JPWO2015093320A1 - 2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素 - Google Patents

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Abstract

【課題】 (−)−ビボ−クエルシトールを単純な工程により、且つ効率的に生産することを目的とする。特に、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換することができる酵素の利用が意図される。【解決手段】 (−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物由来であって、次の(a)乃至(c)の特性を有する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素:(a)2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有する;(b)pH7.0〜9.0で最大活性を示す;及び(c)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した当該酵素のポリペプチド部分の分子質量が約36kDaである。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素及び当該酵素をコードする遺伝子に関する。また、本発明は、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換することができる酵素を利用した、(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法に関する。
(−)−ビボ−クエルシトール((1R,2R,4S,5R)−cyclohexane−1,2,3,4,5−pentol)は、ガガイモ科植物から見出された、以下の化学構造を有する化合物である。
Figure 2015093320
これまでに、(−)−ビボ−クエルシトールは、強力な血糖効果作用を有することが示されている。また、(−)−ビボ−クエルシトールのアミノ化によって得ることができるデオキシイノサミン及びデオキシイノサミジンは、各種の医農薬の合成用中間体となりうる化合物でもある(特許文献1及び2)。
更に、近年になって、(−)−ビボ−クエルシトールの工業的有用性も明らかになってきている。例えば、特許文献3には、(−)−ビボ−クエルシトールが、燃料電池の冷却液の凍結を防止するための添加剤として有用であることが記載されている。当該目的に使用された場合、(−)−ビボ−クエルシトールは、長期間使用した後でさえも酸化されることがなく、好適な特性を維持するとされている。
また、特許文献4には、(−)−ビボ−クエルシトールが溶解と凝固の過程で大量の潜熱を吸熱及び放熱し得ることに着目し、当該化合物を太陽熱の蓄熱や、低廉な夜間電力の効率的な利用のための蓄熱材に応用することが開示されている。
従って、(−)−ビボ−クエルシトールを単純な工程により、且つ効率的に生産することの明白な必要性が存在する。(−)−ビボ−クエルシトールを医薬の有効成分として利用する場合、当該化合物の原体は可能な限り純粋で、未同定の不純物を含むべきではないから、その製造工程もまた可能な限り簡素で、その製造履歴を容易に追跡できるべきである。また、(−)−ビボ−クエルシトールを前記のような工業目的に使用する場合、その生産コストが当該技術の実現性を左右し得る。
古典的には、(−)−ビボ−クエルシトールはガガイモ科の植物から抽出されていた。しかし、近年、より効率的な方法として、ミオ−イノシトールを基質に用いてアグロバクテリウム属又はサルモネラ属の微生物を培養し、その培養液中に(+)−プロト−クエルシトール及び(+)−エピ−クエルシトールとともに(−)−ビボ−クエルシトールを生産させて、当該培養液から(−)−ビボ−クエルシトールを単離する方法が提案されている。或いは、当該アグロバクテリウム属又はサルモネラ属の微生物の菌体をミオ−イノシトールに接触させ、やはりその反応液中に(+)−プロト−クエルシトール及び(+)−エピ−クエルシトールとともに(−)−ビボ−クエルシトールを生産させて、その反応液から(−)−ビボ−クエルシトールを単離する方法が提案されている(特許文献1及び2)。
しかしながら、この方法において、ミオ−イノシトールを(−)−ビボ−クエルシトールに変換するいかなる酵素も単離されておらず、その反応が1つの酵素によるものなのか、又は2つ以上の酵素が関与しているものなのかさえも明らかではない。従って、この方法では、ミオ−イノシトールを基質として微生物を培養するか、或いは少なくとも当該微生物の培養物から得た菌体を利用することが必須になるので、依然としてその工程は煩雑であり、未知の不純物で汚染される危険性を伴う。そしてまた、この方法は、明らかに非効率的である。
特許文献5も、ミオ−イノシトールを基質に用いてエンテロバクター属の微生物であるエンテロバクター sp.AB10114株(FERM P-19319)を培養し、その培養液中に(−)−ビボ−クエルシトールを生産させて、当該培養液から(−)−ビボ−クエルシトールを単離する方法が提案されている。この方法では、ミオ−イノシトールから約25%程度の収率で(−)−ビボ−クエルシトールが得られた(実施例1参照)。しかしながら、やはりこの方法においても、ミオ−イノシトールを(−)−ビボ−クエルシトールに変換するいかなる酵素も単離されていない。従って、この方法でも、ミオ−イノシトールを基質として微生物を培養することが必須になるので、やはりその工程は煩雑であり、未知の不純物で汚染される危険性を伴う。そしてまた、この方法でさえ、目的の(−)−ビボ−クエルシトールを得る際には、労力と時間が要求される微生物発酵工程を避けることはできない。
なお、特許文献6には、前掲の特許文献5の方法で使用されたエンテロバクター sp.AB10114株(FERM P-19319)との接触により、(−)−ビボ−クエルシトールを2−デオキシ−シロ−イノソースに変換する方法が開示されている。つまり、エンテロバクター sp.AB10114株(FERM P-19319)は、(−)−ビボ−クエルシトールを80%もの収率で2−デオキシ−シロ−イノソースに変換したとされている(実施例1参照)。特許文献6においてもいかなる酵素も単離されていないため、その詳細は明らかではないが、仮にその反応が1つの酵素により触媒されるとしても、少なくとも当該酵素活性は、(−)−ビボ−クエルシトールを2−デオキシ−シロ−イノソースに変換する方向に対して優勢であり、実質的な逆反応は進行し難いと看做すのが合理的であろう。
しかるに、本発明者らは、これまでに、下記の反応スキームのようにして、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換することができる酵素が報告された事実を知らない。
Figure 2015093320
特開平11−12210号公報 特開2000−4890号公報 国際公開第WO2005/091413号パンフレット 特開2010−215876号公報 特開2005−70号公報 特開2005−72号公報
従って、本発明は、(−)−ビボ−クエルシトールを単純な工程により、且つ効率的に生産することを目的とする。単純な工程による生産は、不純物の混入のリスクを最小化する。また、効率的な生産により、(−)−ビボ−クエルシトールの工業分野における利用も可能になると予測される。
特に、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換することができる酵素の利用が意図される。つまり、2−デオキシ−シロ−イノソース(以下、「DOI」と略すことがある。)は、グルコースから僅か2段階の酵素反応を介して容易に発酵生産されることが知られており(WO2010/109916号パンフレット、WO10/053052号パンフレット及びWO06/109479号パンフレット等)、非常に安価な原料となり得ると期待される。
本発明者らは、(−)−ビボ−クエルシトール生産能を有する微生物をスクリーニングして、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換することができる微生物を見出した。更に、本発明者らは当該微生物から、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換する触媒活性を有する酵素を単離することに成功した。そして、本発明者らは、当該酵素のアミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列を解明した。従って、本発明の第1の局面は以下のものを包含する。
(1) (−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物由来であって、下記の(a)乃至(c)の特性を有する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素:
(a)2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有する;
(b)pH7.0〜9.0で最大活性を示す;及び
(c)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した当該酵素のポリペプチド部分の分子質量が36kDaである。
(2) 前記微生物が、Pseudomonas属又はBurkholderia属に属する微生物である、上記(1)の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素。
(3) 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
(e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質

