かった。本発明では、本装具の肩の上方ストラップは患者の前腕の長手方向と近い方向に走行しているので、歩行時における患者の

【0006】
前腕の動作により左右に引っぱられて肩パッドがズレることがない。
[0022]
本発明においては、前述のように患者への装着中の形状が全体として約110〜130度(望ましくは約120度)でツイストされているリング状ストラップを使用しているので、リング状ストラップが前腕の下面を走る方向とリング状ストラップが肩鎖骨遠位端部上を走る方向とが約80〜120度(望ましくは約90度)の角度をなすようになっている。すなわち、ストラップが肩鎖骨遠位端部上を走る方向とストラップが前腕の下面を走る方向との間の角度は、図8(a)に示すように前腕の長手方向が患者の体幹前面と平行に延びているときは0度であり、図8(b)では90度である。他方、図8(c)に示すように、前腕の長手方向が患者の体幹前方に対して約20〜40度(望ましくは約30度)だけ体幹中心方向に交差しているときは、図8(c)のように、肩甲上腕関節が体幹側方から体幹中心方向に例えば約30度内旋しているため、ストラップが肩鎖骨遠位端部上を走る方向とストラップが前腕の下面を走る方向との間の角度は例えば約80〜120度(望ましくは約90度)となる。
[0023]
従来のKenny−Howard Slingでは手指は健側の脇の下にあった。これに対して、本装具によるときは、手首と手指は体の前にある。したがって目の前での作業が容易になる。また健側と共同する作業、たとえば読書や,メモの記載ができるようになった。
[0024]
前述のKenny−Howard Sling では3本のストラップで懸垂している。縦方向の整復保持に働くストラップと肩パッドを内側に引っ張る横方向の第2のストラップと手首を懸垂する第3のストラップである。この事がストラップのシステムを複雑化し、慣れないうちは一人での装着を困難にしている。本発明の肩装具では、横方向のストラップを減らすことで、ストラップのシステムを単純にしている。また患側の手指を利用できる事からも患者自身による装具の装着や調整を容易にしている。
[0025]
従来の装具によるときは、前腕の肢位は胃の前に置くようになり、姿勢が前後からみて左右対称でなく横からみても前後対称でないために、リハビリ

【0007】
中の姿勢バランスを維持するのがむずかしい。これに対して本装具では、アスリートの上肢は体側自然下垂位に近い状態にあり、アスリートに健側の上肢を患側と同じ肢位をあえて取らせることによりさらにバランスの維持が容易となり、エルゴメーターや小走りなどの訓練が可能となる。
[0026]
また、本発明によれば、前述のように、ツイストされたリング状ストラップにより、患者の前腕の長手方向及び肩関節の回旋角度(体幹の外側から体幹中心に向かう方向に回転した角度)が、体幹前方を0度としたとき、約20〜40度(望ましくは約30度)となる安定した形で保持される結果、本発明による装具を装着した患者が立位の姿勢でいるとき又は歩行しているときなどにおいては、従来のように「患者の前腕が、その長手方向が患者から見て左右方向となるように、保持されること」が無くなり、患者の前腕はその長手方向が患者から見て前後方向に延びた状態で保持され、患者の手指もその体幹の前方の位置に保持されるので、通常の歩行や下肢のリハビリテーションをするときに、前腕が患者から見て左右方向に振られるか体幹の腹部を叩くように動作することが無くなり、肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折の整復用ストラップの装着により通常の歩行や下肢のリハビリテーションに支障が生じてしまうことを防止し、装身具を装着することによる患者の生活の不便さを最小限に抑制することができるようになる。
図面の簡単な説明
[0027]
[図1]本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図である。
[図2]本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図である。
[図3]本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を側方から示す斜視図である。
[図4]本発明の実施形態に含まれるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を上方から示す斜視図である。
[図5]本実施形態に係るリング状ストラップのツイストしたときの形状を説明

【0008】
するための模式図である。
[図6]本実施形態に係るリング状ストラップを患者に装着するときの動作を説明するための模式図である。
[図7]本実施形態の作用効果を説明するための図である。
[図8]本実施形態の作用効果を説明するための図である。
[図9](a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、軟部条件で立体構成した写真である。
[図10](a)〜(f)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、骨条件で立体構成した写真である。
[図11](a)及び(b)は従来の鎖骨関節脱臼の治療用装具をそれぞれ説明するための図である。
発明を実施するための形態
[0028]
図1〜4は、本発明の治療用肩装具の一実施形態におけるリング状ストラップを患者の肩と前腕との間に装着した状態を示す斜視図である。図5は、リング状ストラップをツイストしたときの形状を説明するための模式図である。図6は、リング状ストラップを患者に装着するときの動作を説明するための模式図である。図7及び図8は本発明の作用効果を説明するための模式図である。詳しくは後述するが、治療用肩装具を使用するときは、上腕の基本固定肢位は、体幹に沿って下垂する肢位となる。この上腕の基本固定肢位では、上腕長軸が垂線と一致する。この上腕の基本固定肢位は、上腕を胃の前に配置しない肢位であり、上腕を体幹の側方に配置する肢位である。上腕が上記の基本固定肢位にあるときは、上腕は力を抜いた状態となる。(日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会制定:肩屈曲角度0度、肩外転角度0度)
[0029]
また詳しくは後述するが、治療用肩装具を使用するときは、肩の回旋の基本固定肢位は、上腕下垂位で肘を約80〜100度(望ましくは約90度)屈曲させ前腕を前方に向けたときの肩の回旋の位置を回旋0度と決めたとき、肩が水平面における回旋方向において約30度内旋した位置となる。(日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会制定:肩内旋30度)

【0009】
[0030]
本発明の治療用肩装具において、上記の「肩が水平面における回旋方向において約30度内旋した位置」を肩の回旋の基本固定肢位とした理由は、肩が体幹の横軸より前方にあり、生理学的にみて肩甲上腕関節(Glenohumeral joint)が体幹の前方よりやや内側を向いているためであり、回旋筋群が最も均衡している状態と考えられているためである。この肩の回旋の基本固定肢位においては、患者の肘関節は約80〜100度(望ましくは約90度)屈曲されており、患者の手首と手指は患者の斜め前方向に位置している。
[0031]
上腕を体幹の側方に沿って下垂した肢位で固定する治療用肩装具は、鎖骨と前腕肘近接部を連結するリング状ストラップ1により、上腕を整復保持するものである。上記リング状ストラップ1の装着中の形状は、後述のように、従来の装具に使用されるストラップの装着中の形状とは異なる。
[0032]
図1〜図4を参照する。治療用肩装具のリング状ストラップ1は、患者が装着している状態では、閉じた回路を形成する。治療用肩装具のリング状ストラップ1の装着中の形状は、(a)肩鎖骨遠位端部からほぼ垂線方向に前腕の尺側の肘近接部に向かって走り、(b)前腕の尺側から前腕の下面側を通って前腕の橈側(体幹から離れる側)に回り、(c)前腕の橈側から上腕の前方(体幹から見て前方)を通り、(d)患側の脇の下から肩後方に向かって上行し、(e)肩関節の後方を通って、肩鎖骨遠位端部に繋がるように形成される。肩鎖骨遠位端部とは、肩鎖骨脱臼又は鎖骨遠位端骨折における上方に転位した部分であるが、ここでは、リング状ストラップ1の上端部を配置する位置を示すために用いる。前腕の尺側とは前腕の内側であり、前腕の橈側とは前腕の外側である。
[0033]
従来の装具においては、整復に寄与するストラップは、ストラップの縦方向に延びる部分が上腕長軸に対して捻られる事はなかった。これに対して、本発明の治療用肩装具のリング状ストラップ1においては、リング状ストラップ1の縦方向に延びる部分が上腕長軸に対して捻れながら走行する。即ち、リング状ストラップ1は、鎖骨前方にある状態から第1の方向(右方向又は左方向)に約90度捻じれて(曲げられて)から前腕の尺側に到達する。さらに、リング状ストラップ1は、前腕の橈側から肩後方まで走行する間に、第1の方向と反対の第2の方向に約180度捻られる(例えば、前腕の橈側にある状態から第1の方向と反対の第2の方向に約90度捻じられた状態で上腕の前方を通