(4) 前記タンパク質が(b)乃至(e)のいずれか1つであって、但し配列番号2、4、6及び8で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は除く、上記(3)のタンパク質。
(5) 上記(3)又は(4)に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
(6) 以下の(a)又は(b)のヌクレオチド配列からなる遺伝子:
(a)配列番号1で表されるヌクレオチド配列;又は
(b)配列番号1で表されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続した18塩基からなるヌクレオチド配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハンブリダイズし、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
(7) 前記(b)における少なくとも連続した18塩基からなるヌクレオチド配列が、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23からなる群から選択される配列の全部又は一部である、上記(6)の遺伝子。
また、本発明により、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換する触媒活性を有する酵素を生産する方法も提供される。従って、本発明の第2の局面は以下のものを意図する。
(8) 上記(5)乃至(7)のいずれかの遺伝子を含む(−)−ビボ−クエルシトール変換用組換えベクター。
(9) 上記(5)乃至(7)のいずれかの遺伝子又は上記(8)の組み換えベクターを導入した(−)−ビボ−クエルシトール変換用形質転換体。
(10) 上記(9)の形質転換体を、2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質の生産に適した条件下及び時間培養し、培養物から当該タンパク質を精製して回収することを特徴とする、2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素の生産方法。
また、本発明では、上記の酵素を用いた(−)−ビボ−クエルシトールの生産方法が提供される。当該生産方法に関して、本発明者らは、本発明者らが初めて見出した本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素とのアミノ酸配列相同性検索を行い、その結果これまでにイノシトール 2−デヒドロゲナーゼ活性を有すると推定されていた幾つかのタンパク質が、本発明の新規な2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素と高いアミノ酸同一性を示し、且つ2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換する触媒活性を有することを見出した。本発明者らの知る限りにおいて、これらのタンパク質が2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに直接変換する触媒活性を有することは報告されていない。
従って、本発明の第3の局面は以下のとおりである。
(11) 上記(1)又は(2)の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件下で反応させ、生成した(−)−ビボ−クエルシトールを反応液から回収することを特徴とする、(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法。
(12) 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
(e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質、
を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件下で反応させ、生成した(−)−ビボ−クエルシトールを反応液から回収することを特徴とする、(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法。
更に、本発明により、上記の酵素を用いて2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する方法が提供される。従って、本発明の第4の局面は以下のとおりである。
(13) 上記(1)又は(2)に記載の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10,0の条件下で反応させることを特徴とする、(2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する方法。
(14) 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
(a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
(d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
(e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質、を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件で反応させることを特徴とする、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する方法。
本発明により新規な反応を触媒する酵素が提供される。本発明の酵素を用いることで、(−)−ビボ−クエルシトールを簡易且つ効率的に生産することが可能になる。
図1は、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する能力を有することが確認された微生物の16SrRNA遺伝子配列を示す。 図2は、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素(以下、「DOI還元酵素」又は「DOIR」と略すことがある。)の各精製段階からの試料をSDS-PAGEした結果を示す写真である。右端のレーンから順に:Lane M:Prestained XL−Ladder(Broad);Lane 1: 粗酵素液;Lane 2: 硫安分画;Lane 3: Butyl−トヨパール画分;Lane 4: ResoureQ画分;及びLane 5: ゲルろ過画分(アセトン濃縮);である。 本発明のDOI還元酵素の最適pHを示すグラフである。横軸はpHを、縦軸は吸光度(340nm)の減少速度を指標にした相対活性示す。グラフ中、黒塗りの四角印はクエン酸緩衝液、白抜きの四角印はリン酸カリウム緩衝液(以下、「KPB」と略す。)、黒塗りの丸印はTris−塩酸緩衝液、及び白抜きの丸印はグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液を示す。縦棒は標準偏差を表している。 図4は、既知のイノシトールデヒドロゲナーゼ配列(各配列の左側にGenBank Acession No.が示されている。)、本発明のDOI還元酵素のN末端側アミノ酸配列(DOI reductase Nterm)及び本発明のDOI還元酵素の内部配列(DOI reductase internal)のアラインメントを示す。また、本発明のDOI還元酵素遺伝子を取得するために用いた様々なプライマーの位置を示す。アラインメント中、配列相同性の高い部分を枠で囲んでいる。右向きの矢印(→)はセンス鎖方向のプライマーの位置を、左向きの矢印(←)はアンチセンス鎖方向のプライマーの位置を示す。なお、図中の丸囲い数字は、本文中では括弧囲い数字に対応する。 図5は、本発明のDOI還元酵素遺伝子の増幅に用いたPCRの温度サイクル条件を示す。上段はgradient PCRの条件であり、下段はTAIL-PCRの条件である。 図6は、本発明のDOI還元酵素遺伝子のクローニングの概要を示すスキームである。 図7は、本発明のDOI還元酵素遺伝子の発現用ベクターの構造を示す。 図8は、AKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素のアミノ酸配列と、既知のイノシトール脱水素酵素であるGenBank Accession No.EKS70356.1、GenBank Accession No.ADU72508.1、及びGenBank Accession No.EIK69154.1のアミノ酸配列のアラインメントである。それらの既知のイノシトール脱水素酵素が、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有することはこれまで報告されていない。 図9は、本発明のAKC−020株由来のDOI還元酵素のアミノ酸配列との配列同一性が低く、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する能力が低いことが明らかにされたイノシトール脱水素酵素遺伝子(GenBank Accession No.AAG44816.1)のコード化領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す。 図10は、本発明のAKC−20株由来のDOI還元酵素のアミノ酸配列との配列同一性が低く、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する能力が低いことが明らかにされたイノシトール脱水素酵素遺伝子(GenBank Accession No.CAB12924.1)のコード化領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す。 図11は、本発明のAKC−020株由来のDOI還元酵素のアミノ酸配列との配列同一性が低く、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する能力が低いことが明らかにされたイノシトール脱水素酵素遺伝子(GenBank Accession No.CAB15358)のコード化領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を示す。 図12は、組換え生産した酵素をSDS−PAGEした結果を示し写真である。