【0010】
過し、脇の下の近傍でさらに前記第2の方向に約90度捻られて、肩鎖骨遠位端部の方向へ向かって走行する)。
[0034]
本発明の治療用肩装具におけるリング状ストラップ1は閉じた回路を形成し、上腕の中央あたりの部分で、互いに接触しないが接近するために、2つのリングを形成する。それぞれのリングの中に肩と前腕が入った状態で保持される事になる。この2つのリングはリング状ストラップ1の接近する部分で、例えば約110〜130度、互いに捻られた状態となる。すなわち、上方からみると、肩の上方つまり肩パッド3上を走るリング状ストラップ1の方向と、前腕の下面つまり前腕受け部4の下面を走るリング状ストラップ1の方向とは、互いに約80〜120度(例えば約90度)直交した状態となる(後述する図8(c)のα参照)。
[0035]
治療用肩装具の急性期における装着方法は、医師または助手が患者の肘を約90度に曲げて肘を下から持ち上げながら、飛び出した鎖骨を上から徒手的に押さえ込んで整復する。続いてリング状ストラップ1(肩パッド3や前腕受け部4を含む)を肩および上肢に巡らせ、留め具でリング状ストラップ1の回路を閉鎖する。医師らは直視又はX線により整復度を確認して締め付け具合を調節する。また別の装着方法は、閉鎖した回路を形成したリング状ストラップ1のリングに先ず上腕と肩を通し、続いてこのリングに簡単な捻りを加えてリングをもう一つ作り、下のリングに前腕を通す事でほぼ装着可能となる。後者の装着方法は、装具の脱着が簡単になり、慣れるとアスリート自身で装着可能となる。
[0036]
このように、本発明の治療用肩装具は、肩鎖骨遠位端部から前腕の尺側に向かって垂直に降りる部分と、前腕の下面(前腕受け部4(forearm trough)の下面)を横断する部分と、前腕の橈側から上腕の前方を通り、上行し肩の後方に達する部分と、肩パット(shoulder pad)3の上を後方から前方に横断して肩鎖骨遠位端部につながる部分とが連続したループを形成するリング状ストラップ1を含む、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹の側方に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具である。
[0037]
また、本発明の治療用肩装具のリング状ストラッ

【0011】
プ1は、患者の肩が当接又は配置される位置に、皮膚褥瘡予防のための肩パッド3を備えるものであってもよいし、また肩パッド3の替わりに皮膚に貼付する粘着シートでも利用可能である。
[0038]
また、本発明の治療用肩装具においては、リング状ストラップは、患者の前腕が当接又は配置されるリング状ストラップの位置に、前腕受け部(ポーチ)4を備えるものであってもよい。
[0039]
さらに、本発明の治療用肩装具はリング状ストラップ1の長さを変えるための長さ調整部5をそのリング状ストラップ1の回路中に持っている。リング状ストラップ1の長さを調節する事で,十分な肩肘間の締結と肩関節の安定性を与えることができる。
[0040]
[0041]
[0042]
図1〜6において、1は、例えば布製又は樹脂製で約0.5〜5cm(より望ましくは約1〜3cm)の幅を有する帯状部材により構成されるリング状ストラップである。3は、リング状ストラップ1の図示上方に取り付けられた肩パッド(従来の装具に備えられるものと同じ構成のもの)である。4は、リ

【0012】
ング状ストラップ1の図示下方に取り付けられた公知の前腕受け部(前腕の肘の近傍に当接可能なパッド又はポーチ)である。5は、リング状ストラップ1の全体の長さを各患者の肩鎖骨遠位端部と前腕との間の距離に合わせて個別に調整するための公知の構成から成る長さ調整部である。T1は、リング状ストラップ1の肩鎖骨遠位端部から前腕の尺側へ走る部分であって上腕長軸に対して体幹中心方向へ例えば約90度捻られた部分である。T2は、リング状ストラップ1の前腕の橈側から上腕を介して肩後方へ走る部分であって上腕長軸に対して全体として例えば約180度捻られた部分である。なお、上記捻られた部分T1及びT2の捻れ方は、患者の体幹中心に対して右側に旋回するように捻れる場合(右旋回)と、患者の体幹中心に対して左側に旋回するように捻れる場合(左旋回)とがあり、いずれも可能である。
[0043]
予め、治療用肩装具は、リング状ストラップ1の長さをある程度緩めてセッティングされている(図5(a)参照)。医師は患者に上腕を体幹の側方に下垂させて、肘を曲げるように支持して、上腕の基本固定肢位及び肩の回旋の基本固定肢位を採らせる。次に、リング状ストラップ1により形成される空洞部2(図5(a)参照)の中に、患者の前腕と上腕を挿入し、リング状ストラップ1の上端部(上端部に在る肩パッド3)の下面を、患者の肩鎖骨遠位端部の上に置く(図6(a)参照)。次に、肩パッド3と前腕受け部4が正しい位置にあるように保持し、医師は徒手的に鎖骨を上から押さえたり、肘を下から押し上げることで整復する。ここでリング状ストラップ1の距離を小さくすることにより整復保持を確実にする。さらにリング状ストラップ1を締め付ける事で整復操作を追加できる。
[0044]
[0045]
次に、リング状ストラップ1中の、患者の体幹の側方に在る下方部分1bを、上方部分1aに対してツイストさせる。このとき、ツイストさせていない状態を0度とし、例えば約110〜130度(望ましくは例えば約120度)ツイストさせて、リング状ストラップ1を上下の

【0013】
2つの小さい空洞部2a,2b(図5(b)参照)から成る形状にする。上方の空洞部2aには患者の肩関節10aが配置される。なお図5において、(a)は、リング状ストラップ1をツイストさせていない状態を示す斜視図、(b)は、リング状ストラップ1を図5(a)の矢印A方向にツイストさせた状態を示す斜視図、(c)は、リング状ストラップ1を図5(a)の矢印A方向にさらにツイストさせた状態を示す斜視図である。
[0046]
次に、下方の空洞部2b中に、患者の前腕10bを、患者の体幹10cの外側方向から中心方向に向けて(図6(b)及び(c)の矢印B参照)挿入する。
[0047]

【0014】
[0048]
このような動作によりリング状ストラップ1を装着したとき、リング状ストラップ1には、ツイストされた状態からツイストされていない元の状態に戻ろうとする力(リング状ストラップ1の下方部分1bが、患者の肩関節10aを回転中心にして、体幹中心側から体幹外側の方向に回動しようとする力)が生じる可能性がある。そして、この力が、前腕10bを、患者の肩関節10aを回転中心にして、患者の体幹中心側から体幹外側の方向に回動させるように作用する可能性がある。このようなリング状ストラップ1による力と、前腕10bが自然にその長手方向が体幹外側から体幹中心側の方向に移動しようとする力とが均衡することにより、リング状ストラップ1中の下方部分1bは、上方部分1aに対して、ツイストされていない状態を0度としたとき、患者10の体幹外側から体幹中心に向かう方向に約110〜130度(望ましくは約120度)の角度でツイストされている状態で、自然に安定する可能性がある。
[0049]
例えば約110〜130度(望ましくは約120度)の角度でツイストされたリング状ストラップ1を使用することにより、患者の前腕10bの長手方向及び肩関節10aの回旋(体幹外側から体幹中心側に向かう方向の回転)の角度は、患者10の体幹の前方方向(図7の図示上方向)を0度としたとき、患者10の体幹外側から体幹中心側に約20〜40度(望ましくは約30度)回旋した状態(図7参照)で保持され、自然に安定する。すなわち、この場合、図7に示すように、患者10の肩関節が図のCを中心として回旋するとき、前腕及び肩関節の回旋は図7のAで示す方向に対して約20〜40度(望ましくは約30度)だけ内旋した位置(図7のB参照)となり、患者の前腕の長手方向は図7のBの矢印方向となる。このような状態が上述した「上腕の基本固定肢位」及び「肩の回旋の基本固定肢位」(以下、まとめて「中間位(neutral position)」と呼ぶ場合がある)である。中間位は、肩関節10aが無理のない自然な状態にあるときの位置である。