1. 2−デオキシシロ−イノソース還元酵素
本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素は、(−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物から単離された。従って、本明細書に具体的に記載されたものの他にも、(−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する他の微生物から本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を得ることができる。そのような微生物を選択する方法としては、例えば、(+)−プロト−クエルシトール、(−)−プロト−クエルシトール、(+)−ビボ−クエルシトール、(−)−ビボ−クエルシトール、(+)−エピ−クエルシトール、(−)−エピ−クエルシトール、(+)−ガラ−クエルシトール、(−)−ガラ−クエルシトール、(+)−タロ−クエルシトール、(−)−タロ−クエルシトール、(+)−アロ−クエルシトール、(−)−アロ−クエルシトール、シロ−クエルシトール、ネオ−クエルシトール、cis−クエルシトール、ムコ−クエルシトールのうちの一種以上を唯一の炭素原として培養した際に、良好な生育を示す微生物を分離すればよい。これらのうち、好ましい炭素源としては、直接的な目的物である(−)−ビボ−クエルシトールがより好ましいが、(−)−ビボ−クエルシトール及びその他クエルシトール異性体を含有した混合物を用いても構わない。例えば、特開2000−4890号公報に記載の方法を実施して得られる(+)−プロト−クエルシトール、(+)−エピ−クエルシトール及び(−)−ビボ−クエルシトールの混合物や、化学触媒を用いて2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)に水添することで得られる(−)−ビボ−クエルシトールとシロ−クエルシトールの混合物を利用してもよい。
より具体的な例としては、土壌サンプルの希釈液を、約0.6%(W/V)の(−)−ビボ−クエルシトールとシロ−クエルシトールの混合物を含む寒天平板上に接種する。当該培地には、好ましくは無機窒素原(例えば、約0.6%(W/V)の硫酸アンモニウム)及び一般的な微生物の生育に必要な無機塩(例えば、MgSO、KHPO及びNaCl等)を添加してよい。その後、寒天平板を20〜30℃程度の温度で1日〜1週間程度培養し、出現したコロニーを単離すればよい。
また、そのようにして単離した微生物の中から、より高い2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示す菌株を選抜することは有利である。当該目的のために、単離した菌株の細胞を超音波処理により破砕して細胞抽出液を得る。当該抽出液を基質:2−デオキシ−シロ−イノソース(DOI)を含む緩衝液と混合し、そこに補酵素:NADHを加えることで酵素反応を開始させる。そして、当該反応液中でNADHがNADHに変換する速度、つまり2−デオキシ−シロ−イノソースが還元される速度を、反応液が所定時間内に示す吸光度の変化として測定して、より高い2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示す菌株を選抜することができる。
更に、本発明の酵素は高いジアステレオマー過剰率で(−)−ビボ−クエルシトールを生成すべきである。それにより、生成物から一方のジアステレオマーを分離するという、非効率的な工程を省略し得るからである。従って、選抜した菌株をジアステレオマーの生産性に関して特性化することが好ましい。この目的のために、例えば、細胞抽出液をDOI及びNADHと混合する。また、その反応を実施する際に補酵素再生系としてギ酸脱水素酵素及びギ酸ナトリウムを共存させることで、酵素反応を十分に進行させる。反応後、例えばShodex KS−801(商品名。昭和電工株式会社製)によるHPLCで反応液を分析して、
Figure 2015093320

を計算することで、高いジアステレオマー過剰率で(−)−ビボ−クエルシトールを生成する菌株を同定することができる。80%以上のジアステレオマー過剰率で2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換できる菌株が好ましく、85%以上のジアステレオマー過剰率で2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換できる菌株がより好ましく、95%以上のジアステレオマー過剰率で2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換できる菌株が最も好ましい。
本発明者らは、上記した方法により菌株の単離、選抜及び特性化を行った結果、6株のPseudomonas sp.、1株のBurkholderia sediminicola、2株のBurkholderia terrae、及び1株のBurkholderia sp.が、DOIから80%以上の高いジアステレオマー過剰率で(−)−ビボ−クエルシトールを生産する能力を有していることを見出した。
従って、本発明の(−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物は、Pseudomonas属又はBurkholderia属の微生物からスクリーニングすることが有利であり得る。特に好ましい微生物としては、本発明者らが単離し命名した、Burkholderia terrae AKC−020株及びPseudomonas sp.AKC−019株が挙げられる。
Burkholderia terrae AKC−020株は、2013年11月1日に、NITE P−01745として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)により受託されている。Pseudomonas sp.AKC−019株は、2013年10月24日に、NITE P−01740として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)により受託されている。
更に本発明者らは、Burkholderia terrae AKC−020株から本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を精製することに成功した。簡単にいうと、AKC−020株の培養細胞を超音波破砕し、その上清に硫酸アンモニウムとKPBを加えて30%飽和硫酸アンモニウム溶液とした。当該30%飽和硫酸アンモニウム溶液の上清を疎水クロマトグラフィーに通し、硫酸アンモニウムの濃度勾配で活性画分を溶出した。次ぎに活性画分をMOPS緩衝液で透析後、陰イオン交換クロマトグラフィーに付し、NaClの濃度勾配で活性画分を溶出した。最後に、ゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。ゲル濾過クロマトグラフィーにおいては、活性画分は分子質量が約130KDaに対応する保持時間で溶出したが、その後、SDS-PAGEにより更に純度を確認したところ、約36KDaに単一のバンドが認められた。従って、AKC−020株が生産する本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素は、溶液中でホモ4量体を形成していることが推定される。
更に、本発明者らはAKC−020株が生産する本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素の諸性質を調べた。当該酵素はpH7.0〜9.0で最大活性を示した。また、当該酵素は、酸化活性評価、つまり2−デオキシ−シロ−イノソースを還元して(−)−ビボ−クエルシトールを生成するのとは逆反応の評価において、ミオイノシトールより(−)−ビボ−クエルシトールに対して高い基質特異性を示した。
従って、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素は、(−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物由来であって、以下の特性を有するものとして定義できる:
(a)2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有する;
(b)pH7.0〜9.0で最大活性を示す;及び
(c)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した当該酵素のポリペプチド部分の分子質量が36kDaである。
上記に加えて、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素は、以下の特性を有するものとしても定義できる:
(d)80%以上のジアステレオマー過剰率で2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する;及び
(e)酸化活性評価において、ミオイノシトールより(−)−ビボ−クエルシトールに対して高い基質特異性を示す。
2. 2−デオキシシロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質
本発明者らは、更に、AKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素のN末端配列及び内部配列、並びにそれと関連性があると想定された既知のイノシトールデヒドロゲナーゼ(以下、「IDH」と略すことがある。)遺伝子のコード化配列を考慮して、およそ20個の縮重プライマーを作製し、AKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素遺伝子を取得することに成功した。そして、同遺伝子のコード化領域から、AKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素のアミノ酸配列を以下のように同定した:
Figure 2015093320
従って、上記アミノ酸配列を有するタンパク質が本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示すことは明らかであるが、それとの均等物を本発明の目的のために使用できることも当業者は理解するであろう。その目的のために、本発明者らは更に上記の配列番号2と相同性を示す既知アミノ酸配列を検索した。そして、本発明者らは検索された配列を有するタンパク質を大腸菌内で組換え発現させ、それらのアミノ酸配列を有するタンパク質の酵素活性を測定した。その結果、イノシトール脱水素酵素の幾つかは、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示すことが判明した。
より具体的にいうと、配列番号2と58%以上のアミノ酸配列同一性を示す以下の3つの配列(図8参照)を有するタンパク質は、AKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素と同程度の2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を示した。
Figure 2015093320
しかしながら、上記3つのイノシトール脱水素酵素のいずれについても、これまでに、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有することは報告されていない。更に、配列番号2とより低い相同性(50%以下)を示すイノシトール脱水素酵素では、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性が僅かであるか、全くないことが判明した。
従って、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質は、配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり得る。配列番号2に表されるアミノ酸配列に対して68%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、79%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましく、85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が更に好ましく、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がいっそう好ましく、95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が特に好ましい。
また、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質は、配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり得る。配列番号4に表されるアミノ酸配列に対して64%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、79%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましく、85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が更に好ましく、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がいっそう好ましく、95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が特に好ましい。
更に、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質は、配列番号6に表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり得る。配列番号6に表されるアミノ酸配列に対して65%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましく、85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が更に好ましく、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がいっそう好ましく、95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が特に好ましい。
そして、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質は、配列番号8に表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり得る。配列番号8に表されるアミノ酸配列に対して64%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、68%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が好ましく、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がより好ましく、85%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が更に好ましく、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質がいっそう好ましく、95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が特に好ましい。
上記において、配列番号4と配列番号6は56%の同一性を示し、配列番号4と配列番号8は64%の同一性を示し、配列番号6と配列番号8は54%の同一性を示す。
なお、本明細書において、アミノ酸配列の同一性は、二つの配列を最適の態様で整列させた場合に、二つの配列間で共有する一致したアミノ酸の個数の百分率で示される(一致した位置のアミノ酸の個数/整列させたアミノ酸の個数×100)。インターネットサイトhttp://www.ncbi.n/m.nih.gov/egi−gin/BLASTで実装可能なBLASTアルゴリズムによって算出される。
加えて、本発明のAKC−020株が生産する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素と58%以上のアミノ酸配列同一性を示す上記3つイノシトール脱水素酵素との間では、以下の8つの部分配列が高度に保存されていた(図8参照)。従って、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質はそれら8つの部分配列のうちの1つ以上を有していることが好ましい。
Figure 2015093320
更に、2つのタンパク質分子のアミノ酸配列が完全に同一でなくとも、両方の分子が実質的に類似の構造を有する場合、それらが同じ生物活性を示すことが知られている。例えば、ロイシンをバリンに、リシンをアルギニンに、グルタミンをアスパラギンに置換してもタンパク質の機能を変化させないこともありうる。従って、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質も本発明の目的のために好適に使用し得る。
3. 遺伝子
後記のとおり、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素及び当該酵素活性を有するタンパク質を生産するにあたり、当該酵素又はタンパク質をコードする遺伝子を使用することは有利である。
例えば、本発明者らがAKC−020株から分離し配列決定した2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素遺伝子で適切な宿主細胞を形質転換して、当該酵素を効率的に生産させることができる。当該遺伝子のコード化領域のヌクレオチド配列を以下に示す。
Figure 2015093320
また、本発明の目的に利用できる2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素遺伝子は、自然界で発生し得るすべての変異や、人工的に導入された変異及び修飾を有していてもよい。例えば、特定のアミノ酸をコードする種々のコドンには余分のコドン(redundancy)が存在することが知られている。そのため本発明においても同一のアミノ酸に最終的に翻訳されることになる代替コドンを利用してよい。つまり、遺伝子コードは縮重しているので、ある特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンを使用でき、そのためアミノ酸配列は任意の1セットの類似のDNAオリゴヌクレオチドでコードされ得る。そのセットの唯一のメンバーだけが天然型酵素の遺伝子配列に同一であるが、ミスマッチのあるDNAオリゴヌクレオチドでさえストリンジェントな条件下で天然型配列にハイブリダイズでき、天然型配列をコードするDNAを同定、単離でき、更にそのような遺伝子も本発明において利用できる。なお、本明細書において、ストリンジェントな条件とは、Molecular cloning−a Laboratory manual 2nd edition(Sambrookら、1989)に記載の、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M 塩化ナトリウム、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5% SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温しハイブリダイズさせ、その後、例えば2xSSC、0.1%SDS及び68℃で洗浄する条件をいう。