【0015】
[0050]
次に、図7,8などを参照して本実施形態の作用効果を説明する。また図9の(a)〜(g)は、それぞれ、本発明の治療用肩装具に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、軟部条件で立体構成した写真である。また図10の(a)〜(g)は、それぞれ、本実施形態に係るリング状ストラップにステンレス薄片を巻いたものを人体に装着したときの状態をそれぞれ互いに異なる角度から撮影して得られたCT(Computed Tomography)画像を、骨条件で立体構成した写真である。図9及び図10において、10aは肩関節を示す。
[0051]
患者が装具を装着したまま快適に日常生活の動作を拡大するためには、従来の装具を使用するときのような前腕を胃の前に置く肢位よりも、本発明の治療用肩装具を使用するときの前腕を体幹の側方に置く肢位の方が優れている。その理由の1つは、手指の機能に関する利点である。従来の装具を使用するときの固定肢位では手指は健側の腋窩に位置するため、手指の活用が制限される。これに対して、本発明の治療用肩装具を使用するときは、手指が体幹の前方を向くために、読書やメモの記述が可能である。
[0052]
また他の1つの理由は、立位座位から仰臥位睡眠時への体位変換時の肘の固定保持の容易さである。睡眠時の仰臥位では従来の装具を使用するときは、前腕が体側に滑らないように手首を固定する他のストラップや肘下の枕を必要とする。また従来の装具を使用するときの肢位固定は、前腕は胃の前にあり、肘が肩より前方にあるため、歩行で前腕が横方向に振れると肩関節が左右(横方向)へが大きく動き、肩パッドが横方向にズレやすくなる。
[0053]
これに対して、本発明の治療用肩装具を使用するときの中間位の固定では、歩行するときは、前腕は前後方向に動くので、肩関節も前後方向に動くだけで左右方向にはほとんど動かないため、肩が同じ肢位を保つことが可能である。よって、本発明の治療用肩装具を使用するときは、歩行とともに前腕及び肩関節は前後に振れるが、肘が肩の真下にあるため、前腕及び肩関節が前後に

【0016】
振れるときの移動距離は小さく、肩鎖骨遠位端部上のストラップも前後方向に動くだけで左右方向への動きは小さいので、ストラップ又は肩パッドが容易に肩からズレ落ちることが無くなる。
[0054]
[0055]
本発明の治療用肩装具を使用するときは、上腕および前腕10bの筋肉疲労時にも肘を90度に保つために、手関節を肘関節が90度屈曲位で保持(固定)されるために必要な位置に保持するための別のストラップを備えるようにしていてもよい。この場合も、手指は抑制せず自由に動かすようにすることができる。
[0056]
従来の装具では、前腕は胃の前に置かれ手首や手指は体幹の患部がある側とは反対側の脇の下に保持(固定)されるために、日常生活動作は著しい制限をきたしていた。これに対して、本発明の治療用肩装具を使用するときは、手関節と手指が体幹の側面の前方にあるために、読書やメモの記述などが可能となり、上肢の機能制限が減少する。また両手でハンドルなどを持つことができるので、エルゴメーターによる下肢筋力トレーニングを早期に導入できる。また、休息のために座位から仰臥位へ体位変換するときも、肘が体幹の側面に密着しているので、従来の装具に比べて、装具による肩肘間の固定維持が容易である。さらに夜間睡眠時においても、従来の装具を使

【0017】
用するときのように前腕が胃の真上に配置されることがないため、また、従来の装具を使用するときに必要であった前腕や肘下用の枕も不要であるため、睡眠時間を快適に過ごせる。
[0057]
[0058]
従来の装具を使用するときは、ストラップの肩関節上を走る方向とストラップの前腕の下面を走る方向とが平行となり、前腕が胃の前に配置されるので、歩行時や上腕を体幹の側面側に向けて動かしたとき、肩関節上のストラップが容易に肩からズレ落ちてしまう。これに対して、本発明の治療用肩装具を使用するときは、リング状ストラップ1の肩鎖骨遠位端部上を走る方向とリング状ストラップ1の前腕の下面を走る方向との角度が約80〜120度(望ましくは約90度)となっている(図8(c)の角度α参照)。そのため、肩と前腕が互いに緊縛されており、その結果、歩行時における肘の移動距離と肩関節の旋回角度が共に小さくなり、歩行時における前腕の移動方向と肩関節の移動方向が共にほとんど左右方向ではなく前後方向となるので、リング状ストラップ1が肩からずり落ちてしまうことがほとんど無くなる。
[0059]
本発明の治療用肩装具を使用するときは、肩関節が中間位で固定(保持)されるので、上腕は体幹の側面の横を垂直に下ろされているために、体幹の上方から観察した場合には、肩関節が内旋又は外旋しても上腕骨頭の回旋中心(

【0018】
図7の符号C参照)は位置が変わらない。肩関節が内旋及び外旋するとき、肩前面から肘の前腕近位尺側に下ろした垂線は、上腕骨と距離が近いために、肩関節が内旋及び外旋するときでもほとんど移動しない。
[0060]
本発明の治療用肩装具は、正面、側面、上方から見るとき、上腕部の近傍ではリング状ストラップ1は互いに接触しているようにみえるが、実際は接触していない(図9,10参照)。正面から見ると、肩の前方を通るストラップは肩の後方を通るストラップよりも内側(体幹中心側)を通っている(図9,10参照)。
[0061]
[0062]
[0063]