前記のとおり、本発明者らが発見した2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素と58%以上のアミノ酸配列同一性を示す既知の3つのイノシトール脱水素酵素(IDH)が存在した。そして、本発明者らは、これら3つのIDHも、これまでに報告されていなかった2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示すことを初めて明らかにした。更に、本発明者らは、本発明者らが発見した2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素のアミノ酸配列と当該3つのIDHのアミノ酸配列のアラインメントにより、前記8つの領域でアミノ酸配列が高度に保存されていることを見出した。従って、当該8つの領域のいずれかのアミノ酸配列をコードするヌクレオチドの全長またはその一部に相補的なDNAをプローブとして用いることで、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を示すタンパク質をコードする遺伝子を容易に分離できることを当業者は理解するであろう。つまり、典型的には下記の8つのヌクレオチド配列のいずれかに相補的な配列の全長又はその一部、例えば連続した15塩基、18塩基、20塩基からなるDNAを、本発明の遺伝子を検索するプローブとして利用することが好ましい。
Figure 2015093320
更に、ほとんどの生物は特定のコドン(最適コドン)のサブセットを優先的に用いることが知られているので(Gene、Vol.105、pp.61−72、1991等)、宿主微生物に応じて「コドン最適化」を行うことは本発明においても有用であり得る。従って、本発明の遺伝子は、配列番号1で表されるヌクレオチド配列において、1又は数個のヌクレオチドが欠失、置換、及び/又は付加されたヌクレオチド配列であって、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有していてもよい。
4. 2−デオキシシロ−イノソース還元酵素の生産方法
本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素及び2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質は、遺伝子組換え技術を利用して容易に製造することができる。典型的には、それらの酵素タンパク質をコードする遺伝子が発現カセットとして宿主細胞に導入される。そして、そのような形質転換宿主細胞内(以下、「形質転換体」ともいう。)で安定的にタンパク質を発現させ得る。
本明細書において、発現カセットとは、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子に機能的に結合された転写および翻訳をレギュレートする塩基配列を含むヌクレオチドを意味する。典型的に、本発明の発現カセットは、コード配列から5’上流にプロモーター配列、3’下流にターミネーター配列、場合により更なる通常の調節エレメントを機能的に結合された状態で含み、そのような場合に、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子が宿主細胞に「発現可能に導入」される。
プロモーターは、構造性プロモーターであるか調節プロモーターであるかに拘わらず、RNAポリメラーゼをDNAに結合させ、RNA合成を開始させるDNA配列と定義される。強いプロモーターとはmRNA合成を高頻度で開始させるプロモーターであり、本発明においても好適に使用される。lac系、trp系、TAC又はTRC系、λファージの主要オペレーター及びプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、解糖系酵素(例えば、3−ホスホグリセレートキナーゼ、グリセルアルデヒド‐3‐リン酸脱水素酵素)、グルタミン酸デカルボキシラーゼA、セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼに対するプロモーター等が、その宿主細胞の性質等に応じて利用可能である。プロモーターおよびターミネーター配列のほかに、他の調節エレメントの例として挙げられ得るのは、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点などである。好適な調節配列については、例えば、”Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185”、Academic Press (1990)に記載されている。
上記で説明した発現カセットは、例えば、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、コスミド、又は線状もしくは環状のDNA等から成るベクターに組み入れて(つまり、組換えベクター)、宿主細胞中に挿入される。プラスミドおよびファージが好ましい。これらのベクターは、宿主細胞中で自律複製されるものでもよいし、また染色体により複製されてもよい。好適なプラスミドは、例えば、大腸菌のpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223−3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN−III113−B1、λgt11又はpBdCI;桿菌のpUB110、pC194又はpBD214;コリネバクテリウム属のpSA77又はpAJ667などである。これらの他にも使用可能なプラスミド等は、”Cloning Vectors”、Elsevier、1985に記載されている。ベクターへの発現カセットの導入は、適当な制限酵素による切り出し、クローニング、及びライゲーションを含む慣用の方法によって可能である。
上記ようにして本発明の発現カセットを有する組換えベクターが構築された後、該ベクターを宿主細胞に導入して形質転換するために適用できる手法として、例えば、共沈、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションなどの慣用のクローニング法およびトランスフェクション法が使用される。それらの例は、「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」、F. Ausubelら、Publ.Wiley Interscience、New York、1997、またはSambrookら、「分子クローニング:実験室マニュアル」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載されている。
本発明の宿主細胞としては、原核細菌、Saccharomyces属やPichia属等の酵母、SF9等の昆虫細胞、CHO、COS7等の動物細胞があげられる。好ましい宿主は、エッシェリシア、シュードモナス、バチルス、ゲオバチルス、メタノモナス、メチロバシラス、メチロフィリウス、プロタミノバクター、メチロコッカス、コリネバクテリウム、ブレビバクテリウム、ザイモモナスおよびリステリア属の細菌である。特に、工業的発酵生産において利用が確立している、大腸菌、バチルス属細菌、コリネバクテリウム属細菌、ザイモモナス属細菌がいっそう好ましい。大腸菌は、その迅速な生育能力や発酵管理の容易さ故に、とりわけ好ましい本発明の宿主微生物の例である。
上記のようにして得られる形質転換微生物は、本発明の酵素タンパク質の生産のために、前記形質転換微生物の生育に適した条件下で培養される。各種の宿主微生物細胞に由来する形質転換体のための好適な培地組成、培養条件、培養時間は当業者に公知である。培地は、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン、及び場合により微量元素乃至ビタミン等の微量成分を含む天然、半合成、合成培地であってよい。しかし、使用する培地は、培養すべき形質転換微生物の栄養要求を適切に満たさなければならないことは言うまでもない。更に培地は、形質転換微生物が有用な付加的形質を発現する場合、例えば抗生物質への耐性マーカーを有する場合、対応する抗生物質を含んでいてよい。それにより、発酵中の雑菌による汚染リスクが低減される。なお、付加的形質に関連して、後の精製が容易になるように、本発明の酵素及びタンパク質を、他のタンパク質やタグ、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ、プロテインA、ヘキサヒスチジンタグ、FLAGタグ等との融合タンパク質として形質転換体に生産させることも可能である。生産させた融合型は、適当なプロテアーゼ、例えばトロンビン等を用いて切り出すことが可能である。
培養は、バッチ式であっても連続式であってもよい。また、いずれの場合にも、培養の適切な時点で追加の前記炭素源等を補給する形式であってもかまわない。更に、培養は、好適な温度、酸素濃度、pH等を維持しながら継続されるべきである。一般的な微生物宿主細胞に由来する形質転換体の好適な培養温度は、通常15℃〜45℃、好ましくは25℃〜37℃の範囲である。宿主微生物が好気性の場合、発酵中の適切な酸素濃度を確保するために振盪(フラスコ培養等)、攪拌/通気(ジャー・ファーメンター培養等)を行う必要がある。それらの培養条件は、当業者にとって容易に設定可能である。
次いで、本発明の酵素タンパク質の生産に適した条件下で適切な時間培養された培養物から、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質を精製する。つまり、当該タンパク質が形質転換微生物の細胞内に蓄積される場合には培養細胞からタンパク質を精製すればよく、それが形質転換微生物の細胞外に放出される場合には培養上清からタンパク質を精製すればよい。幾つかの精製方法が利用できる。例えば、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーの種々の組合せ、又は個々の適用により、細胞溶解液又は抽出液或いは培養上清から本発明の酵素タンパクを精製できる。
本発明の酵素タンパク質の精製に関する具体的な例としては、培養細胞を超音波破砕し、その上清に硫酸アンモニウムを加えて30%飽和硫酸アンモニウム溶液とする。当該30%飽和硫酸アンモニウム溶液の上清を疎水クロマトグラフィーに通し、硫酸アンモニウムの濃度勾配で活性画分を溶出する。次に活性画分を透析後、陰イオン交換クロマトグラフィーに付し、NaClの濃度勾配で活性画分を溶出する。最後に、ゲル濾過クロマトグラフィーにより精製することができる。
5. (−)−ビボ−クエルシトールの製造方法
本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質を利用することで、極めて簡便且つ効率的に2−デオキシ−シロ−イノソースから(−)−ビボ−クエルシトールを製造することができる。つまり、本発明者らが発見した配列番号2のアミノ酸配列を有する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を利用できるのは勿論のこと、これまでにイノシトール脱水素酵素活性を示すことしか知られていなかったが、本発明者らが初めて2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性をも有していたことを明らかにした、配列番号4、6及び8で各々示されるタンパク質も(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法において利用可能である。なお、それらの遺伝子のコード化領域は、それぞれ以下のとおりである。
Figure 2015093320
本発明の当該酵素反応は、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素が最大活性を示すpHであるpH約5.0〜約10.0の範囲の緩衝液内で行えばよい。前記pHは、好ましくは5.5〜9.5であり、最も好ましくは7.0〜9.0である。例えば、そのようなpH範囲に調整したKPBやTris−塩酸緩衝液を用いることができる。反応に使用する本発明の酵素の量は、基質濃度や所望の反応時間等により適宜選択できるが、通常、5〜500U/Lであればよい。
当該酵素反応の基質である2−デオキシ−シロ−イノソースは、例えば、WO2010/109916号パンフレット、WO10/053052号パンフレット及びWO06/109479号パンフレット等に記載の方法により容易に得ることができる。当該基質を前記緩衝液に所望の濃度で溶かせばよく、10〜500mMを例示できるが、これに限定されない。一方、本発明の還元酵素反応を行うためには、補酵素としてNADHを反応系に添加することが必須である。添加するNADHの量は基質の量より過剰であればよいが、通常、基質の1.2〜2倍程度であれば十分である。反応時間は、反応液中の(−)−ビボ−クエルシトールの濃度を経時的にモニターし、その生成量が最大となった時点とすればよいが、より簡便には、NADHがNADHに変換することで変化する緩衝液の吸光度(例えば、波長340nm)を観察し、その変化が起こらなくなった時点とすることもできる。好適な反応時間の例としては、20分〜120時間が挙げられ、 酵素の安定性の観点から、30分〜60時間が好ましく、30分〜10時間がより好ましく、30分〜3時間が最も好ましい。反応温度は、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質の最大活性に照らして決定すればよく、典型的には約15〜40℃、好ましくは25〜30℃であり得る。
上記の酵素反応物から(−)−ビボ−クエルシトールを極めて簡単に且つ高純度で単離することができる。つまり、本発明の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質はきわめて高い収率及びジアステレオマー過剰率で2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換するから、クロマトグラフィーのような煩雑な工程の使用を回避し得る。例えば、反応が終了した反応液を適宜濃縮し、低級アルコールを加えて再結晶するだけで(−)−ビボ−クエルシトールを単離することができる。具体的な例としては、(−)−ビボ−クエルシトールの含有量が20〜50%(W/V)になる程度に酵素反応液を濃縮し、そこに0.5〜2倍量のエタノールを添加する方法が挙げられる。
以上の説明を与えられた当業者は、本発明を十分に実施できる。以下、更なる説明の目的として実施例を与え、従って、本発明は当該実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において得に断りのない限り、「%」は質量/容量の百分率(%(W/V))を表す。また、ヌクレオチド配列は5’から3’方向に向けて記載される。
1.(−)−ビボ−クエルシトール資化菌のスクリーニング
0.85%食塩滅菌水に土壌を約0.1g加え、よく撹拌した。その後、3時間静置し、砂や植物の根等を沈殿させ、0.1mlの上澄み液をクエルシトール寒天培地(組成は表1に示す。)に塗布した。30℃で1−2日間培養し、生育した菌の単離作業をLB寒天培地(組成は表1に示す。)によって行った。シングルコロニーにした菌株は、スラント培地(クエルシトール寒天培地)に植菌し30℃で培養後、4℃で保存した。本実験を63回実施することで、109株の土壌菌を取得した。
Figure 2015093320
2.2−デオキシシロ−イノソース(DOI)を(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する能力を有する微生物の取得
上記で取得した109株の土壌菌をそれぞれ2mLのクエルシトール培地(組成は、上記寒天培地から寒天を除いた組成)に植菌し、30℃で1〜2日間培養した。これらのうち45株については良好な生育が認められたため、培養液を遠心(1,5000rpm、10分間、4℃)し、集菌した。集菌した菌体を2mLの20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁して超音波破砕装置(株式会社トミー精工、UD−200、出力:60W、周波数:20kHz)で30秒間の処理を5回繰り返し、菌体を破砕し、遠心(1,5000rpm、10分間、4℃)して上清を回収した。回収液を粗酵素液とし、以下の手順で酵素反応評価を行った。
(1)酵素反応の評価
反応液の組成は以下のとおりである。なお、使用した粗酵素液は10μlであった。
Figure 2015093320
酵素反応は補酵素NADHがNADに変換する量を分光光度計で定量する事で測定した。すなわち、DOI以外の反応組成液(990μl)をキュベットに取り、25℃で約5分間予備加温した。DOI溶液(10μl)を加えた後、速やかに混和し、水を対照に25℃に制御された分光光度計(島津製作所、UV−2550)を用いて2分間の吸光度(波長340nm)の減少速度を測定し、1分間当たりの吸光度減少量を算出した。次に波長340nmにおけるNADHの分子吸光係数を6.22mM−1cm−1とし1分間に1μmolのNADHが減少する量を1unit(U)と定義して、粗酵素液1mL当たりのUを算出して各菌株の評価を行った。これらの結果、0.2U/mL(粗酵素液)を超える活性を示す10株の微生物を取得することに成功した。
(2)ジアステレオマー過剰率の評価
次にこれら10株から上記と同様に粗酵素液を取得し、DOIから(−)−ビボ−クエルシトールへの反応におけるジアステレオマー過剰率を評価した。具体的に、ギ酸脱水素酵素(以下FDH、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 製品番号244678)による補酵素再生系を用いて、DOI変換を行った。表3に変換反応液の組成を示す。反応液は30℃で振盪しながら3時間インキュベートした。反応終了後、遠心(15,000rpm,15分間)し、上清のHPLC分析(条件は表4に示す。)により(−)−ビボ−クエルシトールとシロ−クエルシトールの定量を行った。
Figure 2015093320
Figure 2015093320
ジアステレオマー過剰率の計算は、以下の式で算出した。10株すべてにおいて、80%以上の高いジアステレオマー過剰率を達成していた。
Figure 2015093320
3.微生物の同定
微生物の同定のため、ゲノムの抽出を行った。4mlのLB培地で培養・集菌後、0.72mlの0.05M Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、リゾチームを添加した。37℃で30分間インキュベート後、さらに0.08mlの2M NaCl及びプロティナーゼK、0.08mlの10%SDS添加し37℃で10分間処理した。トリス飽和フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(比率50:48:2)溶液を等量添加し、激しく攪拌後、遠心(1,5000rpm、10分間、4℃)した。上層を新しいチューブに移し、2倍量のエタノールを添加し、遠心(1,5000rpm、10分間、4℃)して上清を捨てた。70%エタノールでリンスを2回行い、0.1mlの0.05M Tris−HCl(pH8.0)に再懸濁し、RNaseを加え、37℃で1時間処理した。0.4mlの0.05M Tris−HCl(pH8.0)と0.1mlの2M NaClを加え、フェノール/クロロホルム抽出を繰り返し、エタノール沈殿後、70%エタノールでリンスを2回行った。得られゲノムを0.5mlの0.05M Tris−HCl(pH8.0)に懸濁した。得られたゲノムを鋳型に16SrRNA遺伝子の一部配列をPCRで増幅し、その一部塩基配列をABI PRISM(登録商標)310 Genetic Analyzerを用いて決定した。16SrRNA遺伝子の増幅条件を表5に示す。