【0019】
[0064]
本発明の治療用肩装具では、リング状ストラップ1を、例えば約110〜130度(望ましくは約120度)だけ捻じれた状態となるようにして使用する。したがってリング状ストラップ1の素材は、長軸方向では伸びることがなく、短軸方向は捩れに対して戻ろうとする力がある程度働くような素材が選ばれることが望ましい。但し、リング状ストラップ1の素材は、柔らかい布などであってもよい。
[0065]
次に、リング状ストラップ1に備えられる肩パッド3について説明する。リング状ストラップ1をそのまま使用するときは、リング状ストラップ1から患者の肩に対して上方からの圧迫力と側方の摩擦力が働くために褥瘡を作りやすい。よって、リング状ストラップ1に肩パッド3を取り付けることが望ましい。なお、この肩パッド3を取り付ける代わりに、患者の肩の皮膚に貼る皮膚シートを使用することを選択することも可能である。皮膚に用いるゲル状の粘着シートとしては、すでに医療用の創保護シールなどで商品化されているシートを使用できる。このシートを使用するときは、皮膚面に接着成分を施し皮膚にくっ付くが、反対の外側面はストラップが滑走するのを妨げない適度の摩擦を持つ。このシートは、リング状ストラップ1と皮膚との間に介在する緩衝材として、リング状ストラップ1が皮膚に褥瘡を作ることを予防する。また、医師や理学療法士がこのシート上にマーキングを描くことで、リング状ストラップ1が鎖骨を押さえる位置にあるか否かを患者が容易に確認できるようになる。また外側に厚いブロックを設置すると、肩峰にリング状ストラップ1がズレることを防ぐことができる。

【0020】
[0066]
リング状ストラップ1を、肩鎖骨遠位端部を押えるように正確に配置したときは、患部の整復保持に役立つ。しかし、リング状ストラップ1が肩の上を外側方向に滑って肩峰を押さえる位置へ移動すると、逆効果になる。したがって、リング状ストラップ1が肩鎖骨遠位端部を押さえているか、間違って肩峰を押さえていないかをチェックすることは大切である。また、整復のために使用するものであるから、リング状ストラップ1の張力が緩まないことが大切である。
[0067]
[0068]
[0069]

【0021】
符号の説明
[0070]
1 リング状ストラップ
1a リング状ストラップの上方部分
1b リング状ストラップの下方部分
2 空洞部
2a 上方空洞部
2b 下方空洞部
3 肩パッド
4 前腕受け部
5 長さ調整部
10 患者
10a 肩関節
10b 前腕
10c 体幹
T1,T2 リング状ストラップの捻られた部分

Claims (5)

  1. 肩鎖関節脱臼又は鎖骨遠位端骨折における転位した部分と肘を約80〜100度屈曲させて前腕肘近接部との間を連結するように装着されるストラップであって、患者への装着中の形状が、(a)肩鎖骨遠位端部から真下方向に前腕の尺側に向かって走り、(b)前腕の尺側から前腕の尺骨の底面側を通って、前腕の橈側(体幹から離れる側)に回り、(c)前腕の橈側から患側の上腕前方を通り、さらに脇の下を通って、患者の肩関節の後方に向かって上行し、(d)肩の上方を通って、肩鎖骨遠位端部に繋がるように配置されるストラップを含む、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具。
  2. 患者の身体に固定されたときの体位が、上腕が体幹に沿って下垂された肢位で固定され、肘が約80〜100度屈曲して固定され、前腕が水平面で肩甲上腕関節の傾斜に準じて約20〜40度内旋する肢位で固定される、請求項1記載の、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具。
  3. 前記リング状ストラップは、患者の肩が当接又は配置される位置に、肩用パッドを備えるものである、請求項1記載の、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具。
  4. 前記リング状ストラップは、患者の前腕が当接又は配置される位置に、前腕受け部(ポーチ)を備えるものである、請求項1記載の、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具。
  5. 前記リング状ストラップは、その長さを患者の肩と前腕との間の距離に合わせて調節する長さ調節部を備えるものである、請求項1記載の、肩鎖関節脱臼または鎖骨遠位端骨折において上腕を体幹に沿って下垂された肢位で固定する治療用肩装具。
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