Figure 2015093320
BLAST search(検索対象となるデータベースとして16S ribosomal RNA sequencesを使用。)を用いた16SrRNA遺伝子による同定の結果、先に取得した10株の微生物は、6株がPseudomonas sp.、1株がBurkholderia sediminicola、2株がBurkholderia terrae、最後の1株がBurkholderia sp.として帰属された。これらの菌株の16SrRNA遺伝子を図1中に、それぞれ配列番号74〜83として示した。また、これら菌株のうち、Burkholderia terraeに属する菌株の一株をAKC−020株、Pseudomonas sp.に属する菌株の一株をAKC−019株と命名した。
4.DOI還元酵素の精製
Burkholderia terrae AKC−020株をLB液体培地を用いて30℃で一晩振とう培養し、これを前培養液とした。1mlの前培養液を100mlの酵母エキス/Tryptone/DOI培地(組成は表6に示す。)に加えて本培養を行った。本培養は500ml容積の坂口フラスコに100mlの培地を入れ、回転数120rpm、30℃、24時間の条件で行った。
Figure 2015093320
100mlの培養液を集菌し、25mlの0.02Mリン酸カリウム緩衝液(KPB)(pH7.0)に再懸濁後、氷上で30秒の間隔で5分間超音波破砕(株式会社トミー精工、超音波破砕装置UD−200、出力:200W、周波数:20kHz)を行った。破砕液を遠心(15,000rpm、10分間、4℃)して上清に5.4gの硫酸アンモニウムとKPBを加えて35mlの30%飽和硫安濃度溶液とした。氷上で40分間冷却後に遠心(1,5000rpm、10分間、4℃)して上清を硫安沈殿画分とした。
次に疎水クロマトグラフィーを行った。使用カラム剤はトヨパールButyl−650M(東ソー株式会社)であり、使用したオープンカラムのサイズはφ2.5cm×6.5cm、カラム体積は約30ml、流速は約0.8ml/分、フラクションサイズは約5ml/本、流量400mlで30%から0%の硫酸アンモニウム濃度勾配にして溶出した。
疎水クロマトグラフィーの画分をMOPS緩衝液で透析後、次に陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。使用カラムはRESOURCE Q 1ml(GEヘルスケア)、流速は1ml/分、フラクションサイズは1ml/本、20mM MOPS緩衝液(pH7.0)を用いて流量20mlで0Mから0.5MのNaCl濃度勾配で溶出した。使用機器AKTA purifier (GEヘルスケア)を用いた。
最後にゲルろ過クロマトグラフィーを行った。使用カラムはTSK−GelG3000SW(カラムサイズ21.5mmI.D.×30cm、東ソー社製)、流速は1ml/分、フラクションサイズは1ml/本、0.3M NaClを含む0.02M KPB(pH7.0)で溶出した。分子量マーカ−としてオリエンタル酵母株式会社製のMW−Marker(商品名)を用いた。使用機器として島津製作所製HPLCを用いた。
酵素液中のタンパク質濃度はBradford法によって測定した。タンパク質定量試薬にはProtein Assay Reagent(Bio−Rad社)、スタンダードにはウシ血清アルブミン(BSA)溶液を用いた。B.terrae AKC−020株はDOI還元酵素を発現させるためにDOI含む培地で培養した。培養の結果、100mlの培地で湿重量0.3gの菌体が得られた。DOIに対する全活性は78.7Uであった。硫安分画、Butyl−トヨパール650M、ResoureQ、TSK−GelG3000SWでDOI還元酵素の精製を行った際の精製結果とSDS−PAGE結果をそれぞれ、表7及び図2に示す。
Figure 2015093320
TSK−Gel G3000 SWカラムを用いたゲル濾過クロマトグラフィーの結果より、精製酵素の保持時間は76.66分であった。また同HPLC条件でのMW−Marker(馬心筋チトクロームc(分子量12,400)酵母ミオキナーゼ(分子量32,000)酵母エノラーゼ(分子量67,000)豚心筋乳酸脱水素酵素(分子量142,000)酵母グルタミン酸脱水素酵素(分子量290,000))のそれぞれの保持時間は105.44、94.89、86.40、76.70、65.01分であった。よって水溶液中の精製酵素は、分子質量が約130kDaと同定された。一方、SDS−PAGEの結果(図2)より、モノマーの分子質量は約36kDaのため、本酵素はホモ4量体であると推定される。
5.精製DOI還元酵素の諸性質
(1)最適pH
DOIの還元は補酵素NADHがNADに変換する量を分光光度計で定量する事で測定した。0.3μmolのNADHを含む各pHの0.1Mの緩衝液980μLに10μL酵素液を加えて、25℃で5分間予備加温を行った。0.1MのDOIを10μL加えてから素早く混合し、分光光度計で2分間の吸光度(波長340nm)の減少速度を測定し、各pHにおける活性を比較した。結果を図3に示した。
(2)基質特異性
還元反応と逆方向に進行する際のDOIの基質特異性を、補酵素NADがNADHに変換する量を分光光度計で定量する事で測定した。1.0μmolのNADを含む0.1Mの緩衝液980μLに10μL酵素液を加えて、25℃で5分間予備加温を行った。0.1Mの各基質を10μL加えてから素早く混合し、分光光度計で2分間の吸光度(波長340nm)の増加速度を測定し、各基質による活性を比較した。波長340nmにおけるNADHの分子吸光係数を6.22mM−1cm−1とし1分間に1μmolのNADHが変換する量を1unit(U)と定義した。結果を表8に示した。表中、N.D.は反応が認められなかったことを表す。
Figure 2015093320
(3)Km値及びVmax
酵素活性は、補酵素NADHまたはNADが変化する量を分光光度計で定量する事で測定した。波長340nmにおけるNADHの分子吸光係数を6.22mM−1cm−1とし1分間に1μmolのNADHが変換する量を1unit(U)と定義した。またBradford法によって酵素液中のタンパク質濃度を測定した。0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.3、1.0、2.0mMの基質濃度における活性を測定してDOIに対するKm値及びVmaxを算出した。また、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2mMの補酵素濃度における活性を測定してNADHに対するKm値を算出した。更に、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0mMのクエルシトール濃度における活性を測定し、クエルシトールに対するKm値及びVmaxを算出した。同じく、0.02mMから0.04、0.06、0.1、0.2、0.3mMのNAD濃度における活性を測定してNADに対するKm値を算出した。結果を表9に示した。
Figure 2015093320
6.DOI還元酵素遺伝子(DOIR遺伝子)のクローニング
論文等によりinositol dehydrogenase(IDH)活性を持つことが報告されている既知酵素のアミノ酸配列をデータベースより取得した。これらのアミノ酸配列の相同性の高い領域とDOIRのN末端アミノ酸配列および内部アミノ酸配列により、合計8か所の縮重プライマー設計領域を選抜した。作成したアライメントおよび縮重プライマー配列を表10及び図4に示す。PCR条件を表11及び図5に示す。
詳しく説明すると、B.terrae AKC−020株より抽出したゲノムDNAを鋳型にして、上記のように設計した縮重プライマーを用いて1st PCR(アニール温度条件を45〜60℃の範囲のgradient PCR)を行った。様々なプライマーの組合せによるPCRを行った結果、DOIRdgF1/DOIRdgR8 のプライマーセット(表10と図4の(1)及び(17)で、アニーリング温度60℃程度で約900bpのバンドの増幅が確認できた。この増幅断片を鋳型に用い、内部領域のプライマーを用いた2nd PCR(nested PCR)による増幅断片の絞り込みを行った結果、DOIRdgF1/DOIRdgR7Qのプライマーセット(表10と図4の(1)及び(15))において約700bpの断片が増幅し、この塩基配列がコードするアミノ酸配列は既知のIDHアミノ酸配列と34〜53%程度の相同性を示した。
そこで、取得したDOIR遺伝子の部分断片の配列情報を基にプライマー((18)〜(23))を作製し、TAIL−PCR(Thermal asymmetric interlaced PCR)を実施した(それらのプライマーも表10に示した。)。なお、下流領域のクローニングのためのforward primerに(18)〜(20)を用いreverse primerに(25)を用いたTAIL−PCRと、forward primerに(31)を用いreverse primerに(21)〜(23)を用いたTAIL−PCRにより、それぞれ下流領域と上流領域の配列を含むPCR産物が得られた。これらの塩基配列情報からDOIRのORFを含む約3.0kbの塩基配列が推定できた。DOIR遺伝子のORFの上流の約150bpと下流の約70bpの位置の配列を用いてプライマー(表10と図4の
(32)及び(33))を作製し、再度B.terraeゲノムDNAを鋳型に用いたPCRを行い、DOIR遺伝子のORF全長を含む約1.2kbの領域を増幅した。この増幅断片を精製し、ダイレクトシークエンスによりDOIR遺伝子配列を確定した。
Figure 2015093320

Figure 2015093320
Figure 2015093320
7.DOIR遺伝子と既知遺伝子の相同性
DOIR遺伝子は全長990bp、330アミノ酸残基からなるORFを有していた(配列番号1及び2)。アミノ酸配列から推定される分子量は36195.12であり、またそのアミノ酸配列中には精製酵素の配列解析から得られたN末端”MIRIAVLGAGRI”(配列番号66)及び内部アミノ酸配列”AELEAFVDALNTN”(配列番号67)を含んでいた。DOIRのアミノ酸配列をBLAST相同性検索(検索対象となるデータベースとしてUniProtKB/SwissProtを使用。)した結果、ある種の微生物由来inositol 2−dehydrogenase(IDH)と約80%の相同性を有する例がある事が分かった。ただし、これらの既知配列はアミノ酸配列の相同性からIDHと分類されているものが大半であり、実際にIDH活性が報告されているものは表12に示した程度である。
Figure 2015093320
8.発現用ベクターpETduet−DOIRの構築
大腸菌によるDOIRの異種宿主発現を行うため、DOIR発現用ベクターpETduet−DOIRを構築した(図7)。プライマー(34)及び(35)を用いてAKC0−020株のDOIR遺伝子を増幅し、制限酵素BamHI及びHindIII(上記の表10を参照。)を用いてpETDuet−1(Merck社)のそれぞれの制限酵素認識サイトへクローニングした。pETduet−DOIRはE.coli BL21(DE3)株へ形質転換した。
また、前記のとおりに、BLAST検索を行った結果、AKC0−020株のDOIRと相同性を示す複数のinositol 2−dehydrogenaseの存在が判明したので、それらのinositol 2−dehydrogenaseがDOI還元を触媒するかどうかを調べるために、当該inositol 2−dehydrogenase遺伝子を合成し、上記DOIR遺伝子と同様の方法で発現させた。すなわち、DOIRのアミノ酸配列とBLASTP検索(検索対象となるデータベースとしてGenBank、PDB、SwissProtを使用。)により約80%、70%、60%、50%、40%、
30%の相同性を示す6つのイノシトール脱水素酵素を選んだ(表13を参照。)。
Figure 2015093320
表13に示した遺伝子の合成の際にBs−iolXの開始コドンはGTGのためATGに変更した。なお、Sinorhizobium fredii USDA191由来イノシトール脱水素酵素遺伝子(Sf-Idh)はmyo−イノシトールを酸化する酵素であり、Bacillus subtilis 168由来iolXBs-IolX)とiolWBs-IolW)はscyllo−イノシトールに対する活性を示す酵素をコードしている事が報告されている。また、iolWBs-IolW)はNADPH依存型イノシトール脱水素酵素とされている。これら6遺伝子を発現ベクターpET21b(+)(MERCK社)に導入し、大腸菌BL21(DE3)株によって発現させた。それぞれの培養液当たりの活性を表14に示す。
Figure 2015093320
DOIRとBh−IolG、Pa−Idh、Ps−Idh、Sf−Idhの組換えタンパクの発現をSDS−PAGEで確認した。このゲル中のバンドをImageJ 1.46を用いて発現量を比較した所、DOIRに対してBh−IolG、Pa−Idh、Ps−Idh、Sf−Idh発現量はそれぞれ0.61倍、0.99倍、1.25倍、0.97倍であった(図12)。これらはDOIに対して活性を示した(表14)。
DOI変換率と生成物のジアステレオマー過剰率を表15に示した。
DOIR及びBH−IolG、Pa−Idh、Ps−IdhはDOIを89%d.e.以上のジアステレオマー過剰率で(−)−ビボ−クエルシトールに変換した。
BS−IolXはDOIを99%d.e.のジアステレオマー変換率でscyllo−クエルシトールに変換した。Sf-Idhは培養液当たりのDOIの還元が弱く、過剰に菌体破砕液を添加したが生産物であるクエルシトールは検出できなかった。
Figure 2015093320
本発明は、(−)−ビボ−クエルシトールの極めて簡便、効率的、且つ高純度の工業的発酵生産に利用できる。

Claims (14)

  1. (−)−ビボ−クエルシトールを資化する能力を有する微生物由来であって、下記の(a)乃至(c)の特性を有する2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素:
    (a)2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールに変換する触媒活性を有する;
    (b)pH7.0〜9.0で最大活性を示す;及び
    (c)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動で測定した当該酵素のポリペプチド部分の分子質量が36kDaである。
  2. 前記微生物が、Pseudomonas属又はBurkholderia属に属する微生物である、請求項1に記載の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素。
  3. 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
    (a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
    (e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質
  4. 前記タンパク質が(b)乃至(e)のいずれか1つであって、但し配列番号2、4、6及び8で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質は除く、請求項3に記載のタンパク質。
  5. 請求項3又は4に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  6. 以下の(a)又は(b)のヌクレオチド配列からなる遺伝子:
    (a)配列番号1で表されるヌクレオチド配列;又は
    (b)配列番号1で表されるヌクレオチド配列中の少なくとも連続した18塩基からなるヌクレオチド配列と相補的な配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハンブリダイズし、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列。
  7. 前記(b)における少なくとも連続した18塩基からなるヌクレオチド配列が、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21及び配列番号23からなる群から選択される配列の全部又は一部である、請求項6に記載の遺伝子。
  8. 請求項5乃至7のいずれかの遺伝子を含む(−)−ビボ−クエルシトール変換用組換えベクター。
  9. 請求項5乃至7のいずれかの遺伝子又は請求項8の組み換えベクターを導入した(−)−ビボ−クエルシトール変換用形質転換体。
  10. 請求項9の形質転換体を、2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質の生産に適した条件下及び時間培養し、培養物から当該タンパク質を精製して回収することを特徴とする、2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素の生産方法。
  11. 請求項1又は2に記載の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件下で反応させ、生成した(−)−ビボ−クエルシトールを反応液から回収することを特徴とする、(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法。
  12. 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
    (a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
    (e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質、
    を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件下で反応させ、生成した(−)−ビボ−クエルシトールを反応液から回収することを特徴とする、(−)−ビボ−クエルシトールの製造方法。
  13. 請求項1又は2に記載の2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10,0の条件下で反応させることを特徴とする、(2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する方法。
  14. 下記(a)乃至(e)のいずれか1つのタンパク質:
    (a)配列番号2で表わされるアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して58%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号4で表されるアミノ酸配列に対して56%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;
    (d)配列番号6で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質;又は
    (e)配列番号8で表されるアミノ酸配列に対して54%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ2−デオキシ−シロ−イノソース還元酵素活性を有するタンパク質、を2−デオキシ−シロ−イノソースと接触させ、pH5.0〜10.0の条件で反応させることを特徴とする、2−デオキシ−シロ−イノソースを(−)−ビボ−クエルシトールへと変換する方法。
